説明

メタアラミド繊維の高速製造

本発明は、ある濃度のポリマー、塩、溶剤および水を含有するポリマー溶液から繊維を製造する連続乾式紡糸方法に関する。繊維は押出され急速冷却された後、ある濃度の溶剤、塩および水を含むコンディショニング溶液と接触させる。コンディショニング溶液は、延伸前に繊維を可塑化するよう繊維に作用する。コンディショニング溶液は、繊維を延伸に必要な程度に可塑化するが、ポリマー溶液に再溶解させる程には可塑化しないような、ある濃度の溶剤、塩および水を含有する。この方法で製造され、熱処理された繊維は収縮性が向上し、かつ濃い色に着色することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタアラミドおよび他の高性能繊維の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維の紡糸に有用なメタアラミドポリマーは、メタフェニレンジアミンなどのジアミンとイソフタロイルクロリドなどの二酸クロリドとの溶液ベースの反応により得ることができる。この反応は副生物として塩酸を生成するが、これは塩基化合物を添加し塩を生成させることによって中和することができる。その後、このポリマー、塩および溶剤からなる溶液から繊維が紡糸され、その際、繊維の初期生成過程でかなりの部分の溶剤が除去される。その後、それに続く工程で、繊維から可能な限りの溶剤が除去されるとともに、繊維の物性を向上させる延伸が行われる。ポリマー、溶剤および塩の混合物より紡糸された繊維から溶剤を除去することは、残念ながら、繊維中で塩と溶剤間に生成する化学的複合物と考えられるもののために複雑である。繊維からの溶剤の物質移動に十分な時間を与えて繊維を延伸するには、長い処理時間が必要であると考えられている。したがって、繊維の製造プロセスは、2つの分離された工程、すなわち高速で操業する繊維の紡糸工程と、それに続く低速の洗浄および延伸工程に、物理的に分離ないし分割されている。したがって、2つのプロセスを結合させるような、紡糸後に繊維から高速で溶剤を除去する方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、本発明はポリマー、水および塩の溶液を気体媒体中に押出す連続乾式紡糸方法に関する。気体媒体中で、少なくとも25重量パーセントの溶剤が繊維から除去される。その後、第1の濃度の溶剤および塩を含む第1の温度の水溶液中で、繊維を急速に冷却する。次に、溶剤および塩が第2の濃度にある第2の温度の水性コンディショニング溶液に繊維を接触させる。繊維のコンディショニングが終了後、繊維を延伸する。
【0004】
いくつかの実施形態では、繊維を延伸後、水洗し、乾燥させてもよい。さらにいくつかの実施形態では、繊維をそのガラス転移点より高い温度に加熱する熱処理を行ってもよい。
【0005】
要約、および以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読めば、より理解できるであろう。本発明を説明するために、本発明の代表的な実施形態を図面に示しているが、本発明は、開示した特定の方法、組成物および装置に限定されるものではない。また、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】押出された繊維の内側部および外側シェルを示す断面図である。
【図2】図1の押出された繊維の断面の温度を示す図である。
【図3】本発明を実施する際に使用され得る処理工程および技術を示す図である。
【図4】糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像であり、赤色染料が繊維の表面近傍で集中していることを示す。
【図5】図4の糸が結晶構造(高温下で低収縮性を示すメタアラミド繊維の属性である)を有するメタアラミドであることを示すラマンスペクトルである。
【図6】方法を変更して製造された糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像で、図4に示した糸と比較したものである。
【図7】方法を変更して製造された糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像で、図4に示した糸と比較したものである。
【図8】図7の糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像であり、赤色染料が繊維の表面近傍で集中していることを示す。
【図9】方法を変更して製造された糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像で、図4に示した糸と比較したものである。
【図10】方法を変更して製造された糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像で、図4に示した糸と比較したものである。
【図11】方法を変更して製造された糸のフィラメント断面の顕微鏡写真の走査像で、図4に示した糸と比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の一部をなす添付の図面および実施例と併せて以下の詳細な説明を参照すれば、本発明はより容易に理解されるであろう。本発明が、ここで記載されもしくは示されている、またはその両方である特定の装置、方法、用途、条件またはパラメータに限定されるものではなく、また、ここで使用されている用語が、特定の実施形態を単に例として説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載した発明の限定を意図するものではないことは理解されるべきである。また、添付の請求項を含む本明細書中で使用されるとき、他に特に明示しなければ、「a」、「an」および「the」の単数形は複数を含み、特定の数値の記載は少なくともその特定の値を含むものとする。ここでは、用語「複数」は1より多いことを意味する。ある範囲の値を表す場合、別の一実施形態では、一方の特定の値から、もしくは他方の特定の値まで、またはその両方が含まれる。同様に、前に「約」を付すことによって概数を表す場合、その特定の値は別の一実施形態を形成するものと理解されるであろう。全ての範囲は包括的であり結合が可能である。
【0008】
本発明のいくつかの特徴は、ここでは、明確にするために、異なる実施形態において記載しているが、それらはまた単一の実施形態の中で組み合わせて提供し得ることも理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態において記載している本発明の各種特徴も、別々に、または任意の部分的組み合わせで提供することができる。さらに、範囲として記載されている値には、その範囲内のあらゆる値が含まれる。
【0009】
用語「乾式紡糸」は、気体雰囲気の加熱チャンバー内へ溶液を押出して溶剤のかなりの部分を除去し、その後の処理ができるだけの物理的完全性を有する固体または半固体のフィラメントを残すことによって、フィラメントを製造する方法を意味する。溶液は繊維形成ポリマーを溶剤中に含み、1つもしくはそれ以上の紡糸口金から連続流れで押出されてフィラメントが形成される。これは、ポリマー溶液を液体の凝結媒体または急速冷却媒体中に押出してポリマーフィラメントを再生させる「湿式紡糸」または「エアギャップ湿式紡糸」(エアギャップ紡糸としても知られている)とは明確に異なる。言い換えれば、乾式紡糸では気体が主な初期溶剤除去媒体であり、湿式紡糸では液体が主な初期溶剤除去媒体である。乾式紡糸では、ポリマーから溶剤を十分に除去し、固体または半固体のフィラメントを形成した後、そのフィラメントを追加の液体で処理して冷却し、さらにフィラメントを凝固させ、その後フィラメントを洗浄して残留溶剤をさらに除去する。
