メダル投出装置
【課題】メダルを回収箱に円滑に且つ確実に流下させ、排出させることができるオーバーフローシュートを備えたメダル投出装置を提供する。
【解決手段】壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュート40とを備えたメダル投出装置において、前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁42と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部44とが形成されている。
【解決手段】壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュート40とを備えたメダル投出装置において、前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁42と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部44とが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル投出装置、特に受け皿に過剰供給されたメダルを外側の所定位置に適切に排出することができるオーバーフローシュートを備えたメダル投出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、特許文献1に開示されているスロットマシンやパチスロ機等の遊技機に用いられるメダル投出装置の一例を上から見た状態を示す。
【0003】
従来のメダル投出装置は、図示されているようにメダルCを貯留する受け皿100と、この受け皿100の下方に配設された、図示しない回転ディスクと、該回転ディスクをモータ駆動により回転可能に支持するベース板と、これらを保持するベースフレームとによってその概略が構成されている。
【0004】
このようなメダル投出装置は、通常スロットマシンやパチスロ機等の遊技機に備えられている、図示しない筺体内に設置して用いられる。
【0005】
この筺体には、メダルを投入口からメダル選別装置を経て投入するためのメダル投入経路が設けられており、メダル投出装置を該筺体内の所定位置に設置すると、そのメダル投入経路を経て、図示されている受け皿100内の長丸で囲んだメダル投入位置Aに投入されるようになっている。
【0006】
このように投入されるメダルCには、矢印で示す流れに沿って左から右に移動すると共に、受け皿100の下方に配設されている前記回転ディスクに順次供給され、所定の方向に送られて投出される。
【0007】
又、受け皿100には、メダルCが多く投入されすぎた場合に、受け皿100の壁部に形成されている排出口102を通して、筺体内に設置されているメダル回収箱104へメダルCを流すオーバーフローシュート106が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−000569号公報
【特許文献2】特開2007−206952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に開示されている従来のメダル投出装置に採用されているオーバーフローシュートは、その側端から上流端に位置する誘い込み部108が、図2に長丸で囲んで示すように直線部で形成されているため、図3にオーバーフローシュート106を受け皿100の内側から見た側面図で、又、図4に上流端における横断面図で一部のメダルと共に示すように、誘い込み部108の上流端(側端でも同じ)はメダルCの面が接すると線接触することになることから、メダルCが重なり合うこと(ブリッジ)が起こりやすい。
【0010】
そのため、メダルが堆積しやすく、オーバーフローシュート106の傾斜底部である流下部110にまでメダルが重なり、メダル回収箱へメダルが流れにくくなり、図5にイメージを示すように筺体へメダルCが落下してしまうという問題があった。
【0011】
又、このような問題点に鑑みて、特許文献2では、図6にメダル投出装置全体を斜視図で示すように、オーバーフローシュート142の誘い込み部先端にV形状の切込み部143を設け、受け皿内が堆積したメダルで満杯状態になると、堆積したメダルのうち、切込み部143付近のメダルは、切込み部に向けて投入されたメダルによって衝撃を加えられ、メダルが重なり合うこと(ブリッジ)を防止している。
【0012】
しかしながら、このオーバーフローシュートは、V字形状の切込み部143へメダルをピンポイントで投入させる投入経路を有した装置にしか利用することができず、汎用性に乏しい。即ち、メダル投入位置が、V字形状の切込み部143から少しでもずれると、投入されたメダルが、オーバーフローシュートに衝突してしまうメダル投出装置では、受け皿が満杯状態でないにもかかわらず、メダル回収箱へとそのメダルを流下させてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、基準以上のメダルを円滑に且つ確実に流下させることができるオーバーフローシュートを備えたメダル投出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュートとを備えたメダル投出装置において、前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されているようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
