マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)及びその複合体の機能的決定方法
本発明は、補体系の構成要素の活性を決定、分析または定量化する分野に関するものである。より詳細には、マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)、または、そのようなプロテアーゼとレクチンとの複合体の試料中の活性の存在または水準を検出すること、および、レクチンそれ自体を検出することに本発明は関する。MASPにより開裂可能なコンセンサス配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys-Ile/Leu/Val-Zzz-Gly-Glyであって、ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよくかつZzzは脂肪族アミノ酸が好ましいものを、活性化部位に有するプロウロキナーゼとともにサンプルを温置すること、および、該プロウロキナーゼのタンパク質分解的活性化を決定することからなる、サンプル中のMASPの活性を決定する方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補体系の構成要素の活性を決定、分析または定量化する分野に関するものである。より詳細には、マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)、または、そのようなプロテアーゼとレクチンとの複合体の試料中の活性の存在または水準を検出すること、および、レクチンそれ自体を検出することに本発明は関する。この発明はMASPによりタンパク質分解的に基質として活性化されることのできる組み換え酵素前駆体にも関連している。得られた、活性化された酵素前駆体の活性は、試料中のMASP活性の尺度となる。この発明は、そのような酵素前駆体、および、改変された酵素前駆体をコードする発現ベクターを含む分析キットも提供する。
【背景技術】
【0002】
補体系は、細菌、酵母、真菌およびその他微生物を認識し、そして殺し、さらには宿主細胞を変質させる生態防御システムである。補体系は、酵素としてまたは結合タンパク質として機能する約20の血漿タンパク質からなる。これらの血漿タンパク質に加えて、補体系は、補体タンパク質の生理学的断片に対する特異性を示し、そしてさまざまな細胞種に表れる、複数の異なる細胞表面受容体を含む。また、自己の補体活性化を防ぐこと及び宿主細胞を偶発的な補体からの攻撃から守ることのために機能する、いくつかの調節膜タンパク質もある。補体系は、標的認識の方法が異なることによって3つの経路に分けられうる。近年同定されたレクチン経路では、認識は、マンナン結合性レクチン(MBL)及びフィコリンのようなレクチンにより仲介される。MBLは、マンノース、フコースそしてN-アセチルグルコサミンのような非荷電の炭水化物を認識し、一方でL-フィコリンは、N-アセチルグルコサミンとの高い親和性を有するフィコリン/P35としてもしられているが、マンノースとの親和性はない。このレクチンは細菌、ウィルス、真菌、原生動物そして変質した細胞に対して、細胞表面に繰り返しパターンで生じる炭水化物との相互作用により結合することができる。
【0003】
MBLとL-フィコリンは、関連するセリンプロテアーゼのグループ、すなわちマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)とともに複合体を形成することができる。炭水化物−レクチン−MASP複合体では、MASP酵素は活性化されて、活性セリンプロテアーゼを生成する。MASP活性化のメカニズムは、完全には解明されていないが、補体成分C1r/C1sの活性化と似ている可能性が高い。活性なMASPは他の補体成分を活性化することができ、そして、最終的には標的(微生物または細胞)を殺すことができる補体成分C3の活性化を最終的には導く。
【0004】
レクチンMBLの欠損は比較的頻繁に起こり、感染感受性を増大させることになるかもしれず、これは、幼い子供や免疫抑制措置を受けた患者のような、不適切に機能する適応的免疫システムを持つ個体にとっては特に問題である。その他のレクチンの役割は明らかでない。プロテアーゼ(たとえばMASP)の欠損も起こる。MBL及び/またはMASPの決定は、このように免疫系の障害の診断に重要であり、欠損の場合の感染を防ぐための治療における適応のための手がかりを提供するだろう。
【0005】
MBL、MASP、MBL-MASP複合体の同定方法は知られている。
ELISAのような通常の免疫測定方法は、これらタンパク質の低濃度を含む欠損を同定するのに採用されうる。しかしながら、タンパク質の低い本来的な活性や機能性をもたらす欠損は、そのような方法では検出することができない。そのため、MBL及び/またはMASPの生物学的に関連のある活性を計測し、そして、それらの存在または濃度のみを計測するだけではない機能的な分析が好まれる。
【0006】
MBL-MASP複合体及びMASPの機能的な分析が報告されてきている。多くの場合、それらの分析は補体成分C4の活性化に基づくものであり、分析解読は免疫分析または溶血性の分析によりなされる。C4活性化を採用した分析は手がこんでおり、多くの操作を必要とするうえに、C4、(ヒトの)血液由来のC4調製物、または血液細胞さえも使うことにより、再現性の妨げや有害なウィルスの混入の可能性につながる。
【0007】
MASPのための合成ペプチド基質が開発された。そのような基質は、概して、MASPにより認識されそして開裂される短いペプチド配列からなる。一般的にはこのペプチドは発色または蛍光脱離基を結合している。MASPによるそのようなペプチド基質の開裂は色彩の形成または発光の出現を生じる(例として
参照)。合成ペプチド基質を採用したこの分析方法は、基質としてのC4の使用に伴う問題を有さないが、複雑な生物学的な試料への適用には、しばしば、感受性が十分ではなく、及び/または、十分な特異性が得られなかったりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、試料中の(MBL-)MASP活性の特異的かつ感度の良い検出を可能とする分析が明確に(臨床的に)必要である。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、意外にも、セリンプロテアーゼプロウロキナーゼ(pro-uPAとも呼ばれる)は活性なMASPのための基質であることを発見した。その活性部位でのプロウロキナーゼの開裂は、活性ウロキナーゼを生じ、その活性は、既知の合成ペプチド基質を用いて、容易に検出でき、そして定量できる。このように、プロウロキナーゼ中のMASP開裂部位の存在は、“リポーター酵素”としてのプロウロキナーゼの、MASPにより仲介されて活性なウロキナーゼ酵素になるタンパク質分解活性を計測することにより、MASP活性の間接的な検出を可能とする。
【0010】
本発明は、試料中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性決定方法を提供し、これは、活性化部位にMASPにより開裂されるコンセンサス配列である
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)を有するプロウロキナーゼと試料を温置すること、そして、該プロウロキナーゼのタンパク質分解活性を決定することを含む。ZzzはIle、Leu、または、Valであることが望ましく、ZzzはIleであればより望ましい。天然に発生するプロウロキナーゼの活性化による結合開裂は、開裂部位配列
の中のLys(Lys158)とIle(Ile159)の間のペプチド結合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施態様では、天然ウロキナーゼに見られる活性化配列を活性化部位に有するプロウロキナーゼを試料と温置することを、方法は含む。天然に発生する(例えば野生型の)プロウロキナーゼを、本明細書に示したMASP活性分析におけるリポーター酵素として用いることが、より好ましい。しかしながら、上述のコンセンサス配列
を有する変異体プロウロキナーゼがリポーター酵素として使われることもありうる。表1は、MASP基質である、8つの異なるプロウロキナーゼ変異体(ここでは誘導体とも称される)の活性化部位の配列を示す。例えば、この発明の方法では、リポーター酵素として、活性化部位に配列
から成る集団から選択された配列を活性化部位に有するプロウロキナーゼを使う。野生型または変異型のプロウロキナーゼは、上述のプロウロキナーゼをコードする核酸構成物を導入された哺乳類宿主細胞から容易に入手できる(実施例1参照)。
【0012】
天然の野生型プロウロキナーゼがMASPの基質であるという発見は驚きであった、なぜなら、このプロウロキナーゼの形態の活性化配列は、MASPにより開裂可能な既知の天然MASP基質、または既知の(合成された)ペプチド基質における開裂部位配列と類似していないからである。例えば、補体構成要素のC4は開裂部位配列
(↓に示されたところが加水分解の部位)でMASPにより開裂され、補体構成要素C2は開裂部位配列
で、そして補体構成要素C3は開裂部位配列
の中で開裂され、これらのいずれも、天然プロウロキナーゼの活性化/開裂部位とは明らかに異なっており、また、本明細書で示された誘導体とも明らかに異なる。
【0013】
活性化配列の外側での1またはそれ以上の改変を加えたプロウロキナーゼ変異体もまた、含意される。酵素がその酵素活性を保持するという条件のもとで、天然プロウロキナーゼへの改変は、代替的にまたは追加的に、酵素の他の部分中に、しかし活性部位から近くないところに、在ることができる。そのような、2次的改変は、特定の用途のために酵素前駆体の特性を改良することにつながるだろう。有益な改変には、酵素前駆体の(熱に対する)安定性の増加、MASP以外のプロテアーゼに対する耐性の付与、(天然に)発生する阻害剤に対する耐性の付与、特定の結合相手(例えば、抗体またはリガンド)に対する反応性の付与、発現や精製を助ける等が含まれる。
【0014】
プロウロキナーゼは、機能的MASP検出分析におけるMASP基質として有利に利用されうる、という本発見は、プロウロキナーゼ以外のMASPにより開裂する酵素前駆体の設計へとさらに拡張されることができる。すると、そのような酵素は、機能的MASP分析におけるリポーター酵素としても利用することができる。この目的で、プロウロキナーゼのMASP活性化配列は(挿入または置換のいずれかにより)非プロウロキナーゼ酵素前駆体に導入されることができて、MASPによる酵素前駆体のタンパク質分解的活性化を可能にする。酵素前駆体は、通常はタンパク質分解により活性化され、そして、それらの活性化部位はたいてい既知であるため、どの部位にてプロウロキナーゼ活性配列で酵素前駆体を改変するかが明白だろう。実施態様のひとつでは、非ウロキナーゼ酵素前駆体は、MASPにより開裂されうるコンセンサス配列
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)により改変される。例えば、プロウロキナーゼ中に見られる8アミノ酸の活性化配列は、酵素前駆体の通常の活性化のために用いる活性化配列を置換するために、用いられる。しかしながら、MASPによる認識及び開裂にとって、プロウロキナーゼ活性化配列の後部4アミノ酸残基(Ile-Ile-Gly-Gly)は必須ではないことが判明したので、8残基未満のアミノ酸鎖を使うことも可能である。従って、天然型プロウロキナーゼの開裂部位の最後に位置するいくつかの残基は、MASP基質としての適合性を損なうことなく、除去することができるかもしれない。従って、この発明は、MASPにより活性化部位で開裂されることができて活性酵素を遊離する組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体とともに試料を温置すること、但し、上記活性化部位は活性化配列
(ここでのYyyはいずれのアミノ酸でもよい)を有する、そして、該酵素前駆体のタンパク質分解的活性化を判定することを含む、試料中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性決定方法にも関するものである。例えば、適当な活性化配列は、天然型プロウロキナーゼに見られる配列Pro-Arg-Phe-LysまたはArg-Phe-Lys、または、たとえばArgがLeuまたはGlyで置換されかつ/または、LysがArgで置換されている変異型を含む。当業者であれば、1またはそれ以上のアミノ酸残基を体系的に置換、除去、または追加でき、そしてMASPによりその配列が開裂するかどうかを試験することができるだろう。“組み換え”という用語は、本明細書では非天然発生的タンパク質を示すために使われる。すなわち、組み換えDNA技術によってのみ作成されるタンパク質のことである。
【0015】
前駆体の状態では不活性であり、かつ、開裂された形態においては活性である限り、組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体は原則としてどの種類の酵素でもよい。もちろん、活性化が容易に検出できる酵素前駆体が望ましい。例えば、酵素前駆体としては、プロウロキナーゼ由来の開裂部位配列により、リパーゼまたはプロテアーゼが本来的に有する開裂部位が置換されたリパーゼまたはプロテアーゼが挙げられる。リポーター酵素がプロテアーゼの場合、活性化されたプロテアーゼ前駆体による加水分解に際して検出可能な基や標識を遊離する(合成)ペプチド基質は、本発明の方法において特に有用である。そのようなペプチド基質の例として、発色または蛍光する基を有するものがある。より好ましい酵素前駆体は、プロウロキナーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ以外のセリンプロテアーゼ類からなる集団から選択されたプロテアーゼである。ひとつの実施態様では、酵素前駆体はカスパーゼ前駆体である。カスパーゼは、N末端プロドメインおよび、リンカーペプチドによりしばしば分離される二つのサブユニットを有する不活性酵素前駆体として合成される。成熟過程で、プロドメインとリンカーペプチドは特定のアスパラギン酸残基にて開裂され、二つのサブユニットの活性カスパーゼを生じる。タンパク質分解的なカスケードにおいて、ファミリーメンバーが順次活性化される。
【0016】
一形態において、本発明は、活性化部位中またはその近傍に、上述のプロウロキナーゼ由来のMASP開裂配列を有するカスパーゼ前駆体を提供する。この組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体は、市販されていて利用可能なものが多い(例としてwww.biomol.comを参照)発色または蛍光カスパーゼ基質を利用したMASP活性の検出に適当なリポーター酵素である。
【0017】
組み換えカスパーゼ前駆体は、例えば、元来の活性化部位を除去し、同じ場所である必要はないが、プロウロキナーゼ活性化部位を挿入することによるような、上述のMASPにより開裂可能な活性化部位によってカスパーゼ前駆体の活性化部位を置換することにより、カスパーゼ前駆体から得ることができる。組み換えカスパーゼ前駆体はカスパーゼ1前駆体、カスパーゼ3前駆体、カスパーゼ7前駆体、カスパーゼ8前駆体、カスパーゼ9前駆体およびカスパーゼ10前駆体からなるグループから選択されることが望ましい。MASP開裂配列は好ましくは、該カスパーゼ前駆体の本来の活性化部位から、30アミノ酸残基以内の距離に、20残基以内が望ましく、さらに望ましくは10残基以内の距離に導入される。これは、MASPによる開裂が活性カスパーゼを遊離することを確実にする。
【0018】
本発明の特に有用なひとつの実施態様は、該組み換え非ウロキナーゼ カスパーゼ前駆体が、カスパーゼ3前駆体またはカスパーゼ7前駆体である方法である。好ましくは、カスパーゼ3前駆体中のD175残基または野生型前駆体カスパーゼ7中のD198残基が、活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよい)により置換されている。本発明は、改変されたカスパーゼ前駆体それ自体も提供し、より詳しくは、MASPにより開裂可能な活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lysにより、本来の活性化部位の置換、または本来の活性化部位の領域のアミノ酸配列の置換により、カスパーゼ前駆体から得られる改変されたカスパーゼ前駆体であるか、あるいは、そのようなMASP開裂配列をカスパーゼ前駆体の本来の配列に挿入することである。
【0019】
上記から明らかであるように、リポーター酵素(野生型プロウロキナーゼ、変異型プロウロキナーゼ、または、組み換え非ウロキナーゼ酵素前駆体のいずれでも)のMASPで仲介された開裂は、リポーター酵素のタンパク質分解的活性化をもたらす。酵素前駆体の活性化の程度は、活性MASP量の尺度となる。
【0020】
プロウロキナーゼまたはその機能的誘導体の活性化は、既知のウロキナーゼペプチド基質により検出されうる(例 欧州特許出願公開第691409号参照)。そのようなペプチド基質は、概して、発色、蛍光または発光脱離基に結合された短いアミノ酸配列、しばしば3アミノ酸残基からなる。活性ウロキナーゼ(誘導体)の酵素作用は発色性、蛍光性、または、発光性の化合物の形成をもたらし、これは容易に利用できる装置によって検出可能である。ひとつの実施態様では、該ペプチド基質は化合物Xxx-Yyy-Arg-pNAである(ここで、XxxとYyyはいずれのアミノ酸でもよく、pNAはパラニトロアニリン部分である)。例えば、発色性基質pyro-Glu-Gly-Arg-pNA(Choromogenix, Milan, ItalyからのS-2444)は、MASP誘導によるプロウロキナーゼの活性化の評価を行う本発明の方法において、適当に利用される。
