説明

ムユヨの花、トゲバンレイシの葉、及びウコンの根の抽出物を含む、肝炎を治療するための組成物

【解決手段】 ハーブ組成物及び肝炎の予防及び/若しくは治療におけるそれらの使用が提供される。前記ハーブ組成物は、それぞれCordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)及びCurcuma(ウコン属)の花、葉及び根の抽出物を有し、ここにおいて特異的な種は、Cordia lutea(ムユヨ)、Annona muricata(トゲバンレイシ)及びCurcuma longa(ウコン)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月3日に出願された米国仮出願第60/977,256号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、新規ハーブ組成物、及び肝疾患の予防及び/若しくは治療におけるそれらの使用に関するものである。特に、本出願のハーブ組成物は、Cordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)或いはCurcuma(ウコン属)の少なくとも一種、或いはそれらの抽出物、若しくはそれらの組み合わせを有するものである。
【背景技術】
【0003】
酸素ラジカル種(ORS)の形成は、炎症性−免疫疾患から心筋梗塞及び癌を含む、多くの急性及び慢性疾患の病因に関連している。ORSの過剰形成による有害効果のいくつかには、膜脂質の脂質過酸化、核酸及び糖に体する酸化障害、さらにはスルフヒドリルタンパク質及び他の感受性基の酸化が含まれる。抗酸化システムによって提供される防御は、生存に対して重要である。細胞内でのORSの解毒作用は、抗酸化防御システムを構成する、酵素的及び非酵素的システムで実行される(Middleton Jr.E.,Chithan K.,and Heoharides T.C.The Effects of Plant Flavonoids on Mammalian Cells:Implications for Inflammation,Heart Disease,and Cancer.Pharmacol Rev 52:673−751,2000)。
【0004】
脂質過酸化は、過酸化の結果生じる最終産物の潜在的細胞毒性のせいで、組織病変の増悪において生物学的に重要である。例えば、細胞の脂質過酸化の産物は発癌性である。最近、脂質過酸化が動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、虚血を患った後の脳及び脊髄への障害、癌、炎症、鉄毒性、及び化学及び生物学的因子によって誘導された肝毒性の発症に重要な役割を担っているということが強調されていた(Middleton Jr.E.,Chithan K.,and Heoharides T.C.The Effects of Plant Flavonoids on Mammalian Cells:implications for Inflammation,Heart Disease,and Cancer.Pharmacol Rev 52:673−751,2000)。
【0005】
慢性肝疾患は、毎年多数の死を引き起こしており、米国での死因第10位である。最近、肝疾患、特にウイルス感染によって引き起こされる肝疾患は重篤な健康問題であり、それらの治療の成功は、大きな挑戦となる。肝障害の多くは有効な治療法がない。最近、ウイルス肝炎を患った何人かの患者は、インターフェロン(IFN)で治療されているが;IFN療法は、症例の約25%のみで成功している。
【0006】
IFNは、全ての患者に利用可能である訳ではなく、必要とされる6ヶ月の治療は高価である。加えて、この治療は、インフルエンザ様症状、傾眠、脱毛、及び口内の不快な味などのいくつかの二次的効果を有している。IFNは、免疫システムを介してウイルスを攻撃するが、肝硬変或いは脾臓の機能減少など感染によって引き起こされた障害は回復しない。
【0007】
リバビリン療法などの他の治療は、特にIFNとの組み合わせにおいて、医学及び組織学的検査における結果を改善する。しかしながら、治療の費用も高価で、副作用によって治療を中止する大きなリスクもある(Mc Hutchison,J.G.and Poynard T.Combination therapy with interferon plus Ribavirin for the initial treatment of chronic Hepatitis C.Semin Liver Dis 1999;19(suppl 1):57−65;Davil G.L.Combination therapy with interferon alpha and Ribavirin as treatment of interferon relapse in chronic hepatitis C.Semin Liver Dis 1999;19(suppl 1):49−55)。
【0008】
世界保健機構(WHO)は、世界の人口の3%がC型肝炎に感染しており、肝硬変及び/若しくは肝癌を発症するリスクを有した約1億7000万人の慢性キャリアが存在すると推測している。WHOは、彼らの治療には1ヶ月に2,000米国ドルが6〜12ヶ月掛かり;加えてそれら治療は、薬剤によって引き起こされた重篤な作用を管理するための高価な医療サポートを必要とするため、リバビリン及びインターフェロンアルファ2Bからなるレベトロン(Rebetron)のような薬剤を用いて、世界中の1億7000万人の患者を治療する費用を負担することができない。
【0009】
肝障害を治療するのに十分有効的で安全な治療法或いは合成薬剤が存在しないので、多くの患者は、天然成分に基づいた代替療法に頼っていた。最近の薬剤における著しい進歩に関わらず、肝疾患に対する正確で安全で有効的な治療を開発することに関して、薬用植物は必要な因子として残っている。ここ数年、肝臓疾患を治療するためのハーブ産物の治療評価へシフトしており、それらのいくつかは安全で中程度な有効性を提供する。
【0010】
いくつかの科学文献では、野菜由来の代謝産物の多くの群は抗酸化作用及び肝保護的作用を示したという事実を指摘している。これは、特にフェノール群、特にベンゼノイド基に属するものにおいて観察され、ここにおいて、その地上部、すなわちTournefortia sarmentosa(ハマムラサキノキ属冷飯藤)の幹、葉、花及び果実から単離された、トウルネホラール、トウルネホリン酸A及びB、及びトウルネホリン酸からのエチルエステルは、抗酸化作用を示し、低密度リポタンパク質の過酸化を阻害すると示された(Lin Y.L.,Chang Y.Y.,Kuo Y.H.,Shiao M.S.Anti−lipid−peroxidative principles from Tounefortia samentosa.J Nat Prod.2002 May;65(5):745−7)。ベンゼノイドであるウコンも、ラット肝臓における脂質過酸化の阻害を示す実験モデル(Sreejayan N.,Rao M.N.A.J.Pharm.Pharmacol.,49:105−107(1997))においてスーパーオキシド陰イオン(Kunchandy E.,Rao M.N.A.Int.J.Pharmaceut.,57:173−176(1989))及び硝酸(Sreejayan N.,Rao M.N.A.J.Pharm.Pharmacol.,49:105−107(1997))に対する捕獲作用を示した。
【0011】
タンニン群などの他のフェノール成分は、肝臓ミクロソーム及びミトコンドリアにおける脂質過酸化を阻害する(Okuda T.,Kimuar Y.,Yoshida T.,Hatano T.,Okunda H.,Arichi S.Studies on the activities of tannins and related compounds from medicinal plants and drugs.I.Inhibitory effects on lipid peroxidation in mitochondria and microsomes of liver.Chem.Pharm.Bull.31:1625−1631(1983))、抗酸化作用(Satoh, K.,Sakagami,H.,1996.Ascorbyl radical scavenging activity of polyphenols.Anticancer Res.16:2885−2890)及び肝保護的作用(Miyamoto,K.I.,Nomura,M.,Murayama,T.,Furukawa,T.,Hatano,T.,Yashida,T.,Koshiura,R.,Okuda,T.,1993.Antitumor activities of ellagitannins against sarcoma−180 in mice.Biol.Pharm.Bull.16:379−387)を示す。タンニン酸は、マウスにおける肝腫瘍の発生率を減少させる(Hirose M.,Ozaki K.,Takaba K.,Fukushima S.,Shirai T.,Ito No.Modifying effects of the naturally occurring antioxidants gamma−oryzanol,phytic acid,tannic acid and n−tritriacontane−16,18−dione in a rat wide−spectrum organ carcinogenesis model.Carcinogenesis 12:1971−1921(1991))。大規模臨床研究からの結果では、膨満感、食欲不振、悪心及び腹部痛などの肝胆道機能障害及び消化障害を治療することに関して、ポリフェノールの有効性及び安全性が示された。加えて、これらの成分は、非ステロイド性抗炎症薬によって誘導された胃疾患に対して予防的で肝保護的効果を有することが見出された(Ruiyc.Advances in pharmacological studies of silymarin.Mem Inst Oswaldo Cruz 1991;86:79−85;Scevola D,Barbacini G,Grosso A,Bona S,Perissoud D.Flavonoids and hepatic cyclic monophasphates in liver injury.Boll Ins Sieroter Milan 1984;63:77−82)。
