説明

マンホール用ICタグ取付装置

【課題】簡便にICタグを蓋に取り付けることができると共に耐久性に優れ、蓋の外側から情報読取り可能なマンホール用ICタグ取付装置を提供する。
【解決手段】マンホールの蓋(2)の表面に支持孔(20)を穿ち、これに取付ロッド(1)を嵌入して、取付ロッド(1)を蓋(2)に取り付ける。支持孔(20)の蓋表面側の開口縁には係止凹部(21)を設けて、これに取付ロッド(1)の頭部(10)を収容する。ICタグ(3)はこの取付ロッドの頭部に形成した凹部(12)内に設置して、蓋(2)の表面側からICタグの情報を読取可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの蓋にICタグを取り付けるためのマンホール用ICタグ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール自体乃至はマンホールの蓋にICタグを取り付けて、これにマンホールの深さや管径などの諸元情報を記録して管理するシステムが知られている(特許文献1)。
【0003】
このようなシステムによれば、マンホールの諸元情報や工事履歴の管理が紙媒体の台帳に比べ簡便に行えるが、マンホールの数は膨大にあるため、どのようにICタグを取付ければ能率が良く、また交通の障害にもならないかという問題がある。
【0004】
また取付け位置も、蓋の裏側やマンホールの中では、読取りのたびに蓋を開けるか作業員がマンホールに入るかする必要があり、手間がかかる。
【0005】
反面、蓋の表面に取り付けると、蓋の表面は通過車両や風雨にさらされるため、剥がれたり破損したりするおそれが大きい。
【特許文献1】特開2002−366616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便にICタグを蓋に取り付けることができるうえに、耐久性にも優れ、また蓋を開けずに読取りが可能なマンホール用ICタグ取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明では、マンホールの蓋の表面に支持孔を穿ち、これに取付ロッドを嵌入して取付ロッドを前記蓋に取り付けると共に、蓋の表面に露出する前記取付ロッドの頭部に形成した凹部内にICタグを設置してなるマンホール用ICタグ取付装置を提供する。
請求項2記載の発明は、前記支持孔が前記蓋を貫通すると共に、前記取付ロッドを前記蓋の厚みよりも長く形成し、蓋の裏面に突出する取付ロッドの先端のねじ部にナットを締結することにより、取付ロッドを蓋に取り付けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記取付ロッドを支持孔に圧入することにより、取付ロッドを蓋に取り付けたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記支持孔の蓋の表面の開口縁に、該支持孔よりも大径の係止凹部を形成し、前記取付ロッドの頭部をこの係止凹部に収容して、該頭部頂面を前記蓋表面よりも低くした状態で、取付ロッドを蓋に取り付けたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記取付ロッドの頭部と蓋の間にシール部材を介装して、取付ロッドを蓋に取り付けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記取付ロッドの頭部に非円形の取付ロッド旋回用嵌合部を形成し、この嵌合部の底面に前記凹部を形成して、該凹部内に硬化性の充填材を充填硬化して、凹部内にICタグを設置したことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記取付ロッドを電波透過性を有する材質で形成する一方、前記取付ロッドの先端より頭部に至る有底穴を形成して前記凹部となし、この凹部内にICタグを設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、蓋の表面に露出する取付ロッドの頭部に形成した凹部内にICタグを設置していることにより、ICタグに記録した情報を蓋を開放せずに蓋の表面側から読取可能なため、情報の読取りを簡便かつ迅速に行える。