説明

マスタシリンダ

【課題】ピストンの後端部に対する入力ロッドの前端部のガタつきを、シンプルな構成にて、抑制する。
【解決手段】マスタシリンダMCは、シリンダ内孔11を有するシリンダボディ10、シリンダ内孔11に組付けられて前方にリザーバRに対して連通・遮断される液圧室25を形成するピストン21、これを後方に付勢するスプリング32、ピストン21の凹部21bに挿通され前端部にてピストン21の後端部に当接し後端部にてブレーキペダル90に連結される入力ロッド40、シリンダボディ10の後端部に組付けられピストン21の後端部と入力ロッド40の前端部を同軸的に収容するブラケット81を備える。ピストン21より後方にてブラケット81内に収容されている入力ロッド40の外周に環状フランジ部41cが設けられ、ブラケット81に環状フランジ部41cとの当接によって環状フランジ部41cの後退位置を規定するストッパ部81aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の液圧ブレーキ装置において採用されるマスタシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマスタシリンダの一つとして、車体に組付けられてシリンダ内孔を有するシリンダボディと、このシリンダボディの前記シリンダ内孔にシリンダ軸方向に移動可能に組付けられて前方にリザーバに対して連通・遮断される液圧室を形成するピストンと、このピストンを後方に付勢するスプリングと、前記ピストンの後端部軸心に同軸的に形成された凹部に挿通されて前端部にて前記ピストンの後端部に当接し後端部にてブレーキペダルに連結される入力ロッドを備えるとともに、前記シリンダボディの後端部に組付けられて前記ピストンの後端部と前記入力ロッドの前端部を同軸的に収容する円筒状のブラケットを備えているものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4206887号公報
【0004】
上記した特許文献1に記載されているマスタシリンダにおいて、円筒状のブラケット(ピストンガイドと記載されている)は、ピストンの後端一部との当接によりピストンの後退位置を規定する。ところで、上記した特許文献1に記載されているマスタシリンダの入力ロッドは、その先端の球形部をピストンの凹部の奥底に当接させた状態で凹部内に傾動可能に係止されていて、その後端部にてブレーキペダルに連結されている。
【発明の概要】
【0005】
このため、上記した特許文献1に記載されているマスタシリンダでは、入力ロッドの後端部がブレーキペダルに単に連結されている場合、入力ロッドの球形部とこれを傾動可能に支持するピストンの凹部間に在る隙間(上記した傾動を円滑とするために必要な隙間)に起因して、入力ロッドがピストンに対してガタつくおそれがあり、フィーリングを損ねるおそれがある。なお、上記した隙間を無くすようにスプリングを介装することにより、上記したガタは解消することが可能であるが、この場合には部品(スプリング)が増加してコストアップとなる。
【0006】
また、上記した特許文献1に記載されているマスタシリンダでは、ピストンを後方に付勢するスプリングの付勢力がブラケットの一部(ピストンの周方向における一部)にて受け止められるおそれがあり、その結果、ピストンがスプリングの付勢力により横力(シリンダボディへのピストン抉り力)を受けるおそれがある。この場合には、上記した横力によりピストンの外周部が傷付けられて、ピストンとシリンダボディ間のシール性が損なわれるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、マスタシリンダが、車体に組付けられてシリンダ内孔を有するシリンダボディと、このシリンダボディの前記シリンダ内孔にシリンダ軸方向に移動可能に組付けられて前方にリザーバに対して連通・遮断される液圧室を形成するピストンと、このピストンを後方に付勢するスプリングと、前記ピストンの後端部において該ピストンの軸心に同軸的に形成された凹部に挿通されて前端部にて前記ピストンの後端部に当接し後端部にてブレーキペダルに連結される入力ロッドを備えるとともに、前記シリンダボディの後端部に組付けられて前記ピストンの後端部と前記入力ロッドの前端部を同軸的に収容する筒状のブラケットを備えていて、前記ピストンより後方にて前記ブラケット内に収容されている前記入力ロッドの外周に、環状フランジ部が設けられ、前記ブラケットに、前記環状フランジ部との当接によって前記環状フランジ部の後退位置を規定するストッパ部が設けられていることに特徴がある。
