説明

ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質

本発明は、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質と呼ばれる、ミセルカゼインの酸性化及び沈殿カゼインからの分離によって得られるミルク画分に関する。前記ミルク画分及び特にそれらのある種の亜画分は、生物活性を有し、in vitroにおいてGLP−1遊離を促進することが発見された。これらの結果に基づいて、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、II型糖尿病、肥満の治療及び予防に有用であり得、胃腸管に対するその他の目的で調製乳にさらに添加しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質を得る方法、該蛋白質の画分、薬剤として使用するための該蛋白質及び薬剤又は消耗品の製造における該蛋白質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、世界中で最も蔓延している疾患の1つである。糖尿病には、主に2種類の型、I型とII型がある。I型糖尿病患者の特徴は、インシュリン分泌型膵臓ベータ細胞の自己免疫破壊である。糖尿病患者全体の90〜95%に相当するII型糖尿病患者の特徴は、(主に、肝臓及び筋肉の)末梢組織におけるインシュリン耐性の発生及び不適切なインシュリン分泌能である。
【0003】
II型糖尿病の患者は、重篤な長期合併症を起こす危険性が高い。これらは本質的には心臓血管疾患であるが、網膜障害、腎障害及び神経障害もある。
【0004】
II型糖尿病の実際の治療には、まだ産生されているインシュリンの量に応じて、単独又はインシュリンと組み合わせて使用することができる数種類の薬剤が含まれる(例えば、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン)。最終的に、インシュリンがそれ以上産生されないときは、薬剤による治療の代わりにインシュリンの単独注射を行ってよい。
【0005】
インシュリンの生合成及びプロインシュリンの遺伝子発現は、腸内分泌細胞にほぼ限られて発現するグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)によって誘発される。この分泌促進ホルモンの重要な役割は、文書を本明細書に参照として援用した「グルカゴン様ペプチド−1、膵臓b細胞機能の主要な調節物質(Glucagone−like peptide−1:a major regulator of pancreatic b−cell function)」R.Perfetti and P.Merkel、European Journal of Endocrinology(2000)、143、717〜725に十分に要約されている。
【0006】
例えば、GLP−1を静脈内投与後、II型糖尿病のインシュリン分泌応答は正常な患者の応答まで回復したことが示された。
【0007】
さらに、GLP−1は胃運動性、胃酸分泌、胃内容排出を阻害し、栄養素の酵素的分解及び吸収を遅延させる。これらの影響は、I型及びII型両方の糖尿病患者にたいてい保持されている。
【0008】
さらに、GLP−1は、満腹感に影響を及ぼし、食物摂取減少に関与するらしいことが示された。
【0009】
したがって、GLP−1は、糖尿病治療の理想的な候補であると考えられる。
【0010】
さらに、GLP−1の1分子が遊離すると、グルカゴン様ペプチド2(GLP−2)1分子もまた遊離する。哺乳動物のプログルカゴンの転写物、GLP−1及びGLP−2は、単一のmRNAから生じており、したがって消化管で一緒に分泌される。
【0011】
GLP−2は、胃の分泌及び胃運動性を阻害する。GLP−2による長期の治療は、少し記述するだけでも、組織質量及び粘膜の厚みの増大、腸細胞アポトーシスの減少など、腸に有益な栄養的効果を有する。GLP−1合成、分泌及び生物学的活性の大要は、「グルカゴン様ペプチド2(Glucagon−Like Peptide 2)」D.J.Drucker、The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism、2001、86、1759〜64によって掴むことができる。
【0012】
WO01/37850(Societe des Produits Nestle)において初めて、プログルカゴン遺伝子発現及びGLP−1分泌を測定するためのin vitro細胞モデルが記載された。該細胞系は、NCI−H716と称され、例えば、ATCC番号CCL−250として寄託されている。よって、ある種のミルク蛋白質加水分解物は、GLP−1分泌を刺激する。
【0013】
WO98/31329は、少なくとも1個の他の蛋白質構成物の存在下で、カゼインを選択的に加水分解する方法を記載している。このように得られた調製物は、糖尿病に関して有益であると述べられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、プログルカゴン由来ホルモンの分泌を刺激する1個又はいくつかの分子である。
【0015】
