説明

メタン含有ガス製造方法、及びメタン含有ガス製造用触媒

【課題】触媒表面に炭素を析出させることなく、また、コストアップや製造時における二酸化炭素排出量の増加を招来することなく、エタノール含有原料からメタン含有ガスを効率的に製造することが可能なメタン含有ガス製造方法、及び当該方法に使用するメタン含有ガス製造用触媒を提供する。
【解決手段】エタノールと水蒸気とを含むエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造するメタン含有ガス製造方法であって、担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を25%以上の分散度で分散させて担持した貴金属担持触媒に、前記エタノール含有原料を反応温度400℃以上で一回通過させる反応工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールと水蒸気とを含むエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造するメタン含有ガス製造方法、及び当該方法に使用するメタン含有ガス製造用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス(メタンガス)を主成分とする都市ガスは、石油と比較すると燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、比較的環境負荷の小さいエネルギーであるが、地球温暖化等の環境問題が深刻化しつつある現代社会においては、一層の二酸化炭素排出量の削減が望まれている。
また、天然ガスは石油と同じく化石燃料であるため、将来の資源枯渇も心配される。
【0003】
一方、新たなエネルギー資源の一つとして、バイオエタノールが注目されている。バイオエタノールは、例えば、トウモロコシやサトウキビ等の穀物を発酵させ、蒸留することにより得られる。バイオエタノールは植物由来の原料から製造されるため、二酸化炭素の循環サイクルを実現することが可能であり、環境に優しいエネルギーとして近年需要が増加している。
【0004】
そこで、メタンガスをエタノール(エタノール含有原料)から効率的に製造する方法を確立することができれば、例えば、都市ガス原料としてバイオエタノールを使用することにより、原料を植物由来に切り替えることができるため、二酸化炭素の排出量削減に大いに貢献できるものと期待されている。
【0005】
従来、エタノール含有原料からメタン含有ガスを製造する方法として、例えば、エタノールと水蒸気との混合物を、ニッケル系触媒(アルミナ担体に主成分として金属ニッケルを担持させたもの)の下で反応させる方法があった(例えば、特許文献1を参照)。
また、エタノールを貴金属担持触媒(ロジウム、ルテニウム含有触媒)の下で反応させることにより、燃料電池に使用するガスを得る技術もあった(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−144093号公報
【特許文献2】特開2007−95686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
炭化水素、アルコール、エーテル等の炭素含有化合物から、触媒反応によってメタン含有ガスを製造する場合、炭素が触媒表面に析出すると、触媒の活性が低下し、炭素含有化合物の反応率が低下するという問題があった。また、触媒表面における炭素析出量がさらに増加すると、触媒を充填した反応器が閉塞する虞もあった。
【0008】
これらの問題に対し、ニッケル系触媒を採用する特許文献1では、エタノールに対する水蒸気の重量を増加させることにより、触媒表面における炭素の析出を防止している。ところが、水蒸気量の増加は反応に必要な熱量の増加につながるため、メタン含有ガスの製造に多大なエネルギーが必要となる。その結果、コストパフォーマンスが悪化するだけでなく、エネルギー使用量増大に伴う二酸化炭素排出量も増加する。
【0009】
