説明

マッサージ機

【課題】施療者に対する空気袋の接触感を変化させて変化に富んだマッサージ感覚を与えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】座部2と、背もたれ部3と、施療者の身体の左右両側に位置する側壁部4と、を備え、前記側壁部4には第一の空気袋5と前記第一の空気袋5より施療者側に位置して前記第一の空気袋5と重なる第二の空気袋6とが設けられ、両空気袋5、6は制御手段7により空気の給気および排気がそれぞれ独立して制御され、前記制御手段7は第二の空気袋6へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋5への給気または排気を制御して施療者に施療を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、施療者を施療するマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2007−252674号公報(特許文献1)に示されるように、施療者が座るための座部と、背もたれ部と、背もたれ部の左右両側から前方に向かって突出する側壁部と、を有し、側壁部の内面側に夫々左右方向に重合した空気袋を並列状態に埋設しているマッサージ機は知られている。
【0003】
このマッサージ機によると夫々の空気袋は基端部の位置をそろえて基端部のみを側壁部に取り付けているため空気袋が扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧して施療を行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−252674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例であるマッサージ機にあっては、空気袋への空気の給気、排気時間を調整することによって圧迫時間を変えたり、挟圧の力を変えてマッサージすることは可能であるが、施療者に対する空気袋の接触感を変化させて異なるマッサージ感覚を与えることはできなかった。
【0006】
本願発明は、上記従来例に鑑みて発明されたものであり、その課題は、施療者に対する空気袋の接触感を変化させて変化に富んだマッサージ感覚を与えることができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、座部と、背もたれ部と、施療者の身体の左右両側に位置する側壁部と、を備え、前記側壁部には第一の空気袋と前記第一の空気袋より施療者側に位置して前記第一の空気袋と重なる第二の空気袋とが設けられ、両空気袋は制御手段により空気の給気および排気がそれぞれ独立して制御され、
前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うことを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載のマッサージ機において、座部には第三の空気袋が埋設され、前記制御手段は第三の空気袋への空気の給気および排気を制御するものであり、前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一および第三の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うことを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2に記載のマッサージ機において、背もたれ部は傾動制御手段により自在に傾動されるものであり、前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行い、前記傾動制御手段は前記背もたれ部の傾動角度を変化させるものであることを特徴としている。
【0010】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマッサージ機において、第一の空気袋と第二の空気袋との間に施療者側に突出する突起部を有する支持材を介在させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1記載のマッサージ機においては、側壁部には第一の空気袋と前記第一の空気袋より施療者側に位置して前記第一の空気袋と重なる第二の空気袋とが設けられ、両空気袋は制御手段により空気の給気および排気がそれぞれ独立して制御され、制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うので、第二の空気袋が施療者の身体にフィットした形状で保たれた状態で、第一の空気袋が膨張、収縮することにより施療者は包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。
【0012】
又、本願請求項2記載の発明のマッサージ機においては、特に、座部には第三の空気袋が埋設され、制御手段は第三の空気袋への空気の給気および排気を制御するものであり、制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一および第三の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うので、第三の空気袋の膨張・収縮にあわせて、施療者はその身体は上下方向に移動されて、マッサージを受ける部位が変化するので、異なる身体の部位において包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。
【0013】
又、本願請求項3記載の発明のマッサージ機においては、特に、背もたれ部は傾動制御手段により自在に傾動されるものであり、制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行い、前記傾動制御手段は前記背もたれ部の傾動角度を変化させるものであるので、背もたれ部の傾動角度が変化することで第二の空気袋と施療者の身体の接触位置が変わり、異なる身体の部位において包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。
【0014】
又、本願請求項4記載の発明のマッサージ機においては、特に、第一の空気袋と第二の空気袋との間に施療者側に突出する突起部を有する支持材を介在させたので、支持材の突起部が第二の空気袋を介して施療者の身体に押圧されて局所指圧的なマッサージ感覚を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の第一の実施形態におけるマッサージ機の側面図である。
