説明

ミル付きキャップ

【課題】分解・組付作業の効率化を図り、メンテナンス性を向上させることができるミル付きキャップを提供する。
【解決手段】内容物が収容される容器本体2の口部3に装着される装着キャップ11と、容器本体2内に連通して内容物を吐出する吐出口12aを有し、装着キャップ11に対して軸線O回りに回転可能に組み付けられた吐出キャップ12と、装着キャップ11の内側に固定された筒状の外歯13と、吐出キャップ12に固定されるとともに、外歯13内に配設された内歯14と、を備え、装着キャップ11と吐出キャップ12とを相対的に軸線O回りに回転させることにより、内容物を外歯13と内歯14との間で粉砕しながら送り出し、吐出口12aから吐出するミル付きキャップ1において、吐出キャップ12には、吐出キャップ12に螺着することで、吐出キャップ12との間で内歯14を軸線O方向で挟持して固定する固定部材65が着脱可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミル付きキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粒状の内容物が収容された容器本体に装着して、内容物を粉砕して粉状にして供給するためのミル付きキャップが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、ミル付きキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着される装着キャップと、容器本体内に連通して内容物を吐出する吐出口を有し、装着キャップに対して軸線回りに回転可能に組み付けられた吐出キャップと、装着キャップおよび吐出キャップのうち一方の内側に固定された筒状の外歯と、装着キャップおよび吐出キャップのうち他方に固定されるとともに、外歯内に配設された内歯と、を備えている。
このようなミル付きキャップを使用する際には、まず容器本体にミル付きキャップを装着した後、容器本体を上下反転することで、内容物の一部が自重により内歯と外歯との間に入り込む。この状態で、装着キャップと吐出キャップとを相対的に回転させることにより、内容物が外歯と内歯との間で粉砕されながら送り出され、粉状になった内容物が吐出口から吐出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2906335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、内容物(目的)に応じた歯の交換作業や、歯の分解洗浄作業等のメンテナンス時において、歯の分解・組付作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、分解・組付作業の効率化を図り、メンテナンス性を向上させることができるミル付きキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るミル付きキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着される装着キャップと、前記容器本体内に連通して前記内容物を吐出する吐出口を有し、前記装着キャップに対して軸線回りに回転可能に組み付けられた吐出キャップと、前記装着キャップの内側に固定された筒状の外歯と、前記吐出キャップに固定されるとともに、前記外歯内に配設された内歯と、を備え、前記装着キャップと前記吐出キャップとを相対的に軸線回りに回転させることにより、前記内容物を前記外歯と前記内歯との間で粉砕しながら送り出し、前記吐出口から吐出するミル付きキャップにおいて、前記吐出キャップには、前記吐出キャップに螺着することで、前記吐出キャップとの間で前記内歯を軸線方向で挟持して固定する固定部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような特徴により、固定部材による螺着を解除するだけで、固定部材と吐出キャップとの間での内歯の挟持を解除することができるため、吐出キャップから内歯を簡単に取り外すことができる。これにより、内歯の交換作業や洗浄作業等における分解・組付作業を効率的に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
また、内歯を取り外すことで、外歯が開放されるため、外歯の洗浄作業も簡単に行うことができる。
【0009】
また、本発明のミル付きキャップにおいて、前記固定部材は、前記吐出キャップに螺着されるねじ部と、前記ねじ部の基端側に形成され、前記ねじ部に対して拡大された頭部と、を備えていてもよい。
【0010】
