マッサージ機
【課題】 施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によってきめの細かい滑らかな軽擦マッサージを施し得るようにしたマッサージ機を提供する。
【解決手段】 施療装置7に軸支したローラ状の施療子8を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子8を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段10を備える。
【解決手段】 施療装置7に軸支したローラ状の施療子8を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子8を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段10を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被施療者に当てるローラ状の施療子を施療装置にて駆動させ各種動作を行わせることで、被施療者に様々な種類の施療を施し得るような多機能のマッサージ機が知られている。
【0003】
たとえば特許文献1の椅子式マッサージ機では、背凭れ部に内装した施療装置に備えた施療子はマッサージ機の幅方向に一対設けられており、施療装置が背凭れ部を上下に走行することで施療子は被施療者の背中に沿って上下に移動駆動可能であり、また、施療装置によると先端に施療子を取り付けたアームを基端を中心にして幅方向に揺動駆動でき、これにより一対の施療子は接離動作をしたり揺動動作をし、揉みマッサージやスイングマッサージを可能にしている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の椅子式マッサージ機では、先端に施療子を取り付けたアームを基端を中心にした幅方向への揺動駆動を可能にしたものであり、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によって行うきめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である、いわゆる軽擦マッサージは行えるものではなかった。
【特許文献1】特開2007−29558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によってきめの細かい滑らかな軽擦マッサージを施し得るようにしたマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係るマッサージ機1にあっては下記構成を有する。すなわち、施療装置7に軸支したローラ状の施療子8を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子8を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段10を備える。これによると、首振り手段10によって首振りされる施療子8の被施療者への微小な揺れ押圧によって、きめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である軽擦マッサージを行うことができる。
【0007】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。該施療子8に首振り手段10で首振りする首振りローラAを少なくとも1つ備える。上記首振り手段10は上記左右に並ぶ首振りローラAの間でその首振り方向を相反させる動作規制手段13を備えることも好ましい。これによると、上記動作規制手段13によって、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0008】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。該施療子8に首振り手段10で首振りする首振りローラAを少なくとも1つ備える。上記首振り手段10は上記左右に並ぶ首振りローラAの間でその首振り方向を同方向にする動作規制手段14を備えることも好ましい。これによると、上記動作規制手段14によって、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0009】
また加えて、上記首振り手段10は、施療子8が上記移動方向に沿う一方向への移動時にのみ首振りさせる動作規制手段15を備えることも好ましい。これによると、たとえば、施療子8の移動方向のうち首振りローラAが首振り動作をする方向を、被施療者の抹消側から中枢側(心臓側)に近づく方向に設定すると、軽擦マッサージ施療にて血液やリンパの循環を促すいわゆるリンパマッサージを行うことができ、施療効果を高めることができる。
【0010】
また加えて、上記首振り手段10は、施療子8を首振り駆動させる駆動手段17を備えることも好ましい。これによると、駆動手段17を操作・制御することで、被施療者の意思に基づいたタイミングや、施療動作中の適宜のタイミングで能動的に軽擦マッサージ施療を施すようにでき、施療効果を高めることができる。
