説明

メタロセン重合触媒とチーグラー・ナッタ重合触媒との間の移行方法

重合触媒系間、好ましくは互いに非適合性の触媒系間の移行方法。特に、この方法は、メタロセン触媒系を用いるオレフィン重合から伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を用いるオレフィン重合への移行に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合触媒系間、好ましくは互いに非適合性の触媒系間の移行方法に関する。特定的には、本発明は、メタロセン触媒系を利用するオレフィン重合反応とチーグラー・ナッタ触媒系を利用するオレフィン重合反応との間の移行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業用反応器中におけるオレフィンポリマーの生産の際に、ある特性及び特徴を有するポリマーを製造する1つのタイプの触媒系から化学的及び/又は物理的属性が異なるポリマーを製造することができる別の触媒系に移行することがしばしば必要となる。例えば同様のチーグラー・ナッタ触媒系間や適合性の触媒系間の移行は、一般的に容易に行われる。しかしながら、触媒系が非適合性である場合や異なるタイプのものである場合には、プロセスが複雑になるのが一般的である。例えば、チーグラー・ナッタ触媒系及びメタロセン触媒系のような2種の非適合性触媒系間の移行の場合には、チーグラー・ナッタ触媒系の成分の内のいくつかがメタロセン触媒系に対する毒としての働きをすることがわかっている。従って、チーグラー・ナッタ触媒系の成分はメタロセン触媒系が重合を促進するのを妨害する。
【0003】
過去においては、非適合性触媒間の効率的な移行を達成するために、第1触媒を用いたオレフィン重合プロセスを当技術分野において周知の様々な技術によって停止させていた。次いで反応器を空にし、再装填し、第2触媒系を反応器に導入していた。かかる触媒交換は、移行の際に長時間の反応器の停止が必要であるために、時間がかかり且つ経費がかかる。
【特許文献1】米国特許第5442019号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重合反応を停止させ、反応器を空にして元の触媒系を反応器から除去し、別の触媒系を用いて重合反応を再開させるということを必要とせずに、非適合性触媒間で移行する方法があれば、非常に有利であろう。さらに、その移行方法の際に製造されるオフグレード材料の量を減らし、移行時間を短縮し、移行方法の頑強さ及び安定性を高め、種床を装填するために反応器を開く必要性を回避することができる移行方法であれば、有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、第1触媒と第2触媒とが非適合性である場合の第1触媒の存在下で実施される第1の重合反応から第2触媒の存在下で実施される第2の重合反応への移行方法に関する。この方法は、反応器への第1触媒(この第1触媒はメタロセン触媒を含む)の導入をやめ;第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、水、オレイン酸及びアンモニアより成る群から選択される少なくとも1種の奪活剤(不活性化剤)をこの反応器に導入して分散させ;この反応器を不活性ガスでパージして未消費奪活剤を反応器から実質的に除去し;そして、この反応器に第2触媒(この第2触媒は通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む)を導入する:ことを含む。
【0006】
本発明の好ましい具体例に従えば、重合プロセスは、ポリマー粒子の流動床を含有させた気相流動床反応器の重合ゾーンにモノマーガスを本質的に連続的に通すことによって実施される。
【0007】
別の好ましい具体例に従えば、静電気の蓄積、温度勾配、床高さの変動及び、1つの触媒系から別の触媒系に移行する時に(特に第2触媒系が第1触媒系と非適合性である場合に)通常遭遇するその他の不安定性を減らす助けをするために、移行剤(transition agent)を反応器に導入する。さらにより一層好ましくは、この移行剤は、アルコキシル化アミン及びアルコキシル化アミドより成る群から選択される。さらにより一層好ましくは、移行剤は、エトキシル化ステアリルアミンであり、これは随意に固体材料上に担持されていてもよい。
【0008】
本発明の別の好ましい具体例において、前記奪活剤は、第1触媒中の活性金属のグラム原子数を基準としてほぼ1モル当量又はそれより多い量の酸素を含む。
【0009】
本発明の別の好ましい具体例においては、奪活剤を導入して分散させる工程及び反応器を不活性ガスでパージする工程を1回以上繰り返す。用いられる奪活剤は、重合反応を恒久的に停止させる能力を様々な度合いで有し、「可逆的」又は「不可逆的」と称されることもある。これらの用語は米国特許第5442019号明細書において用いられており、可逆的及び不可逆的触媒キラー(殺触媒剤)と称される。その開示の全体を本明細書に取り入れる。反応器に可逆的奪活剤を導入し、次いで不可逆的奪活剤を導入することも、本発明の範囲内である。
【0010】
本発明のさらに別の好ましい具体例において、本方法は、第2触媒を導入する前に、(例えばさらなる重合を引き起こす可能性がある残留化合物を掃去し且つ/又は第2触媒系の活性を阻害することによって)反応器を効率的にパッシベートするために、所定量のパッシベート剤を反応器に導入することをさらに含む。さらにより一層好ましい具体例においては、前記パッシベート剤は、式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、Xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む。さらにより一層特定的な具体例においては、前記パッシベート剤は、トリエチルアルミニウムを含む。
【0011】
本発明の別の好ましい具体例に従えば、反応器中に水が存在する場合、本方法は、反応器に第2触媒を導入して分散させる前に、反応器中の水蒸気の濃度が種床の重量を基準として100重量ppm又はそれ未満になるまで反応器をパージすることをさらに含み、さらにより一層好ましくは、水蒸気の濃度が反応器容量の20ppm又はそれ未満になるまで水蒸気のパージを続ける。
【0012】
本発明の別の具体例においては、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を該触媒用の活性剤や助触媒を導入することなく用いて第1の重合反応を停止させ、その上で、第1の重合反応の停止後に、チーグラー・ナッタ触媒系の活性剤又は助触媒を、このチーグラー・ナッタ触媒を効率的に活性化するのに充分な量で導入する。
【0013】
本発明のより一層好ましい具体例において、第2触媒用の活性剤又は助触媒は、式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含み、さらにより一層好ましくは、第2触媒用の活性剤又は助触媒は、トリエチルアルミニウムを含む。
【0014】
本発明は特に、ある種の材料がメタロセン触媒を用いた重合反応用の奪活剤として効果的である一方で、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を奪活するのには効果的ではないか、又は伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系に関してとメタロセン触媒系に関してとで異なる奪活特徴を示すという発見に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
詳しい説明
本発明は、最小限の反応器停止時間で1つのタイプの製品の製造から別のタイプの製品の製造に反応器を切り替えるための触媒及び/又は触媒系間の移行方法に関する。
【0016】
特に、好ましい方法は、チーグラー・ナッタ触媒/触媒系とメタロセン触媒/触媒系との間の移行に関する。本明細書及び添付された特許請求の範囲において用語「触媒」と「触媒系」とは交換して用いることができ、同じ意味を有する。
【0017】
本発明の方法は、気相、溶液相、スラリー又はバルク相重合プロセスに用いるのが好ましい。特に好ましくは、本発明の方法は、流動床反応器中における気相重合プロセスに用いる。
【0018】
