説明

マルチセル電子回路配列及び製造方法

【課題】半導体プロセス技術が適用できるプラズマ表示チューブを提供すること。
【解決手段】プラズマ表示チューブは、第1の構成要素26の直線状配列24を有する基板22と、第1の構成要素と互いに作用する第2の構成要素29の直線状配列を有し、基板22が挿入され得る管状の包囲体28とを備えている。包囲体内には、基板に沿って少なくとも1つの第1の電極34が形成され、第1の構成要素の直線状配列はプラズマセル部分の直線状配列を備え、それぞれのプラズマセル部分には紫外線放射部材32が設けられる。第2の構成要素の直線状配列は、それぞれの紫外線放電発光部材に対応して設けられた蛍光体の直線状配列と、それぞれの蛍光体に対応して形成された第2の電極の直線状配列とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年12月11日出願の「マルチセル電子回路配列及び製造方法」という名称の出願(代理人整理番号00729−24688.NP)の利益を主張するものであり、上記出願は、2005年12月12日出願の「マルチセル電子回路配列及び製造方法」という名称の米国特許仮出願第60/749,779号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの電子デバイスが電子セルの配列を必要とする。例えば、プラズマディスプレイは表示セルの2次元配列を必要とする。プラズマディスプレイの個々の表示セルは、各々、個々にアドレス指定可能なピクセルをもたらすように協働する複数の電子部品を含む。プラズマセルにおいては、電極の組合せがガスをプラズマ状態へ励起し、プラズマが紫外線波長で放射する。紫外線放射は、例えば赤、緑又は青色の光線を放射する蛍光体を使用して、蛍光体によって可視光線に変換される。プラズマセルの要素は、電極、誘電体領域、ガス包囲体及び蛍光体を含むことができる。プラズマディスプレイは、1対の平坦な基板上に製作されることが多い。背面の第1基板は、表示セルの配列の幾何学的形態を生成するように、例えば各セルに対して個々のプラズマ領域を画定するように処理される。幾何学的形態はサンドブラスト又はエッチングにより形成され得る。リソグラフィ及び他の技術を用いて、第1の基板上に電極及び誘電体など様々な電子部品が形成される。前面の第2基板は、典型的には、プラズマが形成され得るガスを封入することができるチャンバを生成するよう第1基板に接合される。電極及び蛍光体などの要素も第2基板上に配設され得る。残念ながら、このように大きな基板を処理することは困難で高価であることが判明している。平坦な基板構造を用いる大きなプラズマディスプレイの生産性及びコストにおける進歩は実現されているが、これらのディスプレイは依然として製作するのが困難である。その上、非常に大きなディスプレイの製造に対する要求があり、既存の技術は、より大きなサイズへとスケールアップしていない。
【0003】
プラズマディスプレイの製造に対する代替手法に、ファイバ技術を使用するものがある。ガラスから長いチューブが引き出され、ガスで充填される。電極はチューブの外側に形成され、又は内側を貫く。残念ながら、この手法を用いたディスプレイの製造も困難であると判明している。例えば、この構成手法を用いると、表示セルの幾何学的構成が比較的限定される。したがって、表示セル構成要素の実装及び配置の最適化は実現困難である。例えば、大部分の要素がチューブの外側に配置されるので、プラズマ放電によって放射された1次放射が第2の放射領域へ効率よく結合されること保証するのは困難である。一般に2、電極のうちの1つがチューブの外側にあるので、1次放射領域への優れた結合をもたらす配置を見つけ出すのは困難である。その上、チューブ寸法及び電極とチューブの相対的位置における不均一性が、チューブごとの駆動電圧及び放電開始電圧などの動作パラメータに大きなばらつきをもたらし得る。したがって、管状のディスプレイは、基板型のディスプレイと比べて様々な性能において幾分か限られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より一般的には、電子部品の配列を製作するための技術は一般的に限られている。多くの電子デバイスは、半導体プロセス技術を用いて平面状結晶のウェハ上に製作される。