説明

メタセシス反応により硬化可能なポリエーテルをベースにした歯科用印象材料

【課題】メタセシス反応により硬化可能な二成分型歯科用印象材料を提供する。
【解決手段】本歯科用印象材料は、メタセシス触媒を用いたメタセシス反応により硬化可能なシクロオレフィン基をそれぞれ1分子当たり少なくとも2個含む第一および第二の樹脂成分を備えた基剤ペーストを含む。第一の樹脂は、シクロオレフィン基で末端化された、ウレタンポリエーテルまたはウレタンポリエステルのカルボキシレート骨格を含み、第二の樹脂は、シクロオレフィン基で末端化された、アルコキシ−シロキサンポリエーテルまたはアルコキシシロキサンポリエステルのカルボキシレート骨格を含む。メタセシス触媒は、ルテニウムカルベン錯体触媒であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、同時係属している、同一譲受人の米国特許第7,001,590号の一部継続出願であり、その開示を全体として参照によりあたかも以下に完全に開示するごとく本明細書に援用する。この出願は、同時係属している、同一譲受人の米国特許出願第10/430,590号(2003年3月6日に出願し、「反応制御剤を用いるメタセシス反応により組成物を硬化させる方法」と標題されている)、および、同一譲受人の米国特許出願第11/276,270号(本出願と同時に出願し、「メタセシス反応により硬化可能なポリエーテルをベースにした組成物」と標題されている)(これらの開示を全体として参照によりあたかも以下に完全に開示するごとく本明細書に援用する)にも関連する。
【0002】
本発明は、メタセシス触媒により開始されるメタセシス反応を受けうるポリエーテルをベースにした歯科用印象材料に関する。より詳細には、本発明は、金属カルベン錯体により触媒された、官能化されたポリエーテルウレタンカルボキシレートおよび官能化されたアルコキシ−シロキサンポリエーテルカルボキシレートの開環メタセシス重合(ROMP)によって形成された歯科用印象材料に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかのタイプの熱硬化性重合体が、商業目的のために一般に使用されている。1つのタイプは、フリーラジカル付加機構により硬化されるアクリル系熱硬化性重合体である。これらの重合体は、過酸化物などの熱開始剤により、またはアルファジケトンなどの光開始剤により硬化される。しかし、硬化されたアクリレートの特性は、重合収縮が大きく、多くの用途において好ましくない。アクリレートの別の望ましくない特性は、硬化の際にその表面上に酸素阻害層が形成されることである。
【0004】
熱硬化性重合体の別のタイプは、オキシラン(エポキシ)モノマーのカチオン重合に基づく重合体である。これらは、二成分系を用いるかまたは光開始剤を用いることにより、硬化する。しかし、オキシランから誘導される重合体の欠点は、使用時に吸水性が高いこと、重合収縮が大きいこと、およびコストが高いことである。
【0005】
熱硬化性重合体の別のタイプは、開環メタセシス重合(ROMP)機構に基づく重合体である。メタセシスは、金属触媒による炭素−炭素二重結合の再配分を意味するものとして一般に理解されている。この重合可能な組成物は、ROMPによって硬化可能な官能基または基を含む樹脂系をメタセシス触媒(例えば、ルテニウムカルベン錯体)と共に含む。ROMPに加えて、メタセシス触媒を利用する他のメタセシス反応系として、例えば、閉環メタセシス、非環式ジエンメタセシス重合、開環メタセシス、および交差メタセシスがある。
【0006】
ROMPにより硬化可能な熱硬化性モノマーの種類は、ジシクロペンタジエン(DCPD)などのシクロオレフィン類であり、Woodsonの米国特許第6,310,121号に記載されているとおりである。その他の多様な特許が環状オレフィン(例えばDCPD、トリシクロドデセンなど)の重合に取り組んでいる(例えば、Tomの米国特許第4,584,425号)。これらの特許のうち2つ、すなわちBissingerの米国特許第6,075,068号およびMosznerの欧州特許出願公開第1025830 A2号は、高度に架橋された重合体を作り出すことを目的に、ノルボルネニル官能基を含む化合物とROMPとに言及している。Bissingerは、ジノルボルネニルジカルボキシレートエステル(DNBDE)化合物またはDNBDE化合物とアクリレートとの組合せをベースにしたROMP触媒を用いたいくつかの樹脂系について記載している。トリノルボルネニルトリカルボキシレートエステル(TNBTE)化合物についても開示されている。Mosznerは、一官能性モノマーであるノルボルネニルモノカルボキシレートのROMPについて記載している。しかし、この具体的な樹脂および触媒の組合せは、多くの応用に要求される反応の進行の制御を達成しない。
【特許文献1】米国特許第6,310,121号公報
【特許文献2】米国特許第4,584,425号公報
【特許文献3】米国特許第6,075,068号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第1025830 A2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
歯科において、付加型シリコーンは、最も広く利用されている印象材料である。付加型シリコーンは、ヒドロシリレーション機構で硬化し、触媒として白金化合物を含有する。多様な界面活性剤の添加にもかかわらず、この材料の接触角測定により測定された親水性は、特に硬化の完結前において非常に低い。このことは、硬化の間に口腔液と置換する印象材料の能力を低下させ、欠陥のある印象材料をもたらす。別の種類の印象材料である、(3M ESPE社からの)IMPREGUM(登録商標)により例示されるようなポリエーテルは、強酸との反応により硬化される、イミンで末端化されたポリエーテル共重合体を含む2成分系である。しかし、これらのポリエーテルは、架橋したポリエーテルの特性である高い剛性と、イミンおよび強酸の存在に起因する望ましくない味および臭いを有することになる。
【0008】
したがって、改善された柔軟性、味、および臭いを有するポリエーテルをベースにした印象材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、混合するとメタセシス反応(例えば、開環メタセシス重合(ROMP))を受ける基剤ペーストと触媒ペーストとを含む、二成分型歯科用印象材料を提供する。本発明の二成分型メタセシス組成物は、基剤ペースト中に、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基をそれぞれ少なくとも2個有する第一の基剤樹脂と第二の基剤樹脂とを含む。例えば、このシクロオレフィン性基は、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および/または7−オキサノルボルナジエニルであってよい。シクロオレフィン官能基は、ペンダント基、末端基、または環状基であってよい。
【0010】
第一の基剤樹脂は、構造:
【化1】

