メダル貸出機
【課題】不正行為によるメダルの不正貸出を防止することができるようになるメダル貸出機の提供。
【解決手段】メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段150 と、不正行為検知手段150 からの不正検知信号により無端ベルト53を強制的に停止させる強制停止手段230 とを設け、これにより、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、貸出メダル払出装置25を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段150 が不正検知信号を出力して、強制停止手段230 が無端ベルト53を強制的に停止させるようにする。貸出メダル払出装置25が作動しても、無端ベルト53が作動しないので、メダルが外部に排出されず、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【解決手段】メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段150 と、不正行為検知手段150 からの不正検知信号により無端ベルト53を強制的に停止させる強制停止手段230 とを設け、これにより、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、貸出メダル払出装置25を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段150 が不正検知信号を出力して、強制停止手段230 が無端ベルト53を強制的に停止させるようにする。貸出メダル払出装置25が作動しても、無端ベルト53が作動しないので、メダルが外部に排出されず、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うのにメダルを投入する必要があるスロットマシンに、メダルを自動的に投入することができるメダル貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人々に娯楽を提供する遊技機として、遊技媒体であるメダルを用いるスロットマシンが利用されている。このスロットマシンでは、メダルを投入した後、所定の操作を行うと、複数種類の図柄が記された複数の回転リールが一斉に回転駆動される。そして、遊技者は、回転された複数の回転リールを順番に停止させていき、停止させた回転リールに示される図柄を所定の組合せに揃えることができれば、入賞となり、スロットマシンに設けられているメダル貯留用の下皿に所定枚数のメダルが払い出され、これらのメダルを賞品として受けることができる。
ここで、スロットマシンを備えた遊技場には、遊技者にメダルを貸し出すためのメダル貸出機が設けられているのが一般的である。そして、配列された複数のスロットマシンの間にメダル貸出機を設置すれば、隣接するスロットマシンで遊技を行う遊技者が当該スロットマシンから離れなくとも、メダルの貸し出しを受けることができる。
【0003】
ここで、メダル貸出機としては、複数のメダルを貯留するメダル貯留装置と、隣接するスロットマシンにメダルを搬送するための搬送ベルト装置と、搬送ベルト装置から送られてきたメダルをスロットマシンのメダル投入口に導く移送通路部とを備えたものが知られている。
ここで、メダル貯留装置は、搬送ベルト装置の上方に配置され、貯留しているメダルを搬送ベルト装置のベルトの上に排出可能となっている。また、搬送ベルト装置は、ベルトを駆動して、ベルトの上に載置されたメダルをスロットマシンの移送通路部まで搬送するとともに、移送通路部に達したメダルを移送通路部の溝の内部に落とし込むように形成されている。そして、移送通路部は、スロットマシンのメダル投入口に向かって下り勾配が付けられ、これにより、溝の内部に落とし込まれたメダルが自重によりメダル投入口まで到達して、メダル投入口の内部に自動的に投入されるようになっている。
【0004】
このようなメダル貸出機によれば、遊技者が貸出メダルの代金となる紙幣をメダル貸出機に投入すると、メダル貸出機のメダル貯留装置が搬送ベルト装置のベルトの上にメダルを排出する。すると、搬送ベルト装置がベルトの上に載ったメダルをスロットマシンの移送通路部まで搬送して移送通路部の溝の内部に落とし込む。そして、移送通路部の溝の内部に落とし込まれたメダルは、移送通路部を通ってスロットマシンのメダル投入口の内部に自動的に投入される。これにより、紙幣をメダル貸出機に投入するだけで、スロットマシンにメダルが自動投入されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−192721号(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のようなメダル貸出機では、外部から細長い棒状の器具を内部に挿通して、メダル貯留装置を不正に作動させると、搬送ベルト装置も連動して作動してしまうので、前述のような不正行為により、スロットマシンにメダルが投入されてしまい、不正行為によるメダルの不正貸出を防止することができない、という問題がある。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不正行為によるメダルの不正貸出を防止することができるようになるメダル貸出機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシン(1)に向かってメダルを送り出すベルト(53)を有する搬送ベルト装置(40)と、複数のメダルを貯留するとともに、前記搬送ベルト装置(40)の前記ベルト(53)の上に、貯留しているメダルを排出可能となっているメダル貯留装置(25)とが内蔵され、遊技者のメダル貸出要求操作に対応して、前記メダル貯留装置(25)が前記ベルト(53)の上にメダルを排出し、前記搬送ベルト装置(40)が前記ベルト(53)を正回転方向へ駆動して、前記スロットマシン(1)にメダルを供給するメダル貸出機(2)であって、当該メダル貸出機(2)に対して行われる不正行為を検知するとともに、不正行為を検知すると不正検知信号を出力する不正行為検知手段(150) と、この不正行為検知手段(150) から前記不正検知信号を受信すると、前記搬送ベルト装置(40)による前記ベルト(53)の回転駆動を強制的に停止させる強制停止手段(230) とを備えていることを特徴とする。
【0007】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、前述した請求項1に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記ベルト(53)の上方に形成されるとともに、複数のメダルが通過可能となっている一括投入口(31)と、この一括投入口(31)を閉鎖可能なサイズのシャッタ(33)と、前記一括投入口(31)を閉鎖する閉鎖位置及び前記一括投入口(31)を開放する開放位置の二位置の間に渡ってシャッタ(33)を駆動可能な駆動手段(35)と、前不正行為検知手段(150) が前記不正検知信号を送信した後、前記搬送ベルト装置(40)に対して前記ベルト(53)を駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、前記シャッタ(33)を強制的に閉鎖位置へ移動させる強制閉鎖手段(240) とが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項1又は2記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項3記載の発明は、紙幣が投入される紙幣投入口(21)を有し、この紙幣投入口(21)に投入された紙幣を検査し、当該紙幣が真正なものである場合に、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力する紙幣カウンタ(22)を備え、この紙幣カウンタ(22)から出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測し、この受信間隔が所定時間以下の場合に、不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段(170) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0009】
(請求項4)
(特徴点)
請求項4記載の発明は、前述した請求項3記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項4記載の発明は、前記紙幣投入口(21)に紙幣が投入されると、紙幣投入信号を出力するように、前記紙幣カウンタ(22)が形成され、前記紙幣カウンタ(22)から前記貸出要求信号及び前記紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、前記紙幣投入信号を受信していないのに、前記貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段(160) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0010】
(請求項5)
(特徴点)
請求項5記載の発明は、前述した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項5記載の発明は、当該メダル貸出機(2)の内部に備えられている電極部の電圧を検出し、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が前記電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段(180) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、電極部としては、当該メダル貸出機(2)に内蔵されている各種の装置、例えば、メダル貯留装置(25)等において、信号の入出力を行うために設けられている入力端子又は出力端子を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、当該メダル貸出機に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段と、不正行為検知手段からの不正検知信号によりベルトを強制的に停止させる強制停止手段とを設けたので、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、メダル貯留装置を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段が不正検知信号を出力して、強制停止手段がベルトを強制的に停止させるので、メダル貯留装置が作動しても、ベルトが作動しないので、メダルが外部に排出されることがなく、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【0013】
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2記載の発明によれば、ベルトの上方に複数のメダルが通過可能となった一括投入口を設けたので、一括投入口のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにすれば、遊技者は、一括投入口から複数のメダルをまとめて投入するとともに、搬送ベルト装置のベルトを作動させれば、スロットマシンにメダルが一枚ずつ自動的に投入されるようになる。これにより、遊技者は、手動でメダルを一枚ずつスロットマシンのメダル投入口に投入していく煩雑さから開放されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる
ここで、信号受信手段が不正検知信号を受信した後、搬送ベルト装置に対してベルトを駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、強制閉鎖手段がシャッタで一括投入口を強制的に閉鎖するようにしたので、一括投入口のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにしても、不正行為により一括投入口が閉鎖され、メダル貯留装置の作動によりベルトの上に排出されたメダルを取ることができず、従って、不正行為を行った者がメダルを獲得することを未然に防止することができる。
【0014】
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、紙幣が長手方向に投入される紙幣カウンタは、紙幣が投入されてから、当該紙幣が真正なものであるか否かを判定するまでに、硬貨等に比べると、ある程度の長い時間を要する。従って、請求項3記載の発明によれば、紙幣カウンタから出力される貸出要求信号の受信間隔が所定時間以下の場合に不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段を設け、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われ、紙幣カウンタから短時間の間に複数の貸出要求信号が出力されると、紙幣カウンタ異常検知手段の受信間隔が異常に短くなり、紙幣カウンタ異常検知手段が不正検知信号を出力するようにしたので、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0015】
(請求項4の効果)
請求項4記載の発明によれば、上記した請求項3記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項4記載の発明によれば、紙幣投入口に紙幣が投入されると、紙幣カウンタから出力される紙幣投入信号と、紙幣カウンタからの貸出要求信号との両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段を設けたので、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われ、紙幣を投入していないのに、紙幣カウンタから貸出要求信号が出力されると、異常信号検知手段が不正検知信号を出力するようになり、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0016】
(請求項5の効果)
請求項5記載の発明によれば、上記した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項5記載の発明によれば、メダル貸出機の内部に備えられている電極部に、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段を設けたので、メダル貸出機に内蔵された装置を誤作動させる電圧を加えることにより、メダル貸出機を不正に動作させると、異常電圧検知手段が誤作動のための電圧を検知するので、当該不正行為が行われたことが確実に検知され、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態である一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図10は、本発明に係る一実施形態を示すものである。図1は、本実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す正面図及び平面図、図2は、本実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す斜視図、図3は、本実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大斜視図、図4は、本実施形態に係るスロットマシンの要部を示す拡大斜視図、図5は、本実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大断面図、図6は、本実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大断面図、図7は、本実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大斜視面図、図8は、本実施形態に係る駆動制御装置の概略構成を示すブロック図、図9は、本実施形態に係る不正行為検知手段の概略構成を示すブロック図、図10は、本実施形態に係る不正行為検知時動作制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1及び図2において、本実施形態に係るメダル貸出機2は、遊技を行うためにメダルの投入が必要なメダル遊技機であるスロットマシン1で遊技を行う遊技者に、メダルを貸し出すためのものである。このようなメダル貸出機2は、遊技場に設置されている2台のスロットマシン1の間に配置されるようになっている。
ここで、メダル貸出機2には、2つの動作モードが設定されている。その一方は、両側に配置された2台のスロットマシン1のうち、遊技場の係員等が指定した一方のスロットマシン1へのみ、メダルの投入が可能な片側供給モードである。そして、他方の動作モードは、2台のスロットマシン1のいずれかへもメダルの投入が可能な両側供給モードである。そして、これら2つの動作モード、すなわち、片側供給モード及び両側供給モードは、遊技場の係員等によるキースイッチ操作により、一方から他方へ切り換えることが可能となっている。
【0019】
このようなメダル貸出機2の筐体である外箱20は、スロットマシン1とともに整列配置できるように、スロットマシン1の筐体4に対応した高さ及び奥行きに設定されるとともに、スロットマシン1の筐体4よりも幅が狭くされたものとなっている。
以下に、メダル貸出機2及びスロットマシン1について説明するが、メダル貸出機2について詳細に説明する前に、まず、スロットマシン1について簡単に説明する。
なお、以下の説明において、「前方向」や「手前方向」とは、スロットマシン1に向かって、奥から手前へ向かう方向、換言すると、スロットマシン1の筐体4の奥行き方向に沿って近づく方向をいう。
【0020】
反対に、「後方向」や「奥方向」とは、スロットマシン1に向かって、手前から奥へ向かう方向、換言すると、スロットマシン1の筐体4の奥行き方向に沿って遠ざかる方向をいう。また、「左方向」及び「右方向」とは、それぞれスロットマシン1又はメダル貸出機2に向かった場合の右方向及び左方向をいう。
(スロットマシン1の概要)
本実施形態に係るスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口された略六面体の箱状に形成され筐体4と、筐体4の前面開口を塞ぐために筐体4に回動可能に取り付けられた前扉13とを備えている。
【0021】
このうち前扉13は、筐体4の前面開口の上方部分を塞ぐ上部前扉13A と、筐体4の前面開口の下方部分を塞ぐ下部前扉13B とに分割されたものとなっている。
そして、上部前扉13A 及び下部前扉13B は、別々に回動するものであり、下部前扉13B を先に開放しなければ、上部前扉13A を開放できないようになっている。
このような前扉13には、筐体4の内部に設けられた図示しない回転リールの図柄を外部に露出させるための図柄表示窓14が形成されている。この図柄表示窓14の下方となる前扉13の上下方向における略中央部分には、スロットマシン1の遊技操作を行うための操作部16が設けられ、この操作部16にスタートスイッチ16A 及びストップスイッチ16B 等の操作用の機器が設置されている。
【0022】
そして、この操作部16の図2中右方の端部近傍には、遊技メダルを投入するためのメダル投入部10が設けられている。
なお、筐体4の内部におけるメダル投入部10の下方には、特に図示しないが、遊技メダルの真贋を判断すると共に投入メダルをカウントするためのメダルセレクターが設けられている。
また、前扉13の下部には、払い出しメダルを貯留可能な下皿15が設けられている。
メダル投入部10は、図1及び図2に示すように、細長いスリット状に形成されて、上方から遊技メダルを1枚ずつ投入可能なメダル投入口としての上部投入開口11と、上部投入開口11の側方に凹溝状に連通する側方移送通路12A, 12Bとを備えたものとなっている。
【0023】
側方移送通路12A は、メダル貸出機2に隣接する部分である、スロットマシン1の右方の側縁部分から上部投入開口11まで、メダルを立てた状態で回転させながら導く移送通路である。換言すると、側方移送通路12A は、図1〜図3に示すように、スロットマシン1がメダル貸出機2の左側に配置された場合に、図1〜図3において左方を向いて開口されたメダル貸出機2のメダル排出口66A から排出される遊技用のメダルを上部投入開口11まで導くものである。
また、側方移送通路12B は、メダル貸出機2に隣接する部分である、スロットマシン1の左方の側縁部分から上部投入開口11まで、メダルを立てた状態で回転させながら導く移送通路である。換言すると、側方移送通路12B は、図1及び図4に示すように、スロットマシン1がメダル貸出機2の右側に配置された場合に、図1において右方を向いて開口されたメダル排出口66B から排出される遊技用のメダルMを、図4の如く、上部投入開口11まで導くものである。
【0024】
ここで、上部投入開口11がスロットマシン1の右方の側縁近傍に設けられていることから、スロットマシン1の左方の側縁部分から上部投入開口11まで延びる側方移送通路12B の方が側方移送通路12A よりも長くなっている。
なお、側方移送通路12B の底面には、図4中左側の端部から上部投入開口11側の端部へ向かって下り勾配が設けられている。このような底面の下り勾配により、メダルMは、側方移送通路12B の図4中左側の端部から上部投入開口11まで確実に到達するようになっている。
スロットマシン1は、メダルを投入して遊技を開始し、遊技結果によってはメダルを遊技者に払い出すものとなっている。更に具体的に説明すると、スロットマシン1は、遊技者がメダル投入部10から遊技メダルを投入し、スタートスイッチ16A を操作することにより、回転リールの回転を開始するとともに、内部で当否抽選を行うようになっている。
【0025】
回転を開始した回転リールは、遊技者がストップスイッチ16B を操作することにより、回転を停止するになっている。
ここで、スロットマシン1は、通常遊技中に行われた当否抽選の結果、ボーナスゲーム等の大当たり役に当選することにより、図柄表示窓14に表示された回転リールの図柄が所定の組合せとなるように、遊技者が回転リールを停止させること、換言すると、遊技者が入賞を引き当てることが可能性となっている。
そして、スロットマシン1は、大当たり役に当選した遊技状況で、遊技者が停止させた回転リールの図柄が所定の組合せとなると、遊技者が入賞を引き当てたこととなり、通常遊技に比べて短時間に大量のメダルを獲得することが可能な大当たり遊技を行うことができるように構成されている。
【0026】
この際、メダル貸出機2の左右に配置されたスロットマシン1各々は、不正行為を検知する不正行為検知手段(図示略)を備えたものとなっている。
各スロットマシン1の不正行為検知手段は、上部投入開口11の内部に特殊な器具を挿入してメダルの貯留量であるクレジットを不正に増やす、いわゆる「クレマンゴト」、筐体4の内部に針金状の器具を挿入してメダルを払い出すホッパユニット(図示略)を不正に作動させてメダルを獲得する「ホッパゴト」、予め設定された振動数で機械的に振動する体感器で、内部抽選における当選のタイミングを把握しながら遊技を行う「体感器ゴト」及び、特殊な工具を使用する等により当選確率がより高い設定へ不正に変更する「設定変更ゴト」等の不正行為を検出するものとなっている。
【0027】
そして、各スロットマシン1は、その不正行為検知手段が不正行為を検知すると、不正検知信号をホールコンピュータ及びメダル貸出機2の両方へ送出する機能を備えたものとなっている。
(メダル貸出機2)
メダル貸出機2は、前述したようにスロットマシン1の間に配置され、いずれの側のスロットマシン1に対してもメダルを貸し出すことが可能なものとなっている。このために、メダル貸出機2の前面20A には、図2に示すように、貸し出されるメダルの代金としての紙幣が投入される紙幣投入口21が設けられている。
【0028】
そして、メダル貸出機2は、スロットマシン1の側面側に隣接して設置される箱型の装置であって、紙幣、例えば、千円札が紙幣投入口21に投入されると、その千円札と引き替えに遊技者に遊技メダルを貸し出すものである。また、メダル貸出機2には、必要に応じて、貸し出したメダルをスロットマシン1のメダル投入部10に連続的且つ自動的に投入する機能が備えられている。
すなわち、メダル貸出機2は、図2に示すように、遊技者等が投入した紙幣を検査し、検査した紙幣を内部に貯留する紙幣カウンタ22と、投入された紙幣の金額に応じて遊技者にメダルを払い出す貸出メダル払出装置25と、外箱20の前面20A から突出するように取り付けられるとともに、メダルをスロットマシン1に連続投入するためのメダル投入装置3と、このメダル投入装置3の動作を制御する駆動制御装置280 とを備えたものである。
