説明

マルチトロイド変圧器

変圧器(200)が、エンクロージャ(47)内で直列に接続された複数の同軸配列トロイダル閉磁気回路(42)を含む2次巻線と、トロイダル閉磁気回路を軸方向に貫通する導電部材(301〜306)を含む複数のターンを有する1次巻線(23)とを備え、複数の導電部材のそれぞれ1つが、エンクロージャの壁に沿って進むそれぞれの導電ストリップ線路(321〜326)により電気的に接続されて、連続する1次巻線(23)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチトロイド変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1a及び図1bを参照すると、英国特許第0706197.1号から、それぞれ1〜Npc及び1〜Nscの番号を付けた1次回路機能及び2次回路機能の両方のための複数のトロイド11、12を有する高周波、高圧変圧器101、102が知られている。これらの1次トロイド群と2次トロイド群をシングルターンの管13が連結する。図1a及び図1bは、このような変圧器の回路図及び概略図をそれぞれ示している。
【0003】
シングルターン13上の電圧Vloopが電源回路出力に直結するのに適した電圧である場合、電力要件及び/又は動作要件が高まるにつれ、Vloopは、1〜Npcの番号を付けた1次コアの組11を省略できるほど十分に高くなることができる。
【0004】
より低い電圧では、ループをシングルターンよりも多くすることにより1次閉磁気回路の組を排除することもできる。理論的には、ループターン自体が所要の電源電圧に一致するように2次コアの組の上に巻くことができるターン数に事実上制限はない。
【0005】
日本国特許第11 176678号には、各々が変圧器構造並びに電圧増幅及び整流器回路を有する複数のモジュールを直列に接続した高圧変圧器が開示されている。モジュールの変圧器は、外見上電源に直結されたシングルターンの1次巻線により駆動される。
【0006】
英国特許第427,948号には、ケーシングで包まれたそれぞれの磁気コア上に同心性の単一の第1及び第2の巻線を有し、中心ポストが第1及び第2の巻線の磁気コアを貫いて同軸上に延び、ポスト及びケーシングが、第1の巻線の2次巻線及び第2の巻線の1次巻線として機能し、すなわちポストとケーシングが共通の結合巻線を形成するようにした変圧器が開示されている。
【0007】
米国特許第5,023,768号には、軸方向の中空コアを有して2次巻線をタンク内にタンクコアと同軸上に収容できるようにした円筒タンクが開示されている。1つの実施形態では、複数ターンの絶縁線がタンクのコアを貫通し、外壁及び端面を巡って1次巻線を形成する。或いは、タンクコア、タンク端部、及び外壁上の金属層からシングルターンの1次巻線が形成される。
【0008】
米国特許第6,377,153号には、シングルターン巻線として動作する導電性ハウジングによってコアを電気的に接続する、スイッチングノイズを低減させた絶縁スイッチング電源装置で使用するための変圧器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】英国特許第0706197.1号
【特許文献2】特開平11 176678号
【特許文献3】英国特許第427,948号
【特許文献4】米国特許第5,023,768号
【特許文献5】米国特許第6,377,153号
【特許文献6】英国特許第0711094.3号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、エンクロージャ手段内で直列に接続された複数の同軸配列トロイダル閉磁気回路手段を含む2次巻線手段と、トロイダル閉磁気回路手段を軸方向に貫通する導電部材を含む複数のターンを有する1次巻線手段とを備え、複数の導電部材のそれぞれ1つが、エンクロージャ手段の壁に沿って進むそれぞれの導電ストリップ線路手段により接続されて、1次巻線手段としての連続導電体を形成する変圧器が提供される。
【0011】
導電部材は、これらの断面が実質的にエンクロージャ手段の横断面上の円の円周上にくるように互いに離間されることが好都合である。
【0012】
導電部材は、管導体、ロッド導体及びストリップ導体のうちの少なくとも1つであることが有利である。
【0013】
導電部材は、変圧器の動作周波数で導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する壁厚を有する管であることが好都合である。
【0014】
任意に、導電部材は、変圧器の動作周波数で導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する厚さの平坦なストリップ導体である。
【0015】
任意に、導電部材は、変圧器の動作周波数で導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する壁厚を各々が有する並列に接続された導電部材の組み合わせを含む。
