説明

マッサージ機

【課題】被施療部位を両側から挟み込むようにマッサージを施し、被施療部位の下側にも施療を施す機構を設けたマッサージ機の提供。
【解決手段】被施療部位(ふくらはぎや足裏)を嵌め込むための左右一対の溝2が設けられ、各溝2の外側には、長手方向にそれぞれ3個の揺動部材(施療子3)が設けられ、溝2の底側で揺動自在に軸支されている。また、各施療子3の内側には押圧施療を施す第1施療用エアバック31がそれぞれ設けられ、溝2の内側の支持面22側にも押圧施療を施す第2施療用エアバック4が設けられ、溝2の底側にも溝底面21に設けられた開口部から出没することにより指圧的なマッサージを施す指圧子5が設けられ、本体中央部に操作部6が設けられているマッサージ機1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療部位を挟み込むようにマッサージを行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腕や脚などの肢体をマッサージするマッサージ機として、施療子によって被施療部位を挟み込むようにマッサージするものが知られている。この種のマッサージ機について、図12〜図14を参照して説明する。図12〜図14は従来例に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。なお、図12〜図14においては、(A)は被施療部位(図中X1)が太い場合、(B)は被施療部位(図中X2)が細い場合について、それぞれ被施療部位が施療子に挟み込まれた状態を示している。
【0003】
上述したマッサージ機としては、一対の施療子を連結するように設け、両者を駆動するように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。図12はそのようなマッサージ機について示したものである。図示のように、一対の施療子101,102が下端部において、お互いに揺動自在となるように連結されている。そして、これら一対の施療子101,102を駆動することにより、連結部を中心に、施療子101,102が開いたり閉じたりする動作が行われる。これにより、被施療部位は、施療子101,102によって、両側から挟み込まれるようなマッサージが施される。
【0004】
このように構成されたマッサージ機によれば、被施療部位の太さに拘わらず、施療子101,102によって、略同一の部分(両側面)が押圧される。しかしながら、このような構成を採用した場合、一対の施療子101,102のいずれもが駆動され、かつ、両者が下端部にて軸支されるため、被施療部位の下面側を施療するための機構を別途追加することができない。
【0005】
また、被施療部位を載置する台に対して、円弧形状の施療子を揺動させるように構成したものもある(例えば、特許文献2参照)。図13はそのようなマッサージ機について示したものである。図示のように、被施療部位を載置する台104に対して、円弧形状の施療子103が揺動自在となるように軸支されている。そして、この施療子103を駆動することにより、台104に対して、施療子103が揺動する。これにより、被施療部位は、施療子103と台104によって、両側から挟み込まれるようなマッサージが施される。
【0006】
このように構成されたマッサージ機によれば、被施療部位の下面側を施療するための機構を別途追加することができる。しかしながら、このような構成を採用した場合、被施療部位の太さによって、施療子103及び台104によって押圧される部分が異なってしまう。すなわち、被施療部位が太い場合には、図13(A)に示すように、被施療部位の下面側と側面に近い部分が押圧される。一方、被施療部位が細い場合には、図13(B)に示すように、被施療部位の下面側と上面に近い部分が押圧される。また、このマッサージ機は、載置面と施療子との間で被施療部位を挟み込む構成であり、被施療部位を両側から挟みこむ構成ではない。従って、被施療部位を両側から挟み込むようなマッサージを施すことはできない。また、被施療部位を両側から挟み込んだ状態で、被施療部位の下面側に対してマッサージを施すこともできない。
【0007】
また、断面がL字形状の部材を対向させて配置することにより、被施療部位を嵌める溝を設け、一方のL字形状の施療子を角部で軸支して揺動させるように構成したものもある
(例えば、特許文献3参照)。図14はそのようなマッサージ機について示したものである。図示のように、断面が略L字形状の施療子105と、同じく断面が略L字形状の台106が対向して配置されることにより、被施療部位が嵌め込まれる溝が形成されている。台106は固定されているのに対して、施療子105は、角部で揺動自在となるように軸支されている。この施療子105を駆動させることにより、被施療部位が嵌め込まれる溝における対向する側面の幅が広くなったり狭くなったりする。これにより、被施療部位は、施療子105と台106によって、両側から挟み込まれるようなマッサージが施される。この施療子105における底面側の部分は、被施療部位の載置面(台106の底面側の面)よりも下側に配置され、この底面側の部分が駆動されることで、施療子105は揺動する。