【0021】
他の実施態様では、ウロキナーゼ活性はプラスミノーゲンを基質として使うことで評価される。単鎖糖タンパク質のチモーゲンであるプラスミノーゲンは、線溶酵素プラスミンの前駆体である。プラスミノーゲンの天然型は、791のアミノ酸からなり、N末端にはグルタミン酸が配置されている(Glu-plasminogen)。ウロキナーゼ(または、その誘導体)によるプラスミノーゲンの開裂は、本明細書で示されるプラスミンによる加水分解の際に検出できる標識を遊離するプラスミン特異的ペプチド基質(例えば、D-バリル-L-ロイシル-L-リシン 4-ニトロアニリド)を使う本明細書に示される方法により、検出できる。
【0022】
MASPで仲介されるカスパーゼ前駆体の活性化は、当技術分野で公知の試薬を用いて容易に検出されうる。カスパーゼ基質は、典型的には、カスパーゼにより開裂され、さらには、開裂後に容易に検出できる部分を有するアミノ酸配列を有する合成化合物である。そのような基質及びいくつかの既知のカスパーゼ基質の配列の例が欧州特許出願公開第1443116号明細書に示されている。アミノ酸配列Asp-Glu-Val-Asp-pNA(ここで、pNAはp-ニトロ-アニリド)を有する合物が用いられることが望ましい。
【0023】
当業者であれば、本発明がさまざまな分析形式に利用されうることがわかるだろう。これらには、MASPまたはレクチン-MASP複合体の活性の測定や検出だけでなく、以下で示されるように、外来性のMASPを利用したレクチンそれ自体の検出も含まれる。
【0024】
MASPが比較的精製された、または濃縮された状態でサンプル中に存在する場合、MASP、酵素前駆体(例えば、プロウロキナーゼまたは組み換え非ウロキナーゼ酵素前駆体)そしてペプチド基質を適当な緩衝系にて単純混合を行うことが十分でありうる。
【0025】
生体液、生体液の画分、生体組織またはその抽出物、または生体組織の抽出物の画分が、サンプルになりうる。典型的には、MASP活性は血清サンプルを利用することで簡便に分析できる。クエン酸塩またはEDTA添加血漿も、カルシウムが添加されれば利用されうる。生体サンプル中では、MASPは遊離型であるか、または例えばレクチン(MBLやフィコリンのような)など他のタンパク質と複合体を形成して存在している。また、サンプルは、阻害作用または干渉作用のある化合物を含む可能性もある。それゆえ、MASP活性は、未精製の(生体)サンプル中でなく、分析性能を干渉する傾向にないその他の分析系中にて検出することが望ましい。ひとつの実施態様においては、特異的な結合分子を利用することでサンプル中からMASPまたはMASPを含む複合体が捕捉される分析系にて、活性が測定される。好ましくは、該結合分子は、特定のMASPに特異的であり、かつ、MASP活性に干渉しない。結合分子の利用は分析の特異性を高めることができる。固体表面(たとえばマイクロタイタープレートのウェルの底面)に固定化される、またはされうる結合分子を利用することがしばしば有利である。可能性のひとつとしては、免疫捕捉系があり、例えば抗体のような結合分子が表面(プレート、膜)に付加され、(生体)サンプルが表面結合抗体としばらくの間(概して1〜24時間)接触させられ、その後、界面活性剤及び/またはタンパク質のような添加剤を加えた適当な緩衝液による洗浄を行う。ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチンまたはカゼインが利用されうる。非特異的に結合した分子を除去するための洗浄処置の後、酵素前駆体が適当な緩衝液中の適当なペプチド基質とともにに添加されることができ、例えば、色形成により、基質の加水分解が観察される。生じた色は、サンプル中のMASPの活性の尺度となる。捕捉用に用いられた抗体の特異性に依存して、遊離型MASP及び/または、MBL及び/またはフィコリンのようなレクチンとの複合体中のMASPのいずれも検出できる。抗体の利用は、用いられた抗体の特異性に依存して、MASP-1、MASP-2そしてMASP-3のようなさまざまなMASPの形態の活性の違いを区別することを可能とする。MASPの捕捉のために、2またはそれ以上の異なる結合分子の組み合わせを利用することも可能である。MASPに対する抗体は報告されており、例えば
を参照してほしい。これらの抗体のうちのいくつかは、市販されており入手できる。本発明の他の実施態様では、レクチンに特異的に結合することができる結合分子が利用され、例えば、MBLまたはフィコリンへの抗体である。生体サンプルとの接触の後、特定のレクチンだけでなく、MASPとそのレクチンの複合体も捕捉され、そして固定化されることができる。この捕捉段階の後に、前述のリポーター酵素の改変の判定が続く。最終的な結果は、特定のレクチンとの複合体中に存在する活性MASPの量に比例したシグナルの強度または強さである。
【0026】
レクチン捕捉用の抗体の代わりに、固定化された炭水化物も特異的結合分子として利用されうる。マンナン(酵母由来の重合化炭水化物)により被覆されたプレートがMBL-MASP複合体の機能的決定に利用されうる。同様に、他のレクチンとの複合体も、適当な固定化炭水化物を利用することで捕捉されうる。
【0027】
そのような決定方法は、サンプル中のレクチンを検出するように適合化されることができ、例えば、固定化されたレクチンに、過剰量の(精製された)MASPを添加してレクチン/MASP複合体が形成されることによる。固定化されたレクチンと複合化されるときにMASPのみが固定化されること、及び捕捉/固定化の段階は特定のレクチンに特異的であることを条件として、捕捉されたMASP活性はサンプル中に存在するレクチン量の尺度となる。本発明におけるこれらすべての実施態様は、プロウロキナーゼ活性化配列(またはその変異型)を有する酵素前駆体がMASP活性の検出のために基質として利用されるという共通点を有することが明白である。
【0028】
当業者であれば、前述の特定の実施態様が単なる可能性ではないこと、そして他の同様の方法がMASP活性を阻害し、または特定のレクチンとMASPまたは炭水化物との相互作用を阻害する分子の検出にも利用できることが理解できるだろう。それぞれの応用はpH、イオン強度、緩衝液の組成等のような最適条件をそれぞれ有するだろうが、当業者であれば容易に実験的に決定することができる。
【0029】
本発明は、MASPにより開裂されうるコンセンサス配列
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)を活性化部位に有し、該活性化配列はプロウロキナーゼの本来の活性化部位とは異なる組み換えプロウロキナーゼも提供する。
【0030】
組み換えプロウロキナーゼは、本明細書にて示されたMASP活性分析でリポーター酵素として有効に利用される。好ましい実施態様において、組み換えプロウロキナーゼは
からなる群から選択された認識配列を有する。
【0031】
本発明による組み換えプロウロキナーゼは、当技術分野で公知の組み換えDNA技術を利用することで得ることができる。プロウロキナーゼのcDNA配列は既知であり、公的に利用できるデータベースから得ることができる。そのようなcDNAは、既知の配列をもとに設計されたプライマーを使った逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により、適当な培養細胞株または組織から単離されたmRNAから、既存の技術により得ることができる。特定のcDNA配列を得るために、多くの代替の手順が当業界で知られている。コード配列は、後のタンパク質の発現を改良するため、そして、発現後に生じた酵素前駆体の活性化の特異性を変えることを目的とした改変の導入のために適合されることができる。当技術分野で知られているように、適当なプロモーター及び他の調節配列を加えなければならない。コード配列または改変されたコード配列は、発現のための細胞系の導入を可能にするプラスミドやウィルスのようなベクターに導入される。一般的に、真核生物細胞または酵母の発現系、または、原核生物の細菌性の発現系において、発現がされうる。これらの系は、当技術分野では周知であり、多くの場合は市販されたものを利用することができる。発現の段階の後、発現したタンパク質を細胞から、または、もし酵素前駆体が分泌されている場合は培養液から単離する手順が一般的には必要となる。たいてい追加的な発現タンパク質の精製が必要となるだろう。これらの段階ために多くの手法が当技術分野では周知となっている。
【0032】
発現プラスミドがプロウロキナーゼの天然型で改変を受けていない翻訳領域含むんで構築されているときは、部位特異的組み換えの既知の部位、またはポリメラーゼ連鎖反応を伴うより新しい方法により適当な改変を加えることができる。発現タンパク質中の新規な活性化部位をコードする配列という点で異なる多数のさまざまなコード配列を構築することを容易にするためには、合成オリゴヌクレオチドをこれら制限部位に導入することで、多くのさまざまな改変を活性化部位に容易かつ迅速な手法により導入できるように使用されうる新しい制限部位ができるように、いくつかの追加改変をコード配列に加えることが便利であろう。これらの追加改変は、いわゆるサイレント変異(アミノ酸配列が変わらない)、またはタンパク質の配列を変えるがタンパク質の機能には悪影響を与えない改変でありうる。新規に導入された制限部位を利用するこのアプローチおよびそれに続くオリゴの挿入のさらなる利点は、ポリメラーゼ連鎖反応に基づく手法の間に発生するかもしれない不要な二次的変異の可能性が低いということである。同様に、酵素前駆体の特性を改良する追加的な改変が導入できる。このように、本発明に従い組み換え(すなわち、改変された)プロウロキナーゼをコードする核酸配列も本発明は提供する。
【0033】
他の観点は、プロウロキナーゼまたは非プロウロキナーゼ酵素前駆体(活性化部位に配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lysを含むもので、Yyyはいずれのアミノ酸でもよい)を、例えば臨床サンプル中の、MASP活性検出のリポーター酵素として利用することである。本発明は、MASP-1と対照的に伝統的な低分子量ペプチド基質に対しては活性をほとんど示さないMASP-2の活性の検出に特に有用である
。プロウロキナーゼ活性化部位を有するリポーター酵素を利用することは、今やMASP-2活性の感度の良い検出分析を可能とし、例えば分析時間の短時間化および/または必要となるサンプル量の少量化をもたらす。
【0034】
本発明の方法は、臨床状況で有利に利用され、例えば、免疫無防備状態の個人への処置の有効性の分析または評価があげられる。しかも、MASP、レクチンおよび/またはレクチン/MASP複合体の調節を行うことができる化合物の同定のためのスクリーニング手順において利用されうる。例えば、MASP複合体の阻害は、天然に発生するプロウロキナーゼをMASP活性のリポーター酵素として使う本発明の方法にて同定されうる。MASPにより開裂できる開裂/活性化部位を有する他の酵素前駆体も、当然のことながら、研究や臨床の場で、本発明の方法の適用の際に利用されうる。
【0035】
さらなる観点において、本発明は、本発明による組み換えプロウロキナーゼおよび本発明で示された1または多数の判定を行うために必要とされるすべての物質を含む特定のMASP、MASP型またはレクチンを判定または定量する方法に有効なキットを提供する。典型的には、そのようなキットは、天然型プロウロキナーゼまたはその変異型のようなリポーター酵素としての改変された酵素前駆体の十分量を含有する容器、リポーター酵素の活性を検出するために適当な基質、MASP活性を定量するために適当な標準調製物、そして緩衝液を調製するための材料からなる。キットは、例えば、96穴、384穴、または1536穴のマイクロタイタープレート形式の、1またはそれ以上の分析プレートも有しうる。さらに、キットは、検出されるべきMASP、レクチンまたはレクチン/MASP複合体と反応することができる1またはそれ以上の特異的(モノクローナルまたはポリクローナル)抗体またはその断片、または個々のレクチンと特異的に相互作用をする1またはそれ以上の炭水化物調製物を含みうる。これらの抗体または炭水化物は、例えば、標準的な96穴、384穴、または1536穴形式のマイクロタイタープレートのウェルを覆うように、固定化された形態でキット中に存在しうる。輸送中または保存中における改変された酵素前駆体の安定性を増加させるために、安定剤が添加されることも有益だろう。そのような安定剤には、アルブミンまたはゼラチンのような他のタンパク質、トレハロースやマンニトールのような炭水化物、抗酸化剤、界面活性剤、またはその他の有機化学薬品でありうる。さらに、無機塩も安定性には有益な効果をもたらすかもしれない。もっとも簡便には、使用直前に緩衝液または水を加えることで再構成する必要のある凍結乾燥状態で、改変された酵素前駆体が存在する。代わりに、キットまたは装置は、乾燥状態で存在する全ての必要な試薬が、膜状物質に条片状または点状に固定化されているディップスティック形式でありうる。加えて、判定の方法、サンプルの調整方法、そして、活性の計算方法の記載が含まれうる。
【0036】
図の説明
図1:プロウロキナーゼはMBL-MASP複合体の基質である。
表1に示されている精製されたプロウロキナーゼ誘導体および野生型プロウロキナーゼが、MBL-MASP複合体に対する基質としてのそれらの適合性について試験された。MBL含有血清(A/A遺伝子型)が緩衝液中に希釈され、マンナンにより被覆されたマイクロタイタープレート中で温置された。洗浄処置後、プロウロキナーゼ(野生型または誘導体番号1−8、配列は表1を参照)およびウロキナーゼ基質 pyro-Glu-Gly-Arg-pNA がウェルに添加された。血清なしのウェルが対照として用いられた。色形成は37℃で2時間の温置後に測定された。驚いたことに、野生型プロウロキナーゼにて最良の信号雑音比が観察された。
【0037】
図2
マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートが、さまざまな希釈におけるヘテロ接合性MBL欠損血清(A/B遺伝子型)、ホモ接合性MBL欠損血清(B/B遺伝子型)および正常血清(A/A遺伝子型)からのMBL-MASP複合体を結合、そして固定化するために用いられた。洗浄後、野生型プロウロキナーゼまたは基質2(表1参照)および発色性ペプチドpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。405 nmでの吸光度の変化が経時的に追跡された。A405対時間の2乗のグラフの傾きが活性の尺度として用いられた。両者の基質も正常血清中のMASP活性の検出に用いることができたが、A/AまたはB/B血清のいずれにも、ほとんどまたはまったく活性が観察されなかった。
【0038】
図3
マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートが、正常血清A/A遺伝子型(閉じた三角−実線)およびホモ接合性のMBL欠損血清B/B遺伝子型(開いた三角 点線)からMBL-MASP複合体を結合するために用いられた。MBL-MASP複合体の活性は、実施例3および図2に示されるように野生型プロウロキナーゼを用いて決定された。結合段階は生理的な0.15 M NaCl存在下(パネルA)および1 M NaCl存在下(パネル3)にて行われた。
【0039】
図4
この実験では、結合段階において、IgMで被覆されたマイクロタイタープレートが、マンナンで被覆されたプレートの代わりに用いられた。それ以外は、実験は図3に示されたように、1 M NaClの非存在下(パネルA)および存在下(パネルB)で行われた。正常(A/A遺伝子型)血清(閉じた三角;実線)そしてホモ接合性(B/B遺伝子型)MBL欠損血清(開いた三角;点線)。
【0040】
図5
マンナンで被覆されたプレートを用いた図3の実験が、1 M NaClの非存在下(パネルA)および存在下(パネルB)において、正常(A/A)血清(黒い三角−実線)およびMBL欠損(B/B)血清(開いた三角−点線)を用いて、C4活性化とELISA法を介した従来の検出により繰り返された。
【0041】
図6
IgMで被覆されたプレートを用いた図4の実験が、0.15 M NaClの存在下(パネルA)または1 M NaClの存在下(パネルB)において、正常(A/A)血清(黒い三角−実線)およびMBL欠損(B/B)血清(開いた三角−点線)を用いて、C4活性化とELISA法を介した従来の検出により繰り返された。
【0042】
図7
精製された組み換えMASP-2のさまざまな希釈液が、野生型プロウロキナーゼによる検出および基質2による検出(表1)を用いて、それらの反応性について試験された。MASP-2は野生型プロウロキナーゼまたはプロウロキナーゼ誘導体2が添加された緩衝液中に希釈され、そしてpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。プレートは2時間温置され、A405が測定された(詳細は実施例5参照)。
【0043】
図8
分析での反応に対する、2つの異なる種類のマイクロタイタープレートでのさまざまなマンナン濃度での被覆の影響が調査された。マイクロタイタープレートは0-1000μg/mlのマンナンで被覆され、そして正常血清中でのMBL-MASP複合体の検出に用いられた(実施例6参照)。
【0044】
