説明

マーク材料、マーク材料の製造方法

【課題】貼り付け対象への接着を簡単に行えると共に、マーク地の端縁の解れを防止可能なマーク材料を提供すること。
【解決手段】裏面にマーク地用ホットメルト接着剤層16を形成したマーク材料10には、外周縁を覆うように解れ防止層用ホットメルト接着剤層20の設けられた解れ防止層22が表面に設けられているので、このマーク材料10で形成されたマークをユニホーム等の貼り付け対象27に加熱加圧して接着すると、マークは貼り付け対象27に対して強固に接着される。貼り付け対象27に接着されたマークは、マーク地12の外周縁が解れ防止層22によって完全に覆われているので、マークが擦られたりしてもマーク地12を構成している布地の繊維が縁部分で解れることが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク地となる布地の端面の解れを防止したマーク材料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂からなる転写接着層を備えたマークが市販されている(例えば、特許文献1参照)。このマークは、加熱プレス機等を用いてユニホーム等の貼り付け対象に簡単に接着することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−200232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マークを構成しているマーク材料が繊維生地から構成されている場合、ユニホームに貼り付けられたマークの端縁が洗濯、その他の要因で擦られると、端縁の繊維が次第に解れる懸念がある。
本発明は、上記事実を考慮し、貼り付け対象への接着を簡単に行えると共に、マーク地の端縁の解れを防止可能なマーク材料を提供すること、及びそのマーク材料の製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料であって、着色材を付着させる繊維生地からなるマーク地と、前記マーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に貼り付けられ、前記ホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された耐熱介在層と、前記耐熱介在層のマーク地側とは反対面に貼り付けられ、前記耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層と、前記マーク地の外周縁に沿って設けられ、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように貼り付けられて前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層と、を有することを特徴としている。
【0006】
次に、請求項1に記載のマーク材料の作用を説明する。
請求項1に記載のマーク材料のマーク地に着色材で色彩、模様、図柄等形成するには、従来周知の方法で形成することができる。
マーク地の表面に色彩、模様、図柄等が印刷されることでマークが完成する。
【0007】
完成したマークをユニホーム等の貼り付け対象に貼り付けるには、完成したマークを、マーク地用ホットメルト接着剤層を貼り付け対象に向けて重ね合わせて加熱プレス機等で加熱加圧する。これにより、マーク地用ホットメルト接着剤層が溶融して貼り付け対象に付着し、加熱加圧操作後に冷却されてホットメルト系の熱可塑性合成樹脂が固化することでマークが貼り付け対象に強固に接着される。なお、加熱加圧操作時の温度は、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂の融点よりも高く、耐熱介在層を構成する合成樹脂の融点温度よりも低い温度に設定される。
【0008】
この加熱加圧操作によって、耐熱介在層と剥離紙との間でマーク地用ホットメルト接着剤層が溶融するが、耐熱介在層は溶解しないので、溶解したマーク地用ホットメルト接着剤層、即ち、溶解したホットメルト性の熱可塑性合成樹脂がマーク地に滲み出ることは無く、マーク地の表面に形成した色彩、模様、図柄等に不具合が生じたり、マーク地の風合いが変化することがない。
【0009】
さらに、このマーク材料には、マーク地の外周縁に沿って、少なくともマーク地の表面の外周縁側を覆うように繊維生地の解れ(ピーリング)を防止する解れ防止層が貼り付けられているので、このマーク材料で作られたマークがユニホーム等の貼り付け対象に貼り付けられた後、マークが擦られたりしてもマーク地を構成している繊維生地の繊維が縁部分で解れることを防止できる。
したがって、本発明のマーク材料を入手しさえずれば、加工業者は着色材で所望の色彩、模様、図柄を形成し、マーク地の外周縁が解れ難いマークを簡単に作ることができる。
【0010】
なお、解れ防止層とマーク地とはホットメルト性の熱可塑性合成樹脂等を用いて接着することが好ましいが、他の方法で接着しても良い。
なお、このマーク材料にマーク地用ホットメルト接着剤層を保護する剥離紙を設けても良い。
マーク地用ホットメルト接着剤層を覆う剥離紙を設けることで、マーク地用ホットメルト接着剤層を保護でき、マーク地用ホットメルト接着剤層に対して異物、油脂等の、接着不良の原因となる物質が付着することを防止できる。なお、剥離紙は接着剤に対する剥離性を有しているので、マーク地用ホットメルト接着剤層から容易に剥離することが出来る。接着する際には、マーク地用ホットメルト接着剤層から剥離紙を剥せば良い。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマーク材料において、前記着色材は昇華性染料であり、前記耐熱介在層を構成する前記合成樹脂の融点温度が前記昇華性染料の昇華温度よりも高温に設定されている、ことを特徴としている。
