説明

マッサージ機

【課題】 ふくらはぎ用マッサージユニットを傾動可能及び/又は上下にスライド可能とすることにより、被施療者へのマッサージ効果を高めるようにする。
【解決手段】 足先用マッサージユニット(10)の基端に、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を連結機構(90)によって傾動可能及び/又は上下にスライド可能に連結し、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)内にあるエアバッグ(85)(86)と、足先用マッサージユニット(10)内にあるポンプ(60)とを接続するエア供給ホース(85a)(86b)の両端を、夫々、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のカバーを貫通し且つ後方へ屈曲されたホース連結具(85b)(86c)と、足先用マッサージユニット(10)の後面より後向きに突出し且つ後面に沿って屈曲されたホース連結具(85c)(86d)に接続する。ポンプの圧縮空気を、これらホース連結具、エア供給ホース、ホース連結具を介してエアバッグへ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージすることのできる足用マッサージユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者が足先を挿入し、足先のマッサージを受ける足先用マッサージユニットと、ふくらはぎを挿入し、ふくらはぎのマッサージを受けるふくらはぎ用マッサージユニットを取り付け、足の膝から下をマッサージできるようにした足用マッサージユニットがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−238963号公報(全文)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ふくらはぎ用マッサージユニットは、足先用マッサージユニットに固定されているため、被施療者の好みに応じて角度を変えたり、高さを変えることができるものはないため、不自然な姿勢によりマッサージ中に足が疲れたり、所望の患部にマッサージを受けることができず、マッサージ効果が低減してしまうことがあった。
【0004】
本発明の目的は、ふくらはぎ用マッサージユニットを傾動可能及び/又は上下にスライド可能とすることにより、被施療者へのマッサージ効果を高めることのできる足用マッサージユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の足用マッサージユニットは、
被施療者の足先をマッサージする足先用マッサージユニットの基端に、被施療者のふくらはぎをマッサージするふくらはぎ用マッサージユニットを連結機構によって傾動可能及び/又は上下にスライド可能に連結してなる足用マッサージユニットで、
ふくらはぎ用マッサージユニットは、被施療者のふくらはぎをマッサージするエアバッグを具え、足先用マッサージユニットには、このエアバッグに圧縮空気を送給するポンプを具えており、
ふくらはぎ用マッサージユニットには、ふくらはぎ用マッサージユニットのカバーを貫通し且つ後方へ屈曲されたホース連結具を装着し、足先用マッサージユニットの後面には、後向きに該後面より突出し且つ後面に沿って屈曲されたホース連結具を装着し、
前記ふくらはぎ用マッサージユニットのホース連結具と足先用マッサージユニットのホース連結具とをエア供給ホースで接続することにより、前記ポンプの圧縮空気を、足先用マッサージユニットのホース連結具、エア供給ホース、ふくらはぎ用マッサージユニットのホース連結具を介して前記エアバッグへ供給するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
ふくらはぎ用マッサージユニットを、足先用マッサージユニットに対して傾動可能とし、足先用マッサージユニットに対して、角度を変えることができるから、マッサージ中に足が疲れることもない。
【0007】
例えば、被施療者が寝転んで施療を受けたいときには、ふくらはぎ用マッサージユニットにふくらはぎを挿入し、寝転ぶだけで、その他何ら操作を行なわなくても、ふくらはぎ用マッサージユニットを後ろに大きく傾動させることもできる。
【0008】
またふくらはぎ用マッサージユニットを足先用マッサージユニットに対して上下にスライド可能とした連結機構により、ふくらはぎ用マッサージユニットを、被施療者のふくらはぎの高さ及びマッサージを所望する患部の高さに合わせることができ、効果的なマッサージを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージすることのできる足用マッサージユニット(100)を例に挙げて説明する。
【0010】
図1は、本発明の足用マッサージユニット(100)の斜視図、図2は正面図、図3は側面
図、図4は背面図、図5乃至図6は、足用マッサージユニット(100)の使用状態を示す側
面図である。
【0011】
足用マッサージユニット(100)は、被施療者の足先、具体的には、くるぶしよりも下の