本発明は、又、前記傾斜底部は、横断面の一辺がメダル直径より短いV字形状に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されているようにしたので、メダル押え壁により傾斜底部へメダルが流入することを防止できるため、メダル貯留量を増大できる上に、上流側の誘い込み部にメダルが線接触することを防止できるので、基準以上のメダルを円滑に且つ確実に排出口へ流下させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のメダル投出装置の概略を示す平面図
【図2】従来のメダル投出装置が備えているオーバーフローシュートの特徴を示す平面図
【図3】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す拡大側面図
【図4】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す断面図
【図5】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す拡大平面図
【図6】従来の他のメダル投出装置の問題点を示す斜視図
【図7】本発明に係る一実施形態のメダル投出装置の外観を示す斜視図
【図8】本実施形態のメダル投出装置の分解斜視図
【図9】本実施形態のメダル投出装置の平面図
【図10】図9におけるA−A断面図
【図11】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートを拡大して示す斜視図
【図12】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートの流下部の横断面形状を示す断面図
【図13】受け皿のスライド穴とオーバーフローシュートの係合前の分離された状態を示す斜視図
【図14】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートの挟持部を挿入した状態を示す斜視図
【図15】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートの挟持部を差し込んだ後、水平方向にスライドさせる状態を示す斜視図
【図16】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートを係合した状態を示す斜視図
【図17】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートの作用を示す側面図
【図18】図16におけるB−B断面図
【図19】本実施形態のオーバーフローシュートの作用を示す拡大平面図
【図20】本実施形態のオーバーフローシュートの作用を示す他の拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図7は、本発明に係る一実施形態のメダル投出装置の全体を示す外観斜視図であり、図8は、その分解斜視図である。
【0020】
本実施形態のメダル投出装置は、大別すると受け皿部10と、その下に位置するベースユニット部20と、下から全体を支持するフレーム部30とで構成されている。
【0021】
受け皿部10は、メダルを貯留すると共に、下方へ供給する供給穴等が形成された受け皿11を備えている。この受け皿11には、メダルを貯留するための貯留空間12が四方を囲む壁部13により形成されている。
【0022】
又、ベースユニット部20は、受け皿11の下方に配されて底部を構成するベースプレート21と、該ベースプレート21上に支持され、収容穴に取込んだメダルを回転に伴わせて投出しする回転ディスク22と、該回転ディスク22に取込まれたメダルの円周方向摺動をガイドすると共に、メダル払出し口の間隔を規制するメダルガイド23と、この回転ディスク22を回転駆動させる駆動装置として、ベースプレート21の裏面に取付けられた駆動モータ24と、回転ディスク22の回転に伴い投出されるメダルを計数する計数装置25と、メダル排出口付近の幅を規制する排出プレート26等を備えている。
【0023】
更に、フレーム部30は、ベースユニット部20を保持するベースフレーム31と、受け皿部10を係合固定する受け皿固定レバー32等を備えている。
【0024】
本実施形態のメダル投出装置においては、前記図7に示されるように、前記受け皿部10に含まれるオーバーフローシュート40が、受け皿11における貯留空間12の所定位置に配設され、該貯留空間12から基準以上に貯留されたメダルCを、排出口14を介してメダル回収箱へと排出する経路を構成している。
