説明

マッサージ装置

【課題】 人体に対して温かみも与えて効果的なマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】 マッサージ機構によって駆動されるアーム6に設けた支持軸4が施療子1を支持すると共に、該支持軸4に熱源5と、該熱源5の熱を施療子1の外周部2に運ぶ熱伝達手段と、を設けており、施療子1の外周部2を、上記熱伝達手段と、外周面3を構成する弾性体8と、で構成して、上記弾性体8を施療子1の外側に当接するフランジ部10を備えた軸受9を介して上記支持軸4に回転自在としたものである。熱伝達手段によって熱源5の熱が施療子1の外周部2に運ばれ、施療子1の外周部2が人体に対して温かみも与えて効果的にマッサージを行うことができる。そして、軸受9のフランジ部10により、熱伝達手段を施療子1に設けたことによる強度および耐久性の低下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揉み玉とも称される施療子によって人体に対するマッサージを行うマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、揉み玉と称される施療子にマッサージ動作を行わせることで人体の背面に対するマッサージを行うマッサージ装置がある。このタイプのものでは、通常、左右で対となる施療子を椅子の背もたれ内に配置し、背もたれの前面に設けたカバーを介して人体の背面に圧力を加えることでマッサージを行うものとなっている。
【0003】
ところで、人が施すマッサージの場合、施療を行う人の手の温かさがマッサージを受ける被施療者に伝わるが、マッサージ装置の施療子は室温(もしくはカバーとの摩擦熱で室温より少し高い程度)である。ここにおいて、特許文献1に示されているように、施療子内に熱源を設けて、施療子が人体に対して力だけでなく、温かみも与えることができるようにすれば、被施療者にしてみれば人の手によるマッサージを受けている感覚を擬似的に創出することができると共に、この感覚がマッサージの充足感を高めることになる。
【0004】
しかし、施療子は人体に圧力を加えるものであるために、ゴム系の弾性体で形成している上に、上記カバーとの間の滑りをよくするために回転自在なローラとして構成するのが通常であり、この場合、人体に対してカバーを介して接触する施療子の外周部に、人体に対して温かみを感じさせることになる熱を持たせることが困難であり、上記文献にもこの点に関する記載は無い。
【特許文献1】特開2005−102919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みて発明したものであり、人体に対して温かみも与えて効果的なマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るマッサージ装置は、マッサージ機構によって駆動されるアーム6に支持軸4が設けてあり、該支持軸4が施療子1を支持すると共に、該支持軸4に、熱源5と、該熱源5の熱を施療子1の外周部2に運ぶ高熱伝導率材料からなる熱伝達手段と、を設けてあり、上記熱伝達手段が支持軸4と軸心を同じくして一体で設けられたディスク部7であって、上記ディスク部7の両側に施療子1の外周部2の外周面3を構成する弾性体8を夫々配し、上記弾性体8を上記ディスク部7と一体の上記支持軸4に対して回転自在としたマッサージ装置において、上記弾性体8の上記ディスク部7と反対側の上記施療子1の外側に位置する側面に当接するフランジ部10を備えた軸受9を上記弾性体8に固定して、上記弾性体8が軸受9を介して支持軸4に回転自在としたものであることを特徴とする。
【0007】
このような構成をしたことで、支持軸4に熱源5を配置しているものの熱伝達手段によって人体(被施療者の背中)に温かさを感じさせることができる熱を施療子1の外周部2に効果的に持たせることができる。そして、施療子1の外側に軸受9のフランジ部10を取り付けることで、弾性体8の変形量を制限し、曲げ剛性が向上して、施療子1の熱伝達手段の配置による強度、特に曲げ方向への強度の低下を抑制することができる。
【0008】
また、上記施療子1の外側にフランジ部10が当接した上記軸受9に加え、上記弾性体8のディスク部7側の側面に当接するフランジ部23を備えた内側軸受22を上記弾性体8に固定して、弾性体8を上記軸受9および上記内側軸受22を介して支持軸4に回転自在とすると共に、上記軸受9のフランジ部10と、上記内側軸受22のフランジ部23と、で上記弾性体8を夫々挟持したものとすることで、弾性体8が夫々挟持されるため、曲げ剛性がより向上する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、本発明のマッサージ装置は、施療子によるマッサージを温かみをもったものとして行うことができるものであり、熱伝達手段により施療子の外周部が容易に且つ効果的に熱をもつことができる。
