説明

マニルカラムルチネルビスおよびその抽出物を含む化粧品組成物

本発明は、化粧品組成物の製造のための、または、化粧品組成物におけるマニルカラ ムルチネルビスの使用、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
消費者が使用し得る皮膚の外観を改善するための数多くの化粧品組成物が存在する。これらの化粧品は、特に、例えば皮膚の張りの減少、皮膚の厚みの減少、小皺、しわ、弾力性低下、たるみ、ターンオーバー速度の低下および異常な落屑のような皮膚老化の兆候を防止するため若しくはそれに対抗するために使用される。これらの作用は、紫外線に暴露された年月、刺激物、アレルゲンおよび種々の環境有害物質により増強される。このような化粧品組成物は、一般的に抗老化組成物といわれる。
【0002】
皮膚は、表皮、真皮および皮下組織の三層からなる。皮膚の細胞外基質は、例えばコラーゲンまたは弾性繊維、糖タンパク質、グリコサミノグリカンおよびプロテオグリカンのような高分子の複雑な網状組織である。これらは、機械的強度を担い、細胞代謝調節に関与するための物理的骨格をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、化粧品組成物の製造のために、若しくは、化粧品組成物において使用することのできる植物および/または化粧品組成物を提供することであった。具体的な目的は、抗老化化合物および/または抗老化組成物として使用することのできる植物および/または化粧品組成物を提供することであった。特定の目的は、皮膚のハリの改善、および/または、皮膚の滑らかさの改善、および/または、皮膚老化の兆候の改善若しくは予防、ストレッチマークの改善若しくは予防、および/または、頭皮の質の改善、および/または頭皮老化の防止のために使用することの植物および/または化粧品組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マニルカラ ムルチネルビスの使用、好ましくはその抽出物の使用およびマニルカラ ムルチネルビスおよびその抽出物を含んでなる化粧品組成物に関する。驚くべきことに、マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物を化粧品組成物の製造のために、または化粧品組成物において使用することができることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0005】
したがって、本発明の一実施態様は、化粧品組成物の製造のための、または化粧品組成物におけるマニルカラ ムルチネルビスの使用に関する。
【0006】
好適な美容的使用は、皮膚ケアおよび/または毛髪ケア、皮膚保護および/または毛髪保護、皮膚再生および/または毛髪再生のための使用である。皮膚および皮膚細胞におけるマニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物の作用、特に抗老化作用には、皮膚外観の改善、皮膚のハリの改善、皮膚老化の兆候の防止および/または低減が包含される。このような皮膚老化の兆候は、例えば、皮膚の厚みの減少、小皺、しわ、弾力性低下、たるみ、ターンオーバー速度の低下および異常な落屑からなる群から選択される。UV保護および/または光老化の兆候の予防および/または光老化の兆候の低減も包含される。マニルカラ ムルチネルビスの皮膚抗老化作用には、皮膚の再生および若返り過程を増強すること、老化した人の皮膚またはストレスを加えられた人の皮膚を再活性化すること、老化に関連したターンオーバーの低下を改善すること、および/または皮膚細胞外基質網状組織を強化することが包含される。より一般的には、皮膚の張りを改善すること、内因性および/または外因性皮膚老化を防止および/または低減すること、しわの出現を遅らせること、組み込まれたしわの深さを低減すること、小皺の出現を低減すること、および/または皮膚外観および/または皮膚色合いを改善することを含む。有利には、皮膚抗老化作用はこれらの作用の2以上の組み合わせであり、またはこれらの作用の全ての組み合わせである。
【0007】
マニルカラ ムルチネルビス、その抽出物およびそれらを含む化粧品組成物は、抗老化化合物若しくは組成物として特に適当である。したがって、本発明の一実施態様は、抗老化化合物若しくは組成物としてのマニルカラ ムルチネルビス、その抽出物および化粧品組成物の使用に関する。
【0008】
皮膚老化の複雑な過程には、多くの代謝経路が関与している。本発明の1つの目的は、皮膚老化に関与する少なくとも1つの経路(好ましくは2つ以上の経路)に効果的に作用する植物、好ましくはその抽出物および/またはそれらを含む化粧品組成物を提供することであった。本発明の一実施態様は、エラスターゼ阻害剤としての、および/またはコラーゲン生成の刺激剤としての、および/または非酵素的糖化の減速若しくは防止のための、マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物およびそれらを含む組成物の美容的使用に関する。本発明の一実施態様は、エラスターゼ阻害剤としての、および/またはコラーゲン生成の刺激剤としての、および/または非酵素的糖化の減速若しくは防止のためのマニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物およびそれらを抗老化化合物若しくは組成物として含む組成物の美容的使用に関する。
【0009】
マニルカラ ムルチネルビス、その抽出物およびそれらを含む化粧品組成物は、皮膚のハリを改善するため、および/または、皮膚の滑らかさを改善するため、および/または、皮膚老化の兆候を改善若しくは予防するため、ストレッチマークを改善若しくは予防するため、および/または、頭皮の質を改善するため、および/または頭皮老化を防止するために特に適当である。
【0010】
したがって、本発明の一実施態様は、マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物およびそれらを含む組成物の、皮膚のハリの改善、および/または、皮膚の滑らかさの改善、および/または、皮膚老化の兆候の改善若しくは予防、ストレッチマークの改善若しくは予防、および/または、頭皮の質の改善、および/または頭皮老化の防止のため使用に関する。
【0011】
〔用語および定義〕
本発明において用いるように、単数形「a」および「an」は、他に明確な規定がない限りそれぞれ複数形も含む。すなわち、用語「a」および「an」は、他に指示がない限り「1つ以上の」または「少なくとも1つの」を意味することを意図する。
【0012】
本発明において「含む(Comprising)」は、この用語「含む(Comprising)」の後に記載される成分が組成物を形成する唯一の成分(すなわち、前記成分からなる組成物)であることを意味するか、前記成分に加えて少なくとも1つのさらなる成分が存在することを意味する。好ましい意味において、これは「実質的に〜からなる(consisting essentially of)」を意味し、その狭義の意味においては「〜からなる(consisting of)」を意味する。
【0013】
用語「抗老化」は化粧品業界において広く用いられており、一般的には皮膚における老化作用(例えば、経時老化、光老化またはUV照射とは別の他の悪環境による老化)を遅延させまたは緩和させることを意味する。年齢および悪環境因子への暴露により、皮膚の外観、物理的性質および生理的機能は美容上望ましくないと考えられるような変化をする。最も顕著で明らかな変化としては、小皺およびしわの形成、弾力性の低下、たるみの増加、張りの低下、色の均一性(色合い)の低下、粗い表面質感および斑状色素沈着が挙げられる。皮膚の老化としてまたは長期の環境障害に耐えることで生じる明らかではないが無視できない程度の変化としては、細胞活力および組織活力の一般的な低下、細胞複製率の低下、および皮膚自身の修復および修繕能力の低下が挙げられる。抗老化化合物および組成物は、これらの変化を防止し、遅延させ、(少なくとも部分的に)再生し、減少または低減することを目的とする。これらの化合物および組成物の抗老化作用は、化粧品業界における標準的技法である一般的なパネル試験により評価し得る。
【0014】
用語「皮膚」は動物または人の皮膚、好ましくは哺乳類の皮膚、より好ましくは人の皮膚を意味する。「皮膚」には表皮、真皮および皮下組織が包含される。用語「皮膚細胞」は一般的に皮膚に存在する全ての細胞、例えば角化細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、基底細胞、顆粒細胞、メルケル細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、白血球、マスト細胞、神経細胞、脂肪細胞およびマクロファージを意味する。本発明においては、繊維芽細胞および/または角化細胞が好ましく、繊維芽細胞が特に好ましい。さらに人の皮膚細胞、特に人の繊維芽細胞および/または角化細胞が好ましい。
【0015】
用語「改善する」または「改善」は、示される状態の1つ以上の兆候、特徴または症状における阻止、防止、低減または改善を含み、それは一時的または長期的であり得る。
【0016】
〔マニルカラ ムルチネルビス〕
マニルカラ ムルチネルビス Manilkara multinervis(Bak.)Dubard(アカテツ科)は、幹の根元が多少膨らんだ4〜15mの高さのアフリカの低木または中型木である。幹は深い亀裂が入り、鱗状であり、灰色から暗褐色であって、白色のラテックスがにじみ出る。葉は互生であり、枝の末端に集結している。葉は楕円形から卵形であり、7〜14cmの長さおよび4〜7cmの幅であり、尖った若しくは丸い先端を有する。マニルカラ ムルチネルビスの生息域は、セネガルからカメルーンにかけてのアフリカの森林およびサバンナである。
【0017】
本発明の一実施態様において、マニルカラ ムルチネルビスを直接、例えば、樹皮や葉などの植物部分を使用することができる。本発明の好ましい実施態様においては、マニルカラ ムルチネルビスの抽出物を使用する。
【0018】
用語「抽出物」は、本発明の抽出工程により得られる液体と、本発明に従う抽出物の製造方法による中間体および最終生成物(一般的には乾燥生成物)のいずれにも関連することを意図する。適切な意味は、通常その文脈から明らかである。液体抽出物、中間体および最終生成物をそれぞれ、例えば、本発明の組成物または本発明の使用において使用してよい。しかしながら、最終生成物、特に乾燥最終生成物またはその最終生成物を含む組成物が好ましい。
【0019】
用語「植物部分」は個別にまたは群で取得される植物の全ての部位を意味する。例えば、葉、花、根、種子、鞘、茎、果実、種皮、芽および植物の他の部位が含まれる。本発明において、葉および葉含有植物部分が好ましい。
【0020】
〔抽出物の調製〕
本発明のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、植物またはその部分を抽出する既知の方法によって調製することができる。適切な抽出方法、例えば浸軟、再浸軟、温浸、撹拌浸軟、ボルテックス抽出、超音波抽出、向流抽出、パーコレーション、再パーコレーション、エバコレーション(減圧下での抽出)、ジアコレーションおよび連続的な固液抽出などは、例えば「Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis」(第5版、第2巻、1026−1030頁、Springer-Verlag、ベルリン−ハイデルベルク−ニューヨーク、1991年)中に見ることができる。抽出は、溶媒として、例えば二酸化炭素、水、またはアルコール若しくはグリコールを含む水を使用して、亜臨界条件または超臨界条件下で行うことができる。
【0021】
一般的に、抽出工程は抽出段階:すなわち、固体植物原料を溶媒と適切な混合により、固体植物原料の溶媒への適切な曝露を確保するのに十分な時間接触させることを必要とする。好ましくは、上記時間は、所望する特性を付与する植物原料中の化合物を溶媒により取り出すことができることを確保するのに十分な時間である。
【0022】
マニルカラ ムルチネルビスの植物または植物部分の抽出物に対する溶媒は、植物または植物部分の抽出に適する任意の溶剤であってよく、水性溶媒(例えば水または水性緩衝液など)および有機非極性溶媒若しくは極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールからなる群から選択される低分子量アルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチルならびにそれらの混合物およびそれらの水含有混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは水ならびに有機極性溶媒、例えばメタノール、エタノール、ブチレングリコールなど、それらの混合物およびそれらの水混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、溶媒は水性溶媒、特に水と1種以上の極性有機溶媒、好ましくは水混和性有機溶媒、より好ましくは低分子量アルコールとの混合物からなる群から選択される。水と、1,3−ブチレングリコール、メタノール、エタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒との混合物がとりわけ好ましい。
