説明

ミネラル水素水及びその製造方法

【課題】 大気中に開放した状態であっても溶存水素量が激減しないミネラル水素水を提供する。
【解決手段】原水にSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有してなるセラミックス粉末を分散させた後にバブリングしてミネラル成分を原水に溶解させて10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているミネラル成分が溶存する硬度換算で100〜300のミネラル水を得、続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させ、含有水素量0.2〜1.5ppmの飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が1週間以上のミネラル水素水を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気下での開放においても水素水の効果を長く維持できるミネラル水素水とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、水素を多量に含む水素水は、一般に健康増強を期待する飲料水として用いられているが、その他、医療用途や製造ラインにおける洗浄水としても用いられ、広く普及している。そして、バブリングによって水中に水素ガスを溶解させることにより水素水を得る方法が汎用されている。
【0003】
例えば、0〜50℃の原水に−180〜60℃の水素ガスを0.5〜500気圧に加圧して溶解させて常温常圧下でpHが9.0以下6.5以上、酸化還元電位が−150mV以下−900mV以上の還元水を製造することにより、通常の溶解度の数倍ないし数百倍近い水素ガスを溶解させて水素ガスが一部気化しても常温下で安定して水素ガスが溶解している還元水を得る方法(例えば、特許文献1参照)や、原料水に0.1〜0.95MPaの水素ガスを注入してpHが7.5〜7.6、溶存水素量が0.8〜1.2ppm、酸化還元電位が−550mV〜−650mVの水素水を製造する装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−230370号公報
【特許文献2】特開2005−177724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水素水は製造直後あるいは密閉状態にあっては当初の溶存水素量が保持されるが、開封すれば、急速に水素量が激減するという問題点があった。例えば、前記特許文献1における還元水では、ペットボトルに密閉した酸化還元電位−624mVの還元水が、ペットボトルの開封によって9時間後には酸化還元電位+69mVとなり、また、前記特許文献2のおける水素水では、時間の経過と共に、酸化還元電位は原料水の値に戻り、当初の溶存水素量を保持できないという問題点を抱えていた。
【0006】
そこで、本発明者等は、大気中に開放した状態であっても溶存水素量が激減しないミネラル水素水を提供することを技術的課題として、その具現化をはかるべく水素ガスを導入するミネラル水と溶存水素量の保持状態との関係について試行錯誤的に研究・実験を重ねてきた。
【0007】
本発明者等が行ったミネラル水の特性と水素ガスの導入方法と溶存水素量の保持状態とについての実験例を以下に説明する。
【0008】
表1に示す特性を有する蒸留水(原水)と地下水(原料水)との二種類の水を使用した。
【0009】
【表1】

【0010】
一次処理:先ず、地下水に含まれる浮遊物等の不純物を取り除くために、アクリル製容器に前記地下水を50リットル入れ、続いて、Mordenite-(Na,Ca,K)AlSi1024・7HO粉末(以下、「Mordenite粉末」ともいう。)を地下水の量に対して0.2wt%(100g)投入した。そして、攪拌機によって5分攪拌した後に静置した。攪拌開始直後からフロックの生成が始まり、攪拌終了と同時に沈殿が見られ、静置後2分で固液分離が完了した。この一次処理水を固液分離サンプル1とした(実験1)。
【0011】
また、Mordenite粉末を1wt%(500g)投入した外、実験1と同様の処理を行った。静置後2分で固液分離が完了し、この一次処理水を固液分離サンプル2とした(実験2)。また、Mordenite粉末を0.05wt%(25g)投入した外、実験1と同様の処理を行ったが、静置後5分経っても固液分離は起こらなかった。この一次処理水を固液分離サンプル3とした(実験3)。さらに、Mordenite粉末に代えて硫酸アルミニウム粉末を使用した外、実験1と同様の処理を行った。静置後2分で固液分離が完了した。この一次処理水を固液分離サンプル4とした(実験4)。固液分離処理後における各一次処理水の特性を表2に示す。
【0012】
【表2】

【0013】
なお、0.05wt%(25g)のMordenite粉末を投入した実験3では濁度が改善されなかったので、固液分離サンプル3は以後の処理には用いなかった。
【0014】
さらに、Mordenite粉末使用量と分離後の蒸発残留物との関係を調べた。地下水に対するMordenite粉末の必要十分な投入量を得るために、実験1と同様の方法によりMordenite粉末の投入量を表3に示す数値に代えて実験を行った(実験5〜14)。攪拌時間を5分、静置時間を5分としたときの蒸発残留物を表3に示す。
【0015】
【表3】

【0016】
本実験よりMordenite粉末を使用する場合には、投入量0.10wt%から効果が現れ、1.00wt%を超えて投入しても更なる効果向上は得られなかった。本実験結果より、Mordenite粉末は原料水に対して少なくとも0.10wt%必要であり、1.00wt%で十分であることを確認できた。
【0017】
二次処理:次に、前記一次処理工程で得た固液分離サンプル1、2及び4の各一次処理水を用いて該一次処理水中のイオン化した元素を分離するために、当該各一次処理水を1万ガウスの磁場中に1分間置いて暴露した後、当該磁場環境から取り出して当該各二次処理水(原水)を各磁場印加サンプル1〜3とした(実験15〜17)。