【0025】
以下、このオーバーフローシュート40について詳述する。
【0026】
前記受け皿部10を上方から見た平面図を図9に、そのA−A断面図を図10にそれぞれ示すように、受け皿11にはメダルCを前記ベースプレート21上の回転ディスク22に供給するために、図9の左方(図10の右方)の上流側から誘導する傾斜面15が形成されている。
【0027】
オーバーフローシュート40は、受け皿11の下流側壁部13Aに形成された排出口14にメダルCを誘導し、外部へ排出する流下部(傾斜底部)41を有しており、傾斜面15の下流側(傾斜下降側)の側壁部13Bに沿って、該傾斜面15より上方に上流端部41Aが位置するように配設されている。
【0028】
このオーバーフローシュート40は、図11に前記排出口14に取付けられる下流側から見た拡大斜視図を示すように、該排出口14に近接する下流側に位置する流下部41の側端には、必要以上のメダルが該流下部41へ流れ込むことを防ぐメダル押え壁42が立設され、上方に延びている。そして、このメダル押え壁42より上流側の流下部41の側端には、直線部43を介して該側端(直線部43)より貯留空間12側に突出した円弧形状の誘い込み部44が、前記上流端部41Aまで連続して形成されている。
【0029】
又、前記傾斜底部である流下部41は、横断面形状が、図12に示すように、各一辺の長さL1、L2がメダルCの直径より短い略V字形状に形成されている。
【0030】
又、図13に、受け皿11と、分離された係合前のオーバーフローシュート40との関係を示すように、オーバーフローシュート40には、前記側壁部13Bに取付ける取付面に、該取付面から離間して鉛直下方に延びる爪状の2つの挟持部47(前記図11には一方のみを示す)と、後述する図19にも拡大して示すように、その各挟持部47の近傍の水平方向に係合する係合爪部48とが形成されている。
【0031】
一方、受け皿11側の対応する側壁部13Bの取付面には、挟持部スライド穴16が貫通形成されており、そこに矢印で示すようにオーバーフローシュート40の挟持部47を挿入し、図14に示すように挟持部47を下方に差し込んだ後、図15に示すように水平方向にスライドさせることにより、係合爪部48が受け皿11に係合し、外れなくなることからオーバーフローシュート40は前記図7、図9に示したように、受け皿11の側壁部13Bに密着した状態で固定される。
【0032】
このように、本実施形態におけるオーバーフローシュート40は、受け皿11への取付け、取外しを簡単にできるようになっている。
【0033】
又、前記流下部41は、誘い込み部44からメダル回収箱が外側に置いてある排出口14へ向けて、メダルCがスムーズに流れるように、例えば20〜30°に傾斜されている。更に、前記誘い込み部44に形成されている連続した円弧形状の曲線部は、前記図9に併せて示したように、その接線が、メダル押え壁42、即ち流下部41の側端に対して、最大となる傾斜角度が、例えば45°以下で交差する関係に形成されている。
【0034】
又、誘い込み部44とメダル押え壁42の間の直線部43は、メダル直径以下の長さで形成され、線接触することが防止されている。但し、この直線部43は、必ずしもなくてもよい。
【0035】
以上の構成からなる本実施形態のメダル投出装置による動作を説明する。
【0036】
図示しない筺体に設置されているメダル投入口からメダル選別機、メダル投入経路を経て受け皿にメダルCが投入され、その投入枚数が誘い込み部44の高さで決まる受け皿の最大保有枚数を超える、即ちその枚数に対応する貯留高さを超えると、メダルCはオーバーフローシュート40の前記図9に示したような連続した円弧形状に形成された誘い込み部44により誘導され、流下部41を経て排出口14から回収箱へと流れ落ちる。
【0037】
このとき、誘い込み部44は、連続した円弧形状に形成されているため、図17にオーバーフローシュート40の側面部と、図18にそのB−B断面図を示すように、この稜線44Aにおいては点接触状態となるため、この図18に示されるようにバランスを崩しやすいため、堆積しにくい。
【0038】
従って、図19にイメージを示すように、バランスを崩したメダルは、受け皿11の貯留空間12の方向に落下するか、スムーズにオーバーフローシュート40の流下部41を通って回収箱へ流れることになる。
【0039】
又、連続した円弧形状の接線がメダル押え壁42に対して45°以下で交差するように形成したので、図20に示すようにオーバーフローシュート40にメダルCを誘い込みやすくなり、その付近でメダルが堆積することを防止できる。
【0040】
又、流下部41の断面形状が、一辺の長さがメダルの直径以下のV字形状に形成されているので、前記図12に示したように流下するメダルCは流下部41に面接触できないため、摩擦抵抗をほとんど受けないですむので、メダルをスムーズに排出口14へと流下させるようにできる。