【0011】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。一対の施療部を近接駆動可能にする。各施療子8に左右一対の施療ローラ8aを設ける。左右一対の施療子8における対向方向と反対側の各施療ローラ8aをそれぞれ首振り手段10で首振りする首振りローラAとすることも好ましい。これによると、一対の施療子8を近接させるよう駆動して被施療者の背中を左右から挟むように揉みマッサージ動作を行わせたときには、左右にブレない各施療子8の対向方向側の施療ローラ8aによってその施療荷重を逃さないようにでき、有効な揉みマッサージ施療を確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によってきめの細かい滑らかな軽擦マッサージを施すことができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
本例のマッサージ機1は、図1(a)のような、座部2の後側に背凭れ部3が、前側に足載せ台4がそれぞれ傾倒自在に配設され、座部2の左右には肘掛部5が配設されている椅子式マッサージ機である。背凭れ部3の内部には椅子フレームを兼ねるレール材6が上下に略亙るように配設されており、このレール材6に沿って上下に上下用モータにて自走可能にして機械式の施療装置7が内装されている。
【0015】
施療装置7には図2や図3のタイプが採用できるが、いずれも左右に並んで一対の施療子8が設けられ、各施療子8は各アーム9の先端に取り付けられている。この施療装置7には、上記上下用モータなどから成る上下駆動機構や、幅用モータにて一対のアーム9間の距離を変更して各施療子8の左右位置を可変とする幅駆動機構や、強弱用モータにて各アーム9の姿勢を変更することで各施療子8の前方への突出量を可変とする強弱駆動機構や、たたき用モータによって施療子8に前後方向への微小振動を与えてたたき動作を行わせるたたき駆動機構が備えられ、これら機構を組み合せることで各施療子8に三次元的な軌跡の施療動作を可能にしている。
【0016】
ここで、各施療子8は図2の施療装置7ではアーム9の左右に並設した一対の施療ローラ8aで構成されており、図3の施療装置7ではアーム9の対向面側に設けた1つの施療ローラ8aで構成されているが、いずれも施療子8はアーム9の先端に軸支されている。
【0017】
本発明のマッサージ機1は、図1(b)のように、施療子8の被施療者への微小な揺れ押圧によって行うきめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である軽擦マッサージを可能にしたものであり、つまり施療子8をアーム9に対して首振り動作させる首振り手段10を備えたことに特徴を有している。
【0018】
図4乃至図8の各例では、アーム9の先端に設けた軸受11に支持軸12が回転自在に軸支され、この支持軸12の端部に施療ローラ8aが固定されている。支持軸12の端面はやや前方または後方に面する傾斜面12aに形成され、該傾斜面12aから垂直に施療ローラ8aの中心軸26が一体に突設されている。上下駆動機構によって施療子8を被施療者に当てて上下に移動させると、傾斜面12aから突設された施療ローラ8aは上記移動方向の左右に首振りするのであり、図1(b)のように被施療者には施療子8による左右への微小な揺れ押圧施療、すなわち軽擦マッサージ施療が施されるのである。以下、左右に首振りする施療ローラ8aを首振りローラAと称して説明する。
【0019】
図4乃至7は図2のタイプの施療装置7であって支持軸12の両端に一対の施療ローラ8aが固定されており、図4の例では施療子8を構成する一対の施療ローラ8aのうち一方の施療ローラ8aのみ首振りローラAにされ、図5乃至図7の例では一対の施療ローラ8aのいずれもが首振りローラAにされている。また、図8の例は図3のタイプの施療装置7であって施療子8を構成する1個の施療ローラ8aが首振りローラAとされている。
【0020】
詳しくは、図4の例は、左右に並設した一対の施療子8をそれぞれ構成する一対の施療ローラ8aのうち、各施療子8の対向方向の反対側の施療ローラ8a(左右方向における各外側の施療ローラ8a)のみ、首振りローラAにされている。つまり、各施療子8の対向方向側の施療ローラ8a(左右方向における各内側の施療ローラ8a)は、左右にブレずに直線的に移動方向(上下方向)にスライド移動する。したがって、幅駆動機構にて一対の施療子8を近接させるよう駆動して、被施療者の背中を左右から挟むように揉みマッサージ動作を行わせたとき、左右にブレない各施療子8の対向方向側の施療ローラ8aによってその施療荷重を逃さないようにできる利点がある。なお、各施療子8の首振りローラAは、首振り方向を相反させるべく、各首振りローラAを突設する各支持軸12の傾斜面12aが背凭れ部3の左右中央を境に線対称形状に形成されるといった動作規制手段13が備えられている。
【0021】
