マルチユーザ通信システムを保持する送信データを決定する方法及び装置
【課題】通信リソースの利用状態を最大のものとするために、可変レートボコーダの送信レートの変化性、及び何れか他の可変レートデータソースを改良する。
【解決手段】通信資源、例えば基地局2からリモートユーザ4へのフォワードリンク資源あるいは、リモートユーザ4から基地局2へのリバースリンク資源の使用が測定される。測定された使用値は少なくとも1つのあらかじめ定められたしきい値と比較され、通信のデータレートまたは前記通信資源に関する通信のサブセットが、前記比較に応じて変更される。
【解決手段】通信資源、例えば基地局2からリモートユーザ4へのフォワードリンク資源あるいは、リモートユーザ4から基地局2へのリバースリンク資源の使用が測定される。測定された使用値は少なくとも1つのあらかじめ定められたしきい値と比較され、通信のデータレートまたは前記通信資源に関する通信のサブセットが、前記比較に応じて変更される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は通信システムに関するものである。より詳細には、この発明は、マルチユーザ通信システムのユーザとのデータ送信比を制御することによるマルチユーザ通信システムのユーザに対するトータルアベレージサービスクオリティを最大化する、新規及び改善された方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「多重アクセス」という用語は、固定された通信リソース(資源)の複数のユーザによる共有に関するものである。このような固定通信リソースの代表的な例は帯域幅である。これらは通信リソースにアクセスする個々のユーザのスループット若しくはデータレートを増加させるために3つの基本的な方法がある。第1の方法は、送信機の放射電力を増加させ、あるいはシステム損失を減少させて受信した信号の信号雑音比(SNR)を増大するという方法である。第2の方法は、ユーザへの帯域幅の分配もしくは割当て(allocation)を増加させる方法である。第3のアプローチは、通信リソースの分配をより効率的にする方法である。
【0003】
通信リソースへの多重アクセスを提供するためのより一般的な方法は、アナログ及びデジタル通信変調スキームの両者を含んでいる。このようなスキームは、周波数分割、時分割及びスペクトル拡散技術を含んでいる。周波数分割多重アクセス(FDMA)技術に於いて、各々のユーザは少なくとも1つの特定の周波数の副帯域が割り当てられる。時分割多重アクセス(TDMA)技術に於いて、定期的に循環するタイムスロットが確認され、時間の各セグメントのために、ユーザは少なくとも1つのタイムスロットが割り当てられる。スペクトル拡散通信では、ユーザはある共通の周波数帯を共有する。いくつかのTDMAシステムに於いて、ユーザは時間について固定された割り当てが提供され、また他のシステムに於いて、ユーザはランダムな時間でリソースにアクセスすることができる。スペクトル拡散通信では、ユーザは共通の周波数帯を共有する。周波数ホッピング(FH)変調の使用の場合、所定の設計に従って周波数が変化するキャリアで信号が変調される。ダイレクトシーケンス(DS)変調に於いて、ユーザ信号は疑似ランダムコードで変調される。ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調を使用するコード分割多重アクセス(CDMA)技術の1つのタイプに於いて、直交するまたは略直交するスペクトル拡散コード(各々フルチャンネル帯域幅を使用する)が確認され、そして各ユーザが少なくとも1つの特定されたコードが割り当てられる。
【0004】
全ての多重アクセススキームに於いて、複数のユーザは検出プロセスに於いて互いに取り扱いにくい干渉を作ることなく通信リソースを分担する。このような干渉の許容限度は、結果として得られる通信品質が所定の受容可能レベル以上であるような最大の干渉量に定められる。デジタル送信スキームに於いて、上記品質はビットエラー率(BER)またはフレームエラー率(FER)によってしばしば測定される。デジタル音声(speech)通信システムに於いて、全部の音声品質は各々のユーザ用に許可されたデータ率によって、及び上記BERまたはFERによって限定される。
【0005】
システムは、音声クオリティ(品質)の受容可能レベルを提供する一方、音声信号用に要求されたデータレートを最小にするために開発された。音声がアナログ音声信号を単にサンプリングすると共にデジタル化することによって送信されるならば、64キロビット/秒(Kbps)のオーダのデータレートは、従来のアナログ電話のそれと同等の音声クオリティを達成するために要求される。しかしながら、音声分折の使用を経て、適切な符号化、送信、及び受信機での再構成に従い、上記データレートに於ける大幅な縮小がクオリティの最小の減少で達成することができる。
【0006】
人の音声発生のモデルに関するパラメータを抽出することによって音声を圧縮するための技術を使用するデバイスは、通常ボコーダと称される。このようなデバイスは、関連したパラメータを抽出するために入力される音声を分析するエンコーダ、及び送信チャンネルに渡って上記エンコーダから受信された上記パラメータを使用して上記音声を再構成するデコーダで構成される。上記音声が変化すると、新規のモデルパラメータが決定され、上記通信チャンネルに渡って送信される。上記音声は、通常時間のブロック乃至分析フレームにセグメントされ、その間上記パラメータが計算される。上記パラメータは各新規のフレームのために更新される。
【0007】
送られるべき必要性のある情報の縮小に於ける結果が生じるように、データ圧縮を達成するためのより詳細な技術は、可変レートボコーディング(音声符号化)を実行するためのものである。可変レートボコーディングの例は、この発明の譲受人に譲渡されると共にここに参照されることにより組入れ(合同)される“Variable Rate Vocoder”と称された1991年6月11日に出願された米国出願第07/413,661号の継続である米国特許第5,414,796号に詳述されている。音声は無音の期間、すなわちポーズを固有に含んでいるので、これらの期間を表すために要求されたデータの量は縮小することができる。可変可能なレートボコーディングは、これらの無音期間のためのデータレートを縮小することによってこの要因を最も効果的に利用している。データ送信に於いて完全な休止に対抗するように、無音の期間のための上記データレートの縮小は、送信された情報の縮小を容易にする一方、ボイスアクティビティゲーティングに関連した問題に打ち勝ち、それ故多重アクセス通信システムの全体に渡る干渉を縮小する。
【0008】
この発明の目的は、通信リソースの利用状態を最大のものとするために、可変レートボコーダの送信レートの変化性、及び何れか他の可変レートデータソースを改良することである。
【特許文献1】米国特許第5,414,796号
【特許文献2】米国特許第5,103,459号
【特許文献3】米国特許出願第07/846,312号
【特許文献4】米国特許第5,056,109号
【発明の概要】
【0009】
この発明は、マルチユーザ通信システムのユーザとのデータ送信比を制御することによるマルチユーザ通信システムのユーザに対するトータルアベレージサービスクオリティを最大化する、新規及び改善された方法及び装置である。
【0010】
この発明に於いて、使用可能な通信リソースの使用量(usage)がモニタされる。上記使用可能な通信リソースの使用量が所定の通信リンクに関して大きすぎ、それ故クオリティは所定のリミット以下に落ちると、上記利用可能な通信リソースの一部を解放するためにユーザとのデータレートは制限される。上記通信リソースの使用量が少なくなると、上記ユーザとのデータレートは上述したリミットを超えて上昇することが許可される。
【0011】
例えば、リモートユーザからメイン通信センターへの通信リンク(以降「上りリンク(reverse link)」という)がオーバーロードになると、上記メイン通信センターは上記ユーザあるいはユーザのうち選択されたユーザにそれらのアベレージ送信データレートを減少するように要求する信号メッセージを送信する。リモートユーザエンドで、上記信号メッセージを受信すると、上記リモートユーザの送信レートは上記信号メッセージに従って低くなる。
【0012】
上記例に於いて、上記リモートユーザは、音声データまたは他のデジタルデータを送信することができる。上記ユーザが音声データを送信すると、その送信データレートは上述した米国特許第5,414,796号のように、可変レートボコーダを使用して調整することができる。この発明は、上記リモートユーザが音声データを送信する場合における如何なる可変レートボコーディング方法にも同様に適用可能なものである。上記ユーザが音声データではないデジタルデータを送信すると、システムは上記リモートユーザに対しその特定のデジタルデータソースのために送信データレートに変更することを指示してもよい。
【0013】
上記メイン通信センターとリモートユーザとの間の通信リンク(以降「下りリンク(forward link)」という)にて、上記メイン通信センターは上記リモートユーザと通信するために使用されるその合計リソース容量の割合(fraction)をモニタする。使用される通信リソースの割合が極めて大きいと、上記メイン通信センターはユーザのサブ・セットまたは各ユーザに許可されたアベレージ送信データレートを減少させる。使用された上記通信リソースの割合が極めて小さいと、上記メイン通信センターは各ユーザのアベレージデータレートが増大することを許容する。上りリンクに於けるように、上記データレートの制御は上記リモートユーザに送信された(音声または非音声)データの種類に基いて現実に選択的とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この発明の特徴、目的及び利益は、隅々まで相応して確認される参照番号等に於いて図面と関連して得られるとき、以下に示される詳細な説明からより明らかになろう。
【図1】メイン通信センター(セル基地局(base station))をアクセスする多重リモート(モービル)ユーザを示したブロック線図。
【図2】リモート(モービル)ユーザでのデータ応答の多重セル(多重メイン通信センター)環境での影響の概略を示したブロック線図。
【図3】特定のアベレージ送信データレートでのアベレージサービスクオリティとユーザ数の関係を表したグラフ。
