説明

マンニッヒ塩基およびマンニッヒ塩基の製造方法

少なくとも1種の式(I)のフェノール化合物、ホルムアルデヒド、および少なくとも1種のポリアミンを使用して製造される新規なマンニッヒ塩基を開示する。また粘度の低いマンニッヒ塩基の得られる、二段法マンニッヒ塩基製造法を開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革新的なマンニッヒ塩基に関し、またマンニッヒ塩基を製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンニッヒ塩基は長年知られてきた。出発物質としてのフェノールは、そのフェノールから製造したマンニッヒ塩基が、わずかに未反応のフェノール部分をさらに含んでいるという重大な欠点を持っている。フェノールは毒性があるので、フェノールベースのマンニッヒ塩基は多くの市場部分には使用できない。そのため、フェノールが存在しないマンニッヒ塩基を製造するために多大な努力がなされてきた。例えば、ノニルフェノールまたはp-tert-ブチルフェノールまたはカルダノールベースのマンニッヒ塩基が開発、商品化された。
【0003】
マンニッヒ塩基は主にエポキシ樹脂の反応促進剤として、あるいはエポキシ樹脂およびポリウレタンの硬化剤として使用される。例えば国際特許公開WO00/15687にはマンニッヒ塩基とアミンのトランスアミノ化によって製造されるマンニッヒ塩基反応促進剤が記載されている。
【0004】
知られているマンニッヒ硬化剤の一つの大きな欠点は、オリゴマーおよび副生物が生成するために製造する時に粘度が高くなることである。そのため、マンニッヒ塩基硬化剤は普通通常のポリアミンのブレンドの状態で使用される。しかし、追加のポリアミンを混合すると、エポキシ樹脂硬化組成物の性質には通常マイナスの効果をもたらす。
【特許文献1】国際特許公開WO00/15687
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は2成分エポキシ樹脂組成物およびポリウレタン組成物に硬化剤として使用でき、かつフェノールを含まない革新的なマンニッヒ塩基を製造することである。
【0006】
請求項1に記載したマンニッヒ塩基によればこれらの性質が提示され、したがって従来技術の問題点が克服されることが見出された。さらに、マンニッヒ塩基を製造するための二段階製造方法によればマンニッヒ塩基の部分の粘度が低くなることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1種の式(I)のフェノール化合物およびまたホルムアルデヒドおよび少なくとも1種のポリアミンを使用して製造する革新的なマンニッヒ塩基に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
上式(I)においてR1基はHまたはCH3である。好ましい式(I)のフェノール化合物はm-クレゾールである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ホルムアルデヒドは、当業者に通常知られている形態で、直接、あるいはホルムアルデヒドドナー化合物から使用されることができる。ホルムアルデヒドはパラホルムアルデヒドの形態またはホルマリン溶液の形態が好ましい。ホルマリン溶液が特に好ましい。
【0011】
「ポリアミン」は2個以上の第1級アミノ基を有する化合物を意味する。この種のポリアミンはエポキシおよびポリウレタン化学の業界の当業者には架橋剤として知られている。特に適当なのは以下のものである。
【0012】
脂肪族ポリアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、および前述のポリアミンの混合物。
【0013】
1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン(DCH)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3、5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-メチル-l,3-ジアミノシクロヘキサン、4-メチル-l,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノ-メチル)シクロヘキサン、1,3-2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA,三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサ-スピロ[5.5]ウンデカン、1,3-キシリレンジアミン、1,4-キシリレンジアミン、オクタヒドロ-4,7-メタノ-インデン-2,5-ジアミン、オクタヒドロ-4,7-メタノインデン-1,6-ジアミンなどの脂環式ポリアミン、およびビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、およびそのさらに長いオリゴマー類、例えばJeffamine(登録商標)(Huntsman化学製)という名前で入手できる、理論的に2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミンなどのエーテル基を含む脂肪族ポリアミン、ならびに前述のポリアミン類の混合物。
【0014】
トリレンジアミン-、フェニレンジアミン、4,4-メチレンジアニリン(MDA)などの芳香族アミン類および前述のポリアミン類の混合物。
【0015】
DAMP、IPDA、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-シクロヘキサン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、MPMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレン-トリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレン-ペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレン-テトラミン、テトラプロピレンペンタミン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02'6]デカン、およびそれらの混合物を包括する群から選択されるポリアミンが好ましい。
【0016】
ポリアミンは1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレンペンタミン、IPDA、1,2-ジアミノシクロヘキサン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、およびそれらの混合物を包括する群から選択するのが特に好ましい。
【0017】
そのようなポリアミンと他のポリアミンまたは他のアミンとの混合物でも可能であるということも認められるであろう。
【0018】
使用する前記ポリアミンの選択は、開示される方法によって製造されるマンニッヒ塩基の性質にもまたそれを使用して硬化したエポキシまたはポリウレタンシステムの性質にも大きな影響を及ぼす。
【0019】
マンニッヒ塩基は式(I)のフェノール化合物、ホルムアルデヒド、およびポリアミンから製造することができる。マンニッヒ塩基は通常の一段法で製造することができる。しかし、下に記載したようにマンニッヒ塩基は二段法で製造するのが好ましい。
【0020】
本発明の更なる態様はマンニッヒ塩基を製造する新規な二段法で構成される。マンニッヒ塩基を製造するこの革新的な方法の特徴は、第1段階において少なくとも1種のフェノール化合物をホルムアルデヒドと第三級アミンの存在下で反応させ、次の段階において少なくとも1種のポリアミンと反応させる方法である。
【0021】
特に適したフェノール化合物はフェノール性水酸基に対してo位および/またはp位において非置換である。その例は例えばヒドロキシナフタレン類、ポリヒドロキシナフタレン類、アルキルフェノール類、ジアルキルフェノール類やテトラヒドロナフトール類などの架橋フェノール類である。ポリフェノール化合物は単核および多核とも同様に包括される。この種のポリフェノール化合物の例はピロカテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、ビスフェノールA、およびビスフェノールFである。
【0022】
特に適しているのはフェノール性水酸基に対してoおよびp位において非置換であるフェノール化合物である。
【0023】
式(I)のフェノール化合物が好ましい。
【0024】
【化2】

