説明

ミネラル組成物

本発明は、25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下の金属塩類100重量部に対して、HLBが6〜10の乳化剤を0.5〜50重量部含有してなり、かつ前記金属塩類が平均粒子径0.05〜1μmの微粒子であることを特徴とするミネラル組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、食品分野等でミネラル補給剤として使用されるミネラル組成物に関する。
【背景技術】
近年、ミネラル摂取量の不足が指摘されている。それにより引き起こされるとされる生活習慣病の予防や健康維持等に関して、色々な種類のミネラルの役割が重要視され始めている。そのような中、ミネラル強化食品が市場に見られるようになってきた。
例えば、カルシウムは、一般に限られた食品類だけに偏在するので、とかく摂取不足になりやすい。特に近年において、世界各国ともに骨の老化病である骨粗鬆症は大きな問題となっている。食品へのカルシウムの強化方法としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等の水溶性カルシウムを添加する方法と炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の水不溶性カルシウムを添加する方法とが知られている。
しかし、水溶性ミネラルを添加する場合、溶液中でミネラルイオンが生成するため、陰イオンに起因する塩味、苦味、収斂味等により、添加された食品の風味を著しく損なってしまうことがある。また、ミネラルイオンはタンパク質と反応して凝固物を生成することもあり、食品中の成分と反応して食品の組織・物性に悪影響をもたらす等の問題があった。また、水不溶性ミネラルを添加する場合、比重が高く、短時間の間に沈降分離したり、該ミネラルの粉末の二次凝集が発生するなど、食品中での均質化をはかることが難しい等の問題があった。
鉄は、血中のタンパク質であるヘモグロビンに結合した状態で存在することが知られており、鉄不足の状態になると組織中の貯蔵鉄から補われる。貯蔵鉄が不足した状態は潜在性貧血症と呼ばれ、発展途上国から先進国において世界的な問題となっている。この傾向は、女子高生や若い成人女性において特に顕著であり、その結果、鉄欠乏性貧血を起こす女性が多数見られる。この原因としては、食生活に由来する点が一番大きいと考えられるが、女性の場合、生理的な出血、妊娠による鉄需要の増加、及びダイエットによる摂取不足等が挙げられ、鉄不足による貧血になり易い環境下にあることも特徴的な原因として挙げられる。この鉄不足を解消する為に、鉄分強化食品が販売されるようになってきており、牛乳、清涼飲料水等に鉄分強化した商品も多数販売されはじめている。例えば、鉄分を強化する目的の清涼飲料水等においては、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム等の水溶性の鉄や、ピロリン酸第二鉄等の水不溶性の鉄が使用されている。しかしながら、水溶性の鉄は鉄味が強く、官能的に問題があるため、一度にたくさんの量を使用できないという欠点があった。また、水溶性であるため、イオン化した鉄は胃壁に対して反応性が高い為に過剰に摂取した場合、潰瘍などの原因になりうるという問題もあった。また、飲料中の他の成分との反応性も高く、反応物による沈殿、凝集及び着色などが発生するなどの問題があった。また、水不溶性の鉄においては、鉄味は改善されるものの比重が2.75以上と高く、飲料に添加分散した場合、短時間で沈殿する為、食品としての美観上好ましくなく、生体吸収性も悪いといった問題があった。
マグネシウムは、生体内において骨、筋肉あるいはその他の軟組織に存在しているが、その約60%は骨に存在するといわれている。マグネシウムは酵素の調節作用、エネルギー産生作用、タンパク質合成調節作用等を有しており、マグネシウムの摂取不足により、臓器における重大な症候性の変化が生じることが示唆されている。マグネシウムを強化するために食品に添加することのできる食品添加物として、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の無機塩があるが、これらの無機のマグネシウム塩は苦味を呈し、また、加工食品の製造の際に凝集や沈殿を生じるといった問題があった。
また、亜鉛は、アルカリホスファターゼ、アルコール脱水素酵素等をはじめとする20種類以上の酵素を活性化することや、タンパク質合成、核酸代謝、インシュリン合成等に関与していることが明らかにされている。また、食事性の亜鉛の欠乏は、人体に障害をもたらすことが知られている。
このように、ミネラル、中でも上記のカルシウム、鉄、マグネシウム及び亜鉛は健康維持に関して重要な役割を果たしており、日頃の食生活の中で摂取することが望ましいが、現代人の食生活では充分に摂取できないのが現状である。
そこで、ミネラル強化食品の開発が試みられているが、当該食品の製造に使用されるミネラル補給剤には、ミネラルの特徴的な性質、すなわち、生体利用率(摂取量中の生体内への吸収量の割合)が低いことや、食品中において他成分と反応したり、沈殿するなどの性質に基づく多くの問題がある。
ミネラル補給剤として、例えば、水溶性ミネラルを食品に添加する場合、溶液中で生成したミネラルイオン、特に陰イオンに起因する塩味、苦味、収斂味等により、食品の風味を著しく損なったり、また、タンパク質と反応して凝固物を生成する等、食品中の成分と反応して食品の組織・物性に悪影響をもたらす等の問題がある。
また、水不溶性ミネラルを添加する場合、それらの比重が高く短時間の間に沈降分離したり、該ミネラルの粉末の二次凝固の発生等で食品中での均質化をはかることが難しい等の問題がある。
一般的に水不溶性のミネラルは、高比重(通常1.5以上)であるため、水中で沈殿しやすく、水中での安定分散を望む際には先ず微粒子化が必要となる。ボールミルやジェットミル等を用いた物理的破砕方法(特開昭第57−110167号公報)では数ミクロンオーダーの微粒子化が限界であり、充分な分散安定性が得られない。更に微細なサブミクロンオーダーの微粒子を得る方法として、中和造塩反応を利用した化学的製造方法も数多く報告されており、1/100ミクロン単位の超微粒子を生成させることも可能であるが、生成後、速やかに二次凝集が生じてミクロンオーダーの粗大粒子を形成する問題がある。
かかる粗大粒子の形成を抑制する方法として、結晶セルロースやペクチン、カラギナン、グアーガム等の増粘多糖類を添加することでその高分子網目構造中に一次微粒子を吸着保持する方法(特開昭第56−117753号公報、特公昭第57−35945号公報、特開平第09−191855号公報)、又は油脂中に水不溶性ミネラルを混合分散させ、その際の油脂配合量を30重量%以上に調整して比重軽減する方法(特開昭第57−110167号公報)等が提案されているが、目的とする水不溶性ミネラル以外の物質を多量に添加する必要が生じ、かつ分散溶質が希薄化すると共に分散効果が著しく低下するという問題がある。さらに、これを解決する方策として、水不溶性ミネラルの微粒子表面を有機酸やアルカリ剤で処理する方法(特開昭第61−15645号公報)及びショ糖エステル等の界面活性剤で処理する方法(特開昭第63−173556号公報、特開平第5−319817号公報)等が開発されたが、前者では水不溶性ミネラルを構成する金属イオン等の水相への遊離が生じやすく、また、後者では殺菌等の加熱処理を受けた際、微粒子表面に吸着した界面活性剤層が剥離したり、二次凝集を促進する等の問題がある。