この場合には、頭部を指等で摘んで固定部材を操作することで、固定部材をより簡単に取り外すことができる。これにより、メンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明のミル付きキャップにおいて、外歯を間に挟んで軸線方向に沿う吐出口の反対側には、吐出キャップとの間で外歯を軸線方向に挟んで支持する外歯支持部材が配設され、外歯支持部材は、装着キャップ内に離脱自在に係合され、外歯支持部材には、外周縁から径方向の内方に向けて延在し、外歯支持部材を装着キャップから離脱させるように変形させるスリットが形成されていてもよい。
この場合には、外歯支持部材を取り外すだけで、外歯支持部材と吐出キャップとの間での外歯の支持を解除できるため、外歯を簡単に取り外すことができる。特に、外歯支持部材にスリットを形成したため、スリットを起点に外歯支持部材を装着キャップから離脱させるように変形させ易くすることができる。したがって、外歯支持部材をより簡単に取り外すことができ、外歯の交換作業や洗浄作業等における分解・組付作業を効率的に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明のミル付きキャップにおいて、外歯支持部材は、外歯を支持する環状の支持部を備え、支持部には、軸線方向に沿う容器本体の内側に向けて突出する脚部が延設されていてもよい。
この場合には、脚部を摘んで操作することで外歯支持部材を変形させ易くすることができる。したがって、外歯支持部材をより簡単に取り外すことができ、外歯の交換作業や洗浄作業等における分解・組付作業を効率的に行うことができ、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0013】
また、本発明のミル付きキャップにおいて、外歯を間に挟んで軸線方向に沿う吐出口の反対側には、吐出キャップとの間で外歯を軸線方向に挟んで支持する支持部を有する外歯支持部材が配設され、支持部の内側には固定部材が挿入される挿入筒部が配設され、挿入筒部は固定部材と内歯との間で軸線方向に挟持して固定されていてもよい。
【0014】
この場合には、上述したように固定部材と吐出キャップとの間で内歯を軸線方向に挟持するのに加え、固定部材と内歯との間で挿入筒部を軸線方向に挟持することで、外歯支持部材の支持部と吐出キャップとの間で外歯を軸線方向に挟持することができる。
すなわち、固定部材を着脱するだけで、外歯と内歯の双方が着脱可能となるため、メンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るミル付きキャップによれば、分解・組付作業の効率化を図り、メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態におけるミル付きキャップの断面図である。
【図2】外歯支持部材、及び固定部材の底面図である。
【図3】本発明の実施形態における他の構成を示すミル付きキャップの断面図である。
【図4】本発明の実施形態における他の構成を示す外歯支持部材、及び固定部材の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るミル付きキャップを説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るミル付きキャップ1は、例えば粒状の内容物が収容される容器本体2に装着されるものであって、容器本体2の口部3に装着される装着キャップ11と、容器本体2内に連通して内容物を吐出する吐出口12aを有し、装着キャップ11に対して軸線O回りに回転可能に組み付けられた吐出キャップ12と、装着キャップ11の内側に固定された筒状の外歯13と、吐出キャップ12に固定されるとともに、外歯13内に配設された内歯14と、を備えている。
なお、本実施形態では、ミル付きキャップ1、及び容器本体2の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿ったミル付きキャップ1側を上側、容器本体2側を下側という。また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
装着キャップ11は、上下方向に沿って延設された筒状に形成され、容器本体2の口部3に螺着された本体筒部21と、本体筒部21の外側を囲繞するように配置された外装筒部22と、を備えている。
まず、外装筒部22は、外径が容器本体2の胴部4と同等に形成されており、上端縁が本体筒部21の下部に連設されるとともに、下端縁が本体筒部21の下端縁よりも下方に位置している。すなわち、外装筒部22は、ミル付きキャップ1を容器本体2に装着したときに、容器本体2の口部3に対して径方向の外側に配置され、胴部4とともに外装面を構成している。