また、ICタグが設置されている取付ロッドを、蓋に形成した支持孔に嵌入して取り付けるという簡易な取付構造であるため、取付作業に手間を要さず簡便かつ迅速に行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、蓋を貫通する支持孔に蓋の厚みよりも長く形成した取付ロッドを挿通し、蓋の裏面に突出する取付ロッドの先端のねじ部にナットを締結して取付ロッドを蓋に取り付けることにより、取付ロッドを支持孔に嵌入してナットを締結するという簡易な取付構造で、迅速かつ確実に取付作業を行うことができて作業時間を短縮できると共に安定した取付状態を実現でき、取付ロッドの持ち去りや自然脱落などによる紛失のおそれが少ない。
請求項3記載の発明によれば、蓋に穿った支持孔に取付ロッドを圧入して、蓋に取付ロッドを取り付けたことにより、蓋の解放を必要としない簡便な取付構造が実現でき、取付作業を迅速に行って作業時間を短縮できると共に安定した取付状態を維持できて取付ロッドの持ち去りや自然脱落などによる紛失のおそれが少ない。
請求項4記載の発明によれば、取付ロッドの頭部が蓋の表面の開口縁に形成した係止凹部に収容されることにより、取付ロッドを蓋に取り付けた状態で頭部頂面が蓋表面よりも低く位置し、取付ロッドが車両等の荷重を直に受けることが無く、耐久性に優れる。
請求項5記載の発明によれば、取付ロッドの頭部と蓋の間にシール部材を介装したことにより、蓋に貫通穴を形成してもマンホール内部の密閉性が保持され、雨水等の不明水が支持孔から蓋内に浸入するのを防止することができる。
請求項6に記載の発明によれば、取付ロッドの頭部に非円形の取付ロッド旋回用嵌合部を形成したことにより、ドライバーなどを取付ロッドに適用可能となって作業性が向上し、取付ロッドを蓋に簡便に取り付けることができると共に、この嵌合部の底面に凹部を形成し充填材を充填硬化してICタグを設置しているため、ICタグが風雨にさらされることがなく、また車両等の荷重が直接かかることがなく耐久性を向上することができる。
請求項7記載の発明によれば、電波透過性を有する材質により取付ロッドを形成すると共に取付ロッドの先端より頭部に至る有底穴を凹部とし、この凹部内にICタグを設置することにより、ICタグは取付ロッドの内部に完全に収容され、優れた耐久性を得ると共にICタグの持ち去り等による紛失のおそれがなく、また、蓋の開放等の必要無くICタグの情報の読取作業を行って、簡便かつ迅速な情報の読取りが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1乃至図9を参照して本発明に係るマンホール用ICタグ取付装置について説明する。
【0010】
まず、図1及び図2を参照して、マンホール用ICタグ取付装置の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る取付ロッドの第1の実施形態を示す斜視図である。
取付ロッド1は、皿キャップ形状の頭部10と、ねじ山を有するねじ部11とによりボルト状に形成する。頭部10の頂面には、ICタグ3を設置するための凹部12と、嵌合部13とを形成する。ねじ部11は、取り付けるべきマンホールの蓋の厚みよりも長く形成する。
【0011】
本実施形態の凹部12は六角柱形状の有底穴により構成している。この凹部12に直方体形状のICタグ3(破線図示)を完全に収容する。この凹部12に、硬化性の充填材30を充填してICタグ3を完全に覆い、充填材30を硬化してICタグ3を凹部12に設置する。
【0012】
充填材30を凹部12の途中部まで充填して硬化し、この充填材30の上面を、取付ロッド1を螺回するために六角レンチを嵌合可能な六角柱形状の嵌合部13の底面に形成する。
【0013】
凹部12と嵌合部13を構成する有底穴は十分な深さに形成して、充填材30によりICタグ3を完全に覆うことができると共に、六角レンチにより取付ロッド1を旋回可能な深さの嵌合部13を確保する。
【0014】
ICタグ3には、取り付けるべき蓋に関する諸元情報をあらかじめ記録しておくことができる。この諸元情報としては、例えば、その蓋のマンホールの深さ、管径、設置年、固有番号、管路の流出入本数や流出入の方角、合流管、汚水管及び雨水管などの管種情報のほかに、地震対策工事などを施工済かどうかなどの情報がある。