これらのウェハは脆弱であり、完成したデバイスの特別なパッケージ及び取扱いが必要である。半導体プロセス技術は、例えばプラズマディスプレイ向けに望まれるような大きな寸法にはうまく適合しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来技術に固有の問題及び欠点を克服するのに役立つマルチセル電子回路配列のデバイス及び製作技術を含む。一般に、本発明は、マルチセル電子回路配列及びそれらの製造のための技術を記述する。本明細書で具現され、広義に説明される本発明によれば、本発明はマルチセル電子回路配列を特徴とする。マルチセル電子回路配列は細長い基板を含み、この基板は、その上で微細加工された第1の電子セル構成要素の直線状配列を有する。第1の電子セル構成要素の直線状配列は、第1の電子セル構成要素の直線状配列と相互に作用するように少なくとも1つの第2の電子セル構成要素を有する管状の包囲体内へ挿入される。構造及び回路が直線状配列上で微細加工され、次いで管状の包囲体内に配置され得るので、マルチセル電子回路配列の設計において多くの自由度が得られる。
【0006】
本発明は、プラズマディスプレイを更に特徴とする。プラズマディスプレイは複数の平行なガス包囲体チューブを含み、このチューブは、挿入されたプラズマセル構成要素の直線状配列を含む。本発明は、マルチセル電子回路配列を製作するための方法を更に特徴とする。
【0007】
本発明は、添付図面と共に解釈されて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から一層十分に明白になるであろう。これらの図が本発明の例示の実施の形態を示すだけであると理解されるので、これらは本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。本明細書の図に一般的に説明され示された本発明の要素は、広範囲の様々な構成に配置され設計され得ることが容易に理解されよう。それにもかかわらず、本発明は、添付図面を用いて更なる特殊性及び詳細が記述され説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るマルチセル電子回路配列の側面の斜視図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態に係る容量式タッチセンサの側面の斜視図である。
【図3a】本発明の別の実施の形態に係るプラズマ表示チューブの側面の斜視図である。
【図3b】図3のプラズマ表示セルの端部断面図である。
【図3c】図3のプラズマ表示セルの側面の断面図である。
【図4a】本発明の一つの実施の形態に係るプラズマ表示チューブの代替配置の真向きの斜視図である。
【図4b】図4aのプラズマ表示チューブの真向きの分解された斜視図である。
【図5】本発明の一つの実施の形態に係るプラズマ表示チューブの別の代替配置の真向きの斜視図である。
【図6】本発明の一つの実施の形態に係るプラズマ表示チューブの代替配置の分解された真向きの斜視図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態に係るプラズマ表示チューブの別の配置の分解された真向きの斜視図である。
【図8】本発明の一つの実施の形態に係るプラズマ表示チューブの別の配置の真向きの斜視図である。
【図9】本発明の別の例示の実施の形態に係るプラズマディスプレイの斜視図である。
【図10】本発明の別の例示の実施の形態に係る、ディスプレイとキーボードの結合されたユニットの斜視図である。
【図11】本発明の一つの実施の形態にしたがってマルチセル電子回路配列を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の例示の実施の形態についての以下の詳細な説明は、本明細書の一部を形成し且つ本発明が実施され得る例示の実施の形態を説明の目的で示す添付図面を参照する。理解されるように、これら例示の実施の形態は、当業者による本発明の実施が可能になるように十分詳細に説明されるが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施の形態を実現することができ、本発明に対して様々な変更が加えられ得る。したがって、本発明の実施の形態の一層詳細な以下の説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲に示されるように、本発明の特徴及び特性を説明し、本発明の最も優れた動作モードを説明し、当業者による本発明の実施を十分に可能にする、限定ではなく説明のみの目的のために提供される。したがって、本発明の範囲はもっぱら添付の特許請求の範囲によって規定される。本発明の以下の詳細な説明及び例示の実施の形態は、添付図面への参照によって最善の理解が得られる。図を通して、本発明の要素及び特徴は数字によって示される。
