説明

マラリア、結核、及びMAC病の治療方法

本明細書中に開示したのは、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス、ヒト型結核菌、ノカルジア、プラスモディウム・ファルシウム、またはネズミマラリア原虫を含む、感染性病原体に起因する疾患を治療するための製剤及び方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年9月10日に提出された米国特許仮出願第61/241,258号への優先権を主張し、参照によって本明細書に明らかに組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載された本発明は、フルオロケトライドを使用した様々な病気の治療に関する。特に、本明細書に記載された本発明は、マイコバクテリウム・アビウム、結核、及びマラリアの治療に関する。
【背景技術】
【0003】
マラリアは、最も一般的な感染症の1つであり、甚大な公共健康問題である。前記疾患は、マラリア原虫(プラスモディウム)属の寄生原虫によって生じ、熱帯熱マラリア原虫によって起因する病気の最も深刻な形態を含む。マラリアはまた、ネズミマラリア原虫によっても起因する。いくつかは開発中であるが、高レベルの保護を提供する現在マラリアに利用可能なワクチンは無く、予防薬は、感染のリスクを軽減するために継続的に摂取する必要がある。これらの予防薬治療は、しばしば流行地域に住むほとんどの人々にとって、高価過ぎる。マラリア感染症は、しばしば、キニーネ剤またはアルテミシニン誘導体などの、抗マラリア薬の使用を通して治療する。しかしながら、寄生虫は、これらの薬剤の多くに耐性があるように進化してきた。従って、世界の幾つかの地域では、数種類の薬しか、マラリアの治療に効果的ではない。
【0004】
結核(結核菌はTBと省略)は、マイコバクテリアによって起因する、一般的でしばしば致命的な感染症である。ヒトにおいて、TBは、主にヒト型結核菌によって起因する。現在の世界の人口の1/3は、結核菌に感染しており、また、新しい感染症が1秒に1回の割合で発生する。各年の結核の罹患する一般住民における人々の割合は、世界的には変化無し、又は下降しているが、人口が増加しているので、新たな症例の絶対数はまだ増加している。この病気の影響を複雑にしているのは、TBの耐性株の出現である。
【0005】
マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)は、マイコバクテリウム属に属するバクテリアに遺伝的に関連した群である。それは、マイコバクテリウム・アビウム・亜種・アビウム(MAA)、マイコバクテリウム・アビウム・亜種・ホミニス(MAH)、及び、ヨーネ菌(MAP)を含む。歴史的に、MACはまた、バクテリアの異なる種である、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(MAI)も含んでいる。治療は、抗結核抗生物質の組み合わせを含み、リファンピシン、リファブチン、シプロフロキサシン、アミカシン、エタンブトール、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシンを含む。現在の治療への耐性は、また、MACに関連する問題でもある。マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)感染症は、AIDS患者にとって深刻な健康上の懸念である。標準的な治療レジメンはクラリスロマイシン(CLA)、エタンブトール及びリファマイシンで構成される。治療の失敗が報告されている。理論に縛られることなく、その失敗は、CLA−耐性の出現に起因することがここに信じられている。
【0006】
マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)感染症は、AIDSとともに生きている患者にとって深刻な健康上の懸念であり、その数は、2008年には世界中で3440万人と見積もられている。MACは、これらの患者における非結核性マイコバクテリア感染症の90%以上についての原因物質である。標準的な治療レジメンはクラリスロマイシン(CLA)、エタンブトール及びリファマイシンで構成される。マクロライド系抗生物質は、気道および軟部組織感染症などの感染症を治療するために有用であることが知られているのにもかかわらず、マクロライドはこれらの疾患に対して、悪い活性を有することが報告されている。
【0007】
驚くべきことに、式Iのようなフルオロケトライドマクロライドが、感染症病原体マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)、ヒト型結核、プラスモディウム・ファルシウム、ナルカディア、及びネズミマラリア原虫、並びに、結核及びマラリア(ホットタブ肺がん、ウィンダミア卿夫人症候群、及び高齢者やHIV又は嚢胞性線維症などに罹っている人々などの免疫不全患者における疾患のような、深刻なマラリア、慢性的マラリア、MAC疾患を含む)を含むが、それらに限定されない病原性微生物によって起因する疾患に対して有用であることが発見されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書において記載したのは、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス、ヒト型結核、プラスモディウム・ファルシウム、ネズミマラリア原虫感染症を治療するための、化合物、組成物、製剤、及び方法である。前記組成物、製剤、及び方法は、本明細書に記載した治療上有効な量のマクロライド及び/又はケトライド化合物を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの例示的実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、HIV感染患者などの免疫不全患者のMAC感染症を含む、MAC感染症の患者を治療するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、少なくとも部分的に、CLA−耐性微生物によって起因するMAC感染症の患者を含む、少なくとも部分的にマクロライド耐性微生物によって起因するMAC感染症患者を治療するために、本明細書中に記載する。前記組成物及び製剤は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を含む。前記方法は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を、患者へ投与するステップを含む。
【0010】
別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、マラリアに罹患している患者を治療するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、マラリアに罹患している患者を予防的に利用するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、少なくとも部分的に耐性微生物(耐性三日熱マラリア、熱帯熱マラリア原虫を含む)によって起因する、及び/又は、少なくとも部分的に、アジスロマイシン耐性菌などのマクロライド耐性微生物によって起因するマラリアに罹患した患者を治療するために、本明細書に記載する。前記組成物及び製剤は、本明細書に記載の治療上有効な量の、1つ以上の化合物及び/又は組成物を含む。前記方法は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を、患者へ投与するステップを含む。
【0011】
別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、結核に罹患した患者を治療するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、少なくとも部分的に、XRD結核菌を含むマクロライド耐性微生物によって起因する結核に罹患した患者を治療するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、休眠形態の結核に罹患した患者を治療するために、本明細書中に記載する。前記化合物及び製剤は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を含む。前記方法は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を、患者へ投与するステップを含む。
【0012】
別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、HIV患者などの免疫不全患者の肺ノカルジア症を含む、肺ノカルジア症に罹患した患者を治療するために記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、肺ノカルジア症に罹患した患者を治療するために、本明細書中に記載する。別の実施形態では、化合物、組成物、製剤、及び方法を、皮膚ノカルジア症に罹患した患者を治療するために、本明細書中に記載する。前記方法は、本明細書に記載の治療上有効量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を、患者へ投与するステップを含む。前記組成物及び製剤は、本明細書に記載の治療上有効な量の1つ以上の化合物及び/又は組成物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】CLAはクラリスロマイシンであり、CEMはCEM−101である、MAC LPRに罹患したマウスの脾臓から回収したCFUを示す。
【図2】CLAはクラリスロマイシンであり、CEMはCEM−101である、MAC LPRに罹患したマウスの肺から回収したCFUを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別の実施形態では、MAC感染症および関連疾患から救済の必要性のある患者を治療するための方法を、本明細書に記載する。別の実施形態では、MAC感染症および関連疾患から救済の必要性のある、免疫不全の患者を治療するための方法を、本明細書に記載する。別の実施形態では、HIV、AIDS及び/又はAIDSに関連する疾患に罹患した患者を治療する方法を、本明細書に記載する。別の実施形態では、嚢胞性線維症(CF)に罹患する患者及び、MAC感染症および関連疾患から救済の必要性のある患者を治療する方法を、本明細書に記載する。理論に拘束されることなく、CF又はHIVに罹患しているような、免疫不全患者におけるマイコプラズマ感染は、再活性している潜伏感染よりむしろ最近の獲得を表し、後者は、免疫不全患者における他の日和見感染症の事例であり得ると考えられている。本明細書中に記載されている方法は、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を含むがそれに限定されない、HIVの患者において使用される他の治療方法と併せて使用され得ることは、理解されるべきである。CFは、さらに肺の損傷を引き起こす可能性があり、一般的な抗生物質には反応しない、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)などの、特定の感染症によって悪化し得ることは、理解されるべきである。
【0015】
別の実施形態において、マラリアを治療する方法を、本明細書に記載する。本明細書に記載される方法及び化合物は、既存の疾患を治療するか、あるいは予防的にマラリアに感染するリスクがある患者を治療するために使用され得ることを理解すべきである。また、本明細書に記載される方法は、アルテミシニン、アーテスネート、などの1つ以上の現在の治療法に耐性のある生物によって起因するマラリアを治療するために使用され得ることも、理解すべきである。
【0016】
別の実施形態において、結核及び関連する疾患を治療する方法を、本明細書に記載する。理論に束縛されることなく、本明細書に記載される化合物について観察された活性は、少なくとも部分的に化合物の細胞内蓄積及び/又は化合物の殺菌活性に起因し得る。MBCがMICの約4倍以下の場合、抗菌性化合物は、一般的に殺菌であると考えられることが、理解されている。例示的には、MBCは、抗生物質なしの寒天培地における継代培養によって培養液の希釈MIC試験から決定することができる。本明細書に記載した化合物は、殺菌性である。
【0017】
別の実施形態において、本明細書中に記載された化合物は、ヒト型結核菌の複製及び休眠に対して有用である。クラリスロマイシンなどの他のマクロライドは、一般的に、in vitro活性(MIC 8μg/mL)及びヒト型結核菌に対するin vivo活性においてのみ弱さを示し、それらを、従って、治療の選択肢が限られている、多剤耐性結核において使用することが報告されている。本明細書に記載の化合物は、結核菌の耐性菌によって少なくとも部分的に起因する疾患を含む、少なくとも部分的にヒト型結核菌によって起因する疾患の治療において有用である。理論に束縛されることなく、少なくとも部分的にヒト型結核菌によって起因する疾患の治療における効果は、少なくとも一部の本明細書に記載の細胞内活性及び化合物の蓄積による可能性があると、本明細書中において考えられている。更に、本明細書に記載の化合物は、ヒト型結核菌の休眠形態に対しても効果的である。理論に束縛されることなく、休眠形態に対する活性は、他の治療プロトコールで観察された結核の再発を防ぐことができると、本明細書中において考えられている。
【0018】
別の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、マイコバクテリウム・アビウムの分離株に対して、殺菌性であり、一般的に、MBCが約2μg/mL以下の場合、殺菌活性である。マクロライド及びケトライドは、一般的に殺菌性ではない(マイコバクテリウム・アビウムの分離株に対する殺菌活性は含まない)と報告されている。
【0019】
別の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、熱帯熱マラリア原虫に対するin vitro活性、及びネズミマラリア原虫に対するアルテミシニンと同等のin vivo活性を示す。本明細書に記載の化合物は、アーテスネート耐性株を含む、熱帯熱マラリア原虫とネズミマラリア原虫の耐性菌に対して活性であり得ると、理解されている。理論に束縛されることなく、マラリア治療におけるin vivo効果は、少なくとも部分的には、細胞内活性及び本明細書に記載の化合物の蓄積のためであると、本明細書において考えられている。
【0020】
例示的な一実施形態において、本明細書に記載の化合物、製剤及び方法は、式Iの1つ以上の化合物及び薬学的に許容可能なその塩を含み:
【化1】

