説明

メタクリル酸又はメタクリルエステルの製造方法

本発明は、IA)細胞の野生型と比較してより多くの3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができる方法で、細胞の野生型と比較して遺伝的に改変された細胞と、3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートが、炭素源から形成される条件下で、炭素源として、炭水化物、グリセロール、二酸化炭素、メタン、メタノール、L−バリン又はL−グルタメートを含有する栄養培地とを接触する工程を含む方法によって3−ヒドロキシイソ酪酸を製造し、適宜、3−ヒドロキシイソ酪酸を栄養培地から分離し、適宜、3−ヒドロキシイソ酪酸を中和する方法工程、IB)3−ヒドロキシイソ酪酸を脱水してメタクリル酸を形成させ、適宜、メタクリル酸をエステル化する方法工程を含む、メタクリル酸又はメタクリルエステルの製造方法に関する。本発明は、ポリメタクリル酸又はポリメタクリルエステルの製造方法にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸又はメタクリルエステルの製造方法であって、
IA)3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートが、炭素源から形成される条件下で、細胞の野生型と比較してより多くの3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができるように細胞の野生型と比較して遺伝的に改変された細胞と、炭素源として、炭水化物、グリセロール、二酸化炭素、メタン、メタノール、L−バリン又はL−グルタメートを含有する栄養培地とを接触する方法工程を含む方法によって3−ヒドロキシイソ酪酸を製造し、適宜3−ヒドロキシイソ酪酸を栄養培地から分離し、かつ適宜3−ヒドロキシイソ酪酸を中和する方法工程、
IB)3−ヒドロキシイソ酪酸を脱水してメタクリル酸を形成させ、適宜、メタクリル酸をエステル化する方法工程
を含む方法。
【請求項2】
3−ヒドロキシイソ酪酸の、又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートの形成が、前駆体としてメチルマロン酸セミアルデヒドを介して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の細胞が、中間体としてスクシニル−補酵素Aを介して、3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、スクシニル−補酵素Aのメチルマロニル−補酵素Aへの転化を触媒する、酵素E1の活性を特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記の酵素E1が、メチルマロニル−補酵素Aムターゼ(EC 5.4.99.2)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E2〜E4
− メチルマロニル−補酵素Aの、マロン酸メチルへの転化を触媒する酵素E2
− マロン酸メチルの、メチルマロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素E3
− メチルマロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシイソブチレートへの転化を触媒する酵素E4
の活性を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記の酵素
2が、メチルマロニル−補酵素Aヒドロラーゼ(EC 3.1.2.17)であり、
3が、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.3)又はアルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)であり、かつ
4が、3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.31)又は3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.35)である、方法。
【請求項8】
請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E4、E5、E6及びE7
− (R)メチルマロニル−補酵素Aの、(S)メチルマロニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E6
− (S)メチルマロニル−補酵素Aの、プロピオニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E7
− プロピオニル−補酵素Aの、メチルマロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素E5
− メチルマロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシイソ酪酸への転化を触媒する酵素E4
の活性を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記の酵素
6が、メチルマロニル−補酵素Aエピメラーゼ(EC 5.1.99.1)であり、
7が、メチルマロニル−補酵素Aデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.41)であり、
5が、メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.27)であり、かつ
4が、3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.31)、又は3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.35)である、方法。
【請求項10】
請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E4、E5及びE7
− メチルマロニル−補酵素Aの、プロピオニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E7
− プロピオニル−補酵素Aの、メチルマロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素E5
− メチルマロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシイソ酪酸への転化を触媒する酵素E4
の活性を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記の酵素
7が、メチルマロニル−補酵素Aデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.41)であり、
5が、メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.27)であり、かつ
4が、3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.31)、又は3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.35)である、方法。
【請求項12】
請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E28及びE46
− L−グルタメートの、2−オキソグルタレートへの転化を触媒する酵素E46
− 2−オキソグルタレートの、スクシニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E28
の活性を特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記の酵素
46が、グルタメートシンターゼ(EC 1.4.1.13もしくはEC 1.4.1.14)、グルタメートデヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.2、EC 1.4.1.3もしくはEC 1.4.1.4)、又はアスパルテートトランスアミナーゼ(EC 2.6.1.1もしくはEC 2.6.1.2)であり、かつ
28が、2−オキソグルタレートシンターゼ(EC 1.2.7.3)である、方法。
【請求項14】
前記の細胞が、中間体としてプロピオニル−補酵素Aを介して、3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E4、E5及びE47〜E52
− アセチル−補酵素Aの、マロニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E47
− マロニル−補酵素Aの、マロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素E48
− マロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシプロピオネートへの転化を触媒する酵素E49
− 3−ヒドロキシプロピオネートの、3−ヒドロキシプロピオニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E50
− 3−ヒドロキシピロピオニル−補酵素Aの、アクリロイル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E51
− アクリロイル−補酵素Aの、プロピオニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E52
− プロピオニル−補酵素Aの、メチルマロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素E5
− メチルマロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシイソブチレートへの転化を触媒する酵素E4
の活性を特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記の酵素
4が、3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.31)又は3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.35)であり、
