説明

マルチリーフコリメータ

【課題】ビームの照射野の形状精度を高めつつ、リーフの高速駆動を図ることができる。
【解決手段】複数のリーフ4と、これら複数のリーフ4のネジ穴8aにそれぞれ螺合した複数の送りネジ5と、これら複数の送りネジ5をそれぞれ回転させる例えば複数の回転機6とを有し、複数のリーフ4の配置に応じた放射線ビームの照射野3を形成するマルチリーフコリメータ200において、リーフ4は、リーフ本体部7と、リーフ本体部7と一体にかつリーフ本体部7より厚みが増すように形成され、ネジ穴8aを有するメネジ部8と、メネジ部8のネジ穴8aに螺合した送りネジ5の移動領域に対応してリーフ本体部7に形成した貫通穴7aとを有し、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8及び貫通穴7aの位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8の相対移動領域に対応してリーフ本体7に溝7bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的の形状に合わせて放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータに係り、詳しくは、リーフを送りネジを介し駆動する駆動手段を備えたマルチリーフコリメータに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線ビーム(例えばX線、陽子線、及び電子線等)を照射対象の内部にある標的に照射する代表的な例としては、患者の体内にあるがん細胞(以下、患部という)に放射線を照射する場合が挙げられる。なお、この場合、照射対象が患者に相当し、標的が患部に相当する。放射線を患者体内の患部に対し照射する場合、放射線ビームの照射野(照射範囲)と患部形状が一致しないと、患部周辺の正常な部位にも放射線が照射されることになる。放射線が患部周辺の正常な部位に照射されると、その正常な部位に悪影響を与える可能性があるため、放射線ビームの照射野は患部に照らし合わせて精密に限定することが好ましい。
【0003】
このような放射線ビームの照射野を形成する手段の1つとして、マルチリーフコリメータが知られている。マルチリーフコリメータは、例えば、複数のリーフと、複数のリーフのネジ穴にそれぞれ螺合した複数の送りネジ(スクリューネジ)と、複数の送りネジをそれぞれ回転させる複数のステッピングモータとを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−255718号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下のような課題が存在する。
マルチリーフコリメータは、リーフの厚みを薄くして枚数を多くし、これらリーフによるビームの照射野の分割数を増大させれば、ビームの照射野を患部形状にできる限り近づけることが可能である。ところが、送りネジをリーフのネジ穴に螺合させリーフを駆動する上記マルチリーフコリメータにおいて、リーフの厚みを薄くしようとすると、通常、送りネジの径を細くしなければならない。そして、この細い送りネジを高速回転させると、送りネジに大きな振れが生じて周辺の部品に接触する恐れがあった。そのため、送りネジの回転速度を抑える必要が生じ、リーフの駆動速度の低下がいなめなかった。
【0006】
本発明の目的は、ビームの照射野の形状精度を高めつつ、リーフの高速駆動を図ることができるマルチリーフコリメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、複数のリーフと、前記複数のリーフのネジ穴にそれぞれ螺合した複数の送りネジと、前記複数の送りネジを回転させる駆動手段とを有し、前記複数のリーフの配置に応じた放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータにおいて、前記リーフは、リーフ本体部と、前記リーフ本体部と一体にかつ前記リーフ本体部より厚みが増すように形成され、前記ネジ穴を有するメネジ部と、前記メネジ部のネジ穴に螺合した前記送りネジの移動領域に対応して前記リーフ本体部に形成した貫通穴とを有し、互いに隣接する前記リーフのメネジ部及び貫通穴の位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接する前記メネジ部の相対移動領域に対応して前記リーフ本体に溝を形成する。
【0008】
本発明においては、リーフ本体部よりメネジ部の厚みを大きくするので、メネジ部のネジ穴に螺合する送りネジの径寸法を大きくすることができる。これにより、送りネジの回転速度を高めることができ、リーフの高速駆動を図ることができる。一方、メネジ部よりリーフ本体の厚みを薄くすることができる。また、互いに隣接するリーフのメネジ部及び貫通穴の位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接するリーフのメネジ部の相対移動領域に対応してリーフ本体に溝を形成することにより、複数のリーフを厚み方向に隙間なく並べることができる。したがって、リーフの厚みを薄くして枚数を多くし、これらリーフによるビームの照射野の分割数を増大させることができ、ビームの照射野の形状精度を高めることができる。
