説明

マルチノード認識のための磁場通信方法及び装置

【課題】磁場通信ネットワークコーディネーターとMFANノードとの間の円滑な無線通信を可能にした方法を提供する。
【解決手段】ネットワークの合流、ネットワークの分離、ネットワークの合流状態確認、データ伝送及びグループアドレス設定のうちいずれか1つを要求する要求パケットを伝送する(a)段階;要求パケットを受信したノードから応答パケットを受信する(b)段階;(b)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(c)段階;(c)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(d)段階;(d)段階の応答受信確認パケットが受信されなかったノードが、再伝送する応答パケットを受信する(e)段階;(e)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(f)段階、(f)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(g)段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチノード認識のための磁場通信方法に関し、特に、磁場通信ネットワークコーディネーター(Magnetic Field Area Network Coordinator;MFAN-C)とMFANノード(MFAN Node;MFAN-N)との間の円滑な無線通信を可能にした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は電磁波の発生原理を説明するための図面である。
【0003】
周知のように、アンテナ(例えば、ダイポールアンテナ)に交流電圧を印加すると、電場が発生してアンテナに交流電流が流れることになって磁場が発生する。
【0004】
この時、電磁場が距離d(λ(波長)/2π)よりアンテナから分離されながら電磁波になって空間を伝播することになる。
【0005】
ここで、磁場領域(magnetic field)とは、アンテナからλ/2πまでの領域のことを言い、この領域内での通信を磁場通信と言う。
【0006】
このような磁場通信技術は既存のRFID技術とUSN(ubiquitous sensor network)技術とは違い、水、土、金属の周辺でも無線通信が可能な技術であって、既存の無線通信技術の限界点を乗り越えることができる核心技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国出願公開第2010−073289号公報
【特許文献2】国際公開WO2010−074374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MFAN−CとMFAN−Nとの間の円滑な無線通信を可能にした、マルチノード認識のための磁場通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明のコーディネーターによって行われる磁場通信方法はネットワークの合流、ネットワークの分離、ネットワークの合流状態確認、データ伝送及びグループアドレス設定のうち、いずれか1つを要求する要求パケットを伝送する(a)段階;前記要求パケットを受信したノードらから応答パケットを受信する(b)段階;前記(b)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(c)段階;前記(c)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(d)段階;前記(d)段階の応答受信確認パケットが受信されなかったノードが、再伝送する応答パケットを受信する(e)段階;前記(e)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(f)段階;及び、前記(f)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(g)段階を含んでなる。
【0010】
また、本発明のコーディネーターによって行われる磁場通信方法は、前記要求パケットの伝送回数をカウントする段階;前記(c)段階で選択した応答パケットにエラーが発生するか、前記(c)段階で選択した応答パケットの目的地アドレスと前記コーディネーターのノードアドレスとが一致しない場合、前記カウント数を確認する段階;及び、前記確認したカウント数があらかじめ決まっている値以下である場合、前記要求パケットを再伝送する段階をさらに含んでなることができる。
【0011】
また、前記(c)段階及び前記(d)段階は、前記(b)段階で受信した応答パケットのうち、多数の応答パケットを選択して多数の磁場通信ネットワークノードに応答受信確認パケットを伝送する段階であることがある。
【0012】
また、前記磁場通信ネットワークの時間的要素は、前記磁場通信ネットワークのコーディネーターが要求パケットを伝送する要求区間と、前記磁場通信ネットワークノードが応答パケットを伝送する応答区間、及び、あらかじめ決まっている時間の間に応答パケットを伝送する磁場通信ネットワークノードがなければ始まる非活性区間とからなる。
【0013】
本発明のノードによって行われる磁場通信方法は、磁場通信ネットワークのコーディネーターから要求パケットを受信する(a)段階;ネットワークの合流、ネットワークの分離、ネットワークの合流状態確認、データ伝送及びグループアドレス設定の応答パケットのうち、前記(a)段階で受信した要求パケットに該当する応答パケットを前記コーディネーターに伝送する(b)段階;及び、前記コーディネーターから受信確認パケットが受信されない場合、前記応答パケットを再送信する(c)段階を含んでなる。ここで、前記(b)段階及び前記(c)段階は、前記コーディネーターが要求パケットを伝送する要求区間と、前記ノードが応答パケットを伝送する応答区間、及び、あらかじめ決まっている時間の間に応答パケットを伝送するノードがなければ始まる非活性区間において、前記応答区間の時に行われる。
【0014】
本発明のノードによって行われる磁場通信方法は、前記応答パケットの伝送回数をカウントする段階をさらに含むことができる。これにより、前記(c)段階は、前記コーディネーターから受信確認パケットが受信されない場合、前記カウント数を確認する段階;及び、前記確認したカウント数があらかじめ決まっている値以下である場合、前記応答パケットを再伝送する段階を含んでなるものであることがある。
【0015】
また、前記ノードは、前記コーディネーターから要求パケットが受信されなくても、前記非活性区間の時はデータ伝送が可能なものであることがある。
【0016】
コンピューターで読み取り可能な記録媒体は、上述の磁場通信を実行するためのプログラムを格納することができる。
【0017】
その他の特徴及び態様は以下の説明、図面及び請求範囲によって明らかになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマルチノード認識のための磁場通信方法によれば、多数のセンサーノードが同時にコーディネーターに応答して信号同士が重なっても、コーディネーターでは信号を選び出すことができる。これにより、磁場通信ネットワークにおいて、コーディネーターと多数のセンサーノードとの間に信号衝突の心配がなく、円滑な通信が可能となる。さらに、コーディネーターは選択的な受信が可能になることによって、多数のセンサーノードを短時間に認識することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電磁波の発生原理を示す図である。
【図2】時間的構成要素であるスーパーフレームの構造を示す図である。
【図3】物理的構成要素であるネットワークの構造を示す図である。
【図4】MFAN−Cの状態遷移図である。
【図5】MFAN−Nの状態遷移図である。
【図6】合流過程を説明するための流れ図である。
【図7】分離過程を説明するための流れ図である。
【図8】合流状態確認過程を説明するための流れ図である。
【図9】応答区間でのデータ伝送過程を説明するための流れ図である。
【図10】非活性区間でのデータ伝送過程を説明するための流れ図である。