【0016】
導電ストリップ線路手段は、エンクロージャ手段の壁の外面上に位置するプリント基板内に形成されることが好都合である。
【0017】
エンクロージャは実質的に直線の横断面を有し、エンクロージャの縦軸に平行なエンクロージャの壁は実質的に平面であることが好都合である。
【0018】
導電ストリップ線路手段は、実質的に平面な壁のうちの第1、第2及び第3の壁上に位置し、変圧器の動作周波数における表皮深さよりも大きな厚さを有することが好都合である。
【0019】
第4の実質的に平面な壁は、整流要素のためのプリント基板を備えることが有利である。
【0020】
変圧器は、2次トロイダル閉磁気回路手段を軸方向に貫通する導電部材に電圧ホールドオフを与えるために、トロイダル閉磁気回路を上部に配置及び配列した絶縁管手段をさらに備えることが好都合である。
【0021】
変圧器は、冷却剤分配手段をさらに備えることが好都合である。
【0022】
冷却剤分配手段は、トロイダル閉磁気回路手段のコア開口部と同軸上にあってこれよりも小さな直径の管手段を備え、管手段には、冷却剤をそれぞれの2次トロイドへ向けて導くための流出孔開口部が設けられることが有利である。
【0023】
変圧器は、1次巻線手段と2次巻線手段との間に静電遮蔽手段をさらに備えることが好都合である。
【0024】
静電遮蔽手段は、1次巻線手段と2次巻線手段との間に配置された薄壁金属スリーブにより実現されることが有利である。
【0025】
薄壁金属スリーブは、薄壁金属スリーブ内の渦電流を最小限に抑えるための縦方向スリットを備えることが有利である。
【0026】
変圧器は、高圧絶縁を提供して絶縁体の表面を横切る高圧トラッキングのリスクを最小限に抑えるために、トロイダル閉磁気回路手段とエンクロージャの内壁との間に配置された電気絶縁シート手段をさらに備えることが好都合である。
【0027】
個々の2次トロイダル閉磁気回路手段は、変圧器の個々の2次トロイダル閉磁気回路手段が星形結線されて入力を2パルス整流器に供給するように相互接続されることが好都合である。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、上述したような3つの個々の分離された変圧器を備え、変圧器の1次巻線手段がデルタ結線されて3相インバータから給電を受けるように配列された3相インバータシステムが提供される。
【0029】
3つの個々の分離された変圧器の2次トロイダル閉磁気回路手段は、変圧器の個々の2次トロイダル閉磁気回路手段が星形結線されて入力を6パルス整流器に供給するように相互接続されることが有利である。
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】第1の従来技術の変圧器の回路図である。
【図1b】第2の従来技術の変圧器の概略図である。
【図2】本発明による変圧器の第1の実施形態の概略図である。
【図3】本発明による変圧器の第2の実施形態の側板を示す図である。
【図4a】図3の実施形態の端面図である。
【図4b】本発明の第3の実施形態の端面図である。
【図5】本発明の第2の態様の2次巻線の相互接続を示す回路図である。
【図6】本発明による変圧器の模型の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図では、同じ参照番号が同じ部分を示す。なお、明瞭にするために、図面は必ずしも縮尺通りではない。
【0033】
図2は、図1bの変圧器と類似しているが1次トロイドを有していない本発明の実施形態を示している。従って、図2の本発明による変圧器20の基本回路を参照すると、2次巻線22が、直列に接続された複数のNsc個の閉磁気回路1〜Nscを備え、これらの各々がnsc回のターン21を有する。
【0034】
全ての2次磁気回路は、2次閉磁気回路を貫通する2回のターンを有するがそれ以外では単一のループを含む低抵抗ループ23に電磁的に結合される。このように、1次は効果的に2回のターンを有するが、あらゆる適当なnp回のターンを使用することができる。
【0035】
sc個の2次巻線21の各々にはそれぞれの整流器24を設け、変圧器20の出力を整流してDC出力Eoutを供給できるようにする。
【0036】
2次磁気回路を貫く1次ターンの部分を管25内に配置して、1次巻線23と2次巻線21との間に静電遮蔽を与えることができる。
【0037】
変圧器20は、図2に示すような1次電圧と2次電圧との間に以下の関係を有する。






この場合、
priは、1次巻線23にかかる1次電圧であり、
dcは、1つの2次巻線21にかかる整流した2次電圧であり、
pは、1次ターン数であり、
scは、2次磁気回路又はコアの数であり、
scは、磁気回路又はコア当たりの2次ターン数であり、
outは、変圧器の出力電圧である。
【0038】
