説明

マスク用ロール材

【課題】柔軟性及び弾力性のある帯状シート基材に、適宜の間隔で切り離すことによってマスク部材を構成するようにして、きわめて簡易で、使い捨てできるマスク用ロール材を提供する。
【解決手段】切断可能な帯状シート基材1に、一側に沿って粘着層5を設け、適宜の間隔で切り離すことによって一側に粘着層5を有するマスク部材4を構成するようにしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面の口や鼻の前側を空間部を持たせて覆い、鼻や口から発生する臭気や体液を外部に飛散させないようにしたマスク部材を適宜な間隔で切り離すことによって形成し、マスク部材を使い捨てできるマスク用ロール材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の医師や看護婦、理容師、美容師、料理の調理人や食堂の従業員、食品加工業の従業員、その他顔面から体液、体毛若しくは臭気が発生して飛散すると周囲に悪影響を及ぼす仕事に従事している人などは、マスクをして体液などが外部に飛散するのを防止している。
【0003】
このようなマスクとしては、例えば特開平11−128378号公報に記載されたものがある。この従来のマスクは、顔面の口や鼻を覆う基布の周囲に高粘弾性の粘着剤を設け、前記基布と皮膚とを密着させることにより、口や鼻に異物や悪臭気が入るのを防止するものである。
【0004】
また、特開2002−360718号公報には、略半円柱状に成形して額部から顎部までの略顔面全体を覆うように装着使用することが可能なように可変形成部材で形成され、前記可変形成部材は略半円柱のマスク本体と接顔される略半円柱の縦稜線の端縁部を所定の厚みのある弾力部材とし、該マスクの素材の持つ弾力を利用して顔に装着したり、不使用の場合には渦巻き状に収納可能な構成としたものである。
【特許文献1】特開平11−128378号公報
【特許文献2】特開2002−360718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各特許文献に記載されているマスクは、1つが単独で製造され、販売されているのできわめて高価格であるばかりでなく、使い勝手がよくないし、主に屋外で着用する目的であるから、それなりの強度や耐久性を持っていて、調理場、食堂、医療や治療室などの屋内で使用するには大袈裟である。
【0006】
本発明は、柔軟性及び弾力性のある帯状シート基材に、適宜の間隔で切り離すことによってマスク部材を構成するようにして、きわめて簡易で、使い捨てできるマスク用ロール材を提供することを最も主要な特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載の発明は、切断可能な帯状シート基材に、一側に沿って粘着層を設け、適宜の間隔で切り離すことによって一側に粘着層を有するマスク部材を構成するようにしたことを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に記載の発明は、切断可能な帯状シート基材に、一定の間隔で切断部分を形成するとともに、隣り合う切断部分で挟まれる間隔内に、一側に粘着層を有するマスク部材を構成してなることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に記載の発明は、前記帯状シート基材は、柔軟性及び弾力性のある紙、不織布、布材、合成樹脂材からなる構成である。
【0010】
本願の請求項4に記載の発明は、前記粘着層は、人体の皮膚に影響を与えない組成で、マスク部材の一側に沿って設けてある構成である。
【0011】
本願の請求項5に記載の発明は、前記マスク部材の一側に沿って設けてある粘着層は、所定表示が設けてある構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、適宜の間隔で切り離すことによって簡単にマスク部材を使用に供することができ、また一側に粘着層を設けてあるので、顔面に簡単に取り付けることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を図面の実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1を示す一部を展開した斜視図、図2(a),(b)は、それぞれ使用状態の一部を断面とした側面図である。
【0015】
本発明のマスク用ロール材1は、長尺な帯状シート基材2を巻成して構成されている。前記帯状シート基材2の一側に沿って所定幅に粘着層5を設けてある。
【0016】
前記帯状シート基材2は、弾力性、柔軟性があり、しかも屈曲性に富んで透明若しくは半透明な材質が望ましく、例えば柔軟性のある合成樹脂シート、紙、不織布、布材などからなるものである。
【0017】
前記帯状シート材2は、鋏やカッターにより適宜の間隔で切り離すことが可能である。例えば、想像線3aに沿って幅方向に切断して任意の長さに切り離す。そして、切り離した切断片4aにより一側に粘着層5を設けたマスク部材4を構成し、図2(a)に示すように、粘着層5を下側にして顎の表面に付着させ、マスク部材4の全面で口や鼻の前側を覆わせるようにして着用する。したがって、使用目的により前記帯状シート材2を切り離すことによって、マスク部材4の長さを任意に決めることができる。
【0018】
マスク部材4は、図2(a)に示すように口や鼻を覆う寸法であってもよいが、学校給食の配膳係りの生徒にマスク部材4を着用させる場合、鼻までを覆うのは大袈裟であるばかりでなく、使い勝手がよくないので、このような場合には、図2(b)に示すように、口だけを覆う程度の寸法の、幅の狭い帯状シート材2を巻成して構成されているマスク用ロール材1を切り離して形成したマスク部材4を使用してもよい。或いは、口や鼻を覆う寸法の、幅の広い帯状シート材2で形成した切断片4aを、口だけを覆う程度の寸法となるよう、適当な幅に切って使用してもよい。