【0010】
用語「メタアラミド繊維」には、メタ配向の合成芳香族ポリアミドポリマーが含まれる。ポリマーとしては、ポリアミドのホモポリマー、コポリマー、またはこれらの混合物が挙げられる。これらは主に芳香族であり、アミド結合(−CONH−)の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合している。環は置換されていてもいなくてもよい。分子鎖に沿って2つの環またはラジカルが互いにメタ配向性であるとき、そのポリマーはメタアラミドである。コポリマーは、ポリマー生成時に使用された初期ジアミンの10パーセント以下が他のジアミンで置換されているか、または、ポリマー生成時に使用した初期の二酸クロリドの10パーセント以下が他の二酸クロリドで置換されているものが好ましい。アラミドと共に添加剤を使用することができ、そして、他のポリマー材料を13重量パーセントまでアラミドとブレンドまたは結合させることができることがわかった。
【0011】
好ましいメタアラミドは、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)およびそのコポリマーである。そのようなメタアラミド繊維の1つに、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能なNomex(登録商標)アラミド繊維があるが、メタアラミド繊維は、帝人株式会社(東京、日本)から入手可能なConex(登録商標)、ユニチカ株式会社(大阪、日本)から入手可能なApyeil(登録商標)、Yantai Spandex Co.Ltd.(Shandong,China)から入手可能なNew Star(登録商標)Meta−aramid、およびGuandong Charming Chemical Co.Ltd(Xinhui,Guandong,China)から入手可能なChinfunex(登録商標)Aramid 1313の商標で、様々な形で入手可能である。メタアラミド繊維は本質的に難燃性であり、乾式または湿式により、任意の数のプロセスを使用して紡糸することができるが、しかしながら米国特許第3,063,966号明細書、第3,227,793号明細書、第3,287,324号明細書、第3,414,645号明細書および第5,667,743号明細書は、アラミド繊維の製造に有用で使用可能な方法の例である。
【0012】
用語「繊維」は、比較的柔軟な、長さ方向に垂直な断面の幅に対する長さの比が大きい材料の単位を意味する。ここでは、用語「繊維」は、用語「フィラメント」または「エンド」と同義に使用される。ここで説明するフィラメントの断面は、いかなる形状であってもよいが、通常は円形または豆形である。パッケージ中のボビン上に紡糸された繊維は、連続繊維と呼ばれる。繊維はステープルファイバーと称する短い長さに切断することができる。繊維はフロックと称するさらに短い長さに切断することができる。糸、マルチフィラメント糸、またはトウは複数の繊維を含む。糸には、撚りもしくはねじり、またはその両方が加えられる。
【0013】
用語「結晶化繊維」は、ここでは、熱的に安定な繊維、すなわち、ポリマーのガラス転移点近傍までの温度に置かれてもあまり収縮しないものを意味する。この用語は一般的な性質を有している。すなわち、ここで言う「結晶」繊維は常に完全に結晶化しているわけではなく、「アモルファス」繊維は常に完全にアモルファスであるというわけでない。むしろ紡糸されたときの繊維はアモルファス繊維と考えられ、それが受けた温度および処理からして比較的低い結晶化度を有し、一方、結晶繊維はポリマーのガラス転移点付近またはそれを超える温度で熱処理されることから比較的高い結晶化度を有する。また、完全なものにするために、繊維を結晶化させる第2の経路があり、染料を含む、または含まない染料担体を使用した化学的手段により繊維を「結晶化」させることができる。
【0014】
ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)および他のメタアラミドは、従来の方法で重合することができる。これらの方法で生成されたポリマー溶液は、塩に富むことも、塩を含まないことも、あるいは少量の塩を含むこともある。少量の塩を含むと記したポリマー溶液は、塩の含有量が3重量%未満の溶液である。紡糸溶液中に含まれる塩は、一般に、重合反応で生成した副生物の酸を中和したことによるものであるが、塩を含まない溶液に対しては、本方法に必要な塩濃度を確保するために、塩を加えることもできる。
【0015】
本方法に使用することができる塩としては、カルシウム、リチウム、マグネシウムまたはアルミニウムからなる群より選択されるカチオンを含む塩化物または臭化物が挙げられる。塩化カルシウムまたは塩化リチウム塩が好ましい。塩は塩化物もしくは臭化物として加えてもよく、あるいは、カルシウム、リチウム、マグネシウムまたはアルミニウムの酸化物または水酸化物を重合溶液に加えて、アラミド重合の副生物である酸を中和することによって生成してもよい。また、中和溶液にハロゲン化物を加え、中和で得られた塩含有量を紡糸に必要な含有量にまで上昇させることによって、必要な塩濃度を達成してもよい。本発明においては、塩の混合物を使用することができる。
【0016】
溶剤は、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの、プロトン受容体としても機能する溶剤からなる群より選択される。ジメチルスルホキシド(DMSO)も溶剤として使用することができる。
【0017】
本発明は、次式で表される繰り返し構造単位を少なくとも25モル%(ポリマーに対して)含有するアラミドからなる繊維の製造方法に関する。
[−CO−R1−CO−NH−R2−NH−] (I)
【0018】
1、R2、またはその両者は、1つの分子内において、1つの同じ意味を有していてもよいが、示された定義の範囲内で1つの分子内で異なっていてもよい。
【0019】
1、R2、またはその両者が、2価の芳香族基を表し、その原子価結合が、メタ位、または互いに同等の角度を有する位置にあるならば、これらは単核もしくは多核の芳香族炭化水素基であるか、または単核もしくは多核の複素環芳香族基である。複素環芳香族基の場合、これらは、芳香核内に特に1個または2個の酸素、窒素または硫黄原子を有する。
【0020】
多核芳香族基は、互いに縮合していてもよく、あるいはC−C結合、または、例えば−O−、−CH2−、−S−、−CO−もしくはSO2−などの架橋基により互いに結合していてもよい。
【0021】
原子価結合が、メタ位、または互いに同等の角度を有する位置にある多核芳香族基の例としては、1,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、または3,4’−ビフェニルジイルが挙げられる。このタイプの単核芳香族基の好ましい例は、1,3−フェニレンである。
【0022】
特に、上で定義した式Iの繰り返し構造単位を少なくとも25モル%(ポリマーに対して)有するポリマーを繊維形成物質として含有する、直接紡糸が可能なポリマー溶液を製造することが好ましい。直接紡糸が可能なポリマー溶液は、溶剤中で式IIのダイマーを式IIIのジカルボン酸ジクロリドと反応させることによって製造される。
NH2−R2−NH2 (II)
ClOC−R1−COCl (III)
【0023】