【0012】
次に、請求項2に記載のマーク材料の作用を説明する。
請求項2に記載のマーク材料のマーク地に昇華性染料で色彩、模様、図柄等形成するには、先ず、マーク地の表面上に昇華性染料で色彩、模様、図柄等が印刷された転写紙を、印刷側をマーク地側に向けて重ね合わせて従来通り、加熱プレス機等で加熱加圧を行う。このときの加熱温度は、昇華性染料の昇華温度よりも高温で、かつ耐熱介在層の溶融温度よりも低く設定される。
これにより、転写紙に印刷された昇華性染料が昇華してマーク地の表面に昇華性染料からなる色彩、模様、図柄等が転写される。
【0013】
この加熱加圧操作によって、耐熱介在層と剥離紙との間でマーク地用ホットメルト接着剤層が溶融するが、耐熱介在層は溶解しないので、溶解したマーク地用ホットメルト接着剤層、即ち、溶解したホットメルト性の熱可塑性合成樹脂がマーク地に滲み出ることは無く、当然ながら転写紙に付着することも無いので、転写不良や転写紙の紙破れ等を発生することが無い。
【0014】
したがって、請求項2に記載のマーク材料を入手しさえずれば、加工業者は昇華性染料で所望の色彩、模様、図柄を印刷した転写紙を以て、加工業者が所持する加熱加圧機で、所望の色彩、模様、図柄をマーク地に転写してマーク地の外周縁が解れ難いマークを簡単に作ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のマーク材料において、前記解れ防止層は、前記昇華性染料の昇華温度、及び貼り付け対象に貼り付ける際の加熱温度よりも高い耐熱温度を有する合成樹脂シートから形成されている、ことを特徴としている。
【0016】
次に、請求項3に記載のマーク材料の作用を説明する。
解れ防止層を繊維製品ではない合成樹脂シートから形成することで、原理的に繊維の解れが無くなり、解れ防止層自身の耐久性が向上する。
【0017】
また、合成樹脂シートの耐熱温度は昇華性染料の昇華温度、及び貼り付け対象に貼り付ける際の加熱温度よりも高いので、製造時、及びマーク接着時に解れ防止層が熱で損傷することを防止できる。
【0018】
なお、合成樹脂シートの材質としては、例えば、ウレタン樹脂を用いることができるが、ウレタン樹脂以外の合成樹脂であっても良く、熱可塑性合成樹脂であっても良く、熱硬化性合成樹脂であっても良い。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のマーク材料において、前記解れ防止層は、前記マーク地の外周縁よりも外側に延設され、前記解れ防止層の裏面には、ホットメルト接着剤からなる解れ防止層用ホットメルト接着剤層が設けられている、ことを特徴としている。
【0020】
次に、請求項4に記載のマーク材料の作用を説明する。
請求項4に記載のマーク材料は、解れ防止層がマーク地の外周縁よりも外側に延設され、マーク地の外周縁よりも外側に延設された解れ防止層のマーク地側の面にホットメルト接着剤からなる解れ防止層用ホットメルト接着剤層が設けられているので、ユニホーム等の貼り付け対象に加熱加圧することで、マーク地がマーク地用ホットメルト接着剤層で貼り付け対象に接着されると共に、マーク地の外周縁よりも外側に延設された解れ防止層が解れ防止層用ホットメルト接着剤層で貼り付け対象に接着される。
マーク地の外周縁は、解れ防止層によって完全に覆われるため、繊維生地の解れ防止効果を更に向上することが出来る。
【0021】
なお、加熱加圧操作後に冷却することにより、解れ防止層が解れ防止層用ホットメルト接着剤層でもってマーク地に強固に接着される。
また、このマーク材料にマーク地用ホットメルト接着剤層を覆う剥離紙を設ける場合、剥離紙は、マーク地用ホットメルト接着剤層、及び解れ防止層用ホットメルト接着剤層の両方を覆うように設けることが好ましい。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のマーク材料において、前記耐熱介在層をマーク地用ホットメルト接着剤層側の下側耐熱介在層と、マーク地側の上側耐熱介在層との2層構造とし、前記下側耐熱介在層、前記上側耐熱介在層、及びマーク地用ホットメルト接着剤層の接着性を比較すると、前記貼り付け対象に対しては前記マーク地用ホットメルト接着剤層の接着性が最も高く、前記マーク地に対しては前記上側耐熱介在層の接着性が最も高く、前記下側耐熱介在層は、前記マーク地に対する接着性が前記上側耐熱介在層の次に高く、かつ前記貼り付け対象に対する接着性が前記マーク地用ホットメルト接着剤層の次に高く設定されている、ことを特徴としている。
【0023】
次に、請求項5に記載のマーク材料の作用を説明する。
例えば、マーク地の材質がポリエステルである場合、マーク地との接着強度を考えると耐熱介在層を構成する熱可塑性合成樹脂としてはポリエステル系が好ましい。
また、マーク材料の貼り付け対象の材質がナイロンの場合、貼り付け対象との接着強度を考えるとマーク地用ホットメルト接着剤層の材質はナイロン系であることが好ましい。
【0024】
耐熱介在層を構成する熱可塑性合成樹脂がポリエステル系で、マーク地用ホットメルト接着剤層を構成する熱可塑性合成樹脂がナイロン系になると、材質が異なるため、ポリエステル系熱可塑性合成樹脂同士を接着する場合やナイロン系熱可塑性合成樹脂同士を接着する場合に比較して耐熱介在層とマーク地用ホットメルト接着剤層との間の接着強度が劣る懸念がある。
【0025】
