説明

マルチブロックポリマーを含む粒子

マルチブロックビニルポリマーが表面に結合しているポリマー粒子が開示される。この粒子は、様々な精製法および検出法において使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月29日に出願の米国仮特許出願番号第60/806,138号への優先権を主張する。この仮特許出願の内容は参照により本願明細書に引用したものとする。
【0002】
発明の分野
生体外における診断検査法での使用に適している、マルチブロックビニルポリマーで官能化した固体支持体(例えばポリマー微粒子)を記載する。特に、結合パートナーとポリマー粒子表面との間のスペーサを提供するマルチブロックビニルポリマーを担持する磁気ポリマー粒子が提示される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
例えば医薬品の送達のための、診断目的のための、分離のための、そして合成目的のための輸送ビヒクルとして、ポリマー粒子は、さまざまな医学および生化学分野において一般的な有用性を有する。しかしながら、これらの粒子は、診断検査法において特に有用であり、それらの使用は広範囲にわたり、そして周知である。
【0004】
診断検査法に用いられる、または輸送ビヒクルとしての用途のためのポリマー粒子などは、有用であるためには特定の特性を備えていることを必要とする。このように、例えば、分析の間に粒子に結合しているのは本質的に所望の標的だけであるということを確実にするために、それらは、最小の非特異的結合を示すのが理想的である。加えて、粒子の凝集の低さも、非常に所望される。粒子の軟凝集(flocculation)または集塊(agglomeration)は、成功した検査または輸送手順では好適に回避される。さらに、ポリマー粒子が、できるだけ強い相互作用で標的物質が結合することを可能にすることも、非常に望ましい。
【0005】
診断検査法のためのポリマー粒子は、検査手順において興味ある特定の物質を標的とする結合パートナーを担持する。輸送および分離に用いられるポリマー粒子は、生体分子にも密接に結合する。ポリマー粒子が形成されたあと、これら生体分子は通常粒子表面に結合する。しかしながら、所望の物質を標的とする結合パートナーが支持体の表面にあまりに近く結合している場合には、立体的な考慮事項が関与してきて、例えば、結合パートナー:標的の結合強さへの制限を引き起こす可能性がある、と考えられる。それゆえ、結合パートナーがスペーサアームを使用して支持体の表面から間隔を空けることは、公知である。これは、現在では、ポリエチレングリコールベースのスペーサアームを使用するか、または単に炭素鎖を使用して行われている。
【0006】
さまざまな固体支持体は、以前は、主としてではあるが、固体支持体がシリカであるポリマーブラシの分野において、マルチブロックビニルポリマーでコーティングされていた。例えば、Macromolecules 2000,33,1492−3(非特許文献1)において、Brittanらは、ケイ酸塩基材上のポリスチレンブロック/ポリ(メタクリル酸メチル)ブロックコポリマーブラシの形成を報告する。それゆえ、これらのポリマーブラシによって、グラフトされたポリマーが、一端が不溶性表面に結合して、溶媒にぶら下がることができる。
【0007】
Macromol.Rapid Commun.2003,24,1043−1059(非特許文献2)において、Pyunらは、ナノ微粒子支持体上での原子移動ラジカル重合を使用するポリマーブラシの形成を報告する。かかる支持体としては、平坦表面およびナノ粒子が挙げられる。しかしながら、その超高密度のペンダントブロックコポリマー鎖のために、これらの構造体は非常に特定の最終用途だけに適切なものになっているにすぎない。このように、従って多くの研究がポリマーブラシを調製することに費やされたにもかかわらず、これらの材料の応用は、例えば保護コーティングなどとして、材料科学分野におけるものである。これらの材料は、診断検査法手順での使用には適していない。
【0008】
これらのポリマーブラシは、通常は、原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用して調製される。しかしながら近年、ある評論家らは、原子移動ラジカル重合が生医学的応用が可能な非担持ポリマーを形成するために用いることができるのではないか(European Polym Journal 40,2004,37−45(非特許文献3)を参照)、そしてATRPポリマーでコーティングされた磁気ナノ粒子は磁性流体、NMR、生物学的分離および鉱物の分離から様々な分野で応用できるのではないかということを示唆した。
【0009】
このように、現在までされた努力にもかかわらず、生物学的検査に用いられる改良された結合パートナーの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Macromolecules 2000,33,1492−3
【非特許文献2】Macromol.Rapid Commun.2003,24,1043−1059
【非特許文献3】European Polym Journal 40,2004,37−45
【発明の概要】
【0011】
マルチブロックビニルポリマーが表面に結合したポリマー粒子が開示される。該粒子は、2、3、4個またそれ以上のブロックポリマーが結合していてよく、必要に応じて少なくとも一つの結合パートナーを有することができる。この結合パートナーは、さまざまな精製方法および検出方法においてポリマー粒子の使用を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図は、本願明細書の一部を形成して、更に特定の本発明の態様を示すために含まれる。本発明は、本願明細書において示される特定の実施形態の詳細な説明と合わせて、これらの図の1つまたは複数を参照することで、よりよく理解することができる。
【図1】マルチブロックポリマーを含まない3つの市販の粒子と比較して、本願明細書に記載されている粒子に由来する抗体についての競合アッセイを使用する親和定数を示す図である。結果は、緩衝液中(斜線を引いたバー)、および血清中(点を打ったバー)において提示される。一定量の標識化抗体および増加する量の非標識化抗体は、緩衝液中または希釈された血清中のビーズにさらされた。得られたラングミュアプロットに基づいて、ビーズ上の活性エストラジオールの濃度および親和定数が算出された。
【図2】マルチブロックポリマーを含まない3つの市販の粒子と比較して、本願明細書に記載されている粒子についてのエストラジオールについての競合アッセイを使用する親和定数を示す。結果は、血清中において提示される。一定量の標識化抗体および増加する量の遊離エストラジオール抗原は、希釈された血清中のビーズにさらされた。得られたラングミュアプロットに基づいて、ビーズ上の活性エストラジオールの濃度および親和定数が算出された。
【図3】マルチブロックポリマーを含まない3つの市販の粒子と比較して、本願明細書において記載されている粒子に由来する抗体についての競合アッセイを使用する親和定数を示す。結果は、緩衝液中(斜線を引いたバー)、および血清中(点を打ったバー)において提示される。一定量の標識化抗体および増加する量の非標識化抗体は、緩衝液中または希釈された血清中のビーズにさらされた。得られたラングミュアプロットに基づいて、ビーズ上の活性インスリンの濃度および親和定数が算出された。
【図4】マルチブロックポリマーを含まない3つの市販の粒子と比較して、本願明細書に記載されている粒子についてのインスリンについての競合アッセイを使用する親和定数を示す。結果は、緩衝液中(斜線を引いたバー)、および血清中(点を打ったバー)において提示される。一定量の標識化抗体および増加する量の遊離インスリン抗原は、緩衝液中または希釈された血清中のビーズにさらされた。得られたラングミュアプロットに基づいて、ビーズ上の活性エストラジオールの濃度および親和定数が算出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
驚くべきことに本発明者らは目下、使用されるスペーサアームがマルチブロックビニルポリマー(例えばブロックコポリマー)から形成される場合、結合パートナー(すなわち結合パートナーおよび標的)間の相互作用が更に高められることが可能であることを見出した。粒子に対するかかる改変が非特異的結合を最少化しかつ粒子の凝集を防止し、このため驚くべきことに、粒子が一般の結合パートナーを結合するために貴重なものとなることも、見出された。
【0014】
本発明者らは現在、マルチブロックビニルポリマーをポリマー粒子にグラフトすることができて、選択した標的のための結合パートナーを担持するために用いることができることを実現し、従って例えば診断検査法用に理想的な粒子を提供する。上記の如く、これは、非特異的結合を減らし、集塊を減らし、結合パートナーとの間の結合親和性を改善する。ポリマー粒子と関連したかかるポリマーの使用の利益は、これまで認められていなかった。さらに、結合パートナーを支持体表面から遠ざけるマルチブロックビニルポリマースペーサアームの使用は、新規であると考えられ、本発明の更なる態様を形成する。本発明者らはまた、いかなる支持体表面にも使うことができる親和定数および非特異的結合の著しい改良を提供する特定のブロック構造体を考案した。
【0015】
組成物および方法が各種要素および段階「を含む」(「を含むがこれに限定されない」を意味することと解釈される)によって記載される場合、その組成物および方法は、さまざまな成分または段階から「基本的になる」または「なる」こともでき、かかる用語は基本的に閉じたメンバーの群を画定すると解釈されるべきである。
【0016】
このように、第1の態様から見ると、本発明は、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合したポリマー粒子を提供する。
【0017】
更なる態様から見ると、本発明は、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合した固体支持体(例えば、ポリマー粒子)であって、そのマルチブロックポリマーが結合パートナーに更に結合した固体支持体を提供する。
【0018】
他の態様から見ると、本発明は、マルチブロックポリマー(マルチブロックビニルポリマーが好ましい)が表面に結合した固体支持体(例えばポリマー粒子)であって、第1のブロックは親水性であるが電荷を帯びておらず、第2のブロックは結合パートナーに共有結合を形成できるペンダント官能基を担持する固体支持体を提供する。
【0019】
なおさらに他の態様から見ると、本発明は、検査(例えば免疫測定法または核酸分析のような診断検査法)における、あるいは結合パートナーに結合するための、先に画定したような固体支持体(例えばポリマー粒子)の使用を提供する。
【0020】
他の態様から見ると、本発明は、原子移動ラジカル重合を使用して、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合しているポリマー粒子を調製するためのプロセスを提供する。
【0021】
組成物
本発明で使用する固体支持体は、固定化のために生物工学において一般に使用されるいかなる固体マトリックスでもよい。かかる支持体は、粒子、シート、膜、ゲル、フィルタ、マイクロタイタストリップ、管またはプレートであってよい。興味がある特定の支持体としては、シリカ、ガラス、無機の支持体(例えば金属ナノ粒子またはアルミナ)、ポリマー支持体(例えばポリスチレン)などの有機支持体が挙げられる。好ましくは、この固体支持体は、ポリマー粒子(特にポリマー微粒子)である。
【0022】
粒子の直径は、50nm〜1000μm(例えば100nm〜100μm)の範囲であることができる。しかしながら、粒子は、微粒子であることが好ましい。