【0012】
クマリンは、植物界に豊富に見出すことができる別の種類のポリフェノール化合物である。それらの多くは、例えば4−メトキシクマリンは利胆特性を有しているなどの、興味深い生物学的活性を有している(Takeda,S.;Aburada,M.J.Pharmacobio−Dyn.4:724(1981))。7,8ジヒドロキシ−4−メチルクマリン及び7,8−ジアセトキシ−4−メチルクマリンは、抗酸化特性を有しており、従って酸素ラジカルの有効なスカベンジャーと考えられる(Raj,H.G.;Parmar,V.S.;Jain,S.C.;Priyadarsini,K.I.;Mittal,J.P.;Goel,S.;Poonam;Himanshu;Malhotra,S.;Singh,A.;Olsen,C.E.;Wngel,J.Bioorg.Med.Chem.6:833(1998))。加えて、この群の分子は、HepG2細胞及び初代ヒト肝細胞培養において既知酸化剤(t−ブチルヒドロペルオキシド)によって誘導された毒性に対して保護的効果を示す(Bernard Refouvelet,Catherine Guyon,Yves Jacquot,Corinne Girard,Herve Fein,Francoise Bevalotb,Jean−Francois Robert a,Bruno Heyd,Georges Mantion,Lysiane Richert,Alain Xicluna,Synthesis of 4−hydroxycounmarin and 2,4−quinolinediol derivatives and evaluation of their effects on the viability of HepG2 cells and human hepatocytes culture.European Journal of Medicinal Chemistry 39:931−937(2004))。
【0013】
テルペノイドは、抗酸化作用(Zhu M,Chang Q,Wong LK,Chong FS,Li RC.Triterpene antioxidants from Ganoderma lucidum.Phytotherapy Research 13:529−31(1999))、及び肝保護作用(James,L.P.,Mayeux,P.R.,Honson,J.A.Acetaminophen−induced hepatotoxicity.Drug Metabolism Disposition 31:499−506(2003))も示す別の群の植物由来の代謝物である。トリテルペンセラストロールは、肝臓ミトコンドリアにおける脂質過酸化に対して強力な阻害効果を示す。In vitro及びin vivo実験において、他の臨床テストと同様に、オレイン酸、ウルソール酸、アルファ−ヘデリン、グリチルリジン及びルペオールなどのいくつかのテルペノイドは、胃保護の効果(Zhu M,Chang Q,Wong LK,Chong FS,Li RC.Triterpene antioxidants from Ganoderma lucidum.Phytotherapy Research 13:529−31(1999))、及び肝保護作用(Liu,J.,Liu,Y.,Mao,Q.The effects of 10 triterpenoid compounds on experimental liver injury in mice.Fundamental and Applied Toxicology 22:34−40(1994))(Sunitha S.,Nagaraj M.,Varalakshmi P.Hepatoprotective effect of lupeol and lupeol linoleate on tissue antioxidant defence system in cadmium−induced hepatotoxicity in rats.Fitoterapia 72:516−523(2001))を示した。
【0014】
現在の治療法のいくつかの不都合に立ち向かうウイルス性及び非ウイルス性肝障害に対する安全で有効な治療の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の広範囲の観点に従って、Cordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)或いはCurcuma(ウコン属)の少なくとも1種、若しくはそれらの組み合わせを有するハーブ組成物が提供される。1実施形態において、少なくとも1種は、イヌヂシャ族で、例えばCordia lutea(ムユヨ)である。別の実施形態において、前記ハーブ組成物は、イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属のそれぞれの種を有するものである。
【0016】
別の実施形態において、イヌヂシャ属の花、バンレイシ属の葉、或いはウコン属の根、若しくはそれらの組み合わせを有するハーブ組成物が提供される。さらなる実施形態において、Cordia lutea(ムユヨ)の花、Annona muricata(トゲバンレイシ)の葉及びCurcuma longa(ウコン)の根を有するハーブ組成物が提供される。本発明のハーブ組成物は、肝疾患を予防及び/治療するのに有効である。
【0017】
別の広い観点において、本発明は、Cordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)及びCurcuma(ウコン属)の少なくとも1つの抽出物、或いはそれらの組み合わせを有するハーブ組成物に関連している。1実施形態において、イヌヂシャ属で、例えばCordia lutea(ムユヨ)からの抽出物を有するハーブ組成物が提供される。1実施形態において、前記ハーブ組成物は、バンレイシ属或いはウコン属若しくは両者との組み合わせでイヌヂシャ属の抽出物を有する。別の実施形態において、前記ハーブ組成物は、イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属の各種からの抽出物を有するものである。
【0018】
別の実施形態において、肝疾患の予防及び治療に有用な、イヌヂシャ属の花、バンレイシ属の葉、或いはウコン属の根の抽出物、若しくはそれらの組み合わせを有するハーブ組成物が提供される。さらなる実施形態において、前記ハーブ組成物は、例えばムユヨの花、トゲバンレイシの葉、或いはウコンの根の少なくとも1つの含水アルコール抽出物、或いはそれらの組み合わせなどの抽出物を有する。水、ヘキサン、クロロホルム及びそれらと同等物などの含水アルコール以外の溶媒も使用され得ることが理解される。さらなる実施形態において、前記ハーブ組成物は、ムユヨの花、トゲバンレイシの葉及びウコンの根の含水アルコール抽出物を有する。
【0019】
イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属のそれぞれ、或いはそれらの抽出物は、著しい肝保護特性を示し、肝障害の予防及び/若しくは治療において有効である。イヌヂシャ属及びそれらの抽出物は、特に有効であった。しかしながら驚いたことに、イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属、或いはそれらの抽出物の様々な組み合わせ、特にイヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属、或いはそれらの組み合わせの組み合わせは、付加的な相乗効果を示すことが発見され、これは各植物の有効性及び/若しくは特性が一緒に作用していることを示唆するものである。それぞれ1:1:1の、より好ましくは5:1:1、さらに好ましくは8:1:1の重量比のイヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属、若しくはそれらの抽出物の組み合わせが特に有効であった。別の実施形態において、イヌヂシャ属:バンレイシ属:ウコン属、若しくはそれらの抽出物の重量比は、1:0.05〜1:0.05〜1である。1観点において、混合物におけるウコン属の濃度は、イヌヂシャ属或いはバンレイシ属の濃度を越えるべきではない。
【0020】