【0029】
なお、遊技場の係員等によるキースイッチ操作は、例えば、駆動制御装置280 に対して行われる操作であり、具体的には、図示しないキースイッチ装置に係員等がキーを挿入することにより行われるように構成されている。
紙幣カウンタ22は、外箱20の前面下端の近傍に設けられた紙幣投入口21から内部に投入された紙幣を検査し、更に詳しく説明すると、紙幣の表面に印刷された図柄模様を読み取り、真正の紙幣であることを認識すると、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力するものである。
この紙幣カウンタ22には、紙幣投入口21に投入された紙幣の表面に印刷された図柄模様を読み取るための図示しない紙幣センサと、紙幣投入口21を閉鎖可能なサイズに形成された閉鎖部材21A と、紙幣投入口21を閉鎖する閉鎖位置及び紙幣投入口21を開放する開放位置の二位置の間に渡って閉鎖部材21A を駆動可能な閉鎖部材駆動手段であるソレノイド21B と、紙幣投入口21に紙幣が投入されたことを検知するために、紙幣投入口21の近傍に配置された図示しない紙幣投入センサとが設けられている。
【0030】
このような紙幣カウンタ22は、紙幣センサが出力する信号に基づいて、投入された紙幣が正規のものであるか否かを判定するとともに、当該紙幣の種類を判定する機能を有し、投入された紙幣が真正である場合には、前述のメダル貸出要求信号に加えて、紙幣の額に応じた紙幣信号を出力するものとなっている。
また、紙幣カウンタ22は、紙幣投入口21に紙幣が投入されると、前述の紙幣投入センサが紙幣投入信号を出力するようになっている。
そして、貸出メダル払出装置25は、紙幣カウンタ22がメダル貸出要求信号及び紙幣信号を出力すると、紙幣信号に応じた枚数のメダルを遊技者に貸し出すものとなっている。
【0031】
なお、メダル貸出機2としては、紙幣投入口21及び紙幣カウンタ22に加えて、硬貨投入口や硬貨カウンタ、及び、釣り銭払い出し口、更には、プリペイドカード投入口とカードリーダーとを備えたものでもよい。
貸出メダル払出装置25は、複数のメダルを貯留するとともに、後述するメダル移送装置40の無端ベルト53の上に、貯留しているメダルを排出可能に形成されたメダル貯留装置である。具体的には、貸出メダル払出装置25は、紙幣カウンタ22からのメダル貸出要求信号及び紙幣信号を受信すると、その内部に貯留していたメダルの払い出しを行う、いわゆるホッパー装置となっている。
【0032】
この貸出メダル払出装置25には、特に図示していないが、多数のメダルを貯留しておくためのタンクと、このタンクの底部からメダルを1枚ずつ排出する送出円板と、この送出円板を回転駆動する駆動モータと、排出されるメダルをカウントするためのメダルセンサとが設けられている。
このうち、送出円板には、メダルが入り込む複数の孔が形成されている。そして、前述の駆動モータで送出円板が回転駆動されると、送出円板の孔に入ったメダルが1枚ずつ貸出メダル払出装置25の外へ排出されるようになっている。
また、貸出メダル払出装置25は、メダルセンサがカウントしたメダル枚数が所定値に達すると、駆動モータを停止させ、メダルの払い出しを停止するとともに、後述するメダル移送装置40に無端ベルト53の作動を開始させるためのベルト起動信号を出力するように構成されている。
【0033】
(メダル投入装置3)
メダル投入装置3は、貸出メダル払出装置25から、あるいは、遊技者の手から複数のメダルをまとめて受けるとともに、受けた複数のメダルをスロットマシン1のメダル投入部10へ連続的に投入するための機能を有するものである。
具体的には、メダル投入装置3は、図3及び図5に示すように、メダル貸出機2の外箱20の前面に突出するように取り付けられたカバー体30と、このカバー体30の内部に設けられるとともに、メダルを送り出すためのメダル移送装置40(図5にのみ示す)と、外箱20の前面から突出するカバー体30の先端部分に設けられるとともに、スロットマシン1のメダル投入部10側へ導くために、メダルの移動方向及び姿勢を変換する導入路装置60とを備えたものとなっている。
【0034】
(カバー体30)
カバー体30は、図3及び図5の如く、外箱20の上下方向における略中央部分において、外箱20の前面20A から手前方向に突出する箱形部材である。
このカバー体30には、図5の如く、複数のメダルをまとめて内部に投入するために上方に開口された一括投入口31が形成されるとともに、この一括投入口31から投入されたメダルを一時的に貯留するためのメダル貯め部44が内部に設けられている。そして、このカバー体30の内部には、メダル貯め部44に貯留されているメダルをメダル移送方向の下流側へ連続的に移送可能なメダル移送装置40が収納されている。
【0035】
カバー体30における一括投入口31の手前には、図3の如く、周縁部分に対して中央部分が凹まされるとともに、周縁部分から一括投入口31に向かって緩やかに傾斜した下り勾配を有する皿状部32が形成されている。
この皿状部32は、一括投入口31の手前側及び側方に向かって延出している。皿状部32の周縁部分は、内側よりも高く形成された堰部272 となっている。この堰部272 は、一括投入口31の一方の側部から手前部分を経由して他方の側部に達するU字状に延びるとともに、平坦な上面を有するものとなっている。
ここで、カバー体30には、図5に示すように、一括投入口31を閉鎖するためのシャッタ33が摺動可能に設けられている。
【0036】
更に具体的に説明すると、シャッタ33は、一括投入口31を閉鎖可能なサイズに形成されたものである。そして、シャッタ33は、一括投入口31を閉鎖する閉鎖位置Uと、一括投入口31を開放する開放位置Vとの間を摺動可能となったものであり、開放位置Vに配置されている場合には、皿状部32の下方に隠蔽されるようになっている。
また、カバー体30の内部には、シャッタ33の両面にそれぞれ摩擦係合する一対のローラ34A, 34Bと、一対のローラ34A, 34Bの少なくとも一方を駆動してシャッタ33を移動させる駆動手段であるシャッタ・モータ35と、ローラ34A, 34Bの少なくとも一方にシャッタ・モータ35の駆動トルクを伝達する図示しない歯車群とが設けられている。
【0037】
そして、シャッタ33は、遊技場の係員等がキースイッチ操作を行い、片側供給モードから両側供給モードへ動作モードを切り換えると、閉鎖位置Uへ移動され、一括投入口31を閉鎖するようになっている。
反対に、シャッタ33は、両側供給モードから片側供給モードへ動作モードが切り換えられると、開放位置Vへ移動され、一括投入口31を開放するようになっている。
以上において、シャッタ・モータ35は、一括投入口31を閉鎖する閉鎖位置U及び一括投入口31を開放する開放位置Vの二位置の間に渡ってシャッタ33を駆動可能な駆動手段となっている。
【0038】
堰部272 の平坦な上面には、金属等の導電性を有する材質からなる接触センサ274 が、堰部272 の上面に沿ってU字状に延びるように敷設されている。この接触センサ274 は、メダル移送装置40の起動及び停止の操作を行うための接触作動スイッチである。
すなわち、メダル貸出機2の動作モードが片側供給モードであるときに、接触センサ274 に手を触れることにより、接触センサ274 からベルト起動信号が出力されて、メダル移送装置40に設けられた後述する駆動モータ55が起動され、接触センサ274 に触れている手を離すことにより、駆動モータ55が停止するようになっている。
さらに詳しく説明すると、メダル移送装置40の駆動モータ55は、接触センサ274 に継続して触れている時間が予め定められた連続操作時間に満たない場合には、起動してから3枚のメダルを移送すると停止し、接触センサ274 に継続して触れている時間が連続操作時間を超えた場合には、3枚を超える枚数のメダルを連続的に移送するように設定されている。なお、メダル貸出機2の動作モードが両側供給モードのときには、接触センサ274 に手を触れても、駆動モータ55が起動しないようになっている。
【0039】
(排出機構80)
外箱20の前面から突出するカバー体30の根本部分の下方には、図5の如く、メダル移送装置40から排出される異物やキャンセルメダルを受け止めるためのメダル取り出し皿90が回動軸95によって軸支されている。このメダル取り出し皿90は、その内部がメダル移送装置40から排出される異物やキャンセルメダルを収納する排出収納部93となっており、カバー体30の底部において上下に揺動可能となっている。
ここで、排出収納部93の上方には、カバー体30の底面に開口されたキャンセル開口49が設けられ、このキャンセル開口49のさらに上方には、メダル貯め部44の底部に形成されるとともに、当該メダル貯め部44とその下方のキャンセル開口49側の空間とを連通させるためのリセット排出口85が設けられている。
【0040】
このうち、リセット排出口85は、当該リセット排出口85に応じた平板状に形成された開閉板82によって開閉されるようになっている。また、リセット排出口85のさらに図5中左斜め上方には、カバー体30に開口された一括投入口31が位置している。
キャンセル開口49は、上方に跳ね上げられたメダル取り出し皿90によって閉鎖されるようになっている。
すなわち、メダル取り出し皿90は、図示しないバネにより、メダル取り出し皿90を跳ね上げる方向に、換言すると、キャンセル開口49を閉鎖する方向に向かって付勢されている。これにより、キャンセル開口49は、常時閉鎖されるようになっている。一方、バネの付勢力に抗してメダル取り出し皿90を手等で押し下げれば、キャンセル開口49は、開放されるようになっている。必要に応じて、メダル取り出し皿90を手等で押し下げ、キャンセル開口49を開放して、メダル取り出し皿90の排出収納部93に溜まった貯留物をすべて取り除いた後、メダル取り出し皿90を押し下げていた力を抜けば、メダル取り出し皿90が自動的に閉じるようになっている。
【0041】
これにより、スロットマシン1の上下に分割された前扉13のうち、図1(B)の如く、下方に配置された下部前扉13B を開く際に、メダル取り出し皿90が開くことがなく、下部前扉13B の回動範囲に突出して回動の邪魔になることを未然に防止することができる。
なお、メダル取り出し皿90としては、バネによる付勢力で自動的に復帰する自己復帰機構を備えていないものでもよく、閉じた状態及び開いた状態との2位置において凹部及び凸部が互いに係止しあい、メダル取り出し皿90を停止させる係止機構を備えたもの、単に、回動軸95によって開閉可能に軸支されているだけで、自重により、開いた状態を維持しているものでも良い。メダル取り出し皿90は、手で押し上げることにより、図5において二点鎖線で示すように、閉じた状態にすることができる。これにより、正面から向かって右隣に配置された別のスロットマシン1に設けられた下側の扉を開放する際、手でメダル取り出し皿90を閉じた状態にして、開放する下扉の邪魔になることを回避することができる。
【0042】
開閉板82は、図5の如く、カバー体30側に軸支された回動軸84がソレノイド操作機81のプランジャ83に連結され、ソレノイド操作機81に電流を導通させることにより、リセット排出口85を閉鎖する位置及び開放する位置の一方から他方へ回動駆動されるようになっている。
これら開閉板82及びソレノイド操作機81により、メダル移送装置40の内部にあるメダルや異物などを、カバー体30の底面に形成されたキャンセル開口49から排出させる排出機構80が形成されている。
この排出機構80の作動により、一括投入口31を通じてメダル貯め部44に投入されたメダルがメダル取り出し皿90に排出されるようになっている。
【0043】
また、遊技場の管理者等がゴミ等の貯留物を回収する際に、排出機構80を作動させた後、メダル取り出し皿90を手前側に回転させることにより、メダル取り出し皿90に溜まった貯留物を手で簡単に取り出すことができるようになっている。
(メダル移送装置40)
メダル移送装置40は、図5に示すように、その表面にゴム等の被覆がなされた帯状部材を環状に形成した無端ベルト53と、この無端ベルト53を循環駆動するための駆動モータ55とを備えたものである。この無端ベルト53は、メダル貯め部44の底部を形成するものであり、循環駆動されることにより、メダル貯め部44に貯留されたメダルを送り出すものとなっている。換言すると、メダル移送装置40は、正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシン1に向かってメダルを送り出すベルトである無端ベルト53を有する搬送ベルト装置となっている。
【0044】
ここで、メダル貯め部44の上方であって、一括投入口31の奥側となる部分には、貸出メダル払出装置25から送出されてきたメダルを、メダル貯め部44に取り入れるための貸出メダル受入口42が設けられている。これにより、メダル貯め部44は、一括投入口31から投入されたメダル、及び、貸出メダル受入口42から投入されたメダルの両方を一時的に貯留するための空間となっている。
また、一括投入口31の奥行き方向におけるほぼ中央部分には、両側の側面を連結する仕切棒100 が設けられている。この仕切棒100 は、メダル貯め部44にメダルが投入される際に、メダルをほぼ所定の姿勢に揃えるためのものである。
【0045】
すなわち、メダルが一括投入口31を通過する際に、メダルの姿勢が縦向き(メダルの表裏面と仕切棒100 との交差角度が直角に近い状態)となっていると、仕切棒100 がメダルの落下経路上における障害物となり、そのままの姿勢でメダルが一括投入口31を通過するのを抑制するようになっている。
一方、メダルが一括投入口31を通過する際に、メダルの姿勢が横向き(メダルの表裏面と仕切棒100 とが平行に近い状態)となっていると、仕切棒100 がメダルの落下経路上における障害物とならず、メダルの一括投入口31の通過を許容するようになっている。そして、仕切棒100 が一括投入口31を通過するメダルの姿勢を整えることにより、一括投入口31を通ったメダルが、その下方のメダル貯め部44に落下すると、他のメダルの上に平積みとなり、これにより、無端ベルト53による移送が容易に行えるようになっている。
【0046】
(無端ベルト53の循環機構)
無端ベルト53を循環させる循環機構は、導入路装置60側及びメダル貯め部44側のそれぞれに配置された二つのローラ51A, 51Bと、これらのローラ51A, 51Bのうち、導入路装置60側に配置されたローラ51A を介して無端ベルト53を駆動するための駆動モータ55と、この駆動モータ55の駆動力をローラ51A に伝達するための図示しない減速ギア群とを備えたものとなっている。
二つのローラ51A, 51Bは、その間に無端ベルト53が掛け渡される二つのベルト車となっており、ローラ51A の方がローラ51B よりも若干高い高さレベルに配置され、無端ベルト53の移送面を手前側に向かってやや上り勾配となるように傾斜させている。
【0047】
これら二つのローラ51A, 51Bのうち、駆動モータ55に駆動されるローラ51A の上方には、駆動モータ55によって駆動されるとともに、ローラ51A と同じ回転方向に回転駆動される余剰メダル排除ローラ52が設けられている。
余剰メダル排除ローラ52は、その外周面に、その回転軸の軸方向に延びる撹拌溝58が形成されたものとなっている。無端ベルト53は、余剰メダル排除ローラ52を回転駆動させて、撹拌溝58に無端ベルト53の上方のメダルを攪拌させることにより、メダルの滞留を防止してメダルの効率よい移送が行えるようになっている。
このような余剰メダル排除ローラ52の外周面と、無端ベルト53のメダルを載置させる移送面とが形成する隙間54は、メダル1枚の厚みよりも大きく、メダル2枚分の厚みよりは小さい寸法となっている。
【0048】
また、余剰メダル排除ローラ52は、その外周面における径方向の移動速度が、無端ベルト53の移送面の移動速度よりも早くなるように設定されている。
さらに、余剰メダル排除ローラ52がローラ51A, 51Bと同一方向に回転するので、互いに対向する無端ベルト53の移送面と余剰メダル排除ローラ52の外周面とは、その移動方向が互いに逆になっている。
そして、無端ベルト53に移送されてきたメダルが複数枚重なった状態で余剰メダル排除ローラ52に接近すると、一番下の1枚の遊技メダルを残して、2枚目より上の遊技メダルは、余剰メダル排除ローラ52によって、余剰メダル排除ローラ52の上流側に設けられた空間であるメダル戻り部45へ向かって弾き飛ばされるようになっている。
【0049】
また、図5において、一括投入口31の左側の端縁部分には、一括投入口31から投入されたメダルがメダル戻り部45へ進入することは制限するが、余剰メダル排除ローラ52によって弾き飛ばされてメダル戻り部45に達したメダルがさらに上流側へ後退することは許容する移動調整弁43が設けられている。
すなわち、無端ベルト53の上方には、平板状の移動調整弁43が垂れ下がった状態で揺動自在に軸支されている。
また、無端ベルト53の進行方向に向かって左右両側に位置する内側面41には、移動調整弁43に向かって突出するストッパ43C が設けられている。このストッパ43C は、垂れ下がり状態における移動調整弁43のメダル戻り部45側の面に係合するものとなっている。移動調整弁43は、先端部分がストッパ43C に係止されるので、メダル貯め部44側へは回動可能とされ、メダル戻り部45側へは回動不可能となっている。
【0050】
ここで、移動調整弁43がメダル貯め部44からメダル戻り部45へメダルが前進することを阻止し、無端ベルト53によって移送されたメダルが隙間54に進入する際に、一括投入口31から投入されたメダルが割り込むことを防止するので、無端ベルト53によって移送されたメダルのみが隙間54に到達可能となっている。これにより、無端ベルト53によって移送されてきた複数のメダルは、1枚ずつ移送方向下流側の導入路装置60へ円滑に送り出されるようになっている。
一方、移動調整弁43は、メダル戻り部45からメダル貯め部44へのメダルが後退することを適宜許容するので、重なった複数のメダルのうち、上方に配置されていた余剰なメダルが余剰メダル排除ローラ52によってメダル戻り部45側へ向かって弾き飛ばされると、移動調整弁43を押し開いて、速やかに、メダル貯め部44に戻るようになっている。
【0051】
なお、移動調整弁43は、垂れ下がり状態において、その先端と無端ベルト53の移送面との間隔が、メダルの直径よりも長くなるように設定されている。これにより、メダルが移動調整弁43の下方を起立状態で通過する際に、移動調整弁43が障害物とならず、起立状態となっていてもメダルが移動調整弁43の下方をスムーズに通過可能となっている。
また、余剰メダル排除ローラ52には、図示しないワンウェイ・クラッチ等の内部機構を介して駆動トルクが加わるようになっている。このため、無端ベルト53を逆回転する場合には、図示しないワンウェイ・クラッチ等の内部機構により、余剰メダル排除ローラ52が回転しないようになっている。
【0052】
さらに、無端ベルト53から導入路装置60まで至る途中において、余剰メダル排除ローラ52の取り付け位置よりもメダルの移送方向における下流側の位置に、特に図示していないが、無端ベルト53の両側で互いに対向する壁面の各々から突出するとともに、無端ベルト53の移送面に先端が接し、且つ、互いの先端の間にメダル一枚分の間隔が形成された一対の突出体を形成しても良い。このような一対の突出体を設ければ、無端ベルト53によって移送されてきたメダルが幅方向における所定位置を通過するようになり、メダルの移送位置を所定の位置に整えることができる。
(導入路装置60)
導入路装置60は、左側に配置されたスロットマシン1の側方移送通路12A 、及び、右側に配置されたスロットマシン1の側方移送通路12B のいずれかにメダルを導入するための装置である。
【0053】
導入路装置60には、図5に示すように、無端ベルト53によって移送されてきたメダルを受け入れる受入部63と、メダルの導入先を切り換える切換部70と、メダル投入装置3の前面下部を覆って受入部63を内部に隠蔽するカバー部材61とが設けられている。
このうち、受入部63は、図5中上端が無端ベルト53側へ湾曲した姿勢誘導板62A と、この姿勢誘導板62A に対向して配置された平板状の通路形成板62B と、姿勢誘導板62A 及び通路形成板62B の間に形成された通路部65とを備えたものとなっている。
このような受入部63は、メダルを姿勢誘導板62A に沿わせて移動させることにより、無端ベルト53の移送面の上に倒れた状態で移送されてきたメダルを起し、通路部65を通じてメダルを下方の切換部70へ落下させながら切換部70へと導くものである。
【0054】
姿勢誘導板62A の図5における下端近傍部分には、通路部65内をメダルが通過したか否かを検知するための近接センサ64が設けられている。
近接センサ64は、メダルの接近を検知する応答性能が比較的良好なものである。このような近接センサ64は、メダルが近接センサ64の近傍を通過すると、メダルを検知した旨を示す検知信号を一時的に出力するものである。そして、メダルが詰まると、近接センサ64からメダルの検知信号が連続的に出力されるようになっている。これにより、メダルの通過及びメダル詰まりの両方が検知可能となっている。
このような近接センサ64としては、検出領域内の磁界の変化を検出する誘導形近接スイッチ、検出領域内の電界の変化を検出する静電容量形近接スイッチ、及び、光線の反射又は遮断を検出する光学近接スイッチ等の非接触式近接スイッチを採用するのが好ましいが、非検出物と直接接触することによって検出を行う機械式の近接スイッチ、いわゆるリミットスイッチを採用することもできる。
【0055】
また、近接センサ64の検知信号は、メダル貸出機2の図示しない制御部に受信され、メダル貸出機2の制御部は、受信した検知信号に基づいてメダル移送の異常を検知するようになっている。
例えば、通路部65の内部で遊技メダルが詰まると、近接センサ64は、検知信号を出力し続けるようになっている。そして、メダル貸出機2の制御部は、近接センサ64からの検知信号を連続的に受信すると、メダル移送に異常が生じたと判断し、すべての動作を一時的に停止させるとともに、遊技者に対して、メダルが詰まったので、係員等を呼ぶことを促すための音声を出力する、あるいは、その旨の表示を行うように設定されている。
【0056】
(切換部70)
切換部70は、両側のスロットマシンの一方から他方へメダルの供給先を切り換えるメダル供給切換機構である。
すなわち、切換部70は、図3に示すように、一方側のスロットマシン1の方向を向く位置から、他方側のスロットマシン1の方向を向く位置の2位置間を移動可能に形成され、いずれかのスロットマシン1の上部投入開口11にメダルを投入するための貸出ノズル71を備えたものである。そして、切換部70には、図5に示すように、貸出ノズル71の先端部分を両側のスロットマシン1のうちの一方側のスロットマシン1から他方側のスロットマシン1へ駆動させるための駆動装置72が設けられている。
【0057】
このうち、貸出ノズル71は、図5の如く、カバー部材61に回動可能に取り付けられている回動部材73の周面に突設されている。換言すると、貸出ノズル71は、その基端部分がカバー部材61に回転可能に取り付けられたものとなっている。
一方、駆動装置72は、薄型モータを含んで構成されたものであり、回動部材73の下方に配置されている。駆動装置72の駆動軸72A は、回動部材73の底部に連結されている。
図3に戻って、カバー体30の前面における図3中左側に偏った位置には、押しボタン式の貸出スイッチ67A が設けられている。また、カバー体30の前面における図3中右側に偏った位置には、押しボタン式の貸出スイッチ67B が左側の貸出スイッチ67A に対応した高さレベルとなるように設けられている。
【0058】
これらの貸出スイッチ67A, 67Bは、左右いずれかのスロットマシン1を特定して貸し出しを開始するためのスイッチとなっている。
そして、貸出スイッチ67A を押圧操作することにより、両側のスロットマシン1のうち、図3中左側のスロットマシン1が特定されるようになっている。この貸出スイッチ67A の押圧操作により、駆動装置72は、回動部材73を時計方向へ回動駆動して、貸出ノズル71を特定された図3中左側のスロットマシン1に臨む位置まで貸出ノズル71を移動させることが許容されるようになっている。
一方、貸出スイッチ67B を押圧操作することにより、両側のスロットマシン1のうち、図3中右側のスロットマシン1が特定されるようになっている。この貸出スイッチ67B の押圧操作により、駆動装置72は、回動部材73を反時計方向へ回動駆動して、貸出ノズル71を特定された図3中右側のスロットマシン1に臨む位置まで貸出ノズル71を移動させることが許容されるようになっている。
【0059】
そして、貸出スイッチ67A, 67Bの上方には、内部でメダル詰まりが生じたこと等を示すエラー表示や、不正行為等により異常が生じたことを知らせるための警報表示を行うことが可能な液晶表示装置275 が設けられている。ここで、カバー体30の内部にブザーを設け、エラー表示又は警報表示を行う際に、ブザーを鳴動させてもよい。
