説明

マークシールの取り付け補助装置

【課題】エンドレスベルトの所定位置にマークシールを高精度で位置決めして貼着する作業を容易にかつ適切に行えるようにしたマークシールの取り付け補助装置を提供する。
【解決手段】装置本体を支える支持軸部材18に複数のスライダクランク機構を装着し、各スライダクランク機構における第1腕部材22と第2腕部材28との軸着部分にそれぞれ姿勢維持手段を介して補助工具部20を装着し、スライダクランク機構を操作して補助工具部20を離間する方向に移動してエンドレスベルト10の内周面に補助工具部20を圧接させて張り渡し、位置決めガイド部材を利用して、各マークシールをエンドレスベルト10上の所定複数位置に高精度で位置決めして貼着可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンドレスベルトの所定複数位置に、それぞれ位置検出用マークとなるシール状に形成したマークシールを高精度で位置決めして貼着する作業に用いて好適な、マークシールの取り付け補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置であるフルカラー複写機等では、複数色のトナーを用いて像担持体としてのエンドレスベルト状に形成した感光体上の潜像を各色のトナーにより顕像処理した後に、各色の顕像をエンドレスベルトとして形成された中間転写ベルト上に順次重ねて1次転写し、この1次転写された顕像を転写材に一括して2次転写することによりカラー画像を形成するのが普通である。
【0003】
このようなフルカラー複写機では、中間転写ベルトとしてのエンドレスベルト上に4色の画像を正確に重ね合わせるため、エンドレスベルトに位置検出マークを貼っておき、このエンドレスベルトを駆動したときに位置検出用マークを検知手段で検出して、各色の顕像を高精度で位置合わせして重ね合わせるように制御して色の位置あわせにおけるずれ(以下「カラーレジずれ」という場合もある)を防止して正確に画像転写を行い、さらにクリーニング機構をエンドレスベルトのクリーニング開始位置に正確に接触させると共にクリーニング機構がエンドレスベルトのクリーニング終了位置で切り離されるようにタイミングをとる制御を行う。
【0004】
従来の電子写真方法で形成されるトナー画像を被転写体に転写して画像を形成する画像形成装置に用いるエンドレスベルトには、エンドレスベルトの基体又は補強部材を兼用した位置検出用マークを、エンドレスベルトの基体裏面における周回方向に沿った複数の位置に複数個形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようにエンドレスベルトに複数の位置検出用マークを設置する場合には、例えば2枚のシール状位置検出用マークをエンドレスベルトの180度反対側の位置に貼着して配置することにより、エンドレスベルトを初期動作位置まで移動制御する際の予備回転数を削減して動作時間を短縮し高速処理を可能となり、さらにエンドレスベルトにトナーを掻き取るクリーニングブレードを当てつける時間を短縮してクリーニングブレードの磨耗量を抑えることが可能となる。
【0006】
この2枚のシール状に形成した位置検出用マークをエンドレスベルトに配置する場合には、シール状に形成した位置検出用マークがエンドレスベルトの180度反対側の位置に正確に貼着されている必要がある。
【0007】
このエンドレスベルトに貼着する位置検出用マークの周方向への貼り付け位置が正確でない場合には、カラーレジずれを起こして画像転写に不具合を生じたり、クリーニング機構をエンドレスベルトへ接触させ又は切り離すタイミングに誤差を生じて適切にクリーニングできなくなって良好な画像を形成できなくなるという不具合を生じたりするので、エンドレスベルトに複数のシール状に形成した位置検出用マークを正確に位置決めして貼着しなければならない。
【0008】
このため、エンドレスベルトに複数のシール状に形成した位置検出用マークを貼着する製造工程では、作業員が定規やメジャーを用いてエンドレスベルト上にシール状に形成した位置検出用マークを位置決めする作業を行ってから貼着すると、エンドレスベルト上に貼着された各位置検出用マークの位置をミリメートルオーダー以下の精度で保障することが困難である。
【0009】
そこで、エンドレスベルトに複数の位置検出用マークを貼着する製造工程では、エンドレスベルトの基体裏面に複数個の位置検出マークを所望の位置に正確に位置決めして貼着するためにエンドレスベルトの周方向距離やエンドレスベルトの側端部からの距離を正確に特定する大型で高価な光学的測定装置を用いると、複数個のマークシールである位置検出マークを設けたエンドレスベルトの製造コストが高くなる。
【0010】
また、複数の位置検出用マークを備えたエンドレスベルトを用いた画像形成装置が稼動中に位置検出用マークが剥がれた場合には、正確に位置を特定するための大型で高価な光学的測定装置を修理の現場へ持っていって作業することが困難であるため、複数の位置検出用マークを備えたエンドレスベルトを新たなものと交換しなければならなかった。
【特許文献1】特開2004−29085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の点に鑑み、エンドレスベルトの所定複数位置にシール状に形成したマークシールを高精度で位置決めして貼着する作業を容易にかつ適切に行えるようにした、持ち運びが容易で構造が簡素で廉価な、マークシールの取り付け補助装置を新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載のマークシールの取り付け補助装置は、装置本体を支えるための機台側に支持された支持軸部材と、支持軸部材側に第1腕部材の一端部を軸着し、第1腕部材の他端部に第2腕部材の一端部を軸着し、第2腕部材の他端部に滑り子部材を軸着し、滑り子部材を支持軸部材に摺動可能に装着して構成した、複数のスライダクランク機構と、各スライダクランク機構における第1腕部材と第2腕部材との軸着部分にそれぞれ装着する補助工具部と、スライダクランク機構を操作して補助工具部を支持軸部材に対して接近又は離間する方向に移動操作する際に補助工具部を支持軸部材の中心軸と平行な状態を維持して移動させるため、スライダクランク機構と補助工具部との間に設けられた姿勢維持手段と、補助工具部の表面でエンドレスベルトの円筒の開口端を位置決めするため、補助工具部の端部表面から起立する位置決め面を形成した位置決めリブと、補助工具部の表面にあるエンドレスベルトに対して、マークシールを位置決めして貼着する際のガイドとなるよう構成した位置決めガイド部材と、支持軸部材に構成された複数のスライダクランク機構における滑り子部材を付勢することによって、複数の補助工具部が支持軸部材から離間して同時にエンドレスベルトの内周面側に押圧されたときの接触圧力を可変調整する接触圧力調整手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
