説明

マッサージ機

【課題】肩位置判定に要する時間を短くすることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機1がマッサージ動作を開始すると、まずはホーム位置Yaに待機する施療子8が肩位置判定開始位置Ybに向かって上昇を開始する。このとき、施療子8は、目標圧力をP1とした最弱ローリングによって上昇する。そして、施療子8が肩位置判定開始位置Ybに到達後、まずは仮肩検出動作を実行する。このとき、目標圧力をP1よりも高いP2とした力制御ローリングによって施療子8を上昇させる。仮肩の位置判定が終了すると、続いては本肩決定動作を実行する。このとき、施療子8を仮肩位置から下降させ、検出圧力がP3になった位置を本肩とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子による叩き動作等によって使用者の肩等をマッサージするマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者(被施療者)の人体を揉みほぐす機械としてマッサージ機(例えば、特許文献1等参照)が広く普及してきている。この種のマッサージ機には、例えば施療子による叩き動作等によって使用者をマッサージ(機械式マッサージ)する機種がある。このマッサージ機では、機械式マッサージの開始に先立ち、施療子により使用者の背中をなぞって使用者の肩位置を判定(肩位置判定)し、その肩位置で施療子を停止させて叩き動作等を実行する。
【0003】
一般的に、肩位置判定としては、図7(a)に示すように、まずホーム位置(最下端位置)で待機している施療子を、使用者の背中をなぞりながら上昇させる。このとき、施療子が目標圧力をとるように施療子の出代Zを変えながら施療子を上昇させる力制御ローリングによって上昇動作を行い、この上昇過程において施療子により圧力を検出すると、使用者が着座していると判定する。
【0004】
図7(b)に示すように、施療子が略中間位置Ykに至ると、この位置で施療子を一時停止させる。ここで、略中間位置Ykまでの上昇過程で使用者を検出できないと、施療子が下降を開始してホーム位置に引き返す。一方、略中間位置Ykまでの上昇過程で使用者を検出すると、一時停止後、施療者を力制御ローリングによって再上昇させる。そして、図7(c)に示すように、施療子の出代Zが閾値Zkとなると、施療子が肩位置(仮肩)に到達したと判定して、施療子の上昇動作を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−272041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来技術で述べた肩位置判定は、施療子をホーム位置から力制御ローリングを行いながら略中間位置Ykまで上昇させ、施療子を略中間位置Ykで一時停止させた後、使用者の肩を目指して再度、力制御ローリングをさせながら施療子を上昇させる判定となっている。よって、力制御ローリングを行いながらの施療子の上昇には時間を要し、かつ略中間位置Ykで施療子を一時停止するので、結果として肩位置判定に時間を要してしまう問題あった。よって、マッサージを開始するまでに待ち時間がかかるので、使用者のストレスに繋がる問題があった。
【0007】
本発明の目的は、肩位置判定に要する時間を短くすることができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、施療子による機械式マッサージの際、前記施療子によって使用者の肩位置を判定し、この肩位置判定により割り出された該肩位置から前記機械式マッサージが可能なマッサージ機において、前記施療子をホーム位置から肩位置判定開始位置へ単に移動させる施療子移動手段と、前記施療子が前記肩位置判定開始位置に到達してから、前記施療子による肩位置判定を実行する肩位置判定実行手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、マッサージ機が動作を開始すると、ホーム位置で待機している施療子が上昇動作を開始して使用者の肩位置判定を行い、この肩位置判定から決まる高さ位置で機械式マッサージを開始する。このとき、施療子をホーム位置から上昇させる際、施療子を所定高さの肩位置判定開始位置まで単に上昇させ、施療子が肩位置判定開始位置に到達した後、実際の肩位置判定を実行する。このため、ホーム位置から肩位置判定開始位置までは、施療子を単に上昇させれば済むので、施療子を肩位置判定開始位置まで上昇させる際の所要時間が短く済む。よって、ホーム位置で待機する施療子を上昇させて肩位置判定する際、その判定に必要な時間を短く済ますことが可能となる。