また、カルシウムの水懸濁液にHLB10以上の親水性乳化剤を配合し、湿式粉砕機を用いて粉砕し、炭酸カルシウム分散体を調製する方法(特開平第06−127939号公報)、或いはリン酸カルシウムの水懸濁液にHLB10以上の親水性乳化剤を配合し、湿式粉砕機を用いて粉砕し、炭酸カルシウム分散体を調製する方法(特開平第06−127909号公報)等が提案されているが、これらは、粉末における二次凝集を防止することが主目的で、食品への添加時の分散性は改善されるものの、該分散体が添加された食品、例えば、液状食品中での長時間の分散性を保持するには効果が不充分である。また、添加される乳化剤の親水性が高く、水相へ溶解した後ホモジナイザーや攪拌を行った場合に大量の気泡が生じるので、その後の作業性に問題があった。また、親水性が高い乳化剤は、一旦、粒子表面に吸着して乳化剤層を形成したとしても、容易に水溶媒へ単分散又はミセル形成することで溶解されてしまい、完全に二次凝集を防止することができなかった。
さらに、ミネラルの生体吸収性についてみた場合、上述した全てのミネラルにおいて、完全に吸収されることは無く、生体利用率としては数%〜数10%程度であり、多くは生体で利用されずに排出されてしまうという問題があった。上記するような、微粒子化ミネラルに増粘多糖類や親水性乳化剤等を配合する分散技術により、未配合の微粒子化ミネラルと比較した場合、分散安定化において完全ではないがある程度は改善効果が見られる。しかし、ミネラル強化食品に添加し、摂取した後の吸収性、すなわち、生体利用率の向上効果については、配合する前記多糖類等の性質上期待できなかった。というのは、増粘多糖類は立体障害となる三次元網目構造中に微粒子化ミネラルを担持させることで二次凝集を防止するが、微粒子化ミネラルの吸収においては何らの作用も示さないためである。また、親水性乳化剤は、微粒子化ミネラルの表面に被膜を形成して二次凝集を防止するが、ミネラル強化食品に添加した場合、被膜物質が親水性である為、水相へ剥離移行しやすい。親水性のポリグリセリン脂肪酸エステルやシュガーエステルなどは生体膜を構成するリン脂質等の分子と比較して分子量が大きく、両者の極性の違いが大きい為に生体親和性が低い。一方、レシチン等のリン脂質を被膜して調製したミネラルにおいては、リン脂質の官能基に由来する電荷がミネラルの持つ電荷と塩を作りやすい性質から、調製した粒子の二次凝集による粗大化が起こり易い為、微粒子化が困難であり、製剤化することができなかった。また、ミネラル組成物に酵素分解レシチンを配合することにより(特許第3050921号公報)、分散安定性を向上させる方法が提案されているが、この方法ではリン脂質の官能基に由来する電荷の影響により、微細化制御することは困難であり、特殊中和造塩反応中に酵素分解レシチンを配合して水不溶性ミネラルを調製したものについても、分散安定性は比較的向上するものの、乳化剤被膜として親水性の高い非イオン界面活性剤を配合している為、食品に配合した場合における乳化剤濃度の希釈により、乳化剤が水相へ剥離移行してしまい、腸管における体内への吸収性を向上させることは充分には望めなかった。
【発明の開示】
以上、説明するように、従来、ミネラルの生体吸収性、すなわち、生体利用率に優れ、二次凝集によるミネラル粒子の粗大化がなく、また、製造時の作業性や水相中での分散性、分散安定性にも優れ、さらに、食品等に添加した場合に、その味、色、物性等に実質的に影響のないミネラル補給剤の調製は困難であった。従って、本発明の目的は、ミネラル補給剤に求められるそれらの種々の性質を備えた、ミネラル補給剤として好適に使用されうるミネラル組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、
〔1〕 25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下の金属塩類100重量部に対して、HLBが6〜10の乳化剤を0.5〜50重量部含有してなり、かつ前記金属塩類が平均粒子径0.05〜1μmの微粒子であることを特徴とするミネラル組成物、
〔2〕 乳化剤がジグリセリン脂肪酸エステルである前記〔1〕記載のミネラル組成物、
〔3〕 ジグリセリン脂肪酸エステルが、モノエステルを50重量%以上含有してなるものである、前記〔2〕記載のミネラル組成物、
〔4〕 金属塩類が、カルシウム、マグネシウム、鉄又は亜鉛を含んでなる金属塩類より選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載のミネラル組成物、並びに
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載のミネラル組成物を含有してなる食品又は飲料、
に関する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ラットに発明品A〜C、比較品A〜C及び水のいずれかを投与した場合の血清鉄(血清中に含まれる鉄)濃度の経時変化(投与後0.5〜8時間)を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のミネラル組成物(以下、組成物という)は、25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下の金属塩類100重量部に対して、HLBが6〜10の乳化剤を0.5〜50重量部含有してなり、かつ前記金属塩類が平均粒子径0.05〜1μmの微粒子であることを大きな1つの特徴とする。
該組成物は、微小な平均粒子径を有する金属塩類の微粒子を含んでなり、通常、かかる金属塩類の微粒子表面には前記乳化剤による吸着層が形成されている(以下、乳化剤による吸着層(被膜)を有する金属塩類の微粒子を、単に金属微粒子という場合がある)。該吸着層は安定であり、例えば、常温(25℃)での保存時において、また、加熱処理を施した際にも剥離することはなく、該組成物に含まれる金属微粒子の二次凝集が効果的に抑制される。その結果、例えば、食品や飲料に添加した際には良好な分散性が得られる。さらに、金属微粒子が微小であること、使用する乳化剤の比重が一般に水の比重より低いことから、該組成物中の金属微粒子は分散安定性に優れており、それゆえ、該組成物自体若しくは該組成物を添加した食品等(特に液状物)の保存安定性は良好である。
本発明の組成物に含まれる、HLBが6〜10の乳化剤は比較的親油性である為、水相に溶解した場合に泡立ちが少なく、良好な作業性が得られる。また、該組成物に含まれるミネラル(金属塩類由来の金属成分)は、生体吸収性、すなわち、生体利用率が良好である。すなわち、HLBが6〜10の乳化剤からなる吸着層による金属塩類の被膜効果により、胃においては、胃酸によるミネラルの溶出が防止されると推定される。腸に移行した後においては、該乳化剤分子の大きさ及び極性が、通常、吸収に関わる腸管上皮細胞における細胞膜の構成分子、すなわち、リン脂質とほぼ同様である為、金属微粒子の細胞膜への親和性が高くなり、その結果、生体吸収性が向上するものと推定される。また、乳化剤の被膜が比較的安定であることから、ミネラルの徐放性効果も発現されるであろう。
さらに、本発明の組成物に含まれる金属塩類は実質的に水不溶性のものであり、また、前記乳化剤による被膜効果により、例えば、食品又は飲料に添加した際にミネラルイオンや陰イオンが生ずることはなく、従って、それらのイオンが原因となる異味の発生や、該イオンと食品等の成分との反応が原因となる凝固物の生成や着色等が生ずることはなく、胃壁など個体の消化管粘膜を刺激することもない。