上述のように構成することにより、支持軸部材の回りに装着された複数のスライダクランク機構を開く操作をして、エンドレスベルトの内周面に複数の補助工具部を圧接させて張り渡した状態とし、複数の補助工具部に装着された位置決めガイド部材を利用して、各マークシールをエンドレスベルト上の所定複数位置に高精度で位置決めして貼着する作業を容易にかつ適切に行うことができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載のマークシールの取り付け補助装置は、装置本体を支えるための機台側に支持された支持支干と、支持支干側に第1腕部材の一端部を軸着し、第1腕部材の他端部に第2腕部材の一端部を軸着し、第2腕部材の他端部に軸着する軸ピンの延長した端部を支持支干に直線状に穿設した滑りガイド溝内へ摺動自在に挿入して構成した、左右一対のスライダクランク機構と、左右一対のスライダクランク機構における第1腕部材と第2腕部材との軸着部分にそれぞれ装着する補助工具部と、スライダクランク機構を操作して補助工具部を支持軸部材に対して接近又は離間する方向に移動操作する際に補助工具部を支持軸部材の中心軸と平行な状態を維持して移動させるため、スライダクランク機構と補助工具部との間に設けられた姿勢維持手段と、各第1腕部材における一端部と他端部との間の中央位置に、それぞれ従動リンクの一端部を軸着し、各従動リンクの他端部を同軸となるように姿勢保持ガイド部材で軸着し、各第1腕部材及び各従動リンクにおける軸間距離が第1腕部材の一端部と他端部との間の軸間距離の半分の長さとなるように形成すると共に、両従動リンクに軸挿した姿勢保持ガイド部材の回転軸部分から延出する部分を支持支干の滑りガイド溝内へ回転することなく摺動自在となるように挿通して構成した従動リンクと、姿勢保持ガイド部材の両端部に固着して配置した補助工具部と、補助工具部の表面でエンドレスベルトの円筒の開口端を位置決めするため、補助工具部の端部表面から起立する位置決め面を形成した位置決めリブと、補助工具部の表面にあるエンドレスベルトに対して、マークシールを位置決めして貼着する際のガイドとなるよう構成した位置決めガイド部材と、支持軸部材に構成された複数のスライダクランク機構における軸ピンを付勢することによって、複数の補助工具部が支持軸部材から離間して同時にエンドレスベルトの内周面側に押圧されたときの接触圧力を可変調整する接触圧力調整手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
上述のように構成することにより、支持支干に装着された左右一対のスライダクランク機構を開く操作をしてエンドレスベルトの内周面に左右の補助工具部を圧接させて長円形に張り渡した状態とし、この左右一対のスライダクランク機構に連動する従動リンクによって2個の補助工具部をエンドレスベルトの内周面所定位置に当接させると共に、全ての補助工具部に設けられている位置決めリブがエンドレスベルトの円筒の開口端を位置決めする状態とし、各補助工具部に装着された位置決めガイド部材を利用して、各マークシールをエンドレスベルト上の所定複数位置に高精度で位置決めして貼着する作業を容易にかつ適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマークシールの取り付け補助装置では、エンドレスベルトの所定複数位置にシール状に形成したマークシールを高精度で位置決めして貼着する作業を容易にかつ適切に行える。また、このマークシールの取り付け補助装置は、持ち運びが容易で構造が簡素で廉価に製造できるので、複数の位置検出用マークを備えたエンドレスベルトを廉価に製造することに寄与できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置について、図1乃至図14により説明する。図1の斜視図で、10はエンドレスベルト、12はマークシールの取り付け補助装置本体である。
【0018】
このエンドレスベルト10は、電子写真方式の画像形成装置であるフルカラー複写機等に用いる中間転写ベルト又は搬送ベルトとして構成されたもので、その用途に対応して種々の幅サイズに設定し、円筒状にしたとき直径を種々のサイズに設定して構成する。
【0019】
また、このエンドレスベルト10に位置検出用マークであるマークシールM(図8に図示)を取り付ける作業を行うためエンドレスベルト10が取り付けられるマークシールの取り付け補助装置本体12は、機台14に立設した支持柱16の先端部から横に突設された支持軸部材18の自由端側にシールの取り付け補助部を装着して構成する。
【0020】
このマークシールMの取り付け補助装置本体12のシールの取り付け補助部は、スライダクランク機構を利用して、貼着作業補助用の補助工具部20を支持軸部材18に対して接近又は離間する方向に移動操作可能に構成する。
【0021】
このマークシールMの取り付け補助装置本体12では、4個の補助工具部20をそれぞれスライダクランク機構によって支持軸部材18の周囲の4分割位置に装着し、各補助工具部20が支持軸部材18に対して中心角90度を置いたラジアル方向に移動するように構成する。なお、このマークシールの取り付け補助装置では、2箇所又は4箇所にマークシールMを貼着するように構成するばかりでなく、所要の複数箇所にマークシールMを貼着するように構成しても良い。
【0022】
図1乃至図4に示すように、各スライダクランク機構は、第1腕部材22、第2腕部材28、支持軸部材18及び滑り子部材30とで構成する。このスライダクランク機構では、支持軸部材18の自由端部に配置した固定台部材32に対して第1腕部材22の一端部を軸ピン24で軸着し、この第1腕部材22の他端部を軸ピン26で第2腕部材28の一端部に軸着する。さらに、このスライダクランク機構では、第2腕部材28の他端部を滑り子部材30に軸ピン34で軸着し、滑り子部材30を支持軸部材18に摺動自在に装着する。
【0023】
このように構成したスライダクランク機構には、その第1腕部材22と第2腕部材28との軸着部にあたる回り対偶部分に補助工具部20を装着する。
【0024】
このように構成したスライダクランク機構では、滑り子部材30を固定台部材32側に接近させるように移動する操作によって第1腕部材22と第2腕部材28とを立ち上がらせて補助工具部20を支持軸部材18から離間させる動作を行う。また、滑り子部材30を固定台部材32から離間させるように移動する操作によって第1腕部材22と第2腕部材28とを伏せさせて補助工具部20を支持軸部材18に接近させる動作を行う。