本発明の他の目的は、例えば、特定の食品源に天然に存在するがために栄養学的に安全と考えられる生物活性分子を発見することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、II型糖尿病を予防又は治療すること、血清中のグルコース濃度を制御すること、腸粘膜上皮の傷害及び/又は機能障害を特徴とする腸障害を治療又は予防すること、腸粘膜の厚さ及び表面領域を増大させること、及び/又は食欲及び食物摂取を減少させることである。
【0017】
本発明の目的はまた、ヒト及び哺乳動物におけるGLP−1及びGLP−2送達を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
驚くべきことに、通常ミセルカゼインと関連があるか、又は密接に相互作用するミルクの蛋白質画分は、GLP−1の分泌を刺激することができる。正に当該蛋白質画分は、完全なカゼイン又は酵素処理したカゼインを酸性条件に曝露することによって遊離することが可能である。この画分に含まれるいくつかの蛋白質は、いまだ特性決定されていない。
【0019】
したがって、第1の態様では、本発明は、
− ミセル又は酵素処理カゼイン及びホエイ蛋白質を分離する段階、
− ミセルカゼイン又は酵素処理カゼインをpH6未満に酸性化する段階、
− 酸可溶性蛋白質をカゼインから分離する段階、及び
− 酸可溶性蛋白質の様々な画分を分離する段階
を含む、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の画分を得る方法を提供する。
【0020】
第2の態様では、本発明は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって得ることができ、アセトニトリル26.4体積%から36体積%を含む移動相によって疎水性固定相から溶出することを特徴とする、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の亜画分を提供する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって得ることができ、アセトニトリル43.2体積%から46.4体積%を含む移動相によって疎水性固定相から溶出することを特徴とする、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の亜画分を提供する。
【0022】
第4の態様では、本発明は、医薬品として、又はヒト若しくは動物の体の予防的若しくは治療的処置として使用するミセルカゼインの酸可溶性蛋白質を提供する。
【0023】
第5の態様では、本発明は、インシュリン分泌及び/又はプロインシュリン遺伝子発現を増強する消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0024】
第6の態様では、本発明は、I型及び/又はII型糖尿病の予防又は治療のための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0025】
第7の態様では、本発明は、GLP−1及び/又はGLP−2の分泌の増加及び/又は血中グルコース濃度の制御のための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0026】
他の態様では、本発明は、胃内容排出及び胃酸分泌を減少させるための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0027】
さらに他の態様では、本発明は、食欲を制御し、食物摂取を減少させ、且つ/又は満腹感を高めるための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0028】
他の態様では、本発明は、本発明による任意の蛋白質画分又は亜画分を含む消耗品を提供する。
【0029】
他の態様では、本発明は、傷害又は機能障害を特徴とする腸障害を治療するため、且つ/或いは腸粘膜の厚さ及び/又は表面領域を増大するための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用を提供する。
【0030】
本発明の利点は、GLP−1の分泌を刺激することができる天然に生じる活性成分を提供することである。
【0031】
本発明の他の利点は、問題とする蛋白質画分が容易に単離され、十分な量でいかなる食品にも供給することができることである。
【0032】
本発明の他の利点は、I型及び/又はII型の糖尿病、クローン病、短小腸症候群の治療又は予防、血中グルコース濃度の制御、及び/又は満腹感の増強及び食物摂取の減少に有用であり得る栄養的に安全な成分を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
この明細書の場合は、「含む」という用語は「とりわけ、〜を含む」という意味である。「のみから構成する」と解釈されるものではない。
【0034】
本発明の文脈において、消耗品という用語は、栄養学的に完全な、又は補助的ないかなる消耗品も包含するものとする。したがって、該組成物は、ヒト、ペット、例えば、ネコ及びイヌ、及び/又はその他の動物によって消費されることができる。バー、スナック、栄養調製乳、例えば、液体又は粉末及び再構成可能な調製乳、幼児用又は乳児用調製乳、アイスクリーム、乳製品、菓子製品であってよく、場合によって、他の食品、例えば、前記に挙げたものに添加することが可能な補助物又は医薬品であってよい。液体製品であってもよい。