【0041】
更に、オーバーフローシュート40は、メダル投入位置が、特許文献2のようにピンポイントである必要がなく、誘い込み部44近傍のどの位置であっても、筺体へのメダルの落下を防止することができるため、任意のメダル投出装置に適用できることから、汎用性に優れている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0043】
メダル誘い込み部44を、連続した円弧状に形成することにより、この稜線においてメダルが点接触になる為、バランスを崩して受け皿方向(貯留空間12)に落下するか、スムーズにオーバーフローシュート40を通って回収箱へ流れるようにできる。
【0044】
また、メダルは連続した円弧形状に形成された誘い込み部に沿って流れ、且つ、その接線がメダル押え壁に対しておよそ45°以下に交差するように形成したので、オーバーフローシュート40にメダルが誘い込まれやすくなり、更に、流下部41を、一辺がメダルの直径以下のV型断面形状にしたので、メダルは流下部41に面接触しないことから、摩擦抵抗をほとんど受けないようにできるために、メダルはスムーズにメダル回収箱に流れ、筐体へのメダル落下は改善される。
【0045】
以上のような効果により、メダルの誘い込みが良くなることで、メダル投入位置は制限されることがないため、投入範囲を広くすることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…受け皿部
11…受け皿
12…貯留空間
13…壁部
13A…下流側壁部
13B…側壁部
14…排出口
15…傾斜面
16…挟持部スライド穴
20…ベースユニット部
21…ベースプレート
22…回転ディスク
23…メダルガイド
24…駆動モータ
25…計数装置
26…排出プレート
30…フレーム部
31…ベースフレーム
40…オーバーフローシュート
41…流下部
42…メダル押え壁
43…直線部
44…誘い込み部
46…取付面
47…挟持部
48…係合爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル投出装置、特に受け皿に過剰供給されたメダルを外側の所定位置に適切に排出することができるオーバーフローシュートを備えたメダル投出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、特許文献1に開示されているスロットマシンやパチスロ機等の遊技機に用いられるメダル投出装置の一例を上から見た状態を示す。
【0003】
従来のメダル投出装置は、図示されているようにメダルCを貯留する受け皿100と、この受け皿100の下方に配設された、図示しない回転ディスクと、該回転ディスクをモータ駆動により回転可能に支持するベース板と、これらを保持するベースフレームとによってその概略が構成されている。
【0004】
このようなメダル投出装置は、通常スロットマシンやパチスロ機等の遊技機に備えられている、図示しない筺体内に設置して用いられる。
【0005】
この筺体には、メダルを投入口からメダル選別装置を経て投入するためのメダル投入経路が設けられており、メダル投出装置を該筺体内の所定位置に設置すると、そのメダル投入経路を経て、図示されている受け皿100内の長丸で囲んだメダル投入位置Aに投入されるようになっている。
【0006】
このように投入されるメダルCには、矢印で示す流れに沿って左から右に移動すると共に、受け皿100の下方に配設されている前記回転ディスクに順次供給され、所定の方向に送られて投出される。
【0007】
又、受け皿100には、メダルCが多く投入されすぎた場合に、受け皿100の壁部に形成されている排出口102を通して、筺体内に設置されているメダル回収箱104へメダルCを流すオーバーフローシュート106が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−000569号公報
【特許文献2】特開2007−206952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に開示されている従来のメダル投出装置に採用されているオーバーフローシュートは、その側端から上流端に位置する誘い込み部108が、図2に長丸で囲んで示すように直線部で形成されているため、図3にオーバーフローシュート106を受け皿100の内側から見た側面図で、又、図4に上流端における横断面図で一部のメダルと共に示すように、誘い込み部108の上流端(側端でも同じ)はメダルCの面が接すると線接触することになることから、メダルCが重なり合うこと(ブリッジ)が起こりやすい。
【0010】
そのため、メダルが堆積しやすく、オーバーフローシュート106の傾斜底部である流下部110にまでメダルが重なり、メダル回収箱へメダルが流れにくくなり、図5にイメージを示すように筺体へメダルCが落下してしまうという問題があった。
【0011】
