マッサージ機
【課題】高いマッサージ感を得ることができるものとする。
【解決手段】正逆回転自在に駆動される駆動軸20と、駆動軸20に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸22と、上下に間隔をおいて複数の施療子50が配されているとともに一端が各傾斜軸22の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニット5と、対の傾斜軸21のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備える。施療子ユニット5は複数の施療子が配された支持アーム52と、一端が傾斜軸22の外周面に遊転自在に連結されている揺動アーム51とを備て、揺動アームの他端側に支持アームが連結されている。揺動アームが存在することにより、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるために、高いマッサージ感を得ることができる。
【解決手段】正逆回転自在に駆動される駆動軸20と、駆動軸20に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸22と、上下に間隔をおいて複数の施療子50が配されているとともに一端が各傾斜軸22の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニット5と、対の傾斜軸21のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備える。施療子ユニット5は複数の施療子が配された支持アーム52と、一端が傾斜軸22の外周面に遊転自在に連結されている揺動アーム51とを備て、揺動アームの他端側に支持アームが連結されている。揺動アームが存在することにより、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるために、高いマッサージ感を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子にもみマッサージを与えることができるマッサージ機、殊に回転駆動される傾斜軸を利用して左右に施療子を揺らせることでもみマッサージを得るようにしたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転駆動される傾斜軸を利用して施療子を左右に揺らすことでもみマッサージを得られるようにしたマッサージ機があるが、傾き方向が逆となっている左右一対の傾斜軸により、左右一対の施療子を互いに接近させたり離間させたりする動きだけでなく、上記両傾斜軸の傾き方向を同方向となるように切り換えることができるようにすることで、左右一対の施療子が同方向に移動する動きも得られるようにしたものが特許文献1に示されている。
【0003】
このものでは、もみマッサージに加えて人体を左右に揺らすスイングマッサージも得ることができるのであるが、ここで示されたマッサージ機は、上下に間隔をおいて配設された2つの施療子を備えた支持アームを上記傾斜軸の外周に遊転自在に装着したものであることから、特許文献1の図6及び図7に示されているように、上下の施療子は常に逆方向に動くものとなっており、このためにマッサージを受ける者にとっては、施療子の動きが小さく感じられてしまい、マッサージ感があまり無いものとなっている。
【特許文献1】特開2003−38591公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、より高いマッサージ感を得ることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、正逆回転自在に駆動される駆動軸と、駆動軸に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸と、上下に間隔をおいて複数の施療子が配されているとともに一端が各傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニットと、対の傾斜軸のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備えたものにおいて、上記施療子ユニットは上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと、一端が傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている揺動アームとを備えて、揺動アームの他端側に支持アームが連結されていることに特徴を有している。揺動アームが存在することにより、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるために、高いマッサージ感を得ることができる。
【0006】
この時、各施療子ユニットの揺動アームは駆動軸における同方向に偏心した偏心軸部に夫々配されたものとしておくと、偏心成分による動きを施療子に加えることができると同時に、切換手段による切換時にも、左右の施療子ユニットの施療子に偏心成分によるところの位置変化を同じ方向に与えることができる。
【0007】
揺動アームに対して支持アームは上下に回動自在に連結されているとともに一方向にばね付勢されていることが好ましい。上下の施療子が共に人体に接する状態を確実に得ることができる。
【0008】