【0035】
例えば、該食品が栄養調製乳の場合、専用調製乳又は補助調製乳であってよい。専用調製乳は通常、成人では1.8Lから2.2Lの量で、幼児では0.6Lから1.4Lの量で消費される。
【0036】
該調製乳を補助的に使用する場合、1日の量は、例えば、専用調製乳の量の約1/8から約1/2である。
【0037】
しかし、本発明による消耗品は、いかなる製品にも制限されない。食品自体、又は任意の食品の成分若しくは構成要素であってよい。
【0038】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の方法に関しては、ホエイ蛋白質からの天然カゼイン又はミセルカゼインの分離、或いはホエイ蛋白質からの酵素処理カゼインの分離は、例えば、超遠心又は精密濾過などの多くの方法で実施することができる。ホエイ蛋白質はまた、例えば、疎水性特性によって、特定のホエイ蛋白質を選択的に除去することによってカゼインから分離することができる。
【0039】
ミセルカゼイン又は酵素処理カゼインの酸性化は、pHを6未満、好ましくは5未満、より好ましくは4.8未満、例えば、4.6に調節することによって行われる。食品等級であれば、任意の酸、例えば、HCl、酢酸などの任意の酸が適し得る。
【0040】
ミセルカゼインからの酸可溶性カゼインの分離はまた、超遠心、濾過、傾瀉及びその他の適切な任意の方法によって実施することができる。
【0041】
酸可溶性蛋白質の様々な亜画分の分離は、疎水性特性によって、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、疎水性相互作用液体クロマトグラフィー(HI−HPLC)及び同様の原理に基づいた方法によって実施することができる。その他の方法、例えば、異なる画分の大きさ又は電荷特性を利用した分離などはまた、適している可能性がある。
【0042】
本発明による酸可溶性蛋白質の亜画分に関しては、表1に挙げたような溶出特性によって定義することができる。表1は、アセトニトリル濃度26.4体積%から36体積%の範囲で溶出する画分は、以下の表1で定義したような緩衝液A及びBから成る混合物における緩衝液Bの33体積%から45体積%の範囲に対応することを示す。
【0043】
前記の緩衝液B及び緩衝液Aの濃度の範囲は、溶出した蛋白質画分を特性決定するために十分である(表1)。前記の溶出範囲では、ポリスチレン−ジビニルベンゼンビーズを固定相として使用することが好ましい。Amershamのカタログ番号15 RPC TN 17−0727−02の製品を固定相として使用することが好ましい。
【0044】
特に、前記の特性による溶出のpHは、一般的に、1.8から2.2の範囲で、好ましくは約2である。このpHは主に、トリフルオロ酢酸TFAの量によって限定される)。
【0045】
おそらく未知の物質に加えて、亜画分6、7及び8はPP8(プロテオースペプトン)を含み、画分8及び9はPP8及びPP5(プロテオースペプトン)を含み、画分10はラクトフェリンを含み、画分11はβ−ラクトグロブリンを含むようである。
【0046】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明の亜画分は、特定の緩衝液又はアセトニトリル濃度範囲での溶出によって表1で特性決定された亜画分5、6、7、8、10及び11である。いくつかの細胞毒性が疑われるので、具体的に、亜画分5は、さらに再試験することができる。
【0047】
本発明を実施する可能性のある方法は、本明細書で報告した特定のミルク蛋白質画分をまず単離することである。これは、任意の適切な方法で実施することが可能で、少なくともいくつかの方法が適している。
【0048】
例えば、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、超遠心によってミルク又はスキムミルク(又は誘導体)からカゼインを単離することによって得ることができる。したがって、例えば、スキムミルクを30,000gから90,000g又は110,000gまで、45分間から90分間超遠心する。ミセルカゼイン(又は、不溶性蛋白質)を構成する沈降物を回収することが可能である。
【0049】
該ミセルカゼインは、CaCl 2mM/NaCl 0.9%に分散させて、前記のように超遠心することによって洗浄することができる。
【0050】
次に、前述のように洗浄したミセルカゼインを酸性化することによって、カゼインから酸可溶性蛋白質を得ることができる。例えば、ミセルカゼイン(不溶性蛋白質)を酢酸ナトリウム緩衝液20mM pH4.6に分散させることができる。カゼインの緩衝作用のため、酢酸(又はその他の適切な酸)の添加によって、pH約4.6を実現することができる。
【0051】
次に、該溶液を遠心して(例えば、9,000gから15,000g、20分から50分)、上清をミセルカゼインの酸可溶性蛋白質として収集することができる。
【0052】