【0023】
好ましい態様において、抽出物はアルコール抽出または水アルコール抽出により得られ、特に、水、メタノール、エタノールおよびそれらの水含有混合物からなる群から選択される溶媒、特に水/エタノール混合物および水/メタノール混合物、とりわけ水/エタノール混合物による抽出により得られる。
【0024】
水含有混合物(すなわち水性溶媒と有機溶媒の混合物)を使用して抽出工程を行う場合、水含有混合物中の有機溶媒の含有量は、5〜95体積%の範囲であり、好ましくは40〜90体積%(v/v)である。60〜80体積%(v/v)の、とりわけ70体積%(v/v)の有機溶媒含量が特に好ましい。
【0025】
皮膚へ適用するために調製される抽出物の使用においては、皮膚に適合性の溶媒を選択すればよい。そのような溶媒としては、水、水性緩衝液、低分子量アルコール、および水性溶媒と低分子量アルコールの混合物が挙げられる。
【0026】
「低分子量アルコール」は1〜5個の炭素原子を有するアルコールであって、第1級、第2級または第3級アルコールであってよい。モノアルコールまたはポリアルコールであってよく、モノ−、ジ−およびトリアルコールが好ましく、モノアルコール、グリコールおよびグリセリンであることが特に好ましい。したがって、低分子量アルコールは、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。本発明においては、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびペンチレングリコールが特に好ましい。
【0027】
抽出工程は、通常4〜180℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは20〜100℃、とりわけ好ましくは20〜100℃、最も好ましくは60〜100℃の温度で行われる。室温または還流下、すなわち溶媒の沸騰する温度で抽出することが特に好ましい。
【0028】
抽出工程は、抽出物の有効成分の酸化を避けるために不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
【0029】
抽出工程は、一般的にpH2.5〜11、好ましくはpH4〜9、より好ましくは弱酸性または中性のpHで行われる。特定の好ましい実施態様において、溶媒が水である場合、pHは好ましくは酸性または中性pHに調整され、より好ましくはpH4〜8に調整され、さらに好ましくはpH4.5〜7.5に調整される。pH調整は所望のpHにするのに適した任意の酸または塩基を添加することにより行うことができるが、化粧品適合性成分のpH調整剤を添加することにより行うことが好ましい。1つの実施態様においては、pHを硫酸の添加により低くする。
【0030】
抽出工程を容易にするために植物原料を抽出工程の前に前処理してもよい。一般的に、これらの前処理により植物原料は粉砕され、溶媒に対するより大きな表面積が出現する。例えば、グラインダーまたは他の粉砕装置を使って植物原料を機械的に粉砕またはスライスすることができる。
【0031】
原料の粒子径および抽出時間は、抽出工程、溶媒、温度およびpH条件ならびに溶媒と原料の比率等に応じて、通常当業者により選択される。一般的に、40分〜20時間、好ましくは約1〜2時間の抽出時間で十分である。抽出工程は任意の程度まで行い得るが、通常完全に抽出されるまで続けられる。
【0032】
抽出工程中または抽出工程後、粗抽出物に他の一般的な精製工程、例えば精製、結晶化、濃縮、脱色および/または酵素加水分解を施してもよい。好ましくは、このような工程を抽出工程後に行う。
【0033】
1つの好ましい態様においては、酵素加水分解を抽出工程中または抽出工程後に行う。上記実施態様においては、加水分解酵素を抽出混合物中へ加える。上記酵素は、好ましくはプロテアーゼ、より好ましくは食品または飼料業界において用いられる酵素、最も好ましくはalcalase(登録商標)または同様の酵素特性を有するプロテアーゼである。酵素を添加する場合、好ましい溶媒は水または水性混合物である。pHは、好ましくはプロテアーゼの最適pHである。一般的に4〜9のpHであり、好ましくは6〜8.5のpHであり、最も好ましくは約7.5のpHである。
【0034】
必要に応じて、このようにして調製された抽出物に、例えばナノ濾過、限外濾過、沈殿技術、樹脂の吸着/脱着技術、および/またはクロマトグラフィー技術のような膜分離技術を用いた他の精製工程を施してもよい。
【0035】
必要に応じて、抽出物に、例えば個々の望ましくない成分の選択的除去を施してもよい。また、抽出方法は、例えば水アルコールまたはアルコール抽出溶媒を用いることにより、望ましくない成分が植物原料からほんの少量だけ抽出される、若しくは全く抽出されないよう選択される。
【0036】
本発明の好ましい実施態様において、マニルカラ ムルチネルビス抽出物は、
(i)葉の抽出物若しくは葉を含む植物部分の抽出物であり、および/または
(ii)水抽出物若しくは水アルコール抽出物である。
【0037】
用語「水アルコール」は「水/アルコール」と同義である。使用する原料の量に基づく植物原材料から抽出される乾燥物の一般的な収率は、0.5〜40重量%(w/w)の範囲であり、とりわけ2〜20重量%(w/w)の範囲である。抽出条件および最終抽出物の収率は、所望する用途にしたがって当業者により選択され得る。
【0038】
抽出物を、1種以上の助剤、例えばマンニトール、ソルビトール、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリセリン、糖(スクロース、フルクトース、グルコースおよびトレハロースなど)と混合してもよい。
【0039】
本発明の別の実施態様は、マニルカラ ムルチネルビスの植物全体または植物部分を抽出する、好ましくは水抽出または水アルコール抽出により抽出することを含んでなるマニルカラ ムルチネルビス抽出物の抽出方法に関する。
【0040】
〔化粧品組成物〕
本発明の一実施態様は、
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物
(b)少なくとも化粧品適合性媒体
を含んでなる化粧品組成物に関する。
【0041】
本発明の化粧品組成物は、効果的な量(すなわち、所望する効果を達成できるような量)のマニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物を含有する。本発明の化粧品組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.0001〜90%、より好ましくは0.001〜70%、とりわけ0.001〜50%の濃度のマニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物を含有する。本発明の好ましい実施態様において、化粧品組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.0001〜10%、より優先的に0.001〜5%、とりわけ優先的には約0.01〜約2%の濃度でマニルカラ ムルチネルビスまたはその抽出物を含有する。
【0042】
本発明の組成物は化粧品組成物である。化粧品組成物および医薬品組成物ならびにそれらの対応する使用における違いについては、ドイツ連邦共和国の法規定(例えば、Kosmetikverordnung、Lebensmittel- und Arzneimittelgesetz)を参照する。
【0043】
「化粧品組成物」は、人体の種々の外側器官(例えば皮膚(特に表皮)、毛髪、爪、唇)または歯および口腔粘膜と、専らまたは主に、これらの器官を洗浄し、香り付けし、外観を変えおよび/または体臭を改善し、および/またはこれらの器官を保護し、または良好な状態に保つことを目的として接触させることを意図する任意の調製物を意味する。
【0044】
本発明の化粧品組成物は、例えば溶液(例えば、水溶液、油などの非含水系)、分散物、エマルションおよびそれらの組み合わせの形態などの様々な種類の化粧品組成物であってよい。エマルションは、一般的に水相および油相を含む。一般的なエマルションの種類は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、水中シリコーン型エマルション、および/またはシリコーン中水型エマルションである。
【0045】
化粧品組成物は、例えばボディーケア組成物およびボディー洗浄組成物であり、例えばボディーオイル、ベビーオイル、ボディーミルク、クリーム、ローション噴霧可能なエマルション、日焼け止め、制汗剤、液体石鹸および固体石鹸、ならびに界面活性剤含有組成物、例えばフォームバスおよびシャワーバス、ヘアシャンプーおよびヘアケアリンスなどである。これらは、ケア成分として、衛生学およびケアの分野で使用されるティッシュ、ペーパー、ワイプ、不織布、スポンジ、パフ、石膏および包帯(ベビー衛生およびベビーケア用ウェットワイプ、洗浄ワイプ、顔用ワイプ、皮膚ケアワイプ、皮膚老化に対する活性成分を含有するケアワイプ、日焼け防止処方物および防虫剤を含有するワイプおよび装飾化粧用または日焼け後の処理用ワイプ、トイレ用ワイプ、制汗用ワイプ、おむつ、ハンカチ、ウェットワイプ、衛生品、セルフタンニング用ワイプ)に適用することができる。とりわけ、それらをヘアケア、洗髪または染毛組成物において使用することもできる。さらにこれらを、装飾用化粧品、例えば口紅、リップグロス、ファンデーション、メイクアッププレスパウダーおよびルースパウダー、アイシャドウ、マスカラなどに使用してもよい。
【0046】
本明細書において使用する用語「化粧品適合性媒体」とは、過度の毒性、非適合性、不安定性、アレルギー反応などなしに人のケラチン組織と接触して使用するのに適する媒体を意味する。本発明の別の実施態様において、化粧品適合性媒体は、少なくとも1種の溶剤(b−1)、少なくとも1種の界面活性物質(b−2)、および/または少なくとも1種のワックス成分(b−3)および/または少なくとも1種のポリマー(b−4)および/または少なくとも1種の油成分(b−5)からなる群から選択される。
【0047】
したがって、本発明の一実施態様は、
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物、および
(b)少なくとも1種の溶剤(b−1)、少なくとも1種の界面活性物質(b−2)、および/または少なくとも1種のワックス成分(b−3)および/または少なくとも1種のポリマー(b−4)および/または少なくとも1種の油成分(b−5)からなる群から選択される化粧品適合性媒体
を含んでなる化粧品組成物に関する。
【0048】
〔溶剤(b−1)〕
本発明の一実施態様において、化粧品適合性媒体は少なくとも1種の溶剤(b−1)である。適する溶剤は、抽出物の調製に使用するような溶剤である。本発明の一実施態様において、化粧品適合性媒体は、水、低分子量アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の好ましい実施態様において、溶剤は、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
〔界面活性物質(b−2)〕
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は少なくとも1種の界面活性物質を含有する。界面活性物質は、水相と非水相間の界面張力を低くする全ての物質である。界面活性物質には、乳化剤と界面活性剤が含まれる。
【0050】
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は2以上の界面活性物質を含有する。他の成分に応じて、当業者は典型的な系(例えば乳化剤と共乳化剤など)を使用する。
【0051】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて0〜80重量%、好ましくは0.10〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、とりわけ0.1〜10重量%の量の界面活性物質を含有することができる。
【0052】