そこで、耐熱介在層を、マーク地用ホットメルト接着剤層側の下側耐熱介在層とマーク地側の上側耐熱介在層との2層構造とし、貼り付け対象に対してはマーク地用ホットメルト接着剤層の接着性を最も高く、マーク地に対しては上側耐熱介在層の接着性を最も高く設定し、さらに、下側耐熱介在層は、マーク地に対する接着性を上側耐熱介在層の次に高く、かつ貼り付け対象に対する接着性をマーク地用ホットメルト接着剤層の次に高く設定すると、マーク地と貼り付け対象間の接着性が改良され、マーク地と貼り付け対象とを強固に接着することが可能となる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のマーク材料において、前記マーク地の表面には、表面表示層が接着されており、前記マーク地は、少なくとも前記表面表示層と接着される部分が減量加工されている、ことを特徴としている。
【0027】
次に、請求項6に記載のマーク材料の作用を説明する。
マーク地の表面に、例えば、他のマーク等である表面表示層を接着する場合、マーク地の表面が平滑であると、他のマークが接着し難くなる。
【0028】
請求項6に記載のマーク材料では、マーク地の少なくとも前記表面表示層と接着される部分が減量加工されているので、接着性が向上し、表面表示層とマーク地との接着性を改良できる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料の製造方法であって、着色材が付着可能な繊維生地からなるマーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に前記ホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層を形成する耐熱介在層形成工程と、前記耐熱介在層のマーク地側とは反対面に、前記耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層を形成する転写接着層形成工程と、前記マーク地の外周縁に沿って、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層を形成する解れ防止層形成工程と、を有する、ことを特徴としている。
【0030】
請求項7に記載のマーク材料の製造方法では、耐熱介在層形成工程において、着色剤が付着可能な繊維生地からなるマーク地の裏面に、融点温度がホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層が形成される。
【0031】
転写接着層形成工程では、耐熱介在層のマーク地側とは反対面に、耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層が形成される。
【0032】
解れ防止層形成工程では、マーク地の外周縁に沿って、少なくともマーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように繊維生地の解れを防止する解れ防止層が形成される。
【0033】
これらの工程を経ることで、マーク地の裏面側にホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層を介して耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層が設けられ、マーク地の表面側の外周縁側に、少なくともマーク地の表面の外周縁側を覆うように繊維生地の解れを防止する解れ防止層が外周縁の少なくとも一部に沿って設けられたマーク材料が製造される。即ち、請求項7に記載のマーク材料の製造方法によって、請求項1に記載のマーク材料を製造することが出来る。
【0034】
また、解れ防止層は、マーク地の外周縁全周に渡って連続的に設けられていることが好ましいが、マーク地の端縁の解れが防止できれば連続的に設けられていなくても良く、一部分が途切れていても良い。
なお、請求項7に記載のマーク材料の製造方法に、マーク材料にマーク地用ホットメルト接着剤層を覆う剥離紙を設ける剥離紙形成工程を更に設けても良い。これにより、マーク地用ホットメルト接着剤層が剥離紙で覆われたマーク材料が製造できる。
【0035】
請求項8に記載のマーク材料の製造方法は、ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料の製造方法であって、ホットメルト接着剤からなるホットメルト接着剤層と前記ホットメルト接着剤層よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層とを一体化させて接着シートとする接着シート形成工程と、着色材が付着可能な繊維生地からなるマーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に、前記耐熱介在層が接するように前記接着シートを貼り付ける接着シート貼り付け工程と、前記マーク地の外周縁に沿って、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層を形成する解れ防止層形成工程と、を有する、ことを特徴としている。
【0036】
次に、請求項8に記載のマーク材料の製造方法を以下に説明する。
接着シート形成工程では、ホットメルト接着剤からなるホットメルト接着剤層とホットメルト接着剤層よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層とが一体化されて接着シートが形成される。
接着シート貼り付け工程では、マーク地の裏面に耐熱介在層が接するように接着シートが貼り付けられる。
解れ防止層形成工程では、マーク地の外周縁に沿って、少なくともマーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように繊維生地の解れを防止する解れ防止層が形成される。