【0010】
本発明では、前記施療子移動手段は、前記施療子が目標圧力をとるように当該施療子の飛出し量を変更しながら位置を見る力制御ローリングを、目標圧力を小とした弱ローリングにて実行しながら前記施療子を上昇させることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、施療子をホーム位置から肩位置判定開始位置に上昇させる際、弱ローリングによって施療子を上昇させるので、施療子をただ単に上昇させるにしても、使用者がマッサージ機に着座しているか否かは判定することが可能となる。よって、使用者が着座していない場合には、施療子をホーム位置に戻すことが可能となる。
【0012】
本発明では、前記肩位置判定実行手段は、前記施療子が目標圧力をとるように当該施療子の飛出し量を変更しながら位置を見る力制御ローリングによって、前記使用者の肩位置を判定することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、力制御ローリングによって肩位置判定を行うので、より精度よく使用者の肩位置を判定することが可能となる。
本発明では、前記肩位置判定実行手段は、前記施療子を前記ホーム位置から上昇方向に移動して前記使用者の肩位置をおおまかに判定する仮肩検出動作を行い、当該仮肩検出動作の後、前記施療子を今度は下降方向に移動して最終的な位置を見る本肩決定動作により前記肩位置を判定することを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、使用者の肩位置を判定する際、最初は施療子の上昇方向、つまり仮肩検出動作でおおまかな位置判定をし、その後、施療子の下降方向、つまり本肩決定動作で細かな位置判定を実行する。よって、おおまかな位置判定後、細かな位置判定によって最終的な肩位置を判定するので、使用者の肩位置をより精度よく判定することが可能となる。
【0015】
本発明では、前記肩位置判定実行手段は、前記施療子を前記下降方向に移動した際、当該下降方向で一定距離又は一定時間の間において前記肩位置を判定することができないと、前記施療子を停止して前記肩位置判定を強制終了することを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、使用者の肩位置を細かく判定するために施療子を下降させた際、一定距離又は一定時間の範囲内で肩位置を検出することができないと、施療子を停止して肩位置判定を強制終了する。よって、施療子を無駄に下降させずに済むので、安全性を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、肩位置判定に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態におけるマッサージ機の概略構成を示し、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図2】肩位置判定装置の動作態様を示す動作説明図。
【図3】肩位置判定装置の電気構成を示すブロック図。
【図4】開始位置移動動作の具体的動作を示す説明図。
【図5】(a),(b)は仮肩検出動作の具体的動作を示す説明図。
【図6】本肩決定動作の具体的動作を示す説明図。
【図7】(a)〜(c)は従来におけるマッサージ機の動作態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化したマッサージ機の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1(a),(b)に示すように、マッサージ機1には、使用者が座る座部2が設けられている。座部2の奥には、使用者がもたれるための背もたれ部3が、下端を軸4として前後方向(図1(a)のA軸方向)に沿って傾動可能に取り付けられている。座面5の下方には、例えばモータ等を駆動源として背もたれ部3を傾動させるリクライニング機構6が設けられている。また、背もたれ部3の左右方向の両側には、一対の肘掛け部7,7が取り付け固定されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、背もたれ部3には、一対の施療子8,8によって使用者をマッサージする機械式マッサージ機構9が設けられている。機械式マッサージ機構9の機構本体10には、機構本体10(即ち、施療子8)を座面5に沿って上下方向に往復動させる上下動モータ11が設けられている。機構本体10は、背もたれ部3の上下方向に沿って延びるガイドレール12(図2参照)に沿って、レール最下端のホーム位置Yaとレール最上端の最上位置Ycとの間を往復移動可能となっている。機構本体10には、施療子8を座面5の直交方向に往復動させる強弱モータ13が設けられている。強弱モータ13は、施療子8を前後方向に出し引きして施療子8の出代Zを変更したり、施療子8を細かく振動させたりする際に使用される。なお、出代Zが飛出し量に相当する。
