説明

マーキング液体の調製方法およびそれによって製造された生成物

液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法は、キャリアー液体中の、樹脂粒子と着色剤との混合物のマーキング粒子混合物を、上記樹脂のほぼ第1の軟化点と上記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、上記マーキング粒子混合物を室温に冷却するステップと、上記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップとを含む。上記粒子混合物は、ボールミル中の粗粉砕によって製造することができる。合成したトナーまたはインクは、流動挙動などのニュートンおよび電気的特性が向上し、沈殿および凝塊形成が低減され、光学濃度が著しく改善され、背景が低減される。本発明は、また、トナーおよび上記方法製のインクを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像液およびインクジェットインクを含むプリンターでの使用のための、マーキング液体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非インパクト印画法は、機械的な手段に対立するものとしての、電子、電気的または光学的手段を使用して文字を生成するプロセスとして簡単に定義することができる。非インパクト印刷工程のうち、静電気技術を使用する一群の印刷方式がある。静電印刷は、静電気的に帯電したマーキング粒子と電場との相互作用を使用して、基板上へのマーキング粒子の堆積を制御する方法として定義することができ、静電インクジェット印刷と同様に、電子写真または静電写真印刷として一般に知られたプロセスを含む。
静電写真は、基板上に存在する帯電位置への帯電画像粒子またはマーキング粒子の引力によって、可視画像の生成を含む様々な非インパクト印刷工程について記載するために使用される用語となり得る。通常、潜像と呼ばれるものを形成する、そのような帯電サイトは、光伝導体または清浄な誘電体上に一時的に支持することができ、そのままで目に見えるようにされてもよく、または、その位置で現像される別の基板に転写されてもよい。さらに、そのような帯電サイトは、強誘電体または他のエレクトレットの場合でのような永久に極性化された材料内に存在する構造化された電荷の反映であってもよい。
【0003】
静電写真では、トナーとして一般に知られた画像粒子は、乾燥タイプまたは液体タイプとすることができる。乾燥パウダーのトナーは、多くの不都合を有する。例えば、乾燥パウダーのトナー性能は、例えば、電荷安定に影響を及ぼす環境条件に非常に影響を受けやすく、したがって、可変画像性能を引き起こす。また、乾燥パウダーのトナーの大きな粒子サイズは、高度に解像された現像画像を達成できない主な要因である。高速、長期間印刷のために、1ページ当たりのコストは、主要な要因である。特に、紙または他の所望の基板に対して画像を融合するコストは、そのようなプリンターのランニングコストへの著しい一因となる。他の難点は、粉化の問題に関する。ほこりまたはトナーの微細または小さな粒子は、現像剤から漏れる傾向にあり、これらは、プリント装置内外の任意の表面上に堆積し、装置内の機械的な故障および装置外の環境問題を引き起こす。そのようなプリント装置が高速で運転される場合、この問題は厳しくなる。他の不都合としては、プリンターの一般的なメンテナンスコストおよび乾燥パウダーのトナーのコストが挙げられる。
絶縁または無極性の液体に分散した、マーキング粒子で潜在静電画像を現像することができることが知られている。これらの分散材料は、液体トナーまたは現像液として知られている。トナー粒子は、7〜10μmの範囲に通常ある乾燥トナー粒子より、0.5〜3μmの範囲で通常、安全にはるかに小さくなり得るので、液体トナー現像システムは、非常に高い画像解像を一般にすることができる。液体トナー現像システムは、画像電荷における変化に対する印象的なグレースケールの画像濃度応答を示し、少量の現像液を使用して、ハイレベルの画像濃度を達成する。更に、上記システムは、通常、製造するのに安く、非常に信頼でき、さらに、これらのシステム用の液体トナーは、操作上および化学上安定しており、特に長い品質保持を示す。
【0004】
インクジェット印刷は、潜像を含んでいない非インパクト印画法であり、それは直接印刷システムである。インクがノズルによって供給されるのは普通である。液滴は、連続的にノズルから生成され得、その場合には、その方法は連続印刷と呼ばれ、また、それらは、要求に応じ個々に製造され得、その場合には、方法は要求印刷中の滴下と呼ばれる。連続的な印刷では、インクは高圧でノズルによって伝えられ、ノズルは、一定のサイズの液滴の流れをもたらす実質的に一定の頻度で振動する。液滴に電荷を適用し、ノズルに外部電場を使用することにより、選択された液滴は、電場をもたらす信号に応じて記録面にそれらの通路で偏向され、それによって、制御信号に応じて記録表面にパターンを形成する。要求印刷中の滴下は、ノズルから放出される液体の液滴をもたらす小さなノズルの近くに、液体中の部分的なパルスを生成することにより作動する。
【0005】
一方の種類のインクジェット印刷では、色材は、印字画像をより永久にするために、バインダーと結合する可溶性染料である。可溶性染料の不都合は、印字画像密度が多くの応用において十分に高くなく、染料が環境での露出で消えるということである。可溶性染料材料のさらなる不都合は、印字画質が記録表面の特性に依存するということである。着色インクは、可溶性染料より高密度の画像を生成し、さらにより永久であると知られている。顔料もジェットプリンターで使用され得るが、高濃度画像の生成は、液体キャリアー中での高濃度の顔料材料を必要とする。顔料材料の高濃度は、連続的なプリンターで液滴分解に影響し、一定でない印刷をもたらす。要求されるプリンターでの液滴は、高い連続的な圧力を有さず、そして液滴生成は、ノズル中の部分的条件に強く依存する。したがって、顔料の存在は、ノズルを閉塞するか、そうでなければ、部分的なノズル条件を変更するか、または液滴が正確に放出されないようにノズルを閉塞する。
静電気インクジェットは、静電界の影響下で、オリフィスから取り出される液滴によって特徴づけることができる。弁電極とオリフィスとの間に作用するこのフィールドは、静電引力がインクの表面張力を超える場合液滴が生成するように、その表面へインク内の自由電荷を引きつける。この技術が自由電荷の引力に依存し、したがって、それは、インクが伝導性であることを必要とする。
【0006】
新しい静電インクジェット印刷技術は、リマ・マルケス(Lima−Marques)らの米国特許第6,260,954号(特許文献1)に記載されている。このプロセスは、高濃度の微粒子材料を含む可変サイズの液滴を生成する手段を提供する。このプロセスによって伝達される特有の利点としては、着色材料として顔料を使用しながら、数マイクロメートルもの小さな液滴を形成する能力が挙げられる。これは、液滴のサイズは、主として、放出ポイントおよび帯電される粒子の能力で電圧によって制御されるからである。また、上記着色材料は、放出された液滴に著しく集中する。したがって、光および耐水性顔料に基づいた高解像度および高密度の画像を生成することができる。
