説明

マッサージ機

【課題】機械式マッサージと空気式マッサージとの連動動作によりマッサージを行う際のマッサージ感を向上することができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機の操作器で連動動作(例えば、ストレッチ動作)の動作強度が「弱」→「強」に変更された際、エアバックの給気時間が短めのTaからTbに切り換わる。このとき、施療子の押込み速度が変更されて、施療子の押込み動作時間が給気時間のTbに合わせ込まれ、エアバックによる空気式マッサージの終了タイミングと、施療子による機械式マッサージの終了タイミングとが一致させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式マッサージや空気式マッサージにより、使用者の身体を揉みほぐすマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者(被施療者)の人体を揉みほぐす機械としてマッサージ機(例えば、特許文献1等参照)が広く普及してきている。この種のマッサージ機には、施療子の叩き動作によるマッサージ(以降、機械式マッサージと言う)と、エアバックによるマッサージ(以降、空気式マッサージと言う)とにより、マッサージを実行可能な機種がある。この機種では、機械式マッサージと空気式マッサージとを同時に動作、つまり連動動作させて、使用者をマッサージすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のマッサージ機には、マッサージ機の動作を切り換える操作器(操作盤)が設けられ、この操作器のボタン操作によって、マッサージ強度を例えば強や弱に切り換え可能となっている。しかし、機械式マッサージと空気式マッサージとが連動動作する場合、機械式マッサージと空気式マッサージとの終了タイミングが一致しないと、一方が動作停止しているにも拘らず他方が動作を継続してしまうため、マッサージに違和感が生じてしまう問題があった。
【0005】
本発明は、機械式マッサージと空気式マッサージとの連動動作によりマッサージを行う際のマッサージ感を向上することができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、施療子により使用者をマッサージする機械式マッサージと、エアバックにより前記使用者をマッサージする空気式マッサージとを実行可能であり、さらに前記機械式マッサージと前記空気式マッサージとを同時に行う連動動作によるマッサージも可能なマッサージ機において、操作器の操作を入力する操作入力手段と、前記操作器の操作によって前記連動動作の動作状態が切り換えられても、前記機械式マッサージ及び前記空気式マッサージのうちの一方の終了タイミングを、他方の終了タイミングに合わせ込むことで、これら2つのマッサージを連動させる連動制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、機械式マッサージと空気式マッサージとが連動動作して使用者をマッサージする際、機械式マッサージ又は空気式マッサージの動作強度が個別に調整されていても、機械式マッサージの終了タイミングと、空気式マッサージの終了タイミングとを連動させることが可能となる。このため、機械式マッサージ及び空気式マッサージのうち一方が終了しているにも拘らず、他方が動作している状況をとらずに済む。よって、これら2つのマッサージに連動感を持たせることが可能となるので、連動動作時のマッサージ感を向上することが可能となる。
【0008】
本発明では、前記機械式マッサージ及び前記空気式マッサージは、前記操作器で前記連動動作の動作状態が切り換えられても、動作間隔が一定に設定されていることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、操作器で連動動作の動作状態が切り換えられたとしても、その切り換えの前と後とで、同じ動作間隔によってマッサージを実行することが可能となる。