部分をマッサージする足先用マッサージユニット(10)と、足先用マッサージユニット(10)の基端に連結機構(90)を介して傾動可能且つスライド可能に連繋され、被施療者のふくらはぎをマッサージするふくらはぎ用マッサージユニット(80)とを具えている。
【0012】
以下、足先用マッサージユニット(10)、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)、両ユニット(10)(80)の連結機構(90)について順に説明する。
【0013】
<足先用マッサージユニット>
足先用マッサージユニット(10)は、図1に示すように、樹脂製カバー(12)に、被施療者の足先(くるぶしよりも下の部分)を挿入する断面コ字状の左右一対の凹状受部(20)(20)が形成されている。凹状受部(20)(20)間は、図1及び図2に示すように中央壁(14)で仕切られており、凹状受部(20)の内面は、布カバー(16)で被覆されている。
【0014】
樹脂製カバー(12)の基端側側面には、後述するふくらはぎ用マッサージユニット(10)を傾動可能に支持する連結機構(90)の傾動部(91)(後述する)が形成されている。
【0015】
図7は、足先用マッサージユニット(10)の布カバー(16)を取り外した状態を示す平面図、図8は、図7の線X1−X1に沿う矢視断面図、図9は、図7の線X2−X2に沿う矢視断面図、図10は、図7の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【0016】
凹状受部(20)の両側面には側面エアバッグ(21)(21)が取り付けられており、内面側を布カバー(16)で被覆している。側面エアバッグ(21)(21)は、連結ホース(65)によって連通しており、連結ホース(65)は、エア供給ホース(64)によって、電磁弁(62)及びポンプ(60)に接続されている。側面エアバッグ(21)は、ブロー成型により作られ、前後に夫々ひだ状の膨張部(21a)(21b)が形成されている。その他、ナイロン製の布地にウレタンシートをラミネートして作製することもできる。
【0017】
連結ホース(65)は、図7及び図8に示すように、かかと側ではなく、凹状受部(20)の底面の前方側(後述する指圧棒(32)の移動範囲外の位置で、一般的な大きさの足では接触しない位置)に設けられた凹み(65a)に配設されており、後述するヒータ(50)と凹状受部(20)の底面を介して熱交換可能に接近している。このように連結ホース(65)を配設することにより、連結ホース(65)を通って側面エアバッグ(21)に供給される圧縮空気を暖めることができ、温熱効果を高めることができる。また、このような構成とすることにより、被施療者の足裏への温熱効果を低下させることなく、圧縮空気を暖めることができる。一方、足裏やかかとが当たる部分に連結ホース(65)を通すと、ヒータ(50)の熱が連結ホース(65)に妨げられて足裏に伝わり難くなり温熱効果が低下してしまうので、上記構成が望ましい。
【0018】
なお、図では、凹状受部(20)の両側面に夫々側面エアバッグ(21)(21)を設けているが、一方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材から作成することができる。
【0019】
凹状受部(20)の底面は、図8に示すように、前方が高く、後方が低くなるように傾斜して構成されている。これは、被施療者が足先を入れたときに、足先の安定性を高めるためである。また、凹状受部(20)の後端には、足先が凹状受部(20)から脱落しないように立ち壁(23)が上向きに突設して形成されている。立ち壁(23)は、かかとが合致するように後方に向けて凹んだ形状をしている。立ち壁(23)は、20〜50mmの高さとすることが望ましい。
【0020】
凹状受部(20)の底面には、図7、図8及び図10に示すように、被施療者の足裏をマッサージするマッサージ手段(30)が配備されている。マッサージ手段(30)として、図示の指圧棒(32)(32)を具えた手段を例示することができる。指圧棒(32)(32)は、凹状受部(20)の底面に開設された2つの長孔(25)(25)から先端が突出するよう配置されている。長孔(25)(25)は、凹状受部(20)の前後方向に延びるように開設されており、長孔(25)(25)の周囲には、下方に向けてリブ(26)が突設されている。
【0021】
凹状受部(20)の底面の裏側には、ヒータ(50)が取り付けられている。ヒータ(50)として、ヒータ線をアルミ箔で包んだものを例示できる。ヒータ(50)は、図7及び図10に示すように、上記長孔(25)(25)を囲むように配置することができる。上記のように、長孔(25)にリブ(26)を形成しておくことにより、被施療者が誤って水等を足用マッサージユニット(10)にこぼしてしまっても、ヒータ(50)には、直接水等が掛かることはない。従って、長孔(25)にリブ(26)を設けることにより、ヒータ(50)の防水を図ることができる。
【0022】