【0025】
このマークシールの取り付け補助装置本体12では、各補助工具部20の上面をエンドレスベルト10の内周面に隙間なく平均的に圧接させるために、補助工具部20の上面が支持軸部材18の中心軸と平行な状態を維持してラジアル方向に移動可能となるように、姿勢維持手段を介して装着する。
【0026】
この姿勢維持手段では、例えば図5に示すように、第1腕部材22と第2腕部材28とを軸ピン26で軸着する部分において、第1腕部材22の端部を軸ピン26から所定長さ延長して操作端部22Aを形成し、第2腕部材28の端部を軸ピン26から所定長さ延長して操作端部28Aを形成する。
【0027】
また、この姿勢維持手段では、補助工具部20の下面部から小矩形板状の支持板36を突設し、この支持板36に補助工具部20の上面と直交する方向に延びる直線状のガイド溝38を穿設する。
【0028】
この支持板36のガイド溝38内には、軸ピン26の延長部を摺動自在に挿入し、ガイド溝38内の下側端部と軸ピン26との間に圧縮コイルばね40を架設し、軸ピン26がガイド溝38の上端部側に移動するよう付勢する。
【0029】
この支持板36には、ガイド溝38の直上に、摺接被動部材42を突設する。この姿勢維持手段では、摺接被動部材42の下端面を補助工具部20の表面と平行な平面に形成し、図5に示すように操作端部22Aの自由端角部と操作端部28Aの自由端角部とが同時に摺接して、第1腕部材22と第2腕部材28とのなす角が変動し軸ピン26がガイド溝38内で移動しても補助工具部20の上面が支持軸部材18の中心軸と平行な姿勢を保つように構成する。
【0030】
また、この姿勢維持手段は、図6に示すように構成しても良い。この図6に示す構成では、第1腕部材22の端部を軸ピン26から所定長さ延長して操作端部22Aを形成し、第2腕部材28の端部を軸ピン26から所定長さ延長して操作端部28Aを形成する。
【0031】
また、この図6に示す姿勢維持手段では、補助工具部20の下面部から小矩形板状の支持板36を突設する。この支持板36には、補助工具部20の上面と直交する方向に延びる直線状のガイド面を有する一対のガイド突条44、46を平行に突設する。
【0032】
そして、これら一対のガイド突条44、46の間には、摺接ガイド部材48を摺動自在に装着する。すなわち、この摺接ガイド部材48は、略断面U字状に形成し、その両側端部が一対のガイド突条44、46の相対向する側面上を摺動して補助工具部20の上面と直交する方向に移動可能に装着する。
【0033】
また、摺接ガイド部材48と補助工具部20の下面との間には、圧縮コイルばね50を架設して、摺接ガイド部材48を、軸ピン26から延長している操作端部22Aと操作端部28Aとに摺接させる状態を維持させるように付勢する。
【0034】
この摺接ガイド部材48は、その操作端部22Aと操作端部28Aとに臨む下面が補助工具部20の表面と平行になるように構成する。
【0035】
このように構成した図6に示す姿勢維持手段を用いた場合には、操作端部22Aの自由端角部と操作端部28Aの自由端角部とが摺接ガイド部材48に同時に摺接しながら第1腕部材22と第2腕部材28とのなす角が変動し、摺接ガイド部材48が一対のガイド突条44、46にガイドされて移動しても補助工具部20の上面が支持軸部材18の中心軸と平行な姿勢を保つことができる。
【0036】
このマークシールの取り付け補助装置本体12に設ける補助工具部20は、マークシールMをエンドレスベルト10に貼着する作業を正確にかつ迅速に行えるように補助するよう構成する。
【0037】
この4個の補助工具部20は、図3に示すように、これらの上面にエンドレスベルト10の内周面を載せて支持軸部材18のラジアル方向に離間するよう開いた状態のときに、エンドレスベルト10に角が当たって折れ筋ができることを防止するため、エンドレスベルト10の中心軸方向に延びる補助工具部20上面の両側部を、角を落とした滑らかな曲面形状とし、さらに、その上面の少なくとも両側部を円弧状に形成する。なお、補助工具部20上面は、円弧状に形成した両側部の間を平面に形成することが望ましい。
【0038】
さらに、補助工具部20には、エンドレスベルト10の円筒の開口端を位置決めするため、その上面の基端部(支持軸部材18の自由端と反対側に向いた端部)に表面から直角に起立する縦壁である位置決め面を形成した位置決めリブ54を突設する。
【0039】
さらに、この補助工具部20は、エンドレスベルト10の幅以上の長さに形成し、位置決めリブ54と反対側の端部によってエンドレスベルト10に折れが生じることを防止する。
【0040】
また、この補助工具部20には、エンドレスベルト10に対してマークシールMを位置決めして貼着する際のガイドとするため、例えば図7乃至図9に示すような位置決めガイド部材52を装着する。なお、図1乃至図6には、図の表現の便宜上、位置決めガイド部材52の図示を省略している。
【0041】
ここで用いるマークシールMは、1辺が7mm〜12mmの四角形状であることが望ましい。なお、マークシールMの形状は、丸や三角である場合に、エンドレスベルト10が軸方向に少しでも移動すると、センサーでの読み取り位置が変わり、或いは読み取り幅が変わってしまい位置検出機能を果たすことができない。
【0042】
また、マークシールMは、その1辺が長すぎると、画像形成部を狭めるのを避けるために、エンドレスベルト10の幅を大きくしなければならなくなる。逆にマークシールMは、その1辺が短すぎると、エンドレスベルト10が軸方向に移動した場合、センサーが検出できる位置から外れてしまう可能性がある。
【0043】
上述のような事情を加味し、本実施の形態では、マークシールMを、7mm角の正方形で、厚さ50μmに形成し、その一方の平面に両面接着テープを設置したものとして構成する。
【0044】
このように構成したマークシールMをエンドレスベルト10上の所定位置に位置決めして貼着する作業を補助するための位置決めガイド部材52は、矩形板状に形成し、その一方の辺の上端部を蝶番56で軸着して、図7に示す開いた位置から図8に示す位置決めするための閉じた位置まで開閉可能に取り付ける。
【0045】
この位置決めガイド部材52には、図8に示す閉じた状態で位置決めリブ54の縦壁にエンドレスベルト10の開口端部が当接して位置決めされたときにマークシールMを貼着する所定位置に対応するマークシールMと略同形の矩形透穴である位置決め貼着用の開口部58を穿設する。
【0046】