本発明では、前記連動制御手段は、前記機械式マッサージの手技速度、手技開始位置又は手技操作量を調整することにより、前記機械式マッサージを空気式マッサージに連動させることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、機械式マッサージと空気式マッサージとを連動させる際、機械式マッサージを空気式マッサージに一致させるようにしたので、機械式マッサージの動作態様を変えるという形式によって、連動合わせが可能となる。また、例えば手技開始位置によって連動動作を合わせ込むようにすれば、例えば手技速度は変えたくない使用者の要望にも対応することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記連動制御手段は、前記空気式マッサージの給気時間を調整することにより、前記空気式マッサージを機械式マッサージに連動させることを要旨とする。
この構成によれば、機械式マッサージと空気式マッサージとを連動させる際、空気式マッサージを機械式マッサージに一致させるようにしたので、空気圧マッサージの動作態様を変えるという形式によって、連動合わせが可能となる。
【0012】
本発明では、前記エアバックとしての一対の腕用エアバックにより、前記使用者の上腕を当該腕用エアバックにより両側から挟み付けるように挟持しつつ、前記施療子により前記使用者の背中を押し上げることでストレッチ動作を実行するストレッチ動作実行手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、マッサージ機にストレッチ機能を設けたので、使用者にストレッチ動作を施すことが可能となる。ところで、肩こりの症状が見られる使用者は大胸筋の萎縮が見られ、このような使用者には人体前面からのアプローチ、つまりストレッチ動作が効果的である。よって、本構成のようにマッサージ機にストレッチ機能を設ければ、使用者の肩こり改善効果に非常に有益である。また、使用者の症状、好み、柔軟性に応じたストレッチ動作を行うことも可能である。
【0014】
本発明では、前記連動動作の一態様であるストレッチ動作を開始する際、前記機械式マッサージ又は前記空気式マッサージによって開始通知動作を実行することにより、前記ストレッチ動作の開始を前記使用者に通知するストレッチ動作開始通知手段を備えたことを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、ストレッチ動作の開始に先立ち、ストレッチ開始の旨を開始通知動作によって使用者に通知するので、使用者をストレッチ動作に集中させることが可能となる。また、精神又は姿勢の準備も可能となるので、ストレッチ効果を一層高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機械式マッサージと空気式マッサージとの連動動作によりマッサージを行う際のマッサージ感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態におけるマッサージ機の概略構成を示す側面図。
【図2】マッサージ機の概略構成を示す正面図。
【図3】マッサージ機の背もたれ部の上部付近の構成を示す部分拡大正面図。
【図4】腕用エアバックの動作状態を示す上視図。
【図5】マッサージ機の電気的構成を示すブロック図。
【図6】エアバックの給気動作と施療子の押し引き動作との関係を示し、(a)は動作強度が弱のときのタイムチャート、(b)は動作強度が強のときのタイムチャート。
【図7】エアバックの給気動作と施療子の押し引き動作との関係を示し、(a)は動作強度が強のときのタイムチャート、(b)は動作強度が弱のときのタイムチャート。
【図8】別例におけるエアバックの給気動作と施療子の押し引き動作との関係を示すタイムチャート。
【図9】(a),(b)は他の別例におけるエアバックの給気動作と施療子の押し引き動作との関係を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化したマッサージ機の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1及び図2に示すように、マッサージ機1には、使用者が座る座部2が設けられている。座部2の奥には、使用者がもたれるための背もたれ部3が、下端を軸4として前後方向(図1のX軸方向)に沿って傾動可能に取り付けられている。座面5の下方には、例えばモータ等を駆動源として背もたれ部3を傾動させるリクライニング機構6が設けられている。また、背もたれ部3の左右方向(図2のY軸方向)の両側には、一対の肘掛け部7,7が取り付け固定されている。
【0019】
