説明

マルチパック用表示材

【課題】キャンペーン用として大きな宣伝、広告効果を挙げることができるマルチパック用表示材を提供すること。
【解決手段】複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材1で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材1を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材1が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックPに取り付けるマルチパック用表示材であって、1枚の板紙からなり、マルチパックPの開口面に対応するサイズの短板部11とマルチパックPの側板に対応するサイズの長板部12とが連設し、短板部11の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、長板部12の端辺には折曲げ部分が連設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料や清涼飲料水などが入った飲料缶を複数本まとめて包装した形態のマルチパックの技術分野に属し、詳しくは、このマルチパックに取り付けて使用されるマルチパック用表示材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビール、ジュース、お茶などの飲料を充填した各種の飲料缶が販売されており、通常これらの飲料缶は店頭や自動販売機で1本ずつ販売されるが、一方では、消費者がまとめ買いをしやすいように、2〜6本程度を缶群としてまとめ包装したいわゆるマルチパックの形態としたものが販売されている。特に、ビールや発泡酒の多くは6本の飲料缶(350ml又は500ml)を3本ずつ2列に整列させ、板紙からなる包装材により巻回状態で包装した形態のマルチパック(6缶パック)が広く利用されており、スーパーマーケットやディスカウントストアなどにおいては、このようなマルチパックの販売量が増加している。
【0003】
この包装材に板紙を用いたマルチパックは、通常は、缶群の上下面と2つの長い方の側面(飲料缶が3本並んだ方の側面)とが包装材で覆われ、2つの短い方の側面(飲料缶が2本並んだ方の側面)が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態になっている。そして、包装材のうち下面を除く3つの面(天板、底板及び2つの側板)に宣伝、広告等の情報を印刷を施しているが、販売促進のため、飲料缶が露出した短かい方の側面に対しても、宣伝、広告等の情報を印刷した表示材を取り付けるようにしたものが提案され利用されている。
【特許文献1】実用新案登録第3071975号公報
【特許文献2】特許第3206750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したマルチパック用表示材は、マルチパックにおいて飲料缶が露出した開口面に取り付けられるため、陳列用の棚や冷蔵庫に並べる際に、どの向きに並べても宣伝、広告等の情報が見える状態となる。特に、限られたスペースに陳列する場合は、短い方の側面を正面に向けて陳列することが多いが、このような陳列状態でも宣伝や広告の効果を発揮することができる。しかしながら、特別のキャンペーンを行うような場合は、包装材に印刷された情報ではなく、その特別のキャンペーンのための宣伝、広告をなるべく見える状態で多く掲示することが望まれるところ、マルチパックの開口面に表示材を取り付けるだけではキャンペーンの宣伝、広告効果が少ないという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャンペーン用として大きな宣伝、広告効果を挙げることができるマルチパック用表示材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1のマルチパック用表示材は、複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの長板部とが連設し、短板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴としている。
【0007】
また、上記の目的を達成するため、本発明に係る第2のマルチパック用表示材は、複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部の両側にマルチパックの側板に対応するサイズの長板部がそれぞれ連設し、一方の長板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、他方の長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴としている。
【0008】
また、上記の目的を達成するため、本発明に係る第3のマルチパック用表示材は、複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの第1の短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの第1の長板部とが連設し、さらに第1の長板部にはマルチパックの開口面に対応するサイズの第2の短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの第2の長板部とが順次連設し、第1の短板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、第2の長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマルチパック用表示材は、マルチパックにおける側面の隣接する2面以上に跨がった状態で取り付けられるため、包装材に印刷された以外の宣伝、広告を見える状態で多く掲示することができ、キャンペーン用とした場合に大きな宣伝、広告効果を挙げることができる。また、陳列用の棚や冷蔵庫に陳列する場合に、縦向きでも横向きでもキャンペーン用の宣伝、広告が見える状態になるので、販促効果を挙げることができる。しかも、係止部分を折り曲げた状態で挿入部分を飲料缶と側板の間に差し込んで係止部分を折返し部の先端に引っ掛け、次いでその反対側にある折曲げ部分を別の折返し部の根元に引っ掛けることで簡単に取り付けることができるので、キャンペーン時における表示材の取付作業を迅速に行うことができる。
【0010】
また、3面、4面に跨がって取り付けられるタイプの表示材は、マルチパックの両側板を覆うようになるので、マルチパックの側面から受ける印象を大きく変化させることができる。特に、4面に跨がって取り付けられるタイプの表示材は、マルチパックの両側板及び両開口面を全て覆うことになり、この場合には、従来開口面から見えていた飲料缶自体を隠すことができるので、新たな宣伝、広告、くじ等の提供が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明に係るマルチパック用表示材の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明のマルチパック用表示材を取り付ける対象となるマルチパックの一例を示す斜視図、図2は本発明に係る第1のマルチパック用表示材の一例を示す平面図、図3は図1のマルチパック用表示材を取り付けたマルチパックの斜視図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図である。
【0013】
図1に示すタイプのマルチパックは、特表平10−503158号公報、特開2000−289771号公報等に記載の包装材を用いて形成される公知のものであり、このマルチパック自体は新規なものではない。
【0014】
図1のマルチパックPは、ビール又は発泡酒を充填した350mlの飲料缶Cを3本ずつ2列に整列させ、板紙からなる包装材1により巻回状態で包装したものである。すなわち、6本の缶群における上下面と2つの長い方の側面(飲料缶が3本並んだ方の側面)とが包装材1で覆われ、2つの短い方の側面(飲料缶が2本並んだ方の側面)が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態になっている。そして、包装材1のうち下面を除く3つの面、すなわち、天板1aと2つの側板1bには、飲料缶Cに関する宣伝、広告等の情報が印刷されている。
【0015】
さらに、このマルチパックPには、その2つの側板1bの開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材1が内側に折り返されてなる折返し部2が設けられており、飲料缶Cが開口面から外れないように保持するようになっている。また、包装材1における天板1aの略中心位置には、繋ぎのある略半円形の切れ目3が対向状態で2個設けられており、これらの切れ目3の部分を指で押して繋ぎを破断し、そのまま指を挿入してマルチパックを持ち運びできるようになっている。
【0016】
図2に示すマルチパック用表示材10は、キャンペーン用の宣伝、広告を印刷した板紙を打ち抜いて形成されたものであり、図示の如く、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部11とマルチパックの側板に対応するサイズの長板部12とが連設し、短板部11の端辺には幅が狭くなった挿入部分13とその先の係止部分14とが繋がって連設し、長板部12の端辺には折曲げ部分15が連設した形状になっている。
【0017】