好ましいメタアラミドポリマーは、MPD−I、またはMPD−Iを少なくとも25モル%(ポリマーに対して)含有するコポリマーである。
【0024】
本発明の方法のポリマー紡糸溶液においては、塩および溶剤の数多くの組み合わせを首尾よく使用することができるが、塩化カルシウムとDMAcの組み合わせが特に好ましい。
【0025】
現在の技術による方法では、塩を含有するメタアラミドポリマー溶液を高速乾式紡糸方法により高温で押出して繊維とする。押出された繊維は気体媒体(この気体媒体も高温である)を有するカラムの中を下方に送られ、溶剤の一部が蒸発する。操作の理論的制約に縛られずに言うならば、乾式紡糸において溶剤の全てを除去することは可能であるが、一般にメタアラミドに関しては、溶剤と塩との間で生成する化学的複合物のために不可能であり、その後にこの溶剤を除去する処理工程が必要になると考えられる。
【0026】
繊維はカラムの底部から出た後、溶剤および塩をある含有率で含有する水溶液中で急速冷却される。急速冷却溶液によりフィラメントの温度が低下し、さらにフィラメントの表面にポリマーに富む相が発達する。
【0027】
満足のいく十分な急速冷却が行われた後では、繊維は、図1に示すように、薄く、半柔軟性で、透過性を有し、ポリマーに富む外側シェルと、ポリマーにはさほど富まず、溶剤により富む液状またはゲル状の内側部を備えることになる。繊維100(例えば、メタアラミドポリマー溶液から押出すことができる)は、透過性の外側シェル102(正確な縮尺では記載されていない)および内側部104を発達させることができる。高温気体媒体に直接接触し、かつ急速冷却されたために、外側シェル102は内側部104より溶剤の量は少ないものの、外部シェル102および内側部104の両者は比較的同一の化学組成を有している。繊維100が外側シェル102および内側部104を発達させるのは、一つには、紡糸および溶剤除去の各種処理条件の中を繊維が急速に移動することによる。繊維に平衡状態に達する時間が与えられないからである。
【0028】
この時点で、直ちに繊維を高速延伸プロセスにかけ、所望の直径まで、単位長さの何倍もの長さに繊維を延伸するならば、個々のフィラメントの破断傾向は高くなる。これを避けるために、現在のやり方では、急速冷却プロセスからの依然濡れている繊維を、数時間から数日間の一定期間、容器に入れて置いておく。その後、繊維を容器から取り出し、多くの水槽中で、溶剤を除去する水洗と同時に、一連のローラにより所望の程度にまで延伸する。
【0029】
有効な延伸ができる繊維を調製するために、濡れて押出された繊維を一定期間置いておく必要があることにより、高速の乾式紡糸方法は連続法からバッチ法に変わる。このため、処理量の増加や環境に及ぼす影響の低減といった、メタアラミド繊維の高速乾式紡糸方法の意図した便益は、現在の技術では十分には得られない。
【0030】
本方法は、メタアラミドポリマー溶液から繊維を製造するための高速の連続乾式紡糸方法として使用することができる。一実施形態では、ポリマー溶液は16〜20重量パーセントのメタアラミドポリマーを含む。しかし、正確で有用なポリマー濃度は、繊維の紡糸に適した溶液粘度となるよう決定される。ポリマーがポリ(メタフェニレンジアミン)である場合、溶液は約20重量パーセントの上限を有するが、塩とポリマーの組み合わせにより溶液は非常に高粘度になり、繊維に紡糸することが困難になる。約16重量パーセント未満のポリマー濃度では、有用な繊維を製造するのに適した溶液粘度が得られないと考えられる。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は3〜10重量パーセントの塩を含む。3重量パーセント未満では安定なポリマー溶液を得ることが困難になり、10重量パーセントを超えると、その溶液粘度では繊維に紡糸することが困難になる。好ましい実施形態では、ポリマー溶液は約19重量%のメタアラミド固体、約70重量%のDMAc溶剤および8重量%の塩化カルシウム塩を含む。
【0031】
連続プロセスの例を図3に示す。ポリマー紡糸溶液は重合装置300から供給ポンプ302により、フィルター304を経て紡糸口金304へ送られ、そこを通って繊維が製造される。典型的には、ポリマー溶液は、一般に100℃を超える温度で、いくつかの好ましい実施形態では110℃〜140℃の温度範囲で、多穴の紡糸口金304からチャンバー306の頂部へ向けて紡糸され、個々のフィラメントへと凝結するポリマー溶液の流れを形成し、個々のフィラメントが集合してフィラメント束を形成する。チャンバー306は、典型的には、高温の気体媒体が連続的に通されている中空のカラムである。高温の気体媒体は繊維から溶剤の一部、一般には、紡糸口金を出た繊維に含まれる初期溶剤含有量の少なくとも25重量パーセント、好ましくは少なくとも50重量パーセントを蒸発させる。
【0032】
数種類の気体を使用し得るが、気体注入口流れ308および310で示す窒素ガスが、通常、最も広く使用されている。気体注入口流れ308および310は、典型的には、約摂氏250度を超え、いくつかの好ましい実施形態では、チャンバー内の気体は摂氏約300度もしくはそれ以上である。チャンバー306を出た後、繊維またはフィラメント束は直ちに急速冷却工程へ送られ、そこで繊維またはフィラメント束はある濃度の溶剤および塩を含む冷却溶液312と接触する。いくつかの好ましい実施形態では、この溶液は、濃度0.5〜10パーセントの塩と2〜20重量パーセントの溶剤を含む。冷却溶液の温度は、一般に、カラム306から出た繊維の温度よりかなり低い。いくつかの好ましい実施形態では、冷却溶液の温度は摂氏1〜15度である。いくつかの好ましい実施形態では、急速冷却工程でのフィラメント速度は少なくとも毎分150ヤードである。
【0033】
繊維またはフィラメント束は、その後直ちに、コンディショニング工程へ送られ、そこで、この連続プロセスで個々のフィラメントが破断するのを防止するために、次の延伸工程316の前に繊維にコンディショニングが施される。操作の理論または原理に縛られずに言うならば、コンディショニング工程の追加によりフィラメント束が可塑化され、個々のフィラメントに重大な破断を引き起こさずに延伸し伸長させることが可能になると考えられる。そうしたことから本発明の方法では、その後繊維をコンディショニング溶液で処理する。そのほとんどは、連続的に移動する繊維に溶液をスプレーすることによる。
【0034】
コンディショニング溶液は、好ましくは、高温で、ある濃度の溶剤と塩を含有する。特には、コンディショニング溶液は、冷却溶液より高濃度の溶剤を含有し、かつ冷却溶液の温度より高温である。好ましい1つのコンディショニング溶液は、水性コンディショニング溶液中に、その水性コンディショニング溶液の全重量に対する重量パーセントで5%〜40%の溶剤を含み、かつ、水性コンディショニング溶液中に、その水性コンディショニング溶液の全重量に対する重量パーセントで1%〜10%の塩を含む。いくつかの好ましい実施形態では、コンディショニングの温度は、摂氏30〜100度である。
【0035】