座部2の先端には、使用者の足を載せる足載台(オットマン)8が、上端の角を軸9として前後方向に回動可能に取り付けられている。座面5の下方には、例えばモータ等を駆動源として足載台8を傾動させる上下動機構10が設けられている。
【0020】
背もたれ部3には、一対の施療子11によって使用者をマッサージする機械式マッサージ機構12が設けられている。機械式マッサージ機構12には、施療子11を上下方向(図1及び図2のZ軸方向)に往復動させる上下動モータ13と、施療子11を背もたれ面3aの直交方向に動作させる振動モータ14とが設けられている。そして、機械式マッサージ機構12は、施療子11を上下動させるとともに、施療子11自体を始動させることにより、使用者の肩や背中をマッサージ(以降、機械式マッサージと記す)する。機械式マッサージには、例えば、揉み上げ動作、揉み下げ動作、さすり動作、指圧動作、押し動作等がある。
【0021】
マッサージ機1には、エアバック15によって使用者をマッサージする空気式マッサージ機構16が設けられている。本例のエアバック15には、例えば腕用エアバック15aと、脚用エアバック15bと、腰用エアバック15cと、太もも用エアバック15dとがある。なお、これらエアバック15a〜15dの取り付け面は、硬質樹脂により形成され、例えば人体押圧時に生じる反力によって硬質樹脂が変形/破損しないように、背もたれ部3を固定するための鉄製骨格と接続された鉄製フレームによって補強されている。腕用エアバック15aは、上腕部付近に設置された一対の突支持片17,17に取り付けられている。
【0022】
これらエアバック15a〜15dは、ホース18(図5参照)を介してエアーポンプ19に接続されている。ホース18の途中には、例えば三方弁からなる電磁弁20が接続されている。電磁弁20は、これらエアバック15a〜15dを選択的に動作可能である。そして、電磁弁20が供給側に切り換わってエアーポンプ19から高圧エアがエアバック15に供給されると、エアバック15が膨張して人体を包み込み、エアバック15の押圧によって人体をマッサージ(以降、空気式マッサージと記す)する。
【0023】
マッサージ機1の動作モードは、大別すると、例えば機械式マッサージ機構12のみが動作する機械式マッサージ単独動作と、機械式マッサージ機構12及び空気式マッサージ機構16が連動して動く連動マッサージ動作とに分けられる。また、連動マッサージ動作の動作種類としては、例えば揉みや叩き等のマッサージ手技やストレッチ動作を行う自動コースや、或いはストレッチ動作のみを単独で行うストレッチ動作単独モード等がある。マッサージ機1の動作モード設定は、肘掛け部7の近くに設置された操作器21(図5参照)を操作することによって行う。
【0024】
ここで、例えば操作器21で自動コースやストレッチ動作単独モードが操作されたとすると、機械式マッサージ機構12が施療子11を上下方向に動かし、施療子11がどの位置まで物体検知できたか否かを見ることによって、使用者の肩位置を検出する。肩位置が検出されると、機械式マッサージ及び空気式マッサージが、プログラムで決められた手順に則って実行される。
【0025】
このとき、ストレッチ動作が開始されると、図3及び図4に示すように、腕用エアバック15aに給気が開始され、使用者の上腕部を両側から圧迫保持される。そして、この状態を維持しながら、施療子11を動作させることによって、人体を胸部反らしの状態にし、施療子11によって押しや揉み等の動作を実行する。このとき、使用者の上腕を腕用エアバック15aで押さえ付けているため、上体が前方に逃げず、施療子11で背中を押されることにより、使用者に胸を反らせるストレッチが施される。
【0026】
なお、エアバック15a〜15dへの給気方法は、人体を一気に挟持するレベルまで膨張するものに限らず、例えば間欠的に給気しながら徐々に膨張するものであってもよい。また、一連のストレッチ動作に先駆けて、施療子11を例えば横移動させるなどの特定動作を実行するようにすれば、ストレッチ動作の開始を使用者に通知することが可能となるので、ストレッチ動作に意識を集中させる効果が得られる。
【0027】
図4に示すように、マッサージ機1には、マッサージ機1の動作を統括制御するコントローラ22が設けられている。このコントローラ22には、操作器21、リクライニング機構6、上下動機構10、施療子11の上下動モータ13、施療子11の振動モータ14、エアーポンプ19、電磁弁20が接続されている。コントローラ22は、操作器21から入力した操作信号を基に、リクライニング機構6、上下動機構10、上下動モータ13、振動モータ14、エアーポンプ19及び電磁弁20を制御して、マッサージ機1を入力操作に応じたコースやモードで動作させる。