この位置決め貼着用の開口部58には、エンドレスベルト10の開口端辺と所定距離をおいて平行な位置決め辺58Aと、エンドレスベルト10の開口端辺と直交する方向に沿い、エンドレスベルト10の周方向に対して所定間隔を開けた複数位置に対応した垂直な位置決め辺58Bとを少なくとも1組形成する。
【0047】
この位置決めガイド部材52は、補助工具部20の上面に被さる面を補助工具部20の上面に沿った曲面に形成する。
【0048】
図9に示すように、このように構成した位置決めガイド部材52を利用して作業員がマークシールMの位置決め貼着作業を行うときには、補助工具部20の上面との間にエンドレスベルト10を挟み込むように閉じた状態で、マークシールMを位置決め貼着用の開口部58内へ挿入し、少なくともマークシールMの所要の辺を、平行な位置決め辺58Aと垂直な位置決め辺58Bとに同時に位置合わせした状態で貼着する。
【0049】
次に、複数のサイズのマークシールMに対応して位置決め貼着作業を行えるように構成した補助工具部20について、図10により説明する。
【0050】
この図10に示す複数のサイズのマークシールMに対応する補助工具部20では、位置決めリブ54に蝶番56によって軸着された位置決めガイド部材52に設ける開口部58の開口の大きさを、複数サイズ(ここでは3サイズ)のマークシールMの大きさに対応して変更可能に構成する。
【0051】
このため、この複数サイズのマークシールMに対応する補助工具部20では、位置決めガイド部材52における蝶番56側の端部とこれと対向する端部との間に矩形のガイド溝62を穿設する。
【0052】
さらに、位置決めガイド部材52には、矩形のガイド溝62の底面部分に、最大サイズのマークシールMにおける位置決めリブ54の位置決め用縦壁に対して垂直な方向の幅と略等しい幅を持ち、最大サイズのマークシールにおける位置決めリブ54の位置決め用縦壁と平行な方向の幅より所要幅大きな幅を持つ開口部58を穿設する。そして、この位置決めガイド部材52では、その開口部58における蝶番56に平行に隣接した側面を平行な位置決め辺58Aに設定する。
【0053】
また、この位置決めガイド部材52には、その矩形のガイド溝62内に、開口幅可変ガイド部材60を移動可能に装着する。この開口幅可変ガイド部材60には、最大サイズのマークシールにおける位置決めリブ54の位置決め用縦壁に対して垂直な方向の幅と略等しい幅を持ち、最大サイズのマークシールMにおける位置決めリブ54の位置決め用縦壁と平行な方向の幅以上の幅を持つ調整開口部64を穿設する。
【0054】
さらに開口幅可変ガイド部材60の調整開口部64には、エンドレスベルト10の開口端辺と直交する方向に沿うと共にエンドレスベルト10の周方向に対して所定間隔を開けた複数位置に対応した垂直な位置決め辺64Bを構成するため、調整開口部64における位置決めリブ54の位置決め用縦壁に対して垂直な方向の内側面部分に、位置決めガイド部材52の開口部58における底面と面一となる位置まで垂直な位置決め辺64Bを延長するための矩形突部66を突設する。
【0055】
この位置決めガイド部材52では、調整開口部64の垂直な位置決め辺64Bを開口部58内における複数サイズのマークシールMに対応した所定複数の位置決め位置に設定するために、開口幅可変ガイド部材60を矩形のガイド溝62内の所定複数位置にてワンタッチで着脱可能に係着する係着手段を設ける。この係着手段は、矩形のガイド溝62における蝶番56側の縦側面と、これに摺接するよう対向する開口幅可変ガイド部材60の縦側面との間に構成する。
【0056】
この係着手段では、開口幅可変ガイド部材60の縦側面における所定3箇所を小円弧状に切欠して係着用凹部68を設ける。また、この係着手段では、矩形のガイド溝62における蝶番56側の縦側面の所定位置に摺動ガイド溝70を穿設し、この摺動ガイド溝70内に係止操作部材72を出没可能に配置する。
【0057】
さらに、この係着手段では、係止操作部材72の後端と摺動ガイド溝70の奥端との間に圧縮コイルばね74を架設して係止操作部材72の先端頭部が、各係着用凹部68に選択的に嵌まって開口幅可変ガイド部材60の垂直な位置決め辺64Bが所要サイズのマークシールMに対応した位置に位置決めして保持されるように構成する。
【0058】
なお、この係着手段で係止操作部材72が係着する係着用凹部68を変更する場合には、作業員が手動で係止操作部材72を摺動ガイド溝70内に引き下げて開口幅可変ガイド部材60を位置決めリブ54の位置決め用縦壁と平行に所要距離移動してから、係止操作部材72を所望の係着用凹部68に係着させる。
【0059】
前述した図7乃至図10に示す位置決めガイド部材52を設けた補助工具部20は、それぞれエンドレスベルト10の表面側にマークシールMを貼着するときに用いるものである。これに対して、エンドレスベルト10の裏面(内周面)側にマークシールMを貼着する場合には、図11に示す構成の補助工具部20を用いる。
【0060】
この補助工具部20には、その位置決めリブ54の外側端面に開放すると共に、補助工具部20のエンドレスベルト10に当接する表面から裏面に向けて貫通するように切欠したマークシールの位置決め貼着用の開口部76を穿設する。
【0061】
この開口部76は、位置決めリブ54に対向すると共に開口部76の奥に位置する内側面を、エンドレスベルト10の開口端辺と所定距離をおいて平行な位置決め辺76Aとし、位置決めリブ54の位置決め用縦壁に対して垂直な方向に延びる側面を、エンドレスベルト10の開口端辺と直交する方向に沿うと共にエンドレスベルト10の周方向に対して所定間隔を開けた複数位置に対応した垂直な位置決め辺76Bとする。
【0062】
このように構成した図11に示す補助工具部20では、補助工具部20の裏側からマークシールを開口部76内に挿入し、その直交する2辺をそれぞれ平行な位置決め辺76Aと垂直な位置決め辺76Bとに沿わせて位置決めした状態で、エンドレスベルト10の裏面上の所定位置に貼着することができる。
【0063】
また、この補助工具部20は、エンドレスベルト10の幅方向の長さが異なる場合に対応するよう、その上面の基端部(支持軸部材18の自由端と反対側に向いた端部)から自由端部までの長さを変更調整可能に構成しても良い。この場合には、例えば図1に示すように、補助工具部20上面部分における自由端部側の部分20Cを位置決めリブ54を設けた部分から切り離して自由端部側へスライド可能に構成する。
【0064】
このように構成したマークシールの取り付け補助装置本体12では、図2乃至図4に示すように、4個の補助工具部20が支持軸部材18を中心とするラジアル方向に開いて同時にエンドレスベルト10の内周面側に押し当てられた状態で、各補助工具部20のエンドレスベルト10に対する接触圧力を可変調整するために、接触圧力調整手段を設ける。
【0065】