【0019】
本体筒部21は、容器本体2の口部3に着脱可能に螺着された下筒部23と、下筒部23の上側に位置して下筒部23よりも小径に形成された上筒部24と、を備えている。
【0020】
上筒部24は、内径が容器本体2の口部3の外径よりも小さく形成されている。上筒部24の上下方向において、下端部の内面には径方向の外側に向けて窪んだ係合凹部25が形成される一方、中間部分の外面には径方向の外側に向けて突出する係合凸部26が形成されている。
また、上筒部24には、径方向の外側に向けて窪んだ溝部27が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら溝部27は、係合凹部25を除く上筒部24における上下方向の全長に亘って形成されている。
【0021】
外歯13は、下方から上方に向かって漸次拡径された筒状に形成され、その内周面(歯面13a)に歯形を有している。外歯13には、径方向の外側に向かって突出するリブ31が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これらリブ31は、それぞれ上述した上筒部24の溝部27内に各別に収容され、これにより上筒部24(装着キャップ11)に対する外歯13の周方向への移動(回転)が規制されている。なお、溝部27に限らず、外歯13のリブ31を周方向の両側から挟み込む一対のリブを上筒部24に形成しても構わない。
【0022】
また、外歯13は、外歯支持部材32によって吐出キャップ12との間で上下方向に挟持されている。図1,2に示すように、外歯支持部材32は、外歯13の下端縁を支持する環状の支持部34と、支持部34の内周縁から下方に沿って延設された挿入筒部33と、挿入筒部33の下端部から下方に向けて突出する複数の脚部35と、を備えている。
挿入筒部33は、上述した下筒部23の内側に径方向に間隔をあけて配置されており、ミル付きキャップ1を容器本体2に装着したときに、容器本体2の口部3内に挿入される。すなわち、挿入筒部33と下筒部23との間に口部3が配置されている。
【0023】
支持部34は、外周縁が上述した上筒部24の係合凹部25に離脱自在にアンダーカット嵌合された状態で、その上面が外歯13の下端縁に当接している。これにより、支持部34は、吐出キャップ12の後述する連結環41との間で外歯13を上下方向で挟持している。また、支持部34には、外周縁から径方向の内方に向けて延在する複数のスリット36が周方向に沿って間隔をあけて形成されている。これにより、外歯支持部材32は、スリット36を起点にして装着キャップ11から離脱するように変形可能に構成されている。なお、本実施形態のスリット36は、周方向に沿う90度ごとに等間隔に形成されている。
【0024】
さらに、支持部34には、下方に向けて突出する台座部37が周方向に沿うスリット36を除く全域に亘って形成されている。台座部37は、上方から下方に向かうに従い漸次先細る断面視台形状に形成されており、下端縁が径方向に沿う平坦面に形成されている。そして、台座部37の下端縁は口部3の上端縁に当接している。
【0025】
脚部35は、上述した挿入筒部33における周方向の一部が挿入筒部33と同等の曲率半径で下方に向けて延設された板状の部材であり、容器本体2の口部3内に配置されている。また、脚部35は、周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。なお、本実施形態の脚部35は、上述した各スリット36間に配置されるとともに、周方向に沿う90度ごとに等間隔に形成されている。すなわち、本実施形態では、脚部35とスリット36とが周方向に沿って互い違いに配設されている。
【0026】
図1に示すように、吐出キャップ12は、上下方向に沿って延設された筒状の部材であり、装着キャップ11の上筒部24に装着される装着筒42と、装着筒42の上側で上方に向けて立設された吐出筒43と、装着筒42の上端縁、及び吐出筒43の下端部を連結する連結環41と、吐出筒43の内側に配置されて内歯14を支持する内歯支持部材44と、を備えている。また、前記吐出筒43には、吐出口12aが形成されている。
【0027】
装着筒42には、上下方向の中央部の内面に径方向の外側に窪んだ係合凹部47が形成されており、上述した上筒部24の係合凸部26にアンダーカット嵌合されている。そして、装着筒42は、本体筒部21に対して軸線O回りに回転可能に装着されている。この場合、装着筒42の下端部は、外装筒部22に近接する位置まで延び、下筒部23の上端部を径方向の外側から囲繞している。
【0028】