実用システムでは、各々が100mm前後の内径及び25mmの高さの20個の2次コアが必要になる可能性があり、これにより500mm長の構造が必要になると思われる。このような組立体を通じてわずか6回のターンを巻くことが困難かつ面倒な作業となる。さらに、最大150Aの高周波電流を処理するのに十分な断面を必要とし得る線を制御しながら、最大25kVの電圧ホールドオフを目的として慎重に位置決めすることは困難である。
【0039】
本発明は、この問題を解決することに伴う困難を克服する実用的な構造配置を提供する。
【0040】
高周波電流では、電流フローに十分利用されるのは導体の表面のみである。この周知の効果を説明するために、電流が表面値のわずか37%にまで減少する深さである表皮深さを使用する。最も実用的な導体の1つである銅では、表皮深さが次式により近似的に得られる。

【0041】
従って、例えば5000Hzでは、表皮深さはわずか0.09cmとなる。このため、高電流導体は、非常に「低い」高周波数であっても大きな面積を必要とする。
【0042】
公知のリッツ線は、このような用途で役立つことができるように束ねられて巻かれた、互いに絶縁された細い導体からなる多くのストランドを有する。しかしながら、リッツ線は高価かつ複雑であり、接続するのが困難である。
【0043】
より実用的でありながら有効な2つの材料に、表皮深さに匹敵するがこれよりもわずかに厚さが大きい平坦なストリップ導体、及び表皮深さに匹敵するがこれよりもわずかに壁厚が大きな管がある。任意に、導電部材は、変圧器の動作周波数で導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵するがこれよりもわずかに壁厚が大きな並列に接続された管の組み合わせを含む。
【0044】
全ての細線は、リッツであるか又は従来のものであるかに関わらず剛性を欠き、重力の影響下で落ちたり又は弛んだりし、或いはその他の力の影響下で移動する傾向にある。従って、高圧絶縁を目的としてこのような導電体の位置を制御するためには、これらの導電体の正確な位置が問題となり得る。
【0045】
本発明では、比較的剛性の高いストリップ及び管を使用した機械的配列により、マルチターン1次配線を実現する。特徴は、標準的な既存の低コスト材料形態を使用することである。
【0046】
本発明の実施形態による変圧器200の向かい合う側板を示す図3、及び図4aの端面図を参照すると、中心導体に一群の管又はロッド301〜306を使用し、これらをピッチ円32の円周上で均等に間隔を空けて、一群の2次トロイド42内に軸方向に配置している。2次トロイド42を収容する溝状構造47の3つの外面上のストリップ線路321〜326により、これらの管又はロッド301〜306の戻り電気路が形成される。これらのプリント基板の導体は、変圧器の動作周波数で導体が運ぶ電流の表皮深さよりも若干肉厚である。これは、変圧器の外側が他の配列要素、特に他の同様の変圧器に浮遊結合されるのを確実に最小限に抑えるためのものである。
【0047】
図3は、向かい合う側板31、33をうまく使用することによって必要な接続を行う接続方法を概念的に示している。
【0048】
図3及び図4aを参照すると、溝47の3つの側面471、472、473及び向かい合う側板31、33の外面を、プリント基板A〜F又は化学成形技術を使用して実現することができる。プリント基板(PCB)材料は、あらゆる必要な厚さに構築できる銅で製造することができ、従って表皮深さの件は問題でなくなる。
【0049】
従って、管又はロッドと、同軸2次閉磁気回路42を収容する溝状構造47の側面上のストリップ線路とが直列に接続されて1次巻線を形成する。
【0050】
第1の側板33上の入力ストリップ線路330は、1次入力端子を第1の管又はロッド301の第1の端部に接続するが、これについては図面を明瞭にするために端部しか示していない。
【0051】
第1のロッド又は管301の第2の端部は、第2の側板31上の第1の側板ストリップ線路311により、図4aに示す溝状構造47の第1の面471の外面上にある第1のストリップ線路321の第1の端部に接続される。第1のストリップ線路321の第2の端部は、第1の側板33上の第1の側板ストリップ線路331により第2のロッド又は管302の第1の端部に接続される。
【0052】
第2のロッド又は管302の第2の端部は、第2の側板31上の第2の側板ストリップ線路312により、溝状構造47の第1の面471の外面上にある第2のストリップ線路322の第1の端部に接続される。第2のストリップ線路322の第2の端部は、第1の側板33上の第2の側板ストリップ線路332により第3のロッド又は管303の第1の端部に接続される。
【0053】
第3のロッド又は管303の第2の端部は、第2の側板31上の第3の側板ストリップ線路313により、溝状構造47の第1の面471と直交する第2の面472外面上にある第3のストリップ線路323の第1の端部に接続される。第3のストリップ線路323の第2の端部は、第1の側板33上の第3の側板ストリップ線路333により第4のロッド又は管304の第1の端部に接続される。