本発明のハーブ組成物の少なくとも1つの利点は、それらの安全性と有効性である。例えば、対象の植物属の抽出物を有するハーブ組成物は、細胞及び組織レベルで非毒性であり、マウス及びラットの急性毒性研究において非毒性であり、ヒトでの使用に安全であると見出された。
【0021】
本発明のハーブ組成物は、ウイルス感染或いは肝疾患を引き起こす他の因子の予防を介して予防的に作用することもできる。従って、それらはウイルス感染、自己免疫反応、生体異物の消費及び肝機能を損なうそれらの疾患全てによって引き起こされた肝疾患を治療するために使用され得る。治療は、治療的及び/若しくは予防的であり得る。
【0022】
本発明のハーブ組成物は、経口的に或いは非経口的(局所的、直腸、静脈内、筋肉内或いは皮下組織)に投与され得る。治療は、1投与量、複数投与量、若しくは徐放或いは堆積法を介して、液体或いは固体形態(例えば錠剤)で経口的に投与され得る。別の方法では、ハーブ組成物は、ホット或いはコールドドリンクを作るために熱湯が添加されるようなお茶様物質の形態である。
【0023】
本発明の別の広い観点において、本発明のハーブ組成物の調合において使用される、選択された植物種からの含水アルコール抽出物を得るための方法が提供され、この方法は、前記選択された植物種を乾燥させ、約0.35mm〜約0.1mmの範囲の粒子サイズを有する粉末を得るために前記乾燥させた植物種を粉砕する工程と、室温で約6〜約8日間、含水アルコール溶液に前記粉末を漬け込む工程であって、これにより前記植物種の抽出物を得るものである、前記漬け込む工程と、ロートエバポレータにおける蒸発によって前記抽出物を濃縮させる工程と、前記抽出物を凍結乾燥させ滅菌させる工程と、を有するものである。本分野で既知の他の濃縮方法も使用され得ることが理解される。
【0024】
本発明のハーブ組成物は、例えば肝細胞が脂質過酸化の誘導因子に曝露された場合のマロニルジアルデヒド(MDA)レベルの減少、傷害誘導に対するグルタチオン(GSH)レベルの回復などのラットの単離肝細胞において抗酸化作用を有している。従って、本発明のハーブ組成物の肝保護特性は、一部分において、それらの抗酸化特性及びフリーラジカルの拡散の阻害の結果である。
【0025】
本発明のハーブ組成物はさらに、再生或いは増殖特性も有する。従って本発明の1観点において、本発明のハーブ組成物は、患者における肝細胞の再生に有用である。
【0026】
対象の属及び種の選択された植物におけるフェノール、タンニン、テルペノイド、ラクトン及びクマリン群などの二次的代謝物の化学基の存在は、少なくとも一部は、観察された生物学的作用のいくつかを説明する。
【0027】
別の広い観点において、本発明は、患者における肝傷害の治療或いは予防する方法に関するものであり、この方法は、治療上有効な量の本発明のハーブ組成物を患者へ投与する工程を有するものである。肝傷害は、B型及び/若しくはC型肝炎などのウイルス感染、若しくは線維症、肝硬変及び非ウイルス性肝炎などの非ウイルス性肝疾患によって引き起こされる。
【0028】
本発明及び先行技術によって達成された利点を要約する目的で、本発明の特定の目的及び利点は上記された。もちろん、本発明のあらゆる特定の実施形態に従って、そのような目的及び利点の全てが達成される必要はないことが理解される。従って、例えば本分野の当業者は、本明細書で教示される或いは示唆された他の目的或いは利点を達成する必要がなく、本発明は、本明細書で教示されたような1つの利点或いは一群の利点を達成する或いは最適化するようなやり方で具体化される或いは実行されるということを理解するであろう。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特異的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方、実例方法のみを与えるものであり、本発明の目的及び観点の範囲内の様々な変化及び修正は、この詳細な説明から本分野の当業者によって明らかであろうことは理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的に対して、「抽出物」という用語は、水−可溶性及び/若しくはアルコール−可溶性及び/若しくはヘキサン−可溶性及びクロロホルム−可溶性などの他の適切な溶媒−可溶性の、一部の抽出植物からの植物成分の濃縮物を意味し、液体或いは固体(例えば粉末)形態であり得る。
【0031】
本発明は、以下の実施例の観点から記載される。
【実施例1】
【0032】
イヌヂシャ属の含水アルコール抽出物:250gのムユヨ花を脱水によって乾燥させ、次に1〜1.5リットルの含水アルコール溶液(約65:35〜約75:25の比率のエタノール−水)に6〜8日間室温で漬け込んだ。エタノール中に漬け込まれた花は次に標準ロートエバポレータを用いて低圧で濃縮させた。形成された残留物は次に凍結乾燥させ、滅菌した。14〜22gの塊が生抽出物で得られ、収率はサンプル塊の6〜9%であった。0.7%エタノール/蒸留水に5mg溶解することによって、5mg/mlの貯蔵溶液をテスト用に調合した。
【実施例2】
【0033】
バンレイシ属の含水アルコール抽出物:250gのトゲバンレイシ葉を摂氏約45〜55度の温度のオーブンを用いて乾燥させた。乾燥させた葉は次に標準ブレイドグラインダーを用いて粉砕工程へ供した。得られた粉末は、粒子サイズ分画が約0.35〜約0.10ミリメートルに測定させるまでふるい分けした。次に前記粉末は1〜1.5リットルの含水アルコール溶液(約65:35〜約75:25の比率のエタノール−水)に6〜8日間室温で漬け込んだ。エタノール中に漬け込まれた粉末は次に標準ロートエバポレータを用いて低圧で濃縮させた。残留物は次に凍結乾燥させ、滅菌した。14〜22gの塊が生抽出物で得られ、収率はサンプル塊の5〜8%であった。0.7%エタノール/蒸留水に5mg溶解することによって、5mg/mlの貯蔵溶液をテスト用に調合した。
【実施例3】
【0034】
ウコン属の含水アルコール抽出物:250gのウコン根を摂氏約45〜55度の温度のオーブンを用いて乾燥させた。乾燥させた根は次に標準ブレイドグラインダーを用いて粉砕工程へ供した。得られた粉末は、粒子サイズ分画が約0.35〜約0.10ミリメートルに測定されるまでふるい分けした。次に前記粉末は1〜1.5リットルの含水アルコール溶液(約65:35〜約75:25の比率のエタノール−水)に6〜8日間室温で漬け込んだ。これは次に標準ロートエバポレータを用いて低圧で濃縮させた。残留物は次に凍結乾燥させ、滅菌した。10〜16gの塊が生抽出物で得られ、収率はサンプル塊の4〜7%であった。0.7%エタノール/蒸留水に5mg溶解することによって、5mg/mlの貯蔵溶液をテスト用に調合した。
【実施例4】
【0035】
ムユヨ花、トゲバンレイシ葉及びウコン根の抽出物を有するハーブ組成物は、以下のように調合した。実施例1、2及び3で得られた凍結乾燥させた生抽出物は、以下の割合;それぞれ重量比で8:1:1(1:0.125:0.125)となるように8mg:1mg:1mgで混合し、0.7%エタノール/蒸留水に5mgの前記凍結乾燥させた混合物を溶解することによって、5mg/ml貯蔵溶液を調合した。
【実施例5】
【0036】
肝細胞の調合
本発明のハーブ組成物の抽出物は、それらのin vitroでの抗酸化作用を決定するために、初代ラット肝細胞培養を用いてテストした。一般的に、テストは、肝細胞の単離が実行されるまでthe Fe de Valencia Hospital Research Centerで飼育されていた、CRIFFA(Santa Perpetua de La Mogoda、バルセロナ)によって提供された雄ラット(Sprague Dawley)を用いて実行した。動物の取扱い及び屠殺は、国家規制、欧州連合の規定609/86、及びUS国立衛生研究所(NIH)によって刊行された実験動物の取扱い及び使用に従って実行した。
【0037】
ラット肝細胞の単離は、この参照によって本明細書に組込まれるものである、Berry and Friend法(M.N.Berry,D.S.Friend.High yield preparation of isolated rat liver parenchymal cells.J.Cell.Biol.43:506−520,1969)に基づいており、これは分解酵素として働くコラゲナーゼを含有する溶液のin situ肝臓注入から成る。腹腔内チオバルビタール注射での動物への麻酔投与の直後に、腹腔開腹術を行い、大動脈を1mm直径カニューレでカニューレ処置をした。最初に、臓器を清掃するために、18〜20ml/分の流速に調節した蠕動ポンプを用いて生理食塩水で灌流した。一度この工程が終了したら、肝臓を分解するためにコラゲナーゼ溶液を添加した。この工程の間に得られた細胞懸濁液は濾過し遠心分離し、コラゲナーゼを除去後培養液に再懸濁し、前記細胞は適切な細胞外マトリックス中で培養した。
【0038】
