説明

ミキサドラム駆動制御装置

【課題】 車両走行中のドラム逆転を防止できるミキサドラム駆動制御装置を提供する。
【解決手段】 車両に回転可能に搭載されたミキサドラム1と、ミキサドラム1を正、逆転および増、減速回転させる吐出容量が調整可能な可変容量ポンプ3およびモータ4からなる駆動装置と、駆動装置を増、減速回転するための走行用エンジン2と、前記ミキサドラム1の回転設定手段を備えた操作装置7〜9と、前記操作装置7〜9の回転設定手段の設定信号に応じてポンプ容量Dpおよびエンジン1の回転状態Neを調整しミキサドラム1の回転状態を制御する手段、および、車両走行中におけるドラム1の逆転方向への回転を阻止する逆転防止手段を備えたコントローラ6とからなる。そして、走行中は回転設定信号をドラム1正転方向の所定回転数以下の中立または攪拌に変更する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートミキサ車に関し、特に車両走行中にミキサドラムの排出方向への逆転回転を防止するコンクリートミキサ車のミキサドラム駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリートミキサ車において、車両走行中のミキサドラムの排出方向への逆転回転を防止するものとして、例えば、特開昭59−209930号公報に記載されたものがある。
【0003】これは、ドラムの回転方向検出センサと車両のタコメータ等の走行状態検出センサとを備え、ドラムの回転方向検出センサにより逆転回転が検出されるとともに、走行状態検出センサにより所定車速以上が検出された際に、ドラムが排出方向の逆転状態であることを警報ランプおよび警報ブザーで警報するようにして、オペレータの操作によりドラムの逆転状態を修正させるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、車両の走行開始の時点では警報を発せず、所定の走行速度に達したときに逆転状態であることを警報ランプおよび警報ブザーで警告するものであるため、オペレータは車両の運転操作の合間に運転席の操作装置を操作してドラム逆転状態を修正する必要があり、車両運転操作とドラム回転修正操作とを同時に行う繁雑な操作が要求される。
【0005】さらに、走行中のドラムの逆転状態を阻止する手段がなく、単に警報のみ発するものであるから、走行中であっても、例えば高速走行中でも、ドラムを逆転させることも可能な状態にあり、誤って、操作装置を排出方向に操作して、高速走行中に生コンを撒き散らすことを阻止することができないものであった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、走行中におけるミキサドラムの逆転を防止できるミキサドラム駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、車両に回転可能に搭載されたミキサドラムと、前記ミキサドラムを正、逆転および増、減速回転させる吐出容量が調整可能な可変容量ポンプおよびモータからなる駆動装置と、駆動装置を増、減速回転するための走行用エンジン駆動装置と、前記ミキサドラムの回転設定手段を備えた操作装置と、前記操作装置の回転設定手段の設定信号に応じて前記駆動装置のポンプ容量およびエンジン駆動装置の回転状態を調整しミキサドラムの回転状態を制御する手段、および、車両走行中におけるミキサドラムの逆転方向への回転を阻止する逆転防止手段を備えたコントローラとから構成したことを特徴とする。
【0008】ミキサドラムの逆転方向の回転は、例えば、生コンの排出状態があり、逆転防止手段により、車両走行中において、ミキサドラムの逆転方向の回転、即ち、排出方向の回転が阻止される。
【0009】第2の発明は、第1の発明において、前記逆転防止手段は、車両停車中は回転設定手段から制御手段への回転設定信号を変更することなく伝達し、車両走行中は回転設定信号をドラム正転方向の所定回転数以下の回転状態または回転停止状態に変更するものであることを特徴とする。
【0010】操作装置の回転設定手段はドラム回転が、逆転状態の排出、停止状態の中立、正転方向で低速回転状態の攪拌、より高速回転状態の投入等があり、前記ドラム正転方向の所定回転数以下の回転状態とは、例えば、攪拌もしくは中立等である。
【0011】前記逆転防止手段は、車両の走行中において、例えば、排出や投入の回転設定信号を受けた場合に、これを攪拌や中立に変更する。
【0012】第3の発明は、第1または第2の発明において、前記逆転防止手段は、操作装置の所定の操作により、車両の走行速度が所定値以下の場合に、ドラム回転を排出とすることを許容するよう解除されることを特徴とする。
【0013】前記所定の操作とは、操作装置に設けた逆転防止手段に専用の解除ボタンのON/OFF操作とか、通常のドラム回転操作では用いられない設定操作とか、ドラム回転操作を禁止した状態での特定の操作等を云う。
【0014】第4の発明は、第3の発明において、前記逆転防止手段の解除状態では、操作装置の回転設定信号が排出でない場合には、ミキサドラムの逆転方向の回転を阻止するものであることを特徴とする。
【0015】第5の発明は、第3または第4の発明において、前記操作装置は、運転席および車外に夫々配置され、前記逆転防止手段の解除は運転席の操作装置の所定の操作によってのみ実行されることを特徴とする。
【0016】第6の発明は、第3または第4の発明において、前記操作装置は、運転席および車外に夫々配置され、操作しようとする操作装置にドラムの回転操作の操作権がコントローラから設定され、前記逆転防止手段は、ドラムの回転操作の操作権を運転席の操作装置に設定した状態でのみその解除が可能となることを特徴とする。
【0017】前記操作権とは、それを取得した操作装置の回転設定手段からのドラム回転操作のみに基づいてドラム回転が変更できることを意味し、操作権を取得していない操作装置の回転設定手段からのドラム回転操作は受付けられないことを意味する。
【0018】前記操作権を運転席の操作装置に設定した状態でのみ逆転防止手段を解除可能とする場合、車外の操作装置の回転設定手段からの回転操作は無効となる。
【0019】第7の発明は、第5または第6の発明において、前記運転席の操作装置には、ドラム回転状態を表示するドラム回転状態表示手段を備え、前記逆転防止手段の解除状態は、前記ドラム回転状態表示手段の排出表示部分の点滅により表示されることを特徴とする。