操作の特定の理論に縛られずに言うならば、コンディショニング溶液は次の延伸工程への準備として繊維を可塑化するものと考えられる。コンディショニング溶液は、溶剤除去および急速冷却段階における不均一性のためにフィラメントの径方向に変動している可能性がある、フィラメント束内の溶剤濃度を安定化させ、かつ均等化させる働きをする。コンディショニング溶液は、また、個々のフィラメントの外側シェルを可塑化するとともに、個々のフィラメント中の溶剤濃度を増加させ、個々のフィラメントの径方向にフィラメントの物性が均等化するのを助けるものと考えられる。繊維が溶解して液状のポリマー溶液に戻ることを防止するために、コンディショニング溶液中の溶剤濃度は、繊維を可塑化状態に置くものの、液体状態にならないようなレベルに維持すべきである。水性溶液中の上記溶剤および塩の濃度は、延伸するのに十分な可塑状態に繊維を維持することが確認されている。コンディショニング溶液の組成および温度は、フィラメント束中のフィラメントを、僅か数秒の接触時間で急速に可塑化できるようなものとする。好ましい一実施形態では、繊維は、全繊維製造プロセスの中で、全体として、2分に満たない時間、水性コンディショニング溶液と接触する。コンディショニング溶液は非常に効果的であり、高速のプロセス全体の中で、フィラメント束とトータルで僅かに5秒接触させればよいと考えられる。
【0036】
繊維にコンディショニング溶液を適用するにはいくつかの方法があるが、プロセスの連続性を維持し、かつ可塑化したフィラメントに無用のストレスを与えないためには、コンディショニング溶液を繊維にスプレーする方法が好ましい。フィラメント束に液体を接触させるには他の方法も可能であるが、好ましい一方法では、このコンディショニング工程は、実質的に同じ回転速度で稼動している1対もしくはそれ以上のローラ対にフィラメント束を螺旋状に複数回巻き付ける間に、フィラメント束にコンディショニング溶液をスプレーすることによって行われる。いくつかの実施形態では、コンディショニング工程中、コンディショニング溶液はフィラメント束と約5〜30秒間接触する。いくつかの好ましい実施形態では、コンディショニング工程中、コンディショニング溶液はフィラメント束と約10〜25秒間接触する。
【0037】
繊維は、コンディショニング溶液314によりコンディショニングされた後、直ちに延伸工程へ送られ、延伸工程316で、ここでもまた連続プロセスにより、延伸され、その力学的特性が改善される。
【0038】
延伸は種々の方法で行うことができる。一実施形態では、回転速度が次第に増大するよう稼動している複数セットのローラにフィラメント束をサーペンタインに巻き付ける。「サーペンタインに巻き付ける」とは、一般に180度を超えてローラと接触する(または、ローラ表面の巻き付け角を有する)ようにして、各ローラにフィラメント束を1回巻き付けることを意味する。全ての延伸プロセスでローラに関して変数があり、実際の巻き付け角、ローラ数、およびそれらの相対速度は、目的とする延伸量、および繊維束とローラ表面との相対摩擦特性に大きく依存する。いくつかの好ましい実施形態では、3個ずつで稼動するそうしたローラのグループを有することが望ましい。すなわち、全てが同じ速度で稼動している3個のローラにフィラメント束をサーペンタインに巻き付け、その後、全てが同じ第2の速度で稼動する3個のローラからなる第2のセットに、フィラメント束をサーペンタインに巻き付ける。この第2の速度は第1セットの3個のローラ速度より大である。
【0039】
サーペンタイン延伸プロセスに関し、ここでの目的からすれば、1つの速度で稼動する第1のローラセットと、それより速い第2の速度で稼動する第2のローラセットとの組み合わせが、1つの延伸ステージであると考えられる。この特定のプロセスの好ましい実施形態においては、2セットのローラのみが使用され、2つのローラセット間の速度は、2つのローラセット間のフィラメント束に加わる張力が、約0.25グラム/デニールを下限とし、2グラム/デニール以下を維持するよう制御される。しかしながら、所望される場合には、追加のローラセットを必要なだけ追加し、繊維をさらに延伸することができる。しかし、延伸ステージの追加と共に、フィラメントの破断の可能性は増大する。また、一般に延伸ステージ全体を通して、コンディショニング工程で使用したのと同じ水溶液をフィラメント束にスプレーすることにより、延伸工程中、フィラメント束を濡れた状態に保持することが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、延伸工程におけるコンディショニング溶液とフィラメント束との接触は、コンディショニング工程より短時間である。いくつかの実施形態では、延伸工程におけるコンディショニング溶液とフィラメント束との接触は1〜20秒間である。
【0040】
好ましい一実施形態では、延伸は、フィラメント束を螺旋状に巻き付けた2対のローラを使用し、1つの延伸ステージで行われる。この実施形態では、間隔をおいて設置された、両者とも同じ速度で稼動している1対のローラに、フィラメント束が螺旋状に複数回巻き付けられる。その後、フィラメント束は、間隔をおいて設置された第2のローラ対に送られ、この間隔をおいて設置された第2のローラ対に螺旋状に複数回巻き付けられる。第2対のローラは共に同じ速度で稼動しており、この速度は第1のローラセットの速度より速い。フィラメント束に対する延伸は、こうして2つのローラ対の間で行われる。サーペンタイン延伸プロセスと同様に、フィラメント束とローラ表面の接触から生じる摩擦により、2つのローラ対の間でフィラメント束は分離され、かつ延伸される。2対のローラの間でフィラメント束に加わる張力が、約0.25グラム/デニールを下限とし、2グラム/デニール以下を維持するよう、2対のローラの速度を調節することが好ましい。また、各延伸ステージにおいてコンディショニング工程で使用したのと同じ水溶液をフィラメント束にスプレーすることにより、延伸工程中、フィラメント束を濡れた状態に保持することが好ましい。スプレーは各対を構成する2つのローラ間で行うことが好ましい。
【0041】
別の実施形態では、延伸は複数の延伸ステージにより行われる。各延伸ステージ間の滞留時間は少なくとも1秒である。この実施形態の好ましい実施では、第1の延伸ステージを、螺旋状に巻き付けられる2対のローラを使用して行い、直前に記載したように、各対は異なる速度で稼動させ、第2対の回転速度を第1対より速くする。フィラメント束は、この第2のローラ対から、螺旋状に巻き付けられる第3のローラ対へ送られる。第2のローラ対および第3のローラ対が第2の延伸ステージを構成する。その後、フィラメント束は、第3のローラ対から、螺旋状に巻き付けられる第4のローラ対へ送られる。第3および第4のローラ対が第3の延伸ステージを構成する。この構成で、第4のローラ対は、第2のローラ対よりも速い回転速度で稼動する。第1の延伸ステージの第2のローラ対の速度を第2の延伸ステージにある第3のローラ対と合わせ、そうすることで、この2つの延伸ステージ間ではフィラメント束の延伸が実質的になされなくし、第2のステージと第3のステージ(螺旋状に巻き付けられる第3および第4のローラ対)との間で延伸がなされるようにすることにより、延伸ステージ間の滞留時間を1秒とすることができる。その場合、第1の延伸ステージと第3の延伸ステージとの間の滞留時間は、第3のローラ対における巻き付け回数によって変化し得る。
【0042】
延伸は2対のローラ間で行われ、好ましくは第1ステージおよび第3ステージともに2対のローラ間に生じる張力は、それぞれ約0.25グラム/デニールを下限とし、2グラム/デニール以下に維持される。一実施形態では、第3ステージより第1ステージで、より延伸させる。前記と同様、コンディショニング工程で使用したのと同じ水溶液を各延伸ステージでフィラメント束にスプレーすることにより、延伸工程全体を通して、フィラメント束を濡れた状態に保持することが好ましい。スプレーは各対を構成する2つのローラ間で行うことが好ましい。好ましい一方法では、2段のみの延伸ステージが使用される。しかしながら、所望される場合には、追加の延伸ステージを必要なだけ追加し、これらの追加の延伸ステージを同様に行って繊維をさらに延伸することができる。しかし、各延伸ステージの追加と共に、フィラメントの破断の可能性は増大する。