(I)
式中:
10は、水素原子又はプロドラッグ群であり;
XはHであり、YはORであり、Rは単糖類または二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル−、又は−C(O)−NRであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、若しくは、X及びYはカルボニルを形成するために、炭素と共に結合され;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR12,R13)−、又は−N(R14)CHであり、N(R14)は、C−10炭素に結合し、R11はヒドロキシ基又はアルコキシ基であり、R12及びR13は、それぞれ独立的に、水素、ヒドロキシ、アキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、R14は水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイルであり;
WはH、F、Cl、Br、I又はOHであり、
Aは、−CH2−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)NHS(O)−であり、
Bは、−(CH−(nは、0〜10の範囲の整数)、又は2〜10の炭素数の不飽和炭素鎖であり、
Cは、水素、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイル、又はアルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アミノアリール、アミノヘテロアリール、又はアルキルアミノアリールであり、それぞれは任意に置換されていてもよい。
【0021】
式(I)の前述の実施形態の1つの変化形において、R10はHである。別の変化形において、XはHであり、YはORであり、Rは単糖類又は二糖類である。別の変化形において、XはHであり、YはORであり、Rは単糖類である。別の変化形において、XはHであり、Yはクラジノースである。別の変化形において、X及びYは、共に、カルボニルを形成するために、炭素と結合する。別の変化形において、VはC(O)である。別の変化形において、WはH又はFである。別の変化形において、WはFである。別の変化形において、AはCHである。別の変化形において、Bは−(CH(nは0〜10の範囲の整数)である。別の変化形において、Bは−(CH(nは3〜5の範囲の整数)である。別の変化形において、Cはアリール、ヘテロアリール、アミノアリール、アミノヘテロアリール、又はアルキルアミノアリールであり、それぞれは任意に置換されていてもよい。別の変化形において、Cはアミノアリール又はアミノヘテロアリールであり、それぞれは任意に置換されていてもよい。前述の変化形のそれぞれは、制限無く結合され得、本発明の他の例示的な実施形態の明示的な説明として機能することを理解されたい。例えば、式(I)の別の実施形態において、WはFであり、Cはアミノアリール、又はアミノヘテロアリールである。
【0022】
別の実施形態において、本明細書に記載の化合物、製剤、及び方法は、式
【化2】