【図4】3つの異なったアベレージ送信データレートの、アベレージサービスクオリティとユーザ数との関係を表したグラフ。
【図5】システムモニタと制御動作のフローチャート。
【図6】下りリンク通信の通信リソース円グラフ(pie chart)。
【図7】上りリンク通信の通信リソース円グラフ。
【図8】リソース使用の異なった割合に応じて取られる動作を示す通信リソース円グラフ。
【図9】この発明の制御機構によってデータレートが減少される状態を示す通信リソース円グラフ。
【図10】上述した通信リソースのデータレートを減少した結果を示す通信リソース円グラフ。
【図11】メイン通信センターに配置された上りリンク通信を制御するためのモニタ及び制御システムのブロック線図。
【図12】上記リモートユーザに配置された上りリンク通信を制御するためのモニタ及び制御システムのブロック線図。
【図13】下りリンクモニタ及び制御装置のブロック線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、リモートユーザ4とメイン送信センター2間の多重ユーザ通信システム通信を示した図である。典型的な実施例に於いて、これらの通信はコード分割多重アクセス(CDMA)多重ユーザスキームによって行われるもので、それはこの発明の譲受人に譲渡されると共にここに参照されることにより合同された、“Spread Spectrum Multiple Access Communication System Using Satellite of Terrestrial Repeaters(CDMA)”と称された米国特許第4,901,307号、及び“System and Method for Generating Signal Waveform in a CDMA Cellular Telephone System(CDMA)”と称された米国特許第5,103,459号に詳述されている。上記リモートユーザからメイン送信センターへの通信は、上りリンク通信と称する。リモートユーザ4からセル基地局2への通信を可能にするリンクを上りリンクと称する。CDMAシステムに於いて、システムユーザ容量は上記システムの干渉のレベルの関数である。
【0016】
図2は、増加する容量及び干渉を低減するために上記データレートの制御の必要性に帰着する2つの主な問題点を示した図である。CDMA多重セルセルラー通信ネットワークの典型的な実施例に於いて、下りリンク通信のメイン容量限界は、モービルステーション10または単一リモートユーザ及びセル基地局12から描かれた伝播ラインにより示されたような隣接したセルからの干渉である。この実施例に於ける下りリンク容量の第2の影響は、単一セル基地局からモービルステーション10への第2の伝播路によって示される。多重路(マルチパス)として知られる、この影響の原因は、ビル、山、などの電磁波を反射し得る物体という形態とる障害物16からの反射である。
【0017】
典型的な実施例に於いて、干渉はリモートユーザと通信しない基地局12からのリモートユーザ10によって受信され、干渉は障害物16からのマルチパス信号により受信される。典型的な実施例に於いて、セルのグループの動作は、公衆電話スイッチングネットワーク(図示せず)とのデータを提供するシステムコントローラ14によって管理される。これらの通信は、下り(フォワード)リンク通信と称される。
【0018】
時分割多重アクセス(TDMA)及び周波数分割多重アクセス(FDMA)等のシステムに於いて、“ハード”の容量限界はそれぞれタイムスロットまたは周波数副帯域分割の数が有限であるために存在する。上記タイムスロットまたは副帯域の全てがユーザに割り当てられると、上記“ハード”容量限界に到達し、新たに接続するユーザに対するサービスが不可能となる。容量限界に達する以前にシステムにアクセスしたユーザは、この除外されたユーザによる影響を受けずにいるが、新たに接続しようとしてサービスを拒絶されたユーザそれぞれについてのサービスクオリティは零であるので、ユーザ全体に対するアベレージサービスクオリティは容量限界を超えて低下する。
【0019】
ALOHA及びスロット化ALOHAシステム等のランダムアクセスシステム、及びコード分割多重アクセス(CDMA)のような多重アクセススキームに於いて、「ソフト」容量限界が存在する。これらのタイプの多重アクセスシステムにおいて、容量限界を越えたシステムユーザの数の増加が、上記システムの全てのユーザに対するサービスのクオリティの減少の原因となる。CDMAシステムに於いて、各ユーザの送信は、他のそれぞれのユーザに対する干渉、すなわちノイズとして現れる。CDMAシステムのソフト容量限界を越えると、所定の許容範囲のBERまたはFERを超えるに十分なほどノイズフロアは大きくなる。ランダムアクセススキームに於いて、各ユーザの追加接続はメッセージ衝突の可能性を増大させる。容量限界を越えると、結果的な損失データまたは再送信の必要性のために全てのユーザの通信クオリティが悪化するほど、上記メッセージ衝突が頻繁に起こる。
【0020】
図3は、全てのユーザについて特定されアベレージデータレートであると仮
定した場合の、このような多重アクセス通信システムのユーザに対するアベレージクオリティと上記システムを使用しているユーザ数との関係を表すグラフである。上記サービアベレージクオリティ(Qave)は、以下のように定められる。
【数1】
【0021】
また、図3には、クオリティラインが示され、このラインより上のアベレージサービスクオリティが満足すべきものであり、このラインより下のサービスクオリティは満足なものである。上記クオリティラインとクオリティ対ユーザ数曲線の数との交差部分が、上記システムの当該データレートでのシステムの容量限界を示す。CDMAシステムの典型的な実施例に於いて、メッセージは20msフレームで送信され、1%のかなり良い許容可能なフレームエラー率が典型的な実施例のクオリティラインの位置を表示している。異なったフレームサイズ及びエラーレートがこの発明に同等に適用可能であることが理解される。
【0022】
図4は、3つの徐々に減少するアベレージデータレートを示す3本のアベレージサービスクオリティ対ユーザ数曲線20,22,24を表した図である。曲線(plot)20は高いアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当し、曲線22は中間のアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当し、曲線24は低いアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当している。
【0023】
上記曲線の第1の重大な特徴は、上記曲線と縦軸との交点は、リンクデータレートが低くなるにつれて段々低くなることである。容量限界以下で、許容可能なデータレートが高いほどクオリティは高くなり、高いデータレートが可変レート音声コーダにおけるパラメータのより正確な量子化を可能にし、綺麗な響きの音声になる。
【0024】
上記曲線の第2の重大な特徴は、上記クオリティラインと3つの曲線との交差部分である。クオリティラインと曲線20,22及び24の各々との交差部分は、曲線20,22及び24のそれぞれのデータレートでの上記システムの容量限界を示す。「CAP A」、「CAP B」及び「CAP C」と記されたシステム容量は、曲線20,22及び24の各々のデータレートでのシステムにアクセス可能なユーザ数である。与えられたデータレートでの容量限界は、図示されるように、ユーザ数を表している水平軸に対して、曲線とクオリティラインとの交差部分から、垂線を下すことによって得られる。上記システムの容量は、データレートが減少するにつれて一定のクオリティレベルのもとで増加する。
【0025】
図5は、上記システムの送信のデータレートを制御することによるアベレージクオリティを最大化する方法を示したフローチャートである。ブロック30においては、使用される通信リソースの量は、与えられたリンク上でシステムにアクセスするユーザ数及び各ユーザにより送信されるデータレートに基いて決定される。ブロック30にて計算された使用量の値は、ブロック32に供給される。ブロック32にて、上記使用量の値は、低い閾値と比較される。上記使用量の値が上記低い閾値よりも下であればブロック34に進み、リンクが所定のデータレート最大値で動作しているかが判定される。上記システムが所定のデータレート最大値で動作するならばブロック38に進み、何の動作も行われない。上記システムが上記所定のデータレート最大値より低い値で動作していれば、ブロック36に進みリンクデータレートが増加される。
【0026】
上記ブロック32にて、上記リンク使用量の値が低過ぎないと判定されたならば、ブロック40に進んで上記使用量の値が高い閾値と比較される。ブロック40にて、リンク使用量の値が高い閾値より低いと判定されたならば、ブロック41に進んで何の動作も行われない。これに対し、ブロック40にてリンク使用量が高い閾値を越えるとブロック42に進む。ブロック42に於いて、システムデータレートは所定の最小値と比較される。上記システムデータレートが所定の最小値より大きいならば、ブロック44に進んでリンクデータレートが減少される。
【0027】
上記ブロック42に於いて、リンクデータレートが上記最小値リンクデータレートに等しいと判定されたならば、ブロック46に進む。ブロック46では、上記システムにて上記使用量値と所定の使用量最大値と比較される。ここで、通信リソースが使い尽くされている、すなわち上記使用量値が所定の最大値に等しくなると、ブロック48に進んで、新たに接続しようとするユーザによるアクセスがブロックされる。上記使用量値が所定の使用量最大値より低ければ、ブロック50に進んで、何の処理も行われない。
【0028】
TDMAシステムに於いて、データレートは、複数の割り当てられたタイムスロットに任意のユーザのデータを広げるか、複数のユーザのデータを割り当てられたタイムスロットの選択されたものと組合わせることによって変更することができる。別の実施形態に於いて、可変データレートは、異なったユーザに長さを変えてタイムスロットを割り当てることによってTDMAシステムに於いて達成することができる。同様に、FDMAシステムに於いて、データレートは、複数の割り当てられた周波数副帯域に任意のユーザのデータを広げるか、割り当てられた周波数副帯域のうち選択されたものと複数のユーザのデータを組合わせることによって変更することができる。別の実施形態に於いて、FDMAシステムの可変データレートは、異なったユーザに対する変化する周波数副帯域サイズを割り当てることによって達成することができる。