【0054】
第4のロッド又は管304の第2の端部は、第2の側板31上の第4の側板ストリップ線路314により、溝状構造47の第2の面472の外面上にある第4のストリップ線路324の第1端部に接続される。第4のストリップ線路324の第2の端部は、第1の側板33上の第4の側板ストリップ線路334により第5のロッド又は管305の第1の端部に接続される。
【0055】
第5のロッド又は管305の第2の端部は、第2の側板31上の第5の側板ストリップ線路315により、溝状構造47の第2の面472と直交し、第1の面471に平行な第3の面473の外面上にある第5のストリップ線路325の第1の端部に接続される。第5のストリップ線路325の第2の端部は、第1の側板33上の第5の側板ストリップ線路335により第6のロッド又は管306の第1の端部に接続される。
【0056】
第6のロッド又は管306の第2の端部は、第2の側板31上の第6の側板ストリップ線路316により、溝状構造47の第3の面473の外面上にある第6のストリップ線路326の第1の端部に接続される。第6のストリップ線路326の第2の端部は、第1の側板33上の出力ストリップ線路336により1次出力端子に接続される。
【0057】
製造を容易にするために、1次巻線のターンを3の倍数で分けて、溝47の3つの側面471、472、473の外面上の全てのプリント基板が等しくなるようにすることが望ましい。
【0058】
ストリップ線路321〜326は、変圧器の外側が、特に同じ場所に配置した変圧器に結合されるのを最小限に抑えるように表皮深さよりも若干肉厚である。或いは、同じ場所に配置した変圧器間に、表皮深さよりも肉厚の伝導シートを配置してもよい。
【0059】
図4aは、組み立てた変圧器200の簡略端面図を示している。内部絶縁管41は、2次トロイド42を配置するために使用され、また1次ターンの管又はロッド301〜306に電圧ホールドオフを与える。図4bに示すように、1次と2次の間に静電遮蔽が必要な場合、この遮蔽を、渦電流を最小限に抑えるための縦方向スリット251を有する内部絶縁スリーブ41の内面上の薄壁金属スリーブ25によって実現することができる。トロイド42とエンクロージャ47の内壁との間に位置する適当な絶縁材料からなる単一のシート43が、外部絶縁ラップを提供することができる。この材料を所定の姿勢に単純に形成し又は湾曲させて、必要な高圧間隔及び高圧トラッキング距離を与えることができる。溝の第4の側面は、例えばあらゆる必要な整流器ダイオード及びフィルタ要素45、46を取り付けたより従来的なPCB44を収容する。
【0060】
図4bは、変圧器の代替の実施形態201を示しており、この図では、中心導体が上述した実施形態200のようにロッド又は管301〜306ではなく平板ストリップ401〜406である。図4bは静電遮蔽25も示しており、このような選択が必要な場合には、上述したようにこれを設けることができる。
【0061】
しかしながら、1次と2次の間の遮蔽を十分に有効にするためには、この遮蔽により2次42からの戻りストリップ321〜326を遮断することも必要である。図4bは、追加の3つの遮蔽2511、2512、及び2513を示している。これらは、肉薄の銅シート(20μM厚が適当)とすることができ、連結部2514及び2515により接続される。遮蔽25は、変圧器の低電圧端部において線連結部2517により遮蔽組立体2511、2512、及び2513に電気的に連結される。
【0062】
或いは、例えば1.6mm厚のガラス繊維強化ポリマー(GFRP)片側銅プリント基板材料(FR4など)上に70μm厚の銅導体(2oz/ft2)を有するプリント基板を使用して遮蔽2511、2512、及び2513を実現し、エンクロージャ47と置き換えることもできる。銅の内面を遮蔽として使用する一方で、プリント基板材料の外面は、プリント基板材料内/上に接合/エッチングされた戻りストリップ321から326を有することができ、これにより両側プリント基板が形成される。
【0063】
この適応を、図4a又は図4bに示す変圧器の配列のいずれかとともに使用することができる。
【0064】
高出力変圧器はいずれも冷却を必要とし、いくつかの実施形態では、冷却剤をそれぞれの2次トロイド42へ向けて導くための図示していない適当な流出孔を設けた、冷却剤を分布させるための内管34が2次トロイド42と同軸上に設けられる。ロッド301〜306又はストリップ401〜406間の空間を含むわずかな放射状の間隙を有する1次巻線23の性質は、1次巻線23の構造が、従来の巻線の場合であれば生じるような大きな障害を引き起こすことなく、冷却剤がトロイド42上に容易に導かれることを意味する。
【0065】
図4a及び図4bを参照すると、溝構造47が、変圧器200、201の内側と外側の結合を最小限に抑える。溝構造47はまた、漏れインダクタンスも、変圧器の電圧及び電流の入出力要件に必要な間隔によって許容される最小値に低減させる。この低結合特性は、装置の3相用途において望ましい。