【0028】
操作器21には、マッサージ強度やストレッチ強度を調節する際に操作する強度調節ボタン23が複数設けられている。強度調節ボタン23には、施療子11による刺激強さを設定するボタン(施療子強弱設定ボタン23a)や、エアバック15a〜15dの膨張量を設定するボタン(エアバック膨張量設定ボタン23b)等がある。ストレッチ動作の際には、施療子強弱設定ボタン23a及びエアバック膨張量設定ボタン23bの一方又は両方を操作することにより、使用者の好みや柔軟性に応じたストレッチ動作が可能である。
【0029】
コントローラ22には、操作器21からの操作信号を入力する操作入力部24が設けられている。コントローラ22は、操作入力部24で取得した操作信号を基に、マッサージ機1の各部材を動作させる。なお、操作入力部24が操作入力手段に相当する。
【0030】
コントローラ22には、マッサージ機1のストレッチ動作を管理するストレッチ動作実行部25が設けられている。ストレッチ動作実行部25は、マッサージ機1の動作プログラムがストレッチ動作開始に入ると、機械式マッサージ機構12及び空気式マッサージ機構16を動作して、ストレッチ動作を実行する。ストレッチ動作実行部25がストレッチ動作実行手段に相当する。
【0031】
コントローラ22には、ストレッチ動作の動作開始を使用者に通知するストレッチ動作開始通知部26が設けられている。ストレッチ動作開始通知部26は、ストレッチ動作の開始に際し、例えば施療子11を横移動させるなどして、ストレッチ動作の開始を操作者に通知する。ストレッチ動作開始通知部26がストレッチ動作開始通知手段に相当する。
【0032】
ところで、連動動作の強度(動作強度)が強度調節ボタン23により例えば「弱」に設定された場合には、図6(a)に示すように、エアバック15への給気時間が短めのTaに設定される。連動動作の際、施療子11の押込み動作がエアバック15の給気動作と一致して行われ、エアバック15の給気動作が停止すると、その時点で施療子11が押込み動作から引込み動作に切り換わる。これにより、給気動作の終了タイミングと施療子11の終了タイミングとが同じとなり、違和感なく連動動作の一過程が終了する。
【0033】
一方、連動動作の強度が強度調節ボタン23により例えば「強」に設定された場合には、図6(b)に示すように、エアバック15への給気時間が長めのTbに設定される。これにより、エアバック15への給気時間が延長されるので、エアバック15の膨張量が増し、エアバック15が強めの押圧感を使用者に付与する。このとき、もし仮に施療子11の押込み動作の終了タイミングが、動作強度が「弱」のときのまま(図6(b)の破線の状態)であると、給気動作が継続されているにも拘らず、施療子11の押込み動作が途中で停止してしまい、マッサージ感に違和感が生じてしまう。
【0034】
そこで、本例のマッサージ機1には、強度調節ボタン23の設定操作によるマッサージ動作の強弱に拘らず、連動動作の際の機械式マッサージの終了タイミングと空気式マッサージの終了タイミングとを連動(一致)させる連動動作制御装置27が設けられている。本例の連動動作制御装置27は、強度設定操作に応じて動作時間が切り換わるエアバック15の給気動作の終了タイミングに、施療子11の押込み動作の終了タイミングを合わせ込む装置となっている。
【0035】
この場合、コントローラ22には、給気動作の終了タイミングと施療子11の押込み動作の終了タイミングとを連動させる終了タイミング制御部28が設けられている。終了タイミング制御部28は、操作器21で選択されたコース、モード、動作強度の強弱に応じたそれぞれの給気動作時間を把握し、この給気動作時間に施療子11の押込み動作時間を合わせることにより、給気動作の終了タイミングと施療子11の押込み動作の終了タイミングとを一致させる。なお、終了タイミング制御部28が連動制御手段に相当する。
【0036】
次に、本例の連動動作制御装置27の動作を図6及び図7に従って説明する。
