説明

マンハッタン距離を安全に求めるための方法及びシステム

【課題】第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】第1の信号を第1の二値信号にマッピングし、第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離がマンハッタン距離に等しくなるように、第2の信号を第2の二値信号にマッピングし、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離が第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離を近似するように、第1の二値信号及び第2の二値信号の次元をそれぞれ低減して、第1の低次元信号及び第2の低次元信号を生成し、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離を安全に求めて、第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本方法は包括的には信号間の差異を求めることに関し、より詳細には、2つの暗号化信号間の差異を求めることに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの信号の差異測定値を安全に求めることが多くの場合に必要とされている。従来の方法は通常、暗号学的ハッシュ関数を使用して、2つの信号が異なっているか否かを判断する。ハッシュの衝突が発生する確率が無視できるほど低いことを前提とすれば、信号x及び信号yのハッシュが等しい場合、信号xは信号yに等しい。このような暗号学的ハッシュの比較は、ほとんどのパスワード管理アプリケーション及び鍵管理アプリケーションにおいて基本となっている。
【0003】
従来の暗号学的ハッシュ関数の本質的な特性は、ハッシュが、比較される信号の基礎構造を保たないことである。特に、1つの信号が別の信号の雑音があるバージョンである場合、雑音が小さい場合であっても2つの信号の暗号学的ハッシュは異なる。したがって、暗号学的ハッシュ関数は、雑音がある環境、たとえば記憶装置及び通信チャネル内で信号を比較するのに、単独では使用することができない。
【0004】
安全に信号間の差異を求めることは、多くの用途において重要である。たとえば、個人的な医療データは、該医療データを第三者に明らかにすることなく該第三者によって分析及び分類されるべきである。加えて、第三者は分類方法も、分類に使用されるデータベースも明らかにすることを望まない。
【0005】
この問題は、多くの場合に安全な複数者間計算(SMC)として定義される。紛失通信(OT)、安全な内積(secure inner product)(SIP)のような計算的に安全な方法を原形として使用して、より複雑な演算を実施し、それによってSMCを可能にすることができる。たとえば特許文献1がそのような方法を記載しているのを参照されたい。その方法は、ユーザによって供給される画像も、分類器によって使用される分類方法も明らかにすることなく物体検出を実施する。しかしながら、この方法は、ユーザと分類器との間で多数のやりとりを必要とする。やりとり及び鍵管理に関するオーバヘッドは非常に大きい。
【0006】
信号間の差異は距離メトリックに従って求められる。距離メトリックの例は、二乗距離、ハミング距離、及びマンハッタン距離である。当該技術分野において、信号間の二乗距離及びハミング距離を安全に求めるための多数の方法が存在する。たとえば、参照により本明細書に援用される、2009年6月30日付けでRane他によって出願された米国特許出願第12/495,721号明細書を参照されたい。しかしながら、当該技術分野において、低い通信オーバヘッドを有しながら、2つの信号間のマンハッタン距離を安全に求めるための2者間の方法は存在しない。本明細書において定義されるように、「安全に」は、各者、たとえばプロセッサが、計算全体を通じて自身の信号を他者から秘密にしておくことを意味する。
【0007】
2点間のマンハッタン距離は、それらの座標の絶対差の和である。マンハッタン距離は、L1距離、タクシー距離、街区距離、及び直線距離とも呼ばれる。
【0008】
信号の場合、次元nの信号、x=(x,x,...,x)、及びy=(y,y,...,y)間のマンハッタン距離は、以下である。
【0009】
【数1】

【0010】
ただし、x及びyは信号であり、法線x及びyは信号x及びyの個々の成分である。
【0011】
当該技術分野において、異なる複数の距離空間においてマンハッタン距離を近似するための多数の方法が存在する。しかしながら、これらの方法は全て意図的に安全でなく、且つ複数者間の大きな通信オーバヘッドを必要とする。このため、2つの信号間のマンハッタン距離を安全に求めることが望まれている。
【0012】
同様に、2点間の二乗距離は、それらの座標の二乗差異の和である。したがって、次元nの信号、x=(x,x,...,x)、及びy=(y,y,...,y)間の二乗距離は、以下である。
【0013】
【数2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第11/005,293号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の実施の形態は、二値信号間の二乗距離が信号間のマンハッタン距離に等しくなるように、信号x及びyを対応する
【0016】
【数3】