異なる単離で得られた細胞の懸濁液は、フリーラジカルの形成及び細胞毒性を観察するために、96ウェルプレート中で8×10生細胞/cmの密度で培養した。グルタチオン定量化及び脂質過酸化は、24ウェルプレート中に培養された細胞で評価した。肝細胞を培養する前に、プレートはフィブロネクチン(3.5μg/cm)でコーティングした。細胞は、亜セレン酸ナトリウム(170μg/ml)、2%の新生仔ウシ血清、ペニシリン(50mU/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、0.2%の血清ウシアルブミン、及びインスリン(10nM)を補完した、Ham’s F−12/Lebovits L−15(1:1)培養液中で培養した。再懸濁後一定量を取り、細胞カウントを行い、トリパンブルー除去法を用いて細胞の生存率を決定した。細胞内へのトリパンブルーの取り込みの程度は、細胞膜の完全性に依存しており、従ってそれは細胞死の指標として使用され得る。従って、0.4%のトリパンブルーを細胞懸濁液一定量へ添加し、顕微鏡及びNeubauerチャンバーを用いて5カ所の異なる領域において青色に染色されなかった細胞をカウントした。パーセント生存率は、以下のように:%生存率=非青色細胞x100/細胞の総数、で計算した。
【0039】
ジメチル−テトラゾリウム(MTT)を用いた細胞生存率
細胞生存率は、淡黄色物質であるジメチル−テトラゾリウム(MTT)の取り込み及び青色不溶性代謝産物であるホルマザンへの還元を測定することによって決定した。この細胞還元反応は、ミトコンドリア脱水素酵素活性を測定しており、この活性は細胞内小器官の完全性の程度に依存しており、従って培養中の生存細胞の数の明確な指標となる。この場合において、MTTは黄色を示すテトラゾリウム塩物質として使用され、ミトコンドリア脱水素酵素コハク酸活性によって青色不溶性代謝産物(ホルマザン)を産生し、これは、405〜630nmの範囲の吸光度を測定するELISAリーダーを用いて吸光度を測定することによって定量化され得る。
【0040】
例えばフリーラジカルの産生において曝露が短すぎるなどのテストの例外はあるが、脂質過酸化及びグルタチオンテストの残りの間、細胞生存率研究は平行して行った。96ウェルプレート中に培養されたラット肝細胞は、他の実験と同じ条件でインキュベートした。インキュベーション期間が完了したら、MTTを培養液へ添加し、2時間インキュベートした。産生されたホルマザンはジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解され、最終的にELISAリーダーによって550nmでその吸光度を評価した。ハーブ組成物で処理しなかった細胞は、ポジティブ生存率コントロールとして使用した(M.J.Gomex−Lechon and J.V.Castell.In Vitro Toxicity Testing.In:Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures.Ed.J.B.Griffiths,A.Doyle and D.G.Newell.ISBN:0471928526.John Wiley&Sons Ltd.Baffins Lane,England,1998;12B:5.6;J.V.Castell,M.J.Gomez−Lechon,In vitro alternatives to animal pharmaco−toxicology.Farmaindustria Ed.JV Castell and MJ Gomez−Lechon.Madrid,1992;M.J.Gomez−Lechon,T.Donato,X.Ponsoda,R.Fabra,R.Trullenque and J.V.Castell.Isolation,culture and use of human hepatocytes in drug research.IN VITRO METHODS IN PHARMACEUTICAL RESEARCH.ISBN 0−12−163390−X.Eds.;J.V.Castell and M.J.Gomez−Lechon eds.pp.129−154.Academic Press.London(1997)、これらはこの参照によって本明細書に組込まれるものである)。
【0041】
フリーラジカルの産生
フリーラジカルの産生を定量化するために、96ウェルプレートに培養されたラット肝細胞の初代培養は、その無極性及びその非イオン性構造のおかげで細胞膜を通じてよく拡散し、酸素が存在すると蛍光を発する蛍光剤である5−クロロメチル−2’,7’−ジクロロヒドロフルオレセイン(DCFH−DA)と共に、以下の濃度:4、20、100及び500μg/mlでの本発明のハーブ組成物とインキュベートした(Lautraite S,Bigot−Lasserre D,Bars R and Carmichael N.Optimisation of cell−based assays for medium throughput screening of oxidative stress.Toxicol in vitro 17:207−220(2003)、これはこの参照によって本明細書に組込まれるものである)。インキュベーション期間が完了したら、細胞を本発明のハーブ組成物と共にt−ブチルヒドロペルオキシド(t−BOOH)に曝露し、その後すぐ蛍光発光を485nm(刺激)及び527nm(発光)で判読した(t)。最終的に前記細胞は37℃でインキュベートし、蛍光は30分間隔で2時間判読した。ケルセチン(抗酸化作用を有することが知られているフラボノイド)で処理した細胞はテストのポジティブコントロールとして使用した(Boots A.W.,Bast A.and Haenen G.R.No role of DT−diaphorase(NqO1)in the protection against oxidized quercetin.FEBS Lett 579:677−682、これはこの参照によって本明細書に組込まれるものである)。定量化は、コントロール(ハーブ組成物の非存在下で酸化的刺激によって誘導された細胞)に対するフリーラジカルの%で示した。フリーラジカルを定量化するために、ハーブ組成物は0.5〜1%の範囲でエタノール−水溶液中に第一に溶解した。
【0042】
脂質過酸化及びグルタチオン還元
脂質過酸化及びグルタチオン還元を測定するために、単離ラット肝細胞を80,000生細胞/cmの密度で24ウェルプレートに培養した。1時間培養の安定化期間の後、細胞は4、20、100及び500μg/mlのハーブ組成物と共に24時間プレインキュベートした。プレインキュベーションが終了したら、細胞は、上述した濃度を用いて本発明の処方対象の有効成分と共に250μMのt−BOOHへ曝露した。24時間が経過したら、細胞を回収し、1200rpmで5分間遠心分離し;次にマロニルジアルデヒド(MDA)の産生を測定するために液体を回収した。単層を洗浄し、タンパク質及びグルタチオンレベル(GSH)を評価するために凍結させた。未処理細胞は、基礎酸化のコントロールとして使用し、t−ブチルヒドロペルオキシドで排他的に処理した細胞は、誘導酸化のコントロールとして使用した。
【0043】
脂質過酸化は、培養液中のMDAの産生を定量化することによって決定した(M.J.Gomex−Lechon and J.V.Castell.In Vitro Toxicity Testing.In:Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures.Ed.J.B.Griffiths,A.Doyle and D.G.Newell.ISBN:0471928526.John Wiley & Sons Ltd.Baffins Lane,England,1998;12B:5.6;J.V.Castell and M.J.Gomez−Lechon,In vitro alternatives to animal pharmaco−toxicology.Farmaindustria Ed.JV Castell and MJ Gomez−Lechon.Madrid,1992;M.J.Gomez−Lechon,T.Donato,X.Ponsoda,R.Fabra,R.Trullenque and J.V.Castell.Isolation,culture and use of human hepatocytes in drug research.IN VITRO METHODS IN PHARMACEUTICAL RESEARCH.ISBN 0−12−163390−X.Eds.J.V.Castell and M.J.Gomez−Lechon eds.pp.129−154.Academic Press.London(1997)、これら全てはこの参照によって本明細書に組込まれるものである)。この定量化を実行するために、細胞をインキュベートし、次に細胞残骸を取り除くために1,200rpmで5分間遠心分離をした。回収した液体は、7%のSDS、0.1NのHCl、1%のリンタングステン酸及び0.67%のチオバルビツール酸を含有するバッファーと共に、暗所において100℃、60分インキュベートした。サンプルは抽出に供し、1mlのブタノールを添加し、3,000rpmで10分間遠心分離した。530nm(刺激)及び595(発光)での有機層(上清)の判定によって、テストした前記ハーブ組成物のインキュベーション条件下でのMDA形成を決定した。培養液中で希釈されたMDAは、標準として使用した。未処理細胞は、基礎酸化のネガティブコントロールとして使用し、t−BOOHで排他的に処理した細胞は、誘導酸化のポジティブコントロールとして使用した。細胞単層におけるタンパク質濃度は、データを規準化するために使用した。
【0044】