【0008】
このように構成されたマッサージ機によれば、被施療部位の太さに拘わらず、施療子105及び台106によって、略同一の部分(両側面)が押圧される。しかしながら、このような構成を採用した場合、施療子105のうち、底面側の部分が、被施療部位の載置面よりも下側で移動するスペースが必要となり、また、この施療子105を駆動するための機構も、被施療部位の載置面よりも下側に必要となる。従って、被施療部位の下面側を施療するための機構を別途追加することができない。
【特許文献1】特開2002−360645号公報
【特許文献2】特開2004−97459号公報
【特許文献3】特開2004−147985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、被施療部位を両側から挟み込むようにマッサージを施すことができ、かつ、被施療部位の載置面側にも被施療部位に対して施療を施す機構を設けることを可能とするマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0011】
すなわち、本発明のマッサージ機は、
被施療部位が載置される載置面と、
揺動自在に軸支された揺動部材と、
該揺動部材に対向する対向面と、を備え、
前記載置面上であって、前記揺動部材と対向面との間に載置された被施療部位を、前記揺動部材により押圧して、前記対向面との間で、該被施療部位を挟み込み、挟み込む圧力の増減により被施療部位をマッサージ可能なマッサージ機において、
前記揺動部材は、
前記載置面に載置される被施療部位の側面に対向するように設けられる本体部と、
該本体部の一端部から被施療部位側に向かって突出し、その先端付近が軸支される突出部と、を備え、
前記突出部は、前記載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側で軸支されると共に、
前記揺動部材を揺動させるためのアクチュエータも、前記載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、揺動部材と揺動部材に対向する対向面によって被施療部位を両側から挟みこむようなマッサージを施すことができる。そして、揺動部材は、本体部の一端部から被施療部位側に向かって突出した突出部の先端付近が軸支される構成である。また、突
出部は、載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側で軸支される構成である。このような構成により、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、揺動部材における被施療部位の側面に対向するように設けられた本体部によって、被施療部位の側面側を押圧することができる。従って、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、被施療部位を両側から挟み込むようにマッサージを施すことができる。また、本発明は、突出部は、載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側で軸支されると共に、揺動部材を揺動させるためのアクチュエータも、載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側に設けられている。そのため、載置面の中央付近、及び、載置面の中央付近の下側に、スペースを設けることができる。従って、被施療部位の載置面側に、被施療部位の下側に対して施療を施す機構を設けることができる。
【0013】
ここで、前記アクチュエータは、膨張圧力によって、前記本体部の外側側面を内側に向かって押圧する第1押圧部と前記突出部の下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部を有するエアバックであるとよい。
【0014】
このような構成によれば、エアバックにおける第1押圧部も第2押圧部も、揺動部材を内側に倒す方向、すなわち、揺動部材によって被施療部位の側面を押圧する方向に揺動部材を揺動させるように作用する。そのため、効率良く揺動部材を駆動できる。言い換えれば、揺動部材を必要量だけ駆動するのに必要なエアバックの容量を小さくできる。
【0015】
また、前記アクチュエータは、
一端側が前記本体部の一端部に揺動自在に軸支されて、該本体部の略延長線上に伸びる第1連結部材と、
一端側が第1連結部材の他端側に揺動自在に軸支され、他端側がマッサージ機本体側に揺動自在に軸支されて、前記突出部と略平行に設けられる第2連結部材と、
膨張圧力によって、第1連結部材の外側側面を内側に向かって押圧する第1押圧部と第2連結部材の下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部を有するエアバックと、を備えることも好適である。