例えばストレッチ動作等の連動動作の際には、エアバック15の給気動作と施療子11の押込み動作とが、同じ開始タイミングで動作をし始める。ここで、例えば連動動作の強度が図6(a)に示すように「弱」に設定された場合、給気動作時間が短めのTaに設定される。また、施療子11の押込み動作は、給気動作と同一時刻に終了されるため、施療子11の押込み動作時間も短めのTaとなり、給気動作と同一時刻に動作が終了する。そして、この一連の連動動作が繰り返し実行される。
【0037】
このとき、例えば連動動作の強度が図6(b)に示すように「強」に設定されると、エアバック15の給気動作時間が長めのTbに切り換えられる。このとき、終了タイミング制御部28は、施療子11の終了タイミングを給気動作の終了タイミングに合わせ込むため、施療子11の押込み動作の速度(押込み速度)を遅くして、押込み操作時間を給気動作時間と同一のTbに変更する。これにより、連動動作の強度が「強」に切り換えられても、「弱」のときと同様に、両者の終了タイミングを一致させることが可能となるため、マッサージの連動感が悪化しない。なお、押込み速度が手技速度を構成する。
【0038】
施療子11の押込み動作時間を長めのTbに変更すると、次のマッサージ動作までの空き時間が逆に短くなる。よって、終了タイミング制御部28は、施療子11の引込み動作の速度(引込み速度)を、動作強度が「弱」のときよりも速くして、施療子11の動作を次マッサージ動作に間に合わせる。よって、施療子11の引込み動作を次マッサージ過程開始までに終わらせることが可能となるので、問題なく次マッサージ過程に移行することも可能となる。なお、引込み速度が手技速度を構成する。
【0039】
今度は、図7に示すように、連動動作の強度を「強」から「弱」に切り換えた場合、エアバック15の給気時間が長めのTbからTaに切り換えられる。よって、終了タイミング制御部28は、施療子11の押込み速度を動作強度が「強」のときよりも速くして、押込み動作時間を短めのTaに変更する。これにより、動作強度が「強」から「弱」に切り換えられても、給気動作の終了タイミングと押込み動作の終了タイミングとを一致させることが可能となる。
【0040】
また、施療子11の押込み動作時間を短めのTaに変更すると、次のマッサージ過程までの空き時間が逆に長くなる。よって、終了タイミング制御部28は、施療子11の引込み速度を、動作強度が「強」のときよりも遅くして、施療子11の引込み動作の終了タイミングを、次マッサージ動作の開始に一致させる。このため、一マッサージ過程が終了した後、連続して次マッサージ過程に移行する動作がとられるので、マッサージを連動感のよいものとすることが可能となり、心地よいマッサージ感を付与することが可能となる。
【0041】
さて、本例においては、強度調節ボタン23により連動動作の強度が切り換えられても、施療子11の押込み速度及び引込み速度が変更されることにより、押込み動作の終了タイミングがエアバック15の給気動作の終了タイミングに合わせ込まれる。よって、機械式マッサージと空気式マッサージとの連動感を損なわずに済むので、非常に心地よいマッサージ感を使用者に付与することが可能となる。また、施療子11の押込み速度及び引込み速度を変更することで対応するので、動作強度の強弱で施療子11の押込み動作時間を変更する態様をとっても、施療子11を最大引込み位置と最大押込み位置とに位置させることも可能となる。
【0042】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)機械式マッサージ及び空気式マッサージがともに動く連動動作(例えば、ストレッチ動作等)の際、動作強度の強弱が変更されても、機械式マッサージの終了タイミングと空気式マッサージの終了タイミングが一致するように、これらマッサージを動作させる。よって、これら2つのマッサージの連動感を確保することが可能となるので、連動動作時のマッサージ感を向上することができる。このため、機械式マッサージ又は空気圧マッサージの強弱を使用者の好みや柔軟性に応じて個別に設定しても、互いに連動感を損なうことなく、ストレッチ動作を行うことができる。
【0043】
(2)連動強度が「強」であっても或いは「弱」であっても、連動動作時の1つのマッサージ過程は同じ動作間隔で実行される。このため、連動動作の強弱に関係なく、同じ動作間隔で使用者にマッサージを施すことができる。
【0044】
(3)機械式マッサージと空気式マッサージとを連動させる際、機械式マッサージを空気式マッサージに合わせ込むようにしたので、機械式マッサージの動作態様、つまり施療子11の動作速度(手技速度)を変更するという簡素な制御によって、これら2つのマッサージを連動させることができる。