有効な液体トナーまたは現像液用の作用要件、およびインクジェットインク、特に静電気インクジェットインクのそれが、著しく異なることことがあり得るのは、上述の非インパクト印刷技術における当業者によって理解される。しかしながら、本明細書および本発明の目的で、用語マーキング液の使用は、現像液および液体インクジェットインクの両方を意味すると認められ、そして、当業者によって理解されるように、多くの実例で、現像液への特有の参照は、また液体インクジェットインク、特に静電インクジェットインクに適用可能であってもよい。
【0007】
一般に、静電マーキング液の製造方法は、樹脂または樹脂の組み合わせを含むことができ、また着色剤を含むことができる樹脂または樹脂系で始まり、それは、細かくすることができ、適切なミキサーから押し出すことができ、別に、例えば、ツインロールミルなどのマスタバッチを製造する手段を含む本技術に公知の他の技術を組み合わせることができる。さらに樹脂系に含まれるものとして、本技術分野で一般に知られているように、分散樹脂、可塑剤またはニスを加えることができる。
さらに、トナー粒子の極性および電荷質量比を制御するために、マーキング液に電荷指向剤が通常含まれる。着色剤は、樹脂に可溶の染料または樹脂に可溶でない着色粒子を含む顔料とすることができる。次いで、樹脂系および着色剤は、樹脂および着色剤が可溶でないキャリアー液体中で製粉されて、その中に分散された非常に微細なマーキング粒子を有するマーキング液を生成する。
【0008】
現像液は、低粘度液体、および固形分の、すなわちマーキング粒子の低濃度を一般に利用している。これらの従来のトナーおよび関連プロセスシステムは、低粘度トナーまたはLVT系と呼ばれる。LVT系は、一般的に1〜3mPa・sの低粘度および一般的に0.5〜2重量%の固体の低い体積のトナーを利用する。マーキング粒子の一定の分散を保持することは、低粘度トナー系において困難かもしれない。マーキング粒子は漂い、キャリアー液体中に定着する傾向を有する。更に、トナー中の固体の体積が低いと、付与された潜像を現像するために必要なトナーの量が増加する。より多くのトナーが、所望の画像濃度に十分なマーキング粒子を供給するために、光伝導体に転写されなければならない。
LVT系に関係するこれらおよび他の公知の問題を克服するために、60重量%以下のトナー濃度および10,000mPa・s以下の粘性を利用する高濃度液体トナー現像系および典型的に1〜40μmの薄膜を利用する高濃度および粘性のある液体トナーが開示される。これらの粘着性で、高濃度の液体トナー系を備えた静電潜像を現像するこの系は、高粘性トナーまたはHCT系と呼ばれる。そのような液体のトナーの例は、マルコ(Marko)の米国特許第6,287,741号(特許文献2)に開示され、その開示内容全体が参照してここに組み込まれる。高い粘性、高濃度液体現像方法および装置の例が、イタヤ(Itaya)らの米国特許第6,137,976号(特許文献3)、および佐々木(asaki)らの米国特許第6,167,225号(特許文献4)に一般に開示され、その開示内容全体が参照してここに組み込まれる。
多くのそのような従来製造されたマーキング液は、適用された剪断で非ニュートンフローを有し、そして、その結果、それらの最終的に意図される使用のためのすべての条件下で、適切な理想的な流動特性を有さないレオロジーを有することが分かった。そのように製造されたマーキング液のマーキング粒子の粒径分布も可変であると分かった。他の遭遇する可能のある問題としては、低い分散安定性、可変電気的特性および一般的な可変印刷性能を挙げることができる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,260,954号明細書
【特許文献2】米国特許第6,287,741号明細書
【特許文献3】米国特許第6,137,976号明細書
【特許文献4】米国特許第6,167,225号明細書
【特許文献5】米国特許第5,591,557号明細書
【特許文献6】米国特許第5,612,162号明細書
【特許文献7】米国特許第6,174,640号明細書
【特許文献8】米国特許第6,613,209号明細書
【特許文献9】米国特許出願第2003/0104304A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、代替インクまたはトナー調製方法の提供により、これらの問題を克服するマーキング液を製造する方法、または、先行技術のマーキング液を改善する製造方法およびそのように製造されたマーキング液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの形態は、液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、
a)任意に着色剤を有する1つまたは複数の樹脂を含む樹脂系を調製し、上記樹脂系を粗粉砕するステップと、b)粗粉砕された樹脂系をキャリアー液体で製粉して、液体マーキング粒子混合物を生成するステップと、c)上記液体マーキング粒子混合物を上記マーキング粒子混合物の上記1つまたは複数の樹脂のほぼ第1の軟化点またはそれより高い温度に加熱するステップと、d)選択された期間、上記加熱されたマーキング粒子混合物の温度を保持するステップと、e)上記マーキング粒子混合物を室温に冷却するステップと、f)上記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップとを含む方法に属する。
上記マーキング粒子混合物は、上記樹脂系のほぼ第1の軟化点よりも高く、上記樹脂系のほぼ第2の軟化点よりも低い温度に加熱されるのが好ましい。
上記選択された期間は、適用される加熱の種類およびその加熱を適用する方法に応じて、数分から数日であってもよく、上記加熱は、オーブン中などの対流、伝導、またはマイクロ波放射などの放射線によって提供されてもよい。
上記樹脂系は、着色剤0〜60%、可塑剤0〜20%および樹脂100%までを含むことができる。
上記樹脂系および任意の着色剤粒子を製粉するステップは、荷電制御剤および分散剤を含む群の1つまたは両方から選択された添加剤で製粉することを含むことができる。
【0012】
さらなる形態では、本発明は、液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、a)キャリアー液体と、該キャリアー液体に不溶性の樹脂系とを含むマーキング粒子混合物を、マーキング粒子混合物の樹脂系の第1の軟化点またはほぼその温度に加熱するステップと、b)加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、c)上記マーキング粒子物を室温に冷却するステップと、d)上記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップとを含む方法に属する。
また、本発明は、上記方法によって調製された液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクに属する。