【図11】グループアドレス設定過程を説明するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面及び詳細な説明において、特別な事情がないかぎり、同じ図面番号は同じ要素、特徴及び構造を意味する。これら構成要素の相対的な大きさや説明は、明確性、図解及び便宜のために誇張される場合もある。
【0021】
以下の詳細な説明は、以下で説明する方法、装置及び/又はシステムの十分な理解のために提供される。よって、以下で説明するシステムの多様な変更、改造及び均等物は当業者に提示される。以下で説明する工程段階の実行及び/又は動作は一例であり、段階の順序及び/又は動作はこれに限られず、当該分野で広く知られている、例えば、必ず特定の順序で行われる段階の例外、及び/又は動作などによって変更することができる。
【0022】
1.ネットワークの構成要素
MFANとは、低周波帯域(30KHz〜300KHz)で磁場信号を用いて情報を送受信する無線ネットワークである。無線通信の動作中心周波数は128KHzであり、変調方式としては2相位相偏移(Binary Phase Shift Keying;BPSK)方式、又は、振幅偏移(Amplitude Shift Keying;ASK)方式を利用する。データレートを多様化するためにマンチェスター(Manchester)符号化と非ゼロ復帰レベル(Non-Return-to-Zero Level;NRZ-L)符号化を使用することにより、数メートルの距離で数Kbpsのデータレートを提供する。MFANに参与した機器はその役目によってMFAN−C(Coordinator)とMFAN−N(Node)とに分けられる。1つのMFANの中にはただ1つのMFAN−Cだけが存在し、MFAN−Cを中心として多数のMFAN−N装置がネットワークを形成する。MFAN−CはMFAN−Nの合流及び分離、解除を管理する。MFANでは時間分割多重接続(Time Division Multiple Access;TDMA)方式を使用する。MFAN−CがMFANにおける接続を管理して、MFAN−Nの接続時、MFAN−Cの判断に従って時間資源が分配される。MFAN技術はセンサーネットワーク、ホームネットワーク及び建設、農業、交通など応用サービス分野に適用することができる。
【0023】
MFANを構成する重要な構成要素は時間的要素と物理的要素とに分けられる。時間的要素は要求区間と、応答区間と、非活性区間とで構成されるスーパーフレームのことを言い、物理的要素はMFAN−CとMFAN−Nとで構成されるネットワークを意味する。物理的要素の最も基本となる要素はノードである。ノードの種類にはネットワークを管理するMFAN−Cとネットワークの構成要素であるMFAN−Nがある。
【0024】
図2は時間的要素であるスーパーフレームの構造を示し、図3は物理的な構成要素であるネットワークの構造を示す。MFANにおいて最初に決定しなければならないノードはMFAN−Cであり、MFAN−Cが要求区間で要求パケットを伝送することでMFANのスーパーフレームが始まる。MFAN−Cは通信領域内のMFAN−N同士の合流と分離、解除及び送受信区間を管理する役目をする。MFANは通信領域内で1つのチャンネルを使用することができるので1つのネットワークだけが存在する。MFANの中でMFAN−Cを除いた残りのノードはMFAN−Nとなる。MFAN−Cと各MFAN−Nとの間は1:1で繋がっており、MFANに参与したノードらはその役目によってMFAN−CとMFAN−Nとに分けられるが、全てのノードはMFAN−C又はMFAN−Nの役目をすることができる。
【0025】
MFANで活用することができる時間的要素は時間分割多重接続方式でのタイムスロット(Time Slot)である。MFAN−Cは応答区間でデータを伝送するMFAN−Nのグループを管理し、選択されたグループのMFAN内のMFAN−Nによってタイムスロットは自律的に管理される。MFANスーパーフレームの構造は図2に示しており、要求区間と、応答区間と、非活性区間とからなり、要求区間と応答区間の長さは可変的である。スーパーフレームはMFAN−Cが要求区間で応答要求パケットを伝送することで始まる。応答要求パケットは応答区間の間に応答パケットを伝送することができるMFAN−Nに関する情報を持っており、MFAN−Nは応答要求パケット内の情報を使用して応答区間の間に応答パケットを伝送する。
【0026】
要求区間は、MFAN−Cが応答区間の間に応答フレームを伝送するためのMFAN−Nに関する情報を持っている応答要求フレームを伝送する区間である。
【0027】
応答区間は、MFAN−Cの応答要求に応じてMFAN−Nが応答フレームを伝送することができる区間であり、MFAN内のMFAN−Nの個数によっていくつかのタイムスロットに分けられる。各タイムスロットの長さは応答フレームの長さと受信確認フレームの長さによって可変的である。スロット番号は分割されたタイムスロットの手順によって決められ、各タイムスロットで伝送するMFAN−NはMFAN−Cによって割り当てられる。MFAN−Cは応答区間の使用のために特定グループに応答区間を割り当てて、割り当てられたグループのノードらは応答区間を通じて自律的にデータフレームを伝送する。
【0028】
非活性区間は、一定の時間の間に応答パケットを伝送するノードがなければ始まり、MFAN−Cの要求がなくてもノードらがデータを伝送することができる区間である。この区間はMFAN−Cが要求パケットを送信する前まで持続する。
【0029】
MFANのスーパーフレームは要求区間と、応答区間と、非活性区間とに分けられ、MFANの構成要素であるMFAN−CとMFAN−Nは各区間で次のように動作する。
要求区間では、MFAN−Cが全体のノードに対して応答要求パケットをブロードキャスティングする。応答要求パケットを受信したMFAN−Nはこれに基づいて応答区間で応答パケットを伝送するかどうかを決める。MFAN−Cは応答区間で応答パケットを伝送するMFAN−Nのグループを決めることができる。
【0030】
応答区間では、MFAN−Cによって選択されたMFAN−Nが応答パケットを伝送することができる。MFAN−Nが応答区間を通じて応答パケットを伝送すると、応答パケットを受信したMFAN−Cは応答受信確認パケットを送信する。応答受信確認パケットを受けなかったMFAN−NはMFAN−Cから応答受信確認パケットを受けるまで応答区間で各タイムスロットごとに続けて応答パケットを伝送する。
【0031】
何れのMFAN−Nも特定時間の間に応答パケットを伝送しないと非活性区間となり、MFAN−Cが要求パケットを伝送する前までこの区間は持続する。例外的に非活性区間の間にMFAN−NはMFAN−Cの要求がなくてもデータを伝送することができる。
【0032】
MFANを構成する物理的要素は、MFAN−Cを中心とするスター型トポロジーネットワークでのMFAN−CとMFAN−Nを含むノードである。MFANはMFAN−Cを中心として各々のMFAN−Nとデータを伝送することができるネットワークであり、MFANの基本構成要素はノードである。ノードはその役目によってMFAN−CとMFAN−Nとに分けられる。MFAN−CはMFANの全体を管理し、1つのネットワークの中にただ1つだけが存在しなければならない。MFAN−Cは応答要求パケットを全てのMFAN−Nに同時にブロードキャスティングすることによりMFAN−Nを制御する。MFAN−NはMFAN−Cの統制に従って応答パケットを送受信しなければならない。MFANは、図3に示すように構成することができる。
【0033】
MFAN−CはMFANを管理するノードであって、1つのネットワークの中にただ1つだけが存在し、応答要求パケットを用いてMFAN−Nを管理し且つ制御する。
【0034】
MFAN−NはMFAN−Cを除いたMFANを構成するノードであって、1つのネットワークの中に最大65,519個くらいが存在し、MFAN−Cが送信する要求パケットに従って応答パケットを伝送する。
【0035】
MFANでは各々のMFAN−Nを区別するためにMFAN ID、UID、グループアドレス、ノードアドレスなどのアドレス体系を使用する。
【0036】
MFAN IDはMFANを区別する固有IDであって、その値は他のMFANのIDと重なることのない唯一の値であり、MFANが持続する間その値は維持される。
【0037】
UIDは64ビットで構成された固有識別子であって、表1のようにグループアドレスと、IC生産者コードと、IC生産者シリアル番号とで構成される。MFAN−NはUIDによって区別される。
【0038】
【表1】