また、切換部70には、貸出ノズル71、駆動装置72及び回動部材73に加えて、図3に示すように、回動部材73の図3中左側に配置されている固定ノズル74A と、回動部材73の図3中右側に配置されている固定ノズル74B とが設けられている。
固定ノズル74A は、図3中左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A の右端部と対向するメダル排出口66A が先端に設けられ、当該側方移送通路12A の内部にメダルを送り込む筒状部材である。換言すると、固定ノズル74A は、図3中左側のスロットマシン1に臨む位置に貸出ノズル71が配置された際に、貸出ノズル71と接続されることにより、図3中左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A と、貸出ノズル71とを相互に連通する筒状部材である。
【0060】
ここで、固定ノズル74A 及び固定ノズル74B は、切換部70から、それぞれ対応するスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A, 12Bまでの距離に応じて設定された長さ寸法を有するものであり、固定ノズル74B の方が固定ノズル74A よりも長くなっている。
固定ノズル74B は、図1中右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B の左端部と対向するメダル排出口66B が先端に設けられ、当該側方移送通路12B の内部にメダルを送り込む筒状部材である。換言すると、固定ノズル74B は、図1中右側のスロットマシン1に臨む位置に貸出ノズル71が配置された際に、貸出ノズル71と接続されることにより、図1中右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B と、貸出ノズル71とを相互に連通する筒状部材である。
【0061】
固定ノズル74A と回動部材73との間には、図3に示すように、貸出ノズル71が固定ノズル74A との接続位置に移動された際に、貸出ノズル71を内部に収納する凹部75A が設けられている。
また、固定ノズル74B と回動部材73との間には、固定ノズル74A 側と同様に、貸出ノズル71が固定ノズル74B との接続位置に移動された際に、貸出ノズル71を内部に収納する凹部75B が設けられている。
以上において、貸出ノズル71が左側のスロットマシン1の方向を向く位置は、凹部75A の内部に設定され、貸出ノズル71が右側のスロットマシン1の方向を向く位置は、凹部75B の内部に設定され、これらの二つの位置は、両方ともメダル貸出機2側に設定されたものとなっている。
【0062】
そして、凹部75A の奥側に設けられている側面部分は、貸出ノズル71が右側のスロットマシン1の方向を向く位置の近傍となる部位となっている。そして、この凹部75A の側面部分は、回転してきた貸出ノズル71の側部である側面部分と係合して、貸出ノズル71を当該位置に位置決めする係合当接部76A となっている。
また、凹部75B の奥側に設けられている側面部分は、貸出ノズル71が左側のスロットマシン1の方向を向く位置の近傍となる部位となっている。そして、この凹部75B の側面部分は、回転してきた貸出ノズル71の側部である側面部分と係合して、貸出ノズル71を当該位置に位置決めする係合当接部76B となっている。
【0063】
メダル貸出機2は、係合当接部76A, 76Bの各々によって貸出ノズル71が位置決めされることにより、貸出ノズル71から送り込まれてきたメダルが、固定ノズル74A, 74Bの内部に確実に送り込まれ、ひいては、スロットマシン1の側方移送通路12A, 12Bの内部に確実に取り込まれるように形成されている。
この際、凹部75A には、貸出ノズル71が内部に収納されたことを検出する図示しない左側ノズル近接センサが設けられている。この左側ノズル近接センサは、貸出ノズル71が凹部75A の内部に収納されると、収納検出信号を出力するものとなっている。
また、凹部75A の内部に収納された貸出ノズル71がぐらつかないように、貸出ノズル71及び凹部75A の互いに対向する側面には、互いに吸着し合う向きに磁極が配置された図示しない磁石がそれぞれ設けられている。
【0064】
一方、凹部75B には、凹部75A と同様に、貸出ノズル71が内部に収納されたことを検出する図示しない右側ノズル近接センサが設けられている。この右側ノズル近接センサは、貸出ノズル71が凹部75B の内部に収納されると、収納検出信号を出力するものとなっている。
また、凹部75B の内部に収納された貸出ノズル71がぐらつかないように、貸出ノズル71及び凹部75B の互いに対向する側面には、互いに吸着し合う向きに磁極が配置された図示しない磁石がそれぞれ設けられている。
なお、駆動装置72は、前述した磁石の吸着力よりも充分強い駆動力を発揮するものが採用され、磁石の吸着力に抗して回動部材73を回動駆動できるようになっている。
【0065】
回動部材73は、図6及び図7に示すように、回動動作が容易に行えるように、略円柱状に形成された本体部材を備え、この本体部材の内部に略L字形状に延びるメダル通路73A が形成されたものである。このメダル通路73A の断面内法は、メダルを1枚ずつ通過させるために、メダルの直径及び厚さ寸法に対応したものとなっている。
また、メダル通路73A の一端は、回動部材73の上方の端面に開口され、この開口がメダル入口73B となっている。また、メダル通路73A の他端は、貸出ノズル71の先端部分に開口され、この開口がメダル出口73C となっている。
上方から落下してきたメダルは、メダル入口73B から略L字形状に延びるメダル通路73A の内部に進入し、メダル通路73A の折れ曲がり部分で進行方向を略水平方向に変換され、メダル出口73C から略水平方向へ排出されるようになっている。
【0066】
この際、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに収納された状態となっているときにのみ、回動部材73の上方の通路部65を通って落下してくるメダルが、メダル入口73B からメダル通路73A の内部へ進入することが可能となっている。そして、この状態となっているときにのみ、メダル通路73A を通過してメダル出口73C から略水平方向へ排出されるメダルが、固定ノズル74A, 74B のいずれかの内部へ進入可能となっている。
そして、貸出ノズル71が凹部75A に収納された状態においては、導入路装置60の通路部65、回動部材73のメダル通路73A 、及び、固定ノズル74A の内部に形成されている通路が接続され、無端ベルト53によってメダル貯め部44から送り出されたメダルを左側のスロットマシン1に設けられた側方移送通路12A の入口まで導く一連のメダル通路を形成するようになっている。
【0067】
また、貸出ノズル71が凹部75B に収納された状態においては、通路部65、メダル通路73A 、及び、固定ノズル74B の内部に形成されている通路が接続され、無端ベルト53によってメダル貯め部44から送り出されたメダルを右側のスロットマシン1に設けられた側方移送通路12B の入口まで導く一連のメダル通路を形成するようになっている。
以上において、側方移送通路12A, 12Bのうち、左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A は、当該スロットマシン1の方向を向く位置に配置された貸出ノズル71から排出されたメダルを、当該スロットマシン1に設けられた上部投入開口11まで導くものとされている。一方、右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B は、当該スロットマシン1の方向を向く位置に配置された貸出ノズル71から排出されたメダルを、当該スロットマシン1に設けられた上部投入開口11まで導くものとされている。
【0068】
(駆動制御装置280)
駆動制御装置280 は、メダルの貸出先を切り換える貸出ノズル71の切換動作、メダルを移送する無端ベルト53のメダル移送動作、一括投入口31を閉鎖するシャッタ33の開閉動作、及び、紙幣投入口21を閉鎖する閉鎖部材21A の開閉動作等、各装置の動作を制御するものである。
このような駆動制御装置280 は、メダル投入装置3の動作を制御するために、マイクロコンピュータを利用したCPU並びにROM及びRAM等の記憶手段を含んで構成されたハードウェアを備えたものである。駆動制御装置280 のハードウェアには、メダルの貸出動作制御を行うためのソフトウェアがインストールされている。
【0069】
また、駆動制御装置280 には、両側に配置された2台のスロットマシン1及び当該メダル貸出機2のいずれかで不正行為が行われた際に、その不正行為に対処する動作をさせるべく、無端ベルト53、シャッタ33及び閉鎖部材21A の動作制御を行う不正行為対処制御プログラムがインストール、あるいは、当該動作制御を実現するハードウェアが設置されている。換言すると、駆動制御装置280 には、図8に示すように、メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知するための不正行為検知手段150 と、2台のスロットマシン1及び当該メダル貸出機2のいずれかで不正行為が行われた際にメダル貸出機2の動作を制御する不正行為検知時動作制御手段200 とが設けられている。
【0070】
そして、駆動制御装置280 は、無端ベルト53を駆動する駆動モータ55、シャッタ33を駆動するシャッタ・モータ35及び閉鎖部材21A を駆動するソレノイド21B のそれぞれを電気的に駆動するベルト用駆動モータドライバ281 、シャッタ・モータドライバ282 及び閉鎖部材用ソレノイドドライバ283 が、その出力ポートに接続され、これらを通じて、駆動モータ55、シャッタ・モータ35及びソレノイド21B の動作を制御するようになっている。
不正行為検知手段150 は、メダル貸出機2に設けられている図示しない電極部の電圧を検出し、検出した電圧、並びに、前述した紙幣カウンタ22からのメダル貸出要求信号及び紙幣投入信号に基づいて不正行為が行われているか否か検知するものである。そして、不正行為検知手段150 は、メダル貸出機2に対して不正行為が行われていることを検知すると、不正行為検知時動作制御手段200 へ不正検知信号を送信するようになっている。
【0071】
ここで、不正行為検知手段150 によって電圧が検出される電極部としては、当該駆動制御装置280 、紙幣カウンタ22及び貸出メダル払出装置25等の不正行為が行われるおそれのある装置の入出端子そのもの、及び、これらの入出力端子の近傍に設けられた不正行為検出用の電極等が採用されている。
不正行為検知時動作制御手段200 は、不正行為検知手段150 からの不正検知信号等の制御に必要な信号を受信し、受信した信号に基づいて、ベルト用駆動モータドライバ281 、シャッタ・モータドライバ282 及び閉鎖部材用ソレノイドドライバ283 の動作を制御するものとなっている。
【0072】
ここで、不正行為検知時動作制御手段200 が制御に必要とする信号として、前述の不正行為検知手段150 からの不正検知信号に加えて、以下の信号が不正行為検知時動作制御手段200 に入力されるようになっている。
1.遊技場の係員等によるキースイッチ操作によって両側供給モードに切り換えられた際にキースイッチ装置から出力される両側供給モード信号。
2.キースイッチ操作によって片側供給モードに切り換えられ、且つ、メダルの供給先として左側のスロットマシン1が指定された際にキースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号。
【0073】
3.メダル貸出機2の左側に配置されたスロットマシン1に対して不正行為が行われたことを当該スロットマシン1が検知した際に、メダル貸出機2に向かって発信される左側スロットマシン不正検知信号。
4.メダル貸出機2の右側に配置されたスロットマシン1に対して不正行為が行われたことを当該スロットマシン1が検知した際に、メダル貸出機2に向かって発信される右側スロットマシン不正検知信号。
5.一括投入口31の周縁部分に形成された堰部272 の表面に設けられている接触センサ274 に遊技者の指等が接触した際に、当該接触センサ274 から出力される、あるいは、貸出のために排出したメダルの枚数が所定値に達した際に、貸出メダル払出装置25から出力されるベルト起動信号。
【0074】
ここで、不正行為検知手段150 としては、ソフトウェアを含んで形成されたものだけでなく、ハードウェアのみで形成されたものも採用できる。以下、ハードウェアのみで形成した場合の不正行為検知手段150 について説明する。図9には、不正行為検知手段150 の概略構成が示されている。
不正行為検知手段150 には、図9の如く、紙幣カウンタ22からの貸出要求信号及び紙幣投入信号に基づいて不正行為の検知を行う異常信号検知手段160 と、貸出要求信号を受信した間隔に基づいて不正行為の検知を行う紙幣カウンタ異常検知手段170 と、電極部の電圧に基づいて不正行為の検知を行う異常電圧検知手段180 とが不正行為を検知する不正行為検知手段として設けられている。
【0075】
また、不正行為検知手段150 には、異常信号検知手段160 、紙幣カウンタ異常検知手段170 及び異常電圧検知手段180 の出力信号の論理和を演算する論理和演算回路190 が設けられている。
異常信号検知手段160 は、紙幣投入信号及び貸出要求信号を入力信号とする排他論理和回路161 と、この排他論理和回路161 の出力信号及び貸出要求信号を入力信号とする論理積回路162 とを備えたものとなっている。これにより、異常信号検知手段160 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号及び紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力するようになっている。
【0076】
紙幣カウンタ異常検知手段170 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測する間隔計測部171 と、この間隔計測部171 が計測した受信間隔と予め設定された値とを比較して、計測した受信間隔が適正な値であるか否かを判定する間隔比較部172 とを備えている。これにより、紙幣カウンタ異常検知手段170 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号の出力間隔、すなわち、間隔計測部171 の計測した受信間隔が所定時間以下の場合に、間隔比較部172 から不正検知信号を出力するようになっている。
【0077】
異常電圧検知手段180 は、前述した電極部に印加される電圧の電圧値を測定する電圧測定部181 と、この電圧測定部181 が測定した電圧値と予め設定された上限値及び下限値とを比較して、測定した電圧値が適正な範囲内にあるか否かを判定する電圧値比較部182 と、電極部に印加される電圧の周波数を測定する周波数測定部183 と、この周波数測定部183 が測定した周波数と予め設定された上限値及び下限値とを比較して、測定した周波数が適正な範囲内にあるか否かを判定する周波数比較部184 とを備えている。これにより、異常電圧検知手段180 は、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力するようになっている。
【0078】
そして、不正行為検知手段150 は、異常信号検知手段160 、紙幣カウンタ異常検知手段170 及び異常電圧検知手段180 のいずれかから不正検知信号が出力されると、これらの不正検知信号を受信する論理和演算回路190 が、メダル貸出機2の内部で発生した不正検知信号である内部不正検知信号を出力するようになっている。
不正行為検知時動作制御手段200 としては、ソフトウェアを含んで形成されたものだけでなく、ハードウェアのみで形成されたものも採用できる。以下、ハードウェアのみで形成した場合の不正行為検知時動作制御手段200 について説明する。図10には、不正行為検知時動作制御手段200 の概略構成が示されている。
【0079】
不正行為検知時動作制御手段200 には、図10の如く、メダル貸出機2の両側に配置されたスロットマシン1からの不正検知信号を受信する信号受信手段210 と、スロットマシン1及び不正行為検知手段150からの不正検知信号に基づいて不正行為に対して行うべき動作を選択する動作選択手段220 と、メダルを移送する無端ベルト53の強制停止を行うための強制停止手段230 と、一括投入口31の強制閉鎖を行うための強制閉鎖手段240 と、紙幣投入口21の閉鎖を行う紙幣投入口閉鎖手段250 とが設けられている。
信号受信手段210 は、メダル貸出機2の左側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号、及び、メダル貸出機2の右側に配置された側のスロットマシン1から出力される不正検知信号の二信号を入力信号とする論理和回路211 と、選択すべき信号を左側のスロットマシン1からの不正検知信号及び右側のスロットマシン1からの不正検知信号の一方から他方へ切り換えるためのスイッチング回路212 とを備えている。
【0080】
これにより、信号受信手段210 は、両側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号のいずれもが受信可能となるように形成されている。
この際、論理和回路211 には、両側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号の両方が入力されるようになっている。そして、論理和回路211 は、両側のスロットマシン1のいずれかに対して不正行為が行われると、両側供給モード時に必要な不正検知信号を出力するようになっている。
スイッチング回路212 は、片側供給モード時において、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1の不正検知信号を選択するものとなっている。すなわち、スイッチング回路212 は、左側のスロットマシン1が指定された際にキースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号を受信すると、左側のスロットマシン1から出力される不正検知信号を選択して出力するものとなっている。一方、スイッチング回路212 は、片側供給モード時において、右側のスロットマシン1が指定されたために、キースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号の受信がなされない場合には、右側のスロットマシン1から出力される不正検知信号を選択して出力するものとなっている。
【0081】
ここにおいて、信号受信手段210 からは、片側供給モード時において指定された一方のスロットマシン1から出力された指定不正検知信号、及び、二つのスロットマシン1の不正検知信号の論理和となった論理和不正検知信号の二種類の不正検知信号が出力されるようになっている。
動作選択手段220 は、メダル貸出機2に設定されているメダルの供給モード(両側供給モード又は片側供給モード)、貸出メダル払出装置25による無端ベルト53へのメダルの排出枚数、及び、遊技者等の接触センサ274 への接触状況に応じて、不正行為に対する動作を選択するものとなっている。
【0082】
この動作選択手段220 には、信号受信手段210 から送られてくる二つの不正検知信号のうちの一方を選択するスイッチング回路221 と、両側供給モード時にスイッチング回路221 からの信号を遮断するスイッチング素子222 と、片側供給モード時にスイッチング回路221 からの信号を遮断するスイッチング素子223 と、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出する論理和回路224 と、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出する論理積回路225 と、この論理積回路225 に強制閉鎖許可信号を送出する論理和回路226 とが設けられている。
スイッチング回路221 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号が入力され、両側供給モード信号を受信すると、信号受信手段210 が出力する指定不正検知信号及び論理和不正検知信号のうち、論理和不正検知信号を選択して、選択した論理和不正検知信号を選択不正検知信号として出力するようになっている。
【0083】
また、スイッチング回路221 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、信号受信手段210 が出力する指定不正検知信号を選択して、選択した指定不正検知信号を選択不正検知信号として出力するようになっている。
スイッチング素子222 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号を受信して、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を遮断するようになっている。
また、スイッチング素子222 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、導通状態を維持して、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を論理和回路226 へそのまま送出するようになっている。
【0084】
これにより、両側供給モード時においては、スイッチング素子222 が遮断状態となるので、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のいずれかが不正検知信号を出力しても、出力された不正検知信号が論理和回路226 到達しないようになっている。
一方、片側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のうち、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1か出力する不正検知信号が論理和回路226 到達するようになっている。
スイッチング素子223 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号を受信して導通状態となり、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を紙幣投入口閉鎖手段250 へ送出するようになっている。
【0085】
また、スイッチング素子223 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、遮断状態を維持し、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を遮断するようになっている。
これにより、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のいずれかが不正検知信号を出力すると、この出力された不正検知信号がスイッチング素子222 から出力されるようになっている。そして、スイッチング素子222 から出力された不正検知信号が閉鎖指令信号として紙幣投入口閉鎖手段250 に受信されるようになっている。これにより、閉鎖部材21A が閉鎖位置まで移動して、紙幣投入口21が閉鎖されるようになっている。
【0086】
一方、片側供給モード時においては、スイッチング素子223 が遮断状態を維持し、いかなる不正検知信号も紙幣投入口閉鎖手段250 に受信されることがなく、紙幣投入口21が開放状態を維持するようになっている。
論理和回路224 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号、及び、スイッチング回路221 からの選択不正検知信号を受信し、これらの不正検知信号に基づいて、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出するものである。
具体的には、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1、並びに、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかが不正検知信号を出力すると、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出するようになっている。そして、強制停止指令信号を受信した強制停止手段230 は、メダルを移送する無端ベルト53を強制停止させる、あるいは、無端ベルト53の停止状態を強制的に維持させるようになっている。
【0087】
