説明

メタセシス反応によるオレフィンの官能化

プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、Mnが300から30,000 g/モル (1H NMRで測定)で、10から 90 mol%のポリプロピレン及び10から 90 mol%のエチレンを含有するプロピレンコ-オリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが(全不飽和結合に対し)少なくともX%のアリル末端基を有し、1) コ-オリゴマー中に10から 60 モル%のエチレンが含有されるとき X = (-0.94(含有されるエチレンのモル%)+100)、2) コ-オリゴマー中に60より多く70モル%未満のエチレンが含有されるとき X = 45、3) コ-オリゴマー中に70から 90 モル%のエチレンが含有されるときX = (1.83*(含有されるエチレンのモル%)-83)である、プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権の主張>
本願は2008年6月20日に出願し、本願に参照として組み込むUSSN 12/143,663に基づく優先権を主張する。
【0002】
この発明はメタセシス反応によるビニル末端ポリオレフィンの官能化に関する。
【背景技術】
【0003】
メタセシス反応は一般に、化学反応中に2つの化合物間で置換基が交換されることであると考えられている。メタセシス反応には、例えば開環メタセシス、非環式ジエンメタセシス、閉環メタセシス、クロスメタセシス等、様々な種類がある。しかしこれらの反応は、官能化されたオレフィンのメタセシスではあまり成果は上がっていない。
【0004】
末端に官能基を有するポリオレフィンを製造する方法は、通常多段階プロセスであり、望ましくない副生物が生じ、また反応物とエネルギーの無駄が生じる。
【0005】
R. T. Mathers and G. W. Coates Chem. Commun. 2004, 422-423に、クロスメタセシスによりペンダントビニル基を有するポリオレフィンを官能化して、グラフト型構造を有する極性官能化物を生成させした例が開示されている。
【0006】
D. Astruc et al. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 1495-1506, 及びD. Astruc et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 7399-7404には、クロスメタセシスによりビニル基を有する非高分子性分子を官能化した例が開示されている。
【0007】
末端官能化ポリオレフィンを生成させる方法の総説として、(a) S. B. Amin and T. J. Marks Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 2006-2025; (b) T. C. Chung Prog. Polym. Sci. 2002, 27, 39-85; (c) R. G. Lopez, F. D'Agosto, C. Boisson Prog. Polym. Sci. 2007, 32, 419-454を参照することができる。
【0008】
2009年6月19日出願のUSSN 12/487,739(Attorney Docket Number 2008EM140A) には、潤滑油用のビニル末端オリゴマー及びポリマーが開示されている。
【0009】
2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663には、2009年6月19日出願のUSSN 12/487,739(Attorney Docket Number 2008EM140A)において官能化されたビニル末端官能化オリゴマー及びポリマーが開示されている。
【0010】
他の参照文献としてUS 4,988,764が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、メタセシス反応により官能化されたポリオレフィン(特に末端官能化)を製造する方法が求められており、特に良好な転換率、好ましくは穏やかな条件下及び最小限の工程数で製造する方法が求められている。また、様々な官能基を経済的にポリオレフィンに付加することができる一段階の反応が求められている。この発明のオレフィンアルケンメタセシスによる官能基の導入は、商業的に経済的であるとともに、「原子−経済的」な末端官能化ポリオレフィンへの反応系路でもある。
【0012】
またこの発明により、メタセシス触媒の存在下で官能化されたアルケンと反応して、極性末端官能化されたポリオレフィンを生成するビニル末端ポリオレフィンが提供される。
【0013】
化学的活性または極性末端基を特徴とする末端官能化ポリオレフィンは、相溶化剤、接合層改質剤、界面活性剤、及び表面改質剤等の広範な用途において有用である。本願に、官能化されたアルケンによるビニル末端ポリオレフィンのメタセシス反応により、末端官能化ポリオレフィンを製造する新規な方法を開示する。この方法は、アイソタクチックポリプロピレン (iPP), アタクチックポリプロピレン (aPP), エチレンプロピレン共重合体 (EP), 及びポリエチレン (PE)等の様々なポリオレフィンに適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、ポリオレフィン(本願でいうポリオレフィンには、ポリマーとオリゴマーの両者が含まれる)を官能化する方法に関し、この方法にはヘテロ原子を含有するアルケンと、アルケンメタセシス触媒と、1以上のビニル末端ポリオレフィンとを接触させる工程が含まれ、好ましくはビニル末端ポリオレフィンは:
a) 10から90 mol%のプロピレン、及び10から90 mol%のエチレンを含有し、Mnが300から30,000 g/mol (1H NMRで測定) のプロピレンコ-オリゴマーであって、少なくともX%のアリル末端基(全不飽和結合に対し) を有し、ここで、1) コ-オリゴマー中に10から60 mol%のエチレンが含有されるとき X = (-0.94(含有されるエチレンのmol%)+100)、2) コ-オリゴマー中に60より多く70mol%未満のエチレンが含有されるとき X = 45、 3) コ-オリゴマー中に70から 90 mol%のエチレンが含有されるときX = (1.83*(含有されるエチレンのmol%)-83)であるプロピレンコ-オリゴマー;および/または
b) 90mol%より多くのプロピレン、及び10mol%未満のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーであって、少なくとも93%のアリル末端基を有し、Mnが約500から約20,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.35:1.0であり、アルミニウム含有量が1400ppm未満のプロピレンオリゴマー;および/または
c) 少なくとも50mol%のプロピレン及び10から50mol%のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーであって、少なくとも90%のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.3:1.0であり、炭素数が4以上のモノマーユニットが0から3mol%含有されるプロピレンオリゴマー;および/または
d) 少なくとも50mol%のプロピレン、0.1から45mol%のエチレン、及び 0.1から5mol%のC4からC12オレフィンを含有するプロピレンオリゴマーであって、少なくとも87% (または少なくとも90%) のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマー;および/または
e) 少なくとも50mol%のプロピレン、0.1から45wt%のエチレン、及び 0.1から5mol%のジエンを含有するプロピレンオリゴマーであって、少なくとも90% のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.7:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマー;および/または
f) プロピレンから成るホモオリゴマーであって、少なくとも93% のアリル末端基を有し、Mnが約500から約20,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.2:1.0で、アルミニウム含有量が1400ppm未満のホモオリゴマー;
の1以上である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明は、ビニル末端ポリオレフィンを官能化する方法に関し、この方法には、ヘテロ原子を含有するアルケンと、アルケンメタセシス触媒と、1以上のビニル末端オリゴマーまたはポリマー、好ましくは1以上の本願に開示するビニル末端オリゴマーとを接触させる工程が含まれる。
【0016】
通常、温度が20から200℃(好ましくは50から160℃、さらに好ましくは60から140℃)、圧力が0から1000MPa(好ましくは0.5から500MPa、好ましくは1から250MPa)で、滞留時間が0.5秒から10時間(好ましくは1秒から5時間、好ましくは1分から1時間)の条件下の反応容器中で、各反応原料を組み合わせる。
【0017】
通常、反応器に投入したポリオレフィン1モルに対し、ヘテロ原子を含有するアルケンを約0.7から約4.0モル(例えば0.8から2.6モル)、好ましくは約1.0から約2.0モル、最も好ましくは約1.1から約1.7モル投入する。
【0018】
通常、反応器に投入したポリオレフィン1モルに対し、触媒を0.00001から0.1モル、好ましくは0.0001から0.02モル、好ましくは0.0005から0.01モル投入する。
【0019】
通常この方法は溶液法で行われるが、バルク法や高圧法で行ってもよい。均一なプロセスであることが好ましい。(均一なプロセスとは、反応媒体中に少なくとも90wt%の生成物が可溶であるプロセスと定義される。)均一なバルク法が特に好ましい。(バルク法とは、反応器に供給される原料中の反応原料の濃度が70容積%以上のプロセスと定義される。)あるいは、反応媒体中に溶媒または希釈剤が存在しないか、無添加であってもよい。(触媒または他の添加剤のキャリヤとして用いられる少量の溶媒または希釈剤、またはプロピレン中のプロパン等の、反応原料中に含まれる少量の溶媒または希釈剤を除く。)
【0020】
この方法に適した希釈剤/溶媒は、非配位性液体、不活性液体等である。例としてイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、またはこれらの組み合わせ等の直鎖または分岐炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、または例えば市販の物(IsoparTM)のようなこれらの組み合わせ等の環状及び脂環式の炭化水素;ペルフッ素化C4-10アルカン、クロロベンゼン等のペルハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、メスチレン、及びキシレン等の芳香族及びアルキル置換芳香族化合物等が挙げられる。好ましい実施形態では、この発明のプロセスにおける供給濃度は、溶媒60容積%以下、好ましくは40容積%以下、好ましくは20容積%以下である。
【0021】
この発明のプロセスは、バッチ式、セミ-バッチ式、または連続式である。本願で連続と言うときは、中断または休止せずに操業されるシステムを意味する。例えば、ポリマーを製造する連続プロセスは、反応原料が1以上の反応器に連続的に供給され、ポリマーが連続的に取り出されるプロセスである。
【0022】
有用な反応容器には、反応器(連続撹拌式反応器、バッチ式反応器、反応押出機、パイプ、ポンプ等)が含まれる。
【0023】
好ましい実施形態では、この方法の生産性は少なくとも極性末端官能化ポリオレフィン200g/触媒1ミリモル/1時間、好ましくは少なくとも5000 g/触媒1ミリモル/1時間、好ましくは少なくとも10,000g/触媒1ミリモル/1時間、好ましくは少なくとも300,000g/触媒1ミリモル/1時間である。
【0024】
この発明はまた官能化ポリオレフィンの製造方法、好ましくはインライン製造方法、好ましくは連続的製造方法に関し、この製造方法には、モノマーと触媒システムを反応器へ導入してビニル末端ポリオレフィンを含む反応流出物を生成させる工程と、任意に溶媒、未反応モノマー、および/または他の揮発物を除去(例えばフラッシングさせる)してビニル末端ポリオレフィン(例えば本願に開示する物)を得る工程と、ビニル末端ポリオレフィン、アルケンメタセシス触媒、及びへテロ原子を含むアルケン(本願に開示する物)を反応ゾーン(例えば反応器、押出機、パイプ、および/またはポンプ)へ導入して官能化されたポリオレフィン(例えば本願に開示する物)を得る工程とが含まれる。
【0025】
<アルケンメタセシス触媒>
アルケンメタセシス触媒は、ビニル末端オリゴマー(またはポリマー)とヘテロ原子を含有するアルケンとの反応を触媒して、通常はエチレンを消滅させて、ヘテロ原子で官能化されたオリゴマー(またはポリマー)を生成させる化合物である。
【0026】
好ましい実施形態では、アルケンメタセシス触媒は式(I)で表される。
【化1】

ここで:
Mは第 8族金属、好ましくはRuまたはOsであり、好ましくはRuであり;
XとX1は、それぞれ独立してアニオン性リガンドであり、好ましくはハロゲン(好ましくはCl)、アルコキシドまたはトリフレートであり、またはXとX1は結合してジアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとL1は、それぞれ独立して中性の電子供与体であり、好ましくはリンまたはN-複素環カルベンであり、LとL1 は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとXは結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
L1とX1は結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとR1は、それぞれ独立して水素、またはC1からC30 の置換または非置換のヒドロカルビル基(好ましくはC1からC30 の置換または非置換のアルキル基、またはC4からC30の置換または非置換のアリール基)であり;
R1とL1またはX1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとLまたはXは結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成する。
【0027】
本願で言う置換されたヒドロカルビル基とは、炭素と水素から成る基であって、少なくとも1の水素がヘテロ原子で置換された基である。本願で言う、置換されたアルキル基または置換されたアリール基とは、炭素と水素から成る基であって、少なくとも1の水素が、ヘテロ原子、あるいは炭素数が1から30の直鎖、分岐、または環状ヒドロカルビル基で置換された基である。
【0028】
好ましいアルコキシドには、アルキル基がフェノール、置換されたフェノール(1, 2, 3, 4または5個のC1からC12ヒドロカルビル基で置換されたフェノール)、またはC1からC10のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC10のアルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはフェニル基のアルコキシドが含まれる。
【0029】
好ましいトリフレートは式(II)で表される。
【化2】