【0029】
ランダムアクセスシステムに於いて、上記メッセージ衝突の可能性は各ユーザが送らなければならない情報量に比例する。それ故、上記データレートは、可変サイズのデータのパケットを送ることによって、または送信の間隔を変化させてパケットを送ることによって、直接的に調整することができる。
【0030】
CDMAシステムを使用する典型的な実施例に於いて、音声の送信に必要なデータの量は、上述した米国特許第5,414,796号述べられているように、可変レートボコーダの使用によって調整される。典型的な実施例の可変レートボコーダは、フルレート、1/2レート、1/4レート及び1/8レートに相当する8Kps、4Kps、2Kps及び1Kpsでデータを提供するが、本質的に何れか最大のアベレージデータレートはデータレートを組合わせることによって達成することができる。例えば、7Kpsの最大アベレージレートはボコーダを連続的なフルレートフレーム4つ毎にハーフレートにならしめることによって達成することができる。典型的な実施例に於いて、上記の可変サイズの音声データパケットはセグメントされ、セグメントは、この発明の譲受人によって譲渡されると共にこれを参照して合同される“Data Burst Randomizer”と称された米国特許出願第07/846,312号に詳述されるように、ランダム化された時間で提供される。
【0031】
通信リソース容量の問題を見る有効な方法は、円グラフとして有効な通信リソースを見ることであり、ここでパイ全体は上記通信リソースの完全な使用を表している。この表示に於いて、円グラフのセクタは、ユーザ、システム、オーバーヘッド及び未使用のリソースに割り当てられたリソースの割合を表している。
【0032】
TDMAまたはFDMAシステムに於いて、上記円グラフの全体は、所定の割り当て方法における周波数副帯域または利用可能なタイムスロットの数を表しても良い。ランダムアクセスシステムに於いて、上記円グラフ全体は、送信リンクを受け入れできなくなる程メッセージ衝突が大きくなる以前において容認可能なメッセージレートを表しても良い。CDMAシステムの典型的な実施例に於いて、円グラフ全体は最大の耐ノイズフロアを示し、そこでは全ての他のユーザからの信号及びオーバーヘッドがリモートユーザとのメッセージデータの応答に於けるノイズとして現れる。何れかのシステムに於いて、図3に示されるように、リソースパイの全体は、クオリティラインとアベレージクオリティ対ユーザ曲線の交点を表している。
【0033】
図6は、一般的な下りリンク容量円グラフの例を表している。オーバーヘッド(OVERHEAD)と名付けられたリソースパイの第1のセクタは、メッセージ情報を運ばない送信信号の一部を表している。上記パイのオーバーヘッド割合はメッセージ無しユーザ特定データ無しのデータの送信を表しており、典型的な実施例に於いては、通信リソースの固定された割合であるが、他のシステムではこのオーバーヘッドはユーザの数または他の要因で変化し得る。上記オーバーヘッドは、基地局確認情報、タイミング情報及び基地局セットアップ情報を含んでも良い。上記オーバーヘッドは、上記通信リソースのパイロットチャンネルによる使用をも含んでも良い。パイロットチャンネルの例は、この発明の譲受人により譲渡されると共に参照されることにより合同される“System and Method for Generating Signal Waveforms in a CDMA Cellular Telephone System(CDMA)”と称される米国特許第5,103,459号に詳述されている。以下のセクタ番号1〜20の各々は、特定のユーザに向けられたメッセージ情報を表しており、ここで上記ユーザは1〜20と記される。右回りに移動して、パイの最後のセクタは、Bと記される。Bと記されたセクタは、受け入れできないリンクによる悪化を生じる前の利用可能な通信リソースの残存する割合を表している。
【0034】
図7は、上りリンク通信に関するリソース円グラフである。この円グラフは、上記リモートユーザからの基地局またはメイン送信センターで受信された情報を表している。この円グラフと上述した円グラフとの重大な差は、上りリンクに於けるものであり、固定されないオーバーヘッドリソースである。好ましい実施例に於いて、各ユーザは全てのユーザに対するサービスのクオリティを最大にするために、通信リソースの同じ割合で使用することも注意されるべきである。全てのユーザの状態を維持する方法及び装置は、この発明の譲受人により譲渡されると共にここに参照されて合同される“Method and Apparatus for Controlling Transmission Power in a CDMA Cellular Telephone System”と称された米国特許第5,056,109号に詳述されている。このアプローチに於いて、各リモートユーザは、全て他のリモートユーザとして基地局で受信されるようなパワーレベルで送信する。好ましくは、各リモートユーザは、基地局でクオリティ通信リンクを保証するために必要な最小パワーレベルで送信する。
【0035】
図8は、上記リソース円グラフに続くべく作用を表す作用円グラフである。3つのポイントは図7の円グラフに記されたもので、これらはインクリーズレート(INCREASE RATE)と記されたポイント、デクリーズレート(DECREASE RATE)と記されたポイント及びブロックアディショナルユーザ(BLOCK ADDITIONAL USERS)と記されたポイントである。リソースパイの与えられたリンク用の割合がデクリーズレートと記されたポイントを越えたならば、そのリンクの送信レートは上記ユーザに対するサービスのクオリティを改善するために減少するべきである。例えば、図4の曲線20に相当するデータレートが全てのユーザによって送信されると共にユーザの数がキャップ(CAP A)より大きくなると、上記データレートは減少され、そしてシステムは図4の曲線22上で動作される。与えられたリンク用のパイリソースの割合がインクリーズレートと記されたポイント以下に落ちたならば、そのリンクの送信レートは上記ユーザに対するサービスのクオリティを改善するために増加されるべきである。例えば、図4の曲線22に相当するデータレートが全てのユーザによって送信されると共にユーザの数がキャップA以下に落ちたならば、上記システムは図4の曲線20上で動作される。上記パイがブロックアディショナルユーザと記されたポイントに達したならば、何れかの付加的なユーザがシステムにアクセスすることは妨げられる。上記システムが、ブロックアディショナルユーザポイントに達するには、そのレートが更に増加することはできないことを意味するデクリーズレートポイントを通過する以外に道はない、という点に注意すべきである。
【0036】
図9及び図10は、リソース割り当てに対する送信レートの減少による結果を示した図である。図8に於いて、ユーザ20の付加によって、リソース割り当ては減少されるべき送信レートでのポイントを超える。このポイントにて、上記送信レートは減少され、同じユーザのためのリソースパイが図9のように見られる。Bと記されたリソースパイの使用しない部分が通信リソースをアクセスするために付加的なユーザを許可するのに充分大きいことに注目する。故に、付加的なユーザは、上記システムが送信レートを再び減少させることを要求するまで、上記通信システムをアクセスすることが可能である。このプロセスは、上記レートが最小になるまで継続される。このことが生じると、上記システムは上記パイが完全に満たされることを許容し、何れの新規のユーザもシステムにアクセスすることができなくなる。
【0037】
これに対して、上記通信リソースからユーザが抜けた場合、上記通信リソースの使用されている割合は上記インクリーズレート以下に減少し、上記システムは送信レートを増加させる。これは、送信レートが最大レートに増加するまで、若しくは通信リソースをアクセスするものがいなくなるまで継続される。
【0038】
図11は、上記メイン通信センターでの上りリンク通信リソース使用量のモニタ及び制御のブロック線図を示したものであり、セル基地局及びシステムコントローラを含んでも良い。
【0039】
リモートユーザからの信号は受信アンテナ60で受信される。受信された信号は、エネルギ−計算素子66及びデモジュレータ(復調器)64へアナログまたはデジタル形態にデータを提供する受信機62に供給される。エネルギ−計算素子66で計算されたエネルギ−値は、受信された信号エネルギ−と一連の閾値を比較するレートコントロールロジック68に供給される。この比較に応じて、レートコントロールロジック68は信号エネルギ−が上方の閾値を越えるか、または下方の閾値以下になった場合に、マイクロプロセッサ70にレートコントロール信号を供給する。他の実施例に於いて、レートコントロールロジック68は、その状態か否か等、通信チャンネルの性能に影響を及ぼしうる外的要因に反応することもできる。
【0040】
受信機62からの受信信号は、デモジュレータ64に供給されて復調され、特定のユーザのためのデータが抽出され、相応するマイクロプロセッサ70に供給される。この発明の譲受人によって譲渡されると共にこれを参照して合同される“Method and System for Providing a Soft Handoff in Communication in a CDMA Cellular Telephone System”と称された米国特許第5,056,109号に詳述されるように、典型的な実施例に於いて、受信データはシステムコントローラ14内のセレクタカード(図示せず)にマイクロプロセッサ70によって供給され、複数のメイン通信センター(セル)からの受信データから最良の受信データを選択し、その各々は受信機62とデモジュレータ64とを有しており、ボコーダ(図示せず)を使用して上記最良の受信データをデコードする。再構成された音声は、公衆電話スイッチングネットワーク(図示せず)に供給される。
【0041】
加えて、マイクロプロセッサ70はデータインターフェースを介してボコーダ(図示せず)からの下りリンク送信のデータを受信する。マイクロプロセッサ70は、上りリンクレートコントロール信号と下りリンクデータとを合成して、モジュレータ72に合成データパケットを提供する。好ましい実施例に於いて、マイクロプロセッサ70は、上記上りリンクレートコントロール信号と出力下りリンクデータとが選択的に組合わされる。好ましい実施例に於いては、マイクロプロセッサ70は、上記上りリンクレートコントロール信号が上記出力下りリンクデータと組合わされないという主要な状態を表示する信号に応答される。別の実施例に於いて、上記マイクロプロセッサ70のうち幾つかは、上りリンクレートコントロール信号に応答しない。モジュレータ72は、データパケットを変調して加算機74に変調した信号を供給する。加算機74は変調されたデータを加算し、それを増幅して送信アンテナ78に供給する送信機76に供給する。