一方、片側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のうち、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1、及び、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかが不正検知信号を出力すると、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出し、これにより、強制停止手段230 が、メダルを移送する無端ベルト53を強制停止させる、あるいは、無端ベルト53の停止状態を強制的に維持させるようになっている。
論理和回路226 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号、及び、スイッチング素子222 を通じて送られてくるスイッチング回路221 からの選択不正検知信号が入力され、これらの二つの信号のいずれかを受信すると、論理積回路225 に強制閉鎖許可信号を送出するものである。
【0088】
具体的には、両側供給モード時においては、スイッチング素子222 がスイッチング回路221 からの選択不正検知信号を遮断してしまい、論理和回路226 が選択不正検知信号を受信することがないので、論理和回路226 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号を受信すると、論理積回路225 へ強制閉鎖許可信号を送出するようになっている。
一方、片側供給モード時においては、スイッチング素子222 が導通状態となるので、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号が出力されたときだけでなく、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1から不正検知信号が出力されたときにも、論理和回路226 は、論理積回路225 へ強制閉鎖許可信号を送出するようになっている。
【0089】
論理積回路225 は、論理和回路226 から送られてくる強制閉鎖許可信号、及び、接触センサ274 等から送られてくるベルト起動信号が入力され、これらの二つの信号を同時に受信すると、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するものである。
具体的には、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1、並びに、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかから不正検知信号を受信している状態で、接触センサ274 等からベルト起動信号を受信すると、論理積回路225 は、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するようになっている。
一方、片側供給モード時においては、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1から不正検知信号を受信している状態で、接触センサ274 等からベルト起動信号を受信すると、論理積回路225 は、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するようになっている。
【0090】
続いて、本実施形態に係るメダル貸出機2の両側供給モードにおけるメダル貸出動作、及び、メダル貸出機2及びその両側のスロットマシン1のいずれかに不正行為が行われた場合の不正行為対応動作のそれぞれに係る一連の処理について、図11及び図12のフローチャートを参照しながら説明する。
メダル貸出動作に係る一連の処理であるメダル貸出処理、及び、不正行為対応動作に係る一連の処理である不正行為対応処理は、駆動制御装置280 のROMに記憶されて、そのCPUよって実行されるソフトウェアで並列処理することができ、且つ、遊技者側から見ると、同時に処理されるものとなっている。以下の説明では、まず最初に、メダル貸出処理及びについて説明し、この説明の次に、不正行為対応処理について説明する。
【0091】
メダル貸出機2の電源を投入する等により、メダル貸出処理が開始され、ステップS1100において、メダル貸出機2の動作モードを設定する処理が行われる。ここでは、前述したキースイッチ操作により動作モードを両側供給モードに設定する。この動作モードの設定処理が完了したら、次のステップS1200へ進み、このステップS1200で、シャッタ33を駆動して、このシャッタ33で一括投入口31を閉鎖する処理を行う。
この閉鎖処理により、一方のスロットマシン1へメダルを貸し出す際に、他方のスロットマシン1で遊技を行っている遊技者が一括投入口31へ多数のメダルを投入しようとしても、一括投入口31が閉鎖されているので、遊技者は、一括投入口31へのメダルの投入が行えなくなる。これにより、2台のスロットマシン1の間にメダル貸出機2を設置し、これら2台のスロットマシンの両方に対して、1台のメダル貸出機2でメダルを貸し出すようにしても、一方のスロットマシン1で遊技している遊技者に貸し出されるメダルと、他方のスロットマシン1で遊技している遊技者が投入したメダルとがメダル貸出機2の内部で混ざり合うことがなく、所有者の異なるメダルが混ざり合ってしまうというトラブルを未然に防止することができる。
【0092】
このような閉鎖処理が完了した後、次のステップS1300へ進む。
ステップS1300では、千円札が紙幣投入口21に投入されたか否かの判断がなされる。このステップS1300で、千円札が紙幣投入口21に投入されていないと判断された場合には、千円札が紙幣投入口21に投入されるまで、ステップS1300を繰り返す。一方、ステップS1300で、千円札が紙幣投入口21に投入されたと判断された場合には、次のステップS1400へ進む。
ステップS1400では、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されたか否か判断される。このステップS1400で、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されていないと判断された場合には、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されるまで、ステップS1400を繰り返す。一方、ステップS1400で、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されたと判断された場合には、次のステップS1500へ進む。
【0093】
ステップS1500では、押圧操作された貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが特定するスロットマシン1側を貸出ノズル71が向くように、貸出ノズル71を移動させる貸出ノズル71の移動処理が開始される。更に具体的に説明すると、左側の貸出スイッチ67A が押圧操作された場合、ステップS1500では、左側のスロットマシン1側を向くように貸出ノズル71の移動が開始される。反対に、右側の貸出スイッチ67B が押圧操作された場合、ステップS1500では、右側のスロットマシン1側を向くように貸出ノズル71の移動が開始される。貸出ノズル71の移動処理を開始したら、次のステップS1600へ進む。
ステップS1600では、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに到着して停止したか否かが判断される。このステップS1600で、貸出ノズル71が停止していないと判断された場合には、貸出ノズル71が停止するまで、ステップS1600を繰り返す。
【0094】
一方、ステップS1600で、貸出ノズル71が停止していると判断された場合には、次のステップS1700へ進む。
ステップS1700では、貸出メダル払出装置25が駆動され、これにより、特定されたスロットマシン1にメダルを貸し出すメダル貸出処理が開始される。
ここで、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されないと、メダルを貸し出すメダル貸出処理が開始されないようになっており、これにより、誤ったスロットマシン1側にメダルを貸し出されることを未然に防止することができる。
また、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに到着して完全に停止するまで、メダルを貸し出すメダル貸出処理が開始されないようになっており、これにより、固定された通路部65と、回動するメダル通路73A との接続部分においてメダル詰まりが発生することを未然に防止することができる。
【0095】
そして、メダル貸出処理が開始されたら、次のステップS1800へ進む。このステップS1800では、メダル貸出処理で所定の枚数のメダルが特定されたスロットマシン1側へ貸し出されたか否か、換言すると、貸し出すべき全メダルの排出が完了したか否かが判断される。ステップS1800で、全メダルの排出が完了していないと判断された場合には、全メダルの排出が完了するまで、ステップS1800を繰り返す。
一方、ステップS1800で、全メダルの排出が完了していると判断された場合には、ステップS1100から続いてきた一連のメダル貸出処理が完了する。
次に、不正行為対応処理について説明する。
【0096】
不正行為対応処理は、両側のスロットマシン1のいずれかにおいて遊技が開始される等によって開始され、ステップS2110において、メダル貸出機2に設けられている不正行為検知手段150 が不正行為を検出したか否か判断される。
このステップS2110で、不正行為を検出したと判断された場合には、次のステップS2120を飛び越してステップS2130へ進む。一方、ステップS2110で、不正行為を検出したと判断されなかった場合には、次のステップS2120へ進む。
ステップS2120では、両側のスロットマシン1のいずれかから不正検知信号を受信したか否かの判断がなされる。
【0097】
このステップS2120で、不正検知信号を受信したと判断されなかった場合には、メダル貸出機2及び左右のスロットマシン1のいずれにおいても不正行為が行われていないとみなせるので、ステップS2120より後の処理は行われず、不正行為対応処理が完了する。
一方、ステップS2120で、不正検知信号を受信したと判断された場合には、次のステップS2130へ進む。
ステップS2130では、ベルト停止状態維持処理が開始される。この処理により、無端ベルト53が作動中の場合には、強制停止手段230 によって無端ベルト53が強制停止され、あるいは、無端ベルト53が停止中の場合には、貸出メダル払出装置25又は接触センサ274 からベルト起動信号が送信されてきても、強制停止手段230 によって無端ベルト53の停止状態が強制的に維持される。ベルト停止状態維持処理が開始されたら、次のステップS2140へ進む。
【0098】
ステップS2140では、不正行為が行われたことを報知するために、スロットマシン1及びメダル貸出機2を管理するホールコンピュータ等の管理装置へエラー信号を出力する外部出力処理を行う。この外部出力処理が完了したら、次のステップS2150へ進む。
ステップS2150では、メダル貸出機2のメダル供給動作モードが、両側のスロットマシン1にメダルを供給する両側供給モードであるか否かの判断がなされる。
このステップS2150で、両側供給モードであると判断されなかった場合、すなわち、片側のスロットマシン1にのみメダルを供給する片側供給モードであると判断された場合には、ステップS2210へ進む。一方、ステップS2150で、両側供給モードであると判断された場合には、ステップS2310へ進む。
【0099】
ステップS2210では、貸出メダル払出装置25又は接触センサ274 によってベルト起動信号が発信されたか否かの判断がなされる。
このステップS2210で、ベルト起動信号が発信されたと判断されなかった場合には、ステップS2210より後の処理は行われず、不正行為対応処理が完了する。
一方、ステップS2210で、ベルト起動信号が発信されたと判断された場合には、次のステップS2220へ進む。
ステップS2220では、シャッタ33を駆動して一括投入口31を閉鎖するシャッタ閉鎖処理を行う。シャッタ閉鎖処理が完了したら、次のステップS2230へ進む。
【0100】
ステップS2230では、貸出スイッチ67A, 67Bの上方に設けた液晶表示装置275 に不正行為が行われていることを表示する警報及びエラー表示処理を開始する。警報及びエラー表示処理を開始してから所定の時間が経過したら、次のステップS2240へ進む。
ステップS2240では、閉鎖解除のための操作がなされたか否かの判断、より具体的にいえば、スロットマシン1及びメダル貸出機2に対してリセット操作がなされたか否かが判断される。このステップS2240で閉鎖解除のための操作がなされたと判断されなかった場合には、ステップS2240の前に戻り、閉鎖解除操作がなされるまで待機するためにステップS2240を繰り返し行う。
【0101】
一方、ステップS2240で閉鎖解除のための操作がなされたと判断された場合には、次のステップS2250へ進み、通常状態に戻るための復帰処理がなされ、この復帰処理が完了すると、不正行為対応処理は完了する。
前述のステップS2150で両側供給モードであると判断されてステップS2310へ進むと、このステップS2310では、閉鎖部材21A を駆動して紙幣投入口21を閉鎖する紙幣投入口閉鎖処理を行う。紙幣投入口閉鎖処理が完了したら、次のステップS2320へ進む。
ステップS2320では、貸出スイッチ67A, 67B上方の液晶表示装置275 に不正行為が行われていることを表示する警報及びエラー表示処理を開始する。警報及びエラー表示処理を開始してから所定の時間が経過したら、次のステップS2330へ進む。
【0102】
ステップS2330では、閉鎖解除のための操作がなされたか否かの判断、より具体的にいえば、スロットマシン1及びメダル貸出機2に対してリセット操作がなされたか否かが判断される。このステップS2330で閉鎖解除のための操作がなされたと判断されなかった場合には、ステップS2330の前に戻り、閉鎖解除操作がなされるまで待機するためにステップS2330を繰り返し行う。
一方、ステップS2330で閉鎖解除のための操作がなされたと判断された場合には、次のステップS2340へ進み、通常状態に戻るための復帰処理がなされ、この復帰処理が完了すると、不正行為対応処理は完了する。
(実施形態の効果)
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0103】
すなわち、メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段150 と、不正行為検知手段150 からの不正検知信号により無端ベルト53を強制的に停止させる強制停止手段230 とを設けたので、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、貸出メダル払出装置25を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段150 が不正検知信号を出力して、強制停止手段230 が無端ベルト53を強制的に停止させるので、貸出メダル払出装置25が作動しても、無端ベルト53が作動しないので、メダルが外部に排出されず、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
また、無端ベルト53の上方に複数のメダルが通過可能となった一括投入口31を設け、この一括投入口31を通じて複数のメダルがまとめて投入可能にしたので、遊技者は、一括投入口31から複数のメダルをまとめて投入するとともに、メダル移送装置40の無端ベルト53を作動させれば、スロットマシン1にメダルが一枚ずつ自動的に投入されるようになる。これにより、遊技者は、手動でメダルを一枚ずつスロットマシン1の上部投入開口11に投入していく煩雑さから開放されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる
ここで、信号受信手段210 が不正検知信号を受信した後、メダル移送装置40に対して無端ベルト53を駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、シャッタ33が一括投入口31を強制的に閉鎖するようにしたので、一括投入口31のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにしても、不正行為により一括投入口31が閉鎖され、貸出メダル払出装置25の作動により無端ベルト53の上に排出されたメダルを取ることができなくなり、従って、不正行為を行った者がメダルを不正に獲得することを未然に防止することができる。
【0104】
さらに、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号の受信間隔が所定時間以下の場合に不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段170 を設け、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われ、紙幣カウンタ22から短時間の間に複数の貸出要求信号が出力されて、紙幣カウンタ異常検知手段170 の受信間隔が異常に短くなると、紙幣カウンタ異常検知手段170 が不正検知信号を出力するようにしたので、これにより、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
さらに、紙幣投入口21に紙幣が投入されると、紙幣カウンタ22から出力される紙幣投入信号と、紙幣カウンタ22からの貸出要求信号との両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段160 を設けたので、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われ、紙幣を投入していないのに、紙幣カウンタ22から貸出要求信号が出力されると、異常信号検知手段160 が不正検知信号を出力するようになり、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0105】
また、メダル貸出機2の内部に備えられている電極部に、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段180 を設けたので、メダル貸出機2に内蔵された装置を誤作動させる電圧を加えることにより、メダル貸出機2を不正に動作させると、異常電圧検知手段180 が誤作動のための電圧を検知するので、当該不正行為が行われたことが確実に検知され、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
(変形例)
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
【0106】
すなわち、メダル貸出機としては、両側のスロットマシン1のいずれにもメダルを貸し出せるように形成されたものに限らず、一方の側に配置された一のスロットマシン1にのみメダルを貸し出せるように形成されたものでもよい。
一のスロットマシン1にのみメダルを貸し出すメダル貸出機は、前記実施形態で説明したハードウェア及びソフトウェアをそのまま利用するとともに、片側供給モードでのみ運転するように構成すれば、容易に実現することができる。
この際、スロットマシンとしては、側方移送通路12A 及び側方移送通路12B の両方を備えたものに限らず、いずれか一方のみを備えたものでもよい。このようなスロットマシンを採用する場合、側方移送通路12A を備えたスロットマシンをメダル貸出機2の左側に配置し、側方移送通路12B を備えたスロットマシンをメダル貸出機2の右側に配置すればよい。
【0107】
また、スロットマシンとしては、その前面の右側縁近傍に1つのメダル投入部10が形成されたものに限らず、その前面の両側縁近傍にそれぞれ1つのメダル投入部10が設けられ、これら2つのメダル投入部10が左右対称に配置されたものでもよい。このように2つのメダル投入部10が左右対称に配置されたスロットマシンを採用すれば、側方移送通路12A 及び側方移送通路12B の長さを均等にすることができる。
さらに、前記実施形態では、メダル貸出機2に対して不正行為が行われた場合、液晶表示装置275 で警報表示を行うとともに、ブザーを鳴動させるようにしたが、不正行為を検知しても、液晶表示装置275 の警報表示及びブザーの鳴動を行わないように、メダル貸出機2を設定してもよい。このように設定すれば、不正行為の検知により、不正行為対応処理が開始され、メダル貸出機2の無端ベルト53が停止されるが、不正行為を行った不正行為者は、無端ベルト53の停止が不正行為対応処理によるものとは気が付かず、メダル貸出機2の故障であると思い込むようになり、メダル貸出機2の復旧をスロットマシン1の管理者等に依頼する可能性がより高くなる。これにより、不正行為者を取り押さえられる可能性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンとメダル貸出機を示す正面図及び平面図である。
【図2】前記実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大斜視図である。
【図4】前記実施形態に係るスロットマシンの要部を示す拡大斜視図である。
【図5】前記実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大断面図である。
【図6】前記実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大断面図である。
【図7】前記実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大斜視面図である。
【図8】前記実施形態に係る駆動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】前記実施形態に係る不正行為検知手段の概略構成を示すブロック図である。
【図10】前記実施形態に係る不正行為検知時動作制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【図11】前記実施形態に係るメダル貸出処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】前記実施形態に係る不正行為対応処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1 スロットマシン
2 メダル貸出機
21 紙幣投入口
22 紙幣カウンタ
25 メダル貯留装置としての貸出メダル払出装置
31 一括投入口
33 シャッタ
35 シャッタを駆動可能な駆動手段であるシャッタ・モータ
40 搬送ベルト装置としてのメダル移送装置
53 ベルトとしての無端ベルト
150 不正行為検知手段
170 紙幣カウンタ異常検知手段
180 異常電圧検知手段。
230 強制停止手段
240 強制閉鎖手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うのにメダルを投入する必要があるスロットマシンに、メダルを自動的に投入することができるメダル貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人々に娯楽を提供する遊技機として、遊技媒体であるメダルを用いるスロットマシンが利用されている。このスロットマシンでは、メダルを投入した後、所定の操作を行うと、複数種類の図柄が記された複数の回転リールが一斉に回転駆動される。そして、遊技者は、回転された複数の回転リールを順番に停止させていき、停止させた回転リールに示される図柄を所定の組合せに揃えることができれば、入賞となり、スロットマシンに設けられているメダル貯留用の下皿に所定枚数のメダルが払い出され、これらのメダルを賞品として受けることができる。
ここで、スロットマシンを備えた遊技場には、遊技者にメダルを貸し出すためのメダル貸出機が設けられているのが一般的である。そして、配列された複数のスロットマシンの間にメダル貸出機を設置すれば、隣接するスロットマシンで遊技を行う遊技者が当該スロットマシンから離れなくとも、メダルの貸し出しを受けることができる。
【0003】
ここで、メダル貸出機としては、複数のメダルを貯留するメダル貯留装置と、隣接するスロットマシンにメダルを搬送するための搬送ベルト装置と、搬送ベルト装置から送られてきたメダルをスロットマシンのメダル投入口に導く移送通路部とを備えたものが知られている。