この接触圧力調整手段は、図12に示すように、支持軸部材18の軸部に可動支持部材80を挿通し、この可動支持部材80と滑り子部材30との間に圧縮コイルばね78を挿通して構成する。
【0066】
この可動支持部材80は、筒状に形成し、その筒穴内に支持軸部材18を摺動自在に挿通した状態に装着する。さらに、この可動支持部材80の筒部分の中間部には、ねじ穴を穿設して、固定用ねじ82を螺挿する。
【0067】
このように構成した可動支持部材80は、固定用ねじ82を緩めて支持軸部材18の軸方向へ移動調整し、圧縮コイルばね78が滑り子部材30を所要の付勢力で付勢する状態において固定用ねじ82の先端を支持軸部材18に圧接させるように締め付けて可動支持部材80を固定するように用いる。
【0068】
このマークシールの取り付け補助装置本体12では、接触圧力調整手段を利用してエンドレスベルト10を所要の張力で張り渡して弛みの無い状態でマークシールMを位置決めして貼着する作業を行うので、適正位置にマークシールMを配置することができる。
【0069】
このマークシールの取り付け補助装置本体12には、4個の補助工具部20を支持軸部材18と共に回転して、所要の補助工具部20を最も上側の位置に保持するための回動係止手段を設ける。
【0070】
図13に示すような回動係止手段を構成するため、支持軸部材18は、その中間所定位置で支受継ぎ手部材19によって、支持柱16側に固定された基端軸部18Aに対して、シールの取り付け補助部を設けた先端軸部18Bを回動可能に支受して構成する。
【0071】
この回動係止手段では、所要の補助工具部20を最も上側の位置に着脱可能に係止するために、先端軸部18Bと一体に回動するよう筒状のセクタ部材19を設置し、このセクタ部材19の基端軸部18A側端部における所定の4分割位置にそれぞれ逆コの字状に切欠した係合凹部19Aを穿設する。
【0072】
さらに、この回動係止手段では、基端軸部18Aにおける係合凹部19Aに臨む所定位置に軸線方向に沿ってガイド溝21を穿設し、このガイド溝21内にロック操作部材23を、係合凹部19Aに嵌まる位置と係合凹部19Aから離脱する位置との間を移動可能に装着する。
【0073】
このロック操作部材23には、手動操作用の操作突起23Aを一体的に設け、作業者が操作突起23Aを操作してロック操作部材23を係合凹部19Aに係合又は離脱させる操作を行えるように構成する。
【0074】
このような回動係止手段を設けたマークシールの取り付け補助装置本体12では、所要の補助工具部20でマークシールMをエンドレスベルト10上に位置決め貼着した後、作業員が操作突起23Aを操作してロック操作部材23を係合凹部19Aから離脱し、先端軸部18B側を回動して次に作業すべき補助工具部20を最も上側の位置に移動する。
【0075】
次に、作業員は、操作突起23Aを操作してロック操作部材23を係合凹部19Aに係着させ、先端軸部18B側を固定して補助工具部20を利用してマークシールMをエンドレスベルト10に貼着する作業を行う。なお、このマークシールの取り付け補助装置本体12では、上述の作業手順を繰り返すことにより、補助工具部20を最も作業し易い位置にセットして4個のマークシールMを貼着する作業を行うことができる。
【0076】
次に、上述のように構成した本第1実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置でエンドレスベルト10にマークシールMを位置決め貼着する作業を行う際の動作及び作用について説明する。
【0077】
このマークシールの取り付け補助装置では、作業員が滑り子部材30を基端軸部18A側へ移動して各補助工具部20を支持軸部材18に接近させた状態とする。
【0078】
次に、作業員は、4個の補助工具部20がエンドレスベルト10の筒状開口内に入るように挿通させてから、滑り子部材30を少しずつ支持軸部材18の先端方向に移動させ、4個の補助工具部20とエンドレスベルト10内面とを接触させる。
【0079】
次に、作業員は、4個の補助工具部20とエンドレスベルト10内面とが接触したら、各補助工具部20の位置決めリブ54の垂直壁部にエンドレスベルト10端面が突き当たるまでエンドレスベルト10を移動させ、さらに滑り子部材30を移動させて各補助工具部20の上面にエンドレスベルト10の内周面を当接させてから、図12に示す接触圧力調整手段を操作して、エンドレスベルト10内面と補助工具部20との接触圧力が適切となるように調整し、エンドレスベルト10を所定の張力で図3に示すように張り渡した状態とする。
【0080】
次に、作業員は、図7に示す状態にある位置決めガイド部材52を蝶番56の回りに回動して図8に示すようにエンドレスベルト10の端部上に下ろす。そして作業員は、位置決めガイド部材52に開口されている開口部58内にマークシールMを貼り付ける。
【0081】
次に、作業員は、図13に示す回動係止手段を前述のように操作し、次に作業するための補助工具部20を最上部に移動させた状態にし、前述したマークシールMを貼着する作業を行い、この作業工程を繰り返すことにより、全てのマークシールMをエンドレスベルト10上に貼着する作業を行う。
【0082】
次に、作業員は、全てのマークシールMの貼着を終えたら、位置決めガイド部材52を蝶番56の回りに回動してエンドレスベルト10上から外した状態とする。次に、作業員は、図12に示す接触圧力調整手段の解除操作をして、滑り子部材30を支持軸部材18の基端側へ移動させて各補助工具部20を支持軸部材18に近づけてから、マークシールMが貼着されているエンドレスベルト10を外して、一連の作業を終える。なお、上述したマークシールMの貼着作業工程では、4個のマークシールMを貼着する場合について説明したが、2個のマークシールMを同様の作業で貼着するようにしても良い。
【0083】
前述のように構成したマークシールの取り付け補助装置によれば、エンドレスベルト10のサイズにかかわらず、マークシールMを複数枚、エンドレスベルト10の周方向と端面方向とから所定距離置いた位置に正確に位置決めして貼着することができる。
【0084】
さらに、このマークシールの取り付け補助装置は、小型で持ち運びが可能であるから、このマークシールMを貼着したエンドレスベルト10を利用した画像形成装置の製造現場だけでなく、マークシールMを貼着したエンドレスベルト10を利用した画像形成装置を使用するため設置したフイールド等へマークシールの取り付け補助装置を運んで修理を行うのに利用できる。
【0085】