【0008】
本発明によるマスタシリンダでは、入力ロッドの環状フランジ部がブラケットのストッパ部により後退位置を規定されることで、ピストンも後退位置を規定される。ところで、入力ロッドとピストンがブラケットのストッパ部により後退位置を規定されている状態では、ピストンを後方に付勢するスプリングの付勢力がブラケットのストッパ部にて受け止められて、ピストンの後端部と入力ロッドの前端部は隙間なく弾性的に係合している。このため、シンプルな構成にて、ピストンの後端部に対する入力ロッドの前端部のガタつきが抑制されて、ガタによるフィーリング悪化が抑制される。
【0009】
本発明の実施に際して、前記環状フランジ部の後端面は、前記ピストンと前記入力ロッドとの当接部中心を中心とする球形の凸面状に形成され、前記ストッパ部の前端面は前記ピストンの軸心を中心とし前記環状フランジ部の球形の凸面状部分と面接触可能な円錐形の凹面状に形成されていることも可能である。この場合には、仮に、入力ロッドがピストンの軸心に対して傾動した状態にて、環状フランジ部の後端面がストッパ部の前端面に当接して入力ロッドとピストンが後退位置を規定される場合においても、スプリングの付勢力がブラケットのストッパ部にて的確に受け止められて、ピストンに与える横力(シリンダボディへのピストン抉り力)を抑えることが可能である。また、この場合には、入力ロッドのピストンに対する傾動に拘わらず、環状フランジ部の後端面とストッパ部の前端面との当接部位は常に円形で均一に当接するため、ストッパ部の全体に応力は均一に分散される。このため、ブラケットの薄肉化が可能であり、ブラケットの小型・軽量化が可能である。
【0010】
また、本発明の実施に際して、前記環状フランジ部の後端面と前記ストッパ部の前端面との間には、緩衝材が配設されていることも可能である。この場合には、入力ロッドとピストンがブラケットのストッパ部により後退位置を規定される際に、環状フランジ部の後端面とストッパ部の前端面との当接部位に緩衝材が介在する。このため、環状フランジ部の後端面とストッパ部の前端面との当接が緩和されて、当接に伴う音・振動の発生が抑制される。なお、この場合において、緩衝材との接触面積を小さくするための突起を、例えば、緩衝材に設けた場合には、緩衝材の貼り付きを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるマスタシリンダの一実施形態を示した縦断側面図である。
【図2】図1に示したマスタシリンダの正面図である。
【図3】図1に示した緩衝材単体の部分正面図である。
【図4】図3に示した緩衝材の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明によるマスタシリンダMCを示していて、このマスタシリンダMCは、車体のダッシュパネル(図示省略)に組付けられるシリンダボディ10と、このシリンダボディ10内に組付けられたピストン21,31およびスプリング22,32と、後方のピストン21とブレーキペダル90間に介装された入力ロッド40を備えるとともに、シリンダボディ10外に組付けられたストッパブラケット81およびダッシュ取付ブラケット82を備えている。
【0013】
シリンダボディ10は、段付のシリンダ内孔11を有していて、ブレーキ液を収容するリザーバRに接続される前後一対の接続ポート12,13を有するとともに、液圧制御装置(図示省略)を介して4個のホイールシリンダ(図示省略)に接続される前後一対のアウトレットポート14,15を有している。
【0014】
後方のピストン(プライマリーピストン)21は、シリンダ内孔11の後方部位にプライマリーカップ23とプレッシャーカップ24を介して液密的かつシリンダ軸方向に移動可能に組付けられていて、前方にプライマリー液圧室25を形成し、プライマリーカップ23とプレッシャーカップ24間に大気圧液室26を形成している。
【0015】