【0018】
また、前記一次処理を行っていない地下水に対して実験15〜17と同様の処理を行い、この二次処理水(原水)を磁場印加サンプル4とした(実験18)。また、固液分離サンプル1についてこの一次処理水を5000ガウスの磁場中に1分間置いて暴露した後、当該磁場環境から取り出してこの二次処理水(原水)を磁場印加サンプル5とした(実験19)。磁場印加処理後における各二次処理水の特性を表4に示す。
【0019】
【表4】

【0020】
本実験より前記一次処理において硫酸アルミニウム粉末を使用して得られた固液分離サンプル4を用いた実験17、前記一次処理を行っていない地下水を用いた実験18、及び、二次処理において磁場を5000ガウスとした場合の実験19では、磁場印加サンプル3と磁場印加サンプル4と磁場印加サンプル5との各特性において、いずれも鉛、亜鉛、銅等の重金属の低減率が悪い結果となった。これによって、重金属を含む不純物を水質基準を満たす値まで除去するには硫酸アルミニウム粉末よりMordenite粉末が適していると共に、1万ガウス以上(少なくとも1万ガウス)の磁場印加がよいことを確認できた。
【0021】
なお、固液分離サンプル4を用いた実験17と磁場を5000ガウスとした場合の実験19とは、重金属の低減率が悪い結果となったので、磁場印加サンプル3と磁場印加サンプル5とは以後の処理には用いなかった。ただし、前記未処理地下水を用いた実験18で得られた磁場印加サンプル4は比較のために以後の処理にも用いた。
【0022】
前記各二次処理水をミネラル水を製造する原水とし、前記蒸留水を原水として加えて実験を行った。
【0023】
三次処理:次に、前記二次処理水(原水)からミネラル水を得るために、前記二次処理工程で得た磁場印加サンプル1及び2を使用した。30リットルの磁場印加サンプル1及び2のそれぞれにSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を1kg投入し、微細孔を有するノズルから圧力0.5MPa、噴射量10リットル/分のアルゴンガスを液中に5分間吹き込んで当該各三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル1及び2とした(実験20及び21)。このときのアルゴンガスの気泡径は平均7.5μmであった。
【0024】
また、前記磁場印加サンプル1を使用してアルゴンガスの吹き込み圧力を0.1MPaとした外、実験20及び21と同様の処理を行った。アルゴンガスの気泡径は平均30μmであった。この三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル3とした(実験22)。また、前記磁場印加サンプル1を使用してアルゴンガスの吹き込み時間を1時間とした外、実験20及び21と同様の処理を行った。この三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル4とした(実験23)。
【0025】
表1に示す蒸留水(原水)を使用し、30リットルの蒸留水にSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を1kg投入し、微細孔を有するノズルから圧力0.5MPa、噴射量10リットル/分、気泡径平均7.5μmのアルゴンガスを液中に5分間吹き込んでこの三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル5とした(実験24)。また、前記磁場印加サンプル4を使用した外、実験24と同様の処理を行い、この三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル6とした(実験25)。また、前記固液分離サンプル1を使用した外、実験24と同様の処理を行い、この三次処理水(ミネラル水)を分散処理サンプル7とした(実験26)。分散処理後における各三次処理水の特性を表5及び表6に示す。
【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
四次処理:次に、前記三次処理工程で得た分散処理サンプル1〜5の各ミネラル水を使用し、当該ミネラル水に水素ガスを飽和状態に溶存させるために、20リットルの各分散処理サンプル1〜5に300KHz、10KWの電磁波を照射しながら微細孔を有するノズルから圧力0.8PMa、噴射量5リットル/分の水素ガスを液中に10分間吹き込んだ。このときの水素ガスの気泡径は0.6μmであった。
【0029】
分散処理サンプル1から得られた四次処理水(ミネラル水素水)における飽和状態の溶存水素量は1.2ppmであった(水素処理サンプル1:実験27)。分散処理サンプル2から得られた四次処理水(ミネラル水素水)における飽和状態の溶存水素量は1.5ppmであった(水素処理サンプル2:実験28)。分散処理サンプル3から得られた四次処理水(ミネラル水素水)における飽和状態の溶存水素量は0.7ppmであった(水素処理サンプル3:実験29)。分散処理サンプル4から得られた四次処理水(ミネラル水素水)における飽和状態の溶存水素量は1.4ppmであった(水素処理サンプル4:実験30)。分散処理サンプル5から得られた四次処理水(ミネラル水素水)における飽和状態の溶存水素量は1.3ppmであった(水素処理サンプル5:実験31)。
【0030】