なお、本明細書において「水不溶性ミネラル」とは実質的に水不溶性のミネラル含有物質をいい、水難溶性のミネラル含有物質(水難溶性ミネラル)をも含む。
本発明の金属塩類は、25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下、好ましくは1.0×10−8以下、より好ましくは1.0×10−10以下の水不溶性ミネラルからなり、平均粒子径が0.05〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmの微粒子の形態を有する。
本明細書において「溶解度積」とは、金属塩類の飽和水溶液中における陽イオンと陰イオンのモル濃度(モル/リットル)の積であり、一般的な溶解度とは下式の相関関係を持つ。すなわち、金属塩類をM(M及びXは電解質成分を、a及びbはM及びXの係数を、それぞれ表わす)、その溶解度をS(モル/リットル)とすると、溶解度積(Ksp)は下式で表される:
Ksp = 〔M〕〔X〕
= (aS)×(bS)=a×b×S(a+b)
〔式中、〔〕はイオン濃度(モル/リットル)を表わす〕
炭酸カルシウム(CaCO)を例にとると、CaCOのKspは25℃の水中で4.7×10−9であり、前記式に当てはめると〔Ca〕〔CO=S=4.7×10−9となり、CaCOの溶解度Sは約6.9×10−5モル/リットル(6.9ppm)となる。CaCOは、通常、水不溶性の塩類とされており、溶解度がCaCOと同程度若しくはそれ以下の金属塩類は明らかに水不溶性であると言える。
25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7より大きい金属塩類の溶解度は、前記式によれば、約3.2×10−3モル/リットルとなり、CaCOに比較して100倍近いものである。この程度の溶解度を有する金属塩類は厳密な意味では水不溶性とは言いがたい。というのは、そのような金属塩類は、それが含まれる水相の若干のpH変化によって不溶塩表面が不安定になり、溶解を生ずる可能性があるためである。それゆえ、かかる金属塩類を使用した場合には、本発明の所望の効果の発現が充分であるとは言えない。
従って、本発明に使用される金属塩類としては、その25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下であることを要する。
本発明の金属塩類としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化銀(AgCl:25℃水中の溶解度積;1.0×10−10)、ピロリン酸銀(Ag:25℃水中の溶解度積;1.0×10−21)、水酸化アルミニウム(Al(OH):25℃水中の溶解度積;2.0×10−32)、リン酸アルミニウム(AlPO:25℃水中の溶解度積;5.8×10−19)、硫酸バリウム(BaSO:25℃水中の溶解度積;1.0×10−10)、リン酸バリウム(Ba(PO:25℃水中の溶解度積;6.0×10−39)、炭酸バリウム(BaCO:25℃水中の溶解度積;5.1×10−9)、ピロリン酸カルシウム(Ca:25℃水中の溶解度積;2.0×10−19)、リン酸カルシウム(Ca(PO:25℃水中の溶解度積;2.0×10−29)、炭酸カルシウム(CaCO:25℃水中の溶解度積;4.7×10−9)、水酸化第一鉄(Fe(OH):25℃水中の溶解度積;8.0×10−16)、リン酸第一鉄(Fe(PO:25℃水中の溶解度積;1.3×10−22)、ピロリン酸第二鉄(Fe(P:25℃水中の溶解度積;2.0×10−13)、炭酸第一鉄(FeCO:25℃水中の溶解度積;3.5×10−11)、水酸化マグネシウム(Mg(OH):25℃水中の溶解度積;1.1×10−11)、ピロリン酸マグネシウム(Mg:25℃水中の溶解度積;2.5×10−13)、リン酸マグネシウム(Mg(PO:25℃水中の溶解度積;2.0×10−27)、酸化マグネシウム(MgO:25℃水中の溶解度積;1.0×10−7)、炭酸第二銅(CuCO:25℃水中の溶解度積;2.5×10−10)、水酸化マンガン(Mn(OH):25℃水中の溶解度積;1.6×10−13)、硫酸マンガン(MnSO:25℃水中の溶解度積;1.0×10−11)、水酸化ニッケル(Ni(OH):25℃水中の溶解度積;2.7×10−15)、リン酸ニッケル(Ni(PO:25℃水中の溶解度積;4.5×10−10)、硫酸鉛(PbSO:25℃水中の溶解度積;1.7×10−8)、リン酸鉛(Pb(PO:25℃水中の溶解度積;1.5×10−13)、酸化亜鉛(ZnO:25℃水中の溶解度積;2.7×10−9)、水酸化亜鉛(Zn(OH):25℃水中の溶解度積;7.0×10−18)、ピロリン酸亜鉛(Zn:25℃水中の溶解度積;2.0×10−8)等が挙げられる。なお、各種水不溶性ミネラルの25℃の水中での溶解度積は、例えば、化学便覧:基礎編I(改訂5版)〔丸善株式会社発行〕に記載されている。これらの金属塩類は単独で若しくは2種以上混合して用いることができる。
先に列記した金属塩類の中でも、栄養強化目的で食品に添加、混合した場合、安定に分散するという観点から、リン酸塩、炭酸塩、鉄塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が好ましく、鉄塩がより好ましい。金属塩類に含まれるミネラルからみた場合、食品の栄養強化に好ましいという観点より、金属塩類としては、カルシウム、マグネシウム、鉄又は亜鉛を含んでなる金属塩類より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の組成物において具体的には、例えば、水不溶性カルシウムである炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等、水不溶性マグネシウムであるリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等、水不溶性鉄であるピロリン酸第二鉄等、水不溶性亜鉛である水酸化亜鉛、ピロリン酸亜鉛、酸化亜鉛等が、中でもリン酸マグネシウム、ピロリン酸第二鉄、リン酸カルシウムが好適に使用される。なお、水不溶性マグネシウムとしては、MgCO・CaCOの組成を有するドロマイトも好適に使用される。
また、ストークスの定理に基づき、高比重の水不溶性ミネラルが安定に分散するためには、その平均粒子径が2ミクロン以下の微粒子であることが必要である。本発明の金属塩類の微粒子の平均粒子径は0.05〜1μmであるため、乳化剤による被膜が存在する場合においても充分な分散安定性を発揮しうる。なお、金属微粒子の平均粒子径としては、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。
本明細書において「平均粒子径」は、例えば、ベックマン・コールター(BECKMAN COULTER)社製LS粒度分布測定装置 LSシリーズ MODE LS230により測定することができる。
平均粒子径が前記の通りの所望の範囲にある金属塩類を調製する方法としては、例えば、物理的破砕法又は中和造塩法が好ましい。
