マラリア初回免疫/追加免疫ワクチン
本発明は、熱帯熱マラリア原虫由来の抗原をコードする核酸を宿す低中和組換えアデノウイルスベクター及び適切なアジュバントとの関連でRTS,Sのような精製組換えタンパク質ワクチンを用いる特定の初回免疫/追加免疫の処方計画を利用する新規なワクチンの処方計画に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野に関する。具体的には、本発明は、アジュバントとの関連で組換え技術によって製造されたアデノウイルスベクター及び精製タンパク質を用いる熱帯熱マラリアの予防用の新規初回免疫/追加免疫ワクチン戦略に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアはこれまで世界中の熱帯及び亜熱帯地域において最も流行している感染症の一つである。マラリア感染は、発展途上国及び新興国において一年あたり2700万に及ぶ人々の命を奪っている。マラリアの広範な発生及び罹患率の上昇は薬剤耐性寄生虫及び殺虫剤耐性寄生虫ベクターの数が増加した結果である。他の要因としては、環境及び気候の変化、内紛及び人々の移動の増加が挙げられる。
【0003】
マラリアは、蚊によって運ばれるプラスモジウム属に属する住血原虫である寄生虫によって引き起こされる。プラスモジウム原虫の4つの種(P.ファルシパラム、P.ビバックス、P.オバール及びP.マラリアエ(P.falciparum, P.vivax, P.ovale and P.malariae))はヒトの疾病に関与する。P.ヨエリ及びP.バーゲイ(P.yoelii and P.berghei)のような他の多くは動物内で疾病を引き起こす。P.ファルシパラムはヒトにおいて多くの感染症の原因となり、また最も致死率が高い型である。マラリア原虫は4つの別々の段階からなるライフサイクルを持つ。これら段階のそれぞれが寄生虫及びこれに伴って生じる段階に特異的な抗原に対する特定の免疫応答を誘導できるが、自然に誘導されたマラリアは再感染を予防しない。
【0004】
マラリア原虫は、数種類のメスのハマダラカによってヒトに伝染する。感染した蚊は、スポロゾイト形態のマラリア原虫を哺乳動物の血流中に注入する。スポロゾイトは、肝細胞を侵す前数分間は血流中にとどまる。この段階において、寄生虫が細胞外環境に位置し、スポロゾイト表面の主成分であるスポロゾイト周囲(CS)タンパク質を主に対象にする抗体による攻撃にさらされる。一度肝臓に入ると、寄生虫は複製し、スキゾントになる。この段階の間に、侵入した寄生虫は無性増殖し、感染細胞当たり20,000に至る娘メロゾイトを産出する。寄生虫の細胞内段階の間において、宿主の免疫応答の主たる演者はT−リンパ細胞、特にCD8+Tリンパ球である(ロメロ等、1989年)。肝臓への感染の約一週間後、数千のメロゾイトが血流中に放出され、赤血球(RBC’s)に侵入し、抗体を介した免疫応答及びT細胞分泌サイトカインの標的となる。赤血球に侵入した後、メロゾイトは数段階の複製を受けて栄養型及びスキゾントに変態し、引き続き新規RBC’sに感染する新世代のメロゾイトを生み出す。この赤血球段階は顕在的な臨床疾患に関連する。栄養型の数がより少ないと、寄生虫の有性生殖段階であるオス又はメスの生殖母細胞に分化する。感染性の蚊が生殖母細胞を取り込んだ場合、これら配偶子の受精は接合体形成、及びその後のオーキネート、次にオーシスト、最後にスポロゾイトに形質転換し、これは唾液腺に移動し生活環を完了する。
【0005】
寄生虫の生体内への侵入によって生じる病原体特異的免疫応答の2つの主たる機関は細胞性及び体液性のものである。一機関である細胞応答は、免疫応答に関与するCD8+及びCD4+T細胞に関する。細胞障害性Tリンパ球(CTL’s)はCD8を発現しており、その表面に病原性抗原を発現している感染細胞を特異的に殺すことができる。CD4+T細胞又はヘルパーT細胞は、CTL’sの分化を援助し、種々のサイトカインを産生し、またB細胞を誘導して分裂すること及び抗原に特異的な抗体を産生することを助ける。体液性反応の間に、特定の抗原に対して特異的なB細胞が活性化され、複製され分化し、また抗原特異的な抗体を産生する。
【0006】
両機関の免疫応答はマラリア感染に対する防御に関連する。感染性のスポロゾイトが肝臓に移動し肝細胞に侵入する場合、スポロゾイトは短時間感染細胞外で過ごしてから細胞内病原体となる。この段階では、CD8+T細胞及びCD4+T細胞が特に重要である。その理由は、これらT細胞及びこれらの生成するインターフェロンγ(INF−γ)のようなサイトカインが感染した宿主肝細胞を殺すことに寄与するからである。マウスのマラリアモデルにおける肝臓の細胞内寄生虫の除去は、肝臓段階の寄生虫により発現したペプチドに対するCD8+T細胞の応答に依存することが見出されている(ホフマン及びドーラン著、2000年)。CD8+T細胞の減少はスポロゾイトの攻撃に対する防御を阻害し、また未感染動物に対するCD8+T細胞の養子免疫伝達は防御を提供する。
【0007】
マラリア感染がRBCs中でメロゾイトが複製する赤血球段階に及ぶ場合、メロゾイトが血流中で自由に循環するのがまた見出されている。赤血球はT細胞との同種の相互作用に必要なクラスI又はクラスIIのMHC分子の何れかを発現しないので、抗体反応がこの段階で最も適切であると思われる。結論として、寄生虫がヒトの体内で発生する種々の段階に対処するために、強力な体液性免疫応答と同様に強力な細胞性免疫応答を誘導するのであれば、実現可能なマラリアワクチンへの取り組みが最も有益であろう。
【0008】
マラリアワクチン開発の最近の取り組みは、上記のような寄生虫の種々の分化の段階によって分類できる。実現可能なワクチンの3つのタイプを区別することができる。
−スポロゾイト及び/又はスキゾント感染肝細胞に対する赤血球外型ワクチン。歴史的に、この取り組みは(CS)に基づく方法が主流であった。感染の赤外段階は無症候性であるので、赤外型ワクチンが体液性及び細胞性免疫応答を介して感染自体を防ぐこと、及びマラリアの潜伏感染を完全に防ぐことが理想的である。
−感染したRBC又はメロゾイト自身の何れかに対するもので、臨床的悪性度を最小化するように設計された無性血液期ワクチン。かかるワクチンは、罹患率及び致死率を減少させるであろうし、また寄生虫の赤血球への侵入及び/又は分化を予防することを意味するであろう。
−宿主の蚊において寄生虫の分化を阻害するように設計した移動阻害ワクチン。この型のワクチンは、人々に広がったマラリア感染率を減少させるのに有利であろう。
【0009】
最後に、寄生虫生活環の多くの段階を標的にする混合マラリアワクチンを開発する実現可能性については、いわゆる多成分及び/又は多段階ワクチンによって追求されている。
【0010】
マラリアに対するワクチンの開発は30年以上前に始められているが、これまでのところマラリアに対して利用可能な市販のワクチンがない。放射線で減衰したスポロゾイトによる齧歯動物、非ヒトの霊長類及びヒトの免疫は、生育可能なスポロゾイトによるその後の攻撃に対する保護を付与する(ヌッセンツワイグ等、1967年;クライド等、1973年)。しかしながら、この放射線照射したスポロゾイトの製造用の費用及び実現可能な大規模培養系がないことが、これまでのところこのワクチンの広範な適用を妨げている(ルーク等、2003年)。
【0011】
今までのところ、ヒトに試験した最も見込みのあるワクチンの候補は、少数のスポロゾイト表面抗原に基づくものであった。CSタンパク質は、蚊によって運ばれる感染症のヒトに対する能動免疫法の原理に基づいて使用された際に、しばしば不十分なレベルであるが、マラリアを絶えず予防することが立証された唯一のP.パルシパラムの抗原である。理論分析は、ワクチン効率と同様にワクチンの被覆率が85%以上であるべきことを示し、さもなければ毒性の強い突然変異体が流行地を脱出し得ることを示していた(ゴードン等、2001年)。
【0012】
哺乳動物の免疫応答を誘導する一つの方法は、そのゲノム中で抗原をコードする核酸を宿す感染性ベクターを投与することである。こうしたキャリアの一つは、E1領域のような通常複製に必須であるゲノム中の領域を除去することによって複製欠損にした組換えアデノウイルスである。抗原をコードしている遺伝子を含む組換えアデノウイルスの例は当業者に既知である(国際公開第96/39178号)。例えば、HIV由来の抗原成分は、組換えアデノウイルスで送達した場合免疫応答を生じることが証明されている(国際公開第01/02607;国際公開第02/22080号;米国特許第6,733,993号)。哺乳動物において、組換えアデノウイルスに基づくワクチンが開発されている。これらのベクターは、マウスマラリアモデルの一つであるP.ヨエリ(P.yoelii)のCSタンパク質全長を発現し、これらのベクターは単一免疫量の応答によりマウス中でウイルス感染自体を防御する免疫(sterile immunity)を誘導できることを示した(ブルナ−ロメロ等、2001年)。CD8+T細胞は、このアデノウイルスで誘導された防御を主として仲介することが証明されている。
【0013】
個人の多くの割合がアデノウイルス抗原型5(Ad5)のような一般に使用されるアデノウイルスベクターに対して前もって免疫を有しているので、組換え複製欠損アデノウイルスが、わずかな割合の健常人においてのみ中和抗体の形態で前もって存在する免疫に遭遇する抗原型に基づくことを特徴とする新技術が当業者によって開発されている。これら抗原型を一般に低中和抗原型、又は希少抗原型と称する。Ad11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50が特に有用であることが分かっている(国際特許第00/70071号、国際特許第02/40665号、国際特許第2004/037294号、国際特許第2004/083418号、ボーゲル等、2003年)。
【0014】
P.ファルシパラムのCSタンパク質を発現するプラスミドを含むDNAに基づくワクチンが、ビカル(Vical)社、サンディアゴ、カルフォルニア、米国、及びナーバルメディカルリサーチセンター(Naval Medical Research Center)によって開発された(ホルン等、1995年)。マウスモデルにおける研究は、プラスミドDNA免疫後の抗原特異的なCTL及び抗体反応の誘導を証明した(ドーラン等、1998年)。しかしながら、これまでのところDNAワクチンの単独使用は、ヒトの防御免疫応答の誘導に関して次善の策であることが証明されている。DNAワクチンを用いると、空気乾燥スポロゾイトに対する間接蛍光抗体試験(IFAT)及び組換え合成ペプチドに対するイライザ法で評価されているように(ワン等、2001年)、CTL応答は顕著であるにもかかわらず、予防接種志願者はCSタンパク質に対する抗体を発現しないことが見出されている。
【0015】
一方、 RTS,S(精製タンパク質)マラリアワクチンによる取り組み(ゴードン等、1995年、米国特許第6,306,625号、国際公開第93/10152号)は、Th1型の体液性及び細胞性免疫の強力な誘導剤であるけれども、CSタンパク質に対する強い抗体反応を誘導できる(ケスター等、2001年、ストート等、1997年及び1998年)。このワクチンが受容者の約半数を繰り返し保護することが最も重要なことである。しかしながら、RTSによって誘導される保護は持続期間が短い(ストート等、1998年)。RTS,Sによる免疫は抗CS抗体及びCD4+T細胞依存的IFN−γの応答を誘導するが、CD8+T細胞依存的CTL又はIFN−γの応答は弱い(ラルバニ等、1999年)。しかしながら、生成するこれらごく少量のCD8+反応は、臨床試験における予防に関連することが証明されてきている(サン等、2003年)。従って、合理的な改良は、RTS,Sによって誘導されるCSに対するCD8+T細胞の応答の誘導の増強に集中するであろう。
【0016】
少なくとも85%の予防効果を有する熱帯熱マラリアワクチンの開発するという課題はまだ達成されていない。この課題は、はしか及び天然痘のようなしばしば致死的である他の疾患と異なり、マラリアの事前露曝及び自然免疫の発達がその後のマラリア感染を予防しないため特に困難である。最近試験された全てのワクチンの候補及びワクチンの送達方法の中で、RTS,Sのみが、あるレベルの持続的な予防性を有する。他の試験された候補は、免疫原性が不十分であるか、又は免疫原性であるが予防性がないかの何れかであった。本願は、組み換え体の複製欠損アデノウイルスベクターによって提供される細胞反応の優れた誘導性を有し、タンパク質/アジュバント法の最適な血清学上の免疫原性を生かすように設計したワクチン処方物の有利な組み合わせについて記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸をからなる適当な賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、好ましくはマラリアを引き起こす寄生虫由来のアジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とする。好ましいタンパク質性抗原はRTS.Sからなる。前記マラリアを引き起こす寄生虫は熱帯熱マラリア原虫であることが好ましい。
【0018】
他の実施態様において、本発明は、熱帯熱マラリア原虫ようなマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスと、好ましくは該マラリアを引き起こす寄生虫由来であるアジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用の薬剤の製造への使用に関し、該組換えアデノウイルスが類人猿アデノウイルス若しくは、ヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49又は50であることを特徴とする。
【0019】
本発明は、ある種の好ましい初回免疫−追加免疫の処方計画を開示し、この場合複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用するのが好ましい。
【0020】
また、本発明は、哺乳動物にマラリア感染に対する予防接種をする方法に関し、該哺乳動物をアデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸をからなる適当な賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで初回免疫するステップと、前記哺乳動物をアジュバント化タンパク質性抗原、好ましくはRTS,Sで追加免疫するステップとを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸からなる製薬学上望ましい賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、アジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とする。該組換えアデノウイルスはヒトアデノウイルスの抗原型35であることが好ましい。また、本発明のキットは、前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることが好ましい。該タンパク質性抗原は、HbsAgを具えるリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HbsAg)の表面抗原と融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることが好ましい。更に好ましい実施態様において、タンパク質性抗原はRTS,Sからなる。また、タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLで、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でアジュバント化するのが好ましい。
【0022】
種々の寄生虫がヒトにマラリアを引き起こすことが当業界で既知であるけれども、本発明の一つの実施態様は、前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする本発明によるパーツのキットである。
【0023】
適切な免疫応答のために、前記異種性の核酸は、哺乳動物、特にヒトにおいてコードされているタンパク質の生成を上昇させるためにコドンが最適化されていることが好ましい。組換えアデノウイルスはアジュバントとの混合物中に存在していてもよい。
【0024】
ヒト遺伝子治療又はワクチン接種への使用に対する類人猿のアデノウイルスの適用について、当業者はよく理解している。これに加えて、イヌ科及びウシ科のアデノウイルスのような他の非ヒトアデノウイルスがインビトロで人に感染することが見出され、従ってヒトサンプルにおける血清陽性率が低いためにヒトへの使用に適用可能でもある。従って、また本発明は、アデノウイルスはコドンを最適化した熱帯熱マラリア原虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸からなる製薬学上適合する賦型剤中の複製欠損組み換え類人猿、イヌ科又はウシ科のアデノウイルスと、RTS,Sからなるアジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、この場合前記タンパク質性抗原を含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLでアジュバント化することが好ましい。
【0025】
開示したパーツのキットの種々の成分を特定の順で投与した場合、免疫応答に関する思いがけない、また飛躍的な結果をもたらすある種の初回免疫−追加免疫の処方計画を本発明により開示する。従って、本発明は、前記複製欠損組換えアデノウイルスが初回免疫配合物で、また前記アジュバント化タンパク質性抗原が追加免疫配合物であることを特徴とする本発明によるパーツのキットにも関する。ワクチンの単回投与(初回免疫)により誘発された免疫応答は、しばしば効果的に及び/又は持続的に有効保護を提供するためには十分ではない。繰り返し投与(追加投与)は、ワクチン抗原(例えば、エストコート等、2002年を見ること)に対する体液性及び細胞性の応答を著しく増強できる。
【0026】
また、本発明は、において、本発明は、マラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスと、アジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用の薬剤の製造への使用に関し、この場合前記組換えアデノウイルスが類人猿、イヌ科、ウシ科アデノウイルス又はヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49もしくは50であることを特徴とし、ここで前記複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、前記アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用することが好ましい。本発明の1つの実施態様によれば、前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫、好ましくは熱帯熱マラリア原虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントであることを特徴とする本発明の使用に関する。前記タンパク質性抗原は、HbsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HbsAg)由来の表面抗原と融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなるのが好ましい。RTS,Sは好ましいアジュバント化タンパク質性抗原であり、また好ましいアジュバントは、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLである。
【0027】
哺乳動物、好ましくはヒトにおける最適の発現に続く最適の免疫応答に対しては、本発明で使用する異種性の核酸を、哺乳動物、好ましくはヒトにおいてコードしているタンパク質の生成を増加させるためにコドンを最適化している。
【0028】
他の実施態様において、本発明は、前記哺乳動物をマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで初回免疫するステップと、前記哺乳動物をHbsAgとのリポタンパク質粒子の形態でHbsAgに融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなるアジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫するステップとを備えるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法に関する。タンパク質性抗原はRTS,Sからなることが好ましく、アジュバントは、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLであることが好ましく、一方、マラリアを引き起こす寄生虫は熱帯熱マラリア原虫であることが好ましい。
【0029】
組換えアデノウイルスを産生するのに用い、かつ本発明の方法に用いるのに好ましいアデノウイルスは、組み換えウイルスを投与すべき宿主(ヒト)において前もって存在する免疫に遭遇しないアデノウイルスを使用することが非常に好ましいので、類人猿、イヌ科又はウシ科アデノウイルスのようなヒト又は非ヒトのアデノウイルスとすることができる。サルアデノウイルス及びヒトアデノウイルスのある種の抗原型が、ここに開示されているとおり、この目的に非常に適している。本発明の方法、使用及びパーツのキットに使用するのに好ましいヒトアデノウイルスは、ヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、44、48、49及び50である。
【0030】
更に、本発明は、本発明によるパーツのキットを用いるマラリア感染のための哺乳動物の予防接種の方法に関する。本発明のパーツのキットを、ここに開示した好ましい初回免疫−追加免疫の処方計画を用いて哺乳動物のマラリア感染に対する予防接種に使用した場合、追加免疫はその後に1回以上の追加免疫を続けることが好ましい。
【0031】
本発明は、組み換えアデノウイルスの少なくとも一つのマラリア抗原のキャリアとしての使用、及び初回免疫/追加免疫の処方計画における1つのアジュバント化タンパク質との異種性の組み合わせでの使用に関する。意外にも、異種性の初回免疫/追加免疫の処方計画におけるウイルスベクターとアジュバント化タンパク質との組み合わせが、霊長類における初期T細胞の応答及び免疫応答の寿命の観点で優れた免疫応答をもたらすことを見出した。特に、抗原をコードする核酸を担持するウイルスベクターで哺乳動物を初回免疫し、次いで単回又は複数回の何れかでタンパク質性抗原を注射することにより追加免疫すると、定性及び/又は定量的な免疫応答の観点で優れた結果をもたらすことを見出した。好ましいウイルスベクターは、アデノウイルスベクターであり、ヒトアデノウイルスベクターが更に好ましく、投与された哺乳動物宿主において低レベルの中和活性をもたらすヒトアデノウイルスベクターがまた更に好ましい。非常に好ましい抗原型はアデノウイルス11、24、26、34、35、44、48、49及び50である。
【0032】
1つの好ましい実施態様によれば、タンパク質性抗原及びウイルスベクターがコードしている抗原はマラリア抗原であり、更に好ましくは熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質、又はその免疫原性の誘導体及び/又はフラグメントである。この考え方の一例として、ウイルスベクターがコードしているポリペプチドはN末端部分、中央部繰り返し領域、及びC末端部分(14個の最末端のC末端アミノ酸、すなわちGPIアンカー配列の欠失を有する)を含むP.ファルシパラムのCSタンパク質をコードする核酸からなり、タンパク質性抗原はN末端領域を欠失したRTS,Sのコンストラクトからなる。
【0033】