【0010】
図1を参照すると、本発明の第1の例示の実施の形態によるマルチセル電子回路配列が示される。具体的には、図1は、細長い基板12及び管状の包囲体14を含むマルチセル電子回路配列10を示す。細長い基板は、基板上で微細加工された第1の電子セル構成要素17の直線状配列16を有する。細長い基板は、その上に第1の電子セル構成要素が製作される前は、例えば、円形、楕円、三角形、正方形、長方形、八角形、多角形又は一定でない断面を持つ長い棒材であり得る。例えば、適宜の細長い基板は、引き延ばされたガラスなどのファイバから形成され得る。別の例として、細長い基板は、例えば直径0.5mm(500マイクロメートル)又は直径100マイクロメートル、更には直径50マイクロメートルのように、極めて小さくてよい。反対に、細長い基板は、直径が例えば5mm又は10mmのように比較的大きいものでもよい。
【0011】
細長い基板12は管状の包囲体14内へ挿入される。図を理解しやすいように、図1では細長い基板が部分的に挿入されて示されており、一般に、細長い基板は、管状の包囲体によって部分的に又は完全に囲まれ得る。管状の包囲体は、細長い基板の挿入の後に端部において閉じられる。管状の包囲体は中空ロッドの形状であり、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、八角形、多角形又は一定でない断面を有し得る。更に、内側断面と外側断面は互いに異なってもよい。すなわち、管状の包囲体の中空内腔の形状は、管状の包囲体の外側形状とは異なり得る。
【0012】
管状の包囲体14は、第1の電子セル構成要素17と互いに作用して電子回路の配列を形成する少なくとも1つの第2の電子セル構成要素18を有する。例えば、管状の包囲体は、その上で微細加工された複数の第2の電子セル構成要素を含むことができる。第2の電子セル構成要素の各々は、対応する第1の電子セル構成要素と互いに作用し、協働することができる。半導体デバイス、電気的相互接続、蛍光体などを含む様々なタイプの電子セル構成要素が含まれ得る。
【0013】
様々な第1の電子セル構成要素17は、細長い基板12上に製作され得る。例えば、以下で更に詳細に論じるように、電子回路は微細加工され得る。別の例として、電子回路は、管状の包囲体の外面上にも微細加工され得、1つ又は複数の第2の電子セル構成要素18を提供する。別の例として、電子的相互接続素子は、管状の包囲体の細長い基板上及び外面上に製作され得る。
【0014】
細長い基板上の電子回路は、検出回路又は放射回路を形成するように、管状の包囲体上の第2のセル構成要素と協働することができる。例えば、マイクロ真空管は、クライストロンなどのTHz領域での動作向けに生成され得る。更なる例として、ガイガー計数管、電子又はイオンの増幅器、電気光学検出器、光電子増倍管、電荷結合デバイス、画像変換器及び蛍光倍増管が、様々な波長での動作向けに製作され得る。別の例として、気体放電光源、火花放電光源、真空蛍光発光素子及びガスイオンレーザも生成され得る。誘電体上の流体の電気湿潤などの効果を用いる流体の制御装置も製作され得る。
【0015】
第1の電子セル構成要素の直線状配列が細長い基板上で微細加工されるので、管状の包囲体内に精密な電子回路が配置され得る。例えば、第1の電子セル構成要素は、高度に集積化され得るので高い回路密度をもたらす。管状の包囲体内に電子部品を配置することによって、様々な利点が得られる。例えば、管状の包囲体内に含まれるガス又は液体中に検出要素又は発光体要素を浸すことによって、リード長を短くすることができ、別の効果が実現される。管状の包囲体内のガス又はガス混合は、特定の用途(例えばプラズマディスプレイ又は蛍光照明)のために最適化され得る。
【0016】