(式中、
a=1〜100、c=0または1、かつ、d=2〜100であり、
ZおよびQは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基であり、かつ、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有する。例えば、第一の基剤樹脂は、ジノルボルネニルジカルボキシレートウレタンポリエーテルまたはジノルボルネニルジカルボキシレートウレタンポリエステルである。1つの実施態様では、第一の基剤樹脂は、以下の構造:
【化2】

(式中、E=シクロオレフィン性末端キャップ基であり、R=ジイソシアネートフラグエントであり、PE=ポリオールである)
を有する。
さらなる実施態様では、R=ヘキシルであってよく、PE=ポリエーテルであってよく、かつ、Eが以下の構造:
【化3】

を有していてよい。
【0011】
第二の基剤樹脂は式:
【化4】

(式中、
【化5】

であり、
PEは、ポリエーテルフラグメントまたはポリエステルフラグメントであり、
m=1〜500であり、
q=0〜10であり、
Qは、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、又は多環状の有機残基であり、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有する。1つの実施態様では、第二の基剤樹脂は、アルコキシ−シロキサンポリエーテルノルボルネンカルボキシレートであってよい。別の実施態様では、PEがポリエーテルであり、m=1〜50であり、q=0〜1であり、E=シクロオレフィン性末端キャップ基である。さらなる実施態様では、Eは以下の構造:
【化6】

を有することができる。
【0012】
本発明の1つの実施態様では、基剤ペーストはさらに、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基で官能化されたシロキサンカルボキシレート骨格を含む第三の基剤樹脂を含んでいてよい。
【0013】
第三の基剤樹脂中のシクロオレフィン官能基は、ペンダント基、末端基、または環状基であってよい。1つの実施態様では、第三の基剤樹脂は:
下記式:
【化7】

を有するペンダント構造、
下記式:
【化8】

を有する末端化された構造、
下記式:
【化9】

を有する環状構造、
(上記式中、m=1〜50、n=0〜200、p=0〜200、x=3〜6であり、Eは、シクロオレフィン性残基である)
の少なくとも1つである。
【0014】
本発明の二成分型歯科用印象材料では、触媒ペーストは、触媒ペーストと基剤ペーストとを混合すると基剤樹脂のメタセシス反応を開始させる金属カルベン錯体触媒を含む。この触媒は、以下の構造:
【化10】