ここで、R2は水素またはC1からC30のヒドロカルビル基、好ましくはC1 から C12のアルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはフェニル基である。
【0030】
好ましいN-複素環カルベンは式(III) または式(IV)で表される。
【化3】

【化4】

ここで、
各R4は独立して炭素数1から40のヒドロカルビル基、または置換されたヒドロカルビル基であり、 好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル(イソブチル及びn-ブチルを含む)、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロオクチル、ノニル、デシル、シクロデシル、ドデシル、シクロドデシル、メスチル、アダマントリ、フェニル、ベンジル、トルリル、クロロフェニル、フェノール、置換されたフェノール、または CH2C(CH3)3;及び
各R5は水素、ハロゲン、またはC1からC12 のヒドロカルビル基であり、好ましくは水素、臭素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはフェニル基である。
【0031】
別の有用な実施形態では、式(III)または式(IV)のカルベンに結合したN基のひとつがS, OまたはP原子、好ましくはS原子で置換されている。
【0032】
他の有用なN-複素環カルベンにはHermann, W. A. Chem. Eur. J. 1996, 2, 772 及び 1627; Enders, D. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 1995, 34, 1021; Alder R. W., Angew. Chem. Int. Ed. 1996, 35, 1121; 及び Bertrand, G. et al. Chem. Rev. 2000, 100, 39に開示された化合物が含まれる。
【0033】
好ましい実施形態では、アルケンメタセシス触媒は、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルエチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II) ジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン][1,3-ビス(2,4,6-トリメチルエチルフェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-2-イリデン]ルテニウム(II) ジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルエチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン][(フェニルチオ)メチレン]ルテニウム(II) ジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-3-フェニル-1H-インデン-1-イリデンルテニウム(II) ジクロリド、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルエチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン[2-(i-プロポキシ)-5-(N,N-ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレンルテニウム(II) ジクロリド、及び[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルエチルフェニル)-2-イミダゾリジンイリデン]-[2-[[(4-メチルフェニル)イミノ]メチル]-4-ニトロフェノリル]-[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II) クロリドのいずれか1以上である。
【0034】
別の実施形態では、アルケンメタセシス触媒は上記の式(I)で表され、ここで、MはOsまたはRu;R1は水素;XとX1は同一または異なるアニオン性リガンド;LとL1は同一または異なる中性の電子供与体;Rは水素、置換または非置換のアルキル基、あるいは置換または非置換のアリール基である。Rは好ましくは水素、C1からC20のアルキル基またはアリール基である。C1からC20のアルキル基は、任意に1以上のアリール基、ハライド基、水酸基、C1からC20のアルコキシ基、またはC2からC20のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。アリール基は、任意に1以上のC1からC20のアルキル基、アリール基、水酸基、C1からC5のアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、またはハライド基で置換されていてもよい。LとL1は好ましくは式PR3' R4' R5'で表されるホスフィンであり、ここでR3'は二級アルキル基またはシクロアルキル基で、R4'及びR5'はアリール基、C1-C10一級アルキル基、二級アルキル基、またはシクロアルキル基である。R4'とR5'は同一でも異なっていてもよい。LとL1は好ましくは同一であり、-P(シクロヘキシル)3, -P(シクロペンチル)3, または-P(イソプロピル)3のいずれかである。XとX1は同一で、塩素であることが好ましい。
【0035】
この発明の別の実施形態では、ルテニウム及びオスミウムカルベン化合物は式(V)で表され、
【化5】

ここでMはOsまたはRu、好ましくはRuであり;XとX1、LとL1 は上記の通りであり;R9とR10 は同一でも異なっていてもよく、水素、置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基でもよい;R9とR10基に次の官能基が含まれていてもよい:アルコール、チオール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボキシル酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、及びハロゲン基。これらの化合物とその合成方法はUS 6,111,121に開示されている。
【0036】
別の実施形態では、本願で有用なアルケンメタセシス触媒はUS6,111,121, US5,312,940, US5,342,909, US7,329,758, US5,831,108, US5,969,170, US6,759,537, US6,921,735, US2005-0261451A1に開示された触媒であり、非限定的例示として
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム、
ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
(1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ[3-(2-ピリジニル)プロピリデン]ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、及び
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(ベンジリデン)ビス(3-ブロモピリジン)ルテニウム(II)が挙げられる。
【0037】
別の実施形態では、本願ではアルケンメタセシス触媒にSchrock型メタセシス触媒を用いる。別の実施形態では、本願で有用なアルケンメタセシス触媒は、US 6,346,652, US 6,121,473, US 5,142,073, US 5,146,033, US 5,087,710, WO 2008/066754, US 2008/0119678, US 2005/0154221, EP 1 056 756 B1, EP 1 501 784 A1, EP 0 509 034 A1, WO 2000/002834; WO 1999/042469, WO 1992/019631, WO1991/009825に開示された触媒である。好ましい触媒の例として、2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI) bis(t-ブトキシド)、 2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデン モリブデン(VI) bis(ヘキサフルオロ-t-ブトキシド)、2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI) ビス(トリフルオロメタンスルホネート)ジメトキシエタン付加物、及び2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデン[ラセミ-BIPHEN]モリブデン(VI)が挙げられる。
【0038】
上記の触媒はSigma-Aldrich Corp.社 (St. Louis, MO)またはStrem Chemicals, Inc.社 (Newburyport, MA)から入手できる。
【0039】
<ヘテロ原子を含有するアルケン>
この発明で有用なヘテロ原子を含有するアルケンは、式H2C=CH-RまたはR*-HC=CH-Rで表され、ここでR*及びRは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含有する基であり、好ましくは炭素数が1から30で、少なくとも1のヘテロ原子(好ましくはへテロ原子はSi, P, O, S, N, Cl, F, I 及びBrから成る群(好ましくは N, O, Cl及びBr、好ましくはN及びO)から選択される))を有する。R*及びRには1, 2, 3, または4個のヘテロ原子が含まれる。別の実施形態では、R*及びRの双方が少なくとも1のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含有するアルケンには、1,2,3,4,5,または6個のヘテロ原子が含まれる。また、ヘテロ原子を含有するアルケンには1以上の不飽和結合が含まれ、好ましくは2,3,4または5の不飽和結合が含まれ、好ましくは末端ビニル基として含まれている。本願で言うヘテロ原子とは、非炭素、非水素原子を意味し、好ましくは炭素を除く第13族から17族元素と定義される。
【0040】
好ましいR基は、アルコール、アミド、ニトリル、イミン、ハロアルキル、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、フォルミル、フォルミルカルボニル、ヒドロキシル、アセチルハライドからなる群から選択される。
【0041】
特に好ましいヘテロ原子を含有するアルケンには、式-C(O)-Xで表されるものが含まれ、ここで OはCに二重結合で結合しており、X は水素、窒素、ヒドロキシル、オキシヒドロカルビル(例えばエステル)、酸素、塩部位-OMここでMは例えばアルカリ、アルカリ土類、遷移金属、銅、亜鉛、等の金属、例えば-O-Zのオキシヘテロ、ここでZはケイ素、リン、ホウ素、イオウ等のへテロ原子を表し、このへテロ原子はヒドロカルビルまたはオキシヒドロカルビル基で置換されていてもよく、あるいは2つのアシル基が(X)を介して結合していてもよい。
【0042】
好ましいR基には式-D-Nで表されるアルキルアミン基が含まれ、Dは炭素数が1から12のヒドロカルビル基であり、好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル,オクチル、デシル、ドデシル基である。
【0043】
好ましいR基には式-D-C=Nで表されるアルキルニトリル基が含まれ、ここでDは炭素数が1から12のヒドロカルビル基、好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル,オクチル、デシル、ドデシル基であり、CはNに三重結合している。
【0044】
他の好ましいR基には式D-Yで表されるものが含まれ、ここでDは炭素数が1から12のヒドロカルビル基、好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基であり、YはNまたはOである。
【0045】
好ましいR基にはアシル基が含まれ、このアシル基はモノ不飽和のモノ-またはジ-カルボン酸、及びその誘導体、例えばエステル及び塩等の誘導体である。
【0046】
別の実施形態では、R基は下記の群から選択される。
(i) C4からC10のモノ不飽和ジカルボン酸(好ましくは(a)カルボキシル基はビシニル(すなわち、複数の炭素原子に隣接する位置にある)で、(b) この隣接炭素原子の少なくとも1、好ましくは双方が前記不飽和結合の一部を構成する);
(ii) (i)のカルボン酸の酸無水物、または C1からC5のアルコールから誘導された(i)のカルボン酸のモノ-またはジエステル等の、(i)のカルボン酸の誘導体;
(iii) C3からC10のモノ不飽和モノカルボン酸であって、炭素−炭素二重結合がカルボキシル基と共役しているカルボン酸、すなわち、構造が-C=C-C(O)-で表される(ここでOはCに二重結合している)カルボン酸;及び
(iv) C1からC5のアルコールから誘導された(iii)のカルボン酸のモノエステル等の(iii)のカルボン酸の誘導体。
【0047】
特に好ましいへテロ原子含有アルケンとして、アクリロニトリル、アクリルアミド、アリルアミン、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3-ヘキセン酸、10-デセン酸、2-ペンテン-1,3,5-トリカルボン酸、桂皮酸、及び例えばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル等の、これらの酸の低級アルキル(例えばC1からC4アルキル)酸エステルが挙げられる。特に好ましいへテロ原子含有アルケンとして、メチルアクリレート、アクリル酸、及び5-ヘキセン-1-オールが挙げられる。
【0048】
本願のビニル末端オリゴマーは、US 6,022,929に開示された方法によりさらに誘導体化することができる。
【0049】
<ビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマー>
この発明で有用なビニル末端オリゴマー及びポリマーには、プロピレンと0.5wt%未満のコモノマー、好ましくは0wt%のコモノマーが含有されたプロピレンホモオリゴマーが含まれ、このオリゴマーは:
i) 少なくとも93%のアリル末端基(好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%)を有し;
ii) 1H NMRで測定した数平均分子量(Mn)が約500から約20,000g/mol、(好ましくは500から15,000、好ましくは700から10,000、好ましくは800から8,000g/mol、好ましくは900から7,000、好ましくは1000から6,000、好ましくは1000から5,000);
iii) イソブチル末端基とアリルビニル基の比が0.8:1から1.3:1.0;及び
iv) アルミニウム含有量が1400ppm未満(好ましくは1200ppm未満、好ましくは1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは100ppm未満)である。
【0050】
この発明で有用なビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマーには、1H NMRで測定したMnが300から30,000 g/mol (好ましくは 400から20,000、好ましくは500から15,000、好ましくは600から12,000、好ましくは800から10,000、好ましくは900から8,000、好ましくは900から7,000 g/mol)で、プロピレンを10から90mol%(好ましくは15から85mol%、好ましくは20から80mol%、好ましくは30から75mol%、好ましくは50から90mol%)、及び10から90mol% (好ましくは15から85mol%、好ましくは20から80mol%、好ましくは25から70mol%、好ましくは10から50mol%)の1以上のアルファ-オレフィンコモノマー (好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、またはオクテン、好ましくはエチレン)を含有するプロピレンコ-オリゴマーが含まれる。
ここで、このオリゴマーは (全不飽和基に対し)少なくともX% の末端アリル基を有し、
1)コ-オリゴマー中にエチレンが10から60mol%含有されている場合、X = (-0.94(エチレン含有量mol%)+100 {または1.20(-0.94(エチレン含有量mol%)+100)、または1.50(-0.94(エチレン含有量mol%)+100)})、2)コ-オリゴマー中にエチレンが60mol%を超え70mol%未満含有されている場合、X = 45 (または50, または 60)、及び3) コ-オリゴマー中にエチレンが70から90mol%含有されている場合、X = (1.83* (エチレン含有量mol%)-83, {または1.20 [1.83* (エチレン含有量mol%)-83], または1.50 [1.83* (エチレン含有量mol%)-83]})である。またはXは80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上である。別の実施形態では、オリゴマーは(イソブチル末端と標準的なn-プロピル末端の合計を基準として)イソブチル末端基を少なくとも80%有し、好ましくはイソブチル末端基を少なくとも85%有し、好ましくはイソブチル末端基を少なくとも90%有する。または、オリゴマーはイソブチル末端基とアリル性ビニル基との比が0.8:1から1.35:1.0、好ましくは0.9:1から1.20:1.0、好ましくは0.9:1.0から1.1:1.0である。
【0051】
この発明で有用なビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマーには、プロピレン含有量が90mol%を超え(好ましくは95から99mol%、好ましくは98から9mol%)、エチレン含有量が10mol%未満 (好ましくは1から4mol%、好ましくは1から2mol%)のプロピレンオリゴマーが含まれ、このオリゴマーは
i) 少なくとも93%のアリル末端基 (好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%)を有し;
ii) 1H NMRで測定した数平均分子量(Mn)が約400から約30,000g/mol(好ましくは500から20,000、好ましくは600から15,000、好ましくは700から10,000g/mol、好ましくは800から9,000、好ましくは900から8,000、好ましくは1000から6,000);
iii) イソブチル末端とアリルビニル基の比が0.8:1から1.35:1.0;及び
iv) アルミニウム含有量が1400ppm未満(好ましくは1200ppm未満、好ましくは1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは100ppm未満)である。
【0052】
この発明で有用なビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマーには、プロピレン含有量が少なくとも50mol% (好ましくは60から90、好ましくは70から90)でエチレン含有量が10から50mol% (好ましくは10から40、好ましくは10から30) のプロピレンオリゴマーが含まれ、このオリゴマーは
i) 少なくとも90%のアリル末端基(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)を有し;
ii) 1H NMRで測定した数平均分子量(Mn)が約150から約20,000g/mol(好ましくは200から15,000、好ましくは250から15,000、好ましくは300から10,000、好ましくは400から9,500、好ましくは500から9,000、好ましくは750から9,000);及び
iii) イソブチル末端とアリルビニル基の比が0.8:1から1.3:1.0であり、炭素数4以上のモノマーが0から3mol% (好ましくは1mol%未満、好ましくは0.5mol%未満、好ましくは0mol%)含有されている。
【0053】
またこの発明で有用なビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマーには、プロピレン含有量が少なくとも50mol% (好ましくは少なくとも60、好ましくは70から99.5、好ましくは80から99、好ましくは90から98.5)で、エチレン含有量が0.1から45mol%(あるいは少なくとも35、好ましくは0.5から30、好ましくは1から20、好ましくは1.5から10)、及びC4からC12のオレフィン (ブテン、ヘキセン、またはオクテン、好ましくはブテン)の含有量が0.1から5mol% (好ましくは0.5から3、好ましくは0.5から1)のプロピレンオリゴマーが含まれ、このオリゴマーは
i) 少なくとも90%のアリル末端基(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)を有し;
ii) 1H NMRで測定した数平均分子量(Mn)が約150から約15,000g/mol(好ましくは200から12,000、好ましくは250から10,000、好ましくは300から10,000、好ましくは400から9500、好ましくは500から9,000、好ましくは750から9,000)で;
iii) イソブチル末端とアリルビニル基の比が0.8:1から1.35:1.0である。
【0054】
この発明で有用なビニル末端オレフィンオリゴマー及びポリマーには、プロピレン含有量が少なくとも50mol%(好ましくは少なくとも60、好ましくは70から99.5、好ましくは80から99、好ましくは90から98.5)、エチレン含有量が0.1から45mol%(あるいは少なくとも35、好ましくは0.5から30、好ましくは1から20、好ましくは1.5から10mol%)で、ジエン(例えばC4からC12アルファ-オメガジエン(例えばブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン)、ノルボルネン、エチリデンノルボルンネン、ビニルノルボルネン、ノルボナジエン、及びジシクロペンタジエン)含有量が0.1から5mol% (好ましくは0.5から3、好ましくは0.5から1)のプロピレンオリゴマーが含まれ、このオリゴマーは
i) 少なくとも90%のアリル末端基(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)を有し;
ii) 1H NMRで測定した数平均分子量(Mn)が約150から約20,000g/mol(好ましくは 200から15,000、好ましくは250から12,000、好ましくは300から10,000、好ましくは400から9,500、好ましくは500から9,000、好ましくは750から9,000)で;
iii) イソブチル末端とアリルビニル基の比が0.7:1から1.35:1.0である。
【0055】
この発明のオリゴマーのアルミニウム含有量は、好ましくは1400ppm未満、好ましくは1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは100ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは20ppm未満、好ましくは5ppm未満である。
【0056】
本願で言う「オリゴマー」は、1H NMRで測定したとき100から25,000g/molのMnを有すると定義される。ポリマーは、25,000 g/molより大きいMnを有する。オリゴマーがオレフィンから成ると言うときは、オリゴマー中のオレフィンは、オレフィンがオリゴマー化された形態で存在する。プロピレンオリゴマーとは、プロピレンを少なくとも50 mole%含有するオリゴマーである。コ-オリゴマーとは、少なくとも2種類の異なるモノマー(例えばプロピレンとエチレン)から成るオリゴマーである。ホモ-オリゴマーとは、単一のモノマー(例えばプロピレン)から成るオリゴマーである。本願で言うMnは数平均分子量(特に断りの無い限り1H NMRで測定)であり、Mwは重量平均分子量( ゲル浸透クロマトグラフィーで測定)、Mzはz平均分子量( ゲル浸透クロマトグラフィーで測定)、wt%は重量パーセント、mol%はモルパーセントである。分子量分布(MWD) は、Mw( ゲル浸透クロマトグラフィーで測定)をMn(1H NMRで測定)で割った値と定義される。特に断りの無い限り、分子量(例えばMw, Mn, Mz)の単位はg/molである。
「アリル末端基」(「ビニル末端」、「ビニル末端基」とも呼ぶ)式Iで表される末端を少なくとも1有するオリゴマー(ポリマー)と定義され、
【化6】

