説明

ミネラル高含有炭酸飲料及びその製造方法

【課題】ミネラルを高濃度に含有しつつも喉越しがよく、風味の良好な飲料を提供する。
【解決手段】 カルシウム及びマグネシウムを含有するミネラル含有飲料であって、(1)硬度(A)=1500〜3900、(2)カスボリューム(B)=1.0以上4.0未満、(3)(A)/(B)=400〜1200である炭酸飲料及びその製造方法並びに(1)硬度(A)=1500〜3900、(2)カスボリューム(B)=1.0以上4.0未満及び(3)(A)/(B)=400〜1200に調整することを特徴とするミネラル含有飲料の喉越し改善方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルを高濃度に含有する炭酸飲料及びその製造方法並びにミネラル高含有炭酸飲料の喉越し改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラル(無機質)は、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミンと共に五大栄養素の一つとして数えられ、人間にとって必須の栄養素である。1999年に厚生労働省が策定した「第六次改定日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」によれば、ミネラルとして、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデンの13種が挙げられている。また、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」(2005年版)では、ミネラルとしてマグネシウム、カルシウム及びリンが列挙され、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン及びヨウ素は微量元素、ナトリウム及びカリウムは電解質に区分されている。
【0003】
ミネラルの中で、カルシウム及びマグネシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素であるが、国民栄養調査結果によれば、日本人のカルシウム及びマグネシウムの摂取量は摂取基準値を下回り、摂取不足が指摘されている。この摂取不足を通常の食生活以外で補う方法としてサプリメントまたは飲料でミネラルを補給することが考えられるが、サプリメントは摂取量が多いために粒の大きさが大きくなるか、粒数が多くなることになり、継続摂取を困難にしている。一方飲料で効率的に摂取しようとすると、高ミネラル飲料特有の舌にまとわりつくような感触や喉越しの悪さ、塩味及び苦味により継続摂取を困難にしている。
【0004】
高ミネラル含有飲料特有の喉越しの悪さ、塩味及び苦味の改善について様々な試みがなされてきた。特許文献1に記載の発明は、トレハロースを含有させることにより塩味や苦味を低減させるが、ミネラル含有量(硬度)は20〜900mg/Lと比較的低濃度のミネラル含有飲料を対象としている。特許文献2に記載の発明は、マグネシウム含有飲料を飲みやすくするために酢及びにがりを含有させているが、酢は刺激臭があり、消費者に敬遠される傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−89547号公報
【特許文献2】特開2004−275143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ミネラルを高濃度で含有しつつも、高ミネラル飲料特有の喉越しの悪さ、塩味及び苦味を改善することのできる飲料及びその製造方法並びに高ミネラル飲料の喉越し改善方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願第1の発明は、カルシウム及びマグネシウムを含有するミネラル含有炭酸飲料であって、(1)硬度(A)=1500〜3900、(2)ガスボリューム(B)=1.0以上4.0未満、(3)(A)/(B)=400〜1200である炭酸飲料に関するものである。
本願第2の発明は、さらに(C)ナトリウムを2〜29mg/100mL含有することを特徴とする炭酸飲料に関するものである。
本願第3の発明は、さらにカルシウム及びマグネシウムの添加比率(Ca/Mg)が、質量基準で0.5〜10であることを特徴とする炭酸飲料に関するものである。
本願第4の発明は、さらに(D)浸透圧を160〜320mOsmに調整することを特徴とする炭酸飲料に関するものである。
本願第5の発明は、(1)硬度(A)を1500〜3900に調整する工程と、(2)ガスボリューム(B)を1.0以上4.0未満に調整する工程と、(3)(A)/(B)を400〜1200に調整する工程とを含むことを特徴とするミネラル含有炭酸飲料の製造方法に関するものである。
本願第6の発明は、(1)硬度(A)=1500〜3900、(2)ガスボリューム(B)=1.0以上4.0未満、(3)(A)/(B)=400〜1200に調整することを特徴とするミネラル含有炭酸飲料の喉越し改善方法に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミネラルを高濃度に含有しつつも喉越しがよく、風味の良好な飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明においてミネラルとは、マグネシウム、カルシウム及びリンを言う。特に限定する場合は、マグネシウム及びカルシウムを指す。本実施形態に係るミネラル高含有飲料は、カルシウム及びマグネシウムの含有量が硬度で1500以上の飲料をいう。また、ミネラル高含有炭酸飲料は、上記ミネラル高含有飲料のうち、ガスボリュームが1.0以上4.0未満である炭酸を含有する飲料を意味する。