図9
MBL-MASP複合体が実施例4に示されているようにマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。捕捉後、緩衝液、プロウロキナーゼ、そしてペプチド基質、さらにジメチルスルホキシド(DMSO)中のboroMpg(0-1 μM最終濃度)または同等量の純粋DMSO(対照)が添加され、そして活性が測定された。全詳細は実施例4に示されている。活性はΔA405/h2 x 1000で示されている。
【0045】
図10
さまざまな組成の緩衝液により50または100倍に希釈された野生型(A/A)血清および欠損(B/B)血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。緩衝液の組成を除けば、実施例4の手順に従った。捕捉後、プレートは50 mM トリス(Tris)HCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0にて4回洗浄された。洗浄後、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0、プロウロキナーゼおよびペプチド基質が添加され、活性が測定された。他の全詳細は実施例8に示されている。活性はΔA405/h2 x 1000で示されている。緩衝液の成分変化はX軸に沿って示されている。
【0046】
図11
マイクロタイタープレートのマンナンで被覆されたウェルに、50 mM Tris.HCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) Brij35(商標)、pH 8.0での100倍希釈(A/B)血清が添加され、そして4℃で1時間温置された。洗浄後、50 mM Tris、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 % Brij35、pH 8.0中の精製された組み換えMASP-1、MASP-2およびC1r/sまたは対照として緩衝液のみが添加され、そして再度4℃で1時間温置された。上清を被覆のない新しいプレートに移した。捕捉プレートは洗浄され、捕捉プレートおよび上清プレートに検出酵素プロウロキナーゼを有するまたは有さない緩衝液とpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。捕捉プレートに結合している活性および上清中の活性が決定された。捕捉プレートに結合している活性は(プレート結合分に上清中分を足した)合計の百分率で示されている。色の明るい棒はプロウロキナーゼとpyro-Glu-Gly-Arg-pNAがともに存在するなかで通常の方法により測定された活性を示し、色の暗い棒はプロウロキナーゼ非存在下でペプチド基質直上での活性を示す。
【0047】
図12
既知のMBL遺伝子型を有する個体からの21の血清サンプルが、実施例9に示されているプロウロキナーゼの方法を用いて、MBL-MASP活性について分析された。活性はDeltaA405/h2 x 1000で示されている。3つの遺伝子型の違い(ホモ接合性欠損(B/B)、ヘテロ接合性欠損(A/B)そして正常(A/A))が明確に見られる。
【0048】
図13
MBL-MASP複合体の活性の水準が新しいプロウロキナーゼ活性化方法および従来のC4活性化方法により測定された。詳細は実施例10にて見ることができる。結果は、それぞれの方法間での強い相関関係を示している。
実施例
以下の実施例は発明を説明するためだけのものである。
【実施例1】
【0049】
プロウロキナーゼ誘導体の調製
MASP活性の決定のための、プロウロキナーゼ由来リポーター酵素の調製
プロウロキナーゼ誘導体のための発現プラスミドの構築。
コラーゲナーゼ特異的開裂部位Arg Pro Leu Gly(1文字表記ではRPLG)を有するヒトプロウロキナーゼ(UKcol)をコードする完全cDNAが、発現プラスミドpEV2UKcol(詳細は欧州特許第0691409号明細書参照)から切除され、ネオマイシン耐性マーカーpcDNA3(Invitrogen)を含む新規発現ベクターの複数クローニング部位にクローン化された。
プライマー
および
(変異は小文字で示されている)を用いたポリメラーゼ連鎖反応により、二つのユニークな制限部位Cla1およびXho1が活性化部位をコードする領域に隣接するように導入された。これら制限部位の導入は、得られたプロウロキナーゼ誘導体においてロイシン153のセリンへの置換をもたらす。この変異によるプロウロキナーゼの特性への検出可能な影響は見られなかった。生じたプラスミドベクターは、Cla1およびXho1を用いたプラスミドの消化と、それに続く、必要な変異アミノ酸配列をコードする2つの部分的に相補なオリゴヌクレオチドの挿入そして連結により、プロウロキナーゼによる検出のための酵素をコードするベクターを構築するために用いられた。潜在的なMASPによる認識および開裂部位を有する検出酵素の構築のために、2つの部分的に相補なオリゴヌクレオチドがCla1/Xho1消化されたプラスミドに挿入された。オリゴヌクレオチドの配列、およびプロウロキナーゼ誘導体の生じたアミノ酸配列は表1にまとめられている。
新規認識開裂配列を伴うさまざまなプロウロキナーゼ検出酵素をコードする、生じたプラスミドは、さまざまなプロウロキナーゼ誘導体を発現するためのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクトするのに用いられた。
プロウロキナーゼ誘導体の発現。
細胞(チャイニーズハムスター卵巣、CHOまたはヒト胎児腎臓、HEK)が培養皿中に70−90%の集密状態となるまで培養された。プロウロキナーゼ誘導体をコードするさまざまなプラスミド1 μgが培養液およびFugene 6(商標)(Roche)と混合され、その製造者の説明書に従い遺伝子導入が行われた。安定な遺伝子導入体がネオマイシン類似物G418への耐性により選択された。遺伝子導入された細胞は、1-2週間、選択試薬G418(1 mg/ml)含有培地中で、さまざまな希釈倍率により培養された。生き残ったクローンがピペットにより選択、単離され、そして選択試薬含有培地中で別々に培養された。これらクローンによる変異体プロウロキナーゼの発現が免疫分析
にて試験された。高い発現水準を有するクローンが増やされ、当業者に知られている培養皿、フラスコ、セルファクトリー、またはその他の系での生産のために用いられた。生産のために、3連フラスコでルーチンの手順で培養され、調整された培養液が回収され、遠心分離され、そして-20℃で保存された。プロウロキナーゼによる検出の酵素が以前示された方法
により精製された。
プロウロキナーゼの活性化領域に挿入された配列は、天然のMASP基質に生じるような天然MASP開裂配列の部分、補体構成要素C4およびC2、そしてMASPの基質として知られている(米国特許第6235494号明細書による)ペプチド配列、さらに追加的にC1r配列を含んだ。
これら配列のすべては、開裂部位にアルギニン(R)残基を含む。いくつかの配列から、開裂位置のアルギニン残基の代わりにリジン残基(K)を有する非天然の対応物をも作成した。これらの配列以外では、現存する天然または合成MASP基質により、少数の非MASP特異的配列も、負の対照として追加された。野生型プロウロキナーゼの天然活性化開裂部位は対照として追加された。
【実施例2】
【0050】
MASP活性の検出のためのプロウロキナーゼ誘導体の有効性
表1に示されている開裂配列を伴う精製されたプロウロキナーゼ誘導体が、以下に示すようにMASPの基質としての有効性について試験された。
マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)が、1ウェルあたり100 μlのマンナン50 μg/ml、0.1 M 炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.6で37℃にて2時間被覆された。続いて、プレートが、リン酸ナトリウム(pH 7.5)、0.15 M NaCl、0.05 %(v/v) Tween 20(商標)(PBS/T)にて4回洗浄され、そして1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含む10 mM リン酸ナトリウム(pH7.5)、0.15 M NaCl(PBS)にてブロックされ、PBS/Tにより洗浄された。
MBLとMASPを含有するヒト血清は、10 mM バルビタール、1.0 M NaCl、0.1 %(w/v) ゼラチン、2 mM CaCl2、2 mM MgCl2、pH 7.3、0.05 %(v/v) Tween 20(商標)(GVB++ 緩衝液)にて40倍希釈された。マイクロタイタープレート中のサンプルのウェルは、この希釈血清液を与えられ、対照のウェルはGVB++ 緩衝液のみを与えられた。4℃での1時間の温置の後、血清中に存在するMBL-MASP複合体が被覆されたマイクロタイタープレートへ結合できるようにするため、そしてプレートをPBS/T + 5 mM CaCl2で洗浄できるようにするため、100 μlの50 mM TrisHCl(pH 7.6)、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)が添加され、続いて、約20 μg/mlのプロウロキナーゼ誘導体10 μlと6 mMのウロキナーゼペプチド基質pyro−Glu−Gly−Arg−pNA(Chromogenix S2444)10 μlが添加された。プレートはプレート振とう器上で振とうし、37℃で2時間温置され、その後、マイクロタイタープレートリーダーにより405 nmでの吸光度が測定された。血清の入ったウェルと対照のウェルでの2時間の温置での吸光度が図1に示されている。MBL-MASP複合体のための適当な基質は血清ありの場合では高いシグナルを示し、血清なしでは低いシグナルを示さなければならない。驚いたことに、信号対背景の最良比は、活性部位に配列Pro Arg Phe Lys(PRFK)を有する天然型プロウロキナーゼにおいて見られた。MASPの天然型基質配列と似た配列を有する基質は、それより劣って機能した。しかしながら、リポーター酵素として他の酵素前駆体の場合はこのようにならないかもしれない。
【実施例3】
【0051】
血清中のMBL-MASP複合体の決定
実施例2の結果に基づき、血清中のMBL-MASP複合体の分析が開発された。3つの異なる血清(ヘテロ接合性MBL欠損の血清(A/A)、ホモ接合性MBL欠損の血清(B/B)そして正常血清(A/A))が用いられた。マイクロタイタープレートはマンナンで被覆され、実施例2に示されたように洗浄とブロックがなされた。
血清サンプルはGVB++ 緩衝液(実施例2参照)により10-320倍に希釈され、これらの希釈液の100 μlが被覆されたマイクロタイタープレートのウェルにピペットされた。緩衝液のみを含み血清を含まない対照用のウェルはが含められた。プレートは、血清からのMBL-MASP複合体がプレートに結合できるように4℃で一晩温置され、その後、PBS/T + 5 mM CaCl2で4回洗浄された。
すべてのウェルに、検出緩衝液100 μl、7.6μg/mlの野生型プロウロキナーゼまたはプロウロキナーゼ誘導体2(表1参照)10 μl、そして6 mMのpyro-Glu-Gly-Arg-pNA 10 μlが添加された(実施例2参照)。プレートは、振とうされ、続いてマイクロタイタープレートリーダーを用いたA405の測定が経時的に行われた。時間の2乗に対するA405のグラフの傾きが計算され、活性の尺度として用いられた。
結果(図2)は、野生型プロウロキナーゼおよび基質2の両方の基質に関し、正常(A/A)血清中での用量依存的な活性を示す。ホモ接合性欠損血漿(B/B)ではほとんど活性はみられなかったが、ヘテロ接合性血清(A/B)には、わずかな活性のみが検出された。野生型プロウロキナーゼでのシグナルは、基質2での信号よりも常に高かった。
【実施例4】
【0052】
MBL-MASP活性水準の決定のための新規方法と従来の方法の比較
本実施例では、天然型プロウロキナーゼをリポーター酵素前駆体として採用した本発明による方法、または、ヒト血液からのC4標本の採用およびC4の活性化に基づいた検出、そしてC4bのマンナンで被覆されたプレートへの結合を行い、その後、結合したC4bの免疫学的な検出(ELISA)が続く既存の方法の、いずれかの方法を用いてさまざまな血清中のMBL-MASP水準が決定された。
C4法および本発明による方法のいずれも、マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートを開始に際して用いる(実施例1参照)。それぞれのウェルに、希釈された血清100 μlが添加され、前述のように、温置され、そして洗浄された。MBL陽性の対照血清とMBL欠損の血清が用いられた。
既存のMASP分析(例として米国特許出願公開第2003/0186419号明細書を参照)については、1 Mの塩の存在が、MASPの活性のみが分析され、高塩濃度に対して敏感な他のプロテアーゼ(C1を含む)の活性が分析されないということを確実にするために重要であることが、報告されている。本発明の新規の機能的MASP分析も、高塩濃度に依存するかどうかを調べるために、希釈用の1 M NaClを含むGVB++ 緩衝液、または、0.15 M NaClを伴う同じ緩衝液のいずれかを用いて、試験を行った。図3から6に示されている結果は、高塩濃度の影響がないことを示しており、本発明の方法が生理的な塩濃度でのC1活性を検出しないということを示している。
天然の活性化部位を伴うプロウロキナーゼとウロキナーゼ基質pyro-Glu-Gly-Arg-pNAが検出に用いられた。37℃で温置が行われ、405 nmでの吸光度の変化が2時間調べられた。活性は時間の2乗に対する吸光度の変化として表現され、そして、ウェルごとの血清当量に対してプロットされた。結果は図3のA/Bに集約されている。
C4法は、以下のように行われた。プレートは上述のように被覆されて、そして洗浄された。1 M NaCl を伴うGVB++ により希釈された血清100μlが添加され、プレートは4℃で1時間温置された。プレートは、PBS/T + 5 mM CaCl2及びGVB++によるC4希釈液(3 μg/ml)が添加された。プレートは、37℃で1時間温置され、そして洗浄された。PBS、1 %(w/v) BSA、0.05 %(v/v) Tween(商標)20中の、ジゴキシゲニンにより標識されたC4特異的モノクローナル抗体(1/4000)(
参照)が添加され、37℃で1時間温置され、洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼにより標識された、ジゴキシゲニンに特異的なFab断片(RocheApplied Scienceから入手)が添加され、37℃で1時間温置され、洗浄後、ペルオキシド基質ABTSと0.03 %(v/v) H2O2の溶液が添加された。415 nmでの色形成が室温で1時間追跡された。結果は、図5のA/Bに示されている。
MASP酵素は、2つの、C1qを伴うセリンプロテアーゼC1rおよびC1sといく分の相同性を示す。いくつかの従来のMASP分析について、C1rおよびC1sの活性が分析を妨げうるということが示されている。これは、C1タンパク質に結合することでC1rおよびC1sの活性化を阻害するFc部分を有するIgMを用いることで防ぐことができる。C1が本発明による新規MASP分析において阻害因子として働きうるかどうか(これは、本新規分析がC1活性の検出も行うことを示すだろう)を調べるために、マンナンの代わりに、炭酸緩衝液中の2μg/mlのIgMにより被覆されたプレートを用いて実験が行われた。図4のA/Bにおいて、検出段階でプロウロキナーゼを用いた判定結果が示されているが、図6のA/BではC4方法を用いた結果が示されている。プロウロキナーゼを用いた方法及びC4法のいずれもが、マンナンで被覆されたプレート上でのMBL含有(ホモ接合性)A/A血清との活性を示している。いずれの場合も、NaCl濃度による結果に対する検出可能な影響はなかった(図3A/B、図5A/B)。MBL欠損のB/B血清を用いた場合は、いずれの方法でも活性は検出されなかった。IgMで被覆されたプレートでは、どちらの方法でもとても低い活性のみが検出された(図4AそしてB、図6AそしてB)。図のスケールが異なることに注意!NaCl濃度が低いときは、プロウロキナーゼ及びC4のいずれの方法でも、活性がわずかにより高かった。MBL欠損B/B血清の背景活性はほとんど検出できなかった。
これらの結果は、プロウロキナーゼは、IgMの被覆を用いて操作できる補体系の古典的な経路によりほとんど活性化されないが、マンナンで被覆されたプレートを用いて検出されるMBL-MASP経路では、良い基質であることを示している。
【実施例5】
【0053】
新規基質上での組み換えMASP−2の活性
野生型プロウロキナーゼ及び基質2(表1参照)上での精製された組み換えMASP-2の活性が調べられた。600 μg/mlの組み換えMASP-2(活性型)が50 mM TrisHCl pH7.6、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)中に連続的に希釈された。マイクロタイタープレートのウェルに、MASP-2希釈液100 μl、プロウロキナーゼ10 μl(約50 μg/ml)または基質2 10 μl(約75 μg/ml)が添加され、続いてペプチド基質pyro Glu-Gly-Arg-pNA(6 mM)10 μlが添加された。プレートは37℃で温置され、2時間にわたり405 nmでの吸光度の経時的変化が調べられた。結果は図7に示されている。MASP-2はどちらの基質でも検出できたが、野生型プロウロキナーゼでの活性は基質2での活性の約2倍高い。