【0042】
図12は、図1のメイン送信センター2による典型的な実施例に於いて提供されたレートコントロール信号に応答するためのこの発明のリモートユーザ装置のブロック線図を示したものである。受信路上で、複合化された音声データ及び/または信号化されたデータで構成される信号はアンテナ90で受信され、アンテナ90はデュプレクサ92によって上記送信アンテナとしても機能する。受信された信号は、デュプレクサ92を介してデュモジュレータ96に出力される。上記信号は復調されてマイクロプロセッサ98に供給される。マイクロプロセッサ98は上記信号をデコードして音声データを出力し、何れかのレートコントロールデータが可変レートボコーダ100に対して基地局によって送られる。可変レートボコーダ100は、マイクロプロセッサ98から供給された音声データのエンコードされたパケットをデコードして、デコードされた音声データをコーデック102に供給する。コーデック102は、デジタル音声信号をアナログ形態に変換して、再生するためのスピーカ106にアナログ信号を供給する。
【0043】
リモートユーザの伝送路上において、音声信号はマイクロホン106を介してコーデック102に供給される。コーデック102は音声信号のデジタル形式に変換して可変レートボコーダ100に供給し、可変レートボコーダ100は、この例においては、音声アクティビティおよび受信したレート信号に従って決定されたレートで該音声信号をエンコードする。このエンコードされた音声データは次にマイクロプロセッサ98に供給される。
【0044】
典型的な実施例に於いて、上記レートコントロール信号は最大データレートを増加若しくは減少するために上記リモートユーザに表示する2値化信号である。上記データレートのこの調整はディスクリートレベルにおいて実行される。典型的な実施例に於いて、リモートユーザは上記セル基地局からのレートコントロール信号を受取り次第、その最大送信レートを1000bps増加または減少させる。実際には、上記ボコーダでは標準の二方向転換に於ける時間の最大レートの40〜50%で上記音声が単にエンコードされるので、全体のアベレージデータレートとしては4000乃至500bps減少する。この典型的な実施例に於いて、ワード間の無音は常により低いデータレートでエンコードされる。
【0045】
例えば、リモートユーザがフルレート若しくはレート1(8Kbps)の最大送信データレートで現在動作しているとすると、データの連続的なフルレートフレームのうち4つ毎のフレームをハーフレート(4Kbps)でエンコードすることによって、最大データレートは7/8(7Kbps)に減少される。これに対し、上記リモートユーザが最大送信レートの3/4(6Kbps)のセル基地局の制御下で動作をおこなっていて、セル基地局はリモートユーザにその最大データレートを増加するように信号を送り、次にリモートユーザは最大送信データレートとしてレート7/8(7Kbps)を使用する。簡易化した実施例に於いて、上記レートは可変レートボコーダ100によって供給されたディスクリートレートの1つ(すなわち、レート1、1/2、1/4及び1/8)に限定してもよい。
【0046】
また、マイクロプロセッサ98は、信号化データまたは基地局に対して通信が必要なファクシミリ、モデム、或いは他のデジタルデータ等の2次データを含むことのできる非音声データを受信する。リモートユーザにより送信されるデジタルデータが可変レート送信(すなわち幾つかのファクシミリまたはモデムデータ)の助けにならない形態のものであれば、マイクロプロセッサ98はレートコントロール信号に応じて送信レートを変化させるか否かをリモートユーザのサービスオプションに基いて決定することができる。
【0047】
モジュレータ108は上記データ信号を変調して送信機110に変調した信号を供給するもので、その信号は増幅されてデュプレクサ92を介してアンテナ92に供給され、上記基地局へ向けて空中へ送信される。また、リモートユーザは上りリンク通信リソースをモニタすると共に、その送信レートを調整するためにオープンループ法において応答することが可能となることも、本発明において想定されるところである。
【0048】
図13は、典型的な下りリンクレートコントロール装置のブロック線図を示したものである。音声データはボコーダ120に供給されて、ここで可変レートでエンコードされる。この発明に於いて、上記音声データのエンコードレートは音声アクティビティ及び、存在する場合には、レートコントロール信号に従って決定される。エンコードされた音声はマイクロプロセッサ122に供給され、マイクロプロセッサ122は外部ソース(図示せず)からの非音声データを受信しても良い。この非音声データは、信号化データまたは2次データ(ファクシミリ、モデム、或いは送信用の他のデジタルデータ)を含んでも良い。マイクロプロセッサ122はデータパケットをモジュレータ124に供給し、ここでデータパケットが変調されて加算機126に供給される。加算機126はモジュレータ124からの変調されたデータを加算して和信号を送信機128に供給する。ここで、上記信号はキャリア信号と合成され、増幅されて送信用のアンテナ130に供給される。
【0049】
また、加算機126からの加算された変調信号は、エネルギ−計算ユニット132にも供給される。エネルギ−計算ユニット132は固定された時間の間加算機126からの信号のエネルギ−を計算し、レートコントロールロジック134にこのエネルギ−評価を供給する。レートコントロールロジック134は連続した閾値と上記エネルギ−評価を比較し、これらの比較に従ってレートコントロール信号を供給する。上記レートコントロール信号は、マイクロプロセッサ122に供給される。マイクロプロセッサ122は、音声データの最大データレートの制御のためにレートコントロール信号をボコーダ120に供給する。随意に、マイクロプロセッサ122は、非音声データソース(図示せず)のデータレートを制御するために上記レートコントロール信号を使用することもできる。上記レートコントロール信号はマイクロプロセッサ122に選択的に供給されてもよいし、若しくは全体的に供給されたレートコントロール信号に応答することのできるマイクロプロセッサ122を選択してもよい。
【0050】
以上のように本発明は課題を解決することができた。また、上述した下り(フォワード)リンク上の制御のオープンループ形態はクローズトループに於いても動作可能であり、それは高いフレームエラーレートまたは他の計測可能な量のような、到達される容量限界のリモートステーションを表示する信号に応答することができる。レートコントロールロジック134は、通信チャンネルの性能にも影響を及ぼしうる種々のものの外部干渉に応答することができる。
【0051】
好ましい実施例の上述した説明はこの発明を使用または作成するために当業者により可能に提供される。これらの実施例の種々の変形が当業者により容易に明らかにされるものであり、ここに限定される一般的な原則は発明的才能を使用することなく他の実施例に応用し得る。故に、この発明はここに示される実施例に限定されるべきものではなく、ここに開示された原則及び新規特徴に矛盾のない広い範囲に許容されるべきである。
【技術分野】
【0001】
この発明は通信システムに関するものである。より詳細には、この発明は、マルチユーザ通信システムのユーザとのデータ送信比を制御することによるマルチユーザ通信システムのユーザに対するトータルアベレージサービスクオリティを最大化する、新規及び改善された方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「多重アクセス」という用語は、固定された通信リソース(資源)の複数のユーザによる共有に関するものである。このような固定通信リソースの代表的な例は帯域幅である。これらは通信リソースにアクセスする個々のユーザのスループット若しくはデータレートを増加させるために3つの基本的な方法がある。第1の方法は、送信機の放射電力を増加させ、あるいはシステム損失を減少させて受信した信号の信号雑音比(SNR)を増大するという方法である。第2の方法は、ユーザへの帯域幅の分配もしくは割当て(allocation)を増加させる方法である。第3のアプローチは、通信リソースの分配をより効率的にする方法である。
【0003】
通信リソースへの多重アクセスを提供するためのより一般的な方法は、アナログ及びデジタル通信変調スキームの両者を含んでいる。このようなスキームは、周波数分割、時分割及びスペクトル拡散技術を含んでいる。周波数分割多重アクセス(FDMA)技術に於いて、各々のユーザは少なくとも1つの特定の周波数の副帯域が割り当てられる。時分割多重アクセス(TDMA)技術に於いて、定期的に循環するタイムスロットが確認され、時間の各セグメントのために、ユーザは少なくとも1つのタイムスロットが割り当てられる。スペクトル拡散通信では、ユーザはある共通の周波数帯を共有する。いくつかのTDMAシステムに於いて、ユーザは時間について固定された割り当てが提供され、また他のシステムに於いて、ユーザはランダムな時間でリソースにアクセスすることができる。スペクトル拡散通信では、ユーザは共通の周波数帯を共有する。周波数ホッピング(FH)変調の使用の場合、所定の設計に従って周波数が変化するキャリアで信号が変調される。ダイレクトシーケンス(DS)変調に於いて、ユーザ信号は疑似ランダムコードで変調される。ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調を使用するコード分割多重アクセス(CDMA)技術の1つのタイプに於いて、直交するまたは略直交するスペクトル拡散コード(各々フルチャンネル帯域幅を使用する)が確認され、そして各ユーザが少なくとも1つの特定されたコードが割り当てられる。
【0004】
全ての多重アクセススキームに於いて、複数のユーザは検出プロセスに於いて互いに取り扱いにくい干渉を作ることなく通信リソースを分担する。このような干渉の許容限度は、結果として得られる通信品質が所定の受容可能レベル以上であるような最大の干渉量に定められる。デジタル送信スキームに於いて、上記品質はビットエラー率(BER)またはフレームエラー率(FER)によってしばしば測定される。デジタル音声(speech)通信システムに於いて、全部の音声品質は各々のユーザ用に許可されたデータ率によって、及び上記BERまたはFERによって限定される。