【0066】
3相インバータシステムを使用する用途では、上述した種類の3つの個々の分離された変圧器組立体が提供される。このようなシステムは英国特許第0711094.3号に開示されているようなものと考えることができ、該特許では1次巻線がデルタ結線され、3相インバータから給電を受ける。
【0067】
2次は、図5に示すように接続される。この配列では、個々の変圧器、例えばT1a、T1b、及びT1cの2次巻線の各々が星形結線され、標準の6パルス整流器へ供給される。英国特許第0711094.3号に詳述されるように、個々の整流器回路の各々は、必要に応じて適当なリプル低減フィルタコンデンサ、インダクタ、又はこれらの両方の組み合わせを有することができる。
【0068】
英国特許第0706197.1号に開示されるように、複数の整流器回路を使用する方法は、浮遊容量の効果を最小限に抑えるので望ましい。
【0069】
なお、この配列では、修正パルス幅変調3相信号源と併用した場合に個々の相間の相間結合が最小限に抑えられる。
【0070】
本発明による(整流器のない)変圧器の縮尺模型の写真を図6に示す。
【0071】
このように、図6は、各々を114ターンの0.5mm en.Cu線で巻いた、3C90材料の10個のTX36/23/15(4330−030−4416)コアを使用した縮尺模型変圧器を示している。1次は、互いに円筒状に離間した6つの中心4BA黄銅ロッド、及び各々が2つの戻り導体を有する3つの外側PCBから作成される。端板は、6つの中心ロッドが3つの外側PCBを介して直列に接続されて6ターンの1次を形成するように配列される。公称比は114/6=19である。全ての2次コイルは、様々なパラメータを調べる目的で直列に接続される。Megger B131ブリッジを1kHzで使用して、全体の2次巻線のインダクタンスを525mHとし、6ターンの1次巻線のインダクタンスを1.459mHとした。これらの値から得られる比率は、公称比にかなり近い18.98であった。1次巻線上で短絡した場合、漏れインダクタンスは682μHであり、Qは155であった。

【0072】
さらに、Fluke PM6306Aブリッジを使用して並列モデルLp及びRp上の分路インダクタンスの測定を行い、測定しなかった巻線は両端部の開回路であった。

【0073】
*これらの示度は、並列共振点で取得したものである。括弧内の数字は1次値のものである。2次測定値に基づく2次参照容量は9pF前後である。上記表内の値0.4°及び1.2°は公称ではゼロである位相角であり、Rpが同じく最大値に達した時の浮遊容量との共振を意味する。測定を行った時には、もう一方の巻線は浮遊状態のままにした。この結果、測定した有効容量が減少し、また2つの構造の異なる幾何学形状に起因して1次参照値も異なった。
【0074】
1次巻線を短絡させ、浮遊状態にして2次巻線における漏れインダクタンスを調べた。ブリッジは、Ls及びRsシリーズモデルを使用するように設定した。

【0075】
このように、模型は、この構築技術の原理が基本的に正常であることを立証した。
【符号の説明】
【0076】
20 変圧器
21 閉磁気回路のターン
22 2次巻線
23 1次巻線
24 整流器
25 管
pri 1次巻線にかかる1次電圧
sc 閉磁気回路数
p 1次ターン数
sc 閉磁気回路の2次ターン数
dc 1つの2次巻線にかかる整流した2次電圧
out 変圧器の出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャ手段内で直列に接続された複数の同軸配列トロイダル閉磁気回路手段を含む2次巻線手段と、前記トロイダル閉磁気回路手段を軸方向に貫通する導電部材を含む複数のターンを有する1次巻線手段とを備え、前記複数の導電部材のそれぞれ1つが、前記エンクロージャ手段の壁に沿って進むそれぞれの導電ストリップ線路手段により接続されて、前記1次巻線手段としての連続導電体を形成する、
ことを特徴とする変圧器。
【請求項2】
前記導電部材が、該伝導部材の断面が実質的に前記エンクロージャ手段の横断面上の円の円周上にくるように互いに離間される、
ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記導電部材が、管導体、ロッド導体及びストリップ導体のうちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変圧器。
【請求項4】
前記導電部材が、前記変圧器の動作周波数で前記導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する壁厚を有する管である、
ことを特徴とする請求項3に記載の変圧器。
【請求項5】
前記導電部材が、前記変圧器の動作周波数で前記導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する厚さの平坦なストリップ導体である、
