説明

マスキング装置

【課題】ブラスト処理を行っても蓋と本体との磁力による吸引力の著しい低下を防ぐことができるマスキング装置を提供すること。
【解決手段】ブラスト処理によって本体10の磁性が劣化しても、磁力補強板30を本体10の下面10bに追加的に配置することにより、本体10の磁性劣化を補償して回復させることができる。そのため、マスキング装置100を繰り返し多数回使用できるため、新しく作製する必要性を極めて低減することができる。これにより、試作設備や生産設備等におけるマスキング装置100のセットの再段取りによる工数の増加や新しいマスキング装置100の作製によるコストを抑えることができる。また、本体10に磁力補強板30を取り付ける構成のため、磁性劣化から再生までの期間を短くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子その他の部材の表面に成膜する際に利用されるマスキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の表面に成膜する際に利用されるマスキング装置として、膜付け孔が多数穿設された磁性体製の上部マスク板(蓋)と、磁石を設けたマグネット保持板を含む本体とが磁力により互いに吸引して電子部品である被マスキング部材を挟むものがある(特許文献1参照)。また、磁性体製の上部マスク板(蓋)及び本体を構成する磁性体製の板のいずれかを金属磁石板とし、上部マスク板と本体とが磁力により吸引して被マスキング部材を挟むものがある(特許文献2参照)。また、磁性体製の磁性マスク(蓋)と、磁石を設けた成膜用治具(本体)とが磁力により吸引して被マスキング部材を挟むものがある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−74498号公報
【特許文献2】特開2000−80462号公報
【特許文献3】特開2002−241936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2、及び3のようなマスキング装置では、装置使用後に蓋や本体に付着した不要な薄膜を除去するためにブラスト処理(洗浄)をした場合、本体の磁性が低下し、蓋と本体との磁力による吸引力が弱まるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、ブラスト処理を行っても蓋と本体との磁力による吸引力の著しい低下を防ぐことができるマスキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1のマスキング装置は、少なくとも一部が磁性体で形成され、被マスキング部材を周囲から支持するための複数の支持孔と、複数の支持孔の周辺に設けられる磁石とを有する本体と、磁性体で形成され、本体と対向して被マスキング部材を挟んで設けられ、被マスキング部材に膜付けするための膜付け孔を有する蓋と、磁性体で形成され、本体のうち蓋に対向する面の反対側に配置される磁力補強板と、を備えることを特徴とする。ここで、本体は、一部に非磁性体を有していてもよいが、基本的には磁性体であることが望ましい。
【0007】
上記第1のマスキング装置によれば、ブラスト処理によって本体の磁性が劣化しても、磁力補強板を本体の蓋に対向する面の反対側に追加的に配置することにより、本体の磁性劣化を補償して回復させることができる。そのため、マスキング装置を繰り返し多数回使用できるため、新しく作製する必要性を極めて低減することができる。これにより、試作設備や生産設備等におけるマスキング装置のセットの再段取りによる工数の増加や新しいマスキング装置の作製によるコストを抑えることができる。また、本体に磁力補強板を取り付ける構成のため、磁性劣化から再生までの期間を短くすることができる。
【0008】
また、本発明の具体的な態様又は側面では、第1のマスキング装置において、磁力補強板は、本体よりも薄く、本体に対して一体的に固定されることを特徴とする。この場合、マスキング装置全体が本体及び蓋で構成される初期状態よりも必要以上に厚くならず、操作性や設置状態を維持することができる。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る第2のマスキング装置は、少なくとも一部が磁性体で形成され、被マスキング部材を周囲から支持するための複数の支持孔と、複数の支持孔の周辺に設けられる磁石とを有する本体と、磁性体で形成され、本体と対向して被マスキング部材を挟んで設けられ、被マスキング部材に膜付けするための膜付け孔を有する蓋とを備え、本体は、本体のうち蓋に対向する側に磁性体で形成される磁力補強層を有し、本体のうち磁力補強層を除いた支持層の厚さをd0とし、磁力補強層の厚さをd1として、以下の条件式
0.8〔mm〕≦d0≦2.1〔mm〕
0.15〔mm〕≦d1<0.4〔mm〕
を満足することを特徴とする。以上において、支持層は、例えば磁力補強層と同程度の透磁率を有する材料で形成することができる。