【0039】
グループアドレスは分類されたMFAN−Nグループの識別子であって、パケット伝送時にグループ単位でデータ伝送要求をすることができて、衝突を最小化するための方法に活用され、0x00〜0x2Fの値を持つ。MFANで予約されたグループアドレスは表2の通りである。
【0040】
【表2】

【0041】
ノードアドレスはUIDの代わりに各ノードを区別するために使用する識別子であって、ネットワークの合流時、MFAN−Cによって割り当てられる16ビットのアドレスである。MFANで予約されたノードアドレスは表3の通りである。
【0042】
【表3】

【0043】
2.ネットワーク状態の概要
MFANにおいて、MFAN−Nはネットワークの形成、ネットワークの合流、応答伝送、データ伝送、ネットワークの分離、ネットワークの解除の動作状態を有する。
【0044】
MFAN−Cが要求区間で要求パケットをMFAN−Nに伝送することでネットワークを形成する。要求パケットにはMFAN IDが含まれていて、MFAN−Nが接続するネットワークを識別することができる。最小のネットワーク区間とはMFAN−Cだけが存在する時を意味し、要求区間と非活性区間だけで構成される。
【0045】
MFAN−Cが要求区間を通じて合流要求パケットを送信すると、MFANに合流しようとするMFAN−Nは受信したパケットを判断して、所望するMFANの合流要求パケットであれば、該当のMFANに接続するために応答区間を通じて合流応答パケットを伝送する。合流応答パケットを受けたMFAN−Cは該当のMFAN−Nに合流応答受信確認パケットを伝送する。MFAN−Cから合流応答受信確認パケットを受けたMFAN−Nはネットワークの合流が完了する。
【0046】
MFANに合流したMFAN−NはMFAN−Cの要求や自発的にネットワークから分離されることができる。MFAN−Cは現在のネットワーク状況やサービス方式に従ってMFAN−Nに分離要求を送信することで強制的に分離させることができる。自発的に分離された場合は、MFAN−Cの合流状態要求応答の結果から、MFAN−CはMFAN−Nの分離状況が分かる。
【0047】
MFANでMFAN−Cが要求区間を通じてデータ応答要求パケットを伝送すると、MFAN−Nは要求を受けたデータの種類に応じてデータ応答パケットをMFAN−Cに伝送することができる。データ応答パケットが伝送されたMFAN−Cはデータ受信確認パケットを伝送し、データ受信確認パケットを受けたMFAN−Nはデータ伝送を完了する。
【0048】
MFANの解除は、MFAN−Nの要求による正常的な解除と突発的な状況によって発生する非正常的な解除の2つに区分することができる。正常的な解除とは、MFAN−Cが解除可否を決定してこれを全体のMFAN−Nに分離要求することによりネットワークを解除することを言う。非正常的なネットワーク解除とは、ネットワークに参与した全体のMFAN−Nの電源が一度に切れたり、全体のMFAN−Nが同時にMFANの通信領域外へ出ることによりネットワークが解除されることを言う。
【0049】
MFANのデバイス状態にはMFAN−CとMFAN−Nの状態がある。MFAN−Cの状態には待機状態(standby state)、パケット分析状態(packet analysis state)及びパケット生成状態(packet generation state)がある。MFAN−Nの状態には節電状態(hibernation state)、活性化状態(activation state)、待機状態(standby state)、パケット分析状態(packet analysis state)及びパケット生成状態(packet generation state)がある。
【0050】
図4はMFAN−Cの状態遷移図である。図4に示すように、まずMFAN−Cが待機状態でキャリアを検出する間、MFAN−Nからパケットが受信されるとパケット分析状態へ遷移する(S10)。この時、MFAN−CのノードIDと受信したデータパケットの目的地アドレスとが一致すると、MFAN−Cはパケット生成状態(S11)へ遷移してDA(Data receiving Acknowledgement;データ受信確認)パケットを生成した後、MFAN−Nに送信する。以後、MFAN−Cは待機状態(S12)に復帰する。
【0051】
一方、パケット分析状態でMFAN−CのノードIDと受信したデータパケットの目的地アドレスとが一致しないか、データパケットにエラーが発生した場合は、MFAN−Cはすぐ待機状態(S13)に復帰する。パケット分析状態で受信した応答パケットにエラーが発生したり、MFAN−CのノードIDと受信した応答パケットの目的地アドレスとが一致しないと、MFAN−Cはパケット生成状態でSQ(Response Request:応答要求)パケットを再生成してMFAN−Nに再伝送する。もし、このようなエラーが連続して発生する場合は、パケット分析状態の手続きが要求される回数(最大N)、例えば3回くらい繰り返して実行(S14)される。この状態で、手続きがN+1回に至る時、MFAN−CはSQパケットの再伝送をこれ以上繰り返して行うことは無駄だと判断して、電力消費を減らすためにパケット分析状態から待機状態(S13)に復帰する。