【0020】前記ドラム回転状態表示手段は、ドラムの回転状態を表示するものであり、例えば、投入、攪拌、中立、排出等の状態を、ランプや文字表示の点灯、消灯、点滅等で表示すること等がある。
【0021】第8の発明は、第1ないし第7の発明のいずれかにおいて、前記車両走行中および停車中の検出は、車両に設けたパーキングブレーキ装置の作動状態により検出するものであることを特徴とする。
【0022】前記パーキングブレーキ装置の作動状態は、例えば、パーキングブレーキレバーやリンク類の位置をスイッチ等で検出するものがある。
【0023】第9の発明は、第4ないし第8の発明のいずれかにおいて、前記車両走行中の所定速度は、車両速度を検出する車速信号の所定値もしくはエンジン回転数の所定値により検出されるものであることを特徴とする。
【0024】前記車速信号は、車両のスピードメータ(速度計)から求める場合の他、駆動系の回転速度、ドライブシャフトやプロペラシャフト等の回転速度から求めることもできる。
【0025】前記エンジン回転数の所定値は、車両を微速前進させるに必要な回転数(この場合には、変速機は低速ギヤが選択されている)に設定することができる。
【0026】第10の発明は、第5ないし第7の発明のいずれかにおいて、前記コントローラは、パーキングブレーキ装置よりの停車信号があるとき、運転席の操作装置のみに操作権を設定することを特徴とする。
【0027】
【発明の効果】したがって、第1の発明では、逆転防止手段により車両走行時にはミキサドラムの逆転方向への回転が阻止されるため、生コンを路上に撒き散らすことを安全に回避できる。
【0028】しかも、操作装置の回転設定手段の操作位置が誤ってドラム逆転の排出位置となっても、また、走行中に誤って操作装置の回転設定手段を操作して排出としても、その出力が走行中は阻止されるため、オペレータは操作装置の回転設定手段の操作位置を考慮することなく車両を走行開始でき、車両の運転操作に集中できる。
【0029】第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、車両走行中は操作装置の回転設定手段の回転設定信号をドラム正転方向の所定回転数以下の回転状態または回転停止状態に逆転防止手段により変更するものであるため、操作装置の回転設定手段の操作位置が、例えば、逆転回転の排出や高速回転の投入となっていても攪拌や中立に変更され、一層安全に車両を走行させることができる。
【0030】第3の発明では、第1または第2の発明の効果に加えて、逆転防止手段の解除により、長く連続した場所に排出する場合でも、それに沿って車両を走行速度を所定値以下にして走行させながら連続排出することで、道路の側溝工事等にも対応させることができる。
【0031】そして、前記逆転防止手段の解除状態であっても、車両の走行速度が所定値を越えた場合には、逆転防止手段が設定されている場合と同様に、ミキサドラムの逆転方向の回転を阻止するため、操作装置の回転設定手段の操作位置を排出から攪拌または中立に変更することを忘れても走行速度が所定値を超えたとき逆転防止手段が作動して安全に車両を運転できる。
【0032】第4の発明では、第3の発明の効果に加えて、前記逆転防止手段の解除状態であっても、操作装置の回転設定信号が排出でない場合には、ドラム回転を排出とせず、オペレータが操作装置の回転設定信号を排出としている場合のみドラム回転を排出とし、オペレータが意図したドラム回転を得ることができる。
【0033】第5の発明では、第3または第4の発明の効果に加えて、逆転防止手段の解除が運転席の操作装置の所定の操作に限定されているため、オペレータの操作装置による逆転防止手段の解除と車両の走行装置を操作しての車両走行とが、前後して実行され、オペレータは移動することなく作業が行える。
【0034】第6の発明では、第3または第4の発明の効果に加えて、ドラムの回転操作の操作権を運転席の操作装置に設定した状態でのみ逆転防止手段の解除が可能となるため、例えば、車外の操作装置が道路脇樹木等に接触して回転設定手段の操作位置が変化したとしても、その回転設定手段の操作位置はコントローラに受付けられることがなく、意図しないドラム逆転を防止できる。
【0035】第7の発明では、第5または第6の発明の効果に加えて、前記運転席の操作装置には、逆転防止手段の解除状態がドラム回転状態表示手段の排出表示部の点滅により表示されるため、逆転防止手段が解除されていることを車両を発進しようとするオペレータに効果的に警報できる。
【0036】第8の発明では、車両の走行中や停車中の検出を車両のパーキングブレーキ装置の作動状態により検出するため、オペレータの車両の操作意思を反映しており、確実に停車中および走行中を判別できる。
【0037】第9の発明では、前記車両走行中の所定速度は、車両速度を検出する車速信号の所定値もしくはエンジン回転数の所定値により検出されるため、車両の走行駆動装置から容易に得られる。
【0038】第10の発明は、車両走行中は運転席の操作装置のみによりドラム回転の操作を行うように設定しているため、例えば、車外の操作装置が道路脇樹木等に接触して回転設定手段の操作位置が変化したとしても、その回転設定手段の操作位置はコントローラに受付けられることがなく、意図しないドラム逆転を確実に防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0040】図1は、ミキサドラム(以下、ドラムとのみ称する)1の駆動システム構成図を示し、エンジン2、可変容量ポンプ3、可変容量モータ4、減速機5からなるミキサドラム1駆動系統と、この駆動系統を制御するコントローラ6、運転席の操作装置7、車外の操作装置8・9、車両のパーキングブレーキ装置17の操作状態を検出する停車検出スイッチ18、および、車速検出センサ19を具備する。
【0041】前記エンジン2は、コントローラ6からのエンジン2への回転数指令信号Nerがアクチュエータとして機能するスロットル調整装置10により操作されるスロットル弁11の開度に基づきその回転数が調整される。即ち、エンジン2の回転数を停車時のアクセルオフのアイドル状態より高い回転数に上昇させる。
【0042】そして、エンジン2の回転数は回転数検出センサ12により検出され、回転数信号Neとしてコントローラ6に入力される。
【0043】なお、図示しないが、エンジン2が排気ガス対策等によりエンジン制御用コントローラが採用されている場合には、このエンジン制御用コントローラとコントローラ6との間で回転数指令信号Nerおよび回転数信号Neの信号授受で対応可能である。