また、図5の例は、各施療子8を構成する一対の首振りローラAが、首振り方向を相反させるべく、各首振りローラAを突設する支持軸12の両端の傾斜面12aが支持軸12の左右中央を境に線対称形状に形成されるといった動作規制手段13が備えられている。これによると、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0022】
また、図6,7の例は、各施療子8を構成する一対の首振りローラAの首振り方向を両者で同方向に規制する動作規制手段14が備えられている。詳しくは図6の例は左右一対の施療子8において各一対の首振りローラAの首振り方向が同方向になるように規制されており、図7の例は左右一対の施療子8の間では、各施療子8を構成する一対の首振りローラAの首振り方向が、相反するように規制されている。これによると、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0023】
また、図8の例は、各施療子8を構成する1個の施療ローラ8aが首振りローラAとされており、各首振りローラAの首振り方向が、動作規制手段13にて左右一対の施療子8の間で相反するように規制されて軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせるようにされているが、動作規制手段14を採用し、左右一対の施療子8の間で同方向になるように規制して軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせるようにして、施療効果を高めるようにしてもよい。
【0024】
ところで、図9のように、首振りローラAはワンウェイクラッチ16を介して支持軸12に取り付け、施療子8の上記移動方向のうち一方の方向でのみ首振りローラAを左右に首振り動作させる(他方の方向では首振りローラAは左右に首振り動作をせずに直線的にスライド移動される)動作規制手段15を備えることも好ましい。なお、この例では首振りローラAはアーム9に固定された支持軸12に対して首振り回転自在に軸支される構造が採用されている。
【0025】
ここで、図9(b)のように施療子8の下降時にのみ首振りローラAを首振り動作させるように設定したり、図9(c)のように一対の施療子8の移動方向のうち一方の方向で一方の施療子8の首振りローラAのみを首振り動作させ、該移動方向のうち他方の方向で他方の施療子8の首振りローラAのみを首振り動作させるように設定してもよく、またたとえば、施療子8の移動方向のうち首振りローラAが首振り動作をする方向を、被施療者の抹消側から中枢側(心臓側)に近づく方向に設定すると、軽擦マッサージ施療にて血液やリンパの循環を促すいわゆるリンパマッサージを行うことができ、施療効果を高めることができる。
【0026】
また、図10のように首振りローラAを首振り駆動させる駆動手段17を備えることも好ましい。詳しくは、アーム9に首振り用モータ18が設けられ、首振り用モータ18の駆動出力が減速伝達機構19を介して、アーム9に回転自在に軸支した支持軸12を回転駆動できるようにされている。なお、この例では施療ローラ8aは支持軸12にワンウェイクラッチ16を介して取り付けられており、また図中20は首振り用モータ18の駆動軸18aに装着したピニオンであって減速伝達機構19の入力側ギア19aに噛合されている。これによると、駆動手段17に設けた操作制御部によって駆動手段17の操作・制御を行わせるようにでき、被施療者の意思に基づいたタイミングや、施療動作中の適宜のタイミングで能動的に軽擦マッサージ施療を施すようにでき、施療効果を高めることができる。
【0027】
更に言うと、このように首振りローラAの首振り動作を駆動手段17の駆動出力にて能動的に行わせる場合、首振りローラAの首振り状態(支持軸12に対する傾き状態)は駆動手段17の駆動状態に一致するのであり、たとえば図11のように駆動手段17の駆動出力を抽出する検知用歯車21及び該歯車21の回転角度を測る光センサ22を併設すれば、首振りローラAの首振り状態を検出することができ、軽擦マッサージ施療をより細かく制御することができて、施療効果を高めることができる。
【0028】
なお、上記実施形態ではいずれも背凭れ部3に内装した施療装置7について説明したが、たとえば足載せ台4に内装した施療装置7に設けた前後駆動機構によって足の前後方向に移動する施療子8に対して、上述した首振り手段10を適用してもよいのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の例であり、(a)はマッサージ機の概略側面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面図である。
【図2】マッサージ機で採用できる施療装置の例であって、該施療装置の斜視図である。