連結環41は、装着筒42の上端縁から径方向の内側に向けて張り出しており、装着キャップ11の上筒部24、及び外歯13との間に上下方向に間隔をあけて配置されている。また、連結環41の外周側には、下方に向けて突出する突起部45が周方向の全周に亘って形成され、この突起部45の下端部が装着キャップ11における上筒部24の上端縁に当接している。さらに、連結環41の内周側には下方に向けて突出する突起部46が周方向の全周に亘って形成され、この突起部46が外歯13の上端縁に当接している。
【0029】
吐出筒43は、装着筒42に比べて小径に形成されるとともに、連結環41の内周縁から上方に向けて立設されている。吐出筒43の上端開口部は、ミル付きキャップ1を容器本体2に装着したときに、容器本体2内に連通して、容器本体2内の内容物を吐出するための吐出口12aを構成している。なお、吐出筒43には、吐出口12aを開閉可能とする図示しないオーバーキャップがアンダーカット嵌合されるようになっている。
【0030】
内歯支持部材44は、ベース部51と、ベース部51の外周側から下方に向けて延設された外筒52と、外筒52の内側に配置された内筒53と、を備えている。
ベース部51は、上面が吐出筒43の上端面と面一に配置されたリング状の部材であり、その外周縁と吐出筒43の内周縁とがブリッジ部54により架け渡されている。ブリッジ部54は、吐出筒43とベース部51との間を径方向に沿って延びる板状に形成され、周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
また、外筒52は、ベース部51の外周側から下方に向けて延設されており、上述した吐出筒43と同等の高さに形成されている。
【0031】
内筒53は、ベース部51の内周縁から下方に向けて延設され、上述した外筒52よりも長く形成されている。内筒53の下端部には、下方に向けて延びる螺着筒55が形成されている。この螺着筒55は、内筒53の上端部に比べて小径に形成されるとともに、内面に雌ねじ部56が形成されている。
また、内筒53の外面には、径方向に沿って突出するリブ57が周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。これらリブ57は、上端部がベース部51に連設される一方、下端部が螺着筒55と内筒53との境界部分まで形成されている。
【0032】
内歯14は、上方から下方に向かって漸次縮径された筒状に形成され、その内側に上述した内歯支持部材44の内筒53が挿入されている。また、内歯14の外周面(歯面14a)には、上述した外歯13の歯面13aに対向して歯形が形成されている。この場合、内歯14、及び外歯13の両歯面14a,13a間は、内容物を破砕しながら吐出口12aへと送り出す破砕通路Rを構成している。この破砕通路Rは、下方から上方に向かうに従い径方向の間隔が漸次縮小するように形成されている。
【0033】
内歯14には、内周面から径方向の外側に向かって窪んだ溝部61が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら溝部61は、その内側に内筒53のリブ57が収容されており、これにより内筒53(吐出キャップ12)に対する内歯14の周方向への移動(回転)が規制されている。なお、溝部61に限らず、内筒53のリブ57を周方向の両側から挟み込む一対のリブを内歯14に形成しても構わない。
【0034】
また、内歯14の上端面における外周縁には、上方に向けて突出する突条部62が形成されている。この突条部62は、上述した外筒52の下端部を囲繞するように形成され、内筒53(吐出キャップ12)に対する内歯14の径方向への移動を規制している。
さらに、内歯14の下端縁には、径方向の内側に向けて張り出す内フランジ部63が形成され、この内フランジ部63が固定部材65によって支持されている。
【0035】
ここで、固定部材65は、内歯支持部材44との間で内歯14を上下方向で挟持して固定するものであって、頭部66と、頭部66の上端部から上方に向けて立設されたねじ部67と、を有している。
ねじ部67は、上述した螺着筒55の雌ねじ部56に下方から着脱可能に螺着されている。
頭部66は、ねじ部67に対して拡大された平面視多角形状(本実施形態では八角形)に形成されており、その外径が螺着筒55よりも大径に形成されている。頭部66の上端縁は、上述した内歯14の内フランジ部63に当接しており、内歯支持部材44との間で内歯14を上下方向で挟持して固定している(内歯14の上下方向への移動を規制している)。
【0036】
次に、上述したミル付きキャップ1の使用方法について説明する。
まず、ミル付きキャップ1を容器本体2に装着するには、外歯支持部材32の挿入筒部33、及び脚部35を口部3内に挿入するとともに、装着キャップ11の本体筒部21を口部3に螺着する。
【0037】
