説明

マニホールド電磁弁

【課題】電磁弁の交換や点検時に電磁弁を簡単に取り外し得るようにする。
【解決手段】マニホールド電磁弁は、給気孔34と排気孔35,36とが形成された主弁ブロック13を有する複数の電磁弁を積層して形成された電磁弁積層体と、該電磁弁積層体の両端に配置され前記それぞれの給気孔と排気孔とに連通する給気ポートと排気ポートが設けられたエンドブロックとを有している。主弁ブロック13に形成された収容溝45を貫通する第1の締結ロッド43がエンドブロックに固定され、主弁ブロック13に形成された係合溝46を貫通する第2の締結ロッド44がエンドブロックに形成された長孔に固定されており、第2の締結ロッド44を緩めることにより電磁弁を外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電磁弁を集合して取り付けるようにしたマニホールド電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
マニホールド電磁弁としては、共通の給気流路と排気流路とが形成されたマニホールドブロックに複数の電磁弁を搭載して、電磁弁の給気ポートと排気ポートとをそれぞれ給気流路と排気流路とに連通させるようにしたブロックタイプと、電磁弁の主弁ブロックに給気孔と排気孔とが形成され、複数の電磁弁を積層することによって各々の主弁ブロックの給気孔と排気孔とにより共通の給気流路と排気流路とが形成されるようにしたスタッキングタイプとがある。特許文献1には上述したブロックタイプのマニホールド電磁弁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−118053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数の電磁弁が集合して取り付けられたマニホールド電磁弁は、使用時にはボルトなどのねじ部材を用いて支持部材に固定されることになるが、支持部材のタイプも使用形態に応じて種々のものがある。
【0005】
また、集合された複数の電磁弁のそれぞれをメンテナンス時に点検したり、いずれかの電磁弁が故障した場合にはそれを交換することがあり、このような作業が行われるときには、電磁弁を外す必要がある。
【0006】
本発明の目的は、電磁弁の交換や点検時に電磁弁を簡単に取り外し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマニホールド電磁弁は、給気孔と排気孔とが形成された主弁ブロックを有する複数の電磁弁を積層して形成された電磁弁積層体と、該電磁弁積層体の両端に配置され前記それぞれの給気孔と排気孔とに連通する給気ポートと排気ポートが設けられたエンドブロックとを有するマニホールド電磁弁であって、前記エンドブロックに形成された取付孔に固定され、前記主弁ブロックに底面に開口して形成された収容溝を貫通する第1の締結ロッドと、前記エンドブロックに形成された長孔に固定され、前記主弁ブロックに底面に開口して形成された係合溝を貫通する第2の締結ロッドとを有し、前記第2の締結ロッドを緩めて前記長孔に沿ってずらすことにより前記電磁弁を外し得るようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明のマニホールド電磁弁にあっては、前記電磁弁をパイロット電磁弁を有する間接作動形電磁弁としても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁弁積層体の両側のエンドブロックにねじ止めされる2本の締結ロッドを外すことなく、緩めた状態として一方の締結ロッドを長孔に沿ってずらすことにより、電磁弁をエンドブロックから簡単に取り外すことができ、電磁弁の交換や点検を容易に行うことができるとともに、マニホールド電磁弁の組立作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】マニホールド電磁弁の一例を示す斜視図である。
【図2】マニホールドブロックの支持部材に対する固定形態の一例を示す一部切り欠き正面図である。
【図3】マニホールドブロックの支持部材に対する固定形態の他の一例を示す一部切り欠き正面図である。
【図4】マニホールドブロックの支持部材に対する固定形態のさらに他の一例を示す一部切り欠き正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるマニホールド電磁弁を示す斜視図である。
【図6】締結ロッドを取外した状態における図5の正面図である。
【図7】図5におけるA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図4はマニホールド電磁弁の一例を示し、本発明の実施の形態を説明するに先立って関連技術として図1〜図4に示すマニホールド電磁弁について説明する。
【0012】
このマニホールド電磁弁はマニホールドブロック11と、これに搭載された複数の電磁弁12とを有し、ブロックタイプのマニホールド電磁弁となっている。それぞれの電磁弁12は、主弁ブロック13とパイロット部14とを有し、主弁ブロック13の上面には2つの出力ポート15,16が設けられ、パイロット部14には直接作動形のパイロット電磁弁が組み込まれており、たとえば、実開平7-16006号公報や特開平10-318424 号公報に示されるように、主弁ブロック13内に設けられた主弁をパイロット電磁弁の作動によって軸方向に駆動するようにした間接作動形電磁弁となっている。
【0013】