次に、多素子電子回路配列の第1の詳細な例を、本発明の一つの実施の形態に従って説明する。図2は、本発明の一つの実施の形態に係る容量式タッチセンサを示す。60で全体的に示された容量式タッチセンサは管状の包囲体62を備え、その中に細長い基板64が挿入されている。細長い基板は、第1の導電体68によって互いに電気的に接続された第1のコンデンサ電極66の直線状配列を備える。ここでは第1のコンデンサ電極は円筒状に示されるが、様々な他の幾何学的構造が同様に用いられ得る。管状の包囲体は、第2のコンデンサ電極70の直線状配列を備える。第1のコンデンサ電極と第2のコンデンサ電極との対応する対は、容量式タッチセンサが複数のコンデンサ72を含むように、互いに隣接して配置される。複数の第2の導電体74を含んでもよく、その各々は、第2のコンデンサ電極のうちの1つを、容量を測定することができる電子回路76に電気的に接続する。
【0017】
各コンデンサ72の電気容量は、電極66、70の大きさ、管状の包囲体62の電気的性質、細長い基板64及び周囲の環境に左右される。指などの対象が1対の電極に近接して置かれると、対応するコンデンサの電気容量は対象の電気的性質に依存する量だけ変化させられる。したがって、1つ又は複数の電極対のうちのどれが電子回路74によって測定された変化した容量を示すかに基づいて、対象の位置が感知され得る。容量を測定するための様々な電子回路が当該技術で既知であり、更には論じない。
【0018】
例えば、1次元の位置感知配列は、第1の導電体68と複数の第2の導電体72の各々との間の容量を測定することにより、容量式タッチセンサ60の長手方向に沿った位置を決定することができる。コンデンサ70のうち、どの1つ以上のコンデンサが値を変えたかということから、接触位置を決めることができる。
【0019】
別の例として、複数の平行な容量式タッチセンサ60を使用して2次元の位置感知配列が構成され得る。第1の導電体68が行として使用される。第2の電極70の列は、平行な管状の包囲体を横切る共有された第2の導電体74を介して直列に接続され、行−列アドレスを提供するための列を形成する。したがって、変化した容量を示す1つ又は複数の行−列の対から、接触位置を決めることができる。
【0020】
次に、別の例として、マルチセル電子回路配列は、本発明の一つの実施の形態に従って説明されるように、プラズマ表示チューブであり得る。図3aは、20で全体的に示されたプラズマ表示チューブを示す。プラズマ表示チューブは、第1のプラズマセル部分26の直線状配列24を有する細長い基板22を含む。細長い基板は管状の包囲体28内に含まれる。管状の包囲体は端部(図示せず)で密閉されてガスを封止することができる。例えば、チューブは、ヘリウム、ネオン又はキセノン、類似のガス、又はそれらの組合せなどの不活性ガスを含むことができ、これらは励起されてプラズマを形成する。管状の包囲体は、第2のプラズマセル部分29の直線状配列を含む。第2のプラズマセル部分は、例えば、第2の放射領域36及び電極38を含むことができる。第2の放射領域は、例えば、1次放射領域から放射された紫外線放射を可視光線へ変換するための蛍光体を含むことができる。電極は例えば透明電極を含むことができる。
【0021】
図3aのプラズマセルは、側面図の図3b及び断面図の図3cに更に詳細に示される。細長い基板22はガラスなどの誘電体であり得る。プラズマセルはセル分離構造30を含む。セル分離構造は隣接セルの間に障壁を提供し、プラズマ発光が隣接セル内へ漏れるのを防止するのに役立つ。したがって、セル分離構造を含むことは、開示されたプラズマ表示セルを使用したディスプレイでの解像度の向上に役立つ。セル分離構造の製作は、ファイバ技術を用いた従来のディスプレイ製造技術では実現が困難であると以前に判明しており、したがって、そのようなディスプレイは、所望する程の解像度を提供しなかった。
【0022】
また、表示セルは1次放射領域32も含む。例えば、1次放射領域は、プラズマからの紫外放電発光を向上させ、動作電圧の低減を可能にするのに役立つように、MgOを含むことができる。電極34は、1次放射領域の下に、細長い基板22に沿って長手方向に配設される。電極は1次放射領域に接近して配置され得るので、従来技術の表示セルに対して効率を向上させるのに役立つ。
【0023】