物理的破砕法では、例えば、ダイノーミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕機、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、ホモジナイザー等の乳化・分散装置、超音波分散機等を使用して金属塩類を物理的に破砕することにより所望の平均粒子径を有する金属塩類を得ることができる。一方、中和造塩法としては、強酸−強塩基性塩の中和反応を用いるものや、弱酸−強塩基性塩による中和反応を用いるもの等が知られている〔例えば、日本の食品機械総覧(社団法人日本食品機械工業)、標準基礎化学 第6章 酸と塩基の反応、2002年11月発行参照〕。前者の例としては、塩化第二鉄(FeCl)とピロリン酸四ナトリウム〔Na(P)〕との中和反応によりピロリン酸第二鉄〔Fe(P〕を得る方法が、後者の例としては、リン酸(HPO)と水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕との中和反応によりリン酸カルシウム〔Ca(PO〕を得る方法が挙げられる。
これらの方法によれば、一次粒子として粒子径が0.01〜0.1μm程度の超微粒子が生成されるが、二次凝集を生じて、概ね粒子径0.2〜2μm程度の凝集体となる。従って、これらの方法により、その平均粒子径が所望の値となるように調製された金属塩類の微粒子は、調製後、直ぐに本発明の組成物の調製に使用するのが好ましい。そのようにすることで、一次粒子の二次凝集が効果的に抑制されて一次粒子の形態が保持されうる。
本発明の乳化剤としては、そのHLBが6〜10のものであれば特に限定されるものではない。HLBとしては、6〜9が好ましく、7〜9がより好ましい。HLBが6〜10の乳化剤は、単独で若しくは混合物として使用され得る。また、混合物の場合、HLBが6〜10の範囲を外れる乳化剤が含まれていても良く、乳化剤の混合物中に含まれる乳化剤のHLBの平均値(すなわち、各乳化剤分子のHLBの総和を、混合物に含まれる全乳化剤の分子の数で割って得られる値)が6〜10の範囲に入っておればよい。
本明細書においてHLBとは、乳化剤の親水性と親油性(疎水性)の程度を表わす尺度であり、親水性の強いものほど値が大きい。本発明では、前記金属塩類の微粒子表面での乳化剤による安定な吸着層の形成を確保する観点から、比較的に親油性(疎水性)の強い乳化剤を使用する。
かかるHLBは、以下に示すグリフィン式により算出する:

前記式において親水部分とは、乳化剤を構成する分子全体から炭化水素鎖を除いた部分をいう。
本発明の乳化剤としては、本発明の所望の効果の発現が得られうる限り、その種類は特に限定されるものではなく、カチオン性、アニオン性又は両性イオン性のもの、或いは非イオン性のものを使用することができる。中でも、非イオン性のものがより好適である。比較的に親油性である非イオン性の乳化剤が有効である理由としては、親油性であることにより金属塩類の微粒子表面に吸着した乳化剤が水側に溶解・脱着することなく当該吸着が維持されること、また、かかる乳化剤の比重が一般に水の比重より軽いことが挙げられる。
前記イオン性の乳化剤としては、例えば、グリセリンコハク酸ミリスチン酸エステル等のグリセリン有機酸脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記非イオン性の乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明の乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好適である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンの平均重合度が3〜10程度であり、平均エステル化率が5〜30%程度のものが好適である。構成脂肪酸としては、特に限定はなく、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸であってよい。また、構成脂肪酸の種類も特に限定されるものではなく、1つのポリグリセリン脂肪酸エステル中に1種又は2種以上の脂肪酸が含まれていてもよい。なお、前記平均エステル化率は、ポリグリセリン1分子当たりの平均総水酸基数に対する平均エステル結合数の百分率で表わされる。平均総水酸基数は、平均重合度がnの場合、n+2で表わされる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、中でもジグリセリン脂肪酸エステルが特に好適である。ジグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、好ましくは炭素数8〜22、より好ましくは炭素数10〜14の飽和又は不飽和脂肪酸であるのが好適である。また、ジグリセリンの任意の位置の水酸基に同一又は異なる脂肪酸がエステル結合しておればよいが、好ましくは両端の水酸基に同一又は異なる脂肪酸がエステル結合しているのが、より好ましくは一端の水酸基に脂肪酸がエステル結合しているのが好適である。構成脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
本発明の乳化剤は、市販のものであっても、公知の方法に従って合成されたものであってもよいが、より精製度が高いものであるのが好ましい。
例えば、前記ジグリセリン脂肪酸エステルを合成により得る場合には、グリセリンの重合度が2以外の分子を含まない高度に精製されたジグリセリンを原料として用いるのが好ましい。かかるジグリセリンは、ポリグリセリンで見られるような重合度分布を持たない為、所望のジグリセリン脂肪酸エステルを得やすい。なお、初期に精製度があまり高くないジグリセリンを使用した場合には、エステル合成後、適宜、公知の方法に従って精製すればよい。
一方、精製度が高いジグリセリンを使用した場合でも、通常の条件でエステル化反応を行うと、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルの4種類が生ずる。反応組成を適宜最適化して製造されたものであれば、合成後、未精製のジグリセリン脂肪酸エステルを直接使用することができるが、モノエステルのみを高度に精製して使用するのが好ましい。具体的には、ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に、モノエステル含有量が50重量%以上のものが好ましく、70重量%以上のものがより好ましい。
本発明の乳化剤として特に好適に使用されるジグリセリン脂肪酸エステル(特にモノエステル)は、ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル等のその他の非イオン性の乳化剤と比較して、金属塩類の微粒子表面への吸着力及び該表面の被覆力(以下、吸着被覆力という)が著しく強い。吸着被覆力が強い要因としては、ジグリセリン脂肪酸エステルが界面活性作用を有しており、界面と界面の間に集まることによる界面張力の低下能力が、他の非イオン性の乳化剤に比較して非常に高いことが挙げられる。
一般に、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルには重合度やエステル化による分布があり、性能の高いエステルから性能の低いエステルまで、様々な化合物の混合物となる。例えば、未精製の状態の合成直後のものを使用した場合、金属塩類の微粒子表面に充分に安定な吸着層が形成されないことがある。ジグリセリン脂肪酸エステルは比較的低分子であり、工業的にも単一成分を高度に精製することが容易であるため、性能の高いエステルだけを高純度に得ることができる。ジグリセリン脂肪酸エステルが、本発明において乳化剤として有効であるのは、前記の通りの該エステル自身の性質に加え、その取扱いの容易性にもあると言える。