【0023】
微粒子とは、実質的にマイクロメートル範囲(すなわち10−6m)の直径を有する粒子を意味する。このように、本発明に係るポリマー微粒子は、通常、マイクロメートル範囲、例えば約0.1μm〜約500μm、特に約0.2μm〜約50μm、より特に約0.5μm〜約8μm、例えば約0.8μm〜約5μmのサイズ(すなわち直径)を有する。直径の具体的な例としては、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μmおよびこれらの値の任意の2つの間の範囲が挙げられる。
【0024】
本発明の粒子は、好ましくはポリマー粒子である。すなわち、それらは、モノマーの重合により形成される。粒子は、ビニルポリマー(例えばスチレン)、アクリレートおよび/またはメタクリレートの組合せから作製されることが好ましい。ポリマー材料は、例えばコモノマー(例えば、ジビニルベンゼン(DVB)またはエチレングリコールジメタクリレート)として架橋剤を組み込むことによって、任意に架橋されていてもよい。必要な架橋剤(例えばコモノマー)の適切な量は、当業者にとって周知である。ポリマーは、架橋スチレンポリマー(例えば、ニトロ基を含むコモノマー(例えばニトロスチレン)の使用および引き続く還元により表面が官能化されたスチレン−ジビニルベンゼンポリマー)、またはエポキシ基を含むコモノマー(例えばグリシジルメタクリレート)の使用および引き続く(例えばエチレンジアミンとの反応による)アミノ化によって表面が官能化された架橋(メタ)アクリルポリマーであることが好ましい。使用するポリマー粒子は、1987年3月31日に発行された米国特許第4,654,267号にて説明したようなものであることが好ましい。
【0025】
ポリマー粒子が多孔性であることが好ましい。通常、使用する多孔性粒子は、2.7μmの平均粒子直径に補正されるときに(すなわち、表面積と2.7/MD(MDはμm単位の平均直径である)を乗算する)、少なくとも15m/g(BET窒素吸収法で測定される場合)の表面積を有し、そして少なくとも30m/g(例えば最高700m/g)の表面積を有することがより好ましい。同様の尺度で、粒子細孔容積は、好ましくは少なくとも0.1mL/gである。
【0026】
従って、ポリマー粒子が磁性を有することも、好ましい。磁性とは、本願明細書においては、ポリマー粒子が超常磁性結晶を含むことを意味する。このように、磁気ポリマー粒子は、磁気的に置き換え可能であるが、常時磁化可能というわけではない。磁気ポリマー粒子を調製する多くのプロセスは公知であり、そのかなりの数は、予め形成された酸化鉄磁性体(例えば磁鉄鉱)から磁赤鉄鉱含有ポリマー粒子または磁鉄鉱含有ポリマー粒子を調製することを伴う。関連するプロセスのいくつかは、1987年3月31日に発行された米国特許第4,654,267号に記載されている。
【0027】
本発明のポリマー粒子は好ましくは磁性物質である。磁性物質とは、本願明細書では、そのポリマー粒子が磁場によって引きつけられることが可能であることを意味する。本発明のポリマー粒子は、常磁性結晶、非超常磁性結晶または超常磁性結晶を含むことが好ましい。常磁性粒子は、わずかな磁気残留特性を呈する。非超常磁性結晶は、磁場への露出後、磁場がない場合にその物質が残余の磁化を有しなければならないという点で、残留性である。超常磁性ポリマー粒子は、磁気的に置き換え可能であるが、常時磁化可能というわけではない。これは、磁石への接触の後、粒子が凝集またはクランピング(clumping)することなく溶液中にまだ懸濁または分散できることを意味する。超常磁性結晶は、ポリマー粒子中および/またはその上に超常磁性の結晶形で析出され得る任意の物質のものでもよい。酸化鉄磁性体(例えば磁鉄鉱または磁赤鉄鉱)が好ましいが、上記結晶は必要に応じて混合金属酸化物または他の磁性物質のものでもよい。超常磁性結晶は、通常、直径5〜15nm(例えば、約7nm)であるが、非超常磁性の(熱的にブロックされた)酸化鉄の結晶は通常いくらかより大きい。
【0028】
かかる粒子は、それらの機能を実行するために、それらの磁気特性に依存する。診断検査法での応用において、例えば、磁気ポリマー粒子に結合した分析物を含む試料に磁場を印加すると、遠心分離または濾過を用いずに分析物の分離が可能になる。
【0029】
ポリマー粒子中への磁性粒子の導入は周知であり、当業者によって容易に行われる。特に、これは、上記の多孔性ポリマー粒子を使用して達成することができる。従って、最も好適な実施形態において、ポリマー微粒子は、磁性かつ多孔性である。非常に好適な実施形態において、ポリマー粒子は、多孔性の磁気ポリマー微粒子である。
【0030】
本発明のプロセスで使用されるポリマー微粒子中の超常磁性結晶は、多孔性ポリマー粒子上に超常磁性の結晶形で析出され得る任意の物質のものでもよい。酸化鉄磁性体(例えば、磁鉄鉱または磁赤鉄鉱)が好ましいが、上記結晶は必要に応じて混合金属酸化物または他の磁性物質のものでもよい。存在する結晶性の磁性物質の合計量は、通常、1重量%超、より好ましくは3重量%超、望ましくは5重量%以上(例えば最高60重量%)である。割合(%)は、粒子の全体の乾燥重量を基準にしてFe(または、酸化鉄以外の磁性物質の場合には等価な金属)の重量基準で算出される。
【0031】
多孔性ポリマー粒子からの超常磁性結晶の浸出は、超常磁性結晶を装填したポリマー粒子上にポリマーコーティングを形成することにより、または、より具体的には粒子の細孔にポリマーコーティングを少なくとも部分的に充填することにより阻害することができる。かかるコーティングポリマーは、通常、下にある粒子のポリマーの表面からの官能基ペンダントと反応性のモノマーから形成することができる。
【0032】
ポリマー粒子をコーティングすることで、興味がある他の分子を結合するために用いることができる官能基をポリマー粒子の表面に提供することにもなる。本出願において、これは、マルチブロックポリマーの形成を可能にすることができる官能性を提供する。支持体は、任意の公知の表面構造(例えばカルボキシル基、トシル基、アミノ基、エポキシ基、マレアミド基、チオール基など)を担持するために官能化することができる。これを実施する方法は、当該技術分野で周知である。
【0033】
官能化は、粒子形成後、例えばニトロ化および引き続くこのように形成されたニトロ基のペンダントアミン基への還元によって、または、例えばアミノエタノールでの処理による直接アミノ化によって行うことができる。更なる代替例として、周知のUgelstad 2段階膨潤プロセス、および(2000年10月19日に公開された)国際公開第00/61647号において開示されるそれに対する改良によって調製されたポリマー粒子を使用することができる。この公報に記載されているプロセスに従って製造される多孔性ポリマー粒子は、標準的な技術によって、それらの細孔に析出させた磁性粒子を有することができる。
【0034】
また、(2005年2月17日に公開された)国際公開第05/015216号は、ポリウレタンタイプコーティングまたはエポキシド系コーティングを粒子上に形成する方法を記載する。これらはすべて、本発明で使用するポリマー粒子の表面上の適切な官能基であり得る。ビニル基の導入は、コーティング面をメタクリル酸無水物などの化合物と反応させることによって、実現することもできる。例えば、2つのエポキシドを反応させ、これを(例えばNaOH中で)洗浄して水酸基官能性を露出させることから形成されるコーティングを含むコーティング粒子は、容易にメチルアクリル酸無水物と反応して、ポリマー表面へのビニル基の導入を可能にする。
【0035】
通常、コーティングされるまではポリマー微粒子は球形かつ実質的に単分散であるが、ひとたびそのポリマー微粒子がコーティングされても、それらが球形かつ実質的に単分散のままであることが特に好ましい。
【0036】
実質的に単分散であるとは、複数の粒子(例えば、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000)について、その粒子が20%未満、例えば15%、好ましくは12%未満、より好ましくは11%未満、さらにより好ましくは10%未満、最も好ましくは8%以下、例えば2〜5%の変動係数(CV)を有することを意味する。CVは、 CV=(100×標準偏差)/平均 として百分率で決定される。「平均」は平均粒子直径であり、標準偏差は粒径の標準偏差である。CVは、主要なモードに対して、すなわち単峰性の分布曲線を検出された粒径分布にフィットさせることによって、算出されることが好ましい。このように、モードサイズ以下の、またはモードサイズを上回る若干の粒子は、例えば(すなわち検出可能な粒子の)総粒子数の約90%に基づいてもよい算出においては無視されることがある。CVのかかる決定は、Coulter LS 130粒径アナライザにて実施することができる。
【0037】
これらの必要条件を満たしていて、望ましいコーティングを有している粒子は、供給元、例えばインビトロジェン(ダイナル)から市販されている。商品名ダイナビーズ(Dynabeads)の下で販売される超常磁性ポリマービーズは、特に好ましい。ダイナビーズは懸濁したまま留まり、しばしば他の磁気ビーズに付随する磁性粒子の沈降を呈しないため、ダイナビーズは特に有利である。ダイナビーズは、高水準の鉄が存在する他の磁性粒子と比較して、優れた磁気移動度(magnetic mobility)をも示す。ダイナビーズは有益な反応速度を呈し、より短い反応時間およびより高いスループットを可能にする。それらの非特異的結合は他の磁気ビーズより低く、それらを適正に使用すると、生成する所望の物質の濃度に結果としてなり、洗浄手順がより簡単かつより効率的になる。最後に、ダイナビーズは自動化するのが容易で、単分散である。
【0038】
本発明で使用される特定のダイナビーズとしては、ダイナビーズ MyOne、ダイナビーズ M−270、M−280またはM−450(必要に応じてアミノ化されて、トシル活性化されて、またはカルボン酸活性化されて購入することが可能である)が挙げられる。
【0039】
固体支持体、好ましくはポリマー粒子は、表面に結合したマルチブロックポリマー、好ましくはマルチブロックビニルポリマーを担持する。マルチブロックポリマーは支持体の表面(例えばポリマー微粒子の表面)に結合しているので、それは支持体(例えばポリマー粒子)そのものまたはそのコーティングの製造において用いることが可能であるいかなるブロックポリマーとも区別される。例えば磁性粒子の浸出を防止し、官能化された表面を提供するために、ポリマー粒子はしばしばコーティングされるが、この支持体の表面に結合するマルチブロックポリマーはコーティングポリマーと考えないことになっている。従って、マルチブロックポリマーは、粒子および存在する場合にはコーティングが形成された後に、ポリマー粒子表面に結合し、従って、ポリマー粒子の製造またはそのコーティングの間、形をなすものでない。
【0040】
本発明は、固体支持体(例えばポリマー粒子)が、その表面に少なくとも一つのマルチブロックポリマーが結合していることを必要とする。しかしながら、この支持体が複数のかかるポリマーを含む可能性があることは理解される。
【0041】
マルチブロックポリマーとは、少なくとも2つの異なるブロックのポリマーから形成されるポリマーを意味する。マルチブロックビニルポリマーとは、ビニル単量体(複数種でもよい)の重合で作製される少なくとも2つの異なるブロックのポリマーから形成されるポリマーを意味する。このように、本実施形態において、モノマーはビニル結合(C=C)を含み、ブロックは−OCHCH−などの繰り返し単位から形成されない。
【0042】