ここで、メダル貯留装置は、搬送ベルト装置の上方に配置され、貯留しているメダルを搬送ベルト装置のベルトの上に排出可能となっている。また、搬送ベルト装置は、ベルトを駆動して、ベルトの上に載置されたメダルをスロットマシンの移送通路部まで搬送するとともに、移送通路部に達したメダルを移送通路部の溝の内部に落とし込むように形成されている。そして、移送通路部は、スロットマシンのメダル投入口に向かって下り勾配が付けられ、これにより、溝の内部に落とし込まれたメダルが自重によりメダル投入口まで到達して、メダル投入口の内部に自動的に投入されるようになっている。
【0004】
このようなメダル貸出機によれば、遊技者が貸出メダルの代金となる紙幣をメダル貸出機に投入すると、メダル貸出機のメダル貯留装置が搬送ベルト装置のベルトの上にメダルを排出する。すると、搬送ベルト装置がベルトの上に載ったメダルをスロットマシンの移送通路部まで搬送して移送通路部の溝の内部に落とし込む。そして、移送通路部の溝の内部に落とし込まれたメダルは、移送通路部を通ってスロットマシンのメダル投入口の内部に自動的に投入される。これにより、紙幣をメダル貸出機に投入するだけで、スロットマシンにメダルが自動投入されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−192721号(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のようなメダル貸出機では、外部から細長い棒状の器具を内部に挿通して、メダル貯留装置を不正に作動させると、搬送ベルト装置も連動して作動してしまうので、前述のような不正行為により、スロットマシンにメダルが投入されてしまい、不正行為によるメダルの不正貸出を防止することができない、という問題がある。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不正行為によるメダルの不正貸出を防止することができるようになるメダル貸出機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシン(1)に向かってメダルを送り出すベルト(53)を有する搬送ベルト装置(40)と、複数のメダルを貯留するとともに、前記搬送ベルト装置(40)の前記ベルト(53)の上に、貯留しているメダルを排出可能となっているメダル貯留装置(25)とが内蔵され、遊技者のメダル貸出要求操作に対応して、前記メダル貯留装置(25)が前記ベルト(53)の上にメダルを排出し、前記搬送ベルト装置(40)が前記ベルト(53)を正回転方向へ駆動して、前記スロットマシン(1)にメダルを供給するメダル貸出機(2)であって、当該メダル貸出機(2)に対して行われる不正行為を検知するとともに、不正行為を検知すると不正検知信号を出力する不正行為検知手段(150) と、この不正行為検知手段(150) から前記不正検知信号を受信すると、前記搬送ベルト装置(40)による前記ベルト(53)の回転駆動を強制的に停止させる強制停止手段(230) とを備えていることを特徴とする。
【0007】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、前述した請求項1に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記ベルト(53)の上方に形成されるとともに、複数のメダルが通過可能となっている一括投入口(31)と、この一括投入口(31)を閉鎖可能なサイズのシャッタ(33)と、前記一括投入口(31)を閉鎖する閉鎖位置及び前記一括投入口(31)を開放する開放位置の二位置の間に渡ってシャッタ(33)を駆動可能な駆動手段(35)と、前不正行為検知手段(150) が前記不正検知信号を送信した後、前記搬送ベルト装置(40)に対して前記ベルト(53)を駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、前記シャッタ(33)を強制的に閉鎖位置へ移動させる強制閉鎖手段(240) とが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項1又は2記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項3記載の発明は、紙幣が投入される紙幣投入口(21)を有し、この紙幣投入口(21)に投入された紙幣を検査し、当該紙幣が真正なものである場合に、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力する紙幣カウンタ(22)を備え、この紙幣カウンタ(22)から出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測し、この受信間隔が所定時間以下の場合に、不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段(170) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0009】
(請求項4)
(特徴点)
請求項4記載の発明は、前述した請求項3記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項4記載の発明は、前記紙幣投入口(21)に紙幣が投入されると、紙幣投入信号を出力するように、前記紙幣カウンタ(22)が形成され、前記紙幣カウンタ(22)から前記貸出要求信号及び前記紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、前記紙幣投入信号を受信していないのに、前記貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段(160) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0010】
(請求項5)
(特徴点)
請求項5記載の発明は、前述した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項5記載の発明は、当該メダル貸出機(2)の内部に備えられている電極部の電圧を検出し、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が前記電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段(180) が、前記不正行為検知手段(150) として設けられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、電極部としては、当該メダル貸出機(2)に内蔵されている各種の装置、例えば、メダル貯留装置(25)等において、信号の入出力を行うために設けられている入力端子又は出力端子を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、当該メダル貸出機に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段と、不正行為検知手段からの不正検知信号によりベルトを強制的に停止させる強制停止手段とを設けたので、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、メダル貯留装置を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段が不正検知信号を出力して、強制停止手段がベルトを強制的に停止させるので、メダル貯留装置が作動しても、ベルトが作動しないので、メダルが外部に排出されることがなく、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【0013】
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2記載の発明によれば、ベルトの上方に複数のメダルが通過可能となった一括投入口を設けたので、一括投入口のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにすれば、遊技者は、一括投入口から複数のメダルをまとめて投入するとともに、搬送ベルト装置のベルトを作動させれば、スロットマシンにメダルが一枚ずつ自動的に投入されるようになる。これにより、遊技者は、手動でメダルを一枚ずつスロットマシンのメダル投入口に投入していく煩雑さから開放されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる
ここで、信号受信手段が不正検知信号を受信した後、搬送ベルト装置に対してベルトを駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、強制閉鎖手段がシャッタで一括投入口を強制的に閉鎖するようにしたので、一括投入口のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにしても、不正行為により一括投入口が閉鎖され、メダル貯留装置の作動によりベルトの上に排出されたメダルを取ることができず、従って、不正行為を行った者がメダルを獲得することを未然に防止することができる。
【0014】
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、紙幣が長手方向に投入される紙幣カウンタは、紙幣が投入されてから、当該紙幣が真正なものであるか否かを判定するまでに、硬貨等に比べると、ある程度の長い時間を要する。従って、請求項3記載の発明によれば、紙幣カウンタから出力される貸出要求信号の受信間隔が所定時間以下の場合に不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段を設け、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われ、紙幣カウンタから短時間の間に複数の貸出要求信号が出力されると、紙幣カウンタ異常検知手段の受信間隔が異常に短くなり、紙幣カウンタ異常検知手段が不正検知信号を出力するようにしたので、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0015】
(請求項4の効果)
請求項4記載の発明によれば、上記した請求項3記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項4記載の発明によれば、紙幣投入口に紙幣が投入されると、紙幣カウンタから出力される紙幣投入信号と、紙幣カウンタからの貸出要求信号との両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段を設けたので、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われ、紙幣を投入していないのに、紙幣カウンタから貸出要求信号が出力されると、異常信号検知手段が不正検知信号を出力するようになり、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0016】
(請求項5の効果)
請求項5記載の発明によれば、上記した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項5記載の発明によれば、メダル貸出機の内部に備えられている電極部に、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段を設けたので、メダル貸出機に内蔵された装置を誤作動させる電圧を加えることにより、メダル貸出機を不正に動作させると、異常電圧検知手段が誤作動のための電圧を検知するので、当該不正行為が行われたことが確実に検知され、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態である一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図10は、本発明に係る一実施形態を示すものである。図1は、本実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す正面図及び平面図、図2は、本実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す斜視図、図3は、本実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大斜視図、図4は、本実施形態に係るスロットマシンの要部を示す拡大斜視図、図5は、本実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大断面図、図6は、本実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大断面図、図7は、本実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大斜視面図、図8は、本実施形態に係る駆動制御装置の概略構成を示すブロック図、図9は、本実施形態に係る不正行為検知手段の概略構成を示すブロック図、図10は、本実施形態に係る不正行為検知時動作制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1及び図2において、本実施形態に係るメダル貸出機2は、遊技を行うためにメダルの投入が必要なメダル遊技機であるスロットマシン1で遊技を行う遊技者に、メダルを貸し出すためのものである。このようなメダル貸出機2は、遊技場に設置されている2台のスロットマシン1の間に配置されるようになっている。
ここで、メダル貸出機2には、2つの動作モードが設定されている。その一方は、両側に配置された2台のスロットマシン1のうち、遊技場の係員等が指定した一方のスロットマシン1へのみ、メダルの投入が可能な片側供給モードである。そして、他方の動作モードは、2台のスロットマシン1のいずれかへもメダルの投入が可能な両側供給モードである。そして、これら2つの動作モード、すなわち、片側供給モード及び両側供給モードは、遊技場の係員等によるキースイッチ操作により、一方から他方へ切り換えることが可能となっている。
【0019】
このようなメダル貸出機2の筐体である外箱20は、スロットマシン1とともに整列配置できるように、スロットマシン1の筐体4に対応した高さ及び奥行きに設定されるとともに、スロットマシン1の筐体4よりも幅が狭くされたものとなっている。
以下に、メダル貸出機2及びスロットマシン1について説明するが、メダル貸出機2について詳細に説明する前に、まず、スロットマシン1について簡単に説明する。
なお、以下の説明において、「前方向」や「手前方向」とは、スロットマシン1に向かって、奥から手前へ向かう方向、換言すると、スロットマシン1の筐体4の奥行き方向に沿って近づく方向をいう。
【0020】
反対に、「後方向」や「奥方向」とは、スロットマシン1に向かって、手前から奥へ向かう方向、換言すると、スロットマシン1の筐体4の奥行き方向に沿って遠ざかる方向をいう。また、「左方向」及び「右方向」とは、それぞれスロットマシン1又はメダル貸出機2に向かった場合の右方向及び左方向をいう。
(スロットマシン1の概要)
本実施形態に係るスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口された略六面体の箱状に形成され筐体4と、筐体4の前面開口を塞ぐために筐体4に回動可能に取り付けられた前扉13とを備えている。
【0021】
このうち前扉13は、筐体4の前面開口の上方部分を塞ぐ上部前扉13A と、筐体4の前面開口の下方部分を塞ぐ下部前扉13B とに分割されたものとなっている。
そして、上部前扉13A 及び下部前扉13B は、別々に回動するものであり、下部前扉13B を先に開放しなければ、上部前扉13A を開放できないようになっている。
このような前扉13には、筐体4の内部に設けられた図示しない回転リールの図柄を外部に露出させるための図柄表示窓14が形成されている。この図柄表示窓14の下方となる前扉13の上下方向における略中央部分には、スロットマシン1の遊技操作を行うための操作部16が設けられ、この操作部16にスタートスイッチ16A 及びストップスイッチ16B 等の操作用の機器が設置されている。
【0022】
そして、この操作部16の図2中右方の端部近傍には、遊技メダルを投入するためのメダル投入部10が設けられている。
なお、筐体4の内部におけるメダル投入部10の下方には、特に図示しないが、遊技メダルの真贋を判断すると共に投入メダルをカウントするためのメダルセレクターが設けられている。
また、前扉13の下部には、払い出しメダルを貯留可能な下皿15が設けられている。
メダル投入部10は、図1及び図2に示すように、細長いスリット状に形成されて、上方から遊技メダルを1枚ずつ投入可能なメダル投入口としての上部投入開口11と、上部投入開口11の側方に凹溝状に連通する側方移送通路12A, 12Bとを備えたものとなっている。
【0023】
側方移送通路12A は、メダル貸出機2に隣接する部分である、スロットマシン1の右方の側縁部分から上部投入開口11まで、メダルを立てた状態で回転させながら導く移送通路である。換言すると、側方移送通路12A は、図1〜図3に示すように、スロットマシン1がメダル貸出機2の左側に配置された場合に、図1〜図3において左方を向いて開口されたメダル貸出機2のメダル排出口66A から排出される遊技用のメダルを上部投入開口11まで導くものである。
また、側方移送通路12B は、メダル貸出機2に隣接する部分である、スロットマシン1の左方の側縁部分から上部投入開口11まで、メダルを立てた状態で回転させながら導く移送通路である。換言すると、側方移送通路12B は、図1及び図4に示すように、スロットマシン1がメダル貸出機2の右側に配置された場合に、図1において右方を向いて開口されたメダル排出口66B から排出される遊技用のメダルMを、図4の如く、上部投入開口11まで導くものである。
【0024】
ここで、上部投入開口11がスロットマシン1の右方の側縁近傍に設けられていることから、スロットマシン1の左方の側縁部分から上部投入開口11まで延びる側方移送通路12B の方が側方移送通路12A よりも長くなっている。
なお、側方移送通路12B の底面には、図4中左側の端部から上部投入開口11側の端部へ向かって下り勾配が設けられている。このような底面の下り勾配により、メダルMは、側方移送通路12B の図4中左側の端部から上部投入開口11まで確実に到達するようになっている。
スロットマシン1は、メダルを投入して遊技を開始し、遊技結果によってはメダルを遊技者に払い出すものとなっている。更に具体的に説明すると、スロットマシン1は、遊技者がメダル投入部10から遊技メダルを投入し、スタートスイッチ16A を操作することにより、回転リールの回転を開始するとともに、内部で当否抽選を行うようになっている。
【0025】
回転を開始した回転リールは、遊技者がストップスイッチ16B を操作することにより、回転を停止するになっている。
ここで、スロットマシン1は、通常遊技中に行われた当否抽選の結果、ボーナスゲーム等の大当たり役に当選することにより、図柄表示窓14に表示された回転リールの図柄が所定の組合せとなるように、遊技者が回転リールを停止させること、換言すると、遊技者が入賞を引き当てることが可能性となっている。
そして、スロットマシン1は、大当たり役に当選した遊技状況で、遊技者が停止させた回転リールの図柄が所定の組合せとなると、遊技者が入賞を引き当てたこととなり、通常遊技に比べて短時間に大量のメダルを獲得することが可能な大当たり遊技を行うことができるように構成されている。
【0026】
この際、メダル貸出機2の左右に配置されたスロットマシン1各々は、不正行為を検知する不正行為検知手段(図示略)を備えたものとなっている。
各スロットマシン1の不正行為検知手段は、上部投入開口11の内部に特殊な器具を挿入してメダルの貯留量であるクレジットを不正に増やす、いわゆる「クレマンゴト」、筐体4の内部に針金状の器具を挿入してメダルを払い出すホッパユニット(図示略)を不正に作動させてメダルを獲得する「ホッパゴト」、予め設定された振動数で機械的に振動する体感器で、内部抽選における当選のタイミングを把握しながら遊技を行う「体感器ゴト」及び、特殊な工具を使用する等により当選確率がより高い設定へ不正に変更する「設定変更ゴト」等の不正行為を検出するものとなっている。
【0027】
そして、各スロットマシン1は、その不正行為検知手段が不正行為を検知すると、不正検知信号をホールコンピュータ及びメダル貸出機2の両方へ送出する機能を備えたものとなっている。
(メダル貸出機2)
メダル貸出機2は、前述したようにスロットマシン1の間に配置され、いずれの側のスロットマシン1に対してもメダルを貸し出すことが可能なものとなっている。このために、メダル貸出機2の前面20A には、図2に示すように、貸し出されるメダルの代金としての紙幣が投入される紙幣投入口21が設けられている。
【0028】
そして、メダル貸出機2は、スロットマシン1の側面側に隣接して設置される箱型の装置であって、紙幣、例えば、千円札が紙幣投入口21に投入されると、その千円札と引き替えに遊技者に遊技メダルを貸し出すものである。また、メダル貸出機2には、必要に応じて、貸し出したメダルをスロットマシン1のメダル投入部10に連続的且つ自動的に投入する機能が備えられている。
すなわち、メダル貸出機2は、図2に示すように、遊技者等が投入した紙幣を検査し、検査した紙幣を内部に貯留する紙幣カウンタ22と、投入された紙幣の金額に応じて遊技者にメダルを払い出す貸出メダル払出装置25と、外箱20の前面20A から突出するように取り付けられるとともに、メダルをスロットマシン1に連続投入するためのメダル投入装置3と、このメダル投入装置3の動作を制御する駆動制御装置280 とを備えたものである。
【0029】
なお、遊技場の係員等によるキースイッチ操作は、例えば、駆動制御装置280 に対して行われる操作であり、具体的には、図示しないキースイッチ装置に係員等がキーを挿入することにより行われるように構成されている。
紙幣カウンタ22は、外箱20の前面下端の近傍に設けられた紙幣投入口21から内部に投入された紙幣を検査し、更に詳しく説明すると、紙幣の表面に印刷された図柄模様を読み取り、真正の紙幣であることを認識すると、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力するものである。
この紙幣カウンタ22には、紙幣投入口21に投入された紙幣の表面に印刷された図柄模様を読み取るための図示しない紙幣センサと、紙幣投入口21を閉鎖可能なサイズに形成された閉鎖部材21A と、紙幣投入口21を閉鎖する閉鎖位置及び紙幣投入口21を開放する開放位置の二位置の間に渡って閉鎖部材21A を駆動可能な閉鎖部材駆動手段であるソレノイド21B と、紙幣投入口21に紙幣が投入されたことを検知するために、紙幣投入口21の近傍に配置された図示しない紙幣投入センサとが設けられている。
【0030】
このような紙幣カウンタ22は、紙幣センサが出力する信号に基づいて、投入された紙幣が正規のものであるか否かを判定するとともに、当該紙幣の種類を判定する機能を有し、投入された紙幣が真正である場合には、前述のメダル貸出要求信号に加えて、紙幣の額に応じた紙幣信号を出力するものとなっている。
また、紙幣カウンタ22は、紙幣投入口21に紙幣が投入されると、前述の紙幣投入センサが紙幣投入信号を出力するようになっている。
そして、貸出メダル払出装置25は、紙幣カウンタ22がメダル貸出要求信号及び紙幣信号を出力すると、紙幣信号に応じた枚数のメダルを遊技者に貸し出すものとなっている。
【0031】
なお、メダル貸出機2としては、紙幣投入口21及び紙幣カウンタ22に加えて、硬貨投入口や硬貨カウンタ、及び、釣り銭払い出し口、更には、プリペイドカード投入口とカードリーダーとを備えたものでもよい。
貸出メダル払出装置25は、複数のメダルを貯留するとともに、後述するメダル移送装置40の無端ベルト53の上に、貯留しているメダルを排出可能に形成されたメダル貯留装置である。具体的には、貸出メダル払出装置25は、紙幣カウンタ22からのメダル貸出要求信号及び紙幣信号を受信すると、その内部に貯留していたメダルの払い出しを行う、いわゆるホッパー装置となっている。
【0032】
この貸出メダル払出装置25には、特に図示していないが、多数のメダルを貯留しておくためのタンクと、このタンクの底部からメダルを1枚ずつ排出する送出円板と、この送出円板を回転駆動する駆動モータと、排出されるメダルをカウントするためのメダルセンサとが設けられている。
このうち、送出円板には、メダルが入り込む複数の孔が形成されている。そして、前述の駆動モータで送出円板が回転駆動されると、送出円板の孔に入ったメダルが1枚ずつ貸出メダル払出装置25の外へ排出されるようになっている。
また、貸出メダル払出装置25は、メダルセンサがカウントしたメダル枚数が所定値に達すると、駆動モータを停止させ、メダルの払い出しを停止するとともに、後述するメダル移送装置40に無端ベルト53の作動を開始させるためのベルト起動信号を出力するように構成されている。
【0033】
(メダル投入装置3)