本発明のいくつかの又は全ての態様において使用するためのアジュバント化タンパク質性抗原は、P.ファルシパラム由来のCSタンパク質、又はその免疫原性フラグメントを含んでもよく、これは融合タンパク質の形態でもよい。例えば、抗原はB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原と融合したCSタンパク質又は免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質とすることができ、該ハイブリッドタンパク質は原核生物又は真核生物の宿主に発現させてもよく、又リポタンパク粒子の形態を取ってもよい。融合タンパク質は、例えばCSタンパク質の実質的にすべてのC末端部分、すなわち免疫優性領域の4以上のタンデムリピート及びB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原を含んでもよい。例えば、ハイブリッドタンパク質はCSタンパク質のC末端部分と実質的に相同な少なくとも160アミノ酸を含む配列からなり、CSタンパク質のC末端由来の末端アミノ酸、例えば最後の10−12アミノ酸を欠いてもよい。ハイブリッドタンパク質は、例えばHBsAgとの混合リポタンパク粒子の形態でもよい。
【0034】
特に、“RTS*”と表示されているが、本願では“RTS”と言及している国際公開第93/10152号で開示されているようなハイブリッドタンパク質を提供するが、これは本願でRTS,Sと示しているHBsAgとの混合リポタンパク粒子の形態でもよい。混合粒子中のハイブリッドタンパク質:S抗原の比率は例えば1:4である。
【0035】
本願で“RTS”と表すハイブリッドタンパク質は、P.ファルシパラムNF54(クローン 3D7;カスパース等、1989年)由来のCSタンパク質遺伝子配列を用いて生成し、P.ファルシパラムNF54由来のCSタンパク質の領域207から395の実質的全長を含む。RTSに含まれるNF54(3D7)CSタンパク質配列の部分は、以下の189アミノ酸の配列である。
【0036】
【化1】
【0037】
特に、RTSは、
・サッカロマイセス セレビシエTDH3遺伝子配列(このヌクレオチド1−1058の読み枠はTDH3プロモーターそれ自体を構成する)由来のヌクレオチド1059−1061でコードされるメチオニン遺伝子(ムスチ等、1983年)。
・3つのアミノ酸:ハイブリッド遺伝子を構成するのに使用したクローニング手順によって作ったヌクレオチド配列(1062−1070)由来のメチオニン アラニン プロリン
・P.ファルシパラムのNF54株のCSタンパク質のアミノ酸207から395を示す1071−1637によってコードされている189アミノ酸の範囲(上記の配列ID NO:1によって与えられる)(クローン3D7,カスパール等、1989年)
・ハイブリッド遺伝子を構築するのに使用したクローニング手順によって作ったヌクレオチド1638から1640でコードされるアミノ酸(Gly)
・ヌクレオチド1641から1652でコードされ、B型肝炎ウイルス(アデノウイルスの抗原型)のpreS2タンパク質の4つのカルボキシ末端残基を表す4つのアミノ酸であるプロリン バリン トレオニン アスパラギン(バレンズエラ等、1979年)
・ヌクレオチド1653から2330でコードされ、B型肝炎ウイルス(アデノウイルスの抗原型)のSタンパク質を特定する226アミノ酸の範囲(バレンズエラ等、1979年)
【0038】
RTSは、RTS:Sの比率が例えば1:4の混合粒子であるRTS,Sの形態でもよい。
【0039】
本発明はマラリア抗原に特に限定されないが、アジュバント化タンパク質性マラリア抗原と組み合わせたマラリア抗原をコードするウイルスベクターを用いて本発明を詳細に説明する。当業者は、寄生虫、バクテリア、ウイルス、酵母又は更に、特に限定されないが、腫瘍抗原(例えばPSA、gp100、CEA、MUC1、Her2/neu)などの自己抗原を含む他の病原体由来の異なる抗原の挿入及びその対応するタンパク質性抗原を用いることにより、ここに提供した一般的な教唆を修正することが可能であろう。
【0040】
本発明は熱帯熱マラリア原虫の抗原をコードする異種性の核酸配列を備える複製欠損組み換えアデノウイルスベクターに関する。好ましい実施態様において、前記ウイルスベクターはAd11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50からなる群から選択した抗原型に由来するアデノウイルスである。このようにヒトアデノウイルスを選択する理由は、概して、アデノウイルスのワクチンとしての使用が、通常、ヒトは風邪のような軽度の又は不顕在性の病気を生じる野生型のアデノウイルスに感染しているという事実に妨害されるからである。アデノウイルスを適用したマラリアに対するワクチンのようなその後の組み換えワクチンベクターとして使用する場合に、親の野生型の抗原型での感染中に上昇する免疫応答は、組み換えアデノウイルスの抗原型の有効性に負の影響を及ぼしうる。ヒトの世界人口における種々のアデノウイルス抗原型の蔓延は、ある地域とその他の地域で異なっている。当業者のいくつかの報告に概説されているとおり、一般に、好ましい抗原型は世界の多くの地域の宿主において低い中和活性に遭遇する。
【0041】
本発明者等は、異種性の初回免疫/追加免疫と呼ばれる連続的なワクチン接種スキームにおける組み換えアデノウイルスと精製タンパク質間の新規な組み合わせを作製してきており、このスキームは初回免疫/追加免疫ワクチンの種々の成分によって誘導される種々の免疫応答を利用する。組換えベクターの選択は、ワクチン接種を必要とする低い割合のヒト人口において活性を中和するのに遭遇するものにより影響を受ける。驚くべきことに、アデノウイルスベクターの抗原及びアジュバント化タンパク質抗原の組み合わせが、何れかのワクチンのみを用いたときに見られるものを超えて免疫応答に著しい改善をもたらす。免疫の増強は、ここに開示したように、アカゲザルの生体内に付与された免疫応答をインビトロで検出することによって説明される。
【0042】
他の実施態様において、組み換え複製欠損アデノウイルスはチンパンジーから単離されたような類人猿のアデノウイルスである。適当な例としてはC68(米国特許第6,083,716号のPan 9として知られている)並びにPan5, 6及び7(国際公開第03/046124号)が挙げられる。
【0043】
本発明の一つの特定の態様において、複製欠損組換えアデノウイルスベクターは、CSタンパク質若しくはその免疫原性部分又はフラグメントをコードしている核酸配列からなる。前記異種性の核酸配列は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて発現を上昇させるためにコドンを最適化していることが好ましい。コドンの最適化は必要な核酸の内容、すなわち関心のある哺乳類における一般的な最適コドン使用頻度及び適切な発現を保証するために避けるべき態様の数に基づく。かかる態様には、スプライシングの供与サイト又は受容サイト、終止コドン、Chiサイト、ポリ(A)配列、GC−及びAT−の豊富な配列、内部のTATAボックスなどでもよい。哺乳類宿主に対するコドン最適化の方法は当業者に周知で、また分子生物学文献中の様々な箇所で見出すことができる。
【0044】
好ましい実施態様において、本発明は本発明による複製欠損組換えアデノウイルスベクターに関し、この場合前記異種性の核酸中のアデニンとチミンの含量がシトシンとチミンの含量と比べて87%未満、好ましくは80%未満、更に好ましくは59%未満、また最も好ましくは約45%に等しい。本発明は、一つの実施態様において複製欠損組換えアデノウイルスベクターを提供し、ここでCSタンパク質が国際公開第2004/055187号中で開示されたようなCSタンパク質の何れかであり、最も好ましくはP.ファルシプラム由来のCSタンパク質又はその免疫原性のフラグメントである。
【0045】
異種性の遺伝子を宿す組換えアデノウイルスベクターの作製は当業者に周知で、通常パッケージング細胞株、アダプターコンストラクト及びコスミドの利用、並びにアデノウイルスゲノム由来のE1領域の少なくとも機能性部分の欠失を含む(また、以下のパッケージング系及び好ましい細胞株を参照)。
【0046】
また、本発明は、一方の成分として宿主において低い中和活性に遭遇する組換えアデノウイルスベクター、また他方として精製タンパク質を備えるキットに関し、この場合精製タンパク質をアジュバントとの混合物で供給することが好ましい。好ましいアジュバントはQS21及び3D−MPLであり、含コレステロールリポソームとの処方物が好ましい。これら成分を異種性の初回免疫/追加免疫ワクチン送達方法に使用し、ここで組換えアデノウイルスベクターを初回免疫剤として先ず投与し、次いで精製たんぱく質を追加免疫剤として投与するのが好ましく、追加免疫は1回を超えて繰り返すことができる。前記成分は、通常製薬学的に許容されるキャリアに保持される。製薬学的に許容されるキャリアは当業者に周知で、幅広い治療薬において広く使用されている。ワクチン中でよく機能するキャリアを適用することが好ましい。アジュバントを更に含むワクチンがより好ましい。アジュバントは適用した抗原に対する応答を更に増強することについて当業者は既知である。また、本発明は、マラリアの治療、予防又は診断への本発明によるキットの使用に関する。
【0047】
本発明は、マラリアに感染した哺乳動物を治療する方法又は哺乳動物へのマラリアの感染を予防する方法に関し、該方法はP.ファルシパラムの抗原を運ぶ組換えアデノウイルスを(何れかの順で、又は同時に)投与するステップと、及び少なくとも一つの精製P.ファルシパラムの抗原を投与するステップとを備え、ここで前記タンパク質をアジュバントと混合する。組み換えアデノウイルスをAd11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50からなる群から選択することが好ましく、また組換えアデノウイルスがCSタンパク質をコードしている遺伝子、又はその免疫原性のフラグメントを宿していることが好ましい。組換えアデノウイルスと組み合わせて使用する精製タンパク質はRTS,Sが好ましく、アジュバントは好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でのQS21及び3D−MPLが好ましい。
【0048】
免疫応答の発達を手助けする駆動力は、サイトカイン、すなわち免疫系の細胞を助け、またTh1又はTH2反応の何れかに対する最終免疫応答を導くために働く多数の同定されたタンパク質メッセンジャーである。従って、高レベルのTh1型サイトカインは所定の抗原に対する細胞性免疫応答の誘導を助ける傾向があり、一方高レベルのTh2型サイトカインは抗原に対する体液性免疫応答の誘導を助ける傾向がある。Th1型及びTh2型の免疫応答の区別が絶対的でないことを思い出すことが重要である。実際のところ、個々が主にTh1又は主にTh2であるとされる免疫応答に対応するであろう。しかしながら、モスマン及びコフマン(Mosmann and Coffman)(1989年)によりマウスCD4+T細胞クローンに記載されたものに関連してサイトカインのファミリーを検討することがしばしば便利である。伝統的に、Th1型の応答は、Tリンパ球によるINF−γ及びIL−2サイトカインの生成に関連する。しばしばTh1型の免疫応答の誘導に直接関連したIL−12のような他のサイトカインは、T細胞によって産生されない。それに対して、Th2型の応答はIL−4、IL−5、IL−6、IL−10及び腫瘍回壊死因子(TNF−ss)の分泌に関連する。
【0049】
本発明の使用に適するアジュバントとしては水酸化アルミニウムゲル(alum)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩が挙げられるが、またカルシウム、鉄もしくは亜鉛の塩でもよく、或いはアシル化チロシンの不溶性分散液、又はアシル化糖、陽イオン的にもしくは陰イオン的に誘導したポリサッカライド、ポリホスファゼン、もしくはモンタニドリポソームでもよい。
【0050】
本発明で使用するためのワクチンの処方物において、アデノウイルスベクターとの関連で、アジュバントを投与してもよいし、又は投与しなくてもよい。組合わせ物のタンパク質成分の場合、アジュバント配合物を選択して優先的なTh1応答を誘導することができる。更に、他の体液性応答を含む別の応答を誘導することもできる。
【0051】
ある種のワクチンアジュバントが、Th1又はTh2型サイトカイン応答の何れかの刺激に特に適している。伝統的に、ワクチン接種又は感染後の免疫応答におけるTh1:Th2のバランスの最もよい尺度としては、抗原による再刺激後のTリンパ球によるTh1又はTh2サイトカインの生成のインビトロでの直接測定及び/又は抗原特異的抗体反応のIgG1:IgG2の比率の測定が挙げられる。すなわち、Th1型アジュバントは、インビトロで抗原によって再刺激した際に、単離したT−細胞集団を刺激して高レベルのTh1型サイトカインを生成し、Th1型イソタイプに付随した抗原特異的な免疫応答を誘導するものの一つである。例えば、本発明の使用に適したアジュバントを生成するのに処方し得るTh1型免疫賦活剤は、モノホスフォリル脂質A、特に3−de−O−アシル化モノホスフォリル脂質A(3D−MPL)を含むことができる。3D−MPLはリビイミュノケミストリー社(Ribi Immunochem、モンタナ)によって製造された周知のアジュバントである。化学的に、これは4、5又は6アシル鎖の何れかを具える3−de−O−アシル化モノホスフォリル脂質Aの混合物としてしばしば提供される。これは英国特許第2122204B号に教示された方法によって精製及び調製でき、またこの参考文献はジホスフォリル脂質A及びその3−O−脱アシル化変異体も開示している。他の精製及び合成リポ多糖体が記載されている(米国特許第6,005,099号、欧州特許第0,729,473 Bl、欧州特許第0549074 Bl)。一つの実施態様において、3D−MPLは直径0.2μm未満の小粒径を有する粒状処方物の形態であり、その製造方法が欧州特許第0689454号に開示されている。
【0052】
サポニンは、本発明と共に使用できるTh1免疫賦活剤の別の例である。サポニンは周知のアジュバントである。例えば、Quil A (南アメリカの木であるシャボンノキ(キラヤ)の樹皮に由来する)及びこの留分が、米国特許第5,057,540号及び欧州特許第0362279 Bl号に開示されている。溶血性のサポニンQS21及びQS17(Quil Aの高速液体クロマトグラフィー精製画分)が、効能のある全身性アジュバントとして記載されており、その製造方法が米国特許第5,057,540号及び欧州特許第0362279 Bl号に開示されている。また、これらの参考文献にQS7(Quil Aの非溶血性画分)の使用が記載されており、これは全身性ワクチン用の効能のあるアジュバントとして働く。QS21と、ポリソルベート又はシクロデキストリンとの組み合わせもまた既知である(国際公開第99/10008号)。QS21及びQS7のようなQuilA画分を備える粒状アジュバント系が国際公開第96/33739号及び国際公開第96/11711号に記載されている。
【0053】
免疫賦活剤の別の例は、非メチル化CpGジヌクレオチド(”CpG“)を含有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドである。CpGはDNA中に存在するシトシン−グアノシンジヌクレオチドモチーフの略語である。CpGは全身性経路及び粘膜性経路の両方で投与する場合のアジュバントとして当業者に既知である(国際公開第96/02555号、欧州特許第0468520号)。歴史的に、バチルス カルメット−グエリン(BCG)のDNA画分が抗腫瘍効果を発揮しうることが観察された。更なる研究において、BCG遺伝子配列由来の合成オリゴヌクレオチドが免疫刺激性の効果を(インビトロ及びインビボの両方で)誘導できることを示した。これら研究の著者達は、中央のCGモチーフを含むある種の回文配列がこの活性を担っていると結論を下した。詳細な分析は、CGモチーフが特定の配列関係になければならないこと、またかかる配列が細菌のDNAにおいて一般的であるが脊椎動物のDNAにおいて希であることを示した。免疫刺激性配列はしばしばプリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジンであり、ここでCGモチーフがメチル化されないが、他の非メチル化CpG配列が免疫刺激性であることが知られており、本発明で使用してもよい。
【0054】
6つのヌクレオチドのある種の組み合わせにおいては回文配列が存在しているかもしれない。一つのモチーフの繰り返し又は異なるモチーフの組み合わせの何れかであるこれらのモチーフのいくつかは、同じヌクレオチド中に存在しうる。オリゴヌクレオチドを含む一以上のこれら免疫刺激性配列の存在は、ナチュラルキラー細胞(インターフェロンγを産出し、細胞溶解活性を有する)及びマクロファージを含む様々な免疫小集団を活性化することができる。また、このコンセンサス配列を持たない配列を含む他の非メチル化CpGは、これまでのところ免疫調節性であることを示している。ワクチン中に処方する場合、CpGは一般に遊離の抗原と共に自由溶液中で投与する(国際公開第96/02555号、68)か、又は抗原に共役共有結合する(国際公開第98/16247号)か、若しくは水酸化アルミニウムのようなキャリアで処方する(肝炎表面抗原)。
【0055】
上記のような免疫賦活剤は、例えばリポソーム、水中油エマルジョン及び/又はアルミニウム塩(水酸化アルミニウムのような)を含む金属塩と共に処方してもよい。例えば、3D−MPLは水酸化アルミニウム(欧州特許第0689454号)又は水中油エマルジョン(国際公開第95/17210号)で処方することができ、QS21は含コレステロールリポソーム(国際公開第96/33739号)、水中油エマルジョン(国際公開第95/17210号)又はalum(国際公開第98/15287号)で有利に処方することができ、CpGはalum又は他の陽イオン性キャリアで処方することができる。
【0056】
また、モノホスフォリル脂質Aとサポニン誘導体の組み合わせ(国際公開第94/00153号、国際公開第95/17210号、国際公開第96/33739号、国際公開第98/56414号、国際公開第98/05355号、国際公開第99/12565号、国際公開第99/11241号)又は国際公開第94/00153号に開示されているように QS21と3D−MPLの組み合わせのような免疫賦活剤の組み合わせを使用しても良い。或いは、本発明において、CpGとQS21のようなサポニンとの組み合わせを使用しても良い。従って、適当なアジュバント系は、例えば3D−MPLのようなモノホスフォリル脂質Aとアルミニウム塩との組み合わせを含む。他の実施態様は、国際公開第94/00153号に開示されたQS21と3D−MPLの組み合わせのようなモノホスフォリル脂質Aとサポニン誘導体、又は国際公開第96/33739号に開示された含コレステロールリポソーム中でQS21を失活させた反応性の低い配合物とを組み合わせる。水中油エマルジョン中にQS21、3D−MPL及びトコフェノールを含む他のアジュバント処方物が国際公開第95/17210号に開示されている。他の実施態様においては、CpGオリゴヌクレオチドを単独で又はアルミニウム塩と共に使用する。
【0057】
本発明の使用に適したアジュバントは選択的Th1刺激性アジュバント、例えばQS21のようなサポニン又は3D−MPLのようなモノホスフォリル脂質A誘導体を備えるアジュバント又はこれら両方を任意に含コレステロールリポソームと共に含むアジュバントである。含コレステロールリポソームとの処方におけるQS21と3D−MPLの組み合わせは、例えば国際公開第96/33739号に記載されている。
【0058】
本発明の利点は多種多様である。組み換えアデノウイルスのような組み換えウイルスは、安全であると見なされ、また動物又はヒト由来の如何なる成分も含まない培地を用いる高容量の懸濁液中で生育できる細胞を用いて非常に高い力価に産生することができる。また、組み換えアデノウイルスは、アデノウイルスゲノム中の異種性の核酸の配列によってコードされているタンパク質に対して、劇的な免疫応答を引き出すことが既知である。本発明は、P.ファルシパラムのスポロゾイト周囲遺伝子を宿すベクターにおけるこれらの特徴を追加免疫応答に対するアジュバント化タンパク質の使用と組み合わせる。更に、遺伝子のコドンを最適化してヒトにおける適切な応答を付与するに適した発現レベルを提供する。本発明は、高力価の中和抗体に遭遇しないアデノウイルスを使用することによりマラリア感染に対するワクチンを提供する。この目的に著しく好適なアデノウイルスは、抗原型11及び35(Ad11及びAd35、国際公開第00/70071号及び国際公開第02/40665号を見ること)である。
【0059】
P.ファルシパラムのようなマラリアを引き起こす寄生虫と、ヒトのような興味のある宿主との間の核酸の内容は大きく異なる。本発明は、ヒトのような哺乳動物において高い発現レベルをもたらすコドンに最適化した核酸を提供する。
【0060】
ここに開示するような初回免疫/追加免疫の処方計画のための異なる構成要素の使用は、免疫系の細胞性及び体液性部分の両方の適切な免疫応答をもたらすワクチン方法を提供する。これはCD8+T細胞、CD4+T細胞又及び抗体を含む。これらワクチン単独では、抗原特異的なCD8+T細胞、CD4+T細胞及び抗体の適正水準を生じる持続的な免疫応答を確立しない。更に、異なった成分を投与する順序は、これら免疫応答を変え、また将来の感染に対してなし得る防御の異なる期間を引き起こす可能性がある。本発明の方法及びキットは、自由に循環しているスポロゾイト及びメロゾイトから感染した肝細胞及びRBCsまでのヒトの中での寄生虫の生活環のすべての異なる段階に対応する免疫応答を引き起こすことができる。更に、長期間にわたるマラリア感染に対する持続的な防御を提供する。
【0061】
好ましい実施態様において、本発明は、アデノウイルスゲノムの少なくともE1領域を除去することによる複製に欠陥のある組み換えアデノウイルスの利用に関するが、これはE1領域が新規に精製されるウイルスの複製−、転写−、翻訳−及びパッケージング過程に必要であるからである。E1除去ベクターは、一般に除去したE1機能を補完する細胞株で作成する。組み換えウイルスの作成用のこういった細胞株及びその利用については、当業者によって広く記述され、またよく知られている。応用微生物学研究センター(CAMR、英国)の欧州動物培養細胞コレクション(ECACC)でECACC番号第96022940号として寄託されている細胞によって代表されるPER.C6細胞(著作権)、又はこの変異体を使用することによって複製可能なアデノウイルス(rca)の生成を予防することが好ましい。別の好ましい実施態様において、細胞はアデノウイルスの抗原型5(Ad5)に由来するもの以外の組み換えアデノウイルスの増殖を支持するために適用されている。HER細胞をAd35由来のE1で不死化させること、又はPER.C6細胞(著作権)がB型アデノウイルスの適切な相補性を提供するように更にAd35のE1遺伝子を含ませることにより作製した組み換え複製欠損Ad35で作成される組み換え複製欠損Ad35のような他のアデノウイルスの抗原型と同様に、Ad5のrcaを含まないアデノウイルスストックを得る方法及び手段に関する参考文献は、国際特許第97/00326号、国際特許01/05945号、国際特許01/07571号、国際特許 00/70071号、国際特許02/40665号及び国際特許99/55132号として発行されている。
【0062】
既刊の文献である国際公開第00/03029号、国際公開第02/24730号、国際公開第00/70071号及び国際公開第02/40665号においては、誤ってAd50がAd51と命名されていることに注意すべきである。言及した文献中で述べられている抗原型Ad51は、デ ヨン等(1999年)による出版物中でB型アデノウイルスとして示されているAd50抗原型と同じである。明確にすると、ここで使用したAd50は、デ ヨン等(1999年)によって言及されたBグループのAd50抗原型である。
【0063】