モノマーからポリマーを製造するための一般的な連続気体流動床重合プロセスにおいては、触媒の存在下で反応性条件下において流動床反応器にモノマーを含む気体流が通される。ポリマー製品が流動床反応器から取り出される。また、循環ガス流も反応器から取り出され、これは連続的に循環され、通常は冷却される。循環ガス流は、重合反応において消費されたモノマーの代わりとなるのに充分な追加のモノマーと一緒に、反応器に戻される。気相流動床重合プロセスの詳細な説明については、米国特許第4543399号、同第4588790号、同第5028670号、同第5352769及び同第5405922号の各明細書を参照されたい。これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0019】
ある触媒が所定の密度及びメルトインデックスを有するある製品を製造するためには、これは一般的にどれぐらいうまく触媒がコモノマーを取り込むかに依存するので、反応器中に所定のガス組成物を存在させなければならない。
【0020】
一般的に、このガスには、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜15個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1及びスチレンのような環状オレフィンを含有させる。その他のモノマーには、極性ビニル、ジエン、ノルボルネン、アセチレン及びアルデヒドモノマーが包含され得る。本発明の好ましい具体例においては、このガス組成物には、エチレン及び3〜15個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィン、特に好ましくはブテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1を含有させる。
【0021】
一般に、このガス組成物には、製造されるポリマーのメルトインデックスを制御するために所定量の水素をも含有させる。典型的な環境においては、このガスには所定量の露点上昇成分をも含有させ、ガス組成物の残りの部分は、非凝縮性不活性ガス、例えば窒素から成る。
【0022】
反応器に導入される第2触媒に応じて、ガス組成物の各種成分のガス濃度を変えることができ、例えばコモノマー及び水素ガス濃度を高めたり低くしたりすることができる。
【0023】
適合性の触媒の間で移行する場合には、水素応答及びコモノマー取り込みに関する触媒の性能には僅かな違いがあるだけであるのが一般的である。逆に、非適合性の触媒の間で移行する場合には、そんなに簡単ではない。例えば、チーグラー・ナッタ触媒とメタロセン触媒とでは水素及びコモノマーのような分子量調節剤に対する応答が極めて異なっており、このことがこれらの触媒を非適合性にする。メタロセン触媒反応器条件下において活性チーグラー・ナッタ触媒が痕跡量でも存在すれば、非常に高分子量の製品が製造される。さらに、特に連続移行方法においては、2種の非適合性触媒の間の相互作用によって約100μm未満の小さい粒子(微粒子と称する)が高いレベル(量)で生産されてしまうことがある。これらの微粒子は、反応器内の操作上の問題並びに/又は汚染及びシーティング(薄層形成)を引き起こすことがある。
【0024】
第1触媒から第2触媒への移行の間に、特に連続プロセスにおいては、2種の触媒の不利な相互作用又は接触が起こるのが一般的である。適合性触媒については、通常は第1触媒の供給をやめて第2触媒の供給を開始することによって移行が行われる。一般的には、第1触媒が完全に消費されるまでに多くの時間がかかる。そのため、比較的長い時間の間、製造される樹脂は第1触媒から製造されたものと第2触媒から製造されたものとの混合物である。
【0025】
適合性の触媒とは、モノマー及びコモノマーの挿入及び停止速度が同様である触媒であり、且つ/又は互いに有害に相互作用することのないものである。
【0026】
本明細書及び添付した特許請求の範囲において用語「非適合性触媒」とは、次の1つ以上を満たす触媒を指す。
(1)それらを一緒に存在させた時に少なくとも一方の触媒の活性が50%以上低下してしまう触媒。
(2)同じ反応条件下において、一方の触媒によって製造されるポリマーの分子量がもう一方の触媒によって製造されるポリマーの分子量の2倍以上となるような触媒。
(3)同じ条件下において、コモノマー取り込み又は反応性比が約30%以上異なる触媒。
【0027】
上記のように、本発明の好ましい方法は、メタロセン触媒系とチーグラー・ナッタ触媒系との間の移行に適用できる。この方法に従えば、メタロセン触媒を用いた定常状態操作において、最初に反応器にメタロセン触媒を導入するのをやめ、次いで第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、水、オレイン酸及びアンモニアより成る群から選択される少なくとも1種の奪活剤をこの反応器に導入して分散させることによって、前記の第1の重合反応を停止させ、次いでこの反応器を不活性ガスでパージして未消費奪活剤を反応器から実質的に除去し、そして最後にこの反応器に第2触媒(この第2触媒は通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む)を導入する。
【0028】
本発明の好ましい具体例に従えば、重合プロセスは、ポリマー粒子の流動床を含有させた気相流動床反応器の重合ゾーンにモノマーガスを本質的に連続的に通すことによって実施される。
【0029】
別の好ましい具体例に従えば、静電気の蓄積、温度勾配、床高さの変動及び、1つの触媒系から別の触媒系に移行する時に(特に第2触媒系が第1触媒系と非適合性である場合に)典型的に遭遇するその他の不安定性を減らす助けをするために、移行剤を反応器に導入する。さらにより一層好ましくは、この移行剤は、アルコキシル化アミン及びアルコキシル化アミドより成る群から選択され、さらにより一層好ましくは、移行剤は、エトキシル化ステアリルアミンであり、これは随意にシリカのような固体材料上に担持されていてもよい。
【0030】
本発明の別の好ましい具体例において、前記奪活剤は、第1触媒中の活性金属のグラム原子数を基準としてほぼ1モル当量又はそれより多い量の酸素を含む。
【0031】
本発明の別の好ましい具体例においては、奪活剤を導入して分散させる工程及び反応器を不活性ガスでパージする工程を1回以上繰り返す。用いられる奪活剤は、重合反応を恒久的に停止させる能力を様々な度合いで有し、「可逆的」又は「不可逆的」と称されることもある。これらの用語は米国特許第5442019号明細書において用いられており、可逆的及び不可逆的触媒キラー(殺触媒剤)と称される。その開示の全体を本明細書に取り入れる。反応器に可逆的奪活剤を導入し、次いで不可逆的奪活剤を導入することも、本発明の範囲内である。
【0032】
本発明のさらに別の好ましい具体例において、本方法は、第2触媒を導入する前に、さらなる重合を引き起こす可能性がある残留化合物を掃去することによって反応器を効率的にパッシベートするために、所定量のパッシベート剤を反応器に導入することをさらに含む。さらにより一層好ましくは、前記パッシベート剤は、式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、Xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む。さらにより一層特定的な具体例においては、前記パッシベート剤は、トリエチルアルミニウムを含む。
【0033】
本発明の別の好ましい具体例に従えば、反応器中に水が存在する場合、本方法は、反応器に第2触媒を導入して分散させる前に、反応器中の水蒸気の濃度が種床の重量を基準として100重量ppm又はそれ未満になるまで反応器をパージすることをさらに含み、さらにより一層好ましくは、水蒸気の濃度が反応器容量の20ppm又はそれ未満になるまで水蒸気のパージを続ける。
【0034】
本発明の別の具体例においては、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を該触媒用の活性剤や助触媒を導入することなく用いて第1の重合反応を停止させ、その上で、第1の重合反応の停止後に、チーグラー・ナッタ触媒系の活性剤又は助触媒を、このチーグラー・ナッタ触媒を効率的に活性化するのに充分な量で導入する。本発明のより一層好ましい具体例において、第2触媒用の活性剤又は助触媒は、式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含み、さらにより一層好ましくは、第2触媒用の活性剤又は助触媒は、トリエチルアルミニウムを含む。