前記の通り、比較的に親油性である乳化剤を使用した場合、一般に安定な吸着層が金属塩類の微粒子表面に形成されうる。高度に精製されたジグリセリン脂肪酸エステル、好ましくはモノエステル含有量が50重量%以上であるジグリセリン脂肪酸エステルを使用した場合、当該エステルが金属塩類の微粒子表面に吸着して吸着層を形成する際、該エステルと該表面との界面で吸着層の形成を妨げるように働くと考えられるモノエステル以外のエステル化物が少ないため、ジグリセリン脂肪酸モノエステルが粒子表面に密に、また、多層に吸着し、吸着層の膜厚が厚くなり安定化するものと推定される。
本発明の組成物は、前記乳化剤による層が前記金属塩類の微粒子表面の一部又は全部を被覆してなる。従って、前記金属塩類と前記乳化剤との量比が重要となる。本発明の所望の効果の発現の観点から、本発明の組成物は、金属塩類100重量部に対して、HLBが6〜10の乳化剤を0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部含有してなる。
また、本発明の組成物には、さらに、その他の成分として、親水性の界面活性剤成分を含有させてもよい。かかる成分を含有させた場合、例えば、食品又は飲料に該組成物を添加、混合した際、親水性の界面活性剤成分の作用により、極めて好適な分散性が得られ、本発明の組成物の分散性をより向上させることができる。
前記界面活性剤成分としては、HLBが10を超える、例えば、オレイン酸ナトリウム等の金属石鹸類、ノニルフェニルエーテル等のアルキルエーテル系界面活性剤、Tween等のポリオキシエチレン付加型界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リン脂質、酵素分解レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の食品用の乳化剤、キラヤやユッカフォーム起源のサポニン系化合物等の他の界面活性剤成分等を挙げることができる。中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加型界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル及び酵素分解レシチン等の親水性の高い界面活性剤成分を本発明の乳化剤と併用するのが、より好適である。
本発明の組成物中のその他の成分の含有量は、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限り特に限定されるものではないが、金属塩類の微粒子表面に、本発明の組成物中の金属微粒子の二次凝集を充分に抑制しうるHLB6〜10の前記乳化剤の吸着層を形成させる観点から、HLBが6〜10の乳化剤100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下となる量が望ましい。
また、その他の成分として水を適宜含んでもよい。水は特に限定するものではなく、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
本発明の組成物は、以下のようにして調製することができる。例えば、前記金属塩類の微粒子を水に分散させ、所望により、さらに当該微粒子を前記するような手段により、前記所望の平均粒子径範囲となるまで粉砕する。得られた微粒子分散液に前記乳化剤を添加し、当該乳化剤の融点以上の温度又は当該乳化剤が分散する程度の温度まで加温する。次いでホモジナイズした後、所望により、さらに昇温後、維持して熟成させる。他方、水中に前記乳化剤を添加し、当該乳化剤の融点以上の温度又は当該乳化剤が分散する程度の温度まで加温し、所望によりホモジナイズして乳化剤調製液を調製する。これに前記金属塩類の微粒子を添加、混合し、前記同様、ホモジナイズした後、所望により、さらに昇温後、維持して熟成させる。なお、金属塩類としては、中和造塩反応により得られた金属塩類の微粒子を使用してもよい。また、水中で中和造塩反応により金属塩類を調製する際に、同時に前記乳化剤を溶解状態又は分散状態で存在させておくことによっても本発明の組成物を得ることができる。前記その他の成分については、本発明の組成物の調製工程のいずれかの時点で適宜添加混合すればよい。これらの方法に従って調製された本発明の組成物は、通常、金属微粒子の分散液として得られるが、当該分散液の固形分含量としては、1〜20重量%程度が適当である。
なお、本発明の組成物の調製方法は、ここに例示したものに限定されるものではなく、所望の効果を発揮しうる、本発明の組成物が得られるのであれば、その調製方法は特に限定されるものではない。金属塩類、乳化剤等の配合順序や、それらの混合方法等も適宜選択することができる。
以上のようにして、本発明の組成物を得ることができるが、さらに、該組成物に対し、アラビアガム、大豆多糖類、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、デキストリン、加工デンプンおよび加工セルロース等の高分子網目構造を有する増粘多糖類を添加、混合してもよい。該増粘多糖類の配合量としては、金属微粒子100重量部に対し、好ましくは0.5〜500重量部、より好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。増粘多糖類を添加した場合、該微粒子が高分子網目構造中に担持されることになるが、その結果、本発明の組成物の分散安定性をいっそう向上させることができ、好ましい。
また、上記方法により分散液として得られた本発明の組成物を、所望により、公知の方法で適宜乾燥して粉末化してもよい。その場合、乾燥工程での水分減少により、一部、金属微粒子の二次凝集が認められる場合がある。一方、前記の通りに、本発明の組成物に含まれる金属微粒子を増粘多糖類の高分子網目構造中に担持させておけば、該微粒子中の乳化剤分子による立体障害作用に加えて、上記多糖類の立体障害作用をも得られ、それにより、粒子の粗大化が防止され、好ましい。
さらに、本発明の一態様として、本発明の組成物を含有してなる食品又は飲料を提供する。当該食品又は飼料は、例えば、既成の食品又は飲料に対して本発明の組成物を添加することにより、また、それらの食品又は飲料を調製する際に、本発明の組成物を使用原料に予め添加するか、若しくは調製工程中に共に配合することにより、調製することができる。また、本発明の組成物を食品を調理する際(場合により飲料)に材料と共に添加して本発明の食品を調製することもできる。本発明の所望の効果を発現しうる食品又は飲料が得られるのであれば、食品又は飲料への本発明の組成物の添加時期や添加方法については特に限定はない。
本発明の食品又は飲料中における本発明の組成物の含有量は特に限定されるものではない。不足ミネラルの補給に充分な量の該組成物が含有されていればよく、本発明の組成物を適用しようとする食品又は飲料の組成、該食品又は飲料の摂取対象個体に応じて適宜決定すればよい。本発明の食品又は飲料中における本発明の組成物の含有量としては、通常、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましい。
