説明

マレイン酸無水物製造用の改善された酸化触媒

活性触媒を選択すること、および有機溶剤または有機溶剤の混合物を含有する1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させることにより、触媒を作製するための方法。一つの態様においては、各有機溶剤は、20℃から25℃の温度で測定して約5から約55の範囲内の誘電定数を有する。このように作製される触媒は、マレイン酸無水物を製造するための方法で使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【関連出願へのクロスリファレンス】
【0001】
この出願は、参照によりこの明細書中に組み込まれている、2007年10月22日付けの米国特許出願第60/981,598号優先権を主張する。
【政府援助の研究または開発に関する記載】
【0002】
適用不可
【技術分野】
【0003】
この発明は、バナジウム、リン、および酸素を含有する触媒を作製するための方法と、この発明の方法により入手可能なバナジウム・リン・酸素含有触媒と、このような触媒の存在において直鎖または環中に少なくとも4個の炭素を有する炭化水素を酸化することによりマレイン酸無水物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
マレイン酸無水物は、合成樹脂などの多くの製品の製造における合成樹脂として使用され、n−ブタンの接触酸化により一般に製造され得る。この酸化のための最適の触媒は、通常、バナジウム、リン、酸素(VPO)と、場合によってはプロモーター成分を含有する触媒である。
【0005】
これらの触媒は、五価バナジウムを四価の状態に還元して、リン酸水素バナジルと、場合によってはプロモーター成分を含有する触媒前駆体を形成するのに好適な条件下で、バナジウム含有化合物をリン含有化合物、および場合によってはプロモーター成分含有化合物と接触することにより一般に作製される。次に、触媒前駆体は、回収され、通常、金型中で圧縮することにより錠剤またはペレットなどの賦型体に形成され得る。潤滑剤は、通常、錠剤化工程またはペレット化工程における助剤としても組み込まれる。次に、触媒前駆体を活性触媒に変換するために、ペレットまたは錠剤を焼成にかけてもよい。
【0006】
活性触媒の作製の変形および異なる態様は、例えば触媒前駆体をアルコール変成剤の存在において作製して、極めて多孔質の触媒前駆体を形成し、次に活性触媒に転化することを開示している(特許文献1);触媒前駆体を幾何学的な形状に形成し、不活性雰囲気中約343℃から704℃の範囲の温度で、さらに含酸素雰囲気中上昇させた温度で賦型触媒を焼成して、活性触媒を生成させることを開示している(特許文献2);触媒前駆体を活性触媒に転化するために3つの加熱段階を使用することを開示している(特許文献3);グリコールエーテル溶剤の存在において触媒前駆体を作製することを開示している(特許文献4);触媒前駆体を生成するためにリン含有化合物としてオルトリン酸を使用することを開示している(特許文献5);および触媒前駆体の作製において除去可能な細孔変成剤を使用して、大きな細孔の比率の高い触媒前駆体を生成させることを開示している(特許文献6)でさらに述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,567,158号
【特許文献2】米国特許第4,996,179号
【特許文献3】米国特許第5,137,860号
【特許文献4】米国特許第5,506,187号
【特許文献5】米国特許第5,530,144号
【特許文献6】米国特許第5,773,382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、これらの触媒の製造および活性化の異なる方法が多数の存在するが、すべてのこのような触媒中の主要な活性物質はピロリン酸バナジル(VO)であると考えられている。この活性物質は、触媒性能の点で作製条件に極めて鋭敏であると考えられる。過去においては、触媒性能の改善は、(1)例えば、米国特許第5,158,923号に述べられている、プロモーターとしてのFe、Mo、Nb、Zrなどのドーパント添加;および(2)米国特許第5,168,090号に述べられている、触媒形状、および触媒粒子内部の細孔構造を含む触媒構造変成を含む、処理技術により行われてきた。これらの方法および他の既知の方法は、マレイン酸無水物の製造においてかなりの活性と選択性を有する触媒を提供するが、さらなる改善が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活性触媒を選択する段階、および有機溶剤または有機溶剤の混合物を含有する1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階を含んでなる、改善された触媒性能を呈するVPO触媒を作製するための方法を提供する。
【0010】
もう一つの態様においては、VPO触媒を作製するための方法は、活性触媒を選択する段階、および有機溶剤または有機溶剤の混合物を含有する1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階を含んでなり、各溶剤が20℃から25℃の温度で測定して約5から約55の範囲内の誘電定数を有する。