又、このような問題点に鑑みて、特許文献2では、図6にメダル投出装置全体を斜視図で示すように、オーバーフローシュート142の誘い込み部先端にV形状の切込み部143を設け、受け皿内が堆積したメダルで満杯状態になると、堆積したメダルのうち、切込み部143付近のメダルは、切込み部に向けて投入されたメダルによって衝撃を加えられ、メダルが重なり合うこと(ブリッジ)を防止している。
【0012】
しかしながら、このオーバーフローシュートは、V字形状の切込み部143へメダルをピンポイントで投入させる投入経路を有した装置にしか利用することができず、汎用性に乏しい。即ち、メダル投入位置が、V字形状の切込み部143から少しでもずれると、投入されたメダルが、オーバーフローシュートに衝突してしまうメダル投出装置では、受け皿が満杯状態でないにもかかわらず、メダル回収箱へとそのメダルを流下させてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、基準以上のメダルを円滑に且つ確実に流下させることができるオーバーフローシュートを備えたメダル投出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュートとを備えたメダル投出装置において、前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されているようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
本発明は、又、前記傾斜底部は、横断面の一辺がメダル直径より短いV字形状に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されているようにしたので、メダル押え壁により傾斜底部へメダルが流入することを防止できるため、メダル貯留量を増大できる上に、上流側の誘い込み部にメダルが線接触することを防止できるので、基準以上のメダルを円滑に且つ確実に排出口へ流下させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のメダル投出装置の概略を示す平面図
【図2】従来のメダル投出装置が備えているオーバーフローシュートの特徴を示す平面図
【図3】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す拡大側面図
【図4】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す断面図
【図5】従来のオーバーフローシュートの問題点を示す拡大平面図
【図6】従来の他のメダル投出装置の問題点を示す斜視図
【図7】本発明に係る一実施形態のメダル投出装置の外観を示す斜視図
【図8】本実施形態のメダル投出装置の分解斜視図
【図9】本実施形態のメダル投出装置の平面図
【図10】図9におけるA−A断面図
【図11】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートを拡大して示す斜視図
【図12】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートの流下部の横断面形状を示す断面図
【図13】受け皿のスライド穴とオーバーフローシュートの係合前の分離された状態を示す斜視図
【図14】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートの挟持部を挿入した状態を示す斜視図
【図15】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートの挟持部を差し込んだ後、水平方向にスライドさせる状態を示す斜視図
【図16】受け皿のスライド穴にオーバーフローシュートを係合した状態を示す斜視図
【図17】本実施形態に適用されるオーバーフローシュートの作用を示す側面図
【図18】図16におけるB−B断面図
【図19】本実施形態のオーバーフローシュートの作用を示す拡大平面図
【図20】本実施形態のオーバーフローシュートの作用を示す他の拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図7は、本発明に係る一実施形態のメダル投出装置の全体を示す外観斜視図であり、図8は、その分解斜視図である。
【0020】
本実施形態のメダル投出装置は、大別すると受け皿部10と、その下に位置するベースユニット部20と、下から全体を支持するフレーム部30とで構成されている。
【0021】
受け皿部10は、メダルを貯留すると共に、下方へ供給する供給穴等が形成された受け皿11を備えている。この受け皿11には、メダルを貯留するための貯留空間12が四方を囲む壁部13により形成されている。
【0022】