【0045】
(4)コントローラ22にストレッチ動作実行部25を設けて、マッサージ機1にストレッチ機能を設けたので、使用者にストレッチ動作を施すことができる。また、操作器21の操作によってストレッチ動作の強弱も自由に設定可能となるので、機械式マッサージと空気式マッサージとの連動感を損なわずに、使用者の症状、好み、柔軟性に応じたストレッチ動作を実行することもできる。
【0046】
(5)コントローラ22にストレッチ動作開始通知部26を設けたので、ストレッチ動作の開始に先立ち、ストレッチ開始の旨を使用者に通知することができる。よって、使用者をストレッチ動作に集中させることができ、精神又は姿勢の準備も可能となることから、ストレッチ効果を一層高めることもできる。
【0047】
(6)機械式マッサージと空気圧マッサージとを同一タイミングで開始可能となるので、マッサージ開始時に違和感を生じ難くすることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0048】
・施療子11の押込み動作時間の変更は、施療子11を押し引きするときの速度を切り換える形式に限定されない。例えば、図8に示すように、施療子11の引込み位置(手技開始位置)を変更することで対応してもよい。即ち、動作強度が「強」の場合(図8の破線)、施療子11の引込み位置が引込みの最下点に設定し、動作強度が「弱」の場合(図8の実線)、施療子11の引込み位置が最下点の手前位置に設定する。この場合は、施療子11の押込み速度及び引込み速度を変えずに済むので、機械式マッサージのマッサージ感を、強弱で同一とすることができる。
【0049】
・施療子11の押込み動作時間の変更は、例えば図9に示すように、施療子11の最大押込み量(手技操作量)を変更することで対応してもよい。即ち、施療子11の押込み速度を強弱に拘らず一定とし、エアバック15の給気動作が終了した時点で押込み動作を停止する。よって、動作強度が「強」のときには、施療子11の押込み量が多くなり、動作強度が「弱」のときには、施療子11の押込み量が少なくなる。この場合、施療子11の押込みの際、押込み速度を一定とすることが可能となるので、施療子11の動作制御(モータ制御)を簡素化することが可能となる。
【0050】
・機械式マッサージと空気式マッサージとの連動は、空気式マッサージを機械式マッサージに合わせ込む形式としてもよい。
・動作強度は、「強」と「弱」の2段階に限らず、例えば3段階以上としてもよい。また、動作強度の切り換わりは、段階的に限らず、連続的でもよい。
【0051】
・エアバック15a〜15dの膨張量は、例えば操作器21によって個別に設定可能としてもよい。
・機械式マッサージは、施療子11の押込み量が時間的に大きく変化する手技以外に、例えば背筋伸ばしのような施療子11の押込み量が比較的少ない手技や、或いは施療子11による背中の叩き動作としてもよい。
【0052】
・ストレッチ動作は、腕用エアバック15a,15aで上腕部を挟み込んで施療子11により背中を押す胸反らしストレッチに限定されず、他の箇所に配置したエアバック15b〜15dを用いたものでもよい。その一例としては、例えば脚用エアバック15bで使用者の脚部を挟持しながら、足載台8を上方から下方に向かって回動させる脚ストレッチ動作でもよい。また、胸反らしストレッチ動作と脚ストレッチ動作とを連続的に実行してもよい。
【0053】
・ストレッチ動作は、腰用エアバック15c及び太もも用エアバック15dを順次膨縮させながら、機械式マッサージを連動させることで、ストレッチ効果の高い腰反らし動作や腰ひねり動作としてもよい。
【0054】
・ストレッチ動作を腰ひねり動作とした場合、使用者に機械式マッサージを施しながら、座面5の左に配置した太もも用エアバック15dの膨張により右方向へひねりを加え、この動作後、同様に使用者に機械式マッサージを施しながら、座面5の右に配置した太もも用エアバック15dの膨張により左方向へひねりを加える動作としてもよい。
【0055】
・操作器21は、ボタン式に限らず、どのような構造をとってもよい。また、操作器21の配置位置は、肘掛け部7など適宜変更可能である。
・マッサージ機1で選択できるコースやモードは、種々の形式が採用可能である。そして、エアバック15の吸気時間、施療子11の押込み動作時間、施療子11の引込み動作時間は、選択された各コースやモードに応じた時間に適宜設定される。