【0017】
にマッピングすることができるという認識に基づく。したがって、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して二値信号間の二乗距離を安全に求めることによって、信号間のマンハッタン距離を安全に求めることができる。さらに、二値信号間の二乗距離を保ちながら、該二値信号の長さ、及びそれに応じて通信のオーバヘッドを低減することができる。
【0018】
1つの実施の形態は、第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるための方法を開示する。本方法は、第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離がマンハッタン距離に等しくなるように、第1の信号を第1の二値信号にマッピングし、第2の信号を第2の二値信号にマッピングする。次に、本方法は、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離が第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離を近似するように、第1の二値信号及び第2の二値信号の次元をそれぞれ低減して、第1の低次元信号及び第2の低次元信号を生成する。そして最後に、本方法は、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離を求めて、第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求める。マンハッタン距離を安全に求めることは、異なる二者が信号x及びyを有する場合、x及びyを共有することなく距離算出を実行することができることを意味する。換言すれば、各者は計算全体を通じて該者の入力信号の機密を保持する。
【0019】
代替的な実施の形態では、第1の信号及び第2の信号を第1の二値信号及び第2の二値信号にマッピングし、第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離を安全に求めることによってマンハッタン距離を安全に求める。この実施の形態では、次元低減ステップは省略される。この実施の形態では通信オーバヘッドは関心事ではない。
【0020】
別の実施の形態は、第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるためのシステムを開示する。本システムは、第1の信号が第2のプロセッサから秘密にされ、第2の信号が第1のプロセッサから秘密にされるように本方法のステップを実施する第1のプロセッサ及び第2のプロセッサを備え、第1の信号は第1の二値信号にマッピングされ、第1の二値信号は次元をさらに低減されて第1の低次元信号が生成される。本システムは、第2の信号を第2の二値信号にマッピングする手段であって、第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離はマンハッタン距離に等しい、マッピングする手段と、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離が第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離を近似するように、第2の二値信号の次元を低減して第2の低次元信号を生成する手段と、第1の低次元信号と第2の低次元信号との間の二乗距離を安全に求めて、第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求める手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】信号間の暗号化されたマンハッタン距離を安全に求めるための方法の図である。
【図2】信号間の暗号化されたマンハッタン距離を安全に求めるための方法の図である。
【図3】本発明の一実施形態による生体認証又は個人的なマルチメディア検索のための安全な差異算出のための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、二値信号間の二乗距離が信号間のマンハッタン距離に等しくなるように、信号x及びyを対応する
【0023】
【数4】

【0024】
にマッピングすることができるという認識に基づく。したがって、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して二値信号間の二乗距離を安全に求めることによって、信号間のマンハッタン距離を安全に求めることができる。さらに、二値信号間の二乗距離、及びしたがって元の信号x及びy間のマンハッタン距離を概ね保ちながら、二値信号の長さ、及びそれに応じて通信のオーバヘッドを低減することができる。
【0025】
用語「信号」は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において広義で使用される。たとえば、信号は、データベクトル信号、行列信号、画像信号、生物学的データ信号、電磁信号等とすることができる。
【0026】
図1は、2つの信号110間の暗号化されたマンハッタン距離190を安全に求めるためのシステム及び方法100を示している。本発明の様々な実施形態によれば、マンハッタン距離190は、二値信号140又は低次元信号165に適用される二乗距離関数の暗号化結果120に等しい。
【0027】
結果120は公開鍵150を用いて暗号化される。1つの実施形態では、暗号化結果を安全に通信し(125)、公開鍵150に関連付けられる(153)秘密鍵151を用いて復号する(180)。幾つかの実施形態では、システムは本方法のステップを実施する1つ又は複数のプロセッサ、たとえば第1のプロセッサ101を備える。
【0028】
以下でより詳細に説明するように、二値信号140間の二乗距離が信号110間のマンハッタン距離に等しくなるように、信号x及びyを
【0029】
【数5】

【0030】
にマッピングする(130)。したがって、以下となる。
【0031】
【数6】

【0032】
ただし、下付き文字は二乗距離を表し、下付き文字はマンハッタン距離を表す。
【0033】
1つの実施形態では、以下で説明するように、2つの信号間の二乗距離を安全に求めるための従来の方法を使用して二値信号の二乗距離を求める(170)。通常、二値信号140は信号110よりもはるかに大きな次元を有する。このことは、プロトコル内の暗号化の使用に起因して、求めるステップ170の間の通信オーバヘッドを増大させる。
【0034】
この問題を解決するために、1つの実施形態では、二値信号間の二乗距離が2つの低次元信号間の二乗距離に概ね等しくなるように、
【0035】
【数7】