【0043】
好ましい実施形態では、延伸工程で、フィラメントは直線長さの少なくとも3倍延伸される。連続プロセスの速度は、延伸工程の後で、少なくとも毎分450ヤードである。
【0044】
延伸後、フィラメント束は直ちに洗浄工程318へ送られ、フィラメント束から溶剤と塩が除去される。所望される場合には、他の液体を使用することもできるが、典型的には、この工程における洗浄液は水である。フィラメント束に液体を接触させるには他の方法も可能であるが、好ましい一方法では、この洗浄は、実質的に同じ回転速度で稼動している1対もしくはそれ以上のローラ対にフィラメント束を螺旋状に複数回巻き付ける間に、フィラメント束に水をスプレーすることによって行われる。
【0045】
洗浄後、繊維は直ちに乾燥工程320へ送られる。乾燥後、所望される場合には、直ちに熱処理工程322へ送られてもよい。一実施形態では、乾燥は、150〜250℃の温度で稼動している1つ以上の乾燥ドラム、加熱ローラ、またはその両者に繊維を通し、フィラメントから水分を放出することによって行われ、一方、繊維の熱処理は、乾燥繊維を引き続き、1つ以上の、典型的には、ポリマーのガラス転移点近傍またはそれを超える温度範囲、メタアラミドでは一般に約260〜390℃の、高温ローラ上を通すことにより行われる。熱処理温度が高くなると、繊維内に分子レベルの構造割合が増加する。その温度での時間もまたこの分子構造の形成に影響を及ぼし得る。
【0046】
2つの異なる工程として説明してきたが、フィラメントを次第により高温に触れさせていく過程で、まず繊維を乾燥させ、その後、熱処理することにより、工程を統合することが考えられる。さらに、所望される場合には、乾燥時または熱処理時のいずれかで繊維を延伸することもできるが、本方法の好ましい実施形態では、乾燥工程および熱処理工程のいずれにおいても、フィラメント束の意図的な延伸はほとんど行っていないか、または全く行っていない。しかしながら、いくつかの別の実施形態では、これらのプロセスにおいてフィラメント束に加わる張力は、0.25グラム/デニール超、約1グラム/デニール以下であり得る。いくつかの別の実施形態では、フィラメント束に加わる張力は、2グラム/デニールに達し得るが、これは有用なフィラメントを製造する実用上の上限であると考えられる。
【0047】
乾式紡糸によりメタアラミドポリマー溶液から繊維を製造する場合、得られた紡糸直後の繊維は通常、結晶化度が低く、これはその繊維が高い熱収縮性を示すことを意味していることから、ある種のメタアラミド繊維に対しては熱処理を行うことが好ましい。この処理により熱収縮性は低下するが、繊維の染料の取込性は低下する。言い換えれば、結晶化されていない紡糸直後の繊維と較べれば、着色染料による着色がしにくくなる。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、塩に富むメタアラミドポリマー溶液の乾式紡糸、コンディショニング、延伸、洗浄、乾燥および熱処理を全てノンストップの連続プロセスで行って、有用な力学的特性、および染料を使用してより容易により濃い色調に着色できる特性を共に有する繊維を製造する方法を提供する。そのようなメタアラミド繊維は285℃における1/2時間後の熱収縮率が0.4%以下で、「L」値が50未満である。好ましい結晶化メタアラミド繊維ポリマーは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。
【0049】
繊維および織物の色は、比色計とも呼ばれる分光光度計を用いて測定することができ、それは、測定品目の種々の色特性を3つのスケール値「L」、「a」および「b」で表わす。カラースケール上で「L」が小さいことは、一般により濃い色であること示し、白色の値は約100であり、黒色は約0である。メタアラミド繊維は、紡糸直後(非晶質)と熱処理後(結晶化)でいずれも、比色計による測定で白色の「L」値が一般に約85を超える。ここで記載している、低温での穏やかな繊維の熱処理を含む連続乾式紡糸方法を実施することによって、着色すると、着色前の繊維より「L」値が少なくとも40単位低下する結晶化メタアラミド繊維を製造することができる。これは着色後の繊維の「L」値が約45以下であることを意味する。
【0050】
この「L」値の差を測定するために使用される好ましい染料は赤色染料であり、具体的には、BASF Wyandotte Corp.(Charlotte,N.C.)から入手可能なBasacryl Red GL dyeである。一実施形態では、繊維の着色に使用する溶液は次のように調製される。2グラムのBasacryl Red GL dyeを99.7%の酢酸2mlと混合する。次に、200mlの高温水(150±10°F)を撹拌しながら酢酸に加え、濃縮染料を生成する。次に、この濃縮染料50mlとC−45(アリールエーテル)染料担体(Stockhausen(Greensboro,N.C.)から入手可能)16mlをビーカー中で混合する。次に、追加の高温水(150±10°F)を加えて溶液の体積を450mlにする。次に、10%のピロリン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウムとも呼ばれる)を加えて溶液のpHを2.8〜3.2に調節する。次に、染料溶液をAhiba Multiprecise TC Dyerの染料窪みに注ぎ込む。次に、追加の高温水50mlを使用してビーカーを洗い、染料窪みに加える。
【0051】
この熱的に安定で、しかもかなりの着色が可能な繊維は、本発明の乾式紡糸方法により製造することができる。この実施形態では、熱処理されているが着色可能な繊維が、摂氏250度以下、好ましくは摂氏150〜250度の温度で繊維を乾燥させ、次いで、それより高い摂氏300度以下、好ましくは摂氏260〜300度の温度で、0.5〜5秒間、繊維を熱処理することにより製造される。好ましい一方法では、この範囲の表面温度を有するローラにより繊維を延伸するが、その際、ローラの速度をローラ間の速度比が1.1〜1.5となるように制御する。一実施形態では、得られる繊維は、従来技術の熱安定化アラミド繊維に較べて着色性が著しく優れており、水性染色液から50%を超す染料を取り込む。一実施形態では、染料は繊維の表面近傍に集中している。
【0052】
この方法は、メタアラミド繊維の乾式紡糸に有用である一方、他の繊維についても、様々な溶剤を使用して他のポリマーから、類似の方法で、すなわち、ポリマー溶液からフィラメントを高温気体雰囲気中に紡糸してフィラメントから大部分の溶剤を除去した後、直ちに、それらのフィラメントを溶剤を含む冷却溶液で急速冷却し、その後直ちに、冷却溶液より高濃度の溶剤を含有するコンディショニング溶液にフィラメントを接触させてフィラメントのコンディショニングを行い、その後直ちに、フィラメントの延伸、洗浄、乾燥をそれぞれこの順に行うことにより、乾式紡糸をすることができると考えられる。乾燥の後、熱処理がなされてもよい。
【0053】
試験方法
色の測定。色の測定に使用したシステムは、1976 CIELABカラースケール(Commission Internationale de l’Eclairageにより開発されたL−a−bシステム)である。CIE「L−a−b」システムでは、色は3次元空間の点と見なされる。「L」値は高値が最も明るい色であることを示す明度軸であり、「a」値は「+a」が赤の色相を表し、「−a」が緑の色相を表す赤/緑軸であり、「b」値は「+b」が黄の色相を表し、「−b」が青の色相を表す黄/青軸である。実施例では、繊維の色の測定に、工業標準の10度視野およびD65光源を使用する分光光度計を使用した。