【0009】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、複数のリーフと、前記複数のリーフのネジ穴にそれぞれ螺合した複数の送りネジと、前記複数の送りネジを回転させる駆動手段とを有し、前記複数のリーフの配置に応じた放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータにおいて、前記リーフは、リーフ本体部と、前記リーフ本体部より厚みが増すように形成されて前記リーフ本体部に取り付けられ、前記ネジ穴を有するメネジ部と、前記メネジ部のネジ穴に螺合した前記送りネジの移動領域に対応して前記リーフ本体部に形成した貫通穴とを有し、互いに隣接する前記リーフのメネジ部及び貫通穴の位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接する前記リーフのメネジ部の相対移動領域に対応して前記リーフ本体に溝を形成する。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記駆動手段は、前記複数の送りネジにそれぞれ同軸接続した複数の回転機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ビームの照射野の形状精度を高めつつ、リーフの高速駆動を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態のマルチリーフコリメータを備えた放射線ビーム照射装置の全体システム構成を表す概念的構成図である。
【0014】
この放射線ビーム照射装置は、制御装置23の制御に基づき、シンクロトロン101で加速した荷電粒子ビーム等の放射線ビーム(以下適宜、ビームという)を回転照射装置102から出力して患者Kの患部にビームを照射するものであり、回転照射装置102は回転軸を中心に回転することによって複数の方向から患部にビームを照射可能となっている。なお、荷電粒子の加速手段として、シンクロトロン101の他に、サイクロトロンや直線型加速器、レーザ加速器などを用いてもよい。
【0015】
(1)シンクロトロン101の構成及び動作
シンクロトロン101は、ビームに高周波の磁場及び電場(以下、高周波電磁場という)を印加することによりビームのベータトロン振動振幅を増加させる高周波印加装置111と、ビームの軌道を曲げる偏向電磁石112と、ビームのベータトロン振動を制御する四極電磁石113と、ビーム出射時の共鳴を励起するための六極電磁石114と、ビームにエネルギを与える、すなわちビームを加速する高周波加速空胴115と、ビームをシンクロトロン101に入射する入射器116と、ビームをシンクロトロン101から出射する出射用デフレクター117とを備えている。
【0016】
制御装置23が前段加速器104に出射指令を出力すると、前段加速器104はこれに従って低エネルギのビームを出射し、そのビームは、ビーム輸送系を介してシンクロトロン101の入射器116に導かれ、これによってシンクロトロン101に入射される。入射したビームは、偏向電磁石112により軌道が曲げられることによりシンクロトロン101内を周回する。このとき、ビームは、そのベータトロン振動の振動数が四極電磁石113の励磁量により適宜制御されることにより、シンクロトロン101内を安定に周回する。そして、その周回過程で、高周波加速空胴115からビームに高周波電場が印加されることにより、ビームにエネルギが与えられ、ビームは加速され、エネルギが増大する。シンクロトロン101内を周回するビームのエネルギがエネルギEまで増加したら、高周波加速空胴115によるビームへのエネルギの付与を停止するとともに、四極電磁石113、六極電磁石114、及び高周波印加装置111による公知の制御によってビームの軌道勾配を変化させて共鳴によりベータトロン振動振幅を急激に増大させ、出射用デフレクター117によってビームをシンクロトロン101から出射させる。
【0017】
以上のシンクロトロン101の動作において、制御装置23は、治療計画装置(詳細は後述)24から入力された患部の深さ位置に基づいて、所定の照射方向(通常は複数の方向から照射する)から患部に照射するビームのエネルギEを決定する。また、シンクロトロン101においてビームをエネルギEまで加速するために必要とされる、偏向電磁石112、四極電磁石113、高周波加速空胴115の各々に供給する電流値のパターン、及びエネルギEのビームを出射するために必要とされる、高周波印加装置111、六極電磁石114に供給する電流値を計算する。計算された各電流値は、各装置毎にエネルギEに対応させて制御装置23内の記憶手段に記憶され、加速時や出射時に電源108或いは電源109に出力される。