電極と1次放射領域との間の結合を向上させるために、電極34と1次放射領域32との間に誘電材料35が配設され得る。電極は1次放射領域中の表面電荷を刺激するために使用され、それによってガスを刺激してプラズマ放電を形成する。プラズマ放電を開始し、維持し、終了させるために電極に電圧を印加するための様々な技術は、本発明の文脈で適用され得る技術分野において公知である。
【0024】
一般に、挿入可能な基板上でのセル構成要素の微細加工は、表示チューブの内部へコーティング又は素子を挿入しようとする従来の試みに伴う問題を回避するのに役立つ。挿入可能な基板上にセル構成要素を正確に配置することができるので、プラズマ表示セルの寸法形状が最適化されて効率の向上をもたらす。特定の電極形状、誘電体領域及び2次発光材料などの要素を含むことが可能となるので、所望の特性のためにプラズマ表示セルを設計するのに大きな設計自由度が提供される。
【0025】
プラズマ表示セルの検討を続けると、管状の包囲体28上に第2の放射領域36が配設される。代わりに、第2の放射領域は、以下で更に論じるように、管状の包囲体の内側に配設され得る。第2の放射領域は、紫外線放射を可視光線に変換する蛍光体を含むことができ、したがって、蛍光体は1次放射領域に対向して配置される。石英、石英ガラス、何らかのポリマー又は他の紫外線透過材料が、管状の包囲体に使用され得る。環境への露出から蛍光体を保護するのに資するよう、保護コーティングを第2の放射領域にわたって設けることができる。
【0026】
留意されるように、基板22によって画定されるセルの寸法形状は、2次放射領域の比較的近傍に1次放射領域を配置するように構成され得る。このことは、1次放射が、セル分離構造30又は表示セルの他の部分にではなく2次放射領域に吸収されて変換されることを保証するのに役立つ。したがって表示セルの効率が向上される。
【0027】
紫外線を赤、緑及び青色の可視光線に変換する様々な蛍光体が公知である。プラズマ表示チューブ20は、例えば管状の包囲体の片側面に沿って細長い蛍光体を設けることにより、すべてのプラズマセルが同色の蛍光体を有するように構成され得る。代わりに、プラズマ表示チューブは、連続したセル毎に交互の色を選択して個別の蛍光体領域の直線状配列を微細加工することにより、異なる色の蛍光体で構成され得る。管状の包囲体は電極38を備えることもできる。例えば、表示セルのアドレス指定は、以下でプラズマディスプレイに関して論じられる電極34、38の組合せを使用して実行され得る。
【0028】
プラズマ表示チューブの代替の実施の形態が、本発明の一つの実施の形態に係る図4a及び図4bの斜視図に示される。図4aは、組み立てられた構成におけるプラズマチューブ100の真向きの斜視図を与え、図4bは、包囲体サブアセンブリ102、第1の基板104及び第2の基板106という3つのサブアセンブリを示すプラズマチューブの分解組立図を示している。包囲体サブアセンブリは、管状の包囲体108と管状の包囲体の外面上に配設された電極110とを備える。電極はアドレス指定電極として使用され得る。管状の包囲体は、例えば、ガラス又はポリマー材料から形成された押出し管を含む様々な材料で形成され得る。電極は例えばインジウム・スズ酸化物を含む透明導電体で形成され得る。
【0029】
第1の基板104は包囲体サブアセンブリ102内へ挿入される。第1の基板は、例えばガラスチューブの形の中空チューブである。外側面に沿って2つの共面電極112a、112bが配設される。チューブは、チューブの内壁を露出させるための切り欠き部114を有する。例えば酸化マグネシウムである誘電体領域116がチューブの内側壁上に配設される。共面電極と誘電体領域は例えば円筒面リソグラフィによって形成され得る。
【0030】
第2の基板106が第1の基板104内へ挿入される。第2の基板は、セル分離構造116と蛍光体ロッド118とを備える。セル分離構造は、セル分離構造と管状の包囲体108の内側面とによって画定される領域内にプラズマを閉じ込める、プラズマセルの境界を画定するのに役立つ。プラズマ表示チューブ100は、例えば前述のようにチューブ内に配設されて領域を充填するガスを含むことができる。端部は例えばキャップ又はプラグを使用して密封されることができる。
【0031】