【0011】
本発明は、また、本発明のVPO触媒を作製するための方法により入手可能なVPO触媒も提供する。
【0012】
この発明は、この発明のVPO触媒の存在において直鎖または環中に少なくとも4個の炭素を有する炭化水素を分子状酸素含有ガスと反応させることを含んでなる、マレイン酸無水物を製造するための方法をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
驚くべきことには、VPO触媒前駆体の焼成による活性化に引き続いて活性VPO触媒を流体との接触にかけると、マレイン酸無水物の製造において改善された触媒性能を有するバナジウム、リン、および酸素を含む触媒(この明細書中では「VPO触媒」と呼ぶ)が作製されるということが見出された。VPO触媒に関する先行する教示に鑑みると、この結果は想定外である。すなわち、活性VPO触媒の接触によって、固体表面に吸収された化合物が生じ、このような触媒の性能に悪影響を及ぼすということを当業者ならば想定するであろう。
【0014】
この明細書中で使用される時、「焼成」は、VPO触媒前駆体の1つ以上のガスおよび/または熱処理段階を一般に包含する。このように、用語「活性」VPO触媒は、1回以上のガスおよび/または熱処理段階により処理することによってVPO触媒前駆体から変換された触媒を指す。
【0015】
用語「改善された触媒性能」とは、収率、選択性、転化;経時的な収率、選択性もしくは転化性能、および操作性を含む、VPO触媒の性質の少なくとも1つにおいて改善が存在するという意味である。本発明の目的には、用語「収率」は、反応器の中に導入される炭化水素フィード原料のモル数に対する得られるマレイン酸無水物のモル数の比掛ける100を意味し、モル%で表わされる。用語「選択率」は、反応もしくは転化された炭化水素フィード原料のモル数に対する得られるマレイン酸無水物のモル数の比掛ける100を
意味し、モル%で表わされる。用語「転化率」は、反応器の中に導入される炭化水素フィード原料のモル数に対する反応した炭化水素フィード原料のモル数の比掛ける100を意味し、モル%で表わされる。
【0016】
したがって、本発明は、活性VPO触媒を選択する段階、および有機溶剤を含有する1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階を含んでなる、改善された触媒性能を呈するVPO触媒を作製するための方法を提供する。この流体は有機溶剤の混合物も含み得る。
【0017】
本発明のために選択される活性VPO触媒は、有機選択酸化、特にマレイン酸無水物の製造に使用されるいかなる種類の既知の活性VPO触媒であり得る。幅広く述べると、活性VPO触媒は、バナジウム含有化合物とリン含有化合物をアルコール性媒体中で反応させて、VPO触媒前駆体を生成させ、焼成によりVPO触媒前駆体を活性化して、前駆体組成物の実質的な区分をピロリン酸バナジル(VO)に転化することにより作製される。このように、一つの態様においては、活性VPO触媒は、触媒の重量基準で少なくとも70重量%の(VO)を有する材料であり得る。もう一つの態様においては、活性VPO触媒は、触媒の重量基準で少なくとも90重量%の(VO)を有する材料であり得る。本発明での使用に好適な活性VPO触媒の市販の例は、Huntsman Corporation(The Woodlands,Texas)により商品名MARS Vで販売されている。
【0018】
バナジウム含有化合物は、一般に、五価のバナジウムを含有する化合物であり、五酸化バナジウムまたはメタバナジン酸アンモニウム、オキシ三ハロゲン化バナジウム、およびアルキルカルボン酸バナジウムなどのバナジウム塩を含む。これらの化合物のうちで、五酸化バナジウムが好ましい。
【0019】
リン含有化合物は、好ましくは五価リンを含有する化合物である。好適なリン含有化合物は、リン酸、五酸化リンまたは五塩化リンなどのペルハロゲン化リンを含む。リン含有化合物のなかで、リン酸と五酸化リンが好ましい。
【0020】
場合によっては、バナジウムとリン含有化合物の反応が起こる前もしくは後のいずれかに、プロモーター元素を固体、固体の懸濁液または溶液として触媒前駆体スラリーに添加し得る。プロモーター元素の源としての役割りを行い得るプロモーター化合物は、金属ハライド、金属アルコキシド、および金属カルボン酸塩を含む。これらの化合物のなかで、金属カルボン酸塩が好ましい。金属塩に好適なカルボン酸塩は、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、および2−エチルヘキン酸塩を含む。これらのカルボン酸塩のなかで、2−エチルヘキン酸塩が好ましい。一つの態様においては、プロモーター元素は、Zr、Zn、Ti、Mn、Bi、Sn、Co、Ni、Mo、Nb、Cr、Feまたはそれらの組み合わせ物を含む。
【0021】
バナジウムとリン含有化合物の間の反応は、いかなる好適な温度においても行われ得る。一つの態様においては、この反応を約90℃から約120℃の範囲内の温度および1.05から1.15のP/V比で行い得る。
【0022】