ポリマーのブロックは、少なくとも3つの同一の繰り返し単位の組合せから形成されるものである。より好ましくは、このポリマーは、少なくとも10、特に少なくとも20の同一の繰り返し単位の組合せから形成される。具体例としては、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20個の同一の繰り返し単位を含む。このように、第1のブロックは、多くのスチレン単位から生成され、および第2のブロックは多くの同一のアクリレート単位から形成されてもよい。
【0043】
マルチブロックポリマーは、少なくとも2つの異なるブロックを含む。したがって、マルチブロックポリマーは、2つのブロック、3つのブロック、4つのブロック、または5つ以上のブロックを含んでもよい。好ましくは、マルチブロックポリマーは、3つのブロックまたは2つのブロック、特に2つのブロックを含む。かかるポリマーは、通常、ジブロックポリマーまたはブロックコポリマーと呼ばれる。
【0044】
任意の適切なモノマーが、1つのポリマーブロックを形成するために使用することが可能であり、特に、ビニル基を有するモノマーまたはエチレングリコールの繰り返し単位に基づくモノマーが使用可能である。好適なビニルモノマーには、アルケン(エチレン)、ビニルアリール化合物(例えばスチレン)、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド(例えばアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミドまたはN−トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミド)、塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、ビニルアズラクトンまたはビニルベンジルクロリドが含まれる。
【0045】
最も好ましくは、モノマーは、アクリレート(例えば、メタクリレート、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、N−ヒドロキシスクシンイミドメタクリレート、アクリル酸tertブチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、PEG官能性を有するアクリレート、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸エチル、エチルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、フルオレセインo−アクリレートまたはアクリル酸2−ヒドロキシプロピル)である。非常に好適な実施形態において、使用するアクリレートは、メタクリレートである。
【0046】
しかしながら、定義上、少なくとも2つのブロックが、異なるポリマーから、例えば1ブロックについてはスチレンポリマー、別のブロックについてはアクリレートポリマー、または2つの異なる(メタ)アクリレートエステル)または2つの異なる(メタ)アクリルアミドから形成される。本発明の実施形態は、2つが異なる限り、2つが同じである3つ以上のブロックを含む、マルチブロックポリマーを包含する。例えば、ブロックA、ブロックB、ブロックA、ブロックBのような構造も網羅される。
【0047】
1つのモノマーを、ポリマーを形成するために用い、その後にそのポリマーを処理して所望の2つ以上のブロックを形成することができる。このように、アクリレートポリマーを形成して、これを部分的に加水分解して、エステルポリマーのブロックと酸ポリマーのブロックとを形成することができる。
【0048】
しかしながら、2つの異なるビニルモノマーが使用され、本発明のマルチブロックポリマーが形成されることが好ましい。
【0049】
支持体の表面に最も近いブロックは、第1のブロックと称される。第1のブロックポリマーは親水性であるが電荷を帯びていないものであることが好ましい。電荷を帯びていないとは、そのブロックが、アミノ基、ホスフェート基、スルホン酸基またはカルボン酸基のような、生理的環境において直ちに電荷を帯びる基がないことを意味する。しかしながら親水性であるために、上記ブロックは通常、極性であってそれゆえ親水性である官能基(例えば、水酸化物、チオール、アミド、ハロゲン化物など)を含む。これらの基が電荷を帯び得ることは認められるが、そうするためには、酸または塩基の厳しい条件を必要する。従って、かかる基は通常は電荷を帯びていない。従って、明確にするために、電荷を帯びていない基とは、pH3〜12の間で電荷を帯びていないものを意味する。理想的には、親水性ブロックポリマーは、水溶性のものである。
【0050】
好ましくは、第1のブロックは、結合パートナーと結合しない。別の好ましい実施形態では、第1のブロックは、結合パートナーと反応できる側鎖官能基を含まない。
【0051】
好ましくは、第1のブロックよりも支持体表面から1ブロック離れたブロック、好ましくはポリマー粒子表面から最も離れたブロック(以後、末端ブロックと称する)は、結合パートナーに容易に結合できるペンダント官能基を含むものである。ペンダント官能基とは、その官能基がポリマーの骨格の一部よりむしろポリマーの側鎖に存在することを意味する。
【0052】
結合パートナーに結合できるとは、ブロックポリマー側鎖に結合パートナーを共有結合するために、側鎖の基が、結合パートナーとのカップリング反応を容易に受ける(または、簡単な活性化によって容易に受けるようにすることができる)ものであることを意味する。このようにして反応できる基は、当業者にとって周知である。複数の活性基が存在してもよいことも理解されるであろう。
【0053】
結合パートナーとの反応を受け、結合パートナーとの反応のために容易に活性化できる適切な基には、アミノ、カルボン酸、活性化されたカルボン酸(例えばスクシンイミジルエステル類、エステル類、酸塩化物)、ハロゲン化物、活性化された水酸化物(例えばアルコキシド、トシレート、ブロシレート、メシレートなど)、水酸基、チオール、活性化されたチオール(すなわち活性化された水酸化物のチオ等価体)、カーボネート、マレイミドおよびエポキシドが含まれる。
【0054】
好ましい実施形態において、末端ブロック上のペンダント官能基は電荷を帯びていてもよく、または容易に電荷を帯びることができる官能性(例えば、アミノ基、ホスフェート基、スルホン酸基またはカルボン酸基)を含む。また、これらの基が電荷を帯びているかどうかどうかは、それらが存在する系のpHに依存することを当業者は認識するであろうが、これらの基を帯電させることはごくわずかであることも当業者は認識するであろう。それゆえ、電荷を保持することができる基とは、pH3〜12の間で電荷を帯びるものを意味することは、明記されている。
【0055】
ブロックコポリマーの親水性/活性官能基はそのブロックコポリマーの形成の後に導入することができるが、好ましくは、ブロックポリマーの形成の間に、それらは導かれるか、またはその官能基の前駆体が導入される。このように、第1のブロックの調製における使用に適しているモノマーは、上で列挙したものである。特に好ましいものは、メタクリレート、PEG官能性を有する(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、ビニルアズラクトン、アクリル酸ブチル(buthylacrylate)、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸エチル、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、フルオレセインo−アクリレート、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルおよびアクリルオキシスクシンイミドである。好ましくは、第1のブロックを形成するために用いるモノマーは、アクリレート(特にメタクリレート)である。
【0056】
末端ブロックの形成において使用される好適なモノマーは、上に列挙したものである。興味がある特定のモノマーとしては、ビニルアズラクトン、スチレン−4−カルボン酸(エステル)、スチレン4−スルホン酸、官能化されたアクリルアミド(例えば、ジアミンまたはアミノ酸に連結されたアクリル酸)、アクリルアミドまたはアクリレート(例えば活性化された水酸基を有するアクリレート)、およびアルデヒド(アクリロレイン(acrylolein)など)が挙げられる。
【0057】
好ましくは、第1のブロックを形成するために用いるモノマーはアクリレートであり、特に第1のブロックを形成するために使用されたものとは異なるメタクリレートである。
【0058】
更なる好ましい実施形態において、第1のブロックはアクリルアミドブロックであり、末端ブロックはアクリル酸ブロックである。
【0059】
当然、当該技術分野で周知のように、重合の間、モノマー上の官能基を保護することが望ましいことがある。特に、カルボン酸基は、例えばエステル類を使用して、保護されていてもよい。しかしながら、ひとたびポリマーが形成されると、かかる基が直ちに脱保護されうり、必要に応じて所望の電荷を帯びた種をもたらす。あるいは、そのエステルを、求核剤を使用して除去して、ポリマー上に別の官能性を提供することができる。
【0060】
第1のブロックが高い立体的な安定性を提供し、そして末端ブロックは電荷の安定性を提供するような、親水性ブロックおよび電荷を帯びたブロックの好ましい配置が特に有利であることが驚くべきことに見出された。さらに、このブロックポリマーの電荷は、ブロックポリマーがイオン交換樹脂のような働きをすることを防止することによって非特異的結合を減らす、帯電モノマーから純粋に形成されたものと比較して低い。上記組合せは、高い親和定数をももたらす。
【0061】
各ブロックは、約500ダルトン〜約10,000ダルトンの分子量、好ましくは約1000ダルトン〜約5000ダルトンの分子量を有するのが好ましい。それは、例えば3〜150の繰り返し単位から、好ましくは10〜50の繰り返し単位から構成されることが可能である。
【0062】
好ましくは、マルチブロックポリマーの5重量%未満を形成するブロックは、1つでもあってはならない。このように、2つのブロック(例えば、第1ブロックおよび末端ブロック)の重量比は、1:10〜10:1(例えば1:5〜5:1、特に1:3〜3:1)の範囲にあってよい。
【0063】
調製法
支持体上のマルチブロックポリマーの形成は、さまざまな方法において実現することが可能である。予備成形されたマルチブロックポリマーは、従来の化学を使用して支持体上へ結合することができる。このように、ポリマーは、溶液中で形成することができ、適切に官能化された固体の表面上へ連結することができる。ブロックコポリマーは、従来のフリーラジカル化学によって、粒子の表面の上に形成することができる。しかしながら、そのポリマーは、表面から開始されるリビング重合、特にその表面上での安定ラジカル重合(SFRP)(例えばニトロキシド媒介性重合(NMP))、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)または原子移動ラジカル重合(ATRP)などのリビングラジカル重合を実施することによって、支持体の表面に生成されることが好ましい。ATRPは、特に好ましい。
【0064】
リビング重合は、時間とともに直線的に成長する連鎖成長によって特徴づけられる。時間とともに直線的に成長するために、これらのイオン重合は、次のモノマー分子が単一の活性部位に付加する連鎖機構によって進行する。さらに、付加は、活性部位の寿命の全体にわたって間断なく発生する。IUPACは、遅い開始、さまざまな活性および寿命を有する種の可逆的形成、不活性な種の可逆的形成および/または可逆的移動を含んでいてもよいものとして、リビング重合を定義している。リビング重合は、不可逆的な不活性化および不可逆的な移動を含まない。
【0065】