そのような液体静電写真トナーは、重量パーセントで、マーキング粒子混合物1〜60%、荷電制御剤0〜5%、分散剤0〜20%およびキャリアー液体100%までを含むことができる。
さらなる形態では、本発明は、液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、キャリアー液体中の、樹脂粒子と着色剤混合物とのマーキング粒子混合物を、上記樹脂のほぼ第1の軟化点と上記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、上記マーキング粒子混合物を室温に冷却するステップと、上記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップとを含む方法に属する。
【0013】
さらなる形態では、本発明は、液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクのレオロジーを改善する方法であって、キャリアー液体中の、樹脂粒子と着色剤混合物とのマーキング粒子混合物を、上記樹脂のほぼ第1の軟化点と上記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、上記マーキング粒子物を室温に冷却するステップと、上記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップとを含む方法に属する。
さらなる形態では、本発明は、液体静電写真トナーの物理的および電気的特性を改善する方法であって、上記トナーは、キャリアー液体中に樹脂と着色剤との粒子を含み、上記方法は、上記トナーを上記樹脂のほぼ第1の軟化点と上記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、加熱されたトナーの温度を選択された期間保持するステップと、上記トナーを室温に冷却するステップと、上記トナーを高い剪断力で混合するステップとを含む方法に属する。
【0014】
上記第1の軟化点は、上記樹脂の高分子構造が緩和し始める温度として定義される。上記第2の軟化点は、樹脂が、その溶融転移に近づくときに流動し始める温度として定義される。第1および第2の軟化点は、熱機械アナライザー(TMA)で測定することができる。TMAからの第1および第2の軟化点は、多くの場合、Tg(ガラス転移)およびTm(融点)にそれぞれ相当する。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面とともに述べる次の詳細な説明からより明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書では、静電印刷適用のために、特に、いわゆる高粘性高濃度液体トナーを含む、液体トナーを製造するのための本発明の使用に関して本発明を記載する。また、本明細書に記載された方法は、静電気タイプのインクジェット印字装置に適切なインクを含むインクジェットインクの製造および処理に適用可能であることが当業者に理解される。
一般に、静電写真用の現像液またはトナーは、キャリアー液体中に無機または有機着色剤を分散させることにより調製される。上記現像液は、懸濁安定性だけでなく電荷の点でも安定している。そのような多数の添加成分を、現像剤に添加して一体化することにより、複製可能な高品質画像を示す現像液を達成することができる。
そのような現像剤では、キャリアー液体のある特性が、従来の静電写真液体現像プロセスの有効な機能に必須の要件であることが認識された。必須の要件としては、低い電気伝導性が挙げられるが、低毒性、さらなる防災安全、低溶解力、低芳香などの他の要件も明らかとなった。これらの理由で、 Phillips Cエクソン モービル(Exxon Mobil)社製のイソパー(Isopar)(登録商標)、シェル ケミカル(Shell Chemical)社製のシェルゾル(Shellsol)(登録商標)、およびシェブロン フィリップス ケミカル(Chevronhemical)製のソルトロル(Soltrol)(登録商標)などのイソパラフィン系炭化水素は、液体トナーキャリアの工業規格になった。
他のキャリアー液体を使用してもよく、これらは、また、直鎖構造のシリコーン液体、環状構造のシリコーン液体、分岐構造のシリコーン液体またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0016】
上記キャリアー液体は、また鉱油または白油を含んでいてもよい。
上記キャリアー液体は、また植物油を含んでいてもよい。植物油の代表的な例としては、大豆油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマシ油、あまに油およびオリーブオイルが挙げられる。
上記キャリアー液体は、また、合成潤滑油を含んでいてもよい。合成潤滑油の代表的な例としては、高級脂肪酸とアルコールとの反応によって得られた脂肪酸エステル類、および高級脂肪酸とエチレングリコールまたはグリセリンとの反応によって得られたエステル化合物が挙げられる。
上記キャリアー液体は、また、ポリブテン、およびイソブテン(「イソブチレンとしても知られる」)の重合からなる合成炭化水素重合体を含んでいてもよい。ポリブテンの別名は、ポリイソブチレンである。
【0017】
上記キャリアー液体の混合物、または他の適切なキャリアー液体が、本発明に関して使用することができることが当業者によって理解される。
上記キャリアー液体に不溶性の着色剤は、それらの特有の提案された最終用途で選択されてもよい。マーキング粒子の例としては、酸化鉄、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化鉄磁性体などの無機顔料、またはカーボンブラック、フタロシアニンブルー、アルカリおよびリフレックスブルー、フタロシアニングリーン、ジアリライドイエロー、アリールアミンイエロー、アゾおよびジアゾイエロー、アゾレッド、ルビントナー、キナクリンレッド、塩基性染料複合体、レーキレッドなどの有機顔料、または塩基性染料およびスピリッツ酒可溶性染料などの蛍光顔料および染料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。当業者によって理解されるように、他の材料は、着色剤として使用することができる。
上述のように、上記現像液またはトナーは、また、有機または無機不溶性のマーキング粒子を含んでもよく、そのようなマーキング粒子は、1〜60重量%の範囲で存在してもよい。
【0018】