【0037】
これら接着シート形成工程、接着シート貼り付け工程、及び解れ防止層形成工程を経ることで、少なくともマーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように繊維生地の解れを防止する解れ防止層が設けられたマーク材料が製造される。即ち、請求項8に記載のマーク材料の製造方法によって、請求項1に記載のマーク材料を製造することが出来る。
【0038】
なお、防止層形成工程は、接着シート貼り付け工程の後に行っても良く、接着シート貼り付け工程の前に行っても良い。
また、解れ防止層は、マーク地の外周縁全周に渡って連続的に設けられていることが好ましいが、マーク地の端縁の解れが防止できれば連続的に設けられていなくても良く、一部分が途切れていても良い。
また、請求項8に記載のマーク材料の製造方法に、マーク材料にマーク地用ホットメルト接着剤層を覆う剥離紙を設ける剥離紙形成工程を更に設けても良い。これにより、マーク地用ホットメルト接着剤層が剥離紙で覆われたマーク材料が製造できる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように本発明のマーク材料によれば、このマーク材料を用いて作られたマークを加熱加圧により貼り付け対象への接着を簡単に行えると共に、貼り付け対象に接着したマークのマーク地の布地端縁の解れを防止できる、という優れた効果を有する。
【0040】
また、本発明のマーク材料の製造方法によれば、加熱加圧により貼り付け対象への接着を簡単に行えると共に、貼り付け対象に接着したマークのマーク地の布地端縁の解れを防止できるマーク材料を簡単に製造できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るマーク材料10を図面にしたがって説明する。
図1はマーク材料10の平面図であり、図2は図1に示すマーク材料10の2−2線断面図である。
【0042】
本実施形態のマーク材料10は、マーク地12の裏面に耐熱介在層14、マーク地用ホットメルト接着剤層16、及び剥離紙18が順に貼り付けられていると共に、マーク地12の表面外周縁部分には解れ防止層用ホットメルト接着剤層20によって解れ防止層22が接着されている。
【0043】
本実施形態のマーク材料10を構成するマーク地12とする布地としては、昇華性染料に親和性のある構成成分から成る繊維で作られた布地であって、代表的な例としては、ポリエステル繊維から成る白地の織物、編み物、不織布から成る布地が用いられている。
【0044】
このようなマーク地12を用いる理由は、昇華性染料を用いて色彩、模様、図柄の印刷を施した転写紙を以て前記布地に昇華性染料を昇華させて色彩、模様、図柄の転写をする場合、該転写紙から昇華した染料による色彩、模様、図柄が他の材料、例えばナイロン系の合成樹脂で作った布地では転写した昇華性染料による鮮明な色彩、模様、図柄の転写が出来ないからである。なお、マーク地12は、用いる昇華性染料に親和性があればポリエステル繊維以外の繊維から作られていても良い。また、マーク地12とする布地の色も白以外であっても良い。
【0045】
また、本実施形態のマーク地12は、少なくとも、転写紙を以て、転写紙に印刷された昇華性染料を加熱加圧によって昇華して色彩、模様、図柄の前記布に転写するものであるから、その加熱温度に耐える構成成分から成る繊維で作られた布地でなければならない。
【0046】
マーク地12の裏面(なお、色彩、模様、図柄等が転写される側が表面)に、マーク地12と親和性のある熱可塑性合成樹脂からなる耐熱介在層14を形成する(本発明の耐熱介在層形成工程)。
【0047】
この耐熱介在層14は、例えば、合成樹脂溶剤をコーティングするか、合成樹脂から成るフィルムをラミネートするかによって膜厚20〜70μm程度で形成することができる。
【0048】
この耐熱介在層14も、マーク地12に転写紙を以て色彩、模様、図柄を転写するときの加熱加圧によって変形したり或いは溶融したりするものであってはならない。即ち、マーク地12と同じような耐熱温度に調合した熱可塑性合成樹脂を以て作られる。
【0049】
その耐熱介在層14の裏面に、耐熱介在層14を作る合成樹脂と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂(即ちホットメルト接着剤)を以てマーク地用ホットメルト接着剤層16を作る。そのマーク地用ホットメルト接着剤層16は、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂溶剤をコーティングして作ることもあれば、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネート(この場合、接着剤を用いて仮接着する。)して作ることもある(本発明の転写接着層形成工程)。
【0050】
なお、耐熱介在層14を作る熱可塑性合成樹脂の溶融温度は、マーク地用ホットメルト接着剤層16を作るホットメルト系の熱可塑性合成樹脂溶剤の溶融温度、及び昇華性染料の昇華温度よりも高く設定されている。
【0051】
(解れ防止層)
マーク地12には、マーク地12の表面の外周縁側に解れ防止層22がマーク地12の外周縁に沿って連続して形成されている。
本実施形態の解れ防止層22は、マーク地12の表面に、外周縁から一定幅部分を覆うように設けられていると共に、マーク地12の外周縁よりも外側に一定寸法延設されている。
【0052】
解れ防止層22の裏面には全体的にホットメルト系の熱可塑性合成樹脂(即ちホットメルト接着剤)からなる解れ防止層用ホットメルト接着剤層20が設けられている。