【0056】
・動作強度の強弱で、1マッサージ過程の動作間隔が異なるものでもよい。例えば、動作強度が「強」の場合、動作間隔が短く設定され、動作強度が「弱」の場合、動作間隔が長く設定されてもよい。
【0057】
・機械式マッサージは、施療子11の打撃によるものに限定されず、他の部材を使用した形式でもよい。
・空気式マッサージは、エアバックを使用したものであれば、どのような構造のものを採用してもよい。
【0058】
・操作器21は、ボタン操作式に限定されず、例えばタッチパネル式としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0059】
(イ)請求項1〜6のいずれかにおいて、前記連動制御手段は、前記機械式マッサージ及び空気式マッサージのうち、前記操作器からの指示に準じて動く一方を基準として、他方を当該一方に合わせ込むことにより、2つのマッサージを連動させる。
【0060】
(ロ)請求項1〜6、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記機械式マッサージと前記空気式マッサージとの開始タイミングは、同一に設定されている。この構成によれば、機械式マッサージと空気式マッサージとを同一タイミングで開始可能となるので、マッサージ開始時の違和感を生じ難くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1…マッサージ機、11…施療子、15(15a〜15d)…エアバック、15a…腕用エアバック、21…操作器、24…操作入力手段としての操作入力部、25…ストレッチ動作実行手段としてのストレッチ動作実行部、26…ストレッチ動作開始通知手段としてのストレッチ動作開始通知部、27…連動動作制御装置、28…連動制御手段としての終了タイミング制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療子により使用者をマッサージする機械式マッサージと、エアバックにより前記使用者をマッサージする空気式マッサージとを実行可能であり、さらに前記機械式マッサージと前記空気式マッサージとを同時に行う連動動作によるマッサージも可能なマッサージ機において、
操作器の操作を入力する操作入力手段と、
前記操作器の操作によって前記連動動作の動作状態が切り換えられても、前記機械式マッサージ及び前記空気式マッサージのうちの一方の終了タイミングを、他方の終了タイミングに合わせ込むことで、これら2つのマッサージを連動させる連動制御手段と
を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記機械式マッサージ及び前記空気式マッサージは、前記操作器で前記連動動作の動作状態が切り換えられても、動作間隔が一定に設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記連動制御手段は、前記機械式マッサージの手技速度、手技開始位置又は手技操作量を調整することにより、前記機械式マッサージを空気式マッサージに連動させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記連動制御手段は、前記空気式マッサージの給気時間を調整することにより、前記空気式マッサージを機械式マッサージに連動させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記エアバックとしての一対の腕用エアバックにより、前記使用者の上腕を当該腕用エアバックにより両側から挟み付けるように挟持しつつ、前記施療子により前記使用者の背中を押し上げることでストレッチ動作を実行するストレッチ動作実行手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記連動動作の一態様であるストレッチ動作を開始する際、前記機械式マッサージ又は前記空気式マッサージによって開始通知動作を実行することにより、前記ストレッチ動作の開始を前記使用者に通知するストレッチ動作開始通知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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