【0015】
次に、図2を参照して、本発明に係るマンホール用ICタグ取付装置について説明する。図2は、本発明に係るマンホール用ICタグ取付装置の第1の実施形態を示す側面断面図である。
【0016】
蓋2には、蓋2の表面から裏面までを貫通する支持孔20を穿つ。また、支持孔20の蓋表面側の周縁に、支持孔20よりも大径に開口するテーパ形状の係止凹部21を形成する。係止凹部21は、取付ロッド1の頭部10を収容可能な深さと大きさに形成する。
【0017】
この支持孔20に取付ロッド1のねじ部11を嵌入して係止凹部21に頭部10を収容する。支持孔20に挿通されたねじ部11は蓋2の裏面側に突出し、このねじ部11にナット14を締結することにより、取付ロッド1を蓋2に取り付ける。
係止凹部21は充分な深さに形成しておき、取付ロッド1を蓋2に取り付けたときに、頭部10の頂面を蓋2の表面よりも低く位置させる。
【0018】
本実施形態において、取付ロッド1の頭部10は、皿キャップ形状に形成しているが、ボタンキャップ形状や六角柱形状に形成してもよい。また嵌合部13は、六角柱形状に形成しているが、四角柱形状などの多角柱形状に形成してもよい。
【0019】
蓋2の係止凹部21は、取付ロッド1の頭部10の形状に合わせて支持孔20よりも大径に開口するテーパ形状に形成しているが、取付ロッド1の頭部10の形状が六角柱形状やボタンキャップ形状の場合には、その頭部形状に合わせて係止凹部を形成する。
【0020】
また、本実施形態においては、六角柱形状の凹部12を形成し、その上部を嵌合部13としているが、嵌合部を六角柱形状などの非円形状に形成し、その底部に円柱形状の凹部を形成する構成としてもよい。
【0021】
嵌合部を六角形等の多角形状やすり割りにより構成し、その底部側に円柱形状の凹部を設ける場合、十分な深さの嵌合部と凹部とを容易に確保できると共に、加工も容易でありコスト的に有利となる。
【0022】
たとえば、図3は取付ロッドの第2の実施形態を示す斜視図である。取付ロッドの第2の実施形態は、図3に示したように、取付ロッド1aの頭部10に嵌合部としてすりわり15を形成し、そのすりわり15の底部側にさらに円柱形状の凹部12を形成している。
【0023】
以下に、上記のごとく構成したマンホール用ICタグ取付装置の作用効果について説明する。
【0024】
上記のごとく構成したマンホール用ICタグ取付装置は、ICタグが設置されている取付ロッドを蓋に形成した支持孔に嵌入してナットを締結するという簡易な取付構造により、迅速かつ確実な取付作業が可能となり、作業時間を短縮できると共に安定した取付状態を実現できて振動や衝撃などによって脱落することがなく、また、持ち去り等のおそれも少ない。
【0025】
取付ロッドの頭部は蓋に形成した係止凹部に収容され、頭部頂面が蓋の表面よりも低い位置にあるため、車両等の荷重を頭部に直接に受けることが無く、耐久性に優れる。
【0026】
ICタグは、頭部頂面を開口して形成した凹部内に設置されているため、蓋の表面側からの情報読取が可能で、蓋を開放せずに読取作業を行って、簡便かつ迅速な情報の読取作業が可能であると共に、取付ロッドは金属製でもよく、安価な汎用品で形成することができてコスト的に有利となる。
【0027】
取付ロッドの頭部頂面には六角ドライバや六角レンチが嵌合する六角柱形状の嵌合部を形成しているため、取付ロッドを蓋に簡便に取り付けて取付作業の作業性の向上を図れると共に、この嵌合部の底面にICタグを設置する凹部を形成しているため、ICタグが風雨にさらされることがなく、また車両等の荷重が直接かかることがなく耐久性を向上できる。
【0028】
次に、取付ロッドの蓋への取付方法について説明する。取り付けロッドの蓋への取付方法は3つの段階からなる。
【0029】
まず、取付ロッド1にICタグ3を取り付けるICタグ設置段階について説明する。
最初に、取付ロッド1にICタグ3を設置する凹部12を形成する。図1乃至図3では、凹部12は、取付ロッド1の頭部10の頂面を開口して形成されている。
次に、この凹部12にICタグ3を設置する。図例では、凹部12にICタグ3を収容して硬化性樹脂などの充填材30を充填し、この充填材30を紫外線照射や加熱などの方法により硬化してICタグ3を凹部12内に設置固定している。