ここで「・・・」はオリゴマー鎖またはポリマー鎖を表す。好ましい実施形態では、アリル末端基は式IIで表される。
【化7】

アリル末端基の量は、1H NMRを用い、120℃において溶剤に重水素化テトラクロロエタンを用いて500 MHzの装置で測定し、13C NMRで確認する場合がある。Resconiは、本願の参照として有用なJ American Chemical Soc 114 1992, 1025-1032に、ビニル末端プロピレンオリゴマーのプロトンと炭素の帰属を開示している(プロトンのスペクトルは過重水素化(perdeuterated)テトラクロロエタンを用いて測定し、カーボンのスペクトルは通常のテトラクロロエタンと過重水素化テトラクロロエタンの50:50混合物を用いて測定した。全てのスペクトルはBruker AM 300スペクトル計で100℃において計測し、プロトンは300 MHz、炭素は75.43 MHzにおいて測定した。)
【0057】
「イソブチル末端基」とは、次式で表される末端を少なくとも1有するオリゴマーまたはポリマーと定義され、
【化8】

ここでMはオリゴマー鎖またはポリマー鎖を表す。
好ましい実施形態では、イソブチル末端基は次式のいずれかで表され、
【化9】

ここでMはオリゴマー鎖またはポリマー鎖を表す。
【0058】
イソブチル末端のパーセンテージは、13C NMR (実施例参照)、及び Resconi et al, J Am. Chem. Soc. 1992, 114, 1025-1032に記載された100%プロピレンオリゴマー(及びポリマー)のケミカルシフトの数値と、図2に示すE-Pオリゴマー(及びポリマー)のケミカルシフトの数値とを用いて測定する。
【0059】
「イソブチル末端とアリルビニル基の比」とは、イソブチル末端のパーセンテージと、アリルビニル基のパーセンテージの比と定義される。
【0060】
好ましい実施形態では、プロピレンオリゴマーには、ヒドロキシ, アリール及び置換されたアリール, ハロゲン, アルコキシ, カルボキシレート, エステル, アクリレート, 酸素, 窒素, 及びカルボキシルから成る群から選択される官能基が、オリゴマーの重量を基準として3wt%未満含有され、好ましくは2wt%未満含有され、より好ましくは1wt%未満含有され、より好ましくは0.5wt%未満含有され、より好ましくは0.1wt%未満含有され、より好ましくは0wt%未満含有される。
【0061】
本願のオリゴマーは、1H NMRで測定したMnが150から25,000 g/mol、200から20,000 g/mol、好ましくは250から15,000 g/mol、好ましくは300から15,000 g/mol、好ましくは400から12,000 g/mol、好ましくは750から10,000 g/molである。また、好ましい分子量の範囲は上記のいずれかの上限値と、いずれかの下限値の範囲内である。Mnは、下記の実施例に記載した方法で測定する。
【0062】
オリゴマーのガラス転移温度 (Tg) は、0℃以下(下記に記載した示差走査熱量測定で測定)であり、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-50℃以下である。
【0063】
オリゴマーには、オリゴマーの重量を基準として80wt%未満の C4オレフィン(イソブチレン、 n-ブテン、2-ブテン、イソブチレン、及びブタジエン等)が含まれていることが好ましく、オリゴマーの重量を基準として10wt%未満、5wt%未満、4wt%未満、3wt%未満、2wt%未満、1wt%未満、0.5wt%未満、0.25wt%未満の C4オレフィンが含まれていることが好ましい。
【0064】
または、好ましくは、オリゴマーには、オリゴマーの重量を基準として、13C NMRで測定したとき、C4以上のオレフィン (例えば C4 から C30 のオレフィン、典型的にはC4 から C12 のオレフィン等、典型的にはC4, C6, C8, C12のオレフィン等)が 20wt%未満含有され、好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは4wt%未満、好ましくは3wt%未満、好ましくは2wt%未満、好ましくは1wt%未満、好ましくは0.5wt%未満、好ましくは0.25wt%未満含有される。
【0065】
別の実施形態では、製造されたオリゴマー組成物には、1H NMRを用いてポリマー鎖1本につき不飽和結合が1つあると仮定して測定したとき、少なくとも炭素原子数が36(好ましくは炭素原子数が少なくとも51、好ましくは炭素原子数が少なくとも102 )のオレフィンが少なくとも50wt% (オリゴマー組成物の重量を基準として好ましくは少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも90wt% )含有されている。
【0066】
別の実施形態では、製造されたオリゴマー組成物には、GCで測定したとき、二量体及び三量体が20wt% 未満(オリゴマー組成物の重量を基準として好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、より好ましくは2wt%未満)含有されている。
【0067】
別の実施形態では、この発明で製造されたオリゴマーには、製造されたポリマー及び使用した触媒の質量を基準として、ハフニウムが25ppm未満、好ましくは10ppm未満、好ましくは5ppm未満含まれている。
【0068】
別の実施形態では、本願のオリゴマーの融点(DSCの最初の融解)は60℃から130℃、または50℃から100℃である。別の実施形態では、本願のオリゴマーは、室温(23℃)で少なくとも48時間保管した後、DSCで検出可能な融点を有さない。
【0069】
融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)は、市販のTA Instruments 2920 DSC装置等の示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて測定することができる。典型的には、室温で少なくとも48時間保管した6から10mgのサンプルを、アルミニウム容器に封入し、室温で測定装置に取り付ける。サンプルを25℃の温度に平衡させ、冷却速度10℃/分で-80℃まで冷却する。サンプルを-80℃に5分間置いた後、昇温速度10℃/分で25℃まで昇温する。ガラス転移温度は、加熱サイクルから求める。または、サンプルを25℃の温度に平衡させ、加熱速度10℃/分で150℃まで昇温する。吸熱溶融過程が存在する場合、溶融過程の始点とピーク温度から求めることができる。特に断りの無い限り、本願に示した融解温度は第1加熱におけるピーク融解温度である。複数のピークを示すサンプルの場合、融点(または融解温度)は、DSC融解曲線のピーク融解温度(すなわち、測定温度範囲において最大の吸熱挙動に係る温度)と定義される。
【0070】
別の実施形態では、この発明のオリゴマーは25℃において液体である。
【0071】
別の実施形態では、本願のオリゴマーのMw (下記のようにして測定)は1,000から約30,000g/mol、または2000から25,000g/mol、または3,000から20,000g/mol、および/または Mzが約1700から約150,000g/mol、または800から100,000 g/molである。
【0072】
Mw及びMzは、示差屈折率計(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフィー(Waters Corporation社またはPolymer Laboratories社)で測定する。測定の詳細は、T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19, 6812-6820, (2001)及びそこに引用された文献に記載されている。3本のPolymer Laboratories社製 PLgel 10mm Mixed-Bカラムを用いる。設定流量は0.5 cm3/minで、設定注入量は300 μLである。種々の移送ライン、カラム、及び示差屈折率計(DRI検出器)を、135℃に保たれたオーブン中に入れる。SEC測定用の溶剤を、4リットルのAldrich社の試薬グレード1, 2, 4トリクロロベンゼン (TCB)中に、酸化防止剤として6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを溶解させて調製する。次に、このTCB混合物を0.7 μmのガラスプレフィルターで濾過し、続いて0.1 μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過する。次に、TCB混合物をSECに入れる前に、オンライン脱ガス器で脱ガスする。ポリマー溶液は、乾燥したポリマーをガラス容器に入れ、所定量のTCBを添加し、次に個の混合物を160℃に加熱して約2時間連続的に撹拌して調製する。計量は全て重量測定により行う。ポリマー濃度を、単位が重量/容積のTCB密度で表すと、室温では1.463 g/mlで、135℃では1.324 g/mlである。注入濃度は1.0から2.0 mg/mlであり、高分子量のサンプルを測定するとき、低濃度側にする。各サンプルを測定する前に、DRI検出器とインジェクターをパージする。測定器中の流量を0.5 ml/分に増加させ、最初のサンプルを注入する前にDRIを8から9時間かけて安定させる。クロマトグラム中の各点における濃度cは、次の計算式を用いて、ベースラインを差し引いたDRIシグナルであるIDRIから計算する。
【数1】