【0052】
一方、上位システムなどから任意のシステム命令(system command)を受信する場合に、MFAN−Cは待機状態からパケット生成状態(S15)へ遷移して該当する要求パケットを伝送した後、待機状態(S16)に復帰する。この状態で、システム命令にエラーが発生したり、MFAN−CのノードIDと受信したシステム命令の目的地アドレスとが一致しないと、SQパケットを伝送した後、待機状態(S17)に復帰する。
【0053】
図5はMFAN−Nの状態遷移図である。図5に示すように、全てのMFAN−Nは持続的にキャリアをチェックする。MFAN−Nは電源がオンになると、節電状態(S20)に入る。この状態で、ウェイクアップ信号(ビット列)が検出されると、MFAN−Nは活性化状態(S21)へ遷移する。この状態で、SQパケットが受信されると、MFAN−Nはパケット分析状態に入って受信したSQパケットを分析する。
【0054】
この時、SQパケットの目的地アドレス、グループID及びMFAN−NのノードIDが一致すると、MFAN−Nはパケット生成状態(S23)へ遷移してMFAN−Cに応答パケットを送信した後、待機状態(S24)へ遷移する。一方、SQパケットの目的地アドレス、グループID及びMFAN−NのノードIDが一致しないと、すぐ節電状態(S25)に復帰する。待機状態でキャリア検出を行う(S26)間に自分のノードに対するSA(response acknowledgement:応答確認)パケットを受信した場合は、MFAN−Nは節電状態(S27)に復帰する反面、他のノードに対するSAパケットを受信した場合は、パケット生成状態へ遷移(S28)する。
【0055】
待機状態でスロットナンバーが割り当てられず、タイムアウト周期が経過する時は、MFAN−Nは節電状態(S29)にすぐ復帰する反面、スロットナンバーが割り当てられる時は、タイムアウト周期の経過回数が連続して最大N回になるまでパケット生成状態(S30)へ遷移して応答パケットを生成し、待機状態でスロットナンバーが割り当てられ、タイムアウト周期の経過回数がN+1回になった時は、これ以上の反復的な応答パケット生成が無駄だと判断して、電力消費を減らすために節電状態(S31)に復帰する。もし待機状態でキャリア検出を行う間にSQパケットを受信すると、MFAN−Nはパケット分析状態(S32)へ遷移する。
【0056】
一方、システムのインターラプトが発生すると、MFAN−Nは節電状態から活性化状態(S33)へ遷移する。この場合、MFAN−Nがシステムからデータを受信すると、パケット生成状態(S34)に移動してデータパケットを生成した後にMFAN−Cに伝送し、その後、パケット生成状態から待機状態(35)へ遷移する。この状態で、もしDAパケットが受信されると、MFAN−Nは節電状態(S36)に復帰する。
【0057】
もしDAパケットがタイムアウト周期の間に受信されないと、MFAN−NはMFAN−Cにデータパケットを再生成して再伝送した後にパケット生成状態から待機状態(S37)に入るが、このようにDAパケットがタイムアウト周期が経過するまでに受信されないことが連続して発生すると、パケット生成状態の手続きが要求される回数(最大N)、例えば3回くらい繰り返して実行される。手続きがN+1回に到る時、MFAN−Nは待機状態から節電状態(S38)に復帰する。
【0058】
3.媒体接近制御フレームの形式
MFANの媒体接近制御フレームは表4に示すように、フレームヘッダーとフレームボディーとで構成される。フレームヘッダーはMFAN−N間のデータ交換のための情報であり、フレームボディーはMFANデバイス間で実際に取り交わすデータである。
【0059】
3.1 フレームの形式
フレームヘッダーはMFAN−N間にデータを交換するために必要なMFAN ID、フレーム制御情報、送/受信ノードアドレス、フレーム一連番号などの制御関連情報を含んでいる。この部分に位置した情報をもってフレームの種類とフレームを取り交わすノードを区分する。またこれを用いて交換されたフレームの間違いを確認してフレームの信頼性を高める。
【0060】
フレームボディーはMFANデバイス間で実際に取り交わすデータが載せられたペイロードとペイロード内の間違いを確認するためのフレーム検査数列(Frame Check Sequence;FCS)とで構成される。
【0061】
【表4】

【0062】
フレームヘッダーにはフレームの送受信及び流れ制御のための情報などが含まれている。
【0063】
MFAN IDフィールドは、表4のように1バイトで構成され、ネットワークを区別するために使われる。
【0064】
フレーム制御要素はフレームの種類、受信確認方法、ファースト片、ラスト片、プロトコルバージョンなどの詳細フィールドで構成されており、その形式は表5に示している。
【0065】
【表5】