マッサージ手段(30)は、図8及び図10に示すように、筺体(36)の内部から2つの指圧棒(32)(32)が突出可能な状態で、凹状受部(20)の底面の裏側に配置されている。筺体(36)の内部には、断面円形の指圧棒(32)(32)が2つ立設された矩形のプレート(33)を具え、該プレート(33)は、下部に配置された底面エアバッグ(34)上に載置されている。筺体(36)の上部開口は、後述する取付板(40)により閉じられており、取付板(40)に開設された孔(42)から指圧棒(32)が突出している。取付板(40)とプレート(33)の上面との間にはプレート(33)を下向きに付勢するバネ(35)が配置されており、底面エアバッグ(34)が収縮した状態ではプレート(33)は下向きに押されて、指圧棒(32)(32)の突出量が最小となっている。
【0023】
底面エアバッグ(34)は、例えば、ナイロン製の布地にウレタンシートをラミネートしたものを用いることができる。底面エアバッグ(34)は、エア供給ホース(64)を介して、図9に示すように、足先用マッサージユニット(10)の内部に配置された電磁弁(62)及びポンプ(60)に接続されている。電磁弁(62)を開閉することにより、ポンプ(60)から圧縮空気を供給すると、底面エアバッグ(34)が膨張して、指圧棒(32)が上方に移動する。底面エアバッグ(34)から空気を抜くと、バネ(35)の付勢力によって、指圧棒(32)は下方に移動する。
【0024】
樹脂製カバー(12)の底面は、左右の端部近傍に図10に示すように、上向きに隆起しており、マッサージ手段(30)をスライド可能に支持するレール部(28)(28)が形成されている。なお、レール部(28)は、凹状受部(20)の底面の傾斜に合わせて、前方が高く、後方が低くなるように形成されている。
【0025】
取付板(40)は、図10に示すように、左右方向に長い金属板から構成され、両端にレール部(28)(28)に嵌まり、レール部(28)(28)にスライド可能なガイド(41)(41)が設けられている。取付板(40)には、夫々左右のマッサージ手段(30)(30)の筺体(36)(36)がネジ止めされており、指圧棒(32)(32)が突出する孔(42)(42)が開設されている。取付板(40)の上面中央には、送りナット(43)がナット固定具(44)によって固定されている。送りナット(43)には、後述する送りネジ(45)が噛合した状態で貫通しており、送りネジ(45)の回転により、取付板(40)は、レール部(28)(28)上を前後方向に移動可能となっており、取付板(40)に取り付けられたマッサージ手段(30)(30)を前後に往復可能としている。
【0026】
凹状受部(20)(20)間、即ち、樹脂製カバー(12)の中央壁(14)の内部には、図9及び図10に示すように、マッサージ手段(30)を前後に移動させる送りネジ(45)が、前後方向に延びるよう配置されている。送りネジ(45)は、図9に示すように、凹状受部(20)の底面に合わせて傾斜するように、樹脂製カバー(12)内に設けられたフレーム(46)に支持されており、送りネジ(45)の後端に設けられたプーリ(45a)がベルト(47a)を介してモータ(47)のプーリ(47b)と動力伝達可能に連繋されている。モータ(47)を正回転又は逆回転させることにより、送りネジ(45)が正回転又は逆回転し、送りネジ(45)に取り付けられた送りナット(43)が送りネジ(45)上を移動し、マッサージ手段(30)(30)が前後に往復可能となっている。
【0027】
樹脂製カバー(12)の後端面には、図3及び図4に示すように、後述するふくらはぎ用マッサージユニット(80)のエアバッグに圧縮空気を供給するエア供給ホース(85a)のホース連結具(85c)が設けられている。ホース連結具(85c)は、接続口が樹脂製カバー(12)から後ろ向きに突出して、下向きに屈曲している。このような形状とすることにより、エア供給ホース(85a)を大きい円弧を描いた状態で接続でき、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)が傾動したりスライドしても、エア供給ホース(85a)は折れ曲がりや伸び縮みすることがない。
【0028】
<ふくらはぎ用マッサージユニット(80)>
図11は、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)の布カバー(82a)の一部を取り外し
、一部を断面して示す正面図であり、図12は、図11の線X−Xに沿う矢視断面図、図13は、図11の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【0029】
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、図1及び図2に示すように、樹脂製カバー(82)に、被施療者のふくらはぎを挿入する断面コ字状の左右一対の脚受部(83)(83)が形成されている。脚受部(83)(83)間は、図1、図11及び図12に示すように中央壁(84)で仕切られている。また、脚受部(83)の内面は、布カバー(82a)で被覆されている。
【0030】