【0044】前記エンジン2により駆動される可変容量ポンプ3は、詳細は省略するが、コントローラ6からのポンプ容量指令信号Dprを受け、可変容量ポンプ3の傾転角を入力信号に対応して正転方向および逆転方向に切換えると共にその傾転角を調整する電磁弁13により、吐出方向と吐出容量とが調整される。
【0045】前記可変容量ポンプ3の吐出方向と吐出容量は、容量検出センサ14によりポンプ容量信号Dpとしてコントローラ6に入力される。
【0046】前記可変容量モータ4は、詳細は省略するが、コントローラ6からのモータ容量指令信号Dmrに対応して可変容量モータ4の傾転角を調整する電磁弁15により容量が調整され、前記可変容量ポンプ3の吐出流体の供給を受けて回転する。
【0047】前記可変容量モータ4の回転数Nmは、供給流量Qに比例し、一回転当たりの容量Dmに反比例し、Nm=Q/Dmとなる。
【0048】そして、前記可変容量モータ4の回転数は、回転数検出センサ16によりモータ回転数信号Nmとしてコントローラ6に入力される。
【0049】なお、この可変容量モータ4は容量が少容量から大容量まで連続的に変更できるものを必要とせず、例えば、高速回転用の少容量と通常回転用の大容量の2段階に容量を変えられるものでも、また、容量が変化しない定容量モータであってもよい。なお、定容量モータの場合は電磁弁15は不要である。
【0050】前記減速機5は可変容量モータ4により駆動され、その回転数Nmを所定の減速比で減速した回転数Ndでミキサドラム1を駆動する。
【0051】前記停車検出スイッチ18は、パーキングブレーキ装置17が操作されて停車状態であるとき作動して停車信号Ubをコントローラに送信する。この停車検出スイッチは、パーキングブレーキ装置17の操作状態を検出しているが、車両の停車状態を検出できる他の手段によって構成することもできる。
【0052】また、前記車速検出センサ19は、車両の速度メータ等で構成され、車両の走行速度を検出して車速信号Vcをコントローラに送信する。この車速検出センサ19は、車両の速度が検出できればよいので、車両のドライブシャフトやプロペラシャフトの回転を検出するものであってもよい。
【0053】前記運転席の操作装置7は、図2にその具体的構成の一例を示し、表示手段としてのランプ21を内蔵する入力手段としての切換えスイッチ20、回転設定手段としてのドラム回転設定スイッチ22、ドラム回転状態を表示する投入、攪拌、中立、排出の各ランプ23を有し、コントローラ6に接続されている。
【0054】前記切換えスイッチ20は、コントローラ6の後述する操作判別部31へ操作権の切換え要求信号は、操作信号U1を通して送信するものであり、また、内蔵のランプ21は前記操作判別部31からの表示信号D1により当該操作装置7が操作権を有する場合に点灯表示し、操作権が他の操作装置8、9にある場合に消灯し、前記切換えスイッチ20により操作権を要求したが操作権を切換える条件を満たしていない場合に点滅表示されるようになっている。
【0055】そして、ランプ21の点灯中に切換えスイッチ20を押すことで、ランプ21を消灯させた場合には、ドラム1の回転操作が禁止され、いずれの操作装置7〜9の回転設定スイッチ22および回転設定ダイアル27、27aの操作もコントローラ6の操作判別部31には受付けられない。
【0056】前記回転設定スイッチ22は、前記内蔵のランプ21が点灯中の操作権がある間において、ドラム1の回転数を増減させるために操作されるスイッチであり、中立のオフ状態から、増加させるUP端子と減少させるDOWN端子とが配列されており、回転設定信号は操作信号U1を通してコントローラ6に送信される。
【0057】なお、ドラム1の回転状態は前記コントローラ6の操作判別部からの前記表示信号D1により選択表示される前記投入、攪拌、中立、排出の回転状態表示ランプ23の点灯状態で確認できる。
【0058】そして、前記選択表示される排出の回転状態表示ランプは、後述する逆転防止手段Aの解除中は点滅表示を行い、オペレータに解除中であることを注意するようにしている。
【0059】なお、前記切換えスイッチ20に内蔵のランプ21は必ずしも内蔵されるものでなく、別々に配置されていてもよく、また、このランプ21は操作権の有無の表示ができればよいものであるから、ランプ21以外に、図示しないが文字表示や記号表示の表示手段、例えば液晶表示であってもよい。
【0060】前記車外の操作装置8、9は(操作装置8と9は同一構成であるため、操作装置8のみ説明する)、図3にその具体的構成の一例を示し、表示手段としてのランプ26を内蔵の入力手段としての切換えスイッチ25、回転設定手段としての回転設定ダイアル27を有し、コントローラ6に接続されている。
【0061】前記切換えスイッチ25は、コントローラ6の後述する操作判別部31へ操作権信号を操作信号U2(操作装置9はU3)を通して送信するものであり、また、内蔵のランプ26は前記操作判別部31からの表示信号D2(操作装置9はD3)により当該操作装置8が操作権を有する場合に点灯表示し、操作権が他の操作装置7、9にある場合に消灯し、前記切換えスイッチ25により操作権を要求したが操作権を切換える条件を満たしていない場合に点滅表示されるようになっている。
【0062】前記回転設定ダイアル27は、前記内蔵のランプ26が点灯中の操作権がある間において、ドラム1の回転数を設定するために操作されるダイアルであり、中立のオフ状態から、時計方向に回転させて、ドラム1を低速回転させる攪拌位置、中速回転の投入位置、および、位置表示をしていないが高速位置が得られると共に、反時計方向に回転させることで逆回転を得ることができ、投入時と向きあう排出位置を得られ、回転設定信号として操作信号U2を通してコントローラ6に送信される。
【0063】なお、操作装置9の各部分の符号は、切換えスイッチ25a、内蔵のランプ26a、回転設定ダイアル27aとする。
【0064】また、切換えスイッチ25、25aに内蔵のランプ26、26aは、必ずしも内蔵される必要はなく、スイッチ類と別に配置されてもよく、また、これらのランプ26、26aは操作権の有無の状態が表示できればよく、ランプに限定されるものでなく、例えば、文字表示や記号表示の表示手段(例えば、液晶表示)であってもよい。
【0065】図4はコントローラ6の詳細を示し、操作判別部31、逆転防止部33、ドラム回転指令生成部32、ドラム回転制御部34、ドラム回転変換回路35から構成される。
【0066】前記操作判別部31は、運転席および車外の操作装置7〜9の切換え要求信号、回転設定信号、および、スランプ値設定信号を操作信号U1〜U3により監視する機能を備えている。