反応の実施の過程の間に、VPO触媒前駆体が生成し、随意のプロモーター元素を含有し得る微粉砕された沈澱物として前駆体スラリーから沈澱する。VPO触媒前駆体は、約50℃以下に冷却した後で濾過、遠心分離、およびデカンテーションを含む当業者に周知された慣用の方法により回収され得る。
【0023】
次に、VPO触媒前駆体を例えば、約110℃から約150℃までの比較的穏やかな温度で乾燥してもよく、次に約200℃から約275℃までの範囲の温度で「後乾燥」処理(焙煎)にかける。
【0024】
次に、VPO触媒前駆体を1回以上のガスおよび熱処理により活性VPO触媒に直接に転化するか、もしくは最初にプレスまたは金型中で圧縮して、スラグを生成し、次にガスおよび熱処理にかけてもよい。約1.20g/cmと約1.70g/cmの間の、好ましくは約1.40g/cmと約1.60g/cmの間の測定密度の任意の所望の形状に、もしくは円筒、ピラミッド、立方体または球などの形状にスラグを圧縮してもよい。所望ならば結合剤および/または潤滑剤は、スラグの全重量基準で約2%から約6重量%の範囲の量で添加され、でんぷん、カルシウムステアレート、ステアリン酸、およびグラファイトを含み得る。
【0025】
VPO触媒前駆体の活性VPO触媒への転化を(1)初期の熱上げ段階、(2)急速な熱上げ段階、および(3)維持/仕上げ段階の3つの制御された段階で行い得る。
【0026】
初期の熱上げ段階においては、VPO触媒前駆体は、空気、水蒸気、不活性ガス、およびそれらの混合物から選択される雰囲気中で任意の好都合な熱上げ速度で加熱される。一般に、初期の熱上げ段階に好適な温度は、約200℃から約300℃の、あるいは約250℃から約275℃の範囲にある。
【0027】
初期の熱上げ段階において所望の温度に到達した後、初期の熱上げ段階において到達した温度にVPO触媒前駆体を維持しながら、初期に選択される雰囲気(それが分子状酸素および水蒸気を含有せず、ならびに/もしくは急速な熱上げ段階に所望されるものと異なる組成を有する場合には)を分子状酸素/水蒸気含有雰囲気により置き換え得る。このような雰囲気は、場合によっては不活性なガスを含有し、式
(O(HO)(IG)
により好都合に表わされ得る。
式中、IGは不活性ガスであり、x、y、およびzは分子状酸素/水蒸気含有雰囲気中のO、HO、およびIG成分のモル%(または容積%)を表わし;xは0モル%以上であるが、100モル%以下の値を有し;yは0モル%以上であるが、100モル%以下の値を有し;ならびにzは分子状酸素/水蒸気含有雰囲気の残余を表わす値を有する。一つの態様においては、雰囲気は、分子状酸素および水(水蒸気として)の少なくとも一部を含有し得る。式により示されるこのような雰囲気中での不活性ガスの存在は随意である。分子状酸素/水蒸気含有雰囲気における使用に好適な不活性ガスの非限定的な例は、(分子状)窒素、ヘリウム、アルゴンなどを含み、窒素が一般に好ましい。
【0028】
分子状酸素/水蒸気含有雰囲気を準備したならば、VPO触媒前駆体を急速な熱上げ段階にかける。急速な熱上げ段階においては、1分当り約2℃(℃/分)から約12℃/分の、好ましくは約4℃/分から約8℃/分のプログラムされた速度で水和水の除去に有効な値まで初期の熱上げ段階の温度を上昇し得る。一般に、約340℃から約450℃までの、あるいは少なくとも約350℃の、あるいは約375℃から約425℃までの温度が好適である。
【0029】
急速な熱上げ段階に続いて、VPO触媒前駆体を維持/仕上げ段階にかける。維持/仕上げ段階においては、温度は、350℃以上であるが、550℃未満の、好ましくは約375℃から約450℃までの、最も好ましくは約400℃から約425℃までの値に調整され得る。次に、調整された温度を最初に、約+4.0から約+4.5までのバナジウム酸化状態をもたらすのに有効な時間分子状酸素/水蒸気含有雰囲気中に維持し、その後VPO触媒前駆体の活性VPO触媒への変換を完結するのに有効な時間非酸化性の水蒸気含
有雰囲気中に維持する。分子状酸素/水蒸気含有雰囲気に類似した方法で、非酸化性の水蒸気含有雰囲気は、不活性ガスを場合によっては含有し得る。窒素が一般に好ましい不活性ガスである。
【0030】
活性VPO触媒は、1つ以上の異なる物理的な形状であり得る。一つの態様においては、活性VPO触媒は、任意の粒子サイズまたは粒子サイズを有する粉末の形である。もう一つの態様においては、活性VPO触媒は賦型体の形である。賦型体は、円柱、円筒、球、ペレット、三つ葉型、四つ葉型、ビーズ、環、錠剤または不規則な形状を含む、いかなる形状であってもよい。賦型体の例は、内容が参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第5,168,090号に述べられている。
【0031】
内容が参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第5,773,382号および第5,275,996号に述べられている、細孔剤または細孔形成剤によっても、活性VPO触媒賦型体内部の細孔サイズを変え得る。
【0032】
本発明での使用のために、活性VPO触媒を1つ以上の流体との一連の接触にかける。一連の接触は、単一の接触段階と、1つ以上の流体を使用する連続した接触段階の組み合わせを含むとこの明細書中では理解される。
【0033】