また、分散処理サンプル1を使用して粒子径10μmのMg粉末を10g添加した外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル6(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル6の飽和溶存水素量は1.1ppmであった(実験32)。分散処理サンプル1を使用して電磁波の周波数を1KHzとした外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル7(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル7の飽和溶存水素量は0.8ppmであった(実験33)。分散処理サンプル1を使用して電磁波の周波数を100GHzとした外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル8(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル8の飽和溶存水素量は1.0ppmであった(実験34)。分散処理サンプル1を使用して水素ガスの吹き込み圧力を0.1MPaとし、水素ガスの気泡径が30μmであった外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル9(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル9の飽和溶存水素量は0.8ppmであった(実験35)。分散処理サンプル1を使用して水素ガスの吹き込み時間を5分間とした外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル10(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル10の飽和溶存水素量は0.2ppmであった(実験36)。分散処理サンプル1を使用して水素ガス導入時に電磁波照射を行わなかった外、実験27〜31と同様にして水素処理サンプル11(ミネラル水素水)を得た。当該水素処理サンプル11の飽和溶存水素量は0.2ppmであった(実験37)。
【0031】
一次処理を行っていない分散処理サンプル6と二次処理を行っていない分散処理サンプル7と三次処理を行っていない磁場印加サンプル1の各処理水を使用し、当該ミネラル水に水素ガスを飽和状態に溶存させるために、20リットルの各処理水に300KHz、10KWの電磁波を照射しながら微細孔を有するノズルから圧力0.8PMa、噴射量5リットル/分の水素ガスを液中に10分間吹き込んで当該各四次処理水を水素処理サンプル12〜13(ミネラル水素水)と水素処理サンプル14(水素水)とした。このときの水素ガスの気泡径は0.6μmであった。また、水素処理サンプル12の飽和溶存水素量は0.8ppm(実験38)、水素処理サンプル13の飽和溶存水素量は0.6ppm(実験39)、水素処理サンプル14の飽和溶存水素量は0.4ppm、であった(実験40)。
【0032】
四次処理で得られた水素処理サンプル1〜14の含有水素量及び酸化還元電位、当該各水素処理サンプル1〜14を大気環境下で開放した場合における水素量と酸化還元電位の時間経過推移を表7〜9に示す。
【0033】
【表7】

【0034】
【表8】

【0035】
【表9】

【0036】
表7〜9を参照すれば、水素処理サンプル1,2,4,5,6及び10のミネラル水素水において、大気開放直前の製造当初の溶存水素量を基準にして当該水素量が緩慢な減少を示しており、その半減期は1週間以上(短くとも1週間)という好成績であった。
【0037】
前記水素処理サンプル1は、地下水を使用し、前記一次処理においてMordenite粉末を0.2wt%投入して浮遊物を除去し、前記二次処理において1万ガウスの磁場環境下で重金属を除去し、前記三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、前記四次処理において300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.2ppm、開封後240時間経っても0.9ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.6ppmには達していなかった。
【0038】
また、前記水素処理サンプル2は、地下水を使用し、前記一次処理においてMordenite粉末を1wt%投入して浮遊物を除去し、前記二次処理において1万ガウスの磁場環境下で重金属を除去し、前記三次処理において12ppmのSiと45ppmのCaと1.9ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度120のミネラル水を得、前記四次処理において300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.5ppm、開封後240時間経っても1.1ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.75ppmには達していなかった。
【0039】
また、前記水素処理サンプル4は、一次処理、二次処理及び四次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理され、三次処理において50ppmのSiと120ppmのCaと5.9ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度324のミネラル水を得たミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.4ppm、開封後240時間経っても1.0ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.7ppmには達していなかった。
【0040】
また、前記水素処理サンプル5は、蒸留水を使用し、前記三次処理において10ppmのSiと40ppmのCaと1.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度106のミネラル水を得、前記四次処理において300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.3ppm、開封後240時間経っても1.0ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.65ppmには達していなかった。
【0041】
