説明

マーマレードジャムの製造方法

【課題】製造時間を大幅に短縮させることができるマーマレードジャムの製造方法を提供する。
【解決手段】 夏蜜柑の果皮を剥ぎ、当該果皮を所定の薄さにカットし、カット後の前記果皮を覆う程度の水に2時間半乃至3時間漬け置き、前記2時間半乃至3時間後に、前記果皮を水からあげ、直ちに鍋に入れて前記夏蜜柑の果肉と混ぜ合せて9分間乃至11分間加熱する。鍋に前記夏蜜柑の重量に対して決定された所定割合の糖類を加えて混ぜ合わせ、全体に気泡が発生してから30分間乃至45分間加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏蜜柑を材料とするマーマレードジャムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マーマレードジャムは、夏蜜柑の果肉だけでなく果皮も共に煮ることで、果皮までも食すことができる優れた食品である。
【0003】
特許文献1には、ジャムの製造方法に関する技術が開示されている。特許文献1には、桃、なし、りんご、さくらんぼ、いちご、ぶどう、コケモモのジャムの製造方法に関する技術が開示されているが、マーマレードジャムを製造する場合、材料となる夏蜜柑の果皮の苦味抜き処理が必須作業となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3772274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、苦味抜きのために、果皮を何回も繰り返し煮たり、果皮を一晩中漬け置いたりしなければならず、手間も時間もかかっていた。
【0006】
本発明の目的は、このような問題等に鑑みて、製造時間を大幅に短縮させることができるマーマレードジャムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマーマレードジャムの製造方法は、夏蜜柑の果皮を剥ぎ、当該果皮を所定の薄さにカットし、カット後の前記果皮を覆う程度の水に2時間半乃至3時間漬け置き、前記2時間半乃至3時間後に、前記果皮を水からあげ、直ちに鍋に入れて前記夏蜜柑の果肉と混ぜ合せて9分間乃至11分間加熱し、前記鍋に前記夏蜜柑の重量に対して決定された所定割合の糖類を加えて混ぜ合わせ、全体に気泡が発生してから30分間乃至45分間加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマーマレードジャムの製造方法によれば、夏蜜柑の風味及び香りを保持したまま、苦味が少なく、かつ、優しい旨味が引き出されたマーマレードジャムを短時間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のマーマレードジャムの製造工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態は、3個(約1キロ)の夏蜜柑を用いた場合を例に説明する。
【0011】
図1は、本発明のマーマレードジャムの製造工程を示す工程図である。
【0012】
まず、夏蜜柑の重量を計測し(ステップS1:重量計測)、夏蜜柑に付着した汚れを落とす(ステップS2:洗浄工程)。夏蜜柑の汚れを丁寧に落とす。
【0013】
続いて、夏蜜柑の果皮を剥ぐ(ステップS3:果皮剥ぎ工程)。
【0014】
ステップS3で剥いだ果皮を所定の薄さにカットする(ステップS4:果皮カット工程)。例えば、1.5mm〜4mm幅で数cmの薄切りにすることが好ましい。なお、2mm〜3mm幅で数cmの薄切りがより好ましい。
【0015】
次に、カット後の果皮を鍋に入れ、果皮を覆う程度の水に2時間半〜3時間漬け置く(ステップS5:漬け置き工程)。果皮を漬け置いている間に、夏蜜柑の果肉を房より取り出す(ステップS6:果肉取得工程)。
【0016】
短時間で製造するためにステップS5とステップ6は同時進行で行うことが好ましい。なお、ステップS5の漬け置き時間は3時間が好ましく、鍋はホーロー鍋が好ましい。
【0017】
ステップS5で漬け置いた果皮をザルにあげ、直ちに鍋に入れてステップS6で取得した果肉と混ぜ合わせる(ステップS7:混ぜ合わせ工程)。例えば、数秒以内に果皮を鍋に入れて果肉と混ぜ合わせる。鍋はホーロー鍋が好ましい。
【0018】
なお、果皮に多少残った水分と果肉からの水分だけでは水分が足りない場合には、ステップS5で果皮を漬け置いていた水100cc〜200ccを鍋に加える。
【0019】
次に、ステップS7の鍋に蓋をして9分間〜11分間加熱する(ステップS8:第1の加熱工程)。加熱時間は10分間が好ましい。
【0020】
続いて、ステップS8の鍋に、ステップS1で計測した夏蜜柑の重量に対して決定された所定割合の糖類を加えて混ぜ合わせる(ステップS9:糖類投入工程)。
【0021】
糖類は、グラニュー糖、上白糖、三温糖などであるが、グラニュー糖を用いることが好ましい。なお、所定割合は夏蜜柑の重量の7割5分〜10割であり、特に夏蜜柑の重量の8割が好ましい。なお、夏蜜柑の重量の10割の糖類を加えると防カビ効果があるが旨味を消してしまうなど風味が落ちるため、適宜好みの割合を決定する。
【0022】
糖類投入した後、加熱を開始する(ステップS10:第2の加熱工程)。加熱時間は、鍋中全体に小さな気泡が発生してから30分間〜40分間である。なお、加熱時間は40分間が好ましい。なお、糖類として上白糖を用いた場合には、加熱開始から20分後に灰汁を取り去ることが好ましい。
【0023】
以上の本実施形態のマーマレードジャムの製造工程によれば、夏蜜柑の風味及び香りを保持したまま、苦味が少なく、かつ、優しい旨味が引き出されたマーマレードジャムを、約4時間程度の工程で製造することができる。
【0024】
ステップS5の第1の加熱工程の間に、夏蜜柑の果肉を房より取り出して準備ができるため、効率よく、短時間で製造することができる。
【0025】
さらに、ステップS10の第2の加熱工程の間に、製造されたマーマレードジャムを入れるガラス等の容器と蓋を、熱湯で消毒・殺菌を行えば、マーマレードジャムの保存工程までも素早く完遂することができる。
【0026】
また、本実施形態の製造方法によれば、特別な製造器具及び材料が不要で、短時間でマーマレードジャムを製造することができる。したがって、各地方の農協、婦人部、道の駅などで、地場産の夏蜜柑を利用して製造販売しやすく、年々減少傾向にある夏蜜柑の収穫量に歯止めをかけることができる可能性がある。また、いちごやブドウは収穫後冷蔵庫に長い間保存できないが、マーマレードジャムの材料である夏蜜柑は、収穫後冷蔵庫で数か月にわたり長期保存できる。よって、製造者の好適なタイミングでマーマレードジャムを製造することができる。
【0027】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、マーマレードジャムの製造方法に広く適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夏蜜柑の果皮を剥ぎ、当該果皮を所定の薄さにカットし、
カット後の前記果皮を覆う程度の水に2時間半乃至3時間漬け置き、
前記2時間半乃至3時間後に、前記果皮を水からあげ、直ちに鍋に入れて前記夏蜜柑の果肉と混ぜ合せて9分間乃至11分間加熱し、
前記鍋に前記夏蜜柑の重量に対して決定された所定割合の糖類を加えて混ぜ合わせ、全体に気泡が発生してから30分間乃至45分間加熱することを特徴とするマーマレードジャムの製造方法。






【図1】
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【公開番号】特開2012−23999(P2012−23999A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164411(P2010−164411)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【特許番号】特許第4708499号(P4708499)
【特許公報発行日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(510200428)
【Fターム(参考)】