【0016】
このような構成を採用した場合においても、エアバックにおける第1押圧部も第2押圧部も、第1連結部材及び第2連結部材を通じて、揺動部材を内側に倒す方向、すなわち、揺動部材によって被施療部位の側面を押圧する方向に揺動部材を揺動させるように作用する。そのため、効率良く揺動部材を駆動できる。言い換えれば、揺動部材を必要量だけ駆動するのに必要なエアバックの容量を小さくできる。また、本発明の構成によれば、エアバックによる膨張力を、第1連結部材及び第2連結部材を通じて、揺動部材の1箇所(本体部の一端部)に作用させることができる。従って、より効率的に、揺動部材を駆動できる。
【0017】
ここで、前記エアバッグは、重ね合わせた2枚のシートの周縁が接合されることにより形成されており、前記第1押圧部と第2押圧部との連通部で二つ折りにされた状態で配置されると共に、折り目に相当する周縁の接合部の内端が、他の周縁の接合部よりもエアバッグ内側に寄せられていると好適である。
【0018】
このように構成することで、エアバックは、第1押圧部及び第2押圧部がそれぞれ内側に寄せた接合部内端に沿って膨張するために、折り目付近(特に折り目の両端付近)でのしわの発生を抑制することができる。これにより、エアバックが膨張と収縮を繰り返しても疲労破断する可能性を低減させることができる。しかも、接合部内端を内側に寄せる部分は第1押圧部と第2押圧部とを完全に分離するものではなく、両押圧部は連通している。これにより、エアバッグが膨張した際の各押圧部の膨らみ量、すなわちアクチュエータとしての駆動量は、各押圧部を分離させて形成した場合よりも大きく確保することが可能
である。
【0019】
ここで、前記エアバックが収縮している状態において、第1連結部材の前記本体部に対する揺動中心と第1連結部材の第2連結部材に対する揺動中心とを結ぶ直線と、第1連結部材の第2連結部材に対する揺動中心と第2連結部材のマッサージ機本体に対する揺動中心とを結ぶ直線とのなす角度のうち、内側の角度は90°以上であるとよい。
【0020】
このように構成することで、エアバックの第1押圧部によって、第1連結部材の外側側面を内側に向かって押圧する場合に、揺動部材を内側に倒す方向に効率良く力を作用させることができる。
【0021】
また、前記載置面から出没し、被施療部位に指圧的なマッサージを施す指圧子と、
前記載置面の下側に設けられ、該指圧子を駆動する機構と、を備えるとよい。
【0022】
これにより、被施療部位の下側に対して、指圧的なマッサージを施すことができる。
【0023】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、被施療部位を両側から挟み込むようにマッサージを施すことができ、かつ、被施療部位の載置面側にも被施療部位に対して施療を施す機構を設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0026】
図1〜図7を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機について説明する。
【0027】
<マッサージ機全体の説明>
特に、図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機全体について説明する。図1は本発明の実施例1に係るマッサージ機の正面図である。図2は本発明の実施例1に係るマッサージ機の斜視図である。
【0028】
本発明の実施例1に係るマッサージ機1は、上ハウジング10と下ハウジング11とを備え、上ハウジング10の上面には被施療部位(本実施例では、肢体(特に、ふくらはぎや足裏)が対象となる)を嵌め込むための左右一対の溝2が設けられている。そして、各溝2の外側には、長手方向にそれぞれ3個の揺動部材(以下、施療子3と称する)が設けられている。これらの施療子3は溝2の底側で揺動自在に軸支されている。また、各施療子3の内側には被施療部位に対して押圧施療を施す第1施療用エアバック31がそれぞれ設けられている。そして、溝2の内側の支持面(施療子3に対向する対向面)22側にも被施療部位に対して押圧施療を施す第2施療用エアバック4が設けられている。また、溝2の底側にも溝底面21に設けられた開口部から出没することにより、被施療部位に対して指圧的なマッサージを施す指圧子5が設けられている。また、マッサージ機1の本体中央部にマッサージ機1を操作するための操作部6が設けられている。
【0029】
<マッサージ機の使用方法>