上記樹脂系を構成する上記1つの樹脂または複数の樹脂の組み合わせは、エチルセルロース、油変性アルキド樹脂、アルキド樹脂、アクリルまたはメタクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン、シリコーン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−(メタ)アクリル共重合体、ブロック重合体またはグラフト重合体、ポリオレフィン共重合体、ポリ(塩化ビニル)樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン−変性樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、合成ポリエステル;ポリプロピレンまたは変性ポリプロピレン;アルキル化ポリビニルピロリドン類;モンタンワックス、カンデリラワックス、サトウキビワックス、蜜蝋などの天然ワックス;エステルガムおよび硬化ロジンなどの天然樹脂;天然樹脂変性マレイン酸樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性ポリエステル樹脂、天然樹脂変性ペンタエリトリトール樹脂、スチレンアクリレートおよびエポキシ樹脂などの天然樹脂変性硬化樹脂の1つまたは複数から選択されてもよい。
【0019】
可塑剤などの他の成分も組込むことができ、それらの例としては、スルホンアミド類、アジピン酸塩類、セバシン酸塩類およびフタル酸塩類である。
さらに、そのような分散粒子に対する帯電を向上するために、電荷指向剤または荷電制御剤として知られる添加剤を含んでもよい。そのような材料は、金属石鹸、脂肪酸、レシチン、有機リン化合物、スクシニミドおよびスルホ琥珀酸塩とすることができる。
上記荷電制御剤は、使用時のトナーの0.01〜5重量%の範囲で存在してもよい。
上記現像液またはトナーは、また、アベシア(Avecia)社製の重合体超分散剤13940のソルスパース(Solsperse)(登録商標);ワッカー ケミカルズ(Wacker Chemicals)社製のフィニッシュ(Finish)(登録商標)WR1101を含むアミノ−シリコーン、ローム アンド ハース(Rohm and Haas)社製のプレゾール(Plexol)(登録商標)を含む重合体油添加剤;デュポン(Dupont)社製のFOA−2(登録商標)を含む重合体石油添加剤;エレメンティス デーシーピー(Elementis DCP)社製の分散エイド(Ayd)1(登録商標)を含む多機能の顔料分散剤から選択することができる分散剤を含んでもよい。
【0020】
上記分散剤は、ボールジャー製粉、磨砕機製粉、ビーズ製粉などの液体組成の製造で一般に使用される技術によって、液体組成に組み込まれてもよい。マーキング粒子を添加する前および製粉段階の前に、キャリアー液体に分散剤を混合することを含むプレ混合技術も、現像液調整に分散剤を組み込れるために使用することができる。
上記分散剤は、使用時トナーの0.1〜20重量%の範囲に存在してもよい。
適切な液体トナー調整の例としては、ローソン(Lawson)ら出願人による米国特許第5,591,557号(特許文献5)、ローソン(Lawson)らの米国特許第5,612,162号(特許文献6)、ローソン(Lawson)の米国特許第6,174,640号(特許文献7)、マルコ(Marko)の米国特許第6,287,741号(特許文献2)に開示されるものが挙げられ、引用することによってその開示内容全体が参照してここに組み込まれる。
【0021】
出願人は、驚くことに、そのように製造された液体トナーが、液体マーキング粒子混合物の樹脂のほぼ第1の軟化点、またはその軟化点よりも高い温度に液体トナーを加熱し、選択された期間、加熱されたマーキング粒子混合物の温度を保持し、室温に樹脂を冷却し、液体トナーを高い剪断力で混合することにより後処理されると、上述の開示で製造された液体トナーが、すべてのレベルで性能の向上を示すことを発見した。
出願人は、分散剤およびキャリアー液体に、液体トナー樹脂系を適合することにより、さらに、液体トナーの性能を向上することができることをさらに発見した。次いで、上記加熱工程は、樹脂系の熱特性を最適化することができ、したがって、より有効な処理後の結果を生むことができる。
【0022】
選択された加熱期間は、適用する加熱の種類およびその加熱を加える方法に応じて、数分から数日であってもよい。上記加熱は、オーブン中などの対流、伝導、またはマイクロ波放射などの電磁放射によって行うことができる。これらの異なる加熱装置の異なるエネルギーにより、選択された方法により、所望の結果を達成するのに必要な条件が決まる。
しかし、対流オーブンによる場合は、液体トナーが、所要温度に均一に加熱されること、及び加熱段階の間は攪拌しないか又は最小限の攪拌に止めることが重要であることを発見した。
加熱温度は、液体トナー組成で使用される樹脂系に依存し、出願人は、それが樹脂または複数の樹脂のほぼ第1の軟化点またはその軟化点よりも少し高い温度であることを発見した。
高い剪断混合は、任意の市販の、高い剪断ミキサーで達成することができる。出願人は、所要の混合度は、組成の固形分に依存すること、すなわち、現像液の固形分がより高いと、エネルギー入力要求はより高くなることを発見した。
【0023】
この調製方法が、液体トナーの所望の特性を改善する正確なプロセスは、完全には理解されないが、以下の説明が与えられる。しかし、出願人は、この説明に拘束されない。
樹脂がほぼ第1の軟化点または第1の軟化点よりも少し高い温度に加熱される加熱段階の間、内部応力が解放され、樹脂がそのガラス状態を通過し始めるので、樹脂粒子の構造は、緩和し始め、トナー粒子の形態がより滑らかな形となるように、表面張力効果が生じると考えられる。
樹脂と着色剤の個々の粒子がともに塊にならないし、引っ付かないとともに、それらが互いに分離して残ることを確実にするので、処理に先立った液体トナー中の適切な分散剤の挙動は、この時点で有用である。上記分散剤は、粒子のまわりの保護層を形成させるトナー粒子へのその強い親和力によりこれを達成し、したがって、立体障害力による、近隣の樹脂と着色剤粒子との間の適切な障壁を提供し、粒子表面が緩和し流動することを可能にし、このようにしてより滑らかとなる。
【0024】
加熱および冷却段階後、別の粒子の表面と1つの粒子の表面に存在する分散剤種との起こりうる弱い引力または相互作用によると考えられる弱く形成されたゲル構造が、多くの場合、形成し得ることが注目された。この相互作用は、プロセスの高い剪断混合段階中に使用される適度な剪断力によって容易に分散される。
図2、3、図5、6、図8、9、図11、12および図14、15から分かるように、本発明のプロセスによって製造された液体トナーは、60固体重量%以内の高い固形分組成で、好ましくは10〜40固体重量%の範囲で、ほとんどないまたはもたらされる粘性のないニュートン流動を示すことがさらに注目された。また、高度に剪断されたトナーの粘度は、著しく低減される。これは、トナーが、印刷機で例えば使用される場合、トナーの特有粘性が、ローラー等の速度に依存せずに、従って、使用中により均一で予測可能な作用を有することを意味する。
【0025】
トナー粒子表面が滑らかになると、剪断の変化で測定された粘性変化と関係がある流動性を向上させる表面積の低減をもたらす。
出願人は、トナー安定性が向上することも発見した。使用される分散剤および樹脂系の種類によって、分散剤と粒子との間のプロセスの加熱段階には、向上した相互作用および/または改善されたトナー分散安定性をもたらすトナー粒子の表面に分散剤を強く作用せるための、特定の樹脂系のエポキシド基を備えた特定の分散剤材料の官能基の反応がある。
安定性の増加も、トナー粒子の単位表面積当たりに使用可能な分散剤の比率が実質的に増加するように、低減されたトナー粒子表面領域の結果として達成され得る。