【0036】
165を生成する。したがって、以下となる。
【0037】
【数8】

【0038】
このため、マンハッタン距離190を計算するタスクは、低次元信号165間の二乗距離120の安全な計算170に低減される。低次元信号165は通例、信号110よりもわずかに大きな次元しか有しない。
【0039】
信号のマッピング
1つの実施形態では、信号110は次元nの2つの整数列、x=(x,x,...,x)、及びy=(y,y,...,y)であり、ただし、全てのi∈{1,2,...,n}の場合にx,y∈{0,1,...,M−1}であり、Mは信号の各要素の最大値である。1つの実施形態では、値Mは正の整数である。別の実施形態では、値Mは、次に高い整数に量子化される、すなわちマッピングを近似する。
【0040】
信号x及びyの幾つかの要素又は全ての要素が負値を有する場合、全ての要素が非負値を有することを確実にするために、適切な整数定数が信号x及びyの各要素に加算される。
【0041】
f(u)が最初のu個エントリとして1を含み、それに続くM−1−u個のエントリとして0を含む二値信号となるように、以下の二値変換関数を定義する。
【0042】
【数9】

【0043】
たとえば、信号xが2つの要素{1,3}を有し、Mが5である場合、二値信号f(u)は{10000,11100}である。
【0044】
したがって、1つの実施形態では、二値変換関数に従って信号110を
【0045】
【数10】

【0046】
にマッピングする。
【0047】
二値信号間の二乗距離は、二値信号間のマンハッタン距離に等しく、重要なことには2つの信号間のマンハッタン距離に等しい。したがって、以下となる。
【0048】
【数11】

【0049】
【数12】

【0050】
は次元n(M−1)を有する。たとえば、最大値Mが255である場合、二値信号の次元は信号の次元より254倍大きく、これによって二値信号間の二乗距離を安全に求める間の高い通信オーバヘッドがもたらされる。このため、二値信号間の二乗距離を少なくとも幾らか近似して保ちながら、二値信号の次元を低減することが望まれている。
【0051】
信号の次元の低減
幾つかの実施形態において、二値信号及び低次元信号間で二乗距離1が概ね保たれるように、
【0052】
【数13】

【0053】
の次元を低減して(160)低次元信号を生成する。
【0054】
1つの実施形態では、ジョンソン−リンデンシュトラウスの補題(JL)に従って定義される埋め込み関数を使用して二値信号を低次元信号に変換する。これによって高次元データが低次元空間に埋め込まれる。
【0055】
補題1:パラメータε>0及び整数sを所与とし、kを
【0056】
【数14】

【0057】
となるような正の整数とする。
【0058】
【数15】

【0059】
内のs個の点から成る全ての集合Pについて、全てのu,v∈Pの場合に
【0060】
【数16】

【0061】
となるような埋め込み関数
【0062】
【数17】

【0063】
が存在する。
【0064】
このため、埋め込み関数gを使用すると、高次元の任意の2つの点u、v間の二乗距離1は、低次元のg(u)、g(v)間の二乗距離lに概ね等しい。
【0065】
1つの実施形態では、補題1においてs=Mを設定して、低減された次元の数を求める。次に、パラメータε,β>0について、以下を設定する。
【0066】
【数18】

【0067】
別の実施形態では、k=α nlog Mを設定して式(3)を単純化する。ただし、定数αは、対数の底の変化に加えて、パラメータε及びβ両方の関数を表す。ここで、ε及びβは、以下で詳細に述べられるランダムに選択された埋め込み関数gのための近似パラメータ及び誤り確率パラメータである。
【0068】
1つの実施形態では、以下のようにJL埋め込み関数
【0069】
【数19】

【0070】
をランダムに選択する。
【0071】
【数20】

【0072】
を定義し、同様に
【0073】
【数21】

【0074】
を定義する。ただし、n(M−1)×k行列Rのエントリは、互いに独立であり同一の分布に従う(i.i.d.)ベルヌーリ数であり、各ビットは等しい確率b、すなわちb=0.5を有する+1又は−1である。(2)が偽である事象の確率は、最大でもs−βである。行列Rのエントリを生成するのに使用されるシード155はプロセッサ間で共有される。
【0075】
【数22】

