説明

マスク

【課題】息苦しさ感を改善しつつ鼻水を吸収でき、安価に製作可能で斬新なデザインのマスクを提供する。
【解決手段】鼻Nと口Mを覆うドーム状のマスク本体11と、マスク本体11を顔に固定するマスク固定具とを有するマスク10であって、マスク本体11の高さ方向の途中部を内側へ窪ませて、鼻Nと口M間の鼻下部分NUへ向けて突出する支持突部14を一体的に形成し、支持突部14に鼻下部分NUに当接して鼻水を吸収する吸収体13を鼻孔NHから離して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻水の吸収機能を有するマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
風邪をひいたときや花粉症を発症したときに使用するマスクとして、織布や不織布からなるマスク本体と、マスク本体を顔に固定するためのゴム紐とを備えたものが広く採用されている。
【0003】
また、前記マスクとして、鼻孔から流れ出る多量の鼻水を吸収する吸収体を設け、マスクが鼻水で濡れることによる不快感を抑制できるように構成したものも提案されている。例えば、特許文献1には、鼻及び口を覆うマスク本体と、マスク本体のうち鼻及び口側の面に設けた袋部と、該袋部に内装した鼻水を吸収する吸収体とを備え、吸収体で鼻水を吸収できるように構成したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−175121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載のマスクでは、袋部を形成するために、マスク本体とは別部材からなる袋素材をマスク本体に対して縫製等により設けているので、マスクの製作コストが高くなるという問題がある。また、マスク本体が柔らかいガーゼで構成されているので、マスク本体と顔との間の空間がどうしても狭くなり、鼻孔や口からの呼吸に息苦しさ感があった。しかも、鼻水を吸収体で吸収できるように、吸収体を鼻孔に当てて配置しているので、鼻孔からの呼吸に息苦しさ感があり、特に吸収体が鼻水を吸収すると、吸収体における通気抵抗が大きくなることから、息苦しさ感が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、息苦しさ感を改善しつつ鼻水を吸収でき、安価に製作可能で斬新なデザインのマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマスクは、鼻と口を覆うドーム状のマスク本体と、マスク本体を顔に固定するマスク固定具とを有するマスクであって、前記マスク本体の高さ方向の途中部を内側へ窪ませて、鼻と口間の鼻下部分へ向けて突出する支持突部を一体的に形成し、前記支持突部に鼻下部分に当接して鼻水を吸収する吸収体を鼻孔から離して設けたものである。
【0008】
このマスクでは、吸収体を鼻孔から離して設けているので、吸収体が鼻孔を塞ぐことによる息苦しさを効果的に防止できる。しかも、ドーム状のマスク本体の支持突部に吸収体を固定しているので、マスク本体を操作して鼻や口と吸収体との位置関係を容易に調整することができる。また、マスク本体は、その高さ方向の途中部を内側に窪ませているものの、基本的にはドーム状に構成しているので、マスク本体と口との間に十分な空間を形成することが可能となり、口からの呼吸についての息苦しさを抑制できる。更に、マスク本体の高さ方向の途中部を内側へ窪ませて支持突部を一体的に形成することで、マスク本体を今までにない斬新なデザインに構成することができる。
【0009】
前記マスク固定具として、途中部をマスク本体に対して回動自在に取付けた連結部材と、連結部材の両端部に取付けた耳掛けとを有するものを用いることも好ましい実施の形態である。この場合には、マスク本体を顔の適正位置に位置調整するときに、連結部材が回動することで、耳掛けの上側と下側とでマスク本体の引張力のバランスを自動調整できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマスクによれば、吸収体を鼻孔から離して設けているので、吸収体が鼻孔を塞ぐことによる息苦しさを効果的に防止できる。しかも、ドーム状のマスク本体の支持突部に吸収体を固定しているので、マスク本体を操作して鼻や口と吸収体との位置関係を容易に調整することができる。また、マスク本体は、その高さ方向の途中部を内側に窪ませているものの、基本的にはドーム状に構成しているので、マスク本体と口との間に十分な空間を形成することが可能となり、口からの呼吸についての息苦しさを抑制できる。更に、マスク本体の高さ方向の途中部を内側へ窪ませて支持突部を一体的に形成することで、マスク本体を今までにない斬新なデザインに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】マスクの斜視図
【図2】マスク本体の正面図
【図3】マスク本体の平面図
【図4】マスク本体の側面図