短板部11と長板部12の間には、一対の連続したくの字状の切込みにより帯状のジッパー部16が形成されており、そのジッパー部16に隣接して短板部11には2本の押し罫が平行に形成され、長板部12には3本の押し罫が平行に形成されていて、ジッパー部16を含む押し罫の部分が湾曲部11aになっている。また、短板部11の端部は先細形状であって6本の押し罫が平行に形成された湾曲部11bになっており、挿入部分13はその湾曲部11aの先端に繋がった状態になっている。また、長板部12の端辺に押し罫を介して連設する折曲げ部分15は、山形の大突起15aとその両裾にそれぞれ小突起15bを有した形状になっている。
【0018】
マルチパック用表示材10のマルチパックPへの取付け方は次のようである。まず、短板部11の端辺に連設した挿入部分13と係止部分14をマルチパックPの飲料缶Cと側板1bの間に差し込む。この場合、係止部分14は挿入部分13に対して折り返した状態とし、係止部分14の折り返した先端がマルチパックPの折返し部2の先端よりも奥になるまで差し込んだ後、挿入部分13を少し引き戻すことにより、係止部分14をマルチパックPにおける折返し部2の先端に引っ掛ける。次いで、湾曲部11b,11aの部分を湾曲させつつ短板部11及び長板部12をマルチパックPの外周に沿わせ、長板部12の端辺に連設した折曲げ部分15を長板部12に対して押し罫で折り曲げながら、先の折返し部2の反対側にある折返し部2の根元に引っ掛ける。この時、大突起15aを折返し部2の内側に差し込むとともに、小突起15bを折返し部2の上下にある隙間に差し込むようにする。
【0019】
このようにすることで、図3に示す如く、表示材10をマルチパックの側面2面に渡って取り付けることができる。そして、取り付けられた表示材10は、一方では図4に示すように係止部14が折返し部2に噛み合った状態に、他方では図5に示すように折曲げ部15が折返し部2と飲料缶Cの間に嵌まるとともに上下の小突起15bが折返し部2の内側に挟まった状態になっているので、簡単に外れることがない。なお、消費者に対するアピール効果をさらに高めるため、表示材10には、景品等が入った袋や箱などを取り付けるようにしてもよい。
【0020】
表示材10が付いたマルチパックPから当該表示材10を外すに際しては、ジッパー部16を破断して除去する。これにより表示材10は短板部11と長板部12の分離されるので簡単に取り外すことができる。なお、ジッパー部16はいずれの湾曲部に設けてもよいし、特に設けなくても構わない。ジッパー部16を設けないタイプでは、表示材10の折曲げ部分15をマルチパックPの折返し部2から外すことにより簡単に取り外すことができる。
【0021】
このマルチパック用表示材10は、500mlの飲料缶を3本ずつ2列に整列させ、包装材により巻回状態で包装したタイプのマルチパックにも取り付けることができる。この場合、表示材10は高さのあるマルチパックに対して上下の幅が足らない状態で取り付けられる。したがって、折曲げ部分15は、その両裾にある小突起15bが折返し部2の上下にある隙間に差し込まれず、大突起15aだけが折返し部2の内側に差し込まれた状態になるが、このような取付状態でも簡単には外れることはない。
【0022】
図6は本発明に係る第2のマルチパック用表示材の一例を示す平面図である。
【0023】
この図6に示すマルチパック用表示材20は、先のものと同様、キャンペーン用の宣伝、広告を印刷した板紙を打ち抜いて形成されたものであり、図示の如く、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部21の両側にマルチパックの側板に対応するサイズの長板部22,23がそれぞれ連設し、一方の長板部22の端辺には幅が狭くなった挿入部分24とその先の係止部分25とが繋がって連設し、他方の長板部23の端辺には折曲げ部分26が連設した形状になっている。
【0024】
短板部21における一方の長板部22の側は、8本の押し罫が平行に形成された湾曲部21aになっている。また、短板部21と他方の長板部23の間には、一対の連続したくの字状の切込みにより帯状のジッパー部27が形成されており、そのジッパー部27に隣接して短板部21には2本の押し罫が平行に形成され、長板部23には3本の押し罫が平行に形成されていて、ジッパー部27を含む押し罫の部分が湾曲部21bになっている。そして、一方の長板部22の端辺中央に挿入部分24が繋がった状態になっている。また、他方の長板部23の端辺に押し罫を介して連設する折曲げ部分26は、山形の大突起26aとその両裾にそれぞれ小突起26bを有した形状になっている。
【0025】