【0066】
表5の各フィールドは次のように説明される。
【0067】
1)フレームの種類フィールドは3ビットからなる(表6を参照)。
2)受信確認方法フィールドは2ビットからなり、受信確認フレームの受信確認方法フィールドは自分の受信確認フレームの種類を示し、それ以外のフレームでは該当フレームに対する受信ノードが使用する受信確認方法を示す。
【0068】
次は受信確認方法を示す。
【0069】
a)受信確認なし(No acknowledgement): 受信ノードは伝送されたパケットに対する受信確認をせず、送信ノードは実際の結果にかかわらず伝送が成功したとみなす。このような方法は受信確認を要しない1:1、1:Nで伝送されるフレームで使われる。
【0070】
b)シングル応答受信確認(Single acknowledgement):該当の応答パケットを受信したノードは、短フレーム間隔(Short Interframe Space;SIFS)の後に応答受信確認パケットを伝送することで送信ノードに答えることになる。このような受信確認方法は1:1で伝送されるフレームにおいてのみ使わなければならない。
【0071】
c)マルチ応答受信確認(Multiple acknowledgement): 該当の応答パケットを受信したノードは短フレーム間隔の後に多数の送信ノードに応答受信確認パケットを伝送することで多数の送信ノードに答えることになる。このような受信確認方法は1:Nで伝送されるフレームで使われることができる。
【0072】
d)データ受信確認(Data acknowledgement):該当のデータフレームを受信したノートは、短フレーム間隔の後にデータ受信確認パケットを伝送することで送信ノードに答えることになる。このような受信確認方法は1:1で伝送されるフレームにおいてのみ使わなければならない。
【0073】
3)ファースト片フィールドは1ビットであり、「1」は該当フレームが上位層からのデータの開始であることを意味し、「0」は開始ではないことを意味する。
【0074】
4)ラスト片フィールドは1ビットであり、「1」は該当フレームが上位層からのデータの終了であることを意味し、「0」は終了ではないことを意味する。
【0075】
5)プロトコルバージョンフィールドは2ビットからなり、サイズと位置はシステムの規格バージョンにかかわらず一定である。現在の値は0であり、新しいバージョンが出るごとに1ずつ増加する。特定ノードから自分のバージョンより高いパケットを受けた場合は、送信したノードには知らせずに捨てる。
【0076】
6)使用予約:後のために予約されたフィールドである。
【0077】
一連番号フィールドは8ビットの長さを持ち、該当フレームの一連番号を示す。フレームには各パケット当たりに割り当てられたカウンターによって0から255までの一連番号が順に付けられ、255を超えた時には0からまた付けられる。
【0078】
フレームボディーは可変的な長さを持ち、ペイロードとフレーム検査数列とで構成される。ペイロードはフレーム制御フィールド内のフレームの種類の詳細フィールドの内容によって互いに異なる形式を持つことになり、フレーム検査数列はフレーム内の間違いを確認するために使われる。
【0079】
ペイロードはMFAN−CとMFAN−Nとの間で実際に交換されるデータであり、長さは0から247までの可変的な値を持つ。
【0080】
フレーム検査数列は16ビットであり、フレームボディーが間違いなく受信されたかを確認するために使われる。次の16次標準発生多項式(Standard Generator Polynomial)を使って生成する。
【0081】
[数1]
G(x)=x16+x12+x+1
【0082】
3.2 フレームの種類
フレームの種類は表6のように要求フレーム、応答フレーム、データフレーム、
受信確認フレームの総4種類のフレームで定義されている。
【0083】
【表6】

【0084】
要求フレームは、MFAN−Cが要求区間でMFAN内の特定のMFAN−Nに要求パケットを伝送するか、全てのMFAN−Nに情報をブロードキャスティングする時に使用する。要求フレームの形式は表7の通りである。要求フレームをブロードキャスティングする時の受信確認方法は受信確認なしである。
【0085】
【表7】

【0086】
応答フレームはMFAN−Cの要求に対するMFAN−Nの応答パケットを応答区間で伝送する時に使用する。該当のMFAN−Nは、特定回数以内で受信確認パケットを受ける時まで応答区間の間に応答パケットを伝送し、応答フレームの形式は表8の通りである。
【0087】
【表8】

【0088】
データフレームは、表9のように、非活性区間でMFAN−Cの要求なしにMFAN−NがMFAN−Cにデータを伝送する時に使用する。
【0089】
【表9】

【0090】
受信確認フレームの種類には応答受信確認フレームとデータ受信確認フレームとがある。
【0091】
応答受信確認フレームは、MFAN−Cが要求フレームを伝送した場合、要求パケットを受信したMFAN−Nは応答パケットを伝送し、応答パケットを受信したMFAN−Cは応答受信確認パケットを伝送する。応答受信確認フレームは表10の通りである。受信確認フレームのペイロードには受信した応答パケットに対する応答受信確認データが記録される。該当の応答フレームを受信したMFAN−Cは、応答区間で短フレーム間隔の後に応答受信確認フレームを伝送することで送信MFAN−Nに答えることになる。
【0092】
【表10】

【0093】
データ受信確認フレームは、受信したデータパケットに対する受信確認フレームである。MFAN−Cは非活性区間で短フレーム間隔の後にデータ受信確認フレームを伝送することでデータパケットを送信したMFAN−Nに答えることになる。データ受信確認フレームは表11のようにペイロードなしにフレームヘッダーとフレーム検査数列だけで構成される。但し、受信ノードのアドレスが0xFFFE(合流されていないノード)であれば、UIDフィールドがデータ受信確認フレームに含まれる。
【0094】
【表11】

【0095】
3.3 ペイロードの形式
ペイロードの形式は要求フレーム、応答フレーム、データフレーム、応答受信確認フレームなど、フレームの種類によって異なるように構成される。
【0096】
3.3.1 要求フレーム
要求フレームのペイロードの形式は表12のようにグループアドレス、要求コード、長さ、少なくとも1つの要求ブロックで構成される。グループアドレスが0xFFであれば、全てのグループのMFAN−Nに応答を要求する。
【0097】
【表12】

【0098】
グループアドレスフィールドは1バイトで構成され、特定のグループに応答要求をする時に使用する。
【0099】
要求フレームのペイロード内の要求コードは表13の通りである。
【0100】
【表13】

【0101】
長さフィールドは1バイトで構成され、要求ブロック長さの合を表しており、長さフィールドの値は要求ブロックの長さと個数によって可変的である。
【0102】
要求ブロックデータの形式は要求しようとする命令に応じて異なるように構成され、1つ以上の要求ブロックが要求フレームのペイロードに含まれることができる。
【0103】
各要求ブロックのデータの形式に関する説明は次の通りである。
【0104】
1) 合流要求
合流要求データの形式は8バイトのUIDマスクで構成される(表14)。このUIDマスクは二分検索アルゴリズムの具現に活用することができる。
【0105】
【表14】

【0106】
2)分離要求
分離要求データの形式は2バイトのノードアドレスと1バイトのスロット番号とで構成される(表15)。 最初の2バイトは分離要求をしようとするMFAN−Nのノードアドレスであり、その次の1バイトは応答区間のスロット番号である。この時、ノードアドレスが0xFFFFであれば、そのグループアドレスに該当する全てのMFAN−Nに分離応答を要求する。
【0107】
【表15】