【0005】
システムは、音声クオリティ(品質)の受容可能レベルを提供する一方、音声信号用に要求されたデータレートを最小にするために開発された。音声がアナログ音声信号を単にサンプリングすると共にデジタル化することによって送信されるならば、64キロビット/秒(Kbps)のオーダのデータレートは、従来のアナログ電話のそれと同等の音声クオリティを達成するために要求される。しかしながら、音声分折の使用を経て、適切な符号化、送信、及び受信機での再構成に従い、上記データレートに於ける大幅な縮小がクオリティの最小の減少で達成することができる。
【0006】
人の音声発生のモデルに関するパラメータを抽出することによって音声を圧縮するための技術を使用するデバイスは、通常ボコーダと称される。このようなデバイスは、関連したパラメータを抽出するために入力される音声を分析するエンコーダ、及び送信チャンネルに渡って上記エンコーダから受信された上記パラメータを使用して上記音声を再構成するデコーダで構成される。上記音声が変化すると、新規のモデルパラメータが決定され、上記通信チャンネルに渡って送信される。上記音声は、通常時間のブロック乃至分析フレームにセグメントされ、その間上記パラメータが計算される。上記パラメータは各新規のフレームのために更新される。
【0007】
送られるべき必要性のある情報の縮小に於ける結果が生じるように、データ圧縮を達成するためのより詳細な技術は、可変レートボコーディング(音声符号化)を実行するためのものである。可変レートボコーディングの例は、この発明の譲受人に譲渡されると共にここに参照されることにより組入れ(合同)される“Variable Rate Vocoder”と称された1991年6月11日に出願された米国出願第07/413,661号の継続である米国特許第5,414,796号に詳述されている。音声は無音の期間、すなわちポーズを固有に含んでいるので、これらの期間を表すために要求されたデータの量は縮小することができる。可変可能なレートボコーディングは、これらの無音期間のためのデータレートを縮小することによってこの要因を最も効果的に利用している。データ送信に於いて完全な休止に対抗するように、無音の期間のための上記データレートの縮小は、送信された情報の縮小を容易にする一方、ボイスアクティビティゲーティングに関連した問題に打ち勝ち、それ故多重アクセス通信システムの全体に渡る干渉を縮小する。
【0008】
この発明の目的は、通信リソースの利用状態を最大のものとするために、可変レートボコーダの送信レートの変化性、及び何れか他の可変レートデータソースを改良することである。
【特許文献1】米国特許第5,414,796号
【特許文献2】米国特許第5,103,459号
【特許文献3】米国特許出願第07/846,312号
【特許文献4】米国特許第5,056,109号
【発明の概要】
【0009】
この発明は、マルチユーザ通信システムのユーザとのデータ送信比を制御することによるマルチユーザ通信システムのユーザに対するトータルアベレージサービスクオリティを最大化する、新規及び改善された方法及び装置である。
【0010】
この発明に於いて、使用可能な通信リソースの使用量(usage)がモニタされる。上記使用可能な通信リソースの使用量が所定の通信リンクに関して大きすぎ、それ故クオリティは所定のリミット以下に落ちると、上記利用可能な通信リソースの一部を解放するためにユーザとのデータレートは制限される。上記通信リソースの使用量が少なくなると、上記ユーザとのデータレートは上述したリミットを超えて上昇することが許可される。
【0011】
例えば、リモートユーザからメイン通信センターへの通信リンク(以降「上りリンク(reverse link)」という)がオーバーロードになると、上記メイン通信センターは上記ユーザあるいはユーザのうち選択されたユーザにそれらのアベレージ送信データレートを減少するように要求する信号メッセージを送信する。リモートユーザエンドで、上記信号メッセージを受信すると、上記リモートユーザの送信レートは上記信号メッセージに従って低くなる。
【0012】
上記例に於いて、上記リモートユーザは、音声データまたは他のデジタルデータを送信することができる。上記ユーザが音声データを送信すると、その送信データレートは上述した米国特許第5,414,796号のように、可変レートボコーダを使用して調整することができる。この発明は、上記リモートユーザが音声データを送信する場合における如何なる可変レートボコーディング方法にも同様に適用可能なものである。上記ユーザが音声データではないデジタルデータを送信すると、システムは上記リモートユーザに対しその特定のデジタルデータソースのために送信データレートに変更することを指示してもよい。
【0013】
上記メイン通信センターとリモートユーザとの間の通信リンク(以降「下りリンク(forward link)」という)にて、上記メイン通信センターは上記リモートユーザと通信するために使用されるその合計リソース容量の割合(fraction)をモニタする。使用される通信リソースの割合が極めて大きいと、上記メイン通信センターはユーザのサブ・セットまたは各ユーザに許可されたアベレージ送信データレートを減少させる。使用された上記通信リソースの割合が極めて小さいと、上記メイン通信センターは各ユーザのアベレージデータレートが増大することを許容する。上りリンクに於けるように、上記データレートの制御は上記リモートユーザに送信された(音声または非音声)データの種類に基いて現実に選択的とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この発明の特徴、目的及び利益は、隅々まで相応して確認される参照番号等に於いて図面と関連して得られるとき、以下に示される詳細な説明からより明らかになろう。
【図1】メイン通信センター(セル基地局(base station))をアクセスする多重リモート(モービル)ユーザを示したブロック線図。
【図2】リモート(モービル)ユーザでのデータ応答の多重セル(多重メイン通信センター)環境での影響の概略を示したブロック線図。
【図3】特定のアベレージ送信データレートでのアベレージサービスクオリティとユーザ数の関係を表したグラフ。
【図4】3つの異なったアベレージ送信データレートの、アベレージサービスクオリティとユーザ数との関係を表したグラフ。
【図5】システムモニタと制御動作のフローチャート。
【図6】下りリンク通信の通信リソース円グラフ(pie chart)。
【図7】上りリンク通信の通信リソース円グラフ。
【図8】リソース使用の異なった割合に応じて取られる動作を示す通信リソース円グラフ。
【図9】この発明の制御機構によってデータレートが減少される状態を示す通信リソース円グラフ。
【図10】上述した通信リソースのデータレートを減少した結果を示す通信リソース円グラフ。
【図11】メイン通信センターに配置された上りリンク通信を制御するためのモニタ及び制御システムのブロック線図。
【図12】上記リモートユーザに配置された上りリンク通信を制御するためのモニタ及び制御システムのブロック線図。
【図13】下りリンクモニタ及び制御装置のブロック線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、リモートユーザ4とメイン送信センター2間の多重ユーザ通信システム通信を示した図である。典型的な実施例に於いて、これらの通信はコード分割多重アクセス(CDMA)多重ユーザスキームによって行われるもので、それはこの発明の譲受人に譲渡されると共にここに参照されることにより合同された、“Spread Spectrum Multiple Access Communication System Using Satellite of Terrestrial Repeaters(CDMA)”と称された米国特許第4,901,307号、及び“System and Method for Generating Signal Waveform in a CDMA Cellular Telephone System(CDMA)”と称された米国特許第5,103,459号に詳述されている。上記リモートユーザからメイン送信センターへの通信は、上りリンク通信と称する。リモートユーザ4からセル基地局2への通信を可能にするリンクを上りリンクと称する。CDMAシステムに於いて、システムユーザ容量は上記システムの干渉のレベルの関数である。
【0016】
図2は、増加する容量及び干渉を低減するために上記データレートの制御の必要性に帰着する2つの主な問題点を示した図である。CDMA多重セルセルラー通信ネットワークの典型的な実施例に於いて、下りリンク通信のメイン容量限界は、モービルステーション10または単一リモートユーザ及びセル基地局12から描かれた伝播ラインにより示されたような隣接したセルからの干渉である。この実施例に於ける下りリンク容量の第2の影響は、単一セル基地局からモービルステーション10への第2の伝播路によって示される。多重路(マルチパス)として知られる、この影響の原因は、ビル、山、などの電磁波を反射し得る物体という形態とる障害物16からの反射である。
【0017】
典型的な実施例に於いて、干渉はリモートユーザと通信しない基地局12からのリモートユーザ10によって受信され、干渉は障害物16からのマルチパス信号により受信される。典型的な実施例に於いて、セルのグループの動作は、公衆電話スイッチングネットワーク(図示せず)とのデータを提供するシステムコントローラ14によって管理される。これらの通信は、下り(フォワード)リンク通信と称される。
【0018】
時分割多重アクセス(TDMA)及び周波数分割多重アクセス(FDMA)等のシステムに於いて、“ハード”の容量限界はそれぞれタイムスロットまたは周波数副帯域分割の数が有限であるために存在する。上記タイムスロットまたは副帯域の全てがユーザに割り当てられると、上記“ハード”容量限界に到達し、新たに接続するユーザに対するサービスが不可能となる。容量限界に達する以前にシステムにアクセスしたユーザは、この除外されたユーザによる影響を受けずにいるが、新たに接続しようとしてサービスを拒絶されたユーザそれぞれについてのサービスクオリティは零であるので、ユーザ全体に対するアベレージサービスクオリティは容量限界を超えて低下する。