次に、上記のように構成されたマッサージ機1の使用方法を説明する。使用者は、両足のふくらはぎや足裏などの被施療部位を一対の溝2にそれぞれ嵌め込む。すなわち、被施療部位を載置面となる溝2の溝底面21に載置する。そして、操作部6を操作することによって、マッサージ機1を駆動させる。すると、各施療子3は内側に倒れたり、外側に開いたりする動作を行う。これにより、被施療部位が、施療子3と溝2の内側の支持面22によって、両側から挟み込まれ、また、挟み込まれる圧力は増減する。従って、被施療部位は、両側から挟みこまれるようなマッサージが施される。また、被施療部位は、各施療子3に設けられた第1施療用エアバック31と、支持面22に設けられた第2施療用エアバック4によって、両側から押圧施療が施される。なお、施療子3と溝2の内側の支持面22による被施療部位を挟み込む力は一定のまま、これらにより、被施療部位を保持させておき、例えば、第1施療用エアバック31による膨張圧力を変化させることで、被施療部位に対して押圧マッサージを施すこともできる。なお、図1では、図中左側に並んだ施療子3は外側に開いた状態を示し、図中右側に並んだ施療子3は内側に倒れた状態を示している。
【0030】
また、指圧子5が溝底面21に設けられた開口部から出没する動作を繰り返す。これにより、被施療部位の下面側に対して、指圧的なマッサージが施される。なお、上記のように、施療子3と溝2の内側の支持面22によって被施療部位を保持した状態で、指圧子5を駆動させることで、効果的に指圧的なマッサージを施すことができる。指圧子5を駆動させるための駆動機構は、特に、図示しないが、適宜の公知技術を適用できる。例えば、流体エネルギーを機械エネルギーに変換するアクチュエータ(例えばエアバック(エアバックを用いる場合には、給排気装置が必要となる。))や、電気的エネルギーを機械エネルギーに変換するアクチュエータ(例えばソレノイド)により駆動することができる。
【0031】
<施療子の駆動機構の詳細>
特に、図3〜図7を参照して、施療子3の駆動機構について説明する。図3は本発明の実施例1に係るマッサージ機における施療子を駆動する機構を示す斜視図である。なお、図3においては、上ハウジング10と下ハウジング11を取り外した状態を示している。施療子3の駆動機構は、上ハウジング10と下ハウジング11との間に設けられており、溝底面21、溝2の内側の支持面22の下方に位置している。上ハウジング10と下ハウジング11内に収められるベースプレート30は、金属製の板材からなり、略長方形の底板30bの両短辺側に側板30a,30a、両長辺側に側板30c,30cをそれぞれ立設させた箱形状を形成している。側板30a,30aはそれぞれの間隔が上に向かうにしたがって広くなるように形成されている。側板30c,30cには後述する第1の軸35,35と第2の軸38,38が設けられている。
【0032】
図4及び図5は本発明の実施例1に係るマッサージ機における施療子を駆動する機構付近を正面側から見た構成図である。なお、図4は施療子が外側に開いた状態を示し、図5は施療子が内側に倒れた状態を示している。施療子3は、被施療部位が溝底面21に載置された場合において、当該被施療部位の側面に対向するように設けられる本体部3aと、本体部3aの一端部(下端部)から被施療部位側に向かって突出する突出部3bとを備えている。本体部3aは、平面的な形状(緩やかな曲面形状)で構成されており、溝底面21に設けられた開口部21aを貫通して設けられている。また、本体部3aの下端部の突出部3bとは逆側の面には、断面形状が後述する第1の軸35を中心とした円弧となっているスカート部3cが形成されている。そして、施療子3が外側に開いた状態(後述するアクチュエータにより駆動力が作用していない状態)においては、本体部3aは下端部から上方に向かうにつれて緩やかに外側に拡がるように構成されている。このような構成により、溝2に対して、被施療部位を嵌め込み易くなっている。
【0033】
そして、施療子3の突出部3bの先端付近が、マッサージ機本体の土台(ケース)に対
して、溝2の溝底面21よりも下側であって、かつ、溝底面21の幅方向の一端側(中央よりも端に寄った位置)で、第1の軸35により揺動自在に軸支されている。そして、施療子3は、駆動用エアバックと4節リンク機構からなるアクチュエータによって揺動されるように構成されている。以下、このように構成されるアクチュエータについて、特に、図4及び図5を参照して、更に詳細に説明する。
【0034】
本実施例においては、施療子3を揺動させるために、お互いに揺動自在となるように連結された第1連結部材33及び第2連結部材34と、駆動用エアバック32とを備えている。そして、第1連結部材33は、その一端側が、施療子3における本体部3aの一端部(下端部)に、第2の軸36によって揺動自在に軸支されている。そして、この第1連結部材33は、施療子3の本体部3aの略延長線上に伸びるように設けられる。また、第2の軸36は、第1の軸35よりも上側(溝底面21よりも上側)の位置に設けられる。
【0035】
第2連結部材34は、その一端側が、第1連結部材33の他端側に第3の軸37によって揺動自在に軸支されている。また、第2連結部材34は、その他端側が、マッサージ機本体の土台(ケース)に対して、上記第1の軸35よりも更に下側で、第4の軸38により揺動自在に軸支されている。そして、この第2連結部材34は、突出部3bと略平行になるように設けられる。