の化合物(CEM−101又はsolithromycinとも呼ばれる)又は、薬学的に許容可能なその塩を含む。
【0023】
本明細書に記載の化合物は、本明細書中に記載のように、又は、米国特許出願公報第2006/0100164号及び米国特許仮出願第60/982,446号に基づいて調製し、その開示は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
用語「患者」は、ヒトを含む哺乳動物、伴侶動物、畜産動物を指す。必要としている患者は、記載された感染性病原体のいずれか1つ又は複数に、感染又はさらされている患者である。免疫不全の患者とは、患者の免疫システムの感染症と戦う能力が、侵害されている、又は、完全に欠損しているという、免疫不全の患者である。免疫不全のほとんどの場合は、HIV感染患者又は、免疫抑制薬を服用しているなどの後天的(二次的)なものであるが、一部の人々は、免疫系の欠陥を持って生まれた、又は、原発性免疫不全症である。一部の患者は過活性な免疫系に苦しんでいるため、移植患者は、拒絶反応対策として、彼らの免疫系を抑制するために薬を服用する。免疫不全の人は、皆に影響を与え得る通常の感染症に加えて日和見感染に特に脆弱であり得る。
【0025】
用語「阻害」は、禁止、防止、抑制、および減速、停止や進行、重症度や結果の症状を逆転させる、を含む、一般的に受け入れられている意味を含む。従って、本発明の方法は、必要に応じて、医療治療の投与および/または予防的投与の両方を含む。
【0026】
本出願において使用する「薬学的に許容可能な」は、例えば、塩、水和物、溶媒和物、エステル、及びそのようなキャリアとしての製剤成分に関して、レシピエント患者に実質的に非有害であることを意味し、「獣医学許容」を含み、従って、独立的に、ヒト及び動物の両方の適用を含む。
【0027】
薬学的に許容可能な塩、及び一般的なそれらの調製方法は、先行技術において公知である。参照例;P. Stahl, et al., Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection And Use, (VCHA/Wiley−VCH, 2002); S.M. Berge, et al., “Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 66, No. 1, January 1977。塩の例は、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、胆汁、パモ(pamoic)、ムチン(mucic)、グルタミン酸、樟脳、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン、ピクリン酸、安息香酸、桂皮酸などの、有機及び無機酸の両方との標準的な反応によって形成される塩を含むが、それに限定されない。
【0028】
化合物は、例示的に、経口、直腸、経皮、皮下、局所、静脈内、筋肉内または鼻腔内経路を含む、種々の経路によって投与医薬組成物として処方される。参照例;Remington: The Science And Practice Of Pharmacy (A. Gennaro, et al., eds., 19th ed., Mack Publishing Co, 1995)。
【0029】
本明細書に記載の製剤は、治療有効量の本明細書に記載の多くの化合物のうちの1つを含み、任意に、1つまたは複数のキャリア、希釈剤、又は賦形剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
用語「キャリア」は、製剤中の有効成分以外の成分を記述するために本明細書中で使用される。キャリアの選択は、大部分は特定の投与様式、溶解性及び安定性へのキャリアの効果、及び投与形態の性質などの要因に依存する。
【0031】
本明細書で使用される、用語「治療上の有効量」は、研究員、獣医、医師、又は他の臨床医学者によって探し求められている、組織系、動物、又はヒトにおいて生物学的又は医学的反応を誘発する、活性化合物及び医薬剤の量を示し、治療する疾患又は障害の症状を緩和する。1つの態様において、治療上の有効量は、すべての治療に適用される合理的な利益/リスク比で疾患の疾患または症状を治療または緩和し得る。しかしながら、本明細書に記載の化合物及び組成物の毎日の使用の総量は、医学的判断の範囲内で主治医によって決定し得る。任意の特定の患者に対する特定の治療上有効な用量レベルは、治療を受けている疾患及び疾患の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、年齢、体重、一般健康状態、性別及び患者の食事療法、投与期間、投与経路、用いられる特定の化合物の排泄率、治療期間、用いられる特定の化合物と組み合わせてまたは偶然に使用する薬、よく研究者、獣医師、医師、または当業者の他の臨床医に知られているような要因を含む、様々な要因に依存するであろう。
【0032】
本明細書で使用されているように、用語「組成物」は一般的に、指定された量の特定の成分の組み合わせから、直接または間接的に生じる任意の生成物だけではなく、指定された量で指定された成分を含む、任意の生成物を示す。本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の単離された化合物又は塩、水溶液、水和物、溶媒和物、及び本明細書に記載の他の形態から調製し得ることを理解されたい。また、組成物は、様々なアモルファス、非アモルファス、部分結晶性、結晶性、及び/又は本明細書に記載の化合物の形態学上の形態から調製し得ることを理解されたい。また、組成物は、様々な水和物、及び/又は本明細書に記載の化合物の溶媒和物から調製し得ることを理解されたい。従って、本明細書に記載した化合物を詳述するような医薬組成物は、本明細書に記載の化合物の、それぞれの、又は任意の組み合わせの、様々な形態学上の形態の、及び/又は溶媒和物又は水和物形状を含むことを理解すべきである。実例として、組成物は、1つ又は複数のキャリア、希釈剤及び/又は賦形剤を含み得る。本明細書に記載の化合物、又はそれらを含む組成物は、本明細書に記載の方法に適する、任意の従来の剤形で、治療上有効量において製剤し得る。本明細書に記載の化合物、又はそれらを含む組成物は、そのような製剤を含み、本明細書に記載の方法に適した多種多様な従来の経路、及び多種多様な投与形態で、公知の方法を利用して、投与し得る (一般的に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (21st ed., 2005)を参照されたい) 。
【0033】
本明細書で使用される用語「投与する」は、本明細書に記載の化合物及び組成物を患者へ導入する全ての方法を含み、経口(PO)、静脈内(iv)、筋肉内(IM)、皮下(sc)、経皮、吸入、口腔、眼、舌下、膣、直腸などを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載の化合物及び組成物は、単位投与形態、及び/又は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルを含む製剤で、投与され得る。
【0034】
例示的には、投与はそのような病気、けが、または欠陥の部位に局所的に投与した場合など、局所的な使用を含む。例示的な局所投与は、開腹手術の間、又は、疾患、欠陥部位にアクセス可能な場合の他の手順の間に実行し得る。あるいは、局所投与は、治療を受けている患者において、複数のほかの非標的部位へ、一般的な分布をせずに、本明細書に記載の化合物又は組成物が部位に局所的に体積している場所では、非経口送達を用いて行うことができる。局所投与は、損傷部位に調節的に、又は局所的に周囲の組織へされ得ることが、更に高く評価されている。臓器などの、特定の組織型へ局所的に関する、同様の変化形もまた、本明細書に記載する。例示的には、化合物は、直接的に、脳内、脳室内、脳室内、くも膜下腔内、槽内、脊髄内、及び/又は、頭蓋内または椎間板針を介した配信及び/又はポンプ装置の有無に関わらずカテーテルによる投与の周囲の脊髄経路を含むが、それらに限定されない神経系へ投与し得る。
【0035】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、炭素原子の鎖を含み、任意に分岐されていてもよい。本明細書において使用される用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、炭素原子の鎖を含み、任意に分岐されていてもよく、それぞれ、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む。アルキニルは、1つ又は複数の二重結合を含み得ることを理解すべきである。更に、特定の実施形態において、アルキルは、限られた長さで有利であり、C〜C24、C〜C12、C〜C,C〜C、及びC〜Cを含むことを理解すべきである。更に、特定の実施形態において、アルケニル及び/又はアルキニルは、限られた長さで有利であり、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C及びC〜Cを含むことを理解すべきである。より短いアルキル、アルケニル、及び/又はアルキニル基は、より少ない親油性を化合物に付加し、それに応じて異なる薬物動態学的挙動を有することが理解されている。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどであるが、それらに限定されない。
【0036】
本明細書において使用される用語「シクロアルキル」は、炭素原子の鎖を含み、任意に分岐していてもよく、少なくとも部分的に鎖が環状である。また、シクロアルキルアルキルはシクロアルキルのサブセットであることを理解すべきである。シクロアルキルは、多環であり得ることを理解すべきである。例示的なシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロプロピル、シクロペンチレス−2−イル、アダマンチルなどを含むがそれらに限定されない。本明細書で使用する用語「シクロアルケニル」は、炭素原子の鎖を含み、任意に分岐されていてもよく、少なくとも1つの二重結合を含み、少なくとも、鎖は部分的に環状である。1つ又は複数の二重結合は、シクロアルケニル、及び/又はシクロアルケニルの非−環状部分において存在し得ることを理解すべきである。シクロアルケニルアルキル及びシクロアルキルアルケニルは、それぞれ、シクロアルケニルのサブセットである。シクロアルキルは、多環であり得ることを理解すべきである。例示的なシクロアルケニルは、シクロペンテニル、シクロヘキセレテン−2−イル、シクロヘプテニルプロペニルなどを含むがそれらに限定されない。鎖形状のシクロアルキル及び/又はシクロアルケニルは、限られた長さで有利であり、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C及びC〜Cを含むことを更に理解すべきである。シクロアルキル及び/又はシクロアルケニルを形成するより短いアルキル及び/又はアルケニル鎖は、それぞれ、より少ない親油性を化合物に付加し、それに応じて異なる薬物動態学的挙動を有するであろうことが理解されている。
【0037】
本明細書で使用される用語「ヘテロアルキル」は、炭素及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む原始の鎖を含み、任意に分岐されていてもよい。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄を含む。特定の変化形において、例示的なヘテロ原子は、また、リン及びセレニウムも含む。本明細書で使用される用語ヘテロシクリルおよびヘテロ環を含む「シクロヘテロアルキル」は、ヘテロアルキルのような炭素及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む原子の鎖を含み、任意に分岐されていてもよく、少なくとも、鎖は部分的に環状である。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄を含む。特定の変化形において、例示的なヘテロ原子は、リン及びセレニウムも含む。例示的なシクロヘテロアルキルは、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニルなどを含むがそれらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用される用語「アリール」は、単環式、及び多環式芳香族炭素環基を含み、それぞれが、任意に置換され得る。本明細書に記載の例示的な芳香族炭素環基は、フェニル、ナフチルなどを含むがそれらに限定されない。本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、単環式、及び多環式芳香族複素環基を含み、それぞれが、任意に置換され得る。例示的な、芳香族複素環基は、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリルなどを含むがそれらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、基NH、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノを含み、ジアルキルアミノ中の2つのアルキル基は、同じ又は異なり得る(即ち、アルキルアルキルアミノ)。例示的には、アミノは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノなどを含む。更に、アミノが修飾したり、別の用語で修飾されたりする場合(アミノアルキル又はアクリルアミノなど)、上述の用語アミノの変化形は、そこに含まれる。例示的には、アミノアルキルは、HN−アルキル、メチルアミノアルキル、エチルアミノアルキル、ジメチルアミノアルキル、メチルエチルアミノアルキルなどを含む。例示的には、アシルアミノは、アシルメチルアミノ、アリルエチルアミノなどを含む。
【0040】
本明細書で使用される用語「アミノ及びその誘導体」は、本明細書に記載されるようなアミノ、及びアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、ヘテロアルケニルアミノ、ヘテロアルキニルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリクトアルケニルアミノ、シクロヘテロアルキルアミノ、シクロヘテロアルケニルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アリールアルケニルアミノ、アリールアルキニルアミノ、アシルアミノなどを含み、それぞれが任意に置換されていてもよい。用語「アミノ誘導体」はまた、尿素、カルバメートなども含む。
【0041】
用語「アルコキシ」は、単独で、又は組み合わせて、アルキルエチルラジカル、アルキル−O――を示し、用語アルキルは上記で画定する。アルコキシラジカルの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどを含む。
【0042】
本明細書で使用する用語「アシル」は、ホルミル、及びアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキルカルボニル、ヘテロアルケニルカルボニル、ヘテロアルキニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、シクロヘテロアルキルカルボニル、シクロヘテロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールアルケニルカルボニル、アリールアルキニルカルボニル、アシルカルボニル、などを含み、それぞれは任意に置換されていてもよい。
【0043】
本明細書で使用する用語「スルホニル又はその誘導体」は、SOH及びその塩、並びにそのエステル及びアミドを含む。
【0044】