SFRPにおいて、アルコキシ開始剤またはニトロキシド安定ラジカル(persistent radical)が、スチレンおよびアクリレートなどのポリマーを形成するために用いられる。一般的に用いられるニトロキシドは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルである。
【0066】
RAFTは、効率よい可逆的付加開裂連鎖移動剤として作用するジチオ化合物の存在下で、ラジカル重合を実施することにより実現される。休止中の連鎖末端と活性な連鎖末端との間の迅速な切替機構は、リビング重合性をもたらす。
【0067】
これらの技術の総合的な説明は、文献において見出される。例えば、SFRPについてはG.Moad,E.Rizzardo,D.H.Solomon,「A product study of the nitroxide inhibited thermal polymerization of styrene」,Polym.Bull.,1982,V.6,s.589を参照。例えば、RAFTについてはChiefari.J,Chong.Y.K,Ercole.F,Krstina.J,Jeffery.J,Le.T,Mayadunne.R,Meijs.G.F,Rizzardo.E,Thang.S,「Living Free−radical polymerization by reversible addition−fragmentation chain transfer: the RAFT process」,Macromolecules,1998,31,5559−5562を参照。
【0068】
これらの技術の一般的な概要は、Matyjaszewski.K,「Comparison and classification of Controlled/Living Radical Polymerizations」,American Chemical Society,Symposium Series 768,2000,D.C.,20−24にも見出される。
【0069】
このように、更なる態様から見ると、本発明は、リビングラジカル重合を使用して、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合したポリマー粒子を調製するためのプロセスを提供する。
【0070】
好ましい実施形態において、マルチブロックポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、固体支持体(例えばポリマー粒子)上に導入される。この形態の重合は、全く新規であり、時間とともに直線的に成長する連鎖成長によって特徴づけられる。このプロセスは、ポリマー鎖末端から可逆的にハロゲン化物を引き抜き、これにより休止状態と活性な成長状態との間の切替機構をもたらす触媒量の銅(I)の使用を必要とする。このプロセスは、単に加えられるモノマーの性質を変えることによって、第1のブロックおよび次の異なるブロックの容易な形成を可能にすることが見出されている。
【0071】
表面から開始される重合技術の使用は、最近の文献において広く報告されており、当業者によって容易に実現される。しかしながら、診断検査法における多数の潜在的用途を有する官能化された粒子を形成するために、ポリマー粒子(特に磁気ポリマー粒子)と組合せてかかる反応を使用することの潜在的な利点を認識していたものは、これまで誰もいなかった。
【0072】
ATRPを行うために、支持体表面は、ハロゲン化物イオンを担持することを必要とする。これは、通常、支持体を開始剤と作用させることによって実施され、ポリマーはそこから外へ成長する。開始剤は、Cu(I)触媒によって引き抜かれ得る表面ハロゲン化物イオンを提供する化合物である。任意の適切な開始剤を使用することができ、また、例えばそのコーティングの一部としてすでにハロゲン化物表面官能性を有している支持体(例えばポリマー粒子)から重合を開始することも可能である。
【0073】
好適な開始剤は、ハロシラン、ハロブチレート(halobuthrate)、スルホン酸塩化物、ハロゲン化されたアルキル基(例えばクロロホルム)またはブロモ酢酸である。好適な開始剤は、α−ブロモイソブチレート(BrC(CHC(O)Br)である。
【0074】
ひとたび開始剤が支持体表面に結合すると、重合は、所望の第1のブロックのモノマーおよびCu(I)触媒(通常はCuBr)を加えることによって開始することができる。ブロックポリマーは非常に制御された様式で成長し、ひとたびすべての第1のモノマーが使用されると(またはひとたび適切な大きさの第1のブロックが製造されて、第1のモノマーが除去されると)、再び触媒の存在下で、第2のモノマーが加えられる。
【0075】
このように、更なる態様から見ると、本発明は、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合したポリマー粒子の調製のためのプロセスであって、
(I)ポリマー粒子をハロゲン化物を含む原子移動ラジカル重合開始剤と混合する段階と、
(II)段階(I)の生成物をCu(I)化合物および第1のビニルモノマーと混合する段階と、
(III)段階(II)の生成物に第2のビニルモノマーを混合する段階と
を含むプロセスを提供する。
【0076】
別な見方をすると、本発明は、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合した固体支持体の調製のためのプロセスであって、
(I)ポリマー粒子をハロゲン化物を含む原子移動ラジカル重合開始剤と混合する段階と、
(II)段階(I)の生成物をCu(I)化合物および第1のビニルモノマーと混合し、第1のブロックポリマーを形成する段階と、
(III)段階(II)の生成物に第2のビニルモノマーを混合し、第2の(好ましくは末端の)ブロックポリマーを形成する段階と、
(IV)結合パートナーを第1または好ましくは第2のブロックポリマーに連結する段階と
を含むプロセスを提供する。
【0077】
ATRP反応の条件は周知であり、文献に記載されている。水を除去することは非常に重要であり、不活性雰囲気中で所定の反応を実施することが有益である場合がある。実際のATRPは、0〜150℃(例えば50〜100℃)の温度で行うことができる。反応は、通常、不活性溶剤(例えばトルエン、DMSO、THFまたはDMF)中で行われる。
【0078】
使用する触媒はCuBrであることが好ましい。あるいは、CuIまたはCuClのような他の触媒を使用することが可能である。
【0079】
ひとたび形成されると、マルチブロックポリマーは標準的な化学技法を使用して操作することができる。例えば、重合の間、モノマーの官能基を保護することが必要な場合がある。これらの保護基は、ATRP反応が完結した後で除去することができる。さらに、官能基が形成されたマルチブロックポリマーに存在する場合、当然、従来の化学を使用してその官能基に反応を起こさせることは可能である。このように、マルチブロックポリマーが例えばカルボン酸エステル側鎖を担持する場合、これは、周知のように、アミノ化合物との反応/加水分解によって、アミドまたは酸に変換することができる。
【0080】
従って、所望のブロックポリマーが、例えば親水性かつ電荷を帯びたブロックから形成されることになっている場合、これはさらに、マルチブロックポリマー上へ特定の官能基の導入を可能にする。このように、ヒドロキシ基は、求電子性官能基(例えばエステル)とエタノールアミンとの反応によって、ブロックポリマーに導入することができる。かかる反応は、アミドも導入する。エステルは脱保護されて酸を形成することができ、酸はアルデヒドに還元することができる。遊離酸は、N−ヒドロキシスクシンイミドのような標準的な活性剤に連結されて、ブロックコポリマーに反応性が高い(highly reaction)側鎖を提供することもできる。ポリマー上の官能基の操作は、従って、容易に成し遂げられる。
【0081】
さらに、ATRP反応により、結果として生じるマルチブロックポリマーは、通常、最終のブロックの末端にハロゲン化物イオンを担持する。なぜなら、これがその重合が成長する様式だからである。当然、かかる求電子性基が存在することにより、マルチブロックポリマーを標的に対する結合パートナーに簡単に連結することができる。従って、求核性の結合パートナーは直接連結することができるが、他方、求電子性の結合パートナーは、このハロゲン化物イオンを例えばアミンに変換した後に連結することができる。当然、結合パートナーは、第1のブロックポリマーまたは好ましくは末端のブロックポリマー上の側鎖官能基に直接連結することもできる。
【0082】
さらなる実施形態において、マルチブロックポリマーは溶液中で作製され、その後でポリマー粒子にグラフトされる。マルチブロックポリマーの合成は、重合が開始するハロゲン化物ベースの開始剤を使用して、上記と同じように行うことができる。
【0083】
ひとたび形成されると、ポリマーは、すでに記載したとおりに溶液中またはポリマー粒子上で操作して、親水性または電荷を帯びたブロックなどを提供することもできる。好ましくは、ポリマーは、マルチブロックポリマー形成の後、続けて粒子表面に連結される。
【0084】
形成されたマルチブロックポリマーを粒子に結合することは、ここでも当業者によって容易に成し遂げられ、例えば、周知の化学を使用して粒子表面上の活性基に連結できるマルチブロックポリマーに存在する側鎖に依存する場合がある。粒子表面とマルチブロックポリマーとの反応はポリマー内のランダムな単位で起こるので、結果として得られるものは、粒子表面にどこかの点で結合した2つの尾部を有するペンダントマルチブロックポリマーである。
【0085】
尾部がそれらの末端で異なる官能基を含むことができるため、これは更に有利な本発明の特徴である。これは、結合パートナーに対する結合効率を改善する。
【0086】
本発明の更なる態様において、固体支持体は少なくとも1つのブロックポリマー(実質的にホモポリマー)およびそれに結合した少なくとも一つのランダム共重合体、ならびに任意に結合パートナーを担持する。ランダム共重合体とは、ポリマーが、同一の繰り返し単位のブロックとは異なり、少なくとも2つのランダムに変わる繰り返し単位を含むことを意味する。ブロックポリマーおよびランダム共重合体は接合される。すなわち、それらは支持体に対して別々に結合するのではなく、1つのペンダント全体のポリマーを形成する。
【0087】
このように更なる態様から見ると、本発明は、ランダム共重合体に結合したブロックビニルポリマーが表面に結合した固体支持体(例えばポリマー粒子)であって、そのブロックビニルポリマーまたはランダム共重合体は、結合パートナーに任意に更に結合している固体支持体(例えばポリマー粒子)を提供する。好ましくは、ブロックポリマーは支持体表面に最も近いものであり、ランダム共重合体は末端ブロックの代わりに形成される。
【0088】
ランダム共重合体は、ラジカル重合によって、リビング重合によって(例えばATRPによって)、または予備形成されたランダム共重合体を固体支持体上へまたは支持体の上に形成されたブロックポリマー上へグラフトすることにより、形成することができる。従って、本願明細書において詳述されるリビングラジカル重合技術(例えばATRP技術)は、ブロックポリマーとは異なりランダムポリマーを形成するために、モノマー混合物に対して使用することもできる。
【0089】
このように、更なる態様から見ると、本発明は、ビニルポリマーが表面に結合した固体支持体の調製のためのプロセスであって、
(I)ポリマー粒子をハロゲン化物を含む原子移動ラジカル重合開始剤と混合する段階と、
(II)段階(I)の生成物をCu(I)化合物および第1のビニルモノマーと混合し、第1のブロックポリマーを形成する段階と、
(III)段階(II)の生成物に、ランダムポリマーを形成するための第2のビニルモノマーおよび第3のビニルモノマーを混合する段階と、必要に応じて