【0025】
この場合、R1はHまたはCH3である。
【0026】
特に好ましいと考えられるのは式(I)においてR1が水素原子であるm-クレゾールである。
【0027】
ホルムアルデヒドは当業者に共通に知られている形態で、直接、あるいはホルムアルデヒドドナー化合物から使用することができる。ホルムアルデヒドはパラホルムアルデヒドの形態、あるいはホルマリン溶液の形態が好ましい。特に好ましいのはホルマリン溶液である。
【0028】
特に適した第三級アミンは、例えば1-(2-アミノエチル)ピペラジンなどの第1級アミノ基をさらに含むものである。R2基がC1〜C6のアルキルおよびn=1、2または3である式(II)の第三級アミンが好ましい。
【0029】
【化3】

【0030】
R2として好ましいと考えられるのは、R2=メチルまたはエチル、特にR2=メチルである。nとして好ましいのはn=2である。
【0031】
第三級アミンの混合物を使用することも可能である。環境によっては、第1段階においてさらにアルカリ金属水酸化物、アルカリ土金属水酸化物またはそれらの混合物を使用することも可能である。
【0032】
第1段階において、フェノール成分と第三級アミンの混合物にホルムアルデヒドを加えるのが有利である。添加は冷却しながら行うのが有利であり、ホルムアルデヒドを同様に冷やして、例えば、撹拌しながら、温度上昇がわずかしか観測されない程度にゆっくりと滴下して加える。温度が45〜50℃を越えないように注意して行うべきである。添加の終了に引き続き1時間ほど、温度を約45℃に保つのが有利である。さらに作業は不活性ガス雰囲気で行うことが推奨される。
【0033】
第2段階においては、少なくとも1種のポリアミンとの反応が行われる。第2段階においては、第1段階で得られた生成物をポリアミンの段階に撹拌しながらゆっくりと、例えば滴下して加えるのが有利である。この場合、ポリアミンは約80℃の温度まで加熱すべきである。添加の後、好ましくは窒素雰囲気で、約110℃の温度まで加熱する。同時に反応水を蒸留によって除去する。まだ追い出せていない水は真空にして蒸留除去するのが好ましい。
【0034】
マンニッヒ塩基はただちに、好ましくは室温に冷却した後で、硬化剤として使用することができるがブレンドしてもよい。このマンニッヒ塩基は貯蔵安定性があり、その性質は貯蔵中に実質的に変化しない。
【0035】
使用するポリアミンの選択は、開示した方法によって製造したマンニッヒ塩基の性質にもまたそれを使用して硬化したエポキシまたはポリウレタンシステムにも大きな影響を及ぼす。原理的には、エポキシおよびポリウレタン化学の業界の当業者に架橋剤として知られているポリアミンはすべて、本発明の方法に使用するポリアミンとして適している。
【0036】
特に適したポリアミンは以下のものである。
【0037】
エチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、および上述のポリアミン類の混合物などの脂肪族ポリアミン。
【0038】
1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン(DCH)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA、三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサ-スピロ[5.5]ウンデカン、1,3-キシリレンジアミン、1,4-キシリレンジアミン、オクタヒドロ-4,7-メタノインデン-2,5-ジアミン、オクタヒドロ-4,7-メタノインデン-1,6-ジアミン、などの脂環式ポリアミン、およびビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、ならびにさらに大きいそのオリゴマー、例えばJeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals製)の名前で入手可能な、理論的に2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類などのエーテル基を含む脂肪族ポリアミン、および前述のポリアミンの混合物。
【0039】
トリレンジアミン、フェニレンジアミン、4,4-メチレンジアニリン (MDA)などの芳香族アミン、および前記のポリアミン類の混合物。
【0040】
DAMP、IPDA、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-シクロヘキサン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、MPMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレン-トリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレン-ペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレン-テトラミン、テトラプロピレンペンタミン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、およびそれらの混合物を包括する群から選択されるポリアミンが好ましい。