出願人は、トナーの電気的特性が改善されたことに気が付いた。トナー粒子表面が滑らかになることにより、低減された高い剪断粘性およびニュートン流動の挙動が達成され、現像液に改善された電気的特性を付与するために、電荷および分散種のより高い吸着により、増加したトナー流動性と共にトナー表面上にトナー粒子の電荷質量比が明らかに増加する。
【0026】
現像液の電気的特性は、液体トナー特性セルで測定することができ、その装置の詳細は、オゼロブ(Ozerov)の米国特許第6,613,209号(特許文献8)に一般に開示されており、引用することによってその開示内容全体が参照してここに組み込まれる。
本発明によって調製された液体トナーは、また、改善された印刷性能を示す。本発明によって調製された液体トナーは、また、実質的に向上した光学濃度、低減した背景汚染、より高い画像解像度、改善されたトナー管理および取扱特性を示す。これらのトナーの取扱および管理特性としては、トナーの再利用、補給物のための改善された能力およびプリンター内のトナーの概略流れが挙げられる。
次いで、本明細書は、概して本発明について記載するが、理解を支援するために、本発明の実施形態を示す添付の限定しない実施例を言及する。
【0027】
実施例1
次の組成で押出し成形品(extrudate) 1を調製した。
エピコート(Epikote)1001:61.5g
アンタロン(Antaron)V220:18.5g
イルガライト ブルー(Irgalite Blue)LGLD:20g
上記成分は、例えば、ホットメルト押出成形機を使用して混合して押出し成形品(extrudate) 1を形成し、冷却のため放置した。次いで、押出し成形品(extrudate)1を、実施例で使用できる状態の粗粉末に粉砕した。
エピコート(Epikote)1001は、シェル ケミカルズ(Shell Chemicals)(オーストラリア)社製のエポキシ樹脂である。イルガライト ブルー(Irgalite Blue)LGLDは、チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)(スイス、バーゼル)社製のシーアイ ピグメント ブルー(CI Pigment
Blue)15:3である。アントロン(Antaron)V220は、ジーエイエフ/アイエスピーケミカルズ(GAF/ISP Chemicals)(アメリカ、ニュージャージー)社製の、アルキル化ポリビニルピロリドンである。
次いで、次の組成のマーキング液を押出し成形品(extrudate)1を使用して調製した。
押出し成形品(Extrudate)1:125g
フィニッシュ ダブルアール(Finish WR)1101:5g
ディーシー200液(DC 200 Fluid)10cSt:370g
フィニッシュ ダブルアール(Finish WR)1101は、ワッカー ケミカルズ(Wacker Chemicals)(ドイツ、ミュンヘン)社製の、アミノ−アルキル官能基を有するジメチルポリシロキサンである。ディーシー200(DC 200)l0cSt液は、ダウ コーニング(Dow Corning)(アメリカ)社製のシリコーン液体である。
【0028】
実施例2
押出し成形品(extrudate)2を次の組成で調製した。
エピコート(Epikote)1004:73g
ジェイフレックス(Jayflex)UDP:7g
イルガライト ブルー(Irgalite Blue)LGLD:20g
上記成分は、例えば、ホットメルト押出成形機を使用して混合して押出し成形品(extrudate)2を形成し、冷却のため放置した。次いで、押出し成形品(extrudate)2を、実施例で使用できる状態の粗粉末に粉砕した。
エピコート(Epikote)1004は、シェル ケミカルズ(Shell Chemicals)(オーストラリア)社製のエポキシ樹脂である。ジェイフレックス(Jayflex)UDPは、エクソン モービル(Exxon Mobil)社製のフタル酸塩可塑剤(アンデシルドデシルフタル酸塩)である。
次いで、次の組成のマーキング液を押出し成形品(extrudate)2を使用して調製した。
押出し成形品(Extrudate)2:125g
フィニッシュ ダブルアール(Finish WR)1101:5g
ディーシー200液(DC 200 Fluid)50 cSt:370g
ディーシー200、50センチストーク液(DC 200 50cSt Fluid)は、Dow Corning(米国)製のシリコーン液体である。
【0029】
実施例3
次の組成のマーキング液を調製した。
ソルスパーゼ(Solsperse)13940:10g
マルコール(Marcol) 82 INH:365g
エピコート(Epikote)1004:100g
イルガライト ブルー(Irgalite Blue)LGLD:25g
ソルスパーゼ(Solsperse)13940は、アベシア(Avecia)社製の分散剤である。マルコール(Marcol)82 INHは、エクソン・モービル製の白油である。
【0030】
実施例4
押出し成形品(extrudate)3を、次の組成で調製した。
モナーク フルフィー(Monarch Fluffy)435:25g
ジェイフレックス(Jayflex)UDP:6g
エピコート(Epikote)1004:69g
上記成分は、例えば、ホットメルト押出成形機を使用して混合して押出し成形品(extrudate)3を形成し、冷却のため放置した。次いで、押出し成形品(extrudate)3を、実施例で使用できる状態の粗粉末に粉砕した。
モナーク フルフィー(Monarch Fluffy)435は、カボット コーポレーション(Cabot Corporation)社製のカーボンブラック、ピグメント ブラック(Pigment Black)7である。
次いで、次の組成のインクジェットインクは、押出し成形品(extrudate)3を使用して調製した。
押出し成形品(Extrudate)3:100g
ソルスパーゼ(Solsperse)13940:20g
6%ジルコニウム オクトエート(Zirconium Octoate):25g
イソパー(Isopar)G:355g
6%ジルコニウム オクトエート(Zirconium Octoate)は、エクソン モービル(Exxon Mobil)社製の揮発油中にオクタン酸ジルコニウムを溶解した溶液である。イソパー(Isopar)Gは、エクソン モービル(Exxon Mobil)社製の異型パラフィン系溶媒である。
本実施例4は、そのような製造された濃縮物として本発明で処理した。次いで、画像テストのために、そのように処理された濃縮物を、プリント装置でテストをする前に、イソパー(Isopar)Gで1対5に希釈した。
【0031】
実施例5
ニコルズ(Nicholls)の米国特許出願第2003/0104304A1号(特許文献9)は、引用することによってその開示内容全体を参照してここに組み込むこととし、液体キャリアーがポリブテンを有するまたは含む先行技術の現像液を開示している。上記特許出願の実施例2を上記出願で開示されるように製造し、次いで、本発明によってさらに処理した。