【0021】
機械式マッサージ機構9は、機械式マッサージの一行程である肩マッサージの際、上下動モータ11によって施療子高さYを使用者の肩に位置合わせするとともに、強弱モータ13によって施療子8の出代Zを大きくして、施療子8を使用者の肩に乗せ、この状態で施療子8を振動させることで使用者をマッサージする。機械式マッサージには、例えば、揉み上げ動作、揉み下げ動作、さすり動作、指圧動作、押し動作等がある。
【0022】
図3に示すように、マッサージ機1には、マッサージ機1の動作を統括制御するコントローラ14が設けられている。コントローラ14は、例えばMPU(Micro Processing Unit)やメモリを備える。コントローラ14の入力には、マッサージ機1の動作コースや動作モードを設定する際に操作する操作器15が接続されている。また、コントローラ14の出力には、上下モータ駆動部16を介して上下動モータ11が接続されるとともに、強弱モータ駆動部17を介して強弱モータ13が接続されている。
【0023】
使用者がマッサージ機1でマッサージを受ける際には、操作器15で動作コースや動作モードを選択指定し、選択指定後、動作開始ボタンを押し操作する。このとき、コントローラ14は、操作器15から入力する操作信号を基に、操作器15で選択された動作コースや動作モードを把握し、選択された動作コースや動作モードに沿って上下動モータ11や強弱モータ13を制御することにより、マッサージ機1を動作させる。
【0024】
また、本例のマッサージ機1には、機械式マッサージを実行するのに先立ち、機械式マッサージ機構9によって使用者の肩位置を判定する肩位置判定装置18が設けられている。本例の肩位置判定装置18は、従来技術と同様に、施療子8を力制御ローリングによって上昇させて使用者の肩位置判定を実行するものであるが、本例の場合、ホーム位置Yaで待機する施療子8を高さ方向の略中間位置(即ち、肩位置判定開始位置Yb)まで上昇させる際、特別な制御を行うことなく施療子8を肩位置判定開始位置Ybまで単に上昇させる装置となっている。
【0025】
力制御ローリングは、施療子8にかかる圧力が目標圧力をとるように施療子8の出代Zを変更しながら施療子8を上昇させ、この上昇過程で、出代Zが大きく突出して閾値Zcをとるか否かを見ることによって施療子8が使用者の肩位置にあるか否か、つまり使用者の肩位置を判定する処理である。よって、本例の場合、機械式マッサージ機構9には、施療子8にかかる圧力を検出する圧力センサ19が設けられている。圧力センサ19は、マッサージ機1が動作すると圧力検出を開始し、センサ信号をコントローラ14に逐次出力する。肩位置判定時の施療子8の移動軌跡は、図2に示すような蛇行した軌跡Laをとる。なお、圧力センサ19が圧力検出手段に相当する。
【0026】
コントローラ14には、肩位置判定の開始に先立ち、施療子8をホーム位置Yaから肩位置判定開始位置Ybまで単に上昇させる動作、つまり開始位置移動動作を実行する開始位置移動動作実行部20が設けられている。開始位置移動動作実行部20は、図4に示すように、施療子8を座面5の内部に最大量引込ませた状態(出代Z=Za)で上昇移動させる最弱ローリングによって施療子8を肩位置判定開始位置Ybまで上昇させ、施療子8を肩位置判定開始位置Ybまで移動させる。最弱ローリングとは、目標圧力をP1(例えば「0.1V」)として施療子8を力制御ローリングによって上昇させる処理であり、力制御ローリングという名目は付いているものの、検出圧力が僅かであるので、施療子8を何も制御していないのと同様の処理となっている。なお、開始位置移動動作実行部20が施療子移動手段に相当する。
【0027】
図3に示すように、コントローラ14には、施療子高さYが肩位置判定開始位置Ybに到達後、施療子8によって使用者の仮の肩位置を判定する動作、つまり仮肩検出動作を実行する仮肩検出動作実行部21が設けられている。仮肩検出動作実行部21は、図5(a)に示すように、目標圧力を例えばP2(>P1)として施療子8を肩位置判定開始位置Ybから力制御ローリングによって上昇させ、施療子8の出代ZがZbになると、その高さ位置を仮肩と認識し、施療子8の上昇動作を停止する。
【0028】