(IV)結合パートナーを形成されたポリマーに連結する段階と
を含むプロセスを提供する。
【0090】
ランダム共重合体を形成するために用いるビニルモノマーは、ブロックポリマーの形成において有用なビニルモノマーと同様である。第2/第3モノマーのうちの1つが第1のモノマーと同一であってもよいことはいうまでもない。形成されるランダム共重合体は、当然、第1段階で形成されるブロックポリマー(すなわちホモポリマー)とは異なる。
【0091】
しかしながら、ランダム共重合体が、ブロックポリマー(例えばATRPにより形成されるブロックポリマー)の操作により形成されることが好ましい。このように、マルチブロックポリマーは本願明細書中上記の技術を使用して形成することができ、第2ブロックはランダムポリマーを形成するように操作される。
【0092】
このように、ブロックポリマーが当初は多くのエステル側鎖を担持しているアクリレートブロックポリマーである場合、これは同時に2つの求核剤(例えば2つのアミノ化合物)と反応を起こすことができ、この求核剤はアクリレートエステル基をランダムに置換し、ランダム共重合体に様々な側鎖を残す。アクリレートブロックポリマーは、若干の酸および若干のエステル側鎖などを有するランダムポリマーを形成するために、部分的加水分解を受けることができる。当業者は、ブロックポリマー(例えばアクリレート)をランダム共重合体へと操作するあらゆる種類の方法を考案できる。
【0093】
このように、更なる態様から形成されて、本発明は、ブロックポリマーおよびランダム共重合体を含むポリマーが表面に結合した固体支持体(例えば、ポリマー粒子)を提供する。
【0094】
マルチブロックポリマーを担持している支持体に関して説明したように、かかる構造体は、結合パートナーに結合していてもよい。結合パートナーは、その構造体のランダムポリマー部分と結合することが好ましい。
【0095】
また、ランダム共重合体が、結合パートナー、特に電荷を帯びているかまたは電荷を帯びることができる官能基と反応できる側鎖官能基を含む場合は好ましい。かかる基は、すでに上で詳述しており、本発明の本態様にも適用できる。
【0096】
マルチブロックポリマーの1つのブロックが上記の方法で操作されている場合、他のブロックは、任意の所望されない化学物質が発生するのを防止するために、必要に応じて保護されていることはいうまでもない。
【0097】
各ランダムポリマーは約500ダルトン〜約10,000ダルトンの分子量、好ましくは約1000ダルトン〜約5000ダルトンの分子量を含むことが好ましい。それは、例えば、3〜150個の繰り返し単位から、好ましくは10〜50個の繰り返し単位から構成されることが可能である。
【0098】
好ましくは、マルチブロックポリマーの5重量%未満を形成するランダムポリマーが1つでもあってはならない。このように、ランダムポリマーに対するブロックポリマーの重量比は、1:10〜10:1(例えば1:5〜5:1、特に1:3〜3:1)の範囲にあってよい。
【0099】
マルチブロックポリマーを有する固体支持体は、当該分野で周知のように、いかなる結合パートナーにも連結できる。例えば、直接的な連結は、還元的アミノ化を介して、または結合パートナー上の求核性基とブロックポリマー上の活性化されたエステル側鎖(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル)との反応によって、実現することができる。結合パートナー/ブロックポリマー上のアミン基およびカルボン酸基は、(例えばカルボジイミドを使用する)従来のペプチド形成化学で連結することができる。このように、これらの成分を結合することは容易に実現される。
【0100】
「結合パートナー」との用語は、別の生体分子と特異的もしくは非特異的な結合または相互作用ができる任意の生体分子または他の有機分子として定義される。この結合もしくは相互作用は、「リガンド」結合もしくは相互作用と呼ばれることもあり、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/糖質、受容体/ホルモン、受容体/エフェクターまたはリプレッサ/誘導因子の結合または相互作用を例として挙げることができるが、これらに限定されない。適切なリガンドは、本発明の支持体が供されることが所望される用途に応じて選択される。これらのリガンドのタイプは、以下で列挙される。固体支持体、マルチブロックビニルポリマーおよび結合パートナーの組合せは、新規であると考えられ、本発明の更なる態様を形成する。
【0101】
従って、結合パートナーは、抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、ホルモン、リンホカイン、代謝産物、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、毒素、毒、糖質、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、糖脂質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸もしくは誘導体化された核酸、DNA、RNA、受容体、ウイルス粒子、細菌、ウイルス成分、細胞、細胞成分、天然の脂質小胞、合成脂質小胞またはポリマー膜でもよい。
【0102】
使用法
結果として生じる支持体は、分離において、または輸送ビヒクルとして用いることが可能である。好ましくは、本発明の粒子は、検査(例えば競合アッセイ)において使用され、したがって興味がある標的に対する結合パートナーを有する。粒子に連結される結合パートナーの性質は、特定の標的物質と結合するその能力に基づいて選択することができる。多種多様な適切な検査(例えばイムノアッセイまたは核酸検出)は、公知である。
【0103】
上記のポリマー粒子は、様々な精製法および検出法で用いることが可能である。試料から標的物質を精製する方法は、標的物質を含む試料を提供する段階と、マルチブロックビニルポリマーが表面に結合しているポリマー粒子を提供する段階と、標的物質がポリマー粒子に結合するのに適している条件下で試料とポリマー粒子を接触させる段階と、その試料からポリマー粒子を分離する段階とを含むことができる。この方法は、分離段階の後に、標的物質を検出する段階を更に含むことができる。この方法は、分離段階の後に、標的物質をポリマー粒子から単離する段階をさらに含むことができる。
【0104】
最も好ましい実施形態において、本発明は、第1の親水性ブロックと、任意に結合パートナーを担持している末端ブロックとを含むマルチブロックビニルポリマーを有する磁性の多孔性ポリマー微粒子を提供する。
【0105】
選択される標的物質は、より大きな生物学的存在(例えば細胞)の表面と関連した特定の構造分子(例えば、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質または糖質など)でもよい。他の標的物質は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、核酸(DNA、RNA、PNA、アプタマー(aptomer))および核酸前駆体(ヌクレオシドおよびヌクレオチド)、多糖、脂質(例えば脂質小胞)が挙げられる生物学的物質でもよい。従来のストレプトアビジン/ビオチン系で検出可能な、かつ本願発明において有用な代表的タンパク質としては、サイトカイン、ホルモン類、ビタミン、表面受容体、ハプテン、抗原、抗体、酵素、成長因子、組換えタンパク質、毒素ならびにこれらの断片および組み合わせが挙げられる。あるいは、標的物質は細胞であってもよい。
【0106】
「細胞」との用語は、すべての原核生物細胞(始原細菌およびマイコプラズマを含む)および真核生物細胞(全ての種類の哺乳類および非哺乳類の動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、酵母細胞、原生動物を含む)、ならびに他の存在物(例えばウイルス、および細胞小器官(例えばミトコンドリアおよび核)などの亜細胞性の成分、または原形質体)を含むように、本願明細書において使用される。
【0107】
従って、標的物質は、抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、酵素基質、ホルモン類、リンホカイン、代謝産物、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、毒素、毒、環境汚染物質、糖質、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、糖脂質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸および誘導体化された核酸、DNA、RNA、天然薬または合成薬、受容体、ウイルス粒子、バクテリオファージ、細胞、細胞成分、天然の脂質小胞または合成脂質小胞、ポリマー膜および粒子ならびにガラスおよびプラスチック表面を含む。
【0108】
「ビオチン化された物質」または「部分(moiety)」との用語は、改変されたビオチンもしくはビオチンアナログと他の部分(生体分子(例えば核酸分子(一本鎖もしくは二本鎖のDNA、RNA、DNA/RNAキメラ分子、核酸アナログおよびヌクレオチド配列を含むかまたは組み込む任意の分子(例えばペプチド核酸(PNA)またはその任意の改変体)を含む)、タンパク質(糖タンパク質、酵素、ペプチドライブラリ製品またはペプチドディスプレー製品、および抗体、またはこれらの誘導体を含む)、ペプチド、糖質または多糖、脂質など)など)との接合体であって、この他の部分は改変されたビオチンもしくはビオチンアナログに共有結合している接合体として理解されるべきである多くのビオチン化されたリガンドは、市販されているか、または標準的な方法により調製することができる。生体分子(例えば核酸分子またはタンパク質分子)をビオチンに連結するプロセスは、当該技術分野で周知である。
【0109】
本明細書で用いられる場合の「ビオチン」との用語は、ビオチン(cis−ヘキサヒドロ−2オキソ−lH−チエノ[3,4]イミダゾール−4−ペンタン酸)および任意のビオチン誘導体およびアナログを指すことが意図されている。かかる誘導体およびアナログは、天然のもしくは改変されたストレプトアビジンまたはアビジンのビオチン結合ポケットと複合体を形成する物質である。かかる化合物としては、例えば、イミノビオチン、デスチオビオチンおよびストレプトアビジン親和性ペプチドが挙げられ、ビオチン−ε−N−リジン、ビオシチンヒドラジド、2−イミノビオチンおよびビオチニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのアミン誘導体もしくはスルフヒドリル誘導体、スルホスクシンイミド−イミノビオチン、ビオチンブロモアセチルヒドラジド、p−ジアゾベンゾイルビオシチン、3−(N−マレイミドプロピオニル)ビオシチンも挙げられる。本発明において使用されるビオチンの好適な誘導体はデスチオビオチンまたはその誘導体であるDSB−Xビオチン(Molecular Probes、米国、オレゴン州、ユージンから市販されている)(製品番号 D20658)である。
【0110】
本明細書で用いられる場合の「アビジン」との用語は、天然の卵白糖タンパク質アビジンならびにその誘導体または等価体(アビジンの脱グリコシル化体または組換え体など。例えば、N−アシルアビジン(例えば、N−アセチル、N−フタリルおよびN−スクシニルアビジン)および商品ExtrAvidin、Neutralite AvidinおよびCaptAvidin)を指す。
【0111】