本発明のワクチンは、通常、例えばAd/タンパク質、タンパク質/Ad、タンパク質/Ad/Ad、Ad/タンパク質/Ad、Ad/Ad/タンパク質、Ad/タンパク質/タンパク質/タンパク質、Ad/タンパク質/ウイルスベクター/タンパク質などのような初回免疫/追加免疫の順序で使用する。更にもう一種類のワクチン(アデノウイルスと異なる裸のDNA又は組み換えウイルスベクターのような)を、本発明の初回免疫/追加免疫薬剤との組み合わせに適用してもよいと予想される。更に、マラリア抗原又は(ポリ)ペプチドを使用してもよい。
【0064】
核酸は、鋳型としてDNAの別々の断片を用いるPCRによっても得ることができるけれども、野生型ウイルスから得た野生型の配列から直接クローニングすることによって得ることができるのであれば、配列は、ここで使用したように、‘由来する’。また、このことはこのような配列が野生型及び変異型であるかもしれないことも意味する。同様の結果を得るための別の選択肢は合成DNAを組み合わせることによる。‘由来する’というのは、野生型DNAを直接クローニングすることのみを意味するものでないことが理解されるであろう。又、当業者は、特定の断片の核酸変異体を分子生物学的に得られることを知っているであろう。‘機能性部分、その誘導体及び/又は類似体’は、それらに関連する核酸配列に相当するものとして理解されるであろう。当業者は、ある種の欠失、組換え、(点)変異、付加などは、元の核酸配列と同様の機能を有する配列を生じ、かつて翻訳されたのと同様のもしくは同一のポリペプチドを生成するという事実を理解するであろう。従って、こういった核酸配列の機能を著しく変更しない改変は本発明の範囲内である。もし特定のアデノウイルスベクターが特定の最適なアデノウイルスの抗原型に由来するのであれば、最終生成物は直接クローニングすること及びゲノムDNAの特定の断片の合成のような当業者に既知の方法を用いる間接的な方法により得てもよいことが理解されるであろう。本発明の特定の態様を変更しないゲノム成分のある種の欠失、変異及びその他の変更もまた本発明の一部分であると見なされる。このような変更の例は、例えば異種性の核酸の断片のクローニングを可能にするウイルス骨格内の欠失である。こういった変異の例は、例えばE3の欠失或いはアデノウイルスのE2及び/又はE4タンパク質をコードしている領域の欠失及び/又は変更である。空間がアデノウイルスを詰め込むための制限要素であるため、こういったアデノウイルス骨格に適用する変更は当業者に既知でありしばしば適用される。このことがアデノウイルスゲノムの特定の部分を欠失させる主な理由である。ゲノムのE2、E3及び/又はE4領域を変更する他の理由は、例えば国際公開第03/104467号及び国際公開第2004/001032号に記載されているようなアデノウイルスベクターの安定性又は完全性に関係しているかもしれない。これらの適用は、その他アデノウイルスベクターの一つの細胞株の複製及びパッキング中におけるE4又はf6活性とE1B−55K活性の間の適合性を保証するための、あるサブグループ由来のウイルス骨格中での別のサブグループ由来の抗原型のE4又はf6遺伝子の使用に関する。更に、それらは、pIXのより高い発現レベル及びアデノルイスベクターの更なる安定性を獲得するため、適切に機能するpIXプロモーターの使用に関する。
【0065】
ここで用いる‘複製欠損’は、非相補性細胞内で複製されないウイルスベクターを意味する。相補性細胞において、複製、従ってウイルスベクターの生産に必要な機能は相補性細胞によって提供される。本発明の複製欠損ウイルスベクターは、相補性細胞以外の如何なる宿主細胞中において複製を可能にする要素のすべては宿していない。
【0066】
核酸と共にここで用いる‘異種性の’は、核酸配列が異種性の核酸をクローン化した野生型ウイルスベクター以外の別の起源に由来することを意味する。例えばアデノウイルスの場合、複製欠損ウイルスベクター中にクローン化した異種性の核酸はアデノウイルスの核酸配列ではなく、他の興味ある病原体に由来する。
【0067】
初回免疫−追加免疫ワクチン方法と組み合わせてここで用いる‘異種性の’は、これまでのところ業界で一般的な複数回投与される一成分というよりも、むしろ熟慮された組み合わせにおいて使用される一つの組み換え非複製アデノウイルスベクター及び一つのアジュバント化タンパク質によって例示される、2以上の別々の成分を意味する。
【0068】
ここで用いる‘抗原’は、決定要因が送達(投与)された宿主に応答を引き起こす起源に由来する如何なる抗原も意味する。抗原は例えば病原体、寄生虫のような外部起源、又は更に自己抗原に由来してもよい。本発明の複製欠損組み換えウイルスを用いて送達できる属原虫の抗原の例は、スポロゾイト周囲タンパク質(CS)、SE36ポリペプチド、メレゾイト表面タンパク質−1の19kDaのC末端ペプチド(MSR−1p19)、MSP−1、MSP−1p42、アピカルメトロゾイトアンチゲン−1(AMA−1)、肝臓期抗原1(LSA−1)又は肝臓期抗原−3(LSA−3)、又は前記の何れかのフラグメントである。好ましい態様において、本発明はP.ファルシパラム由来のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質に関する。
【0069】
ここで用いる‘コドンへの最適化’は、前記タンパク質をコードする遺伝子を送達する興味ある宿主中で、興味あるタンパク質を十分に高発現させるために変化させた配列の核酸成分を意味する。この文脈における十分に高い発現レベルとは、宿主中で感染及び疾病に対して防御のための応答を引き起こすために十分高いタンパク質のレベルを意味する。いくつかのワクチンがヒトに応答をもたらし、これにより予防接種した個人の約60%が病原体(例えばスポロゾイト)のその後の攻撃によって誘導される病気から防御されることが当業者に既知である。従って、発現レベルは、治療した個体の60%以上を次の感染から防御すれば十分であると考える。ここに記載したような適用可能なアデノウイルスの特徴と抗原の選択との組み合わせで上記割合を達成することができると思われる。個体の85%を防御することが好ましく、予防接種した宿主の90%を超えてその後の攻撃への防御がなされることが最も好ましい。本発明に開示した核酸をヒトでの発現のためにコドンへ最適化する。ナラム等(2001年)によれば、ヒトのDNAにおけるアデニンとチミン(A+T)の含量は、シトシンとグアニン(C+G)の割合と比較すると約59%である。P.ファルシパラムにおけるアデニンとチミンの含量は約80%である。P.ファルシパラムのCS遺伝子におけるアデニンとチミンの含量は約87%である。十分な防御を得るために、宿主において防御レベルを改善することが必要であると思われる。これを達成するための一つの方法は、同一の最終的なアミノ酸配列を維持するが、哺乳動物での発現のより典型的なコドン配列を使用するようにコドン使用頻度を調整することである。このために、本発明による複製欠損組み換えウイルスベクターは、本発明の異種性の核酸におけるアデニンとチミンの含量が87%未満、好ましくは80%未満、また更に好ましくは約59%未満又はそれに等しい。ヒトにおけるコドン使用頻度並びにP.ファルシパラム及びヨエリ(yoelii)のCS遺伝子の核酸の成分に基づいて、コドンを最適化した遺伝子の割合は幾分低く、本発明によって開示したアミノ酸含量に対して約45%に達していた。従って、CS遺伝子に関する限りは、約45%のアデニンとチミンの含量を有することが好ましい。異なるアデニンとチミンの濃度(59%未満又は以上)、及び/又は異なるコドン使用頻度を有するヒト以外の別の動物を治療する場合、本発明のCSタンパク質をコードしている遺伝子を特定の宿主のために必要としている含量に適合させ、望ましい発現レベルを生じさせるように調整することができると理解すべきである。もちろん、世界中の異なる地域において、含量のわずかな変化がわずかな発現レベルの変化を生じる可能性を排除することができない。また、繰り返し数のわずかな変化がタンパク質のアミノ酸配列中に含まれ、その割合はそれぞれ異なることを理解すべきである。興味のある他の抗原を同様に修正してもよい。これら調整された含量のすべてが本発明の一部である。
【0070】
RTS,Sによって示されるタンパク質は、B型肝炎ウイルス表面抗原を有する融合タンパク質として発現するP.ファルシパラムのCSタンパク質のC末端の半分(41のNANP−と多くのC末端部分の部分)からなる融合タンパク質である。
【0071】
複製能力のないアデノウイルスベクターによって提供される明確な利点の一つは、免疫が低下しているヒトを含むあらゆる個体において、これらベクターによる親ウイルスのより小さい病原性及び証明されている重大な疾患がないことである。マラリア、P.ヨエリのマウスモデルの研究は、組み換えアデノウイルスのコンストラクトが感染に対する優れた防御を提供する優れた細胞性応答を引き起こすだけではないことを示している。従って、T細胞応答の強度及びCSに対する前記の応答の寿命を改善する取り組みにおいて、本発明者等は、新規異種初回免疫−追加免疫方法において、アデノウイルスによる取り組みに組み換えタンパク質の取り組みを組み合わせている。
【0072】
残念なことに、マウスはヒトでの応答を予測するための理想的なモデルではない。このことは、とりわけアデノウイルス35(Ad35)に当てはまる。標準的な複製能力のないベクターはアデノウイルス5(Ad5)であり、このウイルスの広範に及ぶ風土病に起因するベクターの能力を最適化するのにいくつかの問題及び地球上の多くのヒト人口のかなりの割合が親ウイルスに対して前もって存在する免疫を有しているという事実を示している。Ad35はワクチンベクターとして強化された有用性を示す可能性を有している。Ad5及びAd35両方のCSPを持つコンストラクトの有用性が、特にCS免疫性の疑問に対する異なるコンストラクトを有する配列上異種性の2つのアデノウイルスの予防接種の評価を可能にした。
【0073】
樹状細胞(DC)は、生体内における最も有力な抗原提示細胞であり、またAd5及びAd35の両方がヒト及びアガゲザルのDCを標的とすることがそれらを優れたワクチンベクターにしている生物学の態様の一つである。しかし、Ad5のみが効率的にマウスDCに感染し、Ad35のみが霊長類DCに確実に感染する。それ故、Ad35のコンストラクトについての基本的な有効性の疑問については小動物のモデルによって答えられるけれども、Ad35を含む現実の免疫原性の疑問については、非ヒトの霊長類においてのみ答えることができる。
【0074】
本発明者等は、抗マラリア細胞性及び/又は体液性応答がRTS,Sのみに見られる応答の改善であるかを求めるために、RTS,SとCS遺伝子を含むアデノウイルスベクターとの初回免疫−追加免疫の組み合わせを検討することを決定した。さらに、アデノウイルスワクチンのみの2回投与の処方計画を最適化した。
【実施例】
【0075】
(アカゲザルにおける組み換えアデノウイルスベクター及び精製アジュバント化タンパク質を用いた異種性の初回免疫−追加免疫のワクチン接種)
実験の目的は、標準的な3回服用のRTS,S予防接種の処方計画と標準的な2回服用のAd35の処方計画との直接比較による、RTS,Sの後にAd35、またAd35の後にRTS,Sを投与することを評価することにある。第2の目的は、2回服用のアデノウイルスの処方計画を最適化することにある。これらコンストラクトのいくつかの異なる処方計画の間及びその後の血清性及び細胞性の応答を検討した。
【0076】
アカゲザル (Macaca mulatta)は、その非常に近縁の系統発生関係によりヒト免疫応答の優れたモデルになる。MHCクラスII対立遺伝子は特によく保存されている。いくつかの共通対立遺伝子の発生は2500万年前、すなわちヒトとアカゲザルの種分化に先立つと見積もられている。従って、Th細胞に対する抗原提示において同様のエピトープ使用があり、このことはモデルの予測値を大いに高める。更に重要なことに、アカゲザルのモデルは、マラリア抗原及びHIVの両方に対するヒトの応答、応答の複雑さゆえワクチン開発の遅れている他のヒトの病気を高度に予示することが過去に証明されている。
【0077】
予備実験は、マウスマラリアP.ヨエリのアデノウイルス−CSコンストラクトのマウスにおいて既に行われており、優れた免疫原性及び予防効果を示した。しかしながら、熱帯熱マラリアに対するワクチン開発のために、ヒトに対するマウスマラリアモデルから直接的に推定することの成功しなかった試行の長い歴史は、非ヒトの霊長類モデルによる中間ステップを要求している。アカゲザルは、この種におけるこれらワクチンの先行情報に関する広範なデータベースがあるため、また系統発生学的にヒトと近縁であるため、その大きさが応答を適切な評価を確保するための十分量の血液サンプルを可能にするため、またこの種に対して既に最適化された試薬及び検定法が既に存在しているので補助的な手順及び長年の開発を必要としないため、最良の種の選択を意味する。更に、アデノウイルス35コンストラクトは、このウイルスが他の哺乳類の樹状細胞に効率よく侵入することができないため、非ヒトの霊長類において適切に試験することのみできる。
【0078】
本例で使用した遺伝子(Ad5CS及びAd35CS)をコードしているP.ファルシパラムCSを宿す組み換え複製欠損アデノウイルスのコンストラクト及び製造は、国際公開第2004/055187号(クローン02−659、図2を参照)の実施例中に詳細に記載されている。つまり、これらのアデノウイルスベクターは、NF54株のCSタンパク質、すなわちその他の中にN末端シグナル配列、27NANP繰り返し、3つのNVDP繰り返し及び離れた1つのNVDP繰り返しのクラスター、普遍的なエピトープ(ロックラー等、1989年、ゼバーリング等、1994年、ナージン等、2001年)、並びに最後の14アミノ酸の欠失(C末端部分における)を有する3D7クローンと同様のアミノ酸配列を有するCSタンパク質をコードしている異種遺伝子からなる。RTS,Sのタンパク質との違いは、RTS,Sが、またアデノウイルスコンストラクト中にないC末端部分に位置するGPIアンカーシグナル配列の大部分と同様、N末端シグナル配列及び大部分の繰り返し配列を欠失していることである。
【0079】
実験は、RTS,SとCSを持つAd5及びAd35CSコンストラクト(Ad5CS及びAd35CS)の初回免疫−追加免疫方法の最適化並びにAd5CS及びAd35CSのみの最適化のための様々な組み合わせ及びタイミングによる、不作為抽出し、盲検性が確保された免疫原性の検討であった。新しい方法と比較する従来の最良の処方計画は0、1、及び3ヶ月に施されるアジュバントを有するRTS,S50μgの3回の筋中投与であった。これはグループ1の正のコントロールグループである。すべてのグループを表IAに概説する。すべての場合において、アジュバントは、国際公開第96/33739号に記載されているような、含コレステロールリポソームとの処方における50μgの3D−MPL、50μgのQS21から製造した。
【0080】
グループ2は、0及び1ヶ月でのRTS,S/アジュバントの2回の服用並びに3ヶ月でのAd35CSの1回の服用を受容した。グループ3は、0ヶ月でのAd35CSの1回の服用、その後1及び3ヶ月でのRTS,S/アジュバントの2回の服用を受容した。グループ4、5、及び6はアデノウイルスコンストラクトのみを受容した。異なる病気においてアデノウイルス5コンストラクトの2回の服用を含む先行実験は、最適な血清学的及び細胞性免疫応答を免疫付与の間隔が少なくとも6ヶ月である場合に得ることを示した。ヒト又は非ヒト霊長類においてAd35コンストラクトを評価するために不可欠なため、このベクターの服用間の最適時間はまだ確立されていなかった。従って、グループ4は(タンパク質グループの直接制御のために)0、3ヶ月の日程でAd35CSの2回の服用を受容し、またグループ5は0、6ヶ月の日程で2回の服用を受けた。同じアデノウイルスコンストラクトを2回服用することがその代わりとなるCSタンパク質のコンストラクトに劣るかどうかの疑問を評価するために、グループ5を、0、6ヶ月の日程でAd5CSの後にAd35CSを受容したグループ6と比較した。最後に、コントロールのグループ7は、免疫原性評価のための免疫付与コントロールグループとして、0、3ヶ月の日程で(マラリア遺伝子の挿入のない)Ad35そのままを2回服用した。
【0081】
ワクチン反応の発生の観察を容易にするため、注射部位を切り、はっきりと印を付けた。更に、動物を沈静化して、注射の24、48、72時間後、7及び14日後に、硬結、隆起、熱、赤み又はその他の異常について注射部位を直接検査した。全身毒性の兆候は予期されなかったが、動物を沈静化し、これらの時点においてリンパ節症、蜂巣炎、膿炎、関節炎、拒食症、及び体重減少を検査し、またそれらの血清学的な臨床化学値の変化を測定した。完全血球算定並びにBUN、クレアチン、AST、ALT、GGT、及びCKの測定(特に限定されないが)を含む一団の臨床化学検定のために、注射時及び各注射の24、48、72時間後、7、14日後に採血した。その後のアデノウイルスの試験のために、非複製ベクターの漏れがないことを確認するため0−10の各アデノウイルス注射についてそれぞれの日に糞便のサンプルを回収し、−70℃で保存した。
【0082】
各注射時に、また各注射の1、2、4週間後の時に血清1−3mlを回収し、その後少なくとも月1回、イライザ法でCS R32(CSタンパク質の繰り返し領域をCSタンパク質に対する標準化したイライザ検定の現像に使用した。以下を見ること)に対する抗体反応の性質及び強度について測定した。血清サンプルは、使用するまで−70℃で保存し、検定中のばらつきをできるだけ抑えるため、サンプルは実験終了までバッチ操作した。回収した血清の量は適切な量であり、各アデノウイルス注射の0、1、7、14日目及び少なくともその後4週間ごとに血清0.5−1.0mlの抗アデノウイルス抗体力価を決定するために使用可能である。細胞採集のために、初回免疫の前、2回目免疫の4週間後(もし容量が許すのであれば)、3回目免疫の4週間後、及び3回目免疫の6ヶ月後に、多量(20−40ml)のEDTA−又はヘパリン−抗凝固血液を回収した。密度遠心分離の標準的な方法を用いて、これらのサンプルから末梢血単核細胞(PBMC)を濃縮した。細胞の収率はある個体の動物と別の動物で大きく変化するけれども、一般にサンプルの容量が多いほど回収されるサンプルの数もより多くなる。正確な細胞の回収率を予想することは不可能なので、統計的妥当性のために検定を繰り返すための十分な細胞を得られるように、可能であればより多くのサンプルを採取することが好ましい。細胞は、その後のバッチ処理を可能にし、その結果として品質管理を改良するために凍結する。細胞を、10%のDMSOを含む自己血清中で、制御した温度降下率において凍結させ、液体窒素の気相中で使用前の少なくとも一週間貯蔵した。
【0083】
CBCのデータが良好な耐容性を示すより大きい動物からは、細胞採集のための更なるサンプルを、追加免疫の前ではなく初回免疫の後に回収する。RTS,S/アジュバントの2回投与を受けた14匹のサル(2グループ)及び8週間前にAd35CSの1回投与を受けた14匹のサルがいたので、少なくとも半分をサンプリングし、これにより統計的有意性が確保されることが期待された。細胞採集は注射の4週間後すぐに実行する予定であった。アデノウイルスコンストラクトのみを受けたグループは2回の注射のみ受容したので、その結果として3回の注射を受けたサルよりも採血日程が厳しくなかったため、2回の注射の間の細胞採集間隔は困難ではないと予期された。
【0084】
細胞性免疫応答の分析としては、抗原特異的IFN−γ産生細胞の定量のための短期エリスプロット検定が挙げられる。抗原によって刺激した細胞のフローサイトメトリーによる分析は、反応性の抗原特異的細胞の表現形について更なる情報をもたらすけれども、エリスポット分析において収集したデータを裏付けることのみはできない。従って、細胞内染色及びフローサイトメトリーによる抗原特異的CD8+INF−γを分泌する小集団の測定を更に詳細に調べる。
【0085】
実行する追加の検定としては、更なるサイトカインのためのバルクエリスポット分析、更なるサイトカインのT細胞サブセット網羅的な細胞内染色、抗原特異的T細胞サブセットのサイトカイン産生についての他のフローサイトメトリーに基づく定量検定、及び他の方法と相関させるための定量RT−PCRが挙げられる。
【0086】
サルは、年齢、性別、体重及び地理的起源に一様に適合するグループに分け、その後にグループをランダム化した。すべての臨床的評価及び安全性評価項目の判定は、サルのグループの割り当てを知ることなく測定した。同様にして、すべての免疫学的検定は、個々のサンプルの属するグループを前もって知ることなく実行した。この盲検定の方法の例外は、0、1、3ヶ月とは対照的に0及び6ヶ月において免疫を受容した動物であった。しかしながら、盲検定はある特定の注射について維持した。
【0087】
試験グループ当たりの7匹(及びコントロールグループでは4匹)の動物というグループの大きさは、グループの大きさを最小化しつつ、同様の、しかしわずかに関連のある実験による先のデータに基づいて、グループ間の違いをそれでもなお正確に検出するために理想的である。
【0088】
イライザ法検定の結果の相乗平均は、均等な分散及び2つの試行を前提にするスチューデントT検定及び分散分析(ANOVA)のような標準的な分析を用いて媒介変数的に比較される。200,000細胞当たりのスポットで表されたエリスポット検定の結果は同様に処理し、更にクラスカル−ウォーリス試験のような媒介変数を使用しない分析を用いて検討する。グループ間の比較が必要な場合、一対のグループ間の差異を決定するために、生のデータ又は対数に変換したデータに関するスチューデントT検定を使用する。
【0089】
注射の前には毛をクリップ止めし皮膚を70%消毒用アルコールで清潔にし、その後の触診及び反応原性評価のための注射部位を探すのを容易にするため、皮膚上に安全インクで2.5−3cmの輪を書いた。RTS,Sの注射は、サルの廊下に入る直前にアジュバントと混合した。最終的な注射量は0.5mlであり、25−29ゲージの注射針を通して大腿前部筋肉組織に送達した。アデノウイルスのコンストラクトは(国際公開第2004/055187号に)記載と同様に緩衝食塩水中で調製し、更に筋中の同じ場所に終容量0.5mlで投与した。
【0090】
主な生サンプルは、血清又は細胞の何れかのための血液である。採血日程を表IBにまとめる。動物の血液学上の状態を観察した。これは、繰り返される生サンプル回収を持続する個々の能力又は計画した生サンプルの回収日程を減らせることを示していた。採血の度にクールター自動血球数カウンター(<50μlの非凝固血液が必要な)を用いて完全血球算定(CBC)を行った。製造業者が推奨する医薬品安全性試験実施基準(GLP)のような指針を整備及び維持のために実施した。動物が貧血になっていないことを厳密に確かめるために、ヘマトクリット値、ヘモグロビン、平均赤血球容量(MCV)、赤血球(RBC)数、及び網状赤血球の割合を追跡した。
【0091】
20−24ゲージの注射針及びシリンジ又は真空チューブを用いて、大腿静脈、伏在静脈又は橈側皮静脈から静脈血を回収した。一般に、伏在静脈又は橈側皮静脈は10ml未満の採血に好ましく、大腿静脈は10mlを超える量を採る場合、溶血を避け前静脈穿刺時間を短くすることが好ましい。
【0092】
末梢血単核細胞(PBMCs)を免疫前、最終免疫の2週間後、及び最終免疫の3ヶ月後の動物から採集する。この方法においては、PBMCsは密度遠心分離の標準的な方法により分離し、また45%の自己血清(45%食塩水及び10%DMSO)中で凍結保存する。つまり、リンホプレップ(登録商標)(アクシス−シールド、オスロ、ノルウェー)フィコール−ハイパック細胞分離培養液上で層状をなしていた全血を650gで20分間遠心した。細胞層を除去し、殺菌リン酸緩衝生理食塩水(dPBS)(バイオウィタッカー(BioWhittaker)、ウォーカーズビル、メリーランド)400gで15分間2回洗浄した。クールターACT*10血球計算板を用いて生存細胞の数を数えた。沈殿を50%dPBS、50%食塩水中で1×107/mlになるように再懸濁した。終濃度10%となるようにDMSOを滴下して加えた。細胞はそれぞれ0.55ml中で正確に500万細胞となるように分け、−70℃の冷凍庫内で温度降下を制御したイソロパノール浴中に置くことにより一晩凍結させ、使用まで液体窒素の気相中で保存した。
【0093】