メダル投入装置3は、貸出メダル払出装置25から、あるいは、遊技者の手から複数のメダルをまとめて受けるとともに、受けた複数のメダルをスロットマシン1のメダル投入部10へ連続的に投入するための機能を有するものである。
具体的には、メダル投入装置3は、図3及び図5に示すように、メダル貸出機2の外箱20の前面に突出するように取り付けられたカバー体30と、このカバー体30の内部に設けられるとともに、メダルを送り出すためのメダル移送装置40(図5にのみ示す)と、外箱20の前面から突出するカバー体30の先端部分に設けられるとともに、スロットマシン1のメダル投入部10側へ導くために、メダルの移動方向及び姿勢を変換する導入路装置60とを備えたものとなっている。
【0034】
(カバー体30)
カバー体30は、図3及び図5の如く、外箱20の上下方向における略中央部分において、外箱20の前面20A から手前方向に突出する箱形部材である。
このカバー体30には、図5の如く、複数のメダルをまとめて内部に投入するために上方に開口された一括投入口31が形成されるとともに、この一括投入口31から投入されたメダルを一時的に貯留するためのメダル貯め部44が内部に設けられている。そして、このカバー体30の内部には、メダル貯め部44に貯留されているメダルをメダル移送方向の下流側へ連続的に移送可能なメダル移送装置40が収納されている。
【0035】
カバー体30における一括投入口31の手前には、図3の如く、周縁部分に対して中央部分が凹まされるとともに、周縁部分から一括投入口31に向かって緩やかに傾斜した下り勾配を有する皿状部32が形成されている。
この皿状部32は、一括投入口31の手前側及び側方に向かって延出している。皿状部32の周縁部分は、内側よりも高く形成された堰部272 となっている。この堰部272 は、一括投入口31の一方の側部から手前部分を経由して他方の側部に達するU字状に延びるとともに、平坦な上面を有するものとなっている。
ここで、カバー体30には、図5に示すように、一括投入口31を閉鎖するためのシャッタ33が摺動可能に設けられている。
【0036】
更に具体的に説明すると、シャッタ33は、一括投入口31を閉鎖可能なサイズに形成されたものである。そして、シャッタ33は、一括投入口31を閉鎖する閉鎖位置Uと、一括投入口31を開放する開放位置Vとの間を摺動可能となったものであり、開放位置Vに配置されている場合には、皿状部32の下方に隠蔽されるようになっている。
また、カバー体30の内部には、シャッタ33の両面にそれぞれ摩擦係合する一対のローラ34A, 34Bと、一対のローラ34A, 34Bの少なくとも一方を駆動してシャッタ33を移動させる駆動手段であるシャッタ・モータ35と、ローラ34A, 34Bの少なくとも一方にシャッタ・モータ35の駆動トルクを伝達する図示しない歯車群とが設けられている。
【0037】
そして、シャッタ33は、遊技場の係員等がキースイッチ操作を行い、片側供給モードから両側供給モードへ動作モードを切り換えると、閉鎖位置Uへ移動され、一括投入口31を閉鎖するようになっている。
反対に、シャッタ33は、両側供給モードから片側供給モードへ動作モードが切り換えられると、開放位置Vへ移動され、一括投入口31を開放するようになっている。
以上において、シャッタ・モータ35は、一括投入口31を閉鎖する閉鎖位置U及び一括投入口31を開放する開放位置Vの二位置の間に渡ってシャッタ33を駆動可能な駆動手段となっている。
【0038】
堰部272 の平坦な上面には、金属等の導電性を有する材質からなる接触センサ274 が、堰部272 の上面に沿ってU字状に延びるように敷設されている。この接触センサ274 は、メダル移送装置40の起動及び停止の操作を行うための接触作動スイッチである。
すなわち、メダル貸出機2の動作モードが片側供給モードであるときに、接触センサ274 に手を触れることにより、接触センサ274 からベルト起動信号が出力されて、メダル移送装置40に設けられた後述する駆動モータ55が起動され、接触センサ274 に触れている手を離すことにより、駆動モータ55が停止するようになっている。
さらに詳しく説明すると、メダル移送装置40の駆動モータ55は、接触センサ274 に継続して触れている時間が予め定められた連続操作時間に満たない場合には、起動してから3枚のメダルを移送すると停止し、接触センサ274 に継続して触れている時間が連続操作時間を超えた場合には、3枚を超える枚数のメダルを連続的に移送するように設定されている。なお、メダル貸出機2の動作モードが両側供給モードのときには、接触センサ274 に手を触れても、駆動モータ55が起動しないようになっている。
【0039】
(排出機構80)
外箱20の前面から突出するカバー体30の根本部分の下方には、図5の如く、メダル移送装置40から排出される異物やキャンセルメダルを受け止めるためのメダル取り出し皿90が回動軸95によって軸支されている。このメダル取り出し皿90は、その内部がメダル移送装置40から排出される異物やキャンセルメダルを収納する排出収納部93となっており、カバー体30の底部において上下に揺動可能となっている。
ここで、排出収納部93の上方には、カバー体30の底面に開口されたキャンセル開口49が設けられ、このキャンセル開口49のさらに上方には、メダル貯め部44の底部に形成されるとともに、当該メダル貯め部44とその下方のキャンセル開口49側の空間とを連通させるためのリセット排出口85が設けられている。
【0040】
このうち、リセット排出口85は、当該リセット排出口85に応じた平板状に形成された開閉板82によって開閉されるようになっている。また、リセット排出口85のさらに図5中左斜め上方には、カバー体30に開口された一括投入口31が位置している。
キャンセル開口49は、上方に跳ね上げられたメダル取り出し皿90によって閉鎖されるようになっている。
すなわち、メダル取り出し皿90は、図示しないバネにより、メダル取り出し皿90を跳ね上げる方向に、換言すると、キャンセル開口49を閉鎖する方向に向かって付勢されている。これにより、キャンセル開口49は、常時閉鎖されるようになっている。一方、バネの付勢力に抗してメダル取り出し皿90を手等で押し下げれば、キャンセル開口49は、開放されるようになっている。必要に応じて、メダル取り出し皿90を手等で押し下げ、キャンセル開口49を開放して、メダル取り出し皿90の排出収納部93に溜まった貯留物をすべて取り除いた後、メダル取り出し皿90を押し下げていた力を抜けば、メダル取り出し皿90が自動的に閉じるようになっている。
【0041】
これにより、スロットマシン1の上下に分割された前扉13のうち、図1(B)の如く、下方に配置された下部前扉13B を開く際に、メダル取り出し皿90が開くことがなく、下部前扉13B の回動範囲に突出して回動の邪魔になることを未然に防止することができる。
なお、メダル取り出し皿90としては、バネによる付勢力で自動的に復帰する自己復帰機構を備えていないものでもよく、閉じた状態及び開いた状態との2位置において凹部及び凸部が互いに係止しあい、メダル取り出し皿90を停止させる係止機構を備えたもの、単に、回動軸95によって開閉可能に軸支されているだけで、自重により、開いた状態を維持しているものでも良い。メダル取り出し皿90は、手で押し上げることにより、図5において二点鎖線で示すように、閉じた状態にすることができる。これにより、正面から向かって右隣に配置された別のスロットマシン1に設けられた下側の扉を開放する際、手でメダル取り出し皿90を閉じた状態にして、開放する下扉の邪魔になることを回避することができる。
【0042】
開閉板82は、図5の如く、カバー体30側に軸支された回動軸84がソレノイド操作機81のプランジャ83に連結され、ソレノイド操作機81に電流を導通させることにより、リセット排出口85を閉鎖する位置及び開放する位置の一方から他方へ回動駆動されるようになっている。
これら開閉板82及びソレノイド操作機81により、メダル移送装置40の内部にあるメダルや異物などを、カバー体30の底面に形成されたキャンセル開口49から排出させる排出機構80が形成されている。
この排出機構80の作動により、一括投入口31を通じてメダル貯め部44に投入されたメダルがメダル取り出し皿90に排出されるようになっている。
【0043】
また、遊技場の管理者等がゴミ等の貯留物を回収する際に、排出機構80を作動させた後、メダル取り出し皿90を手前側に回転させることにより、メダル取り出し皿90に溜まった貯留物を手で簡単に取り出すことができるようになっている。
(メダル移送装置40)
メダル移送装置40は、図5に示すように、その表面にゴム等の被覆がなされた帯状部材を環状に形成した無端ベルト53と、この無端ベルト53を循環駆動するための駆動モータ55とを備えたものである。この無端ベルト53は、メダル貯め部44の底部を形成するものであり、循環駆動されることにより、メダル貯め部44に貯留されたメダルを送り出すものとなっている。換言すると、メダル移送装置40は、正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシン1に向かってメダルを送り出すベルトである無端ベルト53を有する搬送ベルト装置となっている。
【0044】
ここで、メダル貯め部44の上方であって、一括投入口31の奥側となる部分には、貸出メダル払出装置25から送出されてきたメダルを、メダル貯め部44に取り入れるための貸出メダル受入口42が設けられている。これにより、メダル貯め部44は、一括投入口31から投入されたメダル、及び、貸出メダル受入口42から投入されたメダルの両方を一時的に貯留するための空間となっている。
また、一括投入口31の奥行き方向におけるほぼ中央部分には、両側の側面を連結する仕切棒100 が設けられている。この仕切棒100 は、メダル貯め部44にメダルが投入される際に、メダルをほぼ所定の姿勢に揃えるためのものである。
【0045】
すなわち、メダルが一括投入口31を通過する際に、メダルの姿勢が縦向き(メダルの表裏面と仕切棒100 との交差角度が直角に近い状態)となっていると、仕切棒100 がメダルの落下経路上における障害物となり、そのままの姿勢でメダルが一括投入口31を通過するのを抑制するようになっている。
一方、メダルが一括投入口31を通過する際に、メダルの姿勢が横向き(メダルの表裏面と仕切棒100 とが平行に近い状態)となっていると、仕切棒100 がメダルの落下経路上における障害物とならず、メダルの一括投入口31の通過を許容するようになっている。そして、仕切棒100 が一括投入口31を通過するメダルの姿勢を整えることにより、一括投入口31を通ったメダルが、その下方のメダル貯め部44に落下すると、他のメダルの上に平積みとなり、これにより、無端ベルト53による移送が容易に行えるようになっている。
【0046】
(無端ベルト53の循環機構)
無端ベルト53を循環させる循環機構は、導入路装置60側及びメダル貯め部44側のそれぞれに配置された二つのローラ51A, 51Bと、これらのローラ51A, 51Bのうち、導入路装置60側に配置されたローラ51A を介して無端ベルト53を駆動するための駆動モータ55と、この駆動モータ55の駆動力をローラ51A に伝達するための図示しない減速ギア群とを備えたものとなっている。
二つのローラ51A, 51Bは、その間に無端ベルト53が掛け渡される二つのベルト車となっており、ローラ51A の方がローラ51B よりも若干高い高さレベルに配置され、無端ベルト53の移送面を手前側に向かってやや上り勾配となるように傾斜させている。
【0047】
これら二つのローラ51A, 51Bのうち、駆動モータ55に駆動されるローラ51A の上方には、駆動モータ55によって駆動されるとともに、ローラ51A と同じ回転方向に回転駆動される余剰メダル排除ローラ52が設けられている。
余剰メダル排除ローラ52は、その外周面に、その回転軸の軸方向に延びる撹拌溝58が形成されたものとなっている。無端ベルト53は、余剰メダル排除ローラ52を回転駆動させて、撹拌溝58に無端ベルト53の上方のメダルを攪拌させることにより、メダルの滞留を防止してメダルの効率よい移送が行えるようになっている。
このような余剰メダル排除ローラ52の外周面と、無端ベルト53のメダルを載置させる移送面とが形成する隙間54は、メダル1枚の厚みよりも大きく、メダル2枚分の厚みよりは小さい寸法となっている。
【0048】
また、余剰メダル排除ローラ52は、その外周面における径方向の移動速度が、無端ベルト53の移送面の移動速度よりも早くなるように設定されている。
さらに、余剰メダル排除ローラ52がローラ51A, 51Bと同一方向に回転するので、互いに対向する無端ベルト53の移送面と余剰メダル排除ローラ52の外周面とは、その移動方向が互いに逆になっている。
そして、無端ベルト53に移送されてきたメダルが複数枚重なった状態で余剰メダル排除ローラ52に接近すると、一番下の1枚の遊技メダルを残して、2枚目より上の遊技メダルは、余剰メダル排除ローラ52によって、余剰メダル排除ローラ52の上流側に設けられた空間であるメダル戻り部45へ向かって弾き飛ばされるようになっている。
【0049】
また、図5において、一括投入口31の左側の端縁部分には、一括投入口31から投入されたメダルがメダル戻り部45へ進入することは制限するが、余剰メダル排除ローラ52によって弾き飛ばされてメダル戻り部45に達したメダルがさらに上流側へ後退することは許容する移動調整弁43が設けられている。
すなわち、無端ベルト53の上方には、平板状の移動調整弁43が垂れ下がった状態で揺動自在に軸支されている。
また、無端ベルト53の進行方向に向かって左右両側に位置する内側面41には、移動調整弁43に向かって突出するストッパ43C が設けられている。このストッパ43C は、垂れ下がり状態における移動調整弁43のメダル戻り部45側の面に係合するものとなっている。移動調整弁43は、先端部分がストッパ43C に係止されるので、メダル貯め部44側へは回動可能とされ、メダル戻り部45側へは回動不可能となっている。
【0050】
ここで、移動調整弁43がメダル貯め部44からメダル戻り部45へメダルが前進することを阻止し、無端ベルト53によって移送されたメダルが隙間54に進入する際に、一括投入口31から投入されたメダルが割り込むことを防止するので、無端ベルト53によって移送されたメダルのみが隙間54に到達可能となっている。これにより、無端ベルト53によって移送されてきた複数のメダルは、1枚ずつ移送方向下流側の導入路装置60へ円滑に送り出されるようになっている。
一方、移動調整弁43は、メダル戻り部45からメダル貯め部44へのメダルが後退することを適宜許容するので、重なった複数のメダルのうち、上方に配置されていた余剰なメダルが余剰メダル排除ローラ52によってメダル戻り部45側へ向かって弾き飛ばされると、移動調整弁43を押し開いて、速やかに、メダル貯め部44に戻るようになっている。
【0051】
なお、移動調整弁43は、垂れ下がり状態において、その先端と無端ベルト53の移送面との間隔が、メダルの直径よりも長くなるように設定されている。これにより、メダルが移動調整弁43の下方を起立状態で通過する際に、移動調整弁43が障害物とならず、起立状態となっていてもメダルが移動調整弁43の下方をスムーズに通過可能となっている。
また、余剰メダル排除ローラ52には、図示しないワンウェイ・クラッチ等の内部機構を介して駆動トルクが加わるようになっている。このため、無端ベルト53を逆回転する場合には、図示しないワンウェイ・クラッチ等の内部機構により、余剰メダル排除ローラ52が回転しないようになっている。
【0052】
さらに、無端ベルト53から導入路装置60まで至る途中において、余剰メダル排除ローラ52の取り付け位置よりもメダルの移送方向における下流側の位置に、特に図示していないが、無端ベルト53の両側で互いに対向する壁面の各々から突出するとともに、無端ベルト53の移送面に先端が接し、且つ、互いの先端の間にメダル一枚分の間隔が形成された一対の突出体を形成しても良い。このような一対の突出体を設ければ、無端ベルト53によって移送されてきたメダルが幅方向における所定位置を通過するようになり、メダルの移送位置を所定の位置に整えることができる。
(導入路装置60)
導入路装置60は、左側に配置されたスロットマシン1の側方移送通路12A 、及び、右側に配置されたスロットマシン1の側方移送通路12B のいずれかにメダルを導入するための装置である。
【0053】
導入路装置60には、図5に示すように、無端ベルト53によって移送されてきたメダルを受け入れる受入部63と、メダルの導入先を切り換える切換部70と、メダル投入装置3の前面下部を覆って受入部63を内部に隠蔽するカバー部材61とが設けられている。
このうち、受入部63は、図5中上端が無端ベルト53側へ湾曲した姿勢誘導板62A と、この姿勢誘導板62A に対向して配置された平板状の通路形成板62B と、姿勢誘導板62A 及び通路形成板62B の間に形成された通路部65とを備えたものとなっている。
このような受入部63は、メダルを姿勢誘導板62A に沿わせて移動させることにより、無端ベルト53の移送面の上に倒れた状態で移送されてきたメダルを起し、通路部65を通じてメダルを下方の切換部70へ落下させながら切換部70へと導くものである。
【0054】
姿勢誘導板62A の図5における下端近傍部分には、通路部65内をメダルが通過したか否かを検知するための近接センサ64が設けられている。
近接センサ64は、メダルの接近を検知する応答性能が比較的良好なものである。このような近接センサ64は、メダルが近接センサ64の近傍を通過すると、メダルを検知した旨を示す検知信号を一時的に出力するものである。そして、メダルが詰まると、近接センサ64からメダルの検知信号が連続的に出力されるようになっている。これにより、メダルの通過及びメダル詰まりの両方が検知可能となっている。
このような近接センサ64としては、検出領域内の磁界の変化を検出する誘導形近接スイッチ、検出領域内の電界の変化を検出する静電容量形近接スイッチ、及び、光線の反射又は遮断を検出する光学近接スイッチ等の非接触式近接スイッチを採用するのが好ましいが、非検出物と直接接触することによって検出を行う機械式の近接スイッチ、いわゆるリミットスイッチを採用することもできる。
【0055】
また、近接センサ64の検知信号は、メダル貸出機2の図示しない制御部に受信され、メダル貸出機2の制御部は、受信した検知信号に基づいてメダル移送の異常を検知するようになっている。
例えば、通路部65の内部で遊技メダルが詰まると、近接センサ64は、検知信号を出力し続けるようになっている。そして、メダル貸出機2の制御部は、近接センサ64からの検知信号を連続的に受信すると、メダル移送に異常が生じたと判断し、すべての動作を一時的に停止させるとともに、遊技者に対して、メダルが詰まったので、係員等を呼ぶことを促すための音声を出力する、あるいは、その旨の表示を行うように設定されている。
【0056】
(切換部70)
切換部70は、両側のスロットマシンの一方から他方へメダルの供給先を切り換えるメダル供給切換機構である。
すなわち、切換部70は、図3に示すように、一方側のスロットマシン1の方向を向く位置から、他方側のスロットマシン1の方向を向く位置の2位置間を移動可能に形成され、いずれかのスロットマシン1の上部投入開口11にメダルを投入するための貸出ノズル71を備えたものである。そして、切換部70には、図5に示すように、貸出ノズル71の先端部分を両側のスロットマシン1のうちの一方側のスロットマシン1から他方側のスロットマシン1へ駆動させるための駆動装置72が設けられている。
【0057】
このうち、貸出ノズル71は、図5の如く、カバー部材61に回動可能に取り付けられている回動部材73の周面に突設されている。換言すると、貸出ノズル71は、その基端部分がカバー部材61に回転可能に取り付けられたものとなっている。
一方、駆動装置72は、薄型モータを含んで構成されたものであり、回動部材73の下方に配置されている。駆動装置72の駆動軸72A は、回動部材73の底部に連結されている。
図3に戻って、カバー体30の前面における図3中左側に偏った位置には、押しボタン式の貸出スイッチ67A が設けられている。また、カバー体30の前面における図3中右側に偏った位置には、押しボタン式の貸出スイッチ67B が左側の貸出スイッチ67A に対応した高さレベルとなるように設けられている。
【0058】
これらの貸出スイッチ67A, 67Bは、左右いずれかのスロットマシン1を特定して貸し出しを開始するためのスイッチとなっている。
そして、貸出スイッチ67A を押圧操作することにより、両側のスロットマシン1のうち、図3中左側のスロットマシン1が特定されるようになっている。この貸出スイッチ67A の押圧操作により、駆動装置72は、回動部材73を時計方向へ回動駆動して、貸出ノズル71を特定された図3中左側のスロットマシン1に臨む位置まで貸出ノズル71を移動させることが許容されるようになっている。
一方、貸出スイッチ67B を押圧操作することにより、両側のスロットマシン1のうち、図3中右側のスロットマシン1が特定されるようになっている。この貸出スイッチ67B の押圧操作により、駆動装置72は、回動部材73を反時計方向へ回動駆動して、貸出ノズル71を特定された図3中右側のスロットマシン1に臨む位置まで貸出ノズル71を移動させることが許容されるようになっている。
【0059】
そして、貸出スイッチ67A, 67Bの上方には、内部でメダル詰まりが生じたこと等を示すエラー表示や、不正行為等により異常が生じたことを知らせるための警報表示を行うことが可能な液晶表示装置275 が設けられている。ここで、カバー体30の内部にブザーを設け、エラー表示又は警報表示を行う際に、ブザーを鳴動させてもよい。
また、切換部70には、貸出ノズル71、駆動装置72及び回動部材73に加えて、図3に示すように、回動部材73の図3中左側に配置されている固定ノズル74A と、回動部材73の図3中右側に配置されている固定ノズル74B とが設けられている。
固定ノズル74A は、図3中左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A の右端部と対向するメダル排出口66A が先端に設けられ、当該側方移送通路12A の内部にメダルを送り込む筒状部材である。換言すると、固定ノズル74A は、図3中左側のスロットマシン1に臨む位置に貸出ノズル71が配置された際に、貸出ノズル71と接続されることにより、図3中左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A と、貸出ノズル71とを相互に連通する筒状部材である。
【0060】
ここで、固定ノズル74A 及び固定ノズル74B は、切換部70から、それぞれ対応するスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A, 12Bまでの距離に応じて設定された長さ寸法を有するものであり、固定ノズル74B の方が固定ノズル74A よりも長くなっている。
固定ノズル74B は、図1中右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B の左端部と対向するメダル排出口66B が先端に設けられ、当該側方移送通路12B の内部にメダルを送り込む筒状部材である。換言すると、固定ノズル74B は、図1中右側のスロットマシン1に臨む位置に貸出ノズル71が配置された際に、貸出ノズル71と接続されることにより、図1中右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B と、貸出ノズル71とを相互に連通する筒状部材である。
【0061】
固定ノズル74A と回動部材73との間には、図3に示すように、貸出ノズル71が固定ノズル74A との接続位置に移動された際に、貸出ノズル71を内部に収納する凹部75A が設けられている。
また、固定ノズル74B と回動部材73との間には、固定ノズル74A 側と同様に、貸出ノズル71が固定ノズル74B との接続位置に移動された際に、貸出ノズル71を内部に収納する凹部75B が設けられている。
以上において、貸出ノズル71が左側のスロットマシン1の方向を向く位置は、凹部75A の内部に設定され、貸出ノズル71が右側のスロットマシン1の方向を向く位置は、凹部75B の内部に設定され、これらの二つの位置は、両方ともメダル貸出機2側に設定されたものとなっている。
【0062】
そして、凹部75A の奥側に設けられている側面部分は、貸出ノズル71が右側のスロットマシン1の方向を向く位置の近傍となる部位となっている。そして、この凹部75A の側面部分は、回転してきた貸出ノズル71の側部である側面部分と係合して、貸出ノズル71を当該位置に位置決めする係合当接部76A となっている。
また、凹部75B の奥側に設けられている側面部分は、貸出ノズル71が左側のスロットマシン1の方向を向く位置の近傍となる部位となっている。そして、この凹部75B の側面部分は、回転してきた貸出ノズル71の側部である側面部分と係合して、貸出ノズル71を当該位置に位置決めする係合当接部76B となっている。
【0063】