グルタチオン(GSH)レベル定量化は、o−フタルアルデヒド(OPT)を用いた蛍光定量的反応を通じて実行した(M.J.Gomex−Lechon and J.V.Castell.In Vitro Toxicity Testing.In:Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures.Ed.J.B.Griffiths,A.Doyle and D.G.Newell.ISBN:0471928526.John Wiley & Sons Ltd.Baffins Lane,England,1998;12B:5.6;J.V.Castell,M.J.Gomez−Lechon,In vitro alternatives to animal pharmaco−toxicology.Farmaindustria Ed.JV Castell and MJ Gomez−Lechon.Madrid,1992;M.J.Gomez−Lechon,T.Donato,X.Ponsoda,R.Fabra,R.Trullenque and J.V.Castell.Isolation,culture and use of human hepatocytes in drug research.IN VITRO METHODS IN PHARMACEUTICAL RESEARCH.ISBN 0−12−163390−X.Eds.J.V.Castell and M.J.Gomez−Lechon eds.pp.129−154.Academic Press.London(1997)、これらの全てはこの参照によって本明細書に組込まれるものである)。上述した濃度のハーブ組成物と共に24時間インキュベートした細胞は、バッファー(5%のトリクロロ酢酸及びEDTA)中で1〜2秒間超音波処理した。前記プレートを3,000rpmで30分間遠心分離した後得られた液体一定量へ、リン酸ナトリウム(0.1M)、NaOH(1M)及びOPT溶解液を添加した。1〜2秒超音波処理したサンプルは暗所に30分間保存し、360(刺激)及び450nm(発光)で蛍光を判読した。均質化バッファーで希釈された10mMのGSHは標準として使用した。基礎グルタチオンレベルは未処理細胞から得られ、t−BOOHはGSHレベル減少に対するポジティブコントロールとして使用した。細胞単層におけるタンパク質評価はデータを規準化するために使用した。
【実施例6】
【0045】
実施例1、2、3及び4のハーブ組成物の増加性濃度を用いて、単離ラット肝細胞を用いて、上述したように、フリーラジカル、脂質過酸化及びグルタチオンレベルの産生をテストした。得られた結果は以下の表1に示した。
【0046】
【表1】


【0047】
表1に示されたように、実施例4の8:1:1重量比の3種の抽出物、すなわち実施例1(ムユヨ)、実施例2(トゲバンレイシ)及び実施例3(ウコン)は一貫して、特に100μg/mL及び500μg/mLのより高濃度において、同量の個々の実施例より優れた効果を示した。これは、3種の抽出物全てを上述の比率で組み合わせた場合の相乗効果を示唆するものである。テストした3種の個々の抽出物に関して、実施例1では実施例2及び3より優れた結果を示し、これは単独或いは組み合わせでの実施例1は肝臓の肝保護作用において重要であることを示唆している。
【実施例7】
【0048】
実施例4のハーブ組成物の増加性濃度を用いて、2つの独立した単離ラット肝細胞を用いて、上述したように、フリーラジカル及び脂質過酸化の産生をテストした。得られた組み合わせ結果は以下の表2に示した。
【0049】
【表2】

【0050】
表2に示されたように、t−BOOHとの実施例4のハーブ組成物のインキュベーションは、フリーラジカルの形成を減少した。実施例4のハーブ組成物のこの保護作用は用量依存的であり、既知抗酸化剤であるケルセチンとインキュベーションした細胞中で生じたフリーラジカルの減少に匹敵した。100及び500μg/ml濃度ではt−BOOHの酸化に対してほとんど全ての阻止作用を示した一方、20μg/mlのより低濃度でも約34%の実質的な減少が観察された。
【0051】
表2に示されたように、実施例4のハーブ組成物の濃度が増加するにつれてMDAレベルが減少したことより、実施例4のハーブ組成物を用いたMDA定量化を通じた脂質過酸化評価の結果は同様な挙動を示した。
【0052】
表2はさらに、2つの独立したラット肝細胞培養を用いたGSHに対する実施例4のハーブ組成物での肝細胞のプレインキュベートの効果を示している。これらの値は、t−BOOH酸化剤によって誘導された減少と比較した。実施例4のハーブ組成物の濃度が増加するにつれてGSHレベルは増加し;GSHレベルは100及び500μg/ml濃度での未処理細胞と基本的に同じであり、これは実施例4の高濃度は基本的に正常GSHタンパク質レベルを回復することを示している。
【0053】
脂質過酸化及びグルタチオンテストに対して、平行して細胞生存率研究を実行した。プレインキュベート期間及び実施例4のハーブ組成物での処理が完了した時、単離ラット肝細胞において毒性は見られず、すなわち、最高濃度でさえも基本的に100%生存率が観察され、これによって、実施例4の組成物は単離ラット肝細胞に対して最高レベルにおいて基本的に非毒性であったことが示唆される。
【0054】
上記の結果より、実施例4のハーブ組成物はフリーラジカルを阻止する抗酸化剤として作用し、従って脂質過酸化を減少することが見出された。加えて、特に実施例4の100μg/mL或いはより高い濃度を使用した場合、GSHレベルが保存された。従って、実施例4のハーブ組成物はさらに、肝臓に対する肝保護組成物としても作用する。
【0055】
実施例4のハーブ組成物はさらに、より優れた臨床的改善(以下参照)も示し、C型肝炎感染の結果としての肝傷害によって引き起こされた様々な症状を軽減するのにより効果的であった。特に、個々の抽出物を別々に摂取した患者とは対照的に、3種のハーブ抽出物全ての混合物を摂取した患者において悪心及び胃の灼熱感がより少なかった。これはさらに、実施例4の場合と同様に、3種の抽出物全ての混合物を摂取すると付加的な利点があることを示唆している。
【実施例8】
【0056】
末梢血からのヒトリンパ球に対する実施例5の組成物の遺伝毒性の影響は、個々の細胞に対するアルカリ性電気泳動テスト(コメットテスト(The Comet Test))を用いて評価し、これは本発明の有効成分によって引き起こされる遺伝子障害の可能性を評価するためにヒトリンパ球の初代培養に対して行うものである(M.J.Gomez−Lechon,T.Donato,X.Ponsoda,R.Fabra,R.Trullenque and J.V.Castell.Isolation,culture and use of human hepatocytes in drug research.IN VITRO METHODS IN PHARMACEUTICAL RESEARCH.ISBN 0−12−163390−X.Eds.J.V.Castelly M.J.Gomez−Lechon eds.pp.129−154.Academic Press.London(1997)、これはこの参照によって本明細書に組込まれる)。
【0057】
使用するリンパ球の細胞培養は、健康なドナーからの20mLの全血から得た;リンパ球は分画遠心法及び20mLのLymphoprep(Sigma)の使用を介して単離した。遠心法の後、リンパ球の細胞リングは、ピペットで抽出した。後に細胞をPBSで洗浄し、1,000rpmで10分間遠心分離した。最終的に、細胞ボタンは、実行する別の実験で使用するまで、6mLの凍結培養液に再懸濁した。リンパ球は、実施例4の組成物の以下の濃度:100、200及び500μg/mLに、1時間37℃に曝露した。
【0058】
100コの細胞を各処理における、障害の指標として状態の変化の瞬間を解析した。コメット5解析プログラムをこの解析のために使用し、これは細胞におけるDNAへの初期障害を検出する遺伝毒性テストである(Gomet.Mol.Res.2(4):410−417(2003)、これはこの参照によって本明細書に組込まれる)。得られた結果に対する統計解析は、ノンパラメトリックテストKruskal Wallis、p<0.05を用いて実行した。
【0059】
これらのテスト条件下で末梢血リンパ球において500μg/mLまで適用した場合、実施例4の活性成分は、(単鎖における断裂及びアルカリに対して不安定なスポットとして検出される)DNAに対してどんな障害も引き起こさなかった。
【実施例9】
【0060】
実施例4抽出物の急性毒性は、以下のような、アルビノマウス(Balb/C/CNPB)における限界用量テスト(the Limit Dose Test)、及びアルビノラット(Holtxmann)における急性毒性クラステスト(the Acute Toxic Class Test)を用いてテストした。
【0061】
限界用量テスト
実施例4の抽出物及びコントロール物質(生理食塩水)は、以下の条件:
種:アルビノマウス(ハツカネズミ)
近交系:Balb/C/CNPB
動物の数:実験群当たり10匹の動物
性別:雄及び雌
体重:20〜25g
グループI(処理群):これらの動物には、2,000mg/kgの実施例4の抽出物の用量を投与
グループII(コントロール):これらの動物には、溶媒或いは生理食塩水(抽出物容積と同量)を投与
で、胃内カテーテルを用いて経口的に投与した。
【0062】