仮肩検出動作実行部21は、仮肩判定後、図5(b)に示すように、一対の施療子8,8の間の幅(施療子幅X)を広げる幅広げ動作と、出代Zが閾値Zcとなるまで施療子8を押し出す突出動作とを同時に実行する。出代Zが閾値Zcになると、施療子8が使用者の肩上方に位置する。また、一対の施療子8,8を幅方向に動かす動作機構は一般的に知られた周知機構であるので、詳細については省略する。なお、仮肩検出動作実行部21が肩位置判定実行手段を構成する。
【0029】
図3に示すように、コントローラ14には、仮肩判定後、施療子8によって使用者の肩位置を最終的に判定する動作、つまり本肩決定動作を実行する本肩決定動作実行部22が設けられている。本肩決定動作実行部22は、図6に示すように、仮肩検出位置に位置した施療子8を下降させ、圧力センサ19により検出される圧力が例えばP3(>P2)となったか否かを見ることで、本肩位置を検出する。本肩決定動作実行部22は、検出圧力がP3となって本肩を検出すると、施療子8の下降動作を停止し、施療子8の停止後、施療子8にマッサージ動作として叩き動作を実行させる。なお、本肩決定動作実行部22が肩位置判定実行手段を構成する。
【0030】
次に、本例の肩位置判定装置18の動作を図4〜図6に従って説明する。
まず、マッサージ機1が停止している際、施療子8は、図4に示すようにホーム位置Yaで待機する。マッサージ機1が動作を開始すると、肩位置判定装置18が肩位置判定動作を開始する。このとき、開始位置移動動作実行部20は、施療子8をホーム位置Yaから最弱ローリングにより上昇させて、肩位置判定開始位置Ybまで移動させる。最弱ローリングは検出圧力が僅かの処理であるので、施療子8は出代Zが最も小さいZaのまま単に上昇するだけの処理をとり、短時間で肩位置判定開始位置Ybに到達する。施療子8が肩位置判定開始位置Ybに至ると、施療子8がこの位置で一旦停止する。
【0031】
一方、開始位置移動動作実行部20は、施療子8をホーム位置Yaから上昇させた際、施療子8の出代Zが規定値を超えることを確認すると、マッサージ機1に使用者が着座していないと認識する。よって、開始位置移動動作実行部20は、マッサージ機1に使用者が着座していないことを検出すると、肩位置判定開始位置Ybに到達した施療子8を下降させ、ホーム位置Yaに戻す。このため、施療子8は上昇した経路を引き返し、ホーム位置Yaに戻る。
【0032】
施療子8が肩位置判定開始位置Ybに到達すると、仮肩検出動作実行部21は仮肩検出動作を実行する。このとき、仮肩検出動作実行部21は、図5(a)に示すように、施療子高さYがYbで出代ZがZaの状態から、目標圧力をそれまでのP1よりも高いP2とした力制御ローリングによって、施療子8の上昇動作を再開する。この上昇過程で施療子8が肩付近に位置すると、背中による規制が取れ、出代Zが閾値Zbになる。仮肩検出動作実行部21は、出代Zが閾値Zbになったことを確認すると、このときの施療子高さYを仮肩位置と認識し、施療子8の上昇動作を停止する。
【0033】
また、仮肩検出動作実行部21は、仮肩検出により施療子8の上昇動作を停止すると、図5(b)に示すように、続いて施療子幅XをXaとする幅広げ動作と、出代ZをZcに出す突出動作とを同時に実行する。幅広げ動作は、出代ZをZcとする際に使用者の首を避けるための動作である。仮肩検出動作実行部21は、施療子幅XがXaに到達し、出代ZがZcに到達すると、仮肩検出動作を終了する。
【0034】
仮肩検出動作が終了すると、本肩決定動作実行部22は本肩決定動作を実行する。本肩決定動作実行部22は、図6に示すように、施療子幅XがXaで出代ZがZcの状態のまま、施療子8の下降動作を開始する。このとき、本肩決定動作実行部22は、検出圧力がP3に到達するまで施療子8を下降させる。本肩決定動作実行部22は、この下降動作の際、検出圧力がP3になったことを検出すると、その施療子高さYを本肩位置と認識し、施療子8を停止させる。そして、この後、機械式マッサージの一動作として叩き動作が実行される。
【0035】
一方、本肩決定動作実行部22は、施療子8の下降動作時、判定可能最大位置Ydに到達しても、検出圧力が判定下限値Pk(例えば「0.5V」)以下であれば、使用者が着座していないとして、施療子8の下降動作を強制終了する。即ち、本肩決定動作実行部22は、本肩決定動作において施療子8を下降させた際、最上位置Ycから判定可能最大位置Ydの範囲内で検出圧力がP3になることを検出できなければ、使用者がいないと認識して下降動作を強制終了し、施療子8をホーム位置に強制待避させる。
【0036】