【0067】そして、いずれかの操作装置7〜9に操作権を設定し(エンジン始動時は運転席の操作装置7になるようにしてもよい)、その操作権がある操作装置7〜9(以下、操作装置7とし、操作装置8の場合を()内に記載する)の回転設定スイッチ22、(回転設定ダイアル27)の回転設定信号に従って逆転防止部33に操作指令信号Uを出力する機能を有する。
【0068】前記操作権の有無は、設定した操作装置7の切換えスイッチ20(25)に内蔵のランプ21(26)を表示信号D1(D2)により点灯させることで操作権が有ることを表示し、操作権を設定していない他の操作装置8、9の切換えスイッチ25、25a(21、26a)に内蔵のランプ26、26a(21、26a)を表示信号D2、D3(D1、D3)により消灯させて操作権が無いことを表示する。
【0069】また、前記操作権は、操作権の設定がない操作装置8、9(ここでは、操作装置7から操作装置8に切換える場合について説明する)の切換えスイッチ25を押すことで切換え要求信号が操作信号U2を介して操作判別部31に出力され、所定の条件が満たされていれば、操作権が切換え要求信号を出した操作装置8に変更され、変更元の操作装置7の切換えスイッチ20の内蔵ランプ21を消灯させ、変更先の操作装置8の切換えスイッチ25の内蔵ランプ26を点灯させて、操作権が移動したことを表示する。
【0070】前記所定の条件は、切換え先である操作装置8の回転設定ダイアル27の設定位置が中立・攪拌等の所定回転数以下の位置となっている場合に、切換え先である操作装置8への切換えを許可するようにしている。
【0071】そして、この許可条件は例えば、図示しないが、許可条件記憶手段を設けて、許可条件記憶手段に記憶させるものとし、記憶内容は変更可能であり、切換え先の操作装置7〜9の回転設定位置を作業性が向上するようにも変更可能である。
【0072】さらに、(例えば、操作装置7から操作装置8へ切換える際)操作装置8の切換えスイッチ25を操作(押)して操作権の切換え要求信号が入力された場合にあっても、上記許可条件を満たしていない場合には、操作装置8の切換えスイッチ25の内蔵のランプ26を点滅させることで警報する。
【0073】また、(例えば、操作権が操作装置8にあるとした場合)操作権のない操作装置7、9の回転設定手段22、27aが操作されてドラム1の回転状態を変更しようとする場合に、その操作が許可されていないことを操作装置7、9の切換えスイッチ20、25aの内蔵ランプ21、26aを点滅させることで表示するようにしている。
【0074】上記の説明において、操作装置7から操作装置8への操作権の切換えについて説明したが、いずれの操作装置7〜9も、変更元となり、また、変更先となりうるものである。
【0075】そして、運転席の操作装置7に操作権があり切換えスイッチ20の内蔵のランプ21が点灯中に、再度切換えスイッチ20が押された場合には、操作装置7の内蔵のランプ21を消灯させ、ドラム1の回転設定信号がいずれの操作装置7〜9から入力された場合にあっても操作指令Uを出力しない、ドラム1の回転操作禁止状態とする。
【0076】この状態において、運転席の操作装置7の回転設定スイッチ22が操作された場合には、回転設定スイッチ22の操作方向に応じて、操作装置のドラム回転状態表示ランプ23の排出ランプを点滅(回転設定スイッチ22を押上げてDOWN側に操作した場合)、もしくは、消灯(回転設定スイッチ22を押下げてUP側に操作した場合)させて、後述する走行中における逆転防止手段Aが解除されているか否かを表示する。
【0077】この排出ランプの点滅表示は、再び運転席の操作装置の切換えスイッチ20を押して内蔵のランプ21を点灯させて、ドラム1の回転操作禁止状態を解除した段階においても継続され、前記ドラム1の回転操作禁止状態において、回転設定スイッチ22を押下げてUP側に操作することで、逆転防止手段Aを設定した段階で、消灯する。
【0078】前記逆転防止部33は、前記操作判別部31からの操作指令U、停車検出スイッチ18からの停車信号Ub、車速検出センサ19からの車速信号Vcの入力を受け、停車信号Ubと車速信号Vcとにより車両の走行状態を判断し、当該走行状態に対応した適正な操作指令Uをドラム回転指令生成部32へ操作指令Uを送信する。
【0079】即ち、走行中は、操作指令Uが逆転状態の排出である場合に操作指令Uを停止状態の中立に、また、正転状態であっても操作指令Uが高速回転状態の投入である場合には操作指令Uを低速状態の攪拌に、夫々変更して出力する逆転防止手段Aを備える。
【0080】また、逆転防止手段Aは、走行中の操作指令Uが、停止状態の中立や低速回転状態の攪拌である場合には、操作指令Uを変更することなくドラム回転指令生成部32に出力する。
【0081】前記逆転防止手段Aは、前述の運転席の操作装置7によるドラム1の回転操作禁止における手順により解除可能であり、解除された場合には、操作判別部31からの操作指令Uが排出に選択されており、走行速度Vcが所定の極低速である場合のみを条件として操作指令Uを排出とするように作動する。
【0082】そして、前記逆転防止手段Aは、同様に前述の運転席の操作装置7によるドラム1の回転操作禁止における手順により解除されていない場合、操作指令Uに排出が選択されていない場合、走行速度Vcが所定の極低速を超える場合、のいずれの場合にあっても、その作動が有効となる。
【0083】なお、停車中においては、前記逆転防止手段Aは作動せず、いずれの操作装置7〜9によって、如何なる操作指令Uも阻止、および、変更されることなく、ドラム回転指令生成部32に出力する。
【0084】前記ドラム回転指令生成部32は、前記逆転防止部33から入力される操作指令信号Uに応じて記憶している回転数(攪拌回転数、投入回転数、排出回転数)や回転パターン(時間の経過と共に回転数が変化する)をドラム回転制御部34にドラム回転数指令Ndrとして出力する。
【0085】なお、記憶されている各種回転数や回転パターンは、スランプ値に応じて、もしくは、スランプ値を回転数や回転パターンを増減させるパラメータとして記憶されており、これらの各種回転数や回転パターンは、設定操作により任意に変更可能である。
【0086】前記ドラム回転数制御部34は、ドラム回転数指令生成部32よりのドラム回転数指令Ndrに基づき、ドラム1の回転数即ちドラム回転数Nmからドラム回転変換回路35を介しフィードバックされたドラム回転数Ndがドラム回転数指令Ndrになるよう制御する。