後方のスプリング22は、プライマリー液圧室25に設けられていて、中央位置決め機構のリテーナ51とストッパ52間に介装されており、図示状態でのセット荷重がf22に設定されていて、後方のピストン21を後方に向けて付勢している。中央位置決め機構は、両ピストン21,31間の初期離間距離(図示状態での長さ)を規定するものであり、プライマリー液圧室25内に介装されていて、後方のピストン21に組付けたリテーナ51と、前方のピストン31と係合するストッパ52と、リテーナ51に対して固定されストッパ52に対して図示位置から前方に所定量移動可能に組付けられたロッド53によって構成されている。
【0016】
プライマリー液圧室25は、後方のアウトレットポート15に常時連通していて、図示状態にて後方のピストン21に設けた径方向の連通孔21aを通して大気圧液室26に連通する液圧室であり、後方のピストン21が図示初期位置から前方に所定量移動して、連通孔21aと大気圧液室26の連通がプライマリーカップ23によって遮断されることにより、大気圧液室26との連通が遮断されて密閉されるように構成されている。大気圧液室26は、後方の接続ポート13に常時連通する液圧室であり、リザーバRに常時連通している。
【0017】
前方のピストン(セカンダリーピストン)31は、シリンダ内孔11の前方部位にプライマリーカップ33とプレッシャーカップ34を介して液密的かつシリンダ軸方向に移動可能に組付けられていて、前方にセカンダリー液圧室35を形成し、プライマリーカップ33とプレッシャーカップ34間に大気圧液室36を形成している。このピストン31は、後方のスプリング22と中央位置決め機構(51,52,53)を介して後方のピストン21に係合していて、ブレーキペダル90の動きに応じて後方のピストン21とともに前後動するように構成されている。なお、前方のピストン31の受圧面積は、後方のピストン21の受圧面積と同じに設定されている。
【0018】
前方のスプリング32は、セカンダリー液圧室35に設けられていて、前方位置決め機構のリテーナ61とストッパ62間に介装されており、図示状態でのセット荷重がf32(f22>f32)に設定されていて、前方のピストン31、後方のスプリング22と中央位置決め機構(51,52,53)および後方のピストン21等を後方に向けて付勢している。前方位置決め機構は、前方のピストン31の組付時の位置(図示位置より僅かに後方で、ロッド63がストッパ62によって後方への移動を規制される位置)を規定するものであり、セカンダリー液圧室35内に介装されていて、前方のピストン31に組付けたリテーナ61と、シリンダボディ10の前壁と係合するストッパ62と、リテーナ61に対して固定されストッパ62に対して図示位置から前方に所定量移動可能に組付けられたロッド63によって構成されている。
【0019】
セカンダリー液圧室35は、図示状態にて前方のピストン31に設けた径方向の連通孔31aを通して大気圧液室36に連通する液圧室であり、前方のピストン31が図示初期位置から前方に所定量移動して、連通孔31aと大気圧液室36の連通がプライマリーカップ33によって遮断されることにより、大気圧液室36との連通が遮断されて密閉されるように構成されている。大気圧液室36は、接続ポート12に常時連通する液圧室であり、リザーバRに常時連通している。
【0020】
入力ロッド40は、主体ロッド部41と先端ロッド部42と後端連結部43とロックナット44によって構成されていて、前方部分が後方のピストン21の後端部軸心に同軸的に形成された凹部21bに挿通されており、先端ロッド部42の球状前端部42aにて後方のピストン21の後端部(凹部21bの球状底部)に傾動可能に当接し、後端連結部43にて連結軸91を介してブレーキペダル90に連結されている。
【0021】
主体ロッド部41は、前端部軸心に雌ねじ部41aを有していて、先端ロッド部42が前後方向に位置(長さ)調整可能に連結され雌ねじ部41aの先端部をカシメることにより固定されている。また、主体ロッド部41は、後端部に雄ねじ部41bを有していて、後端連結部43が前後方向に位置調整可能に連結されてロックナット44により固定されている。また、主体ロッド部41は、中間部外周に環状フランジ部41cを有していて、緩衝材70を介してストッパブラケット81のストッパ部81aに当接している。
【0022】