また、切換手段は駆動軸に対して傾斜軸をほぼ180°内で遊転自在とするとともに駆動軸の回転方向の切り換えで傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換えるものであり、上記遊転自在とされた傾斜軸は弾性体にてスラスト方向に予圧が加えられていると、切換時に傾斜軸が駆動軸よりも180°内とはいえ、先行回転してしまうことを確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと傾斜軸との間に揺動アームを介在させているために、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるものであり、特に左右の施療子ユニットに同じ方向の動きを行わせる時、全施療子が同じ方向の動きを行うことから、人体は左右に大きく揺すられるようなマッサージ機を得られるものであり、このために高いマッサージ感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図示のマッサージ機構は椅子の背もたれ内に上下に自走自在に配されるもので、左右に位置する縦枠11,11と、縦枠11,11の上端間を連結するガイド軸13と、左右中程に配された一対の取付板14,14等で構成されたフレーム1に、もみ駆動モータユニット2(図2参照)と上下駆動モータユニット3とたたき駆動モータユニット4、左右一対の施療子ブロック5,5等を装着したものとして構成されている。図中71,73,75は動作位置検出用のスリット板であり、72,74,76は同じく動作位置検出用のフォトセンサである。
【0011】
縦枠11,11の下端間に架設されている走行軸30は、その両端にピニオン31が固定されているとともにガイドころ32,33が遊転自在に装着されており、また上記ガイド軸13も両端にガイドころ32,32を備えており、これらガイドころ32は上記背もたれ内の左右に配されたガイドレール内を転動し、更に上記ピニオン31がガイドレールに付設されたラックと噛合する。このために上記上下駆動モータユニット3がピニオン31を備えた走行軸30を回転駆動する時、このマッサージ機構1はガイドレールに沿って背もたれ内を上下に自走する。
【0012】
上記もみ駆動モータユニット2の回転は、取付板14,14の下部に配された駆動軸20に伝達される。この駆動軸20は、図7にも示すように、その両端に偏心軸部21,21を備えたものであるとともに、各偏心軸部21の外周に夫々傾斜軸22,22を配したもので、一方の傾斜軸22は偏心軸部21を貫通する貫通ピン23によって駆動軸20と一体に回転するように取り付けられているが、他方の傾斜軸22は偏心軸部21に固定されたストッパピン24との係合で駆動軸20と共に回転する。ただし、傾斜軸22におけるストッパピン24との係合部は、ほぼ半周にわたる切欠を備えることから、駆動軸20がその回転方向を逆転させる時、ほぼ180°だけ駆動軸20に対して遊転することになる。
【0013】
そして、駆動軸20に対して傾いた軸を有している2つの傾斜軸22,22には夫々図6に示す施療子ブロック5,5が連結されている。この施療子ブロック5は、一端が傾斜軸22の外周に軸受54を介して回動自在に連結される揺動アーム51と、揺動アーム51の他端に中央部が軸支された支持アーム52と、側面形状がく字形である支持アーム52の両端部に夫々軸支されるローラ状の施療子50,50とからなるもので、支持アーム52は上方側の施療子50が背もたれの前面側に突出する方向にばね付勢された状態で揺動アーム51に軸53で上下に回動自在に取り付けられている。
【0014】
そして取付板14,14の上部には前記たたき駆動モータユニット4によってベルト43を介して駆動されるたたき駆動軸40が架設されている。該たたき駆動軸40はその両端に偏心軸部を有するクランク軸として形成されたものであり、各偏心軸部と上記の両施療子ブロック5の揺動アーム51との間が夫々連結ロッド45によって連結されている。なお、連結ロッド45と揺動アーム51とは三次元的な動きが自在な継手46で連結されており、連結ロッド45とたたき駆動軸40との間もたたき駆動軸40の軸回りの回転が自在で且つたたき駆動軸40の軸方向に連結ロッド45が揺動することが自在となるように連結されている。
【0015】
そして、このマッサージ機構1は、前述のように上下駆動モータユニット3の駆動によって背もたれ内を上下に自走して、施療子50の位置を上下に変化させる。この時、上下2つの施療子50,50を備える支持アーム52は揺動アーム51に対して上下に回動自在に連結されているとともにばね付勢されていることから、上下2つの施療子50,50が常に背もたれに持たれた人体背面に接している状態を得ることができる。
【0016】
また、もみ駆動モータユニット2を一方向に回転させる時、図7に示すように、駆動軸20の両端の偏心軸部21,21に夫々配された傾斜軸22,22は、その軸の傾きが相互に逆になっていることから、各傾斜軸22,22の外周に揺動アーム51が装着されるとともに連結ロッド45,45によって揺動アーム51の動きが規制されている左右の施療子ユニット5,5は、図8に示すように、互いに接近したり離れたりする動きを上下の施療子50,50に行わせるものであり、この時、傾斜軸22が装着されている偏心軸部21の偏心成分のために、施療子50は図11に示すように前後にも動く。従って、椅子の背もたれに人がもたれている時、これら施療子50,50は人体の背面に対してもみマッサージを行う。
【0017】