図11乃至図13に示すように、脚受部(83)の両側面には側面エアバッグ(85)(85)が取り付けられており、内面側を布カバー(82a)で被覆している。側面エアバッグ(85)(85)は、蛇腹状連結ホース(85f)によって連結されて、共通のエア供給ホース(85a)に接続されている。エア供給ホース(85a)は、樹脂製カバー(82)の下端を貫通するホース連結具(85b)(図4参照)、足先用マッサージユニット(10)の後面に設けられたホース連結具(85c)(図4参照)及び電磁弁(62)(図9参照)を介して、側面エアバッグ(85)を足先用マッサージユニット(10)に配備されたポンプ(60)に接続している。
【0031】
なお、脚受部(83)の両側面に夫々側面エアバッグ(85)(85)を設けているが、一方又は両方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材から作成することができる。
【0032】
また、脚受部(83)の底面にもエアバッグ(86)が配備されている。底面エアバッグ(86)として、図13に示すように、被施療者のふくらはぎに当たる部分に指圧突起(86a)が形成されたものを例示することができる。底面エアバッグ(86)もエア供給ホース(86b)によって、上記と同様、ホース連結具(86c)(86d)及び電磁弁(62)を介して、足先用マッサージユニット(10)に配備されたポンプ(60)に接続されている。指圧突起(86a)は、底面エアバッグ(86)と一体に形成したり、底面エアバッグ(86)に接着等により取り付けることができる。
【0033】
ホース連結具(85b)(86c)は、図17及び図18に示すように、下向き且つ後方に屈曲している。また、ホース連結具(85b)(86c)は、図4に示すように、足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)とは上下に重ならないように位置をずらして設けることが望ましい。このように接続することにより、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を足先用マッサージユニット(10)に対して傾動させたりスライドさせても、ホース連結具(85b)(85c)間及び(86c)(86d)間を接続するエア供給ホース(85a)(86b)を折れ曲がり難くできる。
【0034】
<連結機構(90)>
上記足先用マッサージユニット(10)とふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、連結機構(90)によって連結される。
【0035】
連結機構(90)は、図1及び図2等に示すように、足先用マッサージユニット(10)の樹脂製カバー(12)の基端両側に設けられた傾動部(91)(図15及び図16参照)と、該傾動部(91)に回転可能に支持された傾動用ロッド(94)(94)(図13、図15及び図16参照)、さらに、図11乃至図14に示すように、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)に配備され、傾動用ロッド(94)の先端をスライド可能且つ位置決め可能に支持するスライダ(99)及びスライドレール(97)から構成することができる。連結機構(90)によって、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、足先用マッサージユニット(10)に対して前後方向に傾動可能且つ上下方向にスライド可能且つ位置決め可能となっている。
【0036】
傾動部(91)は、図2、図7等に示すように、足先用マッサージユニット(10)の樹脂製カバー(12)の基端両側に形成されている。傾動部(91)は、図15及び図16に示すように、樹脂製カバー(12)に取り付けられたコ字状のネジ取付台(93)に固定された中心軸(92)を具え、該中心軸(92)には、傾動用ロッド(94)の基端が前後に傾動可能に嵌まっている。
【0037】
傾動用ロッド(94)は、基端側に略楕円形平板状の取付プレート(95)を具え、該取付プレート(95)から連続する断面円形の金属筒である。傾動用ロッド(94)の取付プレート(95)の中央には、図13、図15及び図16に示すように、中心軸(92)に嵌まる孔(95b)が開設されている。取付プレート(95)の周面には、後記するねじりバネ(98)の腕が嵌まる切欠き(95a)が切られている。
【0038】
中心軸(92)には、ねじりバネ(98)が嵌められている。ねじりバネ(98)の腕は、一方が上記取付プレート(95)の切欠き(95a)に嵌まっており、他方が中心軸(92)に固定されたコ字状のネジ取付台(93)に設けられた切欠き(93a)に嵌まっている。ねじりバネ(98)は、傾動用ロッド(94)を前方に向けて付勢するように取り付けられている。
【0039】
樹脂製カバー(12)は、傾動部(91)を包囲部(12b)で包囲すると共に、傾動用ロッド(94)
が所定角度だけ、図示の実施例では、図4、図7、図15及び図16に示すように、足先用マッサージユニット(10)を水平に置いたときに、傾動用ロッド(94)が上向きにほぼ垂直な状態から後方に略90度倒れる状態まで傾動できる溝(12a)が切られている。
【0040】