【0076】
は、次元kを有する。このため、補題1及び式(3)に従って、以下となる。
【0077】
【数23】

【0078】
【数24】

【0079】
は、通常、整数信号ではない。幾つかの実施形態では、低次元信号165の値を、該信号165間の二乗距離を求める(170)前に整数値に変換する(167)。たとえば、1つの実施形態では、上記のJL埋め込み関数に従って、信号165の各要素の値を√kと乗算する。これによって信号が整数であることが確実になる。次に、暗号化結果120を求めた後、暗号化結果を√kで除算する。別の実施形態では、信号165の各要素の値を最も近い整数に量子化する。
【0080】
二乗距離の安全な計算
本発明の実施形態は、信号165間又は信号140間の二乗距離を安全に求めるための様々な方法を使用する。1つの実施形態では、参照により本明細書に援用される米国特許出願第12/495,721号明細書に記載されるように、二乗距離関数を準同型成分の線形結合として表現して、準同型変換に基づいて二乗距離を求める。準同型成分は信号165の代数結合であり、該代数結合の暗号化結果が、準同型特性を使用して信号の暗号化バーションから直接求められるのに適しているようになっている。信号165は公開鍵150を用いて暗号化される。
【0081】
したがって、信号165の暗号化されたバージョンから準同型成分の暗号化結果を求め、線形結合に従って準同型成分の暗号化結果を結合して暗号化結果120を生成する。
【0082】
実施例
図2は、第1のプロセッサ101に記憶される第1の信号210と、第2のプロセッサ102に記憶される第2の信号215との間の暗号化されたマンハッタン距離190を求めるための方法200を示している。本方法は、第1の信号が第2のプロセッサから秘密にされ、第2の信号が第1のプロセッサから秘密にされるように、第1のプロセッサ及び第2のプロセッサによって実行される。
【0083】
第1のプロセッサは第1の信号をマッピングして(130)第1の二値信号220を生成し、第1の二値信号の長さを低減して(160)第1の低次元信号230を生成し、第1の低次元信号を公開鍵150を用いて暗号化して(270)第1の暗号化信号240を生成する。第1の暗号化信号は、求めるステップ170に対する入力である。
【0084】
同様に、第2のプロセッサは第2の信号をマッピングして(130)第2の二値信号225を生成し、第2の二値信号の次元を低減して(160)第2の低次元信号235を生成し、第2の低次元信号を鍵150を用いて暗号化して(275)第2の暗号化信号245を生成する。第2の暗号化信号は、求めるステップ170に対する入力である。
【0085】
個人的な画像検索
図3は、本発明の実施形態による画像データ305の個人的な検索のための方法を示している。個人的な検索を必要とする画像データの例は、生体データ、たとえば指紋306及び顔の画像307のような生体特徴ベクトルを含む。要件は、データベースが画像クエリに対するアクセスを有せず、画像クエリの暗号化バージョンに対してのみアクセスを有することを確実にしながら、画像クエリを使用して画像データベースを探索することが可能でなくてはならないことである。1つの実施形態では、プロセッサ101及び102は第3のプロセッサ103、たとえば遠隔認証サーバと対話する。しかしながら、別の実施形態では、プロセッサ103によって実行されるプロセスは、プロセッサ101及び102のうちの1つによって実行される。
【0086】
クエリ画像データ305から信号215を抽出する(310)。信号215が、データベース320内の信号のうちの少なくとも1つ、たとえば信号210から閾値Dth355未満のマンハッタン距離を内部に有する場合、遠隔サーバ103は、信号215のクエリが成功したことを確認する。
【0087】
プロセッサ101及び102は、入力信号215及び210を用いて方法200を実行し、信号間の暗号化されたマンハッタン距離lを求める。公開鍵150が第3のプロセッサ103によって提供される。暗号化された差異190が第3のプロセッサに送信される。該差異を、秘密鍵151を用いて復号した(180)後、閾値355と比較する(350)。比較した後、確認(又は拒絶)をプロセッサ102に送信する(360)。
【0088】
本発明を、好ましい実施形態の例として説明してきたが、本発明の精神及び範囲内で他のさまざまな適合及び変更を行えることが理解されるべきである。したがって、本発明の真の精神及び範囲内に入るすべての変形及び変更を包含することが、添付の特許請求の範囲の目的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるための方法であって、該方法のステップは、前記第2の信号が第1のプロセッサから秘密にされ、前記第1の信号が第2のプロセッサから秘密にされるように処理を実施するための第1及び第2のプロセッサによって実施され、
前記第1の信号を第1の二値信号にマッピングするステップと、
前記第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離が前記第1の信号と前記第2の信号との間のマンハッタン距離に等しくなるように、前記第2の信号を前記第2の二値信号にマッピングするステップと、
前記第1の二値信号を第1の低次元信号に低減するステップと、
前記第2の二値信号を第2の低次元信号に低減するステップであって、前記第1の低次元信号と前記第2の低次元信号との間の二乗距離が前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の前記二乗距離を近似する、低減するステップと、