ミセルカゼインから酸可溶性蛋白質を得る他の方法は、「スキムミルクのクロスフロー精密濾過によって得られたミセルカゼインの蛋白質組成物(Protein composition of micellar casein obtained by cross−flow micro−filtration of skimmed milk)」、R.Jost、R.Brandsma、S.Rizvi、International Dairy Journal 9(1999)389〜90から入手することができる。
【0053】
したがって、天然のカゼインは、超遠心の代わりに精密濾過によって得られる。したがって、孔径0.1〜0.2μmの範囲の精密濾過膜を使用して、完全に物理的な方法によって乳清相からミルクのミセル相を分離する。
【0054】
例えば、50℃まで温めたスキムミルクを1P19−40Tetra−Laval 1.4μm Membralox(登録商標)モジュールで濾過して、細菌混入を抑えることができる。次に55℃まで温めて、Carbosep(登録商標)M14(孔径0.14μm)膜を備えたTech−Sep 1S 151精密濾過装置で分離することができる。したがって、ミルクは濃縮様式で操作して、保持液及び透過液流に分画することができる。濃縮係数3(cf3)に達した後で、脱塩した水を添加することによって透析濾過を開始することができる。最初の6倍の体積の水で透析濾過した後に得られた保持液(cf3/df6)は、ミセルカゼインから構成される。
【0055】
次に、ミセルカゼインの酸可溶性部分は、再希釈した保持液を塩化水素酸(又は、酢酸などのその他のもの)でpH4.6まで酸性化し、次に遠心によってカード(凝乳)を分離することによって得ることができる。結果として、全Nの3〜5%をミセルカゼインの酸可溶性画分としてカード(凝乳)から分離することができる。
【0056】
そのようにすると、特に、ラクトフェリン、血清アルブミン、イムノグロブリンH鎖及びL鎖並びにβ−ラクトグロブリンと同様の電気泳動移動度を示す蛋白質を含む蛋白質画分を得ることができる。さらに、該画分はプロテオースペプトン成分5(β−カゼイン1−105/1−107)及びプロテオースペプトン成分8fastを含むことができる。
【0057】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質のその他の成分は、本発明によって定義される。
【0058】
もちろん、前記の方法は、ミセルカゼインからの酸可溶性蛋白質の単離又は精製の一例に過ぎない。当業者は、それらを得るその他の方法を容易に考えることができよう。
【0059】
例えば、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、酵素(例えば、レンネット)処理後、少なくとも一部はカゼインに結合したままである。この場合、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、ミルクを酵素的に処理し、その後凝固したカゼインによって形成されたカード(凝乳)を回収することによって得ることが可能である。次に、ミセルカゼインの酸可溶性画分は、例えば、前述のような酸性化によってカード(凝乳)から少なくとも部分的に単離することができる。
【0060】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質が主に、切断されたカゼイン画分に結合したままである限り、このような方法の代わりに遠心又は超遠心によってミセルカゼインを単離できるだろう。
【0061】
ミルク又はスキムミルクの酸性化によってミセルカゼインの酸可溶性蛋白質を回収することはまた、可能であり得る。次に、本発明による蛋白質は、酸ホエイから分離しなければならない。後者の酸ホエイにはさらにその他の可溶性ミルク成分(主に、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、ラクトフェリン)を含んでいる。これは、前述のホエイ画分の選択的除去に適した任意の適切な分離技術、例えば、HIC又はイオン交換クロマトグラフィーによって実施することができる。
【0062】
本発明は、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質がGLP−1及び(それと連動した)GLP−2遊離を促進するために適した生物活性成分を含むという驚くべき認識に基づいている。
【0063】
しかし、ミセルカゼインから酸可溶性蛋白質をさらに亜分画して、スクリーニングしたところ、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質のいくつかの亜画分が好ましいことが明らかになった。
【0064】
より有効な亜画分のさらなる分離及び単離は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって、又は疎水性相互作用高速液体クロマトグラフィー(HI−HPLC)、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)などによって実施することができ、いずれも例えば、同一の分離原理をベースとしている。
【0065】
HICの原理は、当業者には公知である。一般的に、試料を保持する疎水性物質を含む平衡化カラム(固定相)に試料を添加する。該疎水性物質は、例えば、Amberlite Xad16(Rohm and HassのXAD16)として市販されている多孔性架橋結合ポリスチレンである。Amersham製の15RPC TN17−0727−02(ポリスチレン−ジビニルベンゼン)又は同等物もまた、使用することができる。