上記実施例のそのように製造されたマーキング液は、球状セラミック粉砕媒体を含むセラミックボールジャーに成分を加え、4日間製粉して樹脂製のトナーまたはインクを調製することにより、または、関連する先行技術に記載されるようにして調製した。
所要の現像液またはインクの特性および静電プリンタの作動形態に応じて、実施例1〜4における原料の量を変化することができることが理解される。
実施例の樹脂系の熱特性は、以下のとおりである。
【0032】
【表1】

【0033】
上記結果は、セイコー熱機械アナライザー(TMA)、型式TMA120Cを使用して測定した。
次いで、上記マーキング液の実施例を、3つのバッチに分割した。2つのバッチを各々本発明によってさらに以下のように処理した。
そのように製造したマーキング液の第1のバッチを、適切な容器内に入れ、オーブン中で加熱した。上記マーキング液を、設定温度でオーブン中で加熱し、攪拌することなく48時間その温度で保持した。
【0034】
【表2】

【0035】
上記マーキング液をマーキング粒子混合物の樹脂系のほぼ第1の軟化点またはその軟化点を越える温度で加熱することにより樹脂粒子の構造が緩和し始め、マーキング粒子の形態がより滑らかな形状をとるように、内部応力が解放され、表面張力効果が生じる。48時間の加熱後、上記マーキング液をオーブンから取り出し、室温に冷却する。一旦、上記マーキング液が室温または室温付近となると、マーキング液を、次いで高い剪断力で混合する。これは、アイケーエイ−ウエルク(IKA−Werk)型式SD40スーパー ディスパックス(Super Dispax)で達成され、アイケーエイ−ウエルク(IKA−Werk )DS1コントローラ(Controller)で制御され、両方ともジャンケル アンド クンケル(Jankel&Kunkel)社製である。上記トナーは、上記ミキサーを通って、50のダイヤル速度設定および1つの回転子−固定子ギャップダイヤルセッティングで、高い剪断混合にさらされる。
各実施例の第2バッチは、処理後のための加熱装置としての放射線使用して処理し、マイクロ波でバッチを加熱することにより調製した。可変入力を有する2450MHzのマイクロ波発生装置を、バッチを加熱するために使用した。上記バッチは、100グラムのマーキング液からなり、パイレックス(登録商標)(Pyrex)ガラスシリンダー内で1分間の所要温度で加熱し、次いで、10分間所要温度で保持した。下記表は、上記バッチを温度で加熱し保持するために使用された概算のマイクロ波パワーの設定を示す。
【0036】
【表3】

【0037】
次いで、上記バッチを、室温まで冷却し、次いで、上述したような高い剪断力で混合した。
マイクロ波加熱処理されたバッチに関する、マーキング液体粒子の粒子サイズ、レオロジー、流動性および形態の物理的特性は、オーブン熱処理されたものと類似しており、粒子サイズは低減され、レオロジーはよりニュートン流体に近くなり、流動性は増加し、粒子形態はより滑らかであった。
次いで、本発明による処理の前後のバッチを、印刷サンプルを製造することにより、様々な物理的特性、および印字品質のために検査した。応力(ストレス)−剪断速度との関係および粘度−剪断速度との関係のレオロジーデータを、図1〜15に示す。
【0038】
(物理特性)
(粒子サイズ)
測定された特性は、D[4、3]およびD[v、0.5]であり、D[4、3]は、均等な球状体積直径の平均値を示し、この値は、体積が粒子半径の3乗の関数であるので、より大きな粒子の方に偏らせる。D[v、0.5]は、分布体積が50%の値を示す。これは、体積分布が非対称となるなら、D[4、3]と異なる。
結果は以下のとおりであった。
【0039】
【表4】

【0040】
これらの結果から、粒子サイズが著しい低下し、分布がより狭いことが分かる。粒径分布は、マルバーン マスターサイザー(Malvern Mastersizer)を使用して測定した。
(粘性)
エイチ・エイ・エイ・ケイ・エー レオストレス(HAAKE RheoStress) RS100を使用して粘性を測定した。測定はすべて、20℃で行った。添付の図1は、処理前の実施例1を示し、図2は、対流処理後の実施例1を示し、図3は、マイクロ波処理後の実施例1を示す。
図1は、処理に先立って、トナーが非ニュートンであり、92.1mPa・sの高い剪断粘性で、剪断シンニングを示すことを例示する。図2は、対流処理後の同じトナーを例示する。それは、53.2mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。図3は、マイクロ波処理後の同じトナーを例示する。また、それは、50.7mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる著しい低下を示す。
添付の図4は、処理前の実施例2を示し、図5は、対流処理後の実施例2を示し、図6は、マイクロ波処理後の実施例2を示す。
図4は、処理に先立って、トナーが非ニュートンであり、200mPa・sの高い剪断粘性で、剪断シンニングを示すことを例示する。図5は、対流処理後の同じトナーを例示する。それは、137mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。図6は、マイクロ波加熱処理後の同じトナーを例示する。また、それは、125mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。
【0041】
添付の図7は、処理前の実施例3を示し、図8は、対流処理後の実施例3を示し、図9は、マイクロ波処理後の実施例3を示す。
図7は、対流処理に先立って、トナーが非ニュートンであり、68.4mPa・sの高い剪断粘性で、剪断シンニングを示すことを例示する。図8は、対流処理後の同じトナーを例示する。それは、64.4mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。図9は、マイクロ波加熱処理後の同じトナーを例示する。また、それは、64.7mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。
添付の図10は、処理前の実施例4を示し、図11は、対流処理後の実施例4を示し、図12は、マイクロ波処理後の実施例4を示す。
【0042】
図10は、対流処理に先立って、トナーが非ニュートン流体であり、5.84mPa・sの高い剪断粘性で、剪断シンニングを示すことを例示する。図11は、対流処理後の同じインクを例示する。それは、3.42mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。図12は、マイクロ波加熱処理後の同じインクを例示する。また、それは、3.67mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。
添付の図13は、処理前の実施例5を示し、図14は、対流処理後の実施例5を示し、図15は、マイクロ波処理後の実施例5を示す。
図13は、対流処理に先立って、トナーが非ニュートンであり、415mPa・sの高い剪断粘性で、剪断シンニングを示すことを例示する。図14は、対流処理後の同じトナーを例示する。それは、275mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。図15は、マイクロ波加熱処理後の同じトナーを例示する。また、それは、304mPa・sの高い剪断粘性で、非ニュートン流動挙動またはもたらされる粘性の著しい低下を示す。