【実施例6】
【0054】
捕捉分析反応におけるマンナンの被覆の濃度の影響
マイクロタイタープレート(Nunc MaxisorboまたはCoster high bindingのいずれか)のウェルが、0.1 M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH 9.6)中のマンナンの溶液(0-1000 μg/ml)100 μlで、37℃で2時間満たされた。続いて、プレートは、10 mM リン酸ナトリウム pH 7.5、0.15 M NaCl、0.05 %(v/v) Tween20(商標)(PBS/T)により4回洗浄され、同じ緩衝液中の1 %(w/v)ウシ血清アルブミンによりブロックされた。ヒト血清は、10 mM バルビタール、1.0 M NaCl、0.1 %(w/v) ゼラチン、2 mM CaCl2、2 mM MgCl2、0.05 %(v/v) Tween20(商標)、pH7.3(GVB++)中に40倍希釈され、希釈された血清100 μlがマンナンで被覆されたマイクロタイタープレートのウェルに添加された。4℃で1時間の温置の後、血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたウェルに結合することを可能とするために、ウェルがPBS/T + 5 mM CaCl2により洗浄され、その後50 mM TrisHCl pH 7.6、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)の100 μl、続いて野生型プロウロキナーゼ(50 μg/ml)10 μl及びpyro-Glu-Gly-Arg-pNA10 μlが添加された。プレートはプレートシェイカーにより振とうされ、37℃で2時間温置された。マイクロプレートリーダーにより一定間隔で405 nmでの吸光度の変化が測定された。活性は、(ΔA/h2 x1000)として示された。結果は図8に示されている。50 μg/mlのマンナン濃度での被覆が、いずれのプレートの種類にも最適であることが結論される。Nuncプレートは、Costerプレートと比較して、50 μg/mlの被覆濃度での約2倍高い反応を示している。より高い被覆濃度では、Nuncプレートの反応は、少し低水準に落ちているが、Costerプレートでの反応はとても幅広い濃度範囲においてきわめて一定である。
【実施例7】
【0055】
血清MASP活性への阻害剤の影響
マンナンで被覆されたプレートは希釈されたヒト血清からのMBL-MASP複合体を捕捉するのに用いられた。洗浄後、0-1 μM Z-D-phe-Pro-メトキシプロピルボログリシン-ピナンジオールエステル(BMpgまたはboroMpg)を含む緩衝液100 μl、または同一体積のDMSO(boroMpgの溶媒)を含む緩衝液、15μl(50 μg/ml)野生型プロウロキナーゼおよび10 μl(6 mM)pyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。プレートは37℃で温置され、405 nmにおいて色形成が2時間、プレートリーダーを用いて追跡された。活性はΔA/h2x 1000で示された。全詳細は実施例4に示されているのと同じである。図9に集約されている結果は、捕捉されたMBL-MASP複合体の活性に対して、BMpgはなんらの影響も及ぼさないことを示している。BMpgはMASP-2でなく、MASP-1を阻害すると知られているので、これは分析がMBL-MASP-1でなくMBL-MASP-2を主に検出したことを意味しうる。(参考文献 Presanis et al. Mol. Immunol. 2003; 40:921-929)
【実施例8】
【0056】
血清MASP活性分析の実行における緩衝液組成の影響
本実施例では、本発明によるMASP活性分析の実行における緩衝液組成の影響が調査された。さまざまな組成の緩衝液により50または100倍に希釈された野生型(A/A)血清および欠損(B/B)血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。緩衝液組成以外は、例4の手順に従った。捕捉後、プレートは、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0にて4回洗浄された。洗浄後、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0、プロウロキナーゼおよびペプチド基質が添加され、活性が測定された。血清は、以下の緩衝液で希釈された:GVB++ 0.15 M NaCl;GVB++ 1 M NaCl;50 mM TrisHCl、75 mM NaClに添加物を加えたもの;50 mM TrisHCl、150 mM NaCl;50 mM TrisHCl、1 M NaCl;50 mM TrisHCl;200 mM TrisHCl;400 mM TrisHCl。すべてのトリス緩衝液はpH 8.0であり、0.5 mM CaCl2および0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)を含有していた。
異なる緩衝液中に希釈された血清からのMBL-MASPが捕捉された後、プレートは空にされ、50 mM Tris、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 % Brij35、pH 8.0により洗浄された。その後、プロウロキナーゼとpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが後者の緩衝液に添加され、色形成が続いて起こった。その他全詳細は例4に示されている。結果は図10に示されている。緩衝液組成はきわめて重要なものではない。いずれの塩も添加されていない50 mM TrisHClからなる緩衝液のときのみ、MBL欠損(B/B)血清との高い活性を示したが、他のすべての緩衝液はすべての異なる血清に対して同程度の結果をもたらした。塩濃度がより低ければ、より高い反応となる若干の傾向がある。
【実施例9】
【0057】
MBL-MASP分析における補体成分の交差反応性
マイクロタイタープレートのマンナンで被覆されたウェルに、50 mM TrisHCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) Brij35(商標)、pH 8.0中に100倍に希釈された(A/B)血清が添加され、そして4℃で1時間温置された。洗浄後、50 mM TrisHCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01% Brij35、pH 8.0中の精製された組み換えMASP-1、MASP-2およびC1r/s、または対照として緩衝液のみが添加され、再度4℃で1時間温置された。上清液が除かれ、新しい被覆のないプレートに移された。捕捉プレートは洗浄され、捕捉プレートおよび上清プレートのいずれにも、検出酵素プロウロキナーゼおよびpryo-Glu-Gly-Arg-pNAを伴うまたは伴わない緩衝液が上述のように添加された。捕捉プレートに結合した活性および上清中の活性が決定された。捕捉プレートに結合した活性は活性(プレートに結合したものおよび上清中のもの)の合計の百分率として示された。結果は図11に示されている。外部から添加されたMASP-1またはC1r/sのゆえに若干の交差反応性がある。外部から添加されたMASP-2は、マンナンで被覆されたプレートに対して結合でき、遊離の非複合型MBLのいくぶんの存在を示す。ペプチド基質に対して直接の活性が若干ある。
【実施例10】
【0058】
プロウロキナーゼによる分析および従来のC4活性化分析を用いた、さまざまな血清中における、MBL-MASP活性の決定
既知のMBL遺伝子型の個体からの21の血清サンプルが、例8に示されたプロウロキナーゼ法(捕捉の間に、50 mM TrisHCl pH8.0、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、および0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)緩衝液を用いた)を用いて、MBL-MASP活性について分析された。活性は、ΔA405/h2 x 1000として示された。結果は図12に集約されている。ホモ接合性欠損(B/B)、ヘテロ接合性欠損(A/B)および正常(A/A)の、これら3つの遺伝子型は明確に違いが認識できる。同じ血清において、MBL-MASP水準が、実施例4に示されている従来のC4法を用いても測定された。いずれの方法で得られた結果も、図13に示されたように、とても良い相関関係を示している。
【0059】
[参考文献]
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、プロウロキナーゼ誘導体の基質適合性を示すグラフである。
【図2】図2は、さまざまな希釈倍率における吸光度の変化を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、0.15 M NaCl存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図3B】図3Bは、1 M NaCl存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図4A】図4Aは、IgMを利用した1 M NaClの非存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図4B】図4Bは、IgMを利用した1 M NaClの存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図5A】図5Aは、図3Aの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、図3Bの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、図4Aの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図6B】図6Bは、図4Bの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図7】図7は、精製された組み換えMASP-2のさまざまな希釈液での反応性を示すグラフである。
【図8】図8は、2つの異なる種類のマイクロタイタープレートでのさまざまなマンナン濃度での被覆の影響を示すグラフである。
【図9】図9は、MASP活性に対するboroMpgの影響を示すグラフである。
【図10】図10は、さまざまな組成の緩衝液中での活性を示すグラフである。
【図11】図11は、補体構成要素の交差反応性を示すグラフである。
【図12】図12は、遺伝子型に対するMBL-MASP活性を示すグラフである。
【図13】図13は、プロウロキナーゼ法とC4法の相関関係を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、補体系の構成要素の活性を決定、分析または定量化する分野に関するものである。より詳細には、マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)、または、そのようなプロテアーゼとレクチンとの複合体の試料中の活性の存在または水準を検出すること、および、レクチンそれ自体を検出することに本発明は関する。この発明はMASPによりタンパク質分解的に基質として活性化されることのできる組み換え酵素前駆体にも関連している。得られた、活性化された酵素前駆体の活性は、試料中のMASP活性の尺度となる。この発明は、そのような酵素前駆体、および、改変された酵素前駆体をコードする発現ベクターを含む分析キットも提供する。
【背景技術】
【0002】
補体系は、細菌、酵母、真菌およびその他微生物を認識し、そして殺し、さらには宿主細胞を変質させる生態防御システムである。補体系は、酵素としてまたは結合タンパク質として機能する約20の血漿タンパク質からなる。これらの血漿タンパク質に加えて、補体系は、補体タンパク質の生理学的断片に対する特異性を示し、そしてさまざまな細胞種に表れる、複数の異なる細胞表面受容体を含む。また、自己の補体活性化を防ぐこと及び宿主細胞を偶発的な補体からの攻撃から守ることのために機能する、いくつかの調節膜タンパク質もある。補体系は、標的認識の方法が異なることによって3つの経路に分けられうる。近年同定されたレクチン経路では、認識は、マンナン結合性レクチン(MBL)及びフィコリンのようなレクチンにより仲介される。MBLは、マンノース、フコースそしてN-アセチルグルコサミンのような非荷電の炭水化物を認識し、一方でL-フィコリンは、N-アセチルグルコサミンとの高い親和性を有するフィコリン/P35としてもしられているが、マンノースとの親和性はない。このレクチンは細菌、ウィルス、真菌、原生動物そして変質した細胞に対して、細胞表面に繰り返しパターンで生じる炭水化物との相互作用により結合することができる。
【0003】
MBLとL-フィコリンは、関連するセリンプロテアーゼのグループ、すなわちマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)とともに複合体を形成することができる。炭水化物−レクチン−MASP複合体では、MASP酵素は活性化されて、活性セリンプロテアーゼを生成する。MASP活性化のメカニズムは、完全には解明されていないが、補体成分C1r/C1sの活性化と似ている可能性が高い。活性なMASPは他の補体成分を活性化することができ、そして、最終的には標的(微生物または細胞)を殺すことができる補体成分C3の活性化を最終的には導く。
【0004】
レクチンMBLの欠損は比較的頻繁に起こり、感染感受性を増大させることになるかもしれず、これは、幼い子供や免疫抑制措置を受けた患者のような、不適切に機能する適応的免疫システムを持つ個体にとっては特に問題である。その他のレクチンの役割は明らかでない。プロテアーゼ(たとえばMASP)の欠損も起こる。MBL及び/またはMASPの決定は、このように免疫系の障害の診断に重要であり、欠損の場合の感染を防ぐための治療における適応のための手がかりを提供するだろう。
【0005】
MBL、MASP、MBL-MASP複合体の同定方法は知られている。
ELISAのような通常の免疫測定方法は、これらタンパク質の低濃度を含む欠損を同定するのに採用されうる。しかしながら、タンパク質の低い本来的な活性や機能性をもたらす欠損は、そのような方法では検出することができない。そのため、MBL及び/またはMASPの生物学的に関連のある活性を計測し、そして、それらの存在または濃度のみを計測するだけではない機能的な分析が好まれる。
【0006】
MBL-MASP複合体及びMASPの機能的な分析が報告されてきている。多くの場合、それらの分析は補体成分C4の活性化に基づくものであり、分析解読は免疫分析または溶血性の分析によりなされる。C4活性化を採用した分析は手がこんでおり、多くの操作を必要とするうえに、C4、(ヒトの)血液由来のC4調製物、または血液細胞さえも使うことにより、再現性の妨げや有害なウィルスの混入の可能性につながる。
【0007】
MASPのための合成ペプチド基質が開発された。そのような基質は、概して、MASPにより認識されそして開裂される短いペプチド配列からなる。一般的にはこのペプチドは発色または蛍光脱離基を結合している。MASPによるそのようなペプチド基質の開裂は色彩の形成または発光の出現を生じる(例として
参照)。合成ペプチド基質を採用したこの分析方法は、基質としてのC4の使用に伴う問題を有さないが、複雑な生物学的な試料への適用には、しばしば、感受性が十分ではなく、及び/または、十分な特異性が得られなかったりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、試料中の(MBL-)MASP活性の特異的かつ感度の良い検出を可能とする分析が明確に(臨床的に)必要である。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、意外にも、セリンプロテアーゼプロウロキナーゼ(pro-uPAとも呼ばれる)は活性なMASPのための基質であることを発見した。その活性部位でのプロウロキナーゼの開裂は、活性ウロキナーゼを生じ、その活性は、既知の合成ペプチド基質を用いて、容易に検出でき、そして定量できる。このように、プロウロキナーゼ中のMASP開裂部位の存在は、“リポーター酵素”としてのプロウロキナーゼの、MASPにより仲介されて活性なウロキナーゼ酵素になるタンパク質分解活性を計測することにより、MASP活性の間接的な検出を可能とする。
【0010】
本発明は、試料中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性決定方法を提供し、これは、活性化部位にMASPにより開裂されるコンセンサス配列である
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)を有するプロウロキナーゼと試料を温置すること、そして、該プロウロキナーゼのタンパク質分解活性を決定することを含む。ZzzはIle、Leu、または、Valであることが望ましく、ZzzはIleであればより望ましい。天然に発生するプロウロキナーゼの活性化による結合開裂は、開裂部位配列