一方、貴金属担持触媒を採用する特許文献2は、固体酸化物型燃料電池に供するメタン含有ガスの製造方法を開示する技術であり、燃料電池における未反応のオフガス(メタン、水素、CO、CO2、及びH2Oからなる)の50%程度をメタン化反応器の上流へ循環させている。これにより、反応ガス中のO/Cモル比を0.56から1.94に増大させると同時に、反応ガス中に水素を含有させることで、触媒表面における炭素の析出を抑制している。ところが、オフガスをメタン化反応器の上流へ循環させた場合、メタン化反応器に導入されるガス量が増加するため、メタン化反応器の負荷が増大し、反応率が低下する原因となる。また、仮にメタン化反応器の負荷の増大を抑制するためにメタン化反応器への触媒充填量を増加すると、メタン化反応器自体が大型化し、設備コスト及びメンテナンスコストの上昇につながる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒表面に炭素を析出させることなく、また、コストアップや製造時における二酸化炭素排出量の増加を招来することなく、エタノール含有原料からメタン含有ガスを効率的に製造することが可能なメタン含有ガス製造方法、及び当該方法に使用するメタン含有ガス製造用触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るメタン含有ガス製造方法の特徴構成は、エタノールと水蒸気とを含むエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造するメタン含有ガス製造方法であって、担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を25%以上の分散度で分散させて担持した貴金属担持触媒に、前記エタノール含有原料を反応温度400℃以上で一回通過させる反応工程を包含する点にある。
【0012】
本構成のメタン含有ガス製造方法では、触媒として活性の高い貴金属であるロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を使用している。さらに、ロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物は、担体の表面に25%以上の分散度で分散させた状態で担持して使用している。つまり、担体に担持されている貴金属の原子のうち、25%以上の原子が担体の表面に露出している。このため、エタノール含有原料を反応温度400℃以上で貴金属担持触媒に一回通過させるだけで、触媒表面に炭素が析出せずにエタノール含有原料が反応し、効率よくメタン含有ガスを製造することができる。
また、本構成のメタン含有ガス製造方法では、エタノール含有原料中の水蒸気量を増加させたり、反応後のガスの一部を循環させたりする必要がないので、コストアップを抑制することができる。さらに、エタノールとして、例えば、バイオエタノールを使用すれば、メタン含有ガスの製造時における二酸化炭素排出量も抑制することができる。
【0013】
本発明に係るメタン含有ガス製造方法において、前記エタノール含有原料は、重量比で、水/エタノール=0.4〜1.2の組成を有することが好ましい。
【0014】
本構成のメタン含有ガス製造方法では、エタノール含有原料の組成を水/エタノール=0.4〜1.2としているので、触媒表面における炭素析出を防止しつつ、熱効率を良好に維持して反応を進行させることができる。
【0015】
本発明に係るメタン含有ガス製造方法において、前記無機酸化物がアルミナ又はジルコニアであることが好ましい。
【0016】
本構成のメタン含有ガス製造方法では、担体として安定な無機酸化物であるアルミナ又はジルコニアを採用しているので、貴金属担持触媒の寿命が長いものとなる。
【0017】
本発明に係るメタン含有ガス製造方法において、前記貴金属担持触媒は湿式還元法により得られるものであることが好ましい。
【0018】
本構成のメタン含有ガス製造方法では、湿式還元法を行うことにより担体表面に貴金属を金属状態で確実に露出させることができる。
【0019】
本発明に係るメタン含有ガス製造用触媒の特徴構成は、担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を25%以上の分散度で分散させて担持した点にある。
【0020】
本構成のメタン含有ガス製造用触媒では、触媒として活性の高い貴金属であるロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を使用している。さらに、ロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物は、担体の表面に25%以上の分散度で分散させた状態で担持してある。つまり、担体に担持されている貴金属の原子のうち、25%以上の原子が担体の表面に露出している。このため、本構成のメタン含有ガス製造用触媒を使用すれば、触媒表面に炭素が析出せず、効率よくメタン含有ガスを製造することができる。