【0010】
上記第2のマスキング装置によれば、本体のうち磁力補強層の厚さd1を0.15〔mm〕≦d1<0.4〔mm〕の範囲とすることにより、磁力補強層の耐久性を高めることができ、洗浄のためのブラスト処理を繰り返し行った場合にも本体の磁性劣化を低減することができる。そのため、マスキング装置を繰り返し多数回使用できるため、新しく作製する必要性を極めて低減することができる。これにより、試作設備や生産設備等におけるマスキング装置のセットの再段取りによる工数の増加や新しいマスキング装置の作製によるコストを抑えることができる。なお、支持層の厚さd0が0.8〔mm〕よりも薄いと、磁力による吸引力を高めることが容易でなくなり、比較的小さい被マスキング部材を対象とする場合であっても、吸引力が弱まる磁性劣化が生じやすい。一方、支持層の厚さd0が2.1〔mm〕よりも厚いと、コストが高くなる。また、磁力補強層の厚さd1が0.15〔mm〕よりも薄いと、磁性劣化の抑制効果が弱くなり、厚さd1が0.4〔mm〕以上厚くなると、コストが高くなり、マスキング装置の取り付け等に際しての操作性にも影響が生じる。
【0011】
また、本発明の具体的な態様又は側面では、上記第2のマスキング装置において、蓋の厚さをd2として、以下の条件式
0.2〔mm〕≦d2≦0.4〔mm〕
を満足することを特徴とする。この場合、蓋の厚さd2が0.2〔mm〕よりも薄いと局所的な変形が生じやすく、耐久性に欠ける。一方、厚さd2を0.2〔mm〕以上とすることで耐久性をもたせ、蓋の取り扱いを良好にすることができる。また、蓋の厚さd2が0.4〔mm〕よりも厚くなると、成膜物質が膜付け孔内に均一に流入しにくくなるため、成膜状態にばらつきが生じる。また、蓋の着脱の操作性が低下したり、歪みが生じた際に本体との密着性が悪くなったりする。一方、厚さd2を0.4〔mm〕以下とすることで、成膜状態が略安定し、また、マスキング装置全体としての操作性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の別の側面では、上記第1及び第2のマスキング装置において、磁性体は、軟質磁性体であることを特徴とする。ここで、軟質磁性体とは、磁性体の中でも比較的簡単に磁極が消えたり反転したりするものを意味する。軟質磁性体は、ヒステリシス特性が小さい性質を有し、保磁力が小さく透磁率が大きい。
【0013】
また、本発明のさらに別の側面では、磁性体は、フェライト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。この場合、ステンレス鋼を材料として用いることにより、磁性を有し、かつ耐食性、耐久性、強度、耐熱性等が優れたマスキング装置とすることができる。
【0014】
また、本発明の別の側面では、蓋を隔てた磁石直上の磁束密度が2〔mT〕以上であることを特徴とする。この場合、本体が有する適度な磁力により蓋を本体に確実に吸引及び吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)〜(C)は、第1実施形態に係るマスキング装置を説明する図である。
【図2】図1のマスキング装置の断面図である。
【図3】第2実施形態に係るマスキング装置の断面図である。
【図4】磁力補強層の厚さと磁束密度の関係について説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るマスキング装置について説明する。マスキング装置100は、被マスキング部材である光学素子の表面に蒸着やスパッタリング等によって成膜をする際に、被マスキング部材をマスキングすることによって成膜される部分を露出させるものである。なお、本マスキング装置100による成膜の対象は、図2に示す小型のプラスチック製の光学素子であるプラスチックレンズPLである。このプラスチックレンズPLは、例えば、光ピックアップ装置の対物レンズとして用いられる。ここで、プラスチックレンズPLは、光学的機能を有する中心部OLと、中心部OLから外径方向に延在する環状のフランジ部FLとを有する。中心部OLは、曲率が大きい第1光学面OL1と、曲率が小さい第2光学面OL2とを有する。フランジ部FLは、第1光学面OL1側に第1フランジ面FL1と、第2光学面OL2側に第2フランジ面FL2とを有する。本実施形態において、第1光学面OL1及び第2光学面OL2に反射防止膜等のコーティング膜が成膜される。
【0017】
図1(A)〜1(C)及び図2に示すように、マスキング装置100は、全体として板状で、本体10と、蓋20と、磁力補強板30とを備え、これらを積層した構造を有する。図2に示すように、本体10は、本体10の一方の側すなわち上側を蓋20に、他方の側すなわち下側を磁力補強板30に挟まれるように配置されている。本体10と蓋20と磁力補強板30とは、いずれも磁性体で形成されており、後述する磁石Mに由来する磁力によって相互に吸引及び吸着している。つまり、本体10の上面10aと、蓋20の下面20bとは、互いに密着して分離可能に接合されている。一方、本体10の下面10bと、磁力補強板30の上面30aとは、互いに密着して接合されている。ここで、マスキング装置100のうち本体10と蓋20とは、使用の初期段階から用いられるものである。一方、磁力補強板30は、使用と洗浄とを複数回繰り返した後に、本体10の磁性が低下した段階において用いられるものである。