マウスは、実験前4時間に絶食させた;次に前記産物をそれに応じて投与し、動物は4時間連続観察下に置いた。死亡はなく、観察期間は抽出物を投与後14日に延長し、次に動物の回復及び効果の可逆性の観察を実行するために21日まで続けた。
【0063】
体重増減があるかどうか確証するために、動物の体重は実験の開始で記録し、同様に前記物質を投与した後可能であれば7日目、14日目及び21日目にも記録した。
【0064】
実験の終了時、動物は、頭蓋骨を頭蓋骨の底部及び脊椎管に圧力を適用することによって脊椎から分離するものである頸椎脱臼によって屠殺した。この方法では、脊髄が脳から分離されるので、痛みの感覚はない。
【0065】
実験の終了まで生存していた全ての動物に対して剖検を行った。実験中に死亡した動物の場合、それらの臓器の色、サイズ及び重量を評価した。
【0066】
臓器の顕微鏡的解析では、前記抽出物(実施例4)を2,000mg/kgの用量で投与したグループIマウスにおいて目に見える変化は発見されなかった。得られた結果より、死亡及び臨床的徴候もなく、顕微鏡的変化も観察されず、臓器における毒性の証拠も発見されなかったので、2,000mg/kg.p.c.の用量での前記抽出物の無毒が示された。
【0067】
要約すると、限界用量法は、凍結乾燥させた水性抽出物実施例4は、経口的に投与された2,000mg/kgの用量では死亡を引き起こさなかったことが示された。従って、凍結乾燥させた水性抽出物実施例4は、非毒性(NON−TOXIC)ATCとして分類され、これは限界用量法を通じて分類不能という意味である。
【0068】
急性毒性クラス(ATC)テスト
実施例4の抽出物及びコントロール物質(生理食塩水)は、以下の条件:
種:アルビノラット(Rattus novergicus)
近交系:Holtzmann
動物の数:実験群当たり3匹の動物
性別:雄及び雌
体重:120〜160g
グループI(処理群):これらの動物には、2,000mg/kgの用量の実施例4の抽出物を投与
グループII(コントロール):これらの動物には、溶媒或いは生理食塩水(抽出物容積と同量)を投与
に従って、胃内カテーテルを用いて経口的に投与した。
【0069】
この実験は、1週間に亘る隔離を受けた雄及び雌ラットを用いて実行し、各性別の3匹の動物で構成される2つのグループへ分け、重量を測定し、識別目的でマーキングした。評価前に、動物は12時間絶食させ;次に実施例4の抽出物及びコントロール物質を用量表に従って両グループに投与した。前記物質が投与された後すぐに、全身/臓器レベルでの毒性徴候を見るために:自律性、行動、感覚、神経筋、呼吸、視覚、胃腸、泌尿器、及び体重などの他の項目を前記動物で観察した。動物の体重は、前記物質が投与された後7日目及び14日目に記録した。
【0070】
14日後、前記動物は、動物実験の倫理原則に従って屠殺し;その後以下の臓器:心臓、腎臓、肝臓、脾臓、胃、肺、脳、卵巣及び精巣のサイズ、色及び一貫性を解析するために顕微鏡的研究を行った。前記臓器の顕微鏡的解析では、前記抽出物を2,000mg/kgの用量で投与された場合、目に見える変化は発見されなかった。
【0071】
得られた結果より、死亡及び臨床的徴候もなく、顕微鏡的変化も観察されず、臓器における毒性の証拠が発見されなかったので、2,000mg/kg実施例4の用量での前記抽出物の無毒が示された。従って、急性毒性クラス法に従うと、凍結乾燥させた水性抽出物実施例4は、経口的に投与された2,000mg/kgの用量では死亡を引き起こさなかった。従って、凍結乾燥させた水性抽出物実施例4は、急性毒性クラス法を通じて分類不能であることを意味する非毒性(NON−TOXIC)ATCとして分類される。
【実施例10】
【0072】
非管理臨床研究を10人の成人白人患者(5人の男性及び5人の女性、年齢は37歳〜58歳の間)、彼ら全員は慢性C型肝炎と診断されており、その内3人はC型に加えてB型肝炎も患っている、に対して行った。彼ら全員は慢性肝炎の症状を示しており、数人は以前抗ウイルス療法を受けており、結果は良くなかった。病歴より、ウイルス感染の推測される時間は、4〜30年の間で異なっていた。
【0073】
病歴に従って、症候性疾患の期間は1〜12年の範囲であった。各患者の状態の評価は、彼らの病歴(症状及び徴候を含む)、さらに実施例4で使用された前記組成物での治療の開始時及び28日後に行った血清学的研究、生化学的研究及び超音波研究を通じて実行した。
【0074】
C型肝炎の存在は、第2世代Elisaシステムを用いて、抗−HCVの検出を介して同定した。B型肝炎の存在は、表面抗原(HBs Ag)及びコア抗原(HBc Ag)の解析を介して確認した。肝臓病学的障害は、HCV FIBROSURE(550123)を介して評価した。研究は3次元超音波を用いて行い、肝臓の容積、その辺縁の特徴、及び肝実質の超音波変化を決定した。門脈の特徴、脾臓、及び腹水の存在の判定も、本研究内に含まれていた。
【0075】
慢性B型肝炎及びC型肝炎によってもたらされた変化の生化学的研究は、4つの基準:(1)肝臓の合成能を測定するテスト;(2)肝内閉塞を引き起こす線維化によって引き起こされた変化を測定するテスト(ビリルビン及びホスファターゼレベルの評価);(3)肝細胞癌を評価するためのテスト(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、及びアルファ−フェトプロテイン(AFT))を含む肝細胞における壊死−炎症活性を測定するテスト;及び(4)肝臓の解毒機能を測定するテスト(アンモニアの測定)、に基づいている。
【0076】
治療の前に、全身違和感、疲労、及び関節疼痛及び痛みなどの症状は10人の患者の全員(100%)に観察された;うつは90%で観察され、筋肉痛は患者の80%が感じており、集中力の欠如及び睡眠障害はそれぞれ患者の60%及び50%に見られた。頭痛は患者の30%で観察された。消化不良(腹部不快感及び/若しくは胃液酸性)などの胃腸症状は、全例の60%で観察された;嘔気は患者の50%で見られ、腸管機能不全は40%に達した;一方、胃腸障害、膨満感、及び腹部痛は、全例の30%で報告された。臨床研究によって、最も頻繁な所見は触診に対する腹部痛、特に右季肋部及び上胃部の腹部痛であり、これは全例の70%に観察され、黄疸及び触知可能な肝臓は患者の20%に見られた一方、腹水、触知可能な脾臓、出血斑、及び下肢浮腫は10%で発現した。
【0077】
C型肝炎を患った10人の患者のクオリティーオブライフ(つまり健康)に対する実施例4での治療の成功のレベルを決定するために、治療の心理学的、生物学的及び臨床効果も記録した。健康クオリティーオブライフアンケート(HQLQ)は、SF−36レポートの一般的指標グループに基づいたクオリティーオブライフを測定する有効手段であり、これは8つのパラメータのセットから成る。これらのパラメータは、持久力(RP)、身体的疼痛(BP)、全般的な健康の認知(GH)、バイタリティー(VT)、社会生活機能(SF)、感情的要素による制限(RE)及びメンタルヘルス(MH)を測定し、身体的構成要素サマリー(PCS)及び精神的構成要素サマリー(MCS)を開発するためのパラメータとして収集し使用した。
【0078】
治療前の評価では、一般人口における29%と比較して、全ての患者は1マイル以上のウォーキングが困難であり、一般人口における7.1%と比較して、50%の患者は階段上りが困難であり、一般人口における14.1%と比較して、55.5%の患者が100ヤードのウォーキングに限界を示したことが示され:一般人口の45%と比較して、100%の患者が仕事において困難を有していると言っており;一般人口の9.5%と比較して、実験された患者の30%は痛みが仕事の能力を妨げていると述べており;一般人口の13.1%と比較して、90%の患者は健康状態が「普通」或いは「不良」と報告していた。全体的に、慢性C型肝炎を患った10人の患者の健康に関連したクオリティーオブライフは実質的に損なわれていた。
【0079】
10人全ての患者は、140mgの実施例4の組成物で、1日3用量で28日間治療した。患者の食事は変更された;しかし過剰な脂肪消費は避け、アルコール摂取もなかった。実施例4の組成物での治療28日後に、以下の変化が観察された。
【0080】
超音波検査において90%の患者で著しい変化が見られた。6人において、治療前に行った解読と比較して拡散エコー輝度における減少、及び肝臓及び脾臓のサイズの減少が見られた。3人において、最初のコントロール解読と比較した場合、エコー輝度は安定した徴候を示しており、1人の患者はエコー輝度及び腹水の増加が見られ悪化した。
【0081】
実施例4の組成物での治療後の臨床的評価によって、平均で60%〜80%の全身症状の減少が見られ、全身違和感は70%減少し、骨−関節痛、重度疲労は60%減少し、うつ及び骨−筋肉痛はそれぞれ60%及び50%減少し、集中力の欠如及び睡眠障害は40%及び20%に減少した。これらの全身症状をまだ患っている患者は、その強度の減少を経験していた。この研究ではさらに、胃腸症状の減少も示された。消化不良及び腸管機能不全は30%減少し;胃腸障害は20%減少し、嘔気は10%減少した一方、腹痛はあらゆる例で存在しなかった。胃腸不快感を患い続けた患者は、強度が減少したと報告した。実施例4の組成物での治療が完了した場合、右季肋部を触知した時の痛みが20%減少した。黄疸、直値可能な肝臓、腹水、下肢浮腫、出血斑及び触知可能な肝臓などの他の徴候は、それぞれ20%及び10%で変化せずに残った。
【0082】