【0108】
3)合流状態要求
合流状態要求データの形式は表16に示している。最初の2バイトは合流状態要求をしようとするMFAN−Nのノードアドレスである。この時、ノードアドレスが0xFFFFであれば、そのグループアドレスに該当する全てのMFAN−Nに合流状態応答を要求する。
【0109】
【表16】

【0110】
4)データの要求
データ要求データの形式は表17に示している。最初の2バイトはノードアドレス、次の1バイトはスロット番号、その次の1バイトは受信するデータの種類である。スロット番号は分割された応答区間での時間順序を示し、データの種類は応用製品に応じて使用者が定義して使用する。
【0111】
【表17】

【0112】
5)グループアドレスの設定要求
グループアドレスの設定要求データの形式は表18に示している。最初の2バイトはノードアドレス、次の1バイトはスロット番号、その次の1バイトは設定するグループアドレスである。
【0113】
【表18】

【0114】
3.3.2 応答フレーム
応答フレームのペイロードは要求に対する応答データを含んでいる。応答フレームペイロードは表19に示している。最初の1バイトはグループアドレス、次の1バイトは応答コード、その次の1バイトは応答データの長さ(L)、その次のLバイトは応答データである。
【0115】
【表19】

【0116】
グループアドレスフィールドは1バイトで構成され、特定グループに応答要求をする時に使用する。
【0117】
応答コードの種類は表20の通りである。
【0118】
【表20】

【0119】
長さフィールドは1バイトで構成され、応答データの長さを示し、応答データの種類によって応答データの長さは可変的である。
【0120】
応答データの種類は合流応答、分離応答、合流状態応答、データ応答、グループアドレス設定応答に分けられ、次のようなデータの形式で構成される。
【0121】
1)合流応答
合流応答データの形式は表21に示している。合流応答データの形式は8バイトのUIDで構成される。
【0122】
【表21】

【0123】
2) 分離応答
分離応答データの形式は表22に示している。分離応答データの形式は8バイトのUIDで構成される。
【0124】
【表22】

【0125】
3) 合流状態応答
合流状態応答データの形式は表23に示している。合流状態応答データの形式は8バイトのUIDと1バイトの状態確認値(Status Value)とで構成される。
【0126】
【表23】

【0127】
状態確認値は次の表24の通りである。
【0128】
【表24】

【0129】
4) データ応答
データ応答データの形式は表25に示している。データ応答データの形式はLバイトの要求されたデータで構成される。
【0130】
【表25】

【0131】
5) グループアドレス設定応答
グループアドレス設定応答データの形式は表26に示している。グループアドレス設定応答データの形式は、変更されたグループアドレスが適用された8バイトのUIDと1バイトの設定されたグループアドレスとで構成される。
【0132】
【表26】

【0133】
3.3.3 データフレーム
データフレームペイロードは伝送するデータを含む。データフレームペイロードは8バイトのUIDとLバイトのデータとで構成される(表27)。
【0134】
【表27】

【0135】
3.3.4 応答受信確認フレーム
応答受信確認フレームペイロードは受信した応答パケットに関するデータを含んでいる。応答受信確認ブロックの形式は表28に示している。最初の1バイトはグループアドレスであり、次の1バイトは応答受信確認コード、その次の1バイトは長さ(L)、その次のLバイトは応答受信確認データである。
【0136】
【表28】

【0137】
応答受信確認フレームペイロードのグループアドレスフィールドは1バイトで構成され、特定のグループに応答要求をする時に使用する。
【0138】
応答受信確認フレームペイロードの応答受信確認コードは表29の通りである。
【0139】
【表29】

【0140】
応答受信確認フレームペイロードの長さフィールドは1バイトで構成され、応答受信確認データの長さを示し、応答受信確認データの種類によって可変的である。
【0141】
応答受信確認フレームペイロードの応答受信確認データの種類は合流応答受信確認、分離応答受信確認、合流状態応答受信確認、データ応答受信確認、設定応答受信確認に分けられる。応答受信確認データの形式は次の通りである。
【0142】
1)合流応答受信確認
合流応答受信確認データの形式は表30に示している。最初の8バイトはUIDであり、その次の2バイトは割り当てノードアドレスである。割り当てられたノードアドレスが合流されていないノードのアドレスである0xFFFEであれば、合流拒否されたことである。
【0143】
【表30】

【0144】
2)分離応答受信確認
分離応答受信確認データの形式は表31に示している。最初の8バイトはUIDであり、その次の2バイトはノードアドレスである。分離を許容しない場合は、ノードアドレスは元々のノードアドレスを記録し、分離を許容する場合は、初期ノードアドレスである0xFFFEを記録する。
【0145】
【表31】

【0146】
3)合流状態応答受信確認
合流状態応答受信確認データは8バイトのUIDで構成される(表32)。
【0147】
【表32】

【0148】
4)データ応答受信確認
データ応答受信確認データの形式は表33に示している。データ応答受信確認の形式は2バイトのノードアドレスと1バイトの使用予約とで構成される。
【0149】
【表33】

【0150】
5)グループアドレス設定応答受信確認
グループアドレス設定応答受信確認データの形式は表34に示している。グループアドレス設定応答受信確認の形式は8バイトのUIDと1バイトのグループアドレス状態確認値とで構成される。
【0151】
【表34】