最後のワクチン接種後、別々のサル由来の血液サンプル中のインターフェロンガンマ(IFN−γ)を分泌しているT細胞を、全部の抗原並びにC−及びN−末端特異的ペプチドプール(詳細に後述するように)で刺激した後に、酵素結合免疫ポット(ELISpot)検定することにより同定した。結果を図1(最後のワクチン接種の2週間後)及び図2(最後のワクチン接種の3ヶ月後)にプロットし、また100万細胞当たりの中央値スポット形成単位(median spot forming units(SFU))として、それぞれ表2及び表4に表した。対数変換データの分散の分析(アノーバ)を使用して統計比較を行った。すべてのグループを比較した。統計的有意性を決定した場合、群対群の比較のための事後解析を行うことができた(データは示さない)。
【0094】
異なる処理方法間のエリスポットの結果を比較するために、初回免疫処理としてAd35による方法に対して相乗平均力価の比率を計算した。これらの比率において、RTS,Sのみでの処理(0、2、3ヶ月における)により得た相乗平均力価は、参照処理として解釈される(図5及び6、表10)。同様に、更に追加免疫処理としてAd35を用いた方法に対する比率を計算した(図7及び8、表11)。
【0095】
N末端特異的に刺激したT細胞のエリスポットの結果に対して同様の分析をした。結果はそれぞれ図9及び10、並びに表12及び14にプロットする。最後に比率を計算し、図11(Ad35の初回免疫方法)及び図12(Ad35追加免疫方法)並びに表16及び17にそれぞれ表す。
【0096】
PVDF底のマルチスクリーンIPエリスポットプレート(ミリポア、ベッドフォード、マサチューセッツ)上において標準的な手順を用いて、融解した凍結保存PBMCsのエリスポットを行った。最終スポットの現像を行った2日目に細胞をはがすまで、無菌的手法に厳格に従った。
【0097】
使用した培養液:完全培地(cRPMI)は、1:100のペニシリン/ストレプトマイシン、1:100のL−グルタミン、1:200の炭酸水素ナトリウム(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、1:100の非必須アミノ酸、1:100のピルビン酸塩、及び1:300の2−メルカプトエタノール(ギブコ)を加えることにより、RPMI−1640(バイオウィタッカー、ウォーカーズビル、メリーランド)から新たに調製した。わずかな促進のバックグラウンドはあるもののサル細胞の良好な増殖を支持することを非特異的増殖分析によって前もって特徴付けたロットのウシ胎児血清(FCS、ハイクローン(HyClone)社)、ローガン、ユタ)を終容量10%で加えてcRPMI−10とし、20%のものをcRPMI−20などとした。培養液プラス(M+)は、1:500で抗サルCD28抗体及び抗サルCD49D抗体(BDファーミンジェン、サンホセ、カルフォルニア)を更に補った。
【0098】
以下の刺激物は、血清を加えていないM+での所望の終濃度で新たに2回調製した。
Con A:全バイアルの正のコントロールとして、2.5μg/ml(終濃度1.25μg/ml)のコンカナバリンA(シグマ)
CS−C:11種類のアミノ酸により重複し、2.5μg/ml(終濃度1.35μg/ml)の各ペプチドでPfCS分子(GSK、リクセンサート(Rixensart)、ベルギーが供給する)のC末端部分を被覆する15マーのペプチドのプール
CS−N:11種類のアミノ酸により重複し、PfCS分子のN末端部分を被覆する同様の15マーのペプチドのプール
RTS,S:2μg/ml(終濃度1μg/ml)において細胞培養(GSK)に適する精製全長タンパク質複合体のRTS,S抗原
HEF:23.2μg/ml(終濃度11.6μg/ml)において細胞培養に適する精製B型肝炎ウイルス表面抗原(HbS)の全長タンパク質(RTS,Sの“S”成分)
HbS−P:2.5μg/ml(終濃度1.25μg/ml)の各ペプチドにおけるHbSの15マーのペプチド(GSK)のプール
負のコントロールは、更なる補充物を含まないM+であった。
【0099】
プレートは以下のように調製した。プレートを、無菌dPBSで1:100希釈した抗サルIFN−γのモノクローナル一次抗体(ユシテック(UcyTech)、#21-43-09、ユトレヒト、オランダ)を50μl/ウェルで被覆し、ビニール袋内で4℃で5−6時間インキュベートした。使用の1時間前に、被覆抗体を取り除き、細胞培養インキュベーターで制御した37℃、5%CO2、湿度100%において、プレートをcRPMI−10でブロッキングした。使用直前にブロッキング培養液を除去した。
【0100】
冷凍保存したPBMCの解凍:冷凍したバイアルを湯沸かし器の水(37−40℃)の中でわずかに解凍するまで振り、0.55mlの内容物を8mlのRPMI−20に直ちに移した。細胞を350gで13分間洗浄し、沈殿を2.0mlのcRPMI−20中で注意深く再懸濁した。その後、40μlの無菌水を取り除いて生存細胞数を確認し、2×106細胞/mlの単一細胞懸濁液を生じに必要なものとして量を調整した。
【0101】
前刺激:cRPMI−20の細胞懸濁液とM+中の刺激物の等量をポリプロピレンの細胞培養チューブ内で混合し、すべての試薬を所望の終濃度にした。その後、ガス交換を促進するために緩くキャップを閉めて傾けた状態で、細胞をインキュベーター内で5時間保存した。
【0102】
最終刺激:インキュベーションの5−6時間後、細胞を400gで10分間遠心し、上清を捨てた。その後、細胞を半量のcRPMI−20及び半量の刺激物中で直ちに再懸濁した。これらを10−20分間インキュベーターに戻し、pHを安定させた。その後、細胞を少しの間混合し、200μl(200,000細胞)をブロック状の空プレート上の適切なウェルに注意深くピペットで移した。すべての段階においてウェルが乾いてしまわないように注意を払った。その後、プレートを静置して一晩(>16時間)インキュベートした。
【0103】
スポットの現像:抗サルIFN−γのポリクローナル二次抗体(UCyTech社製)の1:100希釈液を2%FCSを含むdPBS中で調製した。細胞及び培養液をプレートから弾き飛ばした。ウェルをdPBS−0.5%ツイン20(シグマ)で8回洗浄し、希釈した二次抗体50μlをロードした。プレートをビニール袋内の振動パネル上で室温3時間インキュベートした。プレートを再びPBS−0.5%ツイン20で8回洗浄し、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ複合体(サザンバイオテック、#7100-04、バーミンガム、アラバマ)の1:1000希釈液の50μl/ウェルでロードした。次いで、プレートをビニール袋内の振動パネル上で更に室温2時間インキュベートした。最後に、プレートを上記同様に8回洗浄し、その後蒸留水で1回洗浄し、原色体であるNBT−BCIP基質(ピエルスバイオテック、ロックフォード、イリノイ)100μl/ウェルを加えた。バックグラウンドが暗くなるなるまで10−20分間発色させた。その後、プレートを蒸留水300μlで少なくとも2回洗ってすすぎ、読み取り前に一晩空気乾燥した。
【0104】
プレートの読み取り:プレートをAIDエリスポットリーダー バージョン3.1.1を用いてAID ELHR01エリスポットリーダーで読み取った。全てのウェルを目で観察し、不適切なスポット(糸くず又はその他の破片)のカウントを手動で取り除いた。データをエクセルのワークシートに保存した。2つ又は3つのウェルを平均し、この数に5をかけてスポット数/100万細胞における最終的な生データを得た。
【0105】
品質管理:凍結/融解後の回復した平均生存細胞は95%を超えていた。培養液のコントロールのウェルの平均が20スポット/100万細胞、又はConAのウェルが500スポット/100万細胞未満である場合、実験を繰り返した。また、全体として、7−AADダイによる排除を用いたフローサイトメトリー及び表面染色を使用した評価によるCD4+及びCD8+の生存率が全て90%を超えている必要があり、さもなければ実験を繰り返した(データは含まない)。
【0106】
表1A. P.ファルシパラムのCSタンパク質をコードする遺伝子を含む抗原型5及び35に基づく組み換えアデノウイルスベクター並びにタンパク質性抗原成分としてアジュバント化RTS,Sを用いるアカゲザルの初回免疫/追加免疫の処方計画のための実験的処方計画
【0107】
【表1A】
【0108】
表1B. 血液採取日程。CBC及び細胞採集は全血を必要とする。化学検定及びイライザ法は血清を必要とする。1mlの血清は2mlの全血に相当すると見込まれる。全血量のみを示す。範囲は、より大きいサルからはより多量のサンプルを回収してもよいことを示す。CBC/Chemカラムの“0.5”は当日CBCのみ実行したことを示す。*は、この時点において全てのサルから採血したわけではないことを示す。
【0109】
【表1B−1】
【0110】
【表1B−2】
【0111】
以下の表においては、RTS,Sは単に“RTS”と言及する。
【0112】
表2. 追加免疫の2週間後におけるPfCSのC末端特異的なT細胞の免疫。中央値及び相乗平均のIFN−γのエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0113】
【表2】
【0114】
表3. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の、表2に示したのと同様のPfCSのC末端特異的なIFN−γのエリスポット比較のためのp値。
【0115】
【表3】
【0116】
表4. 追加免疫の3ヶ月後におけるC末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及びエリスプロット(SFU/100万細胞中)の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫投与計画を与える(左)。
【0117】
【表4】
【0118】
表5.スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の、表4に示したのと同様のPfCSのC末端特異的なIFN−γのエリスポットの比較のためのp値。
【0119】
【表5】
【0120】
表6. 最終追加免疫後2週間のB細胞の免疫性(抗繰り返し抗体の力価)。中央値及びイライザ力価の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0121】
【表6】
【0122】
表7. スチューデントT検定。最終追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の表6に示したのと同様の抗体比較のためのp値。
【0123】
【表7】
【0124】
表8. P.ファルシパラムのCSに関する追加免疫の3ヶ月後のB細胞の免疫性(抗体力価)。中央値及びイライザ(SFU中)の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0125】
【表8】
【0126】
表9. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の表8に示したのと同様の抗体比較のためのp値。
【0127】
【表9】
【0128】
表10. 相乗平均の比率*。T細胞及びB細胞の応答。Ad35を初回免疫ワクチンとして用いた。
【0129】
【表10】
【0130】
表11. 相乗平均の比率*。T細胞及びB細胞の応答。Ad35を初回免疫ワクチンとして用いた。
【0131】
【表11】
【0132】
表12. 最終ワクチン接種の2週間後におけるPfCSのN末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及び相乗平均ののエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0133】
【表12】
【0134】
表13. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の表12に示したのと同様のエリスポット比較のためのp値。
【0135】
【表13】
【0136】
表14. 最終ワクチン接種の3ヶ月後におけるPfCSのN末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及び相乗平均ののエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0137】
【表14】
【0138】
表15. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の表14に示したのと同様のエリスポット比較のためのp値。
【0139】
【表15】
【0140】
表16. PfCSのN末端に対するT細胞応答の相乗平均の比率*。Ad35CSを初回免疫ワクチンとして用いた。
【0141】
【表16】
【0142】
表17. CSのN末端に対するT細胞応答の相乗平均の比率*。Ad35CSを初回免疫ワクチンとして用いた。
【0143】
【表17】
【0144】
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【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】異種性の初回免疫/追加免疫ワクチン接種の処方計画、その後のCSのC末端に関するIFN−γエリスポット分析におけるT細胞の応答の測定。応答は最後の追加免疫後2週間測定した。水平バーは相乗平均を表す。
【図2】CSのC末端に関するIFN−γエリスポット分析にいて測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図3】追加免疫の2週間後にCSの繰り返し領域に関してイライザ法で測定した抗体反応。
【図4】追加免疫の3ヶ月後にCSの繰り返し領域に関してイライザ法で測定した抗体反応。水平バーは相乗平均を表す。
【図5】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)にIFN−γのエリスポットによって測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図6】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)にイライザ法で測定した抗体反応。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図7】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図8】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定した抗体反応。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図9】追加免疫の2週間後にCSのN末端に関するIFN−γのエリスポット分析で測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図10】追加免疫の3ヶ月後にCSのN末端に関するIFN−γのエリスポット分析で測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図11】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図12】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野に関する。具体的には、本発明は、アジュバントとの関連で組換え技術によって製造されたアデノウイルスベクター及び精製タンパク質を用いる熱帯熱マラリアの予防用の新規初回免疫/追加免疫ワクチン戦略に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアはこれまで世界中の熱帯及び亜熱帯地域において最も流行している感染症の一つである。マラリア感染は、発展途上国及び新興国において一年あたり2700万に及ぶ人々の命を奪っている。マラリアの広範な発生及び罹患率の上昇は薬剤耐性寄生虫及び殺虫剤耐性寄生虫ベクターの数が増加した結果である。他の要因としては、環境及び気候の変化、内紛及び人々の移動の増加が挙げられる。
【0003】
マラリアは、蚊によって運ばれるプラスモジウム属に属する住血原虫である寄生虫によって引き起こされる。プラスモジウム原虫の4つの種(P.ファルシパラム、P.ビバックス、P.オバール及びP.マラリアエ(P.falciparum, P.vivax, P.ovale and P.malariae))はヒトの疾病に関与する。P.ヨエリ及びP.バーゲイ(P.yoelii and P.berghei)のような他の多くは動物内で疾病を引き起こす。P.ファルシパラムはヒトにおいて多くの感染症の原因となり、また最も致死率が高い型である。マラリア原虫は4つの別々の段階からなるライフサイクルを持つ。これら段階のそれぞれが寄生虫及びこれに伴って生じる段階に特異的な抗原に対する特定の免疫応答を誘導できるが、自然に誘導されたマラリアは再感染を予防しない。
【0004】
マラリア原虫は、数種類のメスのハマダラカによってヒトに伝染する。感染した蚊は、スポロゾイト形態のマラリア原虫を哺乳動物の血流中に注入する。スポロゾイトは、肝細胞を侵す前数分間は血流中にとどまる。この段階において、寄生虫が細胞外環境に位置し、スポロゾイト表面の主成分であるスポロゾイト周囲(CS)タンパク質を主に対象にする抗体による攻撃にさらされる。一度肝臓に入ると、寄生虫は複製し、スキゾントになる。この段階の間に、侵入した寄生虫は無性増殖し、感染細胞当たり20,000に至る娘メロゾイトを産出する。寄生虫の細胞内段階の間において、宿主の免疫応答の主たる演者はT−リンパ細胞、特にCD8+Tリンパ球である(ロメロ等、1989年)。肝臓への感染の約一週間後、数千のメロゾイトが血流中に放出され、赤血球(RBC’s)に侵入し、抗体を介した免疫応答及びT細胞分泌サイトカインの標的となる。赤血球に侵入した後、メロゾイトは数段階の複製を受けて栄養型及びスキゾントに変態し、引き続き新規RBC’sに感染する新世代のメロゾイトを生み出す。この赤血球段階は顕在的な臨床疾患に関連する。栄養型の数がより少ないと、寄生虫の有性生殖段階であるオス又はメスの生殖母細胞に分化する。感染性の蚊が生殖母細胞を取り込んだ場合、これら配偶子の受精は接合体形成、及びその後のオーキネート、次にオーシスト、最後にスポロゾイトに形質転換し、これは唾液腺に移動し生活環を完了する。
【0005】
寄生虫の生体内への侵入によって生じる病原体特異的免疫応答の2つの主たる機関は細胞性及び体液性のものである。一機関である細胞応答は、免疫応答に関与するCD8+及びCD4+T細胞に関する。細胞障害性Tリンパ球(CTL’s)はCD8を発現しており、その表面に病原性抗原を発現している感染細胞を特異的に殺すことができる。CD4+T細胞又はヘルパーT細胞は、CTL’sの分化を援助し、種々のサイトカインを産生し、またB細胞を誘導して分裂すること及び抗原に特異的な抗体を産生することを助ける。体液性反応の間に、特定の抗原に対して特異的なB細胞が活性化され、複製され分化し、また抗原特異的な抗体を産生する。
【0006】
両機関の免疫応答はマラリア感染に対する防御に関連する。感染性のスポロゾイトが肝臓に移動し肝細胞に侵入する場合、スポロゾイトは短時間感染細胞外で過ごしてから細胞内病原体となる。この段階では、CD8+T細胞及びCD4+T細胞が特に重要である。その理由は、これらT細胞及びこれらの生成するインターフェロンγ(INF−γ)のようなサイトカインが感染した宿主肝細胞を殺すことに寄与するからである。マウスのマラリアモデルにおける肝臓の細胞内寄生虫の除去は、肝臓段階の寄生虫により発現したペプチドに対するCD8+T細胞の応答に依存することが見出されている(ホフマン及びドーラン著、2000年)。CD8+T細胞の減少はスポロゾイトの攻撃に対する防御を阻害し、また未感染動物に対するCD8+T細胞の養子免疫伝達は防御を提供する。
【0007】
マラリア感染がRBCs中でメロゾイトが複製する赤血球段階に及ぶ場合、メロゾイトが血流中で自由に循環するのがまた見出されている。赤血球はT細胞との同種の相互作用に必要なクラスI又はクラスIIのMHC分子の何れかを発現しないので、抗体反応がこの段階で最も適切であると思われる。結論として、寄生虫がヒトの体内で発生する種々の段階に対処するために、強力な体液性免疫応答と同様に強力な細胞性免疫応答を誘導するのであれば、実現可能なマラリアワクチンへの取り組みが最も有益であろう。
【0008】
マラリアワクチン開発の最近の取り組みは、上記のような寄生虫の種々の分化の段階によって分類できる。実現可能なワクチンの3つのタイプを区別することができる。
−スポロゾイト及び/又はスキゾント感染肝細胞に対する赤血球外型ワクチン。歴史的に、この取り組みは(CS)に基づく方法が主流であった。感染の赤外段階は無症候性であるので、赤外型ワクチンが体液性及び細胞性免疫応答を介して感染自体を防ぐこと、及びマラリアの潜伏感染を完全に防ぐことが理想的である。
−感染したRBC又はメロゾイト自身の何れかに対するもので、臨床的悪性度を最小化するように設計された無性血液期ワクチン。かかるワクチンは、罹患率及び致死率を減少させるであろうし、また寄生虫の赤血球への侵入及び/又は分化を予防することを意味するであろう。
−宿主の蚊において寄生虫の分化を阻害するように設計した移動阻害ワクチン。この型のワクチンは、人々に広がったマラリア感染率を減少させるのに有利であろう。
【0009】
最後に、寄生虫生活環の多くの段階を標的にする混合マラリアワクチンを開発する実現可能性については、いわゆる多成分及び/又は多段階ワクチンによって追求されている。
【0010】
マラリアに対するワクチンの開発は30年以上前に始められているが、これまでのところマラリアに対して利用可能な市販のワクチンがない。放射線で減衰したスポロゾイトによる齧歯動物、非ヒトの霊長類及びヒトの免疫は、生育可能なスポロゾイトによるその後の攻撃に対する保護を付与する(ヌッセンツワイグ等、1967年;クライド等、1973年)。しかしながら、この放射線照射したスポロゾイトの製造用の費用及び実現可能な大規模培養系がないことが、これまでのところこのワクチンの広範な適用を妨げている(ルーク等、2003年)。
【0011】
今までのところ、ヒトに試験した最も見込みのあるワクチンの候補は、少数のスポロゾイト表面抗原に基づくものであった。CSタンパク質は、蚊によって運ばれる感染症のヒトに対する能動免疫法の原理に基づいて使用された際に、しばしば不十分なレベルであるが、マラリアを絶えず予防することが立証された唯一のP.パルシパラムの抗原である。理論分析は、ワクチン効率と同様にワクチンの被覆率が85%以上であるべきことを示し、さもなければ毒性の強い突然変異体が流行地を脱出し得ることを示していた(ゴードン等、2001年)。
【0012】
哺乳動物の免疫応答を誘導する一つの方法は、そのゲノム中で抗原をコードする核酸を宿す感染性ベクターを投与することである。こうしたキャリアの一つは、E1領域のような通常複製に必須であるゲノム中の領域を除去することによって複製欠損にした組換えアデノウイルスである。抗原をコードしている遺伝子を含む組換えアデノウイルスの例は当業者に既知である(国際公開第96/39178号)。例えば、HIV由来の抗原成分は、組換えアデノウイルスで送達した場合免疫応答を生じることが証明されている(国際公開第01/02607;国際公開第02/22080号;米国特許第6,733,993号)。哺乳動物において、組換えアデノウイルスに基づくワクチンが開発されている。これらのベクターは、マウスマラリアモデルの一つであるP.ヨエリ(P.yoelii)のCSタンパク質全長を発現し、これらのベクターは単一免疫量の応答によりマウス中でウイルス感染自体を防御する免疫(sterile immunity)を誘導できることを示した(ブルナ−ロメロ等、2001年)。CD8+T細胞は、このアデノウイルスで誘導された防御を主として仲介することが証明されている。
【0013】
個人の多くの割合がアデノウイルス抗原型5(Ad5)のような一般に使用されるアデノウイルスベクターに対して前もって免疫を有しているので、組換え複製欠損アデノウイルスが、わずかな割合の健常人においてのみ中和抗体の形態で前もって存在する免疫に遭遇する抗原型に基づくことを特徴とする新技術が当業者によって開発されている。これら抗原型を一般に低中和抗原型、又は希少抗原型と称する。Ad11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50が特に有用であることが分かっている(国際特許第00/70071号、国際特許第02/40665号、国際特許第2004/037294号、国際特許第2004/083418号、ボーゲル等、2003年)。
【0014】
P.ファルシパラムのCSタンパク質を発現するプラスミドを含むDNAに基づくワクチンが、ビカル(Vical)社、サンディアゴ、カルフォルニア、米国、及びナーバルメディカルリサーチセンター(Naval Medical Research Center)によって開発された(ホルン等、1995年)。マウスモデルにおける研究は、プラスミドDNA免疫後の抗原特異的なCTL及び抗体反応の誘導を証明した(ドーラン等、1998年)。しかしながら、これまでのところDNAワクチンの単独使用は、ヒトの防御免疫応答の誘導に関して次善の策であることが証明されている。DNAワクチンを用いると、空気乾燥スポロゾイトに対する間接蛍光抗体試験(IFAT)及び組換え合成ペプチドに対するイライザ法で評価されているように(ワン等、2001年)、CTL応答は顕著であるにもかかわらず、予防接種志願者はCSタンパク質に対する抗体を発現しないことが見出されている。
【0015】
一方、 RTS,S(精製タンパク質)マラリアワクチンによる取り組み(ゴードン等、1995年、米国特許第6,306,625号、国際公開第93/10152号)は、Th1型の体液性及び細胞性免疫の強力な誘導剤であるけれども、CSタンパク質に対する強い抗体反応を誘導できる(ケスター等、2001年、ストート等、1997年及び1998年)。このワクチンが受容者の約半数を繰り返し保護することが最も重要なことである。しかしながら、RTSによって誘導される保護は持続期間が短い(ストート等、1998年)。RTS,Sによる免疫は抗CS抗体及びCD4+T細胞依存的IFN−γの応答を誘導するが、CD8+T細胞依存的CTL又はIFN−γの応答は弱い(ラルバニ等、1999年)。しかしながら、生成するこれらごく少量のCD8+反応は、臨床試験における予防に関連することが証明されてきている(サン等、2003年)。従って、合理的な改良は、RTS,Sによって誘導されるCSに対するCD8+T細胞の応答の誘導の増強に集中するであろう。
【0016】
少なくとも85%の予防効果を有する熱帯熱マラリアワクチンの開発するという課題はまだ達成されていない。この課題は、はしか及び天然痘のようなしばしば致死的である他の疾患と異なり、マラリアの事前露曝及び自然免疫の発達がその後のマラリア感染を予防しないため特に困難である。最近試験された全てのワクチンの候補及びワクチンの送達方法の中で、RTS,Sのみが、あるレベルの持続的な予防性を有する。他の試験された候補は、免疫原性が不十分であるか、又は免疫原性であるが予防性がないかの何れかであった。本願は、組み換え体の複製欠損アデノウイルスベクターによって提供される細胞反応の優れた誘導性を有し、タンパク質/アジュバント法の最適な血清学上の免疫原性を生かすように設計したワクチン処方物の有利な組み合わせについて記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸をからなる適当な賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、好ましくはマラリアを引き起こす寄生虫由来のアジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とする。好ましいタンパク質性抗原はRTS.Sからなる。前記マラリアを引き起こす寄生虫は熱帯熱マラリア原虫であることが好ましい。
【0018】
他の実施態様において、本発明は、熱帯熱マラリア原虫ようなマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスと、好ましくは該マラリアを引き起こす寄生虫由来であるアジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用の薬剤の製造への使用に関し、該組換えアデノウイルスが類人猿アデノウイルス若しくは、ヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49又は50であることを特徴とする。
【0019】
本発明は、ある種の好ましい初回免疫−追加免疫の処方計画を開示し、この場合複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用するのが好ましい。
【0020】
また、本発明は、哺乳動物にマラリア感染に対する予防接種をする方法に関し、該哺乳動物をアデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸をからなる適当な賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで初回免疫するステップと、前記哺乳動物をアジュバント化タンパク質性抗原、好ましくはRTS,Sで追加免疫するステップとを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸からなる製薬学上望ましい賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、アジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とする。該組換えアデノウイルスはヒトアデノウイルスの抗原型35であることが好ましい。また、本発明のキットは、前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることが好ましい。該タンパク質性抗原は、HbsAgを具えるリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HbsAg)の表面抗原と融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることが好ましい。更に好ましい実施態様において、タンパク質性抗原はRTS,Sからなる。また、タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLで、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でアジュバント化するのが好ましい。
【0022】
種々の寄生虫がヒトにマラリアを引き起こすことが当業界で既知であるけれども、本発明の一つの実施態様は、前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする本発明によるパーツのキットである。
【0023】
適切な免疫応答のために、前記異種性の核酸は、哺乳動物、特にヒトにおいてコードされているタンパク質の生成を上昇させるためにコドンが最適化されていることが好ましい。組換えアデノウイルスはアジュバントとの混合物中に存在していてもよい。
【0024】
ヒト遺伝子治療又はワクチン接種への使用に対する類人猿のアデノウイルスの適用について、当業者はよく理解している。これに加えて、イヌ科及びウシ科のアデノウイルスのような他の非ヒトアデノウイルスがインビトロで人に感染することが見出され、従ってヒトサンプルにおける血清陽性率が低いためにヒトへの使用に適用可能でもある。従って、また本発明は、アデノウイルスはコドンを最適化した熱帯熱マラリア原虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸からなる製薬学上適合する賦型剤中の複製欠損組み換え類人猿、イヌ科又はウシ科のアデノウイルスと、RTS,Sからなるアジュバント化タンパク質性抗原とを備えるパーツのキットに関し、この場合前記タンパク質性抗原を含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLでアジュバント化することが好ましい。
【0025】
開示したパーツのキットの種々の成分を特定の順で投与した場合、免疫応答に関する思いがけない、また飛躍的な結果をもたらすある種の初回免疫−追加免疫の処方計画を本発明により開示する。従って、本発明は、前記複製欠損組換えアデノウイルスが初回免疫配合物で、また前記アジュバント化タンパク質性抗原が追加免疫配合物であることを特徴とする本発明によるパーツのキットにも関する。ワクチンの単回投与(初回免疫)により誘発された免疫応答は、しばしば効果的に及び/又は持続的に有効保護を提供するためには十分ではない。繰り返し投与(追加投与)は、ワクチン抗原(例えば、エストコート等、2002年を見ること)に対する体液性及び細胞性の応答を著しく増強できる。
【0026】
また、本発明は、において、本発明は、マラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスと、アジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用の薬剤の製造への使用に関し、この場合前記組換えアデノウイルスが類人猿、イヌ科、ウシ科アデノウイルス又はヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49もしくは50であることを特徴とし、ここで前記複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、前記アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用することが好ましい。本発明の1つの実施態様によれば、前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫、好ましくは熱帯熱マラリア原虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントであることを特徴とする本発明の使用に関する。前記タンパク質性抗原は、HbsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HbsAg)由来の表面抗原と融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなるのが好ましい。RTS,Sは好ましいアジュバント化タンパク質性抗原であり、また好ましいアジュバントは、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLである。
【0027】
哺乳動物、好ましくはヒトにおける最適の発現に続く最適の免疫応答に対しては、本発明で使用する異種性の核酸を、哺乳動物、好ましくはヒトにおいてコードしているタンパク質の生成を増加させるためにコドンを最適化している。
【0028】
他の実施態様において、本発明は、前記哺乳動物をマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで初回免疫するステップと、前記哺乳動物をHbsAgとのリポタンパク質粒子の形態でHbsAgに融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなるアジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫するステップとを備えるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法に関する。タンパク質性抗原はRTS,Sからなることが好ましく、アジュバントは、好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でQS21及び3D−MPLであることが好ましく、一方、マラリアを引き起こす寄生虫は熱帯熱マラリア原虫であることが好ましい。
【0029】
組換えアデノウイルスを産生するのに用い、かつ本発明の方法に用いるのに好ましいアデノウイルスは、組み換えウイルスを投与すべき宿主(ヒト)において前もって存在する免疫に遭遇しないアデノウイルスを使用することが非常に好ましいので、類人猿、イヌ科又はウシ科アデノウイルスのようなヒト又は非ヒトのアデノウイルスとすることができる。サルアデノウイルス及びヒトアデノウイルスのある種の抗原型が、ここに開示されているとおり、この目的に非常に適している。本発明の方法、使用及びパーツのキットに使用するのに好ましいヒトアデノウイルスは、ヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、44、48、49及び50である。
【0030】
更に、本発明は、本発明によるパーツのキットを用いるマラリア感染のための哺乳動物の予防接種の方法に関する。本発明のパーツのキットを、ここに開示した好ましい初回免疫−追加免疫の処方計画を用いて哺乳動物のマラリア感染に対する予防接種に使用した場合、追加免疫はその後に1回以上の追加免疫を続けることが好ましい。
【0031】
本発明は、組み換えアデノウイルスの少なくとも一つのマラリア抗原のキャリアとしての使用、及び初回免疫/追加免疫の処方計画における1つのアジュバント化タンパク質との異種性の組み合わせでの使用に関する。意外にも、異種性の初回免疫/追加免疫の処方計画におけるウイルスベクターとアジュバント化タンパク質との組み合わせが、霊長類における初期T細胞の応答及び免疫応答の寿命の観点で優れた免疫応答をもたらすことを見出した。特に、抗原をコードする核酸を担持するウイルスベクターで哺乳動物を初回免疫し、次いで単回又は複数回の何れかでタンパク質性抗原を注射することにより追加免疫すると、定性及び/又は定量的な免疫応答の観点で優れた結果をもたらすことを見出した。好ましいウイルスベクターは、アデノウイルスベクターであり、ヒトアデノウイルスベクターが更に好ましく、投与された哺乳動物宿主において低レベルの中和活性をもたらすヒトアデノウイルスベクターがまた更に好ましい。非常に好ましい抗原型はアデノウイルス11、24、26、34、35、44、48、49及び50である。
【0032】
1つの好ましい実施態様によれば、タンパク質性抗原及びウイルスベクターがコードしている抗原はマラリア抗原であり、更に好ましくは熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質、又はその免疫原性の誘導体及び/又はフラグメントである。この考え方の一例として、ウイルスベクターがコードしているポリペプチドはN末端部分、中央部繰り返し領域、及びC末端部分(14個の最末端のC末端アミノ酸、すなわちGPIアンカー配列の欠失を有する)を含むP.ファルシパラムのCSタンパク質をコードする核酸からなり、タンパク質性抗原はN末端領域を欠失したRTS,Sのコンストラクトからなる。
【0033】
本発明のいくつかの又は全ての態様において使用するためのアジュバント化タンパク質性抗原は、P.ファルシパラム由来のCSタンパク質、又はその免疫原性フラグメントを含んでもよく、これは融合タンパク質の形態でもよい。例えば、抗原はB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原と融合したCSタンパク質又は免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質とすることができ、該ハイブリッドタンパク質は原核生物又は真核生物の宿主に発現させてもよく、又リポタンパク粒子の形態を取ってもよい。融合タンパク質は、例えばCSタンパク質の実質的にすべてのC末端部分、すなわち免疫優性領域の4以上のタンデムリピート及びB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原を含んでもよい。例えば、ハイブリッドタンパク質はCSタンパク質のC末端部分と実質的に相同な少なくとも160アミノ酸を含む配列からなり、CSタンパク質のC末端由来の末端アミノ酸、例えば最後の10−12アミノ酸を欠いてもよい。ハイブリッドタンパク質は、例えばHBsAgとの混合リポタンパク粒子の形態でもよい。
【0034】
特に、“RTS*”と表示されているが、本願では“RTS”と言及している国際公開第93/10152号で開示されているようなハイブリッドタンパク質を提供するが、これは本願でRTS,Sと示しているHBsAgとの混合リポタンパク粒子の形態でもよい。混合粒子中のハイブリッドタンパク質:S抗原の比率は例えば1:4である。
【0035】
本願で“RTS”と表すハイブリッドタンパク質は、P.ファルシパラムNF54(クローン 3D7;カスパース等、1989年)由来のCSタンパク質遺伝子配列を用いて生成し、P.ファルシパラムNF54由来のCSタンパク質の領域207から395の実質的全長を含む。RTSに含まれるNF54(3D7)CSタンパク質配列の部分は、以下の189アミノ酸の配列である。
【0036】
【化1】
【0037】
特に、RTSは、
・サッカロマイセス セレビシエTDH3遺伝子配列(このヌクレオチド1−1058の読み枠はTDH3プロモーターそれ自体を構成する)由来のヌクレオチド1059−1061でコードされるメチオニン遺伝子(ムスチ等、1983年)。
・3つのアミノ酸:ハイブリッド遺伝子を構成するのに使用したクローニング手順によって作ったヌクレオチド配列(1062−1070)由来のメチオニン アラニン プロリン
・P.ファルシパラムのNF54株のCSタンパク質のアミノ酸207から395を示す1071−1637によってコードされている189アミノ酸の範囲(上記の配列ID NO:1によって与えられる)(クローン3D7,カスパール等、1989年)
・ハイブリッド遺伝子を構築するのに使用したクローニング手順によって作ったヌクレオチド1638から1640でコードされるアミノ酸(Gly)
・ヌクレオチド1641から1652でコードされ、B型肝炎ウイルス(アデノウイルスの抗原型)のpreS2タンパク質の4つのカルボキシ末端残基を表す4つのアミノ酸であるプロリン バリン トレオニン アスパラギン(バレンズエラ等、1979年)
・ヌクレオチド1653から2330でコードされ、B型肝炎ウイルス(アデノウイルスの抗原型)のSタンパク質を特定する226アミノ酸の範囲(バレンズエラ等、1979年)
【0038】
RTSは、RTS:Sの比率が例えば1:4の混合粒子であるRTS,Sの形態でもよい。
【0039】
本発明はマラリア抗原に特に限定されないが、アジュバント化タンパク質性マラリア抗原と組み合わせたマラリア抗原をコードするウイルスベクターを用いて本発明を詳細に説明する。当業者は、寄生虫、バクテリア、ウイルス、酵母又は更に、特に限定されないが、腫瘍抗原(例えばPSA、gp100、CEA、MUC1、Her2/neu)などの自己抗原を含む他の病原体由来の異なる抗原の挿入及びその対応するタンパク質性抗原を用いることにより、ここに提供した一般的な教唆を修正することが可能であろう。
【0040】
本発明は熱帯熱マラリア原虫の抗原をコードする異種性の核酸配列を備える複製欠損組み換えアデノウイルスベクターに関する。好ましい実施態様において、前記ウイルスベクターはAd11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50からなる群から選択した抗原型に由来するアデノウイルスである。このようにヒトアデノウイルスを選択する理由は、概して、アデノウイルスのワクチンとしての使用が、通常、ヒトは風邪のような軽度の又は不顕在性の病気を生じる野生型のアデノウイルスに感染しているという事実に妨害されるからである。アデノウイルスを適用したマラリアに対するワクチンのようなその後の組み換えワクチンベクターとして使用する場合に、親の野生型の抗原型での感染中に上昇する免疫応答は、組み換えアデノウイルスの抗原型の有効性に負の影響を及ぼしうる。ヒトの世界人口における種々のアデノウイルス抗原型の蔓延は、ある地域とその他の地域で異なっている。当業者のいくつかの報告に概説されているとおり、一般に、好ましい抗原型は世界の多くの地域の宿主において低い中和活性に遭遇する。
【0041】
本発明者等は、異種性の初回免疫/追加免疫と呼ばれる連続的なワクチン接種スキームにおける組み換えアデノウイルスと精製タンパク質間の新規な組み合わせを作製してきており、このスキームは初回免疫/追加免疫ワクチンの種々の成分によって誘導される種々の免疫応答を利用する。組換えベクターの選択は、ワクチン接種を必要とする低い割合のヒト人口において活性を中和するのに遭遇するものにより影響を受ける。驚くべきことに、アデノウイルスベクターの抗原及びアジュバント化タンパク質抗原の組み合わせが、何れかのワクチンのみを用いたときに見られるものを超えて免疫応答に著しい改善をもたらす。免疫の増強は、ここに開示したように、アカゲザルの生体内に付与された免疫応答をインビトロで検出することによって説明される。
【0042】
他の実施態様において、組み換え複製欠損アデノウイルスはチンパンジーから単離されたような類人猿のアデノウイルスである。適当な例としてはC68(米国特許第6,083,716号のPan 9として知られている)並びにPan5, 6及び7(国際公開第03/046124号)が挙げられる。
【0043】
本発明の一つの特定の態様において、複製欠損組換えアデノウイルスベクターは、CSタンパク質若しくはその免疫原性部分又はフラグメントをコードしている核酸配列からなる。前記異種性の核酸配列は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて発現を上昇させるためにコドンを最適化していることが好ましい。コドンの最適化は必要な核酸の内容、すなわち関心のある哺乳類における一般的な最適コドン使用頻度及び適切な発現を保証するために避けるべき態様の数に基づく。かかる態様には、スプライシングの供与サイト又は受容サイト、終止コドン、Chiサイト、ポリ(A)配列、GC−及びAT−の豊富な配列、内部のTATAボックスなどでもよい。哺乳類宿主に対するコドン最適化の方法は当業者に周知で、また分子生物学文献中の様々な箇所で見出すことができる。
【0044】
好ましい実施態様において、本発明は本発明による複製欠損組換えアデノウイルスベクターに関し、この場合前記異種性の核酸中のアデニンとチミンの含量がシトシンとチミンの含量と比べて87%未満、好ましくは80%未満、更に好ましくは59%未満、また最も好ましくは約45%に等しい。本発明は、一つの実施態様において複製欠損組換えアデノウイルスベクターを提供し、ここでCSタンパク質が国際公開第2004/055187号中で開示されたようなCSタンパク質の何れかであり、最も好ましくはP.ファルシプラム由来のCSタンパク質又はその免疫原性のフラグメントである。
【0045】
異種性の遺伝子を宿す組換えアデノウイルスベクターの作製は当業者に周知で、通常パッケージング細胞株、アダプターコンストラクト及びコスミドの利用、並びにアデノウイルスゲノム由来のE1領域の少なくとも機能性部分の欠失を含む(また、以下のパッケージング系及び好ましい細胞株を参照)。
【0046】
また、本発明は、一方の成分として宿主において低い中和活性に遭遇する組換えアデノウイルスベクター、また他方として精製タンパク質を備えるキットに関し、この場合精製タンパク質をアジュバントとの混合物で供給することが好ましい。好ましいアジュバントはQS21及び3D−MPLであり、含コレステロールリポソームとの処方物が好ましい。これら成分を異種性の初回免疫/追加免疫ワクチン送達方法に使用し、ここで組換えアデノウイルスベクターを初回免疫剤として先ず投与し、次いで精製たんぱく質を追加免疫剤として投与するのが好ましく、追加免疫は1回を超えて繰り返すことができる。前記成分は、通常製薬学的に許容されるキャリアに保持される。製薬学的に許容されるキャリアは当業者に周知で、幅広い治療薬において広く使用されている。ワクチン中でよく機能するキャリアを適用することが好ましい。アジュバントを更に含むワクチンがより好ましい。アジュバントは適用した抗原に対する応答を更に増強することについて当業者は既知である。また、本発明は、マラリアの治療、予防又は診断への本発明によるキットの使用に関する。
【0047】
本発明は、マラリアに感染した哺乳動物を治療する方法又は哺乳動物へのマラリアの感染を予防する方法に関し、該方法はP.ファルシパラムの抗原を運ぶ組換えアデノウイルスを(何れかの順で、又は同時に)投与するステップと、及び少なくとも一つの精製P.ファルシパラムの抗原を投与するステップとを備え、ここで前記タンパク質をアジュバントと混合する。組み換えアデノウイルスをAd11、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad48、Ad49及びAd50からなる群から選択することが好ましく、また組換えアデノウイルスがCSタンパク質をコードしている遺伝子、又はその免疫原性のフラグメントを宿していることが好ましい。組換えアデノウイルスと組み合わせて使用する精製タンパク質はRTS,Sが好ましく、アジュバントは好ましくは含コレステロールリポソームとの処方でのQS21及び3D−MPLが好ましい。
【0048】
免疫応答の発達を手助けする駆動力は、サイトカイン、すなわち免疫系の細胞を助け、またTh1又はTH2反応の何れかに対する最終免疫応答を導くために働く多数の同定されたタンパク質メッセンジャーである。従って、高レベルのTh1型サイトカインは所定の抗原に対する細胞性免疫応答の誘導を助ける傾向があり、一方高レベルのTh2型サイトカインは抗原に対する体液性免疫応答の誘導を助ける傾向がある。Th1型及びTh2型の免疫応答の区別が絶対的でないことを思い出すことが重要である。実際のところ、個々が主にTh1又は主にTh2であるとされる免疫応答に対応するであろう。しかしながら、モスマン及びコフマン(Mosmann and Coffman)(1989年)によりマウスCD4+T細胞クローンに記載されたものに関連してサイトカインのファミリーを検討することがしばしば便利である。伝統的に、Th1型の応答は、Tリンパ球によるINF−γ及びIL−2サイトカインの生成に関連する。しばしばTh1型の免疫応答の誘導に直接関連したIL−12のような他のサイトカインは、T細胞によって産生されない。それに対して、Th2型の応答はIL−4、IL−5、IL−6、IL−10及び腫瘍回壊死因子(TNF−ss)の分泌に関連する。
【0049】
本発明の使用に適するアジュバントとしては水酸化アルミニウムゲル(alum)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩が挙げられるが、またカルシウム、鉄もしくは亜鉛の塩でもよく、或いはアシル化チロシンの不溶性分散液、又はアシル化糖、陽イオン的にもしくは陰イオン的に誘導したポリサッカライド、ポリホスファゼン、もしくはモンタニドリポソームでもよい。
【0050】
本発明で使用するためのワクチンの処方物において、アデノウイルスベクターとの関連で、アジュバントを投与してもよいし、又は投与しなくてもよい。組合わせ物のタンパク質成分の場合、アジュバント配合物を選択して優先的なTh1応答を誘導することができる。更に、他の体液性応答を含む別の応答を誘導することもできる。
【0051】
ある種のワクチンアジュバントが、Th1又はTh2型サイトカイン応答の何れかの刺激に特に適している。伝統的に、ワクチン接種又は感染後の免疫応答におけるTh1:Th2のバランスの最もよい尺度としては、抗原による再刺激後のTリンパ球によるTh1又はTh2サイトカインの生成のインビトロでの直接測定及び/又は抗原特異的抗体反応のIgG1:IgG2の比率の測定が挙げられる。すなわち、Th1型アジュバントは、インビトロで抗原によって再刺激した際に、単離したT−細胞集団を刺激して高レベルのTh1型サイトカインを生成し、Th1型イソタイプに付随した抗原特異的な免疫応答を誘導するものの一つである。例えば、本発明の使用に適したアジュバントを生成するのに処方し得るTh1型免疫賦活剤は、モノホスフォリル脂質A、特に3−de−O−アシル化モノホスフォリル脂質A(3D−MPL)を含むことができる。3D−MPLはリビイミュノケミストリー社(Ribi Immunochem、モンタナ)によって製造された周知のアジュバントである。化学的に、これは4、5又は6アシル鎖の何れかを具える3−de−O−アシル化モノホスフォリル脂質Aの混合物としてしばしば提供される。これは英国特許第2122204B号に教示された方法によって精製及び調製でき、またこの参考文献はジホスフォリル脂質A及びその3−O−脱アシル化変異体も開示している。他の精製及び合成リポ多糖体が記載されている(米国特許第6,005,099号、欧州特許第0,729,473 Bl、欧州特許第0549074 Bl)。一つの実施態様において、3D−MPLは直径0.2μm未満の小粒径を有する粒状処方物の形態であり、その製造方法が欧州特許第0689454号に開示されている。
【0052】
サポニンは、本発明と共に使用できるTh1免疫賦活剤の別の例である。サポニンは周知のアジュバントである。例えば、Quil A (南アメリカの木であるシャボンノキ(キラヤ)の樹皮に由来する)及びこの留分が、米国特許第5,057,540号及び欧州特許第0362279 Bl号に開示されている。溶血性のサポニンQS21及びQS17(Quil Aの高速液体クロマトグラフィー精製画分)が、効能のある全身性アジュバントとして記載されており、その製造方法が米国特許第5,057,540号及び欧州特許第0362279 Bl号に開示されている。また、これらの参考文献にQS7(Quil Aの非溶血性画分)の使用が記載されており、これは全身性ワクチン用の効能のあるアジュバントとして働く。QS21と、ポリソルベート又はシクロデキストリンとの組み合わせもまた既知である(国際公開第99/10008号)。QS21及びQS7のようなQuilA画分を備える粒状アジュバント系が国際公開第96/33739号及び国際公開第96/11711号に記載されている。
【0053】
免疫賦活剤の別の例は、非メチル化CpGジヌクレオチド(”CpG“)を含有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドである。CpGはDNA中に存在するシトシン−グアノシンジヌクレオチドモチーフの略語である。CpGは全身性経路及び粘膜性経路の両方で投与する場合のアジュバントとして当業者に既知である(国際公開第96/02555号、欧州特許第0468520号)。歴史的に、バチルス カルメット−グエリン(BCG)のDNA画分が抗腫瘍効果を発揮しうることが観察された。更なる研究において、BCG遺伝子配列由来の合成オリゴヌクレオチドが免疫刺激性の効果を(インビトロ及びインビボの両方で)誘導できることを示した。これら研究の著者達は、中央のCGモチーフを含むある種の回文配列がこの活性を担っていると結論を下した。詳細な分析は、CGモチーフが特定の配列関係になければならないこと、またかかる配列が細菌のDNAにおいて一般的であるが脊椎動物のDNAにおいて希であることを示した。免疫刺激性配列はしばしばプリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジンであり、ここでCGモチーフがメチル化されないが、他の非メチル化CpG配列が免疫刺激性であることが知られており、本発明で使用してもよい。
【0054】
6つのヌクレオチドのある種の組み合わせにおいては回文配列が存在しているかもしれない。一つのモチーフの繰り返し又は異なるモチーフの組み合わせの何れかであるこれらのモチーフのいくつかは、同じヌクレオチド中に存在しうる。オリゴヌクレオチドを含む一以上のこれら免疫刺激性配列の存在は、ナチュラルキラー細胞(インターフェロンγを産出し、細胞溶解活性を有する)及びマクロファージを含む様々な免疫小集団を活性化することができる。また、このコンセンサス配列を持たない配列を含む他の非メチル化CpGは、これまでのところ免疫調節性であることを示している。ワクチン中に処方する場合、CpGは一般に遊離の抗原と共に自由溶液中で投与する(国際公開第96/02555号、68)か、又は抗原に共役共有結合する(国際公開第98/16247号)か、若しくは水酸化アルミニウムのようなキャリアで処方する(肝炎表面抗原)。
【0055】
上記のような免疫賦活剤は、例えばリポソーム、水中油エマルジョン及び/又はアルミニウム塩(水酸化アルミニウムのような)を含む金属塩と共に処方してもよい。例えば、3D−MPLは水酸化アルミニウム(欧州特許第0689454号)又は水中油エマルジョン(国際公開第95/17210号)で処方することができ、QS21は含コレステロールリポソーム(国際公開第96/33739号)、水中油エマルジョン(国際公開第95/17210号)又はalum(国際公開第98/15287号)で有利に処方することができ、CpGはalum又は他の陽イオン性キャリアで処方することができる。
【0056】
また、モノホスフォリル脂質Aとサポニン誘導体の組み合わせ(国際公開第94/00153号、国際公開第95/17210号、国際公開第96/33739号、国際公開第98/56414号、国際公開第98/05355号、国際公開第99/12565号、国際公開第99/11241号)又は国際公開第94/00153号に開示されているように QS21と3D−MPLの組み合わせのような免疫賦活剤の組み合わせを使用しても良い。或いは、本発明において、CpGとQS21のようなサポニンとの組み合わせを使用しても良い。従って、適当なアジュバント系は、例えば3D−MPLのようなモノホスフォリル脂質Aとアルミニウム塩との組み合わせを含む。他の実施態様は、国際公開第94/00153号に開示されたQS21と3D−MPLの組み合わせのようなモノホスフォリル脂質Aとサポニン誘導体、又は国際公開第96/33739号に開示された含コレステロールリポソーム中でQS21を失活させた反応性の低い配合物とを組み合わせる。水中油エマルジョン中にQS21、3D−MPL及びトコフェノールを含む他のアジュバント処方物が国際公開第95/17210号に開示されている。他の実施態様においては、CpGオリゴヌクレオチドを単独で又はアルミニウム塩と共に使用する。
【0057】
本発明の使用に適したアジュバントは選択的Th1刺激性アジュバント、例えばQS21のようなサポニン又は3D−MPLのようなモノホスフォリル脂質A誘導体を備えるアジュバント又はこれら両方を任意に含コレステロールリポソームと共に含むアジュバントである。含コレステロールリポソームとの処方におけるQS21と3D−MPLの組み合わせは、例えば国際公開第96/33739号に記載されている。
【0058】
本発明の利点は多種多様である。組み換えアデノウイルスのような組み換えウイルスは、安全であると見なされ、また動物又はヒト由来の如何なる成分も含まない培地を用いる高容量の懸濁液中で生育できる細胞を用いて非常に高い力価に産生することができる。また、組み換えアデノウイルスは、アデノウイルスゲノム中の異種性の核酸の配列によってコードされているタンパク質に対して、劇的な免疫応答を引き出すことが既知である。本発明は、P.ファルシパラムのスポロゾイト周囲遺伝子を宿すベクターにおけるこれらの特徴を追加免疫応答に対するアジュバント化タンパク質の使用と組み合わせる。更に、遺伝子のコドンを最適化してヒトにおける適切な応答を付与するに適した発現レベルを提供する。本発明は、高力価の中和抗体に遭遇しないアデノウイルスを使用することによりマラリア感染に対するワクチンを提供する。この目的に著しく好適なアデノウイルスは、抗原型11及び35(Ad11及びAd35、国際公開第00/70071号及び国際公開第02/40665号を見ること)である。
【0059】
P.ファルシパラムのようなマラリアを引き起こす寄生虫と、ヒトのような興味のある宿主との間の核酸の内容は大きく異なる。本発明は、ヒトのような哺乳動物において高い発現レベルをもたらすコドンに最適化した核酸を提供する。
【0060】
ここに開示するような初回免疫/追加免疫の処方計画のための異なる構成要素の使用は、免疫系の細胞性及び体液性部分の両方の適切な免疫応答をもたらすワクチン方法を提供する。これはCD8+T細胞、CD4+T細胞又及び抗体を含む。これらワクチン単独では、抗原特異的なCD8+T細胞、CD4+T細胞及び抗体の適正水準を生じる持続的な免疫応答を確立しない。更に、異なった成分を投与する順序は、これら免疫応答を変え、また将来の感染に対してなし得る防御の異なる期間を引き起こす可能性がある。本発明の方法及びキットは、自由に循環しているスポロゾイト及びメロゾイトから感染した肝細胞及びRBCsまでのヒトの中での寄生虫の生活環のすべての異なる段階に対応する免疫応答を引き起こすことができる。更に、長期間にわたるマラリア感染に対する持続的な防御を提供する。
【0061】
好ましい実施態様において、本発明は、アデノウイルスゲノムの少なくともE1領域を除去することによる複製に欠陥のある組み換えアデノウイルスの利用に関するが、これはE1領域が新規に精製されるウイルスの複製−、転写−、翻訳−及びパッケージング過程に必要であるからである。E1除去ベクターは、一般に除去したE1機能を補完する細胞株で作成する。組み換えウイルスの作成用のこういった細胞株及びその利用については、当業者によって広く記述され、またよく知られている。応用微生物学研究センター(CAMR、英国)の欧州動物培養細胞コレクション(ECACC)でECACC番号第96022940号として寄託されている細胞によって代表されるPER.C6細胞(著作権)、又はこの変異体を使用することによって複製可能なアデノウイルス(rca)の生成を予防することが好ましい。別の好ましい実施態様において、細胞はアデノウイルスの抗原型5(Ad5)に由来するもの以外の組み換えアデノウイルスの増殖を支持するために適用されている。HER細胞をAd35由来のE1で不死化させること、又はPER.C6細胞(著作権)がB型アデノウイルスの適切な相補性を提供するように更にAd35のE1遺伝子を含ませることにより作製した組み換え複製欠損Ad35で作成される組み換え複製欠損Ad35のような他のアデノウイルスの抗原型と同様に、Ad5のrcaを含まないアデノウイルスストックを得る方法及び手段に関する参考文献は、国際特許第97/00326号、国際特許01/05945号、国際特許01/07571号、国際特許 00/70071号、国際特許02/40665号及び国際特許99/55132号として発行されている。
【0062】
既刊の文献である国際公開第00/03029号、国際公開第02/24730号、国際公開第00/70071号及び国際公開第02/40665号においては、誤ってAd50がAd51と命名されていることに注意すべきである。言及した文献中で述べられている抗原型Ad51は、デ ヨン等(1999年)による出版物中でB型アデノウイルスとして示されているAd50抗原型と同じである。明確にすると、ここで使用したAd50は、デ ヨン等(1999年)によって言及されたBグループのAd50抗原型である。
【0063】
本発明のワクチンは、通常、例えばAd/タンパク質、タンパク質/Ad、タンパク質/Ad/Ad、Ad/タンパク質/Ad、Ad/Ad/タンパク質、Ad/タンパク質/タンパク質/タンパク質、Ad/タンパク質/ウイルスベクター/タンパク質などのような初回免疫/追加免疫の順序で使用する。更にもう一種類のワクチン(アデノウイルスと異なる裸のDNA又は組み換えウイルスベクターのような)を、本発明の初回免疫/追加免疫薬剤との組み合わせに適用してもよいと予想される。更に、マラリア抗原又は(ポリ)ペプチドを使用してもよい。
【0064】
核酸は、鋳型としてDNAの別々の断片を用いるPCRによっても得ることができるけれども、野生型ウイルスから得た野生型の配列から直接クローニングすることによって得ることができるのであれば、配列は、ここで使用したように、‘由来する’。また、このことはこのような配列が野生型及び変異型であるかもしれないことも意味する。同様の結果を得るための別の選択肢は合成DNAを組み合わせることによる。‘由来する’というのは、野生型DNAを直接クローニングすることのみを意味するものでないことが理解されるであろう。又、当業者は、特定の断片の核酸変異体を分子生物学的に得られることを知っているであろう。‘機能性部分、その誘導体及び/又は類似体’は、それらに関連する核酸配列に相当するものとして理解されるであろう。当業者は、ある種の欠失、組換え、(点)変異、付加などは、元の核酸配列と同様の機能を有する配列を生じ、かつて翻訳されたのと同様のもしくは同一のポリペプチドを生成するという事実を理解するであろう。従って、こういった核酸配列の機能を著しく変更しない改変は本発明の範囲内である。もし特定のアデノウイルスベクターが特定の最適なアデノウイルスの抗原型に由来するのであれば、最終生成物は直接クローニングすること及びゲノムDNAの特定の断片の合成のような当業者に既知の方法を用いる間接的な方法により得てもよいことが理解されるであろう。本発明の特定の態様を変更しないゲノム成分のある種の欠失、変異及びその他の変更もまた本発明の一部分であると見なされる。このような変更の例は、例えば異種性の核酸の断片のクローニングを可能にするウイルス骨格内の欠失である。こういった変異の例は、例えばE3の欠失或いはアデノウイルスのE2及び/又はE4タンパク質をコードしている領域の欠失及び/又は変更である。空間がアデノウイルスを詰め込むための制限要素であるため、こういったアデノウイルス骨格に適用する変更は当業者に既知でありしばしば適用される。このことがアデノウイルスゲノムの特定の部分を欠失させる主な理由である。ゲノムのE2、E3及び/又はE4領域を変更する他の理由は、例えば国際公開第03/104467号及び国際公開第2004/001032号に記載されているようなアデノウイルスベクターの安定性又は完全性に関係しているかもしれない。これらの適用は、その他アデノウイルスベクターの一つの細胞株の複製及びパッキング中におけるE4又はf6活性とE1B−55K活性の間の適合性を保証するための、あるサブグループ由来のウイルス骨格中での別のサブグループ由来の抗原型のE4又はf6遺伝子の使用に関する。更に、それらは、pIXのより高い発現レベル及びアデノルイスベクターの更なる安定性を獲得するため、適切に機能するpIXプロモーターの使用に関する。
【0065】
ここで用いる‘複製欠損’は、非相補性細胞内で複製されないウイルスベクターを意味する。相補性細胞において、複製、従ってウイルスベクターの生産に必要な機能は相補性細胞によって提供される。本発明の複製欠損ウイルスベクターは、相補性細胞以外の如何なる宿主細胞中において複製を可能にする要素のすべては宿していない。
【0066】
核酸と共にここで用いる‘異種性の’は、核酸配列が異種性の核酸をクローン化した野生型ウイルスベクター以外の別の起源に由来することを意味する。例えばアデノウイルスの場合、複製欠損ウイルスベクター中にクローン化した異種性の核酸はアデノウイルスの核酸配列ではなく、他の興味ある病原体に由来する。
【0067】
初回免疫−追加免疫ワクチン方法と組み合わせてここで用いる‘異種性の’は、これまでのところ業界で一般的な複数回投与される一成分というよりも、むしろ熟慮された組み合わせにおいて使用される一つの組み換え非複製アデノウイルスベクター及び一つのアジュバント化タンパク質によって例示される、2以上の別々の成分を意味する。
【0068】
ここで用いる‘抗原’は、決定要因が送達(投与)された宿主に応答を引き起こす起源に由来する如何なる抗原も意味する。抗原は例えば病原体、寄生虫のような外部起源、又は更に自己抗原に由来してもよい。本発明の複製欠損組み換えウイルスを用いて送達できる属原虫の抗原の例は、スポロゾイト周囲タンパク質(CS)、SE36ポリペプチド、メレゾイト表面タンパク質−1の19kDaのC末端ペプチド(MSR−1p19)、MSP−1、MSP−1p42、アピカルメトロゾイトアンチゲン−1(AMA−1)、肝臓期抗原1(LSA−1)又は肝臓期抗原−3(LSA−3)、又は前記の何れかのフラグメントである。好ましい態様において、本発明はP.ファルシパラム由来のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質に関する。
【0069】
ここで用いる‘コドンへの最適化’は、前記タンパク質をコードする遺伝子を送達する興味ある宿主中で、興味あるタンパク質を十分に高発現させるために変化させた配列の核酸成分を意味する。この文脈における十分に高い発現レベルとは、宿主中で感染及び疾病に対して防御のための応答を引き起こすために十分高いタンパク質のレベルを意味する。いくつかのワクチンがヒトに応答をもたらし、これにより予防接種した個人の約60%が病原体(例えばスポロゾイト)のその後の攻撃によって誘導される病気から防御されることが当業者に既知である。従って、発現レベルは、治療した個体の60%以上を次の感染から防御すれば十分であると考える。ここに記載したような適用可能なアデノウイルスの特徴と抗原の選択との組み合わせで上記割合を達成することができると思われる。個体の85%を防御することが好ましく、予防接種した宿主の90%を超えてその後の攻撃への防御がなされることが最も好ましい。本発明に開示した核酸をヒトでの発現のためにコドンへ最適化する。ナラム等(2001年)によれば、ヒトのDNAにおけるアデニンとチミン(A+T)の含量は、シトシンとグアニン(C+G)の割合と比較すると約59%である。P.ファルシパラムにおけるアデニンとチミンの含量は約80%である。P.ファルシパラムのCS遺伝子におけるアデニンとチミンの含量は約87%である。十分な防御を得るために、宿主において防御レベルを改善することが必要であると思われる。これを達成するための一つの方法は、同一の最終的なアミノ酸配列を維持するが、哺乳動物での発現のより典型的なコドン配列を使用するようにコドン使用頻度を調整することである。このために、本発明による複製欠損組み換えウイルスベクターは、本発明の異種性の核酸におけるアデニンとチミンの含量が87%未満、好ましくは80%未満、また更に好ましくは約59%未満又はそれに等しい。ヒトにおけるコドン使用頻度並びにP.ファルシパラム及びヨエリ(yoelii)のCS遺伝子の核酸の成分に基づいて、コドンを最適化した遺伝子の割合は幾分低く、本発明によって開示したアミノ酸含量に対して約45%に達していた。従って、CS遺伝子に関する限りは、約45%のアデニンとチミンの含量を有することが好ましい。異なるアデニンとチミンの濃度(59%未満又は以上)、及び/又は異なるコドン使用頻度を有するヒト以外の別の動物を治療する場合、本発明のCSタンパク質をコードしている遺伝子を特定の宿主のために必要としている含量に適合させ、望ましい発現レベルを生じさせるように調整することができると理解すべきである。もちろん、世界中の異なる地域において、含量のわずかな変化がわずかな発現レベルの変化を生じる可能性を排除することができない。また、繰り返し数のわずかな変化がタンパク質のアミノ酸配列中に含まれ、その割合はそれぞれ異なることを理解すべきである。興味のある他の抗原を同様に修正してもよい。これら調整された含量のすべてが本発明の一部である。
【0070】
RTS,Sによって示されるタンパク質は、B型肝炎ウイルス表面抗原を有する融合タンパク質として発現するP.ファルシパラムのCSタンパク質のC末端の半分(41のNANP−と多くのC末端部分の部分)からなる融合タンパク質である。
【0071】
複製能力のないアデノウイルスベクターによって提供される明確な利点の一つは、免疫が低下しているヒトを含むあらゆる個体において、これらベクターによる親ウイルスのより小さい病原性及び証明されている重大な疾患がないことである。マラリア、P.ヨエリのマウスモデルの研究は、組み換えアデノウイルスのコンストラクトが感染に対する優れた防御を提供する優れた細胞性応答を引き起こすだけではないことを示している。従って、T細胞応答の強度及びCSに対する前記の応答の寿命を改善する取り組みにおいて、本発明者等は、新規異種初回免疫−追加免疫方法において、アデノウイルスによる取り組みに組み換えタンパク質の取り組みを組み合わせている。
【0072】
残念なことに、マウスはヒトでの応答を予測するための理想的なモデルではない。このことは、とりわけアデノウイルス35(Ad35)に当てはまる。標準的な複製能力のないベクターはアデノウイルス5(Ad5)であり、このウイルスの広範に及ぶ風土病に起因するベクターの能力を最適化するのにいくつかの問題及び地球上の多くのヒト人口のかなりの割合が親ウイルスに対して前もって存在する免疫を有しているという事実を示している。Ad35はワクチンベクターとして強化された有用性を示す可能性を有している。Ad5及びAd35両方のCSPを持つコンストラクトの有用性が、特にCS免疫性の疑問に対する異なるコンストラクトを有する配列上異種性の2つのアデノウイルスの予防接種の評価を可能にした。
【0073】
樹状細胞(DC)は、生体内における最も有力な抗原提示細胞であり、またAd5及びAd35の両方がヒト及びアガゲザルのDCを標的とすることがそれらを優れたワクチンベクターにしている生物学の態様の一つである。しかし、Ad5のみが効率的にマウスDCに感染し、Ad35のみが霊長類DCに確実に感染する。それ故、Ad35のコンストラクトについての基本的な有効性の疑問については小動物のモデルによって答えられるけれども、Ad35を含む現実の免疫原性の疑問については、非ヒトの霊長類においてのみ答えることができる。
【0074】
本発明者等は、抗マラリア細胞性及び/又は体液性応答がRTS,Sのみに見られる応答の改善であるかを求めるために、RTS,SとCS遺伝子を含むアデノウイルスベクターとの初回免疫−追加免疫の組み合わせを検討することを決定した。さらに、アデノウイルスワクチンのみの2回投与の処方計画を最適化した。
【実施例】
【0075】
(アカゲザルにおける組み換えアデノウイルスベクター及び精製アジュバント化タンパク質を用いた異種性の初回免疫−追加免疫のワクチン接種)
実験の目的は、標準的な3回服用のRTS,S予防接種の処方計画と標準的な2回服用のAd35の処方計画との直接比較による、RTS,Sの後にAd35、またAd35の後にRTS,Sを投与することを評価することにある。第2の目的は、2回服用のアデノウイルスの処方計画を最適化することにある。これらコンストラクトのいくつかの異なる処方計画の間及びその後の血清性及び細胞性の応答を検討した。
【0076】
アカゲザル (Macaca mulatta)は、その非常に近縁の系統発生関係によりヒト免疫応答の優れたモデルになる。MHCクラスII対立遺伝子は特によく保存されている。いくつかの共通対立遺伝子の発生は2500万年前、すなわちヒトとアカゲザルの種分化に先立つと見積もられている。従って、Th細胞に対する抗原提示において同様のエピトープ使用があり、このことはモデルの予測値を大いに高める。更に重要なことに、アカゲザルのモデルは、マラリア抗原及びHIVの両方に対するヒトの応答、応答の複雑さゆえワクチン開発の遅れている他のヒトの病気を高度に予示することが過去に証明されている。
【0077】
予備実験は、マウスマラリアP.ヨエリのアデノウイルス−CSコンストラクトのマウスにおいて既に行われており、優れた免疫原性及び予防効果を示した。しかしながら、熱帯熱マラリアに対するワクチン開発のために、ヒトに対するマウスマラリアモデルから直接的に推定することの成功しなかった試行の長い歴史は、非ヒトの霊長類モデルによる中間ステップを要求している。アカゲザルは、この種におけるこれらワクチンの先行情報に関する広範なデータベースがあるため、また系統発生学的にヒトと近縁であるため、その大きさが応答を適切な評価を確保するための十分量の血液サンプルを可能にするため、またこの種に対して既に最適化された試薬及び検定法が既に存在しているので補助的な手順及び長年の開発を必要としないため、最良の種の選択を意味する。更に、アデノウイルス35コンストラクトは、このウイルスが他の哺乳類の樹状細胞に効率よく侵入することができないため、非ヒトの霊長類において適切に試験することのみできる。
【0078】
本例で使用した遺伝子(Ad5CS及びAd35CS)をコードしているP.ファルシパラムCSを宿す組み換え複製欠損アデノウイルスのコンストラクト及び製造は、国際公開第2004/055187号(クローン02−659、図2を参照)の実施例中に詳細に記載されている。つまり、これらのアデノウイルスベクターは、NF54株のCSタンパク質、すなわちその他の中にN末端シグナル配列、27NANP繰り返し、3つのNVDP繰り返し及び離れた1つのNVDP繰り返しのクラスター、普遍的なエピトープ(ロックラー等、1989年、ゼバーリング等、1994年、ナージン等、2001年)、並びに最後の14アミノ酸の欠失(C末端部分における)を有する3D7クローンと同様のアミノ酸配列を有するCSタンパク質をコードしている異種遺伝子からなる。RTS,Sのタンパク質との違いは、RTS,Sが、またアデノウイルスコンストラクト中にないC末端部分に位置するGPIアンカーシグナル配列の大部分と同様、N末端シグナル配列及び大部分の繰り返し配列を欠失していることである。
【0079】
実験は、RTS,SとCSを持つAd5及びAd35CSコンストラクト(Ad5CS及びAd35CS)の初回免疫−追加免疫方法の最適化並びにAd5CS及びAd35CSのみの最適化のための様々な組み合わせ及びタイミングによる、不作為抽出し、盲検性が確保された免疫原性の検討であった。新しい方法と比較する従来の最良の処方計画は0、1、及び3ヶ月に施されるアジュバントを有するRTS,S50μgの3回の筋中投与であった。これはグループ1の正のコントロールグループである。すべてのグループを表IAに概説する。すべての場合において、アジュバントは、国際公開第96/33739号に記載されているような、含コレステロールリポソームとの処方における50μgの3D−MPL、50μgのQS21から製造した。
【0080】
グループ2は、0及び1ヶ月でのRTS,S/アジュバントの2回の服用並びに3ヶ月でのAd35CSの1回の服用を受容した。グループ3は、0ヶ月でのAd35CSの1回の服用、その後1及び3ヶ月でのRTS,S/アジュバントの2回の服用を受容した。グループ4、5、及び6はアデノウイルスコンストラクトのみを受容した。異なる病気においてアデノウイルス5コンストラクトの2回の服用を含む先行実験は、最適な血清学的及び細胞性免疫応答を免疫付与の間隔が少なくとも6ヶ月である場合に得ることを示した。ヒト又は非ヒト霊長類においてAd35コンストラクトを評価するために不可欠なため、このベクターの服用間の最適時間はまだ確立されていなかった。従って、グループ4は(タンパク質グループの直接制御のために)0、3ヶ月の日程でAd35CSの2回の服用を受容し、またグループ5は0、6ヶ月の日程で2回の服用を受けた。同じアデノウイルスコンストラクトを2回服用することがその代わりとなるCSタンパク質のコンストラクトに劣るかどうかの疑問を評価するために、グループ5を、0、6ヶ月の日程でAd5CSの後にAd35CSを受容したグループ6と比較した。最後に、コントロールのグループ7は、免疫原性評価のための免疫付与コントロールグループとして、0、3ヶ月の日程で(マラリア遺伝子の挿入のない)Ad35そのままを2回服用した。
【0081】
ワクチン反応の発生の観察を容易にするため、注射部位を切り、はっきりと印を付けた。更に、動物を沈静化して、注射の24、48、72時間後、7及び14日後に、硬結、隆起、熱、赤み又はその他の異常について注射部位を直接検査した。全身毒性の兆候は予期されなかったが、動物を沈静化し、これらの時点においてリンパ節症、蜂巣炎、膿炎、関節炎、拒食症、及び体重減少を検査し、またそれらの血清学的な臨床化学値の変化を測定した。完全血球算定並びにBUN、クレアチン、AST、ALT、GGT、及びCKの測定(特に限定されないが)を含む一団の臨床化学検定のために、注射時及び各注射の24、48、72時間後、7、14日後に採血した。その後のアデノウイルスの試験のために、非複製ベクターの漏れがないことを確認するため0−10の各アデノウイルス注射についてそれぞれの日に糞便のサンプルを回収し、−70℃で保存した。
【0082】
各注射時に、また各注射の1、2、4週間後の時に血清1−3mlを回収し、その後少なくとも月1回、イライザ法でCS R32(CSタンパク質の繰り返し領域をCSタンパク質に対する標準化したイライザ検定の現像に使用した。以下を見ること)に対する抗体反応の性質及び強度について測定した。血清サンプルは、使用するまで−70℃で保存し、検定中のばらつきをできるだけ抑えるため、サンプルは実験終了までバッチ操作した。回収した血清の量は適切な量であり、各アデノウイルス注射の0、1、7、14日目及び少なくともその後4週間ごとに血清0.5−1.0mlの抗アデノウイルス抗体力価を決定するために使用可能である。細胞採集のために、初回免疫の前、2回目免疫の4週間後(もし容量が許すのであれば)、3回目免疫の4週間後、及び3回目免疫の6ヶ月後に、多量(20−40ml)のEDTA−又はヘパリン−抗凝固血液を回収した。密度遠心分離の標準的な方法を用いて、これらのサンプルから末梢血単核細胞(PBMC)を濃縮した。細胞の収率はある個体の動物と別の動物で大きく変化するけれども、一般にサンプルの容量が多いほど回収されるサンプルの数もより多くなる。正確な細胞の回収率を予想することは不可能なので、統計的妥当性のために検定を繰り返すための十分な細胞を得られるように、可能であればより多くのサンプルを採取することが好ましい。細胞は、その後のバッチ処理を可能にし、その結果として品質管理を改良するために凍結する。細胞を、10%のDMSOを含む自己血清中で、制御した温度降下率において凍結させ、液体窒素の気相中で使用前の少なくとも一週間貯蔵した。
【0083】
CBCのデータが良好な耐容性を示すより大きい動物からは、細胞採集のための更なるサンプルを、追加免疫の前ではなく初回免疫の後に回収する。RTS,S/アジュバントの2回投与を受けた14匹のサル(2グループ)及び8週間前にAd35CSの1回投与を受けた14匹のサルがいたので、少なくとも半分をサンプリングし、これにより統計的有意性が確保されることが期待された。細胞採集は注射の4週間後すぐに実行する予定であった。アデノウイルスコンストラクトのみを受けたグループは2回の注射のみ受容したので、その結果として3回の注射を受けたサルよりも採血日程が厳しくなかったため、2回の注射の間の細胞採集間隔は困難ではないと予期された。
【0084】
細胞性免疫応答の分析としては、抗原特異的IFN−γ産生細胞の定量のための短期エリスプロット検定が挙げられる。抗原によって刺激した細胞のフローサイトメトリーによる分析は、反応性の抗原特異的細胞の表現形について更なる情報をもたらすけれども、エリスポット分析において収集したデータを裏付けることのみはできない。従って、細胞内染色及びフローサイトメトリーによる抗原特異的CD8+INF−γを分泌する小集団の測定を更に詳細に調べる。
【0085】
実行する追加の検定としては、更なるサイトカインのためのバルクエリスポット分析、更なるサイトカインのT細胞サブセット網羅的な細胞内染色、抗原特異的T細胞サブセットのサイトカイン産生についての他のフローサイトメトリーに基づく定量検定、及び他の方法と相関させるための定量RT−PCRが挙げられる。
【0086】
サルは、年齢、性別、体重及び地理的起源に一様に適合するグループに分け、その後にグループをランダム化した。すべての臨床的評価及び安全性評価項目の判定は、サルのグループの割り当てを知ることなく測定した。同様にして、すべての免疫学的検定は、個々のサンプルの属するグループを前もって知ることなく実行した。この盲検定の方法の例外は、0、1、3ヶ月とは対照的に0及び6ヶ月において免疫を受容した動物であった。しかしながら、盲検定はある特定の注射について維持した。
【0087】
試験グループ当たりの7匹(及びコントロールグループでは4匹)の動物というグループの大きさは、グループの大きさを最小化しつつ、同様の、しかしわずかに関連のある実験による先のデータに基づいて、グループ間の違いをそれでもなお正確に検出するために理想的である。
【0088】
イライザ法検定の結果の相乗平均は、均等な分散及び2つの試行を前提にするスチューデントT検定及び分散分析(ANOVA)のような標準的な分析を用いて媒介変数的に比較される。200,000細胞当たりのスポットで表されたエリスポット検定の結果は同様に処理し、更にクラスカル−ウォーリス試験のような媒介変数を使用しない分析を用いて検討する。グループ間の比較が必要な場合、一対のグループ間の差異を決定するために、生のデータ又は対数に変換したデータに関するスチューデントT検定を使用する。
【0089】
注射の前には毛をクリップ止めし皮膚を70%消毒用アルコールで清潔にし、その後の触診及び反応原性評価のための注射部位を探すのを容易にするため、皮膚上に安全インクで2.5−3cmの輪を書いた。RTS,Sの注射は、サルの廊下に入る直前にアジュバントと混合した。最終的な注射量は0.5mlであり、25−29ゲージの注射針を通して大腿前部筋肉組織に送達した。アデノウイルスのコンストラクトは(国際公開第2004/055187号に)記載と同様に緩衝食塩水中で調製し、更に筋中の同じ場所に終容量0.5mlで投与した。
【0090】
主な生サンプルは、血清又は細胞の何れかのための血液である。採血日程を表IBにまとめる。動物の血液学上の状態を観察した。これは、繰り返される生サンプル回収を持続する個々の能力又は計画した生サンプルの回収日程を減らせることを示していた。採血の度にクールター自動血球数カウンター(<50μlの非凝固血液が必要な)を用いて完全血球算定(CBC)を行った。製造業者が推奨する医薬品安全性試験実施基準(GLP)のような指針を整備及び維持のために実施した。動物が貧血になっていないことを厳密に確かめるために、ヘマトクリット値、ヘモグロビン、平均赤血球容量(MCV)、赤血球(RBC)数、及び網状赤血球の割合を追跡した。
【0091】
20−24ゲージの注射針及びシリンジ又は真空チューブを用いて、大腿静脈、伏在静脈又は橈側皮静脈から静脈血を回収した。一般に、伏在静脈又は橈側皮静脈は10ml未満の採血に好ましく、大腿静脈は10mlを超える量を採る場合、溶血を避け前静脈穿刺時間を短くすることが好ましい。
【0092】
末梢血単核細胞(PBMCs)を免疫前、最終免疫の2週間後、及び最終免疫の3ヶ月後の動物から採集する。この方法においては、PBMCsは密度遠心分離の標準的な方法により分離し、また45%の自己血清(45%食塩水及び10%DMSO)中で凍結保存する。つまり、リンホプレップ(登録商標)(アクシス−シールド、オスロ、ノルウェー)フィコール−ハイパック細胞分離培養液上で層状をなしていた全血を650gで20分間遠心した。細胞層を除去し、殺菌リン酸緩衝生理食塩水(dPBS)(バイオウィタッカー(BioWhittaker)、ウォーカーズビル、メリーランド)400gで15分間2回洗浄した。クールターACT*10血球計算板を用いて生存細胞の数を数えた。沈殿を50%dPBS、50%食塩水中で1×107/mlになるように再懸濁した。終濃度10%となるようにDMSOを滴下して加えた。細胞はそれぞれ0.55ml中で正確に500万細胞となるように分け、−70℃の冷凍庫内で温度降下を制御したイソロパノール浴中に置くことにより一晩凍結させ、使用まで液体窒素の気相中で保存した。
【0093】
最後のワクチン接種後、別々のサル由来の血液サンプル中のインターフェロンガンマ(IFN−γ)を分泌しているT細胞を、全部の抗原並びにC−及びN−末端特異的ペプチドプール(詳細に後述するように)で刺激した後に、酵素結合免疫ポット(ELISpot)検定することにより同定した。結果を図1(最後のワクチン接種の2週間後)及び図2(最後のワクチン接種の3ヶ月後)にプロットし、また100万細胞当たりの中央値スポット形成単位(median spot forming units(SFU))として、それぞれ表2及び表4に表した。対数変換データの分散の分析(アノーバ)を使用して統計比較を行った。すべてのグループを比較した。統計的有意性を決定した場合、群対群の比較のための事後解析を行うことができた(データは示さない)。
【0094】
異なる処理方法間のエリスポットの結果を比較するために、初回免疫処理としてAd35による方法に対して相乗平均力価の比率を計算した。これらの比率において、RTS,Sのみでの処理(0、2、3ヶ月における)により得た相乗平均力価は、参照処理として解釈される(図5及び6、表10)。同様に、更に追加免疫処理としてAd35を用いた方法に対する比率を計算した(図7及び8、表11)。
【0095】
N末端特異的に刺激したT細胞のエリスポットの結果に対して同様の分析をした。結果はそれぞれ図9及び10、並びに表12及び14にプロットする。最後に比率を計算し、図11(Ad35の初回免疫方法)及び図12(Ad35追加免疫方法)並びに表16及び17にそれぞれ表す。
【0096】
PVDF底のマルチスクリーンIPエリスポットプレート(ミリポア、ベッドフォード、マサチューセッツ)上において標準的な手順を用いて、融解した凍結保存PBMCsのエリスポットを行った。最終スポットの現像を行った2日目に細胞をはがすまで、無菌的手法に厳格に従った。
【0097】
使用した培養液:完全培地(cRPMI)は、1:100のペニシリン/ストレプトマイシン、1:100のL−グルタミン、1:200の炭酸水素ナトリウム(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、1:100の非必須アミノ酸、1:100のピルビン酸塩、及び1:300の2−メルカプトエタノール(ギブコ)を加えることにより、RPMI−1640(バイオウィタッカー、ウォーカーズビル、メリーランド)から新たに調製した。わずかな促進のバックグラウンドはあるもののサル細胞の良好な増殖を支持することを非特異的増殖分析によって前もって特徴付けたロットのウシ胎児血清(FCS、ハイクローン(HyClone)社)、ローガン、ユタ)を終容量10%で加えてcRPMI−10とし、20%のものをcRPMI−20などとした。培養液プラス(M+)は、1:500で抗サルCD28抗体及び抗サルCD49D抗体(BDファーミンジェン、サンホセ、カルフォルニア)を更に補った。
【0098】
以下の刺激物は、血清を加えていないM+での所望の終濃度で新たに2回調製した。
Con A:全バイアルの正のコントロールとして、2.5μg/ml(終濃度1.25μg/ml)のコンカナバリンA(シグマ)
CS−C:11種類のアミノ酸により重複し、2.5μg/ml(終濃度1.35μg/ml)の各ペプチドでPfCS分子(GSK、リクセンサート(Rixensart)、ベルギーが供給する)のC末端部分を被覆する15マーのペプチドのプール
CS−N:11種類のアミノ酸により重複し、PfCS分子のN末端部分を被覆する同様の15マーのペプチドのプール
RTS,S:2μg/ml(終濃度1μg/ml)において細胞培養(GSK)に適する精製全長タンパク質複合体のRTS,S抗原
HEF:23.2μg/ml(終濃度11.6μg/ml)において細胞培養に適する精製B型肝炎ウイルス表面抗原(HbS)の全長タンパク質(RTS,Sの“S”成分)
HbS−P:2.5μg/ml(終濃度1.25μg/ml)の各ペプチドにおけるHbSの15マーのペプチド(GSK)のプール
負のコントロールは、更なる補充物を含まないM+であった。
【0099】
プレートは以下のように調製した。プレートを、無菌dPBSで1:100希釈した抗サルIFN−γのモノクローナル一次抗体(ユシテック(UcyTech)、#21-43-09、ユトレヒト、オランダ)を50μl/ウェルで被覆し、ビニール袋内で4℃で5−6時間インキュベートした。使用の1時間前に、被覆抗体を取り除き、細胞培養インキュベーターで制御した37℃、5%CO2、湿度100%において、プレートをcRPMI−10でブロッキングした。使用直前にブロッキング培養液を除去した。
【0100】
冷凍保存したPBMCの解凍:冷凍したバイアルを湯沸かし器の水(37−40℃)の中でわずかに解凍するまで振り、0.55mlの内容物を8mlのRPMI−20に直ちに移した。細胞を350gで13分間洗浄し、沈殿を2.0mlのcRPMI−20中で注意深く再懸濁した。その後、40μlの無菌水を取り除いて生存細胞数を確認し、2×106細胞/mlの単一細胞懸濁液を生じに必要なものとして量を調整した。
【0101】
前刺激:cRPMI−20の細胞懸濁液とM+中の刺激物の等量をポリプロピレンの細胞培養チューブ内で混合し、すべての試薬を所望の終濃度にした。その後、ガス交換を促進するために緩くキャップを閉めて傾けた状態で、細胞をインキュベーター内で5時間保存した。
【0102】
最終刺激:インキュベーションの5−6時間後、細胞を400gで10分間遠心し、上清を捨てた。その後、細胞を半量のcRPMI−20及び半量の刺激物中で直ちに再懸濁した。これらを10−20分間インキュベーターに戻し、pHを安定させた。その後、細胞を少しの間混合し、200μl(200,000細胞)をブロック状の空プレート上の適切なウェルに注意深くピペットで移した。すべての段階においてウェルが乾いてしまわないように注意を払った。その後、プレートを静置して一晩(>16時間)インキュベートした。
【0103】
スポットの現像:抗サルIFN−γのポリクローナル二次抗体(UCyTech社製)の1:100希釈液を2%FCSを含むdPBS中で調製した。細胞及び培養液をプレートから弾き飛ばした。ウェルをdPBS−0.5%ツイン20(シグマ)で8回洗浄し、希釈した二次抗体50μlをロードした。プレートをビニール袋内の振動パネル上で室温3時間インキュベートした。プレートを再びPBS−0.5%ツイン20で8回洗浄し、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ複合体(サザンバイオテック、#7100-04、バーミンガム、アラバマ)の1:1000希釈液の50μl/ウェルでロードした。次いで、プレートをビニール袋内の振動パネル上で更に室温2時間インキュベートした。最後に、プレートを上記同様に8回洗浄し、その後蒸留水で1回洗浄し、原色体であるNBT−BCIP基質(ピエルスバイオテック、ロックフォード、イリノイ)100μl/ウェルを加えた。バックグラウンドが暗くなるなるまで10−20分間発色させた。その後、プレートを蒸留水300μlで少なくとも2回洗ってすすぎ、読み取り前に一晩空気乾燥した。
【0104】
プレートの読み取り:プレートをAIDエリスポットリーダー バージョン3.1.1を用いてAID ELHR01エリスポットリーダーで読み取った。全てのウェルを目で観察し、不適切なスポット(糸くず又はその他の破片)のカウントを手動で取り除いた。データをエクセルのワークシートに保存した。2つ又は3つのウェルを平均し、この数に5をかけてスポット数/100万細胞における最終的な生データを得た。
【0105】
品質管理:凍結/融解後の回復した平均生存細胞は95%を超えていた。培養液のコントロールのウェルの平均が20スポット/100万細胞、又はConAのウェルが500スポット/100万細胞未満である場合、実験を繰り返した。また、全体として、7−AADダイによる排除を用いたフローサイトメトリー及び表面染色を使用した評価によるCD4+及びCD8+の生存率が全て90%を超えている必要があり、さもなければ実験を繰り返した(データは含まない)。
【0106】
表1A. P.ファルシパラムのCSタンパク質をコードする遺伝子を含む抗原型5及び35に基づく組み換えアデノウイルスベクター並びにタンパク質性抗原成分としてアジュバント化RTS,Sを用いるアカゲザルの初回免疫/追加免疫の処方計画のための実験的処方計画
【0107】
【表1A】
【0108】
表1B. 血液採取日程。CBC及び細胞採集は全血を必要とする。化学検定及びイライザ法は血清を必要とする。1mlの血清は2mlの全血に相当すると見込まれる。全血量のみを示す。範囲は、より大きいサルからはより多量のサンプルを回収してもよいことを示す。CBC/Chemカラムの“0.5”は当日CBCのみ実行したことを示す。*は、この時点において全てのサルから採血したわけではないことを示す。
【0109】
【表1B−1】
【0110】
【表1B−2】
【0111】
以下の表においては、RTS,Sは単に“RTS”と言及する。
【0112】
表2. 追加免疫の2週間後におけるPfCSのC末端特異的なT細胞の免疫。中央値及び相乗平均のIFN−γのエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0113】
【表2】
【0114】
表3. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の、表2に示したのと同様のPfCSのC末端特異的なIFN−γのエリスポット比較のためのp値。
【0115】
【表3】
【0116】
