説明

ミストシャワー装置

【課題】噴霧部を任意の高さに動かせて、ミストを身体の当てたい所に直近から集中的に当てることのできるミストシャワー装置を提供する。
【解決手段】壁面に固定されたベース部2と、棒状の導水路3と、噴霧部4で構成され、噴霧部4には、その前面に霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させる複数の噴霧ノズル5,5,5が設けられているとともに、導水路3の上流側は、ベース部2に対し上下回動可能に接続され、導水路3の下流側は、噴霧部4に対し上下回動可能に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させることのできるノズルを備えたミストシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、アームの先端部にシャワーヘッドを備え、アームが複数に分割されて、複数のアーム同士を相対屈曲可能に連結した構造のシャワー装置が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、前面に縦横に複数のノズルが設けられ、レバーで複数のノズルを上下回動させて、上向きにミストを噴出させたり、下向きにミストを噴出させるように構成したミストシャワー装置が存在する。
【特許文献1】実用新案登録第2500953号公報
【特許文献2】特開2003−79527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている構造では、アームには1個のシャワーヘッドが保持されているのみであるため、広い面でミストを噴出させることはできないものであり、入浴者の身体に広い範囲で集中的にミストを当てるためには、複数のシャワー装置を設けねばならず、しかも、複数のシャワーヘッドの高さを変えるには複数のアームをそれぞれ動かす必要があり、使いにくいものとなるという問題点があった。
【0004】
また、上記特許文献2に開示されている構造では、ノズルの高さ位置を変えることはできないものであるため、下から上向きにミストを噴霧すると入浴者の顔に当たってしまい、肩などに良好にミストを当てることが困難であり、また、ノズルと身体の間の距離が遠くなりやすく、噴霧されたミストが身体に到達するまでに冷めやすく、しかもマッサージ効果が低下してしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、1つの動作で複数のノズルの高さを変えて広い面でミストを噴出させることができ、しかも、ミストを身体に近づけた位置で噴霧させることのできるミストシャワー装置を提供せんとするものであり、その請求項1は、壁面に固定されたベース部と、棒状の導水路と、噴霧部で構成され、前記噴霧部にはその前面に霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させる複数の噴霧ノズルが設けられているとともに、前記導水路の上流側は前記ベース部に対し上下回動可能に接続され、前記導水路の下流側は前記噴霧部に対し上下回動可能に接続されていることである。
【0006】
また、請求項2は、前記請求項1に記載のミストシャワー装置が上半身用と下半身用に上下に2体設けられていることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のミストシャワー装置は、壁面に固定されたベース部と、棒状の導水路と、噴霧部で構成され、前記噴霧部にはその前面に霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させる複数の噴霧ノズルが設けられているとともに、前記導水路の上流側は前記ベース部に対し上下回動可能に接続され、前記導水路の下流側は前記噴霧部に対し上下回動可能に接続されていることにより、ベース部に対し導水路を上下動させて高さを容易に変えることができ、さらに、導水路の先端で噴霧部を上下方向に適宜回動させて角度を自由に変えることができ、噴霧部を任意の高さ及び角度に動かすことができて、ミストを身体の当てたい所に直近から集中的に当てることができるものとなる。
【0008】
また、前記請求項1に記載のミストシャワー装置が上半身用と下半身用に上下に2体設けられていることにより、上半身用のミストシャワー装置で、背中から肩あたりに集中的にミストを当てることができ、また、下半身用のミストシャワー装置で、腰から足の部分に集中的にミストを当てることができ、立った状態でも、座った状態でも、ミストを身体に当てたい所に直近から集中的に当てることができるものとなる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室あるいはシャワールームの壁面Wに、上下に間隔をおいて上半身用の上ミストシャワー装置1Aと下半身用の下ミストシャワー装置1Bを設けた斜視構成図であり、上ミストシャワー装置1Aと下ミストシャワー装置1Bは同一のものであるため、上ミストシャワー装置1Aを図2の側面図で示し説明する。
ミストシャワー装置1Aは、壁面Wに固定されたベース部2と、このベース部2に対し上下回動可能に連結されて棒状に延びる導水路3と、導水路3の先端に上下回動可能に接続されたパネル状の噴霧部4を備えており、噴霧部4の前面には縦横方向に間隔をおいて複数の噴霧ノズル5が設けられ、各噴霧ノズル5から霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させることができるように構成されている。
【0010】
図4の要部破断平面構成図で示すように、ベース部2の側面の軸受部2aに軸7が回動可能に挿通され、軸7は導水路3の上流端側に接続されており、軸7はベース部2内においてワンウェイクラッチ8に接続されている。
ワンウェイクラッチ8は、上方側へ軸7が回転される時には、固定部9に対し自由に回転し、軸7が下方側へ回転する時には摩擦力を生じさせて、導水路3及び噴霧部4が自重で下方へ動かないようにするものである。