本発明の組成物が適用可能な食品又は飲料としては、特に限定されるものではないが、例えば、クッキー、パン、麺類等に代表される小麦粉2次製品、おかゆ・炊き込み飯等の米加工品、畜肉・魚肉等の加工品等の食品、清涼飲料、乳飲料、炭酸飲料、アルコール飲料等の飲料が挙げられる。これらの食品又は飲料には、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸第二鉄等の水不溶性の金属塩類が生体吸収性に優れた状態で含まれており、これらの食品又は飲料を摂取することで、不足しがちなカルシウム、マグネシウム、鉄等のミネラル分の栄養強化を容易に実施することができる。従来、飲料を中心とする液体食品においては、水不溶性の金属塩類の添加はミネラル成分の沈降性から応用範囲が非常に狭いものであったが、本発明によれば、かかる食品の外観や風味を損なうことなく、化学的にも安定な形態でミネラル強化を実施できる。例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸第二鉄等をそれぞれ単独で若しくは2種以上含有してなる、本発明の組成物を調製し、かかる組成物を牛乳、乳酸飲料、清涼飲料、炭酸飲料等の飲料に添加することで、安定性の良いカルシウム、マグネシウム及び/又は鉄強化飲料等を製造することができる。
なお、本発明の組成物は、家畜や家庭用ペット等の飼料に対しても添加することができ、該飼料を摂取する動物のミネラル分の栄養強化にも充分に寄与することができる。当該飼料としては、家畜用飼料等、公知のあらゆる飼料が挙げられる。中でも、家庭のペット用飼料に対して好適に使用される。飼料中における本発明の組成物の含有量は特に限定されるものではなく、不足ミネラルの補給に充分な量の該組成物が含有されていればよい。本発明の組成物を適用しようとする飼料の組成、該飼料の摂取対象動物に応じて適宜決定すればよい。飼料中における本発明の組成物の含有量としては、通常、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましい。
かかる飼料は、本発明の前記食品又は飲料の製造方法に準じて、また、公知の飼料製造方法に従って適宜製造することができる。
また、本発明の組成物に含まれる金属微粒子は液体成分中での分散安定性に優れており、従って、該組成物を用いれば、液体成分中、水不溶性金属塩類の良好な分散状態を保つことができる。それゆえ、本発明の組成物を用いることにより、外観、使用性等の点で非常に優れた種々の家庭用品や工業製品を提供することができる。
前記家庭用品としては、例えば、本発明の組成物を含有してなる化粧品を挙げることができる。かかる化粧品としては具体的に、例えば、化粧水、乳液、浴剤、クレンジング剤等の洗浄剤、歯磨剤等が挙げられる。特に浴剤においては、主剤となる炭酸カルシウム等の金属塩類が沈殿することで浴槽を傷めることがあるが、本発明の組成物に含まれる金属微粒子は、液体成分中での分散安定性に優れており、浴剤中で沈降することがないため、本発明の組成物を含んでなる浴剤では浴槽の傷みが抑制される。
また、工業製品としては、例えば、農業用フィルム、壁床用シート材、樹脂添加用防燃剤等が挙げられる。これらの製品には、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム及び水酸化亜鉛より選ばれる金属塩類が含まれてなる、本発明の組成物が好適に使用される。該製品では、これらのミネラルが樹脂基剤中で安定分散しているため、成形加工後の物理強度、表面の平滑性、防燃性等の該製品の機能が向上しうる。
これらの製品は、適用対象の成分組成に従い、個々の製品の所望の効果の発現に充分な量の本発明の組成物を原料等に添加、配合することにより、公知の製造方法に従って適宜製造することができる。かかる製品中における本発明の組成物の含有量としては、通常、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましい。
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【実施例1】
ピロリン酸第二鉄〔富田薬品工業(株)製〕4kgを脱イオン水94.9kgに分散させた分散液をダイノーミルに供し、ピロリン酸第二鉄の粒子を物理的に破砕し、平均粒子径約0.25μmの該粒子を含むスラリーを調製した。該スラリーにジグリセリンモノラウレート〔商品名「サンソフトQ−12D」;HLB=9;モノエステル含量80重量%;比重0.9;(株)太陽化学製〕1.1kgを添加して溶解し、液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で10分間保持した。以上により、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(発明品A)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。該分散液を透明容器に充填して常温(25℃)にて保存した。
【実施例2】
ピロリン酸第二鉄〔富田薬品工業(株)製〕4kgを脱イオン水93kgに分散させた分散液をダイノーミルに供し、ピロリン酸第二鉄の粒子を物理的に粉砕し、平均粒子径約0.25μmの該粒子を含むスラリーを調製した。該スラリーに、ジグリセリンモノミリステート〔商品名「サンソフトQ−14D」;HLB=8.3;モノエステル含量75重量%;比重0.9;(株)太陽化学製〕1.2kgとペンタグリセリンモノラウレート〔A−121E;HLB=13;比重0.9;(株)太陽化学製〕0.1kgとを65℃まで予め加温した脱イオン水1.7kgに混合、溶解して調製した乳化剤調製液を添加して溶解した。液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で10分間保持した。以上により、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(発明品B)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。該分散液を透明容器に充填して常温にて保存した。
【実施例3】
塩化第二鉄6水和物13kgをイオン交換水60kgに溶解して鉄溶液を調製した。ピロリン酸四ナトリウム10水和物20kgをイオン交換水500kgに溶解して調製した溶液中に、攪拌下、前記鉄溶液を徐々に添加した。得られた混合液のpHをホリバ(HORIBA)製作所製ハンディpHメーターを用いて3に調製した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行い、固相部のピロリン酸第二鉄を回収した。ピロリン酸第二鉄をイオン交換水中に再懸濁し、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄の粒子(平均粒子径約0.21μm)を含むスラリーを得た。そのスラリー50kgを別のステンレスビーカーに移し、ジグリセリンモノパルミテート(HLB=7.3;モノエステル含量80重量%;比重0.9;(株)太陽化学製)0.8kgを添加して溶解し、液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で10分間保持した。以上により、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(発明品C)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。該分散液を透明容器に充填して常温にて保存した。