【0066】
本発明による蛋白質画分を該カラムに添加する前に、カラムを緩衝液で平衡化してよい。該画分を添加した後、緩衝液又は緩衝液の混合物(移動相)をカラムに流し、それによって緩衝液の混合物が変化し、カラムからの各画分の疎水性によって蛋白質亜画分の溶出特性が変化しうる。
【0067】
この方法によるホエイ蛋白質の分離は、「ポリスチレン−ジビニルベンゼンの逆相高速液体クロマトグラフィーによるプロテオースペプトン及びカゼインマクロペプチドを含む主要なウシホエイ蛋白質の同時分離及び定量(Simultaneous separation and quantitation of the major bovine whey proteins including proteose peptone and caseinomacropeptide by reversed−phase high−performance liquid chromatography on polystyrene−divinylbenzene)」D.F.Elgar他、Journal of Chromatography A 878(2000)183〜196に記載されている。
【0068】
カラムから溶出した蛋白質亜画分は、緩衝液混合物の組成又は固定相からの溶出に影響を与えるアセトニトリル含量によって正確に表現することができる。
【0069】
例えば、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、ポリスチレン−ジビニルベンゼンビーズ(Amersham製15 RPC TN17−0727−02)を充填したカラムに添加することができ、緩衝液Aは、トリフルオロ酢酸(TFA)0.1体積%が含まれる水として定義することができ、緩衝液Bはアセトニトリル80体積%及びTFA0.85体積%が含まれる水と定義することができる。
【0070】
次に、緩衝液A及びBの混合及び移動は、特定の系、例えば、FPLC(中高圧液体クロマトグラフィー)UNICORNステーション(Pharmacia、Amersham)によって制御し、カラムを通過させることができる。
【0071】
溶出した蛋白質亜画分は、前述の緩衝液A及びBの混合比の溶出範囲によって定義することができる。特定の緩衝液組成物を使用して、本発明による蛋白質画分の溶出時に存在するアセトニトリルの相対量によって蛋白質亜画分の溶出時間又は間隔を簡単に説明することができる。しかし、溶出順番はpH依存性であることに注意されたい。
【0072】
以下の表1は、緩衝液Bの体積−パーセント範囲又はアセトニトリルにおける範囲によって本発明によるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の14個の酸可溶性蛋白質亜画分を定義し、その中で本発明の好ましい実施形態による亜画分が溶出する。
【0073】
【表1】

【0074】
所望ならば、該亜画分は留去、超遠心、又は透析によって濃縮するか、又は乾燥前に真空、凍結、噴霧、流動床、乾燥機若しくはその他の任意の適切な乾燥方法によって有機溶媒を排除することができる。
【0075】
亜画分5、6、7、8、9、10及び11は、in vitroにおけるGLP−1遊離の促進に特に効果的で、本発明の意味において好ましい実施形態を構成する。亜画分5、7、8及び11は、さらにより好ましい実施形態を構成する。
【0076】
亜画分5は、in vitroの細胞モデルにおいて毒効果を有することが示されたので、この画分はヒト又は動物における適用性は損なわれたことを証明した可能性がある。
【0077】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、in vitroモデルにおいてGLP−1分泌を促進する生物学的に活性のある成分を含む。
【0078】
したがって、該画分又は選択された亜画分は、GLP−1、GLP−2又はインシュリンによって左右される、又は制御される任意のプロセスを調節するために使用することができる。I型又はII型糖尿病の予防又は治療、血中グルコース濃度の調節、胃運動性及び分泌の阻害、液体及び固形物の胃内容排出の減少、小腸通過の減少、平滑筋活性の阻害、食事誘導性グルコース変動の減少、腸における栄養素の酵素的分解及び吸収の遅延、食欲の低下、食物摂取減少などが例である。
【0079】
例えば、該画分を使用して、ヒト又は動物の全体的な消化吸収活性を減少させることができる。
【0080】
該蛋白質画分は、消耗品又は医薬品に添加することができる。消耗品の例は、栄養調製乳、乳児用調製乳又は臨床用調製乳である。その他の例は、飲料、例えば、貯蔵安定飲料、冷蔵飲料又はすぐに飲める飲料である。該画分は、その他の食品、例えば、チョコレート、バー、シリアル、乳製品、アイスクリーム、冷凍食品、ペットフード、コーヒー、カプセル、錠剤などに添加することができる。
【0081】
以下の実施例は、本発明の主題内容となるものを例示するためにだけに挙げたものであり、けっして本題内容を限定するものではない。パーセント及び部は、他に指示がなければ、重量による。
【実施例1】