の中のLys(Lys158)とIle(Ile159)の間のペプチド結合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施態様では、天然ウロキナーゼに見られる活性化配列を活性化部位に有するプロウロキナーゼを試料と温置することを、方法は含む。天然に発生する(例えば野生型の)プロウロキナーゼを、本明細書に示したMASP活性分析におけるリポーター酵素として用いることが、より好ましい。しかしながら、上述のコンセンサス配列
を有する変異体プロウロキナーゼがリポーター酵素として使われることもありうる。表1は、MASP基質である、8つの異なるプロウロキナーゼ変異体(ここでは誘導体とも称される)の活性化部位の配列を示す。例えば、この発明の方法では、リポーター酵素として、活性化部位に配列
から成る集団から選択された配列を活性化部位に有するプロウロキナーゼを使う。野生型または変異型のプロウロキナーゼは、上述のプロウロキナーゼをコードする核酸構成物を導入された哺乳類宿主細胞から容易に入手できる(実施例1参照)。
【0012】
天然の野生型プロウロキナーゼがMASPの基質であるという発見は驚きであった、なぜなら、このプロウロキナーゼの形態の活性化配列は、MASPにより開裂可能な既知の天然MASP基質、または既知の(合成された)ペプチド基質における開裂部位配列と類似していないからである。例えば、補体構成要素のC4は開裂部位配列
(↓に示されたところが加水分解の部位)でMASPにより開裂され、補体構成要素C2は開裂部位配列
で、そして補体構成要素C3は開裂部位配列
の中で開裂され、これらのいずれも、天然プロウロキナーゼの活性化/開裂部位とは明らかに異なっており、また、本明細書で示された誘導体とも明らかに異なる。
【0013】
活性化配列の外側での1またはそれ以上の改変を加えたプロウロキナーゼ変異体もまた、含意される。酵素がその酵素活性を保持するという条件のもとで、天然プロウロキナーゼへの改変は、代替的にまたは追加的に、酵素の他の部分中に、しかし活性部位から近くないところに、在ることができる。そのような、2次的改変は、特定の用途のために酵素前駆体の特性を改良することにつながるだろう。有益な改変には、酵素前駆体の(熱に対する)安定性の増加、MASP以外のプロテアーゼに対する耐性の付与、(天然に)発生する阻害剤に対する耐性の付与、特定の結合相手(例えば、抗体またはリガンド)に対する反応性の付与、発現や精製を助ける等が含まれる。
【0014】
プロウロキナーゼは、機能的MASP検出分析におけるMASP基質として有利に利用されうる、という本発見は、プロウロキナーゼ以外のMASPにより開裂する酵素前駆体の設計へとさらに拡張されることができる。すると、そのような酵素は、機能的MASP分析におけるリポーター酵素としても利用することができる。この目的で、プロウロキナーゼのMASP活性化配列は(挿入または置換のいずれかにより)非プロウロキナーゼ酵素前駆体に導入されることができて、MASPによる酵素前駆体のタンパク質分解的活性化を可能にする。酵素前駆体は、通常はタンパク質分解により活性化され、そして、それらの活性化部位はたいてい既知であるため、どの部位にてプロウロキナーゼ活性配列で酵素前駆体を改変するかが明白だろう。実施態様のひとつでは、非ウロキナーゼ酵素前駆体は、MASPにより開裂されうるコンセンサス配列
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)により改変される。例えば、プロウロキナーゼ中に見られる8アミノ酸の活性化配列は、酵素前駆体の通常の活性化のために用いる活性化配列を置換するために、用いられる。しかしながら、MASPによる認識及び開裂にとって、プロウロキナーゼ活性化配列の後部4アミノ酸残基(Ile-Ile-Gly-Gly)は必須ではないことが判明したので、8残基未満のアミノ酸鎖を使うことも可能である。従って、天然型プロウロキナーゼの開裂部位の最後に位置するいくつかの残基は、MASP基質としての適合性を損なうことなく、除去することができるかもしれない。従って、この発明は、MASPにより活性化部位で開裂されることができて活性酵素を遊離する組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体とともに試料を温置すること、但し、上記活性化部位は活性化配列
(ここでのYyyはいずれのアミノ酸でもよい)を有する、そして、該酵素前駆体のタンパク質分解的活性化を判定することを含む、試料中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性決定方法にも関するものである。例えば、適当な活性化配列は、天然型プロウロキナーゼに見られる配列Pro-Arg-Phe-LysまたはArg-Phe-Lys、または、たとえばArgがLeuまたはGlyで置換されかつ/または、LysがArgで置換されている変異型を含む。当業者であれば、1またはそれ以上のアミノ酸残基を体系的に置換、除去、または追加でき、そしてMASPによりその配列が開裂するかどうかを試験することができるだろう。“組み換え”という用語は、本明細書では非天然発生的タンパク質を示すために使われる。すなわち、組み換えDNA技術によってのみ作成されるタンパク質のことである。
【0015】
前駆体の状態では不活性であり、かつ、開裂された形態においては活性である限り、組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体は原則としてどの種類の酵素でもよい。もちろん、活性化が容易に検出できる酵素前駆体が望ましい。例えば、酵素前駆体としては、プロウロキナーゼ由来の開裂部位配列により、リパーゼまたはプロテアーゼが本来的に有する開裂部位が置換されたリパーゼまたはプロテアーゼが挙げられる。リポーター酵素がプロテアーゼの場合、活性化されたプロテアーゼ前駆体による加水分解に際して検出可能な基や標識を遊離する(合成)ペプチド基質は、本発明の方法において特に有用である。そのようなペプチド基質の例として、発色または蛍光する基を有するものがある。より好ましい酵素前駆体は、プロウロキナーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ以外のセリンプロテアーゼ類からなる集団から選択されたプロテアーゼである。ひとつの実施態様では、酵素前駆体はカスパーゼ前駆体である。カスパーゼは、N末端プロドメインおよび、リンカーペプチドによりしばしば分離される二つのサブユニットを有する不活性酵素前駆体として合成される。成熟過程で、プロドメインとリンカーペプチドは特定のアスパラギン酸残基にて開裂され、二つのサブユニットの活性カスパーゼを生じる。タンパク質分解的なカスケードにおいて、ファミリーメンバーが順次活性化される。
【0016】
一形態において、本発明は、活性化部位中またはその近傍に、上述のプロウロキナーゼ由来のMASP開裂配列を有するカスパーゼ前駆体を提供する。この組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体は、市販されていて利用可能なものが多い(例としてwww.biomol.comを参照)発色または蛍光カスパーゼ基質を利用したMASP活性の検出に適当なリポーター酵素である。
【0017】
組み換えカスパーゼ前駆体は、例えば、元来の活性化部位を除去し、同じ場所である必要はないが、プロウロキナーゼ活性化部位を挿入することによるような、上述のMASPにより開裂可能な活性化部位によってカスパーゼ前駆体の活性化部位を置換することにより、カスパーゼ前駆体から得ることができる。組み換えカスパーゼ前駆体はカスパーゼ1前駆体、カスパーゼ3前駆体、カスパーゼ7前駆体、カスパーゼ8前駆体、カスパーゼ9前駆体およびカスパーゼ10前駆体からなるグループから選択されることが望ましい。MASP開裂配列は好ましくは、該カスパーゼ前駆体の本来の活性化部位から、30アミノ酸残基以内の距離に、20残基以内が望ましく、さらに望ましくは10残基以内の距離に導入される。これは、MASPによる開裂が活性カスパーゼを遊離することを確実にする。
【0018】
本発明の特に有用なひとつの実施態様は、該組み換え非ウロキナーゼ カスパーゼ前駆体が、カスパーゼ3前駆体またはカスパーゼ7前駆体である方法である。好ましくは、カスパーゼ3前駆体中のD175残基または野生型前駆体カスパーゼ7中のD198残基が、活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよい)により置換されている。本発明は、改変されたカスパーゼ前駆体それ自体も提供し、より詳しくは、MASPにより開裂可能な活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lysにより、本来の活性化部位の置換、または本来の活性化部位の領域のアミノ酸配列の置換により、カスパーゼ前駆体から得られる改変されたカスパーゼ前駆体であるか、あるいは、そのようなMASP開裂配列をカスパーゼ前駆体の本来の配列に挿入することである。
【0019】
上記から明らかであるように、リポーター酵素(野生型プロウロキナーゼ、変異型プロウロキナーゼ、または、組み換え非ウロキナーゼ酵素前駆体のいずれでも)のMASPで仲介された開裂は、リポーター酵素のタンパク質分解的活性化をもたらす。酵素前駆体の活性化の程度は、活性MASP量の尺度となる。
【0020】
プロウロキナーゼまたはその機能的誘導体の活性化は、既知のウロキナーゼペプチド基質により検出されうる(例 欧州特許出願公開第691409号参照)。そのようなペプチド基質は、概して、発色、蛍光または発光脱離基に結合された短いアミノ酸配列、しばしば3アミノ酸残基からなる。活性ウロキナーゼ(誘導体)の酵素作用は発色性、蛍光性、または、発光性の化合物の形成をもたらし、これは容易に利用できる装置によって検出可能である。ひとつの実施態様では、該ペプチド基質は化合物Xxx-Yyy-Arg-pNAである(ここで、XxxとYyyはいずれのアミノ酸でもよく、pNAはパラニトロアニリン部分である)。例えば、発色性基質pyro-Glu-Gly-Arg-pNA(Choromogenix, Milan, ItalyからのS-2444)は、MASP誘導によるプロウロキナーゼの活性化の評価を行う本発明の方法において、適当に利用される。
【0021】
他の実施態様では、ウロキナーゼ活性はプラスミノーゲンを基質として使うことで評価される。単鎖糖タンパク質のチモーゲンであるプラスミノーゲンは、線溶酵素プラスミンの前駆体である。プラスミノーゲンの天然型は、791のアミノ酸からなり、N末端にはグルタミン酸が配置されている(Glu-plasminogen)。ウロキナーゼ(または、その誘導体)によるプラスミノーゲンの開裂は、本明細書で示されるプラスミンによる加水分解の際に検出できる標識を遊離するプラスミン特異的ペプチド基質(例えば、D-バリル-L-ロイシル-L-リシン 4-ニトロアニリド)を使う本明細書に示される方法により、検出できる。
【0022】
MASPで仲介されるカスパーゼ前駆体の活性化は、当技術分野で公知の試薬を用いて容易に検出されうる。カスパーゼ基質は、典型的には、カスパーゼにより開裂され、さらには、開裂後に容易に検出できる部分を有するアミノ酸配列を有する合成化合物である。そのような基質及びいくつかの既知のカスパーゼ基質の配列の例が欧州特許出願公開第1443116号明細書に示されている。アミノ酸配列Asp-Glu-Val-Asp-pNA(ここで、pNAはp-ニトロ-アニリド)を有する合物が用いられることが望ましい。
【0023】
当業者であれば、本発明がさまざまな分析形式に利用されうることがわかるだろう。これらには、MASPまたはレクチン-MASP複合体の活性の測定や検出だけでなく、以下で示されるように、外来性のMASPを利用したレクチンそれ自体の検出も含まれる。
【0024】
MASPが比較的精製された、または濃縮された状態でサンプル中に存在する場合、MASP、酵素前駆体(例えば、プロウロキナーゼまたは組み換え非ウロキナーゼ酵素前駆体)そしてペプチド基質を適当な緩衝系にて単純混合を行うことが十分でありうる。
【0025】
生体液、生体液の画分、生体組織またはその抽出物、または生体組織の抽出物の画分が、サンプルになりうる。典型的には、MASP活性は血清サンプルを利用することで簡便に分析できる。クエン酸塩またはEDTA添加血漿も、カルシウムが添加されれば利用されうる。生体サンプル中では、MASPは遊離型であるか、または例えばレクチン(MBLやフィコリンのような)など他のタンパク質と複合体を形成して存在している。また、サンプルは、阻害作用または干渉作用のある化合物を含む可能性もある。それゆえ、MASP活性は、未精製の(生体)サンプル中でなく、分析性能を干渉する傾向にないその他の分析系中にて検出することが望ましい。ひとつの実施態様においては、特異的な結合分子を利用することでサンプル中からMASPまたはMASPを含む複合体が捕捉される分析系にて、活性が測定される。好ましくは、該結合分子は、特定のMASPに特異的であり、かつ、MASP活性に干渉しない。結合分子の利用は分析の特異性を高めることができる。固体表面(たとえばマイクロタイタープレートのウェルの底面)に固定化される、またはされうる結合分子を利用することがしばしば有利である。可能性のひとつとしては、免疫捕捉系があり、例えば抗体のような結合分子が表面(プレート、膜)に付加され、(生体)サンプルが表面結合抗体としばらくの間(概して1〜24時間)接触させられ、その後、界面活性剤及び/またはタンパク質のような添加剤を加えた適当な緩衝液による洗浄を行う。ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチンまたはカゼインが利用されうる。非特異的に結合した分子を除去するための洗浄処置の後、酵素前駆体が適当な緩衝液中の適当なペプチド基質とともにに添加されることができ、例えば、色形成により、基質の加水分解が観察される。生じた色は、サンプル中のMASPの活性の尺度となる。捕捉用に用いられた抗体の特異性に依存して、遊離型MASP及び/または、MBL及び/またはフィコリンのようなレクチンとの複合体中のMASPのいずれも検出できる。抗体の利用は、用いられた抗体の特異性に依存して、MASP-1、MASP-2そしてMASP-3のようなさまざまなMASPの形態の活性の違いを区別することを可能とする。MASPの捕捉のために、2またはそれ以上の異なる結合分子の組み合わせを利用することも可能である。MASPに対する抗体は報告されており、例えば
を参照してほしい。これらの抗体のうちのいくつかは、市販されており入手できる。本発明の他の実施態様では、レクチンに特異的に結合することができる結合分子が利用され、例えば、MBLまたはフィコリンへの抗体である。生体サンプルとの接触の後、特定のレクチンだけでなく、MASPとそのレクチンの複合体も捕捉され、そして固定化されることができる。この捕捉段階の後に、前述のリポーター酵素の改変の判定が続く。最終的な結果は、特定のレクチンとの複合体中に存在する活性MASPの量に比例したシグナルの強度または強さである。
【0026】
レクチン捕捉用の抗体の代わりに、固定化された炭水化物も特異的結合分子として利用されうる。マンナン(酵母由来の重合化炭水化物)により被覆されたプレートがMBL-MASP複合体の機能的決定に利用されうる。同様に、他のレクチンとの複合体も、適当な固定化炭水化物を利用することで捕捉されうる。
【0027】
そのような決定方法は、サンプル中のレクチンを検出するように適合化されることができ、例えば、固定化されたレクチンに、過剰量の(精製された)MASPを添加してレクチン/MASP複合体が形成されることによる。固定化されたレクチンと複合化されるときにMASPのみが固定化されること、及び捕捉/固定化の段階は特定のレクチンに特異的であることを条件として、捕捉されたMASP活性はサンプル中に存在するレクチン量の尺度となる。本発明におけるこれらすべての実施態様は、プロウロキナーゼ活性化配列(またはその変異型)を有する酵素前駆体がMASP活性の検出のために基質として利用されるという共通点を有することが明白である。
【0028】
当業者であれば、前述の特定の実施態様が単なる可能性ではないこと、そして他の同様の方法がMASP活性を阻害し、または特定のレクチンとMASPまたは炭水化物との相互作用を阻害する分子の検出にも利用できることが理解できるだろう。それぞれの応用はpH、イオン強度、緩衝液の組成等のような最適条件をそれぞれ有するだろうが、当業者であれば容易に実験的に決定することができる。
【0029】
本発明は、MASPにより開裂されうるコンセンサス配列
(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは脂肪族アミノ酸である)を活性化部位に有し、該活性化配列はプロウロキナーゼの本来の活性化部位とは異なる組み換えプロウロキナーゼも提供する。
【0030】
組み換えプロウロキナーゼは、本明細書にて示されたMASP活性分析でリポーター酵素として有効に利用される。好ましい実施態様において、組み換えプロウロキナーゼは
からなる群から選択された認識配列を有する。
【0031】