マニホールドブロック11には、それぞれの電磁弁12の主弁ブロックの弁孔に開口して形成された図示しない給気ポートに連通する共通の給気流路17と、図示しない排気ポートに連通する共通の排気流路18,19とが形成され、それぞれの電磁弁は5ポート2位置切換弁となっている。
【0014】
したがって、パイロット部14内のパイロット電磁弁に通電すると、給気流路17と一方の出力ポートが連通状態となり、その出力ポートに圧縮空気が供給され、他方の出力ポートに流入する圧縮空気は一方の排気流路に排出され、パイロット電磁弁への通電を解くと、給気流路17と他方の出力ポートが連通状態となり、その出力ポートに圧縮空気が供給されることになる。
【0015】
それぞれの電磁弁12は、主弁ブロック13に取り付けられるねじ部材20によって、マニホールドブロック11の平坦な電磁弁取付面21に取り付けられるようになっており、電磁弁取付面21の反対側の面は固定面22となっている。マニホールドブロック11はアルミニウム合金などの軽合金からなり、押し出し形成によって図示する断面形状に形成されている。マニホールドブロック11の長手方向は電磁弁12の長手方向に対して直角方向となっており、マニホールドブロック11の両端部の電磁弁取付面21は外部に露出している。
【0016】
マニホールドブロック11の両端部には、電磁弁取付面21から反対側の固定面22にまで厚み方向に貫通するねじ部材貫通孔23が形成されている。図1にあっては、マニホールドブロック11の一端部に形成された2つのねじ部材貫通孔23が示されているが、マニホールドブロック11の他端部にも同様に2つのねじ部材貫通孔23が形成されている。
【0017】
図2は複数の電磁弁12が搭載されたマニホールドブロック11を支持部材24aに締結した状態を示す図であり、ねじ部材貫通孔23にボルトなどのねじ部材25aを貫通し、支持部材24aに形成されたねじ孔にねじ部材25aをねじ結合することによって、マニホールドブロック11は支持部材24aに締結される。それぞれのねじ部材25aの頭部26aはマニホールドブロック11の電磁弁取付面21に接触している。なお、ねじ部材25aを支持部材24aに形成されたねじ孔にねじ結合させることなく、支持部材24aの底面に配置したナットにねじ結合するようにしても良い。
【0018】
マニホールドブロック11にはその一端面から他端面に向けて長手方向に連なってナット支持溝27が2つ形成されており、それぞれのナット支持溝27はねじ部材貫通孔23に連通している。
【0019】
図3は複数の電磁弁12が搭載されたマニホールドブロック11を支持部材24bに締結した状態を示す図であり、支持部材24bに形成された貫通孔を貫通するねじ部材25bをナット支持溝27に装着されたナット28aにねじ結合することによってマニホールドブロック11は支持部材24bに締結される。それぞれのねじ部材25bの頭部26bは支持部材24bの底面に接触している。
【0020】
マニホールドブロック11には、その一端面から他端面に向けて長手方向に連なって係合溝29が2つ形成されており、それぞれの係合溝29はナット支持溝27に連通している。
【0021】
図4は複数の電磁弁12が搭載されたマニホールドブロック11を、フランジ部を有し断面コの字形状となったレール状の支持部材24cに締結した状態を示す図であり、この支持部材24cはDINレールとも言われる。この場合には、係合溝29に支持部材24cのフランジ部30を係合させ、ナット支持溝27に装着されたナット28bにねじ部材25cをねじ結合し支持部材24cのフランジ部30を締め付けることによってマニホールドブロック11は支持部材24cに締結される。それぞれのねじ部材25cの頭部26cは図4に示す場合にはマニホールドブロック11の電磁弁取付面21に接触している。
【0022】
このように、マニホールドブロック11にねじ部材貫通孔23と、ナット支持溝27と、係合溝29とを形成することによって、マニホールド電磁弁が使用される際に、その取付形態を図2、図3および図4に示される3種類のいずれかに選択することができるとともに、1種類のマニホールドブロック11により3種類の取付形態に対応させることができる。
【0023】
図5〜図7は本発明の一実施の形態であるマニホールド電磁弁を示す。このマニホールド電磁弁は、複数の電磁弁12を積層して形成された電磁弁積層体31と、この電磁弁積層体31の両端に配置されたエンドブロック32,33とを有し、スタッキングタイプのマニホールド電磁弁となっている。それぞれの電磁弁12は、図1に示した電磁弁と同様に、主弁ブロック13とパイロット部14とを有している。主弁ブロック13の端面には2つの出力ポート15,16が設けられ、パイロット部14には直接作動形のパイロット電磁弁が組み込まれ、主弁ブロック13内に設けられた主弁をパイロット電磁弁の作動によって軸方向に駆動するようにした間接作動形電磁弁となっている。
【0024】
それぞれの主弁ブロック13には、図7に示すように、給気孔34と2つの排気孔35,36とが形成され、給気孔34は主弁ブロック13の弁孔に開口して形成された図示しない給気ポートに連通し、それぞれの排気孔35,36は排気ポートに連通している。複数の主弁ブロック13を積層することによって、給気孔34により共通の給気流路が形成され、それぞれの排気孔35,36によって2つの共通の排気流路が形成されることになる。
【0025】
一方の排気孔によって形成される共通の排気流路に連通する排気ポート37がエンドブロック32に形成され、他方の排気孔によって形成される共通の排気流路に連通する排気ポート38がエンドブロック33に形成されている。給気孔34によって形成される共通の給気流路に連通する給気ポート39がそれぞれのエンドブロック32,33に形成されており、使用形態に合わせて一方の給気ポート39に給気ホースを接続することができるようになっている。