また、前記水素処理サンプル6は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、四次処理において粒子径10μmのMg粉末を10g添加して300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.1ppm、開封後240時間経っても0.9ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.55ppmには達していなかった。
【0042】
さらに、前記水素処理サンプル10は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、四次処理において300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを5分間導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.2ppm、開封後240時間経っても0.15ppmを示し、少なくとも10日目にあっても当該水素量の半減期における値0.1ppmには達していなかった。
【0043】
また、表7〜9によれば、大気開放直前の製造当初の溶存水素量を基準にして当該水素量が、水素処理サンプル7,8及び9においては略緩慢に減少してその半減期は1〜3日迄であり、水素処理サンプル3及び11〜14のミネラル水素水においては、開放時より溶存水素量が急激に減少していた。
【0044】
前記水素処理サンプル7は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、四次処理において1KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.8ppm、開封後1時間経った時点で0.5ppmを示し、10時間後には0.2ppmとなっていた。半減期は10時間までであった。
【0045】
前記水素処理サンプル8は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、前記四次処理において100GHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は1.0ppm、開封後72時間経った時点で0.5ppmを示し、120時間後には0.2ppmとなっていた。半減期は3日間であった。
【0046】
前記水素処理サンプル9は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、気泡径30μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.8ppm、開封後24時間経った時点で0.5ppmを示し、72時間後には0.3ppmとなっていた。半減期は3日間までであった。
【0047】
前記水素処理サンプル3は、一次処理及び二次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理され、前記三次処理において5ppmのSiと26ppmのCaと1.2ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度70のミネラル水を得、前記四次処理において300KHzの電磁波を照射しながら気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.7ppm、開封後5分経った時点で0.4ppmを示し、1時間後には0.2ppmとなっていた。
【0048】
前記水素処理サンプル11は、一次処理、二次処理及び三次処理は前記水素処理サンプル1と同様に処理されて三次処理において10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度148のミネラル水を得、四次処理において電磁波を照射しないて気泡径0.6μmの水素ガスを導入して得られたミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.2ppm、開封後1分経った時点で0.1ppmを示し、1時間後には0ppmとなっていた。
【0049】
前記水素処理サンプル12は、一次処理を実施しなかった外は前記水素処理サンプル1と同様に二次、三次及び四次処理されて三次処理において11ppmのSiと70ppmのCaと2.6ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度185、濁度15のミネラル水から得たミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.8ppm、開封後1分経った時点で0.6ppmを示し、5分後には0.3ppmとなっていた。
【0050】
前記水素処理サンプル13は、二次処理を実施しなかった外は前記水素処理サンプル1と同様に一次、三次及び四次処理されて三次処理において9ppmのSiと65ppmのCaと1.9ppmのMgとのミネラル成分を含有する硬度170のミネラル水を得たミネラル水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.6ppm、開封後5分経った時点で0.4ppmを示し、1時間後には0.1ppmとなっていた。
【0051】
前記水素処理サンプル14は、三次処理を実施しなかった外は前記水素処理サンプル1と同様に一次、二次及び四次処理を実施した硬度4の水素水であった。開封直前の飽和溶存水素量は0.4ppm、開封後1分経った時点で0.3ppmを示し、5分後には0.2ppmとなっていた。
【0052】
そこで、前記四次処理における電磁波の周波数と水素含有量の半減期との関係を明確にすべく、前記分散処理サンプル1のミネラル水を使用して、実験27〜31と同様の方法により電磁波の周波数を表10に示す数値に代えて実験を行った(実験41〜59)。
【0053】
【表10】

【0054】
表10によれば、電磁波の周波数が10KHz〜10GHzにおいて水素含有量の半減期が1週間以上(短くとも1週間)となって好成績を示していた。なお、表10中の「半減期(%)」は処理後大気開放直前の数値を分母とした168時間放置後の数値の割合である。