【0152】
グループアドレス状態確認値は表35の通りである。
【0153】
【表35】

【0154】
4.媒体接近制御機能
MFANの媒体接近制御層ではネットワークを管理するための合流及び分離、合流状態確認の手続きなどが使われる。データ伝送の種類には応答区間での伝送と非活性区間での伝送とがある。そして、MFAN−Nのグループ別管理のためにグループアドレス設定機能を提供する。
【0155】
MFAN−NがMFAN−Cと通信するためには、まずMFANに合流しなければならない。基本的に各MFAN−Nは既に形成されたMFANがあるかどうかを調べた後、既存に形成されたMFANがある場合はそこに合流し、ない場合は自分がMFAN−Cになって新しいMFANを形成する。ここで、新しいMFANを形成するということは、周期的に要求パケットを伝送することを意味する。しかし、ノード自体の性能によって、MFANを形成せずにずっとMFAN−Nで残っているか、既存にMFANが形成されているか否かに関係なく自分がMFAN−Cになって新しいMFANを形成することができる。この場合、既存にMFANが形成されていれば、周波数チャンネルが1つしかないのでネットワーク形成をあきらめることになる。
【0156】
図6は合流過程を説明するための流れ図である。
【0157】
要求区間でMFAN−CがMFANにまだ合流していないMFAN−Nに対して合流要求パケットを送信すると、これにより、MFAN−Nは合流応答パケットを応答区間を通じてMFAN−Cに伝送する。MFAN−Cは該当のMFAN−NのMFANに対する合流可否を決めて合流応答受信確認パケットを通じてその結果を通知する。合流を許容した場合は、合流応答受信確認パケットに割り当てられたノードアドレスが含まれており、拒絶した場合は、初期ノードアドレスである0xFFFEが記録されている。図6に示すように、MFAN−Cが合流応答パケットを受信されなかったか、受信はしたが合流応答受信確認パケットのデータエラーで合流しようとするMFAN−Nが合流応答受信確認パケットを受けなかった場合は、合流応答受信確認パケットを受けるまで続けて毎時間スーパーフレームごとに合流応答パケットを伝送する。MFAN−NがMFAN−Cから合流応答受信確認パケットを受けると、合流は完了する。
【0158】
図7は分離過程を説明するための流れ図である。
【0159】
要求区間でMFAN−CがMFANに合流されたMFAN−Nに対して分離応答要求パケットを送信すると、これにより、MFAN−Nは分離応答パケットを応答区間を通じてMFAN−Cに伝送する。MFAN−Cは該当のMFAN−NのMFANに対する分離可否を決めて分離応答受信確認パケットを通じてその結果を通知する。分離を許容した場合は、分離応答受信確認パケットにはノードアドレスに初期ノードアドレスである0xFFFEが記録されており、分離を拒絶した場合は、元々のノードアドレスが記録されている。図7に示すように、MFAN−Cに分離応答パケットが受信されなかったか、受信はしたが分離応答受信確認パケットのデータエラーで分離しようとするMFAN−Nが分離応答受信確認パケットを受けなかった場合は、分離応答受信確認パケットを受けるまで続けて毎時間スーパーフレームごとに分離応答パケットを伝送する。MFAN−NがMFAN−Cから分離応答受信確認パケットを受けると、分離は完了する。
【0160】
図8は合流状態確認過程を説明するための流れ図である。
【0161】
要求区間でMFAN−CがMFANに合流されているMFAN−Nに対して合流状態応答要求パケットを送信すると、これにより、MFAN−Nは合流状態応答パケットを応答区間を通じてMFAN−Cに伝送する。MFAN−Cは該当のMFAN−NのMFANに対する合流状態を確認して合流状態応答受信確認パケットを伝送する。図8に示すように、MFAN−Cに合流状態応答パケットが受信されなかったか、受信はしたが合流状態応答受信確認パケットのデータエラーで合流状態応答パケットを送信しようとするMFAN−Nが合流状態応答受信確認パケットを受けなかった場合は、合流状態応答受信確認パケットを受けるまで続けて毎タイムスロットごとに合流状態応答パケットを伝送する。MFAN−NがMFAN−Cから合流状態応答受信確認パケットを受けると、合流状態応答は完了する。
【0162】
MFANでデータを伝送することができる区間は、応答区間と非活性区間とである。応答区間ではMFAN−Cの要求によってデータを伝送することができ、非活性区間ではMFAN−Cの要求なしにデータを伝送することができる。
【0163】
図9は応答区間でのデータ伝送過程を説明するための流れ図である。
【0164】
要求区間でMFAN−CがMFANに合流されているMFAN−Nに対してデータ応答要求パケットを送信すると、これにより、MFAN−Nはデータ応答パケットを応答区間を通じて伝送する。MFAN−Cは該当のMFAN−Nのデータを受信した後、データ受信確認パケットを伝送する。図9に示すように、MFAN−Cにデータ応答パケットが受信されなかったか、受信はしたがデータ受信確認パケットのデータエラーでデータ応答パケットを送信しようとするMFAN−Nがデータ受信確認パケットを受けなかった場合は、データ受信確認パケットを受けるまで続けて毎タイムスロットごとにデータ応答パケットを伝送する。MFAN−NがMFAN−Cからデータ受信確認パケットを受けると、データ伝送は完了する。
【0165】
図10は非活性区間でのデータ伝送過程を説明するための流れ図である。
【0166】
MFAN−Nが特定時間の間に応答パケットを伝送しないと非活性区間になり、MFAN−Cが要求パケットを伝送する前までこの区間は持続する。例外的に非活性区間の間にMFAN−NはMFAN−Cの要求なしにデータを伝送することができる。図10に示すように、MFAN−Nはシステムのインターラプトが発生することになると、MFAN−Cからの要求なしにデータを伝送することが可能である。MFAN−CがMFAN−Nのデータを受信されなかった場合は、データを受けるまでデータを再伝送する。MFAN−Nのデータ受信が完了すると、MFAN−CはMFAN−Nにデータ受信確認パケットを送信し、MFAN−Nがデータ受信確認パケットを受けると、データ伝送は完了する。
【0167】
図11はグループアドレスの設定過程を説明するための流れ図である。
【0168】
要求区間でMFAN−CがMFANに合流されているMFAN−Nに対してグループアドレス設定応答要求パケットを送信すると、これにより、MFAN−Nはグループアドレス設定応答パケットを応答区間を通じて伝送する。MFAN−Cは該当のMFAN−Nのグループアドレス設定状態を確認した後、グループアドレス設定応答受信確認パケットを伝送する。図11に示すように、MFAN−Cにグループアドレス設定応答パケットが受信されなかったか、受信はしたがグループアドレス設定応答受信確認パケットのデータエラーでグループアドレス設定応答パケットを送信しようとするMFAN−Nがグループアドレス設定応答受信確認パケットを受けなかった場合は、グループアドレス設定応答受信確認パケットを受けるまで続けて毎タイムスロットごとにグループアドレス設定応答パケットを伝送する。MFAN−NがMFAN−Cからグループアドレス設定応答受信確認パケットを受けると、グループアドレス設定は完了する。
【0169】
以上、図6乃至図9及び図11を参照して説明したことによれば、MFAN−CはMFAN−N1及びMFAN−N2のうち、MFAN−N2をまず選択し、MFAN−N1を後で選択することになっているが、これに限られるものではない。例えば、MFAN−Cは受信確認方法が「マルチ応答受信確認(Multiple acknowledgement)」の場合は、MFAN−N1及びMFAN−N2を同時に選択し、MFAN−N1及びMFAN−N2に同時に受信確認パケットを伝送することになる。