そしてもみ駆動モータユニット2の回転方向を逆方向とした時には、その回転初期において、前述のように片方の傾斜軸22がストッパピン24との関係で、駆動軸20と一体に回転する他方の傾斜軸22に対して180°位相を変化させて図9に示すように、2つの傾斜軸22,22の軸の傾きが同じ向きとなり、このために左右の施療子ユニット5,5は図10に示すように、その施療子50,50に同じ方向の動きを行わせる。このような動きを施療子50が行う時、椅子の背もたれに持たれている人の背面は、左右に交互に振られるようなマッサージ感を得ることができる。
【0018】
ここにおいて、このマッサージ機構では上下に施療子50,50を備えた支持アーム52を左右に揺らせるための傾斜軸22に支持アーム52を直接連結するのではなく揺動アーム51を介して連結していることから、図8に示す動きを行う時も、図10に示す動きを行う時も、支持アーム52が備える上下2つの施療子50,50は左右方向移動の位相が少しずれているとはいえ、同方向に動く。
【0019】
特に、左右の施療子ユニット5,5が同方向に傾くことになる図9,図10に示す状態に切り換えた時、4つの施療子50全てがほぼ同じ方向の動きを行うことから、これら施療子50が背面に接している人体は左右に大きく揺すられることになり、これ故に高いマッサージ感を得ることができる。
【0020】
また、施療子50に前後の動きを行わせるための偏心成分を傾斜軸22に持たせた場合、図14に示すように、左右の施療子ユニット5,5で傾き方向を逆にした時と、同方向にした時とで、駆動軸20から施療子50までの距離LA,LBが異なってくるために、図14(b)に示した状態では人体に対する接触圧が左右の施療子50で異なって適切なマッサージが行えない状態となるが、ここでは駆動軸20の偏心軸部21に偏心成分を持たせていることから、図7に示す状態の時も図9に示す状態の時も左右の施療子ユニット5,5における駆動軸20から施療子50までの距離が変化せず、このために常に適切なマッサージを人体に対して行うことができる。
【0021】
さらにたたき駆動モータユニット4によってたたき駆動軸40を回転させた時には、連結ロッド45が揺動アーム51を上下に振らせることになるために、施療子50は連続した上下方向の動きを行って、たたきマッサージを人体に与える。
【0022】
ところで、図8に示すもみマッサージと図10に示す左右のスイングマッサージとの切換を駆動軸2の回転方向を変えることで行う場合、ストッパーピン24との関係で駆動軸20に対して半周分だけ遊転自在となっている傾斜軸22については、図12に示すように、皿ばねからなる弾性体26によってスラスト方向の予圧をかけておくのが好ましい。図中25は傾斜板、28はブッシュ、29は固定用ナットである。
【0023】
上記予圧により、駆動軸2に対する傾斜軸22の回転について緩い制動が加えられるために、駆動軸20(ストッパーピン24)よりも傾斜軸22の回転が先行してしまう事態が生じなくなるために、左右の施療子ユニット5,5を常に同期して動く状態に保つことができる。
【0024】
駆動軸20に対して傾斜軸22の回転位置を180°切り替えることについては、図13に示すように駆動軸20の回転方向切換時に駆動軸20の180°回転分だけ傾斜軸22の連結を切り離す電磁クラッチ27を用いて行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の一例におけるマッサージ機構の斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の正面図である。
【図4】同上の側面図である。
【図5】同上の背面図である。
【図6】同上の施療子ユニットと連結ロッドの斜視図である。
【図7】同上の駆動軸と傾斜軸とを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】同上の駆動軸と傾斜軸との他の状態を示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】偏心成分による動きを示す説明図である。
【図12】他例の部分断面図である。
【図13】別の例の正面図である。
【図14】(a)(b)は比較例の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 フレーム
2 もみ駆動モータユニット
3 上下駆動モータユニット
4 たたき駆動モータユニット
5 施療子ユニット
20 駆動軸
21 偏心軸部
22 傾斜軸
50 施療子
51 揺動アーム
52 支持アーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子にもみマッサージを与えることができるマッサージ機、殊に回転駆動される傾斜軸を利用して左右に施療子を揺らせることでもみマッサージを得るようにしたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転駆動される傾斜軸を利用して施療子を左右に揺らすことでもみマッサージを得られるようにしたマッサージ機があるが、傾き方向が逆となっている左右一対の傾斜軸により、左右一対の施療子を互いに接近させたり離間させたりする動きだけでなく、上記両傾斜軸の傾き方向を同方向となるように切り換えることができるようにすることで、左右一対の施療子が同方向に移動する動きも得られるようにしたものが特許文献1に示されている。
【0003】