(式中、
Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり、
Xは、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)の塩基性度より高い塩基性度を有するアルキリデン配位子であり、
およびXは、同じかまたは異なって、任意のアニオン性配位子であり、
Zは、酸素(O)または硫黄(S)であり、かつ、
、R、a、b、c、およびdは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基である)
を有することができる。
【0015】
本発明の実施態様では、基剤ペーストおよび触媒ペーストは、それぞれ、可塑剤(溶媒)および/または充填剤系をさらに含んでいてもよい。1つの実施形態では、基剤ペーストは親水性充填剤を含む。別の実施態様では、触媒ペーストは疎水性充填剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、二成分系として、メタセシス反応により硬化可能なシクロオレフィン基を含む基剤樹脂と一緒にした、ルテニウムカルベン錯体またはオスミウムカルベン錯体の歯科用印象材料の配合を提供する。本発明の組成物は、充填剤、可塑剤(溶媒)、および性能改善のための他の添加剤(例えば、顔料または界面活性剤等)を含んでいてもよい。本明細書において用語「基剤」、「基剤樹脂」、または「基剤成分」は、メタセシス反応を受ける主要成分または活性成分のことをいい、本発明ではシクロオレフィン官能基を含む樹脂をいう。「基剤樹脂」は、この主要成分を含む樹脂である。用語「基剤ペースト」は、この主要成分を含むペースト−ペースト(二成分型)組成物をいい、もう一方のペーストである触媒ペーストは、これら2つのペーストの混合時にこの主要成分のメタセシス反応を開始させる触媒を含む。
【0017】
本発明の二成分型(基剤−触媒)組成物においては、メタセシス触媒を、適切な流動体(例えば、クエン酸エステル可塑剤(溶媒)等)中にあらかじめ溶解して触媒ペーストを形成させる。基剤ペーストは、少なくとも第一の基剤樹脂と第二の基剤樹脂とを含み、各樹脂はシクロアルケニル基などのシクロオレフィン基を1分子当たり少なくとも2個有する。このシクロオレフィン官能基は、ペンダント基、末端基、または環状基であってよい。「末端」は、骨格がその末端で官能基によって末端化されていることを意味する。これらの「末端基」はまた、本明細書において「末端基」あるいは「末端キャップ基」ともいうことができ、カルボキシレートが「末端キャップされている」ということができる。第一の樹脂は、例えば、ノルボルネニル末端基などのシクロオレフィン基を含む、二官能性または三官能性のウレタンポリエーテルカルボキシレートまたはウレタンポリエステルカルボキシレートであってよい。基剤ペーストは、米国特許第7001590号に開示されているように、作用時間/硬化時間を所望のレベルに調節するための反応制御剤を任意に含んでいてよい。しかし、第一の樹脂および第二の樹脂は、ルテニウム錯体触媒により触媒される場合には、共同して良好な作用時間/硬化時間を提供し、反応制御剤が必要ないと思われる。この2つのペーストを互いに混合するとすぐに、組成物はメタセシス触媒によって開始されるメタセシス反応を受ける。典型的な実施態様では、メタセシス反応は室温および/または体温で進行する。
【0018】
本発明の1つの実施態様では、第一の基剤樹脂は、式:
【化11】

(式中、
a=1〜100、c=0または1、かつ、d=2〜100であり、
ZおよびQは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基であり、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有する。例えば、Dは、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および7−オキサノルボルナジエニルからなる群から選択されるシクロオレフィン性残基であってよい。1つの実施態様では、シクロオレフィン残基:
【化12】

を有する。
【0019】
さらなる1つの実施態様では、d=2〜5である。別の実施態様では、第一の基剤樹脂が二官能性または三官能性となるように、d=2または3である。例えば、Zは:
【化13】