本明細書で使用する単糖類は、一般的に、単一のポリヒドロキシアルデヒドまたはケトンユニットである。代表的な単糖類は、例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−キシロース、D−ガラクトース、L−フコース、などのヘキソース、D−リボースまたはD−アラビノースなどのペントース、及びD−リブロースまたはD−フルクトースなどのケトースを含む。「二糖類」は、グリコシド結合で結合された2つの単糖類単位を含む。二糖類は、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなどを含む。オリゴ糖は、通常、グリコシド結合で結合された2〜10の単糖単位を含む。
【0045】
本明細書で使用する用語「任意に置換される」は、置換されているラジカルの他の官能基と水素原子の交換を含む。そのような他の官能基は、例示的には、アミノ、ヒドロキシ、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、などを含むが、それらに限定されない。例示的には、任意のアミノ、ヒドロキシ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル及び/又はスルホン酸は、任意に置換されていてもよい。
【0046】
本明細書で使用する用語「任意に置換されるアリール」は、水素原子をアリール上の任意に置換されていてもよい他の官能基に置換することを含む。そのような他の官能基は、例示的には、アミノ、ヒドロキシ、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、などを含むが、それらに限定されない。例示的には、任意のアミノ、ヒドロキシ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル及び/又はスルホン酸は、任意に置換されていてもよい。
【0047】
例示的な置換基は、ラジカル−(CHを含むがそれに限定されない;式中xは0〜6の整数であり、Zはハロゲン、ヒドロキシ、アルカノイルオキシから選択され;アルカノイルオキシは、C〜Cアルカノイルオキシを含み、任意にアロイルオキシ基、アルキル基(C〜Cアルキルを含む)、アルコキシ(C〜Cアルコキシを含む)、シクロアルキル(C〜Cシクロアルキルを含む)、アルケニル(C〜Cアルケニルを含む)、アルキニル(C〜Cアルキニルを含む)、ハロアルキル(C〜Cハロアルキルを含む)、ハロアルコキシ(C〜Cハロアルコキシを含む)、ハロシクロアルキル(C〜Cハロシクロアルキルを含む)、ハロシクロアルコキシ(C〜Cハロシクロアルコキシを含む)、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)アミノ、アルキルカルボニルアミノ、N−(C〜Cアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アミノアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、N−(C〜Cアルキル)アルキルカルボニルアミノアルキル、シアノ、及びニトロに置換されていてもよく、又は、Zは−CO及び−CONRから選択され、式中、R、R及びRは、それぞれ独立的に、水素、C〜Cアルキル、及びアリール−C〜Cアルキルからそれぞれの出現において選択される。
【0048】
本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、一般的に、生態系に投与した場合、1つ又は複数の自発的な化学反応(S)、酵素触媒化学反応(S)、および/または代謝化学反応(S)、またはそれらの組み合わせの結果として、生物学的に活性な化合物を生成する、任意の化合物を示す。In vivoで、プロドラッグは典型的には酵素(エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼなどの)によって作用し、単純な生物化学、または、in vivoでの他のプロセス、またはそれ以上の薬理活性薬剤を解放または再生成する。この活性化は、次の内因性の宿主酵素または前の宿主に投与される非内因性酵素の作用によって、またはプロドラッグの投与中に発生する。プロドラッグ使用の更なる詳細は、米国特許第5,627,165号及びPathalk et al., Enzymic protecting group techniques in organic synthesis, Stereosel. Biocatal. 775−797 (2000)に記載されている。リリースされたプロドラッグを形成する基の残りの部分の急速な脱離に続いて、プロドラッグは有利に、できるだけ早く目標として、標的とする送達、安全性、安定性などが達成されるように、元の薬物に変換される。
【0049】
プロドラッグは、化合物上に存在する1以上の官能基に、−OH−、−SH−、−COH−、−NR−などの、in vivoで最終的に切断する基を付加することによって、本明細書に記載の化合物から調整され得る。例示的なプロドラッグは、結合した基がアシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、リン酸塩または硫酸塩である、ヒドロキシル、チオール及びアミンとのエステルだけではなく、基がアルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボン酸エステルを含むがそれに限定されない。例示的なエステルは、また、活性エステルも示し、1−インダニル、N−オキシスクイシンイミド、アシルオキシアルキル基(アセトキシメチル、ピバロイロキシメチル、β−アセトキシエチル、β−ピバロイロキシメチル、1−(シクロヘキシカルボニルオキシ)プロップ−1−イル、(1−アミノエチル)カルボニツオキシメチルなど)、アルコシキカルボニルアオキアルキル基(エトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチル、β−エトキシカルボニルオキシエチルなど)、ジアルキルアミノアルキル基(ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチルなどのジ低級アルキルアミノアルキル基を含む)、2−(アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基(2−(イソブトキシカルボニル)ペント−2−エニル、2−(エトキシカルボニル)but−2−エニルなど)、及びラクトン基(フタリジル、ジメトキシなど)を含むが、それらに限定されない。
【0050】
更に例示的なプロドラッグは、本明細書に記載の化合物の溶解及び/又は安定性を高めるために機能するアミド又はリン群のような化学成分を含む。アミノ基についての更に例示的なプロドラッグは、(C〜C20)アルカノイル、ハロ−(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C)シクロアルカノイル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C16)アルカノイル)、置換基を有してもよいアロイル(非置換のアロイル、又はハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニル、(C〜C)アルキル、及び(C)アルコキシから成る群から選択される1〜3の置換基によって置換されたアロイルで、それぞれが任意に更に、1〜3のハロゲン原子の1以上によって置換されていてもよく、任意に、アリール(C〜C16)アルカノイル(非置換またはハロゲン、(C〜C)アルキル、及び(C〜C)アルココイシから成る群から選択された1〜3の置換基によって置換されたアリールラジカルで、それぞれが更に、任意に1〜3のハロゲン原子で置換されていてもよく、任意に1〜3個のヘテロ原子(ヘテロアリール部分におけるO、S、N、及び、アルカノイル部分における2〜10個の炭素原子から選択される、非置換かハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルフォニルオキシ、(C〜C)アルキル、及び(C〜C)アルコキシから成る群から選択された1〜3の置換基で置換されているヘテロアリールラジカルなどであり、それぞれが任意に更に、1〜3ハロゲン原子によって置換される)を有するヘテロアリールアルカノイルと置換されていてもよい。示されている基は例示的であり、網羅的ではなく、かつ、通常のプロセスによって調製し得る。
【0051】
プロドラッグは、それ自身は、重要な生物学的活性を有しないかもしれないが、その代わりに1つまたは複数の自発的な化学反応(S)、酵素触媒化学反応(S)、および/または代謝化学反応(S)、またはそれらの組み合わせにより、in vivoでの投与後に、本明細書に記載した生物学的に活性の、又は、生物学的に活性な化合物の前駆体を製造することが理解されている。また、プロドラッグはしばしば、多くの場合、改善された経口生物学的利用能を介して薬剤の有効性又は安全性を向上させるために役立ち得る(薬力学的半減期、等が挙げられる)と考えられている。プロドラッグは又、単に望ましくない薬のプロパティをマスクしたり、薬物送達を改善したりする基を含む、本明細書に記載の化合物の誘導体も示す。例えば、本明細書に記載の1つ又は複数の化合物は、有利にブロックまたは最小化されていることは、低い経口薬物吸収、サイトの特異性の欠如、化学的不安定性、毒性、患者への受け入れにくさ(悪い味、臭気、注射部位の痛みなど)などの、薬理学、医薬品、または臨床薬物アプリケーションにおける薬物動態の障壁になり得る、望ましくない特性を示し得る。プロドラッグまたは他の可逆的誘導体を用いたストラテジーは、薬剤の臨床応用の最適化に有用であり得ることが、本明細書中で理解されている。
実施例
【0052】
以下の実施例は、更に、本発明の特定の実施形態を説明するが、しかしながら、以下の例示的な実施例は、本発明を限定することであるためにいかなる方法においても解釈されるべきではない。
【0053】
実施例
CLA−S分離に対するin vivo活性の比較と同様に、CEM−101及びCLAの、MACから単離したCLA感受性(S)及び耐性(R)の両方に対する、in vitro活性の比較。
【0054】
クラリスロマイシンは、ジメチルスルホキシド(DMSO)に最終濃度1mg/mlで溶解した。CEM101は、最終濃度1mg/mlで、氷酢酸(溶解するまで付加する)と共に水に溶解した。CEM101は、フィルター0.22μm孔サイズのメンブレンフィルターを通過させることによってろ過滅菌した。全ての薬は、小分けして使用するまで−20℃で凍結した。
【0055】
単離
臨床分離株は、ニューヨーク州立大学アップステート医科大学、ATCC(マナッサス、VA)から得られたMAC101(ATCC700898)及びMACLPR(ATCC49601)から得られた。分離株は、10%のOADC(オレイン酸、アルブミン、デキストロース、カタラーゼ)エンリッチメント(BBL Microbiology Systems,Cockeysville, MD)及び0.05%Tween80で37℃で5〜10日間ロータリーシェイカー上で修飾された7H10液体培地(pH6.6、7H10寒天とマラカイトグリーンの寒天製剤は省略)で増殖させた。培養は、ml当たり10クレット単位(5×107コロニー形成単位(CFU)と同等)に希釈した(光電比色計; Manostat Corp., New York, NY)。培養は、使用するまで−70℃で凍結した。試験日に、培養は1.25×105 CFU / mlの最終濃度になるように解凍し、希釈した。最後の接種量は、滴定によって、デュプリケートで、10パーセントOADC濃縮(BBL微生物システム、カッキースヴィル、メリーランド州)を添加した7H10寒天プレート上で測定した。
【0056】
培養液希釈法
ポリスチレン96ウェル丸底マイクロタイタープレート(Corning Inc., Corning, NY)を、マルチチャンネル電子ピペッターを使用して、試験を行う薬剤の段階希釈液を使用して修飾した7H10培養液を50μL添加することによって調製した。各容器へ、適切なマイコバクテリアの細胞懸濁液50μlを、最終濃度約6×104CFU/mlを得るように添加した(試験を行った様々な分離株の範囲は、2.2×106CFU〜7.3×104CFU)。各薬剤をデュプリケートで試験した。マイクロタイタープレートをSealPlate接着封止膜(Excel Scientific, Wrightwood, CA)で覆い、読み取り前に5〜7日間、周囲の空気中で37℃で培養した。MICを、目に見える濁りを生じない抗菌剤の最低濃度として定義した。
【0057】
In vivo.マウス
生後6週、メス C57BL/6マウスを、Jackson Laboratories, Bar Harbor, MEから購入し、Syracuse VA Medical Center’s Veterinary Medical Unit, Syracuse, NY内に保管した。全ての動物の手順は、動物研究のための小委員会(SAS)によって承認された。マウスは、マイクロアイソレータケージ(lab products inc, Maywood, NJ)に収容し、水とげっ歯類の餌であるProlab RMH 3000を用いて維持した。
【0058】
薬剤
処置の日に、CLAを20%のエタノール中に溶解し、その後超音波処理を5分間行ったものを、0.2mlの容積で200mg/kgの濃度で投与した(実際のエタノール濃度は4%であった)。CEM101を、0.5%のメチルセルロースに溶解し、その後超音波処理を5分間行ったものを、200、100、50、又は25mg/kgの濃度で投与した。
【0059】
分離
マイコバクテリウム・アビウムLPR ATCC−49601を、10%OADC(オレイン酸、アルブミン、デキストロース、カタラーゼ)濃縮液(BBL Microbiology Systems, Cockeysville, MD)及び0.05%のTween80で修飾した7H10倍溶液(pH6.6、7H10寒天の寒天薬剤、マラカイトグリーンは省略)内で、ロータリーシェイカー上において37℃で5〜7日間培養した。培養は、ml当たり100クレット単位(5×108コロニー形成単位(CFU)に相当する)に希釈した(Photoelectric Colorimeter; Manostat Corp., New York, NY)。最後の接種量は、トリプリケートで、10%OADC濃縮を添加した7H10寒天培地上で、滴定によって測定した(BBL Microbiology Systems, Cockeysville, MD)。プレートは14日、37℃で、大気中で培養した。
【0060】
感染症研究
マウスを鼻腔内に、2.4×10CFUのマイクロバクテリウム・アビウムLPRに感染させた。マウスを無作為に6匹のマウスの7つのグループに割り当てた。初期対照(EC)、後期対照(LC)、CLA200mg/kg、CEM−101 200mg/kg、CEM−101 100mg/kg、CEM−101 50mg/kg、CEM−101 25mg/kg。感染後1週間のマウスを上記の薬剤で経口的に、4週間の間、5日/週、0.2mlの容積で強制投与した。EC群は、感染の負荷を決定するために治療の開始時に安楽死させた。LC群は、治療せず感染症のレベルを決定するために治療の終了時に安楽死させた。マウスは、治療の完了後にCO吸入により屠殺した。右肺と脾臓を無菌的に取り出し、密封された組織ホモジナイザー(IdeaWorks! Laboratory Devices, Syracuse, NY)で粉砕した。生菌数は、7H10寒天プレート上で、希釈して滴定によって測定した。プレートはカウント前の14日間、周囲の空気中で37℃で培養した。
【0061】
統計的評価
生存細胞数をlog10に変換し、ANOVAによって評価した。事後解析を、Tukey の多重比較試験(Tukey’s Multiple Comparisons Test)を用いて行った。統計学的有意差は0.05未満のP値が受け入れられた。
【0062】
CEM−101についてのMIC範囲が0.125〜16μg/mlである一方、CLAに対するCLA−S株についてのMICの範囲は、0.125〜8μg/mlであった。CEM−101についての範囲が8〜16μg/mlである一方、CLA−R分離株に対するCLAのMICの範囲は、32〜128μg/mlであった。MAC LPRは、対照株であった。
【表1】