このものでは、もみマッサージに加えて人体を左右に揺らすスイングマッサージも得ることができるのであるが、ここで示されたマッサージ機は、上下に間隔をおいて配設された2つの施療子を備えた支持アームを上記傾斜軸の外周に遊転自在に装着したものであることから、特許文献1の図6及び図7に示されているように、上下の施療子は常に逆方向に動くものとなっており、このためにマッサージを受ける者にとっては、施療子の動きが小さく感じられてしまい、マッサージ感があまり無いものとなっている。
【特許文献1】特開2003−38591公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、より高いマッサージ感を得ることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、正逆回転自在に駆動される駆動軸と、駆動軸に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸と、上下に間隔をおいて複数の施療子が配されているとともに一端が各傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニットと、対の傾斜軸のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備えたものにおいて、上記施療子ユニットは上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと、一端が傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている揺動アームとを備えて、揺動アームの他端側に支持アームが連結されていることに特徴を有している。揺動アームが存在することにより、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるために、高いマッサージ感を得ることができる。
【0006】
この時、各施療子ユニットの揺動アームは駆動軸における同方向に偏心した偏心軸部に夫々配されたものとしておくと、偏心成分による動きを施療子に加えることができると同時に、切換手段による切換時にも、左右の施療子ユニットの施療子に偏心成分によるところの位置変化を同じ方向に与えることができる。
【0007】
揺動アームに対して支持アームは上下に回動自在に連結されているとともに一方向にばね付勢されていることが好ましい。上下の施療子が共に人体に接する状態を確実に得ることができる。
【0008】
また、切換手段は駆動軸に対して傾斜軸をほぼ180°内で遊転自在とするとともに駆動軸の回転方向の切り換えで傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換えるものであり、上記遊転自在とされた傾斜軸は弾性体にてスラスト方向に予圧が加えられていると、切換時に傾斜軸が駆動軸よりも180°内とはいえ、先行回転してしまうことを確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと傾斜軸との間に揺動アームを介在させているために、駆動軸から施療子までの距離を大きくとることができる上に、上下の施療子にほぼ同じ方向の動きを行わせることができるものであり、特に左右の施療子ユニットに同じ方向の動きを行わせる時、全施療子が同じ方向の動きを行うことから、人体は左右に大きく揺すられるようなマッサージ機を得られるものであり、このために高いマッサージ感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図示のマッサージ機構は椅子の背もたれ内に上下に自走自在に配されるもので、左右に位置する縦枠11,11と、縦枠11,11の上端間を連結するガイド軸13と、左右中程に配された一対の取付板14,14等で構成されたフレーム1に、もみ駆動モータユニット2(図2参照)と上下駆動モータユニット3とたたき駆動モータユニット4、左右一対の施療子ブロック5,5等を装着したものとして構成されている。図中71,73,75は動作位置検出用のスリット板であり、72,74,76は同じく動作位置検出用のフォトセンサである。
【0011】
縦枠11,11の下端間に架設されている走行軸30は、その両端にピニオン31が固定されているとともにガイドころ32,33が遊転自在に装着されており、また上記ガイド軸13も両端にガイドころ32,32を備えており、これらガイドころ32は上記背もたれ内の左右に配されたガイドレール内を転動し、更に上記ピニオン31がガイドレールに付設されたラックと噛合する。このために上記上下駆動モータユニット3がピニオン31を備えた走行軸30を回転駆動する時、このマッサージ機構1はガイドレールに沿って背もたれ内を上下に自走する。
【0012】
上記もみ駆動モータユニット2の回転は、取付板14,14の下部に配された駆動軸20に伝達される。この駆動軸20は、図7にも示すように、その両端に偏心軸部21,21を備えたものであるとともに、各偏心軸部21の外周に夫々傾斜軸22,22を配したもので、一方の傾斜軸22は偏心軸部21を貫通する貫通ピン23によって駆動軸20と一体に回転するように取り付けられているが、他方の傾斜軸22は偏心軸部21に固定されたストッパピン24との係合で駆動軸20と共に回転する。ただし、傾斜軸22におけるストッパピン24との係合部は、ほぼ半周にわたる切欠を備えることから、駆動軸20がその回転方向を逆転させる時、ほぼ180°だけ駆動軸20に対して遊転することになる。
【0013】