本発明によれば、流体は有機溶剤または有機溶剤の混合物を含んでなる。一つの態様においては、各有機溶剤は約5から約55の範囲内の誘電定数を有する。もう一つの態様においては、有機溶剤はすべて約10から約50の範囲内の誘電定数を有する。この明細書中で使用される時、用語「誘電定数」は、真空中での同一粒子の周りの電場強度と比較した、有機溶剤に溶解した帯電粒子の周りの電場の低減の尺度として定義される。このように、誘電定数は有機溶剤の極性の尺度である。与えられた溶剤の誘電定数が高いほど、溶剤に溶解する2つのイオンの間の静電気力は引力および斥力の両方とも小さくなる。例えば、反対電荷のイオンは、高い誘電定数の溶剤中で解離する著しい傾向を有する。加えて、誘電定数の値は測定温度に依存する。ここで、有機溶剤の誘電定数は、室温または20℃と25℃の温度で測定した誘電定数を指す。
【0034】
使用に好適な有機溶剤の例は、限定ではないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、ジメチルスルホキシド、テトラフラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、およびそれらの混合物を含む。
【0035】
流体は、大部分、有機溶剤または有機溶剤の混合物を含んでなるのがふさわしい。このように、流体の有機溶剤含有量は、一つの態様においては、好ましくは流体の重量に対して少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、なおさらに好ましくは少なくとも99重量%、特に、少なくとも99.9重量%、ならびにさらに特に少なくとも99.99重量%である。一つの態様においては、流体は有機溶剤または有機溶剤の混合物からなる。
【0036】
もう一つの態様においては、流体は、限定ではないが、水、他の有機物または無機物を含む比較的小量の他の成分をさらに含み得る。
【0037】
接触の程度およびタイプは、連続的な方法で行われるか、もしくはバッチタイプの操作で行われ得る。1回の接触でもよいが、接触の数は2もしくは3回以上、例えば5もしくは10回まででもよい。活性VPO触媒の接触は流体に対して固定的なもの、またはゆっ
くりとした動きのものでもよい。このように、一つの態様においては、活性VPO触媒を固定して保ち、流体を触媒に対して動かすか、もしくはその逆を行う。相対的な運動速度は、触媒のプレ賦型体に実質的に損傷を与える速度でなければ、流体中の有機溶剤の活性VPO触媒体の中への拡散を可能とさせるいかなる範囲のものであってもよい。
【0038】
活性VPO触媒の量に対する接触で使用される流体の量は、活性VPO触媒を被覆するのに充分であってもよい。好ましくは室温(すなわち、20°から25℃)から流体の沸点の約100℃上の、さらに好ましくは室温から流体の沸点までの範囲内のいかなる好適な温度範囲においても接触を行い得る。好ましくは大気圧から5バールまでの、さらに好ましくは大気圧から3バールまでの、ならびに最も好ましくは2バール近傍のいかなる圧力範囲においても接触を行い得る。
【0039】
処理条件によって接触時間を変え得る。接触時間は、所望の改善された触媒性能に達するのに必要、かつ経済的に実行可能な長さで数分から数週であり得る。このように、一つの態様においては、接触時間は、約5分から約2日までの長さの範囲であり得る。もう一つの態様においては、接触時間は、約0.5時間から約12時間までの長さの範囲であり得る。
【0040】
VPO触媒との接触の後、乾燥段階を行うことが望ましいことがある。接触されたVPO触媒の乾燥をある雰囲気下である温度範囲で行い得る。一つの態様においては、乾燥は、ほぼ室温(すなわち、20℃から25℃)からVPO触媒から流体を除去するのに充分な温度、例えば300℃までの範囲の温度で行われ得る。もう一つの態様においては、VPO触媒から流体を除去する温度は約200℃であり得る。乾燥時の温度は一定に維持されるか、もしくは経時的に変え得る。乾燥は、ほぼ大気圧から10ミリバールまたは50ミリバールの真空までの圧力範囲下で行われ得る。雰囲気は、空気または不活性ガスまたは空気と不活性ガスの混合物を含み得る。不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭素酸化物、およびそれらの混合物を含み得る。一つの態様においては、雰囲気は空気または窒素またはそれらの混合物を含む。乾燥段階の時間の長さは、乾燥条件によって、約0.1時間から1週間までもしくは約0.5時間から3日まで、もしくは約1時間から12時間まで変わり得る。
【0041】
本発明は、また、直鎖または環中に少なくとも4個の炭素を有する炭化水素と分子状酸素含有ガスとを本発明のVPO触媒の存在において反応させることを含んでなる、マレイン酸無水物を製造するための方法も提供する。この方法はバッチ法として行われ得る;しかしながら、この方法を連続法として行うのがさらに好適である。一つの態様においては、この方法は、反応物質を含むガス状フィードを固体VPO触媒と接触させる気相法である。固体VPO触媒は、充填床または固定床の形でもしくは触媒粒子の流動床の形で存在し得る。一つの態様によれば、VPO触媒は、上述の賦型体を有する固定床反応器中で使用され得る。もう一つの態様においては、VPO触媒は、約300ミクロン未満の粒子サイズを有する粉砕触媒粒子を用いて、流動床または輸送床反応器中で使用され得る。