【0018】
マスキング装置100のうち本体10は、被マスキング部材であるプラスチックレンズPLを支持するためのものである。図1(B)に示すように、本体10は、矩形の板状体であり、図示を省略するが、複数の薄いステンレス鋼板を重ね合わせることによって形成されている。本体10の厚さは、例えば0.8〔mm〕〜2.1〔mm〕となっている。各ステンレス鋼板は、例えばスポット溶接によって圧着されている。本体10を構成する各ステンレス鋼板には、磁性体すなわち強磁性体が用いられ、そのうちヒステリシスの少ない軟質磁性体が用いられる。軟質磁性体として、具体的には、フェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼が用いられる。ここで、フェライト系は、一般的に炭素の少ない鉄(Fe)−クロム(Cr)合金のクロム鋼であり、マルテンサイト系は、一般的に炭素の多い鉄(Fe)−クロム(Cr)合金のクロム鋼である。なお、本実施形態では、軟質磁性体のうちでもSUS430、SUS444というような熱膨張率の低いフェライト系のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0019】
図1(B)及び図2に示すように、本体10は、構造的な部分として、支持孔11と、磁石保持孔12と、位置決め孔13と、磁石Mとを有する。支持孔11は、プラスチックレンズPLを周囲から支持するためのものであり、図1(B)に示すように、本体10の複数箇所に分散して適当な密度で設けられている。図1(B)及び図2に示すように、支持孔11は、環状支持部11aと嵌め込み孔11bとを有し、本体10の一方の面すなわち上面10aから他方の面すなわち下面10bまで貫通している。環状支持部11aは、プラスチックレンズPLのフランジ部FLを下側の第2フランジ面FL2から支持する。環状支持部11aは、本体10の上面10a側に環状で段差状の凹部として形成されている。環状支持部11aの内径は、プラスチックレンズPLの外径よりもやや大きく、プラスチックレンズPLを位置合わせしつつ、プラスチックレンズPLを本体10から抵抗なく出し入れ可能にしている。嵌め込み孔11bは、プラスチックレンズPLの曲率の小さい第2光学面OL2を嵌め込む部分である。嵌め込み孔11bは、環状支持部11aから本体10の下面10b側に延びる貫通孔である。嵌め込み孔11bの内径は、第2光学面OL2の直径よりもやや大きく、第2光学面OL2が本体10に触れないようになっている。
【0020】
磁石保持孔12は、磁石Mを保持するためのものであり、図1(B)に示すように、複数の支持孔11の周辺の複数箇所に適当な密度で分布するように設けられている。図2に示すように、磁石保持孔12は、本体10を貫通しておらず、上面10a側に開口して凹状に形成されている。磁石保持孔12の外形は、磁石保持孔12に嵌め込まれる磁石Mの外形と略同じ又はやや大きくなっている。磁石Mは、磁石Mを磁石保持孔12に嵌め込んだ状態で、本体10から飛び出さない深さになっている。なお、本実施形態において、磁石Mの残留磁束密度は、99〔mT〕以上137〔mT〕以下となっている。
【0021】
位置決め孔13は、蓋20と磁力補強板30とを位置決めするためのものであり、図1(B)に示すように、本体10の四隅に設けられている。位置決め孔13は、本体10の上面10aから下面10bまで貫通している。位置決め孔13には、不図示の位置合わせピンが挿入され、本体10と蓋20と磁力補強板30とが確実に位置決めされる。
【0022】
磁石Mは、後述する蓋20を本体10に磁力により吸引及び吸着させるためのものであり、磁石保持孔12に嵌め込まれており、自力で磁石保持孔12の底部に付着している。磁石Mは、本体10に蓋20を重ねた状態で、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度が2〔mT〕以上となるように選択されている。また、本体10の磁性が低下した段階においても、後述する磁力補強板30を本体10の裏側に取り付けることにより、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度が2〔mT〕以上に維持される。
【0023】