【図3】マッサージ機で採用できる施療装置の他例であって、(a)は該施療装置の前面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図4】マッサージ機の一例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図5】マッサージ機の他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図6】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図7】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図8】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図9】マッサージ機の更に他例であって、(a)は要部の正面断面図であり、(b)は施療子の軌跡の例を説明する正面図であり、(c)は施療子の軌跡の他例を説明する正面図である。
【図10】マッサージ機の更に他例であって要部の正面断面図である。
【図11】マッサージ機の更に他例であって要部の正面断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 マッサージ機
3 背凭れ部
4 足載せ台
7 施療装置
8 施療子
8a 施療ローラ
9 アーム
10 首振り手段
A 首振りローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被施療者に当てるローラ状の施療子を施療装置にて駆動させ各種動作を行わせることで、被施療者に様々な種類の施療を施し得るような多機能のマッサージ機が知られている。
【0003】
たとえば特許文献1の椅子式マッサージ機では、背凭れ部に内装した施療装置に備えた施療子はマッサージ機の幅方向に一対設けられており、施療装置が背凭れ部を上下に走行することで施療子は被施療者の背中に沿って上下に移動駆動可能であり、また、施療装置によると先端に施療子を取り付けたアームを基端を中心にして幅方向に揺動駆動でき、これにより一対の施療子は接離動作をしたり揺動動作をし、揉みマッサージやスイングマッサージを可能にしている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の椅子式マッサージ機では、先端に施療子を取り付けたアームを基端を中心にした幅方向への揺動駆動を可能にしたものであり、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によって行うきめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である、いわゆる軽擦マッサージは行えるものではなかった。
【特許文献1】特開2007−29558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によってきめの細かい滑らかな軽擦マッサージを施し得るようにしたマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係るマッサージ機1にあっては下記構成を有する。すなわち、施療装置7に軸支したローラ状の施療子8を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子8を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段10を備える。これによると、首振り手段10によって首振りされる施療子8の被施療者への微小な揺れ押圧によって、きめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である軽擦マッサージを行うことができる。
【0007】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。該施療子8に首振り手段10で首振りする首振りローラAを少なくとも1つ備える。上記首振り手段10は上記左右に並ぶ首振りローラAの間でその首振り方向を相反させる動作規制手段13を備えることも好ましい。これによると、上記動作規制手段13によって、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0008】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。該施療子8に首振り手段10で首振りする首振りローラAを少なくとも1つ備える。上記首振り手段10は上記左右に並ぶ首振りローラAの間でその首振り方向を同方向にする動作規制手段14を備えることも好ましい。これによると、上記動作規制手段14によって、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0009】
また加えて、上記首振り手段10は、施療子8が上記移動方向に沿う一方向への移動時にのみ首振りさせる動作規制手段15を備えることも好ましい。これによると、たとえば、施療子8の移動方向のうち首振りローラAが首振り動作をする方向を、被施療者の抹消側から中枢側(心臓側)に近づく方向に設定すると、軽擦マッサージ施療にて血液やリンパの循環を促すいわゆるリンパマッサージを行うことができ、施療効果を高めることができる。