【0087】具体的には、ドラム回転数指令Ndrに基づき、必要エンジン回転数Ner、必要ポンプ容量Dpr、必要モータ容量Dmrを演算し、夫々スロットル調整装置10、可変容量ポンプ3の電磁弁13、可変容量モータ4の電磁弁15に出力し、エンジン回転数Ne、ポンプ容量Dp、モータ容量Dmを調整する。
【0088】例えば、ドラム回転が攪拌状態等の低速時にはモータ容量指令Dmrをモータ容量の低速側大容量に固定するよう調整し、また、ドラム回転が投入状態や排出状態の中速時にはモータ容量指令Dmrを中速側中容量に固定するよう調整し、そして、エンジン回転数指令Nerをポンプ容量指令Dprと協働してドラム回転数指令Ndrが達成されるように調整する(モータ4の容量が固定の場合にはエンジン2の回転数Neと可変容量ポンプ3のポンプ容量Dpを調整してドラム1の回転数が上記と同様に調整される)。
【0089】エンジン回転数指令Nerは、車両停止状態では、アイドリング状態が望ましく、微妙な調整はポンプ容量Dpの変更で行い、大きい変更はエンジン回転数Neで行われるのが妥当である。エンジン回転数Neが所定回転以上になる場合はモータ容量Dmの変更でなされるのがよい。
【0090】次に作動を説明する。
【0091】図1ないし図4において、ミキサ車のエンジン2の始動直後は、前回の作業終了時のドラム1の回転停止操作により回転設定スイッチ(回転設定ダイアル27、27a)22は中立位置にされ、可変容量ポンプ3の容量Dpは中立の零であり、ドラム1の回転は停止した中立状態にある。
【0092】オペレータが運転席の操作装置7、もしくは車外の操作装置8、9のいずれか(ここでは運転席の操作装置7とする)において、切換えスイッチ20の内蔵ランプランプ21がコントローラ6の表示信号D1により点灯した操作権のある状態(操作装置8、9の内蔵のランプ26、26aは消灯)で、回転設定スイッチ22を例えば攪拌位置等に操作すると、操作信号(回転設定信号)U1がコントローラ6の操作判別部31に入力され、操作判別部31は操作権のある操作装置7からの操作信号U1であることから操作信号U1に応じた操作指令Uを逆転防止部33に出力する。
【0093】逆転防止部33は、停車信号Ubもしくは車速信号Vcにより車両の停車中と判断した場合には、操作指令Uの種類を問わず変更することなくドラム回転指令生成部32に同じ操作指令Uを送信する。
【0094】そして、停車信号Ubもしくは車速信号Vcにより車両が走行中と判断した場合には、逆転防止手段Aが設定中か解除中かで動作が異なる。
【0095】逆転防止手段Aの設定中では、走行中は走行速度の如何に関らず、操作指令Uが排出の場合には中立に、投入の場合には攪拌に、中立および攪拌の場合にそのままの、操作指令Uに変更してドラム回転生成部32に出力する。
【0096】逆転防止手段Aが解除中では、走行速度信号Vcが極低速に場合であり、しかも、操作装置7〜9の回転設定位置に排出が選択されて操作指令Uが排出となっている場合のみ、ドラム回転指令生成部32へ出力する操作指令Uを排出とし、この条件を満たさない場合には、逆転防止手段Aが解除中でも、その逆転防止手段Aの作動を有効として前述の操作指令Uをドラム回転指令生成部32へ出力する。
【0097】ドラム回転指令生成部32は記憶されているドラム回転数指令Ndrの中から操作指令Uに応じたドラム回転数指令Ndrを抽出してドラム回転制御部34に出力する。
【0098】ドラム回転数制御回路34は、前述したごとく、ドラム回転数指令Ndrに、ドラム回転数Ndが一致するよう、エンジン回転数Ner、ポンプ容量指令Dpr、モータ容量指令Dmr、を計算し、夫々、スロットル調整装置10、可変容量ポンプ3、可変容量モータ4へ出力する。
【0099】そして、スロットル調整装置10は、エンジン回転数指令Nerに従ってエンジン回転数Neを調整し、可変容量ポンプ3は、エンジン回転数Neとポンプ容量指令Dprに応じて吐出する流量Qが調整され、可変容量モータ4は、流量Qとモータ容量指令信号Dmrに応じてモータ回転数Nmが調整される。
【0100】さらに、モータ回転数Nmは、減速機5よりドラム回転数Ndに変換され、最終的にドラム回転数Ndが調整されることにより、ドラム回転数Ndが自動的に操作装置7の回転設定スイッチ22の回転設定信号(攪拌位置)に対応して変化し、運転席の操作装置7にコントローラ6の操作判別部31からの表示信号D1によりドラム回転状態表示ランプ23の攪拌位置のランプが点灯して攪拌状態であることを表示する。
【0101】次に、図5のフローチャートを参照しながら逆転防止部33の作動について説明する。図5において、ステップ3〜5は逆転防止手段Aの設定中の作動であり、ステップ6〜9が逆転防止手段Aの解除中の作動である。
【0102】先ず、運搬から生コン排出作業へ移行する場合や建設現場から帰還して再び積込み作業へ移行する際等では、ミキサ車を停車させるためパーキングブレーキレバー17を操作すると停車検出スイッチ18が作動して停車信号Ubを出力するため、コントローラ6の逆転防止部33はステップ1でNO(停車中)と判断する。
【0103】この停車中においては、操作装置7〜9での操作と全てのドラム1の回転設定信号に基づく操作指令Uのドラム回転指令生成部32への出力が許容される。
【0104】また、生コン運搬の一連の作業において、生コンの投入による積込み作業から運搬走行へ、または、生コンを建設現場で排出終了から帰る際などは、オペレータがミキサ車を走行させるためにパーキングブレーキレバー17を解除操作すると、停車検出スイッチ18は停車信号Ubの出力がOFFされ、コントローラ6の逆転防止部33はステップ1で走行中と判断し、ステップ2に進み、パーキングブレーキレバー17が開放された直後か否かが判定される。
【0105】ステップ2では、パーキングブレーキレバー17が開放された直後であるためステップ3に進み、操作判別部31からの操作指令Uが「中立または排出」であるか否かが判定され、操作指令Uが「中立または排出」である場合にはステップ4に進み、操作指令Uが「中立または排出」でない場合にはステップ5に進む。
【0106】ステップ4では、操作指令Uをドラム停止状態の中立として出力し、ステップ5では、操作指令Uをドラム低速回転の攪拌として出力する。
【0107】従って、走行中におけるドラム回転状態は、停止状態か攪拌状態に固定される。
【0108】また、前記ステップ2でパーキングブレーキレバー17を解除して停車信号Ubの出力が停止されてからの時間が所定時間以上経過した場合には、ステップ6に進み、逆転防止手段Aが解除されているか否かが判断される。この所定時間は逆転防止手段Aの後述する設定/解除操作を行うのに必要充分な時間が設定される。