【0036】
このように、施療子3は4節リンク機構によって、マッサージ機本体に連結されている。そして、第3の軸37によって、お互いに連結された第1連結部材33及び第2連結部材34の背面側(つまり、第1連結部材33及び第2連結部材34と、ベースプレート30の側面30a及び底面30bとの間)には、駆動用エアバック32が設けられている。この駆動用エアバック32は、第1連結部材33の外側の側面を内側に向かって押圧する第1押圧部32aと、第2連結部材34の下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部32bとを備えている。
【0037】
そして、この駆動用エアバック32が給気されて膨張すると、膨張圧力によって、第1連結部材33は内側へ、第2連結部材34は上方へ押し上げられる。これにより、これら第1連結部材33及び第2連結部材34は、図5中矢印方向に回転するように押し上げられる。そのため、施療子3は、第1連結部材33によって、第2の軸36が軸支されている部分に、内側かつ上向きの力が作用する。従って、施療子3は第1の軸35を中心として、図5中矢印方向に回転する。つまり、施療子3は内側に倒れるように揺動する。また、駆動用エアバック32が排気により収縮すると、施療子3は自重や被施療部位からの反力によって、元の位置に戻る(図5中の矢印とは反対の向きに回転する)。施療子3に形成されたスカート部3cは、上記の通り、施療子3の揺動中心である第1の軸35を中心とした円弧を断面形状として形成されている。そのため、施療子3が揺動範囲のどの位置にある場合であっても、溝底面21に設けられた開口部21aの外側の縁と施療子3との間に、ほとんど隙間が発生することはない。したがって、施療子3が内側から外側に向かって(図5中の矢印とは反対の向きに)揺動する場合であっても、溝底面21の開口部21aに物等を挟み込んだり巻き込んだりすることを防止することができる。
【0038】
ここで、第1連結部材33の本体部3aに対する揺動中心(第2の軸36の軸心)と第1連結部材33の第2連結部材34に対する揺動中心(第3の軸37の軸心)とを結ぶ直線と、第1連結部材33の第2連結部材34に対する揺動中心(第3の軸37の軸心)と第2連結部材34のマッサージ機本体に対する揺動中心(第4の軸38の軸心)とを結ぶ直線とのなす角度のうち内側の角度αについて説明する。本実施例においては、この角度αは、施療子3が外側に開いた状態、つまり、駆動用エアバック32が収縮した状態において、90°以上となるように構成されている。なお、施療子3が内側に倒れるにつれて、機構上、この角度αは大きくなっていく。
【0039】
このように、角度αが90°以上であることにより、駆動用エアバック32の第1押圧部32aが第1連結部材33の外側の側面を内側に向かって押圧すると、第2の軸36が軸支されている部分に対して、上向きの分力も作用する。従って、効率良く施療子3を揺動させることができる。
【0040】
図6及び図7を参照して、駆動用エアバッグ32の特徴について詳細に説明する。図6は駆動用エアバッグ32の平面図である。図7は駆動用エアバッグ32の設置状態の説明図である。駆動用エアバッグ32は、略長方形の2枚の柔軟なシートを重ね合わせ、それらの周縁を接合して形成される。シートの材質や接合方法は特に限定されないが、ナイロンやポリウレタン等で製造したシートを溶着して形成するのが好適である。図6に示すように、駆動用エアバッグ32は図中上側に第1押圧部32a、下側に第2押圧部32bを備えており、第2押圧部32bには給排気口32cが設けられている。駆動用エアバッグ32の周縁32dは全周にわたって溶着されている。この周縁32dの溶着されている領域のうち、第1押圧部32aと第2押圧部32bとの境界に相当する位置には、図6において32eで示すように溶着部の内端を内側に寄せ、略三角形状となった領域32fが形成されている。ベースプレート30に駆動用エアバッグ32を設置する際は、駆動用エアバッグ32の給排気口32cが下側になるようにして、この給排気口32cをベースプレート30の底板30bに設けられた穴に挿通させて位置決めする。駆動用エアバッグ32は、この位置でベースプレート30の側板30aと底板30bとに沿わせると、第1押圧部32aと第2押圧部32bとが連通する部分で二つ折りとなり、折り目32gと略三角形状の領域32fがベースプレート30の側板30aと底板30bとの間の稜部に位置し、第1押圧部32aがベースプレート30の側板30aに、第2押圧部32bが同底板30bにそれぞれ沿った位置となるように形成されている。このように構成された駆動用エアバッグ32が給気されると、第1押圧部32aと第2押圧部32bとがそれぞれベースプレート30の側板30aと底板30bと反対側の面が膨張する。