説明

マーキング付きホース

【課題】ホース同士が擦れた場合であっても、ホースの外面に付したマーキングが擦り取られるのを防止することのできるマーキング付きホースを提供する。
【解決手段】外層16がゴム層から成るホース10の外面に、ホース10長手方向に延びる溝40を周方向に連続して形成しておいて、複数の溝40のそれぞれの内面にインク44を付着させ、所要のマーキング13をそれら複数の溝40にまたがってホース10の外面に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はホースの外面にマーキングを印刷にて形成して成るマーキング付きホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な種類のホースが様々な用途に用いられている。
そこでホースの種類や用途,材質,サイズその他を表すために、これらホースにはその外面に図7に示すように所要のマーキング200が付される。尚202はホースを示している。
【0003】
ところでホースの製造工程では、押出成形したホースを皿の上に巻いた状態に載せたり、皿を回転させながら皿上のホースを引取り機にて引き取り、コイル状に巻き取ったりする際、或いはその他の場合において、ホース同士が接触して擦れ合うことがある。
【0004】
ホースに付される上記のマーキングは、通常印刷手法によってホースの外面に形成される。
従ってホースの外面同士が接触して擦り合うと、ホースの外面に付してあるマーキングが、その擦れによってホースの外面から擦り取られてしまう問題が生ずる。
【0005】
特に外層のゴム層がEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体),EPM(エチレン-プロピレン共重合体)といったゴム材から成っている場合(例えば下記特許文献1に外層のゴム層としてEPDMを用いた冷媒輸送用ホースが開示されている)、これらゴム材に対してインクの付着強度が弱く(付着強度の強いインクが無い)、ホースの外面同士の接触によって外面に付したマーキングが擦り取られ易い。
【0006】
なお、ホースへのマーキングは、ロール転写による印刷、あるいは、インクの粒子を微滴化、飛翔させて印刷を行うインクジェット法がある。インクジェット法は、ロール転写のようにマーキングの種類ごとに印刷型を用意する必要がないため、ロットを細分化して製品の識別性を向上させることが容易である。
【0007】
この問題の解決のため、本発明者らは従来ホース加硫後に行っていたホース外面へのマーキングの印刷を加硫前の段階で、即ちホースを押出成形した後のホース未加硫の状態で行い、そしてその後のホース加硫の際の熱によって、ホースの外面に付着させたインクをホースの外面に焼き付けることで、付着強度を高めることをロール転写、インクジェットそれぞれの手法で試みた。
【0008】
このようにしたところ、ロール転写による印刷手法では改善が見られたものの、インクジェットによる印刷では、その改善の程度は小さく、依然として印刷したマーキングが、ホース同士の擦れによってホースの外面から擦り取られてしまう問題を十分に解決するには到らなかった。
【0009】
【特許文献1】特公平7−33878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、ホース同士が擦れた場合であっても、ホースの外面に付したマーキングが擦り取られるのを良好に防止することのできるマーキング付きホースを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、外層がゴム層から成るホースの外面に、ホース長手方向に延びる溝を周方向に複数連続して形成して、該複数の溝のそれぞれの内面にインクを付着させ、ホースに所要のマーキングをそれら複数の溝にまたがって前記ホースの外面に印刷にて形成してあることを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記ホースの外面には全周に亘って前記溝が連続して形成してあり、周方向に連続した一部の且つ一群の複数の溝にまたがって前記マーキングが形成してあり、残りの溝の内面には該マーキングを形成するための前記インクが付着させてないことを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記溝の横断面形状を周方向に隣接した円弧と円弧とによって形成される形状となしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記マーキングはホース加硫前に施したものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記外層のゴム材質がEPDMであることを特徴とする。