よって、マークシールMを貼着したエンドレスベルト10を利用した画像形成装置の稼動時に、エンドレスベルト10からマークシールMが剥がれても、この画像形成装置を設置した場所へマークシールの取り付け補助装置を運び、その場で新しいマークシールMをエンドレスベルト10に正確に接着することができる。このため、従来では、マークシールMが剥がれた場合にエンドレスベルト10を交換していたのを、エンドレスベルト10にマークシールMを貼着して再生する修理が可能となり、まだ使えるエンドレスベルト10を捨てるような無駄がでることを防止できる。
【0086】
次に、本第1実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置を構成する場合の具体的数値に係わる要点について説明する。
【0087】
このマークシールの取り付け補助装置本体12の構成で、エンドレスベルト10として、周長がφ180mmからφ366mm、幅が330〜370mmで、マークシールMを2箇所又は4箇所配置するものとし、マークシールMの形状を7mmから12mm角に形成し、貼り付け位置をエンドレスベルト10端部から1から5mmとする場合には、以下のように構成する。
【0088】
このマークシールの取り付け補助装置では、図2に示すように、支持軸部材18の中心軸と第1腕部材22とのなす角度θ及び支持軸部材18の中心軸と第2腕部材28とのなす角度θは、最も径の大きいエンドレスベルト10を装着したときに角45度から60度に設定することが望ましい。
【0089】
なお、この場合には、角度θが角60度より大きくなると、補助工具部20を安定して水平に保持するのが困難となる傾向があり、装置のサイズの観点からも、なるべく小さくできることが望ましいので角度θを角45度以上に設定することが適切である。
【0090】
また、このマークシールの取り付け補助装置では、ベルト最大値φ366(半径r=183mm)とすると、図2に示す第1腕部材22と第2腕部材28との腕の長さLは、r×2/√3=183×2/√3=211(mm)≦L≦r×2/√2=183×2/√2=259mmとすることが望ましい。
【0091】
なお、補助工具部20のエンドレスベルト10に接する面のかど部はR形状とし、エンドレスベルト10の脱着および拡張するときにエンドレスベルト10に傷つけないようにする。さらに、このマークシールの取り付け補助装置では、φ180mmからφ366mmのエンドレスベルト10を拡張したときとほぼ同等の変形状態となることが望ましいことから、補助工具部20の表面に形成する円弧の曲率半径Rの大きさは、両者の中間値135mmぐらいが適切である。
【0092】
また、マークシールMをエンドレスベルト10上に貼るときには、エンドレスベルト10を載せている補助工具部20の上表面が水平であることが望ましいため、補助工具部20の上面に幅Wの平面部を形成する。この補助工具部20の平面部は、マークシールMの幅が7mmから12mmであるとすると、補助工具部20の上面の幅を左右両脇で5mm程度必要なため、最大22mmとなる。従って、補助工具部20の平面部の幅は、22mmから30mmが適切な値となる。
【0093】
また、エンドレスベルト10を4個の補助工具部20でエンドレスベルト10を拡張し、保持させるときの滑り子部材30に与える付勢力は、約2.4kg以下で1.8kg重以上に設定することが適切である。
【0094】
また、このマークシールの取り付け補助装置では、例えば、ポリイミド製のエンドレスベルト10の周長がφ366mm、厚さ80μm、幅380mmのものに、マークシールM(大きさ7mm角、厚さ50μm、両面接着テープ付)を、所定貼り付け位置(エンドレスベルト端部から5mm±0.5mm以内、周方向に4分割した位置に±1mm)で貼着する場合には、図2に示すような状態で貼着する作業を行う。
【0095】
また、ポリイミド製のエンドレスベルト10の周長がφ188mm、厚さ80μm、幅330mmのものに、マークシールM(大きさ7mm角、厚さ50μm、両面接着テープ付)を、所定貼り付け位置(エンドレスベルト端部から1mm、周方向に2分割した位置に±1mm)で貼着する場合には、図4に示すような状態で貼着する作業を行う。
【0096】
このマークシールの取り付け補助装置では、上述のようにしてエンドレスベルト10の所定複数箇所にマークシールMを位置決め貼着した後に、必要に応じてエンドレスベルト10の検査を行う。
【0097】
このエンドレスベルト10の検査では、例えば図14に示すように、2本の検査ロールTRの間にエンドレスベルト10を張架しエンドレスベルト10に2kg重から3kg重の荷重を負荷した状態で、2箇所のマークシールMの先端部が周方向に2分割した位置で±1mmの誤差の範囲内にある適正状態か又は±1mmの誤差の範囲外にある不適正状態かを判別する。
【0098】
次に、本発明の第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置について、図15乃至図17により説明する。
【0099】
本第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置では、相対向する一対の補助工具部20Aをそれぞれ左右一対のスライダクランク機構によって支持支干84に装着し、各補助工具部20Aが支持軸部材18に対して中心角180度を置いた左右対称なラジアル方向に移動するように構成する。
【0100】
これと共に、このマークシールの取り付け補助装置では、相対向する一対の補助工具部20Aの間位置に配置される相対向する一対の補助工具部20Bを、相互の間隔を維持した状態で支持支干84の長手方向に対する位置が相対向する一対の補助工具部20Aと同期して移動するように、それぞれ連動リンク機構によって装着する。
【0101】
図15及び図16に示すように、一対の補助工具部20Aを操作する各スライダクランク機構は、第1腕部材22、第2腕部材28、支持支干84及び支持支干84に穿設した滑りガイド溝86を利用した滑り対偶とで構成する。この一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構では、支持支干84の自由端部に両第1腕部材22の一端部を軸ピン24で同時に軸着し、各第1腕部材22の他端部を軸ピン26で各対応する第2腕部材28の一端部に軸着する。
【0102】
さらに、一対の補助工具部20A用スライダクランク機構では、両第2腕部材28の他端部を重ねて軸ピン34で同時に軸着し、この軸ピン34の延長した端部を滑りガイド溝86内へ摺動自在に挿入して滑り対偶を構成する。
【0103】
このように構成したスライダクランク機構では、その第1腕部材22と第2腕部材28とを軸着する軸ピン26に当たる回り対偶部分に前述した第1実施の形態と同様に構成した姿勢維持手段を介して補助工具部20Aを装着する。この補助工具部20Aは、その外周面部分を半円弧状に形成するもので、その他の構成は、前述した第1実施の形態で説明した補助工具部20と同様に構成する。