プラズマ表示チューブ100は前述のものと同様に機能する。共面電極112によって誘電体領域116上に表面電荷が生成され、これによってガスが励起されてプラズマを形成する。プラズマ表示チューブ内の個々のセルのアドレス指定には、電極110、112a、112bの組合せを使用することができる。プラズマは紫外光を放射し、これが蛍光体118によって可視光線に変換されてプラズマセルの外へ放射され得る。
【0032】
セル分離構造116は紫外線に対して不透明な材料であり得るので、紫外線放射をセルの内部に閉じ込めて隣接セル内への漏れを低減するのに役立つ。その上、蛍光体118は誘電体領域114の近傍に配置されるので、紫外線光の可視光線への変換効率を向上させるのに役立つ。
【0033】
図5は、本発明の代替の実施の形態に係るプラズマ表示チューブの別の配置を示す。150で全体的に示されたプラズマ表示チューブは、前述の実施の形態と同様に、電極110を有する管状の包囲体108を備える。基板152が管状の包囲体内へ挿入される。基板は複数のセル分離構造154を備え、これらを通って4本のロッドが挿入される。4本のロッドは2本の電極ロッド156と2本の蛍光体ロッド158とを含む。管状の包囲体の端部は、例えばガラスフリットを使用して、キャップ160によって密閉される。電極ロッドがキャップを通って延び、電気的接続を可能にする。電極ロッドは酸化マグネシウムなどの誘電材料でコーティングされ得る。プラズマ表示チューブ150の動作は、前述の実施の形態と同様である。
【0034】
上で説明したプラズマ表示チューブ150の1つの利点は、電極ロッド156が蛍光体ロッド158に極めて接近して配置されるので紫外線光の可視光線への効率的な変換が提供されることである。
【0035】
図6は、代替配置のプラズマ表示チューブの分解された真向きの斜視図を示す。200で全体的に示されたプラズマ表示チューブは管状の包囲体202と細長い基板204とを備える。管状の包囲体は例えばインジウム・スズ酸化物の電極206a、206bを備える。細長い基板は例えばステンレス鋼線の電極208を含む。細長い基板の中空の領域は、赤、緑及び青色の交番するプラズマセルを生成するよう、例えば赤色蛍光体210rの区域、緑色蛍光体210gの区域及び青色蛍光体210bの区域に配置された蛍光体210を有する。前述のように、セル分離構造212がセル間で画定されるように、細長い基板は中空にされる。代替配置として、外部電極を省略し、2つ以上の内部電極を含めることができる。
【0036】
図7は、別の配置のプラズマ表示チューブ250の分解された真向きの斜視図を示す。先のように、管状の包囲体254内に細長い基板252が配設される。細長い基板は微細機械加工された角柱であり、中心に配設されたトレンチを有し、トレンチ内に誘電体256及び蛍光体258が形成される。細長い基板内に電極258が配設される。誘電体は紫外光反射器として機能し、プラズマ表示セルの効率の向上に資することができる。
【0037】
図8は、別の配置のプラズマ表示チューブ300の真向きの斜視図を示す。管状の包囲体302は、管状の包囲体に挿入された複数の細長い基板を保持するために一連の内部スロット304を有する。例えば、第1の基板306は蛍光体を含むことができ、第2の基板308は維持電極310を含むことができる。電極は第2の基板内に配設され、又は第2の基板の表面上で微細加工され得る。誘電材料は第2の基板上に設けられ得る。
【0038】
プラズマ表示チューブは、以下に説明するように、プラズマディスプレイパネルの中に形成され得る。図9は、本発明の別の例示の実施の形態によるプラズマディスプレイを示している。プラズマディスプレイ40は複数の実質的に平行なガス包囲体チューブ42から成る。ガス包囲体チューブ内に複数の細長い基板44及びガス(図示せず)が配設される。前述のように、細長い基板は、例えば、その上に微細加工されたプラズマセル構成要素45の直線状配列を有する。前述のように、プラズマセル構成要素は、例えば、隣接セルから分離されたセルプラズマ領域を画定するセル分離構造を含むことができる。プラズマセル構成要素は、隣接セル内の維持電極セグメントに電気的に結合された維持電極セグメント46も含むことができる。例えば、維持電極は、細長い基板の側面に沿って又は凹部内に配設された連続的な導電性細長片によって提供され得る。また、プラズマセル構成要素は、ガス包囲体チューブの外側表面上に配設されたアドレス指定電極セグメント48又は48’を備えることができる。