【0043】
(分散安定性)
実施例はすべて、処理前後に、所定時間にわたって、凝集作用および沈降を評価することによって、分散安定性に関して検討した。沈降は、容積分析の目盛りをした沈殿フラスコに入れたサンプルおよび所定の時間後に分析された沈殿の割合によって評価された。メニスカスの減少量は、オリジナルメニスカス体積と比較して、分離された(堆積された)固体を表わす。凝集作用は、所定期間サンプルをビーカー内に入れて評価され、次いでサンプルを徐々に撹拌することにより評価された。凝集作用レベルは、サンプルの攪拌に対する抵抗によって決まる。
次の結果で分かるように、6か月の保存期間に渡って、分散安定性が、処理されたサンプルで非常に改善されたことが分かった。
【0044】
【表5】

【0045】
(電気的特性)
液体トナーおよび静電気インクジェットインクの電気的特性が、印刷画質に著しく影響を及ぼすことは知られており、従来のマーキング液の中で最も重要な電気的特性が、伝導性、電気泳動流動性およびゼータ電位であることが知られている。処理前後の両方で実施例の他の電気的特性と同様にこれらの測定は、改善された特性を示し、その特性は、それぞれの画像システムで、トナー特性の改善に反映されている。上記マーキング液の電気的特性は、オゼロフ(Ozerov)の米国特許第6,613,209号(特許文献8)に開示されるようなトナー特性セルを使用して測定した。
結果は以下のとおりであった。
【0046】
【表6】

【0047】
(印刷テスト)
画像光学濃度および背景汚染に関して、佐々木(Sasaki)らの米国特許第6,167,225号(特許文献4)に一般に開示された型式の静電プリンタを使用してサンプルをテストした。例えば、実施例4の印刷サンプルを、リマ・マルケス(Lima−Marques)の米国特許第6,260,954号(特許文献1)に一般に開示された型式のインクジェット印字装置を使用して光学濃度および背景汚染に関してテストした。画像濃度および背景汚染は、グレタグ(Gretag)(スイス)製のグレタグ(Gretag)D186濃度計を使用して得た。
結果は以下のとおりであった。
【0048】
【表7】

【0049】
上記の結果から分かるように、処理によって、印刷サンプルの画像領域で光学濃度が著しく増加し、同様に非画像領域で汚染または背景散乱は低減した。
本明細書では、電気的安定性と同様に物理的安定性を含む、実質的に改善された画像特性を示すマーキング液体を調製する新規の調製方法を記載した。また、本発明は、本発明を適用することによって、適合する樹脂系を備えた先行技術の静電気マーキング液は、電気的安定性と同様に物理的安定性を含む画像特性を実質的に向上することができる方法について記載する。
本発明の範囲を逸脱することなく、上記実施例のいずれにも変更することができ、添付の請求の範囲で定義される本発明から逸脱することなく、当業者は他の変形を行うことができることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】未処理の実施例1のレオロジーを示すグラフである。
【図2】対流処理後の実施例1のレオロジーを示すグラフである。
【図3】マイクロ波処理後の実施例1のレオロジーを示すグラフである。
【図4】未処理の実施例2のレオロジーを示すグラフである。
【図5】対流処理後の実施例2のレオロジーを示すグラフである。
【図6】マイクロ波処理後の実施例2のレオロジーを示すグラフである。
【図7】未処理の実施例3のレオロジーを示すグラフである。
【図8】対流処理後の実施例3のレオロジーを示すグラフである。
【図9】マイクロ波処理後の実施例3のレオロジーを示すグラフである。
【図10】未処理の実施例4のレオロジーを示すグラフである。
【図11】対流処理後の実施例4のレオロジーを示すグラフである。
【図12】マイクロ波処理後の実施例4のレオロジーを示すグラフである。
【図13】未処理の実施例5のレオロジーを示すグラフである。
【図14】対流処理後の実施例5のレオロジーを示すグラフである。
【図15】マイクロ波処理後の実施例5のレオロジーを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、
a)任意に着色剤を有する1つまたは複数の樹脂を含む樹脂系を調製し、前記樹脂系を粗粉砕するステップと、
b)粗粉砕された樹脂系をキャリアー液体で製粉して、液体マーキング粒子混合物を生成するステップと、
c)前記液体マーキング粒子混合物を前記マーキング粒子混合物の前記樹脂系のほぼ第1の軟化点またはそれより高い温度に加熱するステップと、
d)選択された期間、前記加熱されたマーキング粒子混合物の温度を保持するステップと、
e)前記マーキング粒子混合物を室温に冷却するステップと、
f)前記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記マーキング粒子混合物は、前記樹脂系のほぼ第1の軟化点よりも高く、前記樹脂系のほぼ第2の軟化点よりも低い温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された期間は、適用される加熱の種類およびその加熱を適用する方法に応じて、数分から数日である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱は、オーブン中などの対流、伝導、またはマイクロ波放射などの放射線によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂系は、任意に可塑剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記可塑剤は、スルホンアミド類類、アジピン酸塩類、セバシン酸塩類およびフタル酸塩類を含む群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂系は、着色剤0〜60%、可塑剤0〜20%、1つまたは複数の樹脂100%までを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂系を製粉するステップは、荷電制御剤および分散剤を含む群の1つまたは両方から選択された添加剤で製粉することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂は、エチルセルロース、油変性アルキド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン、シリコーン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−(メタ)アクリル共重合体、ブロック重合体またはグラフト重合体、ポリオレフィン共重合体、ポリ(塩化ビニル)樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン変性樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