【0019】
ALOHA及びスロット化ALOHAシステム等のランダムアクセスシステム、及びコード分割多重アクセス(CDMA)のような多重アクセススキームに於いて、「ソフト」容量限界が存在する。これらのタイプの多重アクセスシステムにおいて、容量限界を越えたシステムユーザの数の増加が、上記システムの全てのユーザに対するサービスのクオリティの減少の原因となる。CDMAシステムに於いて、各ユーザの送信は、他のそれぞれのユーザに対する干渉、すなわちノイズとして現れる。CDMAシステムのソフト容量限界を越えると、所定の許容範囲のBERまたはFERを超えるに十分なほどノイズフロアは大きくなる。ランダムアクセススキームに於いて、各ユーザの追加接続はメッセージ衝突の可能性を増大させる。容量限界を越えると、結果的な損失データまたは再送信の必要性のために全てのユーザの通信クオリティが悪化するほど、上記メッセージ衝突が頻繁に起こる。
【0020】
図3は、全てのユーザについて特定されアベレージデータレートであると仮
定した場合の、このような多重アクセス通信システムのユーザに対するアベレージクオリティと上記システムを使用しているユーザ数との関係を表すグラフである。上記サービアベレージクオリティ(Qave)は、以下のように定められる。
【数1】
【0021】
また、図3には、クオリティラインが示され、このラインより上のアベレージサービスクオリティが満足すべきものであり、このラインより下のサービスクオリティは満足なものである。上記クオリティラインとクオリティ対ユーザ数曲線の数との交差部分が、上記システムの当該データレートでのシステムの容量限界を示す。CDMAシステムの典型的な実施例に於いて、メッセージは20msフレームで送信され、1%のかなり良い許容可能なフレームエラー率が典型的な実施例のクオリティラインの位置を表示している。異なったフレームサイズ及びエラーレートがこの発明に同等に適用可能であることが理解される。
【0022】
図4は、3つの徐々に減少するアベレージデータレートを示す3本のアベレージサービスクオリティ対ユーザ数曲線20,22,24を表した図である。曲線(plot)20は高いアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当し、曲線22は中間のアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当し、曲線24は低いアベレージデータレートのクオリティ曲線に相当している。
【0023】
上記曲線の第1の重大な特徴は、上記曲線と縦軸との交点は、リンクデータレートが低くなるにつれて段々低くなることである。容量限界以下で、許容可能なデータレートが高いほどクオリティは高くなり、高いデータレートが可変レート音声コーダにおけるパラメータのより正確な量子化を可能にし、綺麗な響きの音声になる。
【0024】
上記曲線の第2の重大な特徴は、上記クオリティラインと3つの曲線との交差部分である。クオリティラインと曲線20,22及び24の各々との交差部分は、曲線20,22及び24のそれぞれのデータレートでの上記システムの容量限界を示す。「CAP A」、「CAP B」及び「CAP C」と記されたシステム容量は、曲線20,22及び24の各々のデータレートでのシステムにアクセス可能なユーザ数である。与えられたデータレートでの容量限界は、図示されるように、ユーザ数を表している水平軸に対して、曲線とクオリティラインとの交差部分から、垂線を下すことによって得られる。上記システムの容量は、データレートが減少するにつれて一定のクオリティレベルのもとで増加する。
【0025】
図5は、上記システムの送信のデータレートを制御することによるアベレージクオリティを最大化する方法を示したフローチャートである。ブロック30においては、使用される通信リソースの量は、与えられたリンク上でシステムにアクセスするユーザ数及び各ユーザにより送信されるデータレートに基いて決定される。ブロック30にて計算された使用量の値は、ブロック32に供給される。ブロック32にて、上記使用量の値は、低い閾値と比較される。上記使用量の値が上記低い閾値よりも下であればブロック34に進み、リンクが所定のデータレート最大値で動作しているかが判定される。上記システムが所定のデータレート最大値で動作するならばブロック38に進み、何の動作も行われない。上記システムが上記所定のデータレート最大値より低い値で動作していれば、ブロック36に進みリンクデータレートが増加される。
【0026】
上記ブロック32にて、上記リンク使用量の値が低過ぎないと判定されたならば、ブロック40に進んで上記使用量の値が高い閾値と比較される。ブロック40にて、リンク使用量の値が高い閾値より低いと判定されたならば、ブロック41に進んで何の動作も行われない。これに対し、ブロック40にてリンク使用量が高い閾値を越えるとブロック42に進む。ブロック42に於いて、システムデータレートは所定の最小値と比較される。上記システムデータレートが所定の最小値より大きいならば、ブロック44に進んでリンクデータレートが減少される。
【0027】
上記ブロック42に於いて、リンクデータレートが上記最小値リンクデータレートに等しいと判定されたならば、ブロック46に進む。ブロック46では、上記システムにて上記使用量値と所定の使用量最大値と比較される。ここで、通信リソースが使い尽くされている、すなわち上記使用量値が所定の最大値に等しくなると、ブロック48に進んで、新たに接続しようとするユーザによるアクセスがブロックされる。上記使用量値が所定の使用量最大値より低ければ、ブロック50に進んで、何の処理も行われない。
【0028】
TDMAシステムに於いて、データレートは、複数の割り当てられたタイムスロットに任意のユーザのデータを広げるか、複数のユーザのデータを割り当てられたタイムスロットの選択されたものと組合わせることによって変更することができる。別の実施形態に於いて、可変データレートは、異なったユーザに長さを変えてタイムスロットを割り当てることによってTDMAシステムに於いて達成することができる。同様に、FDMAシステムに於いて、データレートは、複数の割り当てられた周波数副帯域に任意のユーザのデータを広げるか、割り当てられた周波数副帯域のうち選択されたものと複数のユーザのデータを組合わせることによって変更することができる。別の実施形態に於いて、FDMAシステムの可変データレートは、異なったユーザに対する変化する周波数副帯域サイズを割り当てることによって達成することができる。
【0029】
ランダムアクセスシステムに於いて、上記メッセージ衝突の可能性は各ユーザが送らなければならない情報量に比例する。それ故、上記データレートは、可変サイズのデータのパケットを送ることによって、または送信の間隔を変化させてパケットを送ることによって、直接的に調整することができる。
【0030】
CDMAシステムを使用する典型的な実施例に於いて、音声の送信に必要なデータの量は、上述した米国特許第5,414,796号述べられているように、可変レートボコーダの使用によって調整される。典型的な実施例の可変レートボコーダは、フルレート、1/2レート、1/4レート及び1/8レートに相当する8Kps、4Kps、2Kps及び1Kpsでデータを提供するが、本質的に何れか最大のアベレージデータレートはデータレートを組合わせることによって達成することができる。例えば、7Kpsの最大アベレージレートはボコーダを連続的なフルレートフレーム4つ毎にハーフレートにならしめることによって達成することができる。典型的な実施例に於いて、上記の可変サイズの音声データパケットはセグメントされ、セグメントは、この発明の譲受人によって譲渡されると共にこれを参照して合同される“Data Burst Randomizer”と称された米国特許出願第07/846,312号に詳述されるように、ランダム化された時間で提供される。
【0031】
通信リソース容量の問題を見る有効な方法は、円グラフとして有効な通信リソースを見ることであり、ここでパイ全体は上記通信リソースの完全な使用を表している。この表示に於いて、円グラフのセクタは、ユーザ、システム、オーバーヘッド及び未使用のリソースに割り当てられたリソースの割合を表している。
【0032】
TDMAまたはFDMAシステムに於いて、上記円グラフの全体は、所定の割り当て方法における周波数副帯域または利用可能なタイムスロットの数を表しても良い。ランダムアクセスシステムに於いて、上記円グラフ全体は、送信リンクを受け入れできなくなる程メッセージ衝突が大きくなる以前において容認可能なメッセージレートを表しても良い。CDMAシステムの典型的な実施例に於いて、円グラフ全体は最大の耐ノイズフロアを示し、そこでは全ての他のユーザからの信号及びオーバーヘッドがリモートユーザとのメッセージデータの応答に於けるノイズとして現れる。何れかのシステムに於いて、図3に示されるように、リソースパイの全体は、クオリティラインとアベレージクオリティ対ユーザ曲線の交点を表している。
【0033】
図6は、一般的な下りリンク容量円グラフの例を表している。オーバーヘッド(OVERHEAD)と名付けられたリソースパイの第1のセクタは、メッセージ情報を運ばない送信信号の一部を表している。上記パイのオーバーヘッド割合はメッセージ無しユーザ特定データ無しのデータの送信を表しており、典型的な実施例に於いては、通信リソースの固定された割合であるが、他のシステムではこのオーバーヘッドはユーザの数または他の要因で変化し得る。上記オーバーヘッドは、基地局確認情報、タイミング情報及び基地局セットアップ情報を含んでも良い。上記オーバーヘッドは、上記通信リソースのパイロットチャンネルによる使用をも含んでも良い。パイロットチャンネルの例は、この発明の譲受人により譲渡されると共に参照されることにより合同される“System and Method for Generating Signal Waveforms in a CDMA Cellular Telephone System(CDMA)”と称される米国特許第5,103,459号に詳述されている。以下のセクタ番号1〜20の各々は、特定のユーザに向けられたメッセージ情報を表しており、ここで上記ユーザは1〜20と記される。右回りに移動して、パイの最後のセクタは、Bと記される。Bと記されたセクタは、受け入れできないリンクによる悪化を生じる前の利用可能な通信リソースの残存する割合を表している。
【0034】