【0041】
前記ポリアミンは1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン(3,6-ジアザオクタメチレンジアミン)、テトラエチレンペンタミン、IPDA、1,2-ジアミノシクロヘキサン、4,7-ジアザデカメチレン-1,10-ジアミン、およびそれらの混合物を包括する群から選択するのが特に好ましい。
【0042】
以上のようなポリアミン類と他のポリアミン類または他のアミン類の混合物も可能であるということは理解されよう。
【0043】
本発明の方法によって製造したマンニッヒ塩基は粘度が非常に低い。一段法によって製造したマンニッヒ塩基の粘度(η1)と革新的な二段法によって製造したマンニッヒ塩基の粘度(η2)の比k(η12)は1より大きく、2.5より大きいのが好ましく、特に3より大きいのが好ましい。
【0044】
η1を定めるのに関連する一段法は、ホルムアルデヒドをポリアミンとフェノール化合物の混合物に加えるという点で区別される。
【0045】
この革新的な方法によって製造したマンニッヒ塩基で得られる粘度は使用するフェノール化合物および使用するポリアミンにも大きく依存する。
【0046】
特に適したマンニッヒ塩基は25℃における粘度が1000mPas未満のものである。好ましいマンニッヒ塩基は200〜700mPasの範囲の粘度を有するものである。
【0047】
当業者にはこの種の反応では未反応成分が最終生成物中にわずかに存在する可能性があるということは明らかである。
【0048】
この革新的な方法によって製造したマンニッヒ塩基は第2級アミノ基のみならず第1級アミノ基をも有する。
【0049】
さらにこの方法に関して、多核オリゴマーを含まない、あるいは少なくとも、多核オリゴマーの割合の少ないマンニッヒ塩基が製造できることを見出すことが出来た。前記オリゴマーの割合はマンニッヒ塩基の重量に対して20重量%未満、特に10重量%未満が好ましい。
【0050】
この方法では同様に未反応フェノール化合物の割合の非常に少ないマンニッヒ塩基を製造することが可能である。もしマンニッヒ塩基が未反応フェノール化合物をマンニッヒ塩基の重量に対して1重量%未満、特に0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満しか含まなければ好都合である。
【0051】
本発明のマンニッヒ塩基およびまたこの革新的な方法によってできたマンニッヒ塩基には、例えば、2成分エポキシまたはポリウレタンシステムの硬化剤成分における硬化剤としての用途がある。このマンニッヒ塩基はここでは直接または硬化剤成分の構成分として使用することができる。
【0052】
このマンニッヒ塩基は2成分エポキシ樹脂システム、特に2成分エポキシ樹脂接着剤における硬化剤として使用するのが特に好ましい。
【0053】
これらのマンニッヒ塩基類、およびそれから得られる生成物を使用して硬化した2成分エポキシまたはポリウレタンシステムは非常に優れた性質を有している。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は本発明を説明するものである。
【0055】
[二段法マンニッヒ塩基製造の実施例]
製造の第1段階
フェノール化合物をガラスフラスコに仕込み、第三級アミンを加えた。その混合物を20℃に冷却し、次いでゆっくり冷却しながら、冷たいホルマリン溶液(36.5重量%水溶液)を滴下して加えた。著しい発熱が起きた。内温を40℃〜45℃に保持した。添加終了後、40〜45℃で1時間撹拌を継続した。
【0056】
製造の第2段階
表1に示したポリアミンを窒素中、室温で反応器に仕込み、80℃に加熱し、第1段階で得られた中間体を撹拌しながらゆっくりと注いだ。穏やかな発熱が生じた。窒素中で、約110℃まで加熱し、同時に反応水を大気圧下で留去した。理論量の80%の反応水の後、真空にして理論量の水になるまで蒸留除去を行った。
【0057】
[一段法マンニッヒ塩基製造の例]
表1に示したポリアミン、存在するいずれかの第三級アミン、および前記フェノール化合物を容器に仕込んだ。冷却しながら、20〜30℃の温度で、冷たいホルマリン溶液(36.5重量%水溶液)を滴下して加えた。かなりの発熱が起こった。窒素下で、約110℃まで加熱し、同時に大気圧で反応水を留去した。理論量の反応水の80%の後、真空にして、理論量の水になるまで蒸留除去を行った。
【0058】
【表1】