ICタグ3には、取り付けるべき蓋2に関する情報をあらかじめ記録しておくこともできるし、取付ロッド1に固定した後や蓋2に取付けた後に情報を記録してもよい。
【0030】
次に、蓋2に支持孔20を形成する支持孔形成段階について説明する。
まず、支持孔20は、ドリルなどを用いて蓋2に穴を開けて形成する。図例では、蓋2を貫通する貫通穴により支持孔20を形成している。
そして、支持孔20の蓋表面側に、取付ロッド1の頭部10を係止するための係止凹部21を形成する。この係止凹部21は、支持孔20を形成したときに用いたドリルよりも径の大きいドリルを用いて支持孔20の途中部まで穿孔するなどしてテーパ状に形成し、支持孔20よりも大径に開口している。
【0031】
最後に、支持孔20に取付ロッド1を取り付けるロッド取付段階について説明する。
取付ロッド1を蓋2に取り付ける際には、まず蓋2を開放して、取付ロッド1のねじ部11を蓋2の表面側から支持孔20に嵌入する。支持孔20にねじ部11を挿通して蓋2の裏面に突出し、このねじ部11にナット14を締結して、取付ロッド1を蓋2に固定する。
【0032】
以下に、上記した蓋へのICタグ取付方法の効果について説明する。
【0033】
上記の蓋へのICタグ取付方法によれば、ICタグを取付ロッドにあらかじめ固定しておくことができるため、取付作業を行う現場では、蓋に支持孔と係止凹部とを形成し、これに取付ロッドを固定するだけでよい。したがって、簡易な作業によりマンホールの蓋へのICタグの取付を確実かつ迅速に行うことができ、効率的な作業により取付時の道路等の占有時間の短縮が可能となる。
【0034】
次に、図4及び図5を参照してマンホール用ICタグ取付装置の第2の実施形態について説明する。図4は、取付ロッドの第3の実施形態を示す斜視図である。
【0035】
取付ロッド4は、六角柱形状の頭部40と、ねじ山を有するねじ部41とによりボルト状に形成する。頭部40の頂面には、ICタグ3を設置するための凹部42を形成する。
【0036】
本実施形態の凹部42は、円柱形状の有底穴により構成する。この凹部42に直方体形状のICタグ3(破線図示)を完全に収容し、硬化性の充填材30を充填してICタグ3を完全に覆い、充填材30を硬化してICタグ3を凹部42に設置する。
【0037】
本実施形態においては、取付ロッド4の頭部40が六角柱状で、スパナやめがねレンチ等により取付ロッド4を旋回可能であるため、凹部42を円柱形状に形成することができる。この場合、多角柱形状に比べて加工が容易であり、コスト的に有利である。
【0038】
次に図5を参照して、マンホール用ICタグ取付装置の第2の実施形態について説明する。図5は、マンホール用ICタグ取付装置の第2の実施形態を示す側面断面図である。
【0039】
蓋5には、蓋5の表面から裏面までを貫通する支持孔50を形成する。また、この支持孔50を囲むように環状のシール部材45を配置する。
支持孔50に取付ロッド4を嵌入して、蓋5の表面と頭部40との間にシール部材45を介装した状態で取付ロッド4を蓋5に取り付ける。
【0040】
以下に、上記のごとく構成したマンホール用ICタグ取付装置の第2の実施形態の効果について説明する。
【0041】
上記のごとく構成したマンホール用ICタグ取付装置は、取付ロッドの頭部と蓋との間にシール部材を介装したことにより、迅速かつ確実な作業性を損なうことなく、蓋を貫通する支持孔からマンホール内に雨水等の不明水が浸入するのを防止することができる。
【0042】
特に下水道においては、マンホールの内部に雨水が浸入して下水に混入すると、下水処理費用の増大を招くため、このような不明水の浸入を防止することは重要である。
【0043】
次に、図6及び図7を参照してマンホール用ICタグ取付装置の第3の実施形態について説明する。図6は、取付ロッドの第4の実施形態を示す斜視図であり、図7は、マンホール用ICタグ取付装置の第3の実施形態を示す側面断面図である。
【0044】
図6に示したように、取付ロッド6は、皿キャップ形状の頭部60と、棒状のロッド部61とにより形成する。この取付ロッド6は、樹脂などの電波透過性を有する材質で形成する。
【0045】