【0042】
さらにもう一つの態様においては、VPO触媒は、熱交換器タイプの反応器付きの管−殻固定床(管状)中で使用される。このような反応器の管は、鉄、ステンレススチール、炭素鋼、ニッケル、および/またはガラスから構成され、約0.635cm(0.25インチ)から約5.08cm(2インチ)までの直径、および約15.24cm(6インチ)から約762cm(25フィート)以上までの長さで変わり得る。比較的一定温度の反応器の表面と一部の媒体が反応器から熱を伝えるようにすることが望ましい。理論による制約無しで、このような媒体は温度制御を助ける。このような媒体の非限定的な例は、ウッドメタル、溶融イオウ、水銀、溶融鉛、および共融性塩浴を含む。管を囲む金属が温度調整体として作用する金属ブロック反応器も使用され得る。
【0043】
直鎖または環中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素は、この明細書中で使用される時には、直鎖中もしくは環中のいずれかに少なくとも4個の炭素原子を含有する炭化水素を指す。この炭化水素は飽和、不飽和、環状もしくは芳香族であり得る。例として、飽和炭化水素のn−ブタンは満足であるが、イソ−ブタン(2−メチルプロパン)はその存在は有害でないが、マレイン酸無水物への転化に対しては満足でない。通常、この炭化水素は4から10個までの炭素原子を含有する。このように、n−ブタンに加えて、他の好適な飽和した炭化水素は、直鎖中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素がこの飽和炭化水素分子中に存在する限り、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、およびそれらのいかなるものの混合物をn−ブタンの有無において含む。
【0044】
直鎖中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素は不飽和炭化水素も含む。使用に好適な不飽和炭化水素は、直鎖中に少なくとも4個の炭素原子を有する必要な炭化水素がこの分子中に存在する限り、1−ブテンおよび2−ブテンなどのブテン、1,3−ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、およびそれらのいかなるものの混合物をブテンの有無において含む。
【0045】
もう一つの態様においては、環中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素は、環状炭化水素、例えば、シクロペンタンおよびシクロペンテンまたはベンゼンなどの芳香族炭化水素である。
【0046】
好ましくは、直鎖または環中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素は、飽和炭化水素としてはn−ブタン、不飽和炭化水素としては1−ブテンまたは2−ブテン、および芳香族炭化水素としてはベンゼンから選択され、n−ブタンがすべてのフィード原料のうちで最も好ましい。前述のフィード原料は純粋な物質でないが、工業用グレードの炭化水素であり得るということが特記される。さらに、直鎖また環中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素の混合物も使用され得る。
【0047】
炭化水素をマレイン酸無水物に転化する反応は、空気、合成空気、分子状酸素を富化した空気などの分子状酸素含有ガス(分子状酸素を含む)または「純粋」酸素(すなわち、空気分留から得られる酸素)と混和された、直鎖また環中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素をVPO触媒と高温で接触させることを含み得る。炭化水素および分子状酸素含有ガスに加えて、窒素および水蒸気などの他のガスが存在するか、もしくは反応物質フィード流れに添加され得る。一つの態様においては、この炭化水素を分子状酸素含有ガス、好ましくは空気と約1モルパーセントから約10モルパーセントまでの炭化水素の濃度で混和し、約100時−1から約4,000時−1までの空間速度、約300℃と約600℃の間の温度で、好ましくは1,000時−1から3,000時−1、および約325℃から約450℃でVPO触媒と接触して、マレイン酸無水物への優れた収率および選択率を達成し得る。
【0048】
この反応は大気圧、大気圧以上または大気圧以下で行われ得る。一つの態様においては、この反応は大気圧において、もしくはその近傍で行われ得る。一般に、約1.013×10−2kPa・ゲージ(14.7psig、1気圧)から約3.45×10−2kPa・ゲージ(50psig)までの圧力を好都合に使用し得る。
【0049】
一つの態様においては、フィード原料が4個以上の炭素原子を含有する炭化水素である場合には、小量のシトラコン酸無水物(メチルマレイン酸無水物)も生成し得るが、前述の好適なフィード原料の酸化からの主生成物はマレイン酸無水物である。VPO触媒を使用することにより製造されるマレイン酸無水物は、いかなる好適な手段によっても回収され得る。例えば、マレイン酸無水物は、直接的な凝縮により、もしくは好適な媒体中への
吸収により回収され得、以降に分離および精製される。