上記構成により、無負荷の状態では、ねじりバネ(98)の付勢力により、傾動用ロッド(94)は、足先用マッサージユニット(10)に対してほぼ垂直に立設し、傾動用ロッド(94)に後ろ向きの負荷を加えると、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、傾動用ロッド(94)と共に後方に傾く(図6及び図16(a)参照)。なお、負荷を取り除くと、傾動用ロッド(94)はねじりバネ(98)の付勢力によって、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を垂直に復帰させる(図5及び図16(b)参照)。
【0041】
傾動用ロッド(94)(94)の先端側には、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)が、ロッド(94)(94)の長手方向にスライド可能且つ位置決め可能に嵌まっている。
【0042】
傾動用ロッド(94)(94)は、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)の樹脂製カバー(82)の下端両側に開設された孔(87)(87)から樹脂製カバー(82)内に侵入する。
【0043】
左右の傾動用ロッド(94)(94)の先端は、一枚の取付板(94a)で接続されており、該取付
板(94a)には、傾動用ロッド(94)(94)よりも夫々内側に、後方に向けてバネ(99b)付勢された硬球(99a)を具える樹脂製スライダ(99)(99)が取り付けられている。樹脂製スライダ(99)は、図11乃至図14に示すように、樹脂製カバー(82)内の肉盛部にネジ止めされたスライドレール(97)にスライド可能に嵌まっている。スライドレール(97)には、長手方向に等間隔に位置決孔(97a)(97a)が複数開設されている(図14参照)。
【0044】
硬球(99a)は、位置決孔(97a)と位置合わせされたときに、バネ(99b)の付勢により、ス
ライドレール(97)の位置決孔(97a)に嵌まり、傾動用ロッド(94)とふくらはぎ用マッサー
ジユニット(80)の相対的な移動を阻止する。また、被施療者が、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を上方に引っ張ったり、下方に押し付けると、バネ(99b)の付勢力に抗して位置決孔(97a)から硬球(99a)が抜けて、上又は下側にある位置決孔(97a)に嵌まるまで、
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)が上又は下に移動可能となる。
【0045】
上記連結機構(90)によって、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を足先用マッサージユニット(10)に連結することにより、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、足先用マッサージユニット(10)に対して傾動可能となり、足先用マッサージユニット(10)に対して上下動且つ位置決め可能となる。
【0046】
被施療者が椅子に腰掛けた状態で足用マッサージユニット(100)に足を挿入すると、図
5に示すように、足先用マッサージユニット(10)に対してふくらはぎ用マッサージユニット(80)がほぼ垂直な状態で、ふくらはぎがふくらはぎ用マッサージユニット(80)の脚受部(83)の底面に当たって、マッサージを受けることができる。また、被施療者が寝転んで膝を立てた状態で足用マッサージユニット(100)に足を挿入すると、図6に示すように、ふくらはぎがふくらはぎ用マッサージユニット(80)を後方に押し込むため、足先用マッサージユニット(10)に対してふくらはぎ用マッサージユニット(80)が後方に傾動した状態でマッサージを受けることができる。なお、最も後方にふくらはぎ用マッサージユニット(80)が傾動した状態でも、足先用マッサージユニット(10)が浮き上がらないように、足先用マッサージユニット(10)の重心は前方側に設定されている。
【0047】
被施療者は、足用マッサージユニット(100)に足を挿入したときに、ふくらはぎの位置
に合わせてふくらはぎ用マッサージユニット(80)を上下に移動させることができる。また、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を上下に移動させて、広い範囲にマッサージを施すことができる。
【0048】
足用マッサージユニット(100)のすべての操作は、足用マッサージユニット(100)の適所に配備され又はリモートコントロール式の操作パネル(図示せず)によって行なうことができ、これらの制御は、足先用マッサージユニット(10)の内部に配備された制御手段(18)によって行なわれる(図9及び図10参照)。
【0049】
<マッサージ動作>
上記構成の足用マッサージユニット(100)について、被施療者は足先を凹状受部(20)に
、ふくらはぎを脚受部(83)に挿入する。
【0050】
被施療者が足先を凹状受部(20)に挿入し、立ち壁(23)にかかとを押しつける。立ち壁(23)によって、被施療者の足先は、凹状受部(20)内でしっかりと保持され、前後に動くことはない。また、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、被施療者のふくらはぎに当たる方向にバネ(98)付勢されているから、被施療者のふくらはぎは、脚受部(83)にしっかりと当たる。