【0063】
4週間の治療期間中にわたって未処理マウスの脾臓と肺のMAC LRPの成長の有意な増加があった(p<0.05)。脾臓および肺のMAC LPRの成長の削減は、対照と比較して(p<0.05)、200mg/kgでCLAを受けたマウス、及び200、100、及び50mg/kgでCEM101を受けたマウスについて有意であったが、25mg/kgでのCEM101については有意ではなかった。MAC LPRのCFUの減少は200mg/kgでCLAを受けた群と比較して、CEM−101を200mg/kgで摂取したマウスの脾臓と肺の両方において大きかったが、それは十分に有意ではなかった(p>0.05)。脾臓と肺の両方で観察されたCEM−101の用量反応があった(図1及び図2)。
【0064】
CEM101は、CLA−R及びCLA−SMAC分離株の両方に対するin vitro活性のタンパク質を有していた。CEM101についてのMICsの範囲は、抵抗性および感受性系統間の活性を比較するときに変更しなかった。CEM−101はまた、マイコバクテリウム・アビウム感染マウスモデルにおいて、CLA−S−M.アビウム株MAC LPRに対するタンパク質のin vivo活性がCLAよりも僅かに良かった。標準モデルは、CLAとCEM−101の抗マイコバクテリア活性を試験するために利用した(これは、週末2日間の治療の中断を含む)。
実施例
CEM−101は、マイコバクテリウム・アビウムに対して殺菌性であり、らい菌に対して非常に活性である。
【表2】