【0050】
次に、回収されるマレイン酸無水物は、種々の用途で、例えば、フマル酸および酒石酸の合成、ならびにある農薬、染料中間体、および医薬品における化学中間体として使用され得る。これは、また、ポリエステルおよびアルキッド樹脂用のコモノマーとして、表面被覆剤、潤滑剤添加物、可塑剤の製造における成分として、ならびに油脂における保存剤として使用され得る。
【0051】
明確にするために別々の態様の文脈でこの明細書中で述べられる本発明のある特徴は、単一の態様中において組み合わせでも示され得るということは明白である。逆に、単一の態様の文脈で述べられる本発明の特徴は、別々もしくは任意の好適な下位組み合わせでも示され得る。
【0052】
本発明の明快な理解を促進するために、本発明を実施する最良の現時点で既知の方法を例示する、後続の具体的な実施例を詳細に述べる。詳細な説明によれば本発明の精神内の種々の変更および改変が当業者には明らかになるので、本発明の適用の詳細な説明は、好ましい態様を表示する一方で、単なる例示のために与えられるものであり、本発明を限定するものとみなされるものでないということを理解すべきである。
【0053】
この発明の種々の例示的な態様をさらに例示するために、次の非限定的な例を示す。
【実施例】
【0054】
本発明にしたがって製造されるVPO触媒は、ミクロ反応器中でマレイン酸無水物の収率にメリットがあることが判った。性能試験によって、作製条件により約1%から約5%の収率増加が実証された。本発明によるVPO触媒をパイロット規模反応器にも装填し、本発明による方法によらない市販の触媒と比較して>2.5%のマレイン酸無水物製造の収率増加を得た。
【0055】
ミクロ試験の一般的な説明
空気中の2.0±0.2モル%のn−ブタン、約15.0psigの入口圧力、および1500GHSVを含む、標準化された反応条件の組における固定床マレイン酸無水物反応器中の性能について予備成形された触媒を試験した。約11.7gのVPO触媒を1.092cm内径×30.48cm長(0.43インチ内径×1フィート長)の反応器に装填して、ほぼ15.24cm(6インチ)の長さの触媒床を得た。特記しない限り、収率を求める前に、この触媒を標準化された性能試験条件において約20時間から約130時間の期間運転した。85.0±0.2モル%のn−ブタン転化率で触媒を運転した場合の最大収率を各触媒に対して求めた。
【0056】
各試験において、マレイン酸無水物の収率改善を比較するために、本発明による方法を行った対応する市販の活性VPO触媒と平行して市販の活性VPO触媒を同一の条件下で試験した。これらの試験で使用した触媒は、三つ葉型もしくは円筒の形状を有するものであった。下記の実施例の触媒の予備的なX線回折データは、市販の触媒のX線回折データとの差異を示す。
【0057】
実施例1
この実施例は、エタノールを有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。30グラム(g)の市販のVPO触媒(Mars V,Huntsman Corporation)を容器の中に入れ、接触にかけた。触媒を攪拌せずにエタノール中に6時間浸漬することにより、接触を行った。次に、有機溶剤を容器から排出し、触媒を取り出した。触媒を室温で数時間風乾し、炉に入れ、パージガスとしてNにより40℃
で10時間さらに乾燥した。本発明によるVPO触媒は、21.2m/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を呈する市販の触媒と比較して、29.2m/gのBET表面積を呈した。
【0058】
次に、触媒を上述の条件において性能試験した。エタノールと接触させたVPO触媒は、ミクロ試験において56.4%のマレイン酸無水物収率をもたらし、それに対してエタノールと接触させなかったVPO触媒はミクロ試験において55.2%のマレイン酸無水物収率をもたらした。
【0059】
実施例2
この実施例は、エチレングリコールを有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。新鮮なエチレングリコール(EG)を入れた熱浴を100℃まで加熱した。有機溶剤が容器中の触媒に接触することができる穴を有する容器の中に100gの市販のVPO触媒を入れた。次に、容器をEG浴の中に浸漬することにより、触媒を接触にかけた。触媒をEGと3時間接触させ、次に浴から取り出し、100℃で予熱した炉の中に入れ、窒素パージにより3時間乾燥した。次に、炉の温度を2℃/分で190℃の温度まで昇温し、触媒をこの温度で3時間さらに乾燥した。次に、炉の温度を2℃/分でさらに250℃まで昇温し、触媒をこの温度で3時間乾燥した。
【0060】
上述の条件における性能試験によって、EGと接触させたVPO触媒がミクロ試験において60.5%のマレイン酸無水物収率を与えるということが示された。比較として、EGと接触させなかったVPO触媒は、ミクロ試験において56.6%のマレイン酸無水物収率を与えた。
【0061】
実施例3