隣接したガス包囲体チューブのアドレス指定電極セグメント48間の電気的接続は、製作中に、隣接したアドレス指定電極セグメントを互いに電気接触するように配置することにより行われ得る。あるいは、アドレス指定電極セグメント48’間の電気的接続を提供するように、別個の電気的接続49(例えばワイヤ)がガス包囲体チューブに対して垂直に配設され得る。アドレス指定電極及び維持電極は、当該技術で知られているように、個々のプラズマセルの行−列のアドレス指定を提供することができる。維持電極は、当該技術で知られているように点火されたセルの活性プラズマを維持するためにも使用され得る。プラズマセル配列のアドレス指定電極及び維持電極とのインターフェイスをとるためのディスプレイ電子回路は当該技術では公知であり、更には説明しない。
【0039】
本発明の別の実施の形態として、次に説明されるように、容量式タッチセンサとプラズマディスプレイは単一ユニットに結合され得る。例えば、図10は、複数のマルチセル電子回路の配列82を使用して構成する、ディスプレイとキーボードの結合されたユニット80を示す。例えば、上で論じられたように、各マルチセル電子回路の配列は、上半分84に複数のプラズマ表示セルを含む。例えば、上で論じられたように、各マルチセル電子回路の配列の下半分86は複数のコンデンサを含む。例えば、前述のように、結合されたディスプレイとキーボードのユニットの上半分は、プラズマディスプレイとして機能するように構成され得る。例えば、前述のように、下半分は2次元位置センサとして機能するように構成され得る。より詳細には、下半分の特定の位置に、キーに対応するようラベル付けされ、別のデバイスへの入力のために接触位置が適切な記号に変換される。
【0040】
次に、マルチセル電子回路配列の製造方法が、図11に示されるように本発明の一つの実施の形態に従って説明される。方法50は、(a)細長い基板上で第1の電子セル構成要素の直線状配列を微細加工するステップ52を含む。例えば、細長い基板は、前述のように、円形、楕円形又は多角形の断面を有する筒状構造でよい。直線状配列の微細加工は円筒面リソグラフィを使用して実行され得るが、これは公知であり、ヤコブセン等の米国特許第5,106,455号、米国特許第5,269,882号及び米国特許第5,273,622号に記述されている。
【0041】
また、方法50は、(b)内腔及び少なくとも1つの第2の電子セル構成要素を有する管状素子を設けるステップ54を含む。この方法は、管状素子上で第2の電子セル構成要素の直線状配列を微細加工するステップをも含み得る。例えば、管状素子上に又は管状素子内に、プラズマセル構成要素や電気的相互接続などを形成するために前述のように微細加工が実行され得る。
【0042】
方法50は、(c)管状素子の中へ第1の電子セル構成要素の直線状配列を挿入してマルチセル電子回路配列を形成するステップ56も含む。また、方法50は、管状素子を真空にしてチューブ内に存在するガス又は他の物質を除去するステップを含んでもよい。次いで、管状素子は密閉され、或いはガス又は液体で充填されてから密閉される。
【0043】
前述の詳細な説明は、具体的な例示の実施の形態を参照しながら本発明を説明するものである。しかし、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が加えられ得ることが理解されよう。詳細な説明及び添付図面は限定するものではなく、単に例と見なされるべきであり、そのような修正又は変更は、すべて本明細書で説明され定義された本発明の範囲内に入るものとする。
【0044】
より詳細には、本発明の例証となる例示の実施の形態が本明細書に説明されているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、当業者によって前述の詳細な説明を基に理解される修正、省略、組合せ(例えば様々な実施の形態にわたる態様の組合せ)、改造及び/又は変更を有する任意の実施の形態及びすべての実施の形態を含む。特許請求の範囲中の限定は、特許請求の範囲中に使用される言語に基づいて広義に解釈されるべきであり、前述の詳細な説明又は適用例の遂行中に説明された例に限定されるものではなく、これらの例は非排他的なものと解釈されるべきである。例えば、本開示では、用語「好ましくは」は非排他的であり、「好ましいが、それには限定されない」ということを意味するものとする。