【0059】
[マンニッヒ塩基をエポキシ樹脂に使用する例]
適宜追加のポリアミンと組み合わせた、種々のマンニッヒ塩基を硬化剤として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(bisphenol A diglydiyl ether) (Vantico社からAraldite GY-250として商業的に入手可能)85%とトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル15%とで構成されるエポキシ樹脂成分と20〜23℃、相対湿度50%で手動で混合し、この混合物をこれらの条件で7日間硬化した。
【0060】
23℃、相対湿度50%で7日間硬化した試験片について、引っ張り強度、弾性率、および破断伸度を測定した。測定はISO527に従い5mm/minの引っ張り速度で行った。
【0061】
隔離した円筒状ビーカーに入れた100gの混合物のポットライフを23℃でゲルタイマーを使用して測定した。
【0062】
【表2】

【0063】
表2の結果によれば、これらのマンニッヒ塩基はエポキシ樹脂の硬化剤に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の式(I)のフェノール化合物:
【化1】

(R1=HまたはCH3)
および、ホルムアルデヒドおよび少なくとも1種のポリアミンを使用して製造することを特徴とするマンニッヒ塩基。
【請求項2】
第1段階において少なくとも1種の式(I)のフェノール化合物をホルムアルデヒドと第三級アミンの存在下で反応させ、次の段階において少なくとも1種のポリアミンと反応させることによって製造することを特徴とする請求項1に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項3】
前記第三級アミンが、式(II):
【化2】

(R2=C1〜C6アルキルかつn=1、2、または3)
を有することを特徴とする請求項2に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項4】
第1段階においてホルムアルデヒドを式(I)のフェノール化合物と第三級アミンの混合物に加えることを特徴とする請求項2または3に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項5】
式(I)においてR1=Hであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項6】
式(II)においてR2=CH3であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項7】
式(II)においてn=2であることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項8】
25℃における粘度が1000mPas未満、特に200〜700mPasの範囲であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項9】
第1段階において少なくとも1種のフェノール化合物をホルムアルデヒドと第三級アミンの存在下で反応させ、次の段階において少なくとも1種のポリアミンと反応させることを特徴とするマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項10】
前記第1段階においてホルムアルデヒドを前記フェノール化合物と前記第三級アミンの混合物に加えることを特徴とする請求項9に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項11】
前記第三級アミンが、式(II):
【化3】

(R2=C1〜C6アルキルかつn=1、2、または3)
を有することを特徴とする、請求項9または10に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項12】
式(II)においてR2=CH3であることを特徴とする、請求項11に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項13】
式(II)においてn=2であることを特徴とする、請求項11または12に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項14】
前記フェノール化合物が式(I):
【化4】

(R1=HまたはCH3)
のフェノール化合物であることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項15】
式(I)においてR1=Hであることを特徴とする請求項14に記載のマンニッヒ塩基の製造方法。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基を含むことを特徴とする、2成分エポキシシステムまたはポリウレタンシステムの硬化剤成分。
【請求項17】
請求項1から8のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基の、エポキシシステムまたはポリウレタンシステムの硬化剤としての使用。
【請求項18】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含む、エポキシシステムまたはポリウレタンシステム。
【請求項19】
少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含み、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法によって得られるエポキシシステムまたはポリウレタンシステム。
【請求項20】
請求項18または19に記載のエポキシシステムまたはポリウレタンシステムから得られる硬化生成物。

【公表番号】特表2006−525400(P2006−525400A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505588(P2006−505588)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050697
【国際公開番号】WO2004/099311
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】