マルチパック用表示材20のマルチパックPへの取付け方は次のようである。まず、一方の長板部22の端辺に連設した挿入部分24と係止部分25をマルチパックPの飲料缶Cと側板1bの間に差し込む。この場合、係止部分14は挿入部分13に対して折り返した状態とするが、折り返す向きは先のマルチパック用表示材10の場合とは逆であり、差し込む側板1bも反対側である。そして、係止部分25の折り返した先端がマルチパックPの折返し部2の先端よりも奥になるまで差し込んだ後、挿入部分24を少し引き戻すことにより、係止部分25をマルチパックPにおける折返し部2の先端に引っ掛ける。次いで、挿入部分24と長板部22の間で表示材20を折り返し、湾曲部21a、21bの部分を湾曲させつつ長板部22、短板部21及び長板部23をマルチパックPの外周に沿わせ、長板部23の端辺に連設した折曲げ部分26を長板部23に対して押し罫で折り曲げながら、先の折返し部2の対向側にある折返し部2の根元に引っ掛ける。この時、大突起26aを折返し部2の内側に差し込むとともに、小突起26bを折返し部2の上下にある隙間に差し込むようにする。
【0026】
このようにすることで、表示材20をマルチパックの側面3面に渡って取り付けることができる(図示せず)。すなわち、第1のタイプのマルチパック用表示材10がマルチパックPの側面2面に渡って取り付けられるのに対し、この第2のタイプのマルチパック用表示材20はマルチパックPの側面3面に渡って取り付けられる。そして、取り付けられた表示材20は、一方では係止部25が折返し部2に噛み合った状態に、他方では折曲げ部26の大突起26aが折返し部2と飲料缶Cの間に嵌まるとともに上下の小突起26bが折返し部2の内側に挟まった状態になっているので、簡単に外れることがない。なお、先のマルチパック用表示材10の場合と同様、消費者に対するアピール効果をさらに高めるため、表示材20には、景品等が入った袋や箱などを取り付けるようにしてもよい。
【0027】
表示材20が付いたマルチパックPから当該表示材20を外すに際しては、ジッパー部27を破断して除去する。これにより表示材20は短板部21と他方の長板部13との間で分離されるので簡単に取り外すことができる。なお、ジッパー部27を設けないタイプでは、表示材20の折曲げ部分26をマルチパックPの折返し部2から外すことにより簡単に取り外すことができる。
【0028】
このマルチパック用表示材20は、500mlの飲料缶を3本ずつ2列に整列させ、包装材により巻回状態で包装したタイプのマルチパックにも取り付けることができる。この場合、表示材20は高さのあるマルチパックに対して上下の幅が足らない状態で取り付けられる。したがって、折曲げ部分26は、その両裾にある小突起26bが折返し部2の上下にある隙間に差し込まれず、大突起26aだけが折返し部2の内側に差し込まれた状態になるが、このような取付状態でも簡単には外れることはない。
【0029】
図7は本発明に係る第3のマルチパック用表示材の一例を示す平面図である。
【0030】
この図7に示すマルチパック用表示材30は、先のものと同様、キャンペーン用の宣伝、広告を印刷した板紙を打ち抜いて形成されたものであり、図示の如く、マルチパックの開口面に対応するサイズの第1の短板部31とマルチパックの側板に対応するサイズの第1の長板部32とが連設し、さらに第1の長板部32にはマルチパックの開口面に対応するサイズの第2の短板部33とマルチパックの側板に対応するサイズの第2の長板部34とが順次連設し、第1の短板部31の端辺には挿入部分35とその先の係止部分36とが繋がって連設し、第2の長板部34の端辺には折曲げ部分37が連設した形状になっている。
【0031】
第1の短板部31における第1の長板部32の側と第2の短板部33における第1の長板部32の側は、それぞれ8本の押し罫が平行に形成された湾曲部31a,33aになっている。また、第2の短板部33と第2の長板部34の間には、一対の連続したくの字状の切込みにより帯状のジッパー部38が形成されており、そのジッパー部38に隣接して第2の短板部33には2本の押し罫が平行に形成され、第2の長板部34には3本の押し罫が平行に形成されていて、ジッパー部38を含む押し罫の部分が湾曲部33bになっている。また、第1の短板部31の端部は先細形状であって6本の押し罫が平行に形成された湾曲部31bになっており、挿入部分35はその湾曲部31aの先端に繋がった状態になっている。また、第2の長板部34の端辺に押し罫を介して連設する折曲げ部分37は、山形の大突起37aとその両裾にそれぞれ小突起37bを有した形状になっている。
【0032】