解れ防止層用ホットメルト接着剤層20は、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂溶剤をコーティングして作ることもあれば、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートして作ることもある。
【0053】
解れ防止層22は、マーク地12の表面に接着剤で仮接着することができ、解れ防止層22をマーク地12に加熱加圧してホットメルト系の熱可塑性合成樹である解れ防止層用ホットメルト接着剤層20によって接着することもできる。
なお、マーク材料10全体を加熱加圧することで、解れ防止層22、マーク地12、耐熱介在層14、及びマーク地用ホットメルト接着剤層16を一体化させることができる。
【0054】
なお、マーク材料10を製造するに当たり、解れ防止層22をマーク地12に接着するタイミングとしては特に制限は無く、マーク地12の裏面に耐熱介在層14を形成する前でも良く、後でも良く、耐熱介在層14にマーク地用ホットメルト接着剤層16を形成した後でも良く、作業性を考慮して工程を設定すれば良い。
【0055】
解れ防止層22は、例えば、ウレタン樹脂シートから形成することができ、ウレタン樹脂以外の合成樹脂からなるシートから形成することもできる。また、解れ防止層22として、合成樹脂等をコーティングしたり含浸させて繊維の解れを防止した布地(織物、不織布等)から形成することもできる。
【0056】
なお、解れ防止層22の表面には、植毛が施されていたり、回帰性反射材としてのガラスビーズ等が接着されていても良い。
また、マーク地用ホットメルト接着剤層16、及び解れ防止層用ホットメルト接着剤層20には、これらの表面を保護するために常法に従って剥離紙18を貼着することが好ましい。
これらの作業を経て図1に示す構成のマーク材料10が作られている。
【0057】
(染料による色彩、模様、図柄の形成方法)
このマーク材料10を構成する布地から成るマーク地12に所望の色彩、模様、図柄を形成したマークとする方法を説明する。
図3に示すように、昇華性染料24を以て所望の色彩、模様、図柄を印刷した転写紙26の印刷面を、マーク材料10のマーク地12(図3では図示せず)とする布地に重ね合わせて、加熱プレス機を用いて、例えば、約60秒、約200°Cの温度、約300g/平方センチメートルの条件下で加熱加圧を行う。
【0058】
この加熱加圧操作によって、前記転写紙26から印刷に用いた昇華性染料が所望の色彩、模様、図柄として布地であるマーク地12の表面に転写され、マーク地12の表面に昇華性染料による色彩、模様、図柄が形成される。
【0059】
この操作時に、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂によって形成されたマーク地用ホットメルト接着剤層16は、当然この加熱加圧操作によって、耐熱介在層14と剥離紙18との間で溶融するが、本発明のマーク材料10の構成材である布地であるマーク地12には、加熱加圧操作によって溶融しない耐熱介在層14が設けてあるので、マーク地12にはマーク地用ホットメルト接着剤層16の構成成分である溶融した熱可塑性合成樹脂が滲み出すことはなく、当然ながらこの熱可塑性合成樹脂が転写紙26に付着することも無い。
【0060】
したがって、昇華性染料による色彩、模様、図柄を形成する際に、マーク地12に溶融した熱可塑性合成樹脂が滲み出すことで生ずる不具合(例えば、転写不良、昇華不良等)が発生することがなく、また、熱可塑性合成樹脂が転写紙26に付着して後で転写紙26を剥離できなくなって転写紙26の紙破れを生ずるといった問題を生じることがない。
【0061】
なお、この加熱加圧操作によって、解れ防止層22の裏面に設けたホットメルト系の熱可塑性合成樹脂によって形成された解れ防止層用ホットメルト接着剤層20も溶解する。解れ防止層用ホットメルト接着剤層20の溶解したホットメルト系の熱可塑性合成樹脂は、マーク地12の表面に接触し、後に冷却されて固化することで解れ防止層22とマーク地12とが強固に接着される。
【0062】
マーク地12の端縁付近では、マーク地12の布地を構成している繊維に、解れ防止層用ホットメルト接着剤層20を構成しているホットメルト系の熱可塑性合成樹脂が付着して固化するので、マーク地12の端縁における繊維の解れが抑えられる。
【0063】
即ち、加工業者は、このマーク材料10を入手しさえずれば既存の加熱プレス機を以て、昇華性染料により印刷した所望の色彩、模様、図柄を施した転写紙26を使って、所望の色彩、模様、図柄が転写されたマークを作ることができる。
【0064】
なお、ここでは、マーク地12の端縁に解れ防止層22を接着してマーク材料10を製造した後、このマーク材料10の表面に昇華性染料により色彩、模様、図柄を転写したが、解れ防止層22を接着する前のマーク地12に昇華性染料により色彩、模様、図柄を転写し、その後、解れ防止層22を接着しても良い。この場合であっても、マーク地12とマーク地用ホットメルト接着剤層16との間に耐熱介在層14が介在していれば、転写時にマーク地用ホットメルト接着剤層16の構成成分である溶融した熱可塑性合成樹脂がマーク地12に滲み出すことはなく、転写不良や、転写紙26の紙破れといった問題を生じることがない。同様に、後で、解れ防止層22を接着する際にもマーク地用ホットメルト接着剤層16の構成成分である溶融した熱可塑性合成樹脂がマーク地12に滲み出すことがない。
【0065】