【0055】
本発明者等は、前掲各実験例を通じて、ミネラル成分の合計含有量が硬度換算で100以上、飲料水用としては硬度100〜300、より具体的にはミネラル成分に10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているミネラル水に飽和状態まで水素ガスを充填すれば、製造当初の溶存水素量を基準にして半減期が1週間以上になるミネラル水素水を得ることができることを確認した。
【0056】
また、ミネラル水の製造において、原料水として地下水を使用する場合は、地下水に含まれる浮遊物等の不純物を除去し(一次処理)、イオン化した重金属元素を取り除いて(二次処理)ミネラル水の原水とするのが好ましく、濁度1以下等の水質基準を満たすわき水や水道水等の水(原水)や蒸留水(原水)を使用する場合は一次処理及び二次処理を実施するには及ばないことを確認できた。
【0057】
また、前記原水にミネラル成分を溶解させて合計含有量が硬度換算で100以上のミネラル成分が溶存するミネラル水を得(三次処理)、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態(0.2〜1.5ppm)で溶存させればよいことを確認できた。
【0058】
本発明者等は、前掲各実験結果に基づき、大気開放環境にあっても飽和状態に溶存させた水素量の半減期が1週間以上となるミネラル水素水を提供することに成功したものである。
【課題を解決するための手段】
【0059】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0060】
即ち、本発明に係るミネラル水素水は、ミネラルと飽和状態の水素とが溶存するミネラル水素水であって、ミネラル成分の合計含有量が硬度換算で100〜300であり、かつ、前記飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間となっているものである。
【0061】
また、本発明に係るミネラル水素水は、電磁波照射環境下で気泡径1μm以下の水素ガスを飽和状態に溶存させたミネラル水素水であって、ミネラル成分の合計含有量が少なくとも硬度換算で100であり、かつ、前記飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間となっているものである。
【0062】
また、本発明は、前記いずれかのミネラル水素水において、ミネラル成分に10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているものである。
【0063】
また、本発明は、前記いずれかのミネラル水素水において、含有水素量を0.2〜1.5ppmとしたものである。
【0064】
また、本発明に係るミネラル水素水の製造方法は、10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとを含むミネラル成分が溶存するミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期を短くとも1週間とするものである。
【0065】
また、本発明は、前記ミネラル水素水の製造方法において、含有水素量を0.2〜1.5ppmとしたものである。
【0066】
また、本発明に係るミネラル水素水の製造方法は、原水にSiOとCaとMgとを含有してなるセラミックス粉末を分散させた後にバブリングしてミネラル成分を原水に溶解させて硬度換算で少なくとも100のミネラル成分が溶存するミネラル水を得、続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期を短くとも1週間とするものである。
【0067】
また、本発明は、前記ミネラル水素水の製造方法において、セラミックス粉末がSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているものである。
【0068】
また、本発明は、前記いずれかのミネラル水素水の製造方法において、ミネラル成分に10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているものである。
【0069】
また、本発明は、前記いずれかのミネラル水素水の製造方法において、含有水素量を0.2〜1.5ppmとしたものである。
【0070】
さらに、本発明に係るミネラル水素水の製造方法は、原料水に対してMordenite-(Na,Ca,K)AlSi1024・7HOのセラミックス粉末0.1〜1.0wt%を投入して該原料水の浮遊不純物を固液分離し、当該固液分離後の処理水を1万ガウス以上の磁場中に置いてイオン化した重金属元素を分離し、当該重金属分離後の原水にSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を分散させた後にバブリングして10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているミネラル水を得、続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態に溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であるミネラル水素水を製造するものである。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、硬度換算で100以上のミネラル成分が溶存するミネラル水に電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させたから、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が1週間以上となるミネラル水素水を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0073】
実施の形態1.