そして、ミル付きキャップ1が装着された容器本体2から内容物を供給するためには、まず容器本体2を上下反転して、ミル付きキャップ1を下方に向ける。すると、容器本体2内の内容物が自重により落下し、その一部が外歯13と内歯14との間の破砕通路R内に入り込む。この状態で吐出キャップ12と装着キャップ11とを相対的に回転させると、内歯14と外歯13とが相対的に回転することで、破砕通路R内の内容物が両歯13,14の歯形によって破砕されながら、破砕通路Rを下流側に向けて送り出される。そして、破砕された内容物は、粉状になって破砕通路Rの出口(外歯13、及び内歯14の上端縁同士の間)から排出され、その後吐出筒43を通って吐出口12aから外部に吐出される。
【0038】
ここで、歯13,14の交換時や、歯13,14の洗浄時等において、歯13,14を分解・組付する方法について説明する。
まず、容器本体2に対して装着キャップ11を回転させ、ミル付きキャップ1を容器本体2から取り外す。
【0039】
次に、装着キャップ11から外歯支持部材32を取り外す。具体的に、複数の脚部35のうち径方向で対向する脚部35を摘み、これら脚部35をそれぞれ径方向の内側に向けて接近させる。すると、外歯支持部材32(支持部34)のうち、摘んだ脚部35それぞれの周方向両側に配設されたスリット36間に位置する部分が、下方に向けて湾曲するように変形する。すなわち、支持部34が上方に向けて凸に湾曲するように変形することで、外歯支持部材32の支持部34と、装着キャップ11の係合凹部25と、のアンダーカット嵌合が解除される。その後、外歯支持部材32を下方に引き抜くことで、装着キャップ11から外歯支持部材32が離脱する。これにより、外歯支持部材32と吐出キャップ12の連結環41との間における外歯13の挟持が解除される。
その後、装着キャップ11の本体筒部21から外歯13を引き抜くことで、外歯13を取り外すことができる。
【0040】
次に、固定部材65の頭部66を摘み、固定部材65を螺着筒55に対して回転させ、螺着筒55から固定部材65を取り外す。これにより、固定部材65の頭部66と内歯支持部材44とによる内歯14の挟持が解除される。その後、内筒53から内歯14を引き抜くことで、内歯支持部材44から内歯14を取り外すことができる。
そして、取り外した歯13,14を交換・洗浄した後、再び歯13,14を組み付ける場合には、上述した操作を上述した順序と逆の順序で行えばよい。
【0041】
このように、本実施形態では、吐出キャップ12の螺着筒55に着脱可能に螺着することで、吐出キャップ12との間で内歯14を上下方向で挟持して固定する固定部材65を備える構成とした。
この構成によれば、固定部材65による螺着を解除するだけで、固定部材65と内歯支持部材44との間での内歯14の挟持を解除することができるため、内歯支持部材44から内歯14を簡単に取り外すことができる。
また、本実施形態では、外歯支持部材32を取り外すだけで、外歯支持部材32と吐出キャップ12との間での外歯13の挟持を解除できるため、外歯13を簡単に取り外すことができる。この場合、外歯支持部材32に脚部35を設けているため、脚部35を摘んで装着キャップ11から外歯支持部材32を簡単に取り外すことができる。
さらに、本実施形態では、外歯支持部材32の支持部34にスリット36を形成したため、スリット36を起点に外歯支持部材32を装着キャップ11から離脱させるように変形させ易くすることができる。また、スリット36、及び脚部35を周方向で互い違いに配設することで、挿入筒部33をより変形させ易くすることができる。したがって、外歯支持部材32をより簡単に取り外すことができる。
このように、着脱可能に設けられた固定部材65、及び外歯支持部材32を取り外すだけで、歯13,14を取り外すことができるので、歯13,14の交換作業や洗浄作業等における分解・組付作業を効率的に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0042】
また、固定部材65にねじ部67に対して拡大された頭部66を形成したため、この頭部66を指等で摘んで固定部材65を操作することで、固定部材65をより簡単に取り外すことができる。これにより、メンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、固定部材65の頭部66を八角形状に形成したが、これに限らず、円形や、その他の多角形状に形成しても構わない。
また、脚部35やスリット36の数や幅等は、適宜設計変更が可能である。例えば、径方向のうち、一方向で対向する一対の脚部35と、一方向に直交する他方向で対向するスリット36と、を形成しても構わない。