メダル貸出機2は、係合当接部76A, 76Bの各々によって貸出ノズル71が位置決めされることにより、貸出ノズル71から送り込まれてきたメダルが、固定ノズル74A, 74Bの内部に確実に送り込まれ、ひいては、スロットマシン1の側方移送通路12A, 12Bの内部に確実に取り込まれるように形成されている。
この際、凹部75A には、貸出ノズル71が内部に収納されたことを検出する図示しない左側ノズル近接センサが設けられている。この左側ノズル近接センサは、貸出ノズル71が凹部75A の内部に収納されると、収納検出信号を出力するものとなっている。
また、凹部75A の内部に収納された貸出ノズル71がぐらつかないように、貸出ノズル71及び凹部75A の互いに対向する側面には、互いに吸着し合う向きに磁極が配置された図示しない磁石がそれぞれ設けられている。
【0064】
一方、凹部75B には、凹部75A と同様に、貸出ノズル71が内部に収納されたことを検出する図示しない右側ノズル近接センサが設けられている。この右側ノズル近接センサは、貸出ノズル71が凹部75B の内部に収納されると、収納検出信号を出力するものとなっている。
また、凹部75B の内部に収納された貸出ノズル71がぐらつかないように、貸出ノズル71及び凹部75B の互いに対向する側面には、互いに吸着し合う向きに磁極が配置された図示しない磁石がそれぞれ設けられている。
なお、駆動装置72は、前述した磁石の吸着力よりも充分強い駆動力を発揮するものが採用され、磁石の吸着力に抗して回動部材73を回動駆動できるようになっている。
【0065】
回動部材73は、図6及び図7に示すように、回動動作が容易に行えるように、略円柱状に形成された本体部材を備え、この本体部材の内部に略L字形状に延びるメダル通路73A が形成されたものである。このメダル通路73A の断面内法は、メダルを1枚ずつ通過させるために、メダルの直径及び厚さ寸法に対応したものとなっている。
また、メダル通路73A の一端は、回動部材73の上方の端面に開口され、この開口がメダル入口73B となっている。また、メダル通路73A の他端は、貸出ノズル71の先端部分に開口され、この開口がメダル出口73C となっている。
上方から落下してきたメダルは、メダル入口73B から略L字形状に延びるメダル通路73A の内部に進入し、メダル通路73A の折れ曲がり部分で進行方向を略水平方向に変換され、メダル出口73C から略水平方向へ排出されるようになっている。
【0066】
この際、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに収納された状態となっているときにのみ、回動部材73の上方の通路部65を通って落下してくるメダルが、メダル入口73B からメダル通路73A の内部へ進入することが可能となっている。そして、この状態となっているときにのみ、メダル通路73A を通過してメダル出口73C から略水平方向へ排出されるメダルが、固定ノズル74A, 74B のいずれかの内部へ進入可能となっている。
そして、貸出ノズル71が凹部75A に収納された状態においては、導入路装置60の通路部65、回動部材73のメダル通路73A 、及び、固定ノズル74A の内部に形成されている通路が接続され、無端ベルト53によってメダル貯め部44から送り出されたメダルを左側のスロットマシン1に設けられた側方移送通路12A の入口まで導く一連のメダル通路を形成するようになっている。
【0067】
また、貸出ノズル71が凹部75B に収納された状態においては、通路部65、メダル通路73A 、及び、固定ノズル74B の内部に形成されている通路が接続され、無端ベルト53によってメダル貯め部44から送り出されたメダルを右側のスロットマシン1に設けられた側方移送通路12B の入口まで導く一連のメダル通路を形成するようになっている。
以上において、側方移送通路12A, 12Bのうち、左側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12A は、当該スロットマシン1の方向を向く位置に配置された貸出ノズル71から排出されたメダルを、当該スロットマシン1に設けられた上部投入開口11まで導くものとされている。一方、右側のスロットマシン1に設けられている側方移送通路12B は、当該スロットマシン1の方向を向く位置に配置された貸出ノズル71から排出されたメダルを、当該スロットマシン1に設けられた上部投入開口11まで導くものとされている。
【0068】
(駆動制御装置280)
駆動制御装置280 は、メダルの貸出先を切り換える貸出ノズル71の切換動作、メダルを移送する無端ベルト53のメダル移送動作、一括投入口31を閉鎖するシャッタ33の開閉動作、及び、紙幣投入口21を閉鎖する閉鎖部材21A の開閉動作等、各装置の動作を制御するものである。
このような駆動制御装置280 は、メダル投入装置3の動作を制御するために、マイクロコンピュータを利用したCPU並びにROM及びRAM等の記憶手段を含んで構成されたハードウェアを備えたものである。駆動制御装置280 のハードウェアには、メダルの貸出動作制御を行うためのソフトウェアがインストールされている。
【0069】
また、駆動制御装置280 には、両側に配置された2台のスロットマシン1及び当該メダル貸出機2のいずれかで不正行為が行われた際に、その不正行為に対処する動作をさせるべく、無端ベルト53、シャッタ33及び閉鎖部材21A の動作制御を行う不正行為対処制御プログラムがインストール、あるいは、当該動作制御を実現するハードウェアが設置されている。換言すると、駆動制御装置280 には、図8に示すように、メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知するための不正行為検知手段150 と、2台のスロットマシン1及び当該メダル貸出機2のいずれかで不正行為が行われた際にメダル貸出機2の動作を制御する不正行為検知時動作制御手段200 とが設けられている。
【0070】
そして、駆動制御装置280 は、無端ベルト53を駆動する駆動モータ55、シャッタ33を駆動するシャッタ・モータ35及び閉鎖部材21A を駆動するソレノイド21B のそれぞれを電気的に駆動するベルト用駆動モータドライバ281 、シャッタ・モータドライバ282 及び閉鎖部材用ソレノイドドライバ283 が、その出力ポートに接続され、これらを通じて、駆動モータ55、シャッタ・モータ35及びソレノイド21B の動作を制御するようになっている。
不正行為検知手段150 は、メダル貸出機2に設けられている図示しない電極部の電圧を検出し、検出した電圧、並びに、前述した紙幣カウンタ22からのメダル貸出要求信号及び紙幣投入信号に基づいて不正行為が行われているか否か検知するものである。そして、不正行為検知手段150 は、メダル貸出機2に対して不正行為が行われていることを検知すると、不正行為検知時動作制御手段200 へ不正検知信号を送信するようになっている。
【0071】
ここで、不正行為検知手段150 によって電圧が検出される電極部としては、当該駆動制御装置280 、紙幣カウンタ22及び貸出メダル払出装置25等の不正行為が行われるおそれのある装置の入出端子そのもの、及び、これらの入出力端子の近傍に設けられた不正行為検出用の電極等が採用されている。
不正行為検知時動作制御手段200 は、不正行為検知手段150 からの不正検知信号等の制御に必要な信号を受信し、受信した信号に基づいて、ベルト用駆動モータドライバ281 、シャッタ・モータドライバ282 及び閉鎖部材用ソレノイドドライバ283 の動作を制御するものとなっている。
【0072】
ここで、不正行為検知時動作制御手段200 が制御に必要とする信号として、前述の不正行為検知手段150 からの不正検知信号に加えて、以下の信号が不正行為検知時動作制御手段200 に入力されるようになっている。
1.遊技場の係員等によるキースイッチ操作によって両側供給モードに切り換えられた際にキースイッチ装置から出力される両側供給モード信号。
2.キースイッチ操作によって片側供給モードに切り換えられ、且つ、メダルの供給先として左側のスロットマシン1が指定された際にキースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号。
【0073】
3.メダル貸出機2の左側に配置されたスロットマシン1に対して不正行為が行われたことを当該スロットマシン1が検知した際に、メダル貸出機2に向かって発信される左側スロットマシン不正検知信号。
4.メダル貸出機2の右側に配置されたスロットマシン1に対して不正行為が行われたことを当該スロットマシン1が検知した際に、メダル貸出機2に向かって発信される右側スロットマシン不正検知信号。
5.一括投入口31の周縁部分に形成された堰部272 の表面に設けられている接触センサ274 に遊技者の指等が接触した際に、当該接触センサ274 から出力される、あるいは、貸出のために排出したメダルの枚数が所定値に達した際に、貸出メダル払出装置25から出力されるベルト起動信号。
【0074】
ここで、不正行為検知手段150 としては、ソフトウェアを含んで形成されたものだけでなく、ハードウェアのみで形成されたものも採用できる。以下、ハードウェアのみで形成した場合の不正行為検知手段150 について説明する。図9には、不正行為検知手段150 の概略構成が示されている。
不正行為検知手段150 には、図9の如く、紙幣カウンタ22からの貸出要求信号及び紙幣投入信号に基づいて不正行為の検知を行う異常信号検知手段160 と、貸出要求信号を受信した間隔に基づいて不正行為の検知を行う紙幣カウンタ異常検知手段170 と、電極部の電圧に基づいて不正行為の検知を行う異常電圧検知手段180 とが不正行為を検知する不正行為検知手段として設けられている。
【0075】
また、不正行為検知手段150 には、異常信号検知手段160 、紙幣カウンタ異常検知手段170 及び異常電圧検知手段180 の出力信号の論理和を演算する論理和演算回路190 が設けられている。
異常信号検知手段160 は、紙幣投入信号及び貸出要求信号を入力信号とする排他論理和回路161 と、この排他論理和回路161 の出力信号及び貸出要求信号を入力信号とする論理積回路162 とを備えたものとなっている。これにより、異常信号検知手段160 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号及び紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力するようになっている。
【0076】
紙幣カウンタ異常検知手段170 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測する間隔計測部171 と、この間隔計測部171 が計測した受信間隔と予め設定された値とを比較して、計測した受信間隔が適正な値であるか否かを判定する間隔比較部172 とを備えている。これにより、紙幣カウンタ異常検知手段170 は、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号の出力間隔、すなわち、間隔計測部171 の計測した受信間隔が所定時間以下の場合に、間隔比較部172 から不正検知信号を出力するようになっている。
【0077】
異常電圧検知手段180 は、前述した電極部に印加される電圧の電圧値を測定する電圧測定部181 と、この電圧測定部181 が測定した電圧値と予め設定された上限値及び下限値とを比較して、測定した電圧値が適正な範囲内にあるか否かを判定する電圧値比較部182 と、電極部に印加される電圧の周波数を測定する周波数測定部183 と、この周波数測定部183 が測定した周波数と予め設定された上限値及び下限値とを比較して、測定した周波数が適正な範囲内にあるか否かを判定する周波数比較部184 とを備えている。これにより、異常電圧検知手段180 は、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力するようになっている。
【0078】
そして、不正行為検知手段150 は、異常信号検知手段160 、紙幣カウンタ異常検知手段170 及び異常電圧検知手段180 のいずれかから不正検知信号が出力されると、これらの不正検知信号を受信する論理和演算回路190 が、メダル貸出機2の内部で発生した不正検知信号である内部不正検知信号を出力するようになっている。
不正行為検知時動作制御手段200 としては、ソフトウェアを含んで形成されたものだけでなく、ハードウェアのみで形成されたものも採用できる。以下、ハードウェアのみで形成した場合の不正行為検知時動作制御手段200 について説明する。図10には、不正行為検知時動作制御手段200 の概略構成が示されている。
【0079】
不正行為検知時動作制御手段200 には、図10の如く、メダル貸出機2の両側に配置されたスロットマシン1からの不正検知信号を受信する信号受信手段210 と、スロットマシン1及び不正行為検知手段150からの不正検知信号に基づいて不正行為に対して行うべき動作を選択する動作選択手段220 と、メダルを移送する無端ベルト53の強制停止を行うための強制停止手段230 と、一括投入口31の強制閉鎖を行うための強制閉鎖手段240 と、紙幣投入口21の閉鎖を行う紙幣投入口閉鎖手段250 とが設けられている。
信号受信手段210 は、メダル貸出機2の左側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号、及び、メダル貸出機2の右側に配置された側のスロットマシン1から出力される不正検知信号の二信号を入力信号とする論理和回路211 と、選択すべき信号を左側のスロットマシン1からの不正検知信号及び右側のスロットマシン1からの不正検知信号の一方から他方へ切り換えるためのスイッチング回路212 とを備えている。
【0080】
これにより、信号受信手段210 は、両側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号のいずれもが受信可能となるように形成されている。
この際、論理和回路211 には、両側に配置されたスロットマシン1から出力される不正検知信号の両方が入力されるようになっている。そして、論理和回路211 は、両側のスロットマシン1のいずれかに対して不正行為が行われると、両側供給モード時に必要な不正検知信号を出力するようになっている。
スイッチング回路212 は、片側供給モード時において、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1の不正検知信号を選択するものとなっている。すなわち、スイッチング回路212 は、左側のスロットマシン1が指定された際にキースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号を受信すると、左側のスロットマシン1から出力される不正検知信号を選択して出力するものとなっている。一方、スイッチング回路212 は、片側供給モード時において、右側のスロットマシン1が指定されたために、キースイッチ装置から出力される左側スロットマシン指定信号の受信がなされない場合には、右側のスロットマシン1から出力される不正検知信号を選択して出力するものとなっている。
【0081】
ここにおいて、信号受信手段210 からは、片側供給モード時において指定された一方のスロットマシン1から出力された指定不正検知信号、及び、二つのスロットマシン1の不正検知信号の論理和となった論理和不正検知信号の二種類の不正検知信号が出力されるようになっている。
動作選択手段220 は、メダル貸出機2に設定されているメダルの供給モード(両側供給モード又は片側供給モード)、貸出メダル払出装置25による無端ベルト53へのメダルの排出枚数、及び、遊技者等の接触センサ274 への接触状況に応じて、不正行為に対する動作を選択するものとなっている。
【0082】
この動作選択手段220 には、信号受信手段210 から送られてくる二つの不正検知信号のうちの一方を選択するスイッチング回路221 と、両側供給モード時にスイッチング回路221 からの信号を遮断するスイッチング素子222 と、片側供給モード時にスイッチング回路221 からの信号を遮断するスイッチング素子223 と、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出する論理和回路224 と、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出する論理積回路225 と、この論理積回路225 に強制閉鎖許可信号を送出する論理和回路226 とが設けられている。
スイッチング回路221 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号が入力され、両側供給モード信号を受信すると、信号受信手段210 が出力する指定不正検知信号及び論理和不正検知信号のうち、論理和不正検知信号を選択して、選択した論理和不正検知信号を選択不正検知信号として出力するようになっている。
【0083】
また、スイッチング回路221 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、信号受信手段210 が出力する指定不正検知信号を選択して、選択した指定不正検知信号を選択不正検知信号として出力するようになっている。
スイッチング素子222 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号を受信して、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を遮断するようになっている。
また、スイッチング素子222 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、導通状態を維持して、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を論理和回路226 へそのまま送出するようになっている。
【0084】
これにより、両側供給モード時においては、スイッチング素子222 が遮断状態となるので、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のいずれかが不正検知信号を出力しても、出力された不正検知信号が論理和回路226 到達しないようになっている。
一方、片側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のうち、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1か出力する不正検知信号が論理和回路226 到達するようになっている。
スイッチング素子223 は、キースイッチ操作で両側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から出力される両側供給モード信号を受信して導通状態となり、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を紙幣投入口閉鎖手段250 へ送出するようになっている。
【0085】
また、スイッチング素子223 は、キースイッチ操作で片側供給モードが指定されると、キースイッチ装置から両側供給モード信号が出力されないので、両側供給モード信号を受信することがなく、遮断状態を維持し、スイッチング回路221 から出力される選択不正検知信号を遮断するようになっている。
これにより、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のいずれかが不正検知信号を出力すると、この出力された不正検知信号がスイッチング素子222 から出力されるようになっている。そして、スイッチング素子222 から出力された不正検知信号が閉鎖指令信号として紙幣投入口閉鎖手段250 に受信されるようになっている。これにより、閉鎖部材21A が閉鎖位置まで移動して、紙幣投入口21が閉鎖されるようになっている。
【0086】
一方、片側供給モード時においては、スイッチング素子223 が遮断状態を維持し、いかなる不正検知信号も紙幣投入口閉鎖手段250 に受信されることがなく、紙幣投入口21が開放状態を維持するようになっている。
論理和回路224 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号、及び、スイッチング回路221 からの選択不正検知信号を受信し、これらの不正検知信号に基づいて、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出するものである。
具体的には、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1、並びに、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかが不正検知信号を出力すると、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出するようになっている。そして、強制停止指令信号を受信した強制停止手段230 は、メダルを移送する無端ベルト53を強制停止させる、あるいは、無端ベルト53の停止状態を強制的に維持させるようになっている。
【0087】
一方、片側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1のうち、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1、及び、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかが不正検知信号を出力すると、強制停止手段230 に強制停止指令信号を送出し、これにより、強制停止手段230 が、メダルを移送する無端ベルト53を強制停止させる、あるいは、無端ベルト53の停止状態を強制的に維持させるようになっている。
論理和回路226 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号、及び、スイッチング素子222 を通じて送られてくるスイッチング回路221 からの選択不正検知信号が入力され、これらの二つの信号のいずれかを受信すると、論理積回路225 に強制閉鎖許可信号を送出するものである。
【0088】
具体的には、両側供給モード時においては、スイッチング素子222 がスイッチング回路221 からの選択不正検知信号を遮断してしまい、論理和回路226 が選択不正検知信号を受信することがないので、論理和回路226 は、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号を受信すると、論理積回路225 へ強制閉鎖許可信号を送出するようになっている。
一方、片側供給モード時においては、スイッチング素子222 が導通状態となるので、不正行為検知手段150 からの内部不正検知信号が出力されたときだけでなく、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1から不正検知信号が出力されたときにも、論理和回路226 は、論理積回路225 へ強制閉鎖許可信号を送出するようになっている。
【0089】
論理積回路225 は、論理和回路226 から送られてくる強制閉鎖許可信号、及び、接触センサ274 等から送られてくるベルト起動信号が入力され、これらの二つの信号を同時に受信すると、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するものである。
具体的には、両側供給モード時においては、左側のスロットマシン1及び右側のスロットマシン1、並びに、メダル貸出機2の不正行為検知手段150 のいずれかから不正検知信号を受信している状態で、接触センサ274 等からベルト起動信号を受信すると、論理積回路225 は、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するようになっている。
一方、片側供給モード時においては、キースイッチ操作で指定されたスロットマシン1から不正検知信号を受信している状態で、接触センサ274 等からベルト起動信号を受信すると、論理積回路225 は、強制閉鎖手段240 に強制閉鎖指令信号を送出するようになっている。
【0090】
続いて、本実施形態に係るメダル貸出機2の両側供給モードにおけるメダル貸出動作、及び、メダル貸出機2及びその両側のスロットマシン1のいずれかに不正行為が行われた場合の不正行為対応動作のそれぞれに係る一連の処理について、図11及び図12のフローチャートを参照しながら説明する。
メダル貸出動作に係る一連の処理であるメダル貸出処理、及び、不正行為対応動作に係る一連の処理である不正行為対応処理は、駆動制御装置280 のROMに記憶されて、そのCPUよって実行されるソフトウェアで並列処理することができ、且つ、遊技者側から見ると、同時に処理されるものとなっている。以下の説明では、まず最初に、メダル貸出処理及びについて説明し、この説明の次に、不正行為対応処理について説明する。