【0082】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の単離
牛乳は、地元の市場(Switzerland、Toni lait、2000−02−01)で購入した。
【0083】
クリームは、1,000gと4,500gとの間で遠心することによって全乳から抽出した。この段階の選択性は、固定角ロータSorvall GS3を使用して13,600gまで加速することによって(30分間は9,000rpm)向上した。全乳2200mlから開始すると、クリーム90gが上層に回収された。
【0084】
次に、CaCl 200mM、250μlをスキムミルク250mlに添加して、最終濃度を2mMにした。このミルクを固定角ロータ45 TI(Beckman L8−60M超遠心機、遠心管中央部での100,000gに対応する32,000rpm)で、1時間超遠心して(遠心管6本にスキムミルク42.1gずつ含まれる)、不溶性ミセルカゼインからホエイを分離した。
【0085】
ミセルカゼイン(24g)は、CaCl 2mM/NaCl 0.9%、220mlに分散させて、前記のように超遠心した。回収した洗浄ミセルカゼイン22gをCaCl 2mM/NaCl 0.9%に分散させて、量を250mlに調節した。分取して、不溶性蛋白質(ミセルカゼイン)と明示して、凍結した。
【0086】
全乳190gから開始して、洗浄した不溶性蛋白質の沈殿物(17g)を酢酸ナトリウム20mM pH4.6、40mlに分散させた(Potter)。
【0087】
カゼインの緩衝作用のため、pH(6.5)は酢酸を添加することによって4.6に調節し、量は酢酸緩衝液を添加することによって初期ミルク量の半分(90ml)に調節した。次に、溶液を遠心して(12,000g、30分)、上清(77g)はミセルカゼインの酸可溶性蛋白質と明示した。
【0088】
以下の実施例3のために、試料を液体窒素に浸漬することによって凍結し、−20℃で保存した。
【実施例2】
【0089】
様々なミルク画分によって促進されたGLP−1遊離
材料及び方法
MH(肉加水分解物)及びEAH(卵アルブミン加水分解物)は、Sigmaから購入した。マトリゲルはBD Bioscienceから入手した。CGMPは、WO9853702に記載されたように得た。
【0090】
スキムミルク、スイートホエイ、酸ホエイ、酸カゼイン、可溶性蛋白質、不溶性蛋白質(ミセルカゼイン)を得るための分画段階は、従来のミルク工程(Alais C.1984 Science du lait、Principe des Techniques Laitieres、4版、SEPAIC、Paris、29〜35、159〜178)を応用した。遠心は高加速で実施し、不溶性画分を洗浄して、選択性及び分離効率を高めた。
【0091】
酸カゼインは、スキムミルクを酸処理した後の沈殿物から収集されたカゼインである。可溶性蛋白質は、スキムミルクを100,000g(実施例1も参照のこと)で1時間超遠心した後、水溶液中に回収された蛋白質で、不溶性蛋白質(ミセルカゼイン)は、その後沈降物に回収された部分である。
【0092】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、実施例1から得られ、基本的に前段落で生じた酸カゼインを酸性化し遠心することによって得られた。
【0093】
NCI−H716ヒト腸細胞系(ATCC番号:CCL−251)は、5%COを含有する加湿インキュベータ内で37℃で培養した。増殖のために、細胞は10%FBS、ペニシリン100IU/ml、ストレプトマイシン100μg/ml及びL−グルタミン2mMを添加したRPMI1640培地(Life Technologies Inc)に懸濁して増殖させた。分泌研究では、細胞はマトリゲルコーティングプレートに入れ、10%FBS、ペニシリン100IU/ml、ストレプトマイシン100μg/ml及びL−グルタミン2mMを添加したDMEM(低グルコース)(Life Technologies Inc)中で2日間インキュベートした。
【0094】
実験の2日前に、細胞を12ウェルプレートに細胞100万個/ウェルで入れた。実験日に、細胞をHBSS(ハンクス平衡塩溶液、Life Technologies Inc)で1回洗浄し、様々な蛋白質溶液の存在下で37℃で2時間インキュベートした。試験蛋白質は、0.2%BSA(画分V、Sigma)を含有するKRBB(クレブス−リンガー平衡緩衝液)pH7.4、1mlに溶解した。インキュベート終了時に、上清をPMSF 200mM、100μlに回収し、すぐに−80℃で凍結した。
【0095】
蛋白質溶液は、培地1ml当たり蛋白質0.5mg及び5mgの2種類の濃度で添加した。
【0096】
結果
図1は、in vitroにおけるGLP−1遊離に対する異なる濃度(0.5及び5mg/ml)のミルク蛋白質画分の様々な効果を示す。実施例1によって得られたミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は、低濃度でも(0.5mg/ml)GLP−1遊離に対して最も強い影響を及ぼす。
【0097】