ストッパブラケット81は、図1および図2に示したように、シリンダボディ10の後端部にシリンダ内孔11に対して同軸的に嵌合された状態にて、ダッシュ取付ブラケット82およびスペーサ83と共に、シリンダボディ10のI字状フランジ部16に組付けられている。このストッパブラケット81は、ダッシュ取付ブラケット82より後方部分が円筒状に形成されていて、後方のピストン21の後端部と入力ロッド40の前端部を同軸的に収容している。なお、ストッパブラケット81内には、後方のピストン21の後端部と入力ロッド40の前端部を被覆保護するブーツ89も収容されている。
【0023】
ダッシュ取付ブラケット82は、マスタシリンダMCを車体のダッシュパネル(図示省略)に組付けるためのものであり、スペーサ83、ストッパブラケット81およびシリンダボディ10等を重ねて組付けるための前方に延びる2本のボルト82a(図2参照)と、これらをダッシュパネル(図示省略)に組付けるための後方に延びる2本のボルト82bが固着されている。なお、各ボルト82aにはナット84が螺着されていて、スペーサ83、ストッパブラケット81およびシリンダボディ10等がダッシュ取付ブラケット82に固定されている。
【0024】
ところで、この実施形態においては、図1に示したように、入力ロッド40の環状フランジ部41cが緩衝材70を介してストッパブラケット81のストッパ部81aに当接することによって、環状フランジ部41cすなわち入力ロッド40の後退位置(図示初期位置)が規定されるように構成されている。また、環状フランジ部41cの後端面が、後方のピストン21と入力ロッド40の当接部中心(傾動中心であり、球状前端部42aの球中心)を中心とする球形状で凸面状に形成され、ストッパ部81aの前端面が、後方のピストン21の軸心を中心とする円錐形状であって環状フランジ部41cの後端面における前記球形状で凸面状の部分と面接触するように凹面状に形成されている。
【0025】
緩衝材70は、ゴム等の弾性素材によって環状に形成されていて、環状フランジ部41cの後側に組付けられており、環状フランジ部41cの後端面とストッパ部81aの前端面間に配設されている。この緩衝材70のストッパ部81a側には、図3に示した放射状に延びる複数個の突起71が形成されるとともに、各突起71に沿って延びる溝72(図示4参照)が形成されていて、緩衝材70との接触面積が小さくされるとともに、突起71の変形(溝72への変形)が容易とされている。
【0026】
上記のように構成したこの実施形態においては、入力ロッド40の環状フランジ部41cがストッパブラケット81のストッパ部81aにより後退位置を規定されることで、後方のピストン21も後退位置を規定される。ところで、入力ロッド40と後方のピストン21がストッパブラケット81のストッパ部81aにより後退位置を規定されている状態(図1の状態)では、後方のピストン21を後方に付勢するスプリング32の付勢力がストッパブラケット81のストッパ部81aにて受け止められて、後方のピストン21の後端部と入力ロッド40の前端部は隙間なく弾性的に係合している。このため、後方のピストン21の後端部に対する入力ロッド40の前端部のガタつきがシンプルな構成にて抑制されて、ガタによるフィーリング悪化が抑制される。
【0027】
また、この実施形態では、環状フランジ部41cの後端面が、後方のピストン21と入力ロッド40との当接部中心(傾動中心)を中心とする球形状で凸面状に形成され、ストッパ部81aの前端面が、後方のピストン21の軸心を中心とする円錐形状であって環状フランジ部41cの後端面における前記球形状で凸面状の部分と面接触するように凹面状に形成されている。このため、仮に、入力ロッド40が後方のピストン21の軸心に対して傾動した状態にて、環状フランジ部41cの後端面がストッパ部81aの前端面に当接して入力ロッド40とピストン21が後退位置を規定される場合においても、スプリング32の付勢力がストッパブラケット81のストッパ部81aにて的確に受け止められて、ピストン21に与える横力(シリンダボディ10へのピストン抉り力)を抑えることが可能である。また、入力ロッド40のピストン21に対する傾動に拘わらず、環状フランジ部41cの後端面とストッパ部81aの前端面との当接部位は常に円形で均一に当接するため、ストッパ部81aの全体に応力は均一に分散される。このため、ストッパブラケット81の薄肉化が可能であり、ストッパブラケット81の小型・軽量化が可能である。