【0104】
また、このマークシールの取り付け補助装置では、一対の補助工具部20Bを操作する連動リンク機構を、一対の補助工具部20A用の一対のスライダクランク機構における両第1腕部材22を利用して構成する。
【0105】
このため、各第1腕部材22における軸ピン24の回転中心と、軸ピン26の回転中心との間の軸間距離の半分の長さ位置を回転中心とするように、各従動リンク88の一端部を軸ピン90で軸着する。
【0106】
さらに、一対の補助工具部20Bを操作する連動リンク機構では、両従動リンク88の他端部を重ねて貫通させた丸軸穴に、所定長さに形成した姿勢保持ガイド部材92の中間部に形成した回転軸部分を軸挿して支受する。
【0107】
すなわち、この連動リンク機構は、両第1腕部材22における軸ピン24と軸ピン90との軸間距離を、両従動リンク88における軸ピン90と姿勢保持ガイド部材92との軸間距離と同一に構成する。
【0108】
この姿勢保持ガイド部材92は、両従動リンク88に軸挿した回転軸部分から延出する部分を滑りガイド溝86に貫通させて装着する。この姿勢保持ガイド部材92は、支持支干84の滑りガイド溝86を貫通する部分を断面矩形に形成し、姿勢保持ガイド部材92が回転しないで滑りガイド溝86内を摺動自在となるように構成する。
【0109】
このように構成した姿勢保持ガイド部材92の両端部には、それぞれ補助工具部20Bを固着して配置する。この補助工具部20Bは、その外面部分を平面状に形成するもので、その他の構成は、前述した第1実施の形態で説明した補助工具部20と同様に構成する。
【0110】
また、姿勢保持ガイド部材92の両端部に固着された一対の補助工具部20Bは、その両外側面間の距離を、補助工具部20Aの外周面を形成する半円弧の直径以上の距離に構成し、一対の補助工具部20Aの間に張り渡されたエンドレスベルト10の内周面が常に各補助工具部20Bの外側面に当接するようにする。
【0111】
前述のように構成した一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構では、滑り対偶を構成する滑りガイド溝86内で軸ピン34を支持支干84の自由端部にある軸ピン24側に接近させるように移動する操作によって第1腕部材22と第2腕部材28とを立ち上がらせて各補助工具部20Aを支持支干84から離間させる動作を行う。
【0112】
また、この一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構では、滑り対偶を構成する滑りガイド溝86内で軸ピン34を支持支干84の自由端部にある軸ピン24から遠ざけるように移動する操作によって第1腕部材22と第2腕部材28とを伏せさせて各補助工具部20Aを支持支干84に接近させる動作を行う。
【0113】
この一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構と一体的に構成された一対の補助工具部20Bを操作する連動リンク機構では、ガイド溝86内で軸ピン34を移動する動作に、一対の第1腕部材22の長手方向中央までの部分と一対の従動リンク88とで構成された4辺リンク機構が連動して、一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構における2つの軸ピン26を結ぶ線上に姿勢保持ガイド部材92が乗った状態を維持する。
【0114】
よって、本第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置では、一対の補助工具部20Aを相互に離間し又は接近させる操作を行う際に、一対の補助工具部20A用のスライダクランク機構と一対の補助工具部20B用の連動リンク機構とによって、一対の補助工具部20Aの位置決めリブ54の位置決め面と一対の補助工具部20Bの位置決めリブ54の位置決め面とが常に一定の平面上に位置するよう同期した状態を維持するように動作させる。
【0115】
また、本第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置では、図示しないが前述した第1実施の形態と同様に、2個の補助工具部20Aが支持支干84を中心とするラジアル方向に開いて同時にエンドレスベルト10の内周面側に押し当てられた状態で、各補助工具部20A及び補助工具部20Bのエンドレスベルト10に対する接触圧力を可変調整するため、軸ピン34部分を支持支干84の先端側(軸ピン24側)へ所要の付勢力で付勢する接触圧力調整手段を設ける。
【0116】
本第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置では、図示しないが、各補助工具部20Aと各補助工具部20Bとにそれぞれ位置決め貼着用の開口部を設けた位置決めガイド部材を装着する。
【0117】
さらに、この本第2実施の形態に係わるマークシールの取り付け補助装置では、図示しないが前述した第1実施の形態と同様に、支持支干84を、装置本体を支えるための機台側に支持させ、回動して各補助工具部20A又は各補助工具部20Bが最も上側に位置する状態を選択的に設定可能に構成しても良い。
【0118】
なお、本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用及び効果は前述した第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置を示す全体概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分の使用状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分を取り出して正面側から見た使用状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分の使用状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における姿勢維持手段部分を示す要部拡大側面図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における他の構成の姿勢維持手段部分を示す要部拡大側面図である。