適当な乳化剤は、基本的に、任意の界面活性物質であるが、特に、グリフィン法によって1〜20のHLB値を有する物質である。各乳化剤にいわゆるHLB値(1〜20の無次元数、グリフィン法)が与えられ、それは、優先的な水溶性または油溶性が存在するかどうかを表している。9未満の数は好ましくは油溶性の疎水性乳化剤であることを示し、11より大きい数は、水溶性親水性乳化剤であることを示している。HLB値は、乳化剤の親水性基および親油性基の大きさおよび強度の平衡を表している。グリフィン法は、WC Griffin, J. Soc. Cosmet. Chem. 1 (1949) 311;WC Griffin, J. Soc. Cosmet. Chem. 5 (1954) 249に記載されている。乳化剤のHLB値は、分子を構成する種々の親水性基および疎水性基に対するHLB増分から計算することもできる。それは、一般的に表(例えば、H.P. FiedlerのLexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angre
nzende Gebiete(Lexicon of the auxiliaries for Pharmacy, cosmetics and related fields)、Editio Cantor Verlag、Aulendorf、第4版、1996年)または製造者情報において見出される。実際には、2相中の乳化剤の溶解度がエマルションタイプを決定する。水により良好な溶解性を有する乳化剤の場合、O/Wエマルションが得られる。これに対して、油相により良好な溶解性を有する乳化剤の場合、他の製造条件が同一であれば、W/Oエマルションが生じる。
【0053】
非イオン性乳化剤:非イオン性乳化剤の群は、例えば以下を包含する:
(1)8〜40個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12〜40個の炭素原子を有する脂肪酸、およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を含有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜50molおよび/またはプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物;
(2)グリセロールへのエチレンオキシド1〜50molの付加生成物のC12〜18脂肪酸モノおよびジエステル;
(3)6〜22個の炭素原子を含有する飽和および不飽和脂肪酸のソルビタンモノエステルおよびジエステル、ならびにそのエチレンオキシド付加生成物;
(4)アルキル基中に8〜22個の炭素原子を含有するアルキルモノおよびオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシル化類似物;
(5)ヒマシ油および/または水添ヒマシ油へのエチレンオキシド7〜60molの付加生成物;
(6)ポリオール、特にポリグリセリルエステル、例えばポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート、ポリグリセリルポリリシノレエート、ポリグリセリル−4−ラウレート、ポリグリセリルジイソステアレート、またはポリグリセリルダイメレート。これらの分類のいくつかの化合物の混合物も同様に適当である。
(7)ヒマシ油および/または水添ヒマシ油へのエチレンオキシド2〜15molの付加生成物、
(8)直鎖、分枝、不飽和または飽和C6〜22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸およびポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル、または混合エステル、ならびにポリステアリン酸スクロース(Cognis製の市販品Emulgade(登録商標)SUCRO)。
(9)ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、および/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくはグリセロールまたはポリグリセロール)の混合エステル。
【0054】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセリルモノエステルおよび脂肪酸のグリセリルジエステル、脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび脂肪酸のソルビタンジエステル、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は既知の市販製品である。これらは、その平均アルコキシル化度が、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、付加反応を実施するための基質との量比に相当する均質な混合物である。エトキシル化度に依存して、それらは、W/O乳化剤またはO/W乳化剤である。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧組成物のための脂質層増強剤として知られている。
【0055】
本発明によれば、特に適している穏やかな乳化剤は、ポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレートおよびそれらの混合物であり、それらは例えば、Cognis Deutschland GmbHによってDehymuls(登録商標)PGPH(W/O乳化剤)またはEumulgin(登録商標) VL 75(1:1の重量比でのココグルコシドとの混合物、O/W乳化剤)またはDehymuls(登録商標)SBL(W/O乳化剤)の商品名で販売されている。これに関しては特に、欧州特許第766661号明細書を参照することができる。これら乳化剤のポリオール成分は、少なくとも2個、好ましくは3〜12個、特に3〜8個のヒドロキシル基と2〜12個の炭素原子とを含有する物質から誘導され得る。
【0056】
適当な親油性W/O乳化剤は、基本的には、1〜8のHLB値を有する乳化剤であり、それらは、多数の表にまとめられており、当業者によく知られている。これら乳化剤の一部は、例えば、Kirk-Othmer、「Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、1979, 第8巻、第913頁に挙げられている。エトキシル化生成物について、HLB値は下記式:
HLB = (100−L):5
[式中、Lは、エチレンオキシド付加生成物中の親油性基(即ち、脂肪アルキル基または脂肪アシル基)の重量%である。]
に従って計算することもできる。
【0057】
W/O乳化剤の群の中で特に有利なものは、以下である:ポリオール、特にC4〜6ポリオールの部分エステル、例えばペンタエリスリトールの部分エステル、または糖エステル、例えば、ジステアリン酸スクロース、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノエルカ酸ソルビタン、セスキエルカ酸ソルビタン、ジエルカ酸ソルビタン、トリエルカ酸ソルビタン、モノリシノール酸ソルビタン、セスキリシノール酸ソルビタン、ジリシノール酸ソルビタン、トリリシノール酸ソルビタン、モノヒドロキシステアリン酸ソルビタン、セスキヒドロキシステアリン酸ソルビタン、ジヒドロキシステアリン酸ソルビタン、トリヒドロキシステアリン酸ソルビタン、モノ酒石酸ソルビタン、セスキ酒石酸ソルビタン、ジ酒石酸ソルビタン、トリ酒石酸ソルビタン、モノクエン酸ソルビタン、セスキクエン酸ソルビタン、ジクエン酸ソルビタン、トリクエン酸ソルビタン、モノマレイン酸ソルビタン、セスキマレイン酸ソルビタン、ジマレイン酸ソルビタン、トリマレイン酸ソルビタン、およびそれらの工業用品質の混合物。特定のソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30mol、好ましくは5〜10molの付加生成物も、乳化剤として適している。
【0058】
処方によって、付加的に、非イオン性O/W乳化剤(HLB値:8〜18)および/または可溶化剤の群からの少なくとも1種の乳化剤を使用することが有利な場合もある。そのような乳化剤は、例えば先に記載され、かつ対応して高いエトキシル化度(例えば、O/W乳化剤については10〜20エチレンオキシド単位、可溶化剤については20〜40エチレンオキシド単位)を有するエチレンオキシド付加生成物である。本発明の目的に対して特に有利なO/W乳化剤は、セテアレス−12、セテアレス−20およびPEG−20ステアレートである。特に適当な可溶化剤は、Eumulgin(登録商標)HRE 40(INCI:PEG−40 水添ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標)HRE 60(INCI:PEG−60 水添ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標)L(INCI:PPG−1−PEG−9 ラウリルグリコールエーテル)、およびEumulgin(登録商標)SML 20(INCI:ポリソルベート−20)である。
【0059】
アルキルオリゴグリコシドの群からの非イオン性乳化剤は、特に皮膚適合性である。C8〜22アルキルモノおよびオリゴグリコシド、それらの製造方法および使用は、従来技術から知られている。それらは特に、グルコースまたはオリゴ糖類と6〜24個、好ましくは8〜22個の炭素原子を有する第一級アルコールとを反応させることによって製造される。グリコシド成分に関しては、環式糖基が脂肪アルコールにグリコシド結合により結合しているモノグリコシド、または好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴマーグリコシドのいずれも適当である。オリゴマー化度は、そのような工業用品質の製品に一般的な同族体分布に基づく統計的平均である。Plantacare(登録商標)またはPlantaren(登録商標)の名称で入手可能な製品は、平均オリゴマー化度が1〜2であるオリゴグルコシド単位にグルコシド結合により結合したC8〜16アルキル基を含有する。グルカミン由来のアシルグルカミドも、非イオン性乳化剤として適している。本発明にとって、Cognis Deutschland GmbHによってEmulgade(登録商標)PL 68/50(アルキルポリグルコシドと脂肪アルコールとの1:1混合物である)の名称で販売される製品が好ましい。本発明によれば、ラウリルグルコシド、ポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアレート、グリセロールおよび水の混合物を使用することも有利であり得る。そのような混合物は、Eumulgin(登録商標)VL 75の名称で市販されている。
【0060】
別の適する乳化剤は、レシチンおよびリン脂質のような物質である。天然レシチンの例はケファリンであり、これは、ホスファチジン酸として既知でもあり、1,2−ジアシル−sn−グリセロール−3−リン酸の誘導体である。一方、リン脂質は通常、リン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(リン酸グリセロール)を意味すると理解され、一般に脂肪に分類される。スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も、脂肪様物質として適当である。
【0061】
乳化剤として、例えば、シリコーン乳化剤が存在してもよい。これらは、例えば、アルキルメチコンコポリオールおよび/またはアルキルジメチコンコポリオールの群から選択することができ、特に、以下の化学構造:
【化1】

[式中、XおよびYは各々独立に、H(水素)、ならびに1〜24個の炭素原子を含有する分枝および非分枝のアルキル基、アシル基およびアルコキシ基の群から選択され、pは0〜200であり、qは1〜40であり、rは1〜100である。]
で示される化合物の群から選択することができる。本発明において特に有利に使用されるシリコーン乳化剤の一例は、ジメチコンコポリオールであり、それらは、Evonik Goldschmidtによって、ABIL(登録商標)B 8842、ABIL(登録商標)B 8843、ABIL(登録商標)B 8847、ABIL(登録商標)B 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)B 8873およびABIL(登録商標)B 88183の商品名で販売されている。本発明において特に有利に使用される界面活性物質のさらなる例は、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(セチルジメチコンコポリオール)であり、それらは、Evonik GoldschmidtによってABIL(登録商標) EM 90の商品名で販売されている。本発明において特に有利に使用される界面活性物質のさらなる例は、シクロメチコンジメチコンコポリオールであり、それらは、Evonik GoldschmidtによってABIL(登録商標)EM 97およびABIL(登録商標)WE 09の商品名で販売されている。さらに、乳化剤ラウリルPEG/PPG−18/18メチコン(ラウリルメチコンコポリオール)が極めて特に有利であることが判明している。これはDow Corning Ltd.からDow Corning(登録商標) 5200 Formulation Aidの商品名で入手可能である。さらに、INCI名「シクロペンタシロキサンおよびPEG/PG−18−18ジメチコン」を有するシリコーン乳化剤も有利であることが判明している。これはDow Corning(登録商標)5225 C Formulation Aidの商品名で入手可能である。