【0016】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記マーキングがインクジェット法にて形成してあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、ホースの外面にホース長手方向に延びる溝を周方向に複数連続して形成し、複数の溝のそれぞれの内面にインクを付着させて、所要のマーキングをそれら複数の溝にまたがってホースの外面に印刷し、形成するようになしたものである。
【0018】
かかる本発明によれば、ホースの製造工程でホースの外面同士が接触し擦れ合うことがあっても、またその擦れによってホースの外面に付着させたインクが擦り取られることがあっても、その擦り取られる部位は隣接した溝と溝との間のごく一部位に、つまりホース外面の溝と溝との間に形成される山部の頂部に限定され、溝の内面に付着しているインク、つまりマーキングを形成しているインクの大部分は擦り取られることなく溝の内面に付着したまま残る。
従って複数の溝にまたがって形成したマーキングは、ホース同士の擦れによっても擦り取られることはなく、ホース外面に残存して所要の表示の目的を達することができる。
【0019】
この目的を達成するため、本発明では溝の深さを0.01mm以上、溝のピッチを0.02〜0.6mmとすることが望ましい。
但し溝の深さを深くし過ぎるとホースの耐久性に悪影響を及ぼす恐れがあり、この観点から溝の深さは0.15mm以下とすることが望ましい。
また、溝幅を大きくし過ぎるとホース同士が接触したときに溝の内面も一部接触する恐れが生じるため、溝幅を溝の深さ以下とすることが望ましい。
但し、溝幅が小さいとインクが入りにくいので、溝幅については0.01mm以上としておくことが望ましい。
【0020】
本発明は外層のゴム層が様々な材質から成るものに適用可能であり、何れの場合にも溝の内面に付着したインクがホース同士の擦れによって擦り取られない特有の効果を奏し得るものであるが、外層のゴム層がEPDM(請求項5),EPMから成るものの場合に特にインクの付着強度が弱く、擦り取られ易いことから、こうしたEPDM,EPMのゴム外層を有するホースに適用して効果の高いものである。
【0021】
更に上記した理由によって外径が15mm以上,肉厚が5.0mmのものに適用して効果の高いものである。
尚、溝の内面にインクを付着させるための印刷手法として、インクの粒子を飛翔させて印刷を行うインクジェット法その他の印刷手法を好適に用いることができる(請求項6)。
【0022】
本発明は、上記の効果の他に以下のような効果も奏する。
即ち、ホースの外面に溝が形成されておらず、外面が平滑な表面をなしている場合、特にホース外径の大きい太いホースの場合、ホース同士が接触したときにホース間に粘着力や大きな摩擦力が発生し易く、ホース製造工程の中で、皿の上に巻いた状態で載せたホースを引取り機にて引き取り、コイル状に束に巻き取る際に、皿上で互いに接触したホースが離れ難いことに起因して巻取り作業性が悪化する問題を生ずる。
【0023】
しかるに本発明によればホース同士の粘着力や摩擦力を効果的に小さくすることができるため、そうした不具合を生じることなくホースを束状に巻き取る作業を円滑且つ良好に行うことができ、作業性を高めることができる。
【0024】
尚ホースの外面に上記のようなホース長手方向に延びる溝を形成するに際して、マーキングを施すべき部分にのみこのような溝を形成するといったことも考えらえる。
【0025】
しかしながらホース外面の溝はホース成形の際に形成しておくことが製造上望ましく、一方で上記のマーキングはホース成形後において施されるものであることから、上記の溝を周方向において部分的に形成しただけの場合、実際に所要のマーキングを印刷し形成したときに、そのマーキングを溝を形成した部分と異なった部分に施してしまうことも多く、その場合には溝を形成したことの意味を失ってしまう。
【0026】
そこで本発明では、請求項2に従ってマーキングの施されない部分についても、即ちホースの外面の全周に亘ってホース長手方向に延びる上記の溝を形成しておくことが望ましい。
【0027】
そのようにしておけば、マーキングを施すべき位置(周方向位置)を特定することが難しい場合であっても、確実に溝の内面にインクを付着させ得、周方向に連続した複数の溝にまたがるマーキングを形成することができる。
またこのようにホースの外面の全周に亘って溝を形成しておいた場合、ホースの外観が艶消し状態となって見栄えを良好となすことができる。
【0028】
本発明において、上記溝の横断面形状は様々な形状となすことが可能であるが、特にこの溝はその横断面形状を、周方向に隣接した円弧と円弧とによって形成される形状となしておくことが望ましい(請求項3)。
溝の横断面形状をこのような形状とすることで、かかる溝をホースの押出成形の際に容易に形成することが可能となる。
この溝は、押出ダイスのダイス孔の内面に、ダイス孔中心部に向う突起を周方向に一定ピッチで連続的に形成しておくことで、ホースの押出しと同時にホースの外面に形成することができる。