【0109】前記ステップ6で逆転防止手段Aが設定中の場合にはステップ3に進み前述の逆転防止手段Aが作動される。
【0110】前記ステップ6で逆転防止手段Aが解除されているとステップ7に進み、操作判別部31からの操作指令Uが排出か否かが判断される。操作指令Uが排出以外の中立、攪拌、投入である場合には、ステップ3以降の逆転防止手段Aが作動され、操作指令Uが排出である場合のみステップ8に進む。
【0111】ステップ8では、車速検出スイッチ19よりの車速信号Vcが所定車速以下か否かが判断され、所定車速を超えている場合にはステップ3に進み、前述の逆転防止手段Aが作動され、所定車速以下の微速状態の場合のみステップ9に進み、ステップ9でドラム回転指令生成部32へ出力する操作指令Uを排出とする。
【0112】従って、オペレータはドラム1の回転が排出の逆転状態となったミキサ車を微速前進させながら、ミキサ車を進路に沿って延びる側溝工事場所等へ連続して生コンを排出しながら走行させることができる。
【0113】前記作動において、ステップ2のパーキングブレーキレバー17が解除された直後か否かにより、逆転防止手段Aが作動するステップ3へ進むか、逆転防止手段Aが解除されているか否かを判断するステップ6へ進むかを選択するようにしているが、このステップ2とステップ6とを一体のステップとして図示したステップ2の部分に配置して、ステップ2で逆転防止手段Aが設定されているか否かを判断するようにしてもよい。
【0114】この場合には、ステップ2で逆転防止手段Aの設定/解除が判断され、設定中であればステップ3に進み、解除中であればステップ7へ進むことになる。
【0115】前記逆転防止手段Aの設定/解除について、以下に図6および図7のフローチャートを用いて説明する。
【0116】図6は、逆転防止手段Aの設定/解除操作の手順を示すフローチャートであり、図7は逆転防止手段Aの設定/解除操作の手順に従い、操作判別部31で実行される逆転防止手段Aの設定/解除操作を判別する処理のフローチャートを示す。
【0117】図6において、まず、手順1のステップ10〜12の操作にてドラム1の回転操作を禁止するものであり、この回転操作の禁止状態において、手順2のステップ20〜24の操作により逆転防止手段Aの設定/解除を選択操作し、手順3のステップ35によりドラム1の回転操作の禁止状態を解除してドラム1の回転操作を可能状態とすることで行われる。
【0118】前記手順1は、運転席の操作装置7に操作権がある状態か否かを、運転席の操作装置7の切換スイッチ20に内蔵のランプ21を点灯しているか否かにより確認し(ステップ10)、運転席の操作装置7に操作権がなく内蔵のランプ21が消灯している場合には、切換スイッチ20を押して運転席の操作装置7へ操作権を獲得させ、切換スイッチ20に内蔵のランプ21を点灯させる(ステップ11)。
【0119】次いで、前記切換スイッチ20に内蔵のランプ21が(ステップ10、11により)点灯している状態において、切換スイッチ20を押すことでドラム回転操作の禁止状態とし、内蔵のランプ21の消灯によりこれを確認する(ステップ12)。
【0120】前記手順2は、逆転防止手段Aの設定/解除のいずれかを選択するか確認するステップ20と、逆転防止手段Aを解除するステップ21、22の操作および確認と、逆転防止手段Aを設定するステップ23、24の操作とから構成される。
【0121】前記ステップ20の確認の結果、逆転防止手段Aを解除する場合には、(ドラム回転スイッチ22をDOWN側に押下げる)操作を行い(ステップ21)、この操作の結果ドラム回転状態表示手段23の排出ランプが点滅するかどうかを確認する(ステップ22)。排出ランプが点滅しない場合にはステップ21の再操作を行い前記排出ランプが点滅するのを確認する。
【0122】他方、前記ステップ20の確認の結果、逆転防止手段Aを設定する場合には、(ドラム回転スイッチ22をUP側に押上げる)操作を行い(ステップ23)、この操作によりドラム回転状態表示手段23の排出ランプを消灯させる(ステップ24)。
【0123】前記手順3は、前記ドラム回転の禁止状態を解除するものであり、内蔵のランプ21が消灯状態(ドラム回転の禁止状態)において運転席の操作装置7の切換スイッチ20を押すことで内蔵のランプ21を点灯させ(ステップ35)、これにより運転席の操作装置7に操作権があると共にドラム1の回転操作が可能なことを表示させる。
【0124】以上の操作により、逆転防止手段Aの設定/解除がなされるのであるが、これら手順は、コントローラ6の操作判別部31による図7のフローチャートにより判別される。
【0125】図7において、ステップ14〜19は前記手順1の判別フローチャート、ステップ25〜31は前記手順2の判別フローチャート、ステップ36〜39は前記手順3の判別フローチャートを夫々示す。
【0126】先ず、ステップ13において前記手順1のドラム回転禁止中か否かが判断され、ドラム回転禁止中でない場合にはステップ14に進み、運転席の操作装置7の切換スイッチ20が押されたか否かが判断される。
【0127】前記切換スイッチ20が押されない場合とは、車外の操作装置8、9へ操作権が設定されていて運転席の操作装置7に操作権を切換えない場合であり、また、運転席の操作装置7に操作権が設定されていても逆転防止手段Aの設定/解除を行わない場合であり、処理は終了する。
【0128】前記運転席の操作装置7の切換スイッチ20が押された場合には、前記ステップ14からステップ15に進み、切換スイッチ20が押されたのは一回目の車外の操作装置8、9から運転席の操作装置7に操作権を切換える場合か、もしくは、二回目の操作権が運転席の操作装置7にあり切換スイッチ20に内蔵のランプ21が点灯中に押されたのかを判断する。
【0129】前記ステップ15で車外の操作装置8、9に操作権があると判断された場合には、運転席の操作装置7の切換スイッチ20が押されたのが一回目と判断し、ステップ16で運転席の操作装置7に操作権を切換えて設定し、ステップ17で運転席の操作装置7の切換スイッチ20に内蔵のランプ21を点灯させる。
【0130】前記ステップ15で運転席の操作装置7に操作権がある、即ち、運転席の操作装置7の切換スイッチ20に内蔵のランプ21の点灯中に切換スイッチ20が押された、即ち、切換スイッチ20が押されたのが二回目と判断した場合にはステップ18に進み、ステップ19で切換スイッチ20に内蔵のランプ21を消灯させ、ドラム回転操作を禁止状態としたことをオペレータに確認させる。