【0062】
別の有利なシリコーン乳化剤は、Wacker社製のオクチルジメチコンエトキシグルコシドである。本発明のシリコーン油中水型エマルションには、このタイプのエマルションに使用される全ての既知の乳化剤を使用できる。本発明によれば、特に好ましいシリコーン中水型乳化剤は、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコンおよびラウリルPEG/PPG−18/18メチコン[例えば、ABIL(登録商標)EM 90(Evonik Goldschmidt製)、DC5200 Formulation Aid(Dow Corning製)]およびそれら2つの乳化剤の所望の混合物である。
【0063】
適するアニオン性O/W乳化剤は、例えば、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム(Eumulgin(登録商標)Prismaの商品名で入手可能)である。
【0064】
界面活性剤:
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は、界面活性物質として少なくとも1種の界面活性剤を含有する。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および/または両性若しくは双性イオン性界面活性剤から選択することができる。界面活性剤含有化粧品組成物(例えばシャワーゲル、フォームバス、シャンプーなど)は、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0065】
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、それらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。双性イオン性界面活性剤は、分子内に、少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1個の−COO(−)基または−SO(−)基とを含有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤はいわゆるベタインであり、例えば、アルキル基またはアシル基中に8〜18個の炭素原子を含有する、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであり、ココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。両性界面活性剤は、C8〜18アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOH基または−SOH基を有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物である。適当な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8〜18個の炭素原子を有する、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸(Dehyton(登録商標)DCの商品名で入手可能)、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。さらに、Deriphat(登録商標)160 Cの商品名で入手可能なN−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸ナトリウムなどのN−アルキルイミドプロピオン酸誘導体も適する。さらに、ココアンホアセテート(例えばDehyton(登録商標)MC)またはココアンホジアセテート(例えばDehyton(登録商標)DC)などのアンホアセテートも適する。アニオン性界面活性剤は、水溶性を与えるアニオン基、例えばカルボキシレート、スルフェート、スルホネートまたはホスフェート基と親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、関連文献から多くの当業者に既知であり、また市販されている。それらは、特に、アルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12〜18アルキル基またはアシル基を含有するアシルタウリン、およびアルカリ金属またはアンモニウム塩の形態のスルホスクシネートおよびアシルグルタマートである。特に適するアニオン性界面活性剤は、グリセリルステアレートシトレート[Imwitor(登録商標)370、Imwitor(登録商標)372P、Axol(登録商標)C62またはDracorin(登録商標)CE 614035として入手可能)および/またはグリセリルステアレートラクテートである。
【0066】
適当なアルキルスルフェートの例は、例えばナトリウムセテアリルスルフェート(Lanette(登録商標)Eとして入手可能)であり、適当なホスフェートはカリウムセチルホスフェート(Amphisol(登録商標)Kとして入手可能)である。適当なアシルグルタメートはナトリウムステアロイルグルタメート(Eumulgin(登録商標)SGとして入手可能)である。別の適するアニオン性界面活性剤の例は、ナトリウムラウリルグルコースカルボキシレート(Plantapon(登録商標)LGC)である。特に適するカチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物であり、好ましくはハロゲン化アンモニウム、とりわけ塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムであり、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化トリアルキルメチルアンモニウム、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化トリセチルメチルアンモニウムである。さらに、ステアリルアミノプロピルジメチルアミン[Dehyquart(登録商標)S18またはIncromine(登録商標)SBまたはTegoAmide(登録商標)S18の商品名で入手可能)のような疑カチオン性界面活性剤も適する。また、極めて容易に生物分解できる第4級エステル化合物、例えば、Stepantex(登録商標)およびDehyquart(登録商標)シリーズの対応製品として販売されている、ジアルキルアンモニウムメトスルフェートおよびメチルヒドロキシアルキルジアルキルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェートも、カチオン性界面活性剤として使用できる。「エステルクオート」は一般に、4級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味すると理解される。それらは独特の柔軟性を有する組成物を与えることができる。それらは、有機化学の関連法によって製造される既知の物質である。本発明で使用できる別のカチオン性界面活性剤は、4級化タンパク質水解物である。適するカチオン性界面活性剤は、例えば、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名:Dehyquart(登録商標)C4046)、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名:Dehyquart(登録商標)F75)、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名:Dehyquart(登録商標)L80)、ベヘントリモニウムクロリド(商品名:Varisoft(登録商標)BT)、ジステアリルジモニウムクロリド(商品名:Varisoft(登録商標)TA 100)、パルミトアミドプロピルトリモニウムクロリド(商品名:Varisoft(登録商標)PATC)である。
【0067】
〔ワックス成分(b−3)〕
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は少なくとも1種のワックス成分を含んでなる。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、特に0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、とりわけ0.1〜10重量%の量のワックス成分を含有することができる。通常、ワックスは、以下の特性を有する天然若しくは合成物質および混合物であると理解される:それらは、固体から脆い硬いまでのコンシステンシーを有し、粗いから細かいまでの結晶性であり、30℃より高い温度で分解せずに不透明になり、融解する。それらの融点をわずかに超える場合でさえも、それらは粘度が低く、非曳糸性であり、およびそれらのコンシステンシーおよび溶解性は非常に温度依存性である。30℃以上で融解する単独のワックス成分またはワックス成分の混合物を、本発明にしたがって使用することができる。
【0068】
本発明によれば、ワックス様コンシステンシーを有する脂肪および脂肪様物質も、それらが所定の融点を有する限りワックスとして使用することができる。これらとしては、とりわけ、脂肪(トリグリセリド)、モノおよびジグリセリド、天然および合成ワックス、脂肪およびワックスアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステル、および脂肪酸アミドまたはこれらの物質の混合物が挙げられる。
【0069】
本発明における脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、脂肪酸とグリセロールとのトリプルエステルであると理解される。トリアシルグリセロールは、好ましくは飽和、非分枝状および非置換脂肪酸成分を含有する。また、それらは、混合エステル、すなわち、グリセロールと種々の脂肪酸とのトリプルエステルであり得る。部分水素化によって得られるいわゆる硬化脂肪および油を本発明にしたがって使用することができ、またコンシステンシー因子として特に適当である。植物性硬化脂肪および油、例えば硬化ヒマシ油、落花生油、大豆油、セイヨウアブラナ油、菜種油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、亜麻仁油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ脂肪、シアバターが好ましい。適当な脂肪は、とりわけ、グリセロールとC12〜60脂肪酸(特にC12〜36脂肪酸)とのトリプルエステルである。これらとしては、水添ヒマシ油、グリセロールとヒドロキシステアリン酸とのトリプルエステル(これは、例えばCutina(登録商標)HRの名称のもと市販されている)が挙げられる。グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート(例えばSyncrowax(登録商標)HRC)、グリセロールトリパルミテートまたはSyncrowax(登録商標)HGLCの名称のもと既知のトリグリセリド混合物も、ワックス成分または混合物の融点が30℃以上である限り、適当である。
【0070】