【0029】
また溝と溝との間に形成されるホース外面の突条は、その横断面形状が丸みを帯びた円弧形状とすれば、その突条が傷付いたり損傷したりするのを効果的に防止することができる。
【0030】
本発明では、上記マーキングをホース加硫後に形成しておくことも可能であるが、特に加硫前の段階で施しておくことが望ましい(請求項4)。
そのようにすることで、ホースの外面に付着させたインクがその後の加硫の際の熱によってホースの外面、詳しくは溝の内面に良好に焼き付けられ、そのことによって付着強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態のマーキング付きホース(ゴムホース)で内ゴム層12と、その外側の繊維補強層14と、外ゴム層(外層)16との積層構造をなしている。
ここで内ゴム層12はIIR(ブチルゴム)から成っており、また外ゴム層16はEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体)から成っている。
また繊維補強層14は、繊維から成る補強糸をブレード編組して構成してある。但しスパイラル編組,ニット編組その他の編組にて繊維補強層14を構成することもできる。
【0032】
更にここでは外ゴム層16としてEPDMを用いているが、EPMその他様々な材質から成るゴムを用いてかかる外ゴム層16を構成することもできる。
また内ゴム層12についてもIIR以外の他の様々な材質のゴム層にてこれを構成することができる。
また必要に応じて最内面部や或いは断面の中間部位等に樹脂層を設けておくこともできる。
この実施形態において、ホース10は外径Dが26mm,内径Dが16mmとされている。
また内ゴム層12の肉厚が1.7mm、外ゴム層16の肉厚が1.8mmとされている。
【0033】
ホース12の外面にはマーキング13が印刷にて形成されている。
このマーキング13において、図1(B)中の表示部13-1,13-2はロットNo.を表している。
本実施形態において、このマーキング13はホース10を加硫する前の段階で、即ち未加硫状態で外ゴム層16の外面に施され、そしてその後の加硫の際の熱によって外面に焼き付けられたものである。
【0034】
図5は、このホース10の製造工程の要部を表している。
図において18は内ゴム層12の押出工程で、ここでは押出機20のヘッド22の内部を連続的に通過する樹脂のマンドレル24の外側に内ゴム層12を連続的に押し出し、マンドレル24の外側に内ゴム層12を成形する。
【0035】
26は繊維補強層14の編組工程で、編組機28から補強糸30を連続的に繰り出して、内ゴム層12の外面に補強糸30をブレード編みして行き、内ゴム層12の外側に繊維補強層14を積層形成する。
そしてこのようにして形成した繊維補強層14の外側から塗布機32により接着材を塗布処理する。
【0036】
34は外ゴム層16の押出工程で、押出機36のヘッド38から外ゴム層16を連続的に押し出し、繊維補強層14の外側に外ゴム層16を連続的に積層形成して行く。
そしてこのようにして押出成形した未加硫状態のホース10に対して、その後外面に加硫のために樹脂被覆を施し、その後これを加硫槽の内部に入れて、所定時間かけて加熱加硫する。
そして加硫処理を終えた後に、マンドレル24及び樹脂被覆を取り除いた上で、長尺のホース加硫品を所定寸法ごとに切断することで、上記のホース10が得られる。
【0037】
上記のマーキング13は、押出成形後の未加硫状態のホース10に対して施され、そしてその状態で未加硫状態のホース10が加硫処理されることで、マーキング13詳しくはホース10の外面に付着させたインクが、その際の熱によりホース10の外面に焼き付けられる。
【0038】
本実施形態では、図2に示しているようにホース10の外面、詳しくは外ゴム層16の外面に、ホース長手方向に延びる溝40が全周に亘って連続して形成されている。
ここで溝40は、その横断面形状が次のような形状とされている。
即ち、図中42は溝40と40との間に形成されたホース10の外面の、ホース長手方向に延びる突条を表しており、この突条42は、この実施形態ではその横断面形状が円弧形状、詳しくは略半円形状とされている。
【0039】
そして溝40は、その横断面形状がこれら突条42における半円形状と半円形状とによって画成される形状となしてある。
つまり溝40は、その内面即ち一対の谷面が、半円形状をなす突条42の円弧凸曲面にて形成されている。
尚この実施形態において、溝40はその深さが0.05mm、溝40の開口側の図中上端の周方向の幅が0.05mm、周方向の溝40と40とのピッチが0.1mmとされている。
【0040】