ここでKDRIは、DRIの較正により決定される定数で、(dn/dc)はその系の屈折率の増分である。135℃及びλ=690nmにおけるTCBの屈折率はn = 1.500である。本願では、プロピレンポリマーの場合は(dn/dc) = 0.104で、それ以外の場合は0.1である。本願明細書のSEC測定法に関する説明において、各変数の単位を、濃度は g/cm3、分子量はg/mole、固有粘度はdL/gで表す。
【0073】
分子量分布 (Mw/Mn −GPC-DRIで測定)は上記の方法で測定する。いくつかの実施形態では、この発明のオリゴマーのMw/Mn (GPC-DRIで測定)は1.5から20、または1.7から10である。
【0074】
別の実施形態では、この発明は任意のビニル基を含む物質に適用可能であり、好ましくは末端ビニル基を有する物質(末端ビニル基を有するポリマー、末端ビニル基を有するポリオレフィン(例えば末端ビニル基を有するエチレンホモ-及びコ-ポリマー、及び末端ビニル基を有するプロピレンホモ-及びコ-ポリマー)が含まれる)に適用可能である。これらの物質の大部分は公知であり、本願に開示する方法、例えば(本願に開示する)アルケンメタセシス触媒と、(本願に開示する)ヘテロ原子含有アルケンと、1以上のビニル基含有物質とを接触させる方法により官能化することができる。末端ビニル基を有するポリマーには、ヘテロ原子含有モノマーのホモ-及びコ-ポリマーが含まれ、オレフィンモノマー単独から成るポリマーも含まれる。(末端ビニル基を有するポリマーという用語には、末端ビニル基を有するオリゴマーも含まれる。)好ましい末端ビニル基を有するポリマーには、末端ビニル基を有するアイソタクチックポリプロピレン(好ましくは融点が100℃以上、好ましくは155℃以上)、ポリエチレン(好ましくは融点が100℃以上、好ましくは155℃以上)が含まれる。
【0075】
<ビニル末端オリゴマーを製造する方法>
上記のオリゴマーは、均一なプロセスで製造し、好ましくは本願に参照として組み込む2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に開示されたバルク法により製造する。好ましい実施形態では、触媒系(メタロセン化合物と1以上の活性剤とを含有する) と、オレフィンとを反応させることにより、プロピレン及び任意のコモノマー(例えばエチレン)をオリゴマー化することができる。所望により、掃去剤および/または水素等の他の添加剤も用いることができる。公知の懸濁、均一バルク、溶液、スラリーまたは高圧オリゴマー化プロセスを用いることができる。このようなプロセスは、バッチ式、セミ-バッチ式、または連続モードで行うことができる。このようなプロセス及びモードは、周知である。均一な重合プロセスが好ましい。(均一な重合プロセスは、少なくとも90%の生成物が媒体中に可溶名プロセスと定義される。)均一なバルク法が特に好ましい。(バルク法は、反応器への全供給原料中のモノマー濃度が70容積%以上のプロセスと定義される。)または、反応媒体に溶媒または希釈剤が全く存在しないか、添加されない(触媒系や他の添加剤のキャリヤとして用いられる少量の溶媒または希釈剤、あるいはプロピレン中のプロパンのように通常モノマー中に存在する少量の溶媒または希釈剤を除く)。
【0076】
オリゴマー化に適した希釈剤/溶媒は、非配位性液体、不活性液体等である。例としてイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン等の直鎖または分岐炭化水素、またはこれらの組み合わせ;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、または例えば市販の物(IsoparTM) 等の環状及び脂環式の炭化水素、及びこれらの組み合わせ;ペルフッ素化C4-10アルカン、クロロベンゼン等のペルハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、メスチレン、及びキシレン等の芳香族及びアルキル置換芳香族化合物等が挙げられる。
好ましい溶媒には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、及び1-デセン等のモノマーまたはコモノマーとして機能する液体オレフィンも含まれる。これらの混合物を用いることもできる。
【0077】
好ましい実施形態では、オリゴマー化反応の濃度は溶媒60容積%以下、好ましくは40容積%以下、好ましくは20容積%以下である。好ましくは、オリゴマー化反応はバルク法で行う。
【0078】
オリゴマー化反応に好適な添加剤には、掃去剤、プロモータ、改質剤、還元剤、酸化剤、水素アルキル化アルミニウムまたはシランの内の1以上が含まれる。
【0079】
好ましい実施形態では、オリゴマー化反応器中の水素の分圧は 0.001から50 psig、好ましくは0.01から25 psig、より好ましくは0.1から10psigである。この発明の系では、活性を高めるために水素を使用したときでも、触媒のアリル末端基を生成させる能力が著しく損なわれることはないことが見出された。好ましくは、触媒活性(g/触媒ミリモル/hrで求める)は、水素が存在しない場合と比較して少なくとも20%高く、好ましくは少なくとも50%高く、好ましくは少なくとも100%高い。
【0080】
別の実施形態では、生産性は少なくとも4500 g/ミリモル/hour、好ましくは5000g/ミリモル/hour以上、好ましくは10,000g/ミリモル/hr以上、50,000g/ミリモル/hr以上である。
【0081】
別の実施形態では、生産性は少なくとも80,000 g/ミリモル/hr、好ましくは少なくとも150,000 g/ミリモル/hr、好ましくは少なくとも200,000 g/ミリモル/hr、好ましくは少なくとも250,000 g/ミリモル/hr、好ましくは少なくとも300,000 g/ミリモル/hrである。
【0082】
好ましいオリゴマー化反応は、例えば25から150℃、好ましくは40から120℃、好ましくは45から80℃の温度、及び0.35から10 MPa、好ましくは0.45から6 MPa、好ましくは0.5から4 MPaの圧力で行われる。
【0083】
典型的なオリゴマー化反応では、反応の滞留時間は最大60分で、好ましくは5から50分、好ましくは10から40分である。
【0084】
<ビニル末端オリゴマー製造用の触媒化合物>
ビニル末端オリゴマーの製造に有用な触媒化合物には、下式のいずれかで表されるメタロセン化合物が含まれ、
【化10】