結論として、実施例1による方法によって得ることができるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質は生物活性成分を含む。これらは、ヒト又は動物の体の疾患の予防又は治療に使用することができる。GLP−1が遊離することから、例えば、糖尿病及び肥満の予防及び治療におけるこれらの成分の有用性及び産業上の利用性が示唆される。
【実施例3】
【0098】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の亜分画
疎水性相互作用液体クロマトグラフィー(HIC)は、以下のように実施した。Source15 RPC TN 17−0727−02(ポリスチレン−ジビニルベンゼン)100mlを充填したHR16x50カラムをUNICORNステーション(Amersham Pharmacia Biotech)によって制御されたFPLC系に連結した。HCI酸可溶性画分(実施例1参照)15mlは37℃の水浴で20分かけて解凍し、ボルテックスによって混合し、5415 Eppendorf遠心機で13,000rpmで1分間遠心した。ミリポアフィルター0.45μm(306/GSWP04700.GS)で濾過した後、この調製物10mlを注入した。
【0099】
クロマトグラフィーの条件は、A緩衝液:TFA0.1%が含まれる水(0.45μmミリポアシステムで濾過したmiliQ水2000ml及びTFA 2ml(Sigma91699、100ml)、B緩衝液:アセトニトリル80%、TFA 0.85%(0.45μmミリポアシステムで濾過したmiliQ水400ml及びアセトニトリル 1600mlを超音波槽で15分間脱気し、最終的にTFA 1.7mlを添加する)であった。
【0100】
カラムは、B緩衝液20%で平衡化した。次に、1カラム体積(CV)後、試料を注入して、B緩衝液を15CVで75%に、2.5CVで100%に増加させた。最終的に、勾配は0.4CVでB緩衝液20%に減少させた。流速は、3ml/分に固定した。
【0101】
18mlずつ96画分をプラスティック管に収集した。画分は−20℃に維持した。HPLC分析後、収集した管96本をHPLCプロフィールに対応させることによって14個の画分に集め、その後のスクリーニングのために、留去することによって濃縮してから凍結乾燥した。
【0102】
215nmでのUV吸収を記録して、対応するHICプロフィールを図3に示す。
【0103】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の14個の亜画分は、カラムからの溶出時点及び記載した表1の対応するアセトニトリル濃度(疎水性)によって特性決定する。
【実施例4】
【0104】
実施例3の亜画分によって促進されるGLP−1遊離
実施例3で得られた亜画分は、実施例2で説明したような実験計画に従ってGLP−1遊離促進能をスクリーニングした。亜画分はすべて、500μg/mlで試験した全亜画分を含む「全体」以外は、30μg/ml培地で試験した。
【0105】
この実験で、疎水性クロマトグラフィープールは、実施例2のミセルカゼインの最初の酸可溶性蛋白質の濃度より16〜17倍低い濃度で試験した(500μg/mlに対して30μg/ml)ことが記載されている。
【0106】
結果を図2に示す。ほとんどすべての画分は、in vitroにおけるGLP−1遊離の増加を引き起こした。並はずれて強い増加が非常に低い蛋白質濃度で(蛋白質30μg/ml培地)亜画分5、7、8で認められ、9、10及び11でもまた認められた。
【0107】
しかし、亜画分5は細胞系に毒作用を有することが見いだされた。
【0108】
結論として、亜画分7、8、9、10及び11は、生物活性分子又は成分を含む。これらは、特にII型糖尿病、おそらくまたI型糖尿病又は肥満の治療に薬剤として役立つ可能性がある。ヒト又は動物の体におけるGLP−1の様々なその他の作用によって、特許請求の範囲に挙げたような亜画分の他の適用が説明される。
【実施例5】
【0109】
ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質を含む栄養調製乳
推奨値(315kJ/dl)にしたがって、乾燥物質の重量の割合で、蛋白質14%、炭水化物62%、脂肪18%並びに無機質及びビタミン3.2%を含む栄養調製乳は、実施例1によるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質によって完成する。
【0110】
該酸可溶性蛋白質は、生理学的有効量で添加する。完全な専用調製乳(予定使用量は1日当たり2lである)では、最終濃度は調製乳の0.1〜0.5mg/mlに調節した。その他の食物への補給剤として有用な調製乳(予定使用量は1日当たり2dlである)では、濃度は調製乳の1〜5mg/mlに調節した。状況及び個々の必要性によってより高い用量を使用する。
【実施例6】
【0111】
ミセルカゼインの亜画分酸可溶性蛋白質を含む栄養調製乳
実施例5の調製乳は、実施例1による蛋白質の代わりに実施例3で得られた亜画分7及び8の蛋白質に富んでいる。
【0112】
栄養調製乳における亜画分の乾燥物質の量は、完全な調製乳に対しては5〜25μg/液体調製乳1mlであり(実施例5参照)、2dl(補給剤)の1日用量に対しては50〜250μg/mlに調節する。
【0113】