ことを特徴とする請求項3に記載の変圧器。
【請求項6】
前記導電部材が、前記変圧器の動作周波数で前記導電部材が運ぶ電流の表皮深さに匹敵する壁厚を各々が有する並列に接続された導電部材の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の変圧器。
【請求項7】
前記導電ストリップ線路手段が、前記エンクロージャ手段の壁の外面上に位置するプリント基板内に形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の変圧器。
【請求項8】
前記エンクロージャが実質的に直線の横断面を有し、前記エンクロージャの縦軸に平行な該エンクロージャの前記壁が実質的に平面である、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の変圧器。
【請求項9】
前記導電ストリップ線路手段が、前記実質的に平面な壁のうちの第1、第2及び第3の壁上に位置し、前記変圧器の動作周波数における表皮深さよりも大きな厚さを有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の変圧器。
【請求項10】
第4の実質的に平面な壁が、整流要素のためのプリント基板を備える、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の変圧器。
【請求項11】
前記2次トロイダル閉磁気回路手段を軸方向に貫通する前記導電部材に電圧ホールドオフを与えるために、前記トロイダル閉磁気回路を上部に設置及び配列した絶縁管手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の変圧器。
【請求項12】
冷却剤分配手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の変圧器。
【請求項13】
前記冷却剤分配手段が、前記トロイダル閉磁気回路手段のコア開口部と同軸上にあってこれよりも小さな直径の管手段を備え、該管手段には、前記冷却剤をそれぞれの2次トロイドへ向けて導くための流出孔開口部が設けられる、
ことを特徴とする請求項12に記載の変圧器。
【請求項14】
前記1次巻線手段と前記2次巻線手段との間に静電遮蔽手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の変圧器。
【請求項15】
前記静電遮蔽手段が、前記1次巻線手段と前記2次巻線手段との間に配置された薄壁金属スリーブにより実現される、
ことを特徴とする請求項14に記載の変圧器。
【請求項16】
前記薄壁金属スリーブが、該薄壁金属スリーブ内の渦電流を最小限に抑えるための縦方向スリットを備える、
ことを特徴とする請求項15に記載の変圧器。
【請求項17】
高圧絶縁を提供して前記絶縁体の表面を横切る高圧トラッキングのリスクを最小限に抑えるために、前記トロイダル閉磁気回路手段と前記エンクロージャの内壁との間に配置された電気絶縁シート手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の変圧器。
【請求項18】
前記個々の2次トロイダル閉磁気回路手段が、前記変圧器の個々の2次トロイダル閉磁気回路手段が星形結線されて入力を2パルス整流器に供給するように相互接続される、
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれかに記載の変圧器。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の3つの個々の分離された変圧器を備え、該変圧器の前記1次巻線手段がデルタ結線されて3相インバータから給電を受けるように配列される、
ことを特徴とする3相インバータシステム。
【請求項20】
前記3つの個々の分離された変圧器の前記2次トロイダル閉磁気回路手段が、変圧器の個々の2次トロイダル閉磁気回路手段が星形結線されて入力を6パルス整流器に供給するように相互接続される、
ことを特徴とする請求項19に記載の3相インバータシステム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−529633(P2011−529633A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520599(P2011−520599)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050942
【国際公開番号】WO2010/013049
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(504351600)イー2ヴイ テクノロジーズ (ユーケイ) リミテッド (25)
【Fターム(参考)】