【0018】
(2)回転照射装置102の構成及び動作
シンクロトロン101から出射されたビームは、回転照射装置102に入力される。回転照射装置102は、偏向電磁石123、四極電磁石124、及び出射ノズル120を取り付けたガントリー122と、このガントリー122を所定の回転軸(図1参照)まわりに回転駆動するモータ121とを備えている。
【0019】
回転照射装置102に入力されたビームは、まず偏向電磁石123により軌道が曲げられ、かつ四極電磁石124によってベータトロン振動が調節されて出射ノズル120に導かれる。出射ノズル120に導かれたビームは、まず走査電磁石201,202の磁極間を通過する。走査電磁石201,202には位相の90度ずれた正弦波交流電流が電源201A,202Aより供給されており、走査電磁石201,202の磁極間を通過するビームは、走査電磁石201,202が発生する磁場によって、患部位置において円形に走査されるように偏向される。
【0020】
走査電磁石201,202を通過したビームは、散乱体203により散乱されてビームの径が拡大された後、リッジフィルタ204A(又は204B)を通過する。リッジフィルタ204A(又は204B)はビームのエネルギを決められた割合で減衰させ、ビームのエネルギに患部の厚さに応じた分布をもたせる。ビームはその後、線量モニタ205により線量が計測された後、ボーラス206A(又は206B)に入力されて患部の下部形状に応じたエネルギ分布とされ、さらにマルチリーフコリメータ200により患部の水平方向形状に成形された後、患部に照射される。
【0021】
ここで、前述したように、通常、ビームは管部に対し複数の方向から照射される。本実施形態は、一例として、2つの照射方向から照射する例を示しており、2つのリッジフィルタ204A,204Bは、治療計画装置24によって求められた患部の厚みに応じてそれら2つの照射方向各々に対して予め作製され、ボーラス206A,206Bも、求められた患部の下部形状に応じて2つの照射方向各々に対して予め作製されたものである。作製されたリッジフィルタ204A,204Bは回転テーブル204Cに設置され、ボーラス206A,206Bは回転テーブル206Cに設置されている。このとき、回転テーブル206Cの回転軸とビームの軌道中心とは偏心しており、回転テーブル206Cを回転させることにより、ボーラス206A若しくはボーラス206Bを入れ替わりにビームの軌道上に配置させ、これによって2つの照射方向の両方に対応したビームのエネルギ分布を形成できるようになっている。なお、回転テーブル204Cも回転テーブル206Cと同様の構成となっている。
【0022】
そして、照射方向の設定あるいは変更の際には、制御装置23からモータ121に照射方向に対応した傾斜角度信号が出力され、モータ121がガントリー122をその傾斜角度まで回転駆動し、回転照射装置102は当該照射方向から患部にビームを照射できる位置に移動される。さらに、制御装置23は、回転テーブル204C,206Cの各々に対して、当該照射方向に対応するリッジフィルタ204A(又は204B)及びボーラス206A(又は206B)をビームの軌道上に配置するように指示信号を出力し、回転テーブル204C,206Cはこれに応じて回転する。
【0023】
そしてこのとき、制御装置23からコリメータコントローラ(リーフ位置制御計算機)22に当該照射方向に対応する制御信号が出力され、コリメータコントローラ22はこれに応じて、後述の図2に示すようにマルチリーフコリメータ200に備えられた複数のリーフ(薄板状のブロック)4を突き合わせその空隙により当該照射方向から見た患部の水平方向形状に合致するビームの照射野(照射範囲)3を実現するように駆動制御する。これにより、ボーラス206A(又は206B)を通過してマルチリーフコリメータ200に到達したビーム(図2に示すビーム源2からのビーム照射領域)のうち、照射野3以外に向かう成分は複数のリーフ4により遮られ、不要な部位への照射を避けることができる。
【0024】
(3)マルチリーフコリメータ200の構成及び動作
図2は、上記マルチリーフコリメータ200の全体構造を表す斜視図である。また、図3は、本実施形態のリーフの詳細構造を表す斜視図であり、図4は、本実施形態のマルチリーフコリメータの詳細構造を表す部分断面図である。
【0025】
これら図2〜図4において、マルチリーフコリメータ200は、複数のリーフ4と、これら複数のリーフ4のネジ穴8aにそれぞれ螺合された複数の送りネジ5と、これら複数の送りネジ5にそれぞれ同軸接続された複数のモータ6(駆動手段)とを備えている。リーフ4は、2枚1組で互いに接近又は離間する方向にスライド可動に配設されており、それら複数組がビーム照射方向に対し垂直方向に並べられている。そして、各モータ6の駆動によって送りネジが回転し、その送りネジに螺合されたリーフが移動配置されて、患部形状に合わせたビームの照射野3を形成するようになっている。