また、上記実施形態では、マーク地12の裏面に耐熱介在層14を形成してから、マーク地用ホットメルト接着剤層16を形成したが、別の方法として、予め耐熱介在層14とマーク地用ホットメルト接着剤層16とを一体化させた一枚の接着シートを形成し、その後、耐熱介在層14をマーク地12に接するようにその接着シートをマーク地12に接着することも出来る。
【0066】
なお、耐熱介在層14とマーク地用ホットメルト接着剤層16とを一体化させる方法として、例えば、フィルム状のマーク地用ホットメルト接着剤層16の片面に耐熱介在層14となる合成樹脂溶剤をコーティングする方法や、フィルム状の耐熱介在層14とフィルム状のマーク地用ホットメルト接着剤層16とを重ね合わせて加熱プレスする方法がある。
【0067】
また、接着シートをマーク地12に接着する方法として、例えば、フィルム状のマーク地用ホットメルト接着剤層16の片面に耐熱介在層14となる合成樹脂溶剤をコーティングし、合成樹脂溶剤が固化する前にマーク地12に圧着する方法があるが、その他の方法で接着しても良い。
なお、解れ防止層22は、マーク地12の外周縁全周に渡って連続的に設けられていることが好ましいが、マーク地12の端縁の解れが防止できれば連続的に設けられていなくても良く、一部分が途切れていても良い。
【0068】
(マークの貼り付け対象への接着方法)
次に、このようにして製造された所望の色彩、模様、図柄の形成されたマークをユニホーム等の貼り付け対象に接着する方法を簡単に説明する。
先ず、加熱プレス機械の基台にユニホーム等の貼り付け対象を載せ、その貼り付け対象のマーク貼り付け位置に剥離紙18を剥がしたマークのマーク地用ホットメルト接着剤層16を向けて配置する。
【0069】
その後、加熱プレス機械の加圧プレートによってマークを貼り付け対象に加圧しながら所定時間加熱(例えば、150°C、30秒、200g/cm)すると、マーク地用ホットメルト接着剤層16、及び解れ防止層用ホットメルト接着剤層20が溶融し、マーク材料10からなるマークは貼り付け対象27に付着する。加熱加圧操作後、冷却されてホットメルト系の熱可塑性合成樹脂が固化することで、図4に示すように、マーク材料10からなるマークは貼り付け対象27に対して強固に接着される。
【0070】
このようにして貼り付け対象27に接着されたマーク材料10からなるマークは、マーク地12の外周縁が解れ防止層22によって完全に覆われているので、マークが擦られたりしてもマーク地12を構成している布地の繊維が縁部分で解れることが無い。
【0071】
なお、織物、編物などの生地は、所望の形状とするために縁をカットするが、ハサミなどのブレードでカットすると編みや織りがほどけてホツレるため、熱可塑性の素材の場合にはヒートカットやレーザーによる溶断方法を行う場合がある。
【0072】
溶断を行った面は、繊維が溶解して固化した硬い部分となるため、この溶断されたマークをシャツ等につけて洗濯すると、溶断面による傷(ピリング)を発生する懸念があるが、本実施形態のマーク材料10では、マーク地12の端縁(溶断面)を解れ防止層22で覆うので、このような溶断面による傷の発生を防止することができる。
【0073】
[第2の実施形態]
本発明のマーク材料10の第2の実施形態を図5に基いて説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0074】
この例では、耐熱介在層14がマーク地用ホットメルト接着剤層16側の下側耐熱介在層14Aと、マーク地12側の上側耐熱介在層14Bとの2層構造となっている。
なお、この上側耐熱介在層14Bは、例えば、合成樹脂溶剤をコーティングするか、合成樹脂から成るフィルムをラミネートするかによって形成することができる。
【0075】
本実施形態のマーク材料10では、上側耐熱介在層14Bの下側面(マーク地12と反対側の面)に耐熱性のフィルムからなる下側耐熱介在層14Aを形成し、この下側耐熱介在層14Aにラミネート法或いはコーティング法によりホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成るマーク地用ホットメルト接着剤層16が形成されている。
【0076】
耐熱性のフィルムは、例えば厚さが50μm程度であり、上側耐熱介在層14Bと親和性のある合成樹脂から成る耐熱性のフィルムシートが使用され、マーク地12に前記した転写紙を以て色彩、模様、図柄を転写(昇華)するときの加熱加圧によって変形したり或いは溶融したりしないような素材である必要がある。
【0077】
例えば、マーク地12の材質がポリエステル系、ユニホーム等の貼り付け対象の材質がナイロン系の場合、上側耐熱介在層14Bを構成する合成樹脂にポリエステル系の合成樹脂を用い、マーク地用ホットメルト接着剤層16を構成する合成樹脂にナイロン系の合成樹脂を用い、下側耐熱介在層14Aにウレタン系の合成樹脂を用いることが好ましい。
【0078】
ポリエステル系のマーク地12に対しては、ポリエステル系の合成樹脂の接着性が最も高く、ナイロン系の貼り付け対象に対しては、ナイロン系の合成樹脂の接着性が最も高い。ウレタン系の合成樹脂は、ポリエステルに対する接着性はポリエステル系の合成樹脂の次に高く、ナイロンに対する接着性はナイロン系の合成樹脂の次に高く、ポリエステル及びナイロンの両方に対して十分な接着性を有している。
【0079】
このように、ポリエステルとナイロンといった異なる材質を接着するに当たり、第2の実施形態のように樹脂の種類、及び配置を最適化することで、マーク地12を貼り付け対象27に対して強固に接着することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、耐熱介在層が2層構造となっており、マーク地用ホットメルト接着剤層16側の下側耐熱介在層14Aをフィルムとしているので、溶融したマーク地用ホットメルト接着剤層16がマーク地12へ染み出ることを防止する効果がより確実なものとなる。