本発明によれば、適当なワックス成分は、特に、これらの部分グリセリドのモノおよびジグリセリドおよび混合物である。本発明による使用に適当なグリセリド混合物としては、Cognis GmbHから市販されている製品Novata(登録商標)ABおよびNovata(登録商標)B(C12〜18モノ、ジ−およびトリグリセリドの混合物)およびCutina(登録商標)HVG(水素化植物性グリエリド)またはCutina(登録商標)GMS(グリセリルステアレート)が挙げられる。ワックス成分として本発明で使用できる脂肪アルコールとしては、C12〜50脂肪アルコールが挙げられる。脂肪アルコールは、天然の脂肪、油およびワックス、例えば、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールから得ることができる。本発明によれば、飽和非分枝脂肪アルコールが好ましい。しかしながら、本発明では、ワックス成分として不飽和の分枝または非分枝脂肪アルコールを、それらが所要の融点を有するならば、使用することもできる。他の適する脂肪アルコールは、天然由来油脂(例えば、牛脂、ピーナッツ油、セイヨウアブラナ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、トウモロコシ油、菜種油、ゴマ油、ココアバターおよびココヤシ脂肪)の還元時に生じるような脂肪アルコールカットである。しかしながら、合成アルコール、例えば、チーグラー合成からの直鎖偶数脂肪アルコール(アルフォール)またはオキソ合成からの部分分枝アルコール(ドバノール)を使用することもできる。本発明にとって、例えばCognis Deutschland GmbHにより、Lanette 16(C16アルコール)、Lanette 14(C14アルコール)、Lanette O(C16/18アルコール)およびLanette 22(C18/22アルコール)の名称で販売されている、C14〜22脂肪アルコールが特に好ましい。脂肪アルコールは、トリグリセリドよりも乾燥した皮膚感触を組成物に与えるため、トリグリセリドよりも好ましい。ワックス成分として、C14〜40脂肪酸またはそれらの混合物を使用してもよい。これらとしては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸およびエレオステアリン酸、および置換脂肪酸、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、ならびに脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドが挙げられる。このリストは例示であって特性を限定するものではない。本発明の使用に適するワックスは、例えば、天然植物性ワックス、例えば、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、木蝋、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米胚芽ワックス、サトウキビワックス、オウリカリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、例えば、オレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ヤマモモワックス、および、動物性ワックス、例えば、ミツロウ、セラックワックス、鯨蝋、羊毛ワックスおよび尾脂などである。本発明によれば、水素化または硬化ワックスを使用することが有利であり得る。本発明にしたがって使用可能な天然ワックスとしては、鉱物ワックス、例えばセレシンおよびオゾケライトなど、または石油化学ワックス、例えばペトロラタム、パラフィンワックスおよびマイクロワックスも挙げられる。他の適当なワックス成分は、化学変性ワックス、特には硬質ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サゾールワックスおよび水素化ホホバワックスなどである。本発明にしたがって使用可能な合成ワックスとしては、例えば、ワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが挙げられる。本発明にとって、植物性ワックスが好ましい。
【0071】
ワックス成分はまた、飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのワックスエステルの群から、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸)と飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群から、ならびに長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択することができる。そのようなエステルとしては、例えば、C16〜40アルキルステアレート、C20〜40アルキルステアレート(例えば、Kesterwachs(登録商標)K82H)、ダイマー酸のC20〜40ジアルキルエステル、C18〜38アルキルヒドロキシステアロイルステアレートまたはC20〜40アルキルエルケートが挙げられる。また、使用可能な他の適当なワックス成分は、C30〜50アルキルミツロウ、クエン酸トリステアリル、クエン酸トリイソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、クエン酸トリラウリル、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、ベヘン酸ステアリル、セチルエステル、ベヘン酸セテアリルおよびベヘン酸ベヘニルである。
【0072】
〔ポリマー(b−4)〕
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は少なくとも1種のポリマーを含有する。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0.05〜18重量%、好ましくは0.05〜15重量%、とりわけ0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の量のポリマーを含有する。本発明の好ましい実施態様において、ポリマーは、組成物の総重量に基づき、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、とりわけ0.1〜2重量%の量で存在する。適当なカチオン性ポリマーは、例えば以下である:カチオン性セルロール誘導体、例えばAmercholからPolymer JR 400(登録商標)の名称で入手可能な4級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマー、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンとの縮合生成物、4級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L、Gruenau)、4級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えばアモジメチコン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとのコポリマー(Cartaretine(登録商標)、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(登録商標)550、Chemviron)、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、例えば場合により微晶質分布での4級化キトサン、ジハロアルキレン(例えばジブロモブタン)とビスジアルキルアミン(例えばビスジメチルアミノ−1,3−プロパン)との縮合生成物、カチオン性グアーガム、例えば、Celanese社製のJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16、ならびに4級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、Miranol社製のMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1。適するアニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性のポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそれらのエステル、未架橋ポリアクリル酸およびポリオール架橋されたポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、ならびに任意に誘導体化されていてよいセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0073】
カルボマーのINCI名を有するアニオン性ポリマー、例えば、Carbopolタイプ980、980、981、1382、2984、5984ならびにRheocare(登録商標)C plusおよびRheocare(登録商標)400などが特に適する。別の適するアニオン性ポリマーは、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマーのINCI名を有するアニオン性ポリマー[例えば、Pemulen(登録商標)TR、Pemulen(登録商標)TR 2、Carbopol(登録商標)Ultrez]、アクリレートコポリマー(例えば、Rheocare TTA、TTN、TTN-2)、アクリルアミド/ナトリウムアクリレートコポリマー[例えば、Cosmedia(登録商標)ATC]、ポリアクリル酸ナトリウム[例えば、Cosmedia(登録商標)ATH、Cosmedia(登録商標)SP]、ポリアクリルアミド[例えば、Sepigel(登録商標)305またはSepigel(登録商標)501]である。好適なアニオン性ポリマーはポリアクリル酸ホモポリマーおよびコポリマーである。別の適するポリマーは、例えばシリコーンエラストマーブレンドなどのシリコーンエラストマーガム、例えば、シクロペンタシロキサン(および)ジメチコノール(および)ジメチコンクロスポリマーのINCI名を有するブレンド[Dow Corning(登録商標)DC 9027として入手可能]、イソデシルネオペンタノエート(および)ジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20クロスポリマーのINCI名を有するブレンド[Dow Corning(登録商標)DC EL 8051 INとして入手可能]、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)C12−14パレス−12のINCI名を有するブレンド[Dow Corning(登録商標)DC 9509として入手可能]、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)シリカのINCI名を有するブレンド[Dow Corning(登録商標)DC 9701 Cosmetic Powderとして入手可能]である。他の適するポリマーは多糖であり、とりわけキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギネートおよびチロースならびにタラガム、カラギーナン、スクレロチウムガムおよび天然セルロースである。
【0074】
〔油成分(b−5)〕
本発明の化粧品組成物は、少なくとも1種の油成分を含有することができる。一般的に、油成分は総量で0.1〜95重量%、好ましくは0.1〜80重量%、とりわけ0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に1〜50重量%、より特に1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%、とりわけ5〜15重量%の量で存在する。油成分は、通常0.1〜40重量%の量で存在する。油成分は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、および他のさらなるエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシルである。また、C18〜38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝C6〜22脂肪アルコールとのエステル、特にマレイン酸ジオクチル、直鎖および/または分枝脂肪酸と多価アルコール(例えばプロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)とのエステル、C6〜10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6〜18脂肪酸に基づく液体状モノ−/ジ−/トリ−グリセリド混合物、C6〜22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C2〜12ジカルボン酸と2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分枝第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝C6〜22脂肪アルコールカーボネート、例えば炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝C6〜22アルコールとのエステル(例えばFinsolv(登録商標)TN)、アルキル基1個につき6〜22個の炭素原子を含有する直鎖または分枝、対称または非対称のジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ならびにポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、および炭化水素、またはそれらの混合物も適している。さらに、Cetiol(登録商標)Sensoft(Cognis GmbH)の商品名で市販されているような、2−プロピルヘプタノールとn−オクタン酸とのエステルも適している。炭化水素、例えばウンデカンおよびトリデカンなども適している。さらに、INCI名ココヤシ/パーム/パーム核油アルカンのようなアルカン(BiosynthesisからVegelight 1214として入手可能)も適している。