本発明による組み換えプロウロキナーゼは、当技術分野で公知の組み換えDNA技術を利用することで得ることができる。プロウロキナーゼのcDNA配列は既知であり、公的に利用できるデータベースから得ることができる。そのようなcDNAは、既知の配列をもとに設計されたプライマーを使った逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により、適当な培養細胞株または組織から単離されたmRNAから、既存の技術により得ることができる。特定のcDNA配列を得るために、多くの代替の手順が当業界で知られている。コード配列は、後のタンパク質の発現を改良するため、そして、発現後に生じた酵素前駆体の活性化の特異性を変えることを目的とした改変の導入のために適合されることができる。当技術分野で知られているように、適当なプロモーター及び他の調節配列を加えなければならない。コード配列または改変されたコード配列は、発現のための細胞系の導入を可能にするプラスミドやウィルスのようなベクターに導入される。一般的に、真核生物細胞または酵母の発現系、または、原核生物の細菌性の発現系において、発現がされうる。これらの系は、当技術分野では周知であり、多くの場合は市販されたものを利用することができる。発現の段階の後、発現したタンパク質を細胞から、または、もし酵素前駆体が分泌されている場合は培養液から単離する手順が一般的には必要となる。たいてい追加的な発現タンパク質の精製が必要となるだろう。これらの段階ために多くの手法が当技術分野では周知となっている。
【0032】
発現プラスミドがプロウロキナーゼの天然型で改変を受けていない翻訳領域含むんで構築されているときは、部位特異的組み換えの既知の部位、またはポリメラーゼ連鎖反応を伴うより新しい方法により適当な改変を加えることができる。発現タンパク質中の新規な活性化部位をコードする配列という点で異なる多数のさまざまなコード配列を構築することを容易にするためには、合成オリゴヌクレオチドをこれら制限部位に導入することで、多くのさまざまな改変を活性化部位に容易かつ迅速な手法により導入できるように使用されうる新しい制限部位ができるように、いくつかの追加改変をコード配列に加えることが便利であろう。これらの追加改変は、いわゆるサイレント変異(アミノ酸配列が変わらない)、またはタンパク質の配列を変えるがタンパク質の機能には悪影響を与えない改変でありうる。新規に導入された制限部位を利用するこのアプローチおよびそれに続くオリゴの挿入のさらなる利点は、ポリメラーゼ連鎖反応に基づく手法の間に発生するかもしれない不要な二次的変異の可能性が低いということである。同様に、酵素前駆体の特性を改良する追加的な改変が導入できる。このように、本発明に従い組み換え(すなわち、改変された)プロウロキナーゼをコードする核酸配列も本発明は提供する。
【0033】
他の観点は、プロウロキナーゼまたは非プロウロキナーゼ酵素前駆体(活性化部位に配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lysを含むもので、Yyyはいずれのアミノ酸でもよい)を、例えば臨床サンプル中の、MASP活性検出のリポーター酵素として利用することである。本発明は、MASP-1と対照的に伝統的な低分子量ペプチド基質に対しては活性をほとんど示さないMASP-2の活性の検出に特に有用である
。プロウロキナーゼ活性化部位を有するリポーター酵素を利用することは、今やMASP-2活性の感度の良い検出分析を可能とし、例えば分析時間の短時間化および/または必要となるサンプル量の少量化をもたらす。
【0034】
本発明の方法は、臨床状況で有利に利用され、例えば、免疫無防備状態の個人への処置の有効性の分析または評価があげられる。しかも、MASP、レクチンおよび/またはレクチン/MASP複合体の調節を行うことができる化合物の同定のためのスクリーニング手順において利用されうる。例えば、MASP複合体の阻害は、天然に発生するプロウロキナーゼをMASP活性のリポーター酵素として使う本発明の方法にて同定されうる。MASPにより開裂できる開裂/活性化部位を有する他の酵素前駆体も、当然のことながら、研究や臨床の場で、本発明の方法の適用の際に利用されうる。
【0035】
さらなる観点において、本発明は、本発明による組み換えプロウロキナーゼおよび本発明で示された1または多数の判定を行うために必要とされるすべての物質を含む特定のMASP、MASP型またはレクチンを判定または定量する方法に有効なキットを提供する。典型的には、そのようなキットは、天然型プロウロキナーゼまたはその変異型のようなリポーター酵素としての改変された酵素前駆体の十分量を含有する容器、リポーター酵素の活性を検出するために適当な基質、MASP活性を定量するために適当な標準調製物、そして緩衝液を調製するための材料からなる。キットは、例えば、96穴、384穴、または1536穴のマイクロタイタープレート形式の、1またはそれ以上の分析プレートも有しうる。さらに、キットは、検出されるべきMASP、レクチンまたはレクチン/MASP複合体と反応することができる1またはそれ以上の特異的(モノクローナルまたはポリクローナル)抗体またはその断片、または個々のレクチンと特異的に相互作用をする1またはそれ以上の炭水化物調製物を含みうる。これらの抗体または炭水化物は、例えば、標準的な96穴、384穴、または1536穴形式のマイクロタイタープレートのウェルを覆うように、固定化された形態でキット中に存在しうる。輸送中または保存中における改変された酵素前駆体の安定性を増加させるために、安定剤が添加されることも有益だろう。そのような安定剤には、アルブミンまたはゼラチンのような他のタンパク質、トレハロースやマンニトールのような炭水化物、抗酸化剤、界面活性剤、またはその他の有機化学薬品でありうる。さらに、無機塩も安定性には有益な効果をもたらすかもしれない。もっとも簡便には、使用直前に緩衝液または水を加えることで再構成する必要のある凍結乾燥状態で、改変された酵素前駆体が存在する。代わりに、キットまたは装置は、乾燥状態で存在する全ての必要な試薬が、膜状物質に条片状または点状に固定化されているディップスティック形式でありうる。加えて、判定の方法、サンプルの調整方法、そして、活性の計算方法の記載が含まれうる。
【0036】
図の説明
図1:プロウロキナーゼはMBL-MASP複合体の基質である。
表1に示されている精製されたプロウロキナーゼ誘導体および野生型プロウロキナーゼが、MBL-MASP複合体に対する基質としてのそれらの適合性について試験された。MBL含有血清(A/A遺伝子型)が緩衝液中に希釈され、マンナンにより被覆されたマイクロタイタープレート中で温置された。洗浄処置後、プロウロキナーゼ(野生型または誘導体番号1−8、配列は表1を参照)およびウロキナーゼ基質 pyro-Glu-Gly-Arg-pNA がウェルに添加された。血清なしのウェルが対照として用いられた。色形成は37℃で2時間の温置後に測定された。驚いたことに、野生型プロウロキナーゼにて最良の信号雑音比が観察された。
【0037】
図2
マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートが、さまざまな希釈におけるヘテロ接合性MBL欠損血清(A/B遺伝子型)、ホモ接合性MBL欠損血清(B/B遺伝子型)および正常血清(A/A遺伝子型)からのMBL-MASP複合体を結合、そして固定化するために用いられた。洗浄後、野生型プロウロキナーゼまたは基質2(表1参照)および発色性ペプチドpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。405 nmでの吸光度の変化が経時的に追跡された。A405対時間の2乗のグラフの傾きが活性の尺度として用いられた。両者の基質も正常血清中のMASP活性の検出に用いることができたが、A/AまたはB/B血清のいずれにも、ほとんどまたはまったく活性が観察されなかった。
【0038】
図3
マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートが、正常血清A/A遺伝子型(閉じた三角−実線)およびホモ接合性のMBL欠損血清B/B遺伝子型(開いた三角 点線)からMBL-MASP複合体を結合するために用いられた。MBL-MASP複合体の活性は、実施例3および図2に示されるように野生型プロウロキナーゼを用いて決定された。結合段階は生理的な0.15 M NaCl存在下(パネルA)および1 M NaCl存在下(パネル3)にて行われた。
【0039】
図4
この実験では、結合段階において、IgMで被覆されたマイクロタイタープレートが、マンナンで被覆されたプレートの代わりに用いられた。それ以外は、実験は図3に示されたように、1 M NaClの非存在下(パネルA)および存在下(パネルB)で行われた。正常(A/A遺伝子型)血清(閉じた三角;実線)そしてホモ接合性(B/B遺伝子型)MBL欠損血清(開いた三角;点線)。
【0040】
図5
マンナンで被覆されたプレートを用いた図3の実験が、1 M NaClの非存在下(パネルA)および存在下(パネルB)において、正常(A/A)血清(黒い三角−実線)およびMBL欠損(B/B)血清(開いた三角−点線)を用いて、C4活性化とELISA法を介した従来の検出により繰り返された。
【0041】
図6
IgMで被覆されたプレートを用いた図4の実験が、0.15 M NaClの存在下(パネルA)または1 M NaClの存在下(パネルB)において、正常(A/A)血清(黒い三角−実線)およびMBL欠損(B/B)血清(開いた三角−点線)を用いて、C4活性化とELISA法を介した従来の検出により繰り返された。
【0042】
図7
精製された組み換えMASP-2のさまざまな希釈液が、野生型プロウロキナーゼによる検出および基質2による検出(表1)を用いて、それらの反応性について試験された。MASP-2は野生型プロウロキナーゼまたはプロウロキナーゼ誘導体2が添加された緩衝液中に希釈され、そしてpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。プレートは2時間温置され、A405が測定された(詳細は実施例5参照)。
【0043】
図8
分析での反応に対する、2つの異なる種類のマイクロタイタープレートでのさまざまなマンナン濃度での被覆の影響が調査された。マイクロタイタープレートは0-1000μg/mlのマンナンで被覆され、そして正常血清中でのMBL-MASP複合体の検出に用いられた(実施例6参照)。
【0044】
図9
MBL-MASP複合体が実施例4に示されているようにマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。捕捉後、緩衝液、プロウロキナーゼ、そしてペプチド基質、さらにジメチルスルホキシド(DMSO)中のboroMpg(0-1 μM最終濃度)または同等量の純粋DMSO(対照)が添加され、そして活性が測定された。全詳細は実施例4に示されている。活性はΔA405/h2 x 1000で示されている。
【0045】
図10
さまざまな組成の緩衝液により50または100倍に希釈された野生型(A/A)血清および欠損(B/B)血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。緩衝液の組成を除けば、実施例4の手順に従った。捕捉後、プレートは50 mM トリス(Tris)HCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0にて4回洗浄された。洗浄後、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0、プロウロキナーゼおよびペプチド基質が添加され、活性が測定された。他の全詳細は実施例8に示されている。活性はΔA405/h2 x 1000で示されている。緩衝液の成分変化はX軸に沿って示されている。
【0046】
図11
マイクロタイタープレートのマンナンで被覆されたウェルに、50 mM Tris.HCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) Brij35(商標)、pH 8.0での100倍希釈(A/B)血清が添加され、そして4℃で1時間温置された。洗浄後、50 mM Tris、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 % Brij35、pH 8.0中の精製された組み換えMASP-1、MASP-2およびC1r/sまたは対照として緩衝液のみが添加され、そして再度4℃で1時間温置された。上清を被覆のない新しいプレートに移した。捕捉プレートは洗浄され、捕捉プレートおよび上清プレートに検出酵素プロウロキナーゼを有するまたは有さない緩衝液とpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。捕捉プレートに結合している活性および上清中の活性が決定された。捕捉プレートに結合している活性は(プレート結合分に上清中分を足した)合計の百分率で示されている。色の明るい棒はプロウロキナーゼとpyro-Glu-Gly-Arg-pNAがともに存在するなかで通常の方法により測定された活性を示し、色の暗い棒はプロウロキナーゼ非存在下でペプチド基質直上での活性を示す。
【0047】
図12
既知のMBL遺伝子型を有する個体からの21の血清サンプルが、実施例9に示されているプロウロキナーゼの方法を用いて、MBL-MASP活性について分析された。活性はDeltaA405/h2 x 1000で示されている。3つの遺伝子型の違い(ホモ接合性欠損(B/B)、ヘテロ接合性欠損(A/B)そして正常(A/A))が明確に見られる。
【0048】
図13
MBL-MASP複合体の活性の水準が新しいプロウロキナーゼ活性化方法および従来のC4活性化方法により測定された。詳細は実施例10にて見ることができる。結果は、それぞれの方法間での強い相関関係を示している。
実施例
以下の実施例は発明を説明するためだけのものである。
【実施例1】
【0049】
プロウロキナーゼ誘導体の調製
MASP活性の決定のための、プロウロキナーゼ由来リポーター酵素の調製
プロウロキナーゼ誘導体のための発現プラスミドの構築。
コラーゲナーゼ特異的開裂部位Arg Pro Leu Gly(1文字表記ではRPLG)を有するヒトプロウロキナーゼ(UKcol)をコードする完全cDNAが、発現プラスミドpEV2UKcol(詳細は欧州特許第0691409号明細書参照)から切除され、ネオマイシン耐性マーカーpcDNA3(Invitrogen)を含む新規発現ベクターの複数クローニング部位にクローン化された。
プライマー
および
(変異は小文字で示されている)を用いたポリメラーゼ連鎖反応により、二つのユニークな制限部位Cla1およびXho1が活性化部位をコードする領域に隣接するように導入された。これら制限部位の導入は、得られたプロウロキナーゼ誘導体においてロイシン153のセリンへの置換をもたらす。この変異によるプロウロキナーゼの特性への検出可能な影響は見られなかった。生じたプラスミドベクターは、Cla1およびXho1を用いたプラスミドの消化と、それに続く、必要な変異アミノ酸配列をコードする2つの部分的に相補なオリゴヌクレオチドの挿入そして連結により、プロウロキナーゼによる検出のための酵素をコードするベクターを構築するために用いられた。潜在的なMASPによる認識および開裂部位を有する検出酵素の構築のために、2つの部分的に相補なオリゴヌクレオチドがCla1/Xho1消化されたプラスミドに挿入された。オリゴヌクレオチドの配列、およびプロウロキナーゼ誘導体の生じたアミノ酸配列は表1にまとめられている。
新規認識開裂配列を伴うさまざまなプロウロキナーゼ検出酵素をコードする、生じたプラスミドは、さまざまなプロウロキナーゼ誘導体を発現するためのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクトするのに用いられた。
プロウロキナーゼ誘導体の発現。
細胞(チャイニーズハムスター卵巣、CHOまたはヒト胎児腎臓、HEK)が培養皿中に70−90%の集密状態となるまで培養された。プロウロキナーゼ誘導体をコードするさまざまなプラスミド1 μgが培養液およびFugene 6(商標)(Roche)と混合され、その製造者の説明書に従い遺伝子導入が行われた。安定な遺伝子導入体がネオマイシン類似物G418への耐性により選択された。遺伝子導入された細胞は、1-2週間、選択試薬G418(1 mg/ml)含有培地中で、さまざまな希釈倍率により培養された。生き残ったクローンがピペットにより選択、単離され、そして選択試薬含有培地中で別々に培養された。これらクローンによる変異体プロウロキナーゼの発現が免疫分析
にて試験された。高い発現水準を有するクローンが増やされ、当業者に知られている培養皿、フラスコ、セルファクトリー、またはその他の系での生産のために用いられた。生産のために、3連フラスコでルーチンの手順で培養され、調整された培養液が回収され、遠心分離され、そして-20℃で保存された。プロウロキナーゼによる検出の酵素が以前示された方法
により精製された。
プロウロキナーゼの活性化領域に挿入された配列は、天然のMASP基質に生じるような天然MASP開裂配列の部分、補体構成要素C4およびC2、そしてMASPの基質として知られている(米国特許第6235494号明細書による)ペプチド配列、さらに追加的にC1r配列を含んだ。
これら配列のすべては、開裂部位にアルギニン(R)残基を含む。いくつかの配列から、開裂位置のアルギニン残基の代わりにリジン残基(K)を有する非天然の対応物をも作成した。これらの配列以外では、現存する天然または合成MASP基質により、少数の非MASP特異的配列も、負の対照として追加された。野生型プロウロキナーゼの天然活性化開裂部位は対照として追加された。
【実施例2】
【0050】
MASP活性の検出のためのプロウロキナーゼ誘導体の有効性
表1に示されている開裂配列を伴う精製されたプロウロキナーゼ誘導体が、以下に示すようにMASPの基質としての有効性について試験された。
マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)が、1ウェルあたり100 μlのマンナン50 μg/ml、0.1 M 炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.6で37℃にて2時間被覆された。続いて、プレートが、リン酸ナトリウム(pH 7.5)、0.15 M NaCl、0.05 %(v/v) Tween 20(商標)(PBS/T)にて4回洗浄され、そして1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含む10 mM リン酸ナトリウム(pH7.5)、0.15 M NaCl(PBS)にてブロックされ、PBS/Tにより洗浄された。
MBLとMASPを含有するヒト血清は、10 mM バルビタール、1.0 M NaCl、0.1 %(w/v) ゼラチン、2 mM CaCl2、2 mM MgCl2、pH 7.3、0.05 %(v/v) Tween 20(商標)(GVB++ 緩衝液)にて40倍希釈された。マイクロタイタープレート中のサンプルのウェルは、この希釈血清液を与えられ、対照のウェルはGVB++ 緩衝液のみを与えられた。4℃での1時間の温置の後、血清中に存在するMBL-MASP複合体が被覆されたマイクロタイタープレートへ結合できるようにするため、そしてプレートをPBS/T + 5 mM CaCl2で洗浄できるようにするため、100 μlの50 mM TrisHCl(pH 7.6)、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)が添加され、続いて、約20 μg/mlのプロウロキナーゼ誘導体10 μlと6 mMのウロキナーゼペプチド基質pyro−Glu−Gly−Arg−pNA(Chromogenix S2444)10 μlが添加された。プレートはプレート振とう器上で振とうし、37℃で2時間温置され、その後、マイクロタイタープレートリーダーにより405 nmでの吸光度が測定された。血清の入ったウェルと対照のウェルでの2時間の温置での吸光度が図1に示されている。MBL-MASP複合体のための適当な基質は血清ありの場合では高いシグナルを示し、血清なしでは低いシグナルを示さなければならない。驚いたことに、信号対背景の最良比は、活性部位に配列Pro Arg Phe Lys(PRFK)を有する天然型プロウロキナーゼにおいて見られた。MASPの天然型基質配列と似た配列を有する基質は、それより劣って機能した。しかしながら、リポーター酵素として他の酵素前駆体の場合はこのようにならないかもしれない。
【実施例3】
【0051】
血清中のMBL-MASP複合体の決定
実施例2の結果に基づき、血清中のMBL-MASP複合体の分析が開発された。3つの異なる血清(ヘテロ接合性MBL欠損の血清(A/A)、ホモ接合性MBL欠損の血清(B/B)そして正常血清(A/A))が用いられた。マイクロタイタープレートはマンナンで被覆され、実施例2に示されたように洗浄とブロックがなされた。
血清サンプルはGVB++ 緩衝液(実施例2参照)により10-320倍に希釈され、これらの希釈液の100 μlが被覆されたマイクロタイタープレートのウェルにピペットされた。緩衝液のみを含み血清を含まない対照用のウェルはが含められた。プレートは、血清からのMBL-MASP複合体がプレートに結合できるように4℃で一晩温置され、その後、PBS/T + 5 mM CaCl2で4回洗浄された。
すべてのウェルに、検出緩衝液100 μl、7.6μg/mlの野生型プロウロキナーゼまたはプロウロキナーゼ誘導体2(表1参照)10 μl、そして6 mMのpyro-Glu-Gly-Arg-pNA 10 μlが添加された(実施例2参照)。プレートは、振とうされ、続いてマイクロタイタープレートリーダーを用いたA405の測定が経時的に行われた。時間の2乗に対するA405のグラフの傾きが計算され、活性の尺度として用いられた。
結果(図2)は、野生型プロウロキナーゼおよび基質2の両方の基質に関し、正常(A/A)血清中での用量依存的な活性を示す。ホモ接合性欠損血漿(B/B)ではほとんど活性はみられなかったが、ヘテロ接合性血清(A/B)には、わずかな活性のみが検出された。野生型プロウロキナーゼでのシグナルは、基質2での信号よりも常に高かった。
【実施例4】
【0052】
MBL-MASP活性水準の決定のための新規方法と従来の方法の比較
本実施例では、天然型プロウロキナーゼをリポーター酵素前駆体として採用した本発明による方法、または、ヒト血液からのC4標本の採用およびC4の活性化に基づいた検出、そしてC4bのマンナンで被覆されたプレートへの結合を行い、その後、結合したC4bの免疫学的な検出(ELISA)が続く既存の方法の、いずれかの方法を用いてさまざまな血清中のMBL-MASP水準が決定された。
C4法および本発明による方法のいずれも、マンナンで被覆されたマイクロタイタープレートを開始に際して用いる(実施例1参照)。それぞれのウェルに、希釈された血清100 μlが添加され、前述のように、温置され、そして洗浄された。MBL陽性の対照血清とMBL欠損の血清が用いられた。
既存のMASP分析(例として米国特許出願公開第2003/0186419号明細書を参照)については、1 Mの塩の存在が、MASPの活性のみが分析され、高塩濃度に対して敏感な他のプロテアーゼ(C1を含む)の活性が分析されないということを確実にするために重要であることが、報告されている。本発明の新規の機能的MASP分析も、高塩濃度に依存するかどうかを調べるために、希釈用の1 M NaClを含むGVB++ 緩衝液、または、0.15 M NaClを伴う同じ緩衝液のいずれかを用いて、試験を行った。図3から6に示されている結果は、高塩濃度の影響がないことを示しており、本発明の方法が生理的な塩濃度でのC1活性を検出しないということを示している。
天然の活性化部位を伴うプロウロキナーゼとウロキナーゼ基質pyro-Glu-Gly-Arg-pNAが検出に用いられた。37℃で温置が行われ、405 nmでの吸光度の変化が2時間調べられた。活性は時間の2乗に対する吸光度の変化として表現され、そして、ウェルごとの血清当量に対してプロットされた。結果は図3のA/Bに集約されている。
C4法は、以下のように行われた。プレートは上述のように被覆されて、そして洗浄された。1 M NaCl を伴うGVB++ により希釈された血清100μlが添加され、プレートは4℃で1時間温置された。プレートは、PBS/T + 5 mM CaCl2及びGVB++によるC4希釈液(3 μg/ml)が添加された。プレートは、37℃で1時間温置され、そして洗浄された。PBS、1 %(w/v) BSA、0.05 %(v/v) Tween(商標)20中の、ジゴキシゲニンにより標識されたC4特異的モノクローナル抗体(1/4000)(
参照)が添加され、37℃で1時間温置され、洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼにより標識された、ジゴキシゲニンに特異的なFab断片(RocheApplied Scienceから入手)が添加され、37℃で1時間温置され、洗浄後、ペルオキシド基質ABTSと0.03 %(v/v) H2O2の溶液が添加された。415 nmでの色形成が室温で1時間追跡された。結果は、図5のA/Bに示されている。
MASP酵素は、2つの、C1qを伴うセリンプロテアーゼC1rおよびC1sといく分の相同性を示す。いくつかの従来のMASP分析について、C1rおよびC1sの活性が分析を妨げうるということが示されている。これは、C1タンパク質に結合することでC1rおよびC1sの活性化を阻害するFc部分を有するIgMを用いることで防ぐことができる。C1が本発明による新規MASP分析において阻害因子として働きうるかどうか(これは、本新規分析がC1活性の検出も行うことを示すだろう)を調べるために、マンナンの代わりに、炭酸緩衝液中の2μg/mlのIgMにより被覆されたプレートを用いて実験が行われた。図4のA/Bにおいて、検出段階でプロウロキナーゼを用いた判定結果が示されているが、図6のA/BではC4方法を用いた結果が示されている。プロウロキナーゼを用いた方法及びC4法のいずれもが、マンナンで被覆されたプレート上でのMBL含有(ホモ接合性)A/A血清との活性を示している。いずれの場合も、NaCl濃度による結果に対する検出可能な影響はなかった(図3A/B、図5A/B)。MBL欠損のB/B血清を用いた場合は、いずれの方法でも活性は検出されなかった。IgMで被覆されたプレートでは、どちらの方法でもとても低い活性のみが検出された(図4AそしてB、図6AそしてB)。図のスケールが異なることに注意!NaCl濃度が低いときは、プロウロキナーゼ及びC4のいずれの方法でも、活性がわずかにより高かった。MBL欠損B/B血清の背景活性はほとんど検出できなかった。
これらの結果は、プロウロキナーゼは、IgMの被覆を用いて操作できる補体系の古典的な経路によりほとんど活性化されないが、マンナンで被覆されたプレートを用いて検出されるMBL-MASP経路では、良い基質であることを示している。
【実施例5】
【0053】
新規基質上での組み換えMASP−2の活性
野生型プロウロキナーゼ及び基質2(表1参照)上での精製された組み換えMASP-2の活性が調べられた。600 μg/mlの組み換えMASP-2(活性型)が50 mM TrisHCl pH7.6、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)中に連続的に希釈された。マイクロタイタープレートのウェルに、MASP-2希釈液100 μl、プロウロキナーゼ10 μl(約50 μg/ml)または基質2 10 μl(約75 μg/ml)が添加され、続いてペプチド基質pyro Glu-Gly-Arg-pNA(6 mM)10 μlが添加された。プレートは37℃で温置され、2時間にわたり405 nmでの吸光度の経時的変化が調べられた。結果は図7に示されている。MASP-2はどちらの基質でも検出できたが、野生型プロウロキナーゼでの活性は基質2での活性の約2倍高い。
【実施例6】
【0054】
捕捉分析反応におけるマンナンの被覆の濃度の影響
マイクロタイタープレート(Nunc MaxisorboまたはCoster high bindingのいずれか)のウェルが、0.1 M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH 9.6)中のマンナンの溶液(0-1000 μg/ml)100 μlで、37℃で2時間満たされた。続いて、プレートは、10 mM リン酸ナトリウム pH 7.5、0.15 M NaCl、0.05 %(v/v) Tween20(商標)(PBS/T)により4回洗浄され、同じ緩衝液中の1 %(w/v)ウシ血清アルブミンによりブロックされた。ヒト血清は、10 mM バルビタール、1.0 M NaCl、0.1 %(w/v) ゼラチン、2 mM CaCl2、2 mM MgCl2、0.05 %(v/v) Tween20(商標)、pH7.3(GVB++)中に40倍希釈され、希釈された血清100 μlがマンナンで被覆されたマイクロタイタープレートのウェルに添加された。4℃で1時間の温置の後、血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたウェルに結合することを可能とするために、ウェルがPBS/T + 5 mM CaCl2により洗浄され、その後50 mM TrisHCl pH 7.6、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、1 μM ZnCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)の100 μl、続いて野生型プロウロキナーゼ(50 μg/ml)10 μl及びpyro-Glu-Gly-Arg-pNA10 μlが添加された。プレートはプレートシェイカーにより振とうされ、37℃で2時間温置された。マイクロプレートリーダーにより一定間隔で405 nmでの吸光度の変化が測定された。活性は、(ΔA/h2 x1000)として示された。結果は図8に示されている。50 μg/mlのマンナン濃度での被覆が、いずれのプレートの種類にも最適であることが結論される。Nuncプレートは、Costerプレートと比較して、50 μg/mlの被覆濃度での約2倍高い反応を示している。より高い被覆濃度では、Nuncプレートの反応は、少し低水準に落ちているが、Costerプレートでの反応はとても幅広い濃度範囲においてきわめて一定である。
【実施例7】
【0055】
血清MASP活性への阻害剤の影響
マンナンで被覆されたプレートは希釈されたヒト血清からのMBL-MASP複合体を捕捉するのに用いられた。洗浄後、0-1 μM Z-D-phe-Pro-メトキシプロピルボログリシン-ピナンジオールエステル(BMpgまたはboroMpg)を含む緩衝液100 μl、または同一体積のDMSO(boroMpgの溶媒)を含む緩衝液、15μl(50 μg/ml)野生型プロウロキナーゼおよび10 μl(6 mM)pyro-Glu-Gly-Arg-pNAが添加された。プレートは37℃で温置され、405 nmにおいて色形成が2時間、プレートリーダーを用いて追跡された。活性はΔA/h2x 1000で示された。全詳細は実施例4に示されているのと同じである。図9に集約されている結果は、捕捉されたMBL-MASP複合体の活性に対して、BMpgはなんらの影響も及ぼさないことを示している。BMpgはMASP-2でなく、MASP-1を阻害すると知られているので、これは分析がMBL-MASP-1でなくMBL-MASP-2を主に検出したことを意味しうる。(参考文献 Presanis et al. Mol. Immunol. 2003; 40:921-929)
【実施例8】
【0056】
血清MASP活性分析の実行における緩衝液組成の影響
本実施例では、本発明によるMASP活性分析の実行における緩衝液組成の影響が調査された。さまざまな組成の緩衝液により50または100倍に希釈された野生型(A/A)血清および欠損(B/B)血清からのMBL-MASP複合体がマンナンで被覆されたプレート上で捕捉された。緩衝液組成以外は、例4の手順に従った。捕捉後、プレートは、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0にて4回洗浄された。洗浄後、50 mM TrisHCl、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)、pH 8.0、プロウロキナーゼおよびペプチド基質が添加され、活性が測定された。血清は、以下の緩衝液で希釈された:GVB++ 0.15 M NaCl;GVB++ 1 M NaCl;50 mM TrisHCl、75 mM NaClに添加物を加えたもの;50 mM TrisHCl、150 mM NaCl;50 mM TrisHCl、1 M NaCl;50 mM TrisHCl;200 mM TrisHCl;400 mM TrisHCl。すべてのトリス緩衝液はpH 8.0であり、0.5 mM CaCl2および0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)を含有していた。
異なる緩衝液中に希釈された血清からのMBL-MASPが捕捉された後、プレートは空にされ、50 mM Tris、1.5 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 % Brij35、pH 8.0により洗浄された。その後、プロウロキナーゼとpyro-Glu-Gly-Arg-pNAが後者の緩衝液に添加され、色形成が続いて起こった。その他全詳細は例4に示されている。結果は図10に示されている。緩衝液組成はきわめて重要なものではない。いずれの塩も添加されていない50 mM TrisHClからなる緩衝液のときのみ、MBL欠損(B/B)血清との高い活性を示したが、他のすべての緩衝液はすべての異なる血清に対して同程度の結果をもたらした。塩濃度がより低ければ、より高い反応となる若干の傾向がある。
【実施例9】
【0057】
MBL-MASP分析における補体成分の交差反応性
マイクロタイタープレートのマンナンで被覆されたウェルに、50 mM TrisHCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01 %(v/v) Brij35(商標)、pH 8.0中に100倍に希釈された(A/B)血清が添加され、そして4℃で1時間温置された。洗浄後、50 mM TrisHCl、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、0.01% Brij35、pH 8.0中の精製された組み換えMASP-1、MASP-2およびC1r/s、または対照として緩衝液のみが添加され、再度4℃で1時間温置された。上清液が除かれ、新しい被覆のないプレートに移された。捕捉プレートは洗浄され、捕捉プレートおよび上清プレートのいずれにも、検出酵素プロウロキナーゼおよびpryo-Glu-Gly-Arg-pNAを伴うまたは伴わない緩衝液が上述のように添加された。捕捉プレートに結合した活性および上清中の活性が決定された。捕捉プレートに結合した活性は活性(プレートに結合したものおよび上清中のもの)の合計の百分率として示された。結果は図11に示されている。外部から添加されたMASP-1またはC1r/sのゆえに若干の交差反応性がある。外部から添加されたMASP-2は、マンナンで被覆されたプレートに対して結合でき、遊離の非複合型MBLのいくぶんの存在を示す。ペプチド基質に対して直接の活性が若干ある。