ここでHfはハフニウムであり;
各Xはそれぞれ独立に1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、またはこれらの組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドから成る群から選択され(あるいは2のXは融合環または環系の一部を形成してもよい);
各Qは、それぞれ独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC, N, P, Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、または少なくとも2のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも3のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも4のQは同一または異なるヘテロ原子である);
各R1は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、R1とR2は同一でも異なっていてもよく;
各R2は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただしR1及びR2の少なくともいずれか1は水素ではなく、好ましくはR1及びR2のいずれも水素ではなく、好ましくはR1及び/またはR2は分岐しておらず;
各R3は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも3のR3基は水素ではなく(または少なくとも4のR3基は水素ではなく、または少なくとも5のR3基は水素ではない);
{あるいは、触媒化合物をホモオリゴマーの製造に用いる場合は、各R3はそれぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、1) 5のR3基の全てがメチル基であり、または2) 4のR3基が水素ではなく、かつ少なくとも1のR3基はC2からC8の置換または非置換のヒドロカルビル基であり(好ましくは少なくとも2,3,4,または5のR3基が置換または非置換のヒドロカルビル基である) };
各R4は、それぞれ独立に、水素、または置換または非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基であり、好ましくは炭素数1から20、好ましくは炭素数1から8の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、置換されたフェニル(例えばプロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換されたシリル(例えばCH2SiR'、ここでR'は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の、C1からC12のヒドロカルビル),であり;
R5は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
R6は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
各R7基、はそれぞれ独立に、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも7のR7基が水素ではなく、または少なくとも8のR7基が水素ではなく、または全てのR7基が水素ではなく(好ましくは式IVの各Cp環の3及び4位のR7基が水素ではない);
Nは窒素であり;
Tは架橋基であり、好ましくはSiまたはGeで、好ましくはSiであり;
各Ra基はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、フェニル、ベンジル、置換されたベンジル等のC1からC20のヒドロカルビル基であり、2のRa基は、芳香族環、一部飽和した環または融合環、あるいは飽和した環または融合環等の環構造を形成可能であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、芳香族環、一部飽和した環、飽和した環の融合環または多環式融合環を形成することが条件である。
【0085】
「置換された」とは、水素基がヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基で置き換えられることを意味する。例えば、メチルシクロペンタジエン(Cp)は、メチル基で置換されたCp基であり、エチルアルコールはOH基で置換されたエチル基である。
【0086】
また別の実施形態では、少なくとも1のR4 基が水素ではなく、あるいは、少なくとも2つのR4 基が水素ではなく、あるいは、少なくとも3つのR4 基が水素ではなく、あるいは、少なくとも4つのR4 基が水素ではなく、あるいは、全てのR4 基が水素ではない。
【0087】
この発明で特に有用な触媒化合物には
(1,3-ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7-テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3-ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、(1,3-ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3-ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1-メチル,3-プロピルlインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3-ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3-トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3-ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7-ビスt-ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9-メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9-トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ-ジヒドロシリル-ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ-ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3-プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、及び
μ-ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル
の1以上が含まれる。
【0088】
別の実施形態では、上記に挙げた触媒化合物のリストにおいて遷移金属の後に示した「ジメチル」を、アルモキサン活性剤とともに使用するために、ジハライド(例えばジクロリドまたはジフルオリド)、またはビスフェノキシドに置換する。
【0089】
<ビニル末端オリゴマーを生成させるための触媒化合物の活性剤、及び活性化方法>
本願では「助触媒」及び「活性剤」を同義で用いる。助触媒または活性剤とは、中性の触媒化合物を、触媒活性を有するカチオン性触媒化合物に転換させることにより、上記の触媒を活性化することができる化合物と定義される。活性剤の非限定的例示として、例えばアルモキサン、アルキルアルミニウム、中性またはイオン性のイオン化活性剤、及び従来型の助触媒が挙げられる。好ましい活性剤には通常、アルモキサン化合物、修飾されたアルモキサン化合物、及び、ひとつの反応性の σ-結合金属リガンドを引き抜いて、金属錯体をカチオン性にして電荷をバランスさせる非配位性アニオン、または弱配位性アニオンとなるイオン化アニオン前駆体が含まれる。
【0090】
ひとつの実施形態では、触媒組成物における活性剤として、アルモキサン活性剤を用いる。アルモキサンは一般に、-Al(R1)-O-サブユニット を有するオリゴマー性化合物であり、ここでR1はアルキル基である。アルモキサンの例として、メチルアルモキサン (MAO)、修飾されたメチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサン及びアソブチルアルモキサンが挙げられる。アルキルアルモキサン、及び修飾されたアルキルアルモキサンは触媒の活性剤に適しており、特に引き抜かれるリガンドがアルキル、ハライド、アルコキシド、またはアミドのときの活性剤として適している。異なるアルモキサン及び修飾されたアルモキサンの混合物を用いることもできる。外観が透明なメチルアルモキサンを用いることが好ましい。濁ったアルモキサンまたはゲル化したアルモキサンは、濾過して透明な溶液にするか、または濁った溶液をデカンテーションにより、透明なアルモキサンにすることができる。別のアルモキサンは、修飾されたメチルアルモキサン(MMAO)助触媒タイプ3Aである。(Akzo Chemicals, Inc社から商品名Modified Methylalumoxane type 3Aで販売され、特許番号US 5,041,584で保護されている。)
【0091】
活性剤がアルモキサン(修飾または非修飾)である場合、いくつかの実施形態では、触媒前駆体に対して(金属触媒サイト当り)5000倍モル過剰のAl/M比となる、最大量の活性剤量を用いる。活性剤と触媒前駆体との最小モル比は1:1である。別の好ましい範囲は最大500:1、最大200:1、または最大100:1、または1:1から50:1である。
【0092】
助活性剤(または掃去剤)として使用可能なアルキルアルミニウム、または有機アルミニウム化合物として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0093】
<イオン化活性剤>
この発明の範囲には、イオン化活性剤または化学量論的活性剤、例えばトリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスペルフルオロフェニルボロンメタロイド前駆体またはトリスペルフルオロナフチルボロンメタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボロンアニオン(WO 98/43983)、ホウ酸(U.S. Patent No. 5,942,459)、またはこれらの組み合わせ等の、中性またはイオン性非配位性アニオン(2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に定義されている)の使用が含まれる。また、この発明の範囲には、中性またはイオン性活性剤を単独、またはアルモキサンまたは修飾されたアルモキサン活性剤と組合わせて使用することが含まれる。好ましくは、活性剤は N,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート, N,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート, N,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート, トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート, トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート, トリフェニルカルベニウム テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート, または トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレートのいずれかである。本願で有用な他の活性剤については、2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663を参照されたい。
【0094】
典型的なNCA活性剤と触媒前駆体との比は、モル比1:1である。別の好ましいモル比の範囲として、0.1:1から100:1、または0.5:1 から200:1、または1:1から500:1、または1:1から1000:1が挙げられる。特に好ましい範囲は0.5:1から10:1、好ましくは1:1から5:1である。
【0095】
<官能化されたオリゴマーの物性>
別の実施形態では、本願の官能化された(任意に誘導体化された)プロピレンオリゴマー及びプロピレン-エチレンコオリゴマー(官能化されたコ(オリゴマー))は、2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に開示された方法を用いて1H NMRで測定したとき、全不飽和結合に対し10wt%未満のアリル末端基を有し、好ましくは8%未満、好ましくは6%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満有する。
【0096】
別の実施形態では、本願の官能化されたコ(オリゴマー)は、2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に開示された方法を用いて1H NMRで測定したとき、全不飽和結合に対し10wt%未満のアリル末端基を有し、好ましくは5%未満有し、好ましくは1%未満有し;1H NMRで測定したとき、全不飽和結合に対しビニリデン不飽和結合を10wt%未満有し、好ましくは5%未満有し、好ましくは1%未満有し;および/または2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に開示された方法を用いて1H NMRで測定したとき、全不飽和結合に対しビニレン不飽和結合を10wt%未満有し、好ましくは5%未満有し、好ましくは1%未満有する。不飽和結合を測定するために官能化、誘導体化、(未反応モノマーの)除去を行う際、水素または連鎖移動剤/停止剤を使用してはならない。
【0097】
別の実施形態では、官能化されたコ(オリゴマー)は実質的にプロピレン、官能基、及び任意にエチレンから成る。あるいは、C4 オレフィン(例えばイソブチレン、ブタジエン、n-ブテン)が実質的に官能化されたコ(オリゴマー)中に存在しない。あるいは、C4-20オレフィンが実質的に官能化されたコ(オリゴマー)中に存在しない。「実質的に存在しない」とは、オリゴマー/コ-オリゴマー中に1wt%以下、好ましくは0.5wt%以下、好ましくは0wt%存在することを意味する。
【0098】
別の実施形態では、(好ましくは、官能化及び任意の誘導体化の前の、オリゴマーまたはコ-オリゴマーのMnと比較して、Mnが15%を超えて変化しないと仮定して)1ポリマー鎖当りの官能基数が0.60 から1.2、または0.75から1.1である。1ポリマー鎖当りの官能基数= F/Mnは、次のようにして1H NMRで測定する:測定装置には120℃で使用可能な可変温度プロトン検出器を備えた400MHzVarianパルスフーリエ変換NMR分光計を用いる。サンプルを1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2 (TCE-d2)またはCDCl3に溶解させ、5mmガラス製NMRチューブに移す。(溶剤の水の含有量は10,000ppm未満であり、NMRスペクトルのケミカルシフトを変化させ得る不純物が含まれていない。)データ取得のパラメータは、パルス幅= 45o、取得遅延=8秒、及びスキャン回数=120である。ケミカルシフトは5.98ppmに設定した残留TCE-d1シグナル、及び7.24ppmに設定した残留CHCl3に対して決定する。VRAはケミカルシフトが約4.9 から5.1ppmビニルの正規化積算シグナル強度である。VDARは約4.65から4.85ppmのビニリデン共鳴と、約5.15 to 5.6ppmのビニレン共鳴の正規化積算シグナル強度である。IAは、約0から2.1ppm (IA)の間の、対象の脂肪族領域の正規化積算シグナル強度である。
ビニル基数/1000炭素 (VI)は、式:(VRA * 1000) / (IA +VRA + VDRA)から求める。同様に、ビニリデン基数及びビニレン基数1000炭素 (VE)は、式:(VDRA * 1000) / (IA +VRA + VDRA)から求める。VRA, VDRA 及びIAは、上記に定義したケミカルシフト領域における正規化積算シグナル強度である。Mnは1オリゴマー鎖中に1不飽和末端基があると仮定して計算する。Mn = (14,000 g/mol)/ (VI + VE)である。
【0099】
対象のオリゴマーを官能化した後、%官能化を求めるために、官能基の共鳴/ケミカルシフト領域を決定する必要がある。このために、きれいな官能化されたオリゴマーのサンプル(例えば未反応原料、不純物を除去するために洗浄する)について上記の1H NMR測定を繰り返す。特定の官能基のシフト領域の決定については、William Walter Simons著、Sadtler Research Laboratories (1972)出版の"The Sadtler Guide to NMR Spectra"を参照されたい。炭素1000個当りの官能基数 (F) = (FA *1000)/( FA + IA +VRA + VDRA)であり、ここでFA =官能基のケミカルシフト領域の正規化積算シグナル強度で、IA, VRA, VDRAは上記の通りである。
【0100】
オリゴマーのパーセント官能化= (F * 100)/(F+VI +VE)である。官能化されたオリゴマーの炭素1000個当りのビニル基数(VI*)、及び炭素1000個当りのビニリデン基数(VE*)は、1HNMRスペクトルにより、官能化されていないオリゴマーのVI及びVEと同様にして求めることができる。好ましくは、オリゴマーのパーセント官能化は75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上である。
【0101】
好ましい実施形態では、F + VI* +VE* > (0.50(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.60(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.70(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.75(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.80(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.85(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.90(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.95(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.98(VI+ VE)), 好ましくは F + VI* +VE* > (0.99(VI+ VE))である。
【0102】
別の実施形態では、官能化されたコ-(オリゴマー)は下式で表され:
【化11】

ここで少なくとも1のXが官能基であることを条件に、XはHまたは官能基である。
有用な官能基には、上記の官能基が含まれる。好ましい官能基にはヘテロ原子含有基が含まれ、ここでヘテロ原子にはSi, P, O, S, N, Br, Cl, F, I および/またはBr (好ましくはN, O, Clおよび/またはBr、好ましくは N および/または O)が含まれる。特に好ましい官能基は、酸, エステル, 酸無水物, 酸-エステル,オキシカルボニル, カルボニル, フォルミル, フォルミルカルボニル, ヒドロキシル, 及びアセチルハライドからなる群から選択される。特に好ましい官能基には、式-C(O)-X*で表される官能基が含まれ、ここでOはCに二重結合しており、X*は水素、窒素、ヒドロキシ、オキシヒドロカルビル(例えばエステル), 酸素,及び塩部位-OMのいずれかで、ここでMは例えばアルカリ, アルカリ土類, 遷移金属, 銅, 亜鉛等の金属、または、例えば.-O-Z等のオキシヘテロであって、Zがリン、ホウ素、イオウ等のヘテロ原子であり、このヘテロ原子がヒドロカルビル基またはオキシヒドロカルビル基で置換されるか、あるいは、2つのアシル基が(X*)を介して結合している。
【0103】
好ましい官能基には、モノ不飽和モノまたはジカルボン酸から誘導されたアシル基、及び例えばエステルや塩等の誘導体が含まれる。
【0104】
より詳しくは、モノまたはジカルボン酸物質、すなわち酸、酸無水物、塩または酸エステルで官能化されたオリゴマーが好ましく、このような官能化されたオリゴマーには、(i) C4からC10モノ不飽和ジカルボン酸(ここで、好ましくは(a) カルボキシル基はビシニル (すなわち、複数の炭素原子に隣接する位置にある)、及び(b) 隣接する炭素原子の少なくとも1、好ましくは双方が不飽和結合の一部に含まれている);(ii) 酸無水物やC1からC5アルコールから誘導された(i)のモノ-またはジエステル等の(i)の誘導体;または、(iii) C3 らC10 のモノ不飽和モノカルボン酸であって、炭素-炭素二重結合がカルボキシル基と共役している、すなわち構造式-C=C-C(O)- (ここでOはCに二重結合している)を有するモノ不飽和モノカルボン酸;または、(iv) C1からC5アルコールから誘導された(iii)のモノエステル等の(iii)の誘導体、から成る群から選択される少なくとも1のモノ不飽和カルボキシル性反応物との反応生成物のオリゴマーが含まれる。
【0105】
官能基に有用な好ましい不飽和酸物質として、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3-ヘキセン酸、10-デセン酸、2-ペンテン-1,3,5-トリカルボン酸、桂皮酸、及び例えばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル等の、これらの酸の低級アルキル(例えばC1からC4アルキル)酸エステルが挙げられる。不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が特に好ましく、特にマレイン酸、フマル酸、及びマレイン酸無水物が好ましい。
【0106】
好ましくは、官能化または誘導体化されたプロピレンオリゴマーまたはプロピレン-エチレンコ-オリゴマーの重量を基準として、少なくとも90wt%、または少なくとも95wt%、または少なくとも98 wt%の官能化または誘導体化されたプロピレンオリゴマーまたはプロピレン-エチレンコ-オリゴマーが、上記の各式の1または双方により表わされる。
【0107】
別の実施形態では、この発明は以下に関する。
1. プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、Mnが300から30,000 g/モル (1H NMRで測定)で、10から 90 mol%のポリプロピレン及び10から 90 mol%のエチレンを含有するプロピレンコ-オリゴマーとを接触させる工程を備え、
前記オリゴマーが(全不飽和結合に対し)少なくともX%のアリル末端基を有し、
1) コ-オリゴマー中に10から 60 モル%のエチレンが含有されるとき X = (-0.94(含有されるエチレンのモル%)+100)、
2) コ-オリゴマー中に60より多く70モル%未満のエチレンが含有されるとき X = 45、
3) コ-オリゴマー中に70から 90 モル%のエチレンが含有されるときX = (1.83*(含有されるエチレンのモル%)-83)である、
プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法。
2. 前記オリゴマーが、(全不飽和に対し)90%より多いアリル末端基を有する項1に記載の方法。
3. 前記オリゴマーが15から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)80%より多いアリル末端基とを有する項1に記載の方法。
4. 前記オリゴマーが30から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)70%より多いアリル末端基とを有する項1に記載の方法。
5. 前記オリゴマーが30から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)90%より多いアリル末端基とを有する項1に記載の方法。
6. プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、90 mol%より多いポリプロピレン及び10mol%未満のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも93%のアリル末端基を有し、Mn (1H NMRで測定)が約500から約20,000 g/molで、イソブチル末端基とアリルビニル基の比が0.8:1から1.35:1.0であり、アルミニウム含有量が1400ppm未満である、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
7. プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50mol%のポリプロピレン及び10から50mol%のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも90%のアリル末端基を有し、Mn(1H NMRで測定)が約150から約10,000 g/molで、イソブチル末端基とアリルビニル基の比が0.8:1から1.3:1.0であり、炭素数が4以上のモノマーユニットが0から3mol%含有されるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
8. プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50 mol%のポリプロピレン、0.1から45mol%のエチレン、及び 0.1から5mol%のC4からC12オレフィンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも87%(または少なくとも90%) のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000 g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
9. プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50mol%のプロピレン、0.1から45wt%のエチレン、及び 0.1から5mol%のジエンとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも90%のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.7:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
10. プロピレンホモオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、プロピレンから成るホモオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記プロピレンホモオリゴマーが少なくとも93% のアリル末端基を有し、Mn(1H NMRで測定)が約500から約20,000 g/molで、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.2:1.0で、アルミニウム含有量が1400ppm未満のホモオリゴマーである、プロピレンホモオリゴマーを官能化する方法。
11. 前記オリゴマーが25℃において液体である、項1から10のいずれか1項に記載の方法。
12. Mn が約500から約7500g/mol、Mwが1000から約20000g/mol、及びMzが約1400 (または1700) から約150000 g/molである、項1から11のいずれか1項に記載の方法。
13. 前記アルケンメタセシス触媒が式(I)で表され:
【化12】