また、本構成のメタン含有ガス製造用触媒を使用すれば、エタノール含有原料中の水蒸気量を増加させたり、反応後のガスの一部を循環させたりする必要がないので、コストアップを抑制することができる。さらに、エタノールとして、例えば、バイオエタノールを使用すれば、メタン含有ガスの製造時における二酸化炭素排出量も抑制することができる。
【0021】
本発明に係るメタン含有ガス製造用触媒において、前記無機酸化物がアルミナ又はジルコニアであることが好ましい。
【0022】
本構成のメタン含有ガス製造用触媒では、担体として安定な無機酸化物であるアルミナ又はジルコニアを採用しているので、寿命が長いものとなる。
【0023】
本発明に係るメタン含有ガス製造用触媒において、湿式還元法により得られるものであることが好ましい。
【0024】
本構成のメタン含有ガス製造用触媒では、湿式還元法を行うことにより担体表面に貴金属を金属状態で確実に露出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
初めに、本発明の「メタン含有ガス製造方法」を実施する際に使用する本発明の「メタン含有ガス製造用触媒」について説明する。
メタン含有ガス製造用触媒は、担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を分散させて担持してある。
担体となる無機酸化物は、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ等が使用される。これらのうち、アルミナ又はジルコニアが好適であるが、特に担体としてジルコニアを使用した場合、触媒表面における炭素析出量が比較的少なくなり、より好適である。
貴金属は、上述したように、ロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物が使用されるが、特に、ロジウムを使用するとエタノールの反応率が比較的高くなるため好適である。
無機酸化物担体に対する上記の貴金属の分散度は、25%以上となるように設定される。ここで、分散度は、担体に担持されている全貴金属原子数のうち、担体表面に露出している貴金属原子数の割合として表される。すなわち、担持した貴金属のうちの25%以上が露出状態にあれば、実用的な反応率を達成することができる。なお、分散度の上限は特に定めていないが、後述する含浸法では70%程度が上限となる。
メタン含有ガス製造用触媒は、以下の方法(湿式還元法)により調製される。
【0026】
〔触媒調製方法〕
(1)担体となる無機酸化物10gを、所定量の貴金属塩化物を所定量の純水に溶解させた貴金属塩化物水溶液に浸漬し、無機酸化物に貴金属塩化物を含浸させる。
(2)80℃に調節した湯浴により無機酸化物に含まれる水分を蒸発させ、さらに、乾燥機で3時間乾燥させる。
(3)乾燥後、これを0.375Nに調製した30ccの水酸化ナトリウム水溶液中に室温で20時間静置する。このとき、無機酸化物に含浸している貴金属塩化物は貴金属酸化物へと変化し、触媒前駆体が得られる。
(4)次に、触媒前駆体を0.3%ヒドラジン水溶液中に1時間静置し、その後分離する。この静置/分離工程を3回繰り返す。このとき、無機酸化物に含浸している貴金属酸化物は貴金属に還元され、無機酸化物に担持(固定化)される。
(5)次に、貴金属が担持された無機酸化物を、80℃に調節した30ccの純水中に1時間静置し、その後分離する。この静置/分離工程を3回繰り返す。
(6)最後に、貴金属担持触媒を乾燥機で3時間乾燥させる。これにより、本発明のメタン含有ガス製造用触媒が得られる。
【0027】
上記の調製方法によって得られた触媒の例を表1に示す。表1において、触媒A〜Dは、実施例として調製した本発明のメタン含有ガス製造用触媒である。この触媒A〜Dについて、無機酸化物担体に担持されている貴金属の分散度をCOガスによる化学吸着法によって測定した。その結果、何れも25%以上の高い分散度であることが判明した。
また、触媒E〜Jは、比較例として調製した触媒である。比較例のうち触媒Jは、市販されている従来のニッケル系触媒(形式N−185;日揮化学株式会社製)である。触媒E〜Jにおける貴金属の分散度は、何れも25%未満であった。
【表1】

【0028】
上記の触媒A〜Jを用いて、エタノールと水蒸気とを含むエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造する際の好適な反応条件について検討を行った。
【0029】
エタノールからメタンが生成する反応は、下記に示す水蒸気改質反応(式(1))、COシフト反応(式(2))、及びメタン化反応(式(3))を合わせた総括反応(式(4))で表される。
C2H5OH + H2O → 2CO + 4H2 ΔH=255.9 kJmol-1 ・・・ (1)