【0035】
本発明は、特許請求の範囲に記載された方法の様々な非限定的な具体例を構想する。好ましくは、重合プロセスは、流動床反応器中で実施される連続相重合プロセスである。
【0036】
慣用のタイプの遷移金属触媒及びバルキー(嵩高)リガンドメタロセンタイプ触媒を含むすべての重合触媒が、本発明の方法において用いるのに好適である。以下は、本発明において有用な様々な重合触媒の非限定的な説明である。
【0037】
慣用のタイプの遷移金属触媒
慣用のタイプの遷移金属触媒は、当技術分野においてよく知られている通常のチーグラー・ナッタ触媒である。慣用のタイプの遷移金属触媒の例は、米国特許第4115639号、同第4077904号、同第4482687号、同第4564605号、同第4721763号、同第4879359号及び同第4960741号の各明細書において論じられているので、これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。本発明において用いることができる慣用のタイプの遷移金属触媒化合物には、元素周期表第3〜17族、好ましくは第4〜12族、より一層好ましくは第4〜6族からの遷移金属化合物が包含される。
【0038】
これらの慣用のタイプの遷移金属触媒は、式MRxで表わすことができる。ここで、Mは第3〜17族からの金属、好ましくは第4〜6族、より一層好ましくは第4族からの金属、特に好ましくはチタンであり、Rはハロゲン又はヒドロカルビルオキシ基であり、xは金属Mの原子価である。Rの非限定的な例には、アルコキシ、フェノキシ、ブロミド、クロリド及びフルオリドが包含される。慣用のタイプの遷移金属触媒の内のMがチタンであるものの非限定的な例には、TiCl4、TiBr4、Ti(OC25)3Cl、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC49)3Cl、Ti(OC37)2Cl2、Ti(OC25)2Br2、TiCl3・1/3AlCl3及びTi(OC1225)Cl3が包含される。
【0039】
本発明において有用なマグネシウム/チタン電子供与体錯体をベースとする慣用のタイプの遷移金属触媒化合物は、例えば米国特許第4302565号及び同第4302566号の各明細書に記載されているので、これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。Mg/Ti/Cl/THFから誘導される触媒が特に好ましく、これらは当業者によく知られている。かかる触媒の一般的な調製方法の1つの非限定的な例には、TiCl4をTHF中に溶解させ、Mgを用いてこの化合物を還元してTiCl3にし、MgCl2を添加し、そして溶剤を除去するものが包含される。
【0040】
英国特許第2105355号明細書及び米国特許第5317036号明細書(それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる)には、様々な慣用のタイプのバナジウム触媒化合物が記載されている。慣用のタイプのバナジウム触媒化合物の非限定的な例には、バナジルトリハライド、アルコキシハライド及びアルコキシド、例えばVOCl3、VOCl2(OBu)(ここで、Buはブチルである)及びVO(OC25)3;バナジウムテトラハライド及びバナジウムアルコキシハライド、例えばVCl4及びVCl3(OBu);バナジウム及びバナジルアセチルアセトナート及びクロロアセチルアセトナート、例えばV(AcAc)3及びVOCl2(AcAc)(ここで、(AcAc)はアセチルアセトナートである)が包含される。好ましい慣用のタイプのバナジウム触媒化合物は、VOCl3、VCl4及びVOCl2−OR(ここで、Rは炭化水素基、好ましくはC1〜C10脂肪族又は芳香族炭化水素基、例えばエチル、フェニル、イソプロピル、ブチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ナフチル等である)及びバナジウムアセチルアセトナートである。
【0041】
本発明において用いるのに好適なさらにその他の慣用のタイプの遷移金属触媒化合物及び触媒系は、米国特許第4124532号、同第4302565号、同第4302566号、同第4376062号、同第4379758号、同第5066737号、同第5763723号、同第5849655号、同第5852144号、同第5854164号及び同第5869585号の各明細書並びにヨーロッパ特許公開第0416815A2号及び同第0420436A1号の各公報に開示されているので、これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0042】
その他の触媒には、カチオン性触媒、例えばAlCl3、並びに当技術分野においてよく知られているその他のコバルト、鉄、ニッケル及びパラジウム触媒が包含され得る。例えば米国特許第3487112号、同第4472559号、同第4182814号及び同第4689437号の各明細書を参照されたい。これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0043】
チーグラー・ナッタ触媒についてのより一層の詳細については、例えば米国特許第3687920号、同第4086408号、同第4376191号、同第5019633号、同第4482687号、同第4101445号、同第4560671号、同第4719193号、同第4755495号及び同第5070055号の各明細書を参照されたい。それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる。
【0044】
通常は、これらの慣用のタイプの遷移金属触媒化合物は、下記の1種以上の慣用のタイプの助触媒によって活性化される。
【0045】
慣用のタイプの助触媒
上記の慣用のタイプの遷移金属触媒化合物のための慣用のタイプの助触媒化合物は、式M34v2c3b-cによって表わすことができる。ここで、M3は元素周期表第1〜3及び12〜13族からの金属であり、M4は元素周期表第1族の金属であり、vは0〜1の数であり、各X2はいずれかのハロゲンであり、cは0〜3の数であり、各R3は一価炭化水素基又は水素であり、bは1〜4の数であり、b−cは少なくとも1である。上記の慣用のタイプの遷移金属触媒のためのその他の慣用のタイプの有機金属系助触媒化合物には、式M33kを有するものがある。ここで、M3はリチウム、ナトリウム、ベリリウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、亜鉛、カドミウム及びガリウムのような第IA、IIA、IIB又はIIIA族金属であり、kはM3の原子価に応じて1、2又は3であり、前記原子価は通常M3が属する族に依存し、各R3は任意の一価基であることができ、これは炭化水素基及びフルオリド、アルミニウム若しくは酸素又はそれらの組合せのような第13〜16族元素を含有する炭化水素基を包含する。
【0046】
上記の慣用のタイプの触媒化合物について有用な慣用のタイプの有機金属系助触媒化合物の非限定的な例には、メチルリチウム、ブチルリチウム、ジヘキシル水銀、ブチルマグネシウム、ジエチルカドミウム、ベンジルカリウム、ジエチル亜鉛、トリ−n−ブチルアルミニウム、ジイソブチルエチルホウ素、ジエチルカドミウム、ジ−n−ブチル亜鉛及びトリ−n−アミルホウ素、並びに特にアルミニウムアルキル類、例えばトリヘキシルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが包含される。その他の慣用のタイプの助触媒化合物には、第2族金属のモノオルガノハライド及びヒドリド、並びに第3及び13族金属のモノ−又はジオルガノハライド及びヒドリドが包含される。かかる慣用のタイプの助触媒化合物の非限定的な例には、ジジイソブチルアルミニウムブロミド、イソブチルホウ素ジクロリド、メチルマグネシウムクロリド、エチルベリリウムクロリド、エチルカルシウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、メチルカドミウムヒドリド、ジエチルホウ素ヒドリド、ヘキシルベリリウムヒドリド、ジプロピルホウ素ヒドリド、オクチルマグネシウムヒドリド、ブチル亜鉛ヒドリド、ジクロロホウ素ヒドリド、ジブロモアルミニウムヒドリド及びブロモカドミウムヒドリドが包含される。慣用のタイプの有機金属系助触媒化合物は当業者に周知であり、米国特許第3221002号及び同第5093415号の各明細書にはこれらの化合物のもっと完全な議論を見出すことができる。これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0047】