【0010】
また加えて、上記首振り手段10は、施療子8を首振り駆動させる駆動手段17を備えることも好ましい。これによると、駆動手段17を操作・制御することで、被施療者の意思に基づいたタイミングや、施療動作中の適宜のタイミングで能動的に軽擦マッサージ施療を施すようにでき、施療効果を高めることができる。
【0011】
また加えて、上記施療子8を施療装置7の左右に一対設ける。一対の施療部を近接駆動可能にする。各施療子8に左右一対の施療ローラ8aを設ける。左右一対の施療子8における対向方向と反対側の各施療ローラ8aをそれぞれ首振り手段10で首振りする首振りローラAとすることも好ましい。これによると、一対の施療子8を近接させるよう駆動して被施療者の背中を左右から挟むように揉みマッサージ動作を行わせたときには、左右にブレない各施療子8の対向方向側の施療ローラ8aによってその施療荷重を逃さないようにでき、有効な揉みマッサージ施療を確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、施療子の被施療者への微小な揺れ押圧によってきめの細かい滑らかな軽擦マッサージを施すことができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
本例のマッサージ機1は、図1(a)のような、座部2の後側に背凭れ部3が、前側に足載せ台4がそれぞれ傾倒自在に配設され、座部2の左右には肘掛部5が配設されている椅子式マッサージ機である。背凭れ部3の内部には椅子フレームを兼ねるレール材6が上下に略亙るように配設されており、このレール材6に沿って上下に上下用モータにて自走可能にして機械式の施療装置7が内装されている。
【0015】
施療装置7には図2や図3のタイプが採用できるが、いずれも左右に並んで一対の施療子8が設けられ、各施療子8は各アーム9の先端に取り付けられている。この施療装置7には、上記上下用モータなどから成る上下駆動機構や、幅用モータにて一対のアーム9間の距離を変更して各施療子8の左右位置を可変とする幅駆動機構や、強弱用モータにて各アーム9の姿勢を変更することで各施療子8の前方への突出量を可変とする強弱駆動機構や、たたき用モータによって施療子8に前後方向への微小振動を与えてたたき動作を行わせるたたき駆動機構が備えられ、これら機構を組み合せることで各施療子8に三次元的な軌跡の施療動作を可能にしている。
【0016】
ここで、各施療子8は図2の施療装置7ではアーム9の左右に並設した一対の施療ローラ8aで構成されており、図3の施療装置7ではアーム9の対向面側に設けた1つの施療ローラ8aで構成されているが、いずれも施療子8はアーム9の先端に軸支されている。
【0017】
本発明のマッサージ機1は、図1(b)のように、施療子8の被施療者への微小な揺れ押圧によって行うきめの細かい滑らかな軽度のマッサージ施療である軽擦マッサージを可能にしたものであり、つまり施療子8をアーム9に対して首振り動作させる首振り手段10を備えたことに特徴を有している。
【0018】
図4乃至図8の各例では、アーム9の先端に設けた軸受11に支持軸12が回転自在に軸支され、この支持軸12の端部に施療ローラ8aが固定されている。支持軸12の端面はやや前方または後方に面する傾斜面12aに形成され、該傾斜面12aから垂直に施療ローラ8aの中心軸26が一体に突設されている。上下駆動機構によって施療子8を被施療者に当てて上下に移動させると、傾斜面12aから突設された施療ローラ8aは上記移動方向の左右に首振りするのであり、図1(b)のように被施療者には施療子8による左右への微小な揺れ押圧施療、すなわち軽擦マッサージ施療が施されるのである。以下、左右に首振りする施療ローラ8aを首振りローラAと称して説明する。
【0019】
図4乃至7は図2のタイプの施療装置7であって支持軸12の両端に一対の施療ローラ8aが固定されており、図4の例では施療子8を構成する一対の施療ローラ8aのうち一方の施療ローラ8aのみ首振りローラAにされ、図5乃至図7の例では一対の施療ローラ8aのいずれもが首振りローラAにされている。また、図8の例は図3のタイプの施療装置7であって施療子8を構成する1個の施療ローラ8aが首振りローラAとされている。
【0020】
詳しくは、図4の例は、左右に並設した一対の施療子8をそれぞれ構成する一対の施療ローラ8aのうち、各施療子8の対向方向の反対側の施療ローラ8a(左右方向における各外側の施療ローラ8a)のみ、首振りローラAにされている。つまり、各施療子8の対向方向側の施療ローラ8a(左右方向における各内側の施療ローラ8a)は、左右にブレずに直線的に移動方向(上下方向)にスライド移動する。したがって、幅駆動機構にて一対の施療子8を近接させるよう駆動して、被施療者の背中を左右から挟むように揉みマッサージ動作を行わせたとき、左右にブレない各施療子8の対向方向側の施療ローラ8aによってその施療荷重を逃さないようにできる利点がある。なお、各施療子8の首振りローラAは、首振り方向を相反させるべく、各首振りローラAを突設する各支持軸12の傾斜面12aが背凭れ部3の左右中央を境に線対称形状に形成されるといった動作規制手段13が備えられている。