0.5CO + 0.5H2O → 0.5CO2 + 0.5H2 ΔH=-20.6 kJmol-1 ・・・ (2)
1.5CO + 4.5H2 → 1.5CH4 + 1.5H2O ΔH=-309.2 kJmol-1 ・・・ (3)
C2H5OH → 1.5CH4 + 0.5CO2 ΔH=-73.9 kJmol-1 ・・・ (4)
【0030】
ここで、式(4)の総括反応を見ると、量論的には水蒸気を全く使用していないことになる。しかし、式(1)の水蒸気改質反応、及び式(2)のCOシフト反応において水蒸気が関与しており、また、反応中に触媒表面に炭素が析出することを防止する必要もある。このため、適量の水蒸気を反応系に導入する。具体的には、重量比で水/エタノール=0.4〜1.2の組成範囲となるように、エタノール蒸気と水蒸気とを混合して触媒反応を行う。重量比が水/エタノール=0.4より小さくなると、触媒表面における炭素析出が顕著になるため好ましくない。一方、重量比が水/エタノール=1.2より大きくなると、熱効率が顕著に悪化するため好ましくない。
【0031】
〔反応試験〕
次に、触媒A〜Jを用いて、エタノール含有原料からメタン含有ガスを製造する反応試験を行った。
有効内径16mmのチューブ状反応管に触媒A〜Jを夫々3.5cc充填し、触媒反応器を構成した。夫々の触媒反応器に、水/エタノール=0.78/1(重量比)となるように、水蒸気とエタノール蒸気とからなる原料混合ガスを供給した。原料混合ガスは、例えば、水蒸気及びエタノール蒸気をスタティックミキサーに通すことによって生成される。触媒反応器への原料混合ガスの単位触媒あたりの供給量(GHSV)は10,000(1/Hr)とし、圧力0.8MPaGで反応を行った。反応温度については、初めに400℃に設定し、反応後の生成ガスを分析後、450℃、500℃に順次上昇させ、夫々の反応温度で同様のガス分析を行った。ガス分析はガスクロマトグラフィーによって行い、分析結果からエタノール反応率、及び生成ガス中のメタン濃度を求めた。ここで、生成ガスには、メタンの他、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、エタノール(未反応分)が含まれるが、生成ガスの分析は、反応後のガス中の水蒸気を含まない乾式基準で実施した。また、エタノール反応率は、触媒反応器の出口ガスの組成に基づいて、以下の式(5)から求めた。
エタノール反応率(%)=(エタノール以外の炭素含有ガス量)/(全炭素含有ガス量)×100 ・・・ (5)
さらに、反応後の触媒表面における炭素析出量についても夫々測定した。
反応試験結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0032】
上記反応試験結果について考察する。実際のメタン含有ガス製造プラントにおける操業性やコスト等を勘案すると、エタノール反応率は反応温度400℃で70%以上又は反応温度500℃で90%以上、生成ガス中のメタン濃度は40%以上、及び反応後の炭素析出量は1wt%以下の結果が得られることが好ましい。
なお、反応温度が400℃未満では、エタノール反応率を十分に高めることができないため好ましくない。また、反応温度が500℃を超えると、反応率が徐々に頭打ちになることに加えて、エネルギー効率も悪くなる。従って、反応温度としては、400〜500℃の範囲が好ましい。
【0033】
実施例1(ジルコニア担体に2wt%のロジウムを担持)では、エタノール反応率は88.4%(反応温度400℃)及び92.9%(反応温度500℃)となり、良好な反応を示した。生成ガス中のメタン濃度は44.7%(反応温度500℃)となり、40%以上の良好なガスが得られた。反応後の炭素析出量は0.28wt%であり、1wt%以下の良好な状態を維持していた。
実施例2(アルミナ担体に2wt%のロジウムを担持)では、エタノール反応率は76.1%(反応温度400℃)及び94.3%(反応温度500℃)となり、良好な反応を示した。生成ガス中のメタン濃度は40.8%(反応温度500℃)となり、40%以上の良好なガスが得られた。反応後の炭素析出量は0.48wt%であり、1wt%以下の良好な状態を維持していた。
実施例3(ジルコニア担体に2wt%のルテニウムを担持)では、エタノール反応率は85.4%(反応温度400℃)及び93.6%(反応温度500℃)となり、良好な反応を示した。生成ガス中のメタン濃度は44.4%(反応温度500℃)となり、40%以上の良好なガスが得られた。反応後の炭素析出量は0.30wt%であり、1wt%以下の良好な状態を維持していた。