本明細書で使用される場合の「ストレプトアビジン」との用語は、ストレプトマイセス属の選択された菌株(例えばストレプトミセス・アビジニイ(Streptomyces avidinii))によって生成される細菌由来のストレプトアビジン、ならびにその誘導体または等価体(組換え型ストレプトアビジンおよび短縮(truncated)ストレプトアビジンなど。例えば「コア」ストレプトアビジン)を指す。
【0112】
アビジン/ストレプトアビジン物質のいくつかは市販されており(例えば天然のアビジンおよびストレプトアビジン、非グリコシル化アビジン、N−アシルアビジンおよび短縮ストレプトアビジン)、または周知の方法により調製することができる(Avidin−biotin technology,Methods of Enzymology,第184巻:1−671,1990を参照)。その参考文献において、Greenはアビジンおよびストレプトアビジンの調製を記載しており、Hillerらは、非グリコシル化アビジンの調製を記載しており、Bayerらは、ストレプトアビジンおよび短縮ストレプトアビジンの調製を記載しており、ChandraおよびGrayは、組換えアビジンを記載している。ストレプトアビジンおよびアビジンの天然体および組換え体は、米国特許第5,973,124号に記載されているように改変することができる限り、本願明細書において記載されている方法で用いることが可能である。本発明において使用されるストレプトアビジンの好適な誘導体は、ニトロ−ストレプトアビジンである。出発原料として使用される好適な誘導体は、組換えコアストレプトアビジンである。
【0113】
他の特異的アフィニティ吸着剤部分、例えば小麦胚芽接着剤、抗イディオタイプ抗体および色素リガンドは、グリコシル化されたタンパク質(例えばSPl転写因子)、色素結合タンパク質(例えばピルビン酸キナーゼおよび肝臓アルコール脱水素酵素)および他の抗体を単離するために、改変されたビオチンに連結することもできる。
【0114】
好適な検査は、核酸を検出する検査である。一般に核酸検出は、核酸結合パートナーおよび標的核酸が共にハイブリダイゼーション層を生成するように、標的核酸配列を特異的に認識する(例えば標的核酸配列とハイブリダイズする)核酸配列を含む核酸プローブを使用して、標的核酸を含むと考えられる試料を探索することが必要である。本発明の適切に官能化された支持体、例えばストレプトアビジンでコーティングされている支持体は、核酸検出に理想的に適している。
【0115】
ストレプトアビジン支持体に結合したビオチン化された一本鎖オリゴヌクレオチドのプローブは、配列に特異的なDNAを単離するために用いることができる。ビオチン化されたプローブは、適切な量の支持体を過剰のビオチン化されたプローブと混合することによって、支持体に結合する。次いで、支持体/プローブは、プローブおよびDNAの長さおよび配列にとって適切な条件下で、ハイブリダイゼーション緩衝液(例えばSSPEまたはSSC)中でDNA試料とともにインキュベーションされる。過剰で不必要なDNAは、支持体の磁気特性を利用して洗い流される。捕捉されたDNAは、PCRなどによって検出/定量化することができる。
【0116】
ストレプトアビジン支持体に結合したビオチン化された二本鎖DNA断片は、DNA配列特異的結合タンパク質を単離するために用いることができる。ビオチン化されたDNAは、適切な量の支持体を過剰のビオチン化されたDNA断片と混合することによって、支持体に結合する。次いで、支持体/DNAは、検定中のタンパク質に適切な条件下で、ハイブリダイゼーション緩衝液中でタンパク質試料とともにインキュベーションされる。過剰で不必要なタンパク質は、例えば支持体の磁気特性を利用して、洗い流される。捕捉されたタンパク質は、下流の応用および検出のために(高塩濃度、低塩濃度、熱、低pHなどによって)プローブから溶出させることができる。
【0117】
試料は、通常、標的物質を含むと思われる任意の試料でよい。試料の例としては、生物学的発酵培地、ウイルス粒子の懸濁液、細胞溶解物、原核細胞、真核生物細胞、ウイルス粒子、組織および体液が挙げられる。好適な体液には、尿、脳脊髄液、血液、リンパ液、間質液、細胞抽出液、粘液、唾液、痰、糞便、生理的分泌物もしくは細胞分泌物、または他の類似の流体が含まれる。
【0118】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために提示されている。以下の実施例において開示される技術は本発明の実施において十分に機能するために発明者らにより見出された技術を表しており、従って、その実施のための好適な態様を構成すると考えることができるということを、当業者は理解するはずである。しかしながら、開示される具体的な実施形態において多くの変更が可能であり、それでもなお本発明の範囲から逸脱することなく類似または同様の結果を得ることができるということを、当業者は本開示を参酌して理解するはずである。
【0119】
実施例
実施例1:ポリマー粒子上のマルチブロックポリマーの調製
5g(乾燥物質重量、DS)の電磁ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)M−270アミン)を、THF(5回、各回とも15ml/g DS)で洗浄した。このDS重量を、30%(溶媒混合物中の30重量%のビーズに到達するまで上澄みを取り除くことによって、溶媒およびビーズの混合物の量を減少させた)に調整し、アルゴン(14ml/分)で30分間、処理した。生成したポリマー粒子を、0.19mmol/g(DS)のα−ブロモイソ酪酸ブロミド(BrC(CHC(O)Br)と接触させた。
【0120】
反応混合物を14ml/分のアルゴンで30分間処理し、丸瓶反応フラスコに加えた。これを250rpmで撹拌し、懸濁液中で14ml/分でアルゴンを流しながら0℃に120分間維持した。この混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いて粒子懸濁液を形成した。
【0121】
1.8gのDMSO、0.19mmol/g(DS)のCuBrおよび3.43mmol/g(DS)のN−ヒドロキシスクシンイミドメタクリレート(NHSMA)を混合し、0.19mmol/g(DS)の1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)を加え、その数秒後にこの溶液を上記の粒子懸濁液に加えた。
【0122】
反応混合物を、14ml/分でアルゴンを流しながら250rpm、70℃で撹拌した。100分後、アルゴン(14ml/分、30分)で前処理した1.3mmol/g(DS)のメタクリル酸tert−ブチル(tBMA)をこの溶液に加えた。
【0123】
65分後に、空気をこの系に許容し、この懸濁液を室温に冷却した。反応混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いた。粒子懸濁液を、10mlのTHF/g DSで3回洗浄した。形成したポリマーを、以下に示す。

【0124】
式中、n=33であり、m=12である。nは、どれだけ多くのNHSMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数であり、mはどれだけ多くのtBMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数である。
【0125】
実施例2:親水性かつ電荷を帯びたブロックの形成
マルチブロックポリマーを担持する実施例1のポリマー粒子を12g/g DSのエタノールアミンと反応させ、この懸濁液を60℃に2.5時間加熱した。この溶液を1M NaOHで4回洗浄し、200rpmで一晩撹拌した。次いでこの溶液を、0.01M NaOHで洗浄した。生成したポリマーを、以下に示す。

【0126】
粒子上のカルボキシル基の量を決定するために、外側のブロックのカルボン酸基を滴定法で測定した。G133(実施例1)について測定した酸基:0.011mmol酸基/g DS。
【0127】
実施例3:ポリマー粒子上のマルチブロックポリマーの調製
1.04mm/g DSのNHSMAおよび0.67mmol/g(DS)のメタクリル酸tertブチルを使用したことを除いて、実施例1および実施例2の手順を繰り返した。形成されたポリマーを、以下に示す。

【0128】
酸基を、0.09mmol酸基/g DSであると測定した。このポリマー構造において、n=10であり、m=7である。nは、どれだけ多くのNHSMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数であり、mはどれだけ多くのtBMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数である。
【0129】
実施例4:ポリマー粒子上のマルチブロックポリマーの調製
0.25mmol/g(DS)のα−ブロモイソ酪酸ブロミドを使用して、実施例1の手順に倣った。2.45gのDMSO、0.25mmol/g(DS)のCuBrおよび4.58mmol/g(DS)のNHSMAを0.25mmol/g(DS)のHMTETAに加えた。100分後に、1.8mmol/g(DS)のメタクリル酸tertブチルを使用した。
【0130】
その後、生成したマルチブロックポリマーを36.9gの無水DMF中の3.06g(8.4mmol/g(DS))のエタノールアミンと反応させ、この懸濁液を60℃に2.5時間加熱した。この溶液を冷却し、1M NaOHで4回洗浄して、200rpmで一晩撹拌した。次いでこの溶液を0.01M NaOHで洗浄した。
【0131】
形成したポリマーを、以下に示す。

【0132】
粒子上のカルボキシル基の量を決定するために、外側のブロックのカルボン酸基を滴定法で測定した。酸基を、0.14mmol酸基/g DSであると測定した。上記ポリマー構造において、n=33であり、m=12である。nは、どれだけ多くのNHSMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数であり、mはどれだけ多くのtBMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数である。
【0133】
実施例5:ハロゲン化された官能性粒子
5g(乾燥した物質重量、DS)の電磁ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)M−270アミン)を、THF(5回、各回とも15ml/g DS)で洗浄した。このDS重量を、30%(溶媒混合物中の30重量%のビーズに到達するまで上澄みを取り除くことによって、溶媒およびビーズの混合物の量を減少させた)に調整し、アルゴン(14ml/分)で30分間、処理した。生成したポリマー粒子を、0.25mmol/g(DS)のα−ブロモイソ酪酸ブロミドと接触させた。
【0134】
反応混合物を14ml/分のアルゴンで30分間処理し、丸瓶反応フラスコに加えた。これを250rpmで撹拌し、懸濁液中で14ml/分でアルゴンを流しながら0℃に120分間維持した。この混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いて粒子懸濁液を形成した。
【0135】
1.8gのDMSO、0.25mmol/g(DS)のCuBrおよび6.00mmol/g(DS)のN−ヒドロキシスクシンイミドメタクリレートを混合し、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)を加え、その数秒後にこの溶液を上記の粒子懸濁液に加えた。
【0136】
反応混合物を、14ml/分でアルゴンを流しながら250rpm、70℃で撹拌した。100分後、アルゴン(14ml/分、30分)で前処理した2.0mmol/g(DS)のメタクリル酸tertブチルをこの溶液に加えた。
【0137】