【0054】
繊維の収縮。高温における繊維の収縮を試験するために、試験するマルチフィラメント糸試料の両端を固い結び目で縛り、ループの内側の全長が約1メートルの長さになるようにする。次に、ループがピンと張るまで張力を加え、2重になったループの長さを測定し、0.1cmの単位に四捨五入する。次いで、摂氏285度で30分間、糸のループを炉内に吊るす。その後、糸のループを冷却し、再び張力を加え、2重になった長さを再度測定する。その後、ループの直線長さの変化からパーセント収縮率を計算する。
【0055】
以下の実施例は、本発明の方法により繊維を製造するときに使用され得る各種の処理工程を示すために提供するものである。
【実施例】
【0056】
実施例1
この実施例では、一段階の延伸ステージを使用して、溶剤に富むポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)ポリマーをマルチフィラメント繊維糸へ乾式紡糸する、マルチフィラメントメタアラミド連続繊維の高速連続製造について説明する。
【0057】
19重量%のMPD−I固体、70重量%のDMAc溶剤、および8重量%の塩化カルシウム塩からなるMPD−Iポリマー溶液を、乾燥基準のMPD−Iで毎時17ポンドの割合で、600個の小さなオリフィスが成形された直径0.01インチのキャピラリーを通して、高温の不活性窒素ガスが300℃で流れている長い加熱チューブである紡糸セルへ押出した。こうして加熱チューブ内の乾燥気体中へポリマーを押出すと、押出されたポリマーの細流から溶剤がフラッシングすることにより、約50%の溶剤がポリマー溶液から除去された。
【0058】
紡糸セルの終端で、MPD−Iポリマー、塩、および溶剤を含有する紡糸繊維フィラメントを、水ベースの溶液によって毎分280ヤードの速度で急速冷却し、繊維の表面にスキンを形成した。冷却溶液は、温度が10℃であり、10重量%の溶剤および1重量%の塩を含有した。急速冷却後、MPD−Iポリマー、溶剤、塩、および水からなり、表面に溶液を含む繊維に、10℃で供給される冷却溶液を2回、追加的かつ連続的に塗布した。
【0059】
急速冷却後、急速冷却されたマルチフィラメント繊維を直ちにコンディショニング工程へ送り、繊維がローラを通過する際、繊維表面に65℃の液体(溶剤25重量%、塩5重量%、残部水)をスプレーして塗布することにより、繊維の組成をコンディショニングして延伸に備えた。
【0060】
12秒のコンディショニング後直ちに、表面に液体を有する繊維を、回転速度がより速いローラを有する延伸工程へ送り、コンディショニングローラの3.85倍の速度で回転するローラへ濡れた繊維を移行させて延伸した。濡れた繊維がより高速の延伸ローラに達し、繊維が延伸ローラを通過する際に、65℃の液体(溶剤25重量%、塩5重量%、残部水)を繊維の表面にスプレーした。延伸ローラの速度は、仕上がりとして1,200デニールの糸が得られるように、濡れた繊維をより高速(毎分1,000ヤード超)でローラを通過させ、さらに×3.85に延伸するよう設定した。連続的に配列された延伸ローラを有する3つの延伸ステージを使用したが、1ステージのみを濡れた繊維の延伸に用いた。第1ステージを×3.85の全延伸用とし、第2および第3ステージではそれ以上の延伸を行わず、第1ステージと同じ速度で稼動させた。延伸工程を出る糸の速度は毎分1,000ヤード超であった。
【0061】
延伸後、MPD−Iポリマー、溶剤、塩、および水からなる濡れた繊維を、直ちに洗浄プロセスに送り、そこで、繊維がローラを通過する際に90℃の水を延伸繊維表面にスプレーして、フィラメントから残留溶剤と塩を洗浄除去した。4秒間の洗浄後、洗浄された濡れた繊維を洗浄プロセスから出し、直ちに乾燥工程へ送った。乾燥工程の前に、洗浄された繊維から過剰の洗浄水をピンガイド接触面で除去した。
【0062】
乾燥工程では、250℃のローラ表面に濡れた繊維を接触させ、残留する表面の液体(水)を除去し、繊維を乾燥させた。繊維を1,000ypm超の速度で3秒間乾燥させ、繊維を乾燥させた。乾燥繊維をその後直ちに熱処理工程へ送った。繊維の熱処理は、乾燥繊維を、ポリマーのガラス転移点より高い375℃の2基の高温ローラに続けて通すことにより行った。この375℃で3秒間行った繊維の熱処理で、フィラメント内の分子構造が発達し、それにより繊維の強度が増大した。
【0063】
熱処理工程の後、高温のマルチフィラメント繊維を室温のローラに通すことによって冷却し、1重量%の潤滑性布地仕上げ剤を塗布し、糸をチューブに巻き取った。
【0064】
その後、ボビンに巻き付けた糸から採取した糸試料について物性試験を行い、次の結果を得た。
フィラメント:600 デニール:1,148
引張強さ 4.87グラム/デニール
破断強さ 12.3lbForce
破断伸び 28.5
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:1.8%
【0065】
実施例2
この実施例では、複数段階の延伸ステージを使用して、溶剤に富むメタフェニルジアミン(MPD)ポリマーをマルチフィラメント繊維糸へ乾式紡糸する、マルチフィラメントメタアラミド連続繊維の高速連続製造について説明する。乾燥基準で毎時19ポンドのMPD−Iを押出し、毎分290ヤードでフィラメントを急速冷却した点を除き、実施例1の処理を繰り返した。
【0066】
延伸ローラの速度を、仕上がりとして1500デニールの糸が得られるように、濡れた繊維をより速い速度でローラを通過させ、繊維をさらに×3.7に延伸するよう設定した。連続的に配列された延伸ローラを有する3つの延伸ステージを使用し、3つの連続工程で濡れた繊維を延伸した。第1ステージで×2.6の延伸、第2ステージで×1.3の延伸、そして、第3ステージで×1.1の延伸を行った。延伸工程を出る糸の速度は毎分1,000ヤード超であった。
【0067】
延伸後、MPD−Iポリマー、溶剤、塩、および水からなる濡れた繊維を、直ちに洗浄プロセスに送り、そこで、繊維がローラを通過する際に90℃の水を延伸繊維表面にスプレーして、フィラメントから残留溶剤と塩を洗浄除去した。4秒間の洗浄後、洗浄された濡れた繊維を洗浄プロセスから出し、直ちに乾燥工程へ送った。乾燥工程の前に、洗浄された繊維から過剰の洗浄水をピンガイド接触面で除去した。
【0068】
乾燥工程では、225℃のローラ表面に濡れた繊維を接触させ、残留する表面の液体(水)を除去し、繊維を乾燥させた。繊維を1,000ypm超の速度で3秒間乾燥させ、繊維を乾燥させた。乾燥繊維をその後直ちに熱処理工程へ送った。繊維の熱処理は、乾燥繊維を、ポリマーのガラス転移点より高い360℃の2基の高温ローラに続けて通すことにより行った。この360℃で1秒間行った繊維の熱処理で、フィラメント内の分子構造が発達し、それにより繊維の強度が増大した。
【0069】
熱処理工程の後、高温のマルチフィラメント繊維を室温のローラに通すことによって冷却し、1重量%の潤滑性布地仕上げ剤を塗布し、糸をチューブに巻き取った。
【0070】
その後、ボビンに巻きつけた糸から採取した糸試料について物性試験を行い、次の結果を得た。
フィラメント:600
デニール:1,524
引張強さ 4.37グラム/デニール
破断強さ 15.2lbForce
破断伸び 27.9
【0071】
実施例3