【0074】
本実施の形態に係るミネラル水素水は、硬度換算で100以上のミネラル成分を含有し、電磁波照射環境下で気泡径1μm以下の水素ガスを飽和状態に溶存させたミネラル水素水であって、密封時の飽和含有水素量を基準にして大気中に開放した場合の水素含有量の減少する度合いを該水素含有量の半減期によって表したとき、水素量が半分の含有量になるには短くとも1週間(1週間以上)を要するミネラル水素水である。
【0075】
前記ミネラル成分の含有量は硬度換算で100〜300とすれば、大気開放下においても当初の水素量が安定して保持され、水素の蒸発を抑制する効果があることを確認している。この効果が得られる要因については未だ解明するに至っていないが、水中にてイオン化した元素と水素分子との電子の共有により蒸発が抑制されているのではないかと考えられる。硬度100未満では、水素分子を水中に保持するに十分なイオン量が得られず、水素含有量の半減期が1週間に満たないので好ましくない。また、硬度300を超えても水素保持力は十分得られるが、飲料用として適さなくなるので好ましくない。従って、飲料用以外であれば、硬度は少なくとも100あればよい。
【0076】
前記硬度換算で100〜300となるミネラルの成分構成としては、Si含有量が10〜50ppm、Ca含有量が39〜100ppm、Mg含有量が0.5〜12ppmとなっているのが好ましい。これにより、大気開放下での水素含有量の半減期が1週間以上となる。
【0077】
なお、当該硬度は、水1リット中に含まれるカルシウム(Ca)の量(mg)とマグネシウム(Mg)の量(mg)とを炭酸カルシウム(CaCO)の量(mg)に換算した値である。Caの原子量は40、Mgの原子量は24.3、CaCOの分子量は100であるから、
硬度(mg/L)≒カルシウム量(mg/L)×2.5+マグネシウム量(mg/L)×4.1
により算出することができる。
【0078】
大気中に開封する前の当初含有水素量は0.2〜1.5ppmの飽和状態とすればよい。これにより、大気下での開放においても水素水の効果を長く維持することができる。0.2ppm未満では、ミネラル水中での水素の保持力を高めることが難しく所望の半減期を得ることができないので好ましくなく、1.5ppmを超える水素含有量を得るには製造コストが大幅に上昇するので好ましくない。なお、含有水素量0.2ppm以上は過飽和の状態であるが、0.2ppmの飽和状態と0.2ppm以上の過飽和状態とを総称して飽和状態と表現している。
【0079】
実施の形態2.
【0080】
本実施の形態に係るミネラル水素水の製造方法は、原水にSiOとCaとMgとを含有してなるセラミックス粉末を分散させる。この後、バブリングによってミネラル成分を原水に溶解させて硬度換算で100以上のミネラル成分が溶存するミネラル水を得る。続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して0.2〜1.5ppmの水素ガスを溶存させる。
【0081】
これにより、大気開放下での当該水素量の半減期が短くとも1週間であるミネラル水素水を得ることができる。
【0082】
前記セラミックス粉末は、原水に必要なミネラル成分を溶解させるために、SiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているものを使用するのがよい。また、気泡径10μm以下の不活性ガスにてバブリングするのがよい。これにより、硬度換算で100〜300のミネラル成分が溶存するミネラル水を得ることができ、10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているミネラル成分を容易に得ることができる。気泡径10μmを超えると、溶解速度が低下し処理効率が落ち、10μm以下の気泡径により、気泡のキャビテイション効果により攪拌力が増加し処理効率を向上させることができる。また、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを使用することにより、含有する成分変化を抑制することができる。
【0083】
導入する水素ガスは、高圧ボンベ等により外部から供給してもよく、処理水中に金属Mgの微細粉末を添加することにより内部で発生する水素ガスを用いてもよい。10KHz〜10GHzの電磁波を照射することにより水分子が微細化すると同時に、水分子の水素結合エネルギーが高位となり、水中に含有する各種イオンが活性となる。この状態で気泡径1μm以下の水素ガスを導入することにより、飽和溶存量以上である0.2ppm以上の水素を水中に安定して包含させることができ、大気開放下においても水素含有量の半減期を1週間以上とすることができる。
【0084】
地下水等(原料水)を使用する場合には当該原料水から不純物等を取り除いて原水とすればよく、濁度1以下等の水質基準を満たすわき水、水道水、蒸留水を使用する場合にはそのまま原水として用いればよい。
【0085】
次に、地下水等の原料水から原水を得るまでの工程について説明する。
【0086】
原料水から固形物を取り除くために、Mordenite-(Na,Ca,K)AlSi1024・7HOのセラミックス粉末を当該原料水量に対して0.1wt%以上使用して固液分離する。これにより、処理水中に残存する成分を除去できる。さらに、活性炭に代表される炭素粉末を併用すれば、炭素粉末に不純成分が吸着され原料水の清浄化を効率的に行うことができる。その外、固液分離する方法としてフィルター法やフロッグ沈殿法等を採用してもよいが、フィルター法では、ろ過材の目詰まりが頻繁に発生して安定した操業には不向きであり、また、フロッグ沈殿法では、フロッグを生成するための凝集材が必要となり、一般的に硫酸アルミニウム等が使われ、処理中にアルミニウムイオンが残存して悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。Mordenite粉末を0.1wt%〜1.00wt%使用する固液分離方法がもっとも適している。