(式中、R=ジイソシアネートフラグメントであり、PE=ポリオールである)
であってよい。さらなる実施態様では、Rがヘキシルであってよく、PEがポリエーテルまたはポリエステルであってよい。別の実施態様では、Zは、ブチレンオキシド単位、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、またはこれらの組合せを1種または複数種任意に含むポリエーテルフラグメントを含んでいてよい。さらなる例として、Zは、二塩基酸単位(例えば、アジピン酸等)とアルキレンオキシド単位(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシド等)とからなるポリエステルジオールであってよい。
【0020】
DNBDEは、エステル化反応によって合成することができる。一例として、CPDを、ヒドロキシエチルアクリレートとコハク酸無水物との付加体と反応させて、ノルボルネニル官能性カルボン酸Aを得ることができる。この後、Aをポリエチレングリコール400(PEG400)と、触媒としてp−トルエンスルホン酸を用い、水を共沸により除去してシクロヘキサン中でエステル化反応させて、下記スキーム中に示す化合物(1g)を生成させた。
【化14】

Zがポリエーテルフラグメントまたはポリエステルフラグメントである場合、ROMP後に得られる重合体は、柔らかく柔軟であり、歯科用印象材料としての使用に望ましいものとなる。したがって、ポリエーテルジオールまたはポリエステルジオールがPEG400の代わりに用いられる。例えば、エチレンブチレンアジピン酸ポリエステルジオール(例えば、BayerからのDesmophen 2000KS等)、ジエチレングリコールアジピン酸ポリエステルジオールなどである。さらに別の方法として、DNBDEは、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと、一例としてスズ触媒とを用いるエステル交換反応により作ることができる(酸または塩基触媒を用いることもできる)。
【0021】
しかし、エステル化反応は、比較的高分子量のポリオールでは効果的でない場合がある。例えば、類似した状況においてアクリレートエステルは、一般に、100ダルトンを超えるポリエチレングリコール骨格を用いて得ることができない。しかし、アクリレートで末端キャップされたオリゴマーは、ポリオールをイソシアネートと反応させ、ヒドロキシ官能性アクリレート(例えば、ヒドロキシプロピルアクリレート等)で末端キャップすることにより、ウレタン官能基を用いて容易に得ることができる。同様に、ノルボルネニル基で末端化されたウレタンオリゴマーを、末端キャップ基として用いられるヒドロキシル官能性ノルボルネニルカルボキシレートでヒドロキシル官能性アクリレートを置き換えることによって調製することができる。一般式を以下に示す:
【化15】

(式中、E=シクロオレフィン性末端キャップ基、R=ジイソシアネートフラグメント、およびPE=ポリオールである)
したがって、本発明によれば、ノルボルネニル基で末端キャップされたウレタンポリエーテルまたはポリエステルオリゴマーを、ROMPを用いる硬化のために調製することができる。
【0022】
第一の工程として、過剰のジイソシアネート(例えば、ヘキサンジイソシアネート(HDI)等)を、スズ触媒を用いてポリエーテルジオールと反応させた後、末端キャップ剤(特に、ヒドロキシプロピルノルボルネンカルボキシレート(HPNBC、下記スキームのE−H))と反応させる。この末端キャップ剤HPNBCは、参照により本明細書に援用する米国特許第7,001,590号で開示した方法にしたがって、ヒドロキシプロピルアクリレートとシクロペンタジエンとの反応により調製される。この反応を以下に示す:
【化16】

得られる化合物は、(ノルボルネニル基で末端化された)ウレタンポリエーテル(UPE)ノルボルネンカルボキシレートである。官能基Zは、二官能性ポリオールと過剰のHDIとの付加体であり、イソシアネートで末端化されたオリゴマーを与える。このオリゴマーは、HPNBCと反応してROMPにより硬化可能なプレポリマーを与える。
【0023】
第二の基剤樹脂は、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基少なくとも2個で官能化されたアルコキシ−シロキサンポリエーテルカルボキシレート骨格を含む。第二の基剤樹脂は、式:
【化17】

(式中、
【化18】

であり、
PEは、ポリエーテルフラグメントまたはポリエステルフラグメントであり、
m=1〜500であり、
q=0〜10であり、
Qは、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、又は多環状の有機残基であり、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有する。例えば、Dは、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および7−オキサノルボルナジエニルからなる群から選択されるシクロオレフィン性残基であってよい。1つの実施態様では、シクロオレフィン残基は、以下の構造:
【化19】