【0026】
本実施形態のリーフ4は、リーフ本体部7と、このリーフ本体部7と一体にかつリーフ本体部7より厚みが増すように形成され、ネジ穴8aを有する直方体状のメネジ部8とを有している。リーフ本体部7には、メネジ部8のネジ穴8aに螺合された送りネジ5の移動領域に対応して貫通穴7aが形成されており、送りネジ5がリーフ本体部7に干渉しないようになっている。そして、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8及び貫通穴7aの位置を高さ方向に異ならせる(本実施形態では、図4に示すように2つの高さ位置に交互に配置する)とともに、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8の相対移動領域に対応してリーフ本体部7の両側側面に溝7bが形成されている。なお、リーフ本体部7の溝7bの深さは、メネジ部8の厚み方向の突出長さ以上になっている。
【0027】
以上のように構成された本実施形態においては、リーフ本体部7よりメネジ部8の厚みを大きくするので、メネジ部8のネジ穴8aに螺合する送りネジ5の径寸法を大きくすることができる。これにより、送りネジ5の回転速度を高めることができ、リーフ4の高速駆動を図ることができる。一方、メネジ部8よりリーフ本体部7の厚みを薄くすることができる。また、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8及び貫通穴7aの位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接するリーフ4のメネジ部8の相対移動領域に対応してリーフ本体部7に溝7bを形成することにより、複数のリーフ4を厚み方向に隙間なく並べることができる。したがって、リーフ4の厚みを薄くして枚数を多くし、これらリーフ4によるビームの照射野の分割数を増大させることができ、ビームの照射野の形状精度を高めることができる。
【0028】
また本実施形態においては、送りネジ5の移動領域に対応してリーフ本体部7に貫通穴7aを形成することにより、リーフ本体部7の長さ方向においてメネジ部8及び送りネジ5を重ねて配置することができる。これにより、例えばリーフ本体部から延在するように金具等を取り付け、この金具のネジ穴に送りネジを螺合させてリーフを駆動する構成とは異なり、送りネジ5やモータ6をリーフ4の長さ方向や、下方、左右に大きく張り出さないように配置することができる。また、隣接する送りネジ5に同軸接続されたモータ6の位置を高さ方向に異ならせることができ、モータ6を干渉しないように配置することができる。したがって、装置全体の小型化を図ることができる。
【0029】
また、メネジ部を隣接するリーフ4のメネジ部8の相対移動領域に対応してリーフ本体部7に溝7bを形成するので、例えば溝7bに代えて貫通穴を形成するような場合と比べ、リーフ4の構造強度を高めることができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態を図5〜図7により説明する。本実施形態は、リーフ本体部及びメネジ部を別体に形成して取り付けた実施形態である。
【0031】
図5は、本実施形態のマルチリーフコリメータを構成するリーフの詳細構造を表す斜視図であり、図6は、分解斜視図である。図7は、本実施形態のマルチリーフコリメータの詳細構造を表す部分断面図である。なお、上記一実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
本実施形態のリーフ10は、リーフ本体部11及びメネジ部12を別体として形成し、リーフ本体部11の切欠き11aの端部側にメネジ部12を取り付けている。直方体状のメネジ部12の厚み方向両側(図中左側・右側)には、上下方向に延びたフランジ12aが形成されており、フランジ12aには貫通穴12bが形成されている。リーフ本体部11には、メネジ部12の貫通穴12bに対応する貫通穴11bが形成されている。そして、メネジ部12の貫通穴12b及びリーフ本体部11の貫通穴11bに丸棒13を挿通することにより、メネジ部12がリーフ本体部11に固定される。このとき、リーフ本体部11とメネジ部12で形成される貫通穴14(リーフ本体部11の切欠き11aの一部)は、メネジ部12のネジ穴12cに螺合された送りネジ5の移動領域に対応するものであり、送りネジ5がリーフ本体部11に干渉しないようになっている。
【0033】
以上のように構成された本実施形態においても、上記一実施形態同様、フランジ本体部11よりメネジ部12の厚みを大きくするので、メネジ部12のネジ穴12cに螺合する送りネジ5の径寸法を大きくすることができる。これにより、送りネジ5の回転速度を高めることができ、リーフ10の高速駆動を図ることができる。一方、メネジ部12よりリーフ本体部11の厚みを薄くすることができる。また、互いに隣接するリーフ10のメネジ部12及び貫通穴14の位置を高さ方向に異ならせる(本実施形態では、図7に示すように2つの位置に交互に配置する)とともに、互いに隣接するリーフ10のメネジ部12の相対移動領域に対応してリーフ本体11の両側側面に溝11cを形成することにより、複数のリーフ10を厚み方向に隙間なく並べることができる。したがって、リーフ10の厚みを薄くして枚数を多くし、これらリーフ10によるビームの照射野の分割数を増大させることができ、ビームの照射野の形状精度を高めることができる。