また、容器本体2内に収容する内容物の種類は適宜変更が可能である。
さらに、固定部材65は、吐出キャップ12(螺着筒55)に着脱可能に螺着される構成であれば、頭部66は設けなくても構わない。
【0044】
なお、上述した実施形態では、外歯13、及び内歯14の双方を交換・組付する場合について説明したが、少なくとも内歯14を取り外せれば構わない。すなわち、少なくとも内歯14を取り外すことで、外歯13が開放されるため、外歯13の洗浄作業も簡単に行うことができる。
【0045】
さらに、上述した実施形態では、内歯14と外歯13をそれぞれ別々に固定する場合について説明したが、これに限らず、図3,4に示すように内歯14と外歯13とを固定部材65により共締めするような構成にしても構わない。
具体的に、外歯支持部材32は、外歯13の下端縁を支持する環状の支持部101と、支持部101の内側で固定部材65が挿入される挿入筒部102と、支持部101、及び挿入筒部102間を掛け渡すブリッジ部103と、を備えている。
支持部101には、上方に向けて突出する台座部110(図3参照)が形成され、この台座部110の上端縁に外歯13の下端縁が当接している。また、支持部101には、下方に向けて突出する突起部111が周方向の全周に亘って形成され、容器本体2における口部3の上端縁に当接している。さらに、支持部101の外周面には、径方向の外側に向けて突出する回り止め部112が形成され、装着キャップ11の本体筒部21に形成された収容部113に下方から収容されている。
【0046】
一方、固定部材65は、螺着筒55に螺着されるねじ部67と、ねじ部67の下端部に形成され、ねじ部67に対して拡大された頭部66と、を備えていても構わない。
頭部66は、上述した支持部101における挿入筒部102に挿入される小径部121(図3参照)と、小径部121の下端部から下方に向けて延設され、小径部121よりも大径の大径部122と、大径部122の下端縁から径方向の外側に向けて突出する一対の操作片123と、を備えている。操作片123は、径方向の内側から外側に向かうに従い周方向における幅が漸次拡大する扇形形状に形成され、径方向で対向するように配設されている。
【0047】
この場合、小径部121の上端縁と吐出キャップ12との間で内歯14が上下方向で挟持されるとともに、大径部122の上端縁と内歯14の下端縁との間で挿入筒部102が上下方向で挟持されることで、外歯支持部材32の支持部101と吐出キャップ12の連結環41との間で外歯13が上下方向で挟持されている。
この構成によれば、固定部材65を着脱するだけで、外歯13と内歯14の双方が着脱可能となるため、メンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
また、内容物に応じて、種類の異なる内歯14、外歯13、に交換することが容易となり、利便性、製造性に優れる。
【0048】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
2…容器本体 3…口部 11…装着キャップ 12…吐出口 12…吐出キャップ 13…外歯 14…内歯 65…固定部材 66…頭部 67…ねじ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記容器本体内に連通して前記内容物を吐出する吐出口を有し、前記装着キャップに対して軸線回りに回転可能に組み付けられた吐出キャップと、
前記装着キャップの内側に固定された筒状の外歯と、
前記吐出キャップに固定されるとともに、前記外歯内に配設された内歯と、を備え、
前記装着キャップと前記吐出キャップとを相対的に軸線回りに回転させることにより、前記内容物を前記外歯と前記内歯との間で粉砕しながら送り出し、前記吐出口から吐出するミル付きキャップにおいて、
前記吐出キャップには、前記吐出キャップに螺着することで、前記吐出キャップとの間で前記内歯を軸線方向で挟持して固定する固定部材が着脱可能に設けられていることを特徴とするミル付きキャップ。
【請求項2】
前記固定部材は、前記吐出キャップに螺着されるねじ部と、
前記ねじ部の基端側に形成され、前記ねじ部に対して拡大された頭部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のミル付きキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14342(P2013−14342A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146597(P2011−146597)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】