【0010】
本発明の飲料は、硬度(A)が、1500〜3900、好ましくは1550〜3000、さらに好ましくは1600〜2500、最も好ましくは1600〜2200である。1500以上の硬度において高ミネラル飲料特有の喉越しの悪さ、塩味及び苦味が生じ、それらを抑制する必要がある。一方で3900を越える場合には、呈味が好ましくないばかりか長期低温保存した場合に沈殿を生ずる恐れがある。
本発明において硬度(mg/L)とは飲料中に含まれるカルシウム(Ca)塩やマグネシウム(Mg)塩の濃度をアメリカ硬度で示したものであり、計算式はカルシウム濃度(mg/L)×2.5+マグネシウム濃度(mg/L)×4で表される。
【0011】
また、本発明の飲料において添加するミネラルは、カルシウム及びマグネシウムである。カルシウム及びマグネシウムの調整乃至硬度の調製は、例えば、乳酸カルシウムや塩化マグネシウムを蒸留水、天然水、海水、海洋深層水などに溶解することにより最終的な硬度が上記範囲に収まるよう適宜配合することによって達成することができる。
カルシウム源としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウムを挙げることができ、溶解度や味覚の点から、好ましくは乳酸カルシウムである。マグネシウム源としては、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウムを挙げることができ、溶解度や味覚の点から、好ましくは塩化マグネシウムである。カルシウム及びマグネシウムの添加比率(Ca/Mg)は、質量基準で0.5〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2である。かかる比率にすることにより、味及び摂取量のバランスを取ることができる。
【0012】
また、本発明の飲料は、ガスボリューム(B)が1.0以上4.0未満(3.9)、好ましくは2.0〜3.3、更に好ましくは2.2〜3.0、最も好ましくは2.5〜3.0である。本なお、本実施形態におけるガスボリュームとは、1気圧15.6℃において、炭酸飲料中に溶解している炭酸ガスの体積を炭酸飲料の体積で割ったものをいう。ボリュームが上記範囲内であることで、炭酸ガスによる適度な清涼感や爽快感等を得ることができ、高ミネラル飲料特有の喉越しの悪さ、塩味及び苦味を軽減することができる。
ガスボリュームの調製は、常法に従ってカーボネーターにて炭酸を一定量封入することによって達成することができる。
【0013】
さらに、本発明の飲料は、硬度(A)/ガスボリューム(B)が400〜1200、好ましくは500〜900、更に好ましくは500〜800、最も好ましくは530〜760である。ガスボリュームが上記範囲内であることで、炭酸ガスによる適度な清涼感や爽快感等を得ることができ、高ミネラル飲料特有の喉越しの悪さ、塩味及び苦味を抑制することができる。
【0014】
本実施形態に係る飲料は、さらに(C)ナトリウムを含有するものである。(C)ナトリウムを本発明の飲料に配合することで、カルシウム及び/またはマグネシウムが有する特有の喉越しの悪さをさらに効果的に軽減することができる。(C)ナトリウムを2〜29mg/100mL、好ましくは3〜28mg/100mL、さらに好ましくは5〜25mg/100mL、最も好ましくは10〜20mg/100mL含有することで、カルシウム及び/またはマグネシウムが有する特有の喉越しの悪さをさらに効果的に軽減することができる。
【0015】
ナトリウムの調整乃至硬度の調製は、例えば、塩化ナトリウムを蒸留水、天然水、海水、海洋深層水に最終的なナトリウム濃度、乃至は硬度が上記範囲に収まるように適宜配合することによって達成することができる。
ナトリウム源としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムを挙げることができ、溶解度や味覚の点から、好ましくは塩化ナトリウムである。
【0016】
本実施形態に係る炭酸飲料は、水分の吸収性の観点からもさらに(D)浸透圧を調整するものである。浸透圧は、160〜320mOsm、好ましくは180〜300mOsm、さらに好ましくは200〜280mOsmである。本発明の浸透圧調整に使用される糖は、砂糖(スクロース、ショ糖)、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、高果糖液糖等であり、好ましくは果糖及び/又は砂糖である。
【0017】
本実施形態に係る飲料のpHは、4.2以下であるのが好ましく、3.0〜4.0であるのがより好ましい。飲料のpHが上記範囲であれば、呈味を損なうことなくほどよい酸味を与えることができる。pHは、レモン、リンゴ、ぶどう、オレンジなどの果実のような天然成分や、クエン酸、ビタミンC、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸などの酸味料を適量配合することによって調整することが可能である。
【0018】