【0019】
そして、前記粘着層5は、人体の特に顔面の皮膚に影響を与えない組成であって、また顔面に複数回着脱しても粘着機能が低下しない組成のものが望ましく。図1で示すように直線状に形成してもよいが、点線状、破線状に形成してもよい。
【0020】
粘着層5を直線状に形成する場合には、図3(a),(b),(c)に示すように、粘着層5に文字6、図形7、模様8等を設けて、情報を表示したり、装飾を施すことができる。
【実施例2】
【0021】
図4は、本発明の実施例2を示す一部を展開した斜視図である。マスク用ロール材1は、実施例1と同様の材質の長尺な帯状シート基材2aを巻成して構成されている。
【0022】
また、前記帯状シート材2aには、一定の間隔でミシン目、薄肉部、破断線などにより切断部分3を形成し、隣り合う切断部分3で挟まれる間隔内に、マスク部材4を構成する。したがって、マスク部材4は一定の間隔の切断部分3で、切り離すことによって略同一の形状のマスクが繰り返し使用できるので、使い捨てに適している。
【0023】
前記切断部分3は、帯状シート材2の長さ方向に直交するするように設けてあるので、マスク部材4は四辺形で、切断部分3を介してロール材1に沿い並列状に連続し、その一側に実施例1と同様の組成の粘着層5を設けてある。この粘着層5は、図4で示すように直線状に形成してもよいが、点線状、破線状に形成してもよい。
【0024】
そして、実施例1の場合と同様に、粘着層5に文字6、図形7、模様8等を設けて、情報を表示したり、装飾を施すことができる。
【0025】
前記粘着層5は、例えばマスク部材4の一側に沿って設けるのが望ましいが、一側と隣り合う他の2側の一部にの設けて、全体としてコ字状に設けてもよい。
【0026】
実施例2のマスク用ロール材1は前記した構成であるから、使用に際しては並列するマスク部材4における先端のマスク部材4を切断部分3に沿って切断し、図2で示すように、粘着層5を下側にして顎の表面に付着させ、マスク部材4の全面で口や鼻の前側を覆わせるようにして着用する。
【0027】
そして、実施例1と同様にマスク部材4が透明若しくは半透明であれば、図2で示すように口や鼻ばかりでなく目の部分も覆う寸法であってもよいが、不透明であれば口と鼻を覆う程度の寸法がよい。
【0028】
したがって、実施例1、2のいずれのマスクにおいても、その着用時には顔面とマスク部材4との間に空間部aが生じるので、その部分から呼吸することができるし、口や鼻から放散する体液、体毛若しくは臭気などは、全て空間部aを介してマスク部材4で受け止められるので、マスク部材4の外部にまで飛散することがない。
【0029】
そして、使用が終了すると、粘着層5を顔面から剥がしてマスク部材4を取り外し、そのまま廃棄処分にすればよい。そのため、本発明のマスク部材4は1回だけ使用する使い捨てである。
【0030】
そして、マスク用ロール材1の不使用時には先端部分をロール材1の表面に付着させて粘着層5の劣化を防止し、使用する場合には、最先端のマスク部材4を剥がし取って適宜の間隔で切り離せばよい。
【0031】
以上本発明を図面に実施例に基づいて説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成を変更しない限り、どのようにでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1を示す一部を展開した斜視図である。
【図2】(a),(b)は、それぞれ使用状態の一部を断面とした側面図である。
【図3】(a)は粘着層に文字を設けた状態を示す概略図、(b)は粘着層に図形を設けた状態を示す概略図、(c)は粘着層に模様を設けた状態を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例2を示す一部を展開した斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 マスク用ロール材
2 帯状シート材
3 切断部分
3a 想像線
4 マスク部材
4a 切断片
5 粘着層
6 文字
7 図形
8 模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断可能な帯状シート基材に、一側に沿って粘着層を設け、適宜の間隔で切り離すことによって一側に粘着層を有するマスク部材を構成するようにしたことを特徴とするマスク用ロール材。
【請求項2】
切断可能な帯状シート基材に、一定の間隔で切断部分を形成するとともに、隣り合う切断部分で挟まれる間隔内に、一側に粘着層を有するマスク部材を構成してなることを特徴とするマスク用ロール材。
【請求項3】
前記帯状シート基材は、柔軟性及び弾力性のある紙、不織布、布材、合成樹脂材からなる請求項1または2に記載のマスク用ロール材。
【請求項4】
前記粘着層は、人体の皮膚に影響を与えない組成で、マスク部材の一側に沿って設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスク用ロール材。
【請求項5】
前記マスク部材の一側に沿って設けてある粘着層は、所定表示が設けてある請求項4に記載のマスク用ロール材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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