【0051】
この状態で、操作パネル(図示せず)を操作することにより、種々のマッサージを受けることができる。以下、マッサージの一例について説明する。
【0052】
操作パネルを操作して、足用マッサージユニット(100)の電源をオンにすると、同時に
ヒータ(50)に通電を行なうことができる。これにより、被施療者が凹状受部(20)に足先を挿入する前に凹状受部(20)が暖められるので、凹状受部(20)に足先を挿入したときに被施療者が冷たいと感じることはない。ヒータ(50)への通電は、所定時間(例えば15分間)経過すると終了するように設定してもよい。
【0053】
ヒータ(50)を作動させた状態で、被施療者は足先を凹状受部(20)に挿入する。例えば、睡眠前等に、足先が冷えており、足先を暖めたい場合には、ヒータ(50)のみを昇温させた状態で足先を挿入すればよい。これにより、被施療者の足裏は、温熱施療効果により暖められ、血行が良くなる。
【0054】
<足先用マッサージユニット(10)によるマッサージ>
足先のマッサージは、マッサージ手段(30)の指圧棒(32)による指圧マッサージと、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバッグ(21)で押圧する押圧マッサージ、さらに、これらを組み合わせたマッサージを例示できる。
【0055】
指圧マッサージは、底面エアバッグ(34)を膨張、収縮し、指圧棒(32)を凹状受部(20)の底面から出没させることにより行なうことができる。また、指圧棒(32)の出没と共に、指圧棒(32)を所望の位置に移動させたり、前後に往復移動させることにより(ローリングマッサージを施すことにより)、足裏、特に土踏まずや足指の付け根に効果の高い指圧マッサージを行なうことができる。指圧マッサージの際に、ヒータ(50)により被施療者の足先を暖めることにより、温熱施療効果と指圧施療効果により、施療効果を増大させることができる。
【0056】
底面エアバッグ(34)の膨張、収縮は、電磁弁(62)の開閉及びポンプ(60)の駆動により行なうことができる。また、指圧棒(32)の前後移動は、モータ(47)の駆動により行なうことができる。
【0057】
なお、操作パネルに、被施療者毎に異なる足サイズを選択するボタンを配置し、被施療者の足サイズを選択することにより、土踏まずや足指の付け根の指圧マッサージの際に、足サイズに応じて、指圧棒(32)の移動範囲が決定されるように制御してもよい。図7に被施療者の足形の例を符号(29)で示している。
【0058】
指圧マッサージは、足裏を指圧棒(32)で押し上げるマッサージであるため、被施療者の足が凹状受部(20)から浮き上がってしまう。従って、指圧マッサージを行なう場合には、側面エアバッグ(21)を膨張させて、足先を側面エアバッグ(21)(21)によって挟んで浮き上がらないようにすることが望ましい。
【0059】
押圧マッサージは、側面エアバッグ(21)を膨張、収縮させることにより、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバッグ(21)(21)によって挟み込み、押圧するマッサージである。側面エアバッグ(21)の膨張、収縮は、電磁弁(62)の開閉及びポンプ(60)の駆動により行なうことができる。
【0060】
側面エアバッグ(21)に圧縮空気を送給する連結ホース(65)は、ヒータ(50)に接しているため、供給される圧縮空気が熱され、側面エアバッグ(21)に暖かい空気を供給でき、ヒータ(50)による足裏への温熱施療効果に加えて、足裏だけでなく、足の先端からくるぶしに亘る部分への温熱施療効果も得ることができる。
【0061】
上記押圧マッサージは、温熱施療効果と押圧施療効果により、施療効果を増大させることができる。
【0062】
指圧マッサージと押圧マッサージを組合せたマッサージを行なう場合には、上記動作を同時に行なえばよい。
【0063】
<ふくらはぎ用マッサージユニット(80)によるマッサージ>
ふくらはぎには、底面エアバッグ(86)の突起(86a)による指圧マッサージと、側面エア
バッグ(85)(85)による押圧マッサージを行なうことができる。
【0064】
指圧マッサージは、底面エアバッグ(86)を膨張、収縮し、突起(86a)をふくらはぎに押
し当てることにより行なうことができる。底面エアバッグ(86)の膨張、収縮は、電磁弁(62)の開閉及びポンプ(60)の駆動により行なうことができる。このとき、側面エアバッグ(85)(85)を膨張させておくと、被施療者のふくらはぎが脚受部(83)から押し出されることはないので、効果の高い指圧マッサージを施すことができる。なお、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、前方即ちふくらはぎ側に向けてバネ(98)付勢されているから、ふくらはぎが突起(86a)により前方に押されても、追従してふくらはぎに密着し、ふくらはぎから受ける反力により足先用マッサージユニット(10)が浮き上がることがない。