【0034】
また、上記一実施形態同様、装置全体の小型化を図ることができる。また、例えば溝11cに代えて貫通穴を形成するような場合と比べ、リーフ10の構造強度を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、リーフ本体部11及びメネジ部12を別体として形成するので、上記一実施形態のようにリーフ本体部11及びメネジ部12を一体として形成する場合に比べ、切削加工代を削減しコスト低減を図ることができる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、互いに隣接するリーフのメネジ部及び貫通穴の位置が高さ方向に異なるように、2つの位置に交互に配置した構造を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば3つ以上の位置に順番に配置するような構造としてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のマルチリーフコリメータの一実施形態を備えた放射線ビーム照射装置の全体システム構成を表す概念的構成図である。
【図2】本発明のマルチリーフコリメータの一実施形態の全体構造を表す斜視図である。
【図3】本発明のマルチリーフコリメータの一実施形態を構成するリーフの詳細構造を表す斜視図である。
【図4】本発明のマルチリーフコリメータの一実施形態の詳細構造を表す部分断面図である。
【図5】本発明のマルチリーフコリメータの他の実施形態を構成するリーフの詳細構造を表す斜視図である。
【図6】本発明のマルチリーフコリメータの他の実施形態を構成するリーフの詳細構造を表す分解斜視図である。
【図7】本発明のマルチリーフコリメータの他の実施形態の詳細構造を表す部分断面図である。
【符号の説明】
【0038】
3 照射野
4 リーフ
5 送りネジ
6 モータ(駆動手段)
7 リーフ本体部
7a 貫通穴
7b 溝
8 メネジ部
8a ネジ穴
10 リーフ
11 リーフ本体部
11c 溝
12 メネジ部
12c ネジ穴
14 貫通穴
200 マルチリーフコリメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリーフと、前記複数のリーフのネジ穴にそれぞれ螺合した複数の送りネジと、前記複数の送りネジを回転させる駆動手段とを有し、前記複数のリーフの配置に応じた放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータにおいて、
前記リーフは、リーフ本体部と、前記リーフ本体部と一体にかつ前記リーフ本体部より厚みが増すように形成され、前記ネジ穴を有するメネジ部と、前記メネジ部のネジ穴に螺合した前記送りネジの移動領域に対応して前記リーフ本体部に形成した貫通穴とを有し、
互いに隣接する前記リーフのメネジ部及び貫通穴の位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接する前記リーフのメネジ部の相対移動領域に対応して前記リーフ本体に溝を形成したことを特徴とするマルチリーフコリメータ。
【請求項2】
複数のリーフと、前記複数のリーフのネジ穴にそれぞれ螺合した複数の送りネジと、前記複数の送りネジを回転させる駆動手段とを有し、前記複数のリーフの配置に応じた放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータにおいて、
前記リーフは、リーフ本体部と、前記リーフ本体部より厚みが増すように形成されて前記リーフ本体部に取り付けられ、前記ネジ穴を有するメネジ部と、前記メネジ部のネジ穴に螺合した前記送りネジの移動領域に対応して前記リーフ本体部に形成した貫通穴とを有し、
互いに隣接する前記リーフのメネジ部及び貫通穴の位置を高さ方向に異ならせるとともに、互いに隣接する前記リーフのメネジ部の相対移動領域に対応して前記リーフ本体に溝を形成したことを特徴とするマルチリーフコリメータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマルチリーフコリメータにおいて、前記駆動手段は、前記複数の送りネジにそれぞれ同軸接続した複数の回転機であることを特徴とするマルチリーフコリメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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