以上により、本例においては、機械式マッサージの実行に先立ち使用者の肩位置判定を行う際、ホーム位置Yaで待機している施療子8を、所定高さの肩位置判定開始位置Ybまで単に上昇させ、施療子8が肩位置判定開始位置Ybに到達後、実際の肩位置判定を実行する。このため、本例のように施療子8をホーム位置Yaから上昇させて肩位置判定を実行する判定方式をとる場合であっても、ホーム位置Yaから肩位置判定開始位置Ybまでは単に施療子8を上昇させので、その分だけ判定に要する時間が短く済み、この結果、肩位置判定に必要となる時間を短く済ますことが可能となる。
【0037】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ホーム位置Yaで待機する施療子8を上昇させて肩位置判定を実行する際、施療子8をホーム位置Yaから肩位置判定開始位置Ybまで単に上昇させ、肩位置判定開始位置Ybに到達後、力制御ローリングにより実際の肩位置判定を行うので、肩位置判定に必要な時間を短くすることができる。よって、操作器15で機械式マッサージの開始操作が行われてから実際のマッサージか開始されるまでの待ち時間が短く済むので、使用者にストレスを感じさせずに済む。
【0038】
(2)ホーム位置Yaから肩位置判定開始位置Ybまでは施療子8を最弱ローリングで上昇させるので、施療子8の上昇動作に要する時間を短くするようにしても、この上昇過程において、マッサージ機1に使用者が着座しているか否かを見る着座検知を実行することができる。
【0039】
(3)施療子8に加わる圧力を圧力センサ19で検出し、その検出圧力から使用者の肩位置判定を判定する。このため、施療子8で使用者の身体(背中)を直になぞるという精度のよい形式によって、使用者の肩位置を判定することができる。
【0040】
(4)施療子8にかかる圧力が目標圧力をとるように施療子8の出代Zを変更しながら施療子8を上昇させる力制御ローリングによって、使用者の肩位置を判定する。よって、力制御ローリングという検出精度のよい方式によって、使用者の肩位置を判定することができる。
【0041】
(5)本例の肩位置判定では、施療子8の上昇方向で仮肩検出動作を行い、この動作での仮肩位置検出後、施療子8の下降方向で本肩決定動作を行って最終的な肩位置を判定する。よって、最初は施療子8の上昇方向で大まかな位置判定をし、その後の施療子8の下降方向で、細かな位置判定により最終的な位置判定を行うので、使用者の肩位置をより精度よく判定することができる。
【0042】
(6)本肩決定動作で施療子8を下降させた際、最上位置Ycから判定可能最大位置Ydの範囲内で、検出圧力が判定下限値Pk以下であれば、使用者がいないとして施療子8の下降動作を強制終了する。よって、施療子8を無駄に下降させずに済むので、安全性を確保することができる。
【0043】
(7)マッサージ機1が停止する際には、施療子8をホーム位置Yaに待機させるので、使用者がマッサージ機1に着座した際に、施療子8が身体に当たらず、邪魔になることがない。
【0044】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・開始位置移動動作時の施療子8の上昇速度と、仮肩検出動作時の施療子8の上昇速度とは、同じであることに限定されない。例えば、前者の上昇速度を後者よりも速くしてもよい。
【0045】
・開始位置移動動作は、最弱ローリングに限定されず、例えば力制御ローリングを実行しない単なる上昇動作でもよい。
・施療子8が肩位置判定開始位置Ybに到達した際、この位置Ybで一旦停止することに限定されない。即ち、施療子8が肩位置判定開始位置Ybに到達しても、この位置Ybでは停止せずに連続して上昇動作が継続され、引き続き仮肩検出動作に移行するものでもよい。
【0046】
・肩位置判定開始位置Ybとは、意味として肩位置判定を開始する高さに限定されず、要はホーム位置Yaよりも高い所定位置であればよい。
・肩位置判定は、施療子8に加わる検出圧力を基に判定する方式に限定されず、例えば光センサによる光の反射具合により使用者の人体形状を特定するものでもよい。
【0047】
・肩位置判定は、仮肩検出動作で仮肩を割り出し、その後、本肩決定動作で最終的な肩位置を判定する方式に限定されない。例えば、仮肩検出動作のみ行うものでもよい。
・開始位置移動動作時に行う弱ローリングは、最弱ローリングに限定されず、通常のローリングよりも目標圧力が低いものであればよい。
【0048】
・肩位置判定は、力制御ローリングによるものに限定されず、他の判定方式を使用してもよい。
・本肩決定動作での施療子8の下降強制停止は、施療子8が判定可能最大位置Ydを過ぎても判定下限値Pk以下となることに限定されない。例えば、施療子8が判定可能最大位置Ydを過ぎても検出圧力がP3を満たしていないことを条件としてもよい。