又、ベースユニット部20は、受け皿11の下方に配されて底部を構成するベースプレート21と、該ベースプレート21上に支持され、収容穴に取込んだメダルを回転に伴わせて投出しする回転ディスク22と、該回転ディスク22に取込まれたメダルの円周方向摺動をガイドすると共に、メダル払出し口の間隔を規制するメダルガイド23と、この回転ディスク22を回転駆動させる駆動装置として、ベースプレート21の裏面に取付けられた駆動モータ24と、回転ディスク22の回転に伴い投出されるメダルを計数する計数装置25と、メダル排出口付近の幅を規制する排出プレート26等を備えている。
【0023】
更に、フレーム部30は、ベースユニット部20を保持するベースフレーム31と、受け皿部10を係合固定する受け皿固定レバー32等を備えている。
【0024】
本実施形態のメダル投出装置においては、前記図7に示されるように、前記受け皿部10に含まれるオーバーフローシュート40が、受け皿11における貯留空間12の所定位置に配設され、該貯留空間12から基準以上に貯留されたメダルCを、排出口14を介してメダル回収箱へと排出する経路を構成している。
【0025】
以下、このオーバーフローシュート40について詳述する。
【0026】
前記受け皿部10を上方から見た平面図を図9に、そのA−A断面図を図10にそれぞれ示すように、受け皿11にはメダルCを前記ベースプレート21上の回転ディスク22に供給するために、図9の左方(図10の右方)の上流側から誘導する傾斜面15が形成されている。
【0027】
オーバーフローシュート40は、受け皿11の下流側壁部13Aに形成された排出口14にメダルCを誘導し、外部へ排出する流下部(傾斜底部)41を有しており、傾斜面15の下流側(傾斜下降側)の側壁部13Bに沿って、該傾斜面15より上方に上流端部41Aが位置するように配設されている。
【0028】
このオーバーフローシュート40は、図11に前記排出口14に取付けられる下流側から見た拡大斜視図を示すように、該排出口14に近接する下流側に位置する流下部41の側端には、必要以上のメダルが該流下部41へ流れ込むことを防ぐメダル押え壁42が立設され、上方に延びている。そして、このメダル押え壁42より上流側の流下部41の側端には、直線部43を介して該側端(直線部43)より貯留空間12側に突出した円弧形状の誘い込み部44が、前記上流端部41Aまで連続して形成されている。
【0029】
又、前記傾斜底部である流下部41は、横断面形状が、図12に示すように、各一辺の長さL1、L2がメダルCの直径より短い略V字形状に形成されている。
【0030】
又、図13に、受け皿11と、分離された係合前のオーバーフローシュート40との関係を示すように、オーバーフローシュート40には、前記側壁部13Bに取付ける取付面に、該取付面から離間して鉛直下方に延びる爪状の2つの挟持部47(前記図11には一方のみを示す)と、後述する図19にも拡大して示すように、その各挟持部47の近傍の水平方向に係合する係合爪部48とが形成されている。
【0031】
一方、受け皿11側の対応する側壁部13Bの取付面には、挟持部スライド穴16が貫通形成されており、そこに矢印で示すようにオーバーフローシュート40の挟持部47を挿入し、図14に示すように挟持部47を下方に差し込んだ後、図15に示すように水平方向にスライドさせることにより、係合爪部48が受け皿11に係合し、外れなくなることからオーバーフローシュート40は前記図7、図9に示したように、受け皿11の側壁部13Bに密着した状態で固定される。
【0032】
このように、本実施形態におけるオーバーフローシュート40は、受け皿11への取付け、取外しを簡単にできるようになっている。
【0033】
又、前記流下部41は、誘い込み部44からメダル回収箱が外側に置いてある排出口14へ向けて、メダルCがスムーズに流れるように、例えば20〜30°に傾斜されている。更に、前記誘い込み部44に形成されている連続した円弧形状の曲線部は、前記図9に併せて示したように、その接線が、メダル押え壁42、即ち流下部41の側端に対して、最大となる傾斜角度が、例えば45°以下で交差する関係に形成されている。
【0034】
又、誘い込み部44とメダル押え壁42の間の直線部43は、メダル直径以下の長さで形成され、線接触することが防止されている。但し、この直線部43は、必ずしもなくてもよい。
【0035】
以上の構成からなる本実施形態のメダル投出装置による動作を説明する。
【0036】
図示しない筺体に設置されているメダル投入口からメダル選別機、メダル投入経路を経て受け皿にメダルCが投入され、その投入枚数が誘い込み部44の高さで決まる受け皿の最大保有枚数を超える、即ちその枚数に対応する貯留高さを超えると、メダルCはオーバーフローシュート40の前記図9に示したような連続した円弧形状に形成された誘い込み部44により誘導され、流下部41を経て排出口14から回収箱へと流れ落ちる。
【0037】
このとき、誘い込み部44は、連続した円弧形状に形成されているため、図17にオーバーフローシュート40の側面部と、図18にそのB−B断面図を示すように、この稜線44Aにおいては点接触状態となるため、この図18に示されるようにバランスを崩しやすいため、堆積しにくい。
【0038】