ここで、仮に、駆動用エアバッグ32の各押圧部と溶着部との境界を直線に形成した場合(上記領域32fを設けなかった場合)には、ベースプレート30の側板30aと底板30bとの間の稜部、すなわち駆動用エアバッグ32の二つ折りの折り目32gに位置する周縁32付近では駆動用エアバッグ32にしわが発生し易く、膨張と収縮を繰り返すとしわの部分が疲労破断する可能性がある。これに対して、本実施例の駆動用エアバッグ32においては、周縁32の溶着部の当該位置は略三角形状の領域32fを形成していることにより、第1押圧部及び第2押圧部がそれぞれ内側に寄せた溶着部内端32eに沿って膨張するために、折り目32g付近でのしわの発生を抑制することができ、膨張と収縮を繰り返しても疲労破断する可能性を低減することができる。しかも、略三角形状の領域32fは駆動用エアバッグ32の周縁32dにのみ設けられており、第1押圧部32aと第2押圧部32bとを完全に分離するものではなく、両押圧部は連通している。これにより、駆動用エアバッグ32が膨張した際の各押圧部の膨らみ量、すなわちアクチュエータとしての駆動量は、各押圧部を分離させて形成した場合よりも大きく確保することが可能である。なお、領域32fの形状は必ずしも略三角形状に限定されず、第1押圧部及び第2押圧部が膨張した際に折り目32g付近の溶着部内端を内側に寄せる形状であれば略半円形状や略台形状などでもよい。
【0041】
<本実施例に係るマッサージ機の優れている点>
上記のように構成された本実施例に係るマッサージ機1の優れている点について、図8及び図9を参照しつつ説明する。図8及び図9は、本発明の実施例1に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。これらの図においては、(A)は被施療部位(図中X1)が太い場合、(B)は被施療部位(図中X2)が細い場合について、それぞれ被施療部位が施療子に挟み込まれた状態を示している。なお、各図において、被施療部位X1,X2は溝底面21から浮いたような状態となっているが、こ
れは、簡略的に被施療部位X1,X2を示したことによるものである。実際の使用状態においては、被施療部位X1,X2は、溝底面21に載置される。
【0042】
本実施例に係るマッサージ機1によれば、施療子3と施療子3に対向する溝2の内側の支持面22によって被施療部位を両側から挟みこむようなマッサージを施すことができる。
【0043】
そして、施療子3は、その本体部3aの一端部から被施療部位側に向かって突出した突出部3bの先端付近が第1の軸35によって軸支される構成である。また、突出部3bは、被施療部位の載置面となる溝底面21よりも下側であって、かつ、溝底面21の幅方向の一端側で第1の軸35により軸支される構成である。このような構成により、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、施療子3の本体部3aによって、被施療部位の側面側を押圧することができる。従って、個体差による被施療部位の太さの相違に拘わらず、被施療部位を両側から挟み込むようにマッサージを施すことができる。
【0044】
また、施療子3の突出部3bは、溝底面21よりも下側であって、かつ、溝底面21の幅方向の一端側で軸支されると共に、施療子を揺動させるためのアクチュエータ(駆動用エアバック32、第1連結部材33及び第2連結部材34)も、溝底面21よりも下側であって、かつ、溝底面21の幅方向の一端側に設けられている。そのため、溝底面21の中央付近、及び、溝底面21の中央付近の下側に、スペースを設けることができる。従って、上述のように、当該溝底面21に、溝底面21に載置された被施療部位の下側に対して施療を施す機構(指圧子5及びこれを駆動するための不図示の機構)を設けることができる。従って、被施療部位を施療子3及び支持面22によって挟み込んだ状態で、指圧子5により、被施療部位の下側に指圧的なマッサージを施すこともできる。
【0045】
また、本実施例では、上述のように、施療子3を駆動するためのアクチュエータは、駆動用エアバック32と4節リンク機構から構成される。そして、駆動用エアバック32における第1押圧部32aも第2押圧部32bも、第1連結部材33及び第2連結部材34を通じて、施療子3を内側に倒す方向、すなわち、施療子3によって被施療部位の側面を押圧する方向に施療子3を揺動させるように作用する。そのため、効率良く施療子3を駆動できる。言い換えれば、施療子3を必要量だけ駆動するのに必要な駆動用エアバック32の容量を小さくできる。従って、マッサージ機全体を小型化できる。特に、本実施例の構成によれば、駆動用エアバック32による膨張力を、第1連結部材33及び第2連結部材34を通じて、施療子3の1箇所(本体部3aの一端部(下端部))に作用させることができる。従って、より効率的に、施療子3を駆動できる。
【0046】