【0075】
〔少なくとも1種の皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性成分〕
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも1種のさらなる皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性成分を含む。皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性成分は、哺乳類の皮膚および/または毛髪の状態を整えるおよび/または改善するのに役立つ物質である。
【0076】
したがって、本発明の一実施態様は、
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物、
(b)必要により、少なくとも1種の化粧品適合性媒体、
(c)少なくとも1種の皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性成分
を含んでなる化粧品組成物に関する。
【0077】
適当なスキンケア活性成分の分類としては、限定するものではないが、ビタミン、ペプチド、およびペプチド誘導体、糖アミン、UV−保護因子、フラボノイド化合物、毛髪成長調整剤、酸化防止剤および/または酸化防止前駆体、防腐剤、植物ステロール、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、およびそれらの混合物が挙げられる。しかしながら、多くの皮膚ケア活性成分は1つを越える効果をもたらし、または1つを超える活性態様を介して作用することに留意すべきである。したがって、ここでの分類は便宜上なされたものであって、特定の用途または記載した用途に限定することを意図するものではない。
【0078】
したがって、本発明の一実施態様は、
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物、
(b)ビタミン(c−1)、ペプチドおよびペプチド誘導体(c−2)、糖アミン(c−3)、UV−保護因子(c−4)および/またはフラボノイド化合物(c−5)からなる群から選択される、少なくとも1種の皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性成分
を含んでなる化粧品組成物に関する。
【0079】
〔ビタミン(c−1)〕
本発明の一実施態様において、化粧品組成物は少なくとも1種のビタミンを含有する。本発明の化粧品組成物は、0.001〜50%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜1%の量の1種以上のビタミンを含有していてよい。ここで、「ビタミン」はビタミン、プロビタミンならびにそれらの塩、異性体および誘導体を意味する。適するビタミンの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:ビタミンB化合物(B1化合物、B2化合物、B3化合物、例えばナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、ニコチン酸トコフェリル、C1〜C18ニコチン酸エステル、およびニコチニルアルコール;B5化合物、例えばパンテノール若しくは「プロビタミン5」、パントテン酸、パントテニル;B6化合物、例えばピロキシジン、ピリドキサル、ピリドキサミン;カルニチン、チアミン、リボフラビンが含まれる);ビタミンA化合物および全ての天然および/または合成ビタミンA類似化合物(例えばレチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、レチノイン酸、レチンアルデヒド、プロピオン酸レチニルなどのレチノイド化合物を含む);カロテノイド(プロビタミンA);ビタミンD化合物;ビタミンK化合物、ビタミンE化合物またはトコフェロール(トコフェロールソルベート、トコフェロールアセテート、他のトコフェロールエステルおよびトコフェロール化合物を含む);アスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、アスコルビン酸誘導体、例えばリン酸アスコルビル(リン酸アスコルビルマグネシウムおよびリン酸アスコルビルナトリウム)、アスコルビルグルコシド、およびアスコルビルソルベートを含むビタミンC化合物;およびビタミンF化合物、例えば飽和および/または不飽和脂肪酸。一実施態様において、本発明の組成物はビタミンB化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物およびそれらの混合物からなる群から選択されるビタミンを含む。あるいは、ビタミンは、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェリル、ピロキシジン、パンテノール、ビタミンE、ビタミンEアセテート、リン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシドおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0080】
〔ペプチドおよびペプチド誘導体(c−2)〕
本発明の一実施態様において、化粧品組成物は少なくとも1種のペプチドおよび/またはペプチド誘導体を含む。ここで、「ペプチド」とは、10個または数個のアミノ酸を含むペプチド、その誘導体、異性体および、例えば金属イオン(例えば銅、亜鉛、マンガンおよびマグネシウム)などの他の種との複合体を意味する。ここで使用されるように、ペプチドは天然由来のペプチドおよび合成ペプチドのいずれをも意味する。一実施態様において、ペプチドはジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチドおよびヘキサペプチド、それらの塩、異性体、誘導体ならびにそれらの混合物である。
【0081】
〔糖アミン(c−3)〕
本発明の一実施態様において、化粧品組成物は少なくとも1種の糖アミン(アミノ糖としても知られている)およびその塩、異性体、互変異性体ならびに誘導体を含む。糖アミンは合成起源または天然起源であってよく、純粋化合物または混合化合物として使用することができる(例えば天然資源からの抽出物または合成物質の混合物)。例えば、グルコサミンは一般的に多くの甲殻類に見られ、菌類起源に由来することもできる。本発明に存在する一般的な糖アミン化合物には、例えば、N−アセチル−グルコサミンが挙げられる。一実施態様において、本発明の組成物は0.01〜15%、好ましくは0.1から10%、より好ましくは0.5〜5%の糖アミンを含む。
【0082】
〔UV−保護因子(c−4)〕
本発明の一実施態様において、化粧品組成物は少なくとも1種のUV保護因子を含む。UV保護因子は、例えば、室温で液体または結晶性であり、かつ、紫外線放射を吸収することができ、吸収したエネルギーを長波長放射(例えば、熱)の形態で再び放出することができる有機物質(光保護フィルター)である。UV−Bフィルターは、油溶性または水溶性であることができる。油溶性物質の例は以下の通りである:
・3−ベンジリデンカンファー(Mexoryl(登録商標)SD)または3−ベンジリデンノルカンファー(Mexoryl(登録商標)SDS 20)およびその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデン−ボルナン−2−オン−メチルスルフェート(Mexoryl(登録商標)SO)
・3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)−ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ−[2.2.1]ヘプタン−1−メタスルホン酸)および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・3−(4’−スルホ)−ベンジリデン−ボルナン−2−オンおよび塩(Mexryl(登録商標)SL)
・N−{(2および4)−[2−オキソボルン−3−イリデン]メチル}ベンジル}アクリルアミドのポリマー(Mexoryl(登録商標)SW)
・2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノ−ル(Mexoryl(登録商標)XL)
・4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−オクチルおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル
・ケイ皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸プロピル、4−メトキシケイ皮酸イソアミル、2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル(Octocrylene)
・サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル
・ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4−メトキシベンザルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル
・トリアジンの誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2'−エチル−1'−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよび2,4,6−トリス[p−(2−エチルヘキシル−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(Uvinul(登録商標) T 150)またはオクチルトリアゾンまたは(Uvasorb(登録商標)HEB);あるいはジエチルヘキシルブタミドトリアゾン[Uvasorb(登録商標)HEB=4,4'−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノ−カルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエ−ト−2−エチルヘキシルエステル)
・2,2−(メチレン−ビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M);
・2,4−ビス[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb(登録商標)S);
・プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4'−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン;
・ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(欧州特許第0694521号に記載)。
【0083】
適する水溶性物質は、以下の通りである:
・2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ならびに、そのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩;
・2,2(−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(Neo Heliopan(登録商標)AP)(INCI名:フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム)
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩;