この実施形態において、溝40はホース10の外面の全周に亘って連続的に形成されており、そして周方向の全溝40のうちの一部、詳しくは周方向に連続した一群の複数の溝40の内面にインク44が付着せしめられており(図2の左側の拡大図参照)、そのインク44によって上記のマーキング13が複数の一群の溝40にまたがって形成されている。
またその他の溝40にはインク44は付着されておらず、図2の右側の部分拡大図においてはマーキング13は形成されていない。
尚このインク44の層は厚みが5μmである。
【0041】
この形状の溝40は、具体的には次のようにして形成することができる。
図4(A)の46は、図5における押出機36のヘッド38に備えられた押出用のダイスを表しており、48はそのダイス孔である。
このダイス孔48には、全周に亘って横断面形状が半円形状の溝50が形成されており、そしてそれら溝50と50との間に、これに対応した横断面形状の突起52が形成されている。
【0042】
ここで溝50の横断面形状は、図2におけるホース10の外面の突条42の横断面形状に対応している。
また図4の突起52は、ホース10の外面の溝40に対応した横断面形状をなしている。
因みにこのダイス孔48における溝50は、工具鋼から成るダイス46を焼入れ処理する前の軟らかい状態で、硬度の高い断面円形のワイヤを用いてダイス孔48内面を削ることで形成したものである。
ダイス46はその後において焼入れ処理され、その硬度が所望硬度まで高められる。
【0043】
このようなダイス46を用い、図5の外層ゴム16の押出工程34で外層ゴム16を押出成形することで、図2に示す横断面形状の溝40を、ホース10の外面に全周に亘って形成することができる。
そして加硫処理前の未加硫のホース10に対し上記のマーキング13を印刷し形成する。
【0044】
この実施形態では、インク44を付着させるべきホース10の外面が全周に亘って溝形状をなしていることから、印刷手法としてインクの粒子を飛翔させるインクジェット法を好適に用いることができる。
図3(A)は、このようにしてインク44をホース10の外面に付着させ、マーキング13を印刷にて形成した状態を表している。
図に示しているようにインク44は、横断面において溝40の内面にその大部分が付着し、そしてその一部が溝40の外で、これら溝40を形成している隣接した突条42の頂部に付着した状態にあり、そのような状態で図1(B)のマーキング13を形成している。
【0045】
従って本実施形態のマーキング13付きのホース10にあっては、その製造工程でホース10同士の外面が接触し、互いに擦れ合うことがあっても、またその擦れによってインク44が擦り取られることがあっても、その擦り取られる部位は突条42の頂部の極く一部位に限定され、図3(B)に示しているように溝40の内面に付着している他の大部分のインク44は擦り取られることなく、溝40の内面に残ったままとなる。
従って本実施形態によれば、ホース10同士の擦れ合いによってもインク44の大部分がホース10の外面に残ることから、マーキング13が全体的に或いは大部分擦り取られてしまうことがなく、残ったマーキング13によって十分にその表すところを認識することができる。
【0046】
表1は、本実施形態のホース10の効果の確認試験を行った結果を示している。
表1において、(A)の指擦りとあるのは、図6(A)に示しているようにホース10の外面のマーキング13を指で擦ったときに、何回で印刷マーキング13が取れてしまうかを調べたものである。また(B)のホース同士擦り(1)とあるのは、図6(B)に示しているようにホース10同士を擦り合せてマーキング13が何回で擦り取られるかを調べたものである。
【0047】
ここで図6(B)中符号10は、本実施形態の溝40付きのホースを表しており、また10Aは、図7に示しているようにそのような溝40を形成していない従来品としてのホース(ホース自体の外径,内径その他の構成については、本実施形態のホース10と同じもの)を表している。
尚図6(B)の試験では、ホース10と10との擦りを、それらに対し荷重49Nをかけた状態で行った。
【0048】
更に表1中、(C)のホース同士擦り(2)とあるのは、外面に溝40を形成していない従来品としてのホース10Aと、溝40を形成した本実施形態のホース10とを擦り合せて、どちらのマーキング13が先に擦り取られ、消えてしまうかを調べたものである。
この場合においても、ホース10と従来品のホース10Aとの擦りは、それらに対し荷重49Nをかけた状態で行った。
【0049】
尚表1において、加硫後とあるのはホース10Aを加硫した後にマーキング13を形成した場合を、また加硫前とあるのはホース10,10Aを加硫前の未加硫の段階で外面にマーキング13を形成したことを意味している。
【0050】
尚表1の結果において、マーキング13の消える回数についての数値は、マーキング13が完全に消えたときの回数を表している。
【0051】
【表1】

【0052】
本実施形態によれば、上記以外に次のような効果も得られる。