蓋20は、被マスキング部材であるプラスチックレンズPLを周囲から支持し、プラスチックレンズPLにマスキングすることによって成膜される部分を露出させるためのものである。図1(A)に示すように、蓋20は、本体10と同形の矩形の板状体であり、本体10よりも薄いステンレス鋼板で形成されている。具体的には、蓋20の厚さは、例えば0.2〔mm〕〜0.4〔mm〕となっている。蓋20を構成するステンレス鋼板には、本体10と同様の磁性体すなわち軟質磁性体が用いられている。具体的にはフェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼が用いられる。なお、本実施形態では、軟質磁性体のうちでもSUS430、SUS444というような熱膨張率の低いフェライト系のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0024】
図1(A)及び図2に示すように、蓋20は、構造的な部分として、膜付け孔21と、位置決め孔22とを有する。膜付け孔21は、プラスチックレンズPLのうち曲率の大きい第1光学面OL1に成膜をするためのものであり、図1(A)に示すように、蓋20上に複数箇所に分散して適当な密度で設けられている。また、膜付け孔21は、図1(B)に示す支持孔11の位置に整合するように配列されている。図2に示すように、膜付け孔21は、蓋20の一方の面すなわち上面20aから他方の面すなわち下面20bまで貫通している。膜付け孔21の内径は、第1光学面OL1の直径よりもやや大きくなっている。これにより、本体10に蓋20を乗せた場合、第1光学面OL1のみが蓋20から露出し、この状態でマスキング装置100を反転させると、蓋20によって第1フランジ面FL1が支持され、マスキング装置100内にプラスチックレンズPLが安定して保持される。
【0025】
位置決め孔22は、本体10と磁力補強板30とを位置決めするためのものであり、図1(A)に示すように、図1(B)に示す本体10の位置決め孔13の位置に整合するように蓋20の四隅に設けられている。位置決め孔22は、蓋20の上面20aから下面20bまで貫通している。位置決め孔22には、不図示の位置合わせピンが挿入され、本体10と蓋20と磁力補強板30とが確実に位置決めされる。
【0026】
磁力補強板30は、本体10の磁性を補強するためのものである。上述したように、磁力補強板30は、本体10及び蓋20を複数回使用及び洗浄した後に、本体10の磁性が低下した段階において用いられるものである。図2に示すように、磁力補強板30は、本体10の下面10b側に配置されて固定される。図1(C)に示すように、磁力補強板30は、本体10と同形の矩形の板状体であり、本体10よりも薄いステンレス鋼板で形成されている。具体的には、磁力補強板30の厚さは、例えば0.2〔mm〕となっている。ここで、磁力補強板30の厚さが0.1〔mm〕よりも薄い場合、後述するブラスト処理によって磁力補強板30が歪んでしまい、厚さが0.4〔mm〕よりも厚い場合、取り付け等の操作性が悪く、コストも高くなる。磁力補強板30は、本体10に位置合わせされた状態で、スポット溶接によって本体10に圧着されている。磁力補強板30を構成するステンレス鋼板には、本体10と同様の磁性体すなわち軟質磁性体が用いられている。具体的には、フェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼が用いられる。なお、本実施形態では、軟質磁性体のうちでもSUS430、SUS444というような熱膨張率の低いフェライト系のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0027】
図1(C)に示すように、磁力補強板30は、構造的な部分として、膜付け孔31と、位置決め孔32とを有する。膜付け孔31は、プラスチックレンズPLのうち曲率の小さい第2光学面OL2に成膜をするためのものであり、図1(C)に示すように、磁力補強板30上に複数箇所に分散して適当な密度で設けられている。また、膜付け孔31は、図1(B)に示す支持孔11の位置に整合するように配列されている。図2に示すように、膜付け孔31は、磁力補強板30の一方の面すなわち上面30aから他方の面すなわち下面30bまで貫通している。膜付け孔31の内径は、第2光学面OL2の直径よりも大きくなっている。これにより、第2光学面OL2のみが磁力補強板30から露出し、本体10及び磁力補強板30によって第2フランジ面FL2が支持され、マスキング装置100内にプラスチックレンズPLが安定して保持される。
【0028】
位置決め孔32は、本体10と蓋20とを位置決めするためのものであり、図1(B)に示す本体10の位置決め孔13の位置に整合するように磁力補強板30の四隅に設けられている。位置決め孔32は、磁力補強板30の上面30aから下面30bまで貫通している。磁力補強板30には、不図示の位置合わせピンが挿入され、本体10と蓋20と磁力補強板30とが確実に位置決めされる。
【0029】
以下、本実施形態に係るマスキング装置100の使用例について説明する。