【0026】
したがって、パイロット部14内のパイロット電磁弁に通電すると、給気ポート39と一方の出力ポートが連通状態となり、その出力ポートに圧縮空気が供給され、他方の出力ポートに流入する圧縮空気は一方の排気流路に排出され、パイロット電磁弁への通電を解くと、給気ポート39と他方の出力ポートが連通状態となり、その出力ポートに圧縮空気が供給されることになる。
【0027】
図6に示すように、エンドブロック32には円形の取付孔41と長孔42とが相互に離れて形成されており、長孔42は電磁弁12の長手方向にほぼ平行な方向に延びている。他方のエンドブロック33にも対応する位置に取付孔41と長孔42とが形成されている。
【0028】
両方のエンドブロック32,33の取付孔41には第1の締結ロッド43が固定されるようになっており、長孔42には第2の締結ロッド44が固定されるようになっており、全ての電磁弁12はそれぞれの主弁ブロック13の部分で2本の締結ロッド43,44によって締結されることになる。それぞれの締結ロッド43,44は六角孔付きボルトとこれの先端にねじ結合するナットとにより構成されている。
【0029】
それぞれの主弁ブロック13には、図7に示すように、取付孔41に対応させて収容溝45が形成されており、この収容溝45は主弁ブロック13の高さ方向に延びてその底面に開口している。また、長孔42に対応させて主弁ブロック13には係合溝46が形成されており、係合溝46は、収容溝45に対してほぼ直角方向に延びて長孔42にほぼ一致したガイド部46aと、このガイド部46aの先端を主弁ブロック13の底面に連通させる連通部46bとを有し、L字形状となっている。
【0030】
したがって、図7に示すマニホールド電磁弁を組み立てるには、2つのエンドブロック32,33を相互に所定の間隔だけ離した状態のもとで、締結ロッド43をそれぞれの取付孔41に装着し、締結ロッド44を長孔42に装着し、締結ロッド44は長孔42の先端側にずらしておく。この状態のもとで、それぞれの電磁弁12の収容溝45に締結ロッド43を入り込ませ、係合溝46の連通部46bに締結ロッド44を入り込ませるように、電磁弁12を押し付ける。その後、締結ロッド44を長孔42に沿ってその反対側にまでずらし、それぞれの締結ロッド43,44をねじ結合させる。これにより、電磁弁積層体31と2つのエンドブロック32,33からなるマニホールド電磁弁を容易に組み立てることができる。
【0031】
一方、複数の電磁弁12の少なくともいずれか1つを取り外す際には、前述とは逆に、それぞれの締結ロッド43,44のねじを緩めた後に、締結ロッド44を長孔42の先端側にずらし移動する。このずらし移動によって、締結ロッド44は連通部46bの位置までずれることになり、この状態で電磁弁12を持ち上げると、容易に電磁弁12を外すことができる。
【0032】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0033】
たとえば、図示するマニホールド電磁弁は5ポート2位置切換弁であるが、ポート数はこれに限られることなく、3ポート切換弁でも良い。
【符号の説明】
【0034】
11 マニホールドブロック
12 電磁弁
13 主弁ブロック
14 パイロット部
15,16 出力ポート
17 給気流路
18,19 排気流路
21 電磁弁取付面
22 固定面
23 ねじ部材貫通孔
24a〜24c 支持部材
25a〜25c ねじ部材
27 ナット支持溝
28a,28b ナット
29 係合溝
31 電磁弁積層体
32,33 エンドブロック
34 給気孔
35,36 排気孔
37,38 排気ポート
39 給気ポート
41 取付孔
42 長孔
43 締結ロッド(第1の締結ロッド)
44 締結ロッド(第2の締結ロッド)
45 収容溝
46 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気孔と排気孔とが形成された主弁ブロックを有する複数の電磁弁を積層して形成された電磁弁積層体と、該電磁弁積層体の両端に配置され前記それぞれの給気孔と排気孔とに連通する給気ポートと排気ポートが設けられたエンドブロックとを有するマニホールド電磁弁であって、
前記エンドブロックに形成された取付孔に固定され、前記主弁ブロックに底面に開口して形成された収容溝を貫通する第1の締結ロッドと、
前記エンドブロックに形成された長孔に固定され、前記主弁ブロックに底面に開口して形成された係合溝を貫通する第2の締結ロッドとを有し、
前記第2の締結ロッドを緩めて前記長孔に沿ってずらすことにより前記電磁弁を外し得るようにしたことを特徴とするマニホールド電磁弁。
【請求項2】
請求項1記載のマニホールド電磁弁において、前記電磁弁はパイロット電磁弁を有する間接作動形電磁弁であることを特徴とするマニホールド電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−133488(P2009−133488A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4294(P2009−4294)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願平11−270932の分割
【原出願日】平成11年9月24日(1999.9.24)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【Fターム(参考)】