【0065】
実施例
CEM101は、マイコバクテリウム・アビウムに対するタンパク質活性を示し、コンパレータのマクロライド系が以前より低い活性を有することが報告されているマクロライド耐性株を含む(≧4倍、CEM−101よりも少ない活性)(表7)。CEM101は、試験を行った全ての株に対して、2μg/mLのMBCを用いて、マイコバクテリウム・アビウムについて殺菌性である。
【表3】

CEM101は、マクロライド耐性のマイコバクテリウム・アビウムを含む、マイコバクテリウム・アビウムに対する、タンパク質活性を示した。他のマクロライド及びケトライドについて公開されたデータは、CEM−101の研究において観察されたものよりも、有意に低い活性であり(≧4倍未満)、これらの薬剤は、クラリスロマイシン及びアジスロマイシン耐性分離株に対して活性ではなかったと報告している(Bermudez 2007; Cynamon 2000)。更に、CEM−101は、試験を行った濃度において(MBC 2 μg/mL)、マイコバクテリウム・アビウムについて殺菌性を示した(表4)。これは、マクロライド系、テリスロマイシン、またはセスロマイシンについての有意な殺菌活性の欠如とは対照的である(Bermudez 2001)。
In vivo研究は、マクロライド感受性株MAC−101に感染したマウスで進行中である。
【表4】