65分後に、空気を系に許容し、この懸濁液を室温に冷却した。反応混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いた。粒子懸濁液を、12mlのDMSO/g DSで3回洗浄した。
【0138】
次に、親水性でかつ電荷を帯びたブロックを形成した。マルチブロックポリマーを担持する実施例5のポリマー粒子を、3.33g DMSOと混合した0.37g(6.0mmol(DS))のエタノールアミンと反応させ、アルゴン(14ml/分)で30分間処理した。この混合物を、60℃、250rpmで2.5時間加熱した。1.9gのDMSOと混合した4−アミノ酪酸0.21g(2.04mmol/g DS)を加え、250rpm、60℃で2.5時間後、この懸濁液を室温に冷却した。反応混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いた。粒子懸濁液を、50mlのDMSOで3回洗浄した。生成したポリマーを、以下に示す。

【0139】
式中、n=24であり、m=8である。nは、どれだけ多くのNHSMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数であり、mはどれだけ多くのtBMAモノマー単位が理論的に互いに結合して上記ポリマーを形成したかの(数平均での)数である。
【0140】
実施例6:トリブロックポリマー
5g(乾燥した物質重量、DS)の電磁ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)M−270アミン)を、THF(5回、各回とも15ml/g DS)で洗浄した。このDS重量を、30%(溶媒混合物中の30重量%のビーズに到達するまで上澄みを取り除くことによって、溶媒およびビーズの混合物の量を減少させた)に調整し、アルゴン(14ml/分)で30分間、処理した。生成したポリマー粒子を、0.25mmol/g(DS)のα−ブロモイソ酪酸ブロミドと接触させた。
【0141】
反応混合物を14ml/分のアルゴンで30分間処理し、丸瓶反応フラスコに加えた。これを250rpmで撹拌し、懸濁液中で14ml/分でアルゴンを流しながら0℃に120分間維持した。この混合物を磁石の上に置き、上澄みを取り除いて粒子懸濁液を形成した。
【0142】
DMSOを、0.25mmol/g(DS)のCuBrおよびアルゴン(14ml/分、30分)で前処理した1.80mmol/g(DS)のメタクリル酸tertブチルと混合し、0.25mmol/g(DS)のヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)を加え、その数秒後にこの溶液を上記の粒子懸濁液に加えた。
【0143】
反応混合物を、14ml/分でアルゴンを流しながら130rpm、70℃で、60分間撹拌した。60分後、アルゴン(14ml/分、30分)で前処理した4.6mmol/g(DS)のNHSMAをこの溶液に加えた。この反応混合物を、14ml/分でアルゴンを流しながら130rpm、70℃で、100分間撹拌した。100分後に、アルゴン(14ml/分、30分)で前処理した1.80mmol/g(DS)のメタクリル酸tertブチルを加え、この反応混合物を14ml/分でアルゴンを流しながら130rpm、70℃で100分間撹拌した。
【0144】
65分後に、空気をこの系に許容し、この懸濁液を室温に冷却した。
【0145】
実施例7:ポリマー粒子へグラフトするための溶液中でのポリマー調製
5g(乾燥した物質重量、DS)の電磁ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)M−270アミン)を、DMSO(5回、各回とも50ml/g DS)で洗浄し、30分間、アルゴン(14ml/分)で処理した。上澄みを取り除き、粒子懸濁液をアルゴンフロー(14ml/分)の下に保持した。
【0146】
15gのアルゴン処理(14ml/分で30分間)したDMSOを、0.22g(0.25mmol/g DS)のCuBr、0.84g(4.6mmol/g(DS))のNHSMA、0.35g(0.25mmol/g(DS))のHMTETA、0.039g(0.20mmol/g(DS))のα−ブロモイソ酪酸エチル((CHC(Br)COCHCH)と混合し、セプタムによって別の100mlの丸瓶に移し、14ml/分でアルゴンを流しながら130rpm、70℃で撹拌した。100分後に、0.26g(1.8mmol/g(DS))のtBMAを加え、この懸濁液をさらに100分間撹拌した。
【0147】
アルゴンフローを止め、空気を入れ、この溶液を室温に冷却した。
【0148】
室温で30分後に、この溶液を粒子懸濁液に加え、50℃まで加熱し、250rpmで3時間撹拌した。
【0149】
コポリマーを担持している生成したポリマー粒子を、官能性分子(例えば、エタノールアミン)と更に反応させることができ、1.0M NaOHを用いて、200rpmで室温で一晩加水分解できる。生成したポリマーを、考えられる構造を例示する図として以下に示す。

a.共有結合
b.ポリマーブロック(スペーサ)
c.官能性を有するポリマーブロック
d.ポリマー鎖にランダムに結合した粒子
【0150】
エタノールアミンで後処理したポリ(NHSMA)は親水性スペーサをもたらし、ポリ(tBMA)の加水分解によって酸基官能性が形成される。
【0151】
実施例8:ポリマー粒子へグラフトするための溶液中でのトリブロックポリマーの調製
5g(乾燥した物質重量、DS)の電磁ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)M−270アミン)を、DMSO(5回、各回とも50ml/g DS)で洗浄し、アルゴン(14ml/分)で30分間処理した。上澄みを取り除き、この粒子懸濁液をアルゴンフロー(14ml/分)の下に保持した。
【0152】
15gのアルゴン処理(14ml/分で30分間)したDMSOを、0.22g(0.25mmol/g DS)のCuBr、0.26g(1.8mmol/g(DS))のtBMA、0.35g(0.25mmol/g(DS))のHMTETA、0.039g(0.20mmol/g(DS))のα−ブロモイソ酪酸エチルと混合し、セプタムによって別の100mlの丸瓶に移し、14ml/分でアルゴンを流しながら130rpm、70℃で撹拌した。60分後に、0.84g(4.6mmol/g(DS))のNHSMAをこの懸濁液に加えた。100分後に、0.26g(1.8mmol/g(DS))のtBMAを加え、さらに60分間撹拌した。
【0153】
アルゴンフローを止め、空気を入れ、この溶液を室温に冷却した。
【0154】
室温で30分後に、この溶液を粒子懸濁液に加え、50℃に加熱し、250rpmで3時間撹拌した。
【0155】
マルチブロックポリマーを担持している生成したポリマー粒子は、官能性の分子(例えば、エタノールアミン)と更に反応させることができ、1.0M NaOHを用いて200rpmで、室温で一晩加水分解することができる。生成したポリマーを、考えられる構造を例示する図として以下に示す。

a.共有結合
b.ポリマーブロック(スペーサ)
c.官能性を有するポリマーブロック
d.ポリマー鎖にランダムに結合した粒子
【0156】
エタノールアミンで後処理したポリ(NHSMA)は親水性スペーサをもたらし、ポリ(tBMA)の加水分解によって酸基官能性が形成される。
【0157】
実施例9:ビーズ上のカルボン酸基に対するエストラジオール−6−CMOの連結
一般的な手順は以下の通りである。
【0158】
1.1. ビーズ(例えば実施例2からの2.8μmの5mg)を、200μl MES(50mM MES pH5.5)で洗浄し、MES(90μl)中に再懸濁した。
【0159】
1.2. 50mMのMES pH5.0中の2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン(Fluka番号03739)の10%v/v溶液10μlを加えた。
【0160】
1.3. EDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩](MES中の20mg/mlを15μl)を加えた。
【0161】
1.4. 少なくとも3時間、室温でインキュベーションした。
【0162】
1.5. リン酸緩衝食塩水(PBST)(PBS中に0.1%のTween−20を含む)(3×500μl)で洗浄した。
【0163】
1.6. 10mg/mlへPBST中に再懸濁させた。
【0164】
2. エストラジオールの活性化[20回の反応のために]
【0165】
2.1. エストラジオール−6−CMO(Fluka番号03739](2mg)を無水DMF(100μl)中に溶解した。
【0166】
2.2. DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)(50μlの無水DMF中の2.4mg)を加えた。
【0167】
2.3. NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)(50μlの無水DMF中の1.2mg)を加えた。
【0168】
2.4. 少なくとも2時間、室温でインキュベーションした。
【0169】
3.連結
【0170】
3.1. 段階1.6からのビーズ(2.8μmの2mg)を、水(200μl)および無水DMF(200μl、3回)で洗浄した。
【0171】
3.2. 無水DMF(90μl)中に再懸濁した。
【0172】
3.3. 段階2.4からのエストラジオール−NHS(10μl)を加えた。
【0173】
3.4. 37℃で一晩インキュベーションした。
【0174】
3.5. DMF(200μl)で3回、水、PBST(200μl)で2回洗浄した。
【0175】
3.6. 10mg/mlへPBST中に再懸濁した。
【0176】
実施例10:ビーズ上のカルボン酸基に対するインスリンの連結
一般的な手順は以下の通りである。
【0177】
1. 25mgのカルボン酸ビーズを、MES緩衝液(1ml)で1回洗浄し、MES緩衝液(500μl)中に再懸濁した。
【0178】
2. 125μl EDC(10mg/ml)を加え、混合した。
【0179】
3. 125μl NHS(10mg/ml)を加え、混合した。
【0180】
4. 15〜20℃で15分間インキュベーションした。
【0181】
5. 50μl 抗原(2mg/ml)を加えた。
【0182】
6. 15〜20℃で3〜4時間または一晩インキュベーションした。
【0183】
7. 各回とも0.1%のTween−20を含むPBS(1ml)中で最低10分間インキュベーションして、3回洗浄した。
【0184】
8. 0.01%Tween−20を含むPBS中に10mg/mlへビーズを再懸濁させた。
【0185】
実施例11:抗体についての競合アッセイを使用する親和定数の決定
以下は一般的な検定方法である。
【0186】
検定緩衝液(10mM PBS+0.5%BSA+0.1%Tween)中の100μL ABEI標識化抗体(一定量)を、非標識化抗体を補なった血清試料(25μl)に加えた。検定緩衝液(20μl)中の抗原標識化ビーズ(2.8μmサイズの25μgまたは1.0μmサイズの10μg)を加え、この混合物を周囲温度で30分間インキュベーションした。
【0187】
ビーズを、磁気分離により液体から分離し、上澄みを廃棄し、ビーズを洗浄緩衝液(Liaison(登録商標)洗浄/系液)中で同じ方法で洗浄した。
【0188】
スタータ試薬を加え、ABEI(アミノブチルエチルイソルミノール)が発生する一瞬の化学ルミネセンス(RLU)を光電子倍増管を使用して3秒間測定した。
【0189】
実施例12:Kおよび活性抗原の濃度を決定するための抗エストラジオール検定
競合アッセイを、ステロイドを欠くヒト血清中で、エストラジオールコーティングした粒子、ABEI標識化抗エストラジオールmAbおよび非標識化抗エストラジオールmAb(0−1600ng/試験)に対して上記の通りに実施した。