を有する。例えば、PEは、プロピレンオキシド(PO)フラグメントとエチレンオキシド(EO)フラグメントとを含むポリエーテルである。本発明の1つの実施態様では、PEはPOおよびEOフラグメントを含むポリエーテルであり、m=1〜50、q=0〜1、およびE=シクロオレフィン性末端キャップ基である。さらなる実施態様では、
は約16であり、qは0または1である。別の実施態様では、第二の基剤樹脂は、アルコキシ−シロキサンポリエーテルノルボルネンカルボキシレートである。
【0024】
本発明の典型的な実施態様では、基剤ペーストは、ルテニウムカルベン錯体と混合するとROMPなどのメタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基少なくとも2個を有する第三の基剤樹脂をさらに含む。この任意の第三の基剤樹脂は、ペンダント基、末端基、および/または環状シクロオレフィン基を含む。第三の基剤樹脂は、架橋を増加させるため、所望により、作用時間/硬化時間を短縮するために基剤ペーストに組み込むことができる。さらなる典型的な実施態様では、第三の基剤樹脂を、基剤ペーストの樹脂部分の約20重量%未満の量で加える。第三の基剤樹脂中のシクロオレフィン官能基は、例えば、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および7−オキサノルボルナジエニルであってよい。1つの実施態様では、シクロオレフィン基は以下の構造:
【化20】

を有する。
【0025】
1つの実施態様では、第三の基剤樹脂は:
下記式:
【化21】

を有するペンダント構造、
下記式:
【化22】

を有する末端化された構造、
下記式:
【化23】

を有する環状構造、
の少なくとも1つである(上記式中、m=1〜50、n=0〜200、p=0〜200、x=3〜6であり、Eは、シクロオレフィン性残基である)。典型的な実施態様では、第三の基剤樹脂はペンダント構造である。さらなる典型的な実施態様では、mは約4であり、nは約20である。
【0026】
本発明の二成分型組成物は、互いに混合するとメタセシス反応が進行することにより硬化可能なペースト/ペースト系を形成する触媒ペーストおよび基剤ペーストを企図している。通常この系においては、触媒ペーストは、重合を開始させるためのメタセシス触媒と、基剤ペーストと相溶または分散可能でメタセシス反応を妨げない触媒のための溶媒とを含む。この溶媒はアルキル基およびアリールアルキルまたはアリール基で置換されたシロキサンであってよい。例えば、クエン酸エステル(例えば、Morflex社からのCITROFLEX(登録商標)A4)を用いることができる。基剤ペーストは、通常、ROMPまたは他のメタセシス反応により硬化可能な基質を含み、作用時間を制御するための反応制御剤を任意に含む。
【0027】
本発明において有用な触媒には、一般に錯体触媒3として下記一般構造で示されるルテニウムまたはオスミウムカルベン錯体が含まれる:
【化24】

(式中、
Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり、
Xは、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)の塩基性度より高い塩基性度を有するアルキリデン配位子であり、
Zは、酸素(O)または硫黄(S)であり、かつ、
およびXは、同じかまたは異なって、任意のアニオン性配位子であり、かつ、
、R、a、b、c、およびdは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基である)。
【0028】
錯体触媒3の典型的な実施態様では、Mはルテニウムであり、Xはトリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)の塩基性度より高い塩基性度を有するアルキリデン配位子であり、XおよびXはハロゲン原子であり、Zは酸素であり、RはCからC10のアルキルフラグメントであり、a、b、c、およびdは、水素、CからC10のアルキル基、またはCからC10のアルコキシ基のいずれかであり、Rは水素である。
【0029】
錯体触媒3の別の実施態様では、Mはルテニウムであり、Xは1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾール−2−イリデン(sIMES)であり、XおよびXは塩素原子であり、Zは酸素であり、Rは2−プロピルであり、a、b、c、およびdは、水素またはメトキシのいずれかであり、Rは水素である。錯体3−1は、このタイプの、本発明の二成分型組成物のための典型的な触媒の例である。錯体3−1は、以下の構造を有する、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−(イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムである:
【化25】