【図2】本願発明の第一の実施形態におけるマッサージ機の正面図である。
【図3】本願発明の第一の実施形態のマッサージ機における側壁部の拡大図である。
【図4】本願発明の第一の実施形態のマッサージ機における空気袋の膨張・収縮システムを示す説明図である。
【図5】本願発明の第一の実施形態のマッサージ機を示し、(a)は第一の空気袋が収縮した状態を示し、(b)は第一の空気袋が膨張した状態を示している。
【図6】本願発明の第三の実施形態のマッサージ機を示し、(a)は第一の空気袋のみに空気を給気・排気させた状態を示し、(b)は第二の空気袋に一定量の空気が給気された上で、第一の空気袋を膨張・収縮させた状態を示し、(c)は(b)の状態に加えて第三の空気袋を膨張・収縮させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜5は本実施形態のマッサージ機1を示しており、このマッサージ機1は、座部2と、背もたれ部3と、施療者の身体の左右両側に位置する側壁部4と、を備え、側壁部4には第一の空気袋5と第一の空気袋5より施療者側に位置して第一の空気袋5と重なる第二の空気袋6とが設けられ、両空気袋5、6は制御手段7により空気の給気および排気がそれぞれ独立して制御されている。また、制御手段7は第二の空気袋6へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋5への給気または排気を制御して施療者に施療を行うものである。
【0017】
また、座部2には第三の空気袋8が埋設され、制御手段7は第三の空気袋8への空気の給気および排気を制御するものであり、制御手段7は第二の空気袋6へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一および第三の空気袋5、8への給気または排気を制御して施療者に施療を行うものである。
【0018】
側壁部4は施療者の上腕部および肩部の両側に位置するように背もたれ部3から前方に向かって突設されており、施療者の身体(上腕部および肩部)の左右両側に、それぞれ側壁部4a、4bが存在している。側壁部4は硬質の骨格材からなり、左右それぞれの側壁部4の内側(施療者側)には第一の空気袋5a、5bが設けられ、さらに第一の空気袋5よりも内側(施療者側)に第二の空気袋6a、6bが、第一の空気袋5と重なって、それぞれ設けられている。これら、側壁部4、第一の空気袋5、第二の空気袋6は布地で覆われており、第一および第二の空気袋5、6の箇所を覆う布地は第一の空気袋5および第二の空気袋6の膨張・収縮にともなって伸縮自在なストレッチ生地からなっている。
【0019】
第三の空気袋8は座部2に埋設されており、座部2の左側に埋設された第三の空気袋8aと座部2の右側に埋設された第三の空気袋8bとからなり、第三の空気袋8を膨張させることにより施療者の身体を上方向に移動させることができ、反対に第三の空気袋8を収縮させることにより施療者の身体が下方向に移動させることができる。
【0020】
第一、第二および第三の空気袋5、6、8は、それぞれ図4に示されるように、電磁弁9を介してポンプ10に接続されており、制御手段7は各電磁弁9のON/OFFを制御することにより各空気袋5、6、8の膨張・収縮が自在に行えるようになっており、各空気袋5、6、8の膨張量も自在に制御可能な構成となっている。本実施形態では、左右両側の第一の空気袋5a、5b、左右両側の第二の空気袋6a、6b,左右両側の第三の空気袋8a、8bの計6つの空気袋それぞれに対応して6つの電磁弁9a〜9fを設けて、制御部7が各電磁弁9a〜9fを制御することにより6つの空気袋がそれぞれ個別に膨張・収縮可能になるように構成している。
【0021】
次に本実施形態のマッサージ機1における制御手段7の動作について、図5に基づいて説明を行う。まず、制御手段7は電磁弁9c、9dを制御して第二の空気袋6a、6bへ一定量の空気を給気させる。ここで一定量の空気とは第二の空気袋6a、6bへ給気可能な上限量でなく、上限量より少ない量であり、後述の効果の差があるため、使用者はそれぞれ好みに応じて、図示しないコントローラを介して制御手段7により空気量を調整可能な構成としている。
【0022】
次に、制御手段7は、第二の空気袋6a、6bへの給気量を保ったまま、電磁弁9a、9bを制御して第一の空気袋5a、5bへの給気または排気を制御して、第一の空気袋5a、5bを膨張・収縮させることにより施療者への施療を行う(図5(a)は第一の空気袋5a、5bが収縮した状態を示し、図5(b)は第一の空気袋5a、5bが膨張した状態を示している)。このとき、第二の空気袋6が施療者の身体にフィットした形状で保たれた状態で、第一の空気袋5が膨張、収縮することにより施療者は包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。ここで例えば第二の空気袋6a、6bに上限量の3分の1程度の空気を給気させて施療を行う場合(ケース1)と上限量の3分の2程度の空気を給気させて施療を行う場合(ケース2)とを比較する。ケース1の場合ケース2に比較して給気量が少ないので、第二の空気袋6はより施療者の身体に沿って変位し、体にフィットした形状と成りえるので、施療者はより包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。反対に、ケース2の場合はケース1と比較した場合、第二の空気袋は給気量が多いため施療者の体にフィットした形状に変位しにくいが、多くの給気量のためにケース1より強い反力を有し押圧力の強いマッサージ感覚を得ることができる。
【0023】
さらに制御手段7は電磁弁9e、9fを制御して第三の空気袋8a、8bへの給気または排気を制御して、第三の空気袋8a、8bを膨張・収縮させる。このとき、第三の空気袋8a、8bが膨張・収縮されることにより、施療者の身体は上下方向に移動されるので、マッサージを受ける部位(上腕部および肩部)が上下方向において変化し、異なる部位において包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。
【0024】