まず、本体10の磁性が劣化していない状態すなわち使用の初期段階において、マスキング装置100として、本体10と蓋20とを用いる。本体10の支持孔11にプラスチックレンズPLを曲率が大きい第1光学面OL1を上側にして嵌め込む。これにより、プラスチックレンズPLが本体10に位置決めされる。プラスチックレンズPLを本体10に嵌め込んだ後に、本体10の上に蓋20を乗せる。この際、本体10の位置決め孔13に予め挿入された不図示の位置合わせピンによって、本体10と蓋20とをアライメントしながら作業を行う。磁性体製の蓋20は、本体10の内部に設けられた磁石Mの磁力によって吸引及び吸着され、マスキング装置100内にプラスチックレンズPLが保持される。このように、本体10の各支持孔11にプラスチックレンズPLに嵌め込んだ状態で蓋20を重ねると、図2に示すように、プラスチックレンズPLの第1フランジ面FL1が覆われ、第1光学面OL1が露出した状態となる。マスキング装置100は、プラスチックレンズPLを保持した状態で、成膜される第1光学面OL1を蒸着源に向けて成膜装置内のホルダにセットされる。成膜装置内では、蒸着又はスパッタリングによって第1光学面OL1に反射防止膜等のコーティング膜を成膜する。なお、続けて第2光学面OL2にコーティング膜を成膜する場合、マスキング装置100を反転させて、第2光学面OL2を蒸着源に向けてホルダにセットする。この場合、第2光学面OL2に成膜する際には、第1光学面OL1が傷つかないようにする必要がある。
【0030】
プラスチックレンズPLの成膜後、マスキング装置100は、成膜の際に付着した不要な薄膜を除去するため、ブラスト処理(洗浄)が行われる。具体的には、微小なガラスビーズやセラミック粒子を本体10や蓋20の表面に吹き付けて不要な薄膜等の汚れを剥離する。このブラスト処理により、本体10の磁性が低下するという現象が生じる。これにより、本体10の磁力による吸引力が減り、本体10と蓋20との吸着が悪くなる。なお、磁束密度を上げるために予め厚い磁石Mを設けることも考えられるが、磁石Mと蓋20との距離が狭くなり、蓋20に磁石Mがもっていかれる可能性があるため好ましくない。
【0031】
マスキング装置100の使用と洗浄とを複数回繰り返した後に、本体10の磁性が低下した段階において、本体10の下面10b側に磁力補強板30を本体10に位置合わせして、スポット溶接によって本体10に取り付ける。このように、磁力補強板30を本体10の下面10bに取り付けることにより、上面10a側の磁束密度が上がることで本体10の磁性が回復し、結果的に本体10の磁性劣化が低減される。
【0032】
上記マスキング装置100によれば、ブラスト処理によって本体10の磁性が劣化しても、磁力補強板30を本体10の蓋20に対向する面の反対側すなわち下面10bに追加的に配置することにより、本体10の磁性劣化を補償して回復させることができる。そのため、マスキング装置100を多数回繰り返し使用できるため、新しく作製する必要性を極めて低減することができる。これにより、試作設備や生産設備等におけるマスキング装置100のセットの再段取りによる工数の増加や新しいマスキング装置100の作製によるコストを抑えることができる。また、本体10に磁力補強板30を取り付ける構成のため、磁性劣化から再生までの期間を短くすることができる。
【実施例1】
【0033】
以下、磁力補強板30と磁束密度との関係について説明する。
まず、磁石Mの磁束密度の低下について検討する。成膜・洗浄前、5回の成膜・洗浄後、及び15回の成膜・洗浄後の各磁石M直上の磁束密度を磁束密度計を用いて測定した。なお、磁石Mは、厚さが0.4〔mm〕のものを用いた。測定の結果、成膜・洗浄前、5回の成膜・洗浄後、及び15回の成膜・洗浄後の磁石Mの磁束密度すなわち残留磁束密度は、99〔mT〕〜137〔mT〕の範囲内であった。このことから、成膜・洗浄の前後において、磁石Mの磁束密度にほとんど差異はなく、磁石Mの磁束密度の低下は見られなかった。また、磁石Mを本体10に嵌め込んだ状態の磁石M直上の磁束密度は、97.1〔mT〕〜107.0〔mT〕であり、磁石Mを本体10に埋め込んでも磁石Mの磁束密度の低下は見られなかった。
【0034】
表1は、磁力補強板30の配置と磁束密度との関係について説明するものである。測定条件を変えて磁束密度を複数回(最大6回)測定し、その平均値を算出した。具体的には、測定条件のうち、「直接磁石」は、磁石Mを本体10に嵌め込んだ状態で、磁石M直上の磁束密度を測定した。「補強板無(蓋上)」は、本体10に磁石Mを嵌め込み、磁力補強板30を取り付けていない本体10に対して蓋20を乗せ、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度を測定した。「補強板有[下](蓋上)」は、本体10に磁石Mを嵌め込み、磁力補強板30を下面10bに取り付けた本体10に対して蓋20を乗せ、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度を測定した。「補強板有[上](蓋上)」は、本体10に磁石Mを嵌め込み、磁力補強板30を上面10aに取り付けた本体10に対して蓋20を乗せ、蓋20及び磁力補強板30を隔てた磁石M直上の磁束密度を測定した。補強板有[下](本体下)」は、本体10に磁石Mを嵌め込み、磁力補強板30を下面10bに取り付けた本体10に対して蓋20を乗せ、本体10及び磁力補強板30を隔てた磁石M直下の磁束密度を測定した。なお、本体10、蓋20、及び磁力補強板30は、すべて軟質磁性体であるフェライト系ステンレス鋼で形成される。