(式中、Rはメシチルである)。この構造は、二重結合がN原子間に存在することを表すために、イミダゾリデン基中のN原子間に描かれた弧でも示される(参照により本明細書に援用する米国特許第7,001,590号で論じられている)。オレフィン性樹脂系と触媒3−1とのこの組合せは、高度に効果的なメタセシス反応系を提供すると考えられる。このカテゴリーの触媒の他の例は、それらの触媒の合成と共に、参照によりその全体を本明細書に援用する米国特許第6,921,735号に十分に記載されている。
【0030】
本発明の歯科用印象材料は、基剤ペーストまたは触媒ペーストのいずれかまたは両方の中に充填剤系をさらに含む。本発明の組成物において有用な充填剤には、強化性充填剤および/または非強化性(増量性)充填剤が含まれる。好ましい強化性充填剤には、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、珪酸カルシウム(ケイ灰石)、結晶性シリカ等が含まれる。強化性充填剤を添加すると、硬化した組成物の機械的強度(例えば、引張り強度および引裂強度等)が改善される。好ましい非強化性充填剤には、珪藻土、アルミナ、マグネシア、二酸化チタン、珪酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、金属酸化物などが含まれる。表面処理された充填剤も用いることができる。典型的な表面処理には、シラン処理などが含まれる。充填剤は、所望の稠度および性能を付与する任意の量(例えば、組成物の約15重量%から50重量%)で存在していてもよい。
【0031】
本発明の1つの実施態様では、基剤ペーストは、親水性強化性充填剤、例えば親水性ヒュームドシリカを含む。親水性ヒュームドシリカの例には、Wacker Silicones社から商業的に入手可能なHDK(登録商標)N20Pがある。さらなる実施態様では、基剤ペーストは、非強化性充填剤、例えば炭酸カルシウムを含む。処理された炭酸カルシウムの例には、Solvay Chemicals社から商業的に入手可能なWINNOFIL(登録商標)SPMがある。
【0032】
本発明の別の実施態様では、触媒ペーストは、疎水性強化性充填剤、例えば疎水性ヒュームドシリカを含む。疎水性ヒュームドシリカの例には、Degussa社から商業的に入手可能なAEROSIL(登録商標)R202がある。さらなる実施態様では、基剤ペーストは、非強化性充填剤、例えばタルクを含む。タルクの例には、Specialty Minerals社から商業的に入手可能なTALCRON(登録商標)MP30-36がある。
【0033】
さらに別の実施態様では、基剤ペーストが親水性強化性充填剤を含み、触媒ペーストが疎水性強化性充填剤を含む。さらなる別の実施態様では、基剤ペーストおよび触媒ペーストがそれぞれ非強化性充填剤をさらに含む。
【実施例】
【0034】
本発明の歯科用印象材料を表1に示す。ここで、本材料は、基剤ペースト:触媒ペーストの比が5:1である二成分型組成物から作成される。
【表1】

表中、1)は、米国特許出願第11/276,270号で開示された化合物3dである。
2)は以下の方法で製造した:
EO−PO、EO末端化されたポリエーテルジオール(Bayer社、MULTRANOL(登録商標)9111、MW 4000,800 cps)1198.1gおよびHPNBC128.9gを窒素雰囲気下でジャケット付き2L反応器に入れた。これを100℃で1時間30 mbar未満の真空度、緩やかな撹拌下でストリッピングさせた。その後、温度を90℃に下げて触媒B(C6F5)3 0.985gを窒素気流下で添加した。水素末端ポリシロキサン(Gelest社、DMS-H11、MW 1000〜1100、7〜10 cps、SiH= 2.1mmol/g)673.0gを、激しく撹拌しながら添加速度約10mL/分で添加した。水素ガスの発生が、シリコーンオイルバブラーを通して観察された。これをさらに1時間撹拌した後、IRでSi-Hシグナルの消失を観察した。Si-H伸縮振動(約2170 cm-1)が見られなくなった時に反応を止めた。Si-Hがまだ検出される場合には、少量のHPNBCを添加し、1時間後に再びIRで検査した。上記段落0023に示した化学式において、PEはポリエーテルであり、mは約16であり、qは0〜1である。理論的な重量平均分子量は約6360である。
3)は以下の方法で製造した:
HPNBC329.7gを窒素雰囲気下でジャケット付き2L反応器に入れた。温度を90℃まで上げ、触媒B(C6F5)3 0.985gを窒素気流下で添加した。連結されたヒドロシロキサン(Gelest社、HMS-151、MW 1900〜2000、30 cps、SiH= 2.1mmol/g)800gを激しく撹拌しながら添加速度約10mL/分で添加した。水素ガスの発生が、シリコーンオイルバブラーを通して観察された。これをさらに1時間撹拌した後、IRでSi-Hシグナルの消失を観察した。Si-H伸縮振動(約2170 cm-1)が見られなくなった時に反応を止めた。Si-Hがまだ検出される場合には、少量のHPNBCを添加し、1時間後に再びIRで検査した。上記段落0026に示した化学式において、樹脂はペンダント構造であり、PEはポリエーテルであり、mは約4であり、nは約20である。理論的な重量平均分子量は約2734である。
【0035】
体積で5:1に混合した後の上記の印象材料の物理的性質を表2に示す。ISO規格4823の特性をいずれも満足している。
【表2】