比較例1
塩化第二鉄6水和物13kg及び酵素分解レシチン〔商品名「サンレシチンA」;HLB=15;比重0.9;(株)太陽化学製〕0.3kgをイオン交換水60kgに溶解して鉄溶液を調製した。ピロリン酸四ナトリウム10水和物20kgをイオン交換水500kgに溶解して調製した溶液中に、攪拌下、前記鉄溶液を徐々に添加した。得られた混合液のpHをホリバ(HORIBA)製作所製ハンディpHメーターを用いて3に調製した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行い、固相部のピロリン酸第二鉄を回収した。ピロリン酸第二鉄をイオン交換水中に再懸濁し、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄の粒子(平均粒子径約0.21μm)を含むスラリーを得た。そのスラリー50kgを別のステンレスビーカーに移し、デカグリセリンモノミリステート(HLB=14;比重0.9;(株)太陽化学製)0.4kgを添加して溶解し、液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で10分間保持した。以上により、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(比較品A)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.28μm)。該分散液を透明容器に充填して常温にて保存した。
比較例2
実施例2のジグリセリンモノミリステートとペンタグリセリンモノラウレートとの乳化剤調製液3kgの代わりに、シュガーエステル〔商品名「リョートーシュガーエステルS−1670」;HLB=16;三菱化学フーズ(株)製〕1kgとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(商品名「TL−10」;HLB=16.9;比重0.9;光ケミカルズ製)0.8kgとを脱イオン水1.2kgに溶解させて得た乳化剤調製液を用いた以外は、実施例2と同様にして、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(比較品B)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。該分散液を透明容器に充填して常温にて保存した。なお、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート中の(20)とは、エチレンオキサイドの付加モル数を表わす。
比較例3
実施例3のジグリセリンモノパルミテート0.8kgの代わりに、アラビアガム(コロイドナチュレルジャパン社製)0.8kgを用いた以外は、実施例3と同様にして、固形分濃度4重量%のピロリン酸第二鉄分散液組成物(比較品C)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。該分散液を透明容器に充填して常温にて保存した。
試験例1
実施例1〜3の発明品A〜Cと比較例1〜3の比較品A〜Cとについて、両者に含まれるミネラル分(鉄)の生体吸収性を比較した。
(被験試料投与後の血清鉄濃度の測定)
被験試料として発明品A〜C及び比較品A〜Cをそれぞれ用いた。
10週齢のSD系雄ラットを発明品A〜C及び比較品A〜Cのそれぞれの投与群(1群10匹)に分けた。対照として水投与群を1群設けた。各群のラットを18時間絶食させた後、発明品A〜C及び比較品A〜Cをそれぞれ蒸留水に溶かし、ラット1匹当たり2mg鉄/kg体重相当量に調整したものをゾンデにてラットに強制的に経口投与した。水投与群には、同様にして水を経口投与した。
投与後、0.5、1、2、4又は8時間経過時に頚静脈から採血を行い、速やかに血清分離を行った後、血液学の標準化に関する国際委員会(International Committee for Standardization in Hematology)の標準法に従って血清中における鉄(血清鉄)濃度を測定した。各群ごとに各測定結果(10匹の平均値)と、被験試料又は水投与後、0.5〜8時間経過時の血清鉄の総量を示す曲線下面積を表1に示す。また、併せて、本試験での血清鉄濃度の最高値及び該濃度が最高に達した時点を示す。さらに、前記各測定結果に基づいて作成した、各群での血清鉄濃度の経時変化を示すグラフを第1図に示す。

表1及び第1図に結果を示すように、比較品を投与した場合の血清鉄濃度の経時変化では、投与後0.5時間から1時間程度で最高血清鉄濃度に到達した後(比較品Aを除く)、緩やかに減少する一方、発明品の場合、投与後2時間程度で最高血清鉄濃度に到達した後、緩やかに減少した。また、表1のデータに基づき、発明品と比較品の体内に取り込まれた総鉄量を曲線下面積として算出した値により有意差検定を行ったところ、発明品を投与した場合、比較品を投与した場合と比べて、危険率5%で有意に高値を示した。
これらの結果より、発明品A〜Cに含まれる鉄は、比較品A〜Cに含まれるものと比べ、明らかに吸収性が高まっていることが分かる。また、発明品A〜Cでは比較品A〜Cに比べ、投与後における最高血清鉄濃度到達時間が遅く、また、その際の血清鉄濃度が高く、長時間に渡って高い血清鉄濃度が維持されていることから、発明品A〜Cは優れた徐放性を発現することが分かる。
比較品Aで、発明品に類似の徐放的挙動を示しているが、これは酵素分解レシチンによる効果と考えられる。しかしながら、該酵素分解レシチンは親水性の乳化剤である為、腸管上皮細胞の細胞膜との親和性が低いと考えられる。比較品Aでは、発明品に比べて、投与後、0.5〜8時間経過時の血清鉄の総量は低い結果となっている。このことから、発明品に含まれる鉄の吸収性、言い換えれば、該鉄の生体利用率は、比較品Aに比べて高い言える。
試験例2
実施例1〜3の発明品A〜Cと比較例1〜3の比較品A〜Cとについて、それらの保存安定性を比較した。
(保存安定性の評価)
発明品及び比較品を常温で静置保存し、それらの調製直後から3ヵ月の間まで、分散液中の成分の分離及び沈殿の発生の状況を定期的に肉眼により観察し、以下の評価基準に従って状況を記録した。結果を表2に示す。
〔評価基準〕
○:成分の分離がなく、容器の底に沈殿なし
△:成分の分離がやや認められ、容器の底に少量の沈殿が認められる
×:成分の分離が発生しており、容器の底に多量の沈殿が認められる

表2の結果より、発明品A〜Cの分散液では、保存時において成分の分離や沈殿の発生が実質的に無く、良好な保存安定性を示すのに対し、比較品A〜Cの分散液は、容易に成分の分離や沈澱が発生し、保存中の容器の底に多量の沈殿が見られるなど、保存安定性に乏しいことが分かる。このような差は、発明品に含まれる金属微粒子の分散性や分散安定性が、比較品のものに比べ高いことによるものと考えられる。
【実施例4〜6】
実施例1〜3の発明品A〜Cを、市販の牛乳100g中にピロリン酸第二鉄換算で12mg量含まれるようにそれぞれ添加した。次いで、高圧ホモジナイザーにて16.7MPaの圧力で均質化した後、145℃、2秒間の超高温短時間(UHT)殺菌処理を行い冷却して鉄分強化牛乳を調製した。
試験例3
実施例1〜3の発明品A〜Cと比較例1〜3の比較品A〜Cとについて、それらの牛乳中での分散安定性を比較した。
(牛乳中での分散安定性の評価)