【図7】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における補助工具部に装着する位置決めガイド部材が開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【図8】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における補助工具部に装着する位置決めガイド部材の使用状態を示す要部拡大斜視図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における補助工具部に装着する位置決めガイド部材の使用状態を示す要部拡大側面図である。
【図10】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における補助工具部に装着する他の構成の位置決めガイド部材の使用状態を示す要部拡大斜視図である。
【図11】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における他の構成の補助工具部を示す要部拡大斜視図である。
【図12】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における接触圧力調整手段の部分を取り出して示す要部拡大縦断面図である。
【図13】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体における回動係止手段部分を取り出して示す要部拡大斜視図である。
【図14】本発明の第1実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体でマークシールを貼着したエンドレスベルトに対する、マークシール貼着位置の誤差を検査する手段を例示する側面図である。
【図15】本発明の第2実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分を取り出して示す平面図である。
【図16】本発明の第2実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分を取り出して示す斜視図である。
【図17】本発明の第2実施の形態に係わる、マークシールの取り付け補助装置本体部分を取り出して示す正面図である。
【符号の説明】
【0120】
10 エンドレスベルト
12 補助装置本体
14 機台
18 支持軸部材
18A 基端軸部
18B 先端軸部
19 セクタ部材
19A 係合凹部
20 補助工具部
20A 補助工具部
20B 補助工具部
22 第1腕部材
23 ロック操作部材
23A 操作突起
24 軸ピン
26 軸ピン
28 第2腕部材
28A 操作端部
30 滑り子部材
32 固定台部材
34 軸ピン
52 ガイド部材
54 位置決めリブ
58 位置決め貼着用の開口部
60 開口幅可変ガイド部材
64 調整開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を支えるための機台側に支持された支持軸部材と、
前記支持軸部材側に第1腕部材の一端部を軸着し、当該第1腕部材の他端部に第2腕部材の一端部を軸着し、当該第2腕部材の他端部に滑り子部材を軸着し、当該滑り子部材を前記支持軸部材に摺動可能に装着して構成した、複数のスライダクランク機構と、
前記各スライダクランク機構における前記第1腕部材と前記第2腕部材との軸着部分にそれぞれ装着する補助工具部と、
前記スライダクランク機構を操作して前記補助工具部を前記支持軸部材に対して接近又は離間する方向に移動操作する際に前記補助工具部を前記支持軸部材の中心軸と平行な状態を維持して移動させるため、前記スライダクランク機構と前記補助工具部との間に設けられた姿勢維持手段と、
前記補助工具部の表面でエンドレスベルトの円筒の開口端を位置決めするため、前記補助工具部の端部表面から起立する位置決め面を形成した位置決めリブと、
前記補助工具部の表面にある前記エンドレスベルトに対して、マークシールを位置決めして貼着する際のガイドとなるよう構成した位置決めガイド部材と、
前記支持軸部材に構成された複数の前記スライダクランク機構における前記滑り子部材を付勢することによって、前記複数の補助工具部が前記支持軸部材から離間して同時に前記エンドレスベルトの内周面側に押圧されたときの接触圧力を可変調整する接触圧力調整手段と、
を有することを特徴とするマークシールの取り付け補助装置。
【請求項2】
装置本体を支えるための機台側に支持された支持支干と、
前記支持支干側に第1腕部材の一端部を軸着し、当該第1腕部材の他端部に第2腕部材の一端部を軸着し、当該第2腕部材の他端部に軸着する軸ピンの延長した端部を前記支持支干に直線状に穿設した滑りガイド溝内へ摺動自在に挿入して構成した、左右一対のスライダクランク機構と、
前記左右一対のスライダクランク機構における前記第1腕部材と前記第2腕部材との軸着部分にそれぞれ装着する補助工具部と、
前記スライダクランク機構を操作して前記補助工具部を前記支持軸部材に対して接近又は離間する方向に移動操作する際に前記補助工具部を前記支持軸部材の中心軸と平行な状態を維持して移動させるため、前記スライダクランク機構と前記補助工具部との間に設けられた姿勢維持手段と、
前記各第1腕部材における一端部と他端部との間の中央位置に、それぞれ従動リンクの一端部を軸着し、当該各従動リンクの他端部を同軸となるように姿勢保持ガイド部材で軸着し、前記各第1腕部材及び前記各従動リンクにおける軸間距離が前記第1腕部材の一端部と他端部との間の軸間距離の半分の長さとなるように形成すると共に、前記両従動リンクに軸挿した前記姿勢保持ガイド部材の回転軸部分から延出する部分を前記支持支干の前記滑りガイド溝内へ回転することなく摺動自在となるように挿通して構成した従動リンクと、
前記姿勢保持ガイド部材の両端部に固着して配置した補助工具部と、
前記補助工具部の表面でエンドレスベルトの円筒の開口端を位置決めするため、前記補助工具部の端部表面から起立する位置決め面を形成した位置決めリブと、
前記補助工具部の表面にある前記エンドレスベルトに対して、マークシールを位置決めして貼着する際のガイドとなるよう構成した位置決めガイド部材と、
前記支持軸部材に構成された複数の前記スライダクランク機構における前記軸ピンを付勢することによって、前記複数の補助工具部が前記支持軸部材から離間して同時に前記エンドレスベルトの内周面側に押圧されたときの接触圧力を可変調整する接触圧力調整手段と、
を有することを特徴とするマークシールの取り付け補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−276825(P2007−276825A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105082(P2006−105082)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】