健康に関連したクオリティーオブライフに対する研究は、健康クオリティーオブライフアンケート(HQLQ)を通じて集められた情報の基づいており、これはSF−36レポートからの遺伝的パラメータのセットを使用している。このレポートは、米国における一般人口から集められたデータから得られた標準のセットを使用している。これらの標準は平均して10の標準偏差で50ポイントである;高スコアは健康の良い状態を示唆している。クオリティーオブライフ研究によって、治療前、10人の患者のクオリティーオブライフは実質的に損なわれていたことが示された。しかしながら、実施例4の組成物での28日間の治療後に実行した評価では、6人のHQLが正常或いは正常より高いレベル(50以上)と報告され;3人の患者ではHQLがほぼ正常レベル(SF−36スケールにおけるいくつかのポイントはほぼ50以上であり、他のいくつかはわずかに50以下であった)に回復したことが示された。わずか1例で低い健康クオリティーオブライフスコアを保持した。
【0083】
治療前(初期コントロール記録)及び実施例4の組成物での治療28日後に実行した肝機能の生化学的テストでは、治療後、3人の患者がコリンエステラーゼレベルの実質的な増加(71.1%〜81.1%の間)を経験したことが示され;2例において中程度の増加(62.1。%〜54.9%の間)が見られ;4例において34%〜40%の増加が見られ;1例で15.7%の最小増加が示された。従って、患者の90%がこの酵素を合成する正常能力を有し、これは肝細胞の機能的回復を示唆するものである。プロトロンビン濃度は、治療後4例で(24.8%〜33.3%の間)増加し、別の4例では中程度増加(8.8%〜19.2%の間)が見られた;1人の患者では0.5%のわずかな減少であり、他の例では9.0%の減少が見られた。全体として、70%の患者は正常レベルに到達し、肝細胞における機能的回復の証拠が示された。
【0084】
初期コントロール(治療前)時及び最終コントロール(実施例4の組成物での治療後28日)時のプレ−アルブミン測定値の比較によって、3人の患者で19.5%〜26.9%の間の有意な増加が見られ、他の3人の患者において0.0%〜5.0%のわずかな差異が見られた一方、他の4例では18.0%〜28.2%の間の減少を経験したことが示された。従って、10人の患者の内7人は正常レベルに到達した一方、治療の開始時に4人の患者のみに肝細胞機能の回復を示唆する正常測定値が見られた。
【0085】
肝内閉塞(胆汁うっ滞)を測定するためのテスト;初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時の間でのビリルビン測定値の比較も実行し、これによって最初に正常レベルより高いビリルビン値を有していた3人の患者においてそれぞれ36.9%、15.4%及び4.6%の減少が見られた。最初に正常レベルより高値を有していた1人の患者では、23.3%の増加が報告された。他の6例では、最初正常レベルより高い値を有しておらず、治療によって変化が見られなかった。初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時の間でのアルカリホスファターゼ測定値の比較において、治療前に正常レベルより高い値を示した1人の患者で23.9%の増加が見られた。他の9人の患者は正常レベルのままであった。
【0086】
炎症及び肝障害の指標と関連して、初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時の間でのGPT測定値の比較において、この要素の正常レベルより高い値を示していた6人の患者において6.2%〜84.7%の間の減少が見られた。最初正常レベルより高い値を示していた他の2人の患者は、16.1%及び57.5%の増加を報告し、他の2例では正常レベルを保持していた。初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時のGOT測定値の間での比較において、最初正常レベルより高い値を示していた5人の患者において3.8%〜74.3%の間の減少が見られた。他の3例は、治療前後で正常レベルを示していた。
【0087】
初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時のGGT測定値の間での比較において、最初この要素の正常レベルより高い値を示していた3人の患者において11.3%〜48.6%の間の減少が見られた;2人の他の患者はそれぞれ2.1%及び5.7%の増加を報告し、他の5例は正常レベル内を維持した。初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時のAFT測定値において、9人の患者は正常値で治療を開始し;8人は治療終了時でも正常であり、1人はわずかな増加(8.5%)を経験した;この物質の高レベルの状態で治療を開始した残りの患者は、高レベルを維持した。
【0088】
肝細胞の解毒能力を評価するために、アンモニアレベルも記録した。初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時のアンモニア測定値において、9人の患者は正常レベルで開始し終了したが、本研究の開始時に正常レベルより高い値を示した他の1人は正常レベル以上の値で終了した。
【0089】
初期コントロール時及び実施例4の組成物での治療の最終コントロール時のトランスフェリン測定値において、最初正常レベルより高い値を示していた1人の患者は、正常レベルで治療を終了した;最初正常レベルより高い値を示していた2人の患者は、正常レベル以上の値を継続し、正常レベルで開始した患者は正常限界値内を維持した。
【0090】
要約すると、実施例4の組成物での28日間治療後に実行した評価において、患者において観察された症状の有意な減少が見られ、肝疾病指標における中程度の改善が見られ、肝細胞障害を測定する酵素における有意な改善が見られた。肝障害の証拠を有した患者群において、エコー超音波検査によってと同様に障害の指標における減少が見られた。患者(彼/彼女)の症候、血液学的変化或いは他の合併症の増加を示した患者はいなかった。活動性肝炎の証拠を有していた患者の増悪は、進行性線維症(肝硬変)を有する患者より改善された。
【0091】
臨床試験より得られた結果より、本発明のハーブ組成物は肝機能を改善し、さらに肝細胞の再生及び増殖特性も改善することが示された。これらの組成物は、それらはウイルス感染によって引き起こされる有害な効果、或いは肝臓機能不全を誘導する他の薬剤の作用を予防する或いは最小化するので、予防的に使用される。従って、本発明のハーブ組成物は、ウイルス感染、自己免疫反応、薬剤の摂取、異物或いは毒素によって引き起こされる肝障害の治療に有用である。
【実施例11】
【0092】
実施例4の組成物は、抗ウイルス治療を行っていない、4年のウイルス摂取期間及び1年の疾病期間を有する、非線維化状態の慢性B型及びC型肝炎を患った46歳女性患者に対してテストした。実施例4の組成物は、1日140mg用量で3回、28日間経口的に投与した。患者の臨床症候はコントロールされており、超音波検査及び生化学的解析は治療前及び治療後28日で行った。
【0093】
28日間の実施例4の組成物での治療によって、治療開始前に前記患者に見られた全身症状(全身違和感、重度の疲労、睡眠障害、うつ、関節及び筋肉痛)を除去することに成功した。加えて、治療によって、消化不良及び触診による痛みのような胃腸症状が消失した。
【0094】
28日目に行った超音波コントロールでは、治療前に患者が示していた拡散エコー輝度の減少において好ましい進展が見られた。
【0095】
生化学的解析は表3に示した。
【0096】
【表3】

【0097】
実施例4の組成物での治療は、総ビリルビン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、AFP、アンモニア、TNFアルファ及び血小板測定の正常レベルに影響を与えなかった。
【0098】
この実施例における結果において、実施例4の組成物はB型及びC型肝炎同時感染によって引き起こされた肝障害を軽減できることが示された。
【実施例12】
【0099】
実施例4の組成物は、抗ウイルス治療を行っていない、15年のウイルス接種期間及び5年の疾病期間を有する、非線維化状態の慢性C型肝炎を患った47歳女性の患者に対してテストした。実施例4の組成物は、1日140mg用量で3回、28日間経口的に投与した。患者の臨床症候はコントロールされており、超音波検査及び生化学的解析は治療前及び治療後28日で行った。
【0100】
28日間の実施例4の組成物での治療によって、治療開始前に前記患者に見られた全身症状(全身違和感、睡眠障害、関節痛)を除去することに成功した。加えて、実施例4の組成物での治療は、筋肉痛及び頭痛のような全身症状、さらには嘔気、腸管機能不全及び触診による痛みのような胃腸症状も減少或いは除去した。
【0101】
28日目で行った超音波検査では、治療前に患者が示していた拡散エコー輝度の減少を示した。
【0102】
生化学的解析は表4に示した。
【0103】
【表4】

【0104】
実施例4の組成物での治療は、治療前に正常であった、総ビリルビン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、アルカリホスファターゼ、GGT、AFP、アンモニア、TNFアルファ及び血小板測定のレベルに影響を与えなかった。
【0105】