従って、図19にイメージを示すように、バランスを崩したメダルは、受け皿11の貯留空間12の方向に落下するか、スムーズにオーバーフローシュート40の流下部41を通って回収箱へ流れることになる。
【0039】
又、連続した円弧形状の接線がメダル押え壁42に対して45°以下で交差するように形成したので、図20に示すようにオーバーフローシュート40にメダルCを誘い込みやすくなり、その付近でメダルが堆積することを防止できる。
【0040】
又、流下部41の断面形状が、一辺の長さがメダルの直径以下のV字形状に形成されているので、前記図12に示したように流下するメダルCは流下部41に面接触できないため、摩擦抵抗をほとんど受けないですむので、メダルをスムーズに排出口14へと流下させるようにできる。
【0041】
更に、オーバーフローシュート40は、メダル投入位置が、特許文献2のようにピンポイントである必要がなく、誘い込み部44近傍のどの位置であっても、筺体へのメダルの落下を防止することができるため、任意のメダル投出装置に適用できることから、汎用性に優れている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0043】
メダル誘い込み部44を、連続した円弧状に形成することにより、この稜線においてメダルが点接触になる為、バランスを崩して受け皿方向(貯留空間12)に落下するか、スムーズにオーバーフローシュート40を通って回収箱へ流れるようにできる。
【0044】
また、メダルは連続した円弧形状に形成された誘い込み部に沿って流れ、且つ、その接線がメダル押え壁に対しておよそ45°以下に交差するように形成したので、オーバーフローシュート40にメダルが誘い込まれやすくなり、更に、流下部41を、一辺がメダルの直径以下のV型断面形状にしたので、メダルは流下部41に面接触しないことから、摩擦抵抗をほとんど受けないようにできるために、メダルはスムーズにメダル回収箱に流れ、筐体へのメダル落下は改善される。
【0045】
以上のような効果により、メダルの誘い込みが良くなることで、メダル投入位置は制限されることがないため、投入範囲を広くすることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…受け皿部
11…受け皿
12…貯留空間
13…壁部
13A…下流側壁部
13B…側壁部
14…排出口
15…傾斜面
16…挟持部スライド穴
20…ベースユニット部
21…ベースプレート
22…回転ディスク
23…メダルガイド
24…駆動モータ
25…計数装置
26…排出プレート
30…フレーム部
31…ベースフレーム
40…オーバーフローシュート
41…流下部
42…メダル押え壁
43…直線部
44…誘い込み部
46…取付面
47…挟持部
48…係合爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、
該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュートとを備えたメダル投出装置において、
前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、
前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されていることを特徴とするメダル投出装置。
【請求項2】
前記傾斜底部は、横断面の一辺がメダル直径より短いV字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメダル投出装置。
【請求項1】
壁部に囲まれた貯留空間に貯留されたメダルを、下方に配設されたベースプレート上に回転可能に支持された回転ディスクに供給する受け皿と、
該貯留空間に基準以上に貯留されたメダルを、該貯留空間の壁部に形成された排出口に誘導し、外部へ排出する傾斜底部を有するオーバーフローシュートとを備えたメダル投出装置において、
前記オーバーフローシュートが有する傾斜底部の側端には、
前記排出口に近接する下流側に上方に延びたメダル押え壁と、該メダル押え壁より上流側に上流端部まで連続した円弧形状の誘い込み部とが形成されていることを特徴とするメダル投出装置。
【請求項2】
前記傾斜底部は、横断面の一辺がメダル直径より短いV字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメダル投出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−282528(P2010−282528A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136858(P2009−136858)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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