実施例4(アルミナ担体に2wt%のルテニウムを担持)では、エタノール反応率は76.9%(反応温度400℃)及び89.8%(反応温度500℃)であり、500℃では僅かに90%を下回ったが略良好な反応を示した。生成ガス中のメタン濃度は40.0%(反応温度500℃)となり、40%以上の良好なガスが得られた。反応後の炭素析出量は0.40wt%であり、1wt%以下の良好な状態を維持していた。
【0034】
このように、本発明の条件を満たす実施例1〜4では、上述した好ましい結果が略得られている。なお、無機酸化物担体としてジルコニアを使用した実施例1及び3は、アルミナを使用した実施例2及び4と比較して、エタノール反応率が低温から優れる傾向があり、また炭素析出量もより少なくなった。従って、無機酸化物担体としてジルコニアを使用することがより好ましい。
【0035】
一方、比較例1〜5については、エタノール反応率、及び生成ガス中メタン濃度が実施例1〜4と比べてかなり低くなり、反応効率の点で問題があった。
市販のニッケル/シリカ触媒である比較例6については、エタノール反応率、及び生成ガス中メタン濃度は良好であったが、反応中に触媒差圧が著しく増大するため、炭素析出量が15.60%と非常に高くなった。このため、短時間で触媒が失活し、実用的な連続運転は困難であった。
【0036】
以上より、実施例1〜4の貴金属担持触媒(メタン含有ガス製造用触媒)を用いてエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造することは非常に有効である。すなわち、本発明のメタン含有ガス製造用触媒を使用すれば、エタノール含有原料を反応温度400℃以上で一回通過させるだけで、触媒表面に炭素が析出せずにエタノール含有原料が反応し、効率よくメタン含有ガスを製造することができる。
また、本発明であれば、製造コストも低減され、二酸化炭素排出量も少なくなる。特に、エタノールとしてバイオエタノールを使用した場合に大きなメリットがある。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、無機酸化物担体を貴金属塩化物水溶液に含浸させる含浸法によって貴金属担持触媒(メタン含有ガス製造用触媒)を調製したが、共沈法等の他の方法によって調製することもできる。
(2)上記実施形態では、触媒反応器としてチューブ状反応管を使用したが、多重管、プレート式反応管等、任意の方式の反応管を用いて触媒反応器を構成することができる。
(3)上記実施形態では、一つの触媒反応器の中で水蒸気改質反応、COシフト反応、及びメタン化反応を行っているが、これらの反応を別々の反応器で行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のメタン含有ガス製造方法、及び当該方法に使用するメタン含有ガス製造用触媒は、都市ガスを製造する場合において好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールと水蒸気とを含むエタノール含有原料からメタン含有ガスを製造するメタン含有ガス製造方法であって、
担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を25%以上の分散度で分散させて担持した貴金属担持触媒に、前記エタノール含有原料を反応温度400℃以上で一回通過させる反応工程を包含するメタン含有ガス製造方法。
【請求項2】
前記エタノール含有原料は、質量比で、水/エタノール=0.4〜1.2の組成を有する請求項1に記載のメタン含有ガス製造方法。
【請求項3】
前記無機酸化物がアルミナ又はジルコニアである請求項1又は2に記載のメタン含有ガス製造方法。
【請求項4】
前記貴金属担持触媒は湿式還元法により得られるものである請求項1〜3の何れか一項に記載のメタン含有ガス製造方法。
【請求項5】
担体である無機酸化物の表面に貴金属としてロジウム、ルテニウム、又はそれらの混合物を25%以上の分散度で分散させて担持したメタン含有ガス製造用触媒。
【請求項6】
前記無機酸化物がアルミナ又はジルコニアである請求項5に記載のメタン含有ガス製造用触媒。
【請求項7】
湿式還元法により得られるものである請求項5又は6に記載のメタン含有ガス製造用触媒。

【公開番号】特開2009−227588(P2009−227588A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71869(P2008−71869)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】