【表1】

【0035】
表1に示すように、「直接磁石」の場合、磁束密度の平均値は101.17〔mT〕であった。「補強板無(蓋上)」の場合、磁束密度の平均値は2.77〔mT〕であった。「補強板有[下](蓋上)」の場合、磁束密度の平均値は3.42〔mT〕であった。「補強板有[上](蓋上)の場合、磁束密度の平均値は0.93〔mT〕であった。「補強板有[下](本体下)」の場合、磁束密度の平均値は1.83〔mT〕であった。
【0036】
以上の結果から、測定条件「補強板有[下](蓋上)」の場合、磁力補強板30の効果が高く、「補強板無(蓋上)」の場合と比較して磁束密度が0.65〔mT〕増えた。なお、磁力補強板30を本体10の上に乗せた測定条件「補強板有[上](蓋上)」の場合、磁力補強板30がない「補強板無(蓋上)」の場合よりも磁束密度が下がった。つまり、磁力補強板30を本体10の上ではなく本体10の下に置くことにより、磁力補強の効果が高まることが分かる。
【0037】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る第2実施形態のマスキング装置について説明する。第2実施形態のマスキング装置は、第1実施形態のマスキング装置を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様である。
【0038】
図3に示すように、マスキング装置200は、本体210と、蓋20とを備える。本実施形態では、第1実施形態と異なり、マスキング装置200において、別途磁力補強板を配置しない。
【0039】
マスキング装置200のうち、本体210は、図示を省略するが、矩形の複数の薄いステンレス鋼板を重ね合わせることによって形成されている。各ステンレス鋼板は、例えばスポット溶接によって圧着されている。本体210を構成する各ステンレス鋼板には、軟質磁性体が用いられている。軟質磁性体として、具体的には、フェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼が用いられる。なお、本実施形態では、軟質磁性体のうちでもSUS430、SUS444というような熱膨張率の低いフェライト系のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0040】
本体210は、観念的には、支持層214と磁力補強層215とで構成される。支持層214は、本体210の蓋20側すなわち上側に配置されており、被マスキング部材であるプラスチックレンズPL及び磁石Mを支持する。支持層214の厚さd0は、0.8〔mm〕≦d0≦2.1〔mm〕の範囲となっている。この支持層214の厚さd0が0.8〔mm〕よりも薄いと、磁力による吸引力を高めることが容易でなくなり、小型のプラスチックレンズPLを対象とする場合であっても、吸引力が弱まる磁性劣化が生じやすい。一方、支持層214の厚さd0が2.1〔mm〕よりも厚いと、コストが高くなる。
【0041】
磁力補強層215は、本体210の蓋20に対向する側すなわち下側に配置されており、本体210の磁束密度を補強する。磁力補強層215の厚さd1は、0.15〔mm〕≦d1<0.4〔mm〕の範囲となっている。この磁力補強層215の厚さd1が0.15〔mm〕よりも薄いと、本体210の磁力による蓋20を吸引及び吸着する力の維持が難しくなる。また、磁力補強層215の厚さd1が0.4〔mm〕以上厚くなると、コストが高くなり、マスキング装置200の取り付け等に際しての操作性にも影響が生じる。この磁力補強層215は、本体210と蓋20とを複数回使用及び洗浄した後であっても、本体210の磁性の低下を防ぐ機能を有する。
【0042】
本体210は、構造的な部分として、支持孔11と、磁石保持孔12と、位置決め孔13(図1(B)参照)と、磁石Mとを有する。支持孔11は、本体210に複数箇所に分散して適当な密度で設けられている。支持孔11は、環状支持部11aと嵌め込み孔11bとを有し、本体210の一方の面すなわち上面210aから他方の面すなわち下面210bまで貫通している。
【0043】
磁石保持孔12は、複数の支持孔11の周辺に複数箇所に適当な密度で分布するように設けられている。磁石保持孔12は、本体210を貫通しておらず、上面210a側に開口して凹状に形成されている。
【0044】