【0087】
前記原料水から固形物を取り除いた処理水中には、イオン化した様々元素が含まれており、元素によっては人体に害を及ぼすものもあるので、続いて、イオン化した元素を分離するために、当該処理水に1万ガウス以上の磁場をかけて不純物成分を吸着除去する。これにより、前記処理水からイオン化した不純物を除去した原水が得られる。イオン化元素の分離方法として、その外、イオン交換膜等を使用する方法があり、当該方法が一般的であるが、処理できる量が少なく大量に処理するためには、巨大な設備を必要とするので、当該磁場をかけて不純物成分を吸着除去方法がもっとも適している。
【実施例】
【0088】
実施例1〜5
表1に示す特性を有する地下水(原料水)を使用した。
【0089】
実施例1(実験27):地下水に含まれる浮遊物等の不純物を取り除くために、アクリル製容器に前記地下水を50リットル入れてMordenite-(Na,Ca,K)AlSi1024・7HO粉末を地下水の量に対して0.2wt%(100g)投入し、5分攪拌した後に静置して地下水に含まれる浮遊物等の不純物を取り除いた。一次処理水の濁度は4、蒸発残留物は700ppmであった。
【0090】
次に、一次処理水を1万ガウスの磁場中に1分間置いて暴露して水中のイオン化した重金属元素を分離した。二次処理水の濁度は1、蒸発残留物は50ppm、水銀は0.0002ppm、鉛は0.005ppm、亜鉛は0.5ppm、銅は0.6ppmであった。
【0091】
次に、二次処理水30リットルにSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を1kg投入し、微細孔を有するノズルから気泡径平均7.5μmのアルゴンガスを条件:圧力0.5MPa、噴射量10リットル/分にて液中に5分間吹き込んでミネラル水(三次処理水)を得た。ミネラル成分10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgを含み、硬度148であった。
【0092】
次に、前記ミネラル水20リットルに300KHz、10KWの電磁波を照射しながら微細孔を有するノズルから気泡径0.6μmの水素ガスを条件:圧力0.8PMa、噴射量5リットル/分にて液中に10分間吹き込んで水素ガスが飽和状態で溶存したミネラル水素水を得た。密封状態での含有水素量は1.2ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても0.9ppmを保持し、本実施例1の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0093】
実施例2(実験28):Mordenite粉末を1wt%(500g)投入した外、実施例1と同様にしてミネラル水素水を得た。一次処理水の濁度は3.5、蒸発残留物は650ppmであった。二次処理水の濁度は1、蒸発残留物は45ppm、水銀は0.0002ppm、鉛は0.004ppm、亜鉛は0.3ppm、銅は0.5ppmであった。ミネラル水はミネラル成分12ppmのSiと45ppmのCaと1.9ppmのMgを含み、硬度120であった。
【0094】
ミネラル水素水の密封状態での含有水素量は1.5ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても1.1ppmを保持し、本実施例2の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0095】
実施例3(実験30):アルゴンガスの吹き込み時間を1時間とした外、実施例1と同様にしてミネラル水素水を得た。一次処理水の濁度は4、蒸発残留物は700ppm。二次処理水の濁度は1、蒸発残留物は50ppm、水銀は0.0002ppm、鉛は0.005ppm、亜鉛は0.5ppm、銅は0.6ppm。ミネラル水はミネラル成分50ppmのSiと120ppmのCaと5.9ppmのMgを含み、硬度324であった。
【0096】
ミネラル水素水の密封状態での含有水素量は1.4ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても1.0ppmを保持し、本実施例3の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0097】
実施例4(実験32):ミネラル水に粒子径10μmのMg粉末を10g添加した外、実施例1と同様にしてミネラル水素水を得た。一次処理水の濁度は4、蒸発残留物は700ppm。二次処理水の濁度は1、蒸発残留物は50ppm、水銀は0.0002ppm、鉛は0.005ppm、亜鉛は0.5ppm、銅は0.6ppm。ミネラル水はミネラル成分10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgを含み、硬度148であった。
【0098】
ミネラル水素水の密封状態での含有水素量は1.1ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても0.9ppmを保持し、本実施例4の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0099】
実施例5(実験36):水素ガスを5分間導入した外、実施例1と同様にしてミネラル水素水を得た。一次処理水の濁度は4、蒸発残留物は700ppm。二次処理水の濁度は1、蒸発残留物は50ppm、水銀は0.0002ppm、鉛は0.005ppm、亜鉛は0.5ppm、銅は0.6ppm。ミネラル水はミネラル成分10ppmのSiと55ppmのCaと2.5ppmのMgを含み、硬度148であった。
【0100】
ミネラル水素水の密封状態での含有水素量は0.2ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても0.15ppmを保持し、本実施例5の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0101】