表2中のデータは、ROMPで硬化可能な本歯科用材料が良好な性質を有すること、および市販の製品と置換可能であることを明らかにしている。ROMPにより硬化可能な材料に特有の利点は、他のポリエーテルをベースにした印象材料のように硬化メカニズムのための酸に依存しないため、酸性の止血剤(例えば、塩化アルミニウムまたは硫酸アルミニウムカリウム等)に非常に耐性がある。
【0036】
本発明を、その1つまたはそれ以上の実施態様を記載することにより説明し、実施態様の記載を非常に詳細に行っているが、そのような詳細に添付の請求項の範囲を制限または限定するものではない。したがって、本発明は、特定の詳細な記述、代表的な器具および方法、並びに明らかにされ記述された実例に限定されるものではない。したがって、一般的な発明概念の範囲から外れることなくこのような詳細からの離脱がなされうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一の基剤樹脂と第二の基剤樹脂とを含む基剤ペーストであって、
(1)前記第一の基剤樹脂が、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基少なくとも2個で官能化されたウレタンポリエステルカルボキシレート骨格またはウレタンポリエーテルカルボキシレート骨格を含み、式:
【化1】

(式中、
a=1〜100、c=0または1、かつ、d=2〜100であり、
ZおよびQは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基であり、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有し;かつ、
(2)前記第二の基剤樹脂が、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基少なくとも2個で官能化されたアルコキシシロキサンポリエステルカルボキシレート骨格またはアルコキシ−シロキサンポリエーテルカルボキシレート骨格を含み、式:
【化2】

(式中、
【化3】

であり、
PEは、ポリエーテルフラグメントまたはポリエステルフラグメントであり、
m=1〜500であり、
q=0〜10であり、
Qは、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、又は多環状の有機残基であり、
Dは、シクロオレフィン性残基であり、かつ、QまたはZとは異なる)
を有する、基剤ペーストと、
(b)前記基剤ペーストと相溶性の溶媒中に溶解された金属カルベン錯体触媒を含む触媒ペーストであって、前記触媒が、前記触媒ペーストが前記基剤ペーストと混合されるとメタセシス反応を開始させることができ、かつ、構造:
【化4】

(式中、
Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり、
Xは、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)の塩基性度より高い塩基性度を有するアルキリデン配位子であり、
およびXは、同じかまたは異なって、任意のアニオン性配位子であり、
Zは、酸素(O)または硫黄(S)であり、かつ、
、R、a、b、c、およびdは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基である)
を有する、触媒ペーストと、
を含む、歯科用印象材料。
【請求項2】
前記第一の基剤樹脂が、ジノルボルネニルジカルボキシレートウレタンポリエステルである、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記第一の基剤樹脂が、ジノルボルネニルジカルボキシレートウレタンポリエーテルである、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記第一の基剤樹脂が、下記構造:
【化5】

(式中、E=シクロオレフィン性末端キャップ基Dであり、R=ジイソシアネートフラグエントであり、PE=ポリオールである)
を有する、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記第一の基剤樹脂が、二官能性ウレタンポリエーテルカルボキシレートであり、前記ポリエーテルが、ブチレンオキシド単位、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、またはこれらの組合せを1種または複数種含む、請求項1の組成物。
【請求項6】
Dが、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および7−オキサノルボルナジエニルからなる群から選択されるシクロオレフィン性残基である、請求項1の組成物。
【請求項7】
前記触媒が、構造:
【化6】