実施例1〜3の発明品A〜Cを各々用いて調製した実施例4〜6の鉄分強化牛乳、並びに比較例1〜3の比較品A〜Cを用いて実施例4〜6の記載に従って調製した比較鉄分強化牛乳を透明容器に充填して常温で静置保存し、それらの調製直後から7日の間まで、該牛乳中の成分の分離及び沈殿の発生の状況を定期的に肉眼により観察し、以下の評価基準に従って状況を記録した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
○:成分の分離がなく、容器の底に沈殿なし
△:成分の分離がやや認められ、容器の底に少量の沈殿が認められる
×:成分の分離が発生しており、容器の底に多量の沈殿が認められる

表3の結果より、発明品A〜Cを添加した牛乳では、保存時において成分の分離や沈殿の発生が実質的に無く、良好な保存安定性を示すのに対し、比較品A〜Cを添加した牛乳は、容易に成分の分離や沈澱が発生し、保存中の容器の底に多量の沈殿が見られるなど、保存安定性に乏しいことが分かる。このような差は、発明品に含まれる金属微粒子の分散性や分散安定性が、比較品のものに比べ高いことによるものと考えられる。
【実施例7】
ピロリン酸第二鉄〔富田薬品工業(株)製〕4kgを脱イオン水93.5kgに分散させた分散液をダイノーミルに供し、ピロリン酸第二鉄の粒子を物理的に破砕し、平均粒子径約0.25μmの該粒子を含むスラリーを調製した。該スラリーにジグリセリンモノラウレート〔商品名「サンソフトQ−12D」;HLB=9;(株)太陽化学製〕1.5kgを添加して溶解し、液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で10分間保持した。さらに、得られた混合物(金属微粒子3kg)にデキストリン8kgと水溶性大豆多糖類2kgを溶解し、スプレードライによって粉末化し、ピロリン酸第二鉄を25重量%含んでなる粉末組成物を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25m)。該組成物は脱イオン水への分散性に優れ、得られた分散液の保存安定性は良好であった。
【実施例8】
水酸化カルシウム3kgをイオン交換水300kgに分散した。得られた分散液に、攪拌下、85重量% リン酸溶液3.3kgをイオン交換水で全量が100kgになるように希釈して得た溶液を徐々に添加した。得られた混合液のpHをホリバ(HORIBA)製作所製ハンディpHメーターを用いて5に調整した。中和反応によるリン酸カルシウムの造塩が終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行い、固相部のリン酸カルシウム4.1kg(乾燥重量換算)を回収した。該リン酸カルシウムをイオン交換水中に再懸濁し、固形分濃度10重量%のリン酸カルシウムの粒子(平均粒子径約0.30μm)を含むスラリーを得た。該スラリー10kg対しジグリセリンモノラウレート〔商品名「サンソフトQ−12D」;HLB=9;(株)太陽化学製〕0.1kgを添加して溶解し、液温が45℃になるまで加熱し、ホモジナイザーで15分間処理した後、さらに液温を75℃に昇温し、75℃で20分間保持した。得られたリン酸カルシウム分散液組成物(金属微粒子の平均粒子径約0.30μm)を透明容器に充填して1ヶ月間常温で静置保存したところ、成分の分離や沈澱の発生はなく、分散安定性に優れていた。
比較例4
ジグリセリンモノラウレートの代わりにデカグリセリンモノステアレート〔商品名「サンソフトQ−18S」;HLB=12;比重0.9;(株)太陽化学製〕を用いたこと以外は実施例8と同様にして、リン酸カルシウム分散液組成物を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.25μm)。得られた組成物を透明容器に充填して1週間常温で静置保存したところ、容器の底に多量の沈殿が見られた。
【実施例9】
85重量% リン酸溶液2.7kgをイオン交換水で全量が100kgになるように希釈して得た溶液を、攪拌下、水酸化マグネシウム2kgをイオン交換水300kgに添加後、ジグリセリンモノカプレート〔商品名「サンソフトQ−10D」;HLB=9.5;モノエステル含量85重量%;比重0.9;(株)太陽化学製〕2kgをさらに添加して溶解して得た溶液中に徐々に添加した。得られた混合液のpHをホリバ(HORIBA)製作所製ハンディpHメーターを用いて8に調整した。中和反応によるリン酸マグネシウムの造塩反応が終了した後、遠心分離(3000×g、10分間)によって固−液分離を行い、固相部のリン酸マグネシウム4kg(乾燥重量換算)を回収した(金属微粒子の平均粒子径約0.31μm)。該リン酸マグネシウムをイオン交換水に再懸濁し、固形分濃度10重量%のリン酸マグネシウム分散液組成物(金属塩類100重量部に対し乳化剤20重量部含有)を得た。得られた組成物を透明容器に充填して1ヶ月間常温で静置保存したところ、成分の分離や沈澱の発生はなく、分散安定性に優れていた。
比較例5
ジグリセリンモノカプレートの代わりにショ糖脂肪酸エステル〔商品名「リョートーシュガーエステルP−1670」;三菱化学(株)製〕を用いたこと以外は実施例9と同様にして、リン酸マグネシウム分散液組成物(金属塩類100重量部に対し乳化剤20重量部含有)を得た(金属微粒子の平均粒子径約0.31μm)。得られた組成物を透明容器に充填して1週間常温で静置保存したところ、容器の底に多量の沈殿が見られた。
【産業上の利用可能性】
本発明により、ミネラルの生体吸収性、すなわち、生体利用率に優れ、二次凝集によるミネラル粒子の粗大化がなく、また、製造時の作業性や水相中での分散性、分散安定性にも優れ、さらに、食品等に添加した場合に、その味、色、物性等に実質的に影響のない、ミネラル補給剤として使用されうるミネラル組成物が提供される。該組成物は、例えば、食品又は飲料のミネラル強化に好適に使用することができる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃の水中での溶解度積が1.0×10−7以下の金属塩類100重量部に対して、HLBが6〜10の乳化剤を0.5〜50重量部含有してなり、かつ前記金属塩類が平均粒子径0.05〜1μmの微粒子であることを特徴とするミネラル組成物。
【請求項2】
乳化剤がジグリセリン脂肪酸エステルである請求項1記載のミネラル組成物。
【請求項3】
ジグリセリン脂肪酸エステルが、モノエステルを50重量%以上含有してなるものである、請求項2記載のミネラル組成物。
【請求項4】
金属塩類が、カルシウム、マグネシウム、鉄又は亜鉛を含んでなる金属塩類より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3いずれか記載のミネラル組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のミネラル組成物を含有してなる食品又は飲料。

【国際公開番号】WO2005/004640
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【発行日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503846(P2005−503846)
【国際出願番号】PCT/JP2003/008750
【国際出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】