この実施例は、アセトニトリルを有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。30gの市販のVPO触媒を容器の中に入れた。触媒をアセトニトリルに浸漬することにより、接触を行った。触媒をアセトニトリルと8時間攪拌せずに接触させた。次に、有機溶剤を容器から排出し、触媒を取り出した。触媒を室温で数時間風乾し、炉の中に入れ、50℃で1時間、60℃で1時間、最後に70℃で6時間パージガスとしてNによりさらに乾燥した。
【0062】
本発明によるVPO触媒は、21.4m/gのBET表面積を呈する市販の触媒よりもずっと大きい、35.5m/gのBET表面積を呈した。
【0063】
次に、触媒を上述の条件で性能試験した。アセトニトリルと接触させたVPO触媒は、ミクロ試験において55.2%のマレイン酸無水物収率を与え、それに対してアセトニトリルと接触させなかったVPO触媒は、ミクロ試験において53.8%のマレイン酸無水物収率を与えた。
【0064】
実施例4
この実施例は、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド、>99.8%)を有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。30gの市販のVPO触媒を容器の中に入れた。触媒をDMFに4時間攪拌せずに浸漬することにより、接触を行った。次に、有機溶剤を容器から排出し、触媒を取り出した。触媒を室温で数時間風乾し、炉の中に入れ、120℃で2時間、140℃で6時間パージとしてNによりさらに乾燥した。本発明によるVPO触媒は、21.2m/gのBET表面積を呈する市販の触媒と比較して、26.3m/gのBET表面積を呈した。
【0065】
次に、触媒を上述の条件で性能試験した。DMFと接触させたVPO触媒は、ミクロ試
験において53.58%のマレイン酸無水物収率を与え、それに対してDMFと接触させなかったVPO触媒は、ミクロ試験において52.6%のマレイン酸無水物収率を与えた。
【0066】
実施例5
この実施例は、プロピレングリコール(PG)を有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。壁に穴を有する容器の中に80gの市販のVPO触媒を入れた。PGを入れた予熱した熱浴(100℃)に触媒を入れた容器をゆっくりと浸漬することにより、接触を行った。触媒を6時間接触させ、次に浴から取り出し、窒素パージしながら予熱した炉(100℃)の中に入れた。次に、炉の温度を2℃/分で180℃の温度まで昇温し、触媒を1時間乾燥した。次に、炉の温度を3℃/分でさらに190℃まで昇温し、触媒を3時間乾燥した。炉の温度を3℃/分で250℃まで再度昇温し、触媒を3時間乾燥した。本発明によるVPO触媒は、20.8m/gのBET表面積を呈する市販の触媒と比較して、36m/gのBET表面積を呈した。2つの触媒の性能試験によって、市販のVPO触媒と比較して本発明による触媒に対して3パーセントポイントのマレイン酸無水物収率増加が示された。
【0067】
実施例6
この実施例は、1,4−ブタンジオールを有機溶剤として使用することにより、改善された触媒性能を示す。壁に穴を有する容器の中に80gの市販のVPO触媒をプロモーターとしてのMoと共に入れた。触媒を入れた容器を1,4−ブタンジオールを入れた予熱した熱浴(100℃)にゆっくりと浸漬することにより、接触を行った。触媒を1,4−ブタンジオールと4時間接触させ、浴から取り出し、窒素パージしながら予熱した炉(100℃)の中に入れた。次に、炉の温度を2℃/分で220℃の温度まで昇温し、触媒を1時間乾燥した。次に、炉の温度を2℃/分でさらに230℃の温度まで昇温し、触媒を3時間乾燥した。炉の温度を3℃/分で250℃まで再度昇温し、触媒を3時間乾燥した。本発明によるVPO触媒は、19.8m/gのBET表面積を呈する元の市販の触媒と比較して、28m/gのBET表面積を呈した。2つの触媒の性能試験によって、本発明による触媒に対しては市販のVPO触媒と比較して3パーセントポイントのマレイン酸無水物の収率増加がミクロ試験において示された。
【0068】
実施例7
この実施例は、パイロット規模反応器中で行われた性能試験で本発明のVPO触媒(実施例2に述べたようにエチレングリコール(EG)と接触させた市販のVPO触媒)による改善された触媒性能を示す。このパイロット規模の反応器は20フィートの長さおよび1インチの内径であり、底部に6インチのアルミナ、その上に212インチのVPO触媒、および頂部に約34インチのアルミナを装填した。空間速度を1820m/m・時で制御し、n−ブタンフィード濃度を2.0±0.2%で制御した。本発明による触媒を用いて500時間流した後、マレイン酸無水物収率は、ほぼ85%のn−ブタン転化率で58.6%に維持され、EGと接触させなかった市販の触媒を用いる場合に維持されるマレイン酸無水物収率よりも1.6%高かった。
【0069】
本発明およびその利点を詳細に述べたが、添付のクレームにより規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更、置換、および改変をこの明細書で行い得るということが理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)活性VPO触媒を選択する段階;および
(ii)有機溶剤を含む1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階