バルキーリガンドメタロセンタイプの触媒化合物
一般的に、バルキーリガンドメタロセンタイプの触媒化合物には少なくとも1個の金属原子に結合した1個以上のバルキーリガンドを有するハーフサンドイッチ及びフルサンドイッチ化合物が包含される。典型的なバルキーリガンドメタロセンタイプ化合物は一般的に、1個以上のバルキーリガンド及び1個以上の脱離基を少なくとも1個の金属原子に結合した形で含有すると説明されている。1つの好ましい具体例においては、少なくとも1個のバルキーリガンドが前記金属原子にη結合、特に好ましくは前記金属原子にη5結合している。
【0048】
バルキーリガンドは一般的に1種以上の開環した、非環状の若しくは縮合した環若しくは環系又はそれらの組合せによって表わされる。これらのバルキーリガンド(好ましくは環又は環系)は、典型的には元素周期表第13〜16族原子から選択される原子から成り、これらの原子は炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素及びアルミニウム又はそれらの組合せから選択されるのが好ましい。前記環又は環系は、シクロペンタジエニルリガンド若しくはシクロペンタジエニルタイプのリガンド構造又は他の類似の働きをするリガンド構造(例えばペンタジエン、シクロオクタテトラエンジイル若しくはイミドリガンド)(でもこれらに限定されるわけではない)のような複数個の炭素原子から成るものであるのが特に好ましい。前記金属原子は、元素周期表の第3〜15族及びランタニド又はアクチニド系列から選択されるのが好ましい。前記金属は、第4〜12族からの遷移金属であるのが好ましく、第4、5及び6族からの遷移金属であるのがより一層好ましく、この遷移金属は第4族であるのが特に好ましい。
【0049】
1つの具体例において、本発明のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、次式によって表わされる。
ABMQn (I)
ここで、Mは元素周期表からの金属原子であって、元素周期表の第3〜12族金属又はランタニド若しくはアクチニド系列であることができ、Mは第4、5又は6族遷移金属であるのが好ましく、Mは第4族遷移金属であるのがより一層好ましく、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであるのがさらにより一層好ましい。LA及びLBはバルキーリガンドであり、オープンの、非環状の又は縮合した環又は環系、例えば非置換若しくは置換のシクロペンタジエニルリガンド若しくはシクロペンタジエニルタイプのリガンド、又はヘテロ原子で置換され且つ/若しくはヘテロ原子を含有するシクロペンタジエニルタイプのリガンドである。バルキーリガンドの非限定的な例には、シクロペンタジエニルリガンド、シクロペンタフェナントレニルリガンド、インデニルリガンド、ベンゾインデニルリガンド、フルオレニルリガンド、オクタヒドロフルオレニルリガンド、シクロオクタテトラエンジイルリガンド、アゼニルリガンド、アズレンリガンド、ペンタレンリガンド、ホスホイルリガンド、ピロリルリガンド、ピロゾリルリガンド、カルバゾリルリガンド、ボラベンゼンリガンド等(それらの対応水素化物、例えばテトラヒドロインデニルリガンドも含む)が包含される。1つの具体例において、LA及びLBは、Mにt結合し得る任意のその他のリガンド構造、好ましくはMにη3結合し得る、特に好ましくはη5結合し得る任意のその他のリガンド構造であることができる。さらに別の具体例において、LA又はLBの原子分子量(MW)は60a.m.u.を越え、65a.m.u.より大きいのが好ましい。別の具体例において、LA及びLBは炭素原子と組み合わせて1個以上のヘテロ原子、例えば窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、硫黄、酸素及びリンを含んで、オープンの、非環状の又は好ましくは縮合した環又は環系、例えばヘテロシクロペンタジエニル補助的リガンドを形成することもできる。その他のLA及びLBバルキーリガンドには、バルキーのアミド類、ホスフィド類、アルコキシド類、アリールオキシド類、イミド類、カルボリド類、ボロリド類、ポルフィリン類、フタロシアニン類、コリン類及びその他のポリアゾマクロサイクル類が包含されるが、これらに限定されるものではない。各LA及びLBは独立的に、Mに結合した同一の又は異なるタイプのバルキーリガンドであることができる。式(I)の1つの具体例においては、LA又はLBのいずれか一方のみが存在する。
【0050】
独立的に、各LA及びLBは非置換であっても置換基Rの組合せで置換されていてもよい。置換基Rの非限定的な例には、水素或は直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル基若しくはアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基又はアリール基、アシル基、アロイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−若しくはジアルキル−カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アロイルアミノ基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状アルキレン基又はそれらの組合せから選択される1種以上の基が包含される。好ましい具体例において、置換基Rは50個までの非水素原子(水素原子以外の原子)、好ましくは1〜30個の炭素原子を有し、これらもまたハロゲン又はヘテロ原子等で置換されていることができる。アルキル置換基Rの非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニル基等が包含され、それらのすべての異性体、例えばt−ブチル、イソプロピル等を包含する。その他のヒドロカルビル基には、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル並びにヒドロカルビル置換オルガノメタロイド基(トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル等を包含する);並びにハロカルビル置換オルガノメタロイド基(トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル、ブロモメチルジメチルゲルミル等を包含する);並びに二置換ホウ素基(例えばジメチルホウ素を包含する);並びに二置換ニクトゲン(pnictogen)基(ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを包含する)、カルコゲン基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド及びエチルスルフィドを包含する)が包含される。非水素置換基Rは炭素、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、窒素、リン、酸素、錫、硫黄、ゲルマニウム原子等を含み、ビニルを末端基とするリガンドを含むオレフィン性不飽和置換基(これに限定されるわけではない)のようなオレフィン類、例えば3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニル等が包含される。また、少なくとも2個のR基(好ましくは2個の隣接したR基)が一緒になって炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素又はそれらの組合せから選択される3〜30個の原子を有する環構造を形成することもできる。また、1−ブタニルのような置換基R基は、金属Mに対する炭素σ結合を形成することもできる。
【0051】
少なくとも1個の脱離基Qのようなその他のリガンドが金属Mに結合していてもよい。本明細書及び添付した特許請求の範囲において用語「脱離基」とは、バルキーリガンドメタロセン触媒化合物から抽出して1種以上のオレフィンを重合させることが可能なバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒カチオンを形成させることができる任意のリガンドである。1つの具体例において、QはMへのσ結合を有するモノアニオン性の不安定(易動性)リガンドである。