【0131】前記ステップ13でドラム回転操作の禁止中と判断された場合にはステップ36に進み、ドラム回転禁止中の状態を解除するか否かを、切換スイッチ20が押されたか否かで判断し、切換スイッチ20が押されていない場合はステップ25に進み、運転席の操作装置7の回転設定スイッチ22が操作されたかどうかが判断される。
【0132】ステップ25で回転設定スイッチ22が操作されたと判断された場合には、ステップ26で所定時間連続してDOWN方向に押下げられたと判断した場合にはステップ28に進み、ステップ26で所定時間に満たないDOWN方向への押下げ、および、UP方向への押上げの場合にはステップ27に進み、UP方向への押上げの場合にはステップ30へ進む。
【0133】前記ステップ28では逆転防止手段Aが解除され、ステップ29で運転席の操作装置7のドラム回転状態表示手段23の排出ランプを点滅させて、逆転防止手段Aが解除されていることを警告する。
【0134】前記ステップ30では逆転防止手段Aが設定され、ステップ31で運転席の操作装置7のドラム回転状態表示手段23の排出ランプを消灯させることで、逆転防止手段Aが設定されていることを表示する。
【0135】なお、前記ステップ25で回転設定スイッチ22が操作されない場合、および、ステップ27で所定時間に満たないDOWN方向への押下げと判断した場合には、ステップ36の切換スイッチ20が押されたと判断されるまで、次回以降においてステップ25〜27の処理を継続させる。
【0136】前記ステップ36でドラム回転禁止中に切換スイッチ20が押されたと判断された場合には、ステップ37に進みドラム1の回転操作を可能な状態とし、ステップ38でドラム1の回転操作を可能な状態であることを切換スイッチ20に内蔵のランプ21を点灯させることで表示する。
【0137】なお、前記ステップ28、29での逆転防止手段Aの解除、および、ステップ30、31での逆転防止手段Aの設定は、いずれかを一方のみが選択でき、一方を選択するとき他方が解除され、他方を選択するとき一方が解除される二律背反な関係となっている。
【0138】上記実施の態様において、逆転防止手段Aの設定/解除の操作時に操作権を運転席の操作装置7に切換えるようにしているが、コントローラ6の操作判別部31が逆転防止部33からパーキングブレーキ装置17の停車検出スイッチ18からの停車信号Ubを受けて、コントローラ6の操作判別部31において、走行中に操作権を与える操作装置を特定するとさらによい。
【0139】即ち、車両の停車中は、全ての操作装置7〜9のうち操作権を要求した操作装置7〜9のいずれかに操作権を切換えて付与するようにし、車両の走行中は、運転席の操作装置7のみに操作権を付与するようにする。
【0140】このように構成すれば、走行中においては、運転席の操作装置7のみから操作信号U1がコントローラ6の操作判別部31に入力され、車外の操作装置8、9が立木等で回転設定手段27、27aの設定位置が変化しても、何らコントローラには入力されず、より精度のよい制御が可能であり、逆転防止手段Aにおいても操作指令Uがいずれの操作装置から発せられたのか判断する必要がなくなる。
【0141】また、上記実施の態様において、逆転防止手段Aの設定/解除の操作は、ドラム回転操作の禁止状態にした後、運転席の操作装置7の回転設定スイッチ22により行うが、逆転防止手段Aの設定/解除の操作はこれに限定されるものでなく、例えば、運転席の操作装置7に逆転防止手段Aの解除ボタンを設け、この解除ボタンのON/OFF操作することでもよく、また、通常のドラム回転操作では用いられない操作、例えば、運転席の操作装置7の切換えスイッチを所定時間継続して押す等で逆転防止手段Aの解除をするようにしてもよい。
【0142】本実施態様にあっては、逆転防止手段Aにより車両走行時にはミキサドラム1の逆転方向への回転が阻止されるため、生コンを路上に撒き散らすことを安全に回避できる。
【0143】また、逆転防止手段Aは、車両走行中は操作装置7の回転設定信号をドラム正転方向の所定回転数以下の回転状態または回転停止状態に変更するものであるため、操作装置7の回転設定手段22の操作位置が、例えば、逆転回転の排出や高速回転の投入となっていても攪拌や中立に変更され、一層安全に車両を走行させることができる。
【0144】従って、操作装置7の回転設定手段22の操作位置が誤ってドラム逆転の排出位置となっていても、また、走行中に誤って操作装置7の回転設定手段22を操作して排出としても、その出力が走行中は阻止されるため、オペレータは操作装置7の回転設定手段22の操作位置を考慮することなく車両の走行を開始でき、車両の運転操作に集中できる。
【0145】また、逆転防止手段Aは解除でき、長く連続した場所に排出する場合でも、それに沿って車両を所定値以下の走行速度で走行させながら連続排出することで、道路の側溝工事等にも対応させることができる。
【0146】しかも、逆転防止手段Aの解除状態であっても、車両の走行速度が所定値を越えた場合には、逆転防止手段Aが設定されている場合と同様に、ミキサドラム1の逆転方向の回転を阻止するため、操作装置7の回転設定手段22の操作位置を排出から攪拌または中立に変更することを忘れても走行速度が所定値を超えたときでも安全に車両を運転できる。
【0147】また、逆転防止手段Aの解除中であっても、微速走行中のドラム逆転は、操作装置7の回転設定信号が排出に設定されない場合には、ドラム1回転を排出とせず、オペレータが操作装置の回転設定信号を排出としている場合のみドラム回転を排出とし、オペレータが意図したドラム回転を得ることができる。
【0148】前記逆転防止手段Aの解除が運転席の操作装置7の所定の操作に限定されているため、オペレータの操作装置7による逆転防止手段Aの解除と車両の走行装置を操作しての車両走行とが、前後して実行され、オペレータは移動することなく作業が行える。
【0149】しかも、ドラムの回転操作の操作権を運転席の操作装置7に設定した状態でのみ逆転防止手段Aの解除が可能とすると、例えば、車外の操作装置8、9が道路脇樹木等に接触して回転設定手段27、27aの操作位置が変化したとしても、その回転設定手段27、27aの操作位置はコントローラ6に受付けられることがなく、意図しないドラム1の逆転を防止できる。
【0150】また、逆転防止手段Aの解除状態がドラム回転状態表示手段23の排出表示部の点滅により表示されるため、逆転防止手段Aが解除されていることを車両を発進しようとするオペレータに効果的に警報できる。