また、噴霧部4の裏側に設けられた接続部4aは、導水路3の下流端側で左右側の軸10a,10bにより上下方向に回動可能に連結されており、この軸10a,10bは、摩擦力で噴霧部4を任意の角度位置に静止させることができるものである。
【0011】
ベース部2の側面にはハンドル6が設けられており、このハンドル6は、図3の配管図で示すように、ベース部2内に設けられた混合部11に連結されており、外側の温調ハンドル部6aを回すことにより、混合部11における湯水の混合量が調整されて適温の湯が生成されるものであり、また、内側の流量・止水ハンドル部6bを回すことにより、流量を調整し、また止水させることができるものである。
混合部11には、ベース部2内において給湯管12と給水管13がそれぞれ別方向から接続されており、給湯管12の上流側には壁面W側に湯側止水栓12aが接続されており、また、給水管13の壁面W側にも水側止水栓13aが接続されている。
【0012】
温調ハンドル部6aを調整することで、給水管13からの水と給湯管12からの湯が混合部11で適量に混合されて温水が生成され、生成された温水は混合部11に接続された温水管14を通り流され、この温水管14は、ベース部2から導水路3内を通って噴霧部4内の分岐管15に連通接続されており、噴霧部4内の分岐管15で左右側に温水が分岐されて、分岐管15の左右に略平行状に設けられているそれぞれのノズル管16a,16bに温水が供給され、各ノズル管16a,16bには、本例ではそれぞれ3個の噴出口17,17,17が形成されており、各噴出口17には、その前面側にそれぞれ噴霧ノズル5が接続される。
【0013】
このような構成においては、回転軸が上下2個所に存在し、ベース部2に対する導水路3の高さ及び角度を自由に調整でき、さらに導水路3に対する噴霧部4の角度も自由に変えることができるものであり、噴霧部4を任意の高さに動かせて、噴霧ノズル5を身体の当てたい所に極めて近づけることができて、複数の噴霧ノズル5から身体の当てたい所にミストを集中的に当てることができ、マッサージ効果も得られるものとなる。
【0014】
なお、図5および図6は、立った状態で上ミストシャワー装置1Aと下ミストシャワー装置1Bを使用している使用状態の一例を示すものであり、図5では、壁面W側に背中を向けて上ミストシャワー装置1Aの噴霧部4を肩の裏側あたりに配置させて、斜め上方より肩にミストを噴霧させており、また、下ミストシャワー装置1Bの噴霧部4を尻の部分に配置させてミストを噴霧させて使用している状態である。
【0015】
この状態から身体を壁面W側に反転させると、上ミストシャワー装置1Aの噴霧部4の噴霧ノズル5から噴出されるミストが顔に当たってしまうため、図6に示すように、上ミストシャワー装置1Aの噴霧部4を下向きにして、良好に胸にミストを噴出させることができるものとなる。
【0016】
また、図7および図8は、座った状態で使用している状態図であり、図7では、壁側に向いて座り、上ミストシャワー装置1Aの噴霧部4からのミストを胸に当て、また、下ミストシャワー装置1Bの噴霧部4からのミストを膝あたりに当てて使用している状態であり、図8は、壁面Wに背を向けて座り、上ミストシャワー装置1Aの噴霧部4を肩の上あたりに配置し、ミストを肩に直接当てており、また、下ミストシャワー装置1Bの噴霧部4を背中の腰上あたりに配置させて、腰にミストを噴霧させて使用している状態である。
【0017】
このように立った状態でも、座った状態でも、身体の当てたい部分に良好にミストを直近から集中的に当てることができ、適温のミストが身体に当たり、また良好なマッサージ効果が得られるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】上半身用と下半身用のそれぞれのミストシャワー装置を壁面に設置した状態の斜視構成図である。
【図2】上半身用のミストシャワー装置の拡大側面構成図である。
【図3】ミスト装置内の配管概略構成図である。
【図4】回動機構の要部を示す破断平面構成図である。
【図5】立った状態で壁に背を向けてミストシャワー装置を使用している使用状態図である。
【図6】立った状態で壁側に向いた状態でミストシャワー装置を使用している使用状態図である。
【図7】座った状態で壁側を向いてミストシャワー装置を使用している使用状態図である。
【図8】座った状態で壁に背を向けてミストシャワー装置を使用している使用状態図である。
【符号の説明】
【0019】
1A 上ミストシャワー装置
1B 下ミストシャワー装置
2 ベース部
2a 軸受部
3 導水路
4 噴霧部
4a 接続部
5 噴霧ノズル
6 ハンドル
6a 温調ハンドル部
6b 流量・止水ハンドル部
7 軸
8 ワンウェイクラッチ
10a,10b 軸
11 混合部
12 給湯管
13 給水管
14 温水管
15 分岐管
16a,16b ノズル管
17 噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定されたベース部と、棒状の導水路と、噴霧部で構成され、
前記噴霧部には、その前面に霧状ないし微細噴霧状にミストを噴出させる複数の噴霧ノズルが設けられているとともに、
前記導水路の上流側は前記ベース部に対し上下回動可能に接続され、前記導水路の下流側は前記噴霧部に対し上下回動可能に接続されていることを特徴とするミストシャワー装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載のミストシャワー装置が上半身用と下半身用に上下に2体設けられているミストシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−330639(P2007−330639A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168163(P2006−168163)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】