ここで:Mは第 8族金属であり;
XとX1はそれぞれ独立したアニオン性リガンドであるか、またはXとX1が結合してジアニオン性基を形成し、あるいは非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとL1はそれぞれ独立した中性の電子供与体であり、LとL1 は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとXは結合して2座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
L1とX1は結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとR1はそれぞれ独立して水素、またはC1からC30 の置換または非置換のヒドロカルビル基であり;
R1とL1またはX1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとLまたはXは結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成する、項1から12のいずれか1項に記載の方法。
14. MはRuまたはOsであり;
XとX1はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルコキシドまたはトリフレートであり、またはXとX1は結合してジアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとL1は、それぞれ独立して、リンまたはN-複素環カルベンであり、LとL1 は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとXは結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
L1とX1は結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとR1はそれぞれ独立して水素、またはC1からC30 の置換または非置換のアルキル基、またはC4からC30の置換または非置換のアリール基であり;
R1とL1またはX1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;及び
RとLまたはXは結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成する、項13に記載の方法。
15. 前記アルケンメタセシス触媒が
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(t-ブトキシド)、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(ヘキサフルオロ-t-ブトキシド)、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(トリフルオロメタンスルホネート)ジメトキシエタン付加物、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデン[ラセミ-BIPHEN]モリブデン(VI)、
トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II)ジクロリド、
トリシクロヘキシルホスフィン[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン][1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-2-イリデン]ルテニウム(II)ジクロリド、
トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン][(フェニルチオ)メチレン]ルテニウム(II)ジクロリド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-3-フェニル-1H-インデン-1-イリデンルテニウム(II)ジクロリド、
1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン[2-(i-プロポキシ)-5-(N,N-ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレンルテニウム(II)ジクロリド、及び
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]-[2-[[(4-メチルフェニル)イミノ]メチル]-4-ニトロフェニル]-[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II)クロリド、
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム、
ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
(1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム,
1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ[3-(2-ピリジニル)プロピリデン]ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、及び
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(ベンジリデン)ビス(3-ブロモピリジン)ルテニウム(II)
のいずれか1以上である、項1から14のいずれか1項に記載の方法。
16. 前記ヘテロ原子を含有するアルケンが、式H2C=CH-R または R*-HC=CH-Rで表され、ここでR*及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1から30で少なくとも1のヘテロ原子を含有する基である、項1から15のいずれか1項に記載の方法。
17. 前記R*及びRは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含有する炭素数が1から30の基であり、少なくとも1のヘテロ原子が、Si, P, O, S, N, Cl, F, I 及びBrから成る群から選択される、項16に記載の方法。
18. 前記R*及びR基が、アルコール、アミド、ニトリル、イミン、ハロアルキル、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、フォルミル、フォルミルカルボニル、ヒドロキシル、及びアセチルハライドからなる群から選択される、項16に記載の方法。
19. 前記R* 及びR基が式-D-Yで表され、Dは炭素数が1から12のヒドロカルビル基であり、Yは窒素または酸素である、項16に記載の方法。
20. 前記へテロ原子含有アルケンが、アクリロニトリル、アクリルアミド、アリルアミン、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3-ヘキセン酸、10-デセン酸、2-ペンテン-1,3,5-トリカルボン酸、桂皮酸、及び例えばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル、5-ヘキセン-1-オール等の、これらの酸の低級アルキル(例えばC1からC4アルキル)酸エステルの内の1以上から成る、項1から15のいずれか1項に記載の方法。
21. 前記プロピレンコ-オリゴマーが、少なくとも4.5 x 103 g/mmol/hrの生産性を有するプロセスで製造され、温度35℃から150℃において、プロピレンと、0.1から70 mol%のエチレンと、0から約5wt%の水素とを、活性剤及び少なくとも1の下式で表されるメタロセン化合物の存在下で接触させる、項1から20のいずれか1項に記載の方法:
【化13】

ここでHfはハフニウムであり;
各Xは、それぞれ独立に、1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、またはこれらの組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドから成る群から選択され(あるいは2のXは融合環または環系の一部を形成してもよい);
各Qは、それぞれ独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC, N, P, Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、または少なくとも2のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも3のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも4のQは同一または異なるヘテロ原子である);
各R1はそれぞれ独立に、C1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、R1とR2は同一でも異なっていてもよく;
各R2は、それぞれ独立に、C1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、好ましくはR1及び/またはR2は分岐しておらず;
各R3は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも3のR3基は水素ではなく(または少なくとも4のR3基は水素ではなく、または5のR3基は水素ではない);
各R4はそれぞれ独立に、水素、または置換または非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基であり、好ましくは炭素数1から20、好ましくは炭素数1から8の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、置換されたフェニル(例えばプロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換されたシリル(例えばCH2SiR'、ここでR'は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の、C1からC12のヒドロカルビル),であり;
R5は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
R6は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
各R7基は、それぞれ独立に、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも7のR7基が水素ではなく、または少なくとも8のR7基が水素ではなく、または全てのR7基が水素ではなく(好ましくは式IVの各Cp環の3及び4位のR7基が水素ではない);
Nは窒素であり;
Tは架橋基であり、好ましくはSiまたはGeで、好ましくはSiであり;
各Ra基は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、フェニル、ベンジル、置換されたベンジル等のC1からC20のヒドロカルビル基であり、2のRa基は、芳香族環、一部飽和した環または融合環、あるいは飽和した環または融合環等の環構造を形成可能であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、芳香族環、一部飽和した環、飽和した環の融合環または多環式融合環を形成することが条件である。
22. 前記プロピレンホモオリゴマーが、少なくとも4.5 x 106 g/mmol/hrの生産性を有する均一なプロセスで製造され、温度30℃から120℃において、プロピレンと、0 mol%のコモノマーと、0から約5wt%の水素とを、活性剤及び少なくとも1の下式で表されるメタロセン化合物の存在下で接触させる、項1から20のいずれか1項に記載の方法:
【化14】

ここでHfはハフニウムであり;
各Xは、それぞれ独立に、1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、またはこれらの組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドから成る群から選択され(あるいは2のXは融合環または環系の一部を形成してもよい);
各Qは、それぞれ独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC, N, P, Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、または少なくとも2のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも3のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも4のQは同一または異なるヘテロ原子である);
各R1は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、R1とR2は同一でも異なっていてもよく;
各R2は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、好ましくはR1及び/またはR2は分岐しておらず;
各R3は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、1) 5のR3基の全てがメチル基であり、または2) 4のR3基が水素ではなく、かつ少なくとも1のR3基はC2からC8の置換または非置換のヒドロカルビル基であり(好ましくは少なくとも2,3,4,または5のR3基が置換または非置換のヒドロカルビル基である;
各R4は、それぞれ独立に、水素、または置換または非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基であり、好ましくは炭素数1から20、好ましくは炭素数1から8の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、置換されたフェニル(例えばプロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換されたシリル(例えばCH2SiR'、ここでR'は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の、C1からC12のヒドロカルビル),であり;
R5は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
R6は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
各R7基は、それぞれ独立に、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも7のR7基が水素ではなく、または少なくとも8のR7基が水素ではなく、または全てのR7基が水素ではなく(好ましくは式IVの各Cp環の3及び4位のR7基が水素ではない);
Nは窒素であり;
Tは架橋基であり、好ましくはSiまたはGeで、好ましくはSiであり;
各Ra基はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、フェニル、ベンジル、置換されたベンジル等のC1からC20のヒドロカルビル基であり、2のRa基は、芳香族環、一部飽和した環または融合環、あるいは飽和した環または融合環等の環構造を形成可能であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、芳香族環、一部飽和した環、飽和した環の融合環または多環式融合環を形成することが条件である。
23. 前記活性剤が1以上の非配位性アニオンである、項21または22に記載の方法。
24. 前記方法が連続的製造方法であり、前記連続的製造方法に、モノマーと触媒システムを反応器へ導入してビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマーを含む反応流出物を生成させる工程と、任意に溶媒、未反応モノマー、および/または他の揮発物を除去してビニル末端ポリオレフィン(例えば本願に開示する物)を得る工程と、ビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマー、アルケンメタセシス触媒、及びへテロ原子を含むアルケン(本願に開示する物)を反応ゾーンへ導入して官能化されたビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマーを得る工程とが含まれる、項1から23のいずれか1項に記載の方法。
25. 前記コ-オリゴマーがC4 オレフィンを80wt%未満含有する、項1から24のいずれか1項に記載の方法。
26. ビニル含有物質を官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、1以上のビニル含有物質、好ましくはビニル含有ポリマー、好ましくはビニル含有ポリオレフィンとを接触させる工程を含む方法。
27. 前記アルケンメタセシス触媒が、項13,14,または15のいずれかに記載のアルケンメタセシス触媒である、項26に記載の方法。
28. 前記ヘテロ原子を含有するアルケンが、項16, 17, 18, 19または 20のいずれかに記載のヘテロ原子を含有するアルケンである、項26に記載の方法。
【0108】
<実施例>
<試験方法及び材料>
生成物を以下の方法により、1H NMR及びDSCで分析した。
【0109】
1H NMR>
1H NMRのデータは、1H周波数が少なくとも400MHzのVarianスペクトロメータを用い、5mmのプローブ中で、室温または120℃において測定した(請求項には120℃が適用される)。データは、最大パルス幅45°、パルス間隔8秒、及びシグナル平均化120トランジエントにより測定した。スペクトルのシグナルを積算し、炭素1000個当りの不飽和のタイプの数を、異なる基毎に1000を掛け、その結果を炭素の総数で割ることにより計算した。
【0110】
<DSC>
融解温度(Tm)、及びガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2920 DSC等の市販の示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。典型的には、室温で少なくとも48時間保管した6から10mgのサンプルを、アルミニウム容器に封入し、室温で測定装置に取り付ける。サンプルを25℃の温度に平衡させ、冷却速度10℃/分で-80℃まで冷却する。サンプルを-80℃に5分間置いた後、昇温速度10℃/分で25℃まで昇温する。ガラス転移温度は、加熱サイクルから求める。または、サンプルを25℃の温度に平衡させ、加熱速度10℃/分で150℃まで昇温する。吸熱溶融過程が存在する場合、溶融過程の始点とピーク温度から求めることができる。特に断りの無い限り、本願に示した融解温度は第1加熱におけるピーク融解温度である。複数のピークを示すサンプルの場合、融点(または融解温度)は、DSC融解曲線のピーク融解温度(すなわち、測定温度範囲において最大の吸熱挙動に係る温度)と定義される。
【0111】
特に断りの無い限り、全ての分子量は数平均分子量である。全ての分子量はg/molで表示する。
【0112】
この実施例では、以下の略号を用いる。
触媒Aは、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II) ジクロリド(CAS# [254972-49-1])である。
触媒Bは、トリシクロヘキシルホスフィン[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン][1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-2-イリデン] ルテニウム(II) ジクロリド(CAS# [536724-67-1])である。
MAは、メチルアクリレートである。
aPPは、アタクチックポリプロピレン、iPPは、アイソタクチックポリプロピレン、EPは、エチレン-プロピレンコポリマーである。
TCEは、1,1,2,2-テトラクロロエタンである。
hは時間、minは分である。
Mn1H NMR分析で求められる数平均分子量であり、2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663の実施例に開示された方法を用いて脂肪族領域とオレフィン領域の積算値を対比することにより求めることができる。
【0113】
下記の各実施例では、ビニル含有反応原料を用いる。これらの反応原料を表1に示す。PE1は、Fluka社から購入した1-オクタデセン (≧ 95.0%の不飽和度)である。その他のビニル末端ポリオレフィンは、2008年6月20日出願のUSSN 12/143,663に開示した方法によって調製した。
【表1】