即ち、ホース10の外面に溝40が形成されておらず、外面が平滑な表面をなしている場合、特に外径の大きな太いホースの場合、ホース同士が接触したときにホース間に粘着力や大きな摩擦力が発生し易く、ホース製造工程の中で、皿の上に巻いた状態で載せたホースを引取り機にて引き取り、コイル状に束に巻き取る際に、皿上で互いに接触したホースが離れ難いことに起因して巻取り作業性が悪化する問題を生ずるが、本実施形態によれば、ホース10同士の粘着力や摩擦力を効果的に小さくすることができるため、そうした不具合を生じることなくホース10を束状に巻き取る作業を円滑且つ良好に行うことができ、作業性を高めることができる。
【0053】
また本実施形態では、マーキング13の施されない部分についても、即ちホース10の外面の全周に亘ってホース長手方向に延びる上記の溝40を形成しておくため、マーキング13を施すべき位置(周方向位置)を事前に特定することが難しい場合であっても、確実に溝40の内面にインク44を付着させ得、周方向に連続した複数の溝40にまたがるマーキング13を形成することができる。
またこのようにホース10外面の全周に亘って溝40を形成しておいた場合、ホース10の外観が艶消し状態となって見栄えを良好となすことができる。
【0054】
更に本実施形態では溝40の横断面形状を、周方向に隣接した円弧(半円)と円弧(半円)とによって形成される形状となしてあるため、ホース10の押出成形の際に溝40を容易に形成することができる。
具体的には、押出ダイス46のダイス孔48の内面に、ダイス孔48中心部に向う突起52を周方向に一定ピッチで連続的に形成しておくことで、ホース10の押出しと同時に溝40をホース10の外面に形成することができる。
【0055】
また溝40と溝40との間に形成されるホース外面の突条42は、その横断面形状が丸みを帯びた円弧形状であることが好ましい。円弧形状であることにより、その突条42が傷付いたり損傷したりするのを効果的に防止することができる。
【0056】
上記マーキング13は、ホース10加硫後に形成しておくことも可能であるが、本実施形態では加硫前の段階で形成してあり、このようにすることで、ホース10の外面に付着させたインク44がその後の加硫の際の熱によってホース10の外面、詳しくは溝40の内面に良好に焼き付けられ、そのことによって付着強度を高めることができる。
【0057】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態であるマーキング付きホースの図である。
【図2】図1のホースの要部拡大断面図である。
【図3】同実施形態の作用説明図である。
【図4】同実施形態のホース製造のための押出用ダイスの要部断面図である。
【図5】同実施形態のホースの製造工程の要部の図である。
【図6】同実施形態の効果確認のための試験方法の説明図である。
【図7】従来のマーキング付きホースの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 ホース
13 マーキング
16 外ゴム層(外層)
40 溝
44 インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層がゴム層から成るホースの外面に、ホース長手方向に延びる溝を周方向に複数連続して形成して、該複数の溝のそれぞれの内面にインクを付着させ、ホースに所要のマーキングをそれら複数の溝にまたがって前記ホースの外面に印刷にて形成してあることを特徴とするマーキング付きホース。
【請求項2】
請求項1において、前記ホースの外面には全周に亘って前記溝が連続して形成してあり、周方向に連続した一部の且つ一群の複数の溝にまたがって前記マーキングが形成してあり、残りの溝の内面には該マーキングを形成するための前記インクが付着させてないことを特徴とするマーキング付きホース。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記溝の横断面形状を周方向に隣接した円弧と円弧とによって形成される形状となしてあることを特徴とするマーキング付きホース。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記マーキングはホース加硫前に施したものであることを特徴とするマーキング付きホース。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記外層のゴム材質がEPDMであることを特徴とするマーキング付きホース。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記マーキングがインクジェット法にて形成してあることを特徴とするマーキング付きホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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