【0091】
メダル貸出機2の電源を投入する等により、メダル貸出処理が開始され、ステップS1100において、メダル貸出機2の動作モードを設定する処理が行われる。ここでは、前述したキースイッチ操作により動作モードを両側供給モードに設定する。この動作モードの設定処理が完了したら、次のステップS1200へ進み、このステップS1200で、シャッタ33を駆動して、このシャッタ33で一括投入口31を閉鎖する処理を行う。
この閉鎖処理により、一方のスロットマシン1へメダルを貸し出す際に、他方のスロットマシン1で遊技を行っている遊技者が一括投入口31へ多数のメダルを投入しようとしても、一括投入口31が閉鎖されているので、遊技者は、一括投入口31へのメダルの投入が行えなくなる。これにより、2台のスロットマシン1の間にメダル貸出機2を設置し、これら2台のスロットマシンの両方に対して、1台のメダル貸出機2でメダルを貸し出すようにしても、一方のスロットマシン1で遊技している遊技者に貸し出されるメダルと、他方のスロットマシン1で遊技している遊技者が投入したメダルとがメダル貸出機2の内部で混ざり合うことがなく、所有者の異なるメダルが混ざり合ってしまうというトラブルを未然に防止することができる。
【0092】
このような閉鎖処理が完了した後、次のステップS1300へ進む。
ステップS1300では、千円札が紙幣投入口21に投入されたか否かの判断がなされる。このステップS1300で、千円札が紙幣投入口21に投入されていないと判断された場合には、千円札が紙幣投入口21に投入されるまで、ステップS1300を繰り返す。一方、ステップS1300で、千円札が紙幣投入口21に投入されたと判断された場合には、次のステップS1400へ進む。
ステップS1400では、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されたか否か判断される。このステップS1400で、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されていないと判断された場合には、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されるまで、ステップS1400を繰り返す。一方、ステップS1400で、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されたと判断された場合には、次のステップS1500へ進む。
【0093】
ステップS1500では、押圧操作された貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが特定するスロットマシン1側を貸出ノズル71が向くように、貸出ノズル71を移動させる貸出ノズル71の移動処理が開始される。更に具体的に説明すると、左側の貸出スイッチ67A が押圧操作された場合、ステップS1500では、左側のスロットマシン1側を向くように貸出ノズル71の移動が開始される。反対に、右側の貸出スイッチ67B が押圧操作された場合、ステップS1500では、右側のスロットマシン1側を向くように貸出ノズル71の移動が開始される。貸出ノズル71の移動処理を開始したら、次のステップS1600へ進む。
ステップS1600では、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに到着して停止したか否かが判断される。このステップS1600で、貸出ノズル71が停止していないと判断された場合には、貸出ノズル71が停止するまで、ステップS1600を繰り返す。
【0094】
一方、ステップS1600で、貸出ノズル71が停止していると判断された場合には、次のステップS1700へ進む。
ステップS1700では、貸出メダル払出装置25が駆動され、これにより、特定されたスロットマシン1にメダルを貸し出すメダル貸出処理が開始される。
ここで、貸出スイッチ67A, 67Bのいずれかが押圧操作されないと、メダルを貸し出すメダル貸出処理が開始されないようになっており、これにより、誤ったスロットマシン1側にメダルを貸し出されることを未然に防止することができる。
また、貸出ノズル71が凹部75A, 75Bのいずれかに到着して完全に停止するまで、メダルを貸し出すメダル貸出処理が開始されないようになっており、これにより、固定された通路部65と、回動するメダル通路73A との接続部分においてメダル詰まりが発生することを未然に防止することができる。
【0095】
そして、メダル貸出処理が開始されたら、次のステップS1800へ進む。このステップS1800では、メダル貸出処理で所定の枚数のメダルが特定されたスロットマシン1側へ貸し出されたか否か、換言すると、貸し出すべき全メダルの排出が完了したか否かが判断される。ステップS1800で、全メダルの排出が完了していないと判断された場合には、全メダルの排出が完了するまで、ステップS1800を繰り返す。
一方、ステップS1800で、全メダルの排出が完了していると判断された場合には、ステップS1100から続いてきた一連のメダル貸出処理が完了する。
次に、不正行為対応処理について説明する。
【0096】
不正行為対応処理は、両側のスロットマシン1のいずれかにおいて遊技が開始される等によって開始され、ステップS2110において、メダル貸出機2に設けられている不正行為検知手段150 が不正行為を検出したか否か判断される。
このステップS2110で、不正行為を検出したと判断された場合には、次のステップS2120を飛び越してステップS2130へ進む。一方、ステップS2110で、不正行為を検出したと判断されなかった場合には、次のステップS2120へ進む。
ステップS2120では、両側のスロットマシン1のいずれかから不正検知信号を受信したか否かの判断がなされる。
【0097】
このステップS2120で、不正検知信号を受信したと判断されなかった場合には、メダル貸出機2及び左右のスロットマシン1のいずれにおいても不正行為が行われていないとみなせるので、ステップS2120より後の処理は行われず、不正行為対応処理が完了する。
一方、ステップS2120で、不正検知信号を受信したと判断された場合には、次のステップS2130へ進む。
ステップS2130では、ベルト停止状態維持処理が開始される。この処理により、無端ベルト53が作動中の場合には、強制停止手段230 によって無端ベルト53が強制停止され、あるいは、無端ベルト53が停止中の場合には、貸出メダル払出装置25又は接触センサ274 からベルト起動信号が送信されてきても、強制停止手段230 によって無端ベルト53の停止状態が強制的に維持される。ベルト停止状態維持処理が開始されたら、次のステップS2140へ進む。
【0098】
ステップS2140では、不正行為が行われたことを報知するために、スロットマシン1及びメダル貸出機2を管理するホールコンピュータ等の管理装置へエラー信号を出力する外部出力処理を行う。この外部出力処理が完了したら、次のステップS2150へ進む。
ステップS2150では、メダル貸出機2のメダル供給動作モードが、両側のスロットマシン1にメダルを供給する両側供給モードであるか否かの判断がなされる。
このステップS2150で、両側供給モードであると判断されなかった場合、すなわち、片側のスロットマシン1にのみメダルを供給する片側供給モードであると判断された場合には、ステップS2210へ進む。一方、ステップS2150で、両側供給モードであると判断された場合には、ステップS2310へ進む。
【0099】
ステップS2210では、貸出メダル払出装置25又は接触センサ274 によってベルト起動信号が発信されたか否かの判断がなされる。
このステップS2210で、ベルト起動信号が発信されたと判断されなかった場合には、ステップS2210より後の処理は行われず、不正行為対応処理が完了する。
一方、ステップS2210で、ベルト起動信号が発信されたと判断された場合には、次のステップS2220へ進む。
ステップS2220では、シャッタ33を駆動して一括投入口31を閉鎖するシャッタ閉鎖処理を行う。シャッタ閉鎖処理が完了したら、次のステップS2230へ進む。
【0100】
ステップS2230では、貸出スイッチ67A, 67Bの上方に設けた液晶表示装置275 に不正行為が行われていることを表示する警報及びエラー表示処理を開始する。警報及びエラー表示処理を開始してから所定の時間が経過したら、次のステップS2240へ進む。
ステップS2240では、閉鎖解除のための操作がなされたか否かの判断、より具体的にいえば、スロットマシン1及びメダル貸出機2に対してリセット操作がなされたか否かが判断される。このステップS2240で閉鎖解除のための操作がなされたと判断されなかった場合には、ステップS2240の前に戻り、閉鎖解除操作がなされるまで待機するためにステップS2240を繰り返し行う。
【0101】
一方、ステップS2240で閉鎖解除のための操作がなされたと判断された場合には、次のステップS2250へ進み、通常状態に戻るための復帰処理がなされ、この復帰処理が完了すると、不正行為対応処理は完了する。
前述のステップS2150で両側供給モードであると判断されてステップS2310へ進むと、このステップS2310では、閉鎖部材21A を駆動して紙幣投入口21を閉鎖する紙幣投入口閉鎖処理を行う。紙幣投入口閉鎖処理が完了したら、次のステップS2320へ進む。
ステップS2320では、貸出スイッチ67A, 67B上方の液晶表示装置275 に不正行為が行われていることを表示する警報及びエラー表示処理を開始する。警報及びエラー表示処理を開始してから所定の時間が経過したら、次のステップS2330へ進む。
【0102】
ステップS2330では、閉鎖解除のための操作がなされたか否かの判断、より具体的にいえば、スロットマシン1及びメダル貸出機2に対してリセット操作がなされたか否かが判断される。このステップS2330で閉鎖解除のための操作がなされたと判断されなかった場合には、ステップS2330の前に戻り、閉鎖解除操作がなされるまで待機するためにステップS2330を繰り返し行う。
一方、ステップS2330で閉鎖解除のための操作がなされたと判断された場合には、次のステップS2340へ進み、通常状態に戻るための復帰処理がなされ、この復帰処理が完了すると、不正行為対応処理は完了する。
(実施形態の効果)
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0103】
すなわち、メダル貸出機2に対して行われる不正行為を検知する不正行為検知手段150 と、不正行為検知手段150 からの不正検知信号により無端ベルト53を強制的に停止させる強制停止手段230 とを設けたので、外部から細長い棒状の器具が内部に挿通されて、貸出メダル払出装置25を不正に作動させる等の不正行為が行われると、不正行為検知手段150 が不正検知信号を出力して、強制停止手段230 が無端ベルト53を強制的に停止させるので、貸出メダル払出装置25が作動しても、無端ベルト53が作動しないので、メダルが外部に排出されず、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
また、無端ベルト53の上方に複数のメダルが通過可能となった一括投入口31を設け、この一括投入口31を通じて複数のメダルがまとめて投入可能にしたので、遊技者は、一括投入口31から複数のメダルをまとめて投入するとともに、メダル移送装置40の無端ベルト53を作動させれば、スロットマシン1にメダルが一枚ずつ自動的に投入されるようになる。これにより、遊技者は、手動でメダルを一枚ずつスロットマシン1の上部投入開口11に投入していく煩雑さから開放されるようになり、遊技者の遊技における便宜を図ることができる
ここで、信号受信手段210 が不正検知信号を受信した後、メダル移送装置40に対して無端ベルト53を駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、シャッタ33が一括投入口31を強制的に閉鎖するようにしたので、一括投入口31のサイズを複数のメダルがまとめて投入可能なサイズにしても、不正行為により一括投入口31が閉鎖され、貸出メダル払出装置25の作動により無端ベルト53の上に排出されたメダルを取ることができなくなり、従って、不正行為を行った者がメダルを不正に獲得することを未然に防止することができる。
【0104】
さらに、紙幣カウンタ22から出力される貸出要求信号の受信間隔が所定時間以下の場合に不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段170 を設け、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われ、紙幣カウンタ22から短時間の間に複数の貸出要求信号が出力されて、紙幣カウンタ異常検知手段170 の受信間隔が異常に短くなると、紙幣カウンタ異常検知手段170 が不正検知信号を出力するようにしたので、これにより、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
さらに、紙幣投入口21に紙幣が投入されると、紙幣カウンタ22から出力される紙幣投入信号と、紙幣カウンタ22からの貸出要求信号との両方が受信可能とされ、紙幣投入信号を受信していないのに、貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段160 を設けたので、紙幣カウンタ22等に対して不正行為が行われ、紙幣を投入していないのに、紙幣カウンタ22から貸出要求信号が出力されると、異常信号検知手段160 が不正検知信号を出力するようになり、これにより、紙幣カウンタ等に対して不正行為が行われたことを確実に検知することができる。
【0105】
また、メダル貸出機2の内部に備えられている電極部に、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段180 を設けたので、メダル貸出機2に内蔵された装置を誤作動させる電圧を加えることにより、メダル貸出機2を不正に動作させると、異常電圧検知手段180 が誤作動のための電圧を検知するので、当該不正行為が行われたことが確実に検知され、これにより、メダルの不正貸出を未然に防止することができる。
(変形例)
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
【0106】
すなわち、メダル貸出機としては、両側のスロットマシン1のいずれにもメダルを貸し出せるように形成されたものに限らず、一方の側に配置された一のスロットマシン1にのみメダルを貸し出せるように形成されたものでもよい。
一のスロットマシン1にのみメダルを貸し出すメダル貸出機は、前記実施形態で説明したハードウェア及びソフトウェアをそのまま利用するとともに、片側供給モードでのみ運転するように構成すれば、容易に実現することができる。
この際、スロットマシンとしては、側方移送通路12A 及び側方移送通路12B の両方を備えたものに限らず、いずれか一方のみを備えたものでもよい。このようなスロットマシンを採用する場合、側方移送通路12A を備えたスロットマシンをメダル貸出機2の左側に配置し、側方移送通路12B を備えたスロットマシンをメダル貸出機2の右側に配置すればよい。
【0107】
また、スロットマシンとしては、その前面の右側縁近傍に1つのメダル投入部10が形成されたものに限らず、その前面の両側縁近傍にそれぞれ1つのメダル投入部10が設けられ、これら2つのメダル投入部10が左右対称に配置されたものでもよい。このように2つのメダル投入部10が左右対称に配置されたスロットマシンを採用すれば、側方移送通路12A 及び側方移送通路12B の長さを均等にすることができる。
さらに、前記実施形態では、メダル貸出機2に対して不正行為が行われた場合、液晶表示装置275 で警報表示を行うとともに、ブザーを鳴動させるようにしたが、不正行為を検知しても、液晶表示装置275 の警報表示及びブザーの鳴動を行わないように、メダル貸出機2を設定してもよい。このように設定すれば、不正行為の検知により、不正行為対応処理が開始され、メダル貸出機2の無端ベルト53が停止されるが、不正行為を行った不正行為者は、無端ベルト53の停止が不正行為対応処理によるものとは気が付かず、メダル貸出機2の故障であると思い込むようになり、メダル貸出機2の復旧をスロットマシン1の管理者等に依頼する可能性がより高くなる。これにより、不正行為者を取り押さえられる可能性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンとメダル貸出機を示す正面図及び平面図である。
【図2】前記実施形態に係るスロットマシン及びメダル貸出機を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大斜視図である。
【図4】前記実施形態に係るスロットマシンの要部を示す拡大斜視図である。
【図5】前記実施形態に係るメダル貸出機の要部を示す拡大断面図である。
【図6】前記実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大断面図である。
【図7】前記実施形態に係る貸出ノズルを示す拡大斜視面図である。
【図8】前記実施形態に係る駆動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】前記実施形態に係る不正行為検知手段の概略構成を示すブロック図である。
【図10】前記実施形態に係る不正行為検知時動作制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【図11】前記実施形態に係るメダル貸出処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】前記実施形態に係る不正行為対応処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1 スロットマシン
2 メダル貸出機
21 紙幣投入口
22 紙幣カウンタ
25 メダル貯留装置としての貸出メダル払出装置
31 一括投入口
33 シャッタ
35 シャッタを駆動可能な駆動手段であるシャッタ・モータ
40 搬送ベルト装置としてのメダル移送装置
53 ベルトとしての無端ベルト
150 不正行為検知手段
170 紙幣カウンタ異常検知手段
180 異常電圧検知手段。
230 強制停止手段
240 強制閉鎖手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシンに向かってメダルを送り出すベルトを有する搬送ベルト装置と、複数のメダルを貯留するとともに、前記搬送ベルト装置の前記ベルトの上に、貯留しているメダルを排出可能となっているメダル貯留装置とが内蔵され、遊技者のメダル貸出要求操作に対応して、前記メダル貯留装置が前記ベルトの上にメダルを排出し、前記搬送ベルト装置が前記ベルトを正回転方向へ駆動して、前記スロットマシンにメダルを供給するメダル貸出機であって、
当該メダル貸出機に対して行われる不正行為を検知するとともに、不正行為を検知すると不正検知信号を出力する不正行為検知手段と、
この不正行為検知手段から前記不正検知信号を受信すると、前記搬送ベルト装置による前記ベルトの回転駆動を強制的に停止させる強制停止手段とを備えていることを特徴とするメダル貸出機。
【請求項2】
前記ベルトの上方に形成されるとともに、複数のメダルが通過可能となっている一括投入口と、
この一括投入口を閉鎖可能なサイズのシャッタと、
前記一括投入口を閉鎖する閉鎖位置及び前記一括投入口を開放する開放位置の二位置の間に渡ってシャッタを駆動可能な駆動手段と、
前記不正行為検知手段が前記不正検知信号を送信した後、前記搬送ベルト装置に対して前記ベルトを駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、前記シャッタを強制的に閉鎖位置へ移動させる強制閉鎖手段とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のメダル貸出機。
【請求項3】
紙幣が投入される紙幣投入口を有し、この紙幣投入口に投入された紙幣を検査し、当該紙幣が真正なものである場合に、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力する紙幣カウンタを備え、
この紙幣カウンタから出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測し、この受信間隔が所定時間以下の場合に、不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のメダル貸出機。
【請求項4】
前記紙幣カウンタは、前記紙幣投入口に紙幣が投入されると、紙幣投入信号を出力するように形成され、
前記紙幣カウンタから前記貸出要求信号及び前記紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、前記紙幣投入信号を受信していないのに、前記貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項3記載のメダル貸出機。
【請求項5】
当該メダル貸出機の内部に備えられている電極部の電圧を検出し、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が前記電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のメダル貸出機。
【請求項1】
正回転方向へ回転駆動されると、隣接するスロットマシンに向かってメダルを送り出すベルトを有する搬送ベルト装置と、複数のメダルを貯留するとともに、前記搬送ベルト装置の前記ベルトの上に、貯留しているメダルを排出可能となっているメダル貯留装置とが内蔵され、遊技者のメダル貸出要求操作に対応して、前記メダル貯留装置が前記ベルトの上にメダルを排出し、前記搬送ベルト装置が前記ベルトを正回転方向へ駆動して、前記スロットマシンにメダルを供給するメダル貸出機であって、
当該メダル貸出機に対して行われる不正行為を検知するとともに、不正行為を検知すると不正検知信号を出力する不正行為検知手段と、
この不正行為検知手段から前記不正検知信号を受信すると、前記搬送ベルト装置による前記ベルトの回転駆動を強制的に停止させる強制停止手段とを備えていることを特徴とするメダル貸出機。
【請求項2】
前記ベルトの上方に形成されるとともに、複数のメダルが通過可能となっている一括投入口と、
この一括投入口を閉鎖可能なサイズのシャッタと、
前記一括投入口を閉鎖する閉鎖位置及び前記一括投入口を開放する開放位置の二位置の間に渡ってシャッタを駆動可能な駆動手段と、
前記不正行為検知手段が前記不正検知信号を送信した後、前記搬送ベルト装置に対して前記ベルトを駆動すべき旨を指令するベルト起動信号が発信されると、前記シャッタを強制的に閉鎖位置へ移動させる強制閉鎖手段とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のメダル貸出機。
【請求項3】
紙幣が投入される紙幣投入口を有し、この紙幣投入口に投入された紙幣を検査し、当該紙幣が真正なものである場合に、メダルの貸出動作を要求することを示すメダル貸出要求信号を出力する紙幣カウンタを備え、
この紙幣カウンタから出力される貸出要求信号を受信し、この貸出要求信号を受信してから次の貸出要求信号を受信するまでの時間的な間隔である受信間隔を計測し、この受信間隔が所定時間以下の場合に、不正検知信号を出力する紙幣カウンタ異常検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のメダル貸出機。
【請求項4】
前記紙幣カウンタは、前記紙幣投入口に紙幣が投入されると、紙幣投入信号を出力するように形成され、
前記紙幣カウンタから前記貸出要求信号及び前記紙幣投入信号の両方が受信可能とされ、前記紙幣投入信号を受信していないのに、前記貸出要求信号を受信した場合に、不正検知信号を出力する異常信号検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項3記載のメダル貸出機。
【請求項5】
当該メダル貸出機の内部に備えられている電極部の電圧を検出し、予め設定された範囲の電圧値及び周波数の少なくとも一方を逸脱した電圧が前記電極部に印加された場合に、不正検知信号を出力する異常電圧検知手段が、前記不正行為検知手段として設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のメダル貸出機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−73122(P2008−73122A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253667(P2006−253667)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]