【0170】
一方、MFAN−Cは要求パケットの再伝送回数に制限を置くことができる。また、MFAN−Nは応答パケットの再伝送回数に制限を置くことができる。
【0171】
以上で説明した工程、機能、方法及び/又はソフトウェアは、プロセッサがプログラム命令を実行又は遂行させるコンピューターによってインストールしたプログラム命令を含む1つ以上のコンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録、格納又は固定されることができる。媒体はプログラム命令、データファイル、データ構造のようなものの単独又は組合を含むこともできる。媒体とプログラム命令は特別に設計されたか、構成されたものであることもあり、又は、コンピューターソフトウェア分野の当業者に広く知られているか、入手することができるものであることもある。コンピューターで読み取り可能な媒体はハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープのような磁気媒体と、CD-ROMディスクとDVDのような光媒体と、ROM、RAM、フラッシュメモリーのようにプログラム命令を格納し、且つ遂行するために特別に構成されたハードウェアデバイスなどを含む。プログラム命令としては、コンパイラによって生成された機械コード及び翻訳機を使ってコンピューターによって実行することができる高級コードが含まれたファイルを含む。上述したハードウェアデバイスは上記動作及び方法を遂行するために1つ又はその以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成するか、又はその逆に構成することができる。また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体はネットワークを通じて連結されたコンピューターシステムの間に分散されることができ、コンピューターで読み取り可能なコード又はプログラム命令は、分散された形態で実行されることができる。
【0172】
以上のように、多様な事例を説明したが、これに限られず、多様に変形して実施することができる。例えば、前述した技法などが異なる順序で遂行されるか、及び/又は、記述したシステムに用いられた部品、アーキテクチャー、デバイス又は回路が他の方法で組合されたり、及び/又は他の部品やそれらの均等物で代替又は補充されても所望する結果が得られる。よって、その他のイムプリメンテーションは本発明の請求項の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場通信ネットワークのコーディネーターによって行われ、
ネットワークの合流、ネットワークの分離、ネットワークの合流状態確認、データ伝送及びグループアドレス設定のうちいずれか1つを要求する要求パケットを伝送する(a)段階と、
前記要求パケットを受信したノードらから応答パケットを受信する(b)段階と、
前記(b)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(c)段階と、
前記(c)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(d)段階と、
前記(d)段階の応答受信確認パケットが受信されなかったノードが、再伝送する応答パケットを受信する(e)段階と、
前記(e)段階で受信した応答パケットのうち少なくとも1つを選択する(f)段階と、及び、
前記(f)段階で選択した応答パケットに該当するノードに応答受信確認パケットを伝送する(g)段階とを含んでなる磁場通信方法。
【請求項2】
前記要求パケットの伝送回数をカウントする段階と、
前記(c)段階で選択した応答パケットにエラーが発生するか、前記(c)段階で選択した応答パケットの目的地アドレスと前記コーディネーターのノードアドレスとが一致しない場合、前記カウント数を確認する段階、及び、
前記確認したカウント数があらかじめ決まっている値以下である場合、前記要求パケットを再伝送する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項1記載の磁場通信方法。
【請求項3】
前記(c)段階及び前記(d)段階は、
前記(b)段階で受信した応答パケットのうち、多数の応答パケットを選択して多数の磁場通信ネットワークノードに応答受信確認パケットを伝送することを特徴とする請求項1記載の磁場通信方法。
【請求項4】
前記磁場通信ネットワークの時間的要素は、
前記磁場通信ネットワークのコーディネーターが要求パケットを伝送する要求区間と、前記磁場通信ネットワークノードが応答パケットを伝送する応答区間、及び、あらかじめ決まっている時間の間に応答パケットを伝送する磁場通信ネットワークノードがなければ始まる非活性区間とからなることを特徴とする請求項1記載の磁場通信方法。
【請求項5】
磁場通信ネットワークのノードによって行われ、
磁場通信ネットワークのコーディネーターから要求パケットを受信する(a) 段階と、
ネットワークの合流、ネットワークの分離、ネットワークの合流状態確認、データ伝送及びグループアドレス設定の応答パケットのうち、前記(a)段階で受信した要求パケットに該当する応答パケットを前記コーディネーターに伝送する(b)段階、及び、
前記コーディネーターから受信確認パケットが受信されない場合、前記応答パケットを再伝送する(c)段階とを含んでなり、
前記(b)段階及び前記(c)段階は、前記コーディネーターが要求パケットを伝送する要求区間、前記ノードが応答パケットを伝送する応答区間、及び、あらかじめ決まっている時間の間に応答パケットを伝送するノードがなければ始まる非活性区間において、前記応答区間の時に行われることを特徴とする磁場通信方法。
【請求項6】
前記応答パケットの伝送回数をカウントする段階を更に含むが、
前記(c)段階は、
前記コーディネーターから受信確認パケットが受信されない場合、前記カウント数を確認する段階、及び、
前記確認したカウント数があらかじめ決まっている値以下である場合、前記応答パケットを再伝送する段階とを含んでなることを特徴とする請求項5記載の磁場通信方法。
【請求項7】
前記ノードは、
前記コーディネーターから要求パケットが受信されなくても前記非活性区間の時はデータ伝送が可能であることを特徴とする請求項5記載の磁場通信方法。
【請求項8】
第1項乃至第7項のうちいずれか一項の磁場通信方法を実行するプログラムが記録されてコンピューターで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−217371(P2011−217371A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70353(P2011−70353)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(599028364)電子部品研究院 (28)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRONICS TECHNOLOGY INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】68 Yatap−dong, Bundang−gu, Seongnam−si, Gyeonggi−do 463−816, Republic of Korea
【Fターム(参考)】