マルチパック用表示材30のマルチパックPへの取付け方は次のようである。まず、第1の短板部31の端辺に連設した挿入部分35と係止部分36をマルチパックPの飲料缶Cと側板1bの間に差し込む。この場合、係止部分36は挿入部分35に対して折り返した状態とする。折り返す向きは先のマルチパック用表示材10の場合と同じであり、差し込む側板1bも同じ側である。そして、係止部分36の折り返した先端がマルチパックPの折返し部2の先端よりも奥になるまで差し込んだ後、挿入部分35を少し引き戻すことにより、係止部分36をマルチパックPにおける折返し部2の先端に引っ掛ける。次いで、湾曲部31b,31a,33a,33bの部分を湾曲させつつ第1の短板部31、第1の長板部32、第2の短板部33、第2の長板部34をマルチパックPの外周に沿わせ、第2の長板部34の端辺に連設した折曲げ部分37を第2の長板部34に対して押し罫で折り曲げながら、先の折返し部2と同じ折返し部2の根元に引っ掛ける。この時、大突起37aを折返し部2の内側に差し込むとともに、小突起37bを折返し部2の上下にある隙間に差し込むようにする。
【0033】
このようにすることで、表示材30をマルチパックの側面4面に渡って取り付けることができる(図示せず)。すなわち、第1のタイプのマルチパック用表示材10がマルチパックPの側面2面に渡って取り付けられ、第2のタイプのマルチパック用表示材20がマルチパックPの側面3面に渡って取り付けられるのに対し、この第3のタイプのマルチパック用表示材30はマルチパックPの側面4面に渡って取り付けられる。そして、取り付けられた表示材30は、係止部36が折返し部2に噛み合った状態になるとともに、折曲げ部37の大突起37aが折返し部2と飲料缶Cの間に嵌まるとともに上下の小突起37bが折返し部2の内側に挟まった状態になっているので、簡単に外れることがない。なお、先のマルチパック用表示材10,20の場合と同様、消費者に対するアピール効果をさらに高めるため、表示材30には、景品等が入った袋や箱などを取り付けるようにしてもよい。
【0034】
表示材30が付いたマルチパックPから当該表示材30を外すに際しては、ジッパー部38を破断して除去する。これにより表示材30は第2の短板部33と第2の長板部34との間で分離されるので簡単に取り外すことができる。なお、ジッパー部38はいずれの湾曲部に設けてもよいし、特に設けなくても構わない。ジッパー部38を設けないタイプでは、表示材30の折曲げ部分37をマルチパックPの折返し部2から外すことにより簡単に取り外すことができる。
【0035】
このマルチパック用表示材30は、500mlの飲料缶を3本ずつ2列に整列させ、包装材により巻回状態で包装したタイプのマルチパックにも取り付けることができる。この場合、表示材30は高さのあるマルチパックに対して上下の幅が足らない状態で取り付けられる。したがって、折曲げ部分37は、その両裾にある小突起37bが折返し部2の上下にある隙間に差し込まれず、大突起37aだけが折返し部2の内側に差し込まれた状態になるが、このような取付状態でも簡単には外れることはない。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明によるマルチパック用表示材は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもないことである。
【0037】
例えば、本発明のマルチパック用表示材は、板紙製であることが望ましく、通常はマルチパックと同様の板紙が使用されるが、板紙以外にもプラスチックシート、金属板等により構成されていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のマルチパック用表示材を取り付ける対象となるマルチパックの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1のマルチパック用表示材の一例を示す平面図である。
【図3】図1のマルチパック用表示材を取り付けたマルチパックの斜視図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】本発明に係る第2のマルチパック用表示材の一例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る第3のマルチパック用表示材の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
C 飲料缶
P マルチパック
1 包装材
1a 天板
1b 側板
2 折返し部
3 切れ目
10 マルチパック用表示材
11 短板部
11a,11b 湾曲部
12 長板部
13 挿入部分
14 係止部分
15 折曲げ部分
15a 大突起
15b 小突起
16 ジッパー部
20 マルチパック用表示材
21 短板部
21a,21b 湾曲部
22,23 長板部
24 挿入部分
25 係止部分
26 折曲げ部分
26a 大突起
26b 小突起
27 ジッパー部
30 マルチパック表示材
31 第1の短板部
31a 湾曲部
32 第1の長板部
33 第2の短板部
33a,33b 湾曲部
34 第2の長板部
35 挿入部分
36 係止部分
37 折曲げ部分
37a 大突起
37b 小突起
38 ジッパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、