、合成ポリエステル類;ポリプロピレンまたは変性ポリプロピレン;アルキル化ポリビニルピロリドン類;天然ワックス類、モンタンワックス、カンデリラワックス、サトウキビワックス、蜜蝋;天然樹脂類、エステルガムおよび硬化ロジン;天然樹脂変性硬化樹脂類、天然樹脂変性マレイン酸樹脂類、天然樹脂変性フェノール樹脂類、天然樹脂変性ポリエステル樹脂類、天然樹脂変性ペンタエリトリトール樹脂類およびエポキシ樹脂類を含む群の1つまたは複数から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記着色剤は、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化鉄磁性体から選択された無機顔料、またはフタロシアニンブルー、アルカリおよびリフレックスブルー、フタロシアニングリーン、ジアリライドイエロー、アリールアミンイエロー、アゾおよびジアゾイエロー、アゾレッド、ルビントナー、キナクリンレッド、塩基性染料複合体、レーキレッドから選択された有機顔料、または塩基性染料およびスピリッツ酒可溶性染料またはそれらの組み合わせから選択された蛍光顔料および染料の1つまたは複数から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記着色剤は、トナーまたはインクの約1〜約60重量%の範囲で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリアー液体は、イソパラフィン系炭化水素類、直鎖構造のシリコーン液体類、環状構造のシリコーン液体類、分岐構造のシリコーン液体、植物油類、合成潤滑油類またはポリブテン類、またはそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記荷電制御剤は、金属石鹸類、脂肪酸類、レシチン、有機リン化合物類、スクシニミド類およびスルホンコハク酸類を含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記荷電制御剤は、使用時の前記トナーまたはインクの0.01〜5重量%の範囲で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記分散剤は、重合体超分散剤、アミノシリコーン類、重合体石油添加剤、重合体油添加剤および多機能顔料分散剤を含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記分散剤は、使用時のトナーの約0.1〜約20重量%の範囲で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、
a)キャリアー液体および前記キャリアー液体に不溶性の樹脂を含むマーキング粒子混合物を、マーキング粒子混合物の樹脂の第1の軟化点、またはほぼその温度に加熱するステップと、
b)加熱された前記マーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、
c)前記マーキング粒子物を室温に冷却するステップと、
d)前記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記マーキング粒子混合物は、前記樹脂のほぼ第1の軟化点より高く、前記樹脂のほぼ第2の軟化点よりも低い温度に加熱される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記選択された期間は、適用される加熱の種類およびその加熱を適用する方法に応じて、数分から数日である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱は、オーブン中などの対流、伝導、またはマイクロ波放射などの放射線によって提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって調製された液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインク。
【請求項22】
請求項21の液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクであって、
前記トナーまたはインクは、マーキング粒子混合物1〜60重量%、荷電制御剤0〜5重量%、分散剤0〜20重量%およびキャリアー液体100%までを含む、液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインク。
【請求項23】
液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクの調製方法であって、
キャリアー液体中の、樹脂粒子および着色剤混合物とのマーキング粒子混合物を、前記樹脂のほぼ第1の軟化点と前記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、
加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、
前記マーキング粒子混合物を室温に冷却するステップと、
前記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップと
を含む方法。
【請求項24】
液体静電写真トナーまたは液体インクジェットインクのレオロジーを改善する方法であって、
キャリアー液体中の、樹脂粒子と着色剤混合物とのマーキング粒子混合物を、前記樹脂のほぼ第1の軟化点と前記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、
加熱されたマーキング粒子混合物の温度を選択された期間保持するステップと、
前記マーキング粒子物を室温に冷却するステップと、
前記マーキング粒子混合物を高い剪断力で混合するステップと
を含む方法。
【請求項25】
液体静電写真トナーの物理的および電気的特性を改善する方法であって、
前記トナーは、キャリアー液体中の樹脂と着色剤との粒子を含み、
前記方法は、
前記トナーを前記樹脂のほぼ第1の軟化点と前記樹脂のほぼ第2の軟化点との間の温度に加熱するステップと、
前記トナーの温度を選択された期間保持するステップと、
前記トナーを室温に冷却するステップと、
前記トナーを高い剪断力で混合するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−505953(P2007−505953A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526480(P2006−526480)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001241
【国際公開番号】WO2005/026845
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(598136172)リサーチ ラボラトリーズ オブ オーストラリアプロプライエタリイ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】