【0010】
そして、施療子の変形量を制限すると共に、曲げ剛性が向上したことで、局所的な応力集中による支持軸からの弾性体の外れを防止できると共に、弾性体の亀裂やクラックの発生が抑制でき、施療子の強度および耐久性を向上したマッサージ装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0012】
実施形態の一例(以下、実施形態1と記載)として、マッサージ装置は、被施療者が座る座面を有する座部と、左右で対をなす施療子1によりマッサージを行うマッサージ手段を有する背もたれと、を備えた椅子型マッサージ機であって、対をなす施療子1の外周部2により、被施療者、特に被施療者の背中に対してマッサージを行うものが好適である。もちろん、上記椅子型マッサージ機のみに限定するのでは無く、揉み玉と称する施療子1でマッサージを行うものであれば、適宜設計変更可能である。
【0013】
上記マッサージ手段は、図1および図2に示すように、マッサージ機構(特に図示しない)により駆動されるアーム6と、アーム6の先端に固定された支持軸4と、支持軸4の外周に軸受9を介して回転自在である弾性体8を備えた施療子1と、支持軸4の内周に配置した熱源5と、熱源5の熱を施療子1の外周部2に運ぶ高熱伝導材料からなる熱伝達手段と、を有するものである。
【0014】
上記支持軸4は円筒状のものであり、熱伝導率が高くて剛性を有する材質、例えば、アルミニウムで形成しており、その軸方向の中央部には軸心を同じくした円盤状のディスク部7を備えている。そして、支持軸4の中空となっている内部には、断面円形の棒状の外形を有する熱源5が納めてあり、熱源5の外径を支持軸4の内径と略同じとし、熱源5が支持軸4の内面に接して確実に熱が伝わるように構成してある。なお、熱源5として、温度自己保持型ヒータであるPTCヒータが温度制御手段を不要とでき好適であるが、シーズヒータ等でもよい。
【0015】
また、上記ディスク部7は、熱源5からの熱を施療子1の外周部2に運ぶ熱伝達手段であり、ディスク部7の両側に施療子1の外周部2の外周面3を構成する弾性体8が夫々配設してある。
【0016】
なお、ディスク部7は支持軸4内に納めた熱源5からの熱を施療子1の外周部2、詳しくは外周面3と外周面3の間に運び、背もたれのカバーを介して被施療者に温かさを十分に感じさせることができるものである。
【0017】
また、弾性体8が構成する施療子1の外周面3は、ディスク部7の外周より少し大きい(弾性体8の弾性率や形状にもよるが、半径の差が2〜3mmのものが好ましい)ものであり、外周部2の形状は、ディスク部7の位置で周方向に沿って凹んだ溝を有するものとなっている。そのため、施療の際に、剛性を有するディスク部7が被施療者に接触し難くなり、ディスク部7による接触圧で被施療者に痛みを生じることを防止している。
【0018】
また、上記弾性体8は軸受9を介して支持軸4に回転自在に取り付けてあり、施療子1の外周面3が支持軸4に対して回転自在となっている。
【0019】
上記軸受9は弾性体8のディスク部7側(以下、施療子1の内側と記載)の反対側(以下、施療子1の外側と記載)から弾性体8の内周を覆い支持軸4に接する形状であると共に、施療子1の外側に位置する端部に円周方向に延設されたフランジ部10を備えている。そして、上記フランジ部10は弾性体8の施療子1の外側に位置する面に形成した凹所11の底面(施療子1の外側の面と同じ向きの面)および内周面に当接して納まる形状である。
【0020】
また、弾性体8が軸受9を保持する噛み代として、リングカラー12を弾性体8の内周に埋設してある。
【0021】
したがって、リングカラー12により弾性体8に保持された軸受9の上記フランジ部10により、弾性体8の外側および内周方向への変形量が制限され、弾性体8の変形によって支持軸4に対して施療子1が回転困難になることや、施療子1の外周面3の形状変形によってマッサージ効果が低下することを防止して、施療子1の耐久性および曲げ剛性を向上したものとなっている。
【0022】
また、別の実施形態の一例(以下、実施形態2と記載)として、図3に示すように、弾性体8を支持軸4に対して回転自在とする軸受を、施療子1の外側に位置するフランジ部21を備えた外側軸受20と、弾性体8の施療子1の内側に位置する面に接するフランジ部23を備えた内側軸受22と、で構成したものである。そして、上記外側軸受20と、内側軸受22と、は弾性体8の内周に埋設したリングカラー12により弾性体8に保持されると共に、弾性体8の内周を覆い、弾性体8を支持軸4に対して回転自在としている。