【0081】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係るマーク材料10を図6に基いて説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0082】
図6に示すように、本実施形態のマーク材料10は、マーク地12の表面に、模様、図柄等となる表面表示層28がホットメルト系の熱可塑性合成樹脂からなる転写接着層29で接着されている。
【0083】
なお、表面表示層28が繊維で作られた布地である場合、表面表示層28の端縁の解れを防止するために、マーク地12の端縁と同様の解れ防止層22を設けても良い。
【0084】
本実施形態のマーク材料10では、マーク地12の表面に模様、図柄等となる表面表示層28を形成することで、凹凸感に優れた立体的なマークを形成することが出来る。
なお、表面表示層28の素材としては、布地以外に、例えば、ラバー素材、発泡素材、ウレタン樹脂等を用いることができ、製造工程、及び接着時の高温に耐えうる耐熱性を有する素材であれば用いる素材は上記の素材に限らない。また、表面表示層28の表面に、植毛、ガラスビーズ等の反射材等が設けられていても良い。
【0085】
次に、表面表示層28とマーク地12との接着性を向上するための手法を以下に説明する。例えば、マーク地12の表面が平滑である場合、以下のようにして表面表示層28との接着性を向上させることができる。
【0086】
接着性を向上させる一例として、マーク地12に減量加工を施すことができる。
ポリエステル繊維の表面を苛性ソーダなどのアルカリ水溶液で加水分解することで、ポリエステル繊維の質量を減量することができる。
【0087】
この減量加工では、繊維(フィラメント)の表面を溶解させるので、1本1本のフィラメントが細くなり、フィラメントとフィラメントの間隔が広がる。また、溶解したフィラメントの表層には、クレーターのような窪みが発生する。
【0088】
したがって、これらの現象により、ホットメルトの投錨効果(アンカー効果:接着剤が被着材の表面にある空隙に浸入硬化し、釘又はくさびのような働きをすることをいう。)が増進され、その結果、接着適正が向上する。
【0089】
なお、通常、減量加工を行うと、強度の低下や織り目のよれや縫い目の脱落などが発生し易くなり、減量加工には限度があり、通常20%程度までである。しかしながら、本実施形態のマーク地12では、裏面に耐熱介在層14が接着されているので、上記問題を生じ難く、接着適正を向上するために、通常の減量加工の範囲を超えて施すことができる。
【0090】
本実施形態のマーク地12はポリエステルであり、表面表示層28を接着するためのホットメルト系の熱可塑性合成樹脂がナイロン樹脂系であり、本来であれば樹脂の種類が異なるため、同種の樹脂同士を接着する場合に比較すれば接着性に劣ることになるが、本実施形態の様にマーク地12を減量加工することで、ナイロン樹脂系のホットメルト系の熱可塑性合成樹脂をポリエステルのマーク地12に対して強固に接着することが出来る。
【0091】
なお、減量加工としては、前述した方法に限らず、周知の他の方法を用いることができる。また、減量加工に代えて、表面を凹凸させる加工、例えば、擦る等して表面を物理的に粗しても良く、小孔を複数形成しても良い。これにより、接着面積が増え、投錨効果(アンカー効果)を増大させて接着性を向上することが出来る。
【0092】
その他、接着性を向上する方法としては、プライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等があり、接着部分の素材に合わせてこれらを選択すれば良い。
また、マーク地12を減量加工することで、マーク地12に対する解れ防止層22の接着性を向上することも出来る。
【0093】
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、減量加工しないポリエステル生地と、減量加工したポリエステルの生地を用意し、各々の表面にナイロン系のホットメルトで表面表示層を接着し、JISに基づいた引張試験方法(JIS K6854−3)で接着性の比較を行った。
【0094】
試験結果は以下の通りであった。
・減量加工なしの生地の場合:3000g/25mm巾
・減量加工ありの生地の場合:5000g/25mm巾
試験の結果から、減量加工を施すことで、接着性が大幅に向上したことが分かる。
ちなみに、3000g/25mm幅巾は洗濯により剥離を生ずるが、5000g/25mm幅巾は剥離が発生しない強度である。
【0095】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、昇華性染料によりマーク地12の表面に所望の色、模様、図柄等を形成したが、通常の染料や顔料を用いて形成しても良く、染料や顔料以外のものを用いて形成しても良く、色、模様、図柄等は他の周知の方法で形成することができる。
また、マーク地用ホットメルト接着剤層16に、貼り付け対象に対してマークを仮止め可能とする接着剤、または粘着剤等を付与しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマーク材料の平面図である。
【図2】図1に示すマーク材料の端縁付近の拡大断面図(図1の2−2線断面図)である。
【図3】マーク材料に図柄等を転写する方法を説明する図である。