・3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸およびその塩。
【0084】
本発明の好ましい実施態様において、組成物は少なくとも1種の油溶性UV保護因子と少なくとも1種の水溶性UV保護因子を含む。
【0085】
適する典型的なUV−Aフィルタ−は、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4'−tert−ブチルフェニル)−3−(4'−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)、1−フェニル−3−(4'−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン、およびエナミン化合物(独国特許出願第19712033に記載)(BASF)、ならびに安息香酸、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]、ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A plus、INCI名:ジメチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート)である。当然、UV−AおよびUV−Bフィルターを、混合物で使用することもできる。特に好ましい組合せは、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)と2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル(Octocrylene)からなり、ケイ皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルおよび/または4−メトキシケイ皮酸プロピルおよび/または4−メトキシケイ皮酸イソアミルと組合せる。このような組合せを、水溶性フィルター(例えば、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩)と組合せるのが有利である。適当なUV光防護フィルターは、特に、委員会指令Annex VII(技術的進歩にAnnex VIIを適合させるための、化粧品に関する理事会指令76/768/EECを改正する2005年1月28日の委員会指令2005/9/EC)に挙げられた物質である。これを、ここで明らかに参照する。上記した可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料(即ち、微細分散した金属酸化物または塩)も適している。適する金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛および二酸化チタン、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物、ならびにこれらの混合物である。使用し得る塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。これらの酸化物および塩を、皮膚ケアおよび皮膚保護エマルションおよび装飾用化粧品のために顔料の形態で使用する。これら粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有しているべきである。これらは球の形状であってよいが、楕円の形状または球形からいくらかはずれた形状の粒子を使用することもできる。また、顔料は、表面処理した形態、即ち親水性化または疎水性化した形態であることもできる。典型的な例は、被覆した二酸化チタン、例えば、二酸化チタン T805(Degussa)またはEusolex(登録商標)T、Eusolex(登録商標)T2000、Eusolex(登録商標)T-Aqua、Eusolex(登録商標)AVO、Eusolex(登録商標)T-ECO、Eusolex(登録商標)T-OLEOおよびEusolex(登録商標)T-S(Merck)である。酸化亜鉛の典型例は、例えば、酸化亜鉛ニュートラル、酸化亜鉛 NDM(Symrise)またはZ-Cote(登録商標)(BASF)またはSUNZnO-ASおよびSUNZnO-NAS(Sunjun Chemical Co. Ltd.)である。二酸化チタンを含有する適当な混合物は、例えばCetiol(登録商標)SUN(Cognis GmbH)である。適する疎水性コーティング剤は、主にシリコーンであり、具体的にはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。日焼け止め剤においては、いわゆるマイクロ顔料またはナノ顔料を使用することが好ましい。微粉酸化亜鉛を用いることが好ましい。他の適当なUV保護因子は、P. Finkel、SOEFW-Journal 122、8/1996、第543〜548頁およびParf. Kosm. 第80巻、No.3/1999、第10〜16頁の概説に記載されている。前記の第1のUV保護因子の2つの群に加えて、抗酸化型の第2のUV保護因子を使用してもよい。抗酸化型の第2のUV保護因子は、UV光が皮膚を通る際に開始される光化学反応連鎖を阻害する。
【0086】
本発明の組成物は、化粧品組成物に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは2.5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%の量でUV光保護因子を含有することができる。
【0087】
〔フラボノイド(c−5)〕
本発明の一実施態様において、化粧品組成物は少なくとも1種のフラボノイドを含有する。本発明の組成物は、フラボノイドを含有してもよい。フラボノイドは合成物質であっても、天然起源からの抽出物であってもよく、さらに誘導化されていてもよい。適するフラボノイドの分類としては、限定するものではないが、例えば、非置換のフラバノン、メトキシフラバノン、非置換のカルコンおよびそれらの混合物などが挙げられる。一実施態様において、フラボノイドは非置換フラバノン、非置換カルコン(特にトランス異性体)、それらのグルコシル誘導体ならびにそれらの混合物である。適するフラボノイドの他の例としては、ヘスペリジン化合物(例えばグルコシルヘスペリジン)などのフラバノン、限定するものではないが、ゲニステイン、ダイゼイン、ケルセチンおよびエクオルなどを含む大豆イソフラボンなどのイソフラボン、それらのグルコシル誘導体、2’4−ジヒドロキシカルコンならびにそれらの混合物などが挙げられる。本発明の組成物は、0.01〜20%、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜5%のフラボノイドを含んでいてよい。
【0088】
〔さらなる皮膚ケアおよび/または毛髪ケア活性物質〕
本発明の組成物は、非ビタミン系酸化防止剤およびラジカルスカベンジャー、無機物、防腐剤、植物ステロールおよび/または植物ホルモン、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤およびN−アシルアミノ酸化合物をさらに含有していてよい。適する非ビタミン系酸化防止剤およびラジカルスカベンジャーとしては、限定するものではないが、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、L−エルゴチオネイン(THIOTANETMとして入手可能);テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウム、カルノシン、マロン酸ジエチルヘキシルシリニリデン(OXYNEXTMとして入手可能)、ヘキサデス−8−エン−1,16ジカルボン酸(オクタデセン二酸;ARLATONETM Dioic DCA、Uniqema製)、ユビキノン(コエンザイムQ10)、緑茶抽出物を含む茶抽出物、酵母抽出物(例えば、Pitera(登録商標))、酵母培養液、およびそれらの組み合わせが挙げられる。適する無機物としては、亜鉛、マンガン、マグネシウム、銅、鉄、セレンおよび他のミネラルサプリメントが挙げられる。「無機物」には、無機物の種々の酸化形態、無機複合体、塩、誘導体およびそれらの組み合わせが含まれるものと理解される。植物ステロール(フィトステロール)および/または植物ホルモンの適当な例としては、限定するものではないが、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、キネチン、ゼアチンおよびそれらの混合物が挙げられる。適するプロテアーゼ阻害剤としては、限定するものではないが、ヘキサミジン、酢酸バニリン、アントラニル酸メンチル、大豆トリプシン阻害剤、ボーマン-バーク型阻害剤、およびそれらの混合物が挙げられる。適するチロシナーゼ阻害剤としては、限定するものではないが、シナブランカ(カラシの種子抽出物)テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウム、およびそれらの混合物が挙げられる。適する抗炎症剤としては、限定するものではないが、グリチルリチン酸(グリチルリチンとしても既知である)、グリシルレテン酸、他の甘草抽出物およびそれらの組み合わせが挙げられる。適するN−アシルアミノ酸化合物としては、限定するものではないが、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらの異性体(DおよびL異性体を含む)、塩、誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。適するN−アシルアミン酸の一例は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンであり、商品名SEPIWHITE(登録商標)のもとSeppic(フランス)から入手可能である。他の有益なスキンケア活性物質としては、保湿剤および/またはコンディショニング剤、例えばグリセリン、ワセリン、カフェインおよび尿素;酵母抽出物(例えばPiteraTM);デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、その類似体および誘導体;α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、グリコール酸およびサリチル酸オクタノイルを含むピーリング剤;抗生物質;フケ防止剤、例えばピロクトンオラミン、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)、トリクロカルバンおよびジンクピリチオンなど;ジメチルアミノエタノール(DMAE);クレアチン;皮膚ライトニング剤、例えば、コウジ酸、桑の実抽出物、ヒドロキノン、アルブチンおよびデオキシアルブチン;(サンレス)タンニング剤、例えばジヒドロキシアセトン(DHA);植物由来原料、例えばレスベラトロール;その任意の異性体、塩および誘導体ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【実施例】
【0089】
実施例1〜3:マニルカラ ムルチネルビスの抽出物の調製
【0090】
実施例1:
粉砕したマニルカラ ムルチネルビスの乾燥葉3Kgを、30リットルの温水を入れた鋼鉄製反応器に導入した。60℃で1時間攪拌下、懸濁液を抽出した。その後、混合物を室温まで冷却した。遠心分離により液体抽出物を不溶性画分から分離した後、最大0.45μmの濾過により精製した。16g/lの抽出物を含む濾液17.6リットルが得られ、その後、真空下で50〜60g/lの抽出物に濃縮した。マルトデキストリン(乾燥物質100重量%)を溶液に加えた。
その後、この溶液を噴霧乾燥し、455gの粉末を得た。
【0091】
実施例2:
粉砕したマニルカラ ムルチネルビスの乾燥葉を、2リットルのエタノール/水(体積:70/30)を入れた鋼鉄製反応器に導入した。1時間還流下、懸濁液を抽出した。その後、混合物を室温まで冷却した。濾過により液体抽出物を不溶性画分から分離した。その後、減圧下、35℃でアルコールを除去し、残留物を凍結乾燥した。乾燥生成物の収率は、使用した植物の乾燥重量に基づいて18〜20%であった。
【0092】
実施例3:抽出を2リットルのエタノール(96%)により行った以外は、実施例2を繰り返した。エタノールの蒸発後、真空下、オーブン内で最終生成物を乾燥させた。乾燥生成物の収率は、使用した植物の乾燥重量に基づいて12.8〜15.3%であった。
【0093】
実施例4〜9:マニルカラ ムルチネルビス抽出物の効果
【0094】
実施例4:マニルカラ ムルチネルビス抽出物の抗糖化作用