【0052】
Qリガンドの非限定的な例には、アミン類のような弱塩基、ホスフィン類、エーテル類、カルボキシレート類、ジエン類、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド類若しくはハロゲン類等又はそれらの組合せが包含される。別の具体例においては、2個以上のQが縮合環又は環系の一部を構成する。Qリガンドのその他の例には、上記のようなRについての置換基のものが包含され、シクロブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、トリル、トリフルオロメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィド基等が包含される。nについての値は、上記式(I)が中性のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物を表わすように、金属の酸化状態に応じて0、1又は2である。
【0053】
1つの具体例において、本発明のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物には、式(I)においてLA及びLBが下記の式で表わされるように少なくとも1つの架橋基Aによって互いに架橋されたものが包含される。
AALBMQn (II)
【0054】
式(II)で表わされるこれらの架橋された化合物は、架橋バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物と称される。LA、LB、M、Q及びnは上で定義した通りである。架橋基Aの非限定的な例には、少なくとも1個の第13〜16族原子(例えば炭素、酸素、窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム及び錫原子の内の少なくとも1種又はそれらの組合せであるが、しかしこれらに限定されない)を含有する架橋基が包含され、これはしばしば二価部分と称される。架橋基Aは、炭素、ケイ素、鉄又はゲルマニウム原子を含有するのが好ましく、少なくとも1個のケイ素原子又は少なくとも1個の炭素原子を含有するのが特に好ましい。架橋基Aはまた、上で定義した通りの置換基R(ハロゲンを含む)を含有することもできる。架橋基Aの非限定的な例は、R'2C、R'2Si、R'2SiR'2Si、R'2Ge、R'Pで表わすことができる。ここで、R'は、独立的にヒドリド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換オルガノメタロイド、ハロカルビル置換オルガノメタロイド、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン、置換カルコゲン又はハロゲンである基であり、また、2個以上のR'が一緒になって環又は環系を形成することもできる。
【0055】
1つの具体例において、前記のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、式(I)及び(II)のバルキーリガンドLA及びLB上のR置換基がそれぞれのバルキーリガンド上の同数又は異なる数の置換基で置換されたものである。別の具体例において、式(I)及び(II)のバルキーリガンドLA及びLBは、互いに異なるものである。
【0056】
本発明において有用なその他のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物及び触媒系には、米国特許第5064802号、同第5145819号、同第5149819号、同第5243001号、同第5239022号、同第5276208号、同第5296434号、同第5321106号、同第5329031号、同第5304614号、同第5677401号、同第5723398号、同第5753578号、同第5854363号、同第5856547号、同第5858903号、同第5859158号及び同第5929266号の各明細書並びに国際公開WO93/08221号、同WO93/08199号、同WO95/07140号、同WO98/11144号、同WO98/41530号、同WO98/41529号、同WO98/46650号、同WO99/02540号及び同WO99/14221号の各パンフレット並びにヨーロッパ特許公開第0578838A号、同第0638595A号、同第0513380B号、同第0816372A1号、同第0839834A2号、同第0632819B1号、同第0748821B1及び同第0757996B1号の各公報に記載されたものが包含される。これら全部を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0057】
1つの具体例において、本発明において有用なバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物には、架橋ヘテロ原子−モノバルキーリガンドメタロセンタイプ化合物が包含される。これらのタイプの触媒及び触媒系は、例えば国際公開WO92/00333号、同WO94/07928号、同WO91/04257号、同WO94/03506号、同WO96/00244号及び同WO97/15602号の各パンフレット並びに米国特許第5057475号、同第5096867号、同第5055438号、同第5198401号、同第5227440号及び同第5264405号の各明細書並びにヨーロッパ特許公開第0420436A号公報に記載されている。これら全部を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0058】
この具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は次式で表わされる。
CAJMQn (III)
{ここで、Mは元素周期表の第3〜16族金属原子又はアクチニド及びランタニド族から選択される金属であり、好ましくはMは第4〜12族遷移金属であり、より一層好ましくはMは第4、5又は6族遷移金属であり、特に好ましくはMは第4族遷移金属(任意の酸化状態のもの)、特にチタンであり、
CはMに結合した置換又は非置換バルキーリガンドであり、
JはMに結合し、
AはM及びJに結合し、
Jはヘテロ原子補助的リガンドであり、
Aは架橋基であり、
Qは一価のアニオン性リガンドであり、
nは整数0、1又は2である。}
上記式(III)において、LC、A及びJは縮合環系を形成する。1つの具体例において、式(III)のLCはLAについて上で定義した通りであり、式(III)のA、M及びQは式(I)において上で定義した通りである。式(III)においてJはヘテロ原子含有リガンドであり、ここでJは元素周期表の第15族からの配位数3の元素又は第16族からの配位数2の元素である。好ましくは、Jは窒素、リン、酸素又は硫黄原子を含有し、窒素が特に好ましい。
【0059】
別の具体例において、前記のバルキーリガンドタイプメタロセンタイプ触媒化合物は、金属(好ましくは遷移金属)、バルキーリガンド(好ましくは置換又は非置換π結合リガンド)及び1種以上のヘテロアリル部分の錯体、例えば米国特許第5527752号及び同第5747406号の両明細書並びにヨーロッパ特許公開第0735057B1号公報に記載されたものである。これら全部を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0060】
1つの具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、次式で表わされる。
DMQ2(YZ)Xn (IV)
(ここで、Mは元素周期表の第3〜16族金属、好ましくは第4〜12族遷移金属、特に好ましくは第4、5又は6族遷移金属であり、
DはMに結合したバルキーリガンドであり、
各Qは独立的にMに結合し、Q2(YZ)は1荷電の多座リガンドを形成し、
A又はQはこれもまたMに結合した一価のアニオン性リガンドであり、
Xはnが2である場合には一価のアニオン性基であり、nが1である場合には二価のアニオン性基であり、
nは1又は2である。)
【0061】