また、上述のように、第2の軸36の軸心と第3の軸37の軸心とを結ぶ直線と、第3の軸37の軸心と第4の軸38の軸心とを結ぶ直線とのなす角度のうち内側の角度αは、駆動用エアバック32が収縮した状態において、90°以上となるように構成されている。これにより、駆動用エアバック32の第1押圧部32aが第1連結部材33の外側の側面を内側に向かって押圧することにより、第2の軸36が軸支されている部分に対して、上向きの分力も作用するので、効率良く施療子3を揺動させることができる。
【実施例2】
【0047】
図10及び図11には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、施療子を駆動するためのアクチュエータを、駆動用エアバックと4節リンク機構により構成する場合を説明した。これに対して、本実施例では、駆動用エアバックにより、直接施療子を駆動させる場合の構成を説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については、適宜、その説明は省略する。
【0048】
図10及び図11は、本発明の実施例2に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。また、図10は施療子が外側に開いた状態を示し、図11は施療子が内側に倒れた状態を示している。
【0049】
本実施例に係る施療子3の構成は、上記実施例1と同様である。ただし、本実施例においては、施療子3が駆動用エアバック39に直接駆動させられるため、施療子3の形状や寸法については、上記実施例1と異なる場合があることは言うまでもない。
【0050】
そして、本実施例においては、施療子3の背面側(つまり、施療子3と、ベースプレート30の側面30a及び底面30bとの間)に、駆動用エアバック39が設けられている。この駆動用エアバック39は、施療子3の本体部3aの外側側面を内側に向かって押圧する第1押圧部39aと、突出部3bの下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部39bとを備えている。
【0051】
そして、この駆動用エアバック39が給気されて膨張すると、膨張圧力によって、本体部3aは内側へ、突出部3bは上方へ押し上げられる。これにより、施療子3は、図中時計回り方向に回転する。つまり、施療子3は内側に倒れるように揺動する。また、駆動用エアバック39が排気により収縮すると、施療子3は自重や被施療部位からの反力によって、元の位置に戻る(図中、反時計回り方向に回転する)。
【0052】
以上のように、本実施例においても、駆動用エアバック39における第1押圧部39aも第2押圧部39bも、いずれも、施療子3を内側に倒す方向、すなわち、施療子3によって被施療部位の側面を押圧する方向に施療子3を揺動させるように作用する。そのため、効率良く施療子3を駆動できる。言い換えれば、施療子3を必要量だけ駆動するのに必要な駆動用エアバック39の容量を小さくできる。従って、マッサージ機全体を小型化できる。
【0053】
また、本実施例においても、施療子3における本体部3aと突出部3bとのなす角度(内側の角度)は90°以上であるので、駆動用エアバック39の第1押圧部39aが施療子3の本体部3aの外側側面を内側に向かって押圧することにより、上向きの分力が作用する。従って、効率良く施療子3を揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るマッサージ機の正面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るマッサージ機の斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るマッサージ機における施療子を駆動する機構の斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係るマッサージ機における施療子を駆動する機構付近を正面側から見た構成図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係るマッサージ機における施療子を駆動する機構付近を正面側から見た構成図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1に係るマッサージ機における駆動用エアバッグの平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1に係るマッサージ機における駆動用エアバッグの設置状態の説明図である。
【図8】図8は、本発明の実施例1に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施例1に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図12】図12は従来例に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図13】図13は従来例に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【図14】図14は従来例に係るマッサージ機における被施療部位を挟み込む部分の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