なお、本実施形態において側壁部4は施療者の上腕部および肩部の両側に位置するように背もたれ部3から前方に向かって突設されており、施療者の上腕部および肩部を施療するように構成されているが、側壁部4の突設位置は上記形態に限られるものでなく、例えば施療者の腰部の両側に突設させて腰部を施療するようになしてもよいし、座部2の前方にオットマンを設けて、このオットマンに両足を収める凹部を2箇所設け、この凹部の外側側方を側壁部4として足部を施療するようになしてもよい。
【0025】
次に、本願発明の第二の実施形態について説明する。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0026】
本実施形態のマッサージ機1の背もたれ部3は傾動制御手段(図示せず)により自在に傾動されるものであり、制御手段7は第二の空気袋6へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋5への給気または排気を制御して施療者に施療を行い、傾動制御手段は背もたれ部3の傾動角度を変化させるものである。
【0027】
したがって、本実施形態のマッサージ機1は背もたれ部3の傾動角度が変化することで第二の空気袋6と施療者の身体の接触位置が変わり、異なる身体の部位において包み込まれるようなマッサージ感覚を得ることができる。
【0028】
次に、本願発明の第三の実施形態について説明する。なお、ここでは、上記第一および第二の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一および第二の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】
本実施形態のマッサージ機1では第一の空気袋5と第二の空気袋6との間に施療者側に突出する突起部11を有する支持材12を介在させている。支持材12は平板状の形状をしており、この支持材12から突起部11が上下方向に3つ並んで一列に突設されている。もちろん、突起部11の配置はこれに限られるものでなく、例えば、突起部11を上下方向に2つ配置したものを2列突設するなどしてもよい。図6は、本実施形態における制御手段7および第一、第二および第三の空気袋5、6、8の動作を示しており、本実施形態では、側壁部4が施療者の腰部の両側に突設させて腰部を施療するようになされている。
【0030】
図6(a)は使用形態1を示しており、この使用形態においては第二および第三の空気袋6、8には空気が給気されずに、第一の空気袋5のみに空気を給気・排気させて、第一の空気袋5を膨張・収縮させている。この使用形態においては、第二の空気袋6に空気は給気されていないので突起部11が施療者に当接押圧されて、施療者は指圧感覚の施療を受けることができる。
【0031】
図6(b)は、使用形態2を示しており、この使用形態においては、第二の空気袋6には一定量(例えば、第二の空気袋6に給気できる上限量の3分の1〜3分の2程度)の空気が給気されており、この第二の空気袋6の給気状態が保たれた上で、制御手段7は第一の空気袋5への給気・排気を制御して第一の空気袋5を膨張・収縮させて施療者に施療を行っている。したがって、この使用形態においては、支持材12の突起部11が、一定量給気された第二の空気袋6を介して施療者の身体に押圧されるので、施療者は局所的な指圧感覚のマッサージを受けることができる。
【0032】
図6(c)は、使用形態3を示しており、この使用形態においては、制御手段7は上記第二の使用形態において第一および第二の空気袋5、6になす制御に加えて、第三の空気袋8への給気・排気を制御して第三の空気袋8を膨張・収縮させて施療者に施療を行っている。図6(c)は、第三の空気袋8が膨張した状態を示しているが、図6(b)の第三の空気袋8が収縮した状態と比較して、施療者の身体において第二の空気袋6に当接する箇所が異なっている。これは施療者の身体が第三の空気袋8が膨張することにより上方に持ち上げられるためである。すなわち、この使用形態においては、施療者は異なる身体の部位において施療を受けることができ、異なる身体の部位において包み込まれるようなマッサージ感覚を味わうことができる。
【0033】
なお、上述の使用形態1〜3を組み合わせて施療を行っても勿論よく、この場合、組み合わせ順序をランダムに構成することにより施療者にあきがこない施療を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 側壁部
5 第一の空気袋
6 第二の空気袋
7 制御手段
8 第三の空気袋
9 電磁弁
10 ポンプ
11 突起部
12 支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、背もたれ部と、施療者の身体の左右両側に位置する側壁部と、を備え、前記側壁部には第一の空気袋と前記第一の空気袋より施療者側に位置して前記第一の空気袋と重なる第二の空気袋とが設けられ、両空気袋は制御手段により空気の給気および排気がそれぞれ独立して制御され、
前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うマッサージ機。
【請求項2】
前記座部には第三の空気袋が埋設され、前記制御手段は第三の空気袋への空気の給気および排気を制御するものであり、
前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一および第三の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行うことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記背もたれ部は傾動制御手段により自在に傾動されるものであり、前記制御手段は第二の空気袋へ上限まで空気を給気させずに一定量の空気を給気させた状態を保ったまま、第一の空気袋への給気または排気を制御して施療者に施療を行い、前記傾動制御手段は前記背もたれ部の傾動角度を変化させるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記第一の空気袋と第二の空気袋との間に施療者側に突出する突起部を有する支持材を介在させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172823(P2011−172823A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40608(P2010−40608)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】