凹部62は、図7に示したように、ロッド部61の先端を開口し、頭部60にまで至る深さの有底穴により構成している。この凹部62にICタグ3を収容して穴底に設置し、硬化性の充填材30を充填硬化してICタグ3を固定する。
【0046】
蓋7には、図7に示すように、有底の支持孔70を形成し、これにロッド部61を嵌入する。この支持孔70は、その径を、取付ロッド6のロッド部61と同じか又はロッド部61よりもわずかに小さく形成し、取付ロッド6の頭部60をハンマーなどで叩いて支持孔70に圧入することにより、取付ロッド6を蓋7に取り付ける。
【0047】
取付ロッド6を支持孔70に圧入する際に、支持孔70の穴壁に接着剤等を付着しておいてもよい。接着剤を付着しておくことにより、支持孔70と取付ロッド6との寸法精度が高くなくてもよく、容易に取付作業を行うことができると共に取付ロッド6を確実に支持孔70に取り付けることができる。
【0048】
以下に、上記のごとく構成した第4の実施形態に係る取付ロッドの作用効果について説明する。
【0049】
この取付ロッドは、電波透過性の素材により形成されると共に凹部がマンホール内部側に形成されているため、ICタグやこれを覆う充填材が風雨や車両の荷重などから受ける影響が少なく、耐久性に優れる。
【0050】
蓋に取り付けロッドよりも同径又はわずかに小径の支持孔を形成し、取付ロッドのロッド部を支持孔に圧入して取り付けることにより、取付作業の際に蓋の開放を要せず、簡便な方法により迅速に取付作業を行って作業効率の向上を図ることができる。
【0051】
取付ロッドは支持孔に嵌め込まれているため衝撃や振動等によって脱落しにくく、持ち去りや自然脱落などにより紛失するおそれがない。
【0052】
本実施形態においては、支持孔は有底に形成したが、蓋を貫通させて形成してもよい。また、凹部はロッド部の底部側を開口して形成したが、頭部頂面側を開口して形成してもよい。
【0053】
本実施形態のように、取付ロッドを支持孔に圧入して取り付ける場合、取付の先端を先細のテーパ形状に形成すると、圧入しやすくなって作業性を向上させることができる。
【0054】
次に、図8及び図9を参照して取付ロッドの第5の実施形態について説明する。図8は、取付ロッドの第5の実施形態を示す斜視図であり、図9は、第5の実施形態の取付ロッドを適用したマンホール用ICタグ取付装置の側面断面図である。
【0055】
取付ロッド8は、図8に示すように、皿キャップ形状の頭部80と、ねじ山を有するねじ部81とにより形成する。この取付ロッド8は、樹脂などの電波透過性を有する材質で形成する。取付ロッド8の頭部80には、嵌合部としてすりわり85を形成する。
【0056】
凹部82は、図9に示すように、ねじ部81の先端を開口し、頭部80にまで至る深さの有底穴により構成する。この凹部82にICタグ3を収容して穴底に設置し、硬化性の充填材30を充填硬化してICタグ3を固定する。
【0057】
蓋2には、図9に示すように、蓋2の表面から裏面までを貫通する支持孔20を形成する。また、支持孔20の蓋表面側に、支持孔20よりも大径に開口するテーパ形状の係止凹部21を形成する。係止凹部21は、取付ロッド8の頭部80が収まる深さと大きさに形成する。
【0058】
この支持孔20に取付ロッド8のねじ部81を嵌入する。取付ロッド8のねじ部81を支持孔20に挿通すると共に係止凹部21に頭部80を収容し、そして、取付ロッドの頭部80に形成したすり割り85にマイナスドライバーなどを嵌合すると共に蓋2の裏面側に突出するねじ部81にナット84を締結することにより、取付ロッド1を蓋2に取り付ける。
係止凹部21は充分な深さに形成しておき、取付ロッド8を蓋2に取り付けたときに、頭部80の頂面を蓋2の表面よりも低く位置させる。
【0059】
以下に、上記のごとく構成した第5の実施形態に係る取付ロッドの作用効果について説明する。
【0060】
この取付ロッドは、電波透過性の素材により形成されると共に凹部がマンホール内部側に形成されているため、ICタグやこれを覆う充填材が風雨や車両の荷重などから受ける影響が少なく、耐久性に優れる。
【0061】
また、取付ロッドの頭部頂面にすり割りを形成しているため、取付ロッドを蓋に簡便に取り付けることができ、取付作業の作業性の向上を図れる。
【0062】