【0065】
押圧マッサージは、側面エアバッグ(85)(85)を膨張、収縮させることにより、ふくらはぎを側面エアバッグ(85)(85)によって挟み込み、押圧するマッサージである。側面エアバッグ(85)の膨張、収縮は、電磁弁(62)の開閉及びポンプ(60)の駆動により行なうことができる。ふくらはぎを押圧マッサージすることによって、血行促進効果を得ることができる。
【0066】
指圧マッサージと押圧マッサージを組合せたマッサージを行なう場合には、上記動作を同時に行なえばよい。
【0067】
勿論、上記足先用マッサージユニット(10)によるマッサージと、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)によるマッサージを組み合わせてもよい。例えば、足先用マッサージユニット(10)の指圧マッサージと押圧マッサージ、ローリングマッサージ、さらに、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)による指圧マッサージ、押圧マッサージを適宜決められたプログラムに従って実施することができる。
【0068】
なお、足先用マッサージユニット(10)によって、ローリングマッサージを行なう際、指圧棒(32)の移動開始と同時に底面エアバッグ(34)を膨張させて指圧棒(32)を突出させてゆき、即ち、移動中に徐々に指圧棒(32)を突出して足裏を斜め押圧し、やがて突出量は一定となって移動し続け、逆に移動終了位置の所定前まで達したときに、底面エアバッグ(34)の排気を開始し、指圧棒(32)を引っ込ませてゆくことにより、滑らかな指圧が得られ、また、斜め押圧により揉みに似た指圧が得られ、心地よいローリングマッサージとなる。指圧棒(32)の復路についても同様である。
【0069】
なお、これら各種マッサージは、所定時間経過すると自動的に終了するように設定することが望ましい。
【0070】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、マッサージ手段(30)は、上記実施例に限定されず、エアバッグのみを用いたものや、バイブレーション型のもの等を用いてもよい。
【0072】
足用マッサージユニット(100)は、被施療者の腰掛ける椅子の前方下部に配置して椅子
型マッサージ機を構成してもよい。椅子には、所望により、背凭れや座部等に種々のマッサージ手段を配置することができる。
【0073】
また、ヒータ(50)は、図10中点線で示すように、凹状受部(20)の底面だけでなく、ヒータ(50)を側面に配置したり、屈曲させて底面と側面の両方に当たるように配置(50a)させることにより、足裏だけでなく、足先の側面も暖めることができる。図では、ヒータ(50a)は凹状受部(20)の外側側面の裏面に設けているが、中央側側面の裏面に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の足用マッサージユニットは、ふくらはぎ用マッサージユニットを傾動可能及び/又は上下にスライド可能とすることにより、被施療者へのマッサージ効果を高めることのできる足用マッサージユニットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の足用マッサージユニットの斜視図である。
【図2】本発明の足用マッサージユニットの正面図である。
【図3】本発明の足用マッサージユニットの側面図である。
【図4】本発明の足用マッサージユニットの背面図である。
【図5】本発明の足用マッサージユニットの使用状態を示す側面図である。
【図6】本発明の足用マッサージユニットの使用状態を示す側面図である。
【図7】足先用マッサージユニットの平面図である。
【図8】図7の線X1−X1に沿う矢視断面図である。
【図9】図7の線X2−X2に沿う矢視断面図である。
【図10】図7の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【図11】ふくらはぎ用マッサージユニットの一部を断面した正面図である。
【図12】図11の線X−Xに沿う矢視断面図である。
【図13】図11の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【図14】図13の二点鎖線部分を拡大して示す図である。
【図15】傾動部の拡大断面図である。
【図16】(a)及び(b)は、図15の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【図17】ふくらはぎ用マッサージユニットのホース連結具の正面図である。
【図18】ふくらはぎ用マッサージユニットのホース連結具の側面図である。
【符号の説明】
【0076】
(10) 足先用マッサージユニット
(80) ふくらはぎ用マッサージユニット
(90) 連結機構
(85) エアバッグ
(86) エアバッグ
(60) ポンプ
(85b) ホース連結具
(86c) ホース連結具
(85c) ホース連結具
(86d) ホース連結具
(85a) エア供給ホース