この実施例では、溶剤に富むメタフェニレンイソフタルアミド(MPD−I)ポリマーを、良好な着色性と低収縮性を有するマルチフィラメント繊維糸へ乾式紡糸する、マルチフィラメントメタアラミド連続繊維の高速連続製造について説明する。次の点を除き、実施例1の処理を繰り返した。
【0072】
急速冷却後、急速冷却されたマルチフィラメント繊維を直ちにコンディショニング工程へ送り、繊維がローラを通過する際、繊維表面に90℃の液体(溶剤25重量%、塩5重量%、残部水)をスプレーして塗布することにより、繊維の組成をコンディショニングして延伸に備えた。
【0073】
12秒のコンディショニング後直ちに、表面に液体を有する繊維を、回転速度がより速いローラを有する延伸工程へ送り、コンディショニングローラの3.9倍の速度で回転するローラへ濡れた繊維を移行させて延伸した。濡れた繊維がより高速のローラに達し、繊維が延伸ローラを通過する際に、90℃の液体(溶剤25重量%、塩5重量%、残部水)を繊維の表面にスプレーした。延伸ローラの速度は、仕上がりとして1200デニールの糸が得られるように、濡れた繊維をより高速(毎分1,000ヤード超)でローラを通過させ、さらに×3.9に延伸するよう設定した。連続的に配列された延伸ローラを有する3つの延伸ステージを使用したが、1ステージのみを濡れた繊維の延伸に用いた。第1ステージを×3.9の全延伸用とし、第2および第3ステージではそれ以上の延伸を行わず、第1ステージと同じ速度で稼動させた。延伸工程を出る糸の速度は毎分1,000ヤード超であった。
【0074】
延伸後、MPDポリマー、溶剤、塩、および水からなる濡れた繊維を、直ちに洗浄プロセスに送り、そこで、繊維がローラを通過する際に85℃の水を延伸繊維表面にスプレーして、フィラメントから残留溶剤と塩を洗浄除去した。3秒間の洗浄後、洗浄された濡れた繊維を洗浄プロセスから出し、直ちに乾燥工程へ送った。乾燥工程の前に、洗浄された繊維から過剰の表面液(洗浄水)をピンガイド接触面で除去した。
【0075】
その後、実施例1と同様にして繊維を乾燥させた。乾燥繊維をその後直ちに熱処理工程へ送った。繊維の熱処理は、乾燥繊維を、ポリマーのガラス転移点より高い280℃の2基の高温ローラに続けて通すことにより行った。この280℃で3秒間行った繊維の熱処理で、フィラメント内の分子構造が発達し、それにより繊維の強度が増大した。
【0076】
熱処理工程の後、高温のマルチフィラメント繊維を室温のローラに通すことによって冷却し、1重量%の潤滑性布地仕上げ剤を塗布し、糸をチューブに巻き取った。
【0077】
その後、ボビンに巻き付けた糸から採取した糸試料について物性試験を行い、続いて、ボビンに巻き付けた糸から採取した糸試料を、赤色染料の水浴に120℃で1時間浸漬して染料取込試験を行った。繊維の赤色染料取込量を計算することに加えて、染色処理後の試料の色パラメータL、AおよびBを測定することにより、可染性を評価した。染色前の糸の色は、色座標値でL:88、A:−1.1、B:4.8の白色であった。染料取込量のパーセントが高いほど着色性が良好であることを示し、Aのカラー結果が大きいほど「赤色」が強い糸であることを示し、Lのカラー結果が小さいほど暗い色の糸であることを示し、繊維の赤色染料の吸収を確認することができる。図4は、糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像であって、赤色染料が繊維の表面近傍に集中していることを示している。
【0078】
このボビンからの糸について、図5に示すラマンスペクトル応答を試験し、これにより、この糸が、高温(285℃)で低収縮性を有するメタアラミド繊維の属性である結晶構造を有するメタアラミド繊維であることが示された。図5に示すように、波長約1,650cm-1に現れるカルボニル伸縮振動のピークは、試験した糸の内部に結晶構造が存在することを示す。別の繊維も試験したが、図4の糸のラマンスペクトルと一致した。
【0079】
糸は次の特性を示した。
フィラメント:600 デニール:1,244
引張強さ 4.29グラム/デニール
破断強さ 11.6lbForce
破断伸び 25.5%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.2%
染色前の色:L:88、A:−1.1、B:4.8
赤色染料取込率:66%
染色後の色:L:42、A:43.7、B:1.8
【0080】
実施例4
次の点を除いて実施例3を繰り返した。
・湿式延伸比を×3.83とした。
・コンディション工程の液体を、DMAc20重量%、塩1重量%、残部水とした。
・延伸工程の液体を、DMAc20重量%、塩1重量%、残部水とした。
・熱処理工程のローラ温度を、第1高温ローラ360℃、第2高温ローラ360℃とした。
【0081】
糸は次の特性を示した。
フィラメント:600 デニール:1,206
引張強さ 4.92グラム/デニール
破断強さ 13.1lbForce
破断伸び 26.2%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.7%
染色前の色:L:88、A:−1.1、B:4.8
赤色染料取込率:23%
染色後の色:L:57、A:31.9、B:−0.4
【0082】
この試料は低収縮性を有したが、染料の取込量が少なく、かつ、57という比較的高いL値と31.9という比較的低いAカラーが示すように、赤色染料の吸収が低いという点で、「低」着色性を示した。図6は、糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像であり、繊維内または繊維の表面に赤色染料が比較的わずかしか存在しないことを示している。
【0083】
実施例5
次の点を除いて実施例3を繰り返した。
・湿式延伸比を×2.78とした。
・熱処理工程における糸の速度を、糸に×1.4の延伸を行うように調節した。
【0084】
糸は次の特性を示した。
フィラメント:600 デニール:1,271
引張強さ 4.2グラム/デニール
破断強さ 11.6lbForce
破断伸び 22.9%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.4%
赤色染料取込率:86%
染色後の色:L:38、A:45.5、B:3.9
【0085】
図7は、糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像であって、赤色染料が繊維の表面近傍に集中していることを示している。
【0086】
図8は、糸のフィラメント断面を示す他の顕微鏡写真の走査像であり、赤色染料が繊維の表面近傍で集中していることを示している。図8に示した縮尺目盛から、染料が繊維の外部表面に集中していることがわかる。
【0087】
実施例6
次の点を除いて実施例3を繰り返した。
・湿式延伸比を×3.54とした。
・熱処理工程における糸の速度を、糸に×1.1の延伸を行うように調節した。
【0088】
図9は、この糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像である。糸は次の特性を示した。
フィラメント:600 デニール:1,267
引張強さ 4.2グラム/デニール
破断強さ 11.8lbForce
破断伸び 23.8%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.2%
赤色染料取込率:71%
染色後の色:L:41、A:43.5、B:1.6
【0089】
実施例7
次の点を除いて実施例3を繰り返した。
・湿式延伸比を×3.56とした。