【0049】
・本肩決定動作での施療子8の下降強制停止は、例えばある一定時間内に検出圧力が所定圧力に至らないことを条件としてもよい。
・判定可能最大位置Ydは、肩位置判定開始位置Ybよりも少し低い高さに限定されず、適宜変更可能である。
【0050】
・機械式マッサージ機構9は、モータを駆動源とするものに限らず、例えばシリンダやソレノイド等を使用してもよい。また、機械式マッサージ機構9の構造は、実施形態の例に限定されず、適宜変更可能である。
【0051】
・マッサージ機1は、機械式マッサージのみが可能な機種に限らず、例えばエアバックによる空気式マッサージも可能な機種としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0052】
(イ)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記肩位置判定実行手段は、前記施療子を前記ホーム位置から上昇方向に移動して前記使用者の肩を確認した後、一対の前記施療子を幅方向に互いに離間させる幅広げ動作と、当該施療子を大きく外に飛び出させる突出動作とを、同時に実行する。この構成によれば、施療子の離間動作と突出動作とを同時実行するので、肩位置判定から実際に機械式マッサージを開始するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0053】
(ロ)請求項1〜5、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記施療子にかかる圧力を検出する圧力検出手段を備え、前記施療子移動手段又は前記肩位置判定実行手段は、前記施療子に加わる圧力を基に、前記使用者の肩位置を判定する。この構成によれば、施療子に加わる圧力によって使用者の肩位置を判定するので、施療子で使用者の身体を直になぞるという精度のよい形式によって、使用者の肩位置を判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1…マッサージ機、8…施療子、18…肩位置判定装置、19…圧力検出手段としての圧力センサ、20…施療子移動手段としての開始位置移動動作実行部、21…肩位置判定実行手段を構成する仮肩検出動作実行部、22…肩位置判定実行手段を構成する本肩決定動作実行部、Ya…ホーム位置、Yb…肩位置判定開始位置、Z…飛出し量としての出代。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療子による機械式マッサージの際、前記施療子によって使用者の肩位置を判定し、この肩位置判定により割り出された該肩位置から前記機械式マッサージが可能なマッサージ機において、
前記施療子をホーム位置から肩位置判定開始位置へ単に移動させる施療子移動手段と、
前記施療子が前記肩位置判定開始位置に到達してから、前記施療子による肩位置判定を実行する肩位置判定実行手段と
を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記施療子移動手段は、前記施療子が目標圧力をとるように当該施療子の飛出し量を変更しながら位置を見る力制御ローリングを、目標圧力を小とした弱ローリングにて実行しながら前記施療子を上昇させる
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記肩位置判定実行手段は、前記施療子が目標圧力をとるように当該施療子の飛出し量を変更しながら位置を見る力制御ローリングによって、前記使用者の肩位置を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記肩位置判定実行手段は、前記施療子を前記ホーム位置から上昇方向に移動して前記使用者の肩位置をおおまかに判定する仮肩検出動作を行い、当該仮肩検出動作の後、前記施療子を今度は下降方向に移動して最終的な位置を見る本肩決定動作により前記肩位置を判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記肩位置判定実行手段は、前記施療子を前記下降方向に移動した際、当該下降方向で一定距離又は一定時間の間において前記肩位置を判定することができないと、前記施療子を停止して前記肩位置判定を強制終了する
ことを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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