亜画分を含む高用量調製乳もまた調製した(前述の2dlの補給剤に対して10倍に濃縮)。本発明の蛋白質の濃度は、2dlにおいて0.5〜2.5mg/mlであった。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】牛乳の様々な蛋白質画分によって刺激されたin vitroにおけるGLP−1遊離を比較した図である。蛋白質類は、低濃度でも最高のGLP−1遊離効果を示した本発明によるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質(斜線の棒)以外は、0.5mg/ml(斜線の棒)及び5mg/ml(黒い棒)で投与した。ミルク抽出物は、0.2%BSAを含むクレブスリンガー平衡緩衝液(KRBB)、pH7.4中で調製した。対照は、緩衝液(KRBB)及びBSA(0.2%)のみから構成される。
【図2】ミセルカゼインの酸溶出蛋白質の様々な画分によって刺激されたin vitroにおけるGLP−1遊離を比較した図である。異なる亜画分を同一濃度(30μg/ml)で投与したところ、特に亜画分5、7、8、10及び11がGLP−1分泌に顕著な効果を示すことが発見された。14画分すべての元の混合物を含む全体は、より高い濃度(5μg/ml)で投与した。
【図3】ミセル蛋白質の酸可溶性蛋白質の14画分のHI−HPLC(疎水性相互作用高速液体クロマトグラフィー)のクロマトグラムを示した図である。水平軸は、前記14個の異なる亜画分に分画したミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の疎水性の増加を示す。垂直軸は、214nmのUVで測定した、カラムから溶出した蛋白質量を示す。 図の更なる詳細は実施例により説明されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミセル又は酵素処理カゼイン及びホエイ蛋白質を分離する段階、
ミセルカゼイン又は酵素処理カゼインをpH6未満に酸性化する段階、
酸可溶性蛋白質をカゼインから分離する段階、及び
酸可溶性蛋白質の様々な亜画分を分離する段階
を含む、ミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の画分を得る方法。
【請求項2】
疎水性相互作用クロマトグラフィーによって得ることができ、アセトニトリル26.4体積%から36体積%を含む移動相によって疎水性固定相から溶出することを特徴とするミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の亜画分。
【請求項3】
疎水性相互作用クロマトグラフィーによって得ることができ、アセトニトリル43.2体積%から46.4体積%を含む移動相によって疎水性固定相から溶出することを特徴とするミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の亜画分。
【請求項4】
医薬品として、又はヒト若しくは動物の体の予防的若しくは治療的処置として使用するミセルカゼインの酸可溶性蛋白質。
【請求項5】
請求項2に記載の蛋白質、請求項3に記載の蛋白質、プロテオースペプトン5、プロテオースペプトン8、β−ラクトグロブリン、ラクトフェリン、血清アルブミン、イムノグロブリン及びそれらの混合物から成る群から選択された蛋白質を含む請求項2から4までに記載の酸可溶性蛋白質。
【請求項6】
インシュリン分泌及び/又はプロインシュリン遺伝子発現を増強する消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項7】
I型及び/又はII型糖尿病の予防又は治療のための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項8】
GLP−1及び/又はGLP−2分泌の増加及び/又は血中グルコース濃度の調節のための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項9】
胃内容排出及び胃酸分泌を減少させるための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項10】
食欲を制御し、食物摂取を減少させ、且つ/又は満腹感を高めるための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項11】
傷害又は機能障害を特徴とする腸障害を治療するため、且つ/或いは腸粘膜の厚さ及び/又は表面領域を増大するための消耗品又は医薬品の調製におけるミセルカゼインの酸可溶性蛋白質の使用。
【請求項12】
請求項2から5までのいずれかに記載の蛋白質画分又は亜画分を含む消耗品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−525404(P2007−525404A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508360(P2005−508360)
【出願日】平成15年8月30日(2003.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009669
【国際公開番号】WO2005/021589
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】