この実施例の結果より、実施例4の組成物は、C型肝炎感染によって誘導された肝障害を軽減できることが示された。
【実施例13】
【0106】
本発明の前記属のヘキサン及び含水アルコール抽出物の植物化学的特性は、次の通りに得られた。各関連種の選択された器官(organs)のそれぞれ125gのサンプルを採取した。ヘキサン(無極性溶媒)は、室温での完全抽出を実行するために使用し、48時間毎に溶媒を新しくした。ヘキサン抽出物は、低圧ロートエバポレータ過程において前記溶媒を除去することによって得た。次にヘキサン抽出物の残留物をエタノール−水(70:30)で処理し、完全抽出を実行した。その後、産物が完全に乾燥するまで、エタノール−水溶媒を除去した。
【0107】
前記種に存在する二次代謝物の化学基を決定するために、植物化学的特性は、Chhabra,S.C.et al.Phytochemical Screening of Tanzanian Medical Plants.J Ethnopharmacol.(1984)11(2):157−79(これはこの参照によって本明細書に組込まれる)によって記載された方法論に従って得た。アルカロイドのみが塩基性培養液での抽出を必要とした。イヌヂシャ属の花、バンレイシ属の葉、及びウコン属の根の植物化学的特性は、それぞれ表5、6及び7に示した。
【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
表5におけるイヌヂシャ属の花から得られた結果より、この種の花サンプルからの含水アルコール抽出物におけるフェノール、タンニン、ラクトン及びクマリンの強い存在が示された。
【実施例14】
【0112】
上記の患者研究において使用された実施例4の組成物の錠剤は、140mgの実施例4の組成物と共に300−mgコーティング錠剤を与えるように処方した。
【0113】
錠剤組成物は表8に示した。
【0114】
【表8】

【0115】
本実施例の組成物はさらに、表9に示したようなカプセル(300mg)としても処方され得る。
【0116】
【表9】

【0117】
最終的に、本発明の組成物の懸濁液も以下のように処方され得る。風味付けされた懸濁液は、15ml用量(1スプーン)当たり140mgのハーブ組成物を提供するように、1%の本発明のハーブ組成物で製造した。懸濁液の組成物は表10に示した。
【0118】
【表10】

【0119】
処方は、Good Manufacturing Practices(BPL)ガイドラインに従って製造した。
【0120】
好ましくは、上述した3つの処方は、1日3回、食事の30〜60分前に投与される。
【0121】
薬学的処方は、その中の有効成分が素早く或いはゆっくりと放出され得るように、液体、固形及び半固形形態で本発明のハーブ組成物を含むことができる。本発明の薬学的処方の投与は、徐放或いは急速放出方法若しくは堆積を通じて、単回、複数回で、経口、直腸、静脈内、筋肉内、皮下組織、局所的或いは他の方法を通じてなされ得る。本発明は、本分野の当業者によって理解される様々な他の形態で具体化される。
【0122】
本発明は、好ましい実施例となると現在考えられることを参照しながら記載した一方、本発明は開示された実施例に限定されるものではないことが理解される。それとは反対に、本発明は、添付された請求項の観点及び範囲内に含まれる様々な修飾及び同等なアレンジをカバーすることを意図される。
【0123】
全ての刊行物、特許及び特許明細書は、各それぞれの刊行物、特許或いは特許明細書がその全体が参照によって取り込まれることを特別に及び個別に意図されたかのように、その全体がこの参照によって同程度に本明細書に組込まれる。本明細書における用語が、参照によって本明細書に組込まれた文書において異なって定義されると見出された場合、本明細書で提供された定義は、その用語に対する定義の代わりになるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝障害を治療するためのハーブ組成物であって、少なくとも1種のCordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)或いはCurcuma(ウコン属)、若しくはそれらの組み合わせを有するものである、ハーブ組成物。
【請求項2】
請求項1記載のハーブ組成物において、前記少なくとも1種は、イヌヂシャ属植物の1種である、ハーブ組成物。
【請求項3】
イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属植物のそれぞれの1種を含む、請求項1記載のハーブ組成物。
【請求項4】
イヌヂシャ属の花、バンレイシ属の葉、或いはウコン属の根、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載のハーブ組成物。
【請求項5】
Cordia lutea(ムユヨ)の花、Annona muricata(トゲバンレイシ)の葉、及びCurcuma longa(ウコン)の根を含む、請求項1記載のハーブ組成物。
【請求項6】
肝障害を治療するためのハーブ組成物であって、少なくとも1種のCordia(イヌヂシャ属)、Annona(バンレイシ属)或いはCurcuma(ウコン属)の抽出物、若しくはそれらの組み合わせを有するものである、ハーブ組成物。
【請求項7】
請求項6記載のハーブ組成物において、前記少なくとも1種は、イヌヂシャ属植物の1種である、ハーブ組成物。
【請求項8】
イヌヂシャ属、バンレイシ属及びウコン属植物のそれぞれの1種の抽出物を含む、請求項6記載のハーブ組成物。
【請求項9】
Cordia lutea(ムユヨ)の花、Annona muricata(トゲバンレイシ)の葉、或いはCurcuma longa(ウコン)の根の抽出物、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項6記載のハーブ組成物。
【請求項10】
ムユヨの花、トゲバンレイシの葉、及びウコンの根の抽出物を含む、請求項6記載のハーブ組成物。
【請求項11】
請求項10記載のハーブ組成物において、ムユヨの花、トゲバンレイシの葉、及びウコンの根の抽出物は、それぞれ約1:1:1〜約8:1:1の重量比で存在するものである、ハーブ組成物。
【請求項12】
請求項10記載のハーブ組成物において、ムユヨの花、トゲバンレイシの葉、及びウコンの根の抽出物は、それぞれ約1:0.025〜1:0.025〜1の重量比で存在するものである、ハーブ組成物。
【請求項13】
請求項10記載のハーブ組成物において、ムユヨの花、トゲバンレイシの葉、及びウコンの根の抽出物は、それぞれ約8:1:1の重量比で存在するものである、ハーブ組成物。
【請求項14】
請求項13記載のハーブ組成物において、前記抽出物は含水アルコール抽出物である、ハーブ組成物。
【請求項15】
ハーブ組成物の調合に使用するための、選択された植物器官から含水アルコール抽出物を得るための方法であって、
前記選択された植物器官を乾燥させ、約0.35mm〜約0.1mmの範囲の粒子サイズを有する粉末を得るために前記乾燥させた植物器官を粉砕する工程と、
約6〜約8日間、ほぼ室温で含水アルコール溶液に前記粉末を漬け込む工程であって、これにより前記植物器官の抽出物を得るものである、前記漬け込む工程と、
前記抽出物を濃縮する工程と、
前記抽出物を凍結乾燥させ滅菌する工程と
を有するものである、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記抽出物は、ロートエバポレータにおいて濃縮されるものである、方法。
【請求項17】
患者における肝障害の治療或いは予防のための方法であって、治療上有効な量の請求項1〜14に記載されたハーブ組成物を患者に投与する工程を有するものである、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記肝障害は、ウイルス感染によって引き起こされるものである、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、或いはその両者の組み合わせによって引き起こされるものである、方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法において、前記肝障害は、非ウイルス性肝炎である、方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法において、前記肝障害は、肝臓の線維化或いは肝硬変である、方法。
【請求項22】
フリーラジカルを中和し、患者におけるフリーラジカルの形成を予防するための方法であって、有効な量の請求項1〜14に記載されたハーブ組成物を、そのような治療が必要な患者に投与する工程を有するものである、方法。

【公表番号】特表2010−540572(P2010−540572A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527309(P2010−527309)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001764
【国際公開番号】WO2009/043176
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510094078)サベル コーポレーション (1)
【出願人】(510094089)
【Fターム(参考)】