また、本実施形態に係る炭酸飲料は野菜汁及び果汁を含んでもよい。また所望により、トレハロース、キシリトール、スクラロース、ステビア抽出物、ソルビトール、カンゾウ抽出物やラカンカ抽出物等の甘味料;ペクチン、ゼラチン、コラーゲン、寒天、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、アラビアガム、グァーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム等の増粘安定剤;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料;酸化防止剤;炭酸水素ナトリウム(重曹)等のpH調整剤;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;食物繊維、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナイアシン、パントテン酸等の強化剤;各種乳酸菌等をさらに含有していてもよい。
【0019】
本実施形態に係る飲料は、容器に充填した形態で提供することができる。当該容器としては、例えば、金属缶、PETボトル、ガラスビン等が挙げられるが、これらのうちPETボトルやガラスビン等の透明性を有する容器であるのが好ましい。本実施形態に係る飲料は、ミネラルを高含有するのにも関わらず、それらの凝集・沈殿が抑制され、目立ち難いものであるため、透明性を有する容器に充填し、長時間静置されたとしても、飲料の見栄えを良好に維持することができる。
【0020】
本実施形態に係る飲料は、硬度の調製、即ちカルシウムやマグネシウムの濃度調製、及びガスボリュームの調製以外は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、飲用に適した水(例えば、イオン交換水、井水、市水、地下水等)にカルシウム濃度及びマグネシウム濃度を調製するための乳酸カルシウムや塩化マグネシウムを添加して、カルシウム、マグネシウムを上述したような含有量となるように調製し、必要に応じてさらに果糖や砂糖、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸等の配合剤を添加し、pH調整剤、その他やレモン透明果汁、ビタミンC等を添加することにより、飲料原液のpHを所定の範囲に調整し、加熱殺菌して攪拌し、飲料原液を調製する。その後、飲料原液を冷却し、カーボネーターといわれる炭酸ガス吹き込み装置でガスボリュームが所定の範囲になるように炭酸ガスを吹き込み、PETボトルや缶容器に充填して容器詰飲料となす。
【0021】
このようにして得られた本実施形態に係る飲料は、ミネラルを高濃度に含有しつつも喉越しを良くすることができるため、飲みやすく、ミネラル分を恒常的に補給するのに良好な飲料とすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、試験例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
【0023】
〔試験例1〕
蒸留水に、カルシウム源として乳酸カルシウム(カルシウム量13質量%)、マグネシウム源として塩化マグネシウム(マグネシウム量11質量%)を用い、表1の配合に基づいて、対照及び試験例1−1〜1−9の配合を作成した。これらの配合物を、90℃5分加熱殺菌し、10℃以下に冷却し、簡易カーボネーターにて炭酸ガスを封入し、ガスボリュームを調整後容器に充填し、炭酸飲料を製造した。
【0024】
【表1】

【0025】
上述のようにして得られた炭酸飲料(試験例1−1〜1−9)を、液温5℃とし、8人のパネラーにより、ミネラル摂取量が同量になるように官能量を調節し、対照と比較することにより、官能試験を実施した。結果を表1に示す。なお、表1中、苦味及び喉越しの評価方法は以下のとおりである。
【0026】
1.苦味の評価方法
(1)採点基準
a)−3点:対照より顕著に苦味が抑制されている。
b)−2点:対照より苦味が抑制されている。
c)−1点:対照よりやや苦味が抑制されている。
d)0点:対照と同程度の苦味がある。
e)1点:対照よりやや苦味が強い。
f)2点:対照より苦味が強い。
g)3点:対照より顕著に苦味が強い。
(2)評価基準
パネラー8人の採点結果の平均が0未満の場合が○、0以上が×と評価した。
【0027】
2.喉越しの評価方法
(1)採点基準
a)−3点:対照と比較して顕著に喉越しが悪く、飲みにくい。
b)−2点:対照と比較して喉越しが悪く、飲みにくい。
c)−1点:対照と比較して喉越しが良くなく、やや飲みにくい。
d)0点:対照と同程度の喉越し及び飲みやすさである。
e)1点:対照と比較して喉越しが良く、やや飲みやすい。
f)2点:対照と比較して喉越しが良く、飲みやすい。
g)3点:対照と比較して顕著に喉越しが良く、飲みやすい。
(2)評価基準
パネラー8人の採点結果の平均が1以上の場合が○、0.5を上回り、1.0未満の場合が△、0.5以下が×と評価した。
【0028】
3.総合評価方法
苦味及び喉越しの評価に基づき、○のみの場合は○、△があり×が無い場合は△、×が1つでもある場合は×と評価した。
【0029】