式(IV)において、LD及びMは式(I)について上で定義した通りである。Qは式(I)について上で定義した通りであり、好ましくはQは−O−、−NR−、−CR2−及び−S−より成る群から選択され、YはC又はSであり、Zは−OR、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、−H及び置換又は非置換アリール基より成る群から選択され、但しQが−NR−である場合にはZは−OR、−NR2、−SR、−SiR3、−PR2及び−Hより成る群から選択され、Rは炭素、ケイ素、窒素、酸素及び/又はリンを含有する基であり、好ましくはRは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、nは1〜4の整数であり、1又は2であるのが好ましく、Xはnが2である場合には一価のアニオン性基であり、nが1である場合には二価のアニオン性基であり、好ましくはXはカルバメート、カルボキシレート又はQ、Y及びZの組合せによって記載されるその他のヘテロアリル部分である。
【0062】
本発明の別の具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、バルキーリガンド、環又は環系が1個以上のヘテロ原子又はそれらの組合せを含むヘテロ環式リガンド錯体である。ヘテロ原子の非限定的な例には、第13〜16族元素が包含され、窒素、ホウ素、硫黄、酸素、アルミニウム、ケイ素、リン及び錫が好ましい。これらのバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物の例は、国際公開WO96/33202号、同WO96/34021号、同WO97/17379号及び同WO98/22486号の各パンフレット並びにヨーロッパ特許公開第0874005A1号公報並びに米国特許第5637660号、同第5539124号、同第5554775号、同第5756611号、同第5233049号、同第5744417号及び同第5856258号の各明細書に記載されている。それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる。
【0063】
別の具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、米国特許第6103357号及び同第6103620号の両明細書(それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる)に記載されたもののような、ピリジン又はキノリン部分を含有する二座リガンドをベースとする遷移金属触媒として知られている錯体である。別の具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、国際公開WO99/01481号及び同WO98/42664号の両パンフレットに記載されたものである。これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。
【0064】
1つの具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物は、次式で表わされる。
((Z)XAt(YJ))qMQn (V)
(ここで、Mは元素周期表の第3〜13族又はランタニド及びアクチニド系列から選択される金属であり、
QはMに結合し、各Qは一価、二価又は三価アニオンであり、
X及びYはMに結合し、X及びYの1つ以上はヘテロ原子であり、好ましくはX及びYの両方がヘテロ原子であり、
Yはヘテロ環J中に含有され、ここでJは2〜50個の非水素原子、好ましくは2〜30個の炭素原子を有し、
ZはXに結合し、ここでZは1〜50個の非水素原子、好ましくは1〜50個の炭素原子を有し、好ましくはZは3〜50個の原子、好ましくは3〜30個の炭素原子を有する環式基であり、
tは0又は1であり、
tが1である場合、AはX、Y又はJの少なくとも1つ(好ましくはX及びJ)に結合した架橋基であり、
qは1又は2であり、
nはMの酸化状態に依存して1〜4の整数である。)
1つの具体例において、Xが酸素又は硫黄である場合、Zは随意である。別の具体例において、Xが窒素又はリンである場合、Zは存在する。1つの具体例において、Zはアリール基であるのが好ましく、置換アリール基であるのがより一層好ましい。
【0065】
その他のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物
1つの具体例において、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒化合物が下記文献に記載されたNi2+及びPd2+の錯体を含むことも本発明の範囲内である:Johnsonら、「New Pd(II)- and Ni(II)- Based Catalysts for Polymerization of Ethylene and a-Olefins」、J. Am. Chem. Soc.、1995、117、第6414〜6415頁及びJohnsonら、「Copolymerization of Ethylene and Propylene with Functionalized Vinyl Monomers by Palladium(II) Catalysts」、J. Am. Chem. Soc.、1996、118、第267〜268頁、並びに国際公開WO96/23010号パンフレット、同WO99/02472号パンフレット、米国特許第5852145号、同第5866663号及び同第5880241号の各明細書。これらの開示を参考のためにすべて本明細書に取り入れる。これらの錯体は、記載されたジハライド錯体のアルキル化反応生成物又はジアルキルエーテル付加物のいずれかであることができ、これは以下に記載された本発明の活性剤によって活性化してカチオン状態にすることができる。
【0066】
また、国際公開WO96/23010号パンフレット、同WO97/48735号パンフレット及びGibsonら、Chem. Comm.、第849〜850頁(1998)に開示された第8〜10族金属化合物のジイミンベースのリガンドも、バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒として包含される。それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる。
【0067】
その他のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒には、ヨーロッパ特許公開第0816384A2号公報及び米国特許第5851945号明細書に記載された第5及び6族金属イミド錯体がある。それらの開示を参考のために本明細書に取り入れる。バルキーリガンドメタロセンタイプ触媒はさらに、D. H. McConvilleらによってOrganometallics、1195、14、第5478〜5480頁に記載された架橋ビス(アリールアミド)第4族化合物が包含される。その開示を参考のために本明細書に取り入れる。その他のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒は、米国特許第5852146号明細書に、ビス(ヒドロキシ芳香族窒素リガンド)として記載されている。その開示を参考のために本明細書に取り入れる。1個以上の第15族原子を含有するその他のメタロセンタイプ触媒には、国際公開WO98/46651号パンフレットに記載されたものが包含される。その開示を参考のために本明細書に取り入れる。
【0068】
また、1つの具体例において、上に記載した本発明のバルキーリガンドメタロセンタイプ触媒がそれらの構造異性体や光学異性体、鏡像異性体{メソ及びラセミ異性体(例えば米国特許第5852143号明細書を参照されたい。その開示を参考のために本明細書に取り入れる。)}及びそれらの混合物を包含することも構想される。
【実施例】
【0069】
本発明をより良く理解するために、以下の非限定的な実施例は、本発明の実施において行った実際に試験に関するものとして提供される。
【0070】
例1
メタロセン触媒系からチーグラー・ナッタ触媒系への移行を実施するために、2.1リットルの撹拌式オートクレーブ反応器を用い、メタロセン触媒系(即ちビス(1,3−メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド及び助触媒としてのメチルアルモキサン)を用いて定常状態条件で運転して、24dg/分のメルトインデックス及び0.924g/ccの密度を有する重合製品を製造する。メタロセン触媒重合のための条件は、以下の通りだった。
【表1】