【図5】図1のV-V線断面図
【図6】使用状態におけるマスク本体の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図6に示すように、マスク10は、鼻Nと口Mを覆うドーム状のマスク本体11と、マスク本体11を顔に固定する左右1対のマスク固定具12と、鼻Nと口M間の鼻下部分NUに当接して鼻水を吸収する吸収体13とを備え、1回ないし数回の使用が可能な使い捨てマスク10として構成されている。
【0013】
マスク本体11は、鼻Nと口Mを覆う周知のドーム形状のマスク本体11を基本形状とし、この基本形状のマスク本体11に対して、鼻Nと口M間の鼻下部分NUへ向けて突出する支持突部14を一体的に形成したものであり、不織布を加熱してプレス成形することで、図1〜図4、図6に示すような立体形状に成形されている。マスク本体11を構成する不織布は、ポリオレフィン系長繊維、ポリエステル系長繊維、ポリアミド系長繊維、ポリアクリル酸エステル系長繊維などの長繊維スパンボンド不織布を単層又は複数積層したものを採用できる。また、不織布の積層枚数や坪量は、マスク10の用途やマスク本体11に要求される保形性などに応じて任意に設定することができる。
【0014】
支持突部14は、マスク本体11の左右方向の中央部で且つ高さ方向の中央部よりもやや上側部分を後方(顔側)へ窪ませることによって、正面視において両端を下側へ向けた左右方向に細長い三日月状に形成されている。支持突部14の左右方向の長さは、支持突部14の成形性を考慮して、マスク本体11の左右方向の長さの50〜80%に設定し、また支持突部14の突出高さは、マスク10を装着した状態で、支持突部14の先端部と鼻下部分NUとに2mm〜10mm程度の隙間が形成されるような高さに設定することが好ましい。ただし、支持突部14の正面形状は、三日月状以外の長方形状や台形状やハート形状など任意の形状に形成できる。
【0015】
マスク本体11の外面側には支持突部14により左右方向に細長い三日月状の溝部15が形成され、この溝部15により斬新なデザインが得られるように構成されている。溝部15の上側には鼻Nを覆う上部膨出部16が形成され、溝部15の下側には口Mを覆う下部膨出部17が形成されている。下部膨出部17の前方への突出高さは上部膨出部16よりも高く設定され、下部膨出部17の上下方向の長さは上部膨出部16よりも長く設定されている。
【0016】
マスク本体11の下部膨出部17の外縁部の左右方向の中央部は顎Cに沿うように円弧状に形成され、マスク本体11の下部膨出部17の外縁部の左右両側部は緩やかな曲線状或いは直線状に形成され、上部膨出部16の左右両縁部と下部膨出部17の左右両縁部とは円弧により滑らかに接続されている。マスク本体11の外周部には断面半円状の補強部18が全周にわたって形成され、この補強部18によりマスク本体11の外周部が補強されるとともに、マスク10を装着したときに、顔に対するマスク本体11の当たりが柔らかくなるように構成されている。ただし、マスク本体11の外縁形状は任意に設定可能である。
【0017】
上部膨出部16の左右方向の中央部は鼻背NRから頬にかけてのラインに沿って前方へ突出する山形形状に構成され、上部膨出部16の外縁部と顔との間にできるだけ隙間が形成されないように構成されている。下部膨出部17の内部空間19は、極力大きくなるように設定され、口Mによる呼吸が楽に行えるように構成されている。
【0018】
上部膨出部16の内面上部には細長いクッション材20が左右方向に取り付けられ、このクッション材20により上部膨出部16と鼻背NRから頬にかけてのライン間の隙間を塞ぐことで、メガネを使用したときに、マスク本体11と顔間からメガネ側へ呼気が流出することを防止して、呼気によるメガネの曇りを防止できるように構成されている。また、上部膨出部16の外面上部にはポリエチレンなどの可撓性プラスチックからなる細長い保形部材21が左右方向に設けられ、上部膨出部16を保形部材21とともに鼻背NRから頬にかけてのラインに沿うように変形させて、上部膨出部16と鼻背NRから頬にかけてのライン間の隙間を極力少なくできるように構成されている。ただし、保形部材21としては、可撓性プラスチック以外に、塑性変形可能な金属細線や、該金属細線を樹脂被覆したものなどを用いることも可能である。また、クッション材20と保形部材21の少なくとも一方は省略することが可能である。
【0019】
吸収体13は、織布や不織布からなる透水性の袋に、液体を吸収する吸収材料を封入したもので、支持突部14の顔側の先端部に沿って取付けられ、マスク10を取り付けた状態で、鼻孔NHを塞がないように鼻Nの下側に間隔をあけて配置されるとともに、吸収体13が鼻Nと口M間の鼻下部分NUに当接して、鼻Nからの呼吸が楽に行えるように構成しつつ、鼻孔NHから流れ出た鼻水を吸収体13で吸収できるように構成されている。ただし、吸収体13として、織布や不織布などからなるシート材に吸収材料を保持させたものを用いてもよい。
【0020】