【0114】
<実施例1:1-オクタデセンとメチルアクリレートのクロスメタセシス反応>
1-オクタデセン(2.00 mL, 6.24 mmol)と、MA(1.13 mL, 12.5 mmol)とを、ヘキセン(14 mL) 及びベンゼン(2 mL)と混合した。均一な混合物を、73℃に保った加熱プレート上で、穏やかに沸騰するまで加熱した。次に、触媒B (1.31 mL, 0.0312 mmol)の ベンゼン溶液を添加した。数分以内に、激しいガスの発生が認められた。2時間後、窒素気流下でエバポレーションして揮発成分を除去した。得られた褐色懸濁液にペンタン(12 mL)を添加し、この混合物を、ペンタンでスラリー化した中性アルミナを入れた短いカラムに通した。このカラムを、追加のペンタン(30 mL)で洗浄した。有機物の混合物をエバポレートし、減圧下で75℃において2時間乾燥させて、低融点、透明で、エステルが結合した生成物を得た。収量:1.67 g, 86.2%。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体 (94:6 の比)の混合物として得られたことが示された。
【0115】
<実施例2:ポリプロピレンとメチルアクリレートのクロスメタセシス反応>
アタクチックポリプロピレンaPP1 (2.03 g,ビニル含有量約7.78 mmol), MA (1.40 mL, 15.6 mmol) 及びヘキサン (12 mL)を混合し、73℃に保った加熱プレート上で、穏やかに沸騰するまで加熱した。次に、触媒B (1.63 mL, 0.0389 mmol)の ベンゼン溶液を添加した。激しいガスの発生が認められた。2時間後、窒素気流下でエバポレーションして揮発成分を除去した。得られた褐色懸濁液にペンタン(15mL)を添加し、この混合物を、ペンタンでスラリー化した中性アルミナを入れた短いカラムに通した。このカラムを、追加のペンタン(30 mL)で洗浄した。有機物の混合物をエバポレートし、減圧下で75℃において1時間乾燥させて、淡黄色オイル状の、エステルが結合した生成物を得た。収量:1.55 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体 (94:6 の比)の混合物として得られたことが示された。
【0116】
<実施例3:ポリプロピレンとメチルアクリレートのクロスメタセシス反応>
アタクチックポリプロピレンaPP2 (2.27 g,ビニル含有量約2.40 mmol), MA (0.433 mL, 4.80 mmol) 及びヘキサン (12 mL)を混合し、73℃に保った加熱プレート上で、穏やかに沸騰するまで加熱した。次に、触媒B (0.673 mL, 0.0160 mmol)の ベンゼン溶液を添加した。ガスの発生が認められた。2.75時間後、窒素気流下でエバポレーションして揮発成分を除去した。得られた褐色懸濁液にペンタン(15mL)を添加し、この混合物を、ペンタンでスラリー化した中性アルミナを入れた短いカラムに通した。このカラムを、追加のペンタン(30 mL)で洗浄した。有機物の混合物をエバポレートし、減圧下で75℃において1夜乾燥させて、極めて薄い淡黄色オイル状の、エステルが結合した生成物を得た。収量:2.13g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体 (94:6 の比)の混合物として得られたことが示された。
【0117】
<実施例4:ポリプロピレンとメチルアクリレートのクロスメタセシス反応>
アタクチックポリプロピレンaPP3 (2.48 g,ビニル含有量約0.694 mmol), MA (0.250 mL, 2.78 mmol) 及びヘキサン (12 mL)を混合し、73℃に保った加熱プレート上で、穏やかに沸騰するまで加熱した。次に、触媒B (0.292 mL, 0.00694 mmol)の ベンゼン溶液を添加した。3.5時間後、窒素気流下でエバポレーションして揮発成分を除去した。得られた褐色懸濁液にペンタン(15mL)を添加し、この混合物を、ペンタンでスラリー化した中性アルミナを入れた短いカラムに通した。このカラムを、追加のペンタン(30 mL)で洗浄した。有機物の混合物をエバポレートし、減圧下で75℃において1夜乾燥させて、極めて薄い淡黄色オイル状の、エステルが結合した生成物を得た。収量:2.32 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体 (93:7 の比)の混合物として得られたことが示された。
【0118】
<実施例5:エチレン-プロピレンコポリマーのメチルアクリレートによるクロスメタセシス反応>
エチレン-プロピレンコポリマーEP1 (2.44 g,ビニル含有量約4.98 mmol), MA (0.898 mL, 9.96 mmol) 及びヘキサン (10 mL)を混合し、73℃に保った加熱プレート上で、穏やかに沸騰するまで加熱した。次に、触媒B (1.05 mL, 0.0249 mmol)の 0.0238 Mベンゼン溶液を添加した。直ちにガスの発生が認められた。16時間後、窒素気流下でエバポレーションして揮発成分を除去した。得られた褐色懸濁液にペンタン(10mL)を添加し、この混合物を、ペンタンでスラリー化した中性アルミナを入れた短いカラムに通した。このカラムを、追加のペンタン(20 mL)で洗浄した。有機物の混合物をエバポレートし、減圧下で75℃において2時間乾燥させて、極めて薄い淡黄色オイル状の、エステルが結合した生成物を得た。収量:2.36 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体 (93:7 の比)の混合物として得られたことが示された。データを表2に示す。
【0119】
<実施例6:エチレン-プロピレンコポリマーのメチルアクリレートによるクロスメタセシス反応>
エチレン-プロピレンコポリマーEP2 (2.26 g,ビニル含有量約1.02 mmol)と、トルエン(8 mL)とを混合し、加熱して10分間沸騰させ、均一な溶液にした。この混合物を少し冷却し、ヘキサン (3 mL)を添加した。溶液に濁りが生じた。この混合物を73℃に保った加熱プレート上に置いた。次にメチルアクリレート(0.185 mL, 2.05 mmol)を添加し、続いて触媒B (1.60 mL, 0.0102 mmol)の 6.42 mMトルエン溶液を添加した。ガスの発生が認められた。3.5時間後、この混合物をメタノール(70 mL)中に注ぎ、激しく撹拌した。生成した白色沈殿物をフリットディスク上に単離し、メタノールで洗浄した(2 x 30 mL)。生成物を減圧下で一夜乾燥させた。収量:2.13 g。1H NMRスペクトルのデータから、出発原料のEP2の大部分が転換され(ビニル含有量13%)、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体の混合物として得られたことが示された。データを表2に示す。
【0120】
<実施例7:ポリプロピレンのメチルアクリレートによるクロスメタセシス反応>
アイソタクチックポリプロピレンiPP1 (1.26 g,ビニル含有量約0.325 mmol)と、トルエン(8 mL)とを混合し、加熱して10分間沸騰させ、均一な溶液にした。この混合物を少し冷却し、ヘキサン (3 mL)を添加した。この混合物を73℃に保った加熱プレート上に置いた。次にメチルアクリレート(0.100 mL, 1.11 mmol)を添加し、続いて触媒B (0.506 mL, 0.00325 mmol)の 6.42 mMトルエン溶液を添加した。3.5時間後、この混合物をメタノール(70 mL)中に注ぎ、激しく撹拌した。生成した白色沈殿物をフリットディスク上に単離し、メタノールで洗浄した(2 x 30 mL)。生成物を減圧下で一夜乾燥させた。収量:1.17 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体の混合物として得られたことが示された。若干のビニリデン含有出発物質が反応せずに残留した。その量は、1H NMRにより、得られた生成物の12.9%であることが分かった。データを表2に示す。
【0121】
<実施例8:ポリプロピレンのメチルアクリレートによるクロスメタセシス反応>
アイソタクチックポリプロピレンiPP2 (0.738 g,ビニル含有量約0.0337 mmol)と、トルエン(8 mL)とを混合し、加熱して10分間沸騰させ、均一な溶液にした。この混合物を少し冷却し、ヘキサン (3 mL)を添加した。この混合物を73℃に保った加熱プレート上に置いた。次にメチルアクリレート(0.100 mL, 1.11 mmol)を添加し、続いて触媒B (0.250 mL, 0.00161 mmol)の 6.42 mMトルエン溶液を添加した。3.5時間後、この混合物をメタノール(70 mL)中に注ぎ、激しく撹拌した。生成した繊維状白色沈殿物を単離し、メタノールで洗浄した(2 x 30 mL)。生成物を減圧下で一夜乾燥させた。収量:0.72 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望のエステルが結合した生成物が、E 及び Z異性体の混合物として得られたことが示された。データを表2に示す。
【0122】
<実施例9:エチレン-プロピレンコポリマーの5-ヘキセン-1-オールによるクロスメタセシス反応>
エチレン-プロピレンコポリマーEP2 (1.65 g,ビニル含有量約0.748 mmol)と、トルエン(10mL)とを混合し、加熱して10分間沸騰させ、均一な溶液にした。この混合物を60℃まで冷却した。溶液に濁りが生じた。次に5-ヘキセン-1-オール(0.900 mL, 8.99 mmol)と、触媒A (0.0288 g, 0.0304 mmol)のトルエン溶液(2 mL)を添加した。18時間後、この混合物をメタノール(50 mL)中に注ぎ、激しく撹拌した。生成した白色沈殿物をフリットディスク上に単離し、メタノールで洗浄した(2 x 15 mL)。生成物を減圧下で一夜乾燥させた。収量:1.54 g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で、所望の生成物が得られたことが示された。データを表2に示す。
【0123】
<実施例9:1-オクタデセンとアクリル酸のクロスメタセシス反応>
1-オクタデセン(3.26 g, 12.9 mmol)と、アクリル酸(1.12 g, 15.5 mmol)と、CH2Cl2 (6 mL)とを混合した。この混合物を40℃まで加熱した。次に、触媒A (0.0611 g, 0.0645 mmol)のCH2Cl2溶液(2 mL) を添加した。数分後、ガスの発生が認められた。21時間後、この混合物にメタノール(80mL)を添加し、十分撹拌した。この混合物を-15℃まで冷却して2時間置き、次に、結晶性生成物をフリットディスク上に単離し、メタノールで洗浄した(2 x 15 mL)。白色固形物を減圧下で乾燥した。収量3.30g, 86.3%。1H NMRスペクトルのデータから、E異性体と思われる単一の異性体が観察され、単離された生成物は所望の酸が結合した生成物であることが示された。
【0124】
<実施例11:ポリプロピレンのアクリル酸によるクロスメタセシス反応>
アタクチックポリプロピレンaPP2 (1.82g,ビニル含有量約1.93mmol)と、アクリル酸(0.194g, 2.70mmol)と、CH2Cl2 (8mL) とを混合した。この混合物を40℃まで加熱した。次に、触媒A (0.0166g, 0.0175mmol)のCH2Cl2溶液(2mL) を添加した。約16時間後、濃い赤色オイルが生成した。ここにペンタン(20mL)を添加して、十分撹拌した。得られた赤橙色懸濁液を短いシリカゲルのカラム、次に中性アルミナのカラムに通した。この有機物の混合物を濾過し、エバポレートして、ほぼ無色のオイルを得た。このオイルを、減圧下でさらに乾燥させた。収量:0.71g。1H NMRスペクトルのデータから、ほぼ完全な転換率(< 5%のビニル含有量)で所望の酸が結合した生成物が得られ、iPP2のホモカップリングの結果と思われる、少量の(約5%)ビニレン副生物が認められた。
【表2】