本発明に係るマンホール用ICタグ取付装置は、マンホールだけでなく、ハンドホールなどに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る取付ロッドの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るマンホール用ICタグ取付装置の第1の実施形態を示す側面断面図である。
【図3】取付ロッドの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図4】取付ロッドの第3の実施形態を示す斜視図である。
【図5】マンホール用ICタグ取付装置の第2の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】取付ロッドの第4の実施形態を示す斜視図である。
【図7】マンホール用ICタグ取付装置の第3の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】取付ロッドの第5の実施形態を示す斜視図である。
【図9】第5の実施形態に係る取付ロッドを適用したマンホール用ICタグ取付装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1、1a、4、6、8 取付ロッド
10、40、60、80 頭部
11、41、81 ねじ部
12、42、62、82 凹部
13 嵌合部
14、44、84 ナット
15、85 すりわり
2、5、7 蓋
20、50、70 支持孔
21、51、71 係止凹部
3 ICタグ
30 充填材
45 シール部材
61 ロッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの蓋の表面に支持孔を穿ち、これに取付ロッドを嵌入して取付ロッドを前記蓋に取り付けると共に、蓋の表面に露出する前記取付ロッドの頭部に形成した凹部内にICタグを設置してなるマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項2】
前記支持孔が前記蓋を貫通すると共に、前記取付ロッドを前記蓋の厚みよりも長く形成し、蓋の裏面に突出する取付ロッドの先端のねじ部にナットを締結することにより、取付ロッドを蓋に取り付けてなる請求項1記載のマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項3】
前記取付ロッドを支持孔に圧入することにより、取付ロッドを蓋に取り付けてなる請求項1記載のマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項4】
前記支持孔の蓋の表面の開口縁に、該支持孔よりも大径の係止凹部を形成し、前記取付ロッドの頭部をこの係止凹部に収容して、該頭部頂面を前記蓋表面よりも低くした状態で、取付ロッドを蓋に取り付けてなる請求項1記載のマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項5】
前記取付ロッドの頭部と蓋の間にシール部材を介装して、取付ロッドを蓋に取り付けてなる請求項1記載のマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項6】
前記取付ロッドの頭部に非円形の取付ロッド旋回用嵌合部を形成し、この嵌合部の底面に前記凹部を形成して、該凹部内に硬化性の充填材を充填硬化して、凹部内にICタグを設置してなる請求項2記載のマンホール用ICタグ取付装置。
【請求項7】
前記取付ロッドを電波透過性を有する材質で形成する一方、前記取付ロッドの先端より頭部に至る有底穴を形成して前記凹部となし、この凹部内にICタグを設置してなる請求項1記載のマンホール用ICタグ取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−150903(P2008−150903A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341680(P2006−341680)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(592221218)株式会社シーエスエンジニアズ (7)
【Fターム(参考)】