【0023】
上記内側軸受22は弾性体8の内側の面に形成したディスク部7の外周寸法と略同じ寸法の凹所24の底部(施療子1の内側の面と同じ向きの面)および内周面に当接した形状であり、弾性体8の内側および内周方向への変形量を制限している。
【0024】
そして、内側軸受22は低摩擦係数部材で形成されており、且つフランジ部23の一部、例えば、フランジ部23の凹所24の内周面に当接した外周部分が上記凹所24よりディスク部7側に突出している。
【0025】
そのため、ディスク部7の側面と弾性体8の側面とが内側軸受22のフランジ部23を介して配設された構成となり、弾性体8がディスク部7へ接触することを確実に防止すると共に、ディスク部7がフランジ部23の突出部分、例えば、外周部分とのみ接するため、弾性体8とディスク部7との間の摩擦抵抗が軽減され、弾性体8を滑らかに回転させることができ、施療子1の回転摺動性を向上したものとなっている。
【0026】
また、上記外側軸受20は、施療子1の外側から弾性体8の内周を覆い支持軸4に接する形状であると共に、実施形態1の軸受9のフランジ部10と同様に施療子1の外側の凹所11の底面および内周面に当接する円周方向に延設されたフランジ部21を備えており、弾性体8の外側および内周方向への変形量を制限している。
【0027】
したがって、外側軸受20のフランジ部21と、内側軸受22のフランジ部23とで弾性体8を軸方向から挟持した構成となっており、弾性体8の両側が変形量を制限されて、施療子1の耐久性および曲げ剛性がより向上している。
【0028】
また、内側軸受22と、外側軸受20と、の両方あるいは一方のみに断熱性の高い部材を用いれば、弾性体8に熱伝達手段からの熱を伝達され難くでき、弾性体8にゴムやエラストマーを用いても、熱により硫化や経年劣化が加速されることを防止でき、施療子1の耐久性を向上することができる。
【0029】
なお、外側軸受20と、内側軸受22と、を一体で形成し、一つの軸受で弾性体8の両側をフランジ部21、23で挟持するものや、リングカラー12を用いずに軸受9が直接弾性体8の内周に保持されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1におけるマッサージ装置の施療子の斜視図である。
【図2】同上の施療子の断面図である。
【図3】同上の実施形態2の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 施療子
2 外周部
3 外周面
4 支持軸
5 熱源
6 アーム
7 ディスク部
8 弾性体
9 軸受
10 フランジ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機構によって駆動されるアームに支持軸が設けてあり、該支持軸が施療子を支持すると共に、該支持軸に、熱源と、該熱源の熱を施療子の外周部に運ぶ高熱伝導率材料からなる熱伝達手段と、を設けてあり、上記熱伝達手段が支持軸と軸心を同じくして一体で設けられたディスク部であって、上記ディスク部の両側に施療子の外周部の外周面を構成する弾性体を夫々配し、上記弾性体を上記ディスク部と一体の上記支持軸に対して回転自在としたマッサージ装置において、上記弾性体の上記ディスク部と反対側の上記施療子の外側に位置する側面に当接するフランジ部を備えた軸受を上記弾性体に固定して、上記弾性体が軸受を介して支持軸に回転自在としたものであることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
上記施療子の外側にフランジ部が当接した上記軸受に加え、上記弾性体のディスク部側の側面に当接するフランジ部を備えた内側軸受を上記弾性体に固定して、弾性体を上記軸受および上記内側軸受を介して支持軸に回転自在とすると共に、上記軸受のフランジ部と、上記内側軸受のフランジ部と、で上記弾性体を夫々挟持したものであることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−94377(P2010−94377A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269067(P2008−269067)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】