MBCは、耐性株のうちの4つについて計算した。
【0066】
実施例
ヒト型結核菌(試験をした最高濃度 50μg/mL)の臨床XDR株に対するCEM−101のMIC値(μg/ mL)
【表5】

MICは完全に全ての可視成長を防止する濃度として解釈する。MICプレートは、特定の成長の遅い株(OB062、OB019、及びOB081)のために、2週間の成長の後に、再読み取りを行った。幾つかのMICもまた、細胞全体の数に依存していた。株OB031は、当初0.049μg/mLのMICを有していたが、1週間後(細胞数の増加に伴って)、0.78〜1.56μg/mLへ変化した。
【0067】
CEM−101はまた、感染したマクロファージに対して試験を行い、マクロファージの内部で成長したMTbに対して、非常に効果的であった。マクロファージ内部のMTbに対する活性は、様々な時点で、感染処理した細胞から放出されるMTBでATPの読み出しに基づいており、生育を可能にし、1μg/mL CEM−101を用いて処理した細胞のATPにおいて、10倍減少した。
【0068】
実施例
複製細菌に対するin vitroの2つの実験で、CEM−101は結核菌に対するクラリスロマイシンよりも活性であった。CEM−101は、ヒト型結核菌及び複製ヒト型結核菌に対して活性である。CEM−101は、非複製ヒト型結核菌に対して、有意により活性であった。
【表6】

【0069】
MABA:マイクロプレートアラマーブルーアッセイAero RLU:好気的条件下での相対的なライトユニット、LORA:低酸素回復アッセイ(嫌気性)。クラリスロマイシンLORAは、通常>128μM。
【0070】
実施例
CEM−101は、クリンダマイシンとは異なり、ネズミマラリア原虫に対する活性を試験し、その際にマウスを試験のために屠殺した、マウスマラリアの感染モデルでは治癒と判断された。通常マクロライド(テリスロマイシンを含む(MABA MIC 128μg/mL))は、ヒト型結核菌に対して、低い活性絵を有すると報告されている。カリスロマイシンは、in vitroでは弱く(MABA MIC8μg/mL)、in vivoでは活性であり、治療の選択肢が限られている多剤耐性結核菌で使用されている。セスロマイシン(MABA MIC4μg/mL)は、3週間の1日1回の100mg/kgを用いた治療の後の、マウスの肺におけるCFUの有意な削減に失敗した(Zhu2008)。CEM−101は、複製ヒト型結核菌に対してより活性であり、カリスロマイシンと比較すると(表3)、非複製ヒト型結核菌に対しては、より大きな差を有していた(LORA)。
【0071】
実施例
in vivoのCEM−101活性。CEM−101は、熱帯熱マラリア原虫に対する、様々な、ゆっくりとした殺菌性を、72時間のアッセイ、及び120時間のアッセイの両方において、製造した。
【表7】

【表8】

【0072】
マウスにおけるIn vitroの抗マラリア活性は、Pスポロゾイト株ANKAに静脈投与で感染したマウスにおいて、実証した。対照マウスは、感染から平均4日間生存した。
【0073】
実施例
感染したマウスにおけるCEM−101活性。In vivoの抗マラリア活性を、Pスポロゾイト株ANKAに静脈投与で感染したマウスにおいて、実証した。対照マウスは、感染から平均4日間生存した。4×100mg/kgでのCEM−101治療では、治癒という結果になり、これは、30日において検出可能な生存している原虫がいなかったことで、画定した。同じ投与におけるクリンダマイシンでは、15日までのみ、生存率が増加する結果となった。同じ経口投与を行った(4×100mg/kg)このマウスマラリアモデルにおけるアーテスネートは、治癒という結果になった。
【表9】

【0074】
a.生存マウスは、原虫の有無を決定するために31日目に屠殺した。
【0075】
CEM−101で処置を行った動物からの血液は、原虫が居ないことが観察され、一方、以下の表に示されている通り、アジスロマイシンで処置を行った動物からの血液については観察されていない。
【表10】

【0076】
実施例
予防としてのCEM−101活性。マウスに蚊からのネズミマラリア原虫ANKAスポロゾイドを1ml、100,000を備えるIVを接種した。薬剤は、−1、0、及び1日目に、3日間1日に1回投与した。
【表11】