【図4】貼り付け対象に貼り付けられたマークの断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るマーク材料の端縁付近の拡大断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るマーク材料の端縁付近の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0097】
10 マーク材料
12 マーク地
14 耐熱介在層
14A 下側耐熱介在層
14B 上側耐熱介在層
16 マーク地用ホットメルト接着剤層
18 剥離紙
20 解れ防止層用ホットメルト接着剤層
22 解れ防止層
24 昇華性染料(着色材)
26 転写紙
27 貼り付け対象
28 表面表示層
29 転写接着層(解れ防止層用ホットメルト接着材層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料であって、
着色材を付着させる繊維生地からなるマーク地と、
前記マーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に貼り付けられ、前記ホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された耐熱介在層と、
前記耐熱介在層のマーク地側とは反対面に貼り付けられ、前記耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層と、
前記マーク地の外周縁に沿って設けられ、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように貼り付けられて前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層と、
を有することを特徴とするマーク材料。
【請求項2】
前記着色材は昇華性染料であり、
前記耐熱介在層を構成する前記合成樹脂の融点温度が前記昇華性染料の昇華温度よりも高温に設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のマーク材料。
【請求項3】
前記解れ防止層は、前記昇華性染料の昇華温度、及び貼り付け対象に貼り付ける際の加熱温度よりも高い耐熱温度を有する合成樹脂シートから形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のマーク材料。
【請求項4】
前記解れ防止層は、前記マーク地の外周縁よりも外側に延設され、
前記解れ防止層の裏面には、ホットメルト接着剤からなる解れ防止層用ホットメルト接着剤層が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のマーク材料。
【請求項5】
前記耐熱介在層をマーク地用ホットメルト接着剤層側の下側耐熱介在層と、マーク地側の上側耐熱介在層との2層構造とし、
前記下側耐熱介在層、前記上側耐熱介在層、及びマーク地用ホットメルト接着剤層の接着性を比較すると、前記貼り付け対象に対しては前記マーク地用ホットメルト接着剤層の接着性が最も高く、前記マーク地に対しては前記上側耐熱介在層の接着性が最も高く、前記下側耐熱介在層は、前記マーク地に対する接着性が前記上側耐熱介在層の次に高く、かつ前記貼り付け対象に対する接着性が前記マーク地用ホットメルト接着剤層の次に高く設定されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のマーク材料。
【請求項6】
前記マーク地の表面には、表面表示層が接着されており、
前記マーク地は、少なくとも前記表面表示層と接着される部分が減量加工されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のマーク材料。
【請求項7】
ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料の製造方法であって、
着色材が付着可能な繊維生地からなるマーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に前記ホットメルト接着剤よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層を形成する耐熱介在層形成工程と、
前記耐熱介在層のマーク地側とは反対面に、前記耐熱介在層よりも融点温度が低く設定されたホットメルト接着剤からなるマーク地用ホットメルト接着剤層を形成する転写接着層形成工程と、
前記マーク地の外周縁に沿って、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層を形成する解れ防止層形成工程と、を有する、ことを特徴とするマーク材料の製造方法。
【請求項8】
ホットメルト接着剤で貼り付け対象に貼り付けられるマーク材料の製造方法であって、
ホットメルト接着剤からなるホットメルト接着剤層と前記ホットメルト接着剤層よりも融点温度が高く設定された合成樹脂からなる耐熱介在層とを一体化させて接着シートとする接着シート形成工程と、
着色材が付着可能な繊維生地からなるマーク地の前記着色材が付着する表面とは反対側の裏面に、前記耐熱介在層が接するように前記接着シートを貼り付ける接着シート貼り付け工程と、
前記マーク地の外周縁に沿って、少なくとも前記マーク地の表面の外周縁側の少なくとも一部を覆うように前記繊維生地の解れを防止する解れ防止層を形成する解れ防止層形成工程と、を有する、ことを特徴とするマーク材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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