タンパク質(例えば皮膚コラーゲンなど)の「非酵素的」糖化率の低減に対するマニルカラ ムルチネルビス抽出物の潜在力を評価するため、正の対照としてアミノグアニジンと比較して抽出物を試験した。「非酵素的」糖化は、グルコースやサッカロースなどの還元糖とタンパク質の反応に起因する。これらの糖は、タンパク質中に存在する遊離アミノ基と反応し、いわゆる「シッフ塩基」を形成し、最終的にいわゆる「糖化最終産物」を生じる。人の皮膚において、「非酵素的」糖化のプロセスは、皮膚老化の特徴である真皮の強度の低下と萎縮を引き起こす。
【0095】
コラーゲンタイプIを、グルコースを含む溶液中で45℃、3週間にわたりインキュベートすることにより、抽出物をインビトロで試験した。その後、溶液を15分間、3500rpm(1分間あたりの回転数)で遠心分離した後に回収された上澄み液の430nm(350nmで励起)における蛍光測定により、「非酵素的」糖化レベルを「シッフ塩基」の割合を測定することにより決定した。「非酵素的」糖化率は、グルコースを含むコントロールに対する%として算出した。この分析を最大6回繰り返し、その結果をグルコースを含むコントロールに対するパーセンテージで表し、平均+/−標準偏差(標準誤差)として示し、student t testにより統計学的に評価した。示される全ての%値は重量%である。
【0096】
表1は、ポジティブコントロールの結果を示す。「シッフ塩基」の割合を、コントロール(グルコースを含む)に対する割合(%/コントロール(グルコースを含む))で表した。
【0097】
【表1】

【0098】
グルコースによるコラーゲンの培養は「シッフ塩基」の割合を顕著に増加させた。コラーゲンの「非酵素的」糖化は、0.02%、0.05%および0.1%のアミノグアニジンにより明らかに減少し、この効果は有意であり、濃度依存性である。
【0099】
表2は、実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物の結果を示す。結果を、コントロール(グルコースを含む)に対する「シッフ塩基」の割合(%/コントロール(グルコースを含む))で表した。
【0100】
【表2】

【0101】
グルコースによるコラーゲンの培養は「シッフ塩基」の割合を顕著に増加させた。実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物(0.01〜0.3%)は、グルコースにより培養されたコラーゲンにおける「シッフ塩基」の生成を明らかに減少させた。この効果は0.03〜0.1%および0.3%で有意であり、濃度依存性である。これに対して、0.03〜0.3%の実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、グルコースにより培養されたコラーゲンにおける「シッフ塩基」の生成を著しく減少させた。このように、マニルカラ ムルチネルビス抽出物は、コラーゲン繊維の質を保つ興味深い潜在能力を示し、抗老化成分として提案できる。
【0102】
実施例5:マニルカラ ムルチネルビス抽出物の抗エラスターゼ作用
この分析の原理は以下の通りである:この分析は、ヒト白血球由来のエラスターゼと合成物質(N−メトキシスクシニル−(Ala)2−Pro−Val−pNA)により実施される。生成物を、TRIS(50mM)およびTRITON X100(0.01%)を含む緩衝液(pH7.5)中で、酵素と基質により可溶化した。30分間インキュベートした後、加水分解された基質の量を405nmでの吸光度測定により測定した。対照阻害剤は、α1−アンチトリプシンである。結果を阻害率として表し、IC50(阻害濃度50=50%のエラスターゼ活性を阻害する生成物の濃度)を各分析から算出した。その後、阻害率およびIC50を、3回の分析における平均+/−SEM(標準誤差)として示し、student t testにより統計学的に評価した。
【0103】
【表3】

【0104】
これらの結果は、実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物が、いわゆるα1−アンチトリプシンのようなエラスターゼの内因性阻害剤と同じ活性濃度(IC50=0.0015%)でエラスターゼ阻害に対する明らかな潜在能力を示すことを実証している。したがって、マニルカラ ムルチネルビス抽出物を成熟皮膚の弾力性を保つための抗老化成分として提案することができる。
【0105】
実施例6:マニルカラ ムルチネルビス抽出物のプロコラーゲン(タイプII)作用
実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物をインビトロで培養したヒト皮膚繊維芽細胞とインキュベートし、コラーゲンタイプIの放出を細胞培養培地中でELISA法により測定した。正の対照ビタミンC(アスコルビン酸)と比較して試験した。
【0106】
ヒト繊維芽細胞をウシ胎児血清(FCS)が豊富な成長培地で培養し、37℃で1日間インキュベートした。その後、成長培地を、1%FCSと実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物を含む標準培地に換え、37℃で3日間インキュベートした。その後、細胞数を細胞内タンパク質の定量化により測定し(ブラッドフォード法)、一方、細胞培養培地中のコラーゲンペプチドの定量化によりコラーゲン合成量を測定した(ELISA法)。結果を、タンパク質またはコラーゲンの参照範囲により算出し、コントロール培地に対する割合として表し、4分析(3回)の平均+/−SEM(標準誤差)として示した。
【0107】
【表4】

【0108】
5μg/mlのビタミンCは、細胞内タンパク質レベルのはっきりとした変化なしにタイプIコラーゲン/タンパク質の放出量を顕著に増加させた。0.0003%と0.001%の実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、細胞内タンパク質レベルの明らかな変化なしに、培養したヒト繊維芽細胞からのタイプIコラーゲン/タンパク質の放出量を顕著に増加させた。
【0109】
実施例7:トロポエラスチン合成へのマニルカラ ムルチネルビス抽出物の作用
実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物をインビトロで培養したヒト皮膚繊維芽細胞とインキュベートし、トロポエラスチンの合成を細胞培養培地中でICC法により測定した。正の対照TGF−β1(トランスフォーミング増殖因子−β1)と比較して試験した。
【0110】
ヒト繊維芽細胞をウシ胎児血清(FCS)が豊富な成長培地で培養し、37℃で3日間インキュベートした。その後、成長培地を、1%FCSと実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物を含む標準培地に換え、37℃で数日間インキュベートした。その後、トロポエラスチン合成を免疫細胞化学(ICC)法により測定した。結果を、染色率で表し、3分析に対する6回の測定の平均+/−SEM(標準誤差)として示した。
【0111】
【表5】

【0112】
10ng/mlのTGF−β1は、ヒト繊維芽細胞によるトロポエラスチン合成を顕著に刺激した(平均82%)。0.002%と0.006%の実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、ヒト繊維芽細胞によるトロポエラスチン合成を濃度依存的に顕著に刺激した。
【0113】
実施例8:EMILIN−1合成におけるマニルカラ ムルチネルビス抽出物の作用
エラスチン線維関連タンパクとも称されるEMILIN−1(Elastin Microfibril Interface Located proteIN-1)は、エラスチン関連タンパク質である。EMILIN−1は、エラスチン線維網状組織形成の種々の段階に係わっている。
【0114】
実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物をインビトロで培養したヒト皮膚繊維芽細胞とインキュベートし、EMILIN−1の合成を細胞培養培地中でICC法により測定した。
【0115】
ヒト繊維芽細胞をウシ胎児血清(FCS)が豊富な成長培地で培養し、37℃で1日間インキュベートした。その後、成長培地を、1%FCSと実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物を含む標準培地に換え、37℃で2日間インキュベートした。その後、EMILIN−1合成を免疫細胞化学(ICC)法により測定した。結果を、染色率で表し、3分析に対する6回の測定の平均+/−SEM(標準誤差)として示した。
【0116】
【表6】

【0117】
0.002%と0.006%の実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、ヒト繊維芽細胞によるEMILIN−1合成を顕著に刺激し、この作用は濃度依存性であった。
【0118】
実施例9:フィブリン−5合成におけるマニルカラ ムルチネルビス抽出物の作用
フィブリン−5は細胞外基質タンパク質であり、インビボで弾性繊維の表面に位置し、弾性繊維の構築および構成を調整するエラスチン関連タンパク質である。
【0119】
実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物をインビトロで培養したヒト皮膚繊維芽細胞とインキュベートし、フィブリン−5の合成を細胞培養培地中でICC法により測定した。正の対照TGF−β1(トランスフォーミング増殖因子−β1)と比較して試験した。
【0120】
ヒト繊維芽細胞をウシ胎児血清(FCS)が豊富な成長培地で培養し、37℃で3日間インキュベートした。その後、成長培地を、1%FCSと実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物を含む標準培地に換え、37℃で5日間インキュベートした。その後、フィブリン−5合成を免疫細胞化学(ICC)法により測定した。結果を、染色率で表し、2分析に対する6回の測定の平均+/−SEM(標準誤差)として示した。
【0121】
【表7】

【0122】
10ng/mlのTGF−β1は、ヒト繊維芽細胞によるフィブリン−5の合成を顕著に刺激した。
【0123】
0.002%と0.006%の実施例1のマニルカラ ムルチネルビス抽出物は、ヒト繊維芽細胞によるフィブリン−5発現を顕著に刺激し、この作用は濃度依存性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物の製造のためのまたは化粧品組成物におけるマニルカラ ムルチネルビスの使用。
【請求項2】
マニルカラ ムルチネルビスの抽出物を用いる請求項1に記載の使用。
【請求項3】
皮膚ケア、皮膚保護および/または皮膚再生のための請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
皮膚のハリの改善、および/または、皮膚の滑らかさの改善、および/または、皮膚老化の兆候の改善若しくは予防、ストレッチマークの改善若しくは予防、および/または、頭皮の質の改善、および/または頭皮老化の防止のための請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物
(b)少なくとも1種の化粧品適合性媒体
を含んでなる化粧品組成物。
【請求項6】
(a)マニルカラ ムルチネルビス、好ましくはマニルカラ ムルチネルビスの抽出物
(b)必要により、少なくとも1種の化粧品適合性媒体
(c)少なくとも1種の皮膚ケア活性成分および/または毛髪ケア活性成分
を含んでなる化粧品組成物。
【請求項7】
化粧品適合性媒体が、少なくとも1種の溶剤(b−1)、少なくとも1種の界面活性物質(b−2)および/または少なくとも1種のワックス成分(b−3)および/または少なくとも1種のポリマー(b−4)および/または少なくとも1種の油成分(b−5)からなる群から選択される請求項5または6に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
マニルカラ ムルチネルビスの抽出物が、
(i)葉の抽出物若しくは葉を含む植物部分の抽出物であり、および/または
(ii)水抽出物若しくは水アルコール抽出物である
請求項1〜7に記載の使用または組成物。
【請求項9】
マニルカラ ムルチネルビスの植物全体または植物部分を抽出する、好ましくは水抽出若しくは水アルコール抽出することを含んでなる、マニルカラ ムルチネルビスの抽出物の製造方法。

【公表番号】特表2013−503116(P2013−503116A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525889(P2012−525889)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000435
【国際公開番号】WO2011/023248
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】