(86b) エア供給ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の足先をマッサージする足先用マッサージユニット(10)の基端に、被施療者のふくらはぎをマッサージするふくらはぎ用マッサージユニット(80)を連結機構(90)によって傾動可能に連結してなる足用マッサージユニットにおいて、
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、被施療者のふくらはぎをマッサージするエアバッグ(85)(86)を具え、足先用マッサージユニット(10)には、エアバッグ(85)(86)に圧縮空気を送給するポンプ(60)を具えており、
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)には、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のカバー(82)を貫通し且つ後方へ屈曲されたホース連結具(85b)(86c)を装着し、足先用マッサージユニット(10)の後面には、後向きに該後面より突出し且つ後面に沿って屈曲されたホース連結具(85c)(86d)を装着し、
前記ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のホース連結具(85b)(86c)と足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)とをエア供給ホース(85a)(86b)で接続することにより、前記ポンプ(60)の圧縮空気を、足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)、エア供給ホース(85a)(86b)、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のホース連結具(85b)(86c)を介して前記エアバッグ(85)(86)へ供給するようにした足用マッサージユニット。
【請求項2】
前記連結機構(90)は、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)を、上下にスライド可能に連結してなる請求項1に記載の足用マッサージユニット。
【請求項3】
被施療者の足先をマッサージする足先用マッサージユニット(10)の基端に、被施療者のふくらはぎをマッサージするふくらはぎ用マッサージユニット(80)を連結機構(90)によって上下にスライド可能に連結してなる足用マッサージユニットにおいて、
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)は、被施療者のふくらはぎをマッサージするエアバッグ(85)(86)を具え、足先用マッサージユニット(10)には、エアバッグ(85)(86)に圧縮空気を送給するポンプ(60)を具えており、
ふくらはぎ用マッサージユニット(80)には、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のカバー(82)を貫通し且つ後方へ屈曲されたホース連結具(85b)(86c)を装着し、足先用マッサージユニット(10)の後面には、後向きに該後面より突出し且つ後面に沿って屈曲されたホース連結具(85c)(86d)を装着し、
前記ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のホース連結具(85b)(86c)と足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)とをエア供給ホース(85a)(86b)で接続することにより、前記ポンプ(60)の圧縮空気を、足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)、エア供給ホース(85a)(86b)、ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のホース連結具(85b)(86c)を介して前記エアバッグ(85)(86)へ供給するようにした足用マッサージユニット。
【請求項4】
前記ふくらはぎ用マッサージユニット(80)のホース連結具(85b)(86c)と足先用マッサージユニット(10)のホース連結具(85c)(86d)とは、互いに上下に重ならないように夫々ふくらはぎ用マッサージユニット(80)と足先用マッサージユニット(10)に装着してなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の足用マッサージユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−289119(P2006−289119A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204673(P2006−204673)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【分割の表示】特願2004−61700(P2004−61700)の分割
【原出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】