図7は、上りリンク通信に関するリソース円グラフである。この円グラフは、上記リモートユーザからの基地局またはメイン送信センターで受信された情報を表している。この円グラフと上述した円グラフとの重大な差は、上りリンクに於けるものであり、固定されないオーバーヘッドリソースである。好ましい実施例に於いて、各ユーザは全てのユーザに対するサービスのクオリティを最大にするために、通信リソースの同じ割合で使用することも注意されるべきである。全てのユーザの状態を維持する方法及び装置は、この発明の譲受人により譲渡されると共にここに参照されて合同される“Method and Apparatus for Controlling Transmission Power in a CDMA Cellular Telephone System”と称された米国特許第5,056,109号に詳述されている。このアプローチに於いて、各リモートユーザは、全て他のリモートユーザとして基地局で受信されるようなパワーレベルで送信する。好ましくは、各リモートユーザは、基地局でクオリティ通信リンクを保証するために必要な最小パワーレベルで送信する。
【0035】
図8は、上記リソース円グラフに続くべく作用を表す作用円グラフである。3つのポイントは図7の円グラフに記されたもので、これらはインクリーズレート(INCREASE RATE)と記されたポイント、デクリーズレート(DECREASE RATE)と記されたポイント及びブロックアディショナルユーザ(BLOCK ADDITIONAL USERS)と記されたポイントである。リソースパイの与えられたリンク用の割合がデクリーズレートと記されたポイントを越えたならば、そのリンクの送信レートは上記ユーザに対するサービスのクオリティを改善するために減少するべきである。例えば、図4の曲線20に相当するデータレートが全てのユーザによって送信されると共にユーザの数がキャップ(CAP A)より大きくなると、上記データレートは減少され、そしてシステムは図4の曲線22上で動作される。与えられたリンク用のパイリソースの割合がインクリーズレートと記されたポイント以下に落ちたならば、そのリンクの送信レートは上記ユーザに対するサービスのクオリティを改善するために増加されるべきである。例えば、図4の曲線22に相当するデータレートが全てのユーザによって送信されると共にユーザの数がキャップA以下に落ちたならば、上記システムは図4の曲線20上で動作される。上記パイがブロックアディショナルユーザと記されたポイントに達したならば、何れかの付加的なユーザがシステムにアクセスすることは妨げられる。上記システムが、ブロックアディショナルユーザポイントに達するには、そのレートが更に増加することはできないことを意味するデクリーズレートポイントを通過する以外に道はない、という点に注意すべきである。
【0036】
図9及び図10は、リソース割り当てに対する送信レートの減少による結果を示した図である。図8に於いて、ユーザ20の付加によって、リソース割り当ては減少されるべき送信レートでのポイントを超える。このポイントにて、上記送信レートは減少され、同じユーザのためのリソースパイが図9のように見られる。Bと記されたリソースパイの使用しない部分が通信リソースをアクセスするために付加的なユーザを許可するのに充分大きいことに注目する。故に、付加的なユーザは、上記システムが送信レートを再び減少させることを要求するまで、上記通信システムをアクセスすることが可能である。このプロセスは、上記レートが最小になるまで継続される。このことが生じると、上記システムは上記パイが完全に満たされることを許容し、何れの新規のユーザもシステムにアクセスすることができなくなる。
【0037】
これに対して、上記通信リソースからユーザが抜けた場合、上記通信リソースの使用されている割合は上記インクリーズレート以下に減少し、上記システムは送信レートを増加させる。これは、送信レートが最大レートに増加するまで、若しくは通信リソースをアクセスするものがいなくなるまで継続される。
【0038】
図11は、上記メイン通信センターでの上りリンク通信リソース使用量のモニタ及び制御のブロック線図を示したものであり、セル基地局及びシステムコントローラを含んでも良い。
【0039】
リモートユーザからの信号は受信アンテナ60で受信される。受信された信号は、エネルギ−計算素子66及びデモジュレータ(復調器)64へアナログまたはデジタル形態にデータを提供する受信機62に供給される。エネルギ−計算素子66で計算されたエネルギ−値は、受信された信号エネルギ−と一連の閾値を比較するレートコントロールロジック68に供給される。この比較に応じて、レートコントロールロジック68は信号エネルギ−が上方の閾値を越えるか、または下方の閾値以下になった場合に、マイクロプロセッサ70にレートコントロール信号を供給する。他の実施例に於いて、レートコントロールロジック68は、その状態か否か等、通信チャンネルの性能に影響を及ぼしうる外的要因に反応することもできる。
【0040】
受信機62からの受信信号は、デモジュレータ64に供給されて復調され、特定のユーザのためのデータが抽出され、相応するマイクロプロセッサ70に供給される。この発明の譲受人によって譲渡されると共にこれを参照して合同される“Method and System for Providing a Soft Handoff in Communication in a CDMA Cellular Telephone System”と称された米国特許第5,056,109号に詳述されるように、典型的な実施例に於いて、受信データはシステムコントローラ14内のセレクタカード(図示せず)にマイクロプロセッサ70によって供給され、複数のメイン通信センター(セル)からの受信データから最良の受信データを選択し、その各々は受信機62とデモジュレータ64とを有しており、ボコーダ(図示せず)を使用して上記最良の受信データをデコードする。再構成された音声は、公衆電話スイッチングネットワーク(図示せず)に供給される。
【0041】
加えて、マイクロプロセッサ70はデータインターフェースを介してボコーダ(図示せず)からの下りリンク送信のデータを受信する。マイクロプロセッサ70は、上りリンクレートコントロール信号と下りリンクデータとを合成して、モジュレータ72に合成データパケットを提供する。好ましい実施例に於いて、マイクロプロセッサ70は、上記上りリンクレートコントロール信号と出力下りリンクデータとが選択的に組合わされる。好ましい実施例に於いては、マイクロプロセッサ70は、上記上りリンクレートコントロール信号が上記出力下りリンクデータと組合わされないという主要な状態を表示する信号に応答される。別の実施例に於いて、上記マイクロプロセッサ70のうち幾つかは、上りリンクレートコントロール信号に応答しない。モジュレータ72は、データパケットを変調して加算機74に変調した信号を供給する。加算機74は変調されたデータを加算し、それを増幅して送信アンテナ78に供給する送信機76に供給する。
【0042】
図12は、図1のメイン送信センター2による典型的な実施例に於いて提供されたレートコントロール信号に応答するためのこの発明のリモートユーザ装置のブロック線図を示したものである。受信路上で、複合化された音声データ及び/または信号化されたデータで構成される信号はアンテナ90で受信され、アンテナ90はデュプレクサ92によって上記送信アンテナとしても機能する。受信された信号は、デュプレクサ92を介してデュモジュレータ96に出力される。上記信号は復調されてマイクロプロセッサ98に供給される。マイクロプロセッサ98は上記信号をデコードして音声データを出力し、何れかのレートコントロールデータが可変レートボコーダ100に対して基地局によって送られる。可変レートボコーダ100は、マイクロプロセッサ98から供給された音声データのエンコードされたパケットをデコードして、デコードされた音声データをコーデック102に供給する。コーデック102は、デジタル音声信号をアナログ形態に変換して、再生するためのスピーカ106にアナログ信号を供給する。
【0043】
リモートユーザの伝送路上において、音声信号はマイクロホン106を介してコーデック102に供給される。コーデック102は音声信号のデジタル形式に変換して可変レートボコーダ100に供給し、可変レートボコーダ100は、この例においては、音声アクティビティおよび受信したレート信号に従って決定されたレートで該音声信号をエンコードする。このエンコードされた音声データは次にマイクロプロセッサ98に供給される。
【0044】
典型的な実施例に於いて、上記レートコントロール信号は最大データレートを増加若しくは減少するために上記リモートユーザに表示する2値化信号である。上記データレートのこの調整はディスクリートレベルにおいて実行される。典型的な実施例に於いて、リモートユーザは上記セル基地局からのレートコントロール信号を受取り次第、その最大送信レートを1000bps増加または減少させる。実際には、上記ボコーダでは標準の二方向転換に於ける時間の最大レートの40〜50%で上記音声が単にエンコードされるので、全体のアベレージデータレートとしては4000乃至500bps減少する。この典型的な実施例に於いて、ワード間の無音は常により低いデータレートでエンコードされる。
【0045】
例えば、リモートユーザがフルレート若しくはレート1(8Kbps)の最大送信データレートで現在動作しているとすると、データの連続的なフルレートフレームのうち4つ毎のフレームをハーフレート(4Kbps)でエンコードすることによって、最大データレートは7/8(7Kbps)に減少される。これに対し、上記リモートユーザが最大送信レートの3/4(6Kbps)のセル基地局の制御下で動作をおこなっていて、セル基地局はリモートユーザにその最大データレートを増加するように信号を送り、次にリモートユーザは最大送信データレートとしてレート7/8(7Kbps)を使用する。簡易化した実施例に於いて、上記レートは可変レートボコーダ100によって供給されたディスクリートレートの1つ(すなわち、レート1、1/2、1/4及び1/8)に限定してもよい。
【0046】
また、マイクロプロセッサ98は、信号化データまたは基地局に対して通信が必要なファクシミリ、モデム、或いは他のデジタルデータ等の2次データを含むことのできる非音声データを受信する。リモートユーザにより送信されるデジタルデータが可変レート送信(すなわち幾つかのファクシミリまたはモデムデータ)の助けにならない形態のものであれば、マイクロプロセッサ98はレートコントロール信号に応じて送信レートを変化させるか否かをリモートユーザのサービスオプションに基いて決定することができる。