【実施例10】
【0058】
プロウロキナーゼによる分析および従来のC4活性化分析を用いた、さまざまな血清中における、MBL-MASP活性の決定
既知のMBL遺伝子型の個体からの21の血清サンプルが、例8に示されたプロウロキナーゼ法(捕捉の間に、50 mM TrisHCl pH8.0、75 mM NaCl、0.5 mM CaCl2、および0.01 %(v/v) BRIJ35(商標)緩衝液を用いた)を用いて、MBL-MASP活性について分析された。活性は、ΔA405/h2 x 1000として示された。結果は図12に集約されている。ホモ接合性欠損(B/B)、ヘテロ接合性欠損(A/B)および正常(A/A)の、これら3つの遺伝子型は明確に違いが認識できる。同じ血清において、MBL-MASP水準が、実施例4に示されている従来のC4法を用いても測定された。いずれの方法で得られた結果も、図13に示されたように、とても良い相関関係を示している。
【0059】
[参考文献]
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、プロウロキナーゼ誘導体の基質適合性を示すグラフである。
【図2】図2は、さまざまな希釈倍率における吸光度の変化を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、0.15 M NaCl存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図3B】図3Bは、1 M NaCl存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図4A】図4Aは、IgMを利用した1 M NaClの非存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図4B】図4Bは、IgMを利用した1 M NaClの存在下でのMBL-MASP複合体の活性を示すグラフである。
【図5A】図5Aは、図3Aの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、図3Bの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、図4Aの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図6B】図6Bは、図4Bの実験の、C4活性化とELISA法を通じた従来の検出による結果を示すグラフである。
【図7】図7は、精製された組み換えMASP-2のさまざまな希釈液での反応性を示すグラフである。
【図8】図8は、2つの異なる種類のマイクロタイタープレートでのさまざまなマンナン濃度での被覆の影響を示すグラフである。
【図9】図9は、MASP活性に対するboroMpgの影響を示すグラフである。
【図10】図10は、さまざまな組成の緩衝液中での活性を示すグラフである。
【図11】図11は、補体構成要素の交差反応性を示すグラフである。
【図12】図12は、遺伝子型に対するMBL-MASP活性を示すグラフである。
【図13】図13は、プロウロキナーゼ法とC4法の相関関係を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)により開裂可能なコンセンサス配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys-Ile/Leu/Val-Zzz-Gly-Gly(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは好ましくは脂肪族アミノ酸である)を、活性化部位に含むプロウロキナーゼとともにサンプルを温置すること、および、該プロウロキナーゼのタンパク質分解的な活性化を決定することを含む、サンプル中のMASPの活性を決定する方法。
【請求項2】
該プロウロキナーゼが活性化部位に配列Arg-Phe-Lys-Ile-Ile-Gly-Glyを含み、好ましくは該プロウロキナーゼは野生型のプロウロキナーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該プロウロキナーゼが、配列
からなる群から選択された配列を活性化部位に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性化部位が、活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys(ここで、Yyyはいずれのアミノ酸でもよい)を含み、該活性化部位においてMASPにより開裂して活性な酵素を遊離する組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体とサンプルを温置すること、および、該酵素前駆体のタンパク質分解的な活性化を決定することからなる、サンプル中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性を決定する方法。
【請求項5】
該非ウロキナーゼ酵素前駆体が活性化配列Arg-Phe-Lys、好ましくはPro-Arg-Phr-Lysを活性化部位に含むものである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該非ウロキナーゼ酵素前駆体が、プロウロキナーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ以外のセリンプロテアーゼ類の酵素前駆体からなる集団から選択されたものである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酵素前駆体がカスパーゼ前駆体であり、該カスパーゼ前駆体の天然の活性化配列から30アミノ酸残基以内の距離、好ましくは20残基以内、より好ましくは10残基以内の距離に、該活性化配列を位置するものである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該MASPが、レクチン、好ましくはマンナン結合性レクチン(MBL)、L-フィコリン、H-フィコリン、コレクチンまたは他のフィコリンからなる群から選択されたレクチンとの複合体中に存在する請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該MASPがMASP-1、MASP-2およびMASP-3からなる群から選択された請求項1から8のいずれかに記載の方法
【請求項10】
該プロウロキナーゼまたは該非プロウロキナーゼ酵素前駆体のタンパク質分解的な開裂を決定することが、活性化された酵素による加水分解すると検出可能な標識を遊離するペプチド基質の使用を含むものからなる請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
プロウロキナーゼのタンパク質分解的活性化が、化合物Xxx-Yyy-Arg-pNAで(ここで、XxxおよびYyyはいずれのアミノ酸でもよく、pNAはパラニトロアニリン部分である)ペプチド基質として用いて行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロウロキナーゼのタンパク質分解的活性化がプラスミノーゲンを基質として用いて行われ、プラスミンによる加水分解の際に発色または蛍光基を遊離するプラスミン特異的ペプチド基質を用いてウロキナーゼによるプラスミノーゲン開裂が判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
MASPまたはMASP/レクチン複合体の特異的な結合分子を用いて、MASPまたはMASP/レクチン複合体を固体表面に固定化することを含む請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該特異的な結合分子が抗体またはその断片、あるいは炭水化物、好ましくはマンナンである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
レクチンを含むと思われる溶液にマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)を添加すること、そしてさらに、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法により該MASPを検出することからなるマンナン結合性レクチンの検出方法。
【請求項16】
活性化部位にMASPにより開裂可能なコンセンサス配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys-Ile/Leu/Val-Zzz-Gly-Glyを含む改変されたプロウロキナーゼ(ここで、Yyyはいずれのアミノ酸でもよくかつZzzは脂肪族アミノ酸である)において、該活性化配列がプロウロキナーゼの天然の活性化部位とは異なるところの上記改変されたプロウロキナーゼ。
【請求項17】
活性化部位が
からなる群から選択された配列を含む請求項16に記載の改変されたプロウロキナーゼ。
【請求項18】
請求項16または17に記載の改変されたプロウロキナーゼをコードする核酸。
【請求項19】
請求項16または17に記載の改変されたプロウロキナーゼまたは請求項18に記載の核酸を含み、活性化されたプロウロキナーゼに対する基質、2次酵素、緩衝液溶液、標準標本、抗体のような特異的結合分子、マイクロタイタープレートそして使用説明書からなる群からの少なくとも1つを伴う、サンプル中のMASPまたはレクチンとMASPの複合体の活性を決定するキット。
【請求項20】
機能的MASP分析におけるリポーター酵素としてプロウロキナーゼを使用する方法。
【請求項1】
マンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)により開裂可能なコンセンサス配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys-Ile/Leu/Val-Zzz-Gly-Gly(ここでYyyはいずれのアミノ酸でもよく、Zzzは好ましくは脂肪族アミノ酸である)を、活性化部位に含むプロウロキナーゼとともにサンプルを温置すること、および、該プロウロキナーゼのタンパク質分解的な活性化を決定することを含む、サンプル中のMASPの活性を決定する方法。
【請求項2】
該プロウロキナーゼが活性化部位に配列Arg-Phe-Lys-Ile-Ile-Gly-Glyを含み、好ましくは該プロウロキナーゼは野生型のプロウロキナーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該プロウロキナーゼが、配列
からなる群から選択された配列を活性化部位に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性化部位が、活性化配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys(ここで、Yyyはいずれのアミノ酸でもよい)を含み、該活性化部位においてMASPにより開裂して活性な酵素を遊離する組み換え非プロウロキナーゼ酵素前駆体とサンプルを温置すること、および、該酵素前駆体のタンパク質分解的な活性化を決定することからなる、サンプル中のマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)の活性を決定する方法。
【請求項5】
該非ウロキナーゼ酵素前駆体が活性化配列Arg-Phe-Lys、好ましくはPro-Arg-Phr-Lysを活性化部位に含むものである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該非ウロキナーゼ酵素前駆体が、プロウロキナーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ以外のセリンプロテアーゼ類の酵素前駆体からなる集団から選択されたものである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酵素前駆体がカスパーゼ前駆体であり、該カスパーゼ前駆体の天然の活性化配列から30アミノ酸残基以内の距離、好ましくは20残基以内、より好ましくは10残基以内の距離に、該活性化配列を位置するものである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該MASPが、レクチン、好ましくはマンナン結合性レクチン(MBL)、L-フィコリン、H-フィコリン、コレクチンまたは他のフィコリンからなる群から選択されたレクチンとの複合体中に存在する請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該MASPがMASP-1、MASP-2およびMASP-3からなる群から選択された請求項1から8のいずれかに記載の方法
【請求項10】
該プロウロキナーゼまたは該非プロウロキナーゼ酵素前駆体のタンパク質分解的な開裂を決定することが、活性化された酵素による加水分解すると検出可能な標識を遊離するペプチド基質の使用を含むものからなる請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
プロウロキナーゼのタンパク質分解的活性化が、化合物Xxx-Yyy-Arg-pNAで(ここで、XxxおよびYyyはいずれのアミノ酸でもよく、pNAはパラニトロアニリン部分である)ペプチド基質として用いて行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロウロキナーゼのタンパク質分解的活性化がプラスミノーゲンを基質として用いて行われ、プラスミンによる加水分解の際に発色または蛍光基を遊離するプラスミン特異的ペプチド基質を用いてウロキナーゼによるプラスミノーゲン開裂が判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
MASPまたはMASP/レクチン複合体の特異的な結合分子を用いて、MASPまたはMASP/レクチン複合体を固体表面に固定化することを含む請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該特異的な結合分子が抗体またはその断片、あるいは炭水化物、好ましくはマンナンである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
レクチンを含むと思われる溶液にマンナン結合性レクチンを伴うセリンプロテアーゼ(MASP)を添加すること、そしてさらに、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法により該MASPを検出することからなるマンナン結合性レクチンの検出方法。
【請求項16】
活性化部位にMASPにより開裂可能なコンセンサス配列Arg/Leu/Gly-Yyy-Arg/Lys-Ile/Leu/Val-Zzz-Gly-Glyを含む改変されたプロウロキナーゼ(ここで、Yyyはいずれのアミノ酸でもよくかつZzzは脂肪族アミノ酸である)において、該活性化配列がプロウロキナーゼの天然の活性化部位とは異なるところの上記改変されたプロウロキナーゼ。
【請求項17】
活性化部位が
からなる群から選択された配列を含む請求項16に記載の改変されたプロウロキナーゼ。
【請求項18】
請求項16または17に記載の改変されたプロウロキナーゼをコードする核酸。
【請求項19】
請求項16または17に記載の改変されたプロウロキナーゼまたは請求項18に記載の核酸を含み、活性化されたプロウロキナーゼに対する基質、2次酵素、緩衝液溶液、標準標本、抗体のような特異的結合分子、マイクロタイタープレートそして使用説明書からなる群からの少なくとも1つを伴う、サンプル中のMASPまたはレクチンとMASPの複合体の活性を決定するキット。
【請求項20】
機能的MASP分析におけるリポーター酵素としてプロウロキナーゼを使用する方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−525016(P2008−525016A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548110(P2007−548110)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000874
【国際公開番号】WO2006/068469
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(502015784)ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパストナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオー (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000874
【国際公開番号】WO2006/068469
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(502015784)ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパストナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオー (41)
【Fターム(参考)】
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