【0151】さらに、車両の走行中や停車中の検出を車両のパーキングブレーキ装置17の作動状態により検出するため、オペレータの車両の操作意思を反映しており、確実に停車中および走行中を判別できる。
【0152】さらに、車両走行中はパーキングブレーキ装置17の停車検出スイッチ18からの停車信号Ubがないことで走行中と判断して運転席の操作装置7のみによりドラム回転の操作を行うように設定しているため、例えば、車外の操作装置8、9が道路脇樹木等に接触して回転設定手段27、27aの操作位置が変化したとしても、その回転設定手段27、27aの操作位置はコントローラ6に受付けられることがなく、意図しないドラム逆転を確実に防止できる。
【0153】なお、上記実施形態において、逆転防止手段Aは、操作装置7のドラム回転禁止中における設定/解除操作により設定/解除されると記載しているが、これを解除操作のみ可能とすると共に例えば車両走行速度が所定値を超えたとき、逆転防止手段Aの解除状態がリセットされるようにして、再び、逆転防止手段Aを解除する場合には、その都度、解除操作を行うようにしてもよい。この場合には、逆転防止手段Aの設定操作が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すミキサドラムの駆動システムの構成図。
【図2】運転席の操作装置の具体例を示すレイアウト図。
【図3】車外の操作装置の具体例を示すレイアウト図。
【図4】コントローラのブロック図。
【図5】逆転防止部の作動を示すフローチャート。
【図6】逆転防止装置の設定/解除操作の手順を示すフローチャート。
【図7】逆転防止装置の設定/解除操作を判別するフローチャート。
【符号の説明】
A 逆転防止手段
1 ドラム
2 エンジン
3 可変容量ポンプ
4 可変容量モータ
5 減速機
6 コントローラ
7、8、9 操作装置
10 スロットル調整装置
11 スロットル
12,16 回転数検出センサ
13,15 電磁弁
14 容量検出センサ
17 パーキングブレーキ装置
18 停車検出スイッチ
19 車速検出センサ
20、25、25a 切換えスイッチ
21、26、26a ランプ(表示手段)
22 回転設定スイッチ
23 ドラム回転状態表示ランプ
27、27a 回転設定ダイアル
31 操作判別部(操作判別手段)
32 ドラム回転指令生成部(ドラム回転指令生成手段)
33 逆転防止部
34 ドラム回転制御部(ドラム回転制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に回転可能に搭載されたミキサドラムと、前記ミキサドラムを正、逆転および増、減速回転させる吐出容量が調整可能な可変容量ポンプおよびモータからなる駆動装置と、駆動装置を増、減速回転するための走行用エンジン駆動装置と、前記ミキサドラムの回転設定手段を備えた操作装置と、前記操作装置の回転設定手段の設定信号に応じて前記駆動装置のポンプ容量およびエンジン駆動装置の回転状態を調整しミキサドラムの回転状態を制御する手段、および、車両走行中におけるミキサドラムの逆転方向への回転を阻止する逆転防止手段を備えたコントローラとから構成したことを特徴とするミキサドラム駆動制御装置。
【請求項2】 前記逆転防止手段は、車両停車中は回転設定手段から制御手段への回転設定信号を変更することなく伝達し、車両走行中は回転設定信号をドラム正転方向の所定回転数以下の回転状態または回転停止状態に変更するものであることを特徴とする請求項1に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項3】 前記逆転防止手段は、操作装置の所定の操作により、車両の走行速度が所定値以下の場合に、ドラム回転を排出とすることを許容するよう解除されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項4】 前記逆転防止手段の解除状態では、操作装置の回転設定信号が排出でない場合には、ミキサドラムの逆転方向の回転を阻止するものであることを特徴とする請求項3に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項5】 前記操作装置は、運転席および車外に夫々配置され、前記逆転防止手段の解除は運転席の操作装置の所定の操作によってのみ実行されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項6】 前記操作装置は、運転席および車外に夫々配置され、操作しようとする操作装置にドラムの回転操作の操作権がコントローラから設定され、前記逆転防止手段は、ドラムの回転操作の操作権を運転席の操作装置に設定した状態でのみその解除が可能となることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項7】 前記運転席の操作装置には、ドラム回転状態を表示するドラム回転状態表示手段を備え、前記逆転防止手段の解除状態は、前記ドラム回転状態表示手段の排出表示部分の点滅により表示されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項8】 前記車両走行中および停車中の検出は、車両に設けたパーキングブレーキ装置の作動状態により検出するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項9】 前記車両走行中の所定速度は、車両速度を検出する車速信号の所定値もしくはエンジン回転数の所定値により検出されるものであることを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれか一つに記載のミキサドラム駆動制御装置。
【請求項10】 前記コントローラは、パーキングブレーキ装置よりの停車信号があるとき、運転席の操作装置のみに操作権を設定することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一つに記載のミキサドラム駆動制御装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−172973(P2002−172973A)
【公開日】平成14年6月18日(2002.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−370423(P2000−370423)
【出願日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】