磁石Mは、磁石保持孔12に嵌め込まれており、自力で磁石保持孔12の底部に付着している。マスキング装置200の使用前後において、磁石Mは、本体210に蓋20を重ねた状態で、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度が2〔mT〕以上となるように選択されている。
【0045】
蓋20は、本体210と同形の矩形の板状体であり、本体210よりも薄いステンレス鋼板で形成されている。具体的には、蓋20の厚さd2は、0.2〔mm〕≦d2≦0.4〔mm〕の範囲となっている。この蓋20の厚さd2が0.2〔mm〕よりも薄いと局所的な変形が生じやすく、耐久性に欠ける。一方、厚さd2を0.2〔mm〕以上とすることで耐久性をもたせ、蓋20の取り扱いを良好にすることができる。また、蓋20の厚さd2が0.4〔mm〕よりも厚くなると、成膜物質が膜付け孔21内に均一に流入しにくくなるため、成膜状態にばらつきが生じる。また、蓋20の着脱の操作性が低下したり、歪みが生じた際に本体210との密着性が悪くなったりする。一方、厚さd2を0.4〔mm〕以下とすることで、成膜状態が略安定し、また、マスキング装置200全体としての操作性を向上させることができる。
【0046】
蓋20を構成するステンレス鋼板には、本体210と同様の軟質磁性体が用いられている。具体的には、フェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼が用いられる。なお、本実施形態では、軟質磁性体のうちでもSUS430、SUS444というような熱膨張率の低いフェライト系のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0047】
蓋20は、構造的な部分として、膜付け孔21と、位置決め孔22(図1(A)参照)とを有する。膜付け孔21は、蓋20上に複数箇所に分散して適当な密度で設けられている。また、膜付け孔21は、支持孔11の位置に整合するように配列されている。膜付け孔21は、蓋20の一方の面すなわち上面20aから他方の面すなわち下面20bまで貫通している。
【0048】
上記マスキング装置200によれば、本体210のうち磁力補強層の厚さd1を0.15≦d1<0.4の範囲とすることにより、磁力補強層215の耐久性を高めることができ、洗浄のためのブラスト処理を繰り返し行った場合にも本体210の磁性劣化を低減することができる。そのため、マスキング装置200を繰り返し多数回使用できるため、新しく作製する必要性を極めて低減することができる。これにより、試作設備や生産設備等におけるマスキング装置200のセットの再段取りによる工数の増加や新しいマスキング装置200の作製によるコストを抑えることができる。
【実施例2】
【0049】
以下、表2を参照して、本体210の厚さ(d0+d1)と磁束密度との関係について説明する。
表2において、本体210に磁石Mを嵌め込み、本体210に蓋20を乗せ、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度を測定した。ここで、磁石Mの厚さは、0.4〔mm〕であり、残留磁束密度は、99〔mT〕〜137〔mT〕である。また、本体210を構成する各ステンレス鋼板には、すべて軟質磁性体であるSUS430が用いられている。
【表2】

【0050】
表2に示すように、本体210の厚さ(d0+d1)が厚くなるほど磁束密度が増えることがわかった。よって、本体210の厚さ(d0+d1)を変えることにより、本体210の磁束密度を調整することができる。
【実施例3】
【0051】
以下、磁力補強層215の厚さd1と磁束密度との関係について説明する。
表3において、本体210に磁石Mを嵌め込み、磁力補強層215の厚さd1を変えた本体210に蓋20を乗せ、蓋20を隔てた磁石M直上の磁束密度を測定した。表3に示す増加磁束密度は、磁力補強層215の各厚さd1における磁束密度の値から磁力補強層215の厚さd1がゼロの場合の磁束密度の値を引いたものである。図4は、表3をもとに磁力補強層215の厚さd1と増加した磁束密度との関係を説明するためのグラフである。ここで、磁石Mの厚さは、0.4〔mm〕であり、残留磁束密度は、99〔mT〕〜137〔mT〕である。支持層214の厚さd0は、0.8〔mm〕であり、蓋20の厚さd2は、0.25〔mm〕である。また、本体210を構成する各ステンレス鋼板には、すべて軟質磁性体であるSUS430が用いられている。
【表3】

【0052】
表3及び図4に示すように、磁力補強層215の厚さd1が増加するに伴い、本体210の磁束密度が増加した。具体的には、図4からわかるように、磁力補強層215の厚さd1が約0.3〔mm〕よりも薄い場合において、磁束密度が急激に増加しており、厚さd1が0.3〔mm〕以上になると、磁束密度が緩やかに増加した。結果的に、本体210の磁束密度と操作性とを考慮すると、磁力補強層215の厚さd1を0.15〔mm〕≦d1<0.4〔mm〕の範囲に設定するのが好ましいといえる。
【0053】