を含んでなる、VPO触媒を作製するための方法。
【請求項2】
有機溶剤が20℃から25℃の温度で測定して約5から約55の範囲内の誘電定数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機溶剤が20℃から25℃の温度で測定して約10から約50の範囲内の誘電定数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
有機溶剤がメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、DMF、ジメチルスルホキシド、テトラフラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
活性VPO触媒が触媒の重量基準で少なくとも90重量%の(VO)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
活性VPO触媒がプロモーターをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
接触が室温から流体の沸点の100℃上までの範囲内の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
接触が室温から流体の沸点までの範囲内の温度で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
接触が大気圧から5バールまでの範囲の圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
接触が大気圧から3バールまでの範囲の圧力で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
接触されたVPO触媒を乾燥することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
乾燥が室温から300℃までの範囲の温度で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
乾燥が空気、不活性ガスまたはそれらの混合物を含む雰囲気中で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
(i)活性VPO触媒を選択する段階;および
(ii)有機溶剤を含む1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階
を含んでなる方法により作製されるVPO触媒。
【請求項15】
有機溶剤が20℃から25℃の温度で測定して約5から約55の範囲内の誘電定数を有する、請求項14に記載のVPO触媒。
【請求項16】
活性VPO触媒が円柱、円筒、球、ペレット、三つ葉型、四つ葉型、ビーズ、環、錠剤または不規則な形状を含んでなる、請求項14に記載のVPO触媒。
【請求項17】
(i)活性VPO触媒を選択する段階;および
(ii)有機溶剤を含む1つ以上の流体と活性VPO触媒を接触させる段階
を含んでなる方法により作製されるVPO触媒の存在において直鎖中に少なくとも4個の炭素を有する炭化水素を分子状酸素含有ガスと反応させることを含んでなる、マレイン酸無水物を製造するための方法。
【請求項18】
有機溶剤が20℃から25℃の温度で測定して約5から約55の範囲内の誘電定数を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
炭化水素が飽和炭化水素、不飽和炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
炭化水素がn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ベンゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
反応が300℃から600℃までの範囲の温度、約100時−1から約4000時−1までの範囲の空間速度、および大気圧以下から大気圧以上までの範囲の圧力において行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
反応が約325℃から450℃までの範囲の温度、約1000時−1から3000時−1までの範囲の空間速度、および約1.013×10−2kPa−ゲージから約3.45×10−2kPa−ゲージまでの範囲の圧力において行われる、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−501697(P2011−501697A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530190(P2010−530190)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080681
【国際公開番号】WO2009/055406
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509344984)ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】