【0028】
また、この実施形態では、環状フランジ部41cの後端面とストッパ部81aの前端面との間には、緩衝材70が配設されている。このため、入力ロッド40とピストン21がストッパブラケット81のストッパ部81aにより後退位置を規定される際に、環状フランジ部41cの後端面とストッパ部81aの前端面との当接部位に緩衝材70が介在する。このため、環状フランジ部41cの後端面とストッパ部81aの前端面との当接が緩和されて、当接に伴う音・振動の発生が抑制される。また、緩衝材70には、緩衝材70との接触面積を小さくするための突起71が形成されているため、緩衝材70のストッパ部81aへの貼り付きを防止することが可能である。
【0029】
また、この実施形態においては、入力ロッド40において、主体ロッド部41に対して先端ロッド部42が前後方向に位置調整可能であるため、両ピストン21,31の初期位置を調整可能であるとともに、主体ロッド部41に対して後端連結部43が前後方向に位置調整可能であるため、ブレーキペダル90の初期位置を調整可能である。
【0030】
上記した実施形態においては、図1に示したマスタシリンダMCに本発明を実施したが、本発明は、車体に組付けられてシリンダ内孔を有するシリンダボディと、このシリンダボディの前記シリンダ内孔にシリンダ軸方向に移動可能に組付けられて前方にリザーバに対して連通・遮断される液圧室を形成するピストンと、このピストンを後方に付勢するスプリングと、前記ピストンの後端部において該ピストンの軸心に同軸的に形成された凹部に挿通されて前端部にて前記ピストンの後端部に当接し後端部にてブレーキペダルに連結される入力ロッドを備える種々なマスタシリンダにも、上記実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。また、上記した実施形態においては、環状フランジ部41cの後側に緩衝材70を組付けて実施したが、緩衝材(70)はストッパ部(81a)の前側に組付けて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10…シリンダボディ、11…シリンダ内孔、21,31…ピストン、21b…凹部、22,32…スプリング、25,35…液圧室、40…入力ロッド、41c…環状フランジ部、70…緩衝材、81…ストッパブラケット(ブラケット)、81a…ストッパ部、90…ブレーキペダル、R…リザーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に組付けられてシリンダ内孔を有するシリンダボディと、このシリンダボディの前記シリンダ内孔にシリンダ軸方向に移動可能に組付けられて前方にリザーバに対して連通・遮断される液圧室を形成するピストンと、このピストンを後方に付勢するスプリングと、前記ピストンの後端部において該ピストンの軸心に同軸的に形成された凹部に挿通されて前端部にて前記ピストンの後端部に当接し後端部にてブレーキペダルに連結される入力ロッドを備えるとともに、前記シリンダボディの後端部に組付けられて前記ピストンの後端部と前記入力ロッドの前端部を同軸的に収容する筒状のブラケットを備えていて、
前記ピストンより後方にて前記ブラケット内に収容されている前記入力ロッドの外周に、環状フランジ部が設けられ、
前記ブラケットに、前記環状フランジ部との当接によって前記環状フランジ部の後退位置を規定するストッパ部が設けられているマスタシリンダ。
【請求項2】
請求項1に記載のマスタシリンダにおいて、前記環状フランジ部の後端面は、前記ピストンと前記入力ロッドとの当接部中心を中心とする球形の凸面状に形成され、前記ストッパ部の前端面は前記ピストンの軸心を中心とし前記環状フランジ部の球形の凸面状部分と面接触可能な円錐形の凹面状に形成されていることを特徴とするマスタシリンダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマスタシリンダにおいて、前記環状フランジ部の後端面と前記ストッパ部の前端面との間には、緩衝材が配設されていることを特徴とするマスタシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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