【表12】

【0077】
CEM−101は、遅延死効果を実証する阻害剤の効力を測定する延長した培養アッセイにおいて、熱帯性マラリア原虫に対してin vitroで活性である。CEM−101はまた、マウスマラリア原虫感染マウスの血液段階に対して活性である。
【0078】
CEM−101の用量−反応は、血液の段階の治療及び3日POまたはSC投与を用いた原因予防ネズミマラリア原虫感染マウスモデルの両方で特徴付けられた。効果は、遅延した原虫を有するマウス及び、31日でマラリアにかかっていなかったマウスの数によって測定した。抗マラリア肝臓ステージ活性は、in vivoイメージングシステムを使用して、ネズミマラリア原虫寄生虫を発現しているルシフェラーゼに感染したマウスで評価した。
【0079】
血液ステージ感染症について、最低限の治療のSC用量は、40mg/kg/日×3日であり、一方、POルートの最小活性は80mg/kg/日×3であった。ネズミマラリア原虫原因マウスモデルでは、CEM−101はSC又はPO投与を用いて、40mg/kg/日×3日で治癒可能であった。全身毒性は、SC又はPOの160mg/kg/日×3日間と同じ程度の容量では観察されなかった。40mg/kg/日×3日PO投与を行うと、ルシフェラーゼ発現ネズミマラリア原虫の肝臓ステージ原虫に対して全く実証できない抗マラリアの活性は、in vivoイメージング解析では見られなかった。肝臓ステージ寄生虫に対する薬活性は、in vivoイメージングによって測定することができなかったが、血液ステージ感染が、40mg/kg/日×3日と同じ程度の低さで投与したマウスで検出されず、最低活性投与は、20mg/kg/に×3日であった。
【0080】
CEM−101は、40mg/kg/日×3日PO投与の原因マウスマラリアモデルで100%の予防活性を示しており、20mg/kg/日×3日では、3/5のマウスについて原虫がいなかった。肝臓ステージの患者のin vivoイメージング分析は、40mg/kg/日×3日では、原虫の成長に影響を与えないことを示している。in vitro血液ステージ薬剤アッセイ及びこのクラスの化合物の阻害機構に基づいて、より高いCEM−101の投与は、実証可能な肝臓ステージ活性を示し得ることを示している。これらの結果は、CEM−101は、死を遅延させる効果を実証し、即ち、進行中の肝臓ステージメロゾイドは、効果的に、非生存可能な血液ステージの寄生虫である。
【0081】
データは、本明細書に記載の化合物は、三日熱マラリア原虫、及び/又は、熱帯熱マラリア原虫の耐性株を含む、およびアジスロマイシンに耐性株を含むマラリアの予防及び治療に有用であると示している。データは又、本明細書に記載の化合物が、スポロゾイト、トロフォゾイト、メロゾイト、ヒプノゾイドの内の1つ又は複数に対して有用であり得、これはアピコプラスト及びミトコンドリア内にリボソームを有することが報告されている。理論に束縛されることなく、本明細書に記載の活性は、少なくとも部分的に本明細書に記載の化合物の低いpHで観察された活性において、生じ得ると、本明細書において考えられている。また、本明細書に記載の活性は、少なくとも部分的に本明細書に記載の化合物の観察された細胞内の活性を生じ得ると、本明細書において考えられている。
【0082】
実施例 マラリア原虫の異なる種に対しての、in vivo及びin vitro活性
CEM−101を、株NF544の非同期株由来の熱帯熱マラリア原虫の赤血球形状内に対して試験を行った。120時間にわたる寄生虫の成長を、薬剤培養の96時間後で、且つ、試験の終了の24時間前に添加した、放射性標識[3 H]ヒポキサンチンの取り込み(ヒポキサンチンフリー培地内で)によって測定した。CEM−101は、120時間続いた。他の薬剤と比較した場合、CEM−101は、活性を遅らせた。
【表13】

【表14】

【0083】
実施例
CEM−101は、Vennerstrom et al. Nature 430(7002):900−904 (2004)によって記載されたようなマウスネズミマラリア原虫モデルにおいて試験し、その開示は本明細書に参照によって組み込む。データは、CEM−101がマウスモデルにおいて、アーテスネートと同等の活性を有していること示す。データは、CEM−101がそのモデルにおいてマウスのマラリアについて治癒することを示す。
【表15】

* %活性は、試験群%に対する非処置の対照群の平均感染率の差である。
【表16】

【0084】
実施例 CEM−101はAzi耐性株に対して試験をした際に活性である(Fidok)。
【表17】

【0085】
実施例 心臓内のCEM−101及びクラリスロマイシン濃度
猿における14日間の毎日の投与の後、CME−101は、クラリスロマイシンよりも心臓内において有意に低いレベルを示した。
【0086】
実施例 肺内のCEM−101、テリスロマイシン及びクラリスロマイシンレベル
猿における14日間の毎日の投与の後、CME−101は、クラリスロマイシン及びテリスロマイシンよりも肺内において有意に高いレベルを示した。
【0087】
実施例 CEM−101の細胞内活性
アリスロマイシン、テリスロマイシン及びクラリスロマイシンと比較して、CEM−101は、有意に高い細胞内蓄積を示した。24時間後、CME−101の細胞内濃度は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、及びテリスロマイシンのいずれよりも2倍以上高く、細胞内蓄積の能力の高い順になっていた。CEM−101の細胞内蓄積は、用量に依存していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス、ヒト型結核菌、ノカルジア、プラスモディウム・ファルシウム、またはネズミマラリア原虫感染症に罹患している患者を治療するための方法であって、前記方法が、式
【化1】

の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を具備する、治療上有効な量の組成物を前記患者に投与するステップを含み、
式中、
10は、水素原子又はプロドラッグ基であり;
XはHであり、YはORであり、Rは単糖類または二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル−、又は−C(O)−NRであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、若しくは、X及びYはカルボニルを形成するために、炭素と共に結合され;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR12,R13)−、又は−N(R14)CHであり、N(R14)は、C−10炭素に結合し、R11はヒドロキシ基又はアルコキシ基であり、R12及びR13は、それぞれ独立的に、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、R14は水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイルであり;
WはH、F、Cl、Br、I又はOHであり、
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)NHS(O)−であり、
Bは、−(CH−(nは、0〜10の範囲の整数)、又はBは、2〜10の炭素数の不飽和炭素鎖であり、
Cは、水素、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイル、又はアルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アミノアリール、アミノヘテロアリール、又はアルキルアミノアリールであり、それぞれは任意に置換されていてもよい、
方法。
【請求項2】
マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス、ヒト型結核菌、ノカルジア、プラスモディウム・ファルシウム、またはネズミマラリア原虫感染症に罹患している患者を治療するための医薬製剤であって、前記製剤は、治療上有効な量の、式
【化2】

の化合物、又は薬学的に許容可能なその塩を具備し、
式中、
10は、水素原子又はプロドラッグ基であり;
XはHであり、YはORであり、Rは単糖類または二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル−、又は−C(O)−NRであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、若しくは、X及びYはカルボニルを形成するために、炭素と共に結合され;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR12,R13)−、又は−N(R14)CHであり、N(R14)は、C−10炭素に結合し、R11はヒドロキシ基又はアルコキシ基であり、R12及びR13は、それぞれ独立的に、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、及びカルバモイルから成る群から選択され、R14は水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイルであり;
WはH、F、Cl、Br、I又はOHであり、
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)NHS(O)−であり、
Bは、−(CH−(nは、0〜10の範囲の整数)、又はBは、2〜10の炭素数の不飽和炭素鎖であり、
Cは、水素、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、スルホニル、ウレイド、又はカルバモイル、又はアルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アミノアリール、アミノヘテロアリール、又はアルキルアミノアリールであり、それぞれは任意に置換されていてもよい、
製剤。
【請求項3】
前記Rがアミノ糖又はハロ糖である、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項4】
前記Rが4−ニトロフェニルアセチル又は、2−ピリジルアセチルである、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項5】
前記Bが−(CH−であり、前記nは3〜5の整数である、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項6】
前記WがFである、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項7】
前記疾患が結核又はマラリアである、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項8】
前記患者がヒトである、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項9】
前記患者がヒトであり、免疫不全である、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。
【請求項10】
前記化合物は、CEM−101又は薬学的に許容可能なその塩である、請求項1又は請求項2に記載の方法又は製剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−504596(P2013−504596A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528953(P2012−528953)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/048540
【国際公開番号】WO2011/032052
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(511100970)センプラ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】