(式中、Rはメシチル基である)
を有する、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記第一の基剤樹脂が:
【化7】

(式中、R=ヘキシル、PE=ポリエーテルであり、かつ、
【化8】

である)
である、請求項1の組成物。
【請求項9】
前記第二の基剤樹脂において、
PEが、プロピレンオキシド(PO)フラグメントとエチレンオキシド(EO)フラグメントとを含むポリエーテルであり、mが約16であり、q=0または1であり、
【化9】

である、請求項1の組成物。
【請求項10】
PEが、プロピレンオキシド(PO)フラグメントとエチレンオキシド(EO)フラグメントとを含むポリエーテルであり、m=1〜50であり、q=0〜1であり、
【化10】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記基剤ペーストが、メタセシス反応を受けうるシクロオレフィン基少なくとも2個で官能化されたシロキサンカルボキシレート骨格を含む第三の基剤樹脂をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第三の基剤樹脂が、下記式:
【化11】

(式中、m=1〜50であり、n=0〜200であり、
【化12】

である)
を有するペンダント構造を有する、請求項11の組成物。
【請求項13】
前記第三の基剤樹脂が、下記式:
【化13】

(式中、p=0〜200であり、
【化14】

である)
を有する、末端化された構造である、請求項11の組成物。
【請求項14】
前記第三の基剤樹脂が、下記式:
【化15】

(式中、x=3〜6であり、
【化16】

である)
を有する、環状構造である、請求項11の組成物。
【請求項15】
前記基剤ペーストおよび前記触媒ペーストがそれぞれ強化性充填剤および非強化性充填剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項16】
前記基剤ペーストが親水性充填剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項17】
前記触媒ペーストが疎水性充填剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項18】
(a)第一の基剤樹脂と第二の基剤樹脂と第三の基剤樹脂とを含む基剤ペーストであって、各樹脂がメタセシス反応を受けることができ、前記基剤ペーストが、親水性充填剤成分を含む充填剤系をさらに含み:
(1)前記第一の基剤樹脂が、
【化17】

であり、
(2)前記第二の基剤樹脂が、
【化18】

であり、
(3)前記第三の基剤樹脂が、
下記式:
【化19】

を有するペンダント構造、
下記式:
【化20】

を有する末端化された構造、
下記式:
【化21】

を有する環状構造であり、
上記式中、R=ジイソシアネートフラグメントであり、PE=ポリエステルフラグメントまたはポリエーテルフラグメントであり、m=1〜50であり、q=0〜1であり、n=0〜200であり、p=0〜200であり、x=3〜6であり、かつ、Eは、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、シクロペンテニル、7−オキサノルボルネニル、ノルボルナジエニル、および7−オキサノルボルナジエニルからなる群から選択されるシクロオレフィン性残基である、基剤ペーストと、
(b)前記基剤ペーストと相溶性の溶媒中に溶解された金属カルベン錯体触媒と、疎水性充填剤成分を含む充填剤系とを含む触媒ペーストであって、前記触媒が、前記触媒ペーストが前記基剤ペーストと混合されると前記メタセシス反応を開始させることができ、かつ、下記構造:
【化22】

(式中、
Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり、
Xは、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)の塩基性度より高い塩基性度を有するアルキリデン配位子であり、
およびXは、同じかまたは異なって、任意のアニオン性配位子であり、
Zは、酸素(O)または硫黄(S)であり、かつ、
、R、a、b、c、およびdは、同じかまたは異なって、それぞれ、任意にシロキサン基(Si-O-Si)を含み、かつ、任意にB、N、O、Si、P、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、環状、または多環状の有機残基である)
を有する、触媒ペーストと、
を含む、歯科用印象材料。
【請求項19】
前記触媒が構造:
【化23】

(式中、Rはメシチルである)
を有する、請求項18の組成物。
【請求項20】
PE=プロピレンオキシド(PO)フラグメントとエチレンオキシド(EO)フラグメントとを含むポリエーテルであり、
【化24】

である、請求項18の組成物。