表1に示すように、試験例1−1〜1−5で良好な結果が得られた。硬度においては硬度1600付近が良好であり、3900を越えると喉越しは許容されても苦味が強調されてしまうという結果が得られた。ガスボリュームは1.5〜3.5の範囲が良好であり、2.2〜3.0がとりわけ良好であった。硬度/ガスボリュームについては、467〜1090が良好であり、545〜743でとりわけ良好な結果が得られた。以上の結果を総合すると、硬度が1500〜3900、ガスボリュームが1.0以上4.0未満、好ましくは2.0以上3.0以下、硬度/ガスボリュームが400〜1200、好ましくは500〜800の炭酸飲料においては、ミネラルを高濃度に含有していても喉越しがよく、風味の良好な炭酸飲料が得られるものと考えられる。
【0030】
〔試験例2〕
次に、ナトリウム含有量及び浸透圧について試験した。試験例1と同様に、蒸留水にカルシウム源として乳酸カルシウム(カルシウム量13質量%)、マグネシウム源として塩化マグネシウム(マグネシウム量11質量%)、ナトリウムとして塩化ナトリウム(ナトリウム量40質量%)を用い、表2の配合に基づいて、試験例2−1〜2−7の配合を作成した。スクラロースを適量添加することにより、甘味度を砂糖換算で6%に合わせ、これらの配合物をpH3.5に調整した後、90℃5分加熱殺菌し、10℃以下に冷却した。その後簡易カーボネーターで炭酸ガスを封入して、ガスボリュームを調整した後、容器に充填し炭酸飲料を製造した。
【0031】
【表2】

【0032】
上述のようにして得られた炭酸飲料(試験例2−1〜2−7)を、液温5℃とし、10人のパネラーによる官能試験を実施した。結果を表2に示す。なお、表2中、苦味、塩味及び喉越しの評価方法は以下のとおりである。
【0033】
1.苦味の評価方法
(1)採点基準
a)1点:全く苦味を感じない。
b)2点:わずかに苦味を感じる。
c)3点:許容範囲の苦味を感じる。
d)4点:かなり強い苦味を感じる。
e)5点:苦味が強すぎて飲用に適さない。
(2)評価基準
パネラー10人の採点結果の平均が2以下の場合が◎、3以下の場合が○、3を上回る場合が×と評価した。
【0034】
2.塩味の評価方法
(1)採点基準
a)1点:全く塩味を感じない。
b)2点:わずかに塩味を感じる。
c)3点:許容範囲の塩味を感じる。
d)4点:かなり強い塩味を感じる。
e)5点:塩味が強すぎて飲用に適さない。
(2)評価基準
パネラー10人の採点結果の平均が2以下の場合が◎、3以下の場合が○、3を上回る場合が×と評価した。
【0035】
3.喉越しの評価方法
(1)採点基準
a)1点:飲みにくい。
b)2点:やや飲みにくい。
c)3点:飲みにくいとも飲みやすいとも思わない。
d)4点:やや飲みやすい。
e)5点:飲みやすい。
(2)評価基準
パネラー10人の採点結果の平均が4以上の場合が◎、3以上の場合が○、3未満の場合が×と評価した。
【0036】
4.総合評価方法
苦味、塩味及び喉越しの評価に基づき、全て◎の場合は◎、◎と○の場合は○、◎、○及び△のいずれかの組み合わせの場合は△、×が1つでもある場合は×と評価した。
【0037】
表2に示すように、ナトリウムの配合率が10〜20mg/100mLの範囲である試験例2−2及び2−3の炭酸飲料において結果が良好であった。この結果より、2〜29mg/100mL程度のナトリウムを含有させることにより、ミネラルを高濃度に含有していても苦味が顕著に低減され、塩味のバランスもよく、喉越しがよい風味の良好な炭酸飲料が得られると考えられる。
【0038】
また表2に示すように浸透圧が200mOsm付近(205〜210mOsm)の試験例2−2及び2−3の炭酸飲料において結果が良好であった。この結果より、160〜320mOsmの範囲の浸透圧とすることにより、ミネラルを高濃度に含有していても苦味が顕著に低減され、喉越しがよく、風味が良好な炭酸飲料が得られるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム及びマグネシウムを含有するミネラル含有炭酸飲料であって、
(1)硬度(A)=1500〜3900、
(2)ガスボリューム(B)=1.0以上4.0未満
(3)(A)/(B)=400〜1200
である炭酸飲料。
【請求項2】
さらに(C)ナトリウムを2〜29mg/100mL含有することを特徴とする請求項1に記載の炭酸飲料。
【請求項3】
さらにカルシウム及びマグネシウムの添加比率(Ca/Mg)が、質量基準で0.5〜10であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の炭酸飲料。
【請求項4】
さらに(D)浸透圧が160〜320mOsmに調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸飲料。
【請求項5】
(1)硬度(A)を1500〜3900に調整する工程と、
(2)ガスボリューム(B)を1.0以上4.0未満に調整する工程と、
(3)(A)/(B)を400〜1200に調整する工程と
を含むことを特徴とするミネラル含有炭酸飲料の製造方法。
【請求項6】
(1)硬度(A)=1500〜3900、
(2)ガスボリューム(B)=1.0以上4.0未満
(3)(A)/(B)=400〜1200
に調整することを特徴とするミネラル含有炭酸飲料の喉越し改善方法。

【公開番号】特開2010−252702(P2010−252702A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107018(P2009−107018)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】