5が、メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.27)であり、
47が、マロニル−補酵素Aデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.9)、マロネート−補酵素Aトランスフェラーゼ(EC 2.8.3.3)、メチルマロニル−補酵素Aカルボキシトランスフェラーゼ(EC 2.1.3.1)又はアセチル−補酵素Aカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.2)であり、
48が、マロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.18)であり、
49が、3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.59)であり、
50が、3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aヒドロラーゼ(EC 3.1.2.4)であり、
51が、エノイル−補酵素Aヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)であり、かつ
52が、アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)である、方法。
【請求項17】
前記の細胞が、中間体としてアクリロイル−補酵素Aを介して、3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E2〜E4、E56、E72及びE73
− ベータ−アラニンの、ベータ−アラニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E72
− ベータ−アラニル−補酵素Aの、アクリリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E73
− アクリリル−補酵素Aの、メチルマロニル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E56
− メチルマロニル−補酵素Aの、マロン酸メチルへの転化を触媒する酵素E2
− マロン酸メチルの、メチルマロン酸セミアルデヒドへの転化を触媒する酵素3
− メチルマロン酸セミアルデヒドの、3−ヒドロキシイソ酪酸への転化を触媒する酵素E4
の活性を特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記の酵素
72が、補酵素Aトランスフェラーゼ(EC 2.8.3.1)又は補酵素Aシンターゼ、有利には補酵素Aトランスフェラーゼであり、
73が、ベータ−アラニル−補酵素Aアンモニア−リアーゼ(EC 4.3.1.6)であり、
56が、クロトニル−補酵素Aデカルボキシラーゼであり、
2が、メチルマロニル−補酵素Aヒドロラーゼ(EC 3.1.2.17)であり、
3が、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.3)又はアルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)であり、かつ
4が、3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.31)又は3−ヒドロキシアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.35)である、方法。
【請求項20】
3−ヒドロキシイソ酪酸の、又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートの形成が、前駆体として3−ヒドロキシブチリル−補酵素Aを介して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記の細胞が、中間体としてイソブチリル補酵素Aを介して、3−ヒドロキシイソ酪酸又は3−ヒドロキシイソ酪酸を基礎とするポリヒドロキシアルカノエートを形成することができる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の細胞E76〜E79、E60、E61及びE8
− ピルベートの、2−アセトラクテートへの転化を触媒する酵素E76
− 2−アセトラクテートの、2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの転化を触媒する酵素E77
− 2,3−ジヒドロキシイソバレレートの、2−オキソイソバレレートへの転化を触媒する酵素E78
− 2−オキソイソバレレートの、イソブチリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E79
− イソブチリル−補酵素Aの、メタクリリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E60
− メタクリリル−補酵素Aの、3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E61
− 3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aの、3−ヒドロキシイソブチレートへの転化を触媒する酵素E8
の活性を特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記の酵素
8が、3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aヒドロラーゼ(EC 3.1.2.4)であり、
76が、アセトラクテートシンターゼ(EC 2.2.1.6)であり、
77が、ジヒドロキシイソバレレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.86)であり、
78が、2,3−ジヒドロキシイソバレレートデヒドラターゼ(EC 4.2.1.9)であり、
79が、2−オキソイソバレレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.25又はEC 1.2.4.4)であり、
60が、アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、ブチリル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)又は2−メチルアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.12)であり、かつ
61が、エノイル−補酵素Aデヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)である、方法。
【請求項24】
請求項21又は22に記載の方法であって、前記の細胞が、該細胞の野生型と比較して増加された、少なくとも1つの次の酵素E8、E60〜E61及びE79〜E80
− L−バリンの、2−オキソイソバレレートへの転化を触媒する酵素E80
− 2−オキソイソバレレートの、イソブチリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E79
− イソブチリル−補酵素Aの、メタクリリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E60
− メタクリリル−補酵素Aの、3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aへの転化を触媒する酵素E61
− 3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aの、3−ヒドロキシイソブチレートへの転化を触媒する酵素E8
の活性を特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記の酵素
8が、3−ヒドロキシイソブチリル−補酵素Aヒドロラーゼ(EC 3.1.2.4)であり、
60が、アシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、ブチリル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)又は2−メチルアシル−補酵素Aデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.12)であり、
61が、エノイル−補酵素Aヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)であり、
79が、2−オキソイソバレレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.25又はEC 1.2.4.4)であり、かつ
80が、アミノ酸トランスフェラーゼ(EC 2.6.1.42)である、方法。
【請求項26】
前記の細胞が、該細胞中で、請求項2から25までに記載の少なくとも1つの酵素の活性を増加する方法工程を含む、遺伝的に改変された細胞を製造するための方法によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ポリメタクリル酸又はポリメタクリルエステルを製造するための方法であって、
IIIA)請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法によるメタクリル酸の製造工程、
IIIB)メタクリル酸の遊離基重合工程、
を含み、その際、適宜、遊離基重合反応の前又は後に、少なくとも1部分のメタクリル酸のカルボキシル基又はメタクリレートのカルボキシレート基をエステル化することができる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2010−528597(P2010−528597A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509836(P2010−509836)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056707
【国際公開番号】WO2008/145737
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】