1 マッサージ機
10 上ハウジング
11 下ハウジング
2 溝
21 溝底面
21a 開口部
22 支持面
3 施療子
3a 本体部
3b 突出部
3c スカート部
30 ベースプレート
30a 側板
30b 底板
30c 側板
31 第1施療用エアバック
32 駆動用エアバック
32a 第1押圧部
32b 第2押圧部
32c 給排気口
32d 周縁(溶着部)
32e 内側に寄せた溶着部内端
32f 略三角形状の領域
32g 折り目
33 第1連結部材
34 第2連結部材
35 第1の軸
36 第2の軸
37 第3の軸
38 第4の軸
39 駆動用エアバック
39a 第1押圧部
39b 第2押圧部
4 第2施療用エアバック
5 指圧子
6 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部位が載置される載置面と、
揺動自在に軸支された揺動部材と、
該揺動部材に対向する対向面と、を備え、
前記載置面上であって、前記揺動部材と対向面との間に載置された被施療部位を、前記揺動部材により押圧して、前記対向面との間で、該被施療部位を挟み込み、挟み込む圧力の増減により被施療部位をマッサージ可能なマッサージ機において、
前記揺動部材は、
前記載置面に載置される被施療部位の側面に対向するように設けられる本体部と、
該本体部の一端部から被施療部位側に向かって突出し、その先端付近が軸支される突出部と、を備え、
前記突出部は、前記載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側で軸支されると共に、
前記揺動部材を揺動させるためのアクチュエータも、前記載置面よりも下側であって、かつ、載置面の幅方向の一端側に設けられていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記アクチュエータは、膨張圧力によって、前記本体部の外側側面を内側に向かって押圧する第1押圧部と前記突出部の下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部を有するエアバックであることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記エアバッグは、重ね合わせた2枚のシートの周縁が接合されることにより形成されており、前記第1押圧部と第2押圧部との連通部で二つ折りにされた状態で配置されると共に、折り目に相当する周縁の接合部の内端が、他の周縁の接合部よりもエアバッグ内側に寄せられていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記アクチュエータは、
一端側が前記本体部の一端部に揺動自在に軸支されて、該本体部の略延長線上に伸びる第1連結部材と、
一端側が第1連結部材の他端側に揺動自在に軸支され、他端側がマッサージ機本体側に揺動自在に軸支されて、前記突出部と略平行に設けられる第2連結部材と、
膨張圧力によって、第1連結部材の外側側面を内側に向かって押圧する第1押圧部と第2連結部材の下面側を上方に向かって押圧する第2押圧部を有するエアバックと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記エアバッグは、重ね合わせた2枚のシートの周縁が接合されることにより形成されており、前記第1押圧部と第2押圧部との連通部で二つ折りにされた状態で配置されると共に、折り目に相当する周縁の接合部の内端が、他の周縁の接合部よりもエアバッグ内側に寄せられていることを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記エアバックが収縮している状態において、第1連結部材の前記本体部に対する揺動中心と第1連結部材の第2連結部材に対する揺動中心とを結ぶ直線と、第1連結部材の第2連結部材に対する揺動中心と第2連結部材のマッサージ機本体に対する揺動中心とを結ぶ直線とのなす角度のうち、内側の角度は90°以上であることを特徴とする請求項4または5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記載置面から出没し、被施療部位に指圧的なマッサージを施す指圧子と、
前記載置面の下側に設けられ、該指圧子を駆動する機構と、を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−75585(P2006−75585A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53967(P2005−53967)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】