上記のメタロセン触媒系を用いた定常状態重合に関して、本発明の範囲内でのメタロセン触媒系からチーグラー・ナッタ触媒系への移行手順の非限定的な説明を以下に与える。
【0071】
1.反応器へのメタロセン触媒の供給を停止した。
【0072】
2.メタロセン触媒奪活剤としてCO2を約400〜500容量ppmで反応器に注入した。
【0073】
3.反応が減衰し始めたら、モノマー及び再循環流を含めて反応器へのすべての供給を止めた。
【0074】
4.重合反応が停止したことは、例えば反応器内の温度変化を測定することによって確認した。
【0075】
5.製品排出を止めた。
【0076】
6.(反応器を86℃に維持しながら)下限爆発限界(LEL)が0になるまで2.25フィート/秒(約68.6cm/秒)の速度の乾燥窒素でパージすることによって反応器から炭化水素を除去した。
【0077】
7.窒素パージの間に、メタロセン触媒供給容器を取り除き、供給ライン中に残留メタロセン触媒が何ら残っていないことを確認した。
【0078】
8.LELが0になったら、反応器を排気し、窒素パージを停止して50psig(約345kPa(ゲージ圧))まで圧力を下げ、反応器に窒素を閉じ込めてこの50psig(約345kPa(ゲージ圧))の反応器圧力を維持した。
【0079】
9.この反応器を、50psig(約345kPa(ゲージ圧))の反応器について、プラント空気のみを用いて5psig(約34kPa)ずつの増分で反応器圧力をゆっくり100psig(約690kPa)に上昇させ、それぞれの増分の圧力上昇後に5分間保持してすべての反応器温度を監視するというやり方で、空気掃去した。この空気掃去の間に有意の温度上昇が起こったら、水を反応器に注入して、移行を中止する。
【0080】
10.反応器を減圧(圧抜き)して50psig(約345kPa(ゲージ圧))に戻し、徐々に反応器圧力を100psig(約690kPa)に上昇させるということを繰り返して合計4回この反応器を空気掃去した。
【0081】
11.空気掃去が完了したら(ここで、酸素の割合は種床重量を基準として5000ppmである)、反応器を乾燥窒素で10回パージして(1回の加圧パージは、55psig(約379kPa)に減圧し、次いで115psig(約793kPa)に加圧し、それから55psig(約379kPa)に減圧して戻すことを指す)、すべての空気を排気して、空気のない反応器を提供した。
【0082】
12.この反応器に対して、(米国特許第5106926号明細書(その開示を参考のために本明細書に取り入れる)に記載されたように)種床の重量を基準として約3ppmの割合でイソペンタン中の10重量%トリエチルアルミニウム溶液を用いてトリエチルアルミニウムによるパッシベートを行なって、チーグラー・ナッタ触媒始動のための準備をした。
【0083】
例2
例1について上記したのと同じメタロセン触媒系、反応器及び実質的に同じ定常状態条件を用い、以下の移行を実施した:
【0084】
1.約86℃の床温度、約2.25フィート/秒(約68.6cm/秒)の循環ガス速度、約300psig(約2069kPa)の全ガス圧力及び約550ポンド(約249kg)の床重量で操作しながら、メタロセン触媒供給を停止し、移行の間、コンプレッサーを稼働状態のままにしておいた。
【0085】
2.全モノマー供給を止め、製品排出を止め、反応器内容物を再循環させておいた。
【0086】
3.約50ccのH2Oを反応器に反応器圧力において注入し、この反応器を2時間40分の時間をかけて約60psig(約414kPa)に達するまでゆっくり排気した。この時間の終わりまでに重合反応が停止されるのを保証するために、反応器温度変化を監視した。
【0087】
4.この反応器を、LELが0.1容量%未満になるまで、乾燥窒素でパージした。
【0088】
5.窒素パージの間に、メタロセン触媒供給容器を取り除き、残留触媒が供給ライン中に何ら残らないようにし、そしてトリエチルアルミニウム注入のためにトリエチルアルミニウムポンプを準備した。
【0089】
6.LELが反応器容量の0.1%未満になったら、窒素パージを停止し、この窒素を閉じ込め、反応器を排気/減圧して50psig(約345kPa(ゲージ圧))にし、大気排気口を閉じた。
【0090】
7.この反応器を、50psig(約345kPa(ゲージ圧))の反応器について、プラント空気のみを用いて5psig(約34kPa)ずつの増分で反応器圧力をゆっくり100psig(約690kPa)に上昇させ、それぞれの増分の圧力上昇後に5分間保持してすべての反応器温度を監視するというやり方で、空気掃去した。この空気掃去の間に有意の温度上昇が起こったら、水を反応器に注入して、移行を中止する。即ち、空気供給を停止し、上記ステップ3の手順を再び開始する。
【0091】
8.反応器を排気して減圧して50psig(約345kPa(ゲージ圧))に戻し、(排気口を閉じて)徐々に空気で反応器圧力を100psig(約690kPa)に上昇させるということをさらに3回繰り返して合計4回この反応器を空気掃去した。
【0092】
9.発熱が何ら観察されなかった後に、反応器をプラント空気で50psig−80psig−50psig(約345kPa−約551kPa−約345kPa)の順序で10回加圧パージして大気圧にして窒素フリー反応器にした。空気パージが完了した時に、空気を閉じ込め、2時間循環させた。
【0093】
10.空気循環が完了した時に、乾燥窒素で50psig−120psig−50psig(約345kPa−約827kPa−約345kPa)の順序で10回の加圧パージを行い、反応器系から空気及び湿分を除去した。試験時間の間の少なくとも2時間の間、空気/酸素レベルが0になり且つ湿分レベルが床重量を基準として20ppm未満になるまで、窒素加圧パージを繰り返した。
【0094】
11.この反応器に対して、(米国特許第5106926号明細書(その開示を参考のために本明細書に取り入れる)に記載されたように)床重量を基準として約3ppmの割合でイソペンタン中の10重量%トリエチルアルミニウム溶液を用いてトリエチルアルミニウムによるパッシベートを行なった。この反応器に対して、チーグラー・ナッタ触媒始動のための準備をした。反応器へのチーグラー・ナッタ触媒供給を開始する前に、反応器圧力及び反応成分濃度(場合によって水素を含む)条件を目標レベル付近にし、チーグラー・ナッタ触媒導入後に床重量を徐々に増大させた。反応器温度の変化によって示されるように、反応が高まるのが観察された。
【0095】
特定的な具体例を参照して本発明を説明して例示してきたが、本発明が必ずしもここに例示されていない変形にも役立つということは当業者ならばわかるであろう。例えば、1種又はそれより多くの混合触媒から1種又はそれより多くの非適合性の混合触媒への移行及びその逆の移行も本発明の範囲を越えるものではない。この理由で、本発明の真の範囲を確定するためには、添付した特許請求の範囲をもっぱら参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1触媒と第2触媒とが非適合性である場合に第1触媒の存在下で実施される第1の重合反応から第2触媒の存在下で実施される第2の重合反応へと移行する方法であって、
(a)メタロセン触媒を含む第1触媒の反応器への導入をやめ;
(b)第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、水、オレイン酸及びアンモニアより成る群から選択される少なくとも1種の奪活剤を不揮発性吸着剤をこの反応器に導入して分散させ;
(c)この反応器を不活性ガスでパージして未反応奪活剤を反応器から実質的に除去し;そして
(d)通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む第2触媒をこの反応器に導入する:
ことを含む、前記移行方法。