前記第1の低次元信号と前記第2の低次元信号との間の前記二乗距離を安全に求めるステップであって、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記マンハッタン距離を安全に求める、求めるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記求めるステップの前に、前記第1の低次元信号及び前記第2の低次元信号を鍵を用いて暗号化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マッピングするステップは、前記第1の信号及び前記第2の信号を二値変換関数に従って変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記低減するステップは、前記第1の信号及び前記第2の信号を、埋め込み関数を使用して前記第1の低次元信号及び前記第2の低次元信号に変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記埋め込み関数は、低歪み埋め込みに関してジョンソン−リンデンシュトラウスの補題に従って定義される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の低次元信号及び前記第2の低次元信号は整数値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記安全に求めるステップは、
二乗距離関数を準同型成分の線形結合として表現すること、及び
前記第1の低次元信号と前記第2の低次元信号との間の前記二乗距離を、前記準同型成分の前記線形結合を使用して準同型変換に基づいて求めること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記マンハッタン距離は、前記鍵を用いて暗号化される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記マンハッタン距離を第3のプロセッサに送信すること、及び
前記マンハッタン距離を復号すること、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の信号及び前記第2の信号は生体特徴ベクトルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記マンハッタン距離を復号することであって、復号されたマンハッタン距離を生成する、復号すること、及び
前記復号されたマンハッタン距離を閾値と比較することであって、比較結果を生成する、比較すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるための方法であって、該方法のステップは、プロセッサによって実施され、該方法は、
第1の二値信号と第2の二値信号との間の二乗距離が前記第1の信号と前記第2の信号との間のマンハッタン距離に等しくなるように、前記第1の信号及び前記第2の信号を前記第1の二値信号及び前記第2の二値信号にマッピングするステップと、
前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の前記二乗距離を求めるステップであって、前記マンハッタン距離を生成する、求めるステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記求めるステップの前に、前記第1の二値信号及び前記第2の二値信号を、鍵を用いて暗号化することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記求めるステップは、
二乗距離関数を準同型成分の線形結合として表現すること、及び
前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の前記二乗距離を、前記準同型成分の前記線形結合を使用して準同型変換に基づいて求めること、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
生体情報から前記第2の信号を抽出することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
第1の信号と第2の信号との間のマンハッタン距離を安全に求めるためのシステムであって、前記第1の信号が第2のプロセッサから秘密にされ、前記第2の信号が第1のプロセッサから秘密にされるように処理を行うための前記第1のプロセッサ及び前記第2のプロセッサを備え、前記第1の信号は第1の二値信号にマッピングされ、該第1の二値信号は次元をさらに低減されて第1の低次元信号を生成し、該システムは、
前記第2の信号を第2の二値信号にマッピングする手段であって、前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の二乗距離はマンハッタン距離に等しい、マッピングする手段と、
前記第1の低次元信号と前記第2の低次元信号との間の二乗距離が前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の前記二乗距離を近似するように、前記第2の二値信号の次元を低減して前記第2の低次元信号を生成する手段と、
前記第1の低次元信号と前記第2の低次元信号との間の前記二乗距離を安全に求めて、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記マンハッタン距離を安全に求める手段と、
を備える、システム。
【請求項17】
前記求めることの前に、前記第2の二値信号を鍵を用いて暗号化する手段をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記求める手段は、
二乗距離関数を準同型成分の線形結合として表現する手段と、
前記第1の二値信号と前記第2の二値信号との間の前記二乗距離を、前記準同型成分の前記線形結合を使用して準同型変換に基づいて求める手段と、
をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の信号及び前記第2の信号は生体特徴ベクトルである、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記マンハッタン距離を第3のプロセッサに送信する手段と、
前記マンハッタン距離を復号する手段と、
をさらに備える、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−55469(P2011−55469A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−127477(P2010−127477)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】