【0125】
本願に引用した文献は、先行技術文献及び/又は試験方法も含め、本願に抵触しない範囲で、本願に参照として組み込まれる。この発明について、実施形態及び実施例に基づいて説明したが、この発明の要旨から逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。従って、この発明の範囲は実施形態及び実施例に限定されない。また、オーストラリア法の適用に当っては、原文の"comprising"は"including"と同義と解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、Mnが300から30,000g/モル(1H NMRで測定)で、10から90mol%のポリプロピレン及び10から90mol%のエチレンを含有するプロピレンコ-オリゴマーとを接触させる工程を備え、
前記オリゴマーが(全不飽和結合に対し)少なくともX%のアリル末端基を有し、
1) コ-オリゴマー中に10から60モル%のエチレンが含有されるとき X = (-0.94(含有されるエチレンのモル%)+100)、
2) コ-オリゴマー中に60より多く70モル%未満のエチレンが含有されるとき X = 45、
3) コ-オリゴマー中に70から90モル%のエチレンが含有されるときX = (1.83*(含有されるエチレンのモル%)-83)である、
プロピレンコ-オリゴマーを官能化する方法。
【請求項2】
前記オリゴマーが、(全不飽和に対し)90%より多いアリル末端基を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴマーが15から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)80%より多いアリル末端基とを有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オリゴマーが30から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)70%より多いアリル末端基とを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記オリゴマーが30から95wt%のエチレンと、(全不飽和に対し)90%より多いアリル末端基とを有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、90mol%より多いポリプロピレン及び10mol%未満のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも93%のアリル末端基を有し、Mn(1H NMRで測定)が約500から約20,000g/molで、イソブチル末端基とアリルビニル基の比が0.8:1から1.35:1.0であり、アルミニウム含有量が1400ppm未満である、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
【請求項7】
プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50mol%のポリプロピレン及び10から50mol%のエチレンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも90%のアリル末端基を有し、Mn(1H NMRで測定)が約150から約10,000g/molで、イソブチル末端基とアリルビニル基の比が0.8:1から1.3:1.0であり、炭素数が4以上のモノマーユニットが0から3mol%含有されるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
【請求項8】
プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50mol%のポリプロピレン、0.1から45mol%のエチレン、及び0.1から5mol%のC4からC12オレフィンを含有するプロピレンオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも87%(または少なくとも90%)のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
【請求項9】
プロピレンオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、少なくとも50mol%のプロピレン、0.1から45wt%のエチレン、及び0.1から5mol%のジエンとを接触させる工程を備え、前記オリゴマーが少なくとも90%のアリル末端基を有し、Mnが約150から約10,000g/mol(1H NMRで測定)で、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.7:1から1.35:1.0であるプロピレンオリゴマーである、プロピレンオリゴマーを官能化する方法。
【請求項10】
プロピレンホモオリゴマーを官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子を含有するアルケンと、プロピレンから成るホモオリゴマーとを接触させる工程を備え、前記プロピレンホモオリゴマーが少なくとも93%のアリル末端基を有し、Mn(1H NMRで測定)が約500から約20,000g/molで、イソブチレン末端基とアリルビニル基との比が0.8:1から1.2:1.0で、アルミニウム含有量が1400ppm未満のホモオリゴマーである、プロピレンホモオリゴマーを官能化する方法。
【請求項11】
前記オリゴマーが25℃において液体である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
Mnが約500から約7500g/mol、Mwが1000から約20000g/mol、及びMzが約1400(または1700)から約150000g/molである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルケンメタセシス触媒が式(I)で表され:
【化1】

ここで:Mは第8族金属であり;
XとX1はそれぞれ独立したアニオン性リガンドであるか、またはXとX1は結合してジアニオン性基を形成し、あるいは非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとL1はそれぞれ独立した中性の電子供与体であり、LとL1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとXは結合して2座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
L1とX1は結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとR1はそれぞれ独立して水素、またはC1からC30の置換または非置換のヒドロカルビル基であり;
R1とL1またはX1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとLまたはXは結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
MはRuまたはOsであり;
XとX1はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルコキシドまたはトリフレートであり、またはXとX1は結合してジアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとL1は、それぞれ独立して、リンまたはN-複素環カルベンであり、LとL1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
LとXは結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
L1とX1は結合して多座配位子モノアニオン性基を形成し、非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;
RとR1はそれぞれ独立して水素、またはC1からC30の置換または非置換のアルキル基、またはC4からC30の置換または非置換のアリール基であり;
R1とL1またはX1は結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成し;及び
RとLまたはXは結合して非水素原子最大30個の単環を形成するか、または非水素原子最大30個の多核環系を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルケンメタセシス触媒が
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(t-ブトキシド)、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(ヘキサフルオロ-t-ブトキシド)、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(トリフルオロメタンスルホネート)ジメトキシエタン付加物、
2,6-ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデン[ラセミ-BIPHEN]モリブデン(VI)、
トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II)ジクロリド、
トリシクロヘキシルホスフィン[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン][1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-2-イリデン]ルテニウム(II)ジクロリド、
トリシクロヘキシルホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン][(フェニルチオ)メチレン]ルテニウム(II)ジクロリド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-3-フェニル-1H-インデン-1-イリデンルテニウム(II)ジクロリド、
1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン[2-(i-プロポキシ)-5-(N,N-ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレンルテニウム(II)ジクロリド、及び
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]-[2-[[(4-メチルフェニル)イミノ]メチル]-4-ニトロフェニル]-[3-フェニル-1H-インデン-1-イリデン]ルテニウム(II)クロリド、
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム、
ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
(1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ[3-(2-ピリジニル)プロピリデン]ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2-メチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、及び
[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(ベンジリデン)ビス(3-ブロモピリジン)ルテニウム(II)
のいずれか1以上である、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ヘテロ原子を含有するアルケンが、式H2C=CH-RまたはR*-HC=CH-Rで表され、ここでR*及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1から30で少なくとも1のヘテロ原子を含有する基である、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記R*及びRは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含有する炭素数が1から30の基であり、少なくとも1のヘテロ原子が、Si, P, O, S, N, Cl, F, I 及びBrから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記R*及びR基が、アルコール、アミド、ニトリル、イミン、ハロアルキル、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、フォルミル、フォルミルカルボニル、ヒドロキシル、及びアセチルハライドからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記R*及びR基が式-D-Nで表され、Dは炭素数が1から12のヒドロカルビル基であり、Yは窒素または酸素である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記へテロ原子含有アルケンが、アクリロニトリル、アクリルアミド、アリルアミン、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3-ヘキセン酸、10-デセン酸、2-ペンテン-1,3,5-トリカルボン酸、桂皮酸、及び例えばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル、5-ヘキセン-1-オール等の、これらの酸の低級アルキル(例えばC1からC4アルキル)酸エステルの内の1以上から成る、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記プロピレンコ-オリゴマーが、少なくとも4.5x103g/mmol/hrの生産性を有するプロセスで製造され、温度35℃から150℃において、プロピレンと、0.1から70mol%のエチレンと、0から約5wt%の水素とを、活性剤及び少なくとも1の下式で表されるメタロセン化合物の存在下で接触させる、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法:
【化2】

ここでHfはハフニウムであり;
各Xは、それぞれ独立に、1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、またはこれらの組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドから成る群から選択され(あるいは2のXは融合環または環系の一部を形成してもよい);
各Qは、それぞれ独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC, N, P, Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、または少なくとも2のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも3のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも4のQは同一または異なるヘテロ原子である);
各R1はそれぞれ独立に、C1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、R1とR2は同一でも異なっていてもよく;
各R2は、それぞれ独立に、C1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、好ましくはR1及び/またはR2は分岐しておらず;
各R3は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも3のR3基は水素ではなく(または少なくとも4のR3基は水素ではなく、または5のR3基は水素ではない);
各R4はそれぞれ独立に、水素、または置換または非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基であり、好ましくは炭素数1から20、好ましくは炭素数1から8の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、置換されたフェニル(例えばプロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換されたシリル(例えばCH2SiR'、ここでR'は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の、C1からC12のヒドロカルビル),であり;
R5は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
R6は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
各R7基は、それぞれ独立に、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも7のR7基が水素ではなく、または少なくとも8のR7基が水素ではなく、または全てのR7基が水素ではなく(好ましくは式IVの各Cp環の3及び4位のR7基が水素ではない);
Nは窒素であり;
Tは架橋基であり、好ましくはSiまたはGeで、好ましくはSiであり;
各Ra基は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、フェニル、ベンジル、置換されたベンジル等のC1からC20のヒドロカルビル基であり、2のRa基は、芳香族環、一部飽和した環または融合環、あるいは飽和した環または融合環等の環構造を形成可能であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、芳香族環、一部飽和した環、飽和した環の融合環または多環式融合環を形成することが条件である。
【請求項22】
前記プロピレンホモオリゴマーが、少なくとも4.5x106g/mmol/hrの生産性を有する均一なプロセスで製造され、温度30℃から120℃において、プロピレンと、0mol%のコモノマーと、0から約5wt%の水素とを、活性剤及び少なくとも1の下式で表されるメタロセン化合物の存在下で接触させる、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法:
【化3】

ここでHfはハフニウムであり;
各Xは、それぞれ独立に、1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、またはこれらの組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドから成る群から選択され(あるいは2のXは融合環または環系の一部を形成してもよい);
各Qは、それぞれ独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC, N, P, Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、または少なくとも2のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも3のQは同一または異なるヘテロ原子であり、または少なくとも4のQは同一または異なるヘテロ原子である);
各R1は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、R1とR2は同一でも異なっていてもよく;
各R2は、それぞれ独立に、水素またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、好ましくはR1及び/またはR2は分岐しておらず;
各R3は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1から8、好ましくは炭素数1から6の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、1) 5のR3基の全てがメチル基であり、または2) 4のR3基が水素ではなく、かつ少なくとも1のR3基はC2からC8の置換または非置換のヒドロカルビル基であり(好ましくは少なくとも2,3,4,または5のR3基が置換または非置換のヒドロカルビル基である;
各R4は、それぞれ独立に、水素、または置換または非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基であり、好ましくは炭素数1から20、好ましくは炭素数1から8の置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換または非置換のヒドロカルビル基、好ましくはC1からC8の置換または非置換の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、置換されたフェニル(例えばプロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換されたシリル(例えばCH2SiR'、ここでR'は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の、C1からC12のヒドロカルビル),であり;
R5は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
R6は、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり;
各R7基は、それぞれ独立に、水素、またはC1からC8のアルキル基、好ましくはC1からC8の直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、ただし、少なくとも7のR7基が水素ではなく、または少なくとも8のR7基が水素ではなく、または全てのR7基が水素ではなく(好ましくは式IVの各Cp環の3及び4位のR7基が水素ではない);
Nは窒素であり;
Tは架橋基であり、好ましくはSiまたはGeで、好ましくはSiであり;
各Ra基はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、フェニル、ベンジル、置換されたベンジル等のC1からC20のヒドロカルビル基であり、2のRa基は、芳香族環、一部飽和した環または融合環、あるいは飽和した環または融合環等の環構造を形成可能であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、芳香族環、一部飽和した環、飽和した環の融合環または多環式融合環を形成することが条件である。
【請求項23】
前記活性剤が1以上の非配位性アニオンである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が連続的製造方法であり、前記連続的製造方法に、モノマーと触媒システムを反応器へ導入してビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマーを含む反応流出物を生成させる工程と、任意に溶媒、未反応モノマー、および/または他の揮発物を除去してビニル末端ポリオレフィン(例えば本願に開示する物)を得る工程と、ビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマー、アルケンメタセシス触媒、及びへテロ原子を含むアルケン(本願に開示する物)を反応ゾーンへ導入して官能化されたビニル末端プロピレンコ-オリゴマーまたはビニル末端プロピレンホモオリゴマーを得る工程とが含まれる、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ビニル含有物質を官能化する方法であって、アルケンメタセシス触媒と、ヘテロ原子含有アルケンと、1以上のビニル含有物質とを接触させる方法。

【公表番号】特表2011−525213(P2011−525213A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514844(P2011−514844)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047953
【国際公開番号】WO2009/155517
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】