【請求項2】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が気相プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が流動床反応器中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロセスが連続式である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応器中に移行剤を導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記移行剤がアルコキシル化アミン及びアルコキシル化アミドより成る群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記移行剤がエトキシル化ステアリルアミンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記移行剤を固体状キャリヤー材料上に担持させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記奪活剤が前記第1触媒中の活性金属のグラム原子数を基準としてほぼ1モル当量又はそれより多い量の酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)及び(c)を少なくとももう一度繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2触媒を導入する前に、反応器を効率的にパッシベートするのに充分な量のパッシベート剤を反応器に導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パッシベート剤が式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、Xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パッシベート剤がトリエチルアルミニウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応器中に水を存在させ、この反応器中に第2触媒を導入して分散させる前に反応器中の水蒸気濃度が床の重量を基準として100重量ppm又はそれ未満になるまでこの反応器をパージする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応器中に水を存在させ、この反応器中に第2触媒を導入して分散させる前に反応器中の水蒸気濃度が反応器容量の20ppm又はそれ未満になるまでこの反応器をパージする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第1触媒と第2触媒とが非適合性である場合に第1触媒の存在下で実施される第1の重合反応から第2触媒の存在下で実施される第2の重合反応へと移行する方法であって、
(a)メタロセン触媒を含む第1触媒の反応器への導入をやめ;
(b)第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む第2触媒を、この第2触媒についての有意の量の活性剤又は助触媒の不在下において、前記反応器に導入して分散させ;そして
(c)第2触媒を導入することによって第1の重合反応を停止させた後に、この第2触媒についての活性剤又は助触媒をこの第2触媒を効率的に活性化するのに充分な量で前記反応器に導入する:
ことを含む、前記移行方法。
【請求項17】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が気相プロセスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が流動床反応器中で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
プロセスが連続式である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記の第2触媒についての活性剤又は助触媒が式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記の第2触媒についての活性剤又は助触媒がトリエチルアルミニウムを含む、請求項16に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1触媒と第2触媒とが非適合性である場合に第1触媒の存在下で実施される第1の重合反応から第2触媒の存在下で実施される第2の重合反応へと移行する方法であって、
(a)メタロセン触媒を含む第1触媒の反応器への導入をやめ;
(b)第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、水、オレイン酸及びアンモニアより成る群から選択される少なくとも1種の奪活剤を不揮発性吸着剤をこの反応器に導入して分散させ;
(c)この反応器を不活性ガスでパージして未反応奪活剤を反応器から実質的に除去し;そして
(d)通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む第2触媒をこの反応器に導入する:
ことを含む、前記移行方法。
【請求項2】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が気相プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応器中に移行剤を導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記移行剤がアルコキシル化アミン及びアルコキシル化アミドより成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移行剤を固体状キャリヤー材料上に担持させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記奪活剤が前記第1触媒中の活性金属のグラム原子数を基準としてほぼ1モル当量又はそれより多い量の酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)及び(c)を少なくとももう一度繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2触媒を導入する前に、反応器を効率的にパッシベートするのに充分な量のパッシベート剤を反応器に導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記パッシベート剤が式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、Xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応器中に水を存在させ、この反応器中に第2触媒を導入して分散させる前に反応器中の水蒸気濃度が床の重量を基準として100重量ppm又はそれ未満になるまでこの反応器をパージする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1触媒と第2触媒とが非適合性である場合に第1触媒の存在下で実施される第1の重合反応から第2触媒の存在下で実施される第2の重合反応へと移行する方法であって、
(a)メタロセン触媒を含む第1触媒の反応器への導入をやめ;
(b)第1の重合反応を実質的に停止させるのに充分な量の、通常のチーグラー・ナッタ触媒を含む第2触媒を、この第2触媒についての有意の量の活性剤又は助触媒の不在下において、前記反応器に導入して分散させ;そして
(c)第2触媒を導入することによって第1の重合反応を停止させた後に、この第2触媒についての活性剤又は助触媒をこの第2触媒を効率的に活性化するのに充分な量で前記反応器に導入する:
ことを含む、前記移行方法。
【請求項12】
前記の第1の重合反応及び第2の重合反応が気相プロセスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の第2触媒についての活性剤又は助触媒が式BX3又はAlR(3-a)a(ここで、Rは1〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヒドリド基であり、xはハロゲンであり、aは0、1又は2である)で表わされる有機金属化合物を含む、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2006−512451(P2006−512451A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565162(P2004−565162)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038263
【国際公開番号】WO2004/060930
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】