実施例6(実験31):表1に示す特性を有する蒸留水(原水)を使用した。蒸留水30リットルにSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を1kg投入し、微細孔を有するノズルから気泡径平均7.5μmのアルゴンガスを条件:圧力0.5MPa、噴射量10リットル/分にて液中に5分間吹き込んでミネラル水(三次処理水)を得た。当ミネラル水の濁度は1、蒸発残留物は15ppm、水銀、鉛、亜鉛及び銅の元素イオン量は微量、ミネラル成分10ppmのSiと40ppmのCaと1.5ppmのMgを含み、硬度106であった。
【0102】
次に、実施例1と同様にして前記ミネラル水に水素ガスを充填して水素ガスが飽和状態で溶存したミネラル水素水を得た。密封状態での含有水素量は1.3ppmであった。大気中にて開封した後、含有水素量の減少推移を追ったところ、240時間後においても1.0ppmを保持し、本実施例1の大気開放下での水素量の半減期は10日間以上であった。
【0103】
実施例7〜21(実験43〜57):実施例1における電磁波周波数を表10に示す実験43〜57における周波数に代えた外、実施例1と同様にして各ミネラル水素水を得た。当該ミネラル水素水の水素含有量半減期はいずれも1週間以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、大気開放下での水素量の半減期が10日間以上のミネラル水素水を提供でき、電磁周波数10KHz〜10KHz照射下において大気開放下での水素量の半減期が1週間以上のミネラル水素水を提供できるから、栓を開放しても長時間溶存水素が存在する飲料水として利用できる。さらに、飲料用以外の用途にも期待できる。
【0105】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルと飽和状態の水素とが溶存するミネラル水素水であって、ミネラル成分の合計含有量が硬度換算で100〜300であり、かつ、前記飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であることを特徴とするミネラル水素水。
【請求項2】
電磁波照射環境下で気泡径1μm以下の水素ガスを飽和状態に溶存させたミネラル水素水であって、ミネラル成分の合計含有量が少なくとも硬度換算で100であり、かつ、前記飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であることを特徴とするミネラル水素水。
【請求項3】
ミネラル成分に10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれている請求項1又は請求項2記載のミネラル水素水。
【請求項4】
含有水素量が0.2〜1.5ppmである請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のミネラル水素水。
【請求項5】
10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとを含むミネラル成分が溶存するミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であるミネラル水素水を製造することを特徴とするミネラル水素水の製造方法。
【請求項6】
含有水素量が0.2〜1.5ppmである請求項5記載のミネラル水素水の製造方法。
【請求項7】
原水にSiOとCaとMgとを含有してなるセラミックス粉末を分散させた後にバブリングしてミネラル成分を原水に溶解させて硬度換算で少なくとも100のミネラル成分が溶存するミネラル水を得、続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態で溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であるミネラル水素水を製造することを特徴とするミネラル水素水の製造方法。
【請求項8】
セラミックス粉末がSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有している請求項7記載のミネラル水素水の製造方法。
【請求項9】
ミネラル成分に10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれている請求項7又は請求項8記載のミネラル水素水の製造方法。
【請求項10】
含有水素量が0.2〜1.5ppmである請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のミネラル水素水の製造方法。
【請求項11】
原料水に対してMordenite-(Na,Ca,K)AlSi1024・7HOのセラミックス粉末0.1〜1.0wt%を投入して該原料水の浮遊不純物を固液分離し、当該固液分離後の処理水を1万ガウス以上の磁場中に置いてイオン化した重金属元素を分離し、当該重金属分離後の原水にSiOを400〜800ppm、Caを5000〜20000ppm及びMgを2000〜5000ppm含有しているセラミックス粉末を分散させた後にバブリングして10〜50ppmのSiと39〜100ppmのCaと0.5〜12ppmのMgとが含まれているミネラル水を得、続いて、当該ミネラル水に10KHz〜10GHzの電磁波を照射しながら気泡径1μm以下の水素ガスを導入して水素を飽和状態に溶存させ、飽和状態における含有水素量の大気開放下での半減期が短くとも1週間であるミネラル水素水を製造することを特徴とするミネラル水素水の製造方法。

【公開番号】特開2010−5530(P2010−5530A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167726(P2008−167726)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(503341251)
【Fターム(参考)】