【0190】
結合した抗体の量を測定したRLUから算出し、溶液中の遊離抗体の量を、導入した抗体の総量から結合した量を差し引くことにより算出した。
【0191】
x軸上の 1/遊離Ab に対してy軸上に 1/結合したAb をプロットした図において、抗原の濃度は 1/切片(x=0) であり K=切片/傾き である。インスリン検定を、同様にして行った。結果を、図1〜4に示す。G133は、本発明のものである。
【0192】
本願明細書において開示されかつ請求される組成物および/または方法の全ては、本開示を考慮して過度の実験なしで行うことができ、実行することができる。本発明の組成物および方法が好ましい実施例に関して記載されたが、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、本願明細書において記載されている組成物および/または方法に対して、ならびに方法の段階において、または段階の順序においてバリエーションが適用できることは当業者にとって明らかであろう。より詳しく言えば、化学的に関連がある特定の薬剤が本願明細書において記載されている薬剤と置き換えることができるが、同じであるか類似の結果が成し遂げられるであろうことは明らかである。当業者にとって明らかなすべてのかかる類似の代替物および変更態様は、本発明の範囲および技術思想の範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチブロックビニルポリマーが表面に結合した、ポリマー粒子。
【請求項2】
前記マルチブロックビニルポリマーが、第1のブロックポリマーおよび第2のブロックポリマーを含む複数のブロックポリマーを含み、
前記第1のブロックポリマーが、親水性で電荷を帯びておらず、かつ
前記第2のブロックポリマーが、結合パートナーと共有結合を形成できる1つまたは複数の官能基を含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項3】
前記第2のブロックポリマーが電荷を帯びているかまたは電荷を帯びることができる、請求項2に記載のポリマー粒子。
【請求項4】
第3のブロックポリマーをさらに含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項5】
前記マルチブロックビニルポリマーが、2つのブロックポリマー、3つのブロックポリマー、または4つのブロックポリマーを有する、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項6】
前記マルチブロックビニルポリマーが、2つのブロックポリマーを有する、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項7】
前記第1のブロックポリマーが少なくとも3つの同一のモノマー単位から形成される、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項8】
前記第2のブロックポリマーが少なくとも3つの同一のモノマー単位から形成される、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項9】
前記第1のブロックポリマーが第1のモノマー単位から形成され、前記第2のブロックポリマーが第2のモノマー単位から形成される、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項10】
前記マルチブロックビニルポリマーの各ブロックが、約500ダルトン〜約10,000ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項11】
前記マルチブロックビニルポリマーが、エチレン、スチレン、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、ビニルアズラクトン、ビニルベンジルクロリド、またはこれらの組み合わせのポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項12】
前記マルチブロックビニルポリマーが、メタクリレート、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、N−ヒドロキシスクシンイミドメタクリレート、アクリル酸tertブチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、PEG官能性を有するアクリレート、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸エチル、エチルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、フルオレセインo−アクリレート、2−アクリル酸ヒドロキシプロピル、またはこれらの組み合わせのポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記マルチブロックビニルポリマーがメタクリレートのポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項14】
前記第1のブロックポリマーがスチレンポリマーであり、前記第2のブロックポリマーがメタクリレートポリマーである、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項15】
末端のブロックポリマーが、アミノ、カルボン酸、活性化されたカルボン酸、スクシンイミジルエステル、エステル、酸塩化物、ハロゲン化物、活性化された水酸化物、アルコキシド、トシレート、ブロシレート、メシラート、水酸基、チオール、活性化されたチオール、カーボネート、マレイミドおよびエポキシドからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項16】
磁性物質である、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項17】
超常磁性結晶をさらに含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項18】
多孔性である、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項19】
磁性物質でありかつ多孔性である、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項20】
約0.1μm〜約500μmの直径を有する、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項21】
球形形状であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項22】
実質的に単分散であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項23】
実質的に単分散でありかつ20%未満の変動係数を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項24】
前記マルチブロックビニルポリマーが結合パートナーに結合している、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項25】
前記マルチブロックビニルポリマーが、抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、ホルモン、リンホカイン、代謝産物、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、毒素、毒、糖質、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、糖脂質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸もしくは誘導体化された核酸、DNA、RNA、受容体、ウイルス粒子、細菌、ウイルス成分、細胞、細胞成分、天然の脂質小胞、合成脂質小胞、またはポリマー膜に結合している、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項26】
コーティング層をさらに含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項27】
試料から標的物質を精製する方法であって、
標的物質を含む試料を提供する段階と、
マルチブロックビニルポリマーが表面に結合しているポリマー粒子を提供する段階と、
前記標的物質が前記ポリマー粒子に結合するのに適している条件下で、前記試料と前記ポリマー粒子を接触させる段階と、
前記ポリマー粒子を前記試料から分離する段階と
を含む、方法。
【請求項28】
前記分離段階の後に、前記標的物質を検出する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分離段階の後に、前記標的物質を前記ポリマー粒子から単離する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記標的物質が、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質、糖質、リポタンパク質、糖タンパク質、核酸、DNA、RNA、PNA、アプタマー、ヌクレオシド、ヌクレオチド、多糖、脂質小胞、ウイルス、または細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記標的物質が、サイトカイン、ホルモン、ビタミン、表面受容体、ハプテン、抗原、抗体、酵素、成長因子、組換えタンパク質、または毒素である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記試料が、生物学的発酵培地、細胞溶解物、原核細胞、真核生物細胞、ウイルス粒子の懸濁液、組織、体液、尿、脳脊髄液、血液、リンパ液、間質液、細胞抽出液、粘液、唾液、痰、糞便、および生理的分泌物または細胞分泌物である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記マルチブロックビニルポリマーが、抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、ホルモン、リンホカイン、代謝産物、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、毒素、毒、糖質、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、糖脂質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸もしくは誘導体化された核酸、DNA、RNA、受容体、ウイルス粒子、細菌、ウイルス成分、細胞、細胞成分、天然の脂質小胞、合成脂質小胞、またはポリマー膜に結合している、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−542862(P2009−542862A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518597(P2009−518597)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/072604
【国際公開番号】WO2008/003099
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509004701)
【Fターム(参考)】