そして、駆動軸20に対して傾いた軸を有している2つの傾斜軸22,22には夫々図6に示す施療子ブロック5,5が連結されている。この施療子ブロック5は、一端が傾斜軸22の外周に軸受54を介して回動自在に連結される揺動アーム51と、揺動アーム51の他端に中央部が軸支された支持アーム52と、側面形状がく字形である支持アーム52の両端部に夫々軸支されるローラ状の施療子50,50とからなるもので、支持アーム52は上方側の施療子50が背もたれの前面側に突出する方向にばね付勢された状態で揺動アーム51に軸53で上下に回動自在に取り付けられている。
【0014】
そして取付板14,14の上部には前記たたき駆動モータユニット4によってベルト43を介して駆動されるたたき駆動軸40が架設されている。該たたき駆動軸40はその両端に偏心軸部を有するクランク軸として形成されたものであり、各偏心軸部と上記の両施療子ブロック5の揺動アーム51との間が夫々連結ロッド45によって連結されている。なお、連結ロッド45と揺動アーム51とは三次元的な動きが自在な継手46で連結されており、連結ロッド45とたたき駆動軸40との間もたたき駆動軸40の軸回りの回転が自在で且つたたき駆動軸40の軸方向に連結ロッド45が揺動することが自在となるように連結されている。
【0015】
そして、このマッサージ機構1は、前述のように上下駆動モータユニット3の駆動によって背もたれ内を上下に自走して、施療子50の位置を上下に変化させる。この時、上下2つの施療子50,50を備える支持アーム52は揺動アーム51に対して上下に回動自在に連結されているとともにばね付勢されていることから、上下2つの施療子50,50が常に背もたれに持たれた人体背面に接している状態を得ることができる。
【0016】
また、もみ駆動モータユニット2を一方向に回転させる時、図7に示すように、駆動軸20の両端の偏心軸部21,21に夫々配された傾斜軸22,22は、その軸の傾きが相互に逆になっていることから、各傾斜軸22,22の外周に揺動アーム51が装着されるとともに連結ロッド45,45によって揺動アーム51の動きが規制されている左右の施療子ユニット5,5は、図8に示すように、互いに接近したり離れたりする動きを上下の施療子50,50に行わせるものであり、この時、傾斜軸22が装着されている偏心軸部21の偏心成分のために、施療子50は図11に示すように前後にも動く。従って、椅子の背もたれに人がもたれている時、これら施療子50,50は人体の背面に対してもみマッサージを行う。
【0017】
そしてもみ駆動モータユニット2の回転方向を逆方向とした時には、その回転初期において、前述のように片方の傾斜軸22がストッパピン24との関係で、駆動軸20と一体に回転する他方の傾斜軸22に対して180°位相を変化させて図9に示すように、2つの傾斜軸22,22の軸の傾きが同じ向きとなり、このために左右の施療子ユニット5,5は図10に示すように、その施療子50,50に同じ方向の動きを行わせる。このような動きを施療子50が行う時、椅子の背もたれに持たれている人の背面は、左右に交互に振られるようなマッサージ感を得ることができる。
【0018】
ここにおいて、このマッサージ機構では上下に施療子50,50を備えた支持アーム52を左右に揺らせるための傾斜軸22に支持アーム52を直接連結するのではなく揺動アーム51を介して連結していることから、図8に示す動きを行う時も、図10に示す動きを行う時も、支持アーム52が備える上下2つの施療子50,50は左右方向移動の位相が少しずれているとはいえ、同方向に動く。
【0019】
特に、左右の施療子ユニット5,5が同方向に傾くことになる図9,図10に示す状態に切り換えた時、4つの施療子50全てがほぼ同じ方向の動きを行うことから、これら施療子50が背面に接している人体は左右に大きく揺すられることになり、これ故に高いマッサージ感を得ることができる。
【0020】
また、施療子50に前後の動きを行わせるための偏心成分を傾斜軸22に持たせた場合、図14に示すように、左右の施療子ユニット5,5で傾き方向を逆にした時と、同方向にした時とで、駆動軸20から施療子50までの距離LA,LBが異なってくるために、図14(b)に示した状態では人体に対する接触圧が左右の施療子50で異なって適切なマッサージが行えない状態となるが、ここでは駆動軸20の偏心軸部21に偏心成分を持たせていることから、図7に示す状態の時も図9に示す状態の時も左右の施療子ユニット5,5における駆動軸20から施療子50までの距離が変化せず、このために常に適切なマッサージを人体に対して行うことができる。
【0021】
さらにたたき駆動モータユニット4によってたたき駆動軸40を回転させた時には、連結ロッド45が揺動アーム51を上下に振らせることになるために、施療子50は連続した上下方向の動きを行って、たたきマッサージを人体に与える。
【0022】
ところで、図8に示すもみマッサージと図10に示す左右のスイングマッサージとの切換を駆動軸2の回転方向を変えることで行う場合、ストッパーピン24との関係で駆動軸20に対して半周分だけ遊転自在となっている傾斜軸22については、図12に示すように、皿ばねからなる弾性体26によってスラスト方向の予圧をかけておくのが好ましい。図中25は傾斜板、28はブッシュ、29は固定用ナットである。
【0023】
上記予圧により、駆動軸2に対する傾斜軸22の回転について緩い制動が加えられるために、駆動軸20(ストッパーピン24)よりも傾斜軸22の回転が先行してしまう事態が生じなくなるために、左右の施療子ユニット5,5を常に同期して動く状態に保つことができる。
【0024】