以上、本実施形態に係るマスキング装置について説明したが、本発明に係るマスキング装置は上記のものには限られない。例えば、マスキング装置100,200において、プラスチック製光学素子であるプラスチックレンズPLを成膜の対象としたが、ガラス製光学素子、例えばガラスレンズを成膜の対象としてもよい。また、レンズ以外の光学素子、例えばフィルタやミラー等を成膜の対象としてもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、図1(A)〜1(C)に示す本体10の外形は、例示であり、矩形に限らず、円形や三角形、台形等の多角形でもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、図1(A)〜1(C)に示す支持孔11、磁石保持孔12、膜付け孔21、位置決め孔13,22,31の配置は例示であり、適当な配置とすることができる。
【0056】
また、上記実施形態において、磁石保持孔12が本体10,210の上面10a,210a側に貫通していなくてもよい。すなわち、本体10,210の中心の層に磁石保持孔12を形成したステンレス鋼板を配置し、その上に磁石保持孔12のないステンレス鋼板を配置する。
【0057】
また、上記実施形態において、本体10,210を構成する各ステンレス鋼板を強磁性体としたが、各ステンレス鋼板のうち少なくとも1つを強磁性体(具体的には、軟質磁性体)とし、残りのステンレス鋼板を非磁性体としてもよい。この場合、非磁性体として、例えば透磁率が1.26×10−6〔H/m〕〜1.28×10−6〔H/m〕であるオーステナイト系等のステンレス鋼が用いられる。
【0058】
また、上記実施形態において、位置決め孔13,22,31に位置合わせピンを挿入して本体10,210、蓋20、磁力補強板30を位置決めしたが、例えば本体10,210に位置合わせピンを予め固定しておき、蓋20、磁力補強板30を位置決めしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、磁石保持孔12の配置や分布密度は、磁石Mの大きさや残留磁束密度によって適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0060】
10,210…本体、 20…蓋、 30…磁力補強板、 100,200…マスキング装置、 214…支持層、 215…磁力補強層、 11…支持孔、 12…磁石保持孔、 13,22,32…位置決め孔、 21,31…膜付け孔、 M…磁石、 OL…中心部、 OL1…第1光学面、 OL2…第2光学面、 FL…フランジ部、 FL1…第1フランジ面、 FL2…第2フランジ面、 PL…プラスチックレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が磁性体で形成され、被マスキング部材を周囲から支持するための複数の支持孔と、前記複数の支持孔の周辺に設けられる磁石とを有する本体と、
磁性体で形成され、前記本体と対向して前記被マスキング部材を挟んで設けられ、前記被マスキング部材に膜付けするための膜付け孔を有する蓋と、
磁性体で形成され、前記本体のうち前記蓋に対向する面の反対側に配置される磁力補強板と、
を備えることを特徴とするマスキング装置。
【請求項2】
前記磁力補強板は、前記本体よりも薄く、前記本体に対して一体的に固定されることを特徴とする請求項1に記載のマスキング装置。
【請求項3】
少なくとも一部が磁性体で形成され、被マスキング部材を周囲から支持するための複数の支持孔と、前記複数の支持孔の周辺に設けられる磁石とを有する本体と、
磁性体で形成され、前記本体と対向して前記被マスキング部材を挟んで設けられ、前記被マスキング部材に膜付けするための膜付け孔を有する蓋と、
を備え、
前記本体は、前記本体のうち前記蓋に対向する側に磁性体で形成される磁力補強層を有し、前記本体のうち前記磁力補強層を除いた支持層の厚さをd0とし、前記磁力補強層の厚さをd1として、以下の条件式
0.8〔mm〕≦d0≦2.1〔mm〕
0.15〔mm〕≦d1<0.4〔mm〕
を満足することを特徴とするマスキング装置。
【請求項4】
前記蓋の厚さをd2として、以下の条件式
0.2〔mm〕≦d2≦0.4〔mm〕
を満足することを特徴とする請求項3に記載のマスキング装置。
【請求項5】
前記磁性体は、軟質磁性体であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のマスキング装置。
【請求項6】
前記磁性体は、フェライト系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のマスキング装置。
【請求項7】
前記蓋を隔てた前記磁石直上の磁束密度が2〔mT〕以上であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のマスキング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate