説明

マルチカラー発光蛍光表示管

【課題】 LnS:Eu(LnはLa,Gd,Lu,Yから選ばれた少なくとも一種)蛍光体の輝度劣化が少なく信頼性の高いマルチカラー発光蛍光表示管を提供する。
【解決手段】LuS:Euを使用するときは、ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の95%以下として、LaS:Eu使用するときは、ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の90%以下として、 GdS:Euを使用するときは、ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の80%以下とした蛍光表示管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、真空気密容器内に配設された電子源から放出される電子を受けて、黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層、及び、青色乃至緑色に発光する蛍光体を含む蛍光体層を有するマルチカラー発光蛍光表示管に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示管においては各発光色を得るために各種蛍光体の中で特に黄色乃至赤色に発光する蛍光体は蛍光表示管のバリエーションを増やす上で重要である。
黄色乃至赤色に発光する蛍光体としてZnCdS:Ag系蛍光体が用いられている。しかしながら、昨今環境対策が叫ばれる中でこの蛍光体の成分であるCdは環境負荷物質として削減が求められており、高信頼性の黄色乃至赤色に発光するCdフリー蛍光体の開発が切望されている。
【0003】
前記Cdフリー蛍光体の一つとして、LnS:Eu(LnはLa,Gd,Lu,Yから選ばれた少なくとも一種)蛍光体(以下LnS:Eu蛍光体という)を蛍光表示管に使用するための技術が開示されている。
例えば、LnS:Eu蛍光体の使用に当たり表面の酸化物の量を所定値より少なくすると共に、自己分解型バインダを使用して、非酸化性雰囲気で製造することでLnS:Eu蛍光体の表面の酸化を抑制することで初期輝度を改善し、且つ蛍光表示管の信頼性を向上させる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0004】
例えば、LnS:Eu蛍光体の表面にAl,SiO,TiO,CeOから選択した透明保護膜を形成して、LnS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管の信頼性を向上させる技術が開示されている(例えば特許文献2)。
例えば、LnS:Eu蛍光体の表面に、Mg,Sr,Ba,Be,Caから選択した金属を添加して表面を改質することで、蛍光体を使用した蛍光表示管の信頼性を向上させる技術が開示されている(例えば特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−12165号公報
【特許文献2】特開平7−48570号公報
【特許文献3】特開2003−147354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真空気密容器内に配設された電子源から放出される電子を受けて、黄色乃至赤色に発光する蛍光体からなる蛍光体層に使用でき、またマルチカラー発光蛍光表示管の駆動条件に耐えら、且つ環境負荷物質であるCdを含まない蛍光体としてLnS:Eu蛍光体ある。
しかしながら、前記LnS:Eu蛍光体と、その他の発光部としてZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の低抵抗酸化物蛍光体を含む蛍光体層を併用したマルチカラー蛍光表示管では、短時間でLnS:Eu蛍光体からなる蛍光体層の輝度劣化が生ずるという問題がある。
【0007】
本願発明は、真空気密容器内に配設された電子源から放出される電子を受けて黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層、及び、青色乃至緑色に発光する蛍光体を含む蛍光体層を主体とするマルチカラー発光蛍光表示管に於いて、黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層にLnS:Eu蛍光体と、青色乃至緑色に発光する蛍光体を含む蛍光体層にZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の低抵抗酸化物蛍光体を併せて使用した場合でもLnS:Eu蛍光体の輝度劣化が少ない信頼性の高いマルチカラー発光蛍光表示管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する本願発明のマルチカラー発光蛍光表示管は、図1に示す様にガラス基板1と箱型容器9からなる真空気密容器と、前記真空気密容器内に配設された電子源である陰極8と、前記真空気密容器を構成するガラス基板1に配設された陽極の上面に形成され前記黄色乃至赤色に発光するLnS:Eu蛍光体を使用した蛍光体層、青色乃至緑色に発光するZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の低抵抗酸化物蛍光体が同一蛍光表示管内に配設されたマルチカラー発光蛍光表示管に関するものである。
【0009】
請求項1の発明は、ガラス基板を有する真空気密容器と、前記ガラス基板に配設された陽極と、前記真空気密容器内に配設された陰極と、青色乃至緑色に発光する蛍光体を含む蛍光体層並びに黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層が同一蛍光表示管内に配設されたマルチカラー発光蛍光表示管において、少なくとも、前記黄色乃至赤色に発光するLnS:Eu(LnはLa,Gd,Lu,Yから選ばれた少なくとも一種)蛍光体を含む蛍光体層と、前記青色乃至緑色に発光する蛍光体がZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において、前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がLuS:Eu蛍光体であり、ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の95%以下であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において、前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がLaS:Euであり、ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の90%以下であることを特徴とする。
請求項4の発明は請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において、前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がGdS:Euであり、ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の80%以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La,Gd,Y)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La,Gd)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする。
請求項7の発明は請求項1のマルチカラー蛍光表示管において、前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7に記載のマルチカラー発光蛍光表示管において、ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の10%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
真空気密容器内に配設された電子源から放出される電子を受けて、黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層に環境負荷物質であるCdを含まないLnS:Eu蛍光体を含む蛍光体層を有し、その他の発光部としてZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の低抵抗酸化物蛍光体を含む蛍光体層を有する信頼性の高いマルチカラー発光蛍光表示管を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本願発明者は前記課題を解決する為に、蛍光表示管内の表示部分である蛍光体層にLnS:Eu蛍光体を含む蛍光体層、並びに、ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層を有するマルチカラー発光蛍光表示管におけるLnS:Eu蛍光体を含む蛍光体層の輝度劣化の原因を鋭意検討した。
【0015】
その結果、前記蛍光表示管において、ZnO:Zn蛍光体を含む蛍光体層の面積が、LnS:Eu蛍光体を含む蛍光体層の面積に対して占有率が高いマルチカラー蛍光表示管程LnS:Eu蛍光体の寿命劣化が激しい事を確認した。その理由を以下に示す。
【0016】
まず、前記蛍光表示管内の表示部分である蛍光体層にZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層、及びLnS:Eu蛍光体を含む蛍光体層を有する蛍光表示管において、前記蛍光体層に長時間電子線を照射して発光を持続した蛍光表示管の輝度劣化が生じたLnS:Eu蛍光体の表面のESCA分析をしたところ、
長時間電子線を照射して発光を持続した蛍光表示管のLnS:Eu蛍光体表面の硫酸根の量は、初期LnS:Eu蛍光体表面の硫酸根の量に比べて増加していることを確認した。(ここで、前記硫酸根とは、前記LnS:Eu蛍光体結晶を構成するS(硫黄)の一部が結晶外部の微量水分と結合し不安定な状態になった硫黄組成物を言うものとする。以下同じ)
【0017】
次に本願発明者は前記硫酸根の発生原因として前記蛍光表示管内の微量水分によるものと推慮して、前記蛍光表示管内の微量水分の発生源を以下の手順で確認した。まず、前記蛍光体層にZnO:Zn蛍光体を含む蛍光表示管に質量分析計を設けた蛍光表示管を作製して、陰極に電圧を印加したときの微量ガスの分圧を測定した。その結果をグラフ1に示す。
【0018】
(グラフ1)

グラフ1はZnO:Znなど酸化物蛍光体によるガスの放出現象を解析したグラフである。グラフ1から、閉じた空間である蛍光表示管内部に於いてHOが放出している事を確認した。前記、HOと蛍光表示管内に存在する微量COが反応してHが増加し、COとが反応してCHが増加していることがわかる。
以上から、蛍光体層にZnO:Zn蛍光体を含む蛍光表示管は電子線の刺激を受けて微量水分を放出するものと推慮出来る。
【0019】
そこで、LnS:Eu蛍光体の輝度劣化の原因を検討したところ、ZnO:Znやその他の酸化物蛍光体は一般に親水性であり、水分を吸蔵し易い性質がある。蛍光表示管内のフィラメントからの電子線照射時のガス分析をした結果、この水分は電子線照射によるエネルギーを得て、蛍光体から離脱するものと推慮した。
即ち、蛍光表示管に使用される酸化物蛍光体であるZnO:Zn蛍光体に微量の水分が吸蔵・蓄積され、該蓄積された微量の水分が蛍光表示管の保管中及び/又は点灯中に放出されて、前記硫酸根の生成の要因となるものと推慮した。
更に、蛍光表示管製造工程の熱処理で表面酸化が生じこれが表面劣化の原因となり、加えて、蛍光表示管内の残留ガスの一成分であるHOと電子線の作用により更に劣化が進むことで蛍光体表面の発光が劣化するものと推慮した。
ZnO:Zn蛍光体以外の低抵抗酸化物蛍光体であるZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体もZnO:Zn蛍光体と同様のことが言える。
【0020】
また、蛍光表示管は300℃〜400℃の高温で真空状態にした後、残留気体分子を吸着して気相から排除する作用を有する物質、例えばTi,Mo,Ba,Zr等の高融点金属材料をゲッター材料として採用して、閉じた空間に於いて1×10−3Pa以下の高真空を維持している。しかしながら、上記酸化物蛍光体においては蛍光表示管の製造工程の熱処理では水分を取りきれず、電子線励起によるエネルギーで開放された水分(等の酸化性ガス)の影響で輝度低下を生じているものと推慮できる。
即ち、前記蛍光表示管容器内の真空中の、微量の水分は除去しきれずに蛍光表示管を構成する真空容器内部に残留し、該微量の水分が蛍光表示管の駆動時にフィラメントからの電子の影響によりLnS:Eu蛍光体表面において該蛍光体の硫黄分と反応して吸着されて、酸化を促進させて硫酸根が生成される。
ZnO:Zn蛍光体を含む蛍光体層の占有率が高い程水分を放出する量が多くなることにより、LnS:Eu蛍光体の表面が劣化してLnS:Eu蛍光体の輝度劣化を激しくする事ものと推慮出来る。
【0021】
さらに、Ln(ランタノイド)系元素Lu,Gd,La,Y各元素を含む、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体の各蛍光体特性を確認する為に、前記蛍光体を蛍光表示管に実装してアノード電圧を徐々に増加して前記蛍光体の発光する電圧である発光開始電圧を調査した。
Ln(ランタノイド)系元素は希土類元素として共通の性質を有するが、質量の大きさや電子配列で若干性質を異なる。抵抗値という点では一般に質量が大きいほど共有性が強くなる(抵抗が低くなる)ことが知られている。
【0022】
(グラフ2)

グラフ2は、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体,YS:Eu蛍光体の発光開始電圧を示すグラフである。
グラフ2から、蛍光体は抵抗が低いほど低電圧から発光を開始することから、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管は、約20Vで発光が確認され、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体蛍光体の順で発光が開始される事が解かる
従って、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体の順に母体抵抗が低くなることが解かる。
【0023】
このことは、これら蛍光体の母体抵抗の高さは蛍光体への電子の進入深さと比例関係があり、母体抵抗が小さいほど、より蛍光体内部まで発光領域が広がることを意味する。逆に言えば、抵抗が大きい蛍光体ほど表面近傍のみでの発光の寄与が大きく、寿命は母体抵抗が高いほど表面の状態が大きく発光に影響することを意味する。
従って、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体の順に、表面の状態が発光に影響する割合が少なくなることを意味する。
【0024】
しかしながら、従来から採用されている緑色発光のZnO:Zn蛍光体やその他の酸化物蛍光体はマルチカラー発光蛍光表示管に於いても非常に重要な蛍光体であり、LnS:Eu蛍光体のと併用する必要がある。
そこで、LnS:Eu蛍光体のように真空気密容器内の微量の水分により輝度劣化が顕著な蛍光体と、ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を同一蛍光表示管に使用するマルチカラー発光蛍光表示管において、
ZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積を、蛍光表示管内の全蛍光体面積に対するZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積の割合を調整する事で蛍光表示管内の微量水分の吸蔵・放出を制限し、
同一蛍光表示管内のZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体による、LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体,LaS:Eu蛍光体の影響を制限して、LnS:Eu蛍光体の中で真空気密容器内の微量の水分により輝度劣化が顕著な蛍光体を併用できるマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0025】
従って、前述のZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層の面積の制限により、前述のZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体による微量水分の放出を制限するものである。
従って前記蛍光表示管内の蛍光体層形成領域には、前述のZnO:Zn蛍光体その他の酸化物蛍光体を含む蛍光体層領域以外の領域には、微量水分の影響を受け易いLnS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0026】
本願発明に使用するLnS:Eu蛍光体は以下の様に作成した。
(1)LaS:Eu蛍光体の合成。
Laに対して1.2molの硫黄と炭酸ナトリウムを加え、これにLaに対してEuが4atm%になるようにEuを秤量した後、アルミナ坩堝内にこれらの混合した原料を充填して、該アルミナ坩堝を蓋で密封後、1200℃で2時間焼成してLaS:Eu蛍光体を得た。
【0027】
(2)LuS:Eu蛍光体の合成
Luに対して1.2molの硫黄と炭酸ナトリウムを加え、これにLaに対してEuが4atm%になるようにEuを秤量した後、アルミナ坩堝内にこれらの混合した原料を充填して、該アルミナ坩堝を蓋で密封後、1200℃で2時間焼成してLuS:Eu蛍光体を得た。
【0028】
(3)GdS:Eu蛍光体の合成
Gdに対して1.2molの硫黄と炭酸ナトリウムを加え、これにLaに対してEuが4atm%になるようにEuを秤量した後、アルミナ坩堝内にこれらの混合した原料を充填して、該アルミナ坩堝を蓋で密封後、1200℃で2時間焼成してGdS:Eu蛍光体を得た。
【0029】
これらのLnS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部とZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の占有率を変化させたマルチカラー発光蛍光表示管を作成した。
具体的には図1に示す様に、ガラス基板1上面にアルミニウム薄膜を成膜した後、該アルミニウム薄膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングして配線パターン2を形成する。該配線パターン2上面に低融点ガラスを主成分とする絶縁層3を形成し、前記絶縁層には配線導体と通じるスルーホール部4が設けられている。そして、絶縁層3上面には前記スルーホールを塞ぐように黒鉛を主成分とする陽極導体5を形成して焼成する。
【0030】
前記LnS:Eu蛍光体を、エチルセルロースをバインダとしてブチルカルビトールの溶媒に分散させたペーストを作成する。
前記蛍光体ペーストを前記陽極導体である黒鉛電極上面にスクリーン印刷で所定のパターン状に塗布後乾燥してLnS:Eu蛍光体を有する蛍光体層6aを形成した。
その後、ZnO:Zn蛍光体を、エチルセルロースをバインダとしてブチルカルビトールの溶媒に分散させたペースト作成し、該蛍光体ペーストを前記黒鉛電極上にスクリーン印刷で所定のパターン上を塗布乾燥して前記ZnO:Zn蛍光体有する蛍光体層6b、6cを形成して、陽極基板を完成させた。
前記LnS:Eu蛍光体有する蛍光体層6a及び前記ZnO:Zn蛍光体有する蛍光体層6b、6cが形成された陽極基板と、グリッド7、陰極8を内蔵し、箱型容器9等を組み立てて、400〜500℃雰囲気で、低融点ガラスにより真空気密容器を形成する。
次に、300〜400℃の雰囲気中で、容器中のガスを排気して真空気密したマルチカラー発光蛍光表示管を作成した。
【0031】
黄色乃至赤色に発光するLnS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部とZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を有するマルチカラー発光蛍光表示管作製して、前記蛍光表示管の発光特性を評価した具体例を以下に説明する。
(比較例)LaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体のみを使用した蛍光表示管。
ZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、LaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体のみの表示部で構成する蛍光体層6a,6b,6cに配設した蛍光表示管を作製して、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0032】
(グラフ3)

グラフ3は、ZnO:Zn蛍光体を使用しないときの蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ3から、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管であっても1000時間後の輝度は初期に対して55%の輝度を維持し、LaS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管は67%、LuS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管は79%を維持しており単体で使用できる。
【0033】
(実施例1)ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の10%とし、その他の表示部をLaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部としたマルチカラー発光蛍光表示管。
微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、前記ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の10%として、LaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部をその他の表示部として配設した蛍光表示管を其々作製して、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯し続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0034】
(グラフ4)

グラフ4は、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の10%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ4から、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管であっても1000時間後の輝度は初期に対して45%の輝度となっているが、黄色乃至赤色に発光するGdS:Eu、蛍光体は通常の使用時間は少ない為使用可能の範囲である。
一方、LaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は67%、LuS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は78%を維持しており実用上問題ない範囲である。
なお、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の10%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管の、残り90%の蛍光体層には、LaS:Eu、微量水分の影響を受け易いLnS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を前記併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0035】
(実施例2)ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の40%、その他の表示部をLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部のみとしたマルチカラー発光蛍光表示管
微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、前記ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の40%として、LaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部をその他の表示部に配設したマルチカラー発光蛍光表示管を其々作製して、60Vの陽極電圧を1000時間印加して点灯し続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0036】
(グラフ5)

グラフ5はZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の40%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ5から、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は1000時間後の輝度は初期に対して42%の輝度となっていしまうが、黄色乃至赤色に発光するGdS:Eu、蛍光体は通常の使用時間は少ない為点灯時間等の制限を設ければ使用可能の範囲である。
一方、LaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は60%、LuS:Eu蛍光体を使用した蛍光表示管は75%を維持しており実用上問題ない範囲である。
なお、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の40%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管の、残り60%の蛍光体層には、LaS:Eu、微量水分の影響を受け易いLnS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を前記併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0037】
(実施例3)ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の80%、その他の表示部をLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部のみとしたマルチカラー発光蛍光表示管。
微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、前記ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の80%として、LaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部をその他の表示部に配設したマルチカラー発光蛍光表示管を其々作製して、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0038】
(グラフ6)

グラフ6は、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の80%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ6から、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は1000時間後の輝度は初期に対して40%になるが、黄色乃至赤色に発光するGdS:Eu、蛍光体は通常の使用時間は少ない為使用可能の範囲である。LuS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管も輝度は初期値に対して46%をとなるが、黄色乃至赤色に発光するGdS:Eu、蛍光体は通常の使用時間は少ない為使用可能の範囲である。
しかし、LaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は59%となり実用上問題ない範囲である。
なお、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の80%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管の、残り20%の蛍光体層には、LaS:Eu、微量水分の影響を受け易いLnS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を前記併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0039】
(実施例4)ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の90%、その他の表示部をLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部のみとしたマルチカラー発光蛍光表示管。
微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、前記ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の90%として、LaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部をその他の表示部に配設したマルチカラー発光蛍光表示管を其々作製して、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0040】
(グラフ7)

グラフ7は、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の90%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ7から、LuS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は68%であり、LaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は52%であるが使用時間が一般に短いことから実用上問題ない範囲である。
しかし、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は1000時間後の輝度は初期に対して32%となっていしまい実用上採用できない。
なお、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の90%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管の、残り10%の蛍光体層には、LaS:Eu、微量水分の影響を受け易いLnS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を前記併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0041】
(実施例5)ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の95%、その他の表示部をLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部のみとしたマルチカラー発光蛍光表示管。
微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Zn蛍光体中に含まれる微量の水分の影響を確認するために、前記ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の95%として、LaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部をその他の表示部に配設したマルチカラー発光蛍光表示管を其々作製して、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯続けたときの輝度の劣化を確認した。
【0042】
(グラフ8)

グラフ8はZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の面積を全表示面積の95%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管のLaS:Eu、GdS:Eu、LuS:Eu蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部の寿命を示すグラフである。グラフ8から、最も輝度劣化の大きいGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は1000時間後の輝度は初期に対して28%となっていしまい、またLaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は38%となってしまい実用上使用できない。
一方、LaS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管は52%となったが実用上問題ない範囲である。
なお、ZnO:Zn蛍光体を有する蛍光体層からなる発光部を全表示面積の95%に配設したときのマルチカラー発光蛍光表示管の、残りの5%の蛍光体層には、LaS:Eu、微量水分の影響を受け易いLuS:Eu蛍光体のみならず、蛍光表示管に使用されている硫化物蛍光体その他の蛍光表示管用蛍光体を前記併用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供可能とするものである。
【0043】
(表1)

表1は、完成後点灯前の蛍光表示管のLaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体表面のESCA分析、及び、蛍光表示管を1000時間点灯した後のLnS:Eu蛍光体表面の硫酸根のESCA分析結果を示す表。表の数値は相対値である)。
表1のマルチカラー蛍光表示管を1000時間点灯した後のLnS:Eu蛍光体表面の硫酸根のESCA分析結果から、
(1)LuS:Eu蛍光体は、GdS:Eu蛍光体及びLaS:Eu蛍光体と比べて初期、1000時間点灯後、何れにおいても硫酸根は少ない。
(2)LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体及びLaS:Eu蛍光体はいずれも初期に比べて、1000時間点灯後硫酸根が増加している。
(3)LuS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体及びLaS:Eu蛍光体はいずれもZnO:Zn蛍光体の占有率が高く成る程、初期及び1000時間点灯後の硫酸根が増加している。
【0044】
一方、前記ESCA分析結果を示す表1では、1000時間点灯後の、蛍光体のZnO:Zn蛍光体の占有率を90%とし、LaS:Euを使用したマルチカラー蛍光表示管1000時間点灯駆動後の硫酸根は初期に対し3.85倍であり、GdS:Eu蛍光を使用したマルチカラー蛍光表示管マルチカラー蛍光表示管1000時間点灯駆動後の硫酸根は初期に対し3.50より大きな値となっているいが、実施例1乃至実施例4からLaS:Euを使用したのマルチカラー蛍光表示管輝度劣化はGdS:Eu蛍光を使用したのマルチカラー蛍光表示管より小さい。
1000時間点灯後の、蛍光体のZnO:Zn蛍光体の占有率を95%とし、LuS:Euを使用したマルチカラー蛍光表示管の硫酸根は初期に対し2.11倍であり、実施例1乃至実施例4からLaS:Euを使用した後のマルチカラー蛍光表示管の輝度劣化はGdS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー蛍光表示管より小さいことから輝度劣化の少ない事とも整合が取れている。
前記理由としてLaS:Eu蛍光体は、微量水分の影響による硫酸根の影響よりもLaS:Euを構成するLaは表面が光導電効果その他の別モードの発光現象があるためと考えられる。
【0045】
(実施例6)赤色に発光する蛍光体としてLaS:Euを黒鉛電極上面に形成した蛍光体層6aを全表示面積の5%となる様に形成し、緑みの黄色に発光する蛍光体(Zn0.9Cd0.1S:Au,Al蛍光体(Inを混合したもの)を、黒鉛電極上面に形成した蛍光体層6bを全表示面積の5%となるように形成し、ZnO:Zn蛍光体を黒鉛電極上面に形成した蛍光体層6cを全表示面積の90%となる様に陽極基板を形成して、実施例1と同様にマルチカラー発光蛍光表示管を作成した。
前記マルチカラー発光蛍光表示管を、60Vの陽極電圧を印加して1000時間点灯続けたときの輝度の劣化を確認しところ、LaS:Eu蛍光体発光部の輝度劣化は実用上問題かった。
【0046】
(実施例7)LuS:Eu蛍光体にGd,La,Yの固溶蛍光体(Lu1−x,Ln(1)S:Eu(但し、0<x≦0.1であり、Ln(1)はLa、Gd、Yから選ばれた少なくとも一種)を使用したマルチカラー発光蛍光表示管。
比較例及び、実施例2乃至実施例4から、LaS:Eu蛍光体、GdS:Eu蛍光体、LuS:Eu蛍光体の内、LuS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー蛍光表示管がZnO:Zn蛍光体の影響を受け難い事が解かった。そこでLuS:Eu蛍光体を主として、Lnの部分を、Gd,La,Yを単独又は2元素同時に10%迄置換した蛍光体を作製した。
具体的には、(Lu,La,Gd,Y)に対して、1.2molの硫黄と炭酸ナトリウムを加え、これにLu,La,Gd,Y)に対してEuが4atm%になるように、Euを秤量した後、アルミナ坩堝内にこの原料を充填して、該アルミナ坩堝を蓋で密封後、1200℃で2時間焼成して、(Lu,La,Gd,Y)S:Eu蛍光体を得た。
【0047】
(グラフ9)

グラフ9に示す様にLu及びLa,GdとYの中から選ばれた少なくとも一種の元素とを10mol%で混晶を構成したとき、従来のマルチカラー発光蛍光表示管より更に寿命が改善される事を示している。
(Lu,La,Gd,Y)S:Eu蛍光体に替えて、(Lu,La,Gd)S:Eu蛍光体、(Lu,La)S:Eu蛍光体を用いて実施例1と同様に微量の水分を吸蔵する物質と思われるZnO:Znを表示領域の比率90%になるようにマルチカラー発光蛍光表示管を作製し、前記マルチカラー発光蛍光表示管を1000時間点灯し続けて寿命評価をおこなったところ初期輝度に対して60%以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明により、信頼性の高い黄色乃至赤色に発光するLnS:Eu蛍光体を使用したマルチカラー発光蛍光表示管を提供できるという産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】マルチカラー発効蛍光表示管を示す図
【符号の説明】
【0050】
1・・・ガラス基板
2・・・配線パターン
3・・・絶縁層
4・・・スルーホール
5・・・陽極導体
6a・・・蛍光体層
6b・・・蛍光体層
6c・・・蛍光体層
7・・・グリッド
8・・・陰極
9・・・箱型容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を有する真空気密容器と、前記ガラス基板に配設された陽極と、前記真空気密容器内に配設された陰極と、青色乃至緑色に発光する蛍光体を含む蛍光体層並びに黄色乃至赤色に発光する蛍光体を含む蛍光体層が同一蛍光表示管内に配設されたマルチカラー発光蛍光表示管において、
少なくとも、前記黄色乃至赤色に発光するLnS:Eu(LnはLa,Gd,Lu,Yから選ばれた少なくとも一種)蛍光体を含む蛍光体層と、
前記青色乃至緑色に発光する蛍光体がZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層を有することを特徴とするマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項2】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がLuS:Eu蛍光体であり、
ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の95%以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項3】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がLaS:Euであり、
ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の90%以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項4】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体がGdS:Euであり、
ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の80%以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項5】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La,Gd,Y)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項6】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La,Gd)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項7】
前記黄色乃至赤色に発光する蛍光体が(Lu,La)S:Eu蛍光体からなることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。
【請求項8】
ZnO:Zn蛍光体、ZnGa蛍光体、ZnGa:Mn蛍光体から選ばれた少なくとも一の蛍光体を含む蛍光体層の面積が蛍光表示管の全蛍光体層面積の10%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載のマルチカラー発光蛍光表示管。

【図1】
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【公開番号】特開2006−19254(P2006−19254A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160012(P2005−160012)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】