1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの長板部とが連設し、短板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴とするマルチパック用表示材。
【請求項2】
短板部と長板部の境界に、切取り可能なジッパー部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のマルチパック用表示材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマルチパック用表示材を側面に取り付けたマルチパックであって、
折り返した係止部分がマルチパックにおける折返し部の先端に引っ掛かり、短板部と長板部とがマルチパックにおける1つの開口面とそれに隣接する側板とにそれぞれ沿った後、折曲げ部分が先の折返し部の反対側にある折返し部の根元に引っ掛かった状態で、マルチパック用表示材がマルチパックの側面2面に渡って取り付けられたことを特徴とする表示材付きマルチパック。
【請求項4】
複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、
1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの短板部の両側にマルチパックの側板に対応するサイズの長板部がそれぞれ連設し、一方の長板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、他方の長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴とするマルチパック用表示材。
【請求項5】
短板部と長板部の境界のうちの少なくとも一箇所に、切取り可能なジッパー部を形成したことを特徴とする請求項3に記載のマルチパック用表示材。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のマルチパック用表示材を側面に取り付けたマルチパックであって、
折り返した係止部分がマルチパックにおける折返し部の先端に引っ掛かり、一方の長板部と短板部と他方の長板部とがマルチパックにおける1つの側板とそれに隣接する開口面とさらにそれに隣接する側板とにそれぞれ沿った後、折曲げ部分が先の折返し部の対向側にある折返し部の根元に引っ掛かった状態でマルチパック用表示材がマルチパックの側面3面に渡って取り付けられたことを特徴とする表示材付きマルチパック。
【請求項7】
複数本の飲料缶からなる缶群の上下面と2つの長い方の側面とが包装材で覆われるとともに、2つの短かい方の側面が包装材の2つの開口面からそれぞれ露出した状態となるように、天板、底板及び2つの側板を備えた包装材を用いて缶群を巻回状態で包装してなり、2つの側板の開口面を形成している縁部にそれぞれ包装材が内側に折り返されてなる折返し部を具備したマルチパックに取り付けるマルチパック用表示材であって、
1枚の板材からなり、マルチパックの開口面に対応するサイズの第1の短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの第1の長板部とが連設し、さらに第1の長板部にはマルチパックの開口面に対応するサイズの第2の短板部とマルチパックの側板に対応するサイズの第2の長板部とが順次連設し、第1の短板部の端辺には挿入部分とその先の係止部分とが繋がって連設し、第2の長板部の端辺には折曲げ部分が連設していることを特徴とするマルチパック用表示材。
【請求項8】
第1の短板部と第1の長板部の境界、第1の長板部と第2の短板部の境界、第2の短板部と第2の長板部の境界のうちの少なくとも1箇所に、切取り可能なジッパー部を形成したことを特徴とする請求項5に記載のマルチパック用表示材。
【請求項9】
請求項5又は6に記載のマルチパック用表示材を側面に取り付けたマルチパックであって、
折り返した係止部分がマルチパックにおける折返し部の先端に引っ掛かり、第1の短板部と第1の長板部と第2の短板部と第2の長板部とがマルチパックにおける1つの開口面とそれに順次隣接する側板、開口面、側板とにそれぞれ沿った後、折曲げ部分が先の折返し部と同じ折返し部の根元に引っ掛かった状態でマルチパック用表示材がマルチパックの側面4面に渡って取り付けられたことを特徴とする表示材付きマルチパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−273356(P2006−273356A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93450(P2005−93450)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】