【0021】
また、図5の例は、各施療子8を構成する一対の首振りローラAが、首振り方向を相反させるべく、各首振りローラAを突設する支持軸12の両端の傾斜面12aが支持軸12の左右中央を境に線対称形状に形成されるといった動作規制手段13が備えられている。これによると、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0022】
また、図6,7の例は、各施療子8を構成する一対の首振りローラAの首振り方向を両者で同方向に規制する動作規制手段14が備えられている。詳しくは図6の例は左右一対の施療子8において各一対の首振りローラAの首振り方向が同方向になるように規制されており、図7の例は左右一対の施療子8の間では、各施療子8を構成する一対の首振りローラAの首振り方向が、相反するように規制されている。これによると、首振りローラAが施す軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせることができ、施療効果を高めることができる。
【0023】
また、図8の例は、各施療子8を構成する1個の施療ローラ8aが首振りローラAとされており、各首振りローラAの首振り方向が、動作規制手段13にて左右一対の施療子8の間で相反するように規制されて軽擦マッサージ施療中に微小な掴み・放し施療を伴わせるようにされているが、動作規制手段14を採用し、左右一対の施療子8の間で同方向になるように規制して軽擦マッサージ施療中に微小な左右への揺らし施療を伴わせるようにして、施療効果を高めるようにしてもよい。
【0024】
ところで、図9のように、首振りローラAはワンウェイクラッチ16を介して支持軸12に取り付け、施療子8の上記移動方向のうち一方の方向でのみ首振りローラAを左右に首振り動作させる(他方の方向では首振りローラAは左右に首振り動作をせずに直線的にスライド移動される)動作規制手段15を備えることも好ましい。なお、この例では首振りローラAはアーム9に固定された支持軸12に対して首振り回転自在に軸支される構造が採用されている。
【0025】
ここで、図9(b)のように施療子8の下降時にのみ首振りローラAを首振り動作させるように設定したり、図9(c)のように一対の施療子8の移動方向のうち一方の方向で一方の施療子8の首振りローラAのみを首振り動作させ、該移動方向のうち他方の方向で他方の施療子8の首振りローラAのみを首振り動作させるように設定してもよく、またたとえば、施療子8の移動方向のうち首振りローラAが首振り動作をする方向を、被施療者の抹消側から中枢側(心臓側)に近づく方向に設定すると、軽擦マッサージ施療にて血液やリンパの循環を促すいわゆるリンパマッサージを行うことができ、施療効果を高めることができる。
【0026】
また、図10のように首振りローラAを首振り駆動させる駆動手段17を備えることも好ましい。詳しくは、アーム9に首振り用モータ18が設けられ、首振り用モータ18の駆動出力が減速伝達機構19を介して、アーム9に回転自在に軸支した支持軸12を回転駆動できるようにされている。なお、この例では施療ローラ8aは支持軸12にワンウェイクラッチ16を介して取り付けられており、また図中20は首振り用モータ18の駆動軸18aに装着したピニオンであって減速伝達機構19の入力側ギア19aに噛合されている。これによると、駆動手段17に設けた操作制御部によって駆動手段17の操作・制御を行わせるようにでき、被施療者の意思に基づいたタイミングや、施療動作中の適宜のタイミングで能動的に軽擦マッサージ施療を施すようにでき、施療効果を高めることができる。
【0027】
更に言うと、このように首振りローラAの首振り動作を駆動手段17の駆動出力にて能動的に行わせる場合、首振りローラAの首振り状態(支持軸12に対する傾き状態)は駆動手段17の駆動状態に一致するのであり、たとえば図11のように駆動手段17の駆動出力を抽出する検知用歯車21及び該歯車21の回転角度を測る光センサ22を併設すれば、首振りローラAの首振り状態を検出することができ、軽擦マッサージ施療をより細かく制御することができて、施療効果を高めることができる。
【0028】
なお、上記実施形態ではいずれも背凭れ部3に内装した施療装置7について説明したが、たとえば足載せ台4に内装した施療装置7に設けた前後駆動機構によって足の前後方向に移動する施療子8に対して、上述した首振り手段10を適用してもよいのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の例であり、(a)はマッサージ機の概略側面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面図である。
【図2】マッサージ機で採用できる施療装置の例であって、該施療装置の斜視図である。