あらゆる方法又はプロセスの特許請求の範囲中に列挙されたあらゆるステップは任意の順序で実行され得、特許請求の範囲に示された順序に限定されることはない。具体的な請求項の限定のために、以下の条件、すなわち、a)「〜するための手段」又は「〜するためのステップ」が当該限定において明確に列挙されること、b)対応する機能が当該限定において明確に列挙されること、c)構造、材料、又はその機能を支援する行為が本明細書内に記述されていることがすべて存在するとき、手段と機能の限定又はステップと機能の限定が使用されることになる。したがって、本発明の範囲は、上記で与えられた説明及び例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成要素(26)の直線状配列(24)を有する基板(22)と、
前記第1の構成要素と互いに作用する第2の構成要素(29)の直線状配列を有し、前記基板が挿入され得る管状の包囲体(28)と
を備えるプラズマ表示チューブであって、
前記包囲体内に、前記基板に沿って、少なくとも1つの第1の電極(34)が形成され、
前記第1の構成要素の直線状配列が、プラズマセル部分(26)の直線状配列を備え、それぞれの前記プラズマセル部分には紫外線放射部材(32)が設けられ、
前記第2の構成要素の直線状配列が、それぞれの前記紫外線放射部材に対応して設けられた蛍光体(36)の直線状配列と、それぞれの前記蛍光体に対応して形成された第2の電極(38)の直線状配列とを備えた
プラズマ表示チューブ。
【請求項2】
それぞれの前記プラズマセル部分を互いに分離して、隣接するプラズマセル部分へのプラズマ発光の漏れを防止するためのセル分離構造(30)を更に備える、請求項1に記載のプラズマ表示チューブ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の電極が、前記基板の長手方向に沿って配設された第1の維持電極(34)と第2の維持電極(34)とを含み、
それぞれの前記プラズマセル部分において、前記第1の維持電極と前記第2の維持電極との間に且つ前記蛍光体に対向する位置に、これらの維持電極と前記紫外線放射部材との間を結合させる誘電体(35)が配設される、
請求項1又は2に記載のプラズマ表示チューブ。
【請求項4】
前記包囲体が密閉され、それぞれの前記プラズマセル部分にガスが含まれる、請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のプラズマ表示チューブ。
【請求項5】
複数個の、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のプラズマ表示チューブを平行に配列したプラズマディスプレイ(40)。
【請求項6】
前記蛍光体が、紫外線を赤、緑及び青の可視光線にそれぞれ変換する蛍光体を含む、請求項5に記載のプラズマディスプレイ。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のプラズマ表示チューブを製造する方法(50)であって、
(a)前記第1の構成要素を基板に設けるステップ(52)と、
(b)前記第2の構成要素を管状の包囲体に設けるステップ(54)と、
(c)前記包囲体内へ前記基板を挿入するステップ(56)と
を含む方法。
【請求項8】
前記第1の構成要素を円筒面リソグラフィにより加工するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記包囲体の内部にガス又は液体を充填して前記包囲体を密閉するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記包囲体の内部を真空にして前記包囲体を密閉するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−216559(P2012−216559A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147073(P2012−147073)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2008−545753(P2008−545753)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】