・熱処理工程のローラ温度は、第1高温ローラを290℃、第2高温ローラを290℃とした。熱処理工程における糸の速度を、糸に×1.1の延伸を行うように調節した。
【0090】
図10は、この糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像である。糸は次の特性を示した。
フィラメント:600 デニール:1,250
引張強さ 4.4グラム/デニール
破断強さ 12.1lbForce
破断伸び 24.3%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.7%
赤色染料取込率:72%
染色後の色:L:40、A:44.9、B:2.2
【0091】
実施例8
次の点を除いて実施例3を繰り返した。
・紡糸工程で200本のフィラメントを取り分けて束にした。
・湿式延伸比を×3.9とした。
・熱処理工程のローラ温度は、第1高温ローラを270℃、第2高温ローラを270℃(ポリマーのガラス転移点より低い)とした。
【0092】
図11は、糸のフィラメント断面を示す顕微鏡写真の走査像である。糸は次の特性を示した。
フィラメント:200 デニール:405
引張強さ 4.6グラム/デニール
破断強さ 4.1lbForce
破断伸び 22%
空気中、285℃、1/2時間後の収縮率:0.7%
赤色染料取込率:82%
染色後の色:L:37、A:45.6、B:3.4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、溶剤、水および塩を含む溶液から気体媒体中に繊維を押出す工程と、
少なくとも25重量パーセントの溶剤を前記気体媒体中の前記繊維から除去する工程と、
第1の濃度の溶剤および塩を含む第1の温度の水性冷却溶液中で、前記繊維を急速冷却する工程と、
第1の濃度より高濃度の第2の濃度の溶剤および塩を含む、第1の温度より高温の第2の温度の水性コンディショニング溶液に、前記繊維を接触させる工程と、
前記繊維を延伸する工程と
をこの順に含む連続乾式紡糸方法。
【請求項2】
前記ポリマーがメタアラミドポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液中の前記塩の重量パーセントが、前記溶液の全重量の少なくとも3重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
毎分150ヤード超の速度で前記繊維を急速冷却する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気体媒体を少なくとも摂氏250度の温度に維持する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の濃度の溶剤および塩は、前記水性冷却溶液中に重量パーセントで、前記水性冷却溶液の全重量の2%〜20%の範囲で含まれる溶剤と、前記水性冷却溶液中に重量パーセントで、前記水性冷却溶液の全重量の0.5%〜10%の範囲で含まれる塩とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の温度が摂氏0度〜摂氏20度である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の濃度の溶剤および塩は、前記水性コンディショニング溶液中に重量パーセントで、前記水性コンディショニング溶液の全重量の5%〜40%の範囲で含まれる溶剤と、前記水性コンディショニング溶液中に重量パーセントで、前記水性コンディショニング溶液の全重量の1%〜10%の範囲で含まれる塩とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の温度が摂氏30度〜摂氏100度である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維を複数のローラで延伸する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却工程から前記延伸工程の出口までに、前記繊維をその単位直線長さの少なくとも3倍延伸させる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
延伸後のフィラメント束の速度が少なくとも毎分450ヤードである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維を水で洗浄する工程と、
前記繊維を乾燥させる工程と
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
繊維ポリマーのガラス転移点より摂氏30度低い温度から摂氏120度高い温度までの範囲で前記繊維を加熱することによって前記繊維を熱処理する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
摂氏110度〜摂氏140度の温度で、成形したオリフィスを通じて溶液を繊維に押出す工程であって、前記溶液は気体媒体中に押出され、押出されて得られた繊維はポリマー、塩、溶剤、および水を含み、前記気体媒体は前記繊維中の前記溶剤の少なくとも25%を蒸発させる工程と、
塩および溶剤を含む水性冷却溶液中で前記繊維を急速冷却する工程であって、前記溶剤は、前記水性冷却溶液中に重量パーセントで、前記水性冷却溶液の全重量の2%〜20%の範囲で含まれ、かつ前記塩は、前記水性冷却溶液中に重量パーセントで、前記水性冷却溶液の全重量の0.5%〜10%の範囲で含まれ、前記水性冷却溶液は摂氏0度〜15度の温度である工程と、
前記繊維を前記冷却溶液から取り出し、塩および溶剤を含む水性コンディショニング溶液に接触させる工程であって、前記溶剤は、前記水性コンディショニング溶液中に重量パーセントで、前記水性コンディショニング溶液の全重量の5%〜40%の範囲で含まれ、かつ前記塩は、前記水性コンディショニング溶液中に重量パーセントで、前記水性コンディショニング溶液の全重量の1%〜10%の範囲で含まれ、前記水性コンディショニング溶液は摂氏30度〜摂氏100度の温度である工程と、
前記繊維を延伸する工程と、
を含む連続乾式紡糸方法。
【請求項17】
前記繊維を水で洗浄する工程と、
前記繊維を乾燥させる工程と
をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
繊維ポリマーのガラス転移点より摂氏30度低い温度から摂氏120度高い温度までの範囲で前記繊維を加熱することによって前記繊維を熱処理する工程をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーがメタアラミドであり、かつ前記繊維を摂氏260〜390度で熱処理する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマーがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)を含む請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−508098(P2011−508098A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539764(P2010−539764)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087315
【国際公開番号】WO2009/079611
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】