【図3】マッサージ機で採用できる施療装置の他例であって、(a)は該施療装置の前面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図4】マッサージ機の一例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図5】マッサージ機の他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図6】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図7】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図8】マッサージ機の更に他例であって、軽擦マッサージ施療を行う施療子の動作及び軌跡を説明する正面断面図である。
【図9】マッサージ機の更に他例であって、(a)は要部の正面断面図であり、(b)は施療子の軌跡の例を説明する正面図であり、(c)は施療子の軌跡の他例を説明する正面図である。
【図10】マッサージ機の更に他例であって要部の正面断面図である。
【図11】マッサージ機の更に他例であって要部の正面断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 マッサージ機
3 背凭れ部
4 足載せ台
7 施療装置
8 施療子
8a 施療ローラ
9 アーム
10 首振り手段
A 首振りローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療装置に軸支したローラ状の施療子を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記施療子を施療装置の左右に一対設け、該施療子に首振り手段で首振りする首振りローラを少なくとも1つ備え、上記首振り手段は上記左右に並ぶ首振りローラの間でその首振り方向を相反させる動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記施療子を施療装置の左右に一対設け、該施療子に首振り手段で首振りする首振りローラを少なくとも1つ備え、上記首振り手段は上記左右に並ぶ首振りローラの間でその首振り方向を同方向にする動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記首振り手段は、施療子が上記移動方向に沿う一方向への移動時にのみ首振りさせる動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
上記首振り手段は、施療子を首振り駆動させる駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
上記施療子を施療装置の左右に一対設けると共に、一対の施療部を近接駆動可能にし、各施療子に左右一対の施療ローラを設けると共に、左右一対の施療子における対向方向と反対側の各施療ローラをそれぞれ首振り手段で首振りする首振りローラとしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
施療装置に軸支したローラ状の施療子を被施療者の身体に当てた状態で直線的に移動駆動したときに、施療子を上記移動方向の左右に上記軸支部位を中心にして首振りさせる首振り手段を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記施療子を施療装置の左右に一対設け、該施療子に首振り手段で首振りする首振りローラを少なくとも1つ備え、上記首振り手段は上記左右に並ぶ首振りローラの間でその首振り方向を相反させる動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記施療子を施療装置の左右に一対設け、該施療子に首振り手段で首振りする首振りローラを少なくとも1つ備え、上記首振り手段は上記左右に並ぶ首振りローラの間でその首振り方向を同方向にする動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記首振り手段は、施療子が上記移動方向に沿う一方向への移動時にのみ首振りさせる動作規制手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
上記首振り手段は、施療子を首振り駆動させる駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
上記施療子を施療装置の左右に一対設けると共に、一対の施療部を近接駆動可能にし、各施療子に左右一対の施療ローラを設けると共に、左右一対の施療子における対向方向と反対側の各施療ローラをそれぞれ首振り手段で首振りする首振りローラとしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−233061(P2009−233061A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82108(P2008−82108)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]