駆動軸20に対して傾斜軸22の回転位置を180°切り替えることについては、図13に示すように駆動軸20の回転方向切換時に駆動軸20の180°回転分だけ傾斜軸22の連結を切り離す電磁クラッチ27を用いて行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の一例におけるマッサージ機構の斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の正面図である。
【図4】同上の側面図である。
【図5】同上の背面図である。
【図6】同上の施療子ユニットと連結ロッドの斜視図である。
【図7】同上の駆動軸と傾斜軸とを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】同上の駆動軸と傾斜軸との他の状態を示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】偏心成分による動きを示す説明図である。
【図12】他例の部分断面図である。
【図13】別の例の正面図である。
【図14】(a)(b)は比較例の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 フレーム
2 もみ駆動モータユニット
3 上下駆動モータユニット
4 たたき駆動モータユニット
5 施療子ユニット
20 駆動軸
21 偏心軸部
22 傾斜軸
50 施療子
51 揺動アーム
52 支持アーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転自在に駆動される駆動軸と、駆動軸に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸と、上下に間隔をおいて複数の施療子が配されているとともに一端が各傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニットと、対の傾斜軸のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備えたマッサージ機において、上記施療子ユニットは上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと、一端が傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている揺動アームとを備えて、揺動アームの他端側に支持アームが連結されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
各施療子ユニットの揺動アームは駆動軸における同方向に偏心した偏心軸部に夫々配されていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
揺動アームに対して支持アームは上下に回動自在に連結されているとともに一方向にばね付勢されていることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項4】
切換手段は駆動軸に対して傾斜軸をほぼ180°内で遊転自在とするとともに駆動軸の回転方向の切り換えで傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換えるものであり、上記遊転自在とされた傾斜軸は弾性体にてスラスト方向に予圧が加えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
正逆回転自在に駆動される駆動軸と、駆動軸に対して傾いた軸を備えて駆動軸に装着された対の傾斜軸と、上下に間隔をおいて複数の施療子が配されているとともに一端が各傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている施療子ユニットと、対の傾斜軸のうちの一方の傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換える切換手段とを備えたマッサージ機において、上記施療子ユニットは上下に間隔をおいて複数の施療子が配された支持アームと、一端が傾斜軸の外周面に遊転自在に連結されている揺動アームとを備えて、揺動アームの他端側に支持アームが連結されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
各施療子ユニットの揺動アームは駆動軸における同方向に偏心した偏心軸部に夫々配されていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
揺動アームに対して支持アームは上下に回動自在に連結されているとともに一方向にばね付勢されていることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項4】
切換手段は駆動軸に対して傾斜軸をほぼ180°内で遊転自在とするとともに駆動軸の回転方向の切り換えで傾斜軸の駆動軸に対する軸回り位置を切り換えるものであり、上記遊転自在とされた傾斜軸は弾性体にてスラスト方向に予圧が加えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−29558(P2007−29558A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219482(P2005−219482)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]