表4. 追加免疫の3ヶ月後におけるC末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及びエリスプロット(SFU/100万細胞中)の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫投与計画を与える(左)。
【0117】
【表4】
【0118】
表5.スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の、表4に示したのと同様のPfCSのC末端特異的なIFN−γのエリスポットの比較のためのp値。
【0119】
【表5】
【0120】
表6. 最終追加免疫後2週間のB細胞の免疫性(抗繰り返し抗体の力価)。中央値及びイライザ力価の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0121】
【表6】
【0122】
表7. スチューデントT検定。最終追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の表6に示したのと同様の抗体比較のためのp値。
【0123】
【表7】
【0124】
表8. P.ファルシパラムのCSに関する追加免疫の3ヶ月後のB細胞の免疫性(抗体力価)。中央値及びイライザ(SFU中)の相乗平均及び分散分析の比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0125】
【表8】
【0126】
表9. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の表8に示したのと同様の抗体比較のためのp値。
【0127】
【表9】
【0128】
表10. 相乗平均の比率*。T細胞及びB細胞の応答。Ad35を初回免疫ワクチンとして用いた。
【0129】
【表10】
【0130】
表11. 相乗平均の比率*。T細胞及びB細胞の応答。Ad35を初回免疫ワクチンとして用いた。
【0131】
【表11】
【0132】
表12. 最終ワクチン接種の2週間後におけるPfCSのN末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及び相乗平均ののエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0133】
【表12】
【0134】
表13. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の2週間後の表12に示したのと同様のエリスポット比較のためのp値。
【0135】
【表13】
【0136】
表14. 最終ワクチン接種の3ヶ月後におけるPfCSのN末端特異的なIFN−γ分泌T細胞の免疫性。中央値及び相乗平均ののエリスポット(SFU/100万細胞中)並びに分散分析比較。異なる初回免疫/追加免疫の処方計画を与える(左)。
【0137】
【表14】
【0138】
表15. スチューデントT検定。追加免疫(最終ワクチン接種)の3ヶ月後の表14に示したのと同様のエリスポット比較のためのp値。
【0139】
【表15】
【0140】
表16. PfCSのN末端に対するT細胞応答の相乗平均の比率*。Ad35CSを初回免疫ワクチンとして用いた。
【0141】
【表16】
【0142】
表17. CSのN末端に対するT細胞応答の相乗平均の比率*。Ad35CSを初回免疫ワクチンとして用いた。
【0143】
【表17】
【0144】
(参考文献)
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モスマン TR及びコフマン RL、TH1及びTH2細胞:リンホカイン分泌の異なるパターンは異なる機能特性を誘導する、アニュアルレビューオブイミュノロジー、第7巻、1989年、p.145−173
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【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】異種性の初回免疫/追加免疫ワクチン接種の処方計画、その後のCSのC末端に関するIFN−γエリスポット分析におけるT細胞の応答の測定。応答は最後の追加免疫後2週間測定した。水平バーは相乗平均を表す。
【図2】CSのC末端に関するIFN−γエリスポット分析にいて測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図3】追加免疫の2週間後にCSの繰り返し領域に関してイライザ法で測定した抗体反応。
【図4】追加免疫の3ヶ月後にCSの繰り返し領域に関してイライザ法で測定した抗体反応。水平バーは相乗平均を表す。
【図5】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)にIFN−γのエリスポットによって測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図6】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)にイライザ法で測定した抗体反応。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図7】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図8】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定した抗体反応。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図9】追加免疫の2週間後にCSのN末端に関するIFN−γのエリスポット分析で測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図10】追加免疫の3ヶ月後にCSのN末端に関するIFN−γのエリスポット分析で測定したT細胞の応答。水平バーは相乗平均を表す。
【図11】組み換え体のAd35−CSベクターの初回免疫及びRTS,S又はAd35−CSの追加免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【図12】組み換え体のAd35−CSベクターの追加免疫及びRTS,S又はAd35−CSの初回免疫をした実験において、2週間後(左)又は3ヶ月後(右)に測定したT細胞の応答。初回免疫/追加免疫/追加免疫と同様の処方計画でのRTS,S/RTS,S/RTS,Sを参照として用いた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸を含むことを特徴とする製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、
アジュバント化タンパク質性抗原とを備え、
前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とするパーツのキット。
【請求項2】
前記組換えアデノウイルスがヒトアデノウイルスの抗原型35であることを特徴とする請求項1記載のパーツのキット。
【請求項3】
前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることを特徴とする請求項1又は2記載のパーツのキット。
【請求項4】
前記タンパク質性抗原が、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることを特徴とする請求項3記載のパーツのキット。
【請求項5】
前記タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項4記載のパーツのキット。
【請求項6】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLを含むアジュバントでアジュバント化することを特徴とする請求項1−5の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項7】
アジュバントが更に含コレステロールリポソームを含むことを特徴とする請求項6記載のパーツのキット。
【請求項8】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項1−7の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項9】
前記異種性の核酸が、哺乳動物、特にヒトにおいてコードされたタンパク質の生成を上昇させるためにコドンが最適化されていることを特徴とする請求項1−8の何れか記載のパーツのキット。
【請求項10】
前記組換えアデノウイルスがアジュバントとの混合物として存在することを特徴とする請求項1−9の何れか記載のパーツのキット。
【請求項11】
アデノウイルスが熱帯熱マラリア原虫のコドンを最適化されたスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の類人猿、イヌ科又はウシ科の複製欠損組換えアデノウイルスと、
RTS,Sからなるアジュバント化タンパク質性抗原
とを備えるパーツのキット。
【請求項12】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLを含むアジュバントでアジュバント化することを特徴とする請求項11記載記載のパーツのキット。
【請求項13】
前記アジュバントが更に含コレステロールリポソームを含むことを特徴とする請求項12記載のパーツのキット。
【請求項14】
前記複製欠損組換えアデノウイルスが初回免疫配合物、また前記アジュバント化タンパク質性抗原が追加免疫配合物であることを特徴とする請求項1−13の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項15】
マラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスとアジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用薬剤の製造への使用であって、前記組換えアデノウイルスを類人猿、イヌ科若しくはウシ科のアデノウイルス又はヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49もしくは50であることを特徴とする複製欠損組換えアデノウイルスとアジュバント化タンパク質性抗原との使用。
【請求項16】
前記複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、前記アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用することを特徴とする請求項15記載の使用。
【請求項17】
前記タンパク質性抗原が、マラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることを特徴とする請求項15又は16記載の使用。
【請求項18】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項15−17の何れか一項記載の使用。
【請求項19】
前記タンパク質性抗原が、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることを特徴とする請求項15−18の何れか記載の使用。
【請求項20】
前記アジュバント化タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項19記載の使用。
【請求項21】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLでアジュバント化することを特徴とする請求項15−20の何れか一項記載の使用。
【請求項22】
前記異種性の核酸が哺乳動物、好ましくはヒトにおいてコート゛しているタンパク質の生成を増加させるためにコドンを最適化していることを特徴とする請求項15−21の何れか記載の使用。
【請求項23】
アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで哺乳動物を初回免疫するステップと、
前記哺乳動物に、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質を備えるアジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫するステップ
とを供えるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【請求項24】
前記タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記組換えアデノウイルスがヒト、類人猿、イヌ又はウシのアデノウイルスであることを特徴とする請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記組換えアデノウイルスがヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、44、48、49及び50からなる群から選択したヒトアデノウイルスであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLでアジュバント化することを特徴とする請求項23−26の何れか一項記載の方法。
【請求項28】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項23−27の何れか一項記載の方法。
【請求項29】
前記異種性の核酸が哺乳動物、特にヒトにおいてコードしているタンパク質の生成を増加させるためにコドンが最適化されていることを特徴とする請求項23−28の何れか一項記載の方法。
【請求項30】
請求項1−14の何れか一項記載のパーツのキットを用いるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【請求項31】
追加免疫の後に一回以上の追加免疫を行うことを特徴とする請求項14記載のパーツのキットを使用するマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【請求項1】
アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸を含むことを特徴とする製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスと、
アジュバント化タンパク質性抗原とを備え、
前記組換えアデノウイルスをヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49及び50からなる群より選択することを特徴とするパーツのキット。
【請求項2】
前記組換えアデノウイルスがヒトアデノウイルスの抗原型35であることを特徴とする請求項1記載のパーツのキット。
【請求項3】
前記タンパク質性抗原がマラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることを特徴とする請求項1又は2記載のパーツのキット。
【請求項4】
前記タンパク質性抗原が、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることを特徴とする請求項3記載のパーツのキット。
【請求項5】
前記タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項4記載のパーツのキット。
【請求項6】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLを含むアジュバントでアジュバント化することを特徴とする請求項1−5の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項7】
アジュバントが更に含コレステロールリポソームを含むことを特徴とする請求項6記載のパーツのキット。
【請求項8】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項1−7の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項9】
前記異種性の核酸が、哺乳動物、特にヒトにおいてコードされたタンパク質の生成を上昇させるためにコドンが最適化されていることを特徴とする請求項1−8の何れか記載のパーツのキット。
【請求項10】
前記組換えアデノウイルスがアジュバントとの混合物として存在することを特徴とする請求項1−9の何れか記載のパーツのキット。
【請求項11】
アデノウイルスが熱帯熱マラリア原虫のコドンを最適化されたスポロゾイト周囲(CS)抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の類人猿、イヌ科又はウシ科の複製欠損組換えアデノウイルスと、
RTS,Sからなるアジュバント化タンパク質性抗原
とを備えるパーツのキット。
【請求項12】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLを含むアジュバントでアジュバント化することを特徴とする請求項11記載記載のパーツのキット。
【請求項13】
前記アジュバントが更に含コレステロールリポソームを含むことを特徴とする請求項12記載のパーツのキット。
【請求項14】
前記複製欠損組換えアデノウイルスが初回免疫配合物、また前記アジュバント化タンパク質性抗原が追加免疫配合物であることを特徴とする請求項1−13の何れか一項記載のパーツのキット。
【請求項15】
マラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸からなる複製欠損組換えアデノウイルスとアジュバント化タンパク質性抗原とのマラリアの治療又は予防用薬剤の製造への使用であって、前記組換えアデノウイルスを類人猿、イヌ科若しくはウシ科のアデノウイルス又はヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、48、49もしくは50であることを特徴とする複製欠損組換えアデノウイルスとアジュバント化タンパク質性抗原との使用。
【請求項16】
前記複製欠損組換えアデノウイルスを初回免疫配合物として使用し、前記アジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫配合物として使用することを特徴とする請求項15記載の使用。
【請求項17】
前記タンパク質性抗原が、マラリアを引き起こす寄生虫由来のCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントからなることを特徴とする請求項15又は16記載の使用。
【請求項18】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項15−17の何れか一項記載の使用。
【請求項19】
前記タンパク質性抗原が、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質からなることを特徴とする請求項15−18の何れか記載の使用。
【請求項20】
前記アジュバント化タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項19記載の使用。
【請求項21】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLでアジュバント化することを特徴とする請求項15−20の何れか一項記載の使用。
【請求項22】
前記異種性の核酸が哺乳動物、好ましくはヒトにおいてコート゛しているタンパク質の生成を増加させるためにコドンを最適化していることを特徴とする請求項15−21の何れか記載の使用。
【請求項23】
アデノウイルスがマラリアを引き起こす寄生虫由来のCS抗原をコードする異種性の核酸を含む製薬学的に許容される賦型剤中の複製欠損組換えアデノウイルスで哺乳動物を初回免疫するステップと、
前記哺乳動物に、HBsAgとのリポタンパク質粒子の形態でB型肝炎ウイルス(HBsAg)由来の表面抗原に融合したCSタンパク質又はその免疫原性フラグメントのハイブリッドタンパク質を備えるアジュバント化タンパク質性抗原を追加免疫するステップ
とを供えるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【請求項24】
前記タンパク質性抗原がRTS,Sからなることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記組換えアデノウイルスがヒト、類人猿、イヌ又はウシのアデノウイルスであることを特徴とする請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記組換えアデノウイルスがヒトアデノウイルスの抗原型11、24、26、34、35、44、48、49及び50からなる群から選択したヒトアデノウイルスであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質性抗原をQS21及び3D−MPLでアジュバント化することを特徴とする請求項23−26の何れか一項記載の方法。
【請求項28】
前記マラリアを引き起こす寄生虫が熱帯熱マラリア原虫であることを特徴とする請求項23−27の何れか一項記載の方法。
【請求項29】
前記異種性の核酸が哺乳動物、特にヒトにおいてコードしているタンパク質の生成を増加させるためにコドンが最適化されていることを特徴とする請求項23−28の何れか一項記載の方法。
【請求項30】
請求項1−14の何れか一項記載のパーツのキットを用いるマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【請求項31】
追加免疫の後に一回以上の追加免疫を行うことを特徴とする請求項14記載のパーツのキットを使用するマラリア感染に対する哺乳動物の予防接種の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−516926(P2008−516926A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536175(P2007−536175)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055209
【国際公開番号】WO2006/040334
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(301055549)クルセル ホランド ベー ヴェー (27)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【出願人】(507123486)ザ ガヴァメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ アズ リプレセンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ アーミー オン ビハーフ オブ ザ ウォルター リード アーミー インスティテュート オブ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055209
【国際公開番号】WO2006/040334
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(301055549)クルセル ホランド ベー ヴェー (27)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【出願人】(507123486)ザ ガヴァメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ アズ リプレセンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ アーミー オン ビハーフ オブ ザ ウォルター リード アーミー インスティテュート オブ (1)
【Fターム(参考)】
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