【0047】
モジュレータ108は上記データ信号を変調して送信機110に変調した信号を供給するもので、その信号は増幅されてデュプレクサ92を介してアンテナ92に供給され、上記基地局へ向けて空中へ送信される。また、リモートユーザは上りリンク通信リソースをモニタすると共に、その送信レートを調整するためにオープンループ法において応答することが可能となることも、本発明において想定されるところである。
【0048】
図13は、典型的な下りリンクレートコントロール装置のブロック線図を示したものである。音声データはボコーダ120に供給されて、ここで可変レートでエンコードされる。この発明に於いて、上記音声データのエンコードレートは音声アクティビティ及び、存在する場合には、レートコントロール信号に従って決定される。エンコードされた音声はマイクロプロセッサ122に供給され、マイクロプロセッサ122は外部ソース(図示せず)からの非音声データを受信しても良い。この非音声データは、信号化データまたは2次データ(ファクシミリ、モデム、或いは送信用の他のデジタルデータ)を含んでも良い。マイクロプロセッサ122はデータパケットをモジュレータ124に供給し、ここでデータパケットが変調されて加算機126に供給される。加算機126はモジュレータ124からの変調されたデータを加算して和信号を送信機128に供給する。ここで、上記信号はキャリア信号と合成され、増幅されて送信用のアンテナ130に供給される。
【0049】
また、加算機126からの加算された変調信号は、エネルギ−計算ユニット132にも供給される。エネルギ−計算ユニット132は固定された時間の間加算機126からの信号のエネルギ−を計算し、レートコントロールロジック134にこのエネルギ−評価を供給する。レートコントロールロジック134は連続した閾値と上記エネルギ−評価を比較し、これらの比較に従ってレートコントロール信号を供給する。上記レートコントロール信号は、マイクロプロセッサ122に供給される。マイクロプロセッサ122は、音声データの最大データレートの制御のためにレートコントロール信号をボコーダ120に供給する。随意に、マイクロプロセッサ122は、非音声データソース(図示せず)のデータレートを制御するために上記レートコントロール信号を使用することもできる。上記レートコントロール信号はマイクロプロセッサ122に選択的に供給されてもよいし、若しくは全体的に供給されたレートコントロール信号に応答することのできるマイクロプロセッサ122を選択してもよい。
【0050】
以上のように本発明は課題を解決することができた。また、上述した下り(フォワード)リンク上の制御のオープンループ形態はクローズトループに於いても動作可能であり、それは高いフレームエラーレートまたは他の計測可能な量のような、到達される容量限界のリモートステーションを表示する信号に応答することができる。レートコントロールロジック134は、通信チャンネルの性能にも影響を及ぼしうる種々のものの外部干渉に応答することができる。
【0051】
好ましい実施例の上述した説明はこの発明を使用または作成するために当業者により可能に提供される。これらの実施例の種々の変形が当業者により容易に明らかにされるものであり、ここに限定される一般的な原則は発明的才能を使用することなく他の実施例に応用し得る。故に、この発明はここに示される実施例に限定されるべきものではなく、ここに開示された原則及び新規特徴に矛盾のない広い範囲に許容されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置への入力信号のエンコードレートを制御する前記ユーザ装置であって、
前記入力信号を受信するマイクロホンと、
下りリンク通信チャネルを介する前記ユーザ装置との通信中、チャネル干渉状態を示す下りリンク信号を基地局から受信する受信機と、
前記下りリンク信号に応答するレートで、前記入力信号をエンコードするエンコーダと
を備えるユーザ装置。
【請求項2】
前記下りリンク信号は、前記エンコードレートを増加又は減少することを示す請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記エンコーダは更に、前記入力信号に従うレートで前記入力信号をエンコードする請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記下りリンク信号に従って、前記エンコーダへ前記エンコードレートを通信するプロセッサを更に備える請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項5】
前記プロセッサの制御下で、前記エンコードされた信号を上りリンクを介して送信する送信機を更に備える請求項4に記載のユーザ装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、上りリンク通信リソースをモニタし、送信レートを調整するためにオープンループ法において応答する請求項5に記載のユーザ装置。
【請求項7】
装置への入力信号のエンコードレートを制御する前記装置であって、
通信チャネルを介する前記装置との通信中、チャネル干渉状態を示す信号をリモートユーザから受信する受信機と、
前記チャネル干渉状態に従って、レートコントロール信号を生成するレートコントロールロジックと、
前記レートコントロール信号に従うレートで前記入力信号をエンコードするエンコーダと
を備える装置。
【請求項8】
前記受信機は、複数の通信チャネルを介して、複数のリモートユーザからの複数の信号を受信し、各通信チャネルは、対応するチャネル干渉状態を有し、前記レートコントロール信号は、前記複数のチャネル干渉状態に従って生成される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記レートコントロール信号は、前記リモートユーザに、前記リモートユーザのデータレートを増加又は減少することを示す請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記リモートユーザのデータレートは、最大データレートである請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記リモートユーザから受信した信号は、音声アクティビティを含み、前記エンコーダは、前記音声アクティビティと前記レートコントロール信号とに従うレートで前記入力信号をエンコードする請求項7に記載の装置。
【請求項1】
ユーザ装置への入力信号のエンコードレートを制御する前記ユーザ装置であって、
前記入力信号を受信するマイクロホンと、
下りリンク通信チャネルを介する前記ユーザ装置との通信中、チャネル干渉状態を示す下りリンク信号を基地局から受信する受信機と、
前記下りリンク信号に応答するレートで、前記入力信号をエンコードするエンコーダと
を備えるユーザ装置。
【請求項2】
前記下りリンク信号は、前記エンコードレートを増加又は減少することを示す請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記エンコーダは更に、前記入力信号に従うレートで前記入力信号をエンコードする請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記下りリンク信号に従って、前記エンコーダへ前記エンコードレートを通信するプロセッサを更に備える請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項5】
前記プロセッサの制御下で、前記エンコードされた信号を上りリンクを介して送信する送信機を更に備える請求項4に記載のユーザ装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、上りリンク通信リソースをモニタし、送信レートを調整するためにオープンループ法において応答する請求項5に記載のユーザ装置。
【請求項7】
装置への入力信号のエンコードレートを制御する前記装置であって、
通信チャネルを介する前記装置との通信中、チャネル干渉状態を示す信号をリモートユーザから受信する受信機と、
前記チャネル干渉状態に従って、レートコントロール信号を生成するレートコントロールロジックと、
前記レートコントロール信号に従うレートで前記入力信号をエンコードするエンコーダと
を備える装置。
【請求項8】
前記受信機は、複数の通信チャネルを介して、複数のリモートユーザからの複数の信号を受信し、各通信チャネルは、対応するチャネル干渉状態を有し、前記レートコントロール信号は、前記複数のチャネル干渉状態に従って生成される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記レートコントロール信号は、前記リモートユーザに、前記リモートユーザのデータレートを増加又は減少することを示す請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記リモートユーザのデータレートは、最大データレートである請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記リモートユーザから受信した信号は、音声アクティビティを含み、前記エンコーダは、前記音声アクティビティと前記レートコントロール信号とに従うレートで前記入力信号をエンコードする請求項7に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−81630(P2010−81630A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261038(P2009−261038)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2007−124872(P2007−124872)の分割
【原出願日】平成6年9月8日(1994.9.8)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2007−124872(P2007−124872)の分割
【原出願日】平成6年9月8日(1994.9.8)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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