吸収体13の左右方向の長さは、左右の鼻孔NHの外端部間の長さよりも長く設定され、左右の鼻孔NHから流れ出た鼻水を吸収体13で確実に吸収できるように構成されている。図2に示す吸収体13では、吸収体13の左右方向の長さを左右の鼻N翼の外端部間の長さと、唇の左右の長さの略中間の長さに設定されている。吸収体13の上下方向の幅は、鼻Nと口M間の鼻下部分NUの上下方向の長さよりも短く設定され、吸収体13が鼻Nや上唇に接触しないように構成されている。
【0021】
吸収材料としては、鼻水を吸収できるものであれば任意の素材からなるものを採用できるが、吸収した鼻水が再度排出されることを防止してサラサラ感が得られることから、高吸水性ポリマー粒子を好適に採用できる。高吸水性ポリマー粒子としては、澱粉類、架橋若しくは加工澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、それらの誘導体などが挙げられる。これら高吸水性ポリマーのなかでも、ポリビニルアルコール及びその誘導体が吸収性及び水溶性の観点から好ましく、更にエチレンオキシド変性ポリビニルアルコールパウダーを用いることが好ましい。ただし、上述した以外の吸水材を用いることも可能である。
【0022】
マスク固定具12は、マスク本体11の両側部に取付けた枢支ピン25と、途中部を枢支ピン25に回転自在に支持した連結部材26と、連結部材26の両端部に取付けた耳掛け27とを備えている。
【0023】
マスク本体11の左右両側部には貫通孔28が形成され、連結部材26の長さ方向の中央部にはピン孔29が形成され、連結部材26は、連結部材26をマスク本体11に重ね合わせて、ピン孔29と貫通孔28に枢支ピン25を装着し、枢支ピン25の先端部に固定リング30を取付けることでマスク本体11に回動自在に取り付けられている。
【0024】
耳掛け27は、伸縮可能なゴム紐や伸縮不能な紐部材で構成され、両端部を連結部材26の両端部に形成した切込部31に挿入保持させて、連結部材26に取付けられている。ただし、マスク固定具12としては、上述した以外の構成のものを採用することも可能で、例えばゴム紐からなる耳掛け27の両端部をマスク本体11の側部に、上下に間隔をあけて熱融着や接着剤などにより直接的に固定することも可能である。
【0025】
このマスク10を使用する際には、左右の耳掛け27を左右の耳に引っ掛けてマスク本体11を顔に固定することになるが、このときマスク本体11の外縁部と顔との間に極力隙間が形成されないようにするとともに、吸収体13の先端部が鼻下部分NUに当接され、吸収体13により鼻孔NHが塞がれないように、マスク本体11の位置を調整することになる。そして、風邪や花粉症により鼻孔NHから流れ出た鼻水を吸収体13により順次吸収して、鼻水が口Mや顎Cの方へ流れることを防止でき、マスク10の利用者に不快感を与えることを防止できる。また、マスク本体11を顔の適正位置に位置調整するときに、連結部材26が枢支ピン25を中心に回動して、耳掛け27の上側と下側とにおけるマスク本体11の引張力のバランスが自動調整されることになる。
【0026】
このマスク10では、鼻Nや口Mでの呼吸が楽なドーム型のマスク本体11を採用しつつ、部品点数を増やしたり、吸収体13が不必要に大型になったりすることを防止して、マスク10の製作コストを極力安くできる。しかも、吸収体13により多量の鼻水を吸収できるので、使用感の優れたマスク10を実現できる。加えて、マスク本体11の正面に三日月状の溝部15が形成されるので、今までにない斬新なデザインのマスク10を実現できる。
【符号の説明】
【0027】
10 マスク 11 マスク本体
12 マスク固定具 13 吸収体
14 支持突部 15 溝部
16 上部膨出部 17 下部膨出部
18 補強部 19 内部空間
20 クッション材 21 保形部材
25 枢支ピン 26 連結部材
27 耳掛け 28 貫通孔
29 ピン孔 30 固定リング
31 切込部
C 顎 M 口
N 鼻 NH 鼻孔
NR 鼻背 NU 鼻下部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻と口を覆うドーム状のマスク本体と、マスク本体を顔に固定するマスク固定具とを有するマスクであって、
前記マスク本体の高さ方向の途中部を内側へ窪ませて、鼻と口間の鼻下部分へ向けて突出する支持突部を一体的に形成し、
前記支持突部に鼻下部分に当接して鼻水を吸収する吸収体を鼻孔から離して設けた、
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク固定具として、途中部をマスク本体に対して回動自